(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174151
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】同種異系T細胞を用いた自己免疫疾患の処置方法
(51)【国際特許分類】
A61K 35/17 20150101AFI20221115BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20221115BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20221115BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20221115BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20221115BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221115BHJP
C07K 14/05 20060101ALN20221115BHJP
C12N 15/861 20060101ALN20221115BHJP
【FI】
A61K35/17 Z
A61P25/00 ZNA
A61P37/06
A61P17/02
A61P29/00 101
A61P43/00 111
C07K14/05
C12N15/861 Z
【審査請求】有
【請求項の数】35
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138871
(22)【出願日】2022-09-01
(62)【分割の表示】P 2018561493の分割
【原出願日】2017-05-25
(31)【優先権主張番号】62/359,326
(32)【優先日】2016-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/341,360
(32)【優先日】2016-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/487,814
(32)【優先日】2017-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500057995
【氏名又は名称】ザ カウンシル オブ ザ クイーンズランド インスティテュート オブ メディカル リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カンナ,ラジーブ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】同種異系T細胞を用いた自己免疫疾患の処置方法を提供する。
【解決手段】クラスI MHC上に提示されるエプスタイン・バーウイルス(EBV)ペプチドに特異的に結合するT細胞受容体を発現する同種異系細胞傷害性T細胞を含む組成物、及びこの組成物を用いた自己免疫疾患の処置方法が本明細書に提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象において自己免疫疾患を処置又は予防する方法であって、クラスI MHC上に提示されるEBVペプチドと特異的に結合するT細胞受容体を発現する同種異系細胞傷害性T細胞(CTL)を対象に投与することを含む方法。
【請求項2】
クラスI MHCが、対象に存在するHLA対立遺伝子によってコードされる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
自己免疫疾患が多発性硬化症(MS)である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
自己免疫疾患が関節リウマチ(RA)である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
同種異系CTLが細胞バンクから得られる、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
対象において自己免疫疾患を処置又は予防する方法であって、
(a)クラスI MHC上に提示されるEBVペプチドと特異的に結合するT細胞受容体を発現する同種異系細胞傷害性T細胞(CTL)を細胞バンクから選択すること、
(b)対象に同種異系CTLを投与すること
を含む方法。
【請求項7】
クラスI MHCが、対象に存在するHLA対立遺伝子によってコードされる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
自己免疫疾患が多発性硬化症(MS)又は関節リウマチ(RA)である、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
対象において自己免疫疾患を処置又は予防する方法であって、
(a)同種異系細胞傷害性T細胞(CTL)を含むサンプルを、EBVペプチドを提示する抗原提示細胞(APC)とともにインキュベートし、それによりサンプルにおいてペプチド特異的T細胞の増殖を誘導すること、
(b)対象にペプチド特異的同種異系CTLを投与すること
を含む方法。
【請求項10】
クラスI MHCが、対象に存在するHLA対立遺伝子によってコードされる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
対象において自己免疫疾患を処置又は予防する方法であって、
(a)EBVペプチドをコードする核酸構成物とともに抗原提示細胞(APC)をインキュベートし、それにより、APCがEBVペプチドを提示するように誘導すること
(b)同種異系CTLを含むサンプルを抗原提示細胞(APC)とともにインキュベートし、それにより、CTLが増殖するように誘導することにより、ペプチド特異的CTLの増殖を誘導すること、及び
(c)対象にペプチド特異的同種異系CTLを投与すること
を含む方法。
【請求項12】
クラスI MHCが、対象に存在するHLA対立遺伝子によってコードされる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
核酸構成物がウイルスベクターである、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
ウイルスベクターがAdE1-LMPpolyである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
同種異系CTLが、対象に投与する前に細胞バンクに保存される、請求項9から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
自己免疫疾患が多発性硬化症(MS)である、請求項9から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
自己免疫疾患が関節リウマチ(RA)である、請求項9から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
サンプルをステップ(a)において1つ以上のサイトカインとともにインキュベートする、請求項9から17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
APCがB細胞を含む、請求項9から18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
APCが抗原提示T細胞を含む、請求項9から19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
APCが樹状細胞を含む、請求項9から20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
APCが人工抗原提示細胞を含む、請求項9から21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
人工抗原提示細胞がaK562細胞である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
サンプルが末梢血単核球細胞(PBMC)を含む、請求項9から23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
EBVペプチドがLMP1ペプチド又はその断片を含む、請求項1から24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
EBVペプチドがLMP2Aペプチド又はその断片を含む、請求項1から24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
EBVペプチドがEBNA1ペプチド又はその断片を含む、請求項1から24のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2016年5月25日に出願された米国特許仮出願第62/341,360号、2016年7月7日に出願された米国特許仮出願第62/359,326号、及び2017年4月20日に出願された米国特許仮出願第62/487,814号に対する優先権の利益を主張するものであり、その各々は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
自己免疫疾患、例えば多発性硬化症(MS)及び全身性自己免疫疾患(SAD)、並びに炎症性腸疾患(IBD)などは、身体自身の組織に対する異常な免疫反応から生じる病状である。MSは、身体自身の免疫細胞による、ミエリン、すなわち神経線維を囲む保護脂質殻の分解を特徴としている。SADは、関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)及びシェーグレン症候群(SS)を含む、多様な症状を伴う結合組織病の一群である。IBDは、クローン病、セリアック病、及び潰瘍性大腸炎を含む、結腸及び小腸の炎症状態の一群である。
【0003】
エプスタイン・バーウイルス(EBV)は、ヒトヘルペスウイルス4としても知られ、偏在性ヘルペスウイルスである。最近、EBVへの曝露が、MS、SAD及びIBDを含む自己免疫疾患の病因において素因となり得るか、又はそうでなければその病因に役割を果たし得ることが示されている。例えば、最近の研究では、MSと診断された個体が、健康な個体よりも神経組織中で凝集したB細胞においてより高レベルのEBV関連タンパク質を示すことが示されている。EBV感染B細胞の増加及び/又はこのような細胞の排除の不完全さが個体をこのような自己免疫疾患に罹りやすくし得ると仮定されている。
【発明の概要】
【0004】
クラスI MHC上に提示されるEBVペプチドに特異的に結合するT細胞受容体を発現する同種異系細胞傷害性T細胞(CTL)を対象に投与することを含む、自己免疫疾患(例えばMS、SAD及び/又はIBD)を処置する方法が本明細書において提供される。一部の実施形態では、それにTCRが拘束されるクラスI MHCは、対象に存在するHLA対立遺伝子によってコードされる。一部の実施形態では、本方法は、細胞バンクから同種異系CTLを選択することを含む。一部の実施形態において、EBVペプチドは、LMP1ペプチド又はその断片、LMP2Aペプチド又はその断片、及び/あるいはEBNA1ペプチド又はその断片を含む。一部の実施形態において、EBVペプチドは、表1に列挙された配列を含む。
【0005】
特定の態様において、クラスI MHC上に提示されるEBVペプチドに特異的に結合するT細胞受容体を発現する同種異系CTLを生成すること、続いて同種異系CTLを対象に投与することを含む、自己免疫疾患(例えばMS、SAD及び/又はIBD)を処置する方法が本明細書において提供される。一部の実施形態において、同種異系CTLは、対象への投与前に細胞バンクへ保存される。一部の実施形態では、それにTCRが拘束されるクラスI MHCは、対象に存在するHLA対立遺伝子によってコードされる。一部の実施形態では、同種異系CTLを含む試料(すなわち、PBMC試料)を、クラスI MHC(例えば、対象に存在するHLA対立遺伝子によりコードされるクラスI MHC)上にEBVペプチドを提示する抗原提示細胞(APC)とともにインキュベートし、それにより試料中においてペプチド特異的CTLの増殖を誘導することにより、同種異系CTLが生成される。一部の実施形態において、APCは、それをEBVペプチドをコードする核酸構築物(例えばAdE1-LMPpoly)と共にインキュベートし、それによりEBVペプチドを提示するようにAPCを誘導することにより、EBVペプチドを提示するようにし得る。一部の実施形態において、APCは、B細胞、抗原提示T細胞、樹状細胞、又は人工抗原提示細胞(例えば、CD80、CD83、41BB-L及び/又はCD86を発現する細胞系、例えばaK562細胞等)であり得る。一部の実施形態において、EBVペプチドは、LMP1ペプチド又はその断片、LMP2Aペプチド又はその断片、及び/あるいはEBNA1ペプチド又はその断片を含む。一部の実施形態において、EBVペプチドは、表1に列挙された配列を含む。
【0006】
一部の実施形態では、CTLは、対象への投与前に、対象との適合性について選択される(例えば、細胞バンクから選択される)。一部の実施形態では、CTLが、対象と共有するHLA対立遺伝子を介して拘束される場合に、そのCTLが選択される(すなわち、CLTのTCRが、対象に存在するHLA対立遺伝子によってコードされるクラスI MHCタンパク質に拘束されている)。一部の実施形態では、CTL及び対象が少なくとも2つの(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つの)HLA対立遺伝子を共有し、CTLは共有HLA対立遺伝子によって拘束される場合に、そのCTLが選択される。一部の実施形態において、対象に投与されるCTLは、細胞バンク(例えばCTLバンク)から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、刺激後のCD8
+及びIFNg
+である生存リンパ球の割合によって測定された、MS患者から得られたCTL産物と比較した、健康な(NMDP)ドナーから得られたCTL産物における改善されたエフェクター機能を示す。
【0008】
概括
例えば、本明細書に記載される1つ以上のEBVエピトープを認識する同種異系CTLを用いて対象における自己免疫障害(例えば、MS、SAD及び/又はIBD)を処置する方法が本明細書で提供される。一部の実施形態において、本方法はさらに、細胞バンクから同種異系CTLを選択することを含む。一部の実施形態において、本方法はさらに、同種異系CTLを作製することを含む。
【0009】
定義
便宜上、本明細書、実施例及び添付の特許請求の範囲で使用される特定の用語をここに集める。
【0010】
冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、本明細書において、その冠詞の文法的目的語の1つ又は1つ超(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。例として、「1つの要素」とは、1つの要素又は1を超える要素を意味する。
【0011】
本明細書で使用するとき、用語「投与する」とは、医薬品又は組成物を対象に提供することを意味し、限定されないが、医療従事者による投与及び自己投与が含まれる。このような薬剤には、例えば、本明細書に記載のペプチド、本明細書において提供される抗原提示細胞及び/又は本明細書において提供されるCTLが含有され得る。
【0012】
用語「アミノ酸」とは、アミノ官能基と酸官能基の両方を含み、天然アミノ酸のポリマーに含まれることができる天然又は合成のすべての分子を包含するものとする。例示的なアミノ酸としては、天然アミノ酸、その類似体、誘導体及び同族体、変異体側鎖を有するアミノ酸類似体、並びに上記のいずれかのすべての立体異性体が挙げられる。
【0013】
「結合する」又は「相互作用する」という用語は、例えば生理学的条件下での静電相互作用、疎水性相互作用、イオン性相互作用及び/又は水素結合相互作用による、2つの分子間、例えば、TCRとペプチド/MHCとの間の、安定な会合(association)であり得る、会合を指す。
【0014】
「生物学的試料」、「組織試料」、又は単に「試料」という用語は、それぞれ、対象の組織から得られた細胞の集合物を指す。組織試料の供給源は、新鮮な、凍結された及び/又は保存された臓器、組織試料、生検又は吸引物からのような固体組織、血液又は任意の血液成分、血清、血液、体液、例えば、脊髄液、羊水、腹水又は間質液、尿、唾液、糞便、涙液、又は対象の妊娠若しくは発生の任意の時点からの細胞であり得る。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「サイトカイン」とは、細胞の機能に影響を及ぼし、免疫、炎症又は造血反応において細胞間の相互作用を調節する分子である任意の分泌型ポリペプチドを指す。サイトカインは、どの細胞がそれらを産生するかにかかわらず、モノカイン及びリンホカインを含むがこれらに限定されない。例えば、モノカインは、一般に、マクロファージ及び/又は単球などの単核細胞によって産生及び分泌されると言われている。しかしながら、ナチュラルキラー細胞、線維芽細胞、好塩基球、好中球、内皮細胞、脳アストロサイト、骨髄間質細胞、表皮ケラチノサイト及びBリンパ球などの他の多くの細胞もモノカインを産生する。リンホカインは一般にリンパ球細胞によって産生されると言われている。サイトカインの例としては、限定されるものではないが、インターロイキン-1(IL-1)、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-8(IL-8)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、及び腫瘍壊死因子ベータ(TNFβ)が挙げられる。
【0016】
用語「エピトープ」とは、抗体又はTCRに特異的に結合することができるタンパク質決定基を意味する。エピトープは、通常、分子の化学的に活性な表面基、例えば、アミノ酸又は糖側鎖からなる。特定のエピトープは、抗体が結合することができるアミノ酸の特定の配列によって規定することができる。
【0017】
本明細書で使用するとき、「薬学的に許容される」という語句は、健全な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題若しくは合併症を伴わないで、合理的な利益/リスク比に見合った、ヒト及び動物の組織と接触して使用するのに適した薬剤、化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を指す。
【0018】
本明細書で使用するとき、「薬学的に許容される担体」という語句は、1つの臓器若しくは生体の部分から別の臓器若しくは生体の部分に運ぶか又は輸送することに関与する、薬学的に許容される材料、組成物又はビヒクル、例えば、液体若しくは固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、又は溶媒をカプセル化している材料などを意味する。それぞれの担体は、製剤の他の成分と相溶性を有し、患者に有害でないという意味で「許容される」ものでなければならない。薬学的に許容される担体として役立ち得る材料の一部の例としては、以下が挙げられる:(1)糖、例えば、ラクトース、グルコース及びスクロース、(2)デンプン、例えば、トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプン、(3)セルロース及びその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロース、(4)粉末状トラガカント、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)賦形剤、例えば、カカオバター及び坐薬ワックス、(9)油、例えば、ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油及び大豆油、(10)グリコール、例えば、プロピレングリコール、(11)ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコール、(12)エステル、例えば、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチル、(13)寒天、(14)緩衝化剤、例えば、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム、(15)アルギン酸、(16)発熱物質不含水、(17)等張性生理食塩水、(18)リンゲル液、(19)エチルアルコール、(20)pH緩衝化溶液、(21)ポリエステル、ポリカーボネート及び/又はポリ無水物、及び(22)医薬製剤に使用される他の非毒性適合物質。
【0019】
「ポリヌクレオチド」及び「核酸」なる語は互換的に用いられる。それらは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド又はそれらの類似体のいずれであれ、任意の長さのヌクレオチドの重合形態を指す。ポリヌクレオチドは任意の三次元構造を有してもよく、任意の機能を果たしうる。以下のものはポリヌクレオチドの非限定的な例である:遺伝子又は遺伝子断片のコード又は非コード領域、連鎖解析から定められる遺伝子座、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA、リボソームRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離DNA、任意の配列の単離RNA、核酸プローブ及びプライマー。ポリヌクレオチドは修飾ヌクレオチド、例えばメチル化ヌクレオチド及びヌクレオチド類似体を含みうる。ヌクレオチド構造に対する修飾は、存在する場合には、重合体の構築の前又は後で施されうる。ポリヌクレオチドは、例えば標識成分との結合(コンジュゲート化)によって、さらに修飾されうる。本明細書で提供されている全ての核酸配列において、UヌクレオチドはTヌクレオチドと交換可能である。
【0020】
本明細書で使用するとき、状態を「予防する」治療薬は、障害又は状態の発症前に統計試料(statistical sample)に投与された場合、処置されていない対照試料と比較して、処置された試料における障害若しくは状態の発生を低下させ、又は処置されていない対照試料と比較して、障害若しくは状態の1つ以上の症状の発症を遅延させるか若しくはその重症度を低下させる化合物を指す。
【0021】
本明細書で使用するとき、「特異的結合」とは、TCRがMHC(例えばクラスI MHC又はクラスII MHC)上に提示されたペプチドに結合する能力を指す。典型的には、TCRは、少なくとも約10-4M以下のKDのアフィニティでそのペプチド/MHCに特異的に結合し、そして非特異的かつ無関係のペプチド/MHC複合体(例えば、BSAペプチド又はカゼインペプチドを含むもの)への結合に対するアフィニティよりも少なくとも10倍小さい、少なくとも100倍小さい、又は少なくとも1000倍小さいアフィニティ(KDにより表されるようなもの)で所定の抗原/結合パートナーに結合する。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「対象」は、処置又は治療のために選択されたヒト又は非ヒト動物を意味する。
【0023】
本明細書で使用される「治療有効量」及び「有効量」という語句は、任意の医学的処置に適用可能な合理的な利益/リスク比で、対象の少なくとも、細胞の部分集団において所望の治療効果を生じさせるのに有効な薬剤の量を意味する。
【0024】
本明細書で使用するとき、対象における疾患を「処置(治療)する」又は疾患を有する若しくは疾患を有する疑いのある対象を「処置(治療)する」という用語は、疾患の少なくとも1つの症状が減少する又は悪化するのを妨げるように、対象に医薬的処置、例えば本明細書に記載するCTLの投与を施すことを指す。
【0025】
用語「ベクター」とは、それによって生物、細胞又は細胞成分間で核酸を増殖及び/又は移動させることができる手段を指す。ベクターとしては、プラスミド、ウイルス、バクテリオファージ、プロウイルス、ファージミド、トランスポゾン、及び人工染色体などが挙げられ、これらは自律的に複製することができてもできなくてもよく、又は宿主細胞の染色体に組み込まれてもよい。
【0026】
ペプチド
一部の実施形態では、クラスI MHC上に提示されるEBVエピトープを含むペプチドに特異的に結合するTCRを発現する同種異系CTLを用いて自己免疫障害(例えばMS、SAD及び/又はIBD)を処置する方法が本明細書において提供される。一部の実施形態では、例えば、CTLを含む試料(すなわち、PBMC試料)を、本明細書に記載されているEBVエピトープの1つ以上を提示する抗原提示細胞(APC)(例えば、クラスI MHC複合体上にEBVエピトープを含む本明細書に記載されているペプチドを提示するAPC)とともにインキュベートすることによって、このような同種異系CTLを生成する方法が本明細書において提供される。
【0027】
一部の実施形態では、本明細書において提供されるペプチドは、任意のEBVウイルスタンパク質の配列(例えば、任意のEBVタンパク質の少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個の連続したアミノ酸の配列)を含む。一部の実施形態では、本明細書において提供されるペプチドは、EBVウイルスタンパク質の25、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11又は10個以下の連続したアミノ酸を含む。
【0028】
一部の実施形態では、本明細書において提供されるペプチドは、LMP1の配列(例えば、LMP1の少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個の連続したアミノ酸の配列)を含む。一部の実施形態では、本明細書において提供されるペプチドは、LMP1の25、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11又は10個以下の連続したアミノ酸を含む。例示的なLMP1アミノ酸配列を以下(配列番号1)に提供する:
1 mdldlergpp gprrpprgpp lssyialall llllallfwl yiimsnwtgg allvlyafal
61 mlviiiliif ifrrdllcpl galcllllmi tlllialwnl hgqalylgiv lfifgcllvl
121 giwvyfleil wrlgatiwql lafflaffld illliialyl qqnwwtllvd llwlllflai
181 liwmyyhgqr hsdehhhdds lphpqqatdd ssnhsdsnsn egrhhllvsg agdapplcsq
241 nlgapgggpd ngpqdpdntd dngpqdpdnt ddngphdplp qdpdntddng pqdpdntddn
301 gphdplphnp sdsagndggp pnlteevenk ggdrgppsmt dggggdphlp tlllgtsgsg
361 gddddphgpv qlsyyd
【0029】
一部の実施形態では、本明細書において提供されるペプチドは、LMP2Aの配列(例えば、LMP2Aの少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個の連続したアミノ酸の配列)を含む。一部の実施形態では、本明細書において提供されるペプチドは、LMP2Aの25、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11又は10個以下の連続したアミノ酸を含む。例示的なLMP2Aアミノ酸配列を以下(配列番号2)に提供する:
1 mgslemvpmg agppspggdp dgddggnnsq ypsasgsdgn tptppndeer esneeppppy
61 edldwgngdr hsdyqplgnq dpslylglqh dgndglpppp ysprddssqh iyeeagrgsm
121 npvclpviva pylfwlaaia ascftasvst vvtatglals llllaavass yaaaqrkllt
181 pvtvltavvt ffaicltwri edppfnsllf allaaagglq giyvlvmlvl lilayrrrwr
241 rltvcggimf lacvlvlivd avlqlspllg avtvvsmtll llafvlwlss pgglgtlgaa
301 lltlaaalal laslilgtln lttmfllmll wtlvvllics scsscpltki llarlflyal
361 allllasali aggsilqtnf kslsstefip nlfcmllliv agilfilail tewgsgnrty
421 gpvfmclggl ltmvagavwl tvmtntllsa wiltagflif ligfalfgvi rccryccyyc
481 ltleseerpp tpyrntv
【0030】
一部の実施形態では、本明細書において提供されるペプチドは、EBNA1の配列(例えば、EBNA1の少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個の連続したアミノ酸の配列)を含む。一部の実施形態では、本明細書において提供されるペプチドは、EBNA1の25、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11又は10個以下の連続したアミノ酸を含む。例示的なEBNA1アミノ酸配列を以下(配列番号3)に提供する:
1 pffhpvgead yfeylqeggp dgepdvppga ieqgpaddpg egpstgprgq gdggrrkkgg
61 wfgkhrgqgg snpkfeniae glrvllarsh vertteegtw vagvfvyggs ktslynlrrg
121 talaipqcrl tplsrlpfgm apgpgpqpgp lresivcyfm vflqthifae vlkdaikdlv
181 mtkpaptcni kvtvcsfddg vdlppwfppm vegaaaegdd gddgdeggdg degeegqe
【0031】
一部の実施形態では、ペプチドは、表1に列挙されたエピトープの配列を含む。
【0032】
【0033】
一部の実施形態では、本明細書において提供されるペプチドは、2つ以上のEBVエピトープを含む。一部の実施形態では、本明細書において提供されるペプチドは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個のEBVエピトープを含む。例えば、一部の実施形態では、本明細書において提供されるペプチドは、リンカー(例えば、ポリペプチドリンカー)によって連結された2つ以上のEBVエピトープを含む。
【0034】
一部の実施形態では、ペプチドの配列は、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上)の保存的配列修飾を除いてEBVウイルスタンパク質配列を含む。本明細書で使用するとき、用語「保存的配列修飾」は、TCRとMHC上に提示されたアミノ酸配列を含有するペプチドとの間の相互作用に有意に影響しないか又はそれを変更しないアミノ酸修飾を指すことが意図される。このような保存的修飾には、アミノ酸の置換、付加(例えば、ペプチドのN末端又はC末端へのアミノ酸の付加)及び欠失(例えば、ペプチドのN末端又はC末端からのアミノ酸の欠失)が含まれる。保存的アミノ酸置換は、アミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換されるものである。類似した側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野において定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、ベータ分岐側鎖を有するアミノ酸(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が含まれる。したがって、本明細書に記載されているペプチドの1つ以上のアミノ酸残基は、同じ側鎖ファミリーからの他のアミノ酸残基で置換することができ、変更されたペプチドは、当該技術分野において公知である方法を使用してTCR結合の保持について試験することができる。修飾は、当該技術分野において公知である標準的な技術、例えば、部位特異的突然変異誘発及びPCR媒介性突然変異誘発によって抗体に導入することができる。
【0035】
一部の実施形態では、本明細書において提供されるペプチドは、EBVウイルスタンパク質配列(例えば、EBVウイルスタンパク質の断片の配列)と少なくとも80%、85%、90%、95%又は100%同一である配列を含む。2つのアミノ酸配列の同一性パーセントを決定するために、配列は、最適な比較目的のためにアライメントされる(例えば、最適なアライメントのために第1及び第2のアミノ酸配列の一方又は両方にギャップを導入することができ、非同一配列は、比較目的のために無視することができる)。次に、対応するアミノ酸位置のアミノ酸残基を比較する。第1の配列における位置が第2の配列における対応する位置と同じアミノ酸残基によって占有される場合、それらの分子はその位置で同一である。2つの配列間の同一性パーセントは、2つの配列の最適なアライメントのために導入される必要があるギャップの数、及び各ギャップの長さを考慮に入れた上での、配列によって共有される同一位置の数の関数である。
【0036】
一部の実施形態では、ペプチドは、キメラペプチド又は融合ペプチドである。本明細書で使用するとき、「キメラペプチド」又は「融合ペプチド」は、本質的に連結されていない配列を有する別個のペプチドに連結された、本明細書において提供される配列を有するペプチドを含む。例えば、別個のペプチドは、本明細書において提供されるペプチドのN末端又はC末端に、ペプチド結合を介して直接的に、又は化学リンカーを介して間接的に融合することができる。一部の実施形態では、本明細書において提供されるペプチドは、別個のEBVエピトープを含む別のペプチドに連結される。一部の実施形態では、本明細書において提供されるペプチドは、他のウイルス性疾患及び/又は感染性疾患由来のエピトープを含むペプチドに連結される。
【0037】
本明細書において提供されるキメラペプチド又は融合ペプチドは、標準的な組換えDNA技術によって産生することができる。例えば、異なるペプチド配列をコードするDNA断片は、従来の技術に従って、例えば、ライゲーションのための平滑末端化又は突出末端化(stagger-ended)末端、適切な末端を提供するための制限酵素消化、必要に応じて付着端の補完、望ましくない接続を避けるためのアルカリホスファターゼ処理、及び酵素ライゲーションを使用することによって、インフレームでライゲートされる。別の実施形態では、融合遺伝子は、自動DNA合成装置を含む従来の技術によって合成することができる。あるいは、遺伝子断片のPCR増幅は、2つの連続した遺伝子断片の間に相補的な突出部を生じさせるアンカープライマーを使用して行うことができ、その後、アニーリングし、再増幅してキメラ遺伝子配列を生成することができる(例えば、Current Protocols in Molecular Biology、Ausubelら編、John Wiley & Sons: 1992を参照されたい)。さらに、すでに融合部分をコードする多数の発現ベクターが市販されている。
【0038】
本明細書において提供されるペプチドは、標準的なタンパク質精製技術を使用して適切な精製スキームによって細胞又は組織源から単離することができ、組換えDNA技術によって産生することができ、且つ/又は標準的なペプチド合成技術を使用して化学的に合成することができる。本明細書に記載されているペプチドは、本発明のペプチド(複数可)をコードするヌクレオチドの発現によって、原核宿主細胞又は真核宿主細胞において産生することができる。あるいは、このようなペプチドは、化学的方法によって合成することができる。組換え宿主における異種ペプチドの発現、ペプチドの化学合成、及びインビトロ翻訳の方法は、当該技術分野において周知であり、さらに、参照により本明細書に組み込まれるManiatisら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual (1989)、第2版、Cold Spring Harbor, N. Y.、Berger及びKimmel、Methods in Enzymology、152巻、Guide to Molecular Cloning Techniques (1987)、Academic Press, Inc.、San Diego、Calif.、Merrifield, J. (1969) J. Am. Chem. Soc. 91:501、Chaiken I. M. (1981) CRC Crit. Rev. Biochem. 11:255、 Kaiserら(1989) Science 243:187、Merrifield, B. (1986) Science 232:342、Kent, S. B. H. (1988) Annu. Rev. Biochem. 57:957、Offord, R. E. (1980) Semisynthetic Proteins、Wiley Publishingに記載されている。
【0039】
特定の態様では、本明細書に記載されているペプチドをコードする核酸分子が本明細書において提供される。一部の実施形態では、核酸分子はベクターである。一部の実施形態では、核酸分子は、本明細書に記載されている核酸分子を含むウイルスベクター、例えば、アデノウイルスベースの発現ベクターである。一部の実施形態では、本明細書において提供されるベクターは、本明細書において提供される複数のエピトープ(例えば、ポリエピトープとして)をコードする。一部の実施形態では、本明細書において提供されるベクターは、本明細書において提供される少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個のエピトープ(例えば、表1に提供されるエピトープ)をコードする。
【0040】
一部の実施形態では、ベクターはAdE1-LMPpolyである。AdE1-LMPpolyベクターは、Gly-Ala反復欠乏型EBNA1配列に融合させたLMP1及びLMP2由来の規定されたCTLエピトープのポリエピトープをコードする。AdE1-LMPpolyベクターは、例えば、各々が参照により本明細書に組み込まれるSmithら、Cancer Research 72:1116 (2012)、Duraiswamyら、Cancer Research 64:1483~9 (2004)、Smithら、J. Immunol 117:4897~906に記載されている。
【0041】
本明細書で使用するとき、用語「ベクター」とは、それに連結されている別の核酸を輸送することができる核酸分子を指す。ベクターの1つのタイプは「プラスミド」であり、追加のDNAセグメントがライゲートされ得る環状二本鎖DNAループを指す。別のタイプのベクターはウイルスベクターであり、追加のDNAセグメントはウイルスゲノムにライゲートされ得る。特定のベクターは、それらが導入される宿主細胞(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクター、エピソーム哺乳動物ベクター)において自律的複製することができる。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノムに組み込まれ、それにより宿主ゲノムとともに複製することができる。さらに、特定のベクターは、遺伝子の発現を指示することができる。このようなベクターは、本明細書において「組換え発現ベクター」(又は単に「発現ベクター」)と呼ばれる。一部の実施形態では、発現ベクター中で1つ以上の調節配列(例えば、プロモーター)に機能的に連結された核酸が、本明細書において提供される。一部の実施形態では、細胞は、本明細書において提供される核酸を転写し、それにより本明細書に記載されているペプチドを発現する。核酸分子は、細胞のゲノムに組み込まれ得、又はそれは染色体外にあり得る。
【0042】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている核酸(例えば、本明細書に記載されているペプチドをコードする核酸)を含有する細胞が本明細書において提供される。細胞は、例えば、原核生物、真核生物、哺乳動物、鳥類、マウス及び/又はヒトであり得る。一部の実施形態では、細胞は哺乳動物細胞である。一部の実施形態では、細胞はAPC(例えば、抗原提示T細胞、樹状細胞、B細胞、又はaK562細胞)である。本方法において、本明細書に記載されている核酸は、例えば送達ビヒクルを伴わない核酸として、送達試薬と組み合わせて、細胞に投与することができる。一部の実施形態では、当該技術分野において公知である任意の核酸送達方法を、本明細書に記載されている方法において使用することができる。適した送達試薬としては、限定されないが、例えば、Mirus Transit TKO親油性試薬、リポフェクチン、リポフェクタミン、セルフェクチン、ポリカチオン(例えば、ポリリジン)、アテロコラーゲン、ナノプレックス及びリポソームが挙げられる。本明細書に記載されている方法の一部の実施形態では、リポソームが、細胞又は対象に核酸を送達するために使用される。本明細書に記載されている方法における使用に適したリポソームは、標準的な小胞形成脂質から形成することができ、これは、一般的に、中性又は負に荷電したリン脂質及びステロール、例えば、コレステロールを含む。脂質の選択は、一般的に、因子、例えば、所望のリポソームサイズ及び血流中のリポソームの半減期を考慮することによって導かれる。リポソームを調製するための種々の方法が公知であり、例えば、それらの開示全体が参照により本明細書に組み込まれるSzokaら、(1980)、Ann. Rev. Biophys. Bioeng. 9:467、並びに米国特許第4,235,871号、同第4,501,728号、同第4,837,028号及び同第5,019,369号に記載されている。
【0043】
同種異系CTL
クラスI MHC上に提示されるEBVペプチドに特異的に結合するT細胞受容体を発現する同種異系CTLを対象に投与することにより、自己免疫疾患(例えばMS、SAD、IBD)を処置する方法が本明細書において提供される。一部の実施形態では、CTLは、細胞バンクからのものである。一部の実施形態では、MHCはクラスI MHCである。一部の実施形態では、クラスII MHCは、HLA-DMA、HLA-DOA、HLA-DPA、HLA-DQA又はHLA-DRAであるα鎖ポリペプチドを有する。一部の実施形態では、クラスII MHCは、HLA-DMB、HLA-DOB、HLA-DPB、HLA-DQB又はHLA-DRBであるβ鎖ポリペプチドを有する。一部の実施形態では、CTLは、対象に投与される前に細胞ライブラリ又はバンクに保存される。
【0044】
一部の実施形態では、本明細書に記載されているペプチド(例えば、LMP1、LMP2A、又はEBNA1エピトープ配列を含むペプチド)を提示するAPCが本明細書において提供される。一部の実施形態では、APCは、B細胞、抗原提示T細胞、樹状細胞、又は人工抗原提示細胞(例えば、aK562細胞)である。
【0045】
本プロセスで使用するための樹状細胞は、患者試料からPBMCを採取し、それらをプラスチックに付着させることによって調製することができる。一般的に、単球集団は留まり、他の全ての細胞を洗い流すことができる。次に、付着細胞集団をIL-4及びGM-CSFで分化させ、単球由来の樹状細胞を産生させる。これらの細胞は、IL-1β、IL-6、PGE-1及びTNF-α(樹状細胞の表面上の重要な共刺激分子をアップレギュレートする)の添加によって成熟され得、その後、本明細書において提供されるペプチドの1つ以上で形質導入される。
【0046】
いくつかの実施形態では、APCは、人工抗原提示細胞、例えばaK562細胞などである。いくつかの実施形態では、人工抗原提示細胞は、CD80、CD83、41BB-L及び/又はCD86を発現するように操作されている。aK562細胞などの人工抗原提示細胞の例は、米国特許出願公開第2003/0147869号(参照により本明細書に組み入れられる)に記載されている。
【0047】
特定の態様において、本明細書に記載のEBVエピトープを含むペプチド及び/又はEBVエピトープをコードする核酸とAPCとを接触させることを含む、1つ以上のEBVエピトープを提示するAPCの生成方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、APCは照射される。一部の実施形態では、本明細書に記載されているペプチド(例えば、LMP1、LMP2A又はEBNA1エピトープ配列を含むペプチド)を提示するAPC。本明細書に記載されているペプチドを提示する細胞は、当該技術分野において公知である標準的な技術によって産生することができる。例えば、細胞にパルスを与えてペプチド取り込みを促進し得る。一部の実施形態では、細胞は、本明細書において提供されるペプチドをコードする核酸をトランスフェクトされる。本明細書に記載されているペプチドで細胞をパルスするステップを含む、抗原提示細胞(APC)を産生する方法が本明細書において提供される。抗原提示細胞を産生する例示的な例は、WO2013088114号に見ることができ、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0048】
一部の実施形態において、MHC上に提示された本明細書に記載のペプチドを認識するTCR(例えば、αβTCR又はγδTCR)を発現するT細胞(例えば、CD4 T細胞及び/又はCD8 T細胞)が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、T細胞は、クラスI MHC上に提示される本明細書に記載のペプチドを認識するTCRを発現するCD8 T細胞(CTL)である。いくつかの実施形態では、T細胞は、クラスII MHC上に提示される本明細書に記載のペプチドを認識するCD4 T細胞(ヘルパーT細胞)である。
【0049】
一部の実施形態では、本明細書に記載のEBVエピトープの1つ以上を認識するT細胞(例えば、CTL)を生成する、活性化する及び/又は増殖を誘導する方法が本明細書において提供される。一部の実施形態では、CTLを含む試料(すなわち、PBMC試料)は、本明細書において提供されるAPC(例えば、クラスI MHC複合体上にEBVエピトープを含むペプチドを提示するAPC)とともに培養物中でインキュベートされる。一部の実施形態では、APCは、T細胞が得られた対象に対して自家である。一部の実施形態では、APCは、T細胞が得られた対象に対して自家ではない。一部の実施形態では、T細胞を含有する試料は、本明細書において提供されるAPCとともに2回以上インキュベートされる。一部の実施形態では、T細胞は、少なくとも1つのサイトカインの存在下でAPCとともにインキュベートされる。一部の実施形態では、サイトカインは、IL-4、IL-7及び/又はIL-15である。APCを使用してT細胞の増殖を誘導するための例示的な方法は、例えば、米国特許出願公開第2015/0017723号に提供され、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0050】
一部の実施形態では、有効量の組成物を対象に投与することにより対象において自己免疫疾患を処置及び/又は予防するために使用される、本明細書において提供されるT細胞及び/又はAPCを含む組成物(例えば治療用組成物)が、本明細書において提供される。いくつかの態様では、組成物(例えば、同種異系CTLを含む組成物などの医薬組成物)を使用して自己免疫障害を処置する方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、組成物は、本明細書に提供されている複数の(例えば、2つ以上の)CTLの組み合わせを含む。
【0051】
治療方法
一部の実施形態では、本明細書において提供される同種異系CTLを対象に投与することによって、対象における自己免疫障害を処置する方法が、本明細書において提供される。一部の実施形態において、同種異系CTLは、細胞バンク(例えば予め生成された第三者ドナー由来のエピトープ特異的CTLのバンク)から選択される。
【0052】
一部の実施形態では、本明細書において提供される方法を使用して任意の自己免疫疾患を処置することができる。自己免疫疾患の例としては、例えば、糸球体腎炎、関節炎、拡張型心筋症様疾患、潰瘍性大腸炎、シェーグレン症候群、クローン病、全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、若年性関節リウマチ、スティル病、多発性硬化症、乾癬、アレルギー性接触皮膚炎、多発性筋炎、強皮症、結節性動脈周囲炎、リウマチ熱、白斑尋常性ざ瘡、ベーチェット病、橋本病、アジソン病、皮膚筋炎、重症筋無力症、ライター症候群、グレーブス病、悪性貧血、無菌性疾患、天疱瘡、自己免疫性血小板性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、活動性慢性肝炎、アジソン病、抗リン脂質抗体症候群、アトピー性アレルギー、自己免疫性萎縮性胃炎、自己免疫性無酸素症、セリアック病、クッシング症候群、皮膚筋炎、円板状エリテマトーデス、グッドパスチャー症候群、橋本甲状腺炎、特発性副腎萎縮、特発性血小板減少症、インスリン依存性糖尿病、ランバート-イートン症候群、ルポイド肝炎、リンパ球減少症、複合性結合織疾患、類天疱瘡、尋常性天疱瘡、悪性貧血、水晶体起因性ブドウ膜炎、結節性多発動脈炎、多腺性自己免疫性症候群、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、レイノー症候群、再発性多発性軟骨炎、シュミット症候群、限局性強皮症(又はクレスト症候群)、交感性眼炎、全身性エリテマトーデス、高安動脈炎、側頭動脈炎、甲状腺中毒症、B型インスリン抵抗性、I型糖尿病、潰瘍性大腸炎及びヴェゲナー肉芽腫症が挙げられる。
【0053】
一部の実施形態では、本明細書において提供される方法は、MSを処置するために使用される。一部の実施形態では、MSは、再発寛解型MS、二次進行型MS、一次進行型MS又は進行性再発型MSである。
【0054】
一部の実施形態では、本明細書において提供される方法は、SADを処置するために使用される。例えば、特定の実施形態では、本明細書において提供される方法は、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス及び/又はシェーグレン症候群を処置するために使用される。
【0055】
一部の実施形態では、本明細書において提供される方法は、IBDを処置するために使用される。例えば、特定の実施形態では、本明細書において提供される方法は、クローン病(局所性腸疾患、例えば、不活性型及び活性型)、セリアック病(例えば、不活性型及び活性型)、及び/又は潰瘍性大腸炎(例えば、不活性型及び活性型)を処置するために使用される。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法は、過敏性腸症候群、顕微鏡的大腸炎、リンパ球プラズマ細胞性腸炎、セリアック病、膠原性大腸炎、リンパ球性大腸炎、好酸球性腸炎、不確定性大腸炎、感染性大腸炎(ウイルス性、細菌性又は原生動物、例えば、アメーバ性大腸炎)(例えば、クロストリジウム・ディフィシル(clostridium dificile)大腸炎)、偽膜性大腸炎(壊死性大腸炎)、虚血性炎症性腸疾患、ベーチェット病、サルコイドーシス、強皮症、IBD関連異形成、異形成関連塊又は病変、及び/又は原発性硬化性胆管炎を処置するために使用される。
【0056】
本明細書において提供される医薬組成物中の活性成分の実際の投薬量レベルは、患者に毒性ではなく、特定の患者についての所望の治療応答を達成するのに有効な活性成分の量、組成、及び投与様式を達成するように変化させ得る。
【0057】
選択された投薬量レベルは、使用される特定の薬剤の活性、投与経路、投与時間、使用される特定の化合物の排出又は代謝速度、処置期間、使用される特定の化合物と併用して使用される他の薬物、化合物及び/又は材料、処置される患者の年齢、性別、体重、状態、全般的な健康状態及び以前の病歴、並びに医学分野において周知である同様の因子などの様々な因子に依存する。
【0058】
一部の実施形態では、本方法は、細胞バンク(例えば、エピトープ特異的CTLの予め生成された第三者ドナー由来のバンク)から同種異系CTLを選択するステップを含む。一部の実施形態では、CTLが、対象に存在するHLA対立遺伝子によってコードされるクラスI MHCに拘束されたTCRを発現するため、そのCTLが選択される。一部の実施形態では、CTL及び対象が少なくとも2つの(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つの)HLA対立遺伝子を共有し、CTLは共有HLA対立遺伝子によって拘束される場合に、そのCTLが選択される。一部の実施形態では、本方法は、予め生成された第三者ドナー由来のエピトープ特異的T細胞(すなわち、同種異系T細胞)のTCRレパートリーをフローサイトメトリーで試験するステップを含む。一部の実施形態では、エピトープ特異的T細胞は、四量体アッセイ、ELISAアッセイ、ウェスタンブロットアッセイ、蛍光顕微鏡アッセイ、エドマン分解アッセイ及び/又は質量分析アッセイ(例えば、タンパク質配列決定)を使用して検出される。一部の実施形態では、TCRレパートリーは、核酸プローブ、核酸増幅アッセイ及び/又は配列決定アッセイを使用して分析される。
【0059】
[実施例]
[実施例1]
エピトープ特異的CTLの第三者ドナー由来のバンクの生成
エピトープ特異的CTLの第三者ドナー由来のバンクを、十分な規模、患者のHLA適合能力の広範さ、及び標的に限定(拘束)された活性のCTL集団を生成するために、ドナーのリンパ球材料の標的化同定法を介して生成する。ドナー材料の同定は、ドナー/材料の遺伝子アノテーション、又は、以下の材料から得られた産生物の品質特性の任意の組合せにより容易になる:
(a)ドナーHLA対立遺伝子 - 特異的HLA対立遺伝子を、標的とした患者集団及び/又は刺激するペプチド配列に含有されるコグネートエピトープを最も広く網羅する能力に基づく、CTL生成用の入力材料として優先し、特に収集し得る。
(b)CTL刺激プロトコールにしたがう効果的な細胞傷害性能力を拡大及び/又は産生する、ドナー材料の試験アリコートの能力。
(c)細胞傷害性試験により、又は脱顆粒、サイトカイン放出、シグナリングアッセイ若しくは標的細胞におけるアポトーシスの他のマーカー及び/若しくはCTLコンパートメントのエピトープ特異的刺激により示される応答の機能的特性解析によって示される、刺激されたドナー材料のエピトープ/HLA拘束性。
(d)共刺激分子の発現、枯渇マーカー、分化マーカー、及び/又は他の得られた産生物の特性に関する試験アリコートにおけるCTL産生物の得られた表現型プロファイル。
【0060】
産生物を含むCTLの並列又は順次の刺激及び生成に続き、各CTLバッチ又はロットを、HLA拘束性の特異性及び有効性について特徴付け、注釈を付ける(アノテートする)。次いで、特徴付けられたロットを、後日、蘇生が可能なように生存可能な状態で凍結保存する。別個のドナー材料から別個のHLA対立遺伝子発現で生成された複数のロットの累積凍結保存により、凍結保存された「バンク」にわたるHLA拘束性活性に多様性の幅をもたらす。これで、バンクの内容は、将来の時点で患者の特性から選択し、適合させる準備が整っており、その結果、具体的なロットを、各患者に即した特性を有する容易に利用できる療法を提供するために、回収し、蘇生することができる。
【0061】
[実施例2]
エピトープ特異的CTLのバンク由来の第三者ドナーの細胞株からのCTLの選択
バンキングされた産生物に対する患者に特異的な要求を、患者の遺伝的なバックグラウンド又は疾患のバックグラウンドと材料特性を規則正しく優先させて統合することを通じて達成し得る。そのような階層的考察のシーケンスを、これらの入力及び適合するロットの出力を統合するように設計されたアルゴリズムを使用することを通じて達成し得る。このアルゴリズムは、HLA拘束性に基づき得、又は複数のロットが利用できる場合、それぞれを適切に重み付けし、追加のロット並びに/若しくは患者に特異的な特性及びアノテーションを含む一連の追加入力と組み合わせてHLA拘束性により適合させることに基づき得、それにより最も効果的な、患者に特異的なロット、若しくは有害事象の可能性を最も軽減するものを選択する。以下に、そのような要求アルゴリズムに対する代表的な形式を提供する。
【0062】
同種異系第三者EBV-CTLを、対象に対して、利用できるEBV-CTL細胞株のライブラリーから選択する。以下のステップは、対象に使用される細胞株を同定するためのプロセスを説明する:
(1)細胞株を患者と適合させるために、細胞株及び対象は、高分解能で2つ以上のHLA遺伝子座を共有し、対象の、又は特に、既知の場合、患者のEBV+B細胞のコンパートメントの少なくとも1つのHLA遺伝子座が、所定のCTL細胞株のHLA拘束性に適合する必要がある。
(2)十分な細胞の用量の存在を確認するための、最小Xサイクルで、1用量当たりのY CTL/kg実体重(サイクル(X)当たりのn用量、Xサイクル=nX総用量、したがって利用できる最小用量は少なくともnXY×106CTL/kg実体重の必要がある)で投与する、選択された細胞株からの十分な細胞の存在。最小用量は、患者又は疾患の特性に応じて変化し得る。
(3)ただ1つの細胞株が事前に議論された基準にしたがって同定される場合、その細胞株を使用すべきであり、さらなる選択基準を課すことはない。しかし、いくつかの場合、所定の対象に対して、CTLライブラリーにおいて、HLA適合(1)及び最小用量の要件(2)を満たす1超の細胞株が存在し得る。これらのCTL細胞株の中で、いくつかは、材料ドナーの遺伝子型において拘束性であるか又は限定されているかのいずれかの追加のHLA対立遺伝子の特性を有し得、これは、臨床的に又は間接的なレベルの証拠のいずれかで、有効性が減少する又は有害事象への関連が増すこととして定義される臨床成績の低下に関連し得る。そうである場合、この追加のHLA対立遺伝子の欠如について細胞株を選択する。
【0063】
加えて、事前に患者に投与される細胞株、及び、得られる記録された応答。これらの細胞株の応答データは、以下の通り、(1)及び(2)の要件を満たすCTL細胞株オプションの中から選択するのに使用する:
(3a)処置された少なくとも4名の患者の中で先の応答率が特定のカットオフ値より大きい細胞株の中で、ライブラリーにおいて利用できる、存在する最大の細胞の用量を選択する。ドナーの出発材料を後続のバッチのために使用し、第一のバッチと同じHLA拘束性が得られた場合、同じHLA拘束性を共有する後続のバッチに対する応答率を、同様に効果的であると仮定することができる。
(3b)(3a)の基準を満たす細胞株が存在しない場合、(1)及び(2)の要件を満たすCTL細胞株の中で、最も高い応答率及び少なくとも1つの先の応答を有する株を選択する。
(3c)先の応答率を有する細胞株が存在しない場合、そのHLA拘束性が事前に応答を引き出すことが示されている細胞株の中から、HLA拘束性によるとどの細胞株が最も高い先の応答を有する対象(又は対象の疾患)と共有したかを優先して選択する。
(3d)最終的に、先の要件を満たすことができない場合、応答が不十分なことが知られている、又は臨床成績の低下がより優勢である、若しくはそれと潜在的に関連したHLA拘束性を回避している株を選択する。
【0064】
原発性進行型MS(PPMS)と診断された任意の患者、続発性進行型MS(SPMS)患者、又は再発寛解型MS(RRMS)患者を、患者のHLA対立遺伝子と適合するHLA拘束性を有する利用可能な細胞株が存在する限り、EBV-CTLで処置し得る。
【0065】
[実施例3]
第三者ドナー由来のCTLを使用するMSの処置
再発寛解型、原発性進行型及び続発性進行型のMSの患者を、EBNA1抗原、LMP1抗原及びLMP2抗原を提示するB細胞及び血漿細胞に対して細胞傷害性を呈する第三者同種異系標的化EBV-CTLで処置する。患者は、2×10^7細胞/m2の用量で、Q2週間隔での(即ち、第1日、第15日、第29日及び第43日に)静脈内投与で、標的化EBV-CTLの投与を4回受ける。再発事象、連続ガドリニウム増強脳MRI、及び連続腰椎穿刺について、患者を評価して、脳脊髄液IgGレベル及びオリゴクローナルバンドの発生率を測定する。総合障害度評価尺度(EDSS)を行って、障害の進行を特徴付ける。併用薬及び有害事象を収集して、処置の安全特性を特徴付ける。以下は、処置の有効性の指標である:
1)同様の患者集団における既存対照と比較する場合、RRMS患者の月に一度の来院時にMRI造影で観察される、新しいガドリニウム増強病変の著しい減少。
2)同様の患者集団における既存対照と比較する場合、月に一度の来院時での臨床再発年率の著しい減少。
3)原発性進行型MS(PPMS)患者、続発性進行型MS(SPMS)患者、及び再発寛解型MS(RRMS)患者におけるベースラインと比較する場合、CSF IgGレベルの著しい低減。
4)原発性進行型、続発性進行型、及び再発寛解型のMS患者の30パーセントで、ベースライン時に存在しているオリゴクローナルバンドが解消される。
5)原発性進行型MS(PPMS)患者、続発性進行型MS(SPMS)患者、及び再発寛解型MS(RRMS)患者における、6か月及び12か月でのEDSSスコアの軽度から中程度の改善。
6)RRMS患者の50%、PPMS患者の30%、及びSPMS患者の25%において、運動強度で起こる著しい改善。
7)RRMS患者の80%は、既存対照の65%が示すのに対して、1年での疾患活動性の証拠を示さない。
【0066】
[実施例4]
第三者ドナー由来のCTL(ATA188)を使用するMSの処置
再発寛解型、原発性進行型及び続発性進行型のMSの患者を、第三者ドナー由来のCTLの養子免疫伝達で処置する。同種異系潜伏-2(latency-2)EBV標的化細胞傷害性Tリンパ球(同種異系L2 EBV CTL)、又はATA188は、潜伏膜タンパク質1(LMP1)、LMP2及びEBNA1を含むEBVタンパク質抗原に特異的な、HLA適合の、インビトロ拡大増殖された抗原特異的T細胞である。健康なEBV血清陽性ドナーの末梢血単核球細胞(PBMC)から、ATA188を産生する。一部のこれらのドナー細胞は、免疫療法用のT細胞となり、一部は、T細胞を刺激するために使用する抗原提示細胞(APC)である。ポリペプチドタンパク質及びトランケートEBNA1タンパク質(AdE1-LMPpoly)を発現する導入遺伝子をコードする、新規の組換え複製欠損アデノウイルスで、APCに形質導入を行う。ポリエピトープタンパク質は、「一連のビーズ」としてのLMP1及びLMP2からの複数のHLAクラスI拘束性CD8+T細胞エピトープを含む。トランケートEBNA1タンパク質は、このタンパク質の翻訳及び内在性のプロセシングを阻害するグリシン-アラニン反復配列を除外し、CD8+及びCD4+T細胞エピトープを維持する。前臨床試験及び臨床試験は、これらのLMP及びEBNA1発現APCが、インターロイキン-2(IL-2)の存在下で、ヒトドナーからの抗原特異的T細胞の急速な拡大増殖を誘導するのに効果が高いことを示している。得られる細胞産生物、ATA188を凍結保存し、細胞傷害性能力を有しHLA拘束性であり且つアデノウイルスの感染性がないことを確認する。
【0067】
プロトコール及び投薬
患者は2サイクルの処置を受け、各サイクルは、15日間の処置期間(3回の注入で、それぞれをおよそ7日間あけて、第1日、第8日[±2日]及び第15日[±2日]に)からなる。サイクル1の3回目の注入後、対象は、およそ週に一度の来院による20日間の観察期間に入り、サイクル2の3回目の注入後、対象は、11か月間の月に一度(28±5日毎)の来院による追跡調査期間に入る。同時に、対象を、ATA188の最初の投薬後の少なくとも1年間、観察する。
【0068】
第一のコホートを、5×106細胞の用量で処置し、その後、1×107、2.0×107及び4.0×107の用量で(それぞれコホート2、3及び4において)処置する。コホート1~4内で、第一及び第二の対象、並びに第二及び第三の対象の処置の間を8日間あけて、対象に時差処置する(例えば、用量制限毒性を観察しない場合、第二の対象への処置は、第一の対象が第8日の注入を受けた翌日に始まり得る。用量制限毒性、すなわちDLTは、ATA188の投与に関する少なくとも可能性とみなされる毒性である。第三の対象を登録したら、コホートの残りを登録する。1つのコホートから次への用量漸増は、コホートでの6名の対象全員に対して、サイクル1第1日の最初の投薬後の最初の35日間(即ち、35日DLT評価ウインドウ)の間にDLTが起こらない場合に行う。6名のうち1名の対象が、35日評価ウインドウ内のDLTを経験する場合、追加の3名の対象を、投薬コホートに登録する。追加の3名の対象のうち(35日評価ウインドウ内で)DLTを観察しない場合、次の投与コホートへの用量漸増は進む。コホート内の9名の対象のうち2名以上が35日評価ウインドウ内でDLTを経験する場合、その用量レベルは最大許容量(MTD)とみなされる。MTDは、6名の対象のうち1名未満がDLTを有する時点での最高投与試験である。全ての用量が6名のうち1名未満を有する場合、MTDは最高投与試験である。さらに、先の用量レベルはRP2Dとみなされる。RP2Dは、登録する研究者及び試験依頼者の医療監視員による投薬の最初の35日間に16.6%未満のDLTの対象発生率で、用量漸増(即ち、コホート1~4)中に収集された全ての安全性、有効性、及びバイオマーカーのデータの評価に基づいて、フェーズ2のために選択されたATA188の用量である。最小投与コホート(コホート1)内の9名の対象のうち2名以上が35日評価ウインドウ内でDLTを経験する場合、より低い用量/スケジュールを、試験依頼者の医療監視員及び登録する研究者と相談して調査し得る。
【0069】
用量漸増は、コホート内の全ての対象が35日DLT評価ウインドウを完了した後の、処置時発生有害事象(TEAE)、臨床検査データ、バイタルサインを含む身体検査の所見、及び心電図(ECG)を含む、安全性評価に基づく。
【0070】
用量拡大(即ち、コホート5)を、対象間で処置をずらす/休止することをせずにRP2Dで実施する。
【0071】
再発事象、並びに、脳磁気共鳴画像法(MRI)スキャンでのガドリニウム(Gd)増強病変及び新しい又は拡大するT2病変の数のベースラインからの変化について、患者を評価する。少なくとも2つのヒト白血球抗原(HLA)対立遺伝子が、ATA188及び対象の間で共有する少なくとも1つのHLA拘束性対立遺伝子に適合することに基づいて、ATA188を各対象のために選択する。総合障害度評価尺度(EDSS)を行って、疾患及び障害の進行を特徴付ける。併用薬及び有害事象を収集して、処置の安全特性を特徴付ける。
【0072】
評価項目/試験評価:
以下は、処置の有効性の指標である:
1)脳MRIスキャンでのGd増強病変及び新しい又は拡大するT2病変の数のベースラインからの変化。
2)臨床再発年率の減少。
3)原発性進行型MS(PPMS)患者、続発性進行型MS(SPMS)患者、及び再発寛解型MS(RRMS)患者における、EDSSスコアの軽度から中程度の改善。
【0073】
循環EBV特異的T細胞の頻度、持続性及び拡大増殖について、患者を評価して、細胞の動態を有効性及び安全性のエンドポイントと関連付ける。加えて、任意の数のエンドポイントを試験参加者において評価し得る。例えば、EBVデオキシリボ核酸(DNA)の変化、ビタミンD3の変化、神経フィラメントの変化、MRI磁場転写率(MTR)の変化、臨床結果の評価(例えば、多発性硬化症影響尺度29(MSIS)スコア、疲労重症度尺度(FSS)スコア、視力(VA)及び多発性硬化症機能評価(MSFC)スコア)の変化、並びに、免疫グロブリンG(IgG)指標(血清及び脳脊髄液(CSF)中のIgGの定量化及びオリゴクローナルバンド(OCB)の解析を含む)の変化を、T細胞の投与前の最初の測定、並びに、試験中及び試験後の追加の測定を行うことで測定し得る。
【0074】
試験対象集団:
最近の疾患活動性を有する最大42名のRRMSの対象及び6名のSPMSの対象を、6~10の試験機関に登録する。DLTが試験中に起こらない場合、合計で36名の対象を登録する(RRMSの30名及びSPMSの6名)。
【0075】
以下は、本試験に含まれる患者に対する選択/除外基準である。対象は、以下の全てを満たす場合、本試験の参加に適格であるとみなす:
1.以下の基準の1つを満たすMS歴
- MSの診断に対する2010年改訂McDonald基準により定義される、RRMS
又は
- インフォームドコンセントを実施する前の年に再発歴がなく、登録の少なくとも1年前に診断された、SPMS
2.陽性のEBV血清学的値
3.適切な部分HLA適合及び拘束性ATA188の利用可能性
4.年齢が18~45歳の男女
5.3.0~6.5のEDSSスコア
6.文書によるインフォームドコンセントを実施する意図及び能力
【0076】
対象は、以下の基準のいずれかを満たす場合、本試験の参加には適格ではない:
1.プロトコール準拠性を限定する、又は許容できないリスクに対象を曝露する、感染などの同時に重篤で制御されていない又は解消されていない健康状態
2.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に対する、陽性の血清学的値及び/又は核酸試験(NAT)
3.活性B型肝炎ウイルス(HBV)感染又はHBVのキャリア状態を示す、血清学的値及び/又はNAT(注:以前のHBV感染を示すがHBV感染が除去されている場合のHBVに対する陽性の血清学的値は除外基準ではない)
4.活性C型肝炎ウイルス(HCV)感染を示す、血清学的値及び/又はNAT
5.梅毒又はヒトT細胞白血病ウイルスI/II(HTLV)に対する、陽性の血清学的値
6.重大な非悪性疾患(例えば、重症な心機能障害又は呼吸機能障害)
7.本試験に参加する能力を損ない得る、制御されていない精神疾患、制御されていないうつ病若しくは自殺危険、物質依存症、又は任意の他の精神学上の状態
8.全血球数、腎機能又は肝機能の臨床的に重大な異常:
a.総ビリルビン(TBILI)>1.5×正常値の上限(ULN、対象が実証されているジルベール疾患を有していない限り)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)又はアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)>3.0×ULNを含む、肝機能検査値の上昇
b.(Cockcroft-Gaultの式を使用して)クレアチニン>1.5×ULN及びクレアチニンクリアランス推定値<60mL/分の両方である対象
c.ヘモグロビン<10g/dL、血小板<100×109/L、好中球絶対数<1.5×109/L
9.アレルギー、又は、任意の金属片若しくは異物(例えば、動脈瘤クリップ、ペースメーカー、電子インプラント、シャント)を含む、強いパルス勾配静磁場に対して反応する任意の物体など、MRI及び/又はGdの禁忌
10.処置が成功した非黒色腫性皮膚がん又は子宮頚部上皮内癌を除く、12か月以内の再発の可能性が5%以上である過去のがん
11.以下の免疫調節療法(副腎皮質ステロイドの短期コースを除く):
a.B細胞枯渇剤での任意の先の処置
b.アレムツズマブでの任意の先の処置
c.インフォームドコンセントの実施から4週間以内の、酢酸グラチラマー又はIFNβでの処置
d.インフォームドコンセントの実施から4週間以内の、フマル酸ジメチルでの処置
e.インフォームドコンセントの実施から2ヶ月以内の、フィンゴリモドでの処置
f.インフォームドコンセントの実施から6ヶ月以内の、ナタリズマブ、メトトレキセート、アザチオプリン又はシクロスポリンでの処置
g.患者がコレスチラミンでの急速なクリアランスを完了していない限り、インフォームドコンセントの実施から12ヶ月以内の、テリフルノミドでの処置
h.インフォームドコンセントの実施から、又は、研究者により決定されてから12ヶ月以内の、ミトキサントロン、シクロホスファミド、クラドリビン、リツキシマブ、若しくは任意の他の免疫抑制若しくは細胞傷害性療法(ステロイドを除く)での、これらの処置から残留免疫抑制を有するための処置
12.インフォームドコンセントの実施する前の4週間以内の、抗胸腺細胞グロブリン又は同様の抗T細胞抗体療法
13.ATA188での処置を受けている間、及び最後の投与後3か月間、効果が高い避妊方法(即ち、正確かつ一貫して使用する場合、妊娠は年に1%未満という結果となるもの)、例えば、インプラント、注射剤、混合経口避妊剤、いくつかの子宮内避妊デバイス、禁欲、又は精管切除したパートナーを使用することを望まない妊娠可能な女性
又は
ATA188での処置を受けている間、及び最後の投与後3か月間、効果が高い避妊手段を使用することを望まず、及び/又は精液の提供を断つことを望まない、妊娠可能な女性パートナーを有する男性
14.授乳中の女性
15.妊娠
16.試験手順に応じることができないこと
17.EBV T細胞療法での先の処置
【0077】
試験で利用される統計方法
解析集団
本試験に登録され、任意の試験産生物を受ける対象全員を、有効性及び安全性の集団に含む。有効性集団は、主要な有効性解析、並びに体内動態、人口統計、及びベースラインの疾患の特性の全ての解析のためのものである。
【0078】
対象を、DLTの解析に関して評価可能であるとみなすためには、対象は、35日DLT評価ウインドウの間にDLTを有するか、又は35日DLT評価を完了させるかのいずれかであるべきである。
【0079】
有効性解析
記述統計を有効性のエンドポイントに対して実施し、さらに、連続する有効性のエンドポイントを、回帰法を使用して解析する。
【0080】
安全性解析
安全性評価は、全ての関連するAE及び関連のないAEを含む。全てのAEを、医薬品規制用語集を使用してマッピングし、CTCAEバージョン4.03にしたがってグレード決定する。AEが報告された対象の数及び百分率、重篤対軽度、並びに研究者により報告された関連性(関連のない、関連する可能性がある、関連する)によりAEをまとめる。AEの種類及び頻度をまとめるために、記述統計を使用する。
【0081】
[実施例5]
健康なドナーからのCTLによりエフェクター機能が改善することを示す
健康なEBV血清陽性ドナー(NMDPドナー)又はMS患者から、末梢血単核球細胞(PBMC)を得た。これらのドナー細胞の各サンプルの一部を、拡大増殖させたCTLの供給源として使用し、一部を、CTLを刺激するために使用した抗原提示細胞(APC)の供給源として使用した。ポリペプチドタンパク質及びトランケートEBNA1タンパク質(AdE1-LMPpoly)を発現する導入遺伝子をコードする、組換え複製欠損アデノウイルスで、APCに形質導入を行った。ポリエピトープタンパク質は、「一連のビーズ」としてのLMP1及びLMP2からの複数のHLAクラスI拘束性CD8
+T細胞エピトープを含んだ。トランケートEBNA1タンパク質は、このタンパク質の翻訳及び内在性のプロセシングを阻害するグリシン-アラニン反復配列を除外したが、CD8+及びCD4+T細胞エピトープを維持した。ドナー細胞のサンプルのCTL部分を、調製したAPCとともに共培養して、EBVエピトープに特異的なサンプルにおいてCTLを拡大増殖させ、刺激した。産生物を含むCTLの刺激及び生成に続き、CTLバッチをFACによりエフェクター機能について試験した。
図1から分かるように、健康なドナーから生成されるCTL産生物は、MS患者から生成されるCTL産生物と比較して、インターフェロンγ(IFNg)発現及びCD8
+である著しく高い百分率の生存可能なリンパ球であった(マンホイットニーp値0.0002)。これらのデータは、健康なドナーを同種異系移送のためのCTLの供給源として使用する場合、MS患者を自家移送のためのCTLの供給源として使用する場合と比較して、より高い割合のエフェクターCD8 T細胞及び機能性IFNg
+CTLを有するより頑強なCTL産生物を生成することを示す。
【0082】
本明細書で述べられる全ての刊行物、特許、特許出願及び配列受託番号は、各刊行物、特許又は特許出願が参照により、特に、個別に組み込まれたことを示したかのように、その全体を参照により本明細書に組み込む。競合する場合、本明細書でのいかなる定義も含め、本出願が優先される。
【0083】
当業者は、本明細書に記載される本発明の具体的な実施形態に対する多くの均等物を認識し、又は日常的な実験にすぎないものを使用して確認することができる。そのような均等物は、以下の特許請求の範囲に包含されることを意図する。
本発明は、例えば以下の実施形態を包含する:
[実施形態1]対象において自己免疫疾患を処置又は予防する方法であって、クラスI MHC上に提示されるEBVペプチドと特異的に結合するT細胞受容体を発現する同種異系細胞傷害性T細胞(CTL)を対象に投与することを含む方法。
[実施形態2]クラスI MHCが、対象に存在するHLA対立遺伝子によってコードされる、実施形態1に記載の方法。
[実施形態3]自己免疫疾患が多発性硬化症(MS)である、実施形態1又は2に記載の方法。[実施形態4]自己免疫疾患が関節リウマチ(RA)である、実施形態1又は2に記載の方法。[実施形態5]同種異系CTLが細胞バンクから得られる、実施形態1から4のいずれかに記載の方法。
[実施形態6]対象において自己免疫疾患を処置又は予防する方法であって、
(a)クラスI MHC上に提示されるEBVペプチドと特異的に結合するT細胞受容体を発現する同種異系細胞傷害性T細胞(CTL)を細胞バンクから選択すること、
(b)対象に同種異系CTLを投与すること
を含む方法。
[実施形態7]クラスI MHCが、対象に存在するHLA対立遺伝子によってコードされる、実施形態6に記載の方法。
[実施形態8]自己免疫疾患が多発性硬化症(MS)又は関節リウマチ(RA)である、実施形態6又は7に記載の方法。
[実施形態9]対象において自己免疫疾患を処置又は予防する方法であって、
(a)同種異系細胞傷害性T細胞(CTL)を含むサンプルを、EBVペプチドを提示する抗原提示細胞(APC)とともにインキュベートし、それによりサンプルにおいてペプチド特異的T細胞の増殖を誘導すること、
(b)対象にペプチド特異的同種異系CTLを投与すること
を含む方法。
[実施形態10]クラスI MHCが、対象に存在するHLA対立遺伝子によってコードされる、実施形態9に記載の方法。
[実施形態11]対象において自己免疫疾患を処置又は予防する方法であって、
(a)EBVペプチドをコードする核酸構成物とともに抗原提示細胞(APC)をインキュベートし、それにより、APCがEBVペプチドを提示するように誘導すること
(b)同種異系CTLを含むサンプルを抗原提示細胞(APC)とともにインキュベートし、それにより、CTLが増殖するように誘導することにより、ペプチド特異的CTLの増殖を誘導すること、及び
(c)対象にペプチド特異的同種異系CTLを投与すること
を含む方法。
[実施形態12]クラスI MHCが、対象に存在するHLA対立遺伝子によってコードされる、実施形態11に記載の方法。
[実施形態13]核酸構成物がウイルスベクターである、実施形態11又は12に記載の方法。
[実施形態14]ウイルスベクターがAdE1-LMPpolyである、実施形態13に記載の方法。
[実施形態15]同種異系CTLが、対象に投与する前に細胞バンクに保存される、実施形態9から14のいずれかに記載の方法。
[実施形態16]自己免疫疾患が多発性硬化症(MS)である、実施形態9から15のいずれかに記載の方法。
[実施形態17]自己免疫疾患が関節リウマチ(RA)である、実施形態9から15のいずれかに記載の方法。
[実施形態18]サンプルをステップ(a)において1つ以上のサイトカインとともにインキュベートする、実施形態9から17のいずれかに記載の方法。
[実施形態19]APCがB細胞を含む、実施形態9から18のいずれかに記載の方法。
[実施形態20]APCが抗原提示T細胞を含む、実施形態9から19のいずれかに記載の方法。
[実施形態21]APCが樹状細胞を含む、実施形態9から20のいずれかに記載の方法。
[実施形態22]APCが人工抗原提示細胞を含む、実施形態9から21のいずれかに記載の方法。
[実施形態23]人工抗原提示細胞がaK562細胞である、実施形態22に記載の方法。
[実施形態24]サンプルが末梢血単核球細胞(PBMC)を含む、実施形態9から23のいずれかに記載の方法。
[実施形態25]EBVペプチドがLMP1ペプチド又はその断片を含む、実施形態1から24のいずれかに記載の方法。
[実施形態26]EBVペプチドがLMP2Aペプチド又はその断片を含む、実施形態1から24のいずれかに記載の方法。
[実施形態27]EBVペプチドがEBNA1ペプチド又はその断片を含む、実施形態1から24のいずれかに記載の方法。
【0084】
SEQUENCE LISTING
<110> THE COUNCIL OF THE QUEENSLAND INSTITUTE OF MEDICAL RESEARCH
<120> METHODS OF TREATING AUTOIMMUNE DISEASE USING ALLOGENEIC T CELLS
<130> PA22-413
<150> US62/341,360
<151> 2016-05-25
<150> US62/359,326
<151> 2016-07-07
<150> US62/487,814
<151> 2017-04-20
<160> 26
<170> PatentIn version 3.5
<210> 1
<211> 376
<212> PRT
<213> Epstein-Barr virus
<400> 1
Met Asp Leu Asp Leu Glu Arg Gly Pro Pro Gly Pro Arg Arg Pro Pro
1 5 10 15
Arg Gly Pro Pro Leu Ser Ser Tyr Ile Ala Leu Ala Leu Leu Leu Leu
20 25 30
Leu Leu Ala Leu Leu Phe Trp Leu Tyr Ile Ile Met Ser Asn Trp Thr
35 40 45
Gly Gly Ala Leu Leu Val Leu Tyr Ala Phe Ala Leu Met Leu Val Ile
50 55 60
Ile Ile Leu Ile Ile Phe Ile Phe Arg Arg Asp Leu Leu Cys Pro Leu
65 70 75 80
Gly Ala Leu Cys Leu Leu Leu Leu Met Ile Thr Leu Leu Leu Ile Ala
85 90 95
Leu Trp Asn Leu His Gly Gln Ala Leu Tyr Leu Gly Ile Val Leu Phe
100 105 110
Ile Phe Gly Cys Leu Leu Val Leu Gly Ile Trp Val Tyr Phe Leu Glu
115 120 125
Ile Leu Trp Arg Leu Gly Ala Thr Ile Trp Gln Leu Leu Ala Phe Phe
130 135 140
Leu Ala Phe Phe Leu Asp Ile Leu Leu Leu Ile Ile Ala Leu Tyr Leu
145 150 155 160
Gln Gln Asn Trp Trp Thr Leu Leu Val Asp Leu Leu Trp Leu Leu Leu
165 170 175
Phe Leu Ala Ile Leu Ile Trp Met Tyr Tyr His Gly Gln Arg His Ser
180 185 190
Asp Glu His His His Asp Asp Ser Leu Pro His Pro Gln Gln Ala Thr
195 200 205
Asp Asp Ser Ser Asn His Ser Asp Ser Asn Ser Asn Glu Gly Arg His
210 215 220
His Leu Leu Val Ser Gly Ala Gly Asp Ala Pro Pro Leu Cys Ser Gln
225 230 235 240
Asn Leu Gly Ala Pro Gly Gly Gly Pro Asp Asn Gly Pro Gln Asp Pro
245 250 255
Asp Asn Thr Asp Asp Asn Gly Pro Gln Asp Pro Asp Asn Thr Asp Asp
260 265 270
Asn Gly Pro His Asp Pro Leu Pro Gln Asp Pro Asp Asn Thr Asp Asp
275 280 285
Asn Gly Pro Gln Asp Pro Asp Asn Thr Asp Asp Asn Gly Pro His Asp
290 295 300
Pro Leu Pro His Asn Pro Ser Asp Ser Ala Gly Asn Asp Gly Gly Pro
305 310 315 320
Pro Asn Leu Thr Glu Glu Val Glu Asn Lys Gly Gly Asp Arg Gly Pro
325 330 335
Pro Ser Met Thr Asp Gly Gly Gly Gly Asp Pro His Leu Pro Thr Leu
340 345 350
Leu Leu Gly Thr Ser Gly Ser Gly Gly Asp Asp Asp Asp Pro His Gly
355 360 365
Pro Val Gln Leu Ser Tyr Tyr Asp
370 375
<210> 2
<211> 497
<212> PRT
<213> Epstein-Barr virus
<400> 2
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1 5 10 15
Gly Gly Asp Pro Asp Gly Asp Asp Gly Gly Asn Asn Ser Gln Tyr Pro
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100 105 110
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195 200 205
Leu Phe Ala Leu Leu Ala Ala Ala Gly Gly Leu Gln Gly Ile Tyr Val
210 215 220
Leu Val Met Leu Val Leu Leu Ile Leu Ala Tyr Arg Arg Arg Trp Arg
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245 250 255
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275 280 285
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Ala Ala Ala Leu Ala Leu Leu Ala Ser Leu Ile Leu Gly Thr Leu Asn
305 310 315 320
Leu Thr Thr Met Phe Leu Leu Met Leu Leu Trp Thr Leu Val Val Leu
325 330 335
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340 345 350
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355 360 365
Leu Ile Ala Gly Gly Ser Ile Leu Gln Thr Asn Phe Lys Ser Leu Ser
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Ser Thr Glu Phe Ile Pro Asn Leu Phe Cys Met Leu Leu Leu Ile Val
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Ala Gly Ile Leu Phe Ile Leu Ala Ile Leu Thr Glu Trp Gly Ser Gly
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420 425 430
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450 455 460
Ala Leu Phe Gly Val Ile Arg Cys Cys Arg Tyr Cys Cys Tyr Tyr Cys
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Leu Thr Leu Glu Ser Glu Glu Arg Pro Pro Thr Pro Tyr Arg Asn Thr
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Val
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<211> 238
<212> PRT
<213> Epstein-Barr virus
<400> 3
Pro Phe Phe His Pro Val Gly Glu Ala Asp Tyr Phe Glu Tyr Leu Gln
1 5 10 15
Glu Gly Gly Pro Asp Gly Glu Pro Asp Val Pro Pro Gly Ala Ile Glu
20 25 30
Gln Gly Pro Ala Asp Asp Pro Gly Glu Gly Pro Ser Thr Gly Pro Arg
35 40 45
Gly Gln Gly Asp Gly Gly Arg Arg Lys Lys Gly Gly Trp Phe Gly Lys
50 55 60
His Arg Gly Gln Gly Gly Ser Asn Pro Lys Phe Glu Asn Ile Ala Glu
65 70 75 80
Gly Leu Arg Val Leu Leu Ala Arg Ser His Val Glu Arg Thr Thr Glu
85 90 95
Glu Gly Thr Trp Val Ala Gly Val Phe Val Tyr Gly Gly Ser Lys Thr
100 105 110
Ser Leu Tyr Asn Leu Arg Arg Gly Thr Ala Leu Ala Ile Pro Gln Cys
115 120 125
Arg Leu Thr Pro Leu Ser Arg Leu Pro Phe Gly Met Ala Pro Gly Pro
130 135 140
Gly Pro Gln Pro Gly Pro Leu Arg Glu Ser Ile Val Cys Tyr Phe Met
145 150 155 160
Val Phe Leu Gln Thr His Ile Phe Ala Glu Val Leu Lys Asp Ala Ile
165 170 175
Lys Asp Leu Val Met Thr Lys Pro Ala Pro Thr Cys Asn Ile Lys Val
180 185 190
Thr Val Cys Ser Phe Asp Asp Gly Val Asp Leu Pro Pro Trp Phe Pro
195 200 205
Pro Met Val Glu Gly Ala Ala Ala Glu Gly Asp Asp Gly Asp Asp Gly
210 215 220
Asp Glu Gly Gly Asp Gly Asp Glu Gly Glu Glu Gly Gln Glu
225 230 235
<210> 4
<211> 9
<212> PRT
<213> Epstein-Barr virus
<400> 4
Cys Leu Gly Gly Leu Leu Thr Met Val
1 5
<210> 5
<211> 9
<212> PRT
<213> Epstein-Barr virus
<400> 5
Phe Leu Tyr Ala Leu Ala Leu Leu Leu
1 5
<210> 6
<211> 9
<212> PRT
<213> Epstein-Barr virus
<400> 6
Tyr Leu Gln Gln Asn Trp Trp Thr Leu
1 5
<210> 7
<211> 9
<212> PRT
<213> Epstein-Barr virus
<400> 7
Tyr Leu Leu Glu Met Leu Trp Arg Leu
1 5
<210> 8
<211> 9
<212> PRT
<213> Epstein-Barr virus
<400> 8
Ala Leu Leu Val Leu Tyr Ser Phe Ala
1 5
<210> 9
<211> 9
<212> PRT
<213> Epstein-Barr virus
<400> 9
Leu Leu Ser Ala Trp Ile Leu Thr Ala
1 5
<210> 10
<211> 9
<212> PRT
<213> Epstein-Barr virus
<400> 10
Leu Thr Ala Gly Phe Leu Ile Phe Leu
1 5
<210> 11
<211> 11
<212> PRT
<213> Epstein-Barr virus
<400> 11
Ser Ser Cys Ser Ser Cys Pro Leu Ser Lys Ile
1 5 10
<210> 12
<211> 8
<212> PRT
<213> Epstein-Barr virus
<400> 12
Pro Tyr Leu Phe Trp Leu Ala Ala
1 5
<210> 13
<211> 9
<212> PRT
<213> Epstein-Barr virus
<400> 13
Thr Tyr Gly Pro Val Phe Met Cys Leu
1 5
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<211> 10
<212> PRT
<213> Epstein-Barr virus
<400> 14
Val Met Ser Asn Thr Leu Leu Ser Ala Trp
1 5 10
<210> 15
<211> 8
<212> PRT
<213> Epstein-Barr virus
<400> 15
Cys Pro Leu Ser Lys Ile Leu Leu
1 5
<210> 16
<211> 9
<212> PRT
<213> Epstein-Barr virus
<400> 16
Arg Arg Arg Trp Arg Arg Leu Thr Val
1 5
<210> 17
<211> 9
<212> PRT
<213> Epstein-Barr virus
<400> 17
Ile Glu Asp Pro Pro Phe Asn Ser Leu
1 5
<210> 18
<211> 9
<212> PRT
<213> Epstein-Barr virus
<400> 18
Ile Ala Leu Tyr Leu Gln Gln Asn Trp
1 5
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<211> 9
<212> PRT
<213> Epstein-Barr virus
<400> 19
Met Ser Asn Thr Leu Leu Ser Ala Trp
1 5
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<211> 9
<212> PRT
<213> Epstein-Barr virus
<400> 20
Val Leu Lys Asp Ala Ile Lys Asp Leu
1 5
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<211> 9
<212> PRT
<213> Epstein-Barr virus
<400> 21
Arg Pro Gln Lys Arg Pro Ser Cys Ile
1 5
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<213> Epstein-Barr virus
<400> 22
Ile Pro Gln Cys Arg Leu Thr Pro Leu
1 5
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<211> 9
<212> PRT
<213> Epstein-Barr virus
<400> 23
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1 5
<210> 24
<211> 11
<212> PRT
<213> Epstein-Barr virus
<400> 24
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1 5 10
<210> 25
<211> 9
<212> PRT
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<400> 25
Leu Ser Arg Leu Pro Phe Gly Met Ala
1 5
<210> 26
<211> 10
<212> PRT
<213> Epstein-Barr virus
<400> 26
Phe Val Tyr Gly Gly Ser Lys Thr Ser Leu
1 5 10
【手続補正書】
【提出日】2022-09-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における全身性自己免疫疾患の処置又は予防に使用するための、クラスI MHC上に提示されるEBVペプチドと特異的に結合するT細胞受容体を発現する同種異系細胞傷害性T細胞(CTL)を含む医薬組成物。
【請求項2】
前記CTLが、クラスI MHC上に提示されるEBVペプチドと特異的に結合するT細胞受容体を発現する同種異系CTLを細胞バンクから選択することにより得られる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
対象における全身性自己免疫疾患の処置又は予防に使用するための、ペプチド特異的同種異系CTLを含む医薬組成物であって、該CTLが、同種異系CTLを含むサンプルを、クラスI MHCにEBVペプチドを提示する抗原提示細胞(APC)とともにインキュベートし、それによりクラスI MHC上に提示されるEBVペプチドと特異的に結合するT細胞受容体を発現するペプチド特異的CTLの増殖を誘導することにより得られる、医薬組成物。
【請求項4】
対象における全身性自己免疫疾患の処置又は予防に使用するための、EBVペプチドと特異的に結合するT細胞受容体を発現するペプチド特異的同種異系CTLを含む医薬組成物であって、該CTLが、
(a)EBVペプチドをコードする核酸構成物とともにAPCをインキュベートし、それにより、APCがクラスI MHC上にEBVペプチドを提示するように誘導すること、及び
(b)同種異系CTLを含むサンプルをEBVペプチド提示APCとともにインキュベートし、それにより、EBVペプチドと特異的に結合するT細胞受容体を発現するCTLの増殖を誘導することにより、ペプチド特異的CTLの増殖を誘導すること
により得られる、医薬組成物。
【請求項5】
クラスI MHCが、対象に存在するHLA対立遺伝子によってコードされる、請求項1から4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
核酸構成物がウイルスベクターである、請求項4又は5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
ウイルスベクターがAdE1-LMPpolyである、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
同種異系CTLが、対象に投与する前に細胞バンクに保存される、請求項1から7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
全身性自己免疫疾患が、関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス及びシェーグレン症候群から選択される、請求項1から8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
全身性自己免疫疾患が関節リウマチ(RA)である、請求項1から8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
同種異系CTLを含むサンプルを1つ以上のサイトカインとともにインキュベートする、請求項3から10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
APCがB細胞を含む、請求項3から11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
APCが抗原提示T細胞を含む、請求項3から12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
APCが樹状細胞を含む、請求項3から13のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
APCが人工抗原提示細胞を含む、請求項3から14のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
人工抗原提示細胞がaK562細胞である、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
サンプルが末梢血単核球細胞(PBMC)を含む、請求項3から16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
EBVペプチドがLMP1ペプチド又はその断片を含む、請求項1から17のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
EBVペプチドがLMP2Aペプチド又はその断片を含む、請求項1から17のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
EBVペプチドがEBNA1ペプチド又はその断片を含む、請求項1から17のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
対象における全身性自己免疫疾患の処置又は予防に使用するための医薬の製造における、クラスI MHC上に提示されるEBVペプチドと特異的に結合するT細胞受容体を発現する同種異系CTLの使用。
【請求項22】
前記CTLが、クラスI MHC上に提示されるEBVペプチドと特異的に結合するT細胞受容体を発現する同種異系CTLを細胞バンクから選択することにより得られる、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
対象における全身性自己免疫疾患の処置又は予防に使用するための医薬の製造における、ペプチド特異的同種異系CTLの使用であって、該CTLが、同種異系CTLを含むサンプルを、クラスI MHCにEBVペプチドを提示する抗原提示細胞(APC)とともにインキュベートし、それによりクラスI MHC上に提示されるEBVペプチドと特異的に結合するT細胞受容体を発現するペプチド特異的CTLの増殖を誘導することにより得られる、使用。
【請求項24】
対象における全身性自己免疫疾患の処置又は予防に使用するための医薬の製造における、EBVペプチドと特異的に結合するT細胞受容体を発現するペプチド特異的同種異系CTLの使用であって、該CTLが、
(a)EBVペプチドをコードする核酸構成物とともにAPCをインキュベートし、それにより、APCがクラスI MHC上にEBVペプチドを提示するように誘導すること、及び
(b)同種異系CTLを含むサンプルをEBVペプチド提示APCとともにインキュベートし、それにより、EBVペプチドと特異的に結合するT細胞受容体を発現するCTLの増殖を誘導することにより、ペプチド特異的CTLの増殖を誘導すること
により得られる、使用。
【請求項25】
クラスI MHCが、対象に存在するHLA対立遺伝子によってコードされる、請求項21から24のいずれか1項に記載の使用。
【請求項26】
核酸構成物がウイルスベクターである、請求項24又は25に記載の使用。
【請求項27】
ウイルスベクターがAdE1-LMPpolyである、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
同種異系CTLが、対象に投与する前に細胞バンクに保存される、請求項21から27のいずれか1項に記載の使用。
【請求項29】
全身性自己免疫疾患が、関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス及びシェーグレン症候群から選択される、請求項21から28のいずれか1項に記載の使用。
【請求項30】
同種異系CTLを含むサンプルを1つ以上のサイトカインとともにインキュベートする、請求項23から29のいずれか1項に記載の使用。
【請求項31】
APCが、B細胞、抗原提示T細胞、樹状細胞又は人工抗原提示細胞を含む、請求項23から30のいずれか1項に記載の使用。
【請求項32】
APCが抗原提示T細胞を含む、請求項23から31のいずれか1項に記載の使用。
【請求項33】
人工抗原提示細胞がaK562細胞である、請求項31に記載の使用。
【請求項34】
サンプルが末梢血単核球細胞(PBMC)を含む、請求項23から33のいずれか1項に記載の使用。
【請求項35】
EBVペプチドが、LMP1ペプチド、LMP2Aペプチド、EBNA1ペプチド、又はそれらの断片を含む、請求項23から31のいずれか1項に記載の使用。