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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174106
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】スマート弁付き保持チャンバ
(51)【国際特許分類】
   A61M 15/00 20060101AFI20221115BHJP
   A61M 11/00 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
A61M15/00 Z
A61M11/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022133800
(22)【出願日】2022-08-25
(62)【分割の表示】P 2021164728の分割
【原出願日】2017-05-19
(31)【優先権主張番号】62/338,798
(32)【優先日】2016-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/366,327
(32)【優先日】2016-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504054413
【氏名又は名称】トゥルーデル メディカル インターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】アリゾティ ネリタン
(72)【発明者】
【氏名】コステラ スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】エンゲルブレッド ダン
(72)【発明者】
【氏名】グルカ ノエル
(72)【発明者】
【氏名】キルヒナー アラナ
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー アダム
(72)【発明者】
【氏名】モートン ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ノヴァク バルト
(72)【発明者】
【氏名】ロマンチュク グレッグ
(72)【発明者】
【氏名】サカリア ロナク
(57)【要約】
【課題】定量式吸入器から複数回分の薬物を投与することができる保持チャンバ付きの投薬システムを提供すること。
【解決手段】保持チャンバは、作動検出器、流量検出器および/または保持チャンバに結合される定量式吸入器を識別するよう働く定量式吸入器識別装置、およびディスプレイを有する。別の実施形態では、薬剤を投与するユーザインターフェースが薬剤投与器具、ユーザとの接触に応答する接触センサを備えた封止部分を有するマスク部分、およびフィードバッグを提供するようセンサと連絡状態にある表示器を有する。別の実施形態では、薬剤投与システムは、フローチャネルを画定するハウジングおよびフローチャネル内に設けられていて、流れに応答して第1の形態と第2の形態との間で動くことができる弁を含み、この弁は、電気活性ポリマーから成り、この弁は、電気的刺激に応答して第1の抵抗状態と第2の抵抗状態との間で再構成される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投薬システムであって、
入力端部および出力端部を備えた保持チャンバを含み、前記保持チャンバは、
前記保持チャンバと関連した定量式吸入器の作動を検出できる作動検出器と、
前記保持チャンバを通る吸息流を検出できる流量検出器と、
投与情報をユーザに提供できるフィードバック装置とを有する、投薬システム。
【請求項2】
前記保持チャンバと関連した定量式吸入器の形式を識別できる定量式吸入器識別装置を更に含む、請求項1記載の投薬システム。
【請求項3】
吸息を開始させることができる信号を前記ユーザに送ることができるよう働く吸息信号を更に含む、請求項1または2記載の投薬システム。
【請求項4】
前記作動検出器と前記吸息信号との間のインターフェースとなりかつ前記吸息信号を開始させることができるタイマを更に含む、請求項1~3のうちいずれか一に記載の投薬システム。
【請求項5】
前記作動検出器と前記流量検出器との間のインターフェースとなるタイマを更に含む、請求項1~4のうちいずれか一に記載の投薬システム。
【請求項6】
前記ユーザの息こらえ持続時間を測定することができるタイマを更に含む、請求項1~5のうちいずれか一に記載の投薬システム。
【請求項7】
前記保持チャンバは、前記入力端部に解除可能に結合されるエンドピースを有し、前記エンドピースは、前記フィードバック装置を有する、請求項1~6のうちいずれか一に記載の投薬システム。
【請求項8】
前記保持チャンバは、前記保持チャンバの本体部分に解除可能に結合されたスリーブを有し、前記スリーブは、前記フィードバック装置を有する、請求項1~7のうちいずれか一に記載の投薬システム。
【請求項9】
前記保持チャンバは、前記保持チャンバの前記入力端部内への前記定量式吸入器の挿入を検出することができる定量式吸入器挿入検出器を有する、請求項1~8のうちいずれか一に記載の投薬システム。
【請求項10】
前記ユーザの息こらえの持続時間を求めることができる息こらえ検出器を更に含む、請求項1~9のうちいずれか一に記載の投薬システム。
【請求項11】
前記息こらえ検出器は、二酸化炭素検出器、圧力センサ、マイクロホン、湿度センサ、温度センサ、および/または光カーテンのうちの1つまたは2つ以上を含む、請求項10記載の投薬システム。
【請求項12】
前記ユーザの処置の終わりを検出することができる処置の終わり検出器を更に含む、請求項1~11のうちいずれか一に記載の投薬システム。
【請求項13】
最大流量超過フィードバック装置を更に含む、請求項1~12のうちいずれか一に記載の投薬システム。
【請求項14】
投薬システムであって、
入力端部および出力端部を備えた保持チャンバと、
前記保持チャンバの前記入力端部に作動可能に結合された定量式吸入器と、
前記保持チャンバと関連していて前記保持チャンバに結合された前記定量式吸入器を識別することができる定量式吸入器識別装置とを含む、投薬システム。
【請求項15】
前記定量式吸入器識別装置は、前記定量式吸入器および/または前記定量式吸入器から放出されたエーロゾルプルームからの色情報を集めることができる色検出装置を含む、請求項14記載の投薬システム。
【請求項16】
前記定量式吸入器識別装置は、前記定量式吸入器のマウスピースの形状または長さに関する情報を集めることができるマウスピース検出装置を含む、請求項14記載の投薬システム。
【請求項17】
前記定量式吸入器識別装置は、画像プロセッサおよび/またはRFIDリーダを含み、前記定量式吸入器は、ラベルを有する、請求項14記載の投薬システム。
【請求項18】
前記定量式吸入器識別装置は、前記定量式吸入器から放出されたエーロゾルプルームの音、温度、色、赤外線および/または紫外線分光法測定結果、キャパシタンスおよび/または流量のうちの1つまたは2つ以上を分析する、請求項14記載の投薬システム。
【請求項19】
前記定量式吸入器識別装置は、MDI(定量式吸入器)作動のところの力を記録することができる力覚抵抗器を含む、請求項14記載の投薬システム。
【請求項20】
前記定量式吸入器識別装置は、赤外線エミッタおよび検出器を含む、請求項14記載の投薬システム。
【請求項21】
投薬システムであって、
入力端部および出力端部を備えた投薬装置を含み、
前記出力端部に結合されたマスクを含み、前記マスクは、長手方向軸線に沿ってユーザの顔面との係合位置まで動くことができ、
前記マスクと前記投薬装置の前記入力端部との間に設けられた力センサを含み、前記力センサは、前記投薬装置によって前記長手方向軸線に沿って前記マスクに加えられている力に応答し、
前記マスクに加えられている力の大きさに関するフィードバックを前記ユーザに提供する表示器を含む、投薬システム。
【請求項22】
前記投薬装置は、前記入力端部を備えた本体部分と、前記本体部分に結合されるとともに前記出力端部を備えた弁組立体を有し、前記マスクは、前記弁組立体に結合される、請求項21記載の投薬システム。
【請求項23】
前記力センサは、前記マスクと前記弁組立体との間に設けられている、請求項22記載の投薬システム。
【請求項24】
前記力センサは、前記弁組立体と前記本体部分との間に設けられている、請求項22記載の投薬システム。
【請求項25】
前記表示器は、視覚表示器から成る、請求項21記載の投薬システム。
【請求項26】
前記表示器は、聴覚表示器から成る、請求項21記載の投薬システム。
【請求項27】
前記表示器は、振動表示器から成る、請求項21記載の投薬システム。
【請求項28】
ユーザに薬物を投与するユーザインターフェースであって、前記ユーザインターフェースは、
投薬装置に結合されるようになった入力端部を含み、
前記入力端部に接続されていて前記ユーザの顔面に係合するようになった密封部分を備えるマスク部分を含み、
前記密封部分に結合された接触センサを含み、前記接触センサは、前記密封縁部となす接触に応答し、
前記センサと連絡状態にありかつ前記密封縁部となす前記接触に関するフィードバックを前記ユーザに提供するようになった表示器を含む、ユーザインターフェース。
【請求項29】
前記密封部分内に埋め込まれた複数のセンサを含む、請求項28記載のユーザインターフェース。
【請求項30】
前記表示器は、視覚表示器から成る、請求項29記載のユーザインターフェース。
【請求項31】
前記視覚表示器は、前記複数のセンサとそれぞれ関連した複数の灯を有する、請求項30記載のユーザインターフェース。
【請求項32】
前記複数のセンサは、前記密封縁部の長さに沿って互いに間隔を置いて配置されている、請求項30記載のユーザインターフェース。
【請求項33】
前記接触センサは、前記密封縁部に沿ってぐるりと延びる連続ストリップを含む、請求項28記載のユーザインターフェース。
【請求項34】
投薬装置の使用方法であって、
力をマスクに加えるステップと、
ユーザの顔面を前記マスクの密封縁部に係合させるステップと、
前記マスクに加えられている前記力および/または接触を検出するステップと、
加えられている前記力および/または接触に関するフィードバックを表示器により前記ユーザに提供するステップと、
前記マスクに加えられている前記力および/または接触を調節するステップとを含む、方法。
【請求項35】
前記マスクは、投薬装置の出力部分に結合され、前記力を前記マスクに加える前記ステップは、力を前記投薬装置に加えるステップを含み、前記力を検出する前記ステップは、前記マスクと前記投薬装置の前記入力部分との間に設けられたセンサで前記力を検出するステップを含む、請求項34記載の方法。
【請求項36】
フィードバックを前記ユーザに提供する前記ステップは、表示器を作動させるステップを含む、請求項34記載の方法。
【請求項37】
前記投薬装置は、前記入力部分を備えた本体部分および前記本体部分に結合されていて前記出力部分を備えた弁組立体を有し、前記マスクは、前記弁組立体に結合される、請求項35記載の方法。
【請求項38】
前記センサは、前記マスクと前記弁組立体との間に設けられる、請求項37記載の方法。
【請求項39】
前記センサは、前記弁組立体と前記本体部分との間に設けられる、請求項37記載の方法。
【請求項40】
前記表示器を作動させる前記ステップは、灯を照明するステップを含む、請求項36記載の方法。
【請求項41】
前記表示器を作動させる前記ステップは、音を立てるステップを含む、請求項36記載の方法。
【請求項42】
前記表示器を作動させる前記ステップは、前記投薬装置の少なくとも一部分を振動させるステップを含む、請求項36記載の方法。
【請求項43】
前記マスクに加えられている前記力および/または接触を検出する前記ステップは、前記密封部分に結合されたセンサで前記接触を検出するステップを含む、請求項34記載の方法。
【請求項44】
複数のセンサが前記密封部分内に埋め込まれている、請求項43記載の方法。
【請求項45】
フィードバックを前記ユーザに提供する前記ステップは、前記複数のセンサとそれぞれ関連した複数の灯を照明するステップを含む、請求項44記載の方法。
【請求項46】
前記複数のセンサが前記密封縁部の長さに沿って互いに間隔を置いて設けられている、請求項45記載の方法。
【請求項47】
前記センサは、前記密封縁部に沿ってぐるりと延びる連続ストリップを含む、請求項43記載の方法。
【請求項48】
投薬システムであって、
フローチャネルを画定するハウジングと、
前記フローチャネル内に設けられた弁とを含み、前記弁は、前記フローチャネルを通る流れに応答して第1の形態と第2の形態との間で動くことができ、前記弁は、刺激に応答して第1の状態と第2の状態との間で再構成可能であり、前記弁は、前記弁が前記第1の状態にあるときに前記第1の形態と前記第2の形態との間における動きに対して第1の抵抗を有し、前記弁は、前記弁が前記第2の状態にあるときに前記第1の形態と前記第2の形態との間における動きに対して第2の抵抗を有し、前記第1の抵抗は、前記第2の抵抗よりも大きい、投薬システム。
【請求項49】
前記第1および前記第2の形態は、それぞれ、閉鎖および開放形態から成る、請求項48記載の投薬システム。
【請求項50】
前記第1および前記第2の状態は、第1および第2のスチフネスである、請求項48記載の投薬システム。
【請求項51】
前記刺激は、電気的刺激であり、前記投薬システムは、前記電気的刺激を加えるようになったアクチュエータを更に含む、請求項48記載の投薬システム。
【請求項52】
前記弁は、電気活性ポリマーから成る、請求項51記載の投薬システム。
【請求項53】
前記弁は、中央開口部を備えた環状ドーナツ形弁から成り、前記弁は、複数の埋め込み型電気活性ポリマーストリップを備えている、請求項52記載の投薬システム。
【請求項54】
前記弁は、互いに反対側に位置するフラップを備えたカモノハシ形弁から成り、前記フラップのうちの少なくとも一方は、埋め込み状態の電気活性ポリマー部分を備えている、請求項52記載の投薬システム。
【請求項55】
投薬システムの使用方法であって、
ハウジングのフローチャネルを通る流れを生じさせるステップと、
第1の状態に構成されるとともに前記フローティングチャネル内に設けられた弁を、前記フローチャネルを通る前記流れに応答して第1の形態と第2の形態との間で動かすステップと、
刺激を前記弁に加えるステップと、
前記弁を前記刺激に応答して前記第1の状態から第2の状態に再構成するステップと、
前記第2の状態にある前記弁により前記フローチャネルを通る前記流れを絞るステップとを含む、方法。
【請求項56】
前記第1および前記第2の形態は、それぞれ、閉鎖および開放形態から成る、請求項55記載の方法。
【請求項57】
前記第1および前記第2の状態は、第1および第2のスチフネスである、請求項55記載の方法。
【請求項58】
刺激を加える前記ステップは、電気的刺激をアクチュエータで加えるステップを含む、請求項55記載の方法。
【請求項59】
前記弁は、電気活性ポリマーから成る、請求項58記載の方法。
【請求項60】
前記弁は、中央開口部を備えた環状ドーナツ形弁から成り、前記弁は、複数の埋め込み状態の電気活性ポリマーストリップを備えている、請求項59記載の方法。
【請求項61】
前記弁は、互いに反対側に位置するフラップを備えたカモノハシ形弁から成り、前記フラップのうちの少なくとも一方は、埋め込み状態の電気活性ポリマー部分を備えている、請求項59記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、定量式吸入器または計量投与型吸入器(MDI)および弁付き保持チャンバ(VHC)に肺エーロゾル薬剤送り込みの分野で用いられる装置およびシステム、特に薬物療法に対する患者の遵守を向上させるとともに適正な吸息技術および治療または処置の終わりに関するフィードバックをユーザ、処方者または支払人に提供する装置およびシステムに関する。
【0002】
〔関連出願の参照〕
本願は、2016年5月19日に出願された米国特許仮出願第62/338,798号および2016年7月25日に出願された米国特許仮出願第62/366,327号の権益主張出願であり、これら米国特許仮出願を参照により引用し、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
VHCおよびMDIシステムは、典型的には、例えば喘息、COPDおよび嚢胞性線維症のような病態を治療するために用いられる。かかる病態の治療を受けている患者は、投薬または治療方式に対する遵守性が貧弱であり、不適切な器具技術を実践するとともに/あるいは投与量の確実さに関するフィードバックを受け取り損なっている場合がある。このような種類の問題は、医療システムについて追加の費用負担を生じさせる場合があり、患者に関する成果が最適であるとは言えない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
投薬コンプライアンスは、モニタするのが困難な場合が多く、ただし、この情報は、保健医療提供者にとって極めて重要である。現在、VHCの患者の使用を積極的にモニタする手法はなく、最近におけるスマート型吸入器の出現にもかかわらず、大抵のMDIは、これらが独立して薬物使用をモニタして情報のやりとりをすることができない。したがって、薬物使用量をモニタすることができるとともにユーザおよび保健医療提供者へのフィードバックをもたらすことができるVHCに対する要望が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
VHC中へのMDIの挿入時、システムは、VHC内に挿入されているMDIを識別する。ユーザが試しに呼吸を行うと、システムは、流量をモニタし、ユーザが速すぎること呼吸を行っているかどうかまたはユーザの息こらえが適切であるかどうかを含むこれらの技術に関するフィードバックをユーザに提供する。この試し段階の間、システムは、ユーザにMDIを作動するのにユーザの呼吸サイクルにおける最も適切な時間を知らせることができる。
【0006】
MDIがいったん作動されると、システムは、作動を検出するとともに記録し、そして作動と最初の吸息流との間の持続時間を検出するとともに記録する。この情報は、現在の治療または処置に続くかつ/あるいは次の治療または処置の開始時における協調フィードバックを提供するために用いられる。吸息の終わりに、第2のタイマが始動するのが良く、この第2のタイマは、ユーザの息こらえ持続時間を測定する。この情報は、次の息こらえ前または次の治療前に別のフィードバックを提供するために用いられるのが良い。
【0007】
MDI作動に続き、システムは、ユーザが自分の薬物全投与量を受け取った時期を決定することができる。これは、流量を測定して送り出された全体積について積分することによりまたは別の手段によって達成できる。処置の終わりに、ユーザに知らされ、システムは、デフォルトにより、MDIの第2の作動を待つ。作動なしであまりに長い時間が経過した場合、システムは、オフに切り替わる。加えて、ユーザがMDIを取り出した場合、プログラムは、一実施形態では終了する。
【0008】
種々の方法を用いると情報を中継してフィードバックをユーザに提供することができる。LED、LEDボード、7区分ディスプレイ、LCDおよび/またはOLEDスクリーンが視覚フィードバックを提供するために用いられるのが良い。音響フィードバックもまた使用でき、ユーザの判断で音をミュートするオプションが採用される。触覚フィードバックもまた使用でき、例えば、VHCは、過剰の流量が引かれたときに振動する。例えばアプリケーションプログラムまたはウェブサイトを用いて情報をスクリーン上に、またはモバイル装置、遠隔コンピュータ、または他のユーザインターフェース上に表示できる。
【0009】
種々のシステムおよび装置は、患者遵守度を向上させ、装置技術を向上させるとともに投与量の確実さを提供する。これらの観点は、適切な遵守性を保証することによって医療システムおよび提供者(支払人)にとっての費用を減少させるのに役立つ。この場合、加えて、遵守性および使用量について信頼性のある情報を有する医療提供者(処方者)は、患者特有のデータを利用して治療プロトコルおよび変更に関する詳細な説明を受けた上での決断をすることができる。患者は、治療から最大の利益を受ける一方で、さらに自己負担費が減少する。
【0010】
上述の段落は、概要的導入のために提供されており、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を限定するものではない。種々の好ましい実施形態は、別の利点と一緒になって、添付の図面を参照して行われる以下の詳細な説明を参照することによって最も良く理解されよう。
【0011】
図は、投薬システム、ブロック/流れ図および使用方法およびその組み立て方法の種々の実施形態を示している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】患者遵守性、治療または処置プロトコルおよび支払人対話のためのフィードバックループを示す流れ図である。
図2】スマートVHC装置のための使用およびフィードバックループを示す流れ図である。
図3】スマートVHCの一実施形態の側面図である。
図4】スマートVHCの別の実施形態の側面図である。
図5A】薬物容器の実際の画像を示す図である。
図5B】薬物容器のグレースケール画像を示す図である。
図6図5Aに示された薬物容器の適切な識別を示す画像図である。
図7】スマートVHCの種々の変形実施形態の側面図である。
図8】MDI作動のための光検出器出力と時間の関係を表わすグラフ図である。
図9】スマートVHCの別の実施形態の側面図である。
図10】種々の形態のMDIに関する出力と流量の関係を表わすグラフ図である。
図11】MDIの使用に関連した種々の入力/出力の略図である。
図12】MDI使用法およびフィードバックループを示す流れ図である。
図13】スマートVHCの別の実施形態の側面図である。
図14】スマートVHCの別の実施形態の端面図である。
図15】弁開きと流量との相関関係を示すグラフ図である。
図16】種々のコントローラ入力を示す略図である。
図17】MDI使用法およびフィードバックループを示す流れ図である。
図18】スマートVHCの別の実施形態の側面図である。
図19】スマートVHCの別の実施形態の部分側面図である。
図20】MDI作動に関する圧力センサ出力と時間の関係を表わすグラフ図である。
図21】MDI作動および吸息中における圧力変化と時間の変化を表わすグラフ図である。
図22】種々のコントローラ入力を示す略図である。
図23】MDI使用法およびフィードバックループを示す流れ図である。
図24】スマートVHCの別の実施形態の側面図である。
図25】音を介するMDI認識を示す略図である。
図26】種々の流量での振幅と時間の関係を示すグラフ図である。
図27】種々のコントローラ入力を示す略図である。
図28】MDI使用法およびフィードバックループを示す流れ図である。
図29】投薬システムの一実施形態の使用を示す側面図である。
図30】接触センサを備えたマスクの変形実施形態の斜視図である。
図31】マスクの略図でありかつマスク密封縁部の一部分の拡大断面図である。
図32】コントローラのための入力/出力を示す略図である。
図33】マスクの使用を示す流れ図である。
図34】アクティブな弁の使用を示す流れ図である。
図35】投薬システムのフローチャネル内に設けられたアクティブな弁の一実施形態の断面図である。
図36図35に示された弁の一実施形態の端面図である。
図37】アクティブな弁を備えたまたは備えていない吸息および呼息サイクルを示す流量と時間の関係を表わすグラフ図である。
図38】スマートVHCの変形実施形態の側面図である。
図39】種々のMDI製品に関する熱電対からの距離の関数としての最小プルーム温度を示す図である。
図40】VHCの一実施形態に利用されたMDIの部分断面側面図である。
図41】VHCの別の実施形態に利用されたMDIの部分断面側面図である。
図42】例示のMDI作動に関する力と変位の関係を表わすグラフ図である。
図43】VHCのバックピースの一実施形態の端面図である。
図44図43に示されたバックピースの側面図である。
図45A】スマートVHCに対する作動位置におけるMDIの部分断面側面図である。
図45B】スマートVHCに対する非作動位置におけるMDIの部分断面側面図である。
図46】スマートMDIの一実施形態の部分断面図である。
図47】スマートMDIの一実施形態の一実施形態の部分断面図である。
図48】スマートMDIの一実施形態の部分断面図である。
図49】スマートMDIの一実施形態の側面図である。
図50図49に示されたスマートMDIの拡大部分図である。
図51A】変形実施形態としてのVHCの側面図である。
図51B】変形実施形態としてのVHCの別の側面図である。
図51C】変形実施形態としてのVHCの別の側面図である。
図52】VHCの一実施形態の部分断面側面図である。
図53】VHCの一実施形態の部分断面側面図である。
図54】VHCの一実施形態の部分断面側面図である。
図55】種々のMDI装置の圧力と流量の関係を表わすグラフ図である。
図56】VHCの一実施形態の側面図である。
図57図56に示されたVHCの拡大部分側面図である。
図58】VHCの一実施形態の側面図である。
図59A】振動ビームを備えたカモノハシ形弁の図である。
図59B】振動ビームを備えたカモノハシ形弁の別の図である。
図59C】振動ビームを備えたカモノハシ形弁の別の図である。
図60】流量センサ組立体の一実施形態の部分断面側面図である。
図61】流量センサ組立体の一実施形態の部分断面側面図である。
図62】流量センサ組立体の一実施形態の部分断面側面図である。
図63】VHCの一実施形態の側面図である。
図64】VHCの別の実施形態の側面図である。
図65】VHCの別の実施形態の側面図である。
図66A】ユーザ標識を備えた一グラフィカルディスプレイを示す図である。
図66B】ユーザ標識を備えた別のグラフィカルディスプレイを示す図である。
図66C】ユーザ標識を備えた別のグラフィカルディスプレイを示す図である。
図67】スマートVHCとユーザインターフェースとの通信状態を示す絵画図である。
図68】VHC中に挿入されたMDIの部分断面側面図である。
図69】部分挿入位置および完全挿入位置におけるVHCの部分断面側面図である。
図70】VHCの一実施形態の端面図である。
図71】VHCの別の実施形態の端面図である。
図72】VHCの別の実施形態の端面図である。
図73】VHCの別の実施形態の端面図である。
図74】VHCの別の実施形態の端面図である。
図75】VHC内の回路経路を閉鎖するための導電性物質を備えたMDIを示す図である。
図76】MDIおよびVHCの側面図である。
図77】MDIまたはVHCのディスプレイの図である。
図78】スマートVHCの一実施形態の側面図である。
図79】ディスプレイを有するアダプタを備えた弁保持チャンバの斜視図である。
図80図79に示されたアダプタの斜視図である。
図81】ディスプレイを有するバックピースを備えた弁保持チャンバの斜視図である。
図82図81に示されたバックピースの斜視図である。
図83】コンピュータ構造体を示す略図である。
図84】通信システムの略図である。
図85】スマートVHCおよびMDIの使用プロトコルを示す流れ図である。
図86】スマートVHCおよびMDIの図である。
図87】アクティブな弁の一実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書で用いられる「複数」という用語は、2以上を意味することは理解されるべきである。「結合され」という用語は、例えば介在する部材に直接的であるにせよ間接的であるにせよいずれにせよ介在する部材に連結されまたは係合した状態を意味し、かかる用語は、固定されまたは永続的であるような係合を必要とせず、ただし、これが固定されまたは永続的(または一体型)であっても良く、これは、機械的連結と電気的接続の両方を含む。本明細書で用いられる「第1の」、「第2の」などの用語は、このように指示された特定のコンポーネントに割り当てられていることが意味されておらず、むしろ指定された番号順でかかるコンポーネントを単に指しており、これは、「第1の」と指示されたコンポーネントがこれを言及している順序に応じて、後で「第2の」かかるコンポーネントである場合があることを意味している。また、「第1の」および「第2の」という指示は、このように指示された2つのコンポーネントまたは値が互いに異なることを必ずしも意味しておらず、これは、例えば、第1のコンポーネントが第2のコンポーネントと同一である場合があることを意味し、各々単に、別個であるが同一のコンポーネントに利用できる。
【0014】
伝統的な患者/処方者/支払人モデルでは、患者にはある治療法が処方され、この患者は薬物および/または治療器具を購入する。購入が支払人によってまかなわれた場合、典型的には、治療は正確にかつ処方されているように追加の治療法の将来の要求は別として実施されたという支払人へのフィードバックが存在しない。患者は、典型的には、処方者による医療器具の使用時に訓練を受け、次に自分の毎日の生活においてこの器具を使用するよう要求される。ある時点で、患者は、病態の変化、再処方のためにまたは恐らくは設定された頻度で処方者に従う場合がある。かかる時点では、処方者は、治療の有効性を評価して治療を変更しまたは続行するよう決断する。処方者が治療を変更するよう決断した場合、新たな処方が与えられ、サイクルが繰り返される。費用の追跡および診断の向上をもたらすことができる治療方針に対する遵守性を向上させる際に直面する技術的課題のうちの幾つかは、互いに異なる治療器具の機能および器具の使用法、次にユーザおよび/または処方者に効果的なリアルタイムフィードバックをどのように提供するか、およびある特定の場合におけるユーザの器具および器具の性能および/またはある特定の場合におけるユーザの挙動/技術のリアルタイム変更をどのように行うかを効果的にモニタする能力における課題を含む。
【0015】
図1および図2を参照すると、種々のスマート器具およびこれと関連したフィードバックが治療の有効性を向上させるよう導入されるのが良い。加えて、処方者には治療に関する詳細な説明を受けた上での決断を行うよう患者特有のデータが提供され、かかる情報としては、その薬物が含まれ、支払人には、患者が別の処方の費用をまかなう前に治療方式を遵守したという保証が提供される。
【0016】
図3を参照すると、スマートVHCの例示の一実施形態が長手方向軸線/吸息流路6に沿って延びる内部空間4を画定した壁を有するチャンバハウジング2、チャンバハウジングの入力端部10に結合されたバックピース8およびチャンバハウジングの出力端部14に結合されたマウスピースおよび/または弁組立体12を含む。マウスピース組立体は、例えばタブが溝内に受け入れられた状態でチャンバハウジングに解除可能かつ取り外し可能に結合されるのが良い。マウスピースは、吸息弁16および/または呼息弁18を備え、かかる呼息弁は、呼息流路13を提供する。吸息および呼息弁は、変形例として、VHCの他のコンポーネント上に設けられても良い。種々の実施形態では、弁は、環状ドーナツ形弁の一部として構成され、かかる環状ドーナツ形弁は、吸息弁16を構成する内側周囲および呼息弁18を構成する外側周囲を有する。他の実施形態では、吸息弁は、カモノハシ形弁として構成され、このカモノハシ形弁は、呼息弁を構成する外側環状フランジを更に有するのが良い。他の実施形態では、吸息および呼息弁は、一体型でなくても良く、これとは異なり、VHC内に別々に形成されてVHC内に配置される。バックピース8は、開口部20を備え、この開口部は、MDI作動ブーツ24のマウスピース部分22を受け入れるよう形作られている。ブーツは、薬物容器28を受け入れるよう形作られたキャビティを備える煙突状部分26を更に有する。ブーツは、MDIの弁ステム(弁棒)を受け入れるよう形作られたウェルを備える支持ブロックを更に有する。ウェルは、エーロゾル化された薬物をチャンバハウジングの内部空間中に放出するオリフィスと連通している。マウスピース組立体、チャンバハウジングおよびバックピースを含むVHCおよびMDIの種々の実施形態が例えば米国特許第6,557,549号明細書、同第7,201,165号明細書、同第7,360,537号明細書、および同第8,550,067号明細書に開示されているが、これらには限定されず、なお、これら米国特許は全て、本出願人の譲受人であるトゥルーデル・メディカル・インターナショナル(Trudell Medical International)に譲渡されており、上記特許を参照により引用し、これらの開示内容全体を本明細書の一部とする。
【0017】
一実施形態では、VHC3は、VHC中に挿入されているMDIを正確に識別し、MDI5が作動された時点を正確に識別し、そして例えば図12に示されているように適正な技術をモニタしてこの適正な技術に関するフィードバックをユーザに提供するよう構成されている。例えば、図3および図7を参照すると、VHCは、内部空間4内のチャンバハウジングの壁に結合された青色LED30およびLED30から見て間隔を置いた場所で内部空間4内に設けられた光検出器32を有するのが良い。光検出器32は、例えば壁に結合されるのが良い。カメラ35が例えばマウスピース組立体12に隣接してまたはバックピース8の近くで保持チャンバ2に結合されるのが良い。流量検出器、例えば流量センサ34がチャンバハウジングの壁に結合され、この流量センサは、内部空間と連通した入口ポート36および出口ポート38を有する。フィードバック装置、例えば視覚フィードバック表示器40、例えばLEDまたはLEDのアレイがバックピース8上に設けられており、ただしこれは、チャンバハウジングまたはマウスピース組立体に結合されても良い。
【0018】
図79および図80に示されているように、アダプタ50が例えばスナップ嵌めによりチャンバハウジング2に係合するよう形作られたC字形内部52を有するシェルを含む。アダプタは、ユーザに見えるディスプレイ54として構成されたフィードバック装置を有し、かかるアダプタは、マイクロコントローラ56および通信コンポーネントを含むのが良い。図81および図82に示されているように、バックピースは、ディスプレイ54および/またはマイクロコントローラ56を含む。各実施形態におけるディスプレイ54は、種々の情報、例えば本明細書において開示した種々のフィードバック情報をユーザおよび/または介護士に表示する。種々の実施形態では、マイクロコントローラ56は、図16に示されているコントローラの構成として、図22または図27のマイクロコントローラ構成としてまたは図83に示されているようにより完全なコンピュータ500の1つまたは2つ以上のコンポーネントを備えたプロセッサ502として具体化されるのが良い。
【0019】
通信およびデータ処理
これらの課題を満足させようとして、装置、例えばMDIと関連したVHCは、以下の内容、すなわち、(1)VHCとともに用いられているMDIを正確に識別すること、(2)MDIを作動された時点を正確に識別すること、(3)適正な技術をモニタしてこの適正な技術に関するフィードバックをユーザに提供すること、および(4)患者に特有のデータを処方者および/または提供者に提供することのうちの1つまたは2つ以上を行うよう構成されているのが良い。図2図16図65図66A図66C図67図83、および図84を参照すると、これらの実施形態の一観点は、データの取り扱いに関する。VHCおよび/またはMDIによってログ記録されたデータを外部装置、例えばスマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータなどに伝送するのが良い。かかる外部装置が利用できない場合、データをVHCおよび/またはMDI内の内部でデータ格納モジュールまたは他の記憶装置内に記憶するのが良く、そしてVHC/MDIと外部装置との次の同期化の際に伝送するのが良い。ソフトウェアは、データ伝送および分析を実行するためにVHC/MDIに伴うのが良い。
【0020】
スマートVHCおよび/またはMDI内で生じた例えば1つまたは2つ以上の種々のセンサからのデータの迅速かつ正確な処理を可能にするため、データは、スマートフォン、ローカルコンピュータ計算装置および/または遠隔コンピュータ計算装置にワイヤレス通信されるのが良く、それにより生のセンサデータを解釈してこれに作用するのが良い。
【0021】
一実施形態では、スマートVHCおよび/またはMDIは、生のセンサデータをリアルタイムでローカル装置、例えばスマートフォンに伝送する回路を含む。スマートフォンは、グラフィックスまたは命令をユーザに表示するのが良く、そして処理ソフトウェアを実行して生データを解釈してこれに作用するのが良い。スマートフォンは、生センサデータをフィルタリングして処理し、そして生センサデータ中に含まれている関連状態情報をスマートフォン上のディスプレイに出力するソフトウェアを含むのが良い。スマートフォンまたは他のローカルコンピュータ計算装置は、変形例として、そのローカルリソースを用いてリモートデータベースまたはサーバに接触して処理命令を検索しまたは遠隔処理または解釈のために生センサデータを回送し、そしてユーザまたはスマートVHCのユーザとともにいる介護者への表示のために遠隔サーバから戻る処理済みかつ解釈済みのセンサデータを受け取っても良い。
【0022】
スマートフォンまたはスマートVHCおよび/またはMDIの近くに位置する他のローカルコンピュータのディスプレイ上にデータ、統計値または命令を単に提供することに加えて、スマートVHCおよび/またはMDIに関する事前対応操作をアクティブに管理して制御するのが良い。例えば、スマートフォンまたはスマートVHDおよび/またはMDIの近くに位置する他のローカルコンピュータによりセンサデータが処置の終わりに達したことを指示していることが判定された場合、または別の治療を必要としていることが判定された場合、スマートフォンまたは他のローカルコンピュータ計算装置は、かかる情報を患者に直接伝えることができる。他の変形例もまた想定され、例えば、スマートフォンと通信状態にありまたは通信ネットワークを介してスマートVHCおよび/またはMDIと直接的な通信状態にある遠隔サーバは、情報および命令を患者/ユーザに与えることができる。
【0023】
さらに別の実施形態では、スマートVHCおよび/またはMDIで集められてスマートフォンを介して遠隔サーバに中継されるリアルタイムデータは、遠隔サーバをトリガして遠隔サーバが特定のユーザについての過去の治療セッションに基づき経時的に開発された特定の治療セッションまたはパターンに関する問題に関して医師または管理介護士を突き止めて通知するのが良い。スマートVHCおよび/またはMDIにおける1つまたは2つ以上のセンサからのデータに基づいて、遠隔サーバは、警告を出してテキスト、Eメール、または他の電子通信媒体を介してユーザ、ユーザの医師または他の介護士に送る。
【0024】
スマートVHCおよび/またはMDI内の電子回路(例えば、図16のコントローラ構成)、上述のローカルコンピュータ計算装置および/または遠隔サーバは、ネットワーク526とかつ/または他のコンピュータと直接通信状態にあるコンピュータ500の機能のうちの幾つかまたは全てを含むのが良い。図65図66A図66C図67図76図77図83および図84に示されているように、コンピュータ500は、プロセッサ502、記憶装置516、ディスプレイまたは他の出力装置510、入力装置512、およびネットワークインターフェース装置520を有するのが良く、これらは全て、バス508を介して互いに接続されている。バッテリ503がコンピュータに結合されていてコンピュータに電力供給する。コンピュータは、ネットワークと通信することができる。プロセッサ502は、任意形式のアーキテクチャ、例えばCISC(Complex Instruction Set Computing:複数命令セットコンピュータ計算)、RISC(Reduced Instruction Set Computing:縮小命令セットコンピュータ計算)、VLIW(Very Long Instruction Word:超長命令語)またはハイブリッドアーキテクチャの中央処理装置を表わし、ただし、任意の適当なプロセッサを用いることができる。プロセッサ502は、命令を実行し、このプロセッサは、コンピュータ全体の演算を制御するコンピュータ500の部分を含む。図83および図84には示されていないが、プロセッサ502は、代表的には記憶装置内のデータおよびプログラム記憶領域を組織化してデータおよび他の情報をコンピュータ500の種々の部分相互間で伝送する制御ユニットを含む。プロセッサ502は、入力装置512から入力データを受け取り、ネットワーク526は、主記憶装置504、例えばランダムアクセス記憶装置(RAM)、静止記憶装置506、例えば読み取り専用記憶装置(ROM)、および記憶装置516内の命令(例えば、プロセッサ実行可能コード)524およびデータを読み取ってこれらを記憶する。プロセッサ502は、出力装置510によりデータをユーザに提供することができる。
【0025】
コンピュータ500は、単一のプロセッサ502および単一のバス508しか含まないものとして示されているが、開示した実施形態は、多数のプロセッサを有する場合のあるコンピュータおよび何割かまたは全てが互いに異なる機能を互いに異なる仕方で実行する多数のバスを有することができるコンピュータに同様に当てはまる。
【0026】
記憶装置516は、データを記憶する1つまたは2つ以上の機構を表わしている。例えば、記憶装置516は、コンピュータ可読媒体522、例えば読み取り専用記憶装置(ROM)、RAM、不揮発性記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリ素子、および/または他の機械可読媒体を有するのが良い。他の実施形態では、任意適当な形式の記憶装置を用いることができる。記憶装置516が1つしか示されていないが、多数の記憶装置および多数の形式の記憶装置が存在していても良い。さらに、コンピュータ500が記憶装置516を有するものとして描かれているが、コンピュータ500は、例えばサーバ上で他のコンピュータにわたって分布して配置されていても良い。
【0027】
記憶装置516は、コントローラ(図示せず)およびセンサデータの処理と関連して上述した機能を実行するようプロセッサ502上で実行可能であり、センサデータまたはセンサデータに基づいた命令を表示し、スマートVHCおよび/またはMDIの観点を制御してその動作を変更しあるいは第三者または他の遠隔に配置されたリソースに接触してアップデート情報をこれらの遠隔に配置されたリソースに提供しまたはかかる遠隔に配置されたリソースからデータを取り出すことができる命令524を含むコンピュータ可読媒体522を有するのが良い。別の実施形態では、機能のうちの幾つかまたは全ては、プロセッサ利用システムに代えてハードウェアにより実施される。一実施形態では、コントローラは、ウェブブラウザであるが、他の実施形態では、コントローラは、データベースシステム、ファイルシステム、電子メールシステム、メディアマネージャ、イメージマネジャであっても良く、あるいはデータアイテムにアクセスすることができる任意他の機能を有しても良い。記憶装置516は、本発明を理解する上では必要ではない追加のソフトウェアおよびデータ(図示せず)を更に有することができる。
【0028】
出力装置510は、出力をユーザに表示するコンピュータ500の部分である。出力装置510は、コンピュータハードウェア分野において周知である液晶ディスプレイ(LCD)であるのが良い。他の実施形態では、出力装置510に代えて気体またはプラズマ利用フラットパネルディスプレイまたは伝統的な陰極線管(CRT)ディスプレイを用いても良い。さらに別の実施形態では、任意適当なディスプレイ装置を用いることができる。出力装置510が1つしか示されていないが、他の実施形態では、互いに異なる形式のまたは同一形式の任意個数の出力装置が存在していても良い。一実施形態では、出力装置510は、ユーザインターフェースを表示する。入力装置512は、キーボード、マウスまたは他のポインティング装置、トラックボール、タッチパッド、タッチスクリーン、キーパッド、マイクロホン、音声認識装置、またはユーザがデータをコンピュータ500に入力して上述したユーザインターフェースを操作するための任意他の適当な機構であっても良い。入力装置512が1つしか示されていないが、別の実施形態では、任意個数および任意形式の入力装置が存在していても良い。
【0029】
ネットワークインターフェース装置520は、任意適当な通信プロトコルを介してコンピュータ500からネットワーク526への接続性を提供する。ネットワークインターフェース装置520は、データ項目をワイヤレスまたはワイヤードトランシーバ514によりデータ項目をネットワーク526に送ったりデータ項目から受け取ったりする。トランシーバ514は、ネットワーク526または図83および図84の例示のコンピュータの特徴のうちの幾つかまたは全てを有する他のスマート装置102と通信することができるセルラー周波数、無線周波数(RF)、赤外線(IR)または多くの公知のワイヤレスもしくはワイヤード伝送システムのうちの任意のものであって良い。バス508は、1つまたは2つ以上のバス、例えば、USB、PCI、ISA(工業規格アーキテクチャ)、X‐Bus、EISA(Extended Industry Standard Architecture:拡張工業規格アーキテクチャ)、または任意他の適当なバスおよび/またはブリッジ(バスコントローラとも呼ばれる)を表わすことができる。
【0030】
コンピュータ500は、任意適当なハードウェアおよび/またはソフトウェア、例えばパーソナルコンピュータまたは他の電子コンピュータ計算装置を用いて具体化できる。コンピュータ500は、携帯型コンピュータ、ラップトップ型、タブレット型またはノートブック型コンピュータ、スマートフォン、PDA、ポケットコンピュータ、アプライアンス、電話であっても良く、メインフレームコンピュータがコンピュータ500の他の考えられる形態の例示である。ネットワーク526は、任意適当なネットワークであって良く、ネットワーク526は、コンピュータ500への通信に適した任意適当なプロトコルをサポートするのが良い。一実施形態では、ネットワーク526は、ワイヤレス通信をサポートするのが良い。別の実施形態では、ネットワーク526は、ハードワイヤード通信、例えば電話線またはケーブルをサポートするのが良い。別の実施形態では、ネットワーク526は、イーサネット(登録商標)(Ethernet)IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers:電気電子技術者協会)802.3x仕様をサポートするのが良い。別の実施形態では、ネットワーク526は、インターネット(Internet)であるのが良く、かかるネットワークは、IP(インターネットプロトコル)をサポートするのが良い。別の実施形態では、ネットワーク526は、LANまたはWANであるのが良い。別の実施形態では、ネットワーク526は、ホットスポットサービスプロバイダネットワークであるのが良い。別の実施形態では、ネットワーク526は、イントラネットであるのが良い。別の実施形態では、ネットワーク526は、GPRS(General Packet Radio Service:ジェネラル・パケット・ラジオ・サービス)ネットワークであるのが良い。別の実施形態では、ネットワーク526は、任意適当なセルラーデータネットワークまたはセル利用無線ネットワーク技術であるのが良い。別の実施形態では、ネットワーク526は、IEEE802.11ワイヤレスネットワークであるのが良い。さらに別の実施形態では、ネットワーク526は、任意適当なネットワークまたはネットワークの組み合わせであるのが良い。1つのネットワーク526が示されているが、他の実施形態では、任意の数のネットワーク(同一形式のまたは種々の形式の)が存在していても良い。
【0031】
理解されるべきこととして、本明細書において説明する種々の技術をハードウェアまたはソフトウェアもしくは該当する場合にはこれら両方の組み合わせと関連して具体化できる。かくして、本明細書において開示する本発明の方法および装置またはこれらのある特定の観点または部分は、有形媒体、例えばフロッピディスク、CD‐ROM、ハードドライブ、または任意他の機械可読記憶媒体内に埋め込まれたプログラムコード(すなわち、命令)の形態をしているのが良く、この場合、プログラムコードが機械、例えばコンピュータ中にローディングされてこれによって実行されると、機械は、本明細書において開示する本発明を実施する装置になる。プログラム可能コンピュータ上におけるプログラムコード実行の場合、コンピュータ計算装置は、一般に、プロセッサ、プロセッサによって読み取り可能な記憶媒体(揮発性および不揮発性メモリおよび/または記憶素子を含む)、少なくとも1つの入力装置、および少なくとも1つの出力装置を有する。1つまたは2つ以上のプログラムは、例えばAPI、再使用可能な制御部の使用により本明細書において開示する本発明と関連して説明するプロセスを具体化しまたは使用することができる。かかるプログラムは、コンピュータシステムと通信するよう高次元手続形またはオブジェクト指向プログラミング言語で具体化されるのが良い。しかしながら、プログラムは、所望ならばアセンブリまたは機械言語で具体化されても良い。いずれの場合においても、言語は、コンパイル済みまたは解釈済み言語であるのが良く、この言語は、ハードウェア実装と組み合わされるのが良い。例示の実施形態は、1つまたは2つ以上のスタンドアローン型コンピュータシステムとの関連で本明細書において開示する本発明の観点の使用に言及することができるが、本発明は、それには限定されず、これとは異なり、任意のコンピュータ計算環境、例えばネットワークまたは分布型コンピュータ計算環境と関連して具体化できる。さらにまた、本明細書において開示する本発明の観点は、複数の処理チップ内にまたは複数の処理チップにわたって具体化でき、記憶装置は、同様に、複数の装置にわたって広げられても良い。かかる装置は、例えばパーソナルコンピュータ、ネットワークサーバ、および手持ち型装置を含む場合がある。
【0032】
適正な技術
ユーザの吸息技術に関するフィードバックをユーザに提供することは、薬剤送達の最適化を助けるVHCの一特徴である。図3および図9に示されている一実施形態では、流量センサ34として構成された流量検出器がデータを集めて技術に関するフィードバックを提供するよう用いられる。流量センサは、ユーザが吸息している流量を測定する。速すぎるほどの吸息は、薬物の大部分を肺の中ではなくて喉の中に堆積させる場合がある。肺中への効果的な薬剤堆積は、制御された吸息により達成できる。加えて、流量は、空気吸入量を求めるために時間に関して積分されるのが良く、この流量は、ユーザがチャンバハウジングの内部空間内を空にして一回分投与量全体を受け取った時点の指標をユーザに提供するために使用されるのが良い。図3および図9に示されているように、流量センサ34は、内部空間と連通している入力ポート36および出力ポート38を備えたバイパスチャネル58を有する。入力ポートおよび出力ポートによって画定される近位開口部と遠位開口部との圧力差は、バイパスチャネルを通る僅かな流量を生じさせる。熱質量空気流量センサ60がバイパスチャネルを通る流量を測定するために用いられ、この流量は図9に示されているように吸息流量に相関している。流量センサ34,34′は、図9に示されたそれぞれの場所に配置されるのが良い。流量センサは、内部空間4内の流路内に配置されずまたはこれを邪魔しない状態でかかる流路を通る流量を測定する。したがって、流路センサは、内部空間を通るエーロゾル状薬物または流路を妨害することはない。流量の情報を以下に詳細に説明するMDI作動検出およびMDI識別と組み合わせると、信頼性のある洞察を患者の挙動および装置の使用に提供することができる。
【0033】
図12を参照すると、流量情報をリアルタイムで用いると、例えばフィードバック装置、例えば表示器(視覚、聴覚および/または触覚)またはディスプレイにより診療セッションおよびユーザが吸息を開始すべきかどうかおよび/または例えば最大流量を超えた場合にユーザが流速を減速させる必要があるかどうかに関するフィードバックをユーザに提供することができる。MDI作動もまた、作動の開始および/または吸息の始まりに関するフィードバックをユーザに提供するよう使用できる。最初に、ユーザ66は、MDIを図19に示されているようにバックピース中に挿入する。接触スイッチ62または他のMDI挿入検出器もしくはセンサがこの挿入を検出する。MDIを挿入したとき、スマートVHCは、MDI作動および/または吸息流れ検出を積極的に探し求める。フィードバック装置(例えば、表示器またはディスプレイ)によるフィードバックに応じて、ユーザは、MDIを作動させるのが良く、作動時刻表示(タイムスタンプ)が記録された状態で、それによりエーロゾル化された薬物を内部空間中に計量供給する。次に、プロセッサ502は、流量センサ34によって伝えられる吸息流量を探し求めて流量およびアクティブな吸息のタイムスタンプを記録する。プロセッサ502はまた、吸息流量と記憶された所定の流量、例えば最大推奨流量と比較して吸息流量が所定の流量を超えている場合にはフィードバックをユーザに提供する。次に、プロセッサは、流量から計算された吸息量と内部空間4の容積を比較して治療または処置が完了して一回分が適正に投与されたことをユーザに知らせる。変形例として、プロセッサは更に吸息が内部空間を完全に空にするのに必要であることをユーザに伝えることができる。注目されるように、ユーザは、治療開始前に装置を用いて訓練するオプションを有する。この場合、MDIは挿入されない。これとは異なり、流量センサだけをアクティブ状態にする。プロセッサは、流量を記録し、流量に関するフィードバックを提供し、訓練が完了したことをユーザに知らせる。
【0034】
図14図17を参照すると、スマートVHCの一実施形態は、吸息弁16に取り付けられていて吸息中に弁開口部70の幾何学的形状を計測する抵抗型ひずみ計68を有する薄皮状パッチを含む。ひずみ計は、接着剤によりまたは弁の射出成形中におけるインサート成形によって弁に取り付けられるのが良い。図15に示されているように、弁16の開口部のサイズおよび開口持続時間を吸息流量と相関させて休息の完了を確認することができる。
【0035】
図16に示されているように、本明細書において説明するスマートVHCの種々の実施形態上または内に配置できるコントローラは、スマートVHCの作動を追跡しまたは制御している1つまたは2つ以上のセンサ、スイッチおよび/または計器と通信状態にある。コントローラは、集められたデータを後で受信装置にダウンロード可能にメモリ内に記憶することができ、またはデータをリアルタイムで受信装置に伝送することができる。加えて、コントローラは、センサからの収集データの何らかの処理を実行することができまたは生データを記憶したり伝送したりすることができる。RF送信機または受信機モジュールは、スマートVHCに設けられているコントローラに関連付けられるのが良く、それにより遠隔手持ち型または固定型コンピュータ計算装置とリアルタイムでまたはスマートVHCが遠隔手持ち型または場所固定型コンピュータ計算装置に対して通信ネットワークの通信範囲内にある場合に後の時点で遠隔手持ち型または固定型コンピュータ計算装置と通信することができる。コントローラは、図83に示されたコンピュータシステム500の特徴のうちの1つまたは2つ以上を有するのが良い。加えて、1つまたは2つ以上のセンサ、スイッチ、または計器は、コントローラとワイヤードまたはワイヤレス通信状態にあるのが良い。
【0036】
分かりやすくするために、説明している種々のスマートVHC実施形態の他の特徴を表示する際、コントローラ回路を省き、しかしながら、スマートVHCからのデータの伝送または記憶を少なくとも管理することができるコントローラまたは他の処理エージェントがこれら実施形態のうちの一形態において想定される。他の実施形態では、スマートVHCは、搭載型プロセッサを備えなくても良く、特定の実施形態の種々のセンサ、計器およびスイッチは、遠隔に配置されたコントローラまたは他の処理装置、例えば手持ち型装置または遠隔サーバとワイヤレスで直接通信することができる。コントローラまたは他の処理装置によって集められたデータをローカルコントローラメモリまたは他の遠隔場所内の予想されまたはあらかじめプログラムされた値と比較すると、所望の性能または両方が行われているかどうかについてのフィードバックの基礎とすることができる。コントローラがより複雑精巧でありかつ図83に記載されたコンピュータ500の素子のうちの多くを有する場合、この処理は、スマート装置(スマートVHC、スマートMDIなど)に対して全てローカルであって良い。より初歩的なコントローラ構成では、データは、単に日付/時刻表示されて後で処理を行うために局部的にまたは遠隔に記憶される場合がある。一実施形態では、データは、一義的な装置または患者識別子によりさらに局部的にまたは遠隔的に表示されても良い。
【0037】
息こらえはまた、薬剤の拡散を容易にして肺の中の堆積状態を最適化するための特定の一ステップでもある。ユーザの息こらえは、以下に説明する方法を用いてモニタでき、またはユーザは、息こらえを直接モニタしないで自分の息を視覚的にまたは音響的にこらえるよう促されるに過ぎない場合がある。
【0038】
1.二酸化炭素検出
1.1.図86を参照すると、二酸化炭素は、呼息により体から排出される細胞呼吸の副生物である。その結果、呼息中の二酸化炭素の濃度は、周囲空気中の濃度よりも著しく高い。二酸化炭素センサ76を用いて、マウスピースおよびVHCのマスクアダプタ部分内の二酸化炭素濃度をユーザの呼吸サイクルの呼息段階を示す高い濃度でモニタすることができる。このデータを吸息流量またはユーザの吸息を検出する他の手段と組み合わせると、息こらえ持続時間を算定し、これを用いてユーザにフィードバックを提供することができる。吸息の終わりは、例えば、流量または圧力のしきい値を用いて確認できる。吸息流量または圧力がこのしきい値をいったん下回ると、息こらえタイマが始動し、これは、二酸化炭素濃度のスパイクが検出されるまで停止しない。
【0039】
2.圧力モニタリング
2.1.図18図20を参照すると、圧力センサ78がマウスピース/マスクアダプタまたはチャンバハウジング内に位置決めされるのが良く、その結果、ユーザの呼吸サイクルの吸息段階と呼息段階をモニタすることができるようになっている。ユーザの息こらえ持続時間を計算するためには、吸息および呼息圧力しきい値を用いるのが良い。吸息圧力が吸息しきい値を下回った場合、息こらえタイマが開始し、いったん呼息が始まって呼息圧力しきい値を超えると、息こらえタイマが停止する。圧力センサ78は、コンピュータ500およびプロセッサ502と通信している。
【0040】
加えて、この装置は、一回呼吸量を想定して吸息の数を計数することによってチャンバが空になった時点についての情報を提供する。想定される一回呼吸量は、年齢および性別に基づいており、セットアップ中に選択されるのが良い。内部空間4の容積が既知なので、コンピュータ500/プロセッサ502は、MDIを作動させた時点を識別するために正圧イベントを処理し、次に吸息を指示する負圧イベントの数を計数し、ついには、チャンバ容積に達するようになる。各負圧イベントは、通常の呼吸サイクル、例えば、2~5秒の間隔が置かれるべきであり、チャンバ容積は、有限全治療期間内で排気される。これが満たされた場合、薬剤が完全に送り出されたという判定がなされる。もしそうでなければ、フィードバックがユーザに提供されて吸息および/または呼吸サイクルを続けるのが良い。フィードバックは、本明細書においてどこか別の場所で説明する種々の表示器を用いて聴覚的、視覚的または触覚的/力覚的(例えば、振動)、またはこれらの任意の組み合わせであるのが良い。情報は、ログ記録されるとともに記憶されるのが良く、かつ/あるいは追加の訓練が必要であるというフィードバックが提供される。
【0041】
3.マイクロホン
3.1.吸息および呼息空気は、使用中、VHCを通る互いに異なる経路を移動する。互いに異なる流路が用いられるので、これら経路を通る流れは、互いに異なる音を出すことが可能である。例えば図24に示されているマイクロホン82を用いて、吸息と呼息を聞くのが良く、そしてこのマイクロホンを用いて実施例1.1.および実施例2.1.と類似したしきい値方法を用いて息こらえ持続時間を計算するのが良い。
【0042】
加えて、治療中、MDIをいったん作動させると、マイクロホンは、VHCを通る空気の流れの音を記録し、そしてマイクロホンによって記録された乱流の量に基づいて、この音をマイクロプロセッサによってモニタして分析するのが良い。例えば、ある期間にわたり変換された音の大きさは、図26に示されているように特定の流量または流量範囲と相関関係をなす。VHCは、吸息量が過剰でありまたは所定の最大流量を超えているというフィードバックを表示器(視覚、聴覚、触覚など)によりユーザに提供することができる。他のフィードバックとしては、治療または処置が完了したという情報またはデータアップロードが完了したという情報が挙げられる。治療の完了時、システムをリセットし、このシステムは、別のMDI作動をいつでも行うことができる準備状態にある。
【0043】
図58を参照すると、リードまたはアレイ上のまたは一連のリード84、例えば、プラスチックまたはシリコーンがマイクロホン82に隣接して配置されるのが良い。流量の差により、リードから互いに異なる音響出力が励起されまたは生じ、かかる出力は、マイクロホン82によってピックアップされて記録されるのが良い。図59A図59Cに示されているように、単一のリード115またはビームがカモノハシ形弁として示された弁の口を横切って配置されるのが良い。弁のフラップ88を例えば流量に応答して互いに異なる量開閉すると、振動ストリングとして作用するリード115は、薄くまたは厚く作られており、したがって、リードは、マイクロホン82によってピックアップできる互いに異なる音響信号を生じさせるようになる。マイクロホンは、コンピュータ500およびプロセッサ502と通信する。
【0044】
4.湿度センサ
4.1.周囲環境からの空気は、これが肺に入ったときに水蒸気で飽和状態になる。この空気を呼息すると、この空気は、マウスピースおよびマスクアダプタを通過し、ここで、空気の湿度を分析することができる。マウスピースおよびマスクアダプタ内の図86に示されているセンサ90により湿度レベルを連続的にモニタすることによって、呼吸サイクルの呼息段階を検出してこれを用いると、実施形態1.1.および実施形態2.1.と同一の仕方で息こらえ持続時間を求めることができる。湿度センサ90は、コンピュータ500およびプロセッサ502と通信する。
【0045】
5.温度センサ
5.1.周囲空気が体の中に入ると、この周囲空気は、体温まで温められる。温度センサ92(例えば図86を参照されたい)を用いると、空気温度をマウスピースおよびマスクアダプタ内でモニタすることができる。温度の急上昇が見られた場合、これは、ユーザからの呼息であると解釈できる。先の息こらえ検出実施形態と同様、呼息の開始のこの検出を吸気測定値(すなわち、流量または圧力)と組み合わせると、息こらえ持続時間を計算してユーザにフィードバックすることができ、それにより技術の向上が得られる。温度センサ92は、コンピュータ500およびプロセッサ502と通信する。
【0046】
6.光カーテン
6.1.図63および図86を参照すると、光カーテン94または複数の光カーテンが負圧および正圧に対応した可撓性部材96とともに用いられるのが良い。吸息中、可撓性部材が1対の光カーテンのうちの一方の光ビームを遮断させる(または復元させる)方向に引かれるのが良く、これは、ユーザによる吸息であると解釈できる。これとは対照的に、可撓性部材が呼息中、逆方向に押される場合があり、この場合、光カーテンのうちの第2のものは、そのビームを遮断される(または復元させる)。これは、ユーザの呼息であると解釈される。これらの測定法を用いると、両方の光カーテンが非遮断状態にある時間は、息こらえ持続時間であることを指示している。変形例として、単一の光カーテンを用いると、ユーザによって捕捉を検出することができ、別の方法(例えば、吸息圧力または流量しきい値)を用いると、吸息の終わりを求めることができる。
【0047】
6.2.別の実施形態では、ユーザの呼息中の水分は、呼息を検出する役割を担っている光カーテンを遮断するのに十分な場合があり、この場合、可撓性部材は不要である。
【0048】
治療の終了
特に、乳児および小児年齢層では、マスク製品用の弁付き保持チャンバからエーロゾルを受け取る場合、ユーザが保持チャンバから薬物の全てを受け取ったのがどの時点であるかについて1つの不確実性が知られている。時期尚早なチャンバ取り外しにより、エーロゾル投与中の過剰なマスク漏れの場合と同様、投与量不足が生じる場合がある。チャンバ内のエーロゾルまたはチャンバを通って休息される空気の量をモニタすることによって、処置の終わりに関するフィードバックをユーザに与えることができる。これにより、患者の健康と関与する全ての関係者に対する投与量保証が得られる。
【0049】
1.容量変化
1.1.エーロゾルが空気の誘電体と比較して異なる誘電体を有すると仮定すると、図43および図44に示されているチャパシタ106のキャパシタンスの変化は、全てのエーロゾルがチャンバから出た時点を検出するために使用できる。ベースラインキャパシタンスは、エーロゾル作動に先立って測定され、治療は、キャパシタンスがこのベースライン値または何らかの類似の値に戻るまで終了することはない。
【0050】
2.光透過/反射
2.1.図3および図7に示されているように、光源30および光検出器32は、光源が光検出器に直接向けられまたは光検出器に向かって表面から反射された状態で流れに対して任意の向きにセットアップできる。エーロゾルが存在する場合、この光は散乱され、拡散され、回折され、吸収され、反射され、その結果、光検出器に戻ってくる光の量が減少する。処置の終わりは、ベースライン読みに近づいたときに起こる。
【0051】
流れ検出
喉および上気道内のエーロゾル堆積は、流量が高すぎるようになった場合に起こることがあり、かかる高すぎる流量により、副作用ならびに肺から薬物が奪われる。スマートVHCは、流量検出器を用いて所定の最大推奨流量を超えた場合にユーザに知らせるとともにユーザが自分の吸息を効果的な量まで遅くすることができるようにするフィードバック装置または特徴を有するべきである。以下に説明するように単独でまたは組み合わせ状態の流量検出器の全ての実施形態を処置の終わりの決定を助けることに加えてこの目的のために使用することができる。処置の終わりは、図12に示されているようにしきい値量に達するまでこれら流量を経時的に積分することによって求められる。しきい値量は、全てのエーロゾルがチャンバから吸息されるよう選択される。
【0052】
3.圧力センサ
3.1.弁前後の圧力差
弁は、図46に示されているように、その抵抗が一定であり、低いヒステリシスを有し、好ましくは直線状であるように選択される。すると、弁を通る流量を弁前後の圧力差の読みに応じて推定することができる。
【0053】
3.2.MDI前後の圧力差
3.2.1.MDIブーツ
MDI識別装置は、チャンバと併用されているMDIを識別するために用いられる。この情報が既知であると仮定すると、MDIの抵抗プロフィール(圧力と流量の関係を表わす曲線)に既定のデータベースからアクセスすることができ、図47に示されているように圧力センサ78によって検出されたMDIのマウスピースのところの圧力を大気圧と比較する差圧測定法を用いてMDIそれ自体を通る流量を計算することができる。
【0054】
3.2.2.成形MDIアダプタブーツ(キャニスタ挿入型)
大抵のMDIは、互いに異なる抵抗プロフィールを有するので、キャニスタをブーツから取り外してMDIアダプタまたはバックピース中に成形された組み込み型入れ物中に配置するのが良い。このアダプタにより、全てのMDIキャニスタを挿入することができ、しかもエーロゾルがチャンバに入ることができる。この場合、MDIアダプタの流れ抵抗は、特に、システムの要望、すなわち直線P0曲線、低ヒステリシスおよび部品ごとの首尾一貫性に合わせて設計されるのが良い。
【0055】
3.3.バイパスのオリフィス前後の圧力差
3.3.1.図3図9図49および図50に示されているように、バイパスチャネル60がチャンバ壁またはマウスピース/マスクアダプタの内側に存在し、このチャネルは、エーロゾルチャンバと流体連通状態にある。吸息の際、幾分かの流れがこのバイパスチャネルを通り、そして正確に管理されたサイズのオリフィス110を通って引き込まれる。このオリフィスの流れ抵抗を完全に特徴付けることができ、圧力センサ78を用いたオリフィス110前後の圧力差の測定を用いると、オリフィスおよびバイパスチャネルを通る流量を計算することができる。チャンバを通る流量は、バイパスチャネルを通る流量に対して較正され、その結果、使用中におけるバイパス流量測定値は、VHCを通る全流量を指示することができる。圧力センサ78は、コンピュータ500およびプロセッサ502と通信する。
【0056】
3.4.ベンチュリ
3.4.1.ベンチュリ112は、流体が通過しているときに流体を加速するよう流路の局所的絞りを用いる。流速が増大すると、その圧力は、絞りの上流側に位置するゆっくりと動いている流れの圧力に対して減少する。圧力差センサは、この差を検出することができ、ベンチュリ幾何学的形状の知識により、流量を計算することができる。
【0057】
ベンチュリ112は、図51A図51Cにそれぞれ示されているように、チャンバハウジング2の一部として、マウスピース12の一部として、またはバイパス流路60の一部として成形されるのが良い。圧力センサ78は、コンピュータ500およびプロセッサ502と通信する。
【0058】
3.5.ピトー静圧管
3.5.1.ピトー静圧管114は、一端が閉じられた端を有する管と、この管内の圧力を周囲流体圧力と比較する手段とから成る。迅速に動いている空気がピトー管114に入ると、この空気は、淀んで流体の流れの初期速度に比例する管内の圧力を増大させる。
【0059】
ピトー管は、図52に示されているように吸息中に最も速く動いている空気をサンプル採取するよう弁付き保持チャンバのバッフル116内に成形されまたはこれに組み付けられるのが良い。この速度をチャンバ幾何学的形状の知識により流量推定値に変えることができる。圧力センサ78は、圧力差を検出し、この圧力センサは、コンピュータ500およびプロセッサ502と通信する。
【0060】
4.音利用型方法
全ての音利用型方法に関し、第2のマイクロホンを用いて周囲騒音を検出することができる。次にこの情報をマイクロコントローラまたは他のプロセッサ502によって処理されている信号中の騒音減少のために使用することができる。
【0061】
4.1.音量利用型
4.1.1.固有の音
空気がMDIおよび弁付き保持チャンバを通って突進すると、乱流が生じ、それにより音が生じる。高い流量では、多くの乱流が生じ、大きな音が存在する。チャンバ内の音の大きさをモニタすることにより、流量を推定する手段を提供することができ、ただし、非フィルタリング処理・音量利用型方法は、環境騒音の影響を極めて受けやすい。
【0062】
マイクロホン82が例えばアダプタまたはバックピースに結合されるものとして(例えば図24参照)チャンバハウジングの内部空間内にまたはチャンバに沿ってもしくはバッフルのところに(例えば、図59C参照)配置される。この同じマイクロホンをMDI作動検出のために使用できる。
【0063】
4.1.2.音発生
マイクロホンが実施形態4.1.1.の場合とほぼ同じスポットに配置される。図58ならびに図59Aおよび図59Bに示されているように、1つの振動リード115または複数のリード84、エッジ音または開かれまたは閉じられた管上の流れを用いると、流れが通り過ぎる際に音を生じさせることができ、この音量は、チャンバそれ自体内に存在する音量よりも実質的に大きいはずである。マイクロホン82は、コンピュータ500およびプロセッサ502と通信する。
【0064】
4.2.低域通過、高域通過および帯域通過フィルタ音量利用型
実施形態4.1.1.で言及したように、音量利用型方法は、周囲騒音に起因する誤った読みを生じやすい場合がある。この恐れを減少させるため、ディジタルおよび/またはアナログフィルタリング処理を実施してシステムが特定の周波数帯だけを効果的に「聞く」ようにする。これらフィルタは、チャンバに固有の音を聞きまたは音発生の場合にはこれら周波数をモニタするよう選択される。
【0065】
4.3.アルゴリズム利用型
互いに異なる流量でチャンバから来た音は、これらの音が製品に固有のものであるにせよリードもしくは他の音発生源によって生じたものであるにせよいずれにせよ、システムにかなり特有である。種々のアルゴリズムを用いて到来するマイクロホン信号をこの装置内から規定された流量であらかじめ記録された信号範囲と量的に比較するのが良い。
【0066】
4.4.音響伝搬時間(TOF)
図64を参照すると、音響TOFは、この場合、音が1つの音トランシーバ118から別のトランシーバに移動するのに要する時間を意味している。トランシーバ1(T1)は、トランシーバ2(T2)の下流側に配置され、これらは両方とも、チャンバの内側または外側に配置されるのが良い。音がT1からT2まで移動しているとき、この音は、チャンバを通る空気流に逆らって移動する結果として効果的に減速される。これとは逆に、音がT2からT1に移動しているとき、この音は、これが流れとともに動くので通常よりも速くなる。流れ方向に対するトランシーバ118または超音波トランスデューサの角度θならびにT1からT2までのTOFおよびT2からT1までのTOFが分かると、平均流速およびかくして流量をチャンバの幾何学的形状についての知識により推定することができる。任意の周波数の音が役立ちうるが、これが人間に聞こえる範囲の外側(20kHz超)にあることが望ましい。トランシーバ118は、コンピュータ500およびプロセッサ502と通信する。
【0067】
4.5.ドップラ
ドップラ超音波は、反射体が動いている速度を推定するために伝送された波に対する反射された波の周波数の変化を用いる。懸濁状態のエーロゾル粒子を反射体として用いると、ドップラ原理は、平均粒子速度を求めて流量を推定するよう利用できる。この方法は、エーロゾルが存在しているときに流れを検出するだけであり、したがって、この方法は、別の投与量保証ツールとしても使用できる。
【0068】
図53に示されているように、超音波トランスデューサ118は、音がMDIアダプタまたはバックピース8の方へ差し向けられた状態でバッフル116内に、音がバッフルの方へ差し向けられた状態でMDIアダプタ内に、あるいは音の発生が空気流の方向に垂直ではない限り、これらの間のどこかの場所に配置できる。トランシーバ/トランスデューサ118は、コンピュータ500およびプロセッサ502と通信する。
【0069】
5.光利用方法
5.1.スリット付きの弁内の内部反射
図60を参照すると、発光ダイオード(LED)122またはこのLEDから来た光の波長に敏感な他の光源および/または光検出器124が弁16内に位置決めされており、これらは両方、弁開口部126の方へ差し向けられている。弁は、開放サイズが弁を通る流量で決まる可変サイズの開口部を備えた形式のものである。カモノハシ形弁、十字形弁および任意のダイカット弁が良好な例であるが、このリストは、排他的ではない。図56および図57を参照すると、光検出器124は、弁の外部に位置決めされるのが良い。
【0070】
動作中、光源は、弁16の内側/裏側を照明し、これは、図60に示されているようにこの光のうちの何割かを反射して光検出器に戻しまたは図56および図57に開示されているように光検出器によって受け取られるよう光を通過させる。弁が閉じられると、源から来た光の大部分は、反射されて光検出器(内部)に戻されまたは光検出器(外側)によって受け取られない。弁が開いているとき、この光の多くの部分は、逃げることができ、その結果、光検出器(内部)に反射して戻される光が少なくなりまたはこれとは逆に光検出器(外部)によって受け取られる光が少なくなる。光検出器から来た信号をモニタすることにより、弁の開き度を、弁を通過する流れとともに推定することができる。弁は、反射光を弁のある特定の開き度に合わせて光検出器上に合焦させるよう形状および色を用いる仕方で設計されるのが良い。光検出器124は、コンピュータ500およびプロセッサ502と通信する。
【0071】
物理的遮蔽が弁内に位置決めされるのが良い。LEDは、調節可能な輝度を有するのが良く、その結果、初期較正段階中、LEDの輝度を光検出器からのフィードバックで繰り返し増大させることによりまたは用いられる薬剤によって容易には吸収されない光の波長を選択することによって同一のベースライン信号を達成するようになっている。この方法では任意の波長を用いることができるが、エーロゾルによって吸収されまたは反射される度合いが最小限である波長が好ましい。広域通過フィルタはまた、DC電力源(せん光、太陽光)から来た任意の信号寄与分ならびに低周波数電気照明、例えば北アメリカにおける60Hz(120Hz)灯および世界中における均等な周波数を除去するよう具体化されるのが良い。
【0072】
広域フィルタリング処理に代えてまたはこれに加えて、光源の輝度は、特定の周波数で変化させることができ、周波数検出アルゴリズムを用いるとこの信号を流れについて分析することができる。この場合、光源の周波数にマッチした信号の周波数成分の大きさは、弁が開いたり閉じたりすると、それぞれ減少したり増大したりする。
【0073】
5.2.スリット付き弁の中から輝く
5.2.1.外部光源
図61を参照すると、光源122がセクション5.1.に記載された実施形態における形式の弁16の外側に位置した状態でこの弁の方へ差し向けられており、光検出器124は、光源の方に向いた弁の内側に位置したままである。この実施形態では、弁が開口部126を開けば開くほど、光が光検出器にそれだけ一層多く達する。同様な方法は、これらがセクション5.1.内に記載されているのでこの実施形態に利用可能であり、かかる方法としては、フィルタリング処理および周波数符号化ならびに薬剤干渉に対する5.1.s脆弱性のうちの幾つかが挙げられる。光検出器124は、コンピュータ500およびプロセッサ502と通信する。
【0074】
5.2.2.体熱(赤外線)
セクション5.1.およびセクション5.2.に記載された実施形態と同様、図62を参照すると、赤外線光検出器128がセクション5.1.およびセクション5.2.に記載された形式の弁16の内側に配置されている。セクション5.2.と同様、弁16が開くと、多量の光が光検出器128に達するようになる。この実施形態では、光検出器は、これが人体によって放出された赤外線波長に最も敏感であるように選択される。赤外線に対して不透明な弁が開くと、ユーザの口(マウスピース装置)または顔面(マスク装置)から出た多量の赤外光が光検出器またはフォトダイオードに入ってこれによって吸収される。光検出器128は、コンピュータ500およびプロセッサ502と通信する。この信号は、マイクロコントローラによって分析される。
【0075】
5.3.振動体
図63を参照すると、光源122と光検出器124は、不透明本体96が間に位置した状態で互いに向かい合っている。
【0076】
不透明本体は、これが、源からの光が位置1において検出器に到達するのを阻止することができるよう自由に動くことができるとともにこの不透明本体により光が、位置2において検出器に達することができる。
【0077】
不透明本体は、流れが存在している場合にこれが振動するよう設計されており、その振動は、互いに異なる流量に特有である。これら振動の振幅は、位置1および位置2に到達するようなものである。振動本体は、シリコーンまたはプラスチックで作られたリードであっても良く、動いているベーンであっても良く、回転ベーンであっても良く、あるいはフラグのフラッピング片に類似している、弛んだまたは硬い材料のフラッピング片であっても良い。これは、任意の振動大河役に立つので、排他的はない。次に、光検出器から来た信号を連続的に分析し、そして対応の流量を推定する。光検出器124は、コンピュータ500およびプロセッサ502と通信する。
【0078】
6.ばね変位
以下の実施形態は、吸息圧力か吸息流量かのいずれかに応答するばね(直線状または非直線状、引っ張りまたは圧縮)の動きを利用する。ばねが1つの位置から別の位置に動くと、このばねは、このばねとともに以下のようにある範囲の検出ハードウェアを伴いまたはこれを作動させる。
【0079】
6.1.ホール効果
磁石がばねの可動端部に位置決めされており、ホール効果センサが固定された位置に設けられている。ホール効果センサは、磁石が1つの位置から別の位置に動いているときに磁界の変化を検出し、流量を求めるための種々のアルゴリズムを用いてこれを分析する。
【0080】
6.2.キャパシタンス
帯電プレートがばねの可動端部上に位置決めされ、逆の符号に帯電したプレートが固定された位置に設けられ、これらは空気(誘電体)によって隔てられている。キャパシタンスは、ばね上の帯電プレートが動くと変化し、種々のハードウェアおよびソフトウェア方法を用いてこれを検出することができる。
【0081】
6.3.リードスイッチ
磁石がばねの可動端部上に位置決めされ、収集または磁気リードスイッチがばねの長さに沿って位置決めされている。ばねが撓んでこれと一緒に磁石を運ぶと、互いに異なるリードスイッチが閉成され、どのスイッチが開離されているか閉成されているかを判定することによってばねの位置およびかくして流量を近似的に求めることができる。
【0082】
6.4.誘導型センサ
導電性プレートがばねの可動端部上に位置決めされ、誘導性コイルが密接した状態の電磁界を生じさせる。コイルとプレートとの間の距離が変化すると、システムのインダクタンスが変化し、これをソフトウェアによって分析することができる。これを用いると、ばねの位置およびかくして流量を近似的に求めることができる。
【0083】
7.ピンホイール型風速計
7.1.ピンホイールがチャンバ内に配置されており、その回転速度は、流量の変化につれて変化するようになっている。ピンホイールの回転速度を回転接触スイッチ、光カーテンの定期的な破壊または磁石とホール効果センサの組み合わせによってモニタすることができ、この速度を用いると、チャンバを通る流量を近似的に求めることができる。
【0084】
8.加熱面
8.1.熱線型風速計
ワイヤまたはメッシュがこの両端に一定の電圧を印加することによって加熱される。空気がこのワイヤを横切って動くと、空気が冷却されてその抵抗が減少する。電圧が一定のままであるので、ワイヤを通る電流が増大し、これをエレクトロニクスによってモニタすることができる。次に、ワイヤを通って流れる電流の大きさを用いて流量を推定する。
【0085】
8.2.薄膜流量センサ
これは、この侵入性が低いことを除き、熱線型風速計と同一の原理を有する。薄膜加熱センサがチャンバ内の表面上に配置され、センサを通って流れる電流の大きさを用いると流量を求めることができる。
【0086】
9.ピエゾフレックスセンサ
9.1.たわみ利用型
空気流が物体に接触すると、物体は、力を空気に及ぼして物体周りにその方向を変化させる。それと同時に、空気は同じ大きさの力を及ぼすが、その向きは逆方向である。この原理を用いると、ピエゾフレックスセンサは、空気がその表面に当たると、表面が撓むよう使用でき、撓みの大きさは、センサに当たる流れの量に比例する。ピエゾ物質は、ひずみを受けて電圧を発生させ、したがって、ひずみを検出して種々のアルゴリズムにより分析することができる。ひずみが大きいということは、流量が大きいということの現れである。
【0087】
9.2.振動利用型
尖っていない物体の周りを流れる空気は、境界層分離が起こるときに特定の振動数で渦を生じさせる場合がある。この渦励振は、物体それ自体の中に振動を引き起こすことができ、この物体が圧電材料で作られている場合、電圧を振動物体の振動数にマッチした振動数で発生させることができる。この信号を分析して種々のアルゴリズムを用いて流量を推定する。変形例として、信号を増幅するため、同一の流量で互いに異なる振動数で渦励振を生じさせる種々の物体を用いるのが良い。励振振動数が物体の共振振動数にマッチすると、大きな振幅の振動が引き起こされ、これは、検出して分析するのが容易である場合がある。
【0088】
10.多段接触スイッチ
10.1.互いに異なるスイッチを別々のステップで閉成するのが良い。多数の印刷導電性経路を可撓性表面上に印刷するのが良く、そして互いに異なるスイッチを可撓性部材の互いに異なる位置で閉成する。どの経路が閉じているかまたは開いているかに応じて、可撓性部材の位置を推定し、したがって流量をも推定することができる。
【0089】
11.ポテンショメータベーン
11.1.実施形態9.1.において説明した流れによって生じた力を用いて、流れが存在しているときにポテンショメータ(可変抵抗器または分圧器)を調節するようベーンを設計するのが良い。付勢ばねがベーンの位置を存在する流れに依存させる。ポテンショメータの抵抗を連続してモニタするのが良く、そしてこの測定に基づいて流量を推定する。
【0090】
MDI作動検出
MDI作動の検出は、投与量保証のためかつユーザの呼吸技術を最適化することに関するフィードバックをユーザに提供するために使用できる重要な情報である。MDIの幾つかの特性を用いて、以下の種々の実施形態において説明するように作動検出器によって検出することができ、それによりエーロゾルプルームの視覚的出現、その音、迅速なHEA推進剤蒸発と関連した温度低下、発射するためのその力、エーロゾルの誘電率、発射するための変位、アクチュエーションのところのその圧力またはMDIそれ自体に設けられているスマート特徴との通信を含むMDI作動を検出することができる。
【0091】
1.光利用方法
1.1.光透過(AKA光カーテン)
図7および図8を参照すると、一実施形態では、光源(例えば、青色LED)39および光検出器(光検知器)32は、源と検出器との間に空隙がある状態で源を検出器の方へ差し向けるようあるいは源からの光を作動検出器によって検出することができるよう互いに間隔を置いた状態で配向されている。可視スペクトルおよび/または赤外線スペクトル内の任意の波長を用いると、MDI作動を検出することができる。この空隙は、MDIを作動させると、エーロゾルプルームが源および検出器の存在によって妨害される程度が最小限であるに足るほど大きい。エーロゾルプルームが源と検出器との間を移動しているとき、源から出て検出器に達する光の量をエーロゾルが散乱して光を反射して遠ざけるので減少する。その結果、信号を種々のソフトウェアアルゴリズムによって分析することができる検出器の出力の急激な変化が生じる。特に、エーロゾル薬剤粒子は、チャンバの内部空間内で青色光を様々な程度に散乱させ、反射し、かつ/吸収する。光の変化は、光検出器によって検出され、この光検出器は、信号をプロセッサに伝える。内部空間内にエーロゾルが存在していない場合、光検出器は、受け取った光のベースライン読みを記録する。光散乱/反射/吸収を理由として作動があった場合、光検出器は、少ないまたは多い光を受け取る。これらパラメータに応じて、スマートVHCは、MDI作動を正確に判定することができる。このイベントを更に用いると、タイムスタンプを記録することができ、この情報は、遵守性の追跡およびモニタに有用な場合がある。図8に示されているように、光検出器の経時的出力は、タイムライン上の定期的なスパイクによって証拠付けられるように作動の信頼性のある標識を示す。
【0092】
光源の波長は、任意の波長であって良く、理想的には、赤外線帯域幅からのものであって良く、その結果、光は、ユーザには見えず、しかもユーザの気をそらすものではない。光検出器の感度は、これが光源から出た光に対して最も敏感であるようなものであるべきである。理想的な光源は、赤外線スペクトル(700nm~1mmの波長)または可視スペクトル(400nm~700nmの波長)に含まれる波長を有し、効率的な発光ダイオード(LED)の形態をしている。
【0093】
理想的な光検出器は、源光の波長に最も高い感度を有し、かかる理想的な光検出器は、フォトダイオード、フォトトランジスタまたは感光性抵抗器(LSR)を含むのが良い。
【0094】
1.2.光反射
光源および光検出器は、反射体または媒体が存在しているときに検出器が源からの光だけを受け取るように配向されている。エーロゾルプルームが存在する場合、源からの光が反射され、この反射光のうちの少なくとも一部分は、検出器によって吸収される。検出器のところでの光吸収量のこのスパイクの結果として、電圧の変化が生じ、これを種々のソフトウェアアルゴリズムによって分析することができる。光源および検出器は、光透過実施形態において説明したのと同一の特性を有するべきである。
【0095】
1.3.色反射
白色光光源およびカラーセンサは、白色光が物体または媒体に当たって反射された後にのみカラーセンサが光を受け入れるように配向されている。エーロゾルプルームが存在する場合、このエーロゾルプルームは、光の幾つかの波長を反射する一方で、他の波長を吸収する。反射された波長の全ての組み合わせは、カラーセンサによって検出できるエーロゾルプルームの色を示す。センサは、光レベルの急激な変化ならびにMDI作動を検出するための種々のソフトウェアアルゴリズムで分析できる色の急激な変化を検出することができる。
【0096】
1.4.カメラおよび画像処理
カメラおよび画像処理ツールは、広範な用途で用いられており、エーロゾルプルームの識別は、一用途であると言える。種々のソフトウェアアルゴリズムを用いることができる。
【0097】
2.音利用型方法
図24図28を参照すると、VHCまたはこれに結合されたバックピース8は、マイクロホン82(作動検出器)、音響インターフェース、視覚フィードバック表示器40、マイクロコントローラ(これはプロセッサ502であるのが良い)、記憶装置504、リミットスイッチ、ブルートゥース(登録商標)(Bluetooth)/Wi‐Fi接続性およびバッテリ503を備え、これらは全て、バックピース8内に収容されるのが良い。リミットスイッチ62は、MDIの存在を検出し、これは、電子システムをトリガして電源投入を行う。マイクロホンおよび音響インターフェースは、内部キャビティ内の音を記録する。MDIを作動させると、作動の全音波は、マイクロホン82によって捕捉されて分析のためにメモリ中に記憶される。
【0098】
全ての音実施形態に関し、第2のマイクロホンを用いて周囲雑音をピックアップするのが良い。次にこのマイクロホンからの信号を分析中の信号に関する騒音減少目的で用いるのが良い。
【0099】
2.1.マイクロホン‐単純な音量しきい値
マイクロホンは、MDIのマウスピースの近くに配置され、このマイクロホンは、外部環境の音から少なくとも部分的に遮音される。MDI作動中、比較的大きな音が生じるが、と言うのは、薬剤がMDIオリフィスから押し出されるからであり、音量のこのスパイクは、種々のソフトウェアアルゴリズムを用いて検出できる。
【0100】
2.2.マイクロホン‐予備フィルタリング処理による音量しきい値
単純な音量しきい値方法は、遮音によっては適当には減衰されない環境からの任意の大きな音の結果として誤トリガを受ける。誤トリガの恐れを一段と減少させるため、音量しきい値を到来するマイクロホン信号を予備フィルタリング処理と組み合わせるのが良い。
【0101】
MDI作動中に生じた音は、種々の音周波数で構成される。低域通過、高域通過または帯域通過フィルタを用いて、マイクロホン信号を調節してMDI作動と関連した周波数だけが聞こえるようにする。これにより、MDI作動の音帯域幅内に収まる大きな音に対する誤トリガの可能性が制限される。
【0102】
マイクロホンは、MDIのマウスピースの近くに配置され、このマイクロホンは、外部環境の音から少なくとも部分的に遮音される。マイクロホンの出力信号は、低域および/または高域通過フィルタを構成するような仕方で配置された一連の注意深く選択された抵抗器、キャパシタおよび/またはインダクタを通過する。これらフィルタを通過した後、信号は、種々のアルゴリズムを用いて検出できる音量中のスパイクがあるかどうかについてマイクロコントローラ(図28)または他のプロセッサ502によって分析される。周波数フィルタリング処理もまた、ディジタル方式で達成できる。
【0103】
2.3.マイクロホン‐標的信号比較(フィルタリング処理および非フィルタリング処理)
両方の方法(2.1.および2.2.)は、大きな周囲の音の結果としてトリガを受ける。単純な音量しきい値に代えてまたはこれと関連して、既定の標的と到来する音との量的比較は、誤信号の恐れをほぼなくすことができる。自己相関および最小二乗平均は、信号比較に使用できる時間領域に基づく数少ないアルゴリズムであり、これら両方は、実施形態2.2.で説明したようなアナログまたはディジタルフィルタとまたは全くフィルタリング処理が行われない状態と組み合わせることができる。周波数領域アルゴリズムもまた、源と標的を比較するために使用できる。
【0104】
3.温度変化方法
3.1.温度センサおよび直接接触蒸発
MDIは、代表的には、低い沸点を有する推薬、例えばヒドロフルオロアルカン(HFA)を収容している。MDI作動中、この推薬のうちの何割かがその液相の状態でMDIから逃げ出ることができる。この液体推薬が外部環境にさらされると、この推薬は、その低い沸点および周囲雰囲気中における推薬の最小蒸気圧の結果として迅速に蒸発する。蒸発による冷却により、温度の迅速な低下が液体推薬と接触状態にある全ての物質内で生じる。
【0105】
図38および図39を参照すると、VHCおよび/またはMDIの一実施形態は、例えば保持チャンバの壁に結合されまたはこの中に埋め込まれあるいはこの内部空間内に設けられ、例えばチャンバハウジングの出力端部のところで吸息弁またはバッフル上に設けられた1つまたは2つ以上の温度センサ140(作動検出器)を備える。温度センサは、温度の急激な低下およびその次の加温を検出するための感温性抵抗器、熱電対、サーミスタまたは赤外線温度センサであるのが良い。変形例として、温度の急激な低下だけで十分な場合がある。この迅速な温度低下および/または再加温は、種々のソフトウェアアルゴリズムを用いて検出できる。この実施形態では、温度センサは、ある特定の量の液体推薬がその表面上に付着するようエーロゾルプルームの経路内に配置されている。エーロゾル経路内に存在するセンサからの実質的な薬剤損失を回避するための注意が払われる。最小熱質量を備えたセンサが温度変化の迅速な検出を促進するのに理想的である。図39に示されているように、種々の最低プルーム温度は、種々のMDI調合薬と関連している場合がある。次に、温度データをマイクロコントローラまたは他のプロセッサ502(図示せず)に入力してMDI作動を指示するとともに記録するのが良い。
【0106】
3.2.温度センサおよび空気温度
実施形態3.1.では、温度センサをMDI作動中、エーロゾル経路内に位置することが必要である。変形例として、空気温度の迅速な低下をモニタしても良く、と言うのは、推薬の蒸発により周囲の空気温度もまた減少するからである。例えば、図38に示されているように、センサ140は、例えばMDI上の保持チャンバの内部空間の外側に配置されても良い。これは、温度を用いたMDI作動の非侵襲的な方法の実現を可能にする。温度センサの一は、MDIの近くである必要があり、と言うのは、温度低下の大きさがMDIからの距離の増大につれて減少するからである。これは、長い距離の移動に先立つ推薬の大部分の蒸発の結果である。MDIからの互いに異なる距離のところでの温度の比または温度と距離の関係をなすプロフィールは、MDI作動を検出の際のより高い信頼性を得るためにチャンバに沿って位置決めされた多数の温度センサを用いて評価されても良い。
【0107】
3.3.MDIに設けられた温度センサ
図38に示されているように、作動の直後、推薬は、相平衡状態にはない。これにより、液体推薬のうちの何割かが蒸発し、ついには飽和状態が起こって平衡状態が回復される。蒸発により、キャニスタの温度は低下し、これは、実施形態3.1.において言及した接触温度センサまたは任意他のセンサを用いて検出できる。これは、MDIアダプタ中に組み込まれても良くあるいはMDIアダプタと通信するためのワイヤレス通信機能を備えたMDIキャニスタに店頭販売のアッドオンであっても良い。次に、温度データをマイクロプロセッサまたは他のプロセッサ502(図示せず)に入力してMDI作動を指示するとともに記録するのが良い。
【0108】
4.発射のための力
4.1.局所力ピーク検出
図40図42を参照すると、MDIブーツの頂部または基部のところに位置する力覚抵抗器(FSR)または作動検出器を用いて力測定値を求めてMDIの作動を検出するのが良い。図42に示されているようなブーツ内のキャニスタについて力と変位の関係を表わす曲線を参照すると、FSRおよび種々のアルゴリズムを用いて検出できる作動時点においてピークまたは他の信号変化が存在する場合がある。数種類の形式の力センサをFSRに加えて用いるのが良く、かかるセンサとしては、ひずみ計、ばね変位方式、ピエゾフレックスセンサおよびその他が挙げられる。図40に示されているように力センサ160がバックピース8の支持フランジ上に配置されている。図41では、力センサ160は、テザー162を備えたバックピースに結合されるとともに容器28の頂部に固定されたキャップ164上に配置されており、このキャップのところにおいて力センサは、MDIの作動中、ユーザと係合する。力センサ160は、信号をコンピュータ500およびプロセッサ502に伝える。
【0109】
4.2.力しきい値
単純な力しきい値もまた、ピークファインダに代えて用いることができ、ただし、この方法では確実性が低い場合がある。
【0110】
5.キャパシタンス変化
5.1.キャパシタ106のキャパシタンスに影響を及ぼす一要因は、2つの帯電表面相互間の物質の誘電率である。医用エーロゾルの誘電率が空気の誘電率とは異なると仮定すると、一体型キャパシタのキャパシタンスの変化を用いてMDI作動を検出することができる。図43および図44を参照すると、キャパシタは、MDIからのエーロゾルが容易に入り込む開放空隙を有する。キャパシタは、図43に示されているように出力端部のところ、または図44に示されているように入力端部のところに配置されるのが良い。次に、キャパシタンスは、周波数の急激な変化がMDI作動を信号で伝える振動または充電/放電回路を用いて変化があるかどうかについてモニタする。これは、種々のソフトウェアアルゴリズムを用いて検出できる。キャパシタは、コンピュータ500およびプロセッサ502と通信する。
【0111】
6.発射のための変位
6.1.磁気キャップおよびリードスイッチ
図45Aおよび図45Bを参照すると、キャニスタキャップ170が投与量カウンタとほぼ同じ位置でMDIキャニスタにしっかりと嵌まっており、このキャニスタキャップは、作動中、キャニスタと一緒に移動する。キャップは、磁性インキが印刷塗布されまたは磁気材料で作られたその構造体内に永久磁石を埋め込むことによって磁気特性を有する。MDIアダプタ内にはホール効果センサまたはリードスイッチ172が設けられている。MDIキャニスタをその作動位置に押すと、リードスイッチが閉成し、これは、ソフトウェアによって検出される。ホール効果センサを用いて、MDIキャニスタの底入れまたはXの変化または作動時点を意味する平坦部があるかどうかについて信号を分析するのが良い。センサは、コンピュータ500およびプロセッサ502と通信する。
【0112】
6.2.導電性キャップおよびインダクタ
実施形態6.1.と同様、キャップがVHCとともに販売される。この実施形態では、キャップは、導電性を有し、このキャップは、必ずしも磁性を備える必要はない。振動電磁界は、チャンバ内に設けられたインダクタがMDIキャニスタキャップ内に電流を誘導することによって作られる。キャップが作動中、インダクタの近くに移動すると、システムのインダクタンスが変化し、これを検出して分析するのが良い。信号中の平坦部にいったん達してこれがキャニスタの底入れを意味すると、作動をソフトウェアによって記録するのが良い。
【0113】
7.圧力検出
MDIを作動させると、その加圧内容物がノズルから押し出されてVHC中に押し込まれる。これを伴う圧力波をチャンバ内にまたは図18に示されているようにMDIそれ自体のマウスピースの近くに配置された圧力トランスデューサ78で検出できる。特に、1つまたは2つ以上の圧力センサ78がチャンバの内部空間内の壁の内面上にまたはこれに沿って配置されている。図20を参照すると、圧力センサ出力と時間の関係は、作動がスパイクによって証拠付けられるようにいつ起こったかを示す。
【0114】
図46および図47を参照すると、圧力センサ78が内部空間内の保持チャンバの入力端部または出力端部のところに設けられるのが良い。センサは、圧力差を検出して記録する。
【0115】
図48を参照すると、1つまたは2つ以上のフローチャネル84がその放出オリフィス88により支持ブロック86に隣接して位置決めされている。周囲空気が既知の抵抗の流路をもたらすフローチャネルを通って同伴状態で入る。圧力センサ78が圧力差を記録する。
【0116】
図49および図50を参照すると、絞りオリフィスがバイパスチャネルに作られている。絞りオリフィス前後の圧力降下を圧力センサによって検出して記録するのが良く、次に、これを流量と相関させるのが良い。種々の圧力センサは、コンピュータ500およびプロセッサ502と通信する。
【0117】
8.スマートMDIとの通信
8.1.図78を参照すると、MDIは、投与量カウンタモジュール90を備えるのが良く、この投与量カウンタモジュールは、遵守性モニタを目的として作動され、そして投与作動時間、カウントおよび総量を捕捉する。それと同時にVHCは、流量検出モジュール92を備えるのが良く、この流量検出モジュールは、吸息時間、持続時間およびカウントを捕捉し、モジュールは、例えばブルートゥース(登録商標)技術と通信状態にある。スマートVHCからのこれら装置との通信またはその用途は、MDI作動および技術を検出してこれらを確認するために使用できる。
【0118】
図13を参照すると、MDIの作動は、MDIキャニスタの頂部上に配置された送信機221から信号を受け取ることによって検出される。作動時、送信機は、スマートVHCによって受け取られた信号を出力する。例えば、容器に結合された投与量カウンタに組み込まれるか別個の要素として設けられるかのいずれかであるキャニスタの頂部に取り付けられた圧電ディスクが押されたときに送信機に電力供給するのに十分な電圧を発生させる。幾つかの形式の送信機/受信機が可能であり、かかる形式としては、IR LED/フォトダイオード、無線周波数(RF)Tx/Rxまたは音声発信器/マイクロホンが挙げられる。Tx/Rxの形式に応じて、このシステムは、MDI形式を識別するためにも使用でき、互いに異なるRF周波数がコントローラ/救急用吸入器のために用いられる。
【0119】
MDI挿入
MDIが適正に挿入されたというフィードバックおよび確認をユーザに提供することは、スマートVHCの望ましい特徴であると言える。加えて、用いられる方法に応じて、この特徴は、マイクロコントローラまたは他のプロセッサ502がスリープ状態である時期を決定することができ、装置のバッテリ寿命を更に延ばす。一例として、MDIが挿入されると、マイクロコントローラは、起動して電力源から電流を引き出してそのセンサ、ディスプレイおよび通信装置に電力供給する。いったん取り外されると、マイクロコントローラは、低エネルギー状態に戻る。
【0120】
1.スイッチ
1.1.リミット/接触スイッチ
この実施形態では、図19に示されているように、リミットスイッチ62(機械式)または接触スイッチは、MDIの挿入時にスイッチを閉成するような仕方でバックピース8内に配置されている。リミットスイッチは、MDIが挿入されると回路を閉じる。このスイッチの閉成は、マイクロコントローラまたは他のプロセッサ502の中断をトリガし、それによりマイクロコントローラまたは他のプロセッサは、その完全動作状態で動作することができ、その時点で、ユーザは、MDIが完全に挿入されたことを視覚または聴覚キューにより知らされる。MDIが取り外されると、スイッチが開離し、マイクロコントローラがその低エネルギー要件状態に戻るようにする。一実施形態では、装置が所定の期間にわたって、例えば約30~120秒間非動作状態である場合、マイクロコントローラは、スリープモードに入ることができる。所定の期間をユーザによって設定/プログラムすることができる。
【0121】
接触スイッチに加えて、図11を参照すると、ボタンがシステムの電源をオン/オフにするために使用できる。聴覚または視覚フィードバック機構体、例えば視覚または聴覚表示器、例えば灯および/またはアラームが種々のLED、スピーカ、および触覚および/または視覚ディスプレイ/表示器を用いて具体化できる。
【0122】
1.2.リードスイッチ
実施形態1.1.と同様、図74を参照すると、MDIの一部分200は、磁性インキ、電磁石または永久磁石のいずれかにより磁化される。MDIが挿入されると、リードスイッチ202が閉成される。このスイッチの開閉は、実施形態1.1.で説明したようにマイクロコントローラ動作およびユーザフィードバックにとって同一の結果を有する。
【0123】
1.3.導電性経路
この実施形態では、図75に示されているように、MDIの一部分、例えばマウスピースは、MDIアダプタ中に挿入されると、MDIアダプタエレクトロニクス内に回路206を閉じる導電性経路204を有する。この回路は、フィードバックをユーザに提供するとともに実施形態1.1.で説明したようにコントローラの全機能を実施可能にするために用いられる。
【0124】
2.光カーテン
2.1.上述したような光カーテンは、MDIアダプタ中へのMDI挿入を判定するために使用できる。この実施形態では、LEDおよびフォトダイオードは、MDIアダプタ開口部を横切って互いに反対側に配置されている。MDIが挿入されていない場合、LEDからの光は、フォトダイオードに到達することができる。MDIがいったん挿入されると、この光透過が遮られ、このことは、マイクロコントローラによって検出できるとともにMDIの適正な挿入を保証する聴覚または視覚フィードバックをユーザに提供するために使用できる。
【0125】
3.マウスピース形状の検出
3.1.ひずみ計
ひずみは、MDIマウスピース形状に対応するために材料が変形したときに図70に示されているようにMDIアダプタまたはバックピース中に導入される。ひずみの大きさは、ひずみ計206を用いて測定できる。MDIアダプタのひずみをモニタすることにより、MDIがMDIアダプタ中に挿入されたかどうかを判定するための一手法を提供することができる。ひずみがいったんある特定のしきい値に達すると、システムは、フィードバックをユーザに提供してMDI挿入を確認する。
【0126】
3.2.力覚抵抗器(FSR)
力覚抵抗器208は、図72に示されているようにMDIアダプタまたはバックピース8上またはこの中に配置されるのが良い。MDI挿入時、MDIマウスピースは、力をFSRに及ぼし、それによりマイクロコントローラによって評価される電圧変化が生じる。FSRから来た信号に応じて、MDIの挿入を結論づけることができ、この情報をユーザに中継して戻す。
【0127】
3.3.直線動作ポテンショメータ
直線動作ポテンショメータ210が図69および図71に示されているようにMDIアダプタまたはバックピース上または内に位置決めされるのが良い。MDI挿入時、ポテンショメータが変位し、マイクロコントローラによって評価される電圧変化を生じさせる。ポテンショメータから来た信号に応じて、MDIの挿入を結論づけ、この情報をユーザに中継して戻す。
【0128】
4.画像処理
4.1.カメラまたは一連のカメラを用いてMDIがMDIアダプタ中にどれほど遠く挿入したかを求めることができる。種々の画像処理アルゴリズムを用いると、これを判定し、いったん確認されると、この情報は、ユーザに中継して戻されるのが良い。
【0129】
電力供給源および配電
問題識別
【0130】
全ての実施形態は、機能発揮のための電力の使用を必要とする。種々の電力供給源をこれら自体にまたは他の源と組み合わせて使用できる。センサおよびフィードバック方法は、これらが別々のチャンバコンポーネント上に位置している場合でも電力を受け取ることができる。
【0131】
電力供給源
1.バッテリ(単一または複数のバッテリが各々について使用できる)
1.1.永続的、使い捨て
電力供給源は、バッテリがいったん使い果たされると、電子装置全体を処分するようなものである場合がある。バッテリは、アクセスが電子装置を損傷させないようアクセスが制限された状態でエレクトロニクス本体内に永続的に封入される。
【0132】
1.2.交換可能
電力供給源は、バッテリがいったん使い果たされると、ユーザがバッテリカートリッジに接近して使い果たされた電池を充電状態の電池で置き換えることができるようなものであるのが良い。これは、多くの子供の玩具または時計用電池と同様である。
【0133】
1.3.充電可能
バッテリは、充電可能であるのが良く、その結果、バッテリがいったん使い果たされると、ユーザがDC電力ジャック、USBまたは他の方法によりこれを単に充電することができるようなものである。加えて、バッテリは、その寿命全体を通じてトリクル充電されるのが良く、それによりその使い果たされるまでの時間が延びる。トリクル充電は、バッテリを連続してまたは極めて微弱な電流で定期的に充電することを意味する。この種の充電だけでは、使い果たされたバッテリを完全に充電するには極めて長い時間がかかるが、特に充電が連続的に起こる場合にはバッテリ寿命を延ばすのに有用である。
【0134】
2.光電池
2.1.光電池は、光に応答して電圧を発生させる。これは、センサおよび特徴部の電力要件に応じて装置に直接電力供給しまたは電池若しくはスーパキャパシタを充電するために使用できる。
【0135】
3.レクテナ
3.1.レクテナは、無線伝送、モバイル通信、Wi‐Fiネットワークなどの周囲無線周波数エネルギーを用いて充電式電力源をトリクル充電することができるように整流されるとともに管理される微弱電流をアンテナ内に誘導する。
【0136】
4.充電のために振る
4.1.自由に動く磁石を導電性コイル内に組み込むことにより、システムは、装置を振ったときにまたは磁石が他の手段によって動かされたときに電流を導電性コイル中に生じさせることができる。磁石の運動により、コイル中に電流が導かれ、この電流を用いてバッテリまたは他の電力源を充電することができる。
【0137】
配電
全ての電子部品を互いに密接させて配電を管理しやすくすることが好ましい。しかしながら装置の要件が所与の場合、これは、可能ではない場合がある。MDIアダプタ内に収容されているエレクトロニクスがあると同時にマウスピースまたはマスクアダプタよりに収容されているエレクトロニクスがある場合、僅かな配電方式が存在する。
【0138】
1.物体に沿う導電性経路
1.1.この方法は、電力が物体を通って他の部品に伝送されるマウスピース/マスクアダプタかMDIアダプタかのいずれかの中に配置されたたった1つの電力源(例えば、1つのバッテリ)を用いる。いずれの場合においても、物体の両端との接点により、電力は、他の部品に確実に伝送されるようになる。接点は、クリーニングのために装置の組み立てと分解を依然として可能にしながら各組み立て時に再現可能で頑丈な接続を可能にするような仕方で形成される。これら導電性経路は、前に位置するハードウェアと後ろに位置するマイクロコントローラとのデータ通信を可能にするためにも用いられる。
【0139】
1.1.1.導電性樹脂
導電性樹脂は、物体成分中に導電性経路を直接成形するために使用できる。これは、デュアルショットまたはインサート成形製造方法により行われる。
【0140】
1.1.2.導電性インキ
導電性インキは、導電性経路を形成するために使用でき、しかも物体の上にパッド印刷かスクリーン印刷を行うことができる。
【0141】
1.1.3.可撓性エレクトロニクスおよび接着剤
可撓性の低プロフィール電線を用いることができ、これらを接着剤の使用により物体に固定することができる。
【0142】
2.ワイヤレス通信による2つのバッテリ
2.1.VHCのマウスピース/マスクアダプタ端部のところのハードウェアは、VHCのMDIアダプタ端部のところの電力源からの完全に独立した電力源(例えば、バッテリ)によって電力供給されるのが良い。チャンバの各端部は、恐らくはそれ自体のマイクロコントローラまたは他のプロセッサ502を必要とし、それによりこれらのそれぞれの端部のところの入力および出力を取り扱う。この方式では、2つのマイクロコントローラがデータを共有するよう互いに通信する必要とする可能性が極めて高い。これは、ブルートゥース(登録商標)または他の手段を介して行われるのが良い。
【0143】
MDI識別
MDIの識別により、認可された医療方式に対して遵守する保証が患者、処方者および支払人に提供される。加えて、これは、誤った薬剤がチャンバ中に挿入された場合に患者に警告を出すために使用でき、それにより、特定の薬物の投与不足または過剰投与を阻止するのに役立ち得る。以下において説明する識別方法は、これら自体で使用することができるが、MDIを高い信頼性を持って識別するために組み合わせ状態でも使用できる。
【0144】
例えば、図13を参照すると、フォトダイオード222および色検出器センサ224、またはMDI識別装置がチャンバハウジング壁の外面上またはバックピース上に配置されるのが良く、これらは、アクチュエータブーツおよび容器を含むMDIの方へ差し向けられるのが良い。固有のタグ226が各MDIに取り付けられるのが良く、または固有のレスキュータグがレスキューMDIに取り付けられるとともに固有のコントローラタグがコントローラMDIに取り付けられるのが良い。センサ224、例えばカラー検出器センサは、各特定のMDIを識別し、またはカテゴリ、例えばレスキューまたはコントローラによって各MDIを識別するためにタグの存在を検出する。タグは、互いに異なる色、バーコード、磁気特性、表面特性、例えば反射/吸収などを備えるのが良い。
【0145】
1.MDIブーツの色検知
1.1.マウスピース色
図68を参照すると、MDIは、多種多様な色で売られており、中にはハンドルをマウスピースから区別する2つの色相を有するものがある。色検知は、MDIのマウスピース部分から特定のカラーコード読み(例えば、RGB、CMYK、L***)を得ることによってMDIアダプタ中に挿入されたMDIを識別するのを助けるために使用できる。MDIがアダプタ中に挿入されると、色検知ハードウェアまたはセンサ224(MDI識別装置)は、MDIのマウスピースから色情報を収集するようトリガされる。このカラーコードを次にソフトウェアにより分析し、そしてMDIのデータベースおよびこれらのそれぞれのカラーコードと比較する。種々のアルゴリズムを比較のために使用することができ、最も近いマッチがMDI識別のために用いられる。変形例として、MDIブーツカラーコードを多因子アルゴリズムへの入力として用いることができ、このアルゴリズムは、MDIを識別するために数個の入力を用いる。
【0146】
1.2.ハンドル色
図68に示されているように、マウスピース色検知と同様であるが、カラーセンサ224をマウスピースカラーコードの獲得のために位置決めするのではなく、このカラーセンサは、MDIブーツのハンドル部分の色を分析するために位置決めされる。
【0147】
1.3.マウスピースおよびハンドル色
実施形態1.1.と1.2.を組み合わせてツートーンカラーのMDIブーツを区別するのを助ける。
【0148】
2.エーロゾルプルームの色検知
2.1.全てのMDIにわたって無数の調合薬が存在し、これは、エーロゾルプルームの互いに異なるカラーコードに反映されている場合がある。色検知ハードウェアがMDIアダプタ内のMDIブーツのマウスピースの近くに位置決めされ、MDI作動中、エーロゾルプルームのカラーコードを集めてこれらを種々のMDIのデータベースと比較する。種々の比較アルゴリズムを使用することができ、最も近いマッチがMDI識別のために用いられる。変形例として、エーロゾルカラーコードを多因子アルゴリズムへの入力として用いることができ、このアルゴリズムは、MDIを識別するために数個の入力を用いる。
【0149】
3.マウスピース形状検出
3.1.力覚抵抗器(FSR)
図72を参照すると、FSR208は、MDI挿入中、抵抗器がその特定の方向におけるMDIマウスピースのサイズに比例した量だけ圧縮され、それによりこれらの信号がそれに従って変化するようにMDIアダプタ内に位置決めされる。これらの抵抗値をデータベース内のMDIの抵抗値と比較する。種々の比較アルゴリズムを用いることができ、最も近いマッチがMDI識別のために用いられる。変形例として、抵抗値を多因子アルゴリズムへの入力として用いることができ、このアルゴリズムは、MDIを識別するために数個の入力を用いる。
【0150】
3.2.ひずみ計
MDIアダプタポートは、図70に示されているようにMDIが挿入されたときにこれが延びなければならないように意図的に小さめの寸法になっている。ひずみ計208によって検出された大きなひずみと小さなひずみの全ひずみおよびこれらの存在場所を分析して互いに異なるMDIおよびこれらひずみ値のデータベースと比較してMDIの識別を助けるのが良い。
【0151】
3.3.図69および図71ならびにFSR方法に類似した直線動作ポテンショメータ210を参照すると、直線動作により調節されるポテンショメータは、特定の方向におけるMDIマウスピースのサイズに従って調節される。MDI挿入時にシステムによって集められた抵抗値を種々のMDIに関するデータベースに記憶されている値と比較する。これらポテンショメータは、MDIが取り外されたときにこれらがこれらの元の位置に戻るよう付勢ばねを有する。
【0152】
4.マウスピース長さ
4.1.触覚またはスライド式ポテンショメータ
MDIのマウスピース部分の長さを識別因子として使用することができる。
【0153】
MDIアダプタ中への完全挿入時、マウスピースの長さを触覚またはスライド式ポテンショメータによって測定することができ、そしてこれを図69に示されているシステムのデータベースに記憶されている種々の長さと比較する。
【0154】
5.流量プロフィールに対する抵抗
5.1.流量プロフィールに対する抵抗
図54および図55を参照すると、チャンバを通る流量を種々のセンサによって本明細書において開示したようにモニタするのが良い。流量を用いるとMDIを識別するのを助けることができる。差圧センサ78からのデータと結合されたこの流量情報を用いてMDIマウスピースのところの圧力を大気圧と比較すると、圧力と流量プロフィールの関係をMDIについて収集するのが良い。このプロフィールをMDIのデータベース内のプロフィールと比較し、MDIを識別することができるマッチを見出すのが良い。変形例として、抵抗プロフィールを多因子アルゴリズムへの入力として用いることができる。
【0155】
6.ある特定の流量でのMDI音
図24図28を参照すると、オーディオインターフェースは、イコライザ回路(例えば、7バンド)を含み、このイコライザ回路は、オーディオスペクトルを7つのバンドに分割し、かかる7つのバンドとしては、例えば、63Hz、160Hz、400Hz、1kHz、2.5kHz、6.25kHzおよび16Hzが挙げられるが、これらには限定されない。7つの周波数は、ピーク検出されて出力に多重化され、それにより各バンドの振幅の表示を得る。バンドをマイクロコントローラによって処理してバンドを平均して単一の振幅(dB)と時間信号(図25)にする。次に、ブランドが互いに異なるMDIによって生じた固有の音を記憶装置またはクラウドデータベース内の記憶されている既知の音と比較するのが良い。正規化相関法を用いて入力音を高い確度で基準音と比較するのが良い。作動音を捕捉してMDI作動時に記憶し、そして比較および判定を治療後に処理するのが良く、その目的は、利用可能な処理有力に応じて、治療中、他のVHCタスクのための処理能力を自由に発揮させることにある。処理が十分に迅速である場合、MDI作動をリアルタイムで分析し、このMDI作動は、MDIノズルまたは支持ブロックが生じた音が低いまたは不十分であることに起因してプラギングされまたは部分的にプラギングされたかどうかに関するフィードバックを提供する。フィードバックはまた、MDIが振られるとともに/あるいは準備され、あるいは適当な残りの投薬量カウントについてチェックされる必要があるかどうかについての情報を更に含むのが良い。
【0156】
6.1.特定の流量での全てのMDIの周波数スペクトルまたは主周波数を含むデータベースを作成することができる。使用にあたり、この流量に達したとき、音をマイクロホンによってサンプル採取し、これをシステムデータベースに記憶されている音プロフィールと比較する。種々のアルゴリズムをこの比較のために使用できる。
【0157】
7.作動時におけるMDI音
7.1.全てのMDI作動音の周波数スペクトルまたは主周波数を含むデータベースを作成することができる。作動が起こると、記録された音をシステムのデータベースに記憶されている音と量的に比較し、最も近いマッチを求める。
【0158】
8.衝突時におけるMDI音
8.1.衝突時または打撃時における全てのMDI音の周波数スペクトルまたは主周波数を含むデータベースを作成することができる。MDIアダプタ中への挿入時、機械式ハンマをトリガし、これがマウスピース領域内でMDIに衝撃を加えるようにする。生じた音は、MDIブーツの形状、体積、剛性およびMDIアダプタとのその当てはまりで決まる。次にこの音をシステムのデータベース内の音と量的に比較するのが良い。
【0159】
9.画像処理
9.1.ラベルの読み取り
テキスト認識ソフトウェアを用いてMDIブーツおよび/またはMDIキャニスタ上のテキストを「読み取る」。例えば、図4を参照すると、カメラ35または他のイメージセンサ(MDI識別装置)がチャンバハウジングに、例えば、その入力または出力端部に隣接してまたはこれらの間の任意の場所に取り付けられている。イメージセンサはまた、マウスピース組立体またはバックピースに結合されるのが良い。カメラまたはイメージセンサは、容器および/または作動ブーツに結合されたラベル240上に提供される種々のテキスト情報を含むMDIの画像を捕捉する。画像処理アルゴリズムおよび/または機械学習技術を用いると、テキスト情報、VHCと関連しているMDIの形式および同一性を表わす固有の形状および/または固有の特徴を抽出することができる。さらに、捕捉した画像をメモリ中に記憶し、そしてデータベース内のMDIの種々の形式と比較して選択を狭めるのが良い。図5A図5Bおよび図6を参照すると、カメラまたはイメージセンサは、MDIの画像を捕捉して図5Bに示されているようにグレースケール画像242に変換する。次に、プロセッサは、捕捉されたグレースケール画像から複数(例えば、3つ)のテンプレートを抽出し、そしてテンプレート/画像をデータベース内の記憶画像と比較する。図6に示されているように、プロセッサは、ラベル244を参照してMDIを正確に識別する。
【0160】
9.2.色と形状の組み合わせ
ディジタル画像または一連のディジタル画像から色および形状を分析してこれらをデータベース内の種々のMDIの色および形状と比較する。
【0161】
9.3.特徴認識
画像カーネルを用いると、カーネルそれ自体に対して類似性があるかどうかについて画像を走査することができる。例えば、GSKラベルの形態をしたカーネルを用いると、画像上のカーネルの各位置についての相関結果をコンピュータ計算し、そして相関係数が良好な一致を指示するある特定のしきい値を超えているかどうかを確かめることによってGSKブーツを識別することができる。
【0162】
10.分光学的薬剤ID
10.1.単一の波長赤外線/UV
赤外線および紫外線分光法は、サンプルの化学的構造および組成を求めるために用いられる方法である。全ての化学物質は、赤外線および紫外線をある程度まで吸収し、そしてこれらの化学構造中に存在する結合に応じて光のうちの幾つかの波長を他の波長よりも多く吸収する。制御された波長の光源を用いて、光をエーロゾルに通して光検出器の方へ照らすことによって特定の波長に対する薬剤の吸収率を分析することができる。次にこの吸収率をMDIデータベース内の値と比較するのが良い。
【0163】
10.2.多波長赤外線/UV
多数の波長を用いることができることを除き、10.1.と同様である。
【0164】
11.発射するための力
11.1.力覚抵抗器(FSR)を用いてMDI作動時における力を求めることができる。これは、本明細書において説明するようにMDI作動検出と結合される必要がある。MDI作動を検出するやいなや、力を記録し、そしてこの力をMDIデータベースに記憶されている値と比較する。
【0165】
12.エーロゾルの温度(エーロゾル/空気温度または接触蒸発)
12.1.単一箇所
温度をMDIから固定された距離離れたところでモニタするのが良く、そしてMDI作動中に検出された温度を用いてこの情報をシステムのMDIデータベースに記憶されている温度と比較するのが良い。同一系統の推薬(HEA134aまたはHFA227)を用いた全てのMDIにも関わらず、エーロゾルの温度差が互いに異なる薬剤配合の結果としてMDIから固定された距離のところで見える。
【0166】
12.2.温度と距離の関係
実施形態12.1.に加え、幾つかの温度センサをMDIから固定された距離のところで用いてMDI作動中の温度プロフィールを収集するのが良い。このプロフィールを用いることができ、そしてこのプロフィールをシステムのデータベース中のプロフィールと比較するのが良い。
【0167】
13.供給業者からのMDIに実装されているRFID
13.1.図73を参照すると、無線認証(RFID)タグまたはラベル252が薬物の製造業者または供給業者によってMDIにくっつけられまたはこれに成形されているのが良い。この場合、MDI上のRFIDラベルをMDIアダプタ内に設けられまたはVHCのバックピース8もしくは他の部品に結合されたRFIDリーダ250により読み取ることが可能である。
【0168】
14.投与量カウンタに実装されたRFID(一体型またはOEM)
14.1.実施形態13.1.と同様、RFIDタグは、一体型または投与量カウンタモジュール中に組み込まれるのが良く、これらをチャンバ内に組み込まれたRFIDリーダで読み取るのが良い。
【0169】
15.ユーザによってMDI上に配置されたラベル
15.1.RFID
【0170】
実施形態13.1.および実施形態14.1.と同様、RFIDタグをMDIから読み取るのが良い。この実施形態では、RFIDは、ステッカ、接着剤パッチの形態でまたはユーザによりMDI上に配置される他の形態で売られている。
【0171】
15.2.バーコード(一次元および二次元)
バーコードをRFIDに代えて用いることを除き、実施形態15.1.と同様である。この場合、チャンバは、RFIDリーダとは対照的にバーコードスキャナを有する。
【0172】
16.クラウド上の患者薬物リストへのアクセス
16.1.ブルートゥース(登録商標)/Wi‐Fiアクセス
ユーザのディジタル医療記録にインターネットを介してアクセスすることができ、これらのMDI薬物処方箋を用いてVHCと併用されるMDIを識別するのを助けることができる。変形例として、安全性を確保するため、保健医療提供者または支払人は、ユーザに関する「プロフィール」を起動して、ユーザのMDI薬物を選択しても良く、次に、かかるMDI薬剤をブルートゥース(登録商標)またはWi‐Fi経由でVHCに伝達する。
【0173】
17.スマート吸入器との通信
17.1.ブルートゥース(登録商標)/Wi‐Fi通信
スマート吸入器がMDIの遵守性を追跡するためにすでに用いられている。これら吸入器との通信により、VHCは、用いられているMDIを直接識別することができる。これは、ブルートゥース(登録商標)またはWi‐Fi通信により達成できる。
【0174】
18.ユーザによる手動選択
18.1.手動選択
図19を参照すると、例えば互いに異なる互いに異なる色、形状または標識を備えたユーザ入力ボタン260が示されている。ユーザ66は、レスキューMDIと関連した適当なボタン、例えば青色ボタンを押しまたはコントローラMDIと関連した赤色ボタンを押す。両方のボタンを押す組み合わせにより、用いられている組み合わせ状態のMDIが伝送される。各ボタンは、視覚表示器、例えば灯を更に有するのが良く、この灯は、押されると、所定期間にわたって(または、治療または処置が完了するまで)照明し、そして照明状態のままである。誤った表示器が表示された場合、最初からやり直す標識がユーザに提供される。単一のボタンを用いても良く、この場合、ボタンを押すことは、レスキューまたはコントローラMDIのうちの一方と関連し、ボタンを押さないことは、他方の形式のMDIと関連している。患者の使用データ再検討する際、処方者は、どの種類の薬剤がレスキューおよびコントローラMDIの各々と関連しているかを知ることになる。加えて、ユーザは、例えばユーザプロフィール設定において薬剤情報をアプリケーションによりコンピュータ上に入力することができる。ユーザは、ログ記録された医療活動を処方者および/または支払人と共有することができる。
【0175】
ユーザには採用されるMDIを手動で選択するオプションが与えられるのが良い。この選択は、各投与の時点で実施できまたは薬物のリストがスマートチャンバを受け取った際にユーザにより1回特定できる。たった1つの薬物が処方さているユーザに対し、後者の方法は、いつでも用いられるMDIを高信頼度で識別するのに役立ち、これに対し、多数の薬剤が処方されているユーザに対しては、これは、考えられるMDI候補を短く一覧表示するために用いられ、次に、かかるMDI候補は、他の実施形態において説明した手段を用いてシステムによって更に識別される必要がある。
【0176】
19.キャパシタンス/誘電率検出
19.1.誘電率検出
2つの互いに逆の電気的に帯電した特徴が開放キャパシタを形成する空隙によって互いに隔てられる。MDI作動時、この空隙にはエーロゾルが入り込む。エーロゾルが互いに異なる誘電率を有すると仮定すると、開放キャパシタのキャパシタンスの変化を測定するのが良く、このキャパシタンス値を既知のエーロゾルのデータベース内のキャパシタンス値と付き合わせるのが良く、そしてこれを用いてMDIを識別するのが良い。
【0177】
20.MDIの共振振動数
20.1.音発生器がVHC内に配置され、この音発生器は、スイープ方式である範囲の周波数を生じさせる。MDIの共振振動数が音発生器によって作られると、音量中のスパイクが生じる場合があり、これをマイクロホンによって検出することができる。
【0178】
21.MDIブーツの赤外線反射
21.1.赤外線(IR)エミッタおよびIR検出器を用いて、赤外線「サイン」を種々のMDIについて発生させるのが良い。IRエミッタおよび検出器ならびにその位置決めは、上述するとともに添付の図に示された白色LEDおよびカラーセンサと同一であるのが良い。IR放射線をMDIブーツのマウスピースおよび/またはハンドル部の方へ差し向け、吸収され/反射された放射線の量を用いてMDIを識別する。具体的に説明すると、この実施形態では、放射線の反射量をIR検出器によって検出し、この値をあらかじめ記録されているMDIデータベース中に存在する値と比較する。MDIブーツの材料、その形状および表面仕上げは全て、反射IR放射線の量において役割を果たす。単一波長IR LED/検出器を用いることができまたは互いに異なるIR波長を有する数個のIR LED/検出器を用いることができる。
【0179】
マスク力および密封フィードバック
呼吸器用薬物をユーザに送り出す際、フェースマスク600が用いられる場合が多い。例えば、フェースマスクは、VHC3のマウスピース組立体12または出力端部に結合されるのが良い。薬剤送達量を最大にするためには、適正なシールがマスクとユーザの顔面602との間に形成されるようにすることが重要である。適正なシールは、マスク、VHCまたは他の送達器具、例えばネブライザまたはOPEP器具に加えられる力を測定することによって、またはマスクとユーザの顔面との接触状態を記録することによって判定できる。
【0180】
図29に示された一実施形態では、薬物送達システムは、入力端部10および出力端部14を備えた薬物送達器具、例えばVHCを含む。マスク600が出力端部に結合されている。マスクおよび送達器具は、長手方向軸線6に沿ってユーザの顔面602との係合位置まで動くことができる。力センサ604がマスク600と薬物送達器具の入力端部10との間に設けられている。例えば、力センサ604がマスク600と弁組立体12(例えば、マウスピース組立体)の間、または弁組立体12とチャンバハウジング2との間に設けられるのが良い。力センサ604は、機械的変形または変位をひずみ計または圧電センサにより電気信号に変換するロードセルであるのが良く、ひずみ計または圧電センサは、力の変化を圧電効果により電気的変化に変換する。力センサは、信号を例えばバックピース8に取り付け可能なコンピュータ500およびプロセッサ502に伝送する。VHCマイクロコントローラは、加えられている力をモニタし、そして送達器具を操作しているユーザまたは介護士にフィードバックを提供し、それにより加えられている力を増大させ、減少させまたは維持するかのいずれかを行う。例えば、所望のシールを達成するのに必要な力は、1.5~7ポンド(0.68~3.18kg)の範囲にあるのが良い。ユーザに対するフィードバックは、視覚表示器40(例えば、LED)であれ、聴覚表示器(スピーカ)であれ、振動表示器であれいずれにせよ表示器を含む。力センサ604は、薬物送達器具によって長手方向軸線に沿ってマスクに加えられている力に応答する。表示器は、少なすぎるにせよ多すぎるにせよいずれにせよ、かつ/あるいは周囲周りに一様でないにせよいずれにせよ、マスクに加えられている力の大きさに関するフィードバックをユーザに提供する。
【0181】
図30および図31に示されている別の実施形態では、接触センサ608,610がマスクの周囲周りのユーザの顔面との適正な接触をモニタし、検出し、そして信号で伝えるためにマスク600中に組み込まれるのが良い。例えば、マスクは、ユーザの顔面602に係合するようになった密封部分612を備えている。密封部分612は、自由端部615で終端する内側に曲げられたC字形リップを含むのが良い。1つまたは2つ以上のセンサ608が密封部分に結合されており、力センサは、密封縁部に加えられている力に応答する。他の実施形態では、複数のセンサが密封部分内に埋め込まれるとともに図30および図31に示されているような互いに間隔を置いた関係をなしてマスクの周囲周りにまたは密封部分の長さ周りに分布して配置される。図30に示されている変形実施形態では、センサ610は、密封縁部周りに延びる連続ストリップを有する。
【0182】
図30および図31を参照すると、表示器616がセンサと通信状態にあり、この表示器は、密封縁部に加えられる力の大きさまたはユーザの顔面との接触が行われているかどうかに関するフィードバックをユーザに提供するようになっている。例えば、表示器は、視覚表示器、聴覚表示器、または振動表示器を含むのが良い。一実施形態では、視覚表示器は、マスクの密封縁部または周囲に沿って分布して互いに間隔を置いて配置された複数の灯616(例えば、LED)を有する。一実施形態では、複数の視覚表示器が複数のセンサとそれぞれ関連していてこれらに直接結合されている。
【0183】
作用を説明すると、図32および図33を参照し、ユーザまたは介護士は、力をマスク600に加え、ユーザの顔面602をマスクの密封縁部612に係合させ、マスクに加えられている力を検出し、または変形例として接触が密封縁部上の特定の場所で行われているかどうかを検出し、そして加えられている力および/または接触に関するフィードバックを表示器616によりユーザに提供する。ユーザ/介護士は、次に、マスクに加えられている力を調節することができる。一実施形態では、フィードバックは、接触が検出された接触センサ608,610に結合されている灯616の照明であり、接触が検出されない場合に照明することはない。同様に、表示器灯の一部分は、種々の力センサが十分な力が加えられたことを検出した場所を照明し、灯は、加えられた力が不十分であるマスクの部分に沿って照明をすることはない。別の実施形態では、加えられた力が大きすぎる場合、灯は異なる色で照明することができ、あるいはオフに切り替わる。
【0184】
いったんアクティブ状態になると、コントローラ(1つまたは2つ以上のコンピュータ500の要素、例えばプロセッサ502(図83)を有するよう具体化されているのが良い)は、力または接触センサの出力を分析してシールの品質を推定することができる。加えられている力の測定値とユーザの顔面との接触の測定値を組み合わせることにより、器具は、適正なシールが形成されているかどうかに関する情報を提供することができる。
【0185】
アクティブな弁
種々の薬物送達器具、例えばVHCを用いる場合、ゆっくりとした吸息(最大毎分30L未満)、次に息こらえを行うことは、薬剤の肺内堆積を著しく向上させることができる。種々の音響補助具が、吸息量が多すぎるというフィードバックをユーザに提供するよう利用可能であるが、これら音響補助具は、受動型であり、吸息量を制御するわけではない。したがって、これら音響補助具をフィードバックが肯定的である(例えば、フィードバックが、ホイッスル音を出すのを回避すべきことを意図しているのではなく、速く吸息してホイッスル音を出すのが良いという趣旨)と誤解しまたは混同する場合がある。
【0186】
図34図37に示されているように、一実施形態としての弁700は、吸息(または呼息)中の開放または閉鎖にたいする抵抗を能動的に調節して吸息または呼息量を能動的に制御する。システムはまた、弁が能動的に流量を制御してユーザが流量を調節することができるようになっているというフィードバックをユーザに提供することも可能である。
【0187】
弁は、種々の形態で構成でき、かかる形態としては、図35および図36に示されているような環状ドーナツ形弁、図87に示されているようなカモノハシ形弁720または可動であり、曲げ可能でありまたは変形可能である特徴部を備えた他の弁が挙げられる。環状弁は、中央開口部702および環状フランジ704を有し、環状フランジ704は、外方に曲がりまたは変形してフランジが持ち上げられて弁座706から離れ、それにより開口部702を通る流れを可能にするようになっている。カモノハシ形弁720は、1対の互いに反対側のフラップ722を有し、これらフラップは、これを通る流れに応答して開口部を形成するよう開く。弁は、液体シリコーンゴム(LSR)で作られるのが良い。
【0188】
アクチュエータ部分730が弁に取り付けられ、またこの中に埋め込まれている。例えば、アクチュエータ部分は、電気活性ポリマー(EAP)で作られるのが良い。電解によって刺激されると、LSR部分は、堅くなって開放に抵抗する。一実施形態では、弁の環状フランジ704は、複数のEAPストリップ732(4つとして示されている)を備えている。これよりも多いまたは少ないストリップを含む他の形態または異なる形をした部分もまた適している場合がある。別の実施形態では、カモノハシ形弁720のフラップ722のうちの少なくとも一方および一実施形態では両方のフラップは、埋め込み状態の電気活性ポリマー作動部分730、例えばストリップを備えている。理解されるべきこととして、アクチュエータ部分またはEAP特徴部もまた、弁の排気弁または呼息部分731に取り付けられても良い。
【0189】
VHCまたは他の薬物送達器具は、フローチャネル701を定めるハウジング2,12を有する。弁700,720は、フローチャネル内に設けられている。弁は、フローチャネルを通る流れに応答して、第1の形態と第2の形態との間で、例えば、開放形態と閉鎖形態(完全または部分的)との間で動くことができる。流れは、吸息であっても良くまたは呼息であっても良い。弁は、刺激、例えば電気的刺激に応答して第1の状態と第2の状態との間で再構成可能である。例えば、第1および第2の状態は、第1および第2の剛性または曲げおよび/または変形に対する抵抗である。弁は、弁が第1の状態にあるとき、第1の形態と第2の形態との間での動きに対して第1の抵抗、例えば曲げまたは変形抵抗を有し、この弁は、弁が第2の状態にあるとき、第1の形態と第2の形態との間での動きに対して第2の抵抗を有し、第1の抵抗は、第2の抵抗よりも大きい。アクチュエータ708が電気的刺激を加える。
【0190】
作用を説明すると、流れが例えば患者の吸息または呼息によってハウジングのフローチャネルを通って作られる。この流れにより、弁700,720は、フローチャネルを通る流れに応答して第1の形態と第2の形態との間で動く。本明細書の他の場所で説明した種々のセンサおよび方法によって計算される流量に応じて、アクチュエータ708は、図34に示されているように刺激(例えば、電気)を弁に加えるよう命令されるのが良い。弁は、刺激に応答して第1の状態から第2の状態に再構成される。チャネルを通る流れは、弁が第2の状態に再構成されたとき、例えば、曲げまたは変形に対して大きな抵抗を生じさせたとき、変更され、例えば絞られまたは増やされ、その結果、弁によって形成されまたは弁と弁座との間に形成される開口部が絞られまたは小さく保たれるようになる。
【0191】
図37に示されているように、弁は、上述したように検知されるとともに検出される弁を通る流量が所定のしきい値、例えば30L/minを超えないようにアクティブに管理されるのが良い。
【0192】
スマート装置の上述の実施形態のうちの任意のものに関し、センサ、計器またはスイッチと通信しまたはこれらを制御するコントローラまたは他の処理要素がスマート装置それ自体に組み込まれても良く、この内外に位置決めされても良く、あるいはこれから見て遠隔に配置されても良い。理解されるべきこととして、種々のセンサ、計器またはスイッチは、多数の機能を実行することができ、しかも種々の組み合わせで使用でき、全ては、コントローラまたは他の処理要素と通信状態にある。加えて、上述したスマート装置のうちの任意のものに関し、集められたデータのうちの幾つかまたは全ておよびセンサ、スイッチまたは計器によって装置のユーザに提供されたフィードバックは、遠隔に位置する介護士に同時に伝送できる。遠隔に位置する介護士または監視機関は、治療セッション中、別のアドバイスまたは情報を提供するよう介入することができる。変形例として、介護士または監視機関にユーザと並行に伝送されるデータおよびフィードバックは、医療関係者による後の評価のためにリモート記憶されるのが良い。検知されたデータおよび任意のフィードバックを含む遠隔情報源への同時伝送はまた、スマート装置それ自体上に記憶されているデータのいたずらまたは破損に関する問題の発生を阻止することができる。
【0193】
任意のコントローラ回路、センサ、計器およびスイッチのためのバッテリまたは他の電力供給源は、本明細書において説明したスマート装置の種々の実施形態において充電可能でありまたは取り外し可能であるのが良い。バッテリの放電を最小限に抑えるため、センサのうちのある特定のものは、連続測定モードではなく所定の標本化周波数向きに構成されるのが良い。また、スマート装置に設けられている回路は、特定のイベントの検出時にのみアクティブな状態になるのが良く、初期トリガから所定の期間後またはこの装置の検知された休止期間後に自動的にオフに切り替わるのが良い。
【0194】
本発明を好ましい実施形態に関して説明したが、当業者であれば認識されるように、本発明の精神および範囲から逸脱することなく形態および細部における変更を行うことができる。したがって、上述の詳細な説明は、本発明を限定するものではなく例示として解されるべきであり、本発明の範囲を定めるようになっているのは添付の特許請求の範囲の記載内容(その全ての均等範囲を含む)である。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
図15
図16
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図19
図20
図21
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図24
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図29
図30
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図32
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図34
図35
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図37
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図39
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図45A
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図86
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【手続補正書】
【提出日】2022-09-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達システムであって、
入力端部と出力端部とを有するチャンバハウジングを備え、該チャンバハウジングが内部空間を規定し、前記出力端部が吸入流路を規定しユーザインターフェースを備えている、弁付き保持チャンバと、
前記出力端部に連結され、前記吸入流路と離れ前記チャンバハウジングの内部空間を含まない呼息流路を規定する弁組立体であって、一方向吸入弁部分と一方向呼息弁部分とを有するワンピース弁を備えた弁組立体と、を備え、
前記入力端部と出力端部とは直接、連結され、前記吸入弁部分は前記吸入流路に配置され、前記呼息弁部分は前記呼息流路に配置され、
前記吸入弁部分は、前記入力端部から、前記内部空間を通り、前記吸入流路を通り、前記吸気弁部分を通り、前記ユーザインターフェースを通過し、ユーザーインタフェースに至る流れに応答して、閉鎖形態と開放形態との間で動くことができ、
前記呼息弁部分が、前記吸入流路を通る呼息流れに応答して、第1形態と第2形態との間で動くことができ、
前記吸入弁部分が、刺激に応答して第1状態と第2状態の間で再構成可能であり、
前記吸入弁部分は、該吸入弁部分が前記第1状態にあるとき、前記閉鎖態様と開放態様との間の動きに対する第1抵抗を有し、
前記吸入弁部分は、該吸入弁部分が前記第2状態にあるとき、前記閉鎖態様と開放態様との間の動きに対する第2抵抗を有し、
前記第1抵抗は前記第2抵抗より小さく、
前記吸入弁部分は、該吸気弁部分が前記閉鎖形態にあるとき、呼息中の前記流れ流路の全ての逆流を防止する、
ことを特徴とする薬剤送達システム。
【請求項2】
前記第1および第2状態は、第1および第2のスチフネスである、
請求項1に記載の薬剤送達システム。
【請求項3】
前記刺激が、電気刺激であり、
前記電気刺激を与えるように構成されたアクチュエータをさらに備えている、
請求項1に記載の薬剤送達システム。
【請求項4】
前記弁が電気活性ポリマーを含む、
請求項3に記載の薬剤送達システム。
【請求項5】
前記吸入弁部分が、中央開口を規定する環状フランジを有している環状ドーナツ形弁を備え、前記環状フランジは前記吸入弁部分が閉鎖形態にあるとき弁座に係合し、
前記吸入弁部分は、複数の埋込み電気活性ポリマーストリップを備えるように構成されている、
請求項3に記載の薬剤送達システム。
【請求項6】
前記吸入弁部分は、対向するフラップを備えたカモノハシ形弁を備え、前記フラップのうちの少なくとも一方は、埋込み電気活性ポリマー部分を備えるように構成されている、
請求項3に記載の薬剤送達システム。
【請求項7】
前記呼息弁部分が、第2刺激に応答して第1状態と第2状態の間で再構成可能であり、
前記呼息弁部分は、該呼息弁部分が前記第1状態にあるとき、前記第1態様と第2態様との間の動きに対する第1抵抗を有し、
前記呼息弁部分は、該呼息弁部分が前記第2状態にあるとき、前記第1態様と第2態様との間の動きに対する第2抵抗を有し、
前記呼息弁部分の前記第1抵抗は前記第2抵抗より小さい、
請求項1記載の薬剤送達システム。
【請求項8】
前記呼息弁部分の前記第1状態と第2状態は、閉鎖態様と開放態様とを、それぞれ備えている、
請求項7に記載の薬剤送達システム。
【請求項9】
前記呼息弁部分の前記第1状態と第2状態は、前記呼息弁部分のスチフネスである、
請求項7に記載の薬剤送達システム。
【請求項10】
前記第2刺激が、第2電気刺激であり、
前記第2電気刺激を与えるように構成された第2アクチュエータをさらに備えている、
請求項7に記載の薬剤送達システム。
【請求項11】
前記ユーザーインタフェースが、マウスピースである、
請求項1に記載の薬剤送達システム。
【外国語明細書】