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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174126
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】光モジュール
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20221115BHJP
   G02B 26/08 20060101ALI20221115BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
G02B26/10 104Z
G02B26/08 E
B81B3/00
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135946
(22)【出願日】2022-08-29
(62)【分割の表示】P 2019502473の分割
【原出願日】2017-12-20
(31)【優先権主張番号】P 2017036261
(32)【優先日】2017-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度 経済産業省、スマートモビリティシステム研究開発・実証事業:自動バレーパーキングの実証及び高度な自動走行システムの実現に必要な研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100177910
【弁理士】
【氏名又は名称】木津 正晴
(72)【発明者】
【氏名】森永 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大幾
(57)【要約】
【課題】ミラーの振れ角に関する情報を精度良く取得することができる光モジュール、及びそのような光モジュールを備える測距装置を提供する。
【解決手段】光モジュールは、支持部と、支持部において軸線周りに揺動可能となるように支持された可動部と、可動部に設けられたミラーと、可動部に設けられた駆動用コイルと、支持部に設けられた温度モニタ用素子と、駆動用コイルに作用する磁界を発生させる磁石と、を備える。支持部は、磁石と熱的に接続されている。駆動用コイルは、可動部を揺動させるための駆動電源に電気的に接続されており、温度モニタ用素子は、可動部を揺動させるための駆動電源に電気的に接続されていない。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部と、
前記支持部において軸線周りに揺動可能となるように支持された可動部と、
前記可動部に設けられたミラーと、
前記可動部に設けられた駆動用コイルと、
前記支持部に設けられた温度モニタ用素子と、
前記駆動用コイルに作用する磁界を発生させる磁石と、を備え、
前記支持部は、前記磁石と熱的に接続されており、
前記駆動用コイルは、前記可動部を揺動させるための駆動電源に電気的に接続されており、
前記温度モニタ用素子は、前記可動部を揺動させるための駆動電源に電気的に接続されていない、光モジュール。
【請求項2】
前記可動部が前記軸線周りに揺動可能となるように、前記可動部と前記支持部とを互いに連結する連結部を更に備え、
前記連結部における前記可動部側の端部の幅は、前記可動部に近づくほど広がっている、請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記可動部が前記軸線周りに揺動可能となるように、前記可動部と前記支持部とを互いに連結する連結部を更に備え、
前記ミラーの光軸方向から見た場合に、前記支持部の幅は、前記連結部の幅よりも広い、請求項1又は2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記温度モニタ用素子は、温度に応じて抵抗値が変化する温度モニタ用抵抗である、請求項1~3のいずれか一項に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記温度モニタ用抵抗は、コイルとして構成されている、請求項4に記載の光モジュール。
【請求項6】
前記支持部に設けられた電極パッドと、
前記駆動用コイルの一端と前記電極パッドとに接続された配線と、を更に備え、
前記電極パッドは、前記ミラーの光軸方向から見た場合に、前記温度モニタ用抵抗の内側に設けられている、請求項5に記載の光モジュール。
【請求項7】
前記温度モニタ用素子は、前記支持部に埋め込まれている、請求項1~6のいずれか一項に記載の光モジュール。
【請求項8】
前記支持部の厚さは、1mm以下である、請求項1~7のいずれか一項に記載の光モジュール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、光モジュール及び測距装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光モジュールとして、駆動用コイル及び起電力モニタ用コイルが可動部に設けられた電磁駆動方式のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーを備えるものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。このようなMEMSミラーでは、駆動用コイルにローレンツ力を発生させるための磁石の磁界中において可動部が揺動するため、可動部に設けられた起電力モニタ用コイルに起電力が発生する。したがって、起電力モニタ用コイルに発生した起電力に基づいて、ミラーが設けられた可動部の振れ角、すなわち、ミラーの振れ角に関する情報を取得することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-182136号公報
【特許文献2】特開平10-90625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述したような光モジュールでは、磁石によって発生させられる磁界の磁束密度が磁石の温度に応じて変化するため、磁石の温度を考慮しないと、ミラーの振れ角に関する情報を精度良く取得することができない。特に、上述したような光モジュールが車載用の測距装置に適用される場合、使用環境温度が大きく変化し、それに伴って、磁石の温度が大きく変化するため、ミラーの振れ角に関する情報の精度が著しく劣化するおそれがある。また、光モジュールが起電力モニタ用コイルを備えない場合においても、磁石の温度を考慮しないと、ミラーの振れ角に関する情報を精度良く取得することができないことがある。
【0005】
本発明の一側面は、ミラーの振れ角に関する情報を精度良く取得することができる光モジュール、及びそのような光モジュールを備える測距装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る光モジュールは、支持部と、支持部において軸線周りに揺動可能となるように支持された可動部と、可動部に設けられたミラーと、可動部に設けられた駆動用コイルと、支持部に設けられた温度モニタ用素子と、駆動用コイルに作用する磁界を発生させる磁石と、を備え、支持部は、磁石と熱的に接続されている。
【0007】
この光モジュールでは、温度モニタ用素子が、磁石と熱的に接続された支持部に設けられている。これにより、例えば、温度モニタ用素子が駆動用コイルと共に可動部に設けられている場合に比べ、温度モニタ用素子の温度が磁石の温度を反映したものとなる。その理由は、例えば、温度モニタ用素子が駆動用コイルと共に可動部に設けられていると、温度モニタ用素子が駆動用コイルでの発熱の影響を受け、また、可動部と磁石との間に形成される空間が熱抵抗となるからである。よって、この光モジュールによれば、温度モニタ用素子の検出値に基づいて、磁石の温度に応じて変化する磁石の磁束密度を考慮し、その上で、ミラーの振れ角に関する情報を精度良く取得することができる。なお、温度モニタ用素子の温度が磁石の温度を反映したものになるとは、温度モニタ用素子の温度が磁石の温度に一致する場合に限定されず、温度モニタ用素子の温度が磁石の温度に所定の関係で(例えば、所定の温度差で)追従するという意味である。
【0008】
本発明の一側面に係る光モジュールでは、可動部は、支持部において第1軸線周りに揺動可能となるように支持された第1可動部と、支持部において第1軸線と交差する第2軸線周りに揺動可能となるように支持された第2可動部と、を有し、ミラーは、第1可動部に設けられており、第1可動部は、第1軸線周りに揺動可能となるように第2可動部に連結されており、第2可動部は、第2軸線周りに揺動可能となるように支持部に連結されていてもよい。これによれば、第1軸線周り及び第2軸線周りにミラーを揺動させることができる。
【0009】
本発明の一側面に係る光モジュールでは、駆動用コイルは、第1可動部に設けられた第1駆動用コイルを有していてもよい。これによれば、第1駆動用コイルに生じるローレンツ力によって第1可動部を駆動することができる。
【0010】
本発明の一側面に係る光モジュールは、第1可動部に設けられた起電力モニタ用コイルを更に備え、磁石は、駆動用コイル及び起電力モニタ用コイルに作用する磁界を発生させてもよい。これによれば、温度モニタ用素子の検出値、及び起電力モニタ用コイルに発生する起電力に基づいて、磁石の温度に応じて変化する磁石の磁束密度を考慮し、その上で、ミラーの振れ角に関する情報を精度良く取得することができる。
【0011】
本発明の一側面に係る光モジュールでは、駆動用コイルは、第2可動部に設けられた第2駆動用コイルを有していてもよい。これによれば、第2駆動用コイルに生じるローレンツ力によって第2可動部を駆動することができる。
【0012】
本発明の一側面に係る光モジュールは、第1可動部に設けられた起電力モニタ用コイルを更に備え、磁石は、駆動用コイル及び起電力モニタ用コイルに作用する磁界を発生させてもよい。これによれば、温度モニタ用素子の検出値、及び起電力モニタ用コイルに発生する起電力に基づいて、磁石の温度に応じて変化する磁石の磁束密度を考慮し、その上で、ミラーの振れ角に関する情報を精度良く取得することができる。
【0013】
本発明の一側面に係る光モジュールは、第2可動部に設けられた起電力モニタ用コイルを更に備え、磁石は、駆動用コイル及び起電力モニタ用コイルに作用する磁界を発生させてもよい。これによれば、温度モニタ用素子の検出値、及び起電力モニタ用コイルに発生する起電力に基づいて、磁石の温度に応じて変化する磁石の磁束密度を考慮し、その上で、ミラーの振れ角に関する情報を精度良く取得することができる。
【0014】
本発明の一側面に係る光モジュールでは、可動部は、支持部において第1軸線周りに揺動可能となるように支持された第1可動部と、支持部において支持された第2可動部と、を有し、ミラーは、第1可動部に設けられており、第1可動部は、第1軸線周りに揺動可能となるように第2可動部に連結されており、第2可動部は、第2可動部を振動させることによって第1軸線周りに第1可動部が揺動可能となるように、支持部に連結されており、駆動用コイルは、第2可動部に設けられた第2駆動用コイルを有していてもよい。これによれば、第2駆動用コイルに生じるローレンツ力によって第1可動部を揺動させることができる。
【0015】
本発明の一側面に係る光モジュールは、第1可動部に設けられた起電力モニタ用コイルを更に備え、磁石は、駆動用コイル及び起電力モニタ用コイルに作用する磁界を発生させてもよい。これによれば、温度モニタ用素子の検出値、及び起電力モニタ用コイルに発生する起電力に基づいて、磁石の温度に応じて変化する磁石の磁束密度を考慮し、その上で、ミラーの振れ角に関する情報を精度良く取得することができる。
【0016】
本発明の一側面に係る光モジュールは、第2可動部に設けられた起電力モニタ用コイルを更に備え、磁石は、駆動用コイル及び起電力モニタ用コイルに作用する磁界を発生させてもよい。これによれば、温度モニタ用素子の検出値、及び起電力モニタ用コイルに発生する起電力に基づいて、磁石の温度に応じて変化する磁石の磁束密度を考慮し、その上で、ミラーの振れ角に関する情報を精度良く取得することができる。
【0017】
本発明の一側面に係る光モジュールは、第1可動部が第1軸線周りに揺動可能となるように、第1可動部と第2可動部とを互いに連結する連結部を更に備え、ミラーの光軸方向から見た場合に、支持部の幅は、連結部の幅よりも広くてもよい。これによれば、支持部が熱を伝達し易いため、温度モニタ用素子の温度が磁石の温度をより正確に反映したものとなる。更に、連結部の幅が支持部の幅よりも狭いため、第1可動部に駆動用コイルが設けられている場合に、駆動用コイルで生じた熱が連結部及び第2可動部を介して支持部に伝わり難くなる。これにより、温度モニタ用素子の温度が磁石の温度をより一層正確に反映したものとなる。
【0018】
本発明の一側面に係る光モジュールは、第2可動部が第2軸線周りに揺動可能となるように、第2可動部と支持部とを互いに連結する連結部を更に備え、ミラーの光軸方向から見た場合に、支持部の幅は、連結部の幅よりも広くてもよい。これによれば、支持部が熱を伝達し易いため、温度モニタ用素子の温度が磁石の温度をより正確に反映したものとなる。更に、連結部の幅が支持部の幅よりも狭いため、駆動用コイルで生じた熱が連結部を介して支持部に伝わり難くなる。これにより、温度モニタ用素子の温度が磁石の温度をより一層正確に反映したものとなる。
【0019】
本発明の一側面に係る光モジュールでは、温度モニタ用素子は、温度に応じて抵抗値が変化する温度モニタ用抵抗であってもよい。これによれば、温度モニタ用素子を簡易な構成で容易に形成することができる。
【0020】
本発明の一側面に係る光モジュールでは、温度モニタ用抵抗は、コイルとして構成されていてもよい。これによれば、抵抗値の変化を検出するのに十分な長さを有する温度モニタ用抵抗を限られた領域において実現することができる。
【0021】
本発明の一側面に係る光モジュールは、支持部に設けられた電極パッドと、駆動用コイルの一端と電極パッドとに接続された配線と、を更に備え、電極パッドは、ミラーの光軸方向から見た場合に、温度モニタ用抵抗の内側に設けられていてもよい。これによれば、電極パッドに接続された配線が温度モニタ用抵抗を跨ぐのを回避することができ、配線の熱が温度モニタ用抵抗に伝わるのを抑制することができる。
【0022】
本発明の一側面に係る光モジュールでは、支持部は、ミラーの光軸方向から見た場合に可動部を囲むように枠状に形成されていてもよい。これによれば、可動部の安定的な支持を実現することができる。
【0023】
本発明の一側面に係る光モジュールでは、温度モニタ用素子は、光軸方向から見た場合に支持部の外縁に沿うように支持部に設けられていてもよい。これによれば、温度モニタ用素子が駆動用コイルでの発熱の影響をより受け難くなる。また、温度モニタ用素子が温度モニタ用抵抗である場合に、温度モニタ用抵抗について、抵抗値の変化を検出するのに十分な長さをより確保し易くなる。
【0024】
本発明の一側面に係る光モジュールでは、駆動用コイル及び温度モニタ用素子は、同一平面に沿うように配置されていてもよい。これによれば、支持部、可動部、ミラー、駆動用コイル及び温度モニタ用素子を半導体製造プロセスで製造する場合に、駆動用コイル及び温度モニタ用素子を容易に形成することができる。
【0025】
本発明の一側面に係る光モジュールでは、駆動用コイル、起電力モニタ用コイル及び温度モニタ用素子は、同一平面に沿うように配置されていてもよい。これによれば、支持部、可動部、ミラー、駆動用コイル、起電力モニタ用コイル及び温度モニタ用素子を半導体製造プロセスで製造する場合に、駆動用コイル、起電力モニタ用コイル及び温度モニタ用素子を容易に形成することができる。
【0026】
本発明の一側面に係る光モジュールでは、駆動用コイルは、可動部に埋め込まれていてもよい。これによれば、駆動用コイルの断面積を大きくして、駆動用コイルの抵抗値を小さくすることができるため、駆動用コイルでの消費電力を低下させることが可能となる。
【0027】
本発明の一側面に係る光モジュールでは、起電力モニタ用コイルは、可動部に埋め込まれていてもよい。これによれば、起電力モニタ用コイルの断面積を大きくして、起電力モニタ用コイルの抵抗値を小さくすることができるため、起電力モニタ用コイルにおいてクロストーク発生時のノイズを低減することが可能となる。
【0028】
本発明の一側面に係る光モジュールでは、温度モニタ用素子は、支持部に埋め込まれていてもよい。これによれば、温度モニタ用素子の温度が磁石の温度をより正確に反映したものとなる。
【0029】
本発明の一側面に係る光モジュールは、支持部、可動部、ミラー、駆動用コイル及び温度モニタ用素子を収容するパッケージを更に備え、支持部は、パッケージの一部であるベースの内側表面に取り付けられており、磁石は、可動部と対向するようにベースの外側表面に取り付けられていてもよい。これによれば、支持部、可動部、ミラー、駆動用コイル及び温度モニタ用素子を外部から保護しつつ、構成の単純化を図ることができる。
【0030】
本発明の一側面に係る光モジュールでは、ベースの内側表面には、可動部と対向するように凹部が形成されていてもよい。これによれば、可動部とベースとの物理的な干渉を防止しつつ支持部の薄型化を図ることができるため、温度モニタ用素子の温度が磁石の温度をより正確に反映したものとなる。
【0031】
本発明の一側面に係る光モジュールでは、パッケージは、ミラーの光軸方向から見た場合に支持部を囲むように配置された筒状の側壁を有し、ミラーの光軸方向におけるベースの厚さは、ミラーの光軸方向から見た場合における側壁と支持部との間の距離よりも小さくてもよい。これによれば、磁石の熱がベースを介して支持部に伝わり易くなる一方、側壁から支持部へは熱が伝わり難くなるため、温度モニタ用素子の温度が磁石の温度をより正確に反映したものとなる。
【0032】
本発明の一側面に係る光モジュールは、温度モニタ用素子の検出値、及び起電力モニタ用コイルに発生する起電力に基づいて、駆動用コイルに印加する駆動電流を制御する制御部を更に備えてもよい。これによれば、ミラーを所望の振れ角で揺動させることができる。
【0033】
本発明の一側面に係る測距装置は、上述した光モジュールと、レーザ光を出射する光源と、物体及びミラーを介してレーザ光を検出する光検出器と、を備える。
【0034】
この測距装置では、使用環境温度の変化によらず、ミラーを所望の振れ角で揺動させることができるため、高精度な測距を実現することが可能となる。
【発明の効果】
【0035】
本発明の一側面によれば、ミラーの振れ角に関する情報を精度良く取得することができる光モジュール、及びそのような光モジュールを備える測距装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、一実施形態の光モジュールの一部の断面図である。
図2図2は、図1に示されるMEMSミラーの平面図である。
図3図3は、図2に示される第1駆動用コイル及び起電力モニタ用コイル並びにその周辺部分の断面図である。
図4図4は、図2に示される第2駆動用コイル及びその周辺部分の断面図である。
図5図5は、図2に示される温度モニタ用抵抗及びその周辺部分の断面図である。
図6図6は、一実施形態の光モジュールの構成図である。
図7図7(a)は、図6に示されるフィルタに入力される駆動電流の波形図である。図7(b)は、図6に示されるフィルタから出力された駆動電流の波形図である。
図8図8(a)は、温度モニタ用抵抗における温度と抵抗値との関係を示す図である。図8(b)は、起電力モニタ用コイルにおける振れ角と起電力との関係を示す図である。
図9図9は、図6に示される光モジュールにおいて実施される駆動電流のフィードバック制御を示すフローチャートである。
図10図10は、一実施形態の測距装置の構成図である。
図11図11(a)は、第1変形例のMEMSミラーを示す模式的な平面図である。図11(b)は、第2変形例のMEMSミラーを示す模式的な平面図である。
図12図12(a)は、第3変形例のMEMSミラーを示す模式的な平面図である。図12(b)は、第4変形例のMEMSミラーを示す模式的な平面図である。
図13図13(a)は、第5変形例のMEMSミラーを示す模式的な平面図である。図13(b)は、第6変形例のMEMSミラーを示す模式的な平面図である。
図14図14(a)は、第7変形例のMEMSミラーを示す模式的な平面図である。図14(b)は、第8変形例のMEMSミラーを示す模式的な平面図である。
図15図15(a)は、第9変形例のMEMSミラーを示す模式的な平面図である。図15(b)は、第10変形例のMEMSミラーを示す模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する部分を省略する。
【0038】
図1に示されるように、光モジュール10は、電磁駆動方式のMEMSミラー1と、磁石30と、パッケージ40と、を備えている。磁石30は、例えば、永久磁石によって矩形板状に形成されている。磁石30は、MEMSミラー1に作用する磁界を発生させる。パッケージ40は、磁石30上に配置されている。パッケージ40は、MEMSミラー1を収容している。
【0039】
パッケージ40は、ベース41と、側壁42と、窓材43と、を有している。ベース41は、例えば、窒化アルミニウム又は酸化アルミニウム等の非磁性材料によって矩形板状に形成されている。側壁42は、例えば、窒化アルミニウム又は酸化アルミニウム等の非磁性材料によって矩形筒状に形成されている。窓材43は、例えば、ガラス等の透光性材料によって形成された矩形板状の基材の両表面に反射防止膜が形成されることで、構成されている。窓材43は、側壁42の一方の開口を気密に封止するように、例えば低融点ガラスによって側壁42に接合されている。ベース41は、側壁42の他方の開口を気密に封止するように、例えば低融点ガラスによって側壁42に接合されている。なお、ベース41と側壁42とは、非磁性材料によって一体的に形成されていてもよい。また、側壁42の一方の開口(すなわち、窓材43によって封止される開口)は、ベース41に対して傾斜していてもよい。
【0040】
MEMSミラー1が有する支持部2は、例えば樹脂によってベース41の内側表面41a(ベース41の表面のうちパッケージ40の内面を構成する面)に取り付けられている。磁石30は、例えば樹脂によってベース41の外側表面41b(ベース41の表面のうちパッケージ40の外面を構成する面)に取り付けられている。磁石30は、ベース41を介して、MEMSミラー1が有する第1可動部3と対向している。以下、MEMSミラー1が有するミラー7が動作させられていない状態において当該ミラー7に垂直な方向を光軸方向Aという。側壁42は、光軸方向Aから見た場合に支持部2を囲むように配置されている。光軸方向Aにおけるベース41の厚さは、光軸方向Aから見た場合における側壁42と支持部2との間の距離(最小距離)よりも小さい。光軸方向Aにおけるベース41の厚さとは、例えば、ベース41のうち、光軸方向Aから見た場合に支持部2と重なる領域の厚さ(最大厚さ)である。
【0041】
磁石30は、例えば、複数の磁石が組み合わせられることにより構成されている。磁石30は、第1磁石51と、第1磁石を挟むように配置された一対の第2磁石52,53と、を含んでいる。第1磁石51及び第2磁石52,53は、それぞれの磁極がハルバッハ配列となるように配列されている(すなわち、磁石30は、ハルバッハ構造を有している)。第2磁石52は、その第1磁極(例えばN極)が底面側(MEMSミラー1とは反対側)に位置し、且つ、その第2磁極(例えばS極)が上面側(MEMSミラー1側)に位置するように、配置されている。第2磁石53は、第2磁石52とは逆向きに配置されている。すなわち、第2磁石53は、その第1磁極が上面側に位置し、且つ、その第2磁極が底面側に位置するように、配置されている。第1磁石51は、第2磁石53側に第1磁極が位置し、且つ、第2磁石52側に第2磁極が位置するように、配置されている。第1磁石51、第2磁石52,53は、以上のような磁極の配列となるように配置されて組み合わされている。このため、磁極同士の引力及び斥力によって、第1磁石51には、上面から底面に向かう方向D1に沿って力が作用する。一方、第2磁石52,53には、底面から上面に向かう方向D2に沿って力が作用する。
【0042】
図2に示されるように、MEMSミラー1は、支持部2と、第1可動部3と、第2可動部4と、一対の第1連結部5と、一対の第2連結部6と、ミラー7と、を有している。支持部2、第1可動部3、第2可動部4、一対の第1連結部5及び一対の第2連結部6は、例えばシリコンによって一体的に形成されている。
【0043】
第1可動部3は、例えば矩形板状に形成されている。第2可動部4は、光軸方向Aから見た場合に隙間を介して第1可動部3を囲むように、例えば矩形環状に形成されている。支持部2は、光軸方向Aから見た場合に隙間を介して第2可動部4を囲むように、例えば矩形枠状に形成されている。つまり、支持部2は、光軸方向Aから見た場合に第1可動部3及び第2可動部4を囲むように枠状に形成されている。第2可動部4は、光軸方向Aから見た場合に、多角形環状、円環状等の任意の形状に形成されてよい。
【0044】
第1可動部3は、第1軸線X1周りに揺動可能となるように、一対の第1連結部5を介して第2可動部4に連結されている。つまり、第1可動部3は、支持部2において第1軸線X1周りに揺動可能となるように支持されている。第1可動部3は、第1部分31と、第2部分32と、を含んでいる。第1部分31は、光軸方向Aから見た場合に例えば円形状に形成されている。第2部分32は、光軸方向Aから見た場合に例えば矩形環状に形成されている。第1部分31は、光軸方向Aから見た場合に第2部分32に囲まれており、複数の接続部分33を介して第2部分32と接続されている。つまり、第1部分31と第2部分32との間には、複数の接続部分33を除いて隙間が形成されている。複数の接続部分33は、例えば、矩形状の第2部分32の内縁のうち2辺の中央部に位置している。第2可動部4は、第2軸線X2周りに揺動可能となるように、一対の第2連結部6を介して支持部2に連結されている。つまり、第2可動部4は、支持部2において第2軸線X2周りに揺動可能となるように支持されている。第1軸線X1及び第2軸線X2は、光軸方向Aに垂直であり、互いに交差している(ここでは、互いに直交している)。なお、第1部分31は、光軸方向Aから見た場合に矩形状又は多角形状に形成されていてもよい。第2部分32は、光軸方向Aから見た場合に五角形以上の多角形環状又は円環状に形成されていてもよい。
【0045】
一対の第1連結部5は、第1可動部3の第2部分32と第2可動部4との間の隙間において、第1可動部3を挟むように第1軸線X1上に配置されている。各第1連結部5は、トーションバーとして機能する。一対の第1連結部5は、第1可動部3が第1軸線X1周りに揺動可能となるように、第1可動部3と第2可動部4とを互いに連結している。光軸方向Aから見た場合に、支持部2の幅(最大幅)は、各第1連結部5の幅(最大幅)よりも広い。一対の第2連結部6は、第2可動部4と支持部2との間の隙間において、第2可動部4を挟むように第2軸線X2上に配置されている。各第2連結部6は、トーションバーとして機能する。一対の第2連結部6は、第2可動部4が第2軸線X2周りに揺動可能となるように、第2可動部4と支持部2とを互いに連結している。光軸方向Aから見た場合に、支持部2の幅(最大幅)は、各第2連結部6の幅(最大幅)よりも広い。なお、支持部2の幅とは、光軸方向Aから見た場合における支持部2の内縁と外縁との間の距離である。第1連結部5の幅とは、第1連結部5の延在方向(第1軸線X1に沿った方向)及び光軸方向Aの双方に直交する方向における長さである。第2連結部6の幅とは、第2連結部6の延在方向(第2軸線X2に沿った方向)及び光軸方向Aの双方に直交する方向における長さである。
【0046】
ミラー7は、第1可動部3の第1部分31に設けられている。ミラー7は、第1軸線X1と第2軸線X2との交点を含むように、第1部分31の一方の表面(窓材43側の表面)に形成されている。ミラー7は、例えば、アルミニウム、アルミニウム系合金、金又は銀等の金属材料によって、円形、楕円形又は矩形の膜状に形成されており、ミラー7の中心は、光軸方向Aから見た場合に、第1軸線X1と第2軸線X2との交点に一致している。このように、複数の接続部分33を介して第2部分32と接続された第1部分31にミラー7が設けられているため、第1可動部3が共振周波数レベルで第1軸線X1周りにおいて揺動しても、ミラー7に撓み等の変形が生じることが抑制される。
【0047】
更に、MEMSミラー1は、第1駆動用コイル11と、第2駆動用コイル12と、配線15a,15bと、配線16a,16bと、電極パッド21a,21bと、電極パッド22a,22bと、を有している。なお、図2では、説明の便宜上、第1駆動用コイル11及び第2駆動用コイル12を一点鎖線で示し、配線15a,15b及び配線16a,16bを実線で示す。
【0048】
第1駆動用コイル11は、第1可動部3の第2部分32に設けられている。第1駆動用コイル11は、光軸方向Aから見た場合におけるミラー7の外側の領域(すなわち、第2部分32)においてスパイラル状(渦巻き状)に複数回巻かれている。第1駆動用コイル11には、磁石30によって発生させられる磁界が作用する。
【0049】
図3に示されるように、第1駆動用コイル11は、第1可動部3の表面3aに形成された溝3b内に配置されている。つまり、第1駆動用コイル11は、第1可動部3に埋め込まれている。第1可動部3の表面3a及び溝3bの内面には、例えば酸化ケイ素又は窒化ケイ素等によって形成された絶縁層3cが設けられている。溝3b内における絶縁層3c上には、例えば、チタン、窒化チタン、銅、クロム等によって形成されたシード層25が設けられている。第1駆動用コイル11は、例えば、絶縁層3c及びシード層25を介して溝3b内に銅等の金属材料を埋め込むダマシン法によって形成される。第1可動部3の表面3aには、第1駆動用コイル11を覆うように、例えば酸化ケイ素又は窒化ケイ素等によって形成された絶縁層26及び絶縁層27が設けられている。第1可動部3において、絶縁層27の表面には、第1駆動用コイル11が配置された溝3bの内縁及び外縁に沿うように溝27aが形成されている。
【0050】
図2に示されるように、第1駆動用コイル11の一端は、配線15aを介して電極パッド21aに接続されている。配線15aは、絶縁層26と絶縁層27との間に形成されており(図3参照)、第1可動部3から、一方の第1連結部5、第2可動部4及び一方の第2連結部6を介して、支持部2に延在している。電極パッド21aは、絶縁層26と絶縁層27との間に形成されており(図3参照)、絶縁層27に形成された開口から外部に露出している。配線15a及び電極パッド21aは、例えば、タングステン、アルミニウム、金、銀、銅又はアルミニウム系合金等の金属材料によって一体的に形成されている。なお、第1駆動用コイル11と配線15aとは、絶縁層26に形成された開口を介して互いに接続されている。
【0051】
第1駆動用コイル11の他端は、配線15bを介して電極パッド21bに接続されている。配線15bは、絶縁層26と絶縁層27との間に形成されており(図3参照)、第1可動部3から、他方の第1連結部5、第2可動部4及び他方の第2連結部6を介して、支持部2に延在している。電極パッド21bは、絶縁層26と絶縁層27との間に形成されており(図3参照)、絶縁層27に形成された開口から外部に露出している。配線15b及び電極パッド21bは、例えば、タングステン、アルミニウム、金、銀、銅又はアルミニウム系合金等の金属材料によって一体的に形成されている。なお、第1駆動用コイル11と配線15bとは、絶縁層26に形成された開口を介して互いに接続されている。電極パッド21a,21bは外部端子であり、それぞれ、MEMSミラー1の外部に配置された駆動源等と例えばワイヤを介して電気的に接続されている。
【0052】
第2駆動用コイル12は、第2可動部4に設けられている。第2駆動用コイル12は、第2可動部4においてスパイラル状(渦巻き状)に複数回巻かれている。第2駆動用コイル12には、磁石30によって発生させられる磁界が作用する。
【0053】
図4に示されるように、第2駆動用コイル12は、第2可動部4の表面4aに形成された溝4b内に配置されている。つまり、第2駆動用コイル12は、第2可動部4に埋め込まれている。第2可動部4の表面4a及び溝4bの内面には、例えば酸化ケイ素又は窒化ケイ素等によって形成された絶縁層4cが設けられている。溝4b内における絶縁層4c上には、シード層25が設けられている。第2駆動用コイル12は、例えば、絶縁層4c及びシード層25を介して溝4b内に銅等の金属材料を埋め込むダマシン法によって形成される。第2可動部4の表面4aには、第2駆動用コイル12を覆うように、絶縁層26及び絶縁層27が設けられている。第2可動部4において、絶縁層27の表面には、第2駆動用コイル12が配置された溝4bの内縁及び外縁に沿うように溝27aが形成されている。
【0054】
図2に示されるように、第2駆動用コイル12の一端は、配線16aを介して電極パッド22aに接続されている。配線16aは、絶縁層26と絶縁層27との間に形成されており(図4参照)、第2可動部4から、一方の第2連結部6を介して、支持部2に延在している。電極パッド22aは、絶縁層26と絶縁層27との間に形成されており(図4参照)、絶縁層27に形成された開口から外部に露出している。配線16a及び電極パッド22aは、例えば、タングステン、アルミニウム、金、銀、銅又はアルミニウム系合金等の金属材料によって一体的に形成されている。なお、第2駆動用コイル12と配線16aとは、絶縁層26に形成された開口を介して互いに接続されている。
【0055】
第2駆動用コイル12の他端は、配線16bを介して電極パッド22bに接続されている。配線16bは、絶縁層26と絶縁層27との間に形成されており(図4参照)、第2可動部4から、他方の第2連結部6を介して、支持部2に延在している。電極パッド22bは、絶縁層26と絶縁層27との間に形成されており(図4参照)、絶縁層27に形成された開口から外部に露出している。配線16b及び電極パッド22bは、例えば、タングステン、アルミニウム、金、銀、銅又はアルミニウム系合金等の金属材料によって一体的に形成されている。なお、第2駆動用コイル12と配線16bとは、絶縁層26に形成された開口を介して互いに接続されている。電極パッド22a,22bは外部端子であり、それぞれ、MEMSミラー1の外部に配置された駆動源等と例えばワイヤを介して電気的に接続されている。
【0056】
更に、MEMSミラー1は、起電力モニタ用コイル13と、温度モニタ用抵抗(温度モニタ用素子)14と、配線17a,17bと、配線18a,18bと、電極パッド23a,23bと、電極パッド24a,24bと、を有している。なお、図2では、説明の便宜上、起電力モニタ用コイル13及び温度モニタ用抵抗14を破線で示し、配線17a,17b及び配線18a,18bを実線で示す。
【0057】
起電力モニタ用コイル13は、第1可動部3の第2部分32に設けられている。起電力モニタ用コイル13は、光軸方向Aから見た場合におけるミラー7の外側且つ第1駆動用コイル11の内側の領域においてスパイラル状(渦巻き状)に複数回巻かれている。起電力モニタ用コイル13には、磁石30によって発生させられる磁界が作用する。なお、起電力モニタ用コイル13は、光軸方向Aから見た場合における第1駆動用コイル11の外側の領域においてスパイラル状(渦巻き状)に複数回巻かれていてもよい。
【0058】
図3に示されるように、起電力モニタ用コイル13は、第1可動部3の表面3aに形成された溝3b内に配置されている。つまり、起電力モニタ用コイル13は、第1可動部3に埋め込まれている。第1可動部3の表面3a及び溝3bの内面には、絶縁層3cが設けられている。溝3b内における絶縁層3c上には、シード層25が設けられている。起電力モニタ用コイル13は、例えば、絶縁層3c及びシード層25を介して溝3b内に銅等の金属材料を埋め込むダマシン法によって形成される。第1可動部3の表面3aには、起電力モニタ用コイル13を覆うように、絶縁層26及び絶縁層27が設けられている。第1可動部3において、絶縁層27の表面には、起電力モニタ用コイル13が配置された溝3bの内縁及び外縁に沿うように溝27aが形成されている。
【0059】
図2に示されるように、起電力モニタ用コイル13の一端は、配線17aを介して電極パッド23aに接続されている。配線17aは、絶縁層26と絶縁層27との間に形成されており(図3参照)、第1可動部3から、他方の第1連結部5、第2可動部4及び一方の第2連結部6を介して、支持部2に延在している。電極パッド23aは、絶縁層26と絶縁層27との間に形成されており(図3参照)、絶縁層27に形成された開口から外部に露出している。配線17a及び電極パッド23aは、例えば、タングステン、アルミニウム、金、銀、銅又はアルミニウム系合金等の金属材料によって一体的に形成されている。なお、起電力モニタ用コイル13と配線17aとは、絶縁層26に形成された開口を介して互いに接続されている。
【0060】
起電力モニタ用コイル13の他端は、配線17bを介して電極パッド23bに接続されている。配線17bは、絶縁層26と絶縁層27との間に形成されており(図3参照)、第1可動部3から、一方の第1連結部5、第2可動部4及び他方の第2連結部6を介して、支持部2に延在している。電極パッド23bは、絶縁層26と絶縁層27との間に形成されており(図3参照)、絶縁層27に形成された開口から外部に露出している。配線17b及び電極パッド23bは、例えば、タングステン、アルミニウム、金、銀、銅又はアルミニウム系合金等の金属材料によって一体的に形成されている。なお、起電力モニタ用コイル13と配線17bとは、絶縁層26に形成された開口を介して互いに接続されている。電極パッド23a,23bは外部端子であり、それぞれ、MEMSミラー1の外部に配置された制御部等と例えばワイヤを介して電気的に接続されている。
【0061】
温度モニタ用抵抗14は、支持部2に設けられている。より具体的には、温度モニタ用抵抗14は、光軸方向Aから見た場合に支持部2の外縁2eに沿うように支持部2に設けられている。温度モニタ用抵抗14は、コイルとして構成されており、支持部2においてスパイラル状(渦巻き状)に複数回巻かれている。光軸方向Aから見た場合に、温度モニタ用抵抗14の最も外側のコイル部分と支持部2の外縁2eとの距離は、温度モニタ用抵抗14の最も内側のコイル部分と支持部2の内縁2fとの距離よりも小さい。温度モニタ用抵抗14の抵抗値は、温度に応じて変化する。温度モニタ用抵抗14は、例えば、タングステン、アルミニウム、金、銀、銅又はアルミニウム系合金等の金属材料によって形成されている。上述した各電極パッド21a,21b,22a,22b,23a,23bは、光軸方向Aから見た場合に、支持部2における温度モニタ用抵抗14の内側に設けられている。
【0062】
図5に示されるように、温度モニタ用抵抗14は、支持部2の表面2aに形成された溝2b内に配置されている。つまり、温度モニタ用抵抗14は、支持部2に埋め込まれている。支持部2の表面2a及び溝2bの内面には、例えば酸化ケイ素又は窒化ケイ素等によって形成された絶縁層2cが設けられている。溝2b内における絶縁層2c上には、シード層25が設けられている。温度モニタ用抵抗14は、例えば、絶縁層2c及びシード層25を介して溝2b内に銅等の金属材料を埋め込むダマシン法によって形成される。支持部2の表面2aには、温度モニタ用抵抗14を覆うように、絶縁層26及び絶縁層27が設けられている。支持部2において、絶縁層27の表面には、温度モニタ用抵抗14が配置された溝2bの内縁及び外縁に沿うように溝27aが形成されている。
【0063】
図2に示されるように、温度モニタ用抵抗14の一端は、配線18aを介して電極パッド24aに接続されている。配線18aは、絶縁層26と絶縁層27との間に形成されている(図5参照)。電極パッド24aは、絶縁層26と絶縁層27との間に形成されており(図5参照)、絶縁層27に形成された開口から外部に露出している。配線18a及び電極パッド24aは、例えば、タングステン、アルミニウム、金、銀、銅又はアルミニウム系合金等の金属材料によって一体的に形成されている。なお、温度モニタ用抵抗14と配線18aとは、絶縁層26に形成された開口を介して互いに接続されている。
【0064】
温度モニタ用抵抗14の他端は、配線18bを介して電極パッド24bに接続されている。配線18bは、絶縁層26と絶縁層27との間に形成されている(図5参照)。電極パッド24bは、絶縁層26と絶縁層27との間に形成されており(図5参照)、絶縁層27に形成された開口から外部に露出している。配線18b及び電極パッド24bは、例えば、タングステン、アルミニウム、金、銀、銅又はアルミニウム系合金等の金属材料によって一体的に形成されている。なお、温度モニタ用抵抗14と配線18bとは、絶縁層26に形成された開口を介して互いに接続されている。
【0065】
図1に示されるように、MEMSミラー1の支持部2は、パッケージ40のベース41を介して磁石30と熱的に接続されている。MEMSミラー1の第1可動部3及び第2可動部4は、ベース41との間に空間が形成され且つ支持部2との間に隙間が形成された状態で支持部2に支持されているため、支持部2に比べ、磁石30から熱的に切り離された状態にある。ベース41の内側表面41aには、第1可動部3及び第2可動部4と対向するように凹部41cが形成されている。なお、支持部2、第1可動部3及び第2可動部4のそれぞれにおける窓材43側の表面は、面一となっており、第1駆動用コイル11、第2駆動用コイル12、起電力モニタ用コイル13及び温度モニタ用抵抗14は、同一平面(支持部2、第1可動部3及び第2可動部4のそれぞれにおける窓材43側の表面)に沿うように配置されている(図2参照)。
【0066】
支持部2が磁石30と熱的に接続されている他の例としては、支持部2が磁石30に直接に接続されている場合、或いは、空気よりも熱伝導率が高い部材を介して支持部2が磁石30に接続されている場合が挙げられる。他の例としては、磁石30、支持部2及び温度モニタ用抵抗14がこの順に積み重ねられ、一直線上に並んでいる場合が挙げられる。本実施形態では、光軸方向Aから見た場合に、支持部2と磁石30とが互いに重なるように配置されているが、磁石30と支持部2とは、互いに重ならないように配置されてもよい。例えば、磁石30は、側壁42と支持部2との間に位置するようにベース41上に設けられてもよい。この場合にも、支持部2はベース41を介して磁石30と熱的に接続される。或いは、磁石30は、側壁42と支持部2との間に位置し且つ支持部2に接触するように、ベース41上に設けられてもよい。この場合、支持部2は、磁石30に接触することにより、磁石30と熱的に接続される。或いは、磁石30は、側壁42の外側(側壁42に対してMEMSミラー1とは反対側)に位置するようにベース41上に設けられてもよい。この場合、支持部2はベース41を介して磁石30と熱的に接続される。本実施形態では、例えば矩形枠状の支持部2が4辺においてベース41に支持されているが、支持部2は、少なくとも2辺においてベース41に支持されていればよく、例えば対向する2辺のみにおいてベース41に支持されてもよい。すなわち、凹部41cが、支持部2の2つの辺部の下側に至るように形成されていてもよい。
【0067】
光モジュール10の動作について説明する。図6に示されるように、光モジュール10では、MEMSミラー1に制御部50が電気的に接続される。
【0068】
制御部50は、第1駆動用コイル11に高周波数の駆動電流を印加する。このとき、第1駆動用コイル11には、磁石30によって発生させられた磁界が作用しているため、第1駆動用コイル11にローレンツ力が発生する。これにより、第1可動部3は、例えば、共振周波数レベルで第1軸線X1周りにおいて揺動させられる。
【0069】
なお、第1駆動用コイル11に印加される駆動電流は、コンデンサを含むフィルタを通ることによって、図7(a)に示される方形波から図7(b)に示される方形波に変換される。図7(a)に示されるように、急峻な立ち上がりを有する方形波が駆動電流として第1駆動用コイル11に印加されると、目的以外の周波数成分によって、不要な動作や、第2駆動用コイル12及び起電力モニタ用コイル13等へのクロストークが引き起こされるおそれがある。図7(b)に示されるように、遅れが生じるように鈍った立ち上がりを有する方形波が駆動電流として第1駆動用コイル11に印加されることで、そのような問題の発生が抑制される。
【0070】
また、制御部50は、第2駆動用コイル12に一定の大きさの駆動電流を印加する。このとき、第2駆動用コイル12には、磁石30によって発生させられた磁界が作用しているため、第2駆動用コイル12にローレンツ力が発生する。これにより、第2可動部4は、例えば、駆動電流の大きさに応じて第2軸線X2周りにおいて回動させられ、その状態で停止させられる。
【0071】
更に、制御部50は、温度モニタ用抵抗14の抵抗値、及び起電力モニタ用コイル13に発生する起電力に基づいて、第1駆動用コイル11に印加する駆動電流を制御する。その理由は、次のとおりである。
【0072】
MEMSミラー1において第1可動部3が定常状態で共振動作している場合、磁石30によって発生させられる磁界の磁束密度をB(T)とし、起電力モニタ用コイル13の巻き数をnとし、磁場が直交する方向における起電力モニタ用コイル13の長さをl(m)とし、起電力モニタ用コイル13の速度をv(m/s)とすると、起電力モニタ用コイル13に発生する最大起電力E(V)は、E=nvBlと表される。そして、起電力モニタ用コイル13の回転半径をr(m)とし、起電力モニタ用コイル13の角振動数をω(s-1)とし、起電力モニタ用コイル13の最大振れ角(振幅)をθ(rad)とすると、起電力モニタ用コイル13の速度v(m/s)は、v=rωθと表される。以上の2式から、最大起電力Eと最大振れ角θとの関係は、E=nBlrωθと表される。なお、起電力モニタ用コイル13に発生する起電力、及び起電力モニタ用コイル13の振れ角のそれぞれの時間変化は、正弦波状であるため、ここでは、それらの最大値(すなわち、最大起電力E及び最大振れ角θ)に着目している。
【0073】
したがって、巻き数n、磁束密度B、長さl、回転半径r、角振動数ωが一定であれば、起電力モニタ用コイル13に発生する最大起電力Eをモニタすることで、起電力モニタ用コイル13の最大振れ角θ、すなわち、ミラー7の最大振れ角を取得することができる。しかし、実際には、磁石30によって発生させられる磁界の磁束密度Bは、磁石30の温度に応じて変化する。そのため、磁石30の温度を考慮しないと、ミラー7の最大振れ角を精度良く取得することができない。
【0074】
そこで、制御部50は、温度モニタ用抵抗14の抵抗値、及び起電力モニタ用コイル13に発生する起電力に基づいて、次のように、第1駆動用コイル11に印加する駆動電流を制御する。
【0075】
前提として、制御部50は、図8(a)に示されるように、温度モニタ用抵抗14における温度と抵抗値との関係を予め取得し、記憶する。また、制御部50は、図8(b)に示されるように、温度モニタ用抵抗14の温度ごとに、起電力モニタ用コイル13における振れ角と起電力との関係を予め取得し、記憶する。なお、光モジュール10では、温度に応じて抵抗値が変化する温度モニタ用抵抗14が、磁石30と熱的に接続された支持部2に設けられているため、温度モニタ用抵抗14の温度は、磁石30の温度を反映したものとなる。なお、温度モニタ用抵抗14の温度が磁石30の温度を反映したものになるとは、温度モニタ用抵抗14の温度が磁石30の温度に一致する場合に限定されず、温度モニタ用抵抗14の温度が磁石30の温度に所定の関係で(例えば、所定の温度差で)追従するという意味である。
【0076】
上述した各関係を記憶した上で、制御部50は、図9に示されるフローチャートに従って、第1駆動用コイル11に印加する駆動電流のフィードバック制御を実施する。まず、制御部50は、第1駆動用コイル11に高周波数の駆動電流を印加する(ステップS01)。これにより、第1可動部3が、例えば、共振周波数レベルで第1軸線X1周りにおいて揺動させられる。
【0077】
続いて、制御部50は、温度モニタ用抵抗14の抵抗値を取得し、取得した抵抗値に基づいて温度モニタ用抵抗14の温度を算出する(ステップS02)。具体的には、制御部50は、温度モニタ用抵抗14における温度と抵抗値との関係に基づいて、温度モニタ用抵抗14の温度を算出する。例えば、図8の(a)に示されるように、温度モニタ用抵抗14の抵抗値がRである場合には、温度モニタ用抵抗14の温度はTとなる。
【0078】
続いて、制御部50は、起電力モニタ用コイル13に発生している起電力を取得し、取得した起電力に基づいて起電力モニタ用コイル13の振れ角を算出する(ステップS03)。具体的には、制御部50は、起電力モニタ用コイル13における振れ角と起電力との関係に基づいて、起電力モニタ用コイル13の振れ角を算出する。例えば、図8(b)に示されるように、ステップS02で算出した温度がTである場合において、起電力モニタ用コイル13に発生している起電力がVであるときには、起電力モニタ用コイル13の振れ角は、θとなる。
【0079】
続いて、制御部50は、ステップS02で算出した振れ角と、実際に与えるべき振れ角との差分に基づいて、第1駆動用コイル11に印加する駆動電流を算出する(ステップS04)。そして、制御部50は、算出した駆動電流の値(具体的には、図7(a)及び図7(b)に示される方形波の振幅の大きさ)で第1駆動用コイル11に駆動電流を印加する。これにより、磁石30によって発生させられる磁界の磁束密度が、磁石30の温度に応じて変化したとしても、実際に与えるべき振れ角で第1軸線X1周りにおいてミラー7が揺動されることになる。
【0080】
以上説明したように、光モジュール10では、温度に応じて抵抗値が変化する温度モニタ用抵抗14が、磁石30と熱的に接続された支持部2に設けられている。これにより、例えば、温度モニタ用抵抗14が第1駆動用コイル11及び起電力モニタ用コイル13と共に第1可動部3に設けられている場合に比べ、温度モニタ用抵抗14の温度が磁石30の温度を反映したものとなる。その理由は、例えば、温度モニタ用抵抗14が第1駆動用コイル11及び起電力モニタ用コイル13と共に第1可動部3に設けられていると、温度モニタ用抵抗14が第1駆動用コイル11及び起電力モニタ用コイル13での発熱の影響を受け、また、第1可動部3と磁石30との間に形成される空間(より具体的には、第1可動部3とパッケージ40のベース41との間に形成される空間)が熱抵抗となるからである。よって、光モジュール10によれば、温度モニタ用抵抗14の抵抗値、及び起電力モニタ用コイル13に発生する起電力に基づいて、磁石30の温度に応じて変化する磁石30の磁束密度を考慮し、その上で、ミラー7の振れ角に関する情報(ミラー7の振れ角、ミラー7の速度等を含む)を精度良く取得することができる。また、温度モニタ用抵抗14の抵抗値に基づいて、ミラー7の振れ角を精度良く制御することができる。
【0081】
なお、支持部2の熱伝導率は、空気の熱伝導率よりも大きい(好ましくは、100倍以上大きい)。同様に、ベース41の熱伝導率は、空気の熱伝導率よりも大きい(好ましくは、100倍以上大きい)。また、支持部2が樹脂によってベース41の内側表面41aに取り付けられている場合にも、当該樹脂の厚さは、数十μm程度と非常に薄いため、当該樹脂によって熱伝導に影響が生じることは殆どない。同様に、磁石30が樹脂によってベース41の外側表面41bに取り付けられている場合にも、当該樹脂の厚さは、数十μm程度と非常に薄いため、当該樹脂によって熱伝導に影響が生じることは殆どない。つまり、光モジュール10では、空気層を隔てて磁石30の温度を検出する場合に比べ、よりダイレクトに磁石30の温度を検出しているといえる。
【0082】
また、光モジュール10では、第1可動部3が、第1軸線X1周りに揺動可能となるように第2可動部4に連結されており、第2可動部4が、第2軸線X2周りに揺動可能となるように支持部2に連結されている。これにより、第1軸線X1周り及び第2軸線X2周りにミラー7を揺動させることができる。
【0083】
また、光モジュール10では、温度モニタ用抵抗14が、コイルとして構成されている。これにより、抵抗値の変化を検出するのに十分な長さを有する温度モニタ用抵抗14を限られた領域において実現することができる。
【0084】
また、光モジュール10では、支持部2が、光軸方向Aから見た場合に第1可動部3を囲むように枠状に形成されている。これにより、第1可動部3の安定的な支持を実現することができる。
【0085】
また、光モジュール10では、温度モニタ用抵抗14が、光軸方向Aから見た場合に支持部2の外縁2eに沿うように支持部2に設けられている。これにより、温度モニタ用抵抗14が第1駆動用コイル11及び起電力モニタ用コイル13での発熱の影響をより受け難くなる。また、温度モニタ用抵抗14について、抵抗値の変化を検出するのに十分な長さをより確保し易くなる。
【0086】
また、光モジュール10では、第1駆動用コイル11、第2駆動用コイル12、起電力モニタ用コイル13及び温度モニタ用抵抗14が、同一平面に沿うように配置されている。これにより、MEMSミラー1を半導体製造プロセスで製造する場合に、第1駆動用コイル11、第2駆動用コイル12、起電力モニタ用コイル13及び温度モニタ用抵抗14を容易に形成することができる。
【0087】
また、光モジュール10では、第1駆動用コイル11が第1可動部3に埋め込まれている。これにより、第1駆動用コイル11の断面積を大きくして、第1駆動用コイル11の抵抗値を小さくすることができるため、第1駆動用コイル11での消費電力を低下させることが可能となる。
【0088】
また、光モジュール10では、第2駆動用コイル12が第2可動部4に埋め込まれている。これにより、第2駆動用コイル12の断面積を大きくして、第2駆動用コイル12の抵抗値を小さくすることができるため、第2駆動用コイル12での消費電力を低下させることが可能となる。
【0089】
また、光モジュール10では、起電力モニタ用コイル13が第1可動部3に埋め込まれている。これにより、起電力モニタ用コイル13の断面積を大きくして、起電力モニタ用コイル13の抵抗値を小さくすることができるため、起電力モニタ用コイル13においてクロストーク発生時のノイズを低減することが可能となる。
【0090】
また、光モジュール10では、温度モニタ用抵抗14が支持部2に埋め込まれている。これにより、温度モニタ用抵抗14の温度が磁石30の温度をより正確に反映したものとなる。
【0091】
また、光モジュール10では、支持部2が、パッケージ40のベース41の内側表面41aに取り付けられており、磁石30が、第1可動部3及び第2可動部4と対向するようにパッケージ40のベース41の外側表面41bに取り付けられている。これにより、MEMSミラー1を外部から保護しつつ、光モジュール10の構成の単純化を図ることができる。
【0092】
また、光モジュール10では、パッケージ40のベース41の内側表面41aに、第1可動部3及び第2可動部4と対向するように凹部41cが形成されている。これにより、第1可動部3及び第2可動部4とベース41との物理的な干渉を防止しつつ支持部2の薄型化を図ることができるため、温度モニタ用抵抗14の温度が磁石30の温度をより正確に反映したものとなる。なお、熱伝導を考慮すると、支持部2の厚さは、1mm以下であることが好ましく、600μm以下であることがより好ましい。
【0093】
また、光モジュール10では、制御部50が、温度モニタ用抵抗14の抵抗値、及び起電力モニタ用コイル13に発生する起電力に基づいて、第1駆動用コイル11に印加する駆動電流を制御する。これにより、ミラー7を所望の振れ角で揺動させることができる。
【0094】
また、光モジュール10では、光軸方向Aから見た場合に、支持部2の幅が第1連結部5の幅よりも広い。これにより、支持部2が熱を伝達し易いため、温度モニタ用抵抗14の温度が磁石30の温度をより正確に反映したものとなる。更に、第1連結部5の幅が支持部2の幅よりも狭いため、第1駆動用コイル11で生じた熱が第1連結部5及び第2可動部4を介して支持部2に伝わり難くなる。これにより、温度モニタ用抵抗14の温度が磁石30の温度をより一層正確に反映したものとなる。
【0095】
また、光モジュール10では、光軸方向Aから見た場合に、支持部2の幅が第2連結部6の幅よりも広い。これにより、支持部2が熱を伝達し易いため、温度モニタ用抵抗14の温度がより磁石30の温度をより正確に反映したものとなる。更に、第2連結部6の幅が支持部2の幅よりも狭いため、第2駆動用コイル12で生じた熱が第2連結部6を介して支持部2に伝わり難くなる。これにより、温度モニタ用抵抗14の温度が磁石30の温度をより一層正確に反映したものとなる。
【0096】
また、光モジュール10では、支持部2に設けられた電極パッド21a,21b,22a,22bが、光軸方向Aから見た場合に、温度モニタ用抵抗14の内側に設けられている。これにより、電極パッド21a,21b,22a,22bに接続された配線15a,15b,16a,16bが温度モニタ用抵抗14を跨ぐことを回避することができ、配線15a,15b,16a,16bの熱が温度モニタ用抵抗14に伝わることを抑制することができる。なお、本実施形態では、電極パッド21a,21b,22a,22bにそれぞれ接続された複数のワイヤが温度モニタ用抵抗14を跨いでいるが、ワイヤと温度モニタ用抵抗14との間には空気が介在するため、ワイヤの熱が温度モニタ用抵抗14に伝わることが抑制されている。
【0097】
また、光モジュール10では、光軸方向Aにおけるベース41の厚さが、光軸方向Aから見た場合における側壁42と支持部2との間の距離よりも小さい。これにより、磁石30の熱がベース41を介して支持部2に伝わり易くなる一方、側壁42から支持部2へは熱が伝わり難くなるため、温度モニタ用抵抗14の温度が磁石30の温度をより正確に反映したものとなる。
【0098】
以上のように構成された光モジュール10は、図10に示されるように、測距装置100に適用することができる。測距装置100は、例えば自動車等の車両に自動運転支援システムとして搭載される装置である。自動運転支援システムでは、走行中の車両と物体Kとの距離を測距装置100でリアルタイム計測し、計測結果に基づいて車両速度等を制御することで、車両と物体Kとの衝突を回避する制御が実行される。物体Kは、例えば他車両、壁等の障害物、歩行者等である。
【0099】
光モジュール10が車載用の測距装置100に適用される場合、使用環境温度が大きく変化し、それに伴って、磁石30の温度が大きく変化するため、ミラー7の振れ角に関する情報の精度が著しく劣化するおそれがある。しかし、上述したように、測距装置100では、使用環境温度の変化によらず、光モジュール10においてミラー7を所望の振れ角で揺動させることができるため、高精度な測距を実現することが可能となる。
【0100】
以下、測距装置100の構成について説明する。測距装置100は、光モジュール10と、レーザ光を出射する光源101と、物体K及びミラー7を介してレーザ光を検出する光検出器102と、を備えている。光源101から出射されたレーザ光L1は、コリメートレンズ103によってコリメートされ、反射ミラー104に形成されたピンホール104aを介して、光モジュール10のミラー7によって反射される。反射されたレーザ光L1は、ミラー7の揺動によって物体Kに対して走査される。物体Kからの戻り光L2は、光モジュール10のミラー7及び反射ミラー104によって順次反射され、集光レンズ105によって集光される。集光された戻り光L2は、アパーチャ106を介して光検出器102に入射し、光検出器102によって検出される。光検出器102からの出力信号は、演算部(図示省略)に出力される。演算部では、TOF(Time of Flight)法に基づいて、物体Kまでの距離が演算される。
【0101】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されない。例えば、図11(a)に示される第1変形例のように、上記実施形態において、MEMSミラー1は、第2可動部4、一対の第2連結部6、及び第2駆動用コイル12を備えなくてもよい。第1変形例では、第1可動部3は、第1軸線X1周りに揺動可能となるように、一対の第1連結部5を介して支持部2に連結されている。一対の第1連結部5は、第1可動部3が第1軸線X1周りに揺動可能となるように、第1可動部3と支持部2とを互いに連結している。第1連結部5に作用する応力の緩和のために、各第1連結部5における第1可動部3側の端部の幅は、第1可動部3に近づくほど広がっている。第1変形例では、各第1連結部5における第1可動部3とは反対側の端部は、一定の幅を有しているが、第1連結部5に作用する応力の更なる緩和のために、各第1連結部5における第1可動部3とは反対側の端部の幅は、第1可動部3から遠ざかるほど広がっていてもよい。このように第1連結部5に拡幅部(応力緩和部)が設けられている場合、第1連結部5の幅とは、第1連結部5のうち拡幅部を除いた部分の幅(最大幅)である。なお、同様に、第2連結部6の少なくとも一方の端部に拡幅部が設けられていてもよく、この場合、第2連結部6の幅とは、第2連結部6のうち拡幅部を除いた部分の幅(最大幅)である。
【0102】
第1可動部3は、例えば、共振周波数レベルで第1軸線X1周りにおいて揺動させられる。このような第1変形例によっても、上記実施形態と同様に、温度モニタ用抵抗14の抵抗値、及び起電力モニタ用コイル13に発生する起電力に基づいて、磁石30の温度に応じて変化する磁石30の磁束密度を考慮し、その上で、ミラー7の振れ角に関する情報を精度良く取得することができる。なお、図11(a)では、第1駆動用コイル11、起電力モニタ用コイル13及び温度モニタ用抵抗14が簡略化されて示されている。後述する図11(b)~図15(b)においても同様に、第1駆動用コイル11、第2駆動用コイル12、起電力モニタ用コイル13及び温度モニタ用抵抗14が簡略化されて示されている。
【0103】
図11(b)に示される第2変形例のように、上記実施形態において、MEMSミラー1は、第2駆動用コイル12を備えなくてもよい。第2変形例では、第1可動部3は、例えば、共振周波数レベルで第1軸線X1周りにおいて揺動させられる。第2可動部4は、揺動させられない。このような第2変形例によっても、上記実施形態と同様に、温度モニタ用抵抗14の抵抗値、及び起電力モニタ用コイル13に発生する起電力に基づいて、磁石30の温度に応じて変化する磁石30の磁束密度を考慮し、その上で、ミラー7の振れ角に関する情報を精度良く取得することができる。
【0104】
図12(a)に示される第3変形例のように、第1変形例において、MEMSミラー1は、起電力モニタ用コイル13を備えなくてもよい。第3変形例では、第1駆動用コイル11に印加する駆動電流の制御には、起電力モニタ用コイル13に発生する起電力ではなく、第1駆動用コイル11に発生する起電力(逆起電力)が用いられる。すなわち、第1駆動用コイル11が起電力のモニタのために用いられる。制御部50は、温度モニタ用抵抗14の抵抗値、及び第1駆動用コイル11に発生する起電力に基づいて、第1駆動用コイル11に印加する駆動電流を制御する。このような第3変形例によっても、温度モニタ用抵抗14の抵抗値、及び第1駆動用コイル11に発生する起電力に基づいて、磁石30の温度に応じて変化する磁石30の磁束密度を考慮し、その上で、ミラー7の振れ角に関する情報を精度良く取得することができる。
【0105】
図12(b)に示される第4変形例のように、第2変形例において、MEMSミラー1は、起電力モニタ用コイル13を備えなくてもよい。第4変形例では、第1駆動用コイル11に印加する駆動電流の制御には、起電力モニタ用コイル13に発生する起電力ではなく、第1駆動用コイル11に発生する起電力が用いられる。すなわち、第1駆動用コイル11が起電力のモニタのために用いられる。制御部50は、温度モニタ用抵抗14の抵抗値、及び第1駆動用コイル11に発生する起電力に基づいて、第1駆動用コイル11に印加する駆動電流を制御する。このような第4変形例によっても、温度モニタ用抵抗14の抵抗値、及び第1駆動用コイル11に発生する起電力に基づいて、磁石30の温度に応じて変化する磁石30の磁束密度を考慮し、その上で、ミラー7の振れ角に関する情報を精度良く取得することができる。
【0106】
図13(a)に示される第5変形例のように、上記実施形態において、MEMSミラー1は、第1駆動用コイル11を備えなくてもよい。換言すれば、第5変形例では、第1可動部3に第1駆動用コイル11が設けられておらず、第2可動部4のみに駆動コイル(第2駆動用コイル12)が設けられている。第5変形例では、共振周波数での第1可動部3の共振を利用することで、第2駆動用コイル12に生じるローレンツ力により、第1可動部3を共振周波数レベルで第1軸線X1周りにおいて揺動させる。具体的には、第1軸線X1軸周りにおける第1可動部3の共振周波数に等しい周波数の駆動信号が第2駆動用コイル12に入力されると、第2可動部4が第1軸線X1周りに当該周波数で僅かに振動する。この振動が第1連結部5を介して第1可動部3に伝わることにより、第1可動部3を第1軸線X1周りに当該周波数で揺動させることができる。第2可動部4は、上記実施形態の場合と同様に、第2軸線X2周りにおいて揺動(回動)させられる。すなわち、第2駆動用コイル12には、第2可動部4を振動させることによって第1軸線X1周りに第1可動部3を揺動させるための信号、及び第2軸線X2周りに第2可動部4を揺動させるための信号の2つの信号が入力される。このような第5変形例によっても、上記実施形態と同様に、温度モニタ用抵抗14の抵抗値、及び起電力モニタ用コイル13に発生する起電力に基づいて、磁石30の温度に応じて変化する磁石30の磁束密度を考慮し、その上で、ミラー7の振れ角に関する情報を精度良く取得することができる。第5変形例では、一対の第2駆動用コイル12が第2可動部4に設けられてもよい。この場合、一方の第2駆動用コイル12には、第2可動部4を振動させることによって第1軸線X1周りに第1可動部3を揺動させるための信号が入力され、他方の第2駆動用コイル12には、第2軸線X2周りに第2可動部4を揺動させるための信号が入力される。
【0107】
図13(b)に示される第6変形例のように、第5変形例において、起電力モニタ用コイル13が第2可動部4に設けられてもよい。このような第5変形例によっても、上記実施形態と同様に、温度モニタ用抵抗14の抵抗値、及び起電力モニタ用コイル13に発生する起電力に基づいて、磁石30の温度に応じて変化する磁石30の磁束密度を考慮し、その上で、ミラー7の振れ角に関する情報を精度良く取得することができる。すなわち、第5変形例では、第2可動部4を振動させることによって第1軸線X1周りに第1可動部4を揺動させているため、第2可動部4の振動によって起電力モニタ用コイル13に発生する起電力をモニタすることにより、第1可動部4の振れ角に関する情報を取得することができる。
【0108】
図14(a)に示される第7変形例のように、第6変形例において、MEMSミラー1は、起電力モニタ用コイル13を備えなくてもよい。第7変形例では、第2駆動用コイル12に印加する駆動電流の制御には、起電力モニタ用コイル13に発生する起電力ではなく、第2駆動用コイル12に発生する起電力が用いられる。すなわち、第2駆動用コイル12が起電力のモニタのために用いられる。制御部50は、温度モニタ用抵抗14の抵抗値、及び第2駆動用コイル12に発生する起電力に基づいて、第2駆動用コイル12に印加する駆動電流を制御する。このような第7変形例によっても、温度モニタ用抵抗14の抵抗値、及び第2駆動用コイル12に発生する起電力に基づいて、磁石30の温度に応じて変化する磁石30の磁束密度を考慮し、その上で、ミラー7の振れ角に関する情報を精度良く取得することができる。
【0109】
図14(b)に示される第8変形例のように、上記実施形態において、MEMSミラー1は、第1駆動用コイル11を備えなくてもよい。第8変形例では、第2可動部4は、第2可動部4を振動させることによって第1軸線X1周りに第1可動部3が揺動可能となるように、支持部2に連結されている。すなわち、一対の第2連結部6は、第2可動部4を振動させることによって第1軸線X1周りに第1可動部3が揺動可能となるように、第2可動部4と支持部2とを互いに連結している。第8変形例では、第2可動部4は、第2軸線X2周りに揺動可能とはなっていない。第8変形例では、第5変形例と同様に、共振周波数での第1可動部3の共振を利用することで、第2駆動用コイル12に生じるローレンツ力により、第1可動部3を共振周波数レベルで第1軸線X1周りにおいて揺動させる。このような第8変形例によっても、温度モニタ用抵抗14の抵抗値、及び第2駆動用コイル12に発生する起電力に基づいて、磁石30の温度に応じて変化する磁石30の磁束密度を考慮し、その上で、ミラー7の振れ角に関する情報を精度良く取得することができる。
【0110】
図15(a)に示される第9変形例のように、第8変形例において、起電力モニタ用コイル13が第2可動部4に設けられてもよい。このような第9変形例によっても、温度モニタ用抵抗14の抵抗値、及び第2駆動用コイル12に発生する起電力に基づいて、磁石30の温度に応じて変化する磁石30の磁束密度を考慮し、その上で、ミラー7の振れ角に関する情報を精度良く取得することができる。
【0111】
図15(b)に示される第10変形例のように、第9変形例において、MEMSミラー1は、起電力モニタ用コイル13を備えなくてもよい。第10変形例では、第2駆動用コイル12に印加する駆動電流の制御には、起電力モニタ用コイル13に発生する起電力ではなく、第2駆動用コイル12に発生する起電力が用いられる。すなわち、第2駆動用コイル12が起電力のモニタのために用いられる。制御部50は、温度モニタ用抵抗14の抵抗値、及び第2駆動用コイル12に発生する起電力に基づいて、第2駆動用コイル12に印加する駆動電流を制御する。このような第10変形例によっても、温度モニタ用抵抗14の抵抗値、及び第2駆動用コイル12に発生する起電力に基づいて、磁石30の温度に応じて変化する磁石30の磁束密度を考慮し、その上で、ミラー7の振れ角に関する情報を精度良く取得することができる。なお、第8~第10変形例では、光軸方向Aから見た場合に、支持部2の幅が第2連結部6の幅よりも狭くなっているが、支持部2の幅は第2連結部6の幅よりも広くなっていてもよい。
【0112】
他の変形例として、上記実施形態において、制御部50は、温度モニタ用抵抗14の抵抗値に基づいて、第2駆動用コイル12に印加する駆動電流を制御してもよい。制御部50は、第1駆動用コイル11に印加する駆動電流を温度モニタ用抵抗14の抵抗値に基づいて制御することに加えて、第2駆動用コイル12に印可する駆動電流を温度モニタ用抵抗14の抵抗値に基づいて制御してもよい。或いは、制御部50は、第1駆動用コイル11に印加する駆動電流を温度モニタ用抵抗14の抵抗値に基づいて制御することなく、第2駆動用コイル12に印可する駆動電流を温度モニタ用抵抗14の抵抗値に基づいて制御してもよい。第2駆動用コイル12に印可する駆動電流を温度モニタ用抵抗14の抵抗値に基づいて制御する理由は、次のとおりである。
【0113】
上述したように、第2可動部4は、第2駆動用コイル12に一定の大きさの駆動電流が印可されることにより、第2軸線X2周りに回動させられる。このように第2可動部4がリニア駆動される場合、第2連結部6のバネ定数をk(Nm/rad)とし、第2可動部4の振れ角をγ(rad)とすると、フックの法則から、第2可動部4に作用するトルクをT(Nm)は、T=kγと表される。一方、回転中心から質点までの長さをR(m)とし、ローレンツ力をF(N)とし、第2駆動用コイル12に印可される駆動電流をI(A)とし、磁石30によって発生させられる磁界の磁束密度をB(T)とし、磁場が直交する方向における第2駆動用コイル12の長さをL(m)とすると、トルクTは、T=RF=RIBLと表される。以上の2式から、振れ角γは、γ=RIBL/kと表される。このように、振れ角γは、駆動電流I及び磁束密度Bに比例する。
【0114】
上述したように、磁束密度Bは、磁石30の温度に応じて変化する。そのため、制御部50は、温度モニタ用抵抗14の抵抗値に基づいて、第2駆動用コイル12に印加する駆動電流をフィードバック制御する。具体的には、制御部50は、温度モニタ用抵抗14の温度ごとに、第2駆動用コイル12における駆動電流と振れ角との関係を予め取得し、記憶しておく。制御部50は、温度モニタ用抵抗14の抵抗値に基づいて算出した温度モニタ用抵抗14の温度と、第2駆動用コイル12における駆動電流と振れ角との関係とに基づいて、第2可動部4の振れ角γを算出する。以上のような変形例によっても、温度モニタ用抵抗14の抵抗値に基づいて、磁石30の温度に応じて変化する磁石30の磁束密度を考慮し、その上で、第2可動部4の振れ角γ、すなわち、ミラー7の振れ角に関する情報を精度良く取得することができる。なお、バネ定数kも温度に応じて変化するが、バネ定数kの変化の影響は磁束密度Bと比べて極めて小さい。
【0115】
なお、上記実施形態では、第1可動部3は、第1駆動用コイル11に高周波数の駆動電流が印可されることにより、共振周波数レベルで第1軸線X1周りにおいて揺動させられる。このようなノンリニア駆動の場合、リニア駆動の場合とは異なり、第1可動部3に作用するトルクは、第1連結部5のバネ定数と第1可動部3の振れ角との積に、いわゆるQ値を乗じた値となる。Q値は、空気の粘性及び材料の粘性に依存するパラメータであり、強い非線形性を有する。したがって、ミラー7の振れ角に関する情報を精度良く取得するために、第1駆動用コイル11に印加する駆動電流の制御には、上述したように、起電力モニタ用コイル13に発生する起電力、又は第1駆動用コイル11に発生する起電力が用いられる。
【0116】
各構成の材料及び形状は、上述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を採用することができる。温度モニタ用抵抗14は、コイルとして構成されていたが、抵抗値の変化を検出するのに十分な長さを確保することができれば、その形状は限定されず、例えば、支持部2において蛇行状(ジグザグ状)に延在するように形成されていてもよい。光モジュール10にパッケージ40が設けられておらず、MEMSミラー1の支持部2が磁石30に取り付けられていてもよい。光モジュール10に第2可動部4及び第2駆動用コイル12等が設けられておらず、ミラー7が第1軸線X1周りのみにおいて揺動可能であってもよい。磁石30は、MEMSミラー1に作用する磁界を発生させることができ、且つ支持部2と熱的に接続されていれば、その配置は限定されない。
【0117】
支持部2に、温度モニタ用抵抗14以外の温度モニタ用素子が設けられていてもよい。温度モニタ用抵抗14以外の温度モニタ用素子としては、例えば熱電対等を用いることができる。温度モニタ用素子が支持部2に接触するように配置されていれば、温度モニタ用素子の温度が磁石30の温度を反映したものとなる。したがって、温度モニタ用素子の検出値(熱電対の場合には熱起電力)、及び起電力モニタ用コイル13に発生する起電力に基づいて、磁石30の温度に応じて変化する磁石30の磁束密度を考慮し、その上で、ミラー7の振れ角に関する情報を精度良く取得することができる。
【0118】
第1駆動用コイル11は、埋め込み配線としてではなく、配線15a,15bと同様に通常配線として形成されていてもよい。配線15a,15bは、通常配線としてではなく、その一部(例えば、第1連結部5上の部分、第2連結部6上の部分)又は全部が第1駆動用コイル11と同様に埋め込み配線として形成されていてもよい。第2駆動用コイル12は、埋め込み配線としてではなく、配線16a,16bと同様に通常配線として形成されていてもよい。配線16a,16bは、通常配線としてではなく、その一部(例えば、第2連結部6上の部分)又は全部が第2駆動用コイル12と同様に埋め込み配線として形成されていてもよい。
【0119】
なお、第1駆動用コイル11、第2駆動用コイル12、起電力モニタ用コイル13及び温度モニタ用抵抗14は、それらの一部が埋め込み配線として形成され、残りが通常配線として形成される場合にも、同一平面(支持部2、第1可動部3及び第2可動部4のそれぞれにおける窓材43側の表面)に沿うように配置される。したがって、MEMSミラー1を半導体製造プロセスで製造する場合に、第1駆動用コイル11、第2駆動用コイル12、起電力モニタ用コイル13及び温度モニタ用抵抗14を容易に形成することができる。
【0120】
起電力モニタ用コイル13は、埋め込み配線としてではなく、配線17a,17bと同様に通常配線として形成されていてもよい。配線17a,17bは、通常配線としてではなく、その一部(例えば、第1連結部5上の部分、第2連結部6上の部分)又は全部が起電力モニタ用コイル13と同様に埋め込み配線として形成されていてもよい。温度モニタ用抵抗14は、埋め込み配線としてではなく、配線18a,18bと同様に通常配線として形成されていてもよい。配線18a,18bは、通常配線としてではなく、温度モニタ用抵抗14と同様に埋め込み配線として形成されていてもよい。複数の接続部分33は、例えば、矩形状の第2部分32の内縁のうち各辺の中央部に位置していてもよい。
【0121】
上記実施形態では、各第2連結部6が直線状に延在していたが、各第2連結部6は、光軸方向Aから見た場合に蛇行して延在していてもよい。この場合、各第2連結部6は、例えば、複数の直線状部と、複数の折り返し部と、を有する。複数の直線状部は、例えば、第1軸線X1に沿った方向にそれぞれ延在し、第2軸線X2に沿った方向に並んで配置される。或いは、複数の直線状部は、第2軸線X2に沿った方向にそれぞれ延在し、第1軸線X1に沿った方向に並んで配置されてもよい。複数の折り返し部は、隣り合う直線状部の両端を交互に連結する。各折り返し部は、光軸方向Aから見た場合に湾曲して延在してもよいし、直線状に延在していてもよい。第2連結部6が蛇行して延在する他の例として、第2連結部6は、湾曲して延在する部分のみによって構成されてもよいし、湾曲して延在する一対の部分が直線状の部分によって互いに連結された構成であってもよい。これらの場合、第2連結部6の幅とは、或る任意の位置における幅(例えば、一の直線状部の幅)であり、或る位置における第2連結部6の幅とは、当該位置における第2連結部6の延在方向、及び光軸方向Aの双方に直交する方向における長さである。第2連結部6が蛇行して延在している場合において、第2連結部6の少なくとも一方の端部に拡幅部(応力緩和部)が設けられている場合、第2連結部6の幅とは、第2連結部6のうち拡幅部を除いた部分の幅(最大幅)である。第2連結部6が蛇行して延在している場合にも、第2連結部6の幅は、支持部2の幅よりも狭くてもよい。電極パッド21a,21b,22a,22b,23a,23bの少なくとも1つは、ワイヤではなくフレキシブル基板等の他の接続部材を介して、駆動源又は制御部等と電気的に接続されてもよい。ベース41は、配線基板、ガラスエポキシ基板等であってもよい。
【符号の説明】
【0122】
2…支持部、2e…外縁、3…第1可動部、4…第2可動部、7…ミラー、10…光モジュール、11…第1駆動用コイル、12…第2駆動用コイル、13…起電力モニタ用コイル、14…温度モニタ用抵抗(温度モニタ用素子)、21a,21b,22a,22b…電極パッド、15a,15b,16a,16b…配線、30…磁石、40…パッケージ、41…ベース、41a…内側表面、41b…外側表面、42…側壁、41c…凹部、50…制御部、100…測距装置、101…光源、102…光検出器、A…光軸方向、X1…第1軸線、X2…第2軸線。

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