(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174194
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】がんの処置のための抗TNF関連アポトーシス誘発リガンド受容体2及び抗カドヘリン17結合性二重特異的分子
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20221115BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20221115BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20221115BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20221115BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20221115BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20221115BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20221115BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20221115BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20221115BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20221115BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20221115BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221115BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C07K16/28
C07K16/46
C07K19/00
C12P21/08
C12N15/62 Z
A61P35/00
A61K39/395 T
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022142331
(22)【出願日】2022-09-07
(62)【分割の表示】P 2019534104の分割
【原出願日】2017-12-21
(31)【優先権主張番号】62/437,770
(32)【優先日】2016-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17155973.5
(32)【優先日】2017-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】503385923
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】キューンケル,クラウス-ペーター
(72)【発明者】
【氏名】エリルマズ,エルタン
(72)【発明者】
【氏名】フェン,ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】ガネサン,ラクマー
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア-マルティネス,フアン・マニュエル
(72)【発明者】
【氏名】ホ,ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】ケスル,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】セン,サウラブ
(72)【発明者】
【氏名】シャアバン,アブドゥルサラム
(72)【発明者】
【氏名】ヴォイノフ,ウラジミール
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルニッツニヒ,アンドレアス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】改善された治療プロファイルを有するTRAIL受容体アゴニスト分子を提供する。
【解決手段】TNF関連アポトーシス誘発リガンド受容体2(TRAIL2)に特異的に結合する少なくとも1つの抗原結合部位と、カドヘリン-17(CDH17)に特異的に結合する少なくとも1つの抗原結合部位とを含む、結合性分子、並びに医薬におけるそれらの使用、それを含有している医薬組成物、並びにがんの治療及び/又は予防のための薬剤としてそれを使用する方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
TNF関連アポトーシス誘発リガンド受容体2(TRAIL2)に特異的に結合する少なくとも1つの抗原結合部位と、カドヘリン-17(CDH17)に特異的に結合する少なくとも1つの抗原結合部位とを含む、結合性分子。
【請求項2】
分子が二重特異的かつ四価である、請求項1記載の結合性分子。
【請求項3】
カドヘリン-17(CDH17)に特異的に結合する少なくとも1つの抗原結合部位が免疫グロブリン(Ig)分子であり、TNF関連アポトーシス誘発リガンド受容体2(TRAIL2)に特異的に結合する少なくとも1つの抗原結合分子が1つ以上のscFv(群)を含む、請求項1又は2記載の結合性分子。
【請求項4】
1つ以上のscFv(群)がN末端からC末端に向かってVL-VHの配向を有する、請求項3記載の結合性分子。
【請求項5】
1つ以上のscFv(群)が、Ig分子の重鎖のC末端に融合している、請求項3又は4のいずれか一項に記載の結合性分子。
【請求項6】
Ig分子がIgGである、請求項3~5のいずれか一項に記載の結合性分子。
【請求項7】
1つ以上のscFv(群)が、ペプチドリンカー、好ましくは約4~20アミノ酸長を有するペプチドリンカーによって、Ig分子に融合している、請求項3~6のいずれか一項に記載の結合性分子。
【請求項8】
TRAIL2に特異的に結合する抗原結合部位が、抗原結合部位i)からxiii):
i)配列番号1(CDR1)、配列番号2(CDR2)、及び配列番号3(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号4(CDR1)、配列番号5(CDR2)、及び配列番号6(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む、抗原結合部位;
ii)配列番号7(CDR1)、配列番号8(CDR2)、及び配列番号9(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号10(CDR1)、配列番号11(CDR2)、及び配列番号12(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む、抗原結合部位;
iii)配列番号13(CDR1)、配列番号14(CDR2)、及び配列番号15(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号16(CDR1)、配列番号17(CDR2)、及び配列番号18(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む、抗原結合部位;
iv)配列番号19(CDR1)、配列番号20(CDR2)、及び配列番号21(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号22(CDR1)、配列番号23(CDR2)、及び配列番号24(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む、抗原結合部位;
v)配列番号25(CDR1)、配列番号26(CDR2)、及び配列番号27(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号28(CDR1)、配列番号29(CDR2)、及び配列番号30(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む、抗原結合部位;
vi)配列番号31(CDR1)、配列番号32(CDR2)、及び配列番号33(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号34(CDR1)、配列番号35(CDR2)、及び配列番号36(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む、抗原結合部位;
vii)配列番号37(CDR1)、配列番号38(CDR2)、及び配列番号39(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号40(CDR1)、配列番号41(CDR2)、及び配列番号42(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む、抗原結合部位;
viii)配列番号43(CDR1)、配列番号44(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号50(CDR2)、及び配列番号54(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む、抗原結合部位;
ix)配列番号43(CDR1)、配列番号45(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号51(CDR2)、及び配列番号55(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む、抗原結合部位;
x)配列番号43(CDR1)、配列番号45(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号52(CDR2)、及び配列番号56(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む、抗原結合部位;
xi)配列番43(CDR1)、配列番号45(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号50(CDR2)、及び配列番号56(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む、抗原結合部位;
xii)配列番号43(CDR1)、配列番号46(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号51(CDR2)、及び配列番号57(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む、抗原結合部位;
xiii)配列番号43(CDR1)、配列番号47(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号53(CDR2)、及び配列番号57(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む、抗原結合部位
からなる群より選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の結合性分子。
【請求項9】
TRAIL2に特異的に結合する抗原結合分子が、抗原結合部位i)からxiv):
i)配列番号82のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号83のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位;
ii)配列番号84のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位;
iii)配列番号86のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号87のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位;
iv)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位;
v)配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位;
vi)配列番号92のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位;
vii)配列番号94のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位;
viii)配列番号96のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号97のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位;
ix)配列番号98のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号99のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位;
x)配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号101のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位;
xi)配列番号102のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号103のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位;
xii)配列番号104のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号105のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位;
xiii)配列番号106のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位;及び
xiv)配列番号108のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号109のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位
からなる群より選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の結合性分子。
【請求項10】
CDH17に特異的に結合する抗原結合部位が、抗原結合部位i)からiv):
i)配列番号58(CDR1)、配列番号59(CDR2)、及び配列番号60(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号61(CDR1)、配列番号62(CDR2)、及び配列番号63(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む、抗原結合部位;
ii)配列番号64(CDR1)、配列番号65(CDR2)、及び配列番号66(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号67(CDR1)、配列番号68(CDR2)、及び配列番号69(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む、抗原結合部位;
iii)配列番号70(CDR1)、配列番号71(CDR2)、及び配列番号72(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号73(CDR1)、配列番号74(CDR2)、及び配列番号75(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む、抗原結合部位;及び
iv)配列番号76(CDR1)、配列番号77(CDR2)、及び配列番号78(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号79(CDR1)、配列番号80(CDR2)、及び配列番号81(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む、抗原結合部位
からなる群より選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の結合性分子。
【請求項11】
CDH17に特異的に結合する抗原結合部位が、抗原結合部位i)からv):
i)配列番号110のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号111のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位;
ii)配列番号112のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号113のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位;
iii)配列番号114のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位;
iv)配列番号116のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号117のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位;及び
v)配列番号118のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号119のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位
からなる群より選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の結合性分子。
【請求項12】
(i)配列番号159のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号160のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号161のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号162のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号163のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号164のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号165のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号166のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号167のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号168のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号169のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号170のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号171のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号172のアミノ酸配列を含む重鎖と、(ii)配列番号173のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子。
【請求項13】
(i)配列番号174のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号175のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号176のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号177のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号178のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号179のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号180のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号181のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号182のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号183のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号184のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号185のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号186のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号187のアミノ酸配列を含む重鎖と、(ii)配列番号188のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子。
【請求項14】
(i)配列番号189のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号190のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号191のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号192のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号193のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号194のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号195のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号196のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号197のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号198のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号199のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号200のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号201のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号202のアミノ酸配列を含む重鎖と、(ii)配列番号203のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子。
【請求項15】
(i)配列番号204のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号205のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号206のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号207のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号208のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号209のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号210のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号211のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号212のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号213のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号214のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号215のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号216のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号217のアミノ酸配列を含む重鎖と;(ii)配列番号218のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子。
【請求項16】
(i)配列番号145のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号147のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号149のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号151のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号153のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号155のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号157のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号219のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号220のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号221のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号222のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号223のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号224のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号225のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号226のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号227のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号228のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号229のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号230のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号231のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号232のアミノ酸配列を含む重鎖と;(ii)配列番号233のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子。
【請求項17】
(i)配列番号58(CDR1)、配列番号59(CDR2)、及び配列番号60(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号61(CDR1)、配列番号62(CDR2)、及び配列番号63(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR、(ii)配列番号64(CDR1)、配列番号65(CDR2)、及び配列番号66(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号67(CDR1)、配列番号68(CDR2)、及び配列番号69(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR、(iii)配列番号70(CDR1)、配列番号71(CDR2)、及び配列番号72(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号73(CDR1)、配列番号74(CDR2)、及び配列番号75(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR、又は(iv)配列番号76(CDR1)、配列番号77(CDR2)、及び配列番号78(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号79(CDR1)、配列番号80(CDR2)、及び配列番号81(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR、を含む、CDH17に特異的に結合する抗体分子。
【請求項18】
(i)配列番号110のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号111のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、(ii)配列番号112のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号113のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、(iii)配列番号114のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、(iv)配列番号116のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号117のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、又は(v)配列番号118のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号119のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、を含む、請求項17記載の抗体分子。
【請求項19】
請求項8~11のいずれか一項に記載の結合性分子又は請求項17若しくは18のいずれか一項に記載の抗体分子の重鎖可変ドメイン及び/又は軽鎖可変ドメインをコードしている単離された核酸分子。
【請求項20】
請求項12~16のいずれか一項に記載の結合性分子の重鎖及び/又は軽鎖をコードしている単離された核酸分子。
【請求項21】
請求項19又は20記載の核酸分子を含む発現ベクター。
【請求項22】
請求項21記載の発現ベクターを用いてトランスフェクトされた宿主細胞。
【請求項23】
(a)分子の発現を可能とする条件下で請求項22記載の宿主細胞を培養する工程;及び
(b)該分子を回収する工程;及び場合により
(c)該分子をさらに精製及び/又は修飾及び/又は製剤化する工程
を含む、請求項8~16のいずれか一項に記載の結合性分子又は請求項17若しくは18記載の抗体分子を製造する方法。
【請求項24】
医薬に使用するための請求項1~16のいずれか一項に記載の結合性分子。
【請求項25】
請求項1~16のいずれか一項に記載の結合性分子と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項26】
治療有効量の請求項1~16のいずれか一項に記載の結合性分子をそれを必要とする患者に投与する工程を含む、がんの処置法。
【請求項27】
がんの処置用の医薬組成物を調製するための請求項1~16のいずれか一項に記載の結合性分子の使用。
【請求項28】
がんの処置法に使用するための請求項1~16のいずれか一項に記載の結合性分子。
【請求項29】
がんが、結腸直腸癌(CRC)、胃癌(GC)、膵臓癌(PAC)、食道癌、又は神経内分泌腫瘍である、請求項26記載の方法、請求項27記載の使用、又は請求項28記載の使用のための結合性分子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、TNF関連アポトーシス誘発リガンド受容体2(TRAIL2)及びカドヘリン-17(CDH17)に結合する結合性分子、並びに医薬におけるそれらの使用、それを含有している医薬組成物、並びにがんの治療及び/又は予防のための薬剤としてそれを使用する方法に関する。
【0002】
発明の背景
がんは、異常な細胞増殖と、がん細胞が身体全体に侵襲又は蔓延できることに一般的に基づいた疾患群である。それは深刻な疾患であり、世界的に死亡の主要原因である。
【0003】
がんを管理又は場合によってはがんを処置する試みにおいて、手術、化学療法、放射線療法、及びホルモン療法をはじめとする様々な処置法が使用されている。近年では、特定のがんの処置において進歩が見られたが、依然としてこの疾患の処置には改善が必要とされる。
【0004】
抗体を基剤とした生物学的分子は、がんの処置のための強力な治療剤である可能性を与える。抗体は、細胞表面上の特定のタンパク質(それらの標的抗原)を認識して結合するように設計され、このようなタンパク質は特定のがん細胞の表面上又は免疫細胞上にしか存在していない場合がある。この結合は、それらの標的抗原タンパク質の機能及びまた抗体それ自体の構造に依存して、多くの異なる生物学的応答を惹起することができる。
【0005】
例えば、いくつかの抗体は、免疫細胞をがん細胞に誘引することによって、又は免疫系それ自体の活性に直接影響を及ぼすことによってのいずれかによって、免疫系をトリガーすることによりがん細胞を攻撃し死滅させる。さらに他の種類の抗体を基剤とした療法は、がん細胞に結合して、細胞分裂を停止又は減少させ、これにより、異常な細胞増殖を緩徐化又は妨げる。他の種類の抗体は、それらに付着した薬物又は放射性粒子を有し、これにより、これらの治療薬はがん細胞それ自体に送達される。
【0006】
アポトーシスは制御された細胞機序であり、ここでは生物は、正常な組織区画では細胞の恒常性を維持し、無秩序な細胞を排除する。
【0007】
哺乳動物細胞ではアポトーシスに至る2つの主要なシグナル伝達経路が存在する:内因性経路と外因性経路。内因性経路はミトコンドリアレベルで開始され、化学療法又は放射線療法により誘発された細胞死において実質的な役割を果たす。対照的に、外因性死滅経路は、細胞表面上での細胞死受容体により媒介されるシグナルを通して開始される。
【0008】
様々なメンバーの腫瘍壊死因子(TNF)受容体スーパーファミリーによって媒介されるシグナル後の、外因性経路を通して誘発された細胞死は十分に研究されている。TNFスーパーファミリーは、2~5つのシステインリッチな細胞外リピート配列によって特徴付けられる。TNFスーパーファミリーに属する細胞死受容体は、アポトーシスシグナルの伝達に必須である、約80アミノ酸の相同な細胞内の細胞死ドメインを共有している。
【0009】
TNF関連アポトーシス誘発リガンド(TRAIL)は、2種類の受容体(TRAIL誘発アポトーシスをトリガーする細胞死受容体及びTRAIL誘発アポトーシスを抑制するデコイ受容体)と相互作用する天然タンパク質リガンドである。現在までに、TRAILに特異的な4つのヒト受容体が同定されている:細胞死受容体であるDR4(DR4/TRAIL受容体1/TRAILR1)及びDR5(TRAIL受容体2/TRAIL-R2/KILLER)、並びにデコイ受容体であるDcR1/TRAIL3/TRID、及びDcR2/TRAIL4。TRAILはまた、可溶性デコイ受容体であるオステオプロテオグリカン(OPG)にも低い親和性で結合することができる。
【0010】
TRAIL受容体への標的化は、がん療法を開発する際の有用なアプローチであると考えられている。なぜなら、抗体を基剤とした分子、すなわちTRAIL受容体アゴニスト分子が、TRAIL受容体に結合し活性化することができるならば、それは次いでがん細胞のアポトーシスを誘発することができるからである。多くの前臨床試験において示されているように、TRAILシグナル伝達は、数多くの腫瘍細胞株においてアポトーシスを効率的に誘発するが、大半の正常細胞においては誘発しない。しかしながら、肝臓内の正常組織、特に肝細胞も、このアポトーシス誘発機序に影響されやすいことが報告されている。したがって、該経路をあまりにも効果的に活性化する分子が使用された場合には、がん以外の細胞においてもアポトーシスが誘発されることに因り重度の副作用が誘発される可能性がある。他方で、ほんの弱くしか活性化しない分子が使用されれば、これらは良好な耐容性を示すが、低い抗がん活性を有することが示されている。
【0011】
したがって、TRAIL受容体アゴニスト分子として機能することができる治療に有効であるが安全な抗体を基剤とした生物学的分子を開発する必要がある。したがって、本発明の目的は、改善された治療プロファイルを有するTRAIL受容体アゴニスト分子を作製することであった。
【0012】
発明の要約
本発明は、TNF関連アポトーシス誘発リガンド受容体2(TRAIL2)に特異的に結合する抗原結合部位と、カドヘリン-17(CDH17)に特異的に結合する抗原結合分子とを単一の結合性分子内で組み合わせる概念に基づく。以下により詳細に考察しているように、本発明の分子の1つの利点は、アポトーシスが、その表面上にTRAIL2及びCDH17を提示している細胞においてのみ促進されることである。
【0013】
したがって、本発明の第一の態様は、TNF関連アポトーシス誘発リガンド受容体2(TRAIL2)に特異的に結合する少なくとも1つの抗原結合部位(第一の抗原結合部位)と、カドヘリン-17(CDH17)に特異的に結合する少なくとも1つの抗原結合部位(第二の抗原結合部位)とを有する結合性分子を提供する。
【0014】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、該分子は二重特異的かつ四価である。
【0015】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、カドヘリン-17(CDH17)に特異的に結合する少なくとも1つの抗原結合部位は免疫グロブリン(Ig)分子(2本の軽鎖と2本の重鎖を有する慣用的なY字形構造の完全長抗体を有する)であり、TNF関連アポトーシス誘発リガンド受容体2(TRAIL2)に特異的に結合する少なくとも1つの抗原結合部位は1つ以上のscFv(群)を含む。
【0016】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、1つ以上のscFv(群)はN末端からC末端に向かってVL-VHの配向を有する。
【0017】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、1つ以上のscFv(群)は、Ig分子の重鎖のC末端に融合している。例えば、1つのscFvは、Ig分子の一方の重鎖のC末端に融合し、1つのscFvはIg分子の他方の重鎖のC末端に融合している。したがって、TRAIL2に特異的なscFvは、Ig分子の各重鎖に融合し、これにより対称的で二重特異的かつ四価の構造を形成する。
【0018】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、Ig分子はIgG1KOである。本発明の結合性分子の別の好ましい実施態様では、Ig分子はIgG1FcRnmutである。
【0019】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、1つ以上のscFv(群)は、ペプチドリンカー、好ましくは約4~20アミノ酸長(例えば、6、9、12、15アミノ酸のいずれか1つ)を有するペプチドリンカーによってIg分子に融合している。
【0020】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAIL2に特異的に結合する抗原結合部位(第一の抗原結合部位)は、抗原結合部位(i)から(xiii):
i)配列番号1(CDR1)、配列番号2(CDR2)、及び配列番号3(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(CDR)と、配列番号4(CDR1)、配列番号5(CDR2)、及び配列番号6(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む、抗原結合部位;
ii)配列番号7(CDR1)、配列番号8(CDR2)、及び配列番号9(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号10(CDR1)、配列番号11(CDR2)、及び配列番号12(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む、抗原結合部位;
iii)配列番号13(CDR1)、配列番号14(CDR2)、及び配列番号15(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号16(CDR1)、配列番号17(CDR2)、及び配列番号18(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む、抗原結合部位;
iv)配列番号19(CDR1)、配列番号20(CDR2)、及び配列番号21(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号22(CDR1)、配列番号23(CDR2)、及び配列番号24(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む、抗原結合部位;
v)配列番号25(CDR1)、配列番号26(CDR2)、及び配列番号27(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号28(CDR1)、配列番号29(CDR2)、及び配列番号30(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む、抗原結合部位;
vi)配列番号31(CDR1)、配列番号32(CDR2)、及び配列番号33(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号34(CDR1)、配列番号35(CDR2)、及び配列番号36(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む、抗原結合部位;
vii)配列番号37(CDR1)、配列番号38(CDR2)、及び配列番号39(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号40(CDR1)、配列番号41(CDR2)、及び配列番号42(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む、抗原結合部位;
viii)配列番号43(CDR1)、配列番号44(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号50(CDR2)、及び配列番号54(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む、抗原結合部位;
ix)配列番号43(CDR1)、配列番号45(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号51(CDR2)、及び配列番号55(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む、抗原結合部位;
x)配列番号43(CDR1)、配列番号45(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号52(CDR2)、及び配列番号56(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む、抗原結合部位;
xi)配列番号43(CDR1)、配列番号45(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号50(CDR2)、及び配列番号56(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む、抗原結合部位;
xii)配列番号43(CDR1)、配列番号46(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号51(CDR2)、及び配列番号57(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む、抗原結合部位;及び
xiii)配列番号43(CDR1)、配列番号47(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号53(CDR2)、及び配列番号57(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む、抗原結合部位
からなる群より選択される。
【0021】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAIL2に特異的に結合する抗原結合部位(第一の抗原結合部位)は、抗原結合部位(i)から(xiv):
i)配列番号82のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと配列番号83のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位;
ii)配列番号84のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位;
iii)配列番号86のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと配列番号87のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位;
iv)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位;
v)配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位;
vi)配列番号92のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位;
vii)配列番号94のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位;
viii)配列番号96のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと配列番号97のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位;
ix)配列番号98のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと配列番号99のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位;
x)配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと配列番号101のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位;
xi)配列番号102のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと配列番号103のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位;
xii)配列番号104のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと配列番号105のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位;
xiii)配列番号106のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと配列番号107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位;及び
xiv)配列番号108のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと配列番号109のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位
からなる群より選択される。
【0022】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、CDH17に特異的に結合する抗原結合部位(第二の抗原結合部位)は、抗原結合部位(i)から(iv):
i)配列番号58(CDR1)、配列番号59(CDR2)、及び配列番号60(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号61(CDR1)、配列番号62(CDR2)、及び配列番号63(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む、抗原結合部位;
ii)配列番号64(CDR1)、配列番号65(CDR2)、及び配列番号66(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号67(CDR1)、配列番号68(CDR2)、及び配列番号69(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む、抗原結合部位;
iii)配列番号70(CDR1)、配列番号71(CDR2)、及び配列番号72(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号73(CDR1)、配列番号74(CDR2)、及び配列番号75(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む、抗原結合部位;及び
iv)配列番号76(CDR1)、配列番号77(CDR2)、及び配列番号78(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号79(CDR1)、配列番号80(CDR2)、及び配列番号81(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む、抗原結合部位
からなる群より選択される。
【0023】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、CDH17に特異的に結合する抗原結合部位(第二の抗原結合部位)は、抗原結合部位(i)から(v):
i)配列番号110のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号111のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位;
ii)配列番号112のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号113のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位;
iii)配列番号114のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位;
iv)配列番号116のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号117のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位;及び
v)配列番号118のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号119のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗原結合部位
からなる群より選択される。
【0024】
いくつかの実施態様では、配列番号272の重鎖CDR3配列が、本発明の結合性分子の脈絡において配列番号78の重鎖CDR3配列の代わりに使用される。
【0025】
いくつかの実施態様では、その重鎖アミノ酸配列(例えば、Ig重鎖のC末端に融合したscFvを有する改変された重鎖)並びにその軽鎖アミノ酸配列によって定義される、以下の様々な態様に提供される結合性分子は、2本の重鎖と2本の軽鎖を含み、これにより対称的で四価で二重特異的な構造を形成する。
【0026】
本発明のさらなる態様は、(i)配列番号159のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号160のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号161のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号162のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号163のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号164のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号165のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号166のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号167のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号168のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号169のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号170のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号171のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号172のアミノ酸配列を含む重鎖と、(ii)配列番号173のアミノ酸配列を含む軽鎖とを有する、結合性分子を提供する。
【0027】
本発明のさらなる態様は、(i)配列番号174のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号175のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号176のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号177のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号178のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号179のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号180のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号181のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号182のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号183のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号184のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号185のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号186のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号187のアミノ酸配列を含む重鎖と、(ii)配列番号188のアミノ酸配列を含む軽鎖とを有する、結合性分子を提供する。
【0028】
さらなる態様では、本明細書において、(i)配列番号189のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号190のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号191のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号192のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号193のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号194のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号195のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号196のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号197のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号198のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号199のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号200のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号201のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号202のアミノ酸配列を含む重鎖と、(ii)配列番号203のアミノ酸配列を含む軽鎖とを有する、結合性分子が提供される。
【0029】
本発明のさらなる態様は、(i)配列番号204のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号205のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号206のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号207のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号208のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号209のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号210のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号211のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号212のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号213のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号214のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号215のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号216のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号217のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号271のアミノ酸配列を含む重鎖と;(ii)配列番号218のアミノ酸配列を含む軽鎖とを有する、結合性分子を提供する。
【0030】
さらなる態様では、本明細書において、(i)配列番号145のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号147のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号149のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号151のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号153のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号155のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号157のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号219のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号220のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号221のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号222のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号223のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号224のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号225のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号226のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号227のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号228のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号229のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号230のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号231のアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号232のアミノ酸配列を含む重鎖と;(ii)配列番号233のアミノ酸配列を含む軽鎖とを有する、結合性分子が提供される。
【0031】
本発明のさらなる態様は、本発明の結合性分子をコードしている核酸分子、又はこのような核酸分子を含有している発現ベクターを提供する。
【0032】
本発明のさらなる態様は、発現制御配列と機能的に結合した本発明の核酸分子を含む宿主細胞を提供する。本明細書においてさらに、本明細書に記載されているような結合性分子をコードしている核酸分子を含む発現ベクターを含む宿主細胞が提供される。
【0033】
本発明のさらなる態様は、
(a)該分子の発現を可能とする条件下で本発明の宿主細胞を培養する工程;及び
(b)該分子を回収する工程
を含む、本発明の結合性分子の生成法を提供する。
【0034】
本発明のさらなる態様は、医薬に使用するための本発明の結合性分子を提供する。
【0035】
本発明のさらなる態様は、がん、好ましくは結腸直腸癌(CRC)、胃癌(GC)、膵臓癌(PAC)、食道癌、又は神経内分泌腫瘍の治療法に使用するための本発明の結合性分子を提供する。
【0036】
本発明のさらなる態様は、本発明の結合性分子を薬学的に許容される担体及び場合により1つ以上のさらに他の活性成分と一緒に含む、医薬組成物を提供する。
【0037】
本発明のさらなる態様は、有効量の本発明の結合性分子をそれを必要とする患者に投与する工程を含む、がんの処置法を提供する。
【0038】
本明細書において、(i)配列番号58(CDR1)、配列番号59(CDR2)、及び配列番号60(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号61(CDR1)、配列番号62(CDR2)、及び配列番号63(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR、(ii)配列番号64(CDR1)、配列番号65(CDR2)、及び配列番号66(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号67(CDR1)、配列番号68(CDR2)、及び配列番号69(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR、(iii)配列番号70(CDR1)、配列番号71(CDR2)、及び配列番号72(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号73(CDR1)、配列番号74(CDR2)、及び配列番号75(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR、又は(iv)配列番号76(CDR1)、配列番号77(CDR2)、及び配列番号78(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号79(CDR1)、配列番号80(CDR2)、及び配列番号81(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRを含む、CDH17に特異的に結合する抗体がさらに提供される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】
図1A及びB:本発明の結合性分子の図示。CDH17に特異的に結合し、2本の重鎖と2本の軽鎖を含む、Ig分子と、(ii)TRAIL2に特異的に結合する2つのscFv分子とを含む、本発明の結合性分子の一例が示されている。scFvのN末端は、Ig分子の各重鎖のC末端に融合し、これにより、対称的で二重特異的で四価の抗体様分子が形成される。
【
図2】Colo-205細胞におけるTRAILR2(TR2)及びCDH17のタンパク質表面発現の分析。細胞のみを含有している対照試料と比較したフィコエリトリン(PE)の平均値として結果が示されている。データは、4回の独立した実験の代表である。
【
図3】細胞生存率に対する抗体のインキュベーションの効果。Colo-205細胞を、様々な濃度の(i)抗TRAILR2抗体(抗TR2v1抗体)単独、(ii)抗CDH17v1抗体単独、(iii)TRAILR2/CDH17二重特異的分子(CDH17v1/TR2v1)、又は(iv)分離したTRAILR2抗体(抗TR2v1抗体)及びCDH17v1抗体の等価な組み合わせを用いて24時間処置した。データは、未処置対照と比較した相対的平均値+標準偏差として表現される。2回の独立したアッセイが、各条件について2回実施された。
【
図4】抗体のインキュベーション後のアポトーシス誘発の分析(カスパーゼ活性化アッセイ)。Colo-205細胞を、様々な濃度の(i)抗TRAILR2抗体(抗TR2v1抗体)単独、(ii)抗CDH17v1抗体単独、及び(iii)CDH17v1/TR2v1二重特異的分子を用いて(A)2時間又は(B)6時間処置した。(A)カスパーゼ-8又は(B)カスパーゼ-3の活性化を測定した。データは、未処置対照と比較した変化倍率の相対的平均値+標準偏差として表現される。3回の独立したアッセイが、各条件について2回実施された。
【
図5】CDH17v1/TR2v1二重特異的分子の特異性の分析。本発明者らは、CDH17の代わりにヒトTR2及びトリニトロフェノール(TNP)を認識する追加の二重特異的分子を作製した。Colo-205細胞を、様々な濃度の(i)TNPに対する抗体単独、(ii)抗CDH17v1抗体単独、(iii)抗TRAILR2抗体(抗TR2v1抗体)単独、(iv)TNP/TR2v1、又は(v)CDH17v1/TR2v1二重特異的分子を用いて24時間処置し、細胞生存率を測定した。データは、未処置対照と比較した相対的平均値+標準偏差として表現される。2回の独立したアッセイが各条件について2回実施された。
【
図6】CDH17陰性細胞に対する抗体のインキュベーションの効果。(A)HepG2細胞におけるTRAILR2(TR2)及びCDH17のタンパク質表面発現の分析。結果は、細胞のみを含有している対照試料と比較したフィコエリトリンの平均値として示される。データは、3回の独立した実験の代表である。(B)HepG2細胞を、様々な濃度の(i)抗TRAILR2抗体(抗TR2v1抗体)単独、(ii)TRAILR2/CDH17二重特異的分子(CDH17v1/TR2v1)、又は(iii)架橋剤であるヤギ抗ヒトIgGの存在下における抗TRAILR2抗体(抗TR2v1抗体(Fcに架橋))を用いて72時間処置した。データは、未処置対照と比較した相対的平均値+標準偏差として表現される。5回の独立したアッセイが各条件について2回実施された。
【
図7】細胞生存率に対する、異なるIgG骨格を含有している二重特異的分子の効果。Colo-205細胞を、様々な濃度の抗TRAILR2抗体(抗TR2v1抗体又は抗TR2v2抗体)単独、並びにヒトTRAILR2と、異なるIgG1骨格(A及びC)及びIgG4Pro骨格(B)を含有しているヒトCDH17とを認識する様々な二重特異的で四価の分子を用いて24時間処置した。データは未処置対照と比較した相対的平均値+標準偏差として表現される。2回の独立したアッセイが各条件について2回実施された。
【
図8】細胞生存率に対するscFv変異体の効果。Colo-205細胞を、様々なscFv変異体を含有している様々な濃度の様々な二重特異的分子を用いて24時間処置した。データは、未処置対照と比較した相対的平均値+標準偏差として表現される。2回の独立したアッセイが各条件について2回実施された。
【
図9】細胞生存率に対する、ヒトTRAILR2(TR2)及びヒトCDH17を認識する二重特異的で四価の分子の効果。(A~C)Colo-205細胞を、様々なCDH17結合剤とscFv変異体とを含有している様々な濃度の様々な二重特異的分子を用いて24時間処置した。(D)HepG2細胞を、様々なCDH17結合剤とscFv変異体とを含有している様々な濃度の様々な二重特異的分子を用いて72時間処置した。抗TR2v2抗体(A~D)及び抗CDH17H2抗体(C~D)のみを対照として使用した。データは、未処置対照と比較した相対的平均値+標準偏差として表現される。少なくとも2回の独立したアッセイが各条件について2回実施された。
【
図10】細胞生存率に対する、ヒトTRAILR2(TR2)及びヒトCD44v6を認識する二重特異的分子の効果。(A)Colo-205細胞におけるTRAILR2(TR2)及びCD44v6のタンパク質表面発現の分析。結果は、細胞のみを含有している対照試料と比較したフィコエリトリンの平均値として示される。どちらのタンパク質も、それぞれのIgG対照と比較して有意な発現を示した。データは、3回の独立した実験の代表である。(B)Colo-205細胞を、様々な濃度の抗TRAILR2抗体(抗TR2v1抗体)単独、抗CD44v6抗体単独、及びCD44v6/TR2v1二重特異的分子を用いて72時間処置した。データは、未処置対照と比較した相対的平均値+標準偏差として表現される。2回の独立したアッセイが各条件について2回実施された。
【
図11】CRC細胞生存率に対する、抗体のインキュベーションの効果。(A及びB)CL-34細胞(A)及びSK-CO-1細胞(B)におけるTRAILR2(TR2)及びCDH17のタンパク質表面発現の分析。結果は、細胞のみを含有している対照試料と比較したフィコエリトリンの平均値+標準偏差として示される。データは、2回の独立した実験の代表である。CL-34細胞(C)及びSK-CO-1細胞(D)を、様々な濃度の(i)抗TRAILR2抗体(抗TR2v1抗体)単独、(ii)抗CDH17v1抗体単独、又は(iii)CDH17v1/TR2v1を用いてそれぞれ120時間及び96時間処置した。データは、未処置対照と比較した相対的平均値+標準偏差として表現される。2回の独立したアッセイが各条件について2回実施された。
【
図12】ヒトTRAILR2(TR2)及びヒトCDH17を認識する四価分子の有効性:TRAILR2/CDH17二重特異的分子(黒丸)[CDH17H2/TR2v2-(IgG1KO)(A及びB)又はCDH17H2/TR2v2-(IgG1FcRnmut)(C及びD)]又はビヒクル対照(白丸)を、Colo205腫瘍細胞(A及びC)又はGp2d腫瘍細胞(B及びD)を有するマウスに投与した。指定された日に投与した後に腫瘍体積(mm3)を測定し、データは腫瘍体積の中央値として表現される。8~10匹の動物が各群に含まれた。
【
図13】新規なCDH17抗体分子を使用したColo-205細胞におけるCDH17のタンパク質表面発現の分析。結果は、細胞のみを含有している対照試料と比較したアロフィコシアニンの平均値として示される。2回の実験の代表的データ。
【
図14】初期結腸直腸癌及び結腸直腸癌の肝転移におけるCDH17及びTRAILR2タンパク質の発現。対応する一次抗体、続いて検出試薬、及びDAB溶液中でのインキュベーションを使用したTRAILR2及びCDH17の代表的画像。
【0040】
発明の詳細な説明
上記のように、がんの処置に対する1つのアプローチは、TNF関連アポトーシス誘発リガンド(TRAIL)受容体により媒介されるアポトーシス経路に特異的に結合し活性化する分子を使用することによって、がん細胞のアポトーシスを誘発することであった。多くの前臨床試験に示されているように、TRAILシグナル伝達は、数多くの腫瘍細胞株においてアポトーシスを効果的に誘発するが、大半の正常細胞においては誘発しない。しかしながら、肝臓内の正常組織、特に肝細胞も、このアポトーシス誘発機序に影響を受けやすいことが報告されている。
【0041】
TRAILは、高い親和性で4つの明確に異なる細胞表面受容体に結合する。そのうち2つのTRAILR1及びTRAILR2は、その細胞内細胞死ドメインと、様々なアダプタータンパク質及びプロ-カスパーゼ8との相互作用を介してTRAIL誘発アポトーシスをトリガーすることができる。TRAILリガンドを介したTRAILR1分子又はTRAILR2分子のクラスター化は、プロ-カスパーゼ8の自己触媒による切断及び活性化を促進し、これにより次いで、アポトーシスが誘発される。TRAILR3及びTRAILR4はデコイ受容体であり、それらの細胞外ドメインはTRAILに結合することができるが、該受容体の細胞内部分は、TRAILとの結合時にアポトーシスを誘発することのできるドメインを含有していない。
【0042】
デコイTRAIL受容体の過剰発現は、がん細胞がTRAILリガンドの存在に対して非感受性となることを引き起こす可能性がある。デコイではない細胞死を誘発するTRAIL受容体の特異的標的化はこの問題を回避し、それはより効果的な腫瘍の処置を示す。本発明は、TRAILR2アゴニスト分子の開発に焦点を当てる。TRAILR2は、広範囲のがんに幅広く発現されている。
【0043】
レクサツムマブ(HGS-ETR2)を含むいくつかのTRAILR2特異的アゴニスト抗体が、がんの処置のために開発されている。しかしながら、これらのアゴニスト抗体は、臨床では効力を欠いていた。これは、TRAILR2受容体のクラスター化が十分ではなく、それによりがん細胞のアポトーシスを効果的に誘発することができないことに起因するようである。
【0044】
TRAILR2により媒介されるがん細胞のアポトーシスを促進する様々な試みにおいて、新規な四量体のTRAILR2結合性ナノボディ、すなわちTAS266が開発された。前臨床実験において、それは、従来のTRAILR2を標的化する抗体より優れた抗腫瘍効力を実証した。しかしながら、肝臓内の肝細胞は、TRAILR2により媒介されるアポトーシスに対して感受性である可能性があり、それ故、TAS266によって促進されるような、標的化していないTRAILR2クラスカー化の増加は、毒性の可能性のリスクを有することが報告されている。実際に、TAS266の第I相臨床試験は打ち切られている。
【0045】
したがって、該経路をあまりにも効果的にアゴニスト作用する分子が使用される場合には、がん以外の細胞においてもアポトーシスが誘発されるので、重度の副作用が誘発される可能性がある。他方で、ほんの弱くしかアゴニスト作用しない分子が使用された場合には、これらは良好な耐容性を示すが、低い抗がん活性を有することが示されている。
【0046】
過去に、TRAIL受容体結合部位と、「アンカー標的」と呼ばれる、がん細胞に特異的な細胞表面分子に結合する部位からなる、二重特異的分子を設計する試みがなされている。理論的には、このような二重特異的分子は、アンカー標的を発現しているがん細胞に専ら結合し、それらのTRAIL受容体結合部位を通してアポトーシスを誘発する。
【0047】
多くの様々なアンカー標的が、TRAIL受容体結合性分子にとって適した組合せ対であると提唱されている。
【0048】
例えば、CEA(CEAM5_HUMAN)及びCRIPTOが、国際公開公報第2011039126A1号において適切なアンカー標的として示唆されている。CEA及びCRIPTOは、グルコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカーによって細胞膜に連結されている。しかしながら、CEA及びCRIPTOはどちらも細胞表面から容易に切断され、腫瘍から血流中に流れ出る。実際に、血清中CEAレベルは、がんのスクリーニングのためのバイオマーカーとして使用されている。理解され得るように、血清中CEA及びCRIPTOは、TRAIL受容体及びこれらのアンカー標的に対するデュアル結合を有する二重特異的分子に結合することができる。したがって、血清中CEA及びCRIPTOは、膜に結合したアンカータンパク質と競合するだけでなく、CEA又はCRIPTOを発現していない細胞におけるTRAIL受容体活性化の可能性も増加させる可能性があり、したがって、望ましくない副作用を引き起こす可能性がある。
【0049】
FAP(線維芽細胞活性化タンパク質)もまたアンカー標的として提唱されている。しかしながら、FAPは、腫瘍間質内に局在する活性化線維芽細胞上にのみ発現している。FAPは、上皮がん細胞には発現されていない。したがって、FAP二重特異的分子は単に、活性化線維芽細胞と物理的に密接に接触しているがん細胞のアポトーシスを促進するように機能するだけだろう(Brunker et al., Molecular Cancer Therapeutics (2016), 15(5):946-957)。活性化線維芽細胞と直接接触していない腫瘍細胞は、この処置によって影響を受けず、増殖し続けるだろう。したがって、がん細胞においてTRAIL受容体により誘発されるアポトーシスを媒介するためのアンカー標的としてFAPを使用することには明らかな欠点がある。さらに、活性化線維芽細胞はまた、肝線維症、肺線維症、アテローム性動脈硬化症、及び関節炎をはじめとする組織修復部位にも見られるので、FAP受容体とTRAIL受容体とを標的化する二重特異的分子は、活性化線維芽細胞の表面上にアンカーする可能性があり、肝臓又は他の臓器内の隣接する正常なTRAIL感受性細胞上でもアポトーシスを誘発する可能性がある。
【0050】
同様に、MCSP(黒色腫関連硫酸コンドロイチンプロテオグリカン)及びROBO4(roundabout homolog4)も、アンカー標的として提唱されている(He Yuan et al., The Journal of Investigative Dermatology (2016), 136(2):541-544;国際公開公報第2011039126A1号)。黒色腫の細胞表面上におけるその発現とは別に、MCSPは主に新生血管上に発現している。ROBO4は、内皮細胞に特異的に発現している。どちらも様々な腫瘍型の血管新生部位に記載されている。したがって、FAPと同様に、MSCPを発現している黒色腫という唯一の例外を除いて、効果的であるためには、MSCP又はROBO4及びTRAIL受容体を標的化する二重特異的分子は、それらが内皮細胞と物理的に密接に接触している場合にのみ、がん細胞のアポトーシスを促進するように機能するだろう。このことは、腫瘍は成長するにつれてその血液供給量を上回る急速な成長をするので、常に可能であるとは限らないだろう。それ故、ここでも、アンカー標的としてこれらの分子を使用することには欠点がある。
【0051】
さらに、TRAIL2及びLTβR(リンホトキシンβ受容体)を標的化する二重特異的抗体は、それぞれの親抗体の組み合わせと同等又はそれ以上のレベルで、マウス腫瘍異種移植片モデルにおける腫瘍増殖を抑制するのに有効であることが報告されている(Michaelson et al., mAbs (2009), 1(2):128-141)。マウスにおけるLTβRシグナル伝達は、肝再生にとって重要であることが示され、ここでのLTβRは、成熟肝細胞上に発現している(Anders R.A. et al. J Immunol (2005), 175(2):1295-1300)。FAPと同様に、LTβRシグナル伝達は、ウイルス性肝炎及び非ウイルス性肝炎、胆管炎、及び肝細胞癌を有する患者における慢性肝炎中に幅広く活性化されている。特に、肝細胞におけるその発現が記載されている(Haybaeck J. et al. Cancer Cell (2009), 16(4): 295-308)。LTβR及びTRAIL受容体の標的化は、TRAILR2活性化に対して感受性であるLTβR発現肝細胞表面上にアンカーされる可能性があり得、したがって肝毒性を引き起こす可能性があり得る。
【0052】
最後に、テネイシンCもまた、有用なアンカー標的であることが示唆されている。テネイシンCは、分泌タンパク質であり、したがって、細胞膜にアンカーされていない。これは、がん細胞のアポトーシスを誘発する間接的な機序の別の例を示す。MCSP又はROBO4のアンカー戦略と同様に、テネイシンC部分は、アポトーシスが起こるためにはがん細胞膜上のTRAILR2分子に対して正しい配向になければならない。さらに、テネイシンCの発現はまた、慢性肝疾患においてもアップレギュレートされ、TRAILアゴニストを含む二重特異的分子を用いての処置は、容態を悪化させると予想される。
【0053】
したがって、現在、TRAIL受容体により媒介されるアポトーシス経路を特にがん細胞において治療的に調節することに問題がある。
【0054】
それ故、本発明者は、血清中に実質的な量で存在せず、TRAIL2を共発現していたがん細胞に局在していたアンカータンパク質を同定することを決断した。重要なことには、本発明者らは、上記の肝毒性の可能性があるため肝臓において発現されていなかったアンカータンパク質を選択することを選ぶ。
【0055】
本発明者らは、TRAIL受容体結合性分子と組み合わせて使用することのできる、適切なアンカー標的候補としてカドヘリン-17を同定した。
【0056】
カドヘリン-17(CDH17)は、カドヘリンスーパーファミリー、すなわちカルシウム依存性膜結合糖タンパク質をコードしている遺伝子の一員である。コードされているタンパク質は、7個のカドヘリンドメインを含有している細胞外領域及び膜貫通領域からなるが、カドヘリンスーパーファミリーの他のメンバー間で保存されている細胞質内ドメインを欠失している、カドヘリン様である。
【0057】
本発明者らは、腫瘍以外の組織におけるCDH17の発現を分析した。免疫組織化学試験により、小腸及び大腸の粘膜上皮におけるCDH17の均一な上皮染色が判明した。不均一な上皮染色がまた、膀胱、胃、及び膵内胆管上皮にも検出された。
【0058】
現在まで、腫瘍におけるTRAILR2及びCDH17の共発現を明らかとした代表的な試験は公開されていない。結腸直腸癌においてCDH17の発現(88~100%)並びにTRAIL2の発現(87~100%)について高い存在率が一貫して示された。胃癌では、CDH17もまた全症例の56~90%に実証され、びまん型と比較して腸型において有意により頻度が高く、一方、TRAILR2は、原発性及び転移性胃癌に高いレベルで恒常的に発現されていることが示された。膵臓癌では、CDH17の発現は、全症例の50~82%に示され得、TRAILR2は81%に示され得る(Gallmeier et al., PLoS One. 2013;8(2):e56760; Ito et al., Virchows Arch. 2005 Oct;447(4):717-22; Koornstra et al., Eur J Cancer. 2005 May;41(8):1195-202; Koyama et al., J Cancer Res Clin Oncol. 2002 Feb;128(2):73-9; Luque-Garcia et al., Proteomics. 2010 Mar;10(5):940-52; Panarelli et al., Am J Clin Pathol. 2012 Aug;138(2):211-22; Su et al., Mod Pathol. 2008 Nov;21(11):1379-86; Takamura et al., Cancer Sci. 2003 May;94(5):425-30; van Geelen et al., J Clin Oncol. 2006 Nov 1;24(31):4998-5004)。
【0059】
したがって、本発明者らはこの試験を実施し、TRAILR2及びCDH17が様々な腫瘍(すなわち、結腸直腸癌(CRC)、胃癌(GC)、及び膵臓癌(PAC))において共発現され、がん以外の細胞では殆ど又はまったく発現されていないことを示した。特に、CDH17は、TRAILR2活性化に対する感受性が報告されている正常な肝臓組織又は肝細胞においては検出不可能であった。
【0060】
本発明までは、これらの2つの抗原を標的化する結合性分子の調製は開示されていなかったか又は少しも考えられてさえもいなかったことを指摘することは重要である。
【0061】
したがって、本発明者らは、TRAILR2に特異的に結合する少なくとも1つの抗原結合部位と、CDH17に特異的に結合する少なくとも1つの抗原結合部位とを含む、結合性分子を調製した。
【0062】
添付の実験データでは、このような分子は、CDH17及びTRAILR2の両方が発現されている細胞のアポトーシスをインビトロで、本発明の分子の治療的に許容される量で、誘発することができることが理解され得る。重要なことには、実施例に示されているように、同分子は、TRAILR2を発現しているがCDH17は発現していない細胞においてはアポトーシスを実質的にまったく誘発しない。したがって、本発明の結合性分子は、がん細胞がCDH17及びTRAILR2の両方を発現しているがんに対して治療的に有効である可能性を有する。1つの態様では、本発明の結合性分子は、CDH17陰性肝細胞には影響を及ぼさず、これにより、肝毒性のリスクは減少する。さらに、本発明の結合性分子(例えば、(i)CDH17に特異的な重鎖可変領域、定常IgGドメイン、及びTRAILR2に特異的なscFvを各々が含む2本の重鎖と、(ii)CDH17に特異的な軽鎖可変領域を各々が含む2本の軽鎖とを有する結合性分子)は、95%を超えるモノマー含量で安定であることが示され、このことは、その治療適用可能性をさらに支持する。
【0063】
したがって、本発明のCDH17/TRAILR2結合性分子は、当技術分野において公知であるそうした分子を上回る明白な利点を有し、結腸直腸癌(CRC)、胃癌(GC)、及び膵臓癌(PAC)をはじめとするがんを処置する有用性を与える。
【0064】
さらに、TRAILR2に対するTRAIL受容体結合性分子のアゴニスト作用を増強するCDH17の能力は、全ての細胞表面タンパク質に対して共通であるわけではない。これは、本発明者らがCD44v6もまた適切なアンカー標的であり得るかどうかを調べたので分かっている。CD44v6は、遍在的に発現されている表面糖タンパク質CD44のスプライス変異体であり、正常組織よりも腫瘍組織において優先的な発現パターンを有する腫瘍関連抗原であることが知られている。しかしながら、添付の実施例に示されているように、CD44v6は、アンカータンパク質としては機能しない。なぜなら、それはTRAIL受容体結合性分子のアゴニスト作用を増強しないからである。それ故、アンカー標的としてのCDH17の有用性は、単に該タンパク質の発現プロファイルに基づいて予測することはできない。
【0065】
本発明の第一の態様は、TNF関連アポトーシス誘発リガンド受容体2(TRAILR2)に特異的に結合する少なくとも1つの抗原結合部位(第一の抗原結合部位)と、カドヘリン-17(CDH17)に特異的に結合する少なくとも1つの抗原結合部位(第二の抗原結合部位)とを有する、結合性分子を提供する。
【0066】
上記のように、本発明までは、TRAILR2及びCDH17に特異的に結合することのできる結合性分子の調製は開示されていなかったか又は少しも考えられてさえもいなかった。それにも関わらず個々に各タンパク質及びそれらの関連遺伝子は当技術分野において公知であり、生物学的データベースにおいて適切に示されている。
【0067】
疑念を避けるために、「TNF関連アポトーシス誘発リガンド受容体2(TRAILR2)」によって、本発明者らは、UniProt O14763http://www.uniprot.org/uniprot/O14763に提供されているヒトタンパク質、及びそのタンパク質をコードしている核酸配列を意味する。
【0068】
疑念を避けるために、「カドヘリン-17(CDH17)」によって、本発明者らは、UniProt Q12864http://www.uniprot.org/uniprot/Q12864に提供されているヒトタンパク質、及びそのタンパク質をコードしている核酸配列を意味する。
【0069】
本発明は、少なくとも2つの異なる標的に対して結合特異性を有する結合性分子に関する。本発明に関連して、結合性分子は、抗体から導かれる。結合性分子を作製するための技術としては、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖の対の組換え同時発現(Milstein and Cuello, Nature 305: 537 (1983)、国際公開公報第93/08829号、及びTraunecker et al., EMBO J. 10: 3655(1991)参照)、及び「ノブ・イン・ホール」工学操作(例えば米国特許第5,731,168号参照)が挙げられるがこれらに限定されない。本発明の結合性分子はまた、抗体Fc-ヘテロ二量体分子を作製するために静電ステアリング効果を工学操作することによって(国際公開公報第2009/089004A1号);2つ以上の抗体又は断片を架橋することによって(例えば米国特許第4,676,980号、及びBrennan et al., Science, 229: 81 (1985)参照);二重特異的抗体を作製するためにロイシンジッパーを使用することによって(例えば、Kostelny et al., Immunol., 148(5): 1547-1553(1992)参照);二重特異的抗体断片を作製するために「ディアボディ」技術を使用することによって(例えば、Hollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6444- 6448(1993)参照);並びに、一本鎖Fv(sFv)二量体を使用することによって(例えば、Gruber et al., /. Immunol., 152:5368 (1994)参照);並びに、例えばTutt et al. /. Immunol. 147: 60(1991)に記載のような三重特異的抗体を調製することによって作製され得る。
【0070】
本明細書において具体的に定義されていない用語は、開示及び内容に照らして当業者によって与えられるであろう意味を与えられるべきである。しかしながら、明細書に使用されているように、そうではないと明記されない限り、以下の用語は示された意味を有し、以下の規定を固守する。
【0071】
本明細書において使用する「抗原結合部位」という用語は、抗体に由来する重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。このような場合、各可変ドメインは3つのCDRを含む。1つの態様では、本発明による抗原結合部位又は該タンパク質のある部分は一般的に抗体に由来する。抗体又は免疫グロブリン分子の一般構造は、当業者には周知である。
【0072】
「抗体」又は「免疫グロブリン分子」(免疫グロブリンとしても知られる、略称Ig)は、脊椎動物の血中又は他の体液中に認められ得るガンマグロブリンタンパク質であり、細菌及びウイルスなどの異物を同定し中和するために免疫系によって使用される。それらは典型的には、各々が2本の大きな重鎖と2本の小さな軽鎖を有するという基本的な構造単位からなり、これにより例えば1つの単位を有する単量体、2つの単位を有する二量体、又は5つの単位を有する五量体を形成する。抗体は、非共有結合的相互作用によって、抗原として知られる他の分子又は構造に結合することができる。この結合は、抗体が高い親和性で特定の構造にしか結合しないという意味で特異的である。抗体によって認識される抗原の特有の部分は、エピトープ又は抗原決定基と呼ばれる。エピトープに結合する抗体の部分は時にパラトープと呼ばれ、いわゆる抗体の可変ドメイン又は可変領域(Fv)に存在する。可変ドメインは、フレームワーク領域(FR)によって隔てられた3つのいわゆる相補性決定領域(CDR)を含む。
【0073】
本発明の脈絡において、CDRへの言及は、IMGTとも呼ばれるCCGの定義に基づく(Lefranc MP, Pommie C, Ruiz M, Giudicelli V, Foulquier E, Truong L, Thouvenin-Contet V, Lefranc G. “IMGT unique numbering for immunoglobulin and T cell receptor variable domains and Ig superfamily V-like domains.“ Dev Comp Immunol. 2003 Jan;27(1):55-77; Giudicelli V, Brochet X, Lefranc MP. “IMGT/V-QUEST: IMGT standardized analysis of the immunoglobulin (IG) and T cell receptor (TR) nucleotide sequences“. Cold Spring Harb Protoc. 2011;2011(6):695-715)。CDRの代替的な定義は、Kabat(E.A. Kabat, T.T. Wu, H. Bilofsky, M. Reid-Miller and H. Perry, Sequence of Proteins of Immunological Interest, National Institutes of Health, Bethesda (1983))と共に、Chothia(Chothia and Lesk, J. Mol. Biol. 1987, 196: 901-917)に基づく。
【0074】
本明細書において使用する「可変ドメイン」又は「可変領域」又はFvという表現は、抗原に対する抗体の結合に直接関与する軽鎖と重鎖の各対を示す。軽鎖の可変ドメインは「VL」と略称され、重鎖の可変ドメインは「VH」と略称される。軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインは同じ一般的な構造を有し、各ドメインは、3つのHVR(又はCDR)によって接続されその配列が幅広く保存されている4つのフレームワーク領域(FR)を含む。フレームワーク領域はβ-シートコンフォメーションを採り、CDRは、β-シート構造を接続するループを形成し得る。各々の鎖におけるCDRは、フレームワーク領域によってその3次元構造が保たれ、他の鎖に由来するCDRと一緒に抗原結合部位を形成する。抗体の重鎖及び軽鎖のCDR3領域は、本発明に記載の抗体の結合特異性/親和性に特に重要な役割を果たし、それ故、本発明のさらなる目的を提供する。本出願内で使用される「定常ドメイン」又は「定常領域」という用語は、可変領域以外の抗体のドメインの合計を示す。このような定常ドメイン及び領域は当技術分野の最新技術において周知であり、例えばKabat et al.(“Sequence of proteins of immunological interest”, US Public Health Services, NIH Bethesda, MD, Publication No. 91)によって記載されている。
【0075】
抗体の「Fc部分」は、抗原に対する抗体の結合に直接関与していないが、様々なエフェクター機能を示す。「抗体のFc部分」は、当業者には周知の用語であり、抗体のパパインによる切断に基づいて定義される。その重鎖の定常領域のアミノ酸配列に応じて、抗体又は免疫グロブリンは、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMのクラスに分類される。重鎖定常領域によると、異なるクラスの免疫グロブリンはα、δ、ε、γ、及びμとそれぞれ呼ばれる。これらの中のいくつかはサブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4、IgA1、及びIgA2にさらに分類され得る。抗体のFc部分は、補体活性化、C1qへの結合、及びFc受容体への結合に基づきADCC(抗体依存性細胞媒介性細胞障害)及びCDC(補体依存性細胞障害)に直接関与している。補体活性化(CDC)は、大半のIgG抗体サブクラスのFc部分に対する補因子C1qの結合によって開始される。補体系に対する抗体の影響は、特定の条件に依存するが、C1qへの結合は、Fc部分内の規定された結合部位によって引き起こされる。このような結合部位は、当技術分野の最新技術において公知であり、例えばBoakle et al., Nature 282 (1975) 742-743, Lukas et al., J. Immunol. 127 (1981) 2555-2560, Brunhouse and Cebra, Mol. Immunol. 16 (1979) 907-917, Burton et al., Nature 288 (1980) 338-344, Thommesen et al., Mol. Immunol. 37 (2000) 995-1004, Idusogie et al., J. Immunol.164 (2000) 4178-4184, Hezareh et al., J. Virology 75 (2001) 12161- 12168, Morgan et al., Immunology 86 (1995) 319-324、欧州特許第0307434号によって記載されている。このような結合部位は、例えば、L234、L235、D270、N297、E318、K320、K322、P331、及びP329(KabatのEUインデックスによる番号付け、以下を参照)である。IgG1におけるC1q及びFcγ受容体の結合を媒介する際にこれらの残基の中で最も重要なのは、L234及びL235である(Hezareh et al., J. Virology 75 (2001) 12161- 12168)。サブクラスIgG1及びIgG3の抗体は通常、補体活性化並びにC1q及びC3への結合を示すが、IgG2及びIgG4は補体系を活性化せず、C1q及びC3には結合しない。
【0076】
当技術分野はさらに抗体を開発し、該抗体を医学及び工学における万能の道具とした。したがって、本発明の脈絡において、「抗体分子」又は「抗体」(本明細書では同義語として使用される)という用語は、例えば2本の軽鎖と2本の重鎖、又はラクダ種のようなたった2本の重鎖を含む、天然に見られ得るような抗体を含むだけでなく、抗原に対する結合特異性及び免疫グロブリンの可変ドメインに対する構造的類似性を有する少なくとも1つのパラトープを含む全ての分子を包含する。
【0077】
したがって、抗体は、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、抗体の断片、特にFv、Fab、Fab’、又はF(ab’)2断片、一本鎖抗体、特に一本鎖可変断片(scFv)、小モジュラー免疫薬(SMIP)、ドメイン抗体、ナノボディ、ディアボディを含み得る。抗体は、通常、抗体のFc部分(抗体定常領域)によって媒介される、ADCC又はCDCなどのエフェクター機能を有していても、あるいは、それは、例えば、Fc部分を欠失しているか、又は、遮断され遮蔽されたFc部分、実質的には、補体系のような免疫細胞若しくは免疫系成分によって認識されないか又は不十分にしか認識されないFc部分を有することによって、エフェクター機能を全く有していなくてもよい。モノクローナル抗体(mAb)は、アミノ酸配列が同一である単一特異的抗体である。それらは、特定の抗体産生B細胞と骨髄腫(B細胞癌)細胞の融合クローンを示すハイブリッド細胞株(ハイブリドーマと呼ばれる)からハイブリドーマ技術によって作製され得る(Kohler G, Milstein C. Continuous cultures of fused cells secreting antibody of predefined specificity. Nature 1975;256:495-7)。あるいは、モノクローナル抗体は、宿主細胞における組換え発現によって産生されてもよい(Norderhaug L, Olafsen T, Michaelsen TE, Sandlie I. (May 1997). "Versatile vectors for transient and stable expression of recombinant antibody molecules in mammalian cells." J Immunol Methods 204 (1): 77-87;以下も参照)。「組換え抗体」又は「組換え結合性分子」は、組換え工学操作された宿主細胞によって作製された抗体又は結合性分子である。それは場合により単離又は精製されている。
【0078】
ヒトに適用するために、マウスのような他の種に本来は由来する抗体の免疫原性を減少させることが望ましいことが多い。これは、キメラ抗体の構築によって、又は「ヒト化」と呼ばれるプロセスによって行なうことができる。この文脈において、「キメラ抗体」は、異なる種(例えばヒト)に由来する配列部分(例えば定常ドメイン)と融合させたある種(例えばマウス)に由来する配列部分(例えば可変ドメイン)を含む抗体であると理解される。「ヒト化抗体」は非ヒト種に本来は由来する可変ドメインを含む抗体であって、その可変ドメインの全体的な配列がヒト可変ドメインの配列により近似するように、あるアミノ酸を突然変異させている。抗体をキメラ化及びヒト化する方法は当技術分野において周知である(Billetta R, Lobuglio AF. “Chimeric antibodies”. Int Rev Immunol. 1993;10(2-3):165-76; Riechmann L, Clark M, Waldmann H, Winter G (1988). "Reshaping human antibodies for therapy". Nature: 332:323)。
【0079】
「ヒト化」抗体は、非ヒト超可変領域(HVR)に由来するアミノ酸残基及びヒトFRに由来するアミノ酸残基を含む、抗体を指す。特定の実施態様では、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、HVR(例えば相補性決定領域(CDR))の全て又は実質的に全てが、非ヒト抗体のそれに対応し、全て又は実質的に全てのフレームワーク領域(FR)がヒト抗体のそれに対応する。ヒト化抗体は場合により、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部分を含み得る。抗体、例えば非ヒト抗体の「ヒト化形」は、ヒト化を受けた抗体を指す。
【0080】
さらに、例えば、ファージディスプレイによって、又はトランスジェニック動物を使用して、ヒトゲノムに由来する配列に基づき抗体を作り出すための技術が開発されている(国際公開公報第90/05144号; D. Marks, H.R. Hoogenboom, T.P. Bonnert, J. McCafferty, A.D. Griffiths and G. Winter (1991) 「By-passing immunisation. Human antibodies from V-gene libraries displayed on phage」 J.Mol.Biol., 222, 581-597; Knappik et al., J. Mol. Biol. 296: 57-86, 2000; S. Carmen and L. Jermutus, 「Concepts in antibody phage display」. Briefings in Functional Genomics and Proteomics 2002 1(2):189-203; Lonberg N, Huszar D. 「Human antibodies from transgenic mice」 Int Rev Immunol. 1995;13(1):65-93.; Bruggemann M, Taussig MJ. 「Production of human antibody repertoires in transgenic mice」 Curr Opin Biotechnol. 1997 Aug;8(4):455-8)。このような抗体は本発明の文脈において「ヒト抗体」である。
【0081】
抗体は、Fab、Fab’ 、又はF(ab’)2断片のような抗原結合特性を保持する免疫グロブリンの断片も含み得る。このような断片を、免疫グロブリンの断片化によって、例えばタンパク質消化によって、又はこのような断片の組換え発現によって得ることができる。例えば、免疫グロブリンの消化は、通常の技術によって、例えばパパイン若しくはペプシン(国際公開公報第94/29348号)を使用して達成することができる。パパインによる抗体の消化によって、典型的には、それぞれが単一の抗原結合部位を有する2つの同一の抗原結合断片(いわゆるFab断片)及び残余のFc断片が生成される。ペプシン処理によってF(ab’)2が生産される。Fab分子では、可変ドメインは各々、免疫グロブリン定常ドメインに、好ましくはヒト起源の免疫グロブリン定常ドメインに融合している。したがって、重鎖可変ドメインはCH1ドメイン(いわゆるFd断片)に融合し得、軽鎖可変ドメインはCLドメインに融合し得る。Fab分子は、宿主細胞におけるそれぞれの核酸の組換え発現によって生成され得、以下を参照されたい。
【0082】
免疫グロブリンの可変ドメイン又はこのような可変ドメインに由来する分子を異なる分子事情に配置するために、多くの技術が開発されている。それらも、本発明に従って「抗体」と考えられるべきである。一般的に、これらの抗体分子は、免疫グロブリンと比較してサイズが小さく、1本のアミノ酸鎖又は数本のアミノ酸鎖を含み得る。例えば、一本鎖可変断片(scFv)は、免疫グロブリンの重鎖可変領域と軽鎖可変領域が、短いリンカー、通常はセリン(S)又はグリシン(G)で互いに連結されている、融合体である(国際公開公報第88/01649号;国際公開公報第91/17271号;Huston et al; International Reviews of Immunology, Volume 10, 1993, 195 - 217)。「単一ドメイン抗体」又は「ナノボディーズ」は、単一のIg様ドメイン内に抗原結合部位を有する(国際公開公報第94/04678号;国際公開公報第03/050531号、Ward et al., Nature. 1989 Oct 12;341(6242):544-6; Revets et al., Expert Opin Biol Ther. 5(1):111-24, 2005)。同一抗原又は異なる抗原に対して結合特異性を有する1つ以上の単一ドメイン抗体を互いに連結させてもよい。ダイアボディーズは、2つの可変ドメインを含む2本のアミノ酸鎖からなる二価抗体分子である(国際公開公報第94/13804号, Holliger et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 1993 Jul 15;90(14):6444-8)。抗体様分子の他の例は、免疫グロブリンスーパーファミリー抗体である(IgSF;Srinivasan and Roeske, Current Protein Pept. Sci. 2005, 6(2): 185-96)。異なる概念により、定常ドメインCH1を持たない一本鎖ヒンジドメイン及びエフェクタードメインに連結されたFvドメインを含む、いわゆる小モジュール免疫薬(SMIP)がもたらされる(国際公開公報第02/056910号)。
【0083】
本発明に関して、本発明の第一の態様は、TNF関連アポトーシス誘発リガンド受容体2(TRAILR2)に特異的に結合する少なくとも1つの抗原結合部位と、カドヘリン-17(CDH17)に特異的に結合する少なくとも1つの抗原結合部位とを含む、結合性分子を提供する。
【0084】
本明細書において使用する「結合している」又は「特異的に結合している」という用語は、インビトロアッセイにおいて抗原のエピトープに対する、抗体又は抗原結合部位(例えば本明細書に記載の結合性分子における)の結合を指す。親和性は、抗体分子上の単一の抗原結合部位と単一のエピトープとの間の相互作用である。それは、平衡会合定数Ka=kon/koff、又は平衡解離定数Kd=koff/konによって表現される。
【0085】
エピトープは、抗体又は抗原結合部分と結合している抗原の領域である。「エピトープ」という用語は、抗体又は抗原結合部分と特異的に結合することのできる任意のポリペプチド決定基を含む。特定の実施態様では、エピトープ決定基は、アミノ酸、グリカン側鎖、ホスホリル、又はスルホニルなどの分子の化学的に活性な表面基を含み、特定の実施態様では、特定の3次元構造特徴及び/又は特定の荷電特徴を有し得る。コンフォメーションエピトープ及び非コンフォメーションエピトープは、前者への結合は、変性溶媒の存在下で失われるが、後者への結合は失われないという点から区別される。本明細書において使用する「結合している」及び「特異的に結合している」という用語は、精製された野生型抗原を用いたインビトロアッセイにおいて、好ましくはプラズモン共鳴アッセイ(ビアコア(登録商標)、GEヘルスケア社、ウプサラ、スウェーデン)において、抗原のエピトープに対する抗体又は抗原結合部分の結合を指す。
【0086】
1つの態様では、本発明の結合性分子は、例えば表面プラズモン共鳴分析(Malmqvist M., "Surface plasmon resonance for detection and measurement of antibody-antigen affinity and kinetics.", Curr Opin Immunol. 1993 Apr;5(2):282-6)によって決定されるような、1pMから100μM、好ましくは1pMから1μMの範囲のKD値の親和性でTRAILR2又はCDH17標的抗原に結合する。抗体の親和性はまた、結合平衡除外法(KinExA)技術(Darling, R.J., and Brault P-A., “Kinetic exclusion assay technology: Characterization of Molecular Interactions.” ASSAY and Drug Development Technologies. 2004, Dec 2(6): 647-657)を使用して測定することもできる。
【0087】
抗体分子の結合親和性は、親和性成熟として知られるプロセスによって増強され得る(Marks et al., 1992, Biotechnology 10:779-783; Barbas, et al., 1994, Proc. Nat. Acad. Sci, USA 91:3809-3813; Shier et al., 1995, Gene 169:147-155)。それ故、親和性成熟抗体も、本発明に包含される。
【0088】
本明細書において使用する「結合している」又は「特異的に結合している」という用語は、インビトロアッセイにおける、好ましくは表面プラズモン共鳴アッセイ(SPR、ビアコア、GEヘルスケア社、ウプサラ、スウェーデン)における抗原のエピトープに対する抗体の結合を指す。結合親和性は、kon(抗体/抗原複合体に由来する抗体の会合速度定数)、koff(解離定数)、及びKD(koff/kon)という項によって定義される。特異的な結合は一般的に、受容体分子とそのリガンドとの間の複合体の形成を指す。抗体-抗原の結合の脈絡において、高親和性抗体は典型的には、それらの標的抗原に10-9M以下の親和性で結合する。
【0089】
1つの実施態様では、本発明の結合性分子は、結腸直腸癌細胞株Colo205などの1つ以上の癌細胞型において、TRAILR2により媒介されるアポトーシスを誘発することができ、1nM以下、さらにより好ましくは0.01nM未満の濃度で細胞生存率の50%超の阻害を示す。
【0090】
さらなる実施態様では、本発明の結合性分子は、細胞株HepG2などのCDH17陰性肝由来細胞においてTRAILR2により媒介されるアポトーシスを誘発することができず、最大1nM、又はより好ましくは最大10nM、さらにより好ましくは最大100nMの濃度で細胞生存率の50%未満の阻害を示す。
【0091】
さらに好ましい実施態様では、カドヘリン-17(CDH17)に特異的に結合する少なくとも1つの抗原結合部位は免疫グロブリン(Ig)分子(2本の重鎖と2本の軽鎖とを含む慣用的なY字形の完全長抗体の構造を有する)であり、TNF関連アポトーシス誘発リガンド受容体2(TRAILR2)に特異的に結合する少なくとも1つの抗原結合部位は、1つ以上のscFv、scFab、Fab、又はFv結合配列を含む。好ましくは、TNF関連アポトーシス誘発リガンド受容体2(TRAILR2)に特異的に結合する抗原結合部位は、1つ以上のscFv(群)を含む。
【0092】
「一本鎖Fv断片」(scFv)は、抗体重鎖可変ドメイン(VH)と、リンカーと、抗体軽鎖可変ドメイン(VL)とを含むポリペプチドであり、ここでの該抗体ドメイン及び該リンカーはN末端からC末端の方向に向かって以下の順序の1つを有し:a)VH-リンカー-VL、b)VL-リンカー-VH;ここでの該リンカーは15~25アミノ酸長、好ましくは20アミノ酸長のポリペプチドである。
【0093】
さらに、これらの一本鎖Fv断片は、システイン残基の取り込みを介して、VHドメインとVLドメインとの間、VHドメイン内、又はVLドメイン内へのジスルフィド結合の取り込みによってさらに安定化され得る。N末端という用語は、ポリペプチド鎖の最初のアミノ酸を示し、一方、C末端は、ポリペプチド鎖のC末端の最後のアミノ酸を示す。したがって、本発明の実施態様では、1つ以上のscFv(群)が追加のシステイン残基を含んでジスルフィド結合を形成している。
【0094】
本発明の実施態様では、scFv部分の安定性は、3次元的に非常に近接して2つのシステイン残基を取り込むことにより、scFv(本明細書ではscFvssとも称される)内でジスルフィド結合を形成することによって高められ得る。scFvがTRv1(以下に考察されているような)のV領域配列に由来する場合、このような安定化ジスルフィド結合が工学操作され得る部位の候補の例としては、(a)VLの99位とVHの45位の間、(b)VLの102位とVHの44位の間、(c)VLの4位と100位の間、及び(d)VHの6位と112位の間が挙げられる。工学操作されたジスルフィド結合を通した安定化を生じさせるために、これらの位置における残基は好ましくは、システイン残基を用いて置換されている。
【0095】
添付の実施例に実証されているように、本発明者らは、N末端からC末端に向かってVL-VHの配向を有するTRAILR2scFvが、本発明の結合性分子において標的細胞のアポトーシスを誘発するように機能することができることを示した。N末端からC末端に向かってVH-VLの配向を有するTRAILR2scFvもまた機能することができるが、この配向では活性は減少する場合がある。したがって、本発明の好ましい実施態様では、順序がN末端からC末端に向かってVL-VHである。
【0096】
本発明のさらに好ましい実施態様は、TRAILR2に特異的に結合する1つ以上のscFv(群)が、ペプチドリンカー、好ましくは約4~20アミノ酸長(例えば6、9、12、又は15のいずれか1つ)を有するペプチドリンカーによって、CDH17に特異的に結合するIg分子(例えばヒトIgG1、IgG1(KO)、IgG1FcRnmut、IgGPro)に融合しているものである。好ましくは、scFvは、Ig分子の重鎖のC末端に融合している。好ましくはIg分子はIgGである。
【0097】
IgG分子の重鎖のC末端にscFv分子を連結する方法又はscFv分子内の可変ドメインを連結する方法は当技術分野において周知である。典型的には、グリシンアミノ酸及びセリンアミノ酸の小さなリンカー配列(GSミニリンカーと呼ばれる)が使用される。リンカー内のアミノ酸の数は、4(GGGS)(配列番号144)、6(GGSGGS)(配列番号141)、10(GGGGSGGGGS)(配列番号142)又はそれ以上まで変更されてもよい。実際に、通常、リンカーは、関心対象のIgGをコードしている核酸分子(今回の場合、CDH17結合部位の重鎖の可変ドメイン及びIgG型の定常ドメインをコードしている核酸を含むだろう)を、リンカー配列(例えば、5、10、15、又は20アミノ酸のいずれか1つのGSミニリンカー、好ましくは配列番号143のリンカー)をコードしている核酸分子によって間が置かれた、所望のscFvをコードしている核酸(今回の場合、TRAILR2結合部位についてのVL-VH又はVH-VLの配向のいずれかの重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインをコードしている核酸を含むだろう)と組み合わせることによって形成される。それから、以下にさらに説明されているように、この完全なHC-scFvをコードしている核酸分子は発現ベクター内に配置され、適切な宿主細胞に導入され、これにより、完全なIgG重鎖-scFv単一ポリペプチドが形成される。
【0098】
好ましくは、scFv分子とIgG分子の重鎖のC末端との間のGSミニリンカーは、GGSGGS(配列番号141)である。
【0099】
1つの実施態様では、本発明は、(i)2本の重鎖及び2本の軽鎖を有する、CDH17に特異的に結合するIg分子と、(ii)2つのscFv分子(scFv(群))(各々がTRAILR2に特異的に結合する)とを含む、多重特異的結合性タンパク質である結合性分子を提供する。好ましくは、Ig分子の各重鎖は、そのC末端に融合した1つのscFvを有し、これにより、二重特異的で四価の結合性タンパク質を形成する。
【0100】
1つの実施態様では、本発明は、
(i)2本の重鎖(その各々が、N末端からC末端に向かって:
-CDH17に特異的な重鎖可変ドメイン(例えばマウス、ヒト化、又はヒトのVHドメイン)、
-IgGの定常ドメイン(例えばヒトIgG1又はIgG4)、
-ペプチドリンカー(例えばGSミニリンカー)、及び
-TRAILR2に特異的なscFv(例えば、N末端からC末端に向かってVHドメイン(例えばマウス、ヒト化、又はヒトのVHドメイン)、リンカー、及びVLドメイン(例えばマウス、ヒト化、又はヒトのVLドメイン)、又はその逆であるVLドメイン、リンカー、及びVHドメインを含む、scFv)
を含む);及び
(ii)2本の軽鎖(その各々がN末端からC末端に向かって:
-CDH17に特異的な軽鎖可変ドメイン(例えばマウス、ヒト化、又はヒトのVLドメイン)、
-軽鎖定常ドメイン(例えばヒトκ鎖)
を含む)
を有する結合性分子(本明細書では多重特異的結合性タンパク質又は改変されたIg分子とも称される)を提供する。
【0101】
本明細書に記載の抗体分子又は結合性分子は、抗体分子の特性に対する所望の影響を有する他の分子実体に融合していても(融合タンパク質として)、又は別様に(共有結合又は非共有結合によって)連結されていてもよい。例えば、本明細書に記載の抗体又は結合性分子の薬物動態特性、例えば血液などの体液中での安定性を、特に一本鎖抗体又はドメイン抗体の場合には改善させることが望ましくあり得る。これに関して、特に循環中のこのような抗体分子の半減期を延長させるために、PEG化(国際公開公報第98/25971号;国際公開公報第98/48837号;国際公開公報第2004081026号)、抗体分子を、アルブミンのような血清タンパク質に対する親和性を有する別の抗体分子に融合若しくは別様に共有結合で付着させること(国際公開公報第2004041865号;国際公開公報第2004003019号)、又は、アルブミン若しくはトランスフェリンのような血清タンパク質の全部若しくは一部との融合タンパク質としての抗体分子の発現(国際公開公報第01/79258号)などの、多くの技術が開発されている。
【0102】
抗体のFc領域は多くのFc受容体と相互作用し、これにより多くの重要な機能的能力(「エフェクター機能」と称される)が生じるので、抗体は、特定の実施態様では、完全長抗体であるか又はFc領域の一部を含有している抗体であり、後者の場合、抗体が、抗原の関連した部分と、Fc受容体及び補体との両方への特異的な結合を示す限りにおいてである。定常領域の種類及び長さの選択は、補体との結合又は抗体依存性細胞媒介性細胞障害のようなエフェクター機能が望ましい特色であるかどうか、及び抗体タンパク質の所望の薬理学的特性に依存する。
【0103】
本発明の1つの実施態様では、本発明における結合性分子による補体産物C1q又はFcγ受容体への結合は、234位及び235位においてLからAへの突然変異誘発が指令された、IgG4定常領域又はIgG1定常領域の利用によって消失する。
【0104】
本発明の1つの実施態様では、本発明の結合性分子は、可溶性Fcγ受容体又は補体C1qによる意図しない架橋を避けるために工学操作されている、Fc領域又はその関連した区画を有し得る。1つの実施態様では、このような結合性分子又は抗体変異体は、Fcγ受容体及び補体C1qに対して親抗体よりもはるかに低い親和性を有する。(以下に、特記されない限り、抗体分子の脈絡における又はIgG若しくはFc領域の脈絡における「親」という用語は、突然変異した(工学操作された)分子の由来する、それぞれ、工学操作されていない抗体分子、Fc領域、又はIgGを指す)。したがって、本発明の1つの実施態様は、Ig分子がFcγ受容体又は補体受容体又はその両方に対して、野生型Fc領域と比較して低減した親和性を有するFc変異体を含む。このようなIg分子は本明細書においてIgG1(KO)と称される。
【0105】
本発明のさらなる実施態様は、本発明の結合性分子が、新生児Fc受容体(FcRn)とのその相互作用を最適化することによって、例えばCH2ドメイン内のH310A位における点突然変異によって、血清中レベル(半減期)を改変するように工学操作されている、Fc領域又はその関連した区画を含む。このようなIg分子は本明細書においてIgG1FcRnmutと称される。
【0106】
本発明のさらなる実施態様は、結合性分子が、他のIgG4分子との重鎖の交換を消失させるIgG4のヒンジ領域変異体を含む、Ig分子を含むものである。このようなIg分子は本明細書においてIgG4Proと称される。
【0107】
本発明は、TNF関連アポトーシス誘発リガンド受容体2(TRAILR2)に特異的に結合する少なくとも1つの抗原結合部位と、カドヘリン-17(CDH17)に特異的に結合する少なくとも1つの抗原結合部位とを有する結合性分子を提供する。
【0108】
特定の標的抗原に結合する結合部位を調製する方法は当技術分野において周知である。当業者は、これらの方法を容易に使用して、TRAILR2又はCDH17標的抗原に対する必要な特異性を有する抗原結合部位を考案することができる。
【0109】
抗体及び抗体断片を作製する方法は当技術分野において周知である。例えば、抗体は、インビボにおける抗体分子の生成の誘発、免疫グロブリンライブラリーのスクリーニング(Orlandi et al, 1989. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 86:3833-3837; Winter et al 1991, Nature 349:293-299)、又は培養液中の細胞株によるモノクローナル抗体分子の作製を利用したいくつかの方法のいずれか1つを介して作製され得る。これらとしては、ハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術、及びエプシュタイン・バーウイルス(EBV)ハイブリドーマ技術(Kohler et al 1975. Nature 256:4950497; Kozbor et al 1985. J. Immunol. Methods 81 :31 -42; Cote et al 1983. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:2026-2030; Cole et al 1984. Mol. Cell. Biol. 62:109-120)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0110】
当技術分野において公知であり本明細書に記載されている方法を使用して、TRAILR2及び/又はCDH17標的抗原に対する必要な特異性を有する結合部位を有する抗体、並びに、本明細書に記載の結合性分子を調製することは当業者にとっておきまりの手順であろう。このような抗体からの結合性ドメインの単離は、おきまりの慣行であり、実際に本明細書に記載のような抗体及び結合性分子を作製するために使用され得る方法に関するさらなる情報が添付の実施例に提供されている。
【0111】
本発明者らは、添付の実施例で考察されている本発明の特定のTRAILR2/CDH17結合性分子を調製した。
【0112】
本発明者らは、TRAILR2に特異的な多くの抗原結合部位を調製し、これらをTR#1、TR#2、TR#3、TR#7、TR#8、TR#10、TR#12、TR2v1、TR2v2、TR2v3、TR2v4、TR2v5、TR2v6、及びTR2v7と称した。本発明者らはまた、CDH17に特異的な多くの抗原結合部位を調製し、これらをCDH17A6、CDH17E2、CDH17H2、CDH17E9、及びCDH17v1と称した。以下に提供された実施態様のいずれかにおいて、結合性分子は、CDH17(CDH17A6、CDH17E2、CDH17H2、CDH17E9、及びCDH17v1のいずれか1つ)に特異的に結合する少なくとも1つの抗原結合部位、及びTRAILR2(TR#1、TR#2、TR#3、TR#7、TR#8、TR#10、TR#12、TR2v1、TR2v2、TR2v3、TR2v4、TR2v5、TR2v6、及びTR2v7のいずれか1つ)に特異的に結合する少なくとも1つの抗原結合部位を含む。好ましくは、CDH17に特異的な少なくとも1つの抗原結合部位はIg分子(2本の重鎖と2本の軽鎖を含む)であり、TRAILR2に特異的に結合する少なくとも1つの抗原結合部位は、2つのscFv(群)を含み、ここでの1つのscFvは一方の重鎖のC末端に結合し、1つのscFvはIg分子の他方の重鎖のC末端に結合し、二重特異的かつ四価の結合性タンパク質を形成している。
【0113】
いくつかの実施態様では、抗原結合部位(TR#1、TR#2、TR#3、TR#7、TR#8、TR#10、TR#12、TR2v1、TR2v2、TR2v3、TR2v4、TR2v5、TR2v6、TR2v7、CDH17A6、CDH17E2、CDH17H2、CDH17E9、及びCDH17v1のいずれか1つ)は、非ヒト超可変領域(HVR;例えば相補性決定領域(CDR))由来のアミノ酸残基と、ヒトフレームワーク配列由来のアミノ酸残基を含む、「ヒト化」抗原結合部位(例えば、ヒト化VH/VLドメインを含む)である。いくつかの実施態様では、抗原結合部位(TR#1、TR#2、TR#3、TR#7、TR#8、TR#10、TR#12、TR2v1、TR2v2、TR2v3、TR2v4、TR2v5、TR2v6、TR2v7、CDH17A6、CDH17E2、CDH17H2、CDH17E9、及びCDH17v1のいずれか1つ)は、両方共がヒトゲノム配列に由来する、CDR配列及びFR配列を含む、ヒト抗原結合部位(例えばヒトVH/VLドメインを含む)である。
【0114】
特定の抗原結合部位のアミノ酸配列は、明細書(表3)及び配列表に提供されている。
【0115】
以下には、TRAILR2及び/又はCDH17に対して特異的な抗原結合部位を含む、本発明の好ましい実施態様の詳細が提供されている。
【0116】
疑念を回避するために、本発明の第一の態様についての以下に列挙された具体的な実施態様の各々はまたそれぞれ、本発明の独立した態様であると考えられ得る。
【0117】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号1(CDR1)、配列番号2(CDR2)、及び配列番号3(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号4(CDR1)、配列番号5(CDR2)、及び配列番号6(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#1である。
【0118】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号82のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号83のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、TR#1である。例えば、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号134のアミノ酸配列(VL-VHの配向)を含むscFv分子を含む。
【0119】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号7(CDR1)、配列番号8(CDR2)、及び配列番号9(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号10(CDR1)、配列番号11(CDR2)、及び配列番号12(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#2である。
【0120】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号84のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#2である。例えば、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号135のアミノ酸配列(VL-VHの配向)を含むscFv分子を含む。
【0121】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号13(CDR1)、配列番号14(CDR2)、及び配列番号15(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号16(CDR1)、配列番号17(CDR2)、及び配列番号18(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#3である。
【0122】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号86のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号87のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、TR#3である。例えば、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号136のアミノ酸配列(VL-VHの配向)を含むscFv分子を含む。
【0123】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号19(CDR1)、配列番号20(CDR2)、及び配列番号21(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号22(CDR1)、配列番号23(CDR2)、及び配列番号24(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#7である。
【0124】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、TR#7である。例えば、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号137のアミノ酸配列(VL-VHの配向)を含むscFv分子を含む。
【0125】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号25(CDR1)、配列番号26(CDR2)、及び配列番号27(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号28(CDR1)、配列番号29(CDR2)、及び配列番号30(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#8である。
【0126】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、TR#8である。例えば、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号138のアミノ酸配列(VL-VHの配向)を含むscFv分子を含む。
【0127】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号31(CDR1)、配列番号32(CDR2)、及び配列番号33(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号34(CDR1)、配列番号35(CDR2)、及び配列番号36(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#10である。
【0128】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号92のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、TR#10である。例えば、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号139のアミノ酸配列(VL-VHの配向)を含むscFv分子を含む。
【0129】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号37(CDR1)、配列番号38(CDR2)、及び配列番号39(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号40(CDR1)、配列番号41(CDR2)、及び配列番号42(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#12である。
【0130】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号94のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、TR#12である。例えば、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号140のアミノ酸配列(VL-VHの配向)を含むscFv分子を含む。
【0131】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号43(CDR1)、配列番号44(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号50(CDR2)、及び配列番号54(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR2v1又はTR2v2である。
【0132】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号96のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号97のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、TR2v1である。例えば、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号124(VL-VHの配向)、配列番号131(VH-VLの配向)、配列番号132(VH-VLの配向でジスルフィド結合を有する、scFvss)、又は配列番号133(VL-VHの配向でジスルフィド結合を有する、scFV)のアミノ酸配列を含むscFv分子を含む。
【0133】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号98のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号99のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、TR2v2である。例えば、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号125のアミノ酸配列(VL-VHの配向)を含むscFv分子を含む。
【0134】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号43(CDR1)、配列番号45(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号51(CDR2)、及び配列番号55(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR2v3である。
【0135】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号101のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、TR2v3である。例えば、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号126のアミノ酸配列(VL-VHの配向)を含むscFv分子を含む。
【0136】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号43(CDR1)、配列番号45(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号52(CDR2)、及び配列番号56(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR2v4である。
【0137】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号102のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号103のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、TR2v4である。例えば、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号127のアミノ酸配列(VL-VHの配向)を含むscFv分子を含む。
【0138】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号43(CDR1)、配列番号45(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号50(CDR2)、及び配列番号56(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR2v5である。
【0139】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号104のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号105のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、TR2v5である。例えば、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号128のアミノ酸配列(VL-VHの配向)を含むscFv分子を含む。
【0140】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号43(CDR1)、配列番号46(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号51(CDR2)、及び配列番号57(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR2v6である。
【0141】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号106のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、TR2v6である。例えば、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号129のアミノ酸配列(VL-VHの配向)を含むscFv分子を含む。
【0142】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号43(CDR1)、配列番号47(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号53(CDR2)、及び配列番号57(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR2v7である。
【0143】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号108のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号109のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、TR2v7である。例えば、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号130のアミノ酸配列(VL-VHの配向)を含むscFv分子を含む。
【0144】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号58(CDR1)、配列番号59(CDR2)、及び配列番号60(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号61(CDR1)、配列番号62(CDR2)、及び配列番号63(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9である。
【0145】
好ましくは、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号110のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号111のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位は、CDH17E9である。
【0146】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号64(CDR1)、配列番号65(CDR2)、及び配列番号66(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号67(CDR1)、配列番号68(CDR2)、及び配列番号69(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6である。
【0147】
好ましくは、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号112のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号113のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位は、CDH17A6である。
【0148】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号70(CDR1)、配列番号71(CDR2)、及び配列番号72(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号73(CDR1)、配列番号74(CDR2)、及び配列番号75(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2又はCDH17H2である。
【0149】
好ましくは、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号114のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位は、CDH17E2である。
【0150】
好ましくは、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号116のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号117のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位は、CDH17H2である。
【0151】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号76(CDR1)、配列番号77(CDR2)、及び配列番号78(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRを含み、配列番号79(CDR1)、配列番号80(CDR2)、及び配列番号81(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRを有する。この実施態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1である。
【0152】
好ましくは、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号118のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号119のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位は、CDH17v1である。
【0153】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号1(CDR1)、配列番号2(CDR2)、及び配列番号3(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号4(CDR1)、配列番号5(CDR2)、及び配列番号6(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号58(CDR1)、配列番号59(CDR2)、及び配列番号60(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号61(CDR1)、配列番号62(CDR2)、及び配列番号63(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#1であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9である。
【0154】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号82のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号83のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号110のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号111のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#1(例えば配列番号134のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9である。
【0155】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号1(CDR1)、配列番号2(CDR2)、及び配列番号3(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号4(CDR1)、配列番号5(CDR2)、及び配列番号6(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号64(CDR1)、配列番号65(CDR2)、及び配列番号66(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号67(CDR1)、配列番号68(CDR2)、及び配列番号69(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#1であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6である。
【0156】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号82のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号83のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号112のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号113のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#1(例えば配列番号134のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6である。
【0157】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号1(CDR1)、配列番号2(CDR2)、及び配列番号3(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号4(CDR1)、配列番号5(CDR2)、及び配列番号6(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号70(CDR1)、配列番号71(CDR2)、及び配列番号72(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号73(CDR1)、配列番号74(CDR2)、及び配列番号75(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#1であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2又はCDH17H2である。
【0158】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号82のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号83のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号114のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#1(例えば配列番号134のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2である。
【0159】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号82のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号83のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号116のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号117のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#1(例えば配列番号134のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17H2である。
【0160】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号1(CDR1)、配列番号2(CDR2)、及び配列番号3(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号4(CDR1)、配列番号5(CDR2)、及び配列番号6(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号76(CDR1)、配列番号77(CDR2)、及び配列番号78(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号79(CDR1)、配列番号80(CDR2)、及び配列番号81(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#1であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1である。
【0161】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号82のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号83のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号118のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号119のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#1(例えば配列番号134のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1である。
【0162】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号7(CDR1)、配列番号8(CDR2)、及び配列番号9(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号10(CDR1)、配列番号11(CDR2)、及び配列番号12(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号58(CDR1)、配列番号59(CDR2)、及び配列番号60(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号61(CDR1)、配列番号62(CDR2)、及び配列番号63(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#2であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9である。
【0163】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号84のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号110のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号111のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#2(例えば配列番号135のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9である。
【0164】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号7(CDR1)、配列番号8(CDR2)、及び配列番号9(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号10(CDR1)、配列番号11(CDR2)、及び配列番号12(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号64(CDR1)、配列番号65(CDR2)、及び配列番号66(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号67(CDR1)、配列番号68(CDR2)、及び配列番号69(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#2であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6である。
【0165】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号84のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号112のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号113のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#2(例えば配列番号135のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6である。
【0166】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号7(CDR1)、配列番号8(CDR2)、及び配列番号9(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号10(CDR1)、配列番号11(CDR2)、及び配列番号12(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号70(CDR1)、配列番号71(CDR2)、及び配列番号72(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号73(CDR1)、配列番号74(CDR2)、及び配列番号75(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#2であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2又はCDH17H2である。
【0167】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号84のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号114のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#2(例えば配列番号135のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2である。
【0168】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号84のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号116のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号117のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#2(例えば配列番号135のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17H2である。
【0169】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号7(CDR1)、配列番号8(CDR2)、及び配列番号9(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号10(CDR1)、配列番号11(CDR2)、及び配列番号12(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号76(CDR1)、配列番号77(CDR2)、及び配列番号78(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号79(CDR1)、配列番号80(CDR2)、及び配列番号81(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#2であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1である。
【0170】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号84のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号118のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号119のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#2(例えば配列番号135のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1である。
【0171】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号13(CDR1)、配列番号14(CDR2)、及び配列番号15(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号16(CDR1)、配列番号17(CDR2)、及び配列番号18(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号58(CDR1)、配列番号59(CDR2)、及び配列番号60(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号61(CDR1)、配列番号62(CDR2)、及び配列番号63(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#3であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9である。
【0172】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号86のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号87のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号110のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号111のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#3(例えば配列番号136のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9である。
【0173】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号13(CDR1)、配列番号14(CDR2)、及び配列番号15(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号16(CDR1)、配列番号17(CDR2)、及び配列番号18(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号64(CDR1)、配列番号65(CDR2)、及び配列番号66(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号67(CDR1)、配列番号68(CDR2)、及び配列番号69(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#3であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6である。
【0174】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号86のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号87のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号112のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号113のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#3(例えば配列番号136のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6である。
【0175】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号13(CDR1)、配列番号14(CDR2)、及び配列番号15(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号16(CDR1)、配列番号17(CDR2)、及び配列番号18(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号70(CDR1)、配列番号71(CDR2)、及び配列番号72(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号73(CDR1)、配列番号74(CDR2)、及び配列番号75(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#3であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2又はCDH17H2である。
【0176】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号86のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号87のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号114のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#3(例えば配列番号136のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2である。
【0177】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号86のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号87のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号116のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号117のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#3(例えば配列番号136のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17H2である。
【0178】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号13(CDR1)、配列番号14(CDR2)、及び配列番号15(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号16(CDR1)、配列番号17(CDR2)、及び配列番号18(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号76(CDR1)、配列番号77(CDR2)、及び配列番号78(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号79(CDR1)、配列番号80(CDR2)、及び配列番号81(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#3であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1である。
【0179】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号86のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号87のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号118のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号119のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#3(例えば配列番号136のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1である。
【0180】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号19(CDR1)、配列番号20(CDR2)、及び配列番号21(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号22(CDR1)、配列番号23(CDR2)、及び配列番号24(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号58(CDR1)、配列番号59(CDR2)、及び配列番号60(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号61(CDR1)、配列番号62(CDR2)、及び配列番号63(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#7であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9である。
【0181】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号110のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号111のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#7(例えば配列番号137のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9である。
【0182】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号19(CDR1)、配列番号20(CDR2)、及び配列番号21(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号22(CDR1)、配列番号23(CDR2)、及び配列番号24(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号64(CDR1)、配列番号65(CDR2)、及び配列番号66(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号67(CDR1)、配列番号68(CDR2)、及び配列番号69(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#7であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6である。
【0183】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号112のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号113のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#7(例えば配列番号137のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6である。
【0184】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号19(CDR1)、配列番号20(CDR2)、及び配列番号21(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号22(CDR1)、配列番号23(CDR2)、及び配列番号24(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号70(CDR1)、配列番号71(CDR2)、及び配列番号72(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号73(CDR1)、配列番号74(CDR2)、及び配列番号75(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#7であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2又はCDH17H2である。
【0185】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号114のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#7(例えば配列番号137のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2である。
【0186】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号116のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号117のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#7(例えば配列番号137のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17H2である。
【0187】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号19(CDR1)、配列番号20(CDR2)、及び配列番号21(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号22(CDR1)、配列番号23(CDR2)、及び配列番号24(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号76(CDR1)、配列番号77(CDR2)、及び配列番号78(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号79(CDR1)、配列番号80(CDR2)、及び配列番号81(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#7であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1である。
【0188】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号118のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号119のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#7(例えば配列番号137のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1である。
【0189】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号25(CDR1)、配列番号26(CDR2)、及び配列番号27(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号28(CDR1)、配列番号29(CDR2)、及び配列番号30(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号58(CDR1)、配列番号59(CDR2)、及び配列番号60(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号61(CDR1)、配列番号62(CDR2)、及び配列番号63(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#8であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9である。
【0190】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号110のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号111のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#8(例えば配列番号138のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9である。
【0191】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号25(CDR1)、配列番号26(CDR2)、及び配列番号27(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号28(CDR1)、配列番号29(CDR2)、及び配列番号30(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号64(CDR1)、配列番号65(CDR2)、及び配列番号66(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号67(CDR1)、配列番号68(CDR2)、及び配列番号69(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#8であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6である。
【0192】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号112のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号113のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#8(例えば配列番号138のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6である。
【0193】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号25(CDR1)、配列番号26(CDR2)、及び配列番号27(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号28(CDR1)、配列番号29(CDR2)、及び配列番号30(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号70(CDR1)、配列番号71(CDR2)、及び配列番号72(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号73(CDR1)、配列番号74(CDR2)、及び配列番号75(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#8であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2又はCDH17H2である。
【0194】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号114のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#8(例えば配列番号138のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2である。
【0195】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号116のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号117のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#8(例えば配列番号138のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17H2である。
【0196】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号25(CDR1)、配列番号26(CDR2)、及び配列番号27(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号28(CDR1)、配列番号29(CDR2)、及び配列番号30(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号76(CDR1)、配列番号77(CDR2)、及び配列番号78(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号79(CDR1)、配列番号80(CDR2)、及び配列番号81(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#8であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1である。
【0197】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号118のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#8(例えば配列番号138のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1である。
【0198】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号31(CDR1)、配列番号32(CDR2)、及び配列番号33(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号34(CDR1)、配列番号35(CDR2)、及び配列番号36(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号58(CDR1)、配列番号59(CDR2)、及び配列番号60(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号61(CDR1)、配列番号62(CDR2)、及び配列番号63(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#10であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9である。
【0199】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号92のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号110のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号111のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#10(例えば配列番号139のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9である。
【0200】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号31(CDR1)、配列番号32(CDR2)、及び配列番号33(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号34(CDR1)、配列番号35(CDR2)、及び配列番号36(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号64(CDR1)、配列番号65(CDR2)、及び配列番号66(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号67(CDR1)、配列番号68(CDR2)、及び配列番号69(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#10であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6である。
【0201】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号92のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号112のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号113のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#10(例えば配列番号139のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6である。
【0202】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号31(CDR1)、配列番号32(CDR2)、及び配列番号33(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号34(CDR1)、配列番号35(CDR2)、及び配列番号36(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号70(CDR1)、配列番号71(CDR2)、及び配列番号72(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号73(CDR1)、配列番号74(CDR2)、及び配列番号75(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#10であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2又はCDH17H2である。
【0203】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号92のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号114のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#10(例えば配列番号139のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2である。
【0204】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号92のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号116のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号117のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#10(例えば配列番号139のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17H2である。
【0205】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号31(CDR1)、配列番号32(CDR2)、及び配列番号33(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号34(CDR1)、配列番号35(CDR2)、及び配列番号36(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号76(CDR1)、配列番号77(CDR2)、及び配列番号78(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号79(CDR1)、配列番号80(CDR2)、及び配列番号81(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#10であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1である。
【0206】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号92のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号118のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号119のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#10(例えば配列番号139のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1である。
【0207】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号37(CDR1)、配列番号38(CDR2)、及び配列番号39(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号40(CDR1)、配列番号41(CDR2)、及び配列番号42(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号58(CDR1)、配列番号59(CDR2)、及び配列番号60(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号61(CDR1)、配列番号62(CDR2)、及び配列番号63(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#12であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9である。
【0208】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号94のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号110のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号111のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#12(例えば配列番号140のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9である。
【0209】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号37(CDR1)、配列番号38(CDR2)、及び配列番号39(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号40(CDR1)、配列番号41(CDR2)、及び配列番号42(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号64(CDR1)、配列番号65(CDR2)、及び配列番号66(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号67(CDR1)、配列番号68(CDR2)、及び配列番号69(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#12であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6である。
【0210】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号94のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号112のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号113のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#12(例えば配列番号140のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6である。
【0211】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号37(CDR1)、配列番号38(CDR2)、及び配列番号39(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号40(CDR1)、配列番号41(CDR2)、及び配列番号42(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号70(CDR1)、配列番号71(CDR2)、及び配列番号72(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号73(CDR1)、配列番号74(CDR2)、及び配列番号75(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#12であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH171E2又はCDH171H2である。
【0212】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号94のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号114のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#12(例えば配列番号140のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2である。
【0213】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号94のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号116のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号117のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#12(例えば配列番号140のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17H2である。
【0214】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号37(CDR1)、配列番号38(CDR2)、及び配列番号39(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号40(CDR1)、配列番号41(CDR2)、及び配列番号42(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号76(CDR1)、配列番号77(CDR2)、及び配列番号78(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号79(CDR1)、配列番号80(CDR2)、及び配列番号81(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#12であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1である。
【0215】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号94のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号118のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号119のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#12(例えば配列番号140のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1である。
【0216】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号43(CDR1)、配列番号44(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号50(CDR2)、及び配列番号54(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号58(CDR1)、配列番号59(CDR2)、及び配列番号60(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号61(CDR1)、配列番号62(CDR2)、及び配列番号63(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv1又はTRv2であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9である。
【0217】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号96のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号97のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号110のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号111のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv1(例えば配列番号124、配列番号131、配列番号132、配列番号133のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9である。
【0218】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号98のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号99のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号110のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号111のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv2(例えば配列番号125のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9である。
【0219】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号43(CDR1)、配列番号44(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号50(CDR2)、及び配列番号54(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号64(CDR1)、配列番号65(CDR2)、及び配列番号66(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号67(CDR1)、配列番号68(CDR2)、及び配列番号69(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv1又はTRv2であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6である。
【0220】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号96のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号97のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号112のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号113のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv1(例えば配列番号124、配列番号131、配列番号132、配列番号133のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6である。
【0221】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号98のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号99のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号112のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号113のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv2(例えば配列番号125のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6である。
【0222】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号43(CDR1)、配列番号44(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号50(CDR2)、及び配列番号54(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号70(CDR1)、配列番号71(CDR2)、及び配列番号72(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号73(CDR1)、配列番号74(CDR2)、及び配列番号75(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv1又はTRv2であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2又はCDH17H2である。
【0223】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号96のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号97のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号114のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv1(例えば配列番号124、配列番号131、配列番号132、配列番号133のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2である。
【0224】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号98のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号99のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号114のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv2(例えば配列番号125のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2である。
【0225】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号96のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号97のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号116のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号117のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv1(例えば配列番号124、配列番号131、配列番号132、配列番号133のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17H2である。
【0226】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号98のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号99のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号116のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号117のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv2(例えば配列番号125のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17H2である。
【0227】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号43(CDR1)、配列番号44(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号50(CDR2)、及び配列番号54(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号76(CDR1)、配列番号77(CDR2)、及び配列番号78(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号79(CDR1)、配列番号80(CDR2)、及び配列番号81(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv1又はTRv2であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1である。
【0228】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号96のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号97のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号118のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号119のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv1(例えば配列番号124、配列番号131、配列番号132、配列番号133のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1である。
【0229】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号98のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号99のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号118のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号119のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv2(例えば配列番号125のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1である。
【0230】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号43(CDR1)、配列番号45(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号51(CDR2)、及び配列番号55(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号58(CDR1)、配列番号59(CDR2)、及び配列番号60(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号61(CDR1)、配列番号62(CDR2)、及び配列番号63(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv3であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9である。
【0231】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号101のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号110のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号111のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv3(例えば配列番号126のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9である。
【0232】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号43(CDR1)、配列番号45(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号51(CDR2)、及び配列番号55(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号64(CDR1)、配列番号65(CDR2)、及び配列番号66(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号67(CDR1)、配列番号68(CDR2)、及び配列番号69(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv3であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6である。
【0233】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号101のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号112のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号113のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv3(例えば配列番号126のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6である。
【0234】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号43(CDR1)、配列番号45(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号51(CDR2)、及び配列番号55(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号70(CDR1)、配列番号71(CDR2)、及び配列番号72(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号73(CDR1)、配列番号74(CDR2)、及び配列番号75(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv3であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2又はCDH17H2である。
【0235】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号101のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号114のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv3(例えば配列番号126のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2である。
【0236】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号101のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号116のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号117のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv3(例えば配列番号126のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17H2である。
【0237】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号43(CDR1)、配列番号45(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号51(CDR2)、及び配列番号55(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号76(CDR1)、配列番号77(CDR2)、及び配列番号78(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号79(CDR1)、配列番号80(CDR2)、及び配列番号81(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv3であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1である。
【0238】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号101のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号118のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号119のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv3(例えば配列番号126のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1である。
【0239】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号43(CDR1)、配列番号45(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号52(CDR2)、及び配列番号56(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号58(CDR1)、配列番号59(CDR2)、及び配列番号60(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号61(CDR1)、配列番号62(CDR2)、及び配列番号63(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv4であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9である。
【0240】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号102のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号103のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号110のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号111のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv4(例えば配列番号127のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9である。
【0241】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号43(CDR1)、配列番号45(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号52(CDR2)、及び配列番号56(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号64(CDR1)、配列番号65(CDR2)、及び配列番号66(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号67(CDR1)、配列番号68(CDR2)、及び配列番号69(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv4であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6である。
【0242】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号102のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号103のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号112のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号113のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv4(例えば配列番号127のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6である。
【0243】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号43(CDR1)、配列番号45(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号52(CDR2)、及び配列番号56(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号70(CDR1)、配列番号71(CDR2)、及び配列番号72(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号73(CDR1)、配列番号74(CDR2)、及び配列番号75(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv4であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2又はCDH17H2である。
【0244】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号102のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号103のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号114のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv4(例えば配列番号127のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2である。
【0245】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号102のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号103のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号116のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号117のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv4(例えば配列番号127のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17H2である。
【0246】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号43(CDR1)、配列番号45(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号52(CDR2)、及び配列番号56(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号76(CDR1)、配列番号77(CDR2)、及び配列番号78(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号79(CDR1)、配列番号80(CDR2)、及び配列番号81(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv4であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1である。
【0247】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号102のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号103のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号118のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号119のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv4(例えば配列番号127のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1である。
【0248】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号43(CDR1)、配列番号45(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号50(CDR2)、及び配列番号56(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号58(CDR1)、配列番号59(CDR2)、及び配列番号60(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号61(CDR1)、配列番号62(CDR2)、及び配列番号63(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv5であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9である。
【0249】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号104のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号105のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号110のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号111のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv5(例えば配列番号128のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9である。
【0250】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号43(CDR1)、配列番号45(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号50(CDR2)、及び配列番号56(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号64(CDR1)、配列番号65(CDR2)、及び配列番号66(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号67(CDR1)、配列番号68(CDR2)、及び配列番号69(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv5であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6である。
【0251】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号104のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号105のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号112のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号113のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv5(例えば配列番号128のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6である。
【0252】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号43(CDR1)、配列番号45(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号50(CDR2)、及び配列番号56(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号70(CDR1)、配列番号71(CDR2)、及び配列番号72(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号73(CDR1)、配列番号74(CDR2)、及び配列番号75(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv5であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2又はCDH17H2である。
【0253】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号104のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号105のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号114のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv5(例えば配列番号128のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2である。
【0254】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号104のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号105のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号116のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号117のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv5(例えば配列番号128のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17H2である。
【0255】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号43(CDR1)、配列番号45(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号50(CDR2)、及び配列番号56(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号76(CDR1)、配列番号77(CDR2)、及び配列番号78(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号79(CDR1)、配列番号80(CDR2)、及び配列番号81(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv5であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1である。
【0256】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号104のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号105のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号118のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号119のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv5(例えば配列番号128のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1である。
【0257】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号43(CDR1)、配列番号46(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号51(CDR2)、及び配列番号57(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号58(CDR1)、配列番号59(CDR2)、及び配列番号60(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号61(CDR1)、配列番号62(CDR2)、及び配列番号63(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv6であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9である。
【0258】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号106のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号110のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号111のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv6(例えば配列番号129のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9である。
【0259】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号43(CDR1)、配列番号46(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号51(CDR2)、及び配列番号57(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号64(CDR1)、配列番号65(CDR2)、及び配列番号66(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号67(CDR1)、配列番号68(CDR2)、及び配列番号69(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv6であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6である。
【0260】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号106のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号112のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号113のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv6(例えば配列番号129のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6である。
【0261】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号43(CDR1)、配列番号46(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号51(CDR2)、及び配列番号57(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号70(CDR1)、配列番号71(CDR2)、及び配列番号72(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号73(CDR1)、配列番号74(CDR2)、及び配列番号75(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv6であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2又はCDH17H2である。
【0262】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号106のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号114のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv6(例えば配列番号129のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2である。
【0263】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号106のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号116のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号117のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv6(例えば配列番号129のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17H2である。
【0264】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号43(CDR1)、配列番号46(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号51(CDR2)、及び配列番号57(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号76(CDR1)、配列番号77(CDR2)、及び配列番号78(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号79(CDR1)、配列番号80(CDR2)、及び配列番号81(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv6であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1である。
【0265】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号106のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号118のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号119のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv6(例えば配列番号129のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1である。
【0266】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号43(CDR1)、配列番号47(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号53(CDR2)、及び配列番号57(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号58(CDR1)、配列番号59(CDR2)、及び配列番号60(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号61(CDR1)、配列番号62(CDR2)、及び配列番号63(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv7であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9である。
【0267】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号108のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号109のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号110のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号111のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv7(例えば配列番号130のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9である。
【0268】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号43(CDR1)、配列番号47(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号53(CDR2)、及び配列番号57(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号64(CDR1)、配列番号65(CDR2)、及び配列番号66(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号67(CDR1)、配列番号68(CDR2)、及び配列番号69(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv7であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6である。
【0269】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号108のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号109のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号112のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号113のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv7(例えば配列番号130のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6である。
【0270】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号43(CDR1)、配列番号47(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号53(CDR2)、及び配列番号57(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号70(CDR1)、配列番号71(CDR2)、及び配列番号72(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号73(CDR1)、配列番号74(CDR2)、及び配列番号75(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv7であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2又はCDH17H2である。
【0271】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号108のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号109のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号114のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv7(例えば配列番号130のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2である。
【0272】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号108のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号109のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号116のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号117のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv7(例えば配列番号130のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17H2である。
【0273】
本発明の結合性分子の好ましい実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号43(CDR1)、配列番号47(CDR2)、及び配列番号48(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号49(CDR1)、配列番号53(CDR2)、及び配列番号57(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号76(CDR1)、配列番号77(CDR2)、及び配列番号78(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号79(CDR1)、配列番号80(CDR2)、及び配列番号81(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv7であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1である。
【0274】
好ましくは、TRAILR2に特異的な抗原結合部位は、配列番号108のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号109のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、CDH17に特異的な抗原結合部位は、配列番号118のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号119のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。この実施態様では、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv7(例えば配列番号130のscFv)であり、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1である。
【0275】
上記に示されているのは、本発明の結合性分子(例えば二重特異的かつ四価の結合性分子)に使用され得るTRAILR2及びCDH17に特異的な抗原結合部位の具体的な組み合わせ(例えば、CDH17E9、CDH17A6、CDH17E2、CDH17H2、及びCDH17v1のいずれか1つのCDH17結合部位と組み合わせた、TR#1、TR#2、TR#3、TR#7、TR#8、TR#10、TR#12、TR2v1、TR2v2、TR2v3、TR2v4、TR2v5、TR2v6、及びTR2v7のいずれか1つのTRAILR2結合部位)である。
【0276】
上記の組み合わせのいくつかの実施態様では、CDH17の抗原結合部位は、CDH17に特異的な重鎖可変ドメイン(例えば、抗原結合部位CDH17E9、CDH17A6、CDH17E2、CDH17H2、又はCDH17v1のVH)を含み、ヒト重鎖定常領域、例えば定常領域IgG、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、又はIgMに融合している。好ましくは、ヒトIgG1の重鎖定常領域が使用される。
【0277】
本発明のさらなる実施態様は、CDH17の抗原結合部位がさらに、CDH17に特異的な軽鎖可変ドメイン(例えば抗原結合部位CDH17E9、CDH17A6、CDH17E2、CDH17H2、又はCDH17v1のVL)を含み、ヒト軽鎖定常領域κ又はλに融合している。好ましくは、ヒト軽鎖定常領域κが使用される。
【0278】
いくつかの実施態様では、結合性分子は、CDH17特異的抗原結合部位のいずれか(CDH17E9、CDH17A6、CDH17E2、CDH17H2、又はCDH17v1)を含むIg分子(2つのVHドメイン(それらの各々は重鎖定常領域、例えば定常IgG1領域に融合している)と2つのVLドメイン(それらの各々は軽鎖定常領域に融合している)を含む)、及びTRAILR2特異的抗原結合部位のいずれか(TR#1、TR#2、TR#3、TR#7、TR#8、TR#10、TR#12、TR2v1、TR2v2、TR2v3、TR2v4、TR2v5、TR2v6、又はTR2v7)を含む2つのscFvを含み、scFv(群)の各々はIgG分子のC末端に(例えば、一方のscFvは一方の重鎖に、他方のscFvは他方の重鎖に、各々ペプチドリンカーを介して)融合し、これにより、二重特異的かつ四価の結合性分子が形成される。
【0279】
ヒトIgG1野生型の重鎖定常領域の配列の例は、配列番号120に提供され、IgG1KOは配列番号121に提供され、IgG4Pro野生型は配列番号122に提供されている。IgG1FcRnmutは配列番号270に提供されている。好ましくは、重鎖定常領域は、配列番号121に提供されているようなIgG1KO、又は配列番号270に提供されているようなIgG1FcRnmutである。
【0280】
ヒト軽鎖定常領域κ配列の例が配列番号123に提供されている。
【0281】
以下に提供されているのは、本発明の結合性分子(本明細書においては多重特異的結合性タンパク質とも称される)である。本発明の特異的分子/タンパク質の各々は、(i)免疫グロブリン重鎖が、CDH17に特異的に結合する重鎖可変ドメイン(例えば、CDH17E9、CDH17A6、CDH17E2、CDH17H2、及びCDH17v1のいずれか1つのVH)と、免疫グロブリン重鎖定常領域と、及びまた、TRAILR2に特異的に結合する、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインのアミノ酸配列(例えば、TR#1、TR#2、TR#3、TR#7、TR#8、TR#10、TR#12、TR2v1、TR2v2、TR2v3、TR2v4、TR2v5、TR2v6、及びTR2v7のいずれか1つのVL及びVH)を含むscFvのアミノ酸配列も含み、このscFvはIg定常ドメインのC末端に連結されている、並びに(ii)免疫グロブリン軽鎖が、CDH17に特異的に結合する軽鎖可変ドメイン(例えば、CDH17E9、CDH17A6、CDH17E2、CDH17H2、及びCDH17v1のいずれか1つのVL)及び軽鎖定常ドメインのアミノ酸配列を含む、改変された免疫グロブリン分子を含む。好ましくは、改変された免疫グロブリン分子は、2本の免疫グロブリン重鎖(例えば改変された重鎖)及び2本の免疫グロブリン軽鎖を含む。
【0282】
いくつかの実施態様では、その重鎖アミノ酸配列(例えば、Ig重鎖のC末端に融合したscFvを有する改変された重鎖)並びにその軽鎖アミノ酸配列によって定義される、以下の様々な態様で提供される結合性分子は、2本の重鎖及び2本の軽鎖を含み、これにより、対称的な四価かつ二重特異的な構造が形成される。
【0283】
本発明のさらなる態様は、配列番号159のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号173のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#1である。
【0284】
本発明のさらなる態様は、配列番号160のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号173のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#2である。
【0285】
本発明のさらなる態様は、配列番号161のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号173のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#3である。
【0286】
本発明のさらなる態様は、配列番号162のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号173のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#7である。
【0287】
本発明のさらなる態様は、配列番号163のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号173のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#8である。
【0288】
本発明のさらなる態様は、配列番号164のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号173のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#10である。
【0289】
本発明のさらなる態様は、配列番号165のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号173のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#12である。
【0290】
本発明のさらなる態様は、配列番号166のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号173のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv1である。
【0291】
本発明のさらなる態様は、配列番号167のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号173のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv2である。
【0292】
本発明のさらなる態様は、配列番号168のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号173のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv3である。
【0293】
本発明のさらなる態様は、配列番号169のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号173のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv4である。
【0294】
本発明のさらなる態様は、配列番号170のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号173のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv5である。
【0295】
本発明のさらなる態様は、配列番号171のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号173のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv6である。
【0296】
本発明のさらなる態様は、配列番号172のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号173のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E9であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv7である。
【0297】
本発明のさらなる態様は、配列番号174のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号188のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#1である。
【0298】
本発明のさらなる態様は、配列番号175のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号188のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#2である。
【0299】
本発明のさらなる態様は、配列番号176のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号188のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#3である。
【0300】
本発明のさらなる態様は、配列番号177のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号188のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#7である。
【0301】
本発明のさらなる態様は、配列番号178のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号188のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#8である。
【0302】
本発明のさらなる態様は、配列番号179のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号188のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#10である。
【0303】
本発明のさらなる態様は、配列番号180のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号188のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#12である。
【0304】
本発明のさらなる態様は、配列番号181のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号188のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv1である。
【0305】
本発明のさらなる態様は、配列番号182のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号188のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv2である。
【0306】
本発明のさらなる態様は、配列番号183のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号188のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv3である。
【0307】
本発明のさらなる態様は、配列番号184のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号188のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv4である。
【0308】
本発明のさらなる態様は、配列番号185のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号188のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv5である。
【0309】
本発明のさらなる態様は、配列番号186のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号188のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv6である。
【0310】
本発明のさらなる態様は、配列番号187のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号188のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17A6であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv7である。
【0311】
本発明のさらなる態様は、配列番号189のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号203のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#1である。
【0312】
本発明のさらなる態様は、配列番号190のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号203のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#2である。
【0313】
本発明のさらなる態様は、配列番号191のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号203のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#3である。
【0314】
本発明のさらなる態様は、配列番号192のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号203のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#7である。
【0315】
本発明のさらなる態様は、配列番号193のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号203のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#8である。
【0316】
本発明のさらなる態様は、配列番号194のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号203のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#10である。
【0317】
本発明のさらなる態様は、配列番号195のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号203のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#12である。
【0318】
本発明のさらなる態様は、配列番号196のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号203のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv1である。
【0319】
本発明のさらなる態様は、配列番号197のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号203のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv2である。
【0320】
本発明のさらなる態様は、配列番号198のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号203のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv3である。
【0321】
本発明のさらなる態様は、配列番号199のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号203のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv4である。
【0322】
本発明のさらなる態様は、配列番号200のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号203のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv5である。
【0323】
本発明のさらなる態様は、配列番号201のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号203のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv6である。
【0324】
本発明のさらなる態様は、配列番号202のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号203のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17E2であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv7である。
【0325】
本発明のさらなる態様は、配列番号204のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号218のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17H2であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#1である。
【0326】
本発明のさらなる態様は、配列番号205のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号218のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17H2であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#2である。
【0327】
本発明のさらなる態様は、配列番号206のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号218のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17H2であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#3である。
【0328】
本発明のさらなる態様は、配列番号207のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号218のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17H2であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#7である。
【0329】
本発明のさらなる態様は、配列番号208のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号218のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17H2であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#8である。
【0330】
本発明のさらなる態様は、配列番号209のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号218のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17H2であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#10である。
【0331】
本発明のさらなる態様は、配列番号210のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号218のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17H2であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#12である。
【0332】
本発明のさらなる態様は、配列番号211のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号218のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17H2であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv1である。
【0333】
本発明のさらなる態様は、配列番号212のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号218のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17H2であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv2である。
【0334】
本発明のさらなる態様は、配列番号271のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号218のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17H2であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv2である。
【0335】
本発明のさらなる態様は、配列番号213のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号218のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17H2であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv3である。
【0336】
本発明のさらなる態様は、配列番号214のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号218のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17H2であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv4である。
【0337】
本発明のさらなる態様は、配列番号215のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号218のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17H2であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv5である。
【0338】
本発明のさらなる態様は、配列番号216のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号218のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17H2であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv6である。
【0339】
本発明のさらなる態様は、配列番号217のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号218のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17H2であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv7である。
【0340】
本発明のさらなる態様は、配列番号219のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号233のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#1である。
【0341】
本発明のさらなる態様は、配列番号220のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号233のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#2である。
【0342】
本発明のさらなる態様は、配列番号221のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号233のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#3である。
【0343】
本発明のさらなる態様は、配列番号222のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号233のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#7である。
【0344】
本発明のさらなる態様は、配列番号223のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号233のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#8である。
【0345】
本発明のさらなる態様は、配列番号224のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号233のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#10である。
【0346】
本発明のさらなる態様は、配列番号225のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号233のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTR#12である。
【0347】
本発明のさらなる態様は、配列番号226のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号233のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv1である。
【0348】
本発明のさらなる態様は、(i)配列番号145のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号146のアミノ酸配列を含む軽鎖;(ii)配列番号147のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号148のアミノ酸配列を含む軽鎖;(iii)配列番号153のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号154のアミノ酸配列を含む軽鎖;(iv)配列番号155のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号156のアミノ酸配列を含む軽鎖;又は(v)配列番号157のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号158のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv1である。
【0349】
本発明のさらなる態様は、配列番号227のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号233のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv2である。
【0350】
本発明のさらなる態様は、(i)配列番号149のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号150のアミノ酸配列を含む軽鎖、又は(ii)配列番号151のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号152のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv2である。
【0351】
本発明のさらなる態様は、配列番号228のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号233のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv3である。
【0352】
本発明のさらなる態様は、配列番号229のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号233のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv4である。
【0353】
本発明のさらなる態様は、配列番号230のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号233のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv5である。
【0354】
本発明のさらなる態様は、配列番号231のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号233のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv6である。
【0355】
本発明のさらなる態様は、配列番号232のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号233のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、結合性分子を提供する。この態様では、CDH17に特異的な抗原結合部位はCDH17v1であり、TRAILR2に特異的な抗原結合部位はTRv7である。
【0356】
本明細書においてCDH17に特異的に結合する抗体分子(例えば、2本の重鎖と2本の軽鎖を有するY字形構造を有する完全長抗体/免疫グロブリン分子、又はその断片、例えばFv、Fab、Fab’、又はF(ab’)2断片、一本鎖抗体、一本鎖可変断片(scFv))がさらに提供される。いくつかの実施態様では、CDH17に特異的な抗体分子は、組換えモノクローナル抗体、キメラ抗体分子、ヒト化抗体分子、又はヒト抗体分子である。
【0357】
いくつかの実施態様では、CDH17に特異的な抗体分子は、配列番号58(CDR1)、配列番号59(CDR2)、及び配列番号60(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号61(CDR1)、配列番号62(CDR2)、及び配列番号63(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。
【0358】
いくつかの実施態様では、CDH17に特異的な抗体分子は、配列番号110のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号111のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む。
【0359】
いくつかの実施態様では、CDH17に特異的な抗体分子は、配列番号64(CDR1)、配列番号65(CDR2)、及び配列番号66(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号67(CDR1)、配列番号68(CDR2)、及び配列番号69(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。
【0360】
いくつかの実施態様では、CDH17に特異的な抗体分子は、配列番号112のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号113のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む。
【0361】
いくつかの実施態様では、CDH17に特異的な抗体分子は、配列番号70(CDR1)、配列番号71(CDR2)、及び配列番号72(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号73(CDR1)、配列番号74(CDR2)、及び配列番号75(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。
【0362】
いくつかの実施態様では、CDH17に特異的な抗体分子は、配列番号114のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む。
【0363】
いくつかの実施態様では、CDH17に特異的な抗体分子は、配列番号116のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号117のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む。
【0364】
いくつかの実施態様では、CDH17に特異的な抗体分子は、配列番号76(CDR1)、配列番号77(CDR2)、及び配列番号78(CDR3)のアミノ酸配列を含む重鎖CDRと、配列番号79(CDR1)、配列番号80(CDR2)、及び配列番号81(CDR3)のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRとを含む。
【0365】
いくつかの実施態様では、CDH17に特異的な抗体分子は、配列番号118のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号119のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む。
【0366】
いくつかの実施態様では、上記に定義されているようなCDH17特異的抗体はさらに、ヒト重鎖定常ドメイン(例えばIgG定常ドメイン)及びヒト軽鎖定常ドメイン(例えばκ又はλ軽鎖定常ドメイン)を含む。いくつかの実施態様では、重鎖定常ドメインはヒトIgG1野生型(例えば配列番号120に提供されているような)、IgG1KO(例えば配列番号121に提供されているような)、IgG4Pro野生型(例えば配列番号122に提供されているような)、又はIgG1FcRnmut(例えば配列番号270に提供されているような)である。いくつかの実施態様では、ヒト軽鎖定常ドメインはヒトκ(例えば配列番号123に提供されているような)である。
【0367】
いくつかの実施態様では、CDH17特異的抗体は、配列番号120、121、122、又は270のいずれか1つの配列に融合した配列番号110、112、114、116、又は118のいずれか1つの配列を含む重鎖と、配列番号123の配列に融合した配列番号111、113、115、117、又は119のいずれか1つの配列を含む軽鎖(例えば、配列番号173、188、203、218、又は233のいずれか1つの配列を含む軽鎖)とを有する。
【0368】
本明細書において提供されるCDH17特異的抗体は、異なる抗原に対する結合特異性を有する色素、薬物、又は別の分子に付着させることによって、CDH17を発現している細胞を標識、局在決定、同定、又は標的化するために使用され得る(例えばELISAアッセイ、FACS分析、免疫組織化学法、又は同等な方法において)。本明細書に記載のCDH17特異的抗体は単独では、CDH17を発現している細胞の細胞生存率に対しいて影響を及ぼさない。いくつかの実施態様では、CDH17特異的抗体はCDH17発現細胞の表面に特異的に結合し、このような細胞の局在決定及び/又は同定のために使用される。いくつかの実施態様では、本明細書において提供されるCDH17抗体は、CDH17を発現している細胞(例えば腫瘍細胞)を同定するために使用される。いくつかの実施態様では、本明細書において提供されるCDH17抗体は、このような薬物又は細胞障害性薬剤を該CDH17抗体に付着させることによって、標的細胞(例えばCDH17を発現している腫瘍細胞)に薬物又は細胞障害性薬剤を送達し、これにより、例えば、該標的細胞を死滅させるために使用される。
【0369】
本発明のさらなる態様は、本発明の結合性分子若しくは本発明の抗体分子をコードしている単離された核酸分子、又はこのような核酸分子(群)を含む発現ベクターを提供する。
【0370】
いくつかの実施態様では、本発明の結合性分子又は本発明の抗体分子は、抗体の重鎖及び/又は軽鎖のポリペプチドを含む。当業者には理解され得るように、重鎖ポリペプチド、軽鎖ポリペプチド、又は重鎖ポリペプチドと軽鎖ポリペプチドをコードしている、核酸分子は容易に調製され得る。
【0371】
軽鎖及び重鎖をコードしている核酸分子は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって標準的な方法を使用して化学的に及び酵素的に合成され得る。まず、適切なオリゴヌクレオチドを、当技術分野において公知である方法(例えばGait, 1984)を用いて合成することができ、これを使用して、合成遺伝子を作製することができる。オリゴヌクレオチドから合成遺伝子を作製するための方法は当技術分野において公知である(例えば、Stemmer et al., 1995; Ye et al., 1992; Hayden et Mandecki, 1988; Frank et al., 1987)。
【0372】
本発明の核酸分子としては、配列表に示されるポリペプチド配列をコードしているDNA分子が挙げられるがこれらに限定されない。また、本発明はまた、国際公開公報第2007/042309号に定義されているような高ストリンジェンシー結合条件下及び洗浄条件下で、配列表に示されているポリペプチド配列をコードしているDNA分子にハイブリダイズする核酸分子にも関する。好ましい分子(mRNAの観点から)は、本明細書に記載のDNA分子の1つに対して少なくとも75%又は80%(好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%)の相同率又は配列同一率を有するものである。例えば、真核細胞において抗体を発現させる観点から、配列表に示されているDNA配列は、真核細胞におけるコドン使用頻度に適合するように設計されている。E.coliにおいて抗体を発現させることを望む場合、これらの配列を、E.coliコドン使用頻度と適合するように変化させることができる。本発明のDNA分子の変異体は、例えば国際公開公報第2007/042309号に記載のように、いくつかの異なる方法で構築することができる。
【0373】
本明細書において2つ以上の核酸配列又はポリペプチド配列の脈絡において使用する「同一である」又は「同一率」という用語は、最大の対応率となるように比較しアラインさせた場合に、同じであるか又は特定の比率の同じであるヌクレオチド若しくはアミノ酸残基を有する、2つ以上の配列又はサブ配列を指す。同一率を決定するために、配列を最適に比較する目的でアラインさせる(例えば、第二のアミノ酸配列又は核酸配列と最適にアラインさせるために、第一のアミノ酸配列又は核酸配列にギャップを導入することができる)。次いで、対応するアミノ酸の位置又はヌクレオチドの位置におけるアミノ酸残基又はヌクレオチドを比較する。第一の配列内の位置が、第二の配列内の対応する位置と同じアミノ酸残基又はヌクレオチドによって占有されている場合、分子はその位置において同一である。2つの配列間の同一率は配列によって共有される同一な位置の数の関数である(すなわち、同一率%=同一な位置の数/位置(例えば重複している位置)の総数×100)。いくつかの実施態様では、比較される2つの配列は、適宜(例えば、比較される配列を超えて伸長した追加の配列を除外する)、ギャップが配列内に導入された後に、同じ長さである。例えば、可変領域配列を比較する場合、リーダー配列及び/又は定常ドメイン配列は考慮されない。2つの配列間の配列比較のために、「対応する」CDRは、両方の配列内の同じ位置のCDRを指す(例えば各配列のCDR-H1)。
【0374】
2つの配列間の同一率又は類似率の決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成され得る。2つの配列の比較のために使用される数学的アルゴリズムの好ましい非限定的な例は、Karlin and Altschul, 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-5877のように改変された、Karlin and Altschul, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-2268のアルゴリズムである。このようなアルゴリズムは、Altschul et al., 1990, J. Mol. Biol. 215:403-410のNBLAST及びXBLASTプログラムに取り込まれる。BLASTによるヌクレオチド検索は、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12を用いて実施され得、これにより関心対象のタンパク質をコードしている核酸に対して相同であるヌクレオチド配列を得ることができる。BLASTによるタンパク質検索は、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長3を用いて実施され得、これにより関心対象のタンパク質に対して相同であるアミノ酸配列を得ることができる。比較目的のためにギャップを入れたアラインメントを得るために、ギャップを入れたBLASTを、Altschul et al., 1997, Nucleic Acids Res. 25:3389-3402に記載のように利用することができる。あるいは、PSI-Blastを使用することにより、分子間の遠隔関係を検出する反復検索を実施することができる(同上)。BLAST、ギャップを入れたBLAST、及びPSI-Blastプログラムを使用する場合、それぞれのプログラム(例えばXBLAST及びNBLAST)のデフォールトパラメーターが使用され得る。配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの別の好ましい非限定的な例は、Myers and Miller, CABIOS(1989)のアルゴリズムである。このようなアルゴリズムは、GCG配列アラインメントソフトウェアパッケージの一部である、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に取り込まれる。アミノ酸配列の比較のためにALIGNプログラムを利用する場合、PAM120重み残基表、ギャップ長ペナルティ12、及びギャップペナルティ4を使用することができる。配列分析のための追加のアルゴリズムは当技術分野において公知であり、これには、Torellis and Robotti, 1994, Comput. Appl. Biosci. 10:3-5に記載のようなADVANCE及びADAM;並びにPearson and Lipman, 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444-8に記載のFASTAが挙げられる。FASTAでは、ktupは、検索の感度及び速度を設定する制御オプションである。ktup=2である場合、比較される2つの配列内の類似の領域は、アラインさせた残基対を調べることによって発見され;ktup=1である場合、単一のアラインさせたアミノ酸を調べる。タンパク質配列ではktupを2若しくは1に設定し得、又はDNA配列では1~6に設定し得る。ktupが明記されない場合には、タンパク質ではデフォールトは2であり、DNAでは6である。あるいは、タンパク質配列アラインメントは、Higgins et al., 1996, Methods Enzymol. 266:383-402によって記載のように、CLUSTAL Wアルゴリズムを使用して実施され得る。
【0375】
本発明のさらなる態様は、
(a)分子の発現を可能とする条件下で本発明の宿主細胞を培養する工程;並びに
(b)該分子を回収する工程;並びに場合により
(c)該分子をさらに精製及び/又は改変及び/又は製剤化する工程
を含む、本明細書に記載の結合性分子又は抗体分子の生成法を提供する。
【0376】
本発明のこの態様の1つの実施態様は、生成法がさらに(c)本発明の結合性分子をさらに精製及び/又は改変及び/又は製剤化する工程を含むものである。
【0377】
本発明の結合性分子又は抗体を生成するために、完全長軽鎖及び/又は重鎖又はその断片をコードしているDNA分子を発現ベクターに挿入し、これにより配列は、転写制御配列及び翻訳制御配列に作動可能に連結される。
【0378】
本発明の結合性分子又は抗体を製造するために、当業者は、当技術分野において周知である多種多様な発現系、例えばKipriyanov and Le Gall, Curr Opin Drug Discov Devel. 2004 Mar;7(2):233-42によって論評されているものから選択し得る。
【0379】
発現ベクターとしては、プラスミド、レトロウイルス、コスミド、EBV由来エピソームなどが挙げられる。発現ベクター及び発現制御配列は、宿主細胞と適合性であるように選択される。抗体の軽鎖遺伝子及び抗体の重鎖遺伝子、又は本明細書に記載の結合性分子の重鎖の遺伝子(例えば、そのC末端を用いてscFv配列に付着している免疫グロブリン重鎖配列を含む遺伝子)を別々のベクターに挿入してもよい。特定の実施態様では、両方のDNA配列、すなわち軽鎖配列及び重鎖配列を同じ発現ベクターに挿入する。簡便なベクターは、任意のVH配列又はVL配列を上記のように容易に挿入及び発現させることができるように工学操作された適切な制限酵素部位と共に、機能的に完全なヒトCH又はCL免疫グロブリン配列をコードしているものである。定常鎖は通常、抗体軽鎖についてはκ又はλであり、抗体重鎖については、それは、任意のIgGアイソタイプ(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)又は他の免疫グロブリン(対立遺伝子変異体を含む)であり得るがこれらに限定されない。
【0380】
組換え発現ベクターはまた、宿主細胞からの抗体鎖(例えば、本明細書に記載の結合性分子又は抗体の重鎖及び軽鎖)の分泌を促進するシグナルペプチドをコードしていてもよい。抗体鎖をコードしているDNAを、シグナルペプチドが、成熟抗体鎖DNAのアミノ末端にインフレームで連結されるようにベクターにクローニングしてもよい。シグナルペプチドは、免疫グロブリンシグナルペプチドであっても、又は非免疫グロブリンタンパク質由来の異種ペプチドであってもよい。あるいは、抗体鎖をコードしているDNA配列(例えば、本明細書に記載の結合性分子又は抗体の重鎖及び軽鎖)はすでにシグナルペプチド配列を含有していてもよい。
【0381】
抗体鎖(例えば、本明細書に記載の結合性分子又は抗体の重鎖及び軽鎖)をコードしているDNA配列に加えて、組換え発現ベクターは、調節配列、例えばプロモーター、エンハンサー、終結シグナル及びポリアデニル化シグナル、並びに宿主細胞における抗体鎖の発現を制御する他の発現制御配列を有する。(哺乳動物細胞における発現のために例示されている)プロモーター配列の例は、(CMV)由来のプロモーター及び/又はエンハンサー(例えばCMVサルウイルス40(SV40))(例えばSV40プロモーター/エンハンサー)、アデノウイルス(例えばアデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP))、ポリオーマプロモーター、及び強力な哺乳動物プロモーター、例えば天然免疫グロブリンプロモーター及びアクチンプロモーターである。ポリアデニル化シグナルの例は、BGHポリA、SV40後期又は初期ポリAであり;代替的には、免疫グロブリン遺伝子の3’UTRなどを使用してもよい。
【0382】
組換え発現ベクターはまた、宿主細胞におけるベクターの複製を調節する配列(例えば複製起点)及び選択マーカー遺伝子も有し得る。本明細書に記載の結合性分子又は抗体の重鎖若しくはその抗原結合部分及び/又は軽鎖若しくはその抗原結合部分をコードしている核酸分子、並びに、これらのDNA分子を含むベクターを、宿主細胞、例えば細菌細胞又は高等真核細胞、例えば哺乳動物細胞に、当技術分野において周知であるトランスフェクション法、例えばリポソームにより媒介されるトランスフェクション、ポリカチオンにより媒介されるトランスフェクション、プロトプラスト融合、マイクロインジェクション、リン酸カルシウム沈降法、電気穿孔法、又はウイルスベクターによる導入に従って導入することができる。
【0383】
好ましくは、本明細書に記載の結合性分子又は抗体の重鎖及び軽鎖をコードしている核酸分子は、2つのベクター上に存在し、これを宿主細胞、好ましくは哺乳動物細胞に同時トランスフェクトする。
【0384】
したがって、さらなる態様は、重鎖をコードしている核酸分子を含む発現ベクターと、本明細書に記載の結合性分子又は抗体の軽鎖をコードしている核酸分子を含む発現ベクターとを含む、宿主細胞を提供する。
【0385】
発現のための宿主として利用可能な哺乳動物細胞株は当技術分野において周知であり、これにはとりわけ、チャイニーズハムスター卵巣(CHO、CHO-DG44)細胞、NS0細胞、SP2/0細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト癌細胞(例えばHepG2)、A549細胞、3T3細胞、又は任意のこのような細胞株の誘導体/後代が挙げられる。ヒト、マウス、ラット、サル、及びげっ歯類の細胞株を含むがこれらに限定されない他の哺乳動物細胞、又は、酵母細胞、昆虫細胞、及び植物細胞を含むがこれらに限定されない他の真核細胞、又は細菌などの原核細胞が使用され得る。本発明の結合性分子は、宿主細胞における結合性分子の発現を可能とするに十分な時間をかけて宿主細胞を培養することによって生成される。
【0386】
本明細書に記載のような結合性分子及び抗体分子は好ましくは、培養培地から分泌されたポリペプチドとして回収されるか、又は、例えば分泌シグナルの非存在下で発現される場合には宿主細胞溶解液から回収されてもよい。組換えタンパク質及び宿主細胞タンパク質のために使用される標準的なタンパク質精製法を使用して、実質的に均一な本明細書に記載のような結合性分子又は抗体の調製物が得られるような方法で、本明細書に記載の結合性分子又は抗体分子を精製する必要がある。例えば、本発明の結合性分子及び抗体を得るのに有用な最先端の精製法は、第一工程として、培養培地又は溶解液からの細胞及び/又は粒子状細胞片の除去を含む。次いで、結合性分子又は抗体を、混入している可溶性タンパク質、ポリペプチド及び核酸から、例えば、イムノアフィニティカラム又はイオン交換カラムでの分画、エタノール沈降、逆相HPLC、セファデックスクロマトグラフィー、シリカクロマトグラフィー又は陽イオン交換樹脂クロマトグラフィーによって精製する。本明細書に記載のようなTRAILR2及びCDH17結合性分子又はCDH17抗体を得るためのプロセスにおける最終工程として、精製された結合性分子又は抗体を、治療適用のために以下に記載されているように、乾燥、例えば凍結乾燥させ得る。
【0387】
本発明のさらなる態様は、医薬に使用するための本発明の結合性分子又は抗体を提供する。
【0388】
本発明のさらなる態様は、がんの治療法に使用するための本発明の結合性分子(TR#1、TR#2、TR#3、TR#7、TR#8、TR#10、TR#12、TR2v1、TR2v2、TR2v3、TR2v4、TR2v5、TR2v6、及びTR2v7のいずれか1つのTRAILR2結合部位と、CDH17E9、CDH17A6、CDH17E2、CDH17H2、及びCDH17v1のいずれか1つのCDH17結合部位とを有する結合性分子)又はCDH17に特異的な抗体(例えば細胞障害性薬物に融合している)を提供する。がんは結腸直腸癌(CRC)、胃癌(GC)、膵臓癌(PAC)、肝臓癌(胆管癌を含む)、又は神経内分泌腫瘍であることが好ましい。
【0389】
上記したように、本発明者らは、本明細書に記載の結合性分子が、がん細胞のアポトーシスを誘発するのに大いなる有用性を有し、それ故、TRAILR2及びCDH17の両方を発現するがんの治療法に使用され得ることを同定した。特定の腫瘍がTRAILR2及びCDH17を発現しているかどうかを同定する方法は当技術分野において周知である。例えば、免疫組織化学法を使用して、腫瘍組織がTRAILR2及びCDH17を発現しているかどうか(例えば、本明細書に記載のようなCDH17抗体を使用して)、したがって、本発明の結合性分子を用いた処置に適しているであろうかを決定することができる。
【0390】
特に、本発明の結合性分子は、結腸直腸癌(CRC)の処置に有用性を有する。
【0391】
CRCは、ICD-10に列挙されている明確な悪性疾患であり、世界のがん罹患率及び死亡率の主因の1つである。明白な転移及び転移性疾患を呈するCRC患者の約25%は、新規に診断された患者の40~50%に発症する。近年の化学療法の改良は、転移CRCの生存期間を延長しているが、大半の患者はその疾患に倒れるだろう。したがって、この疾患を処置するためのさらに他の治療剤が非常に必要とされる。
【0392】
結腸直腸癌の約30~50%は、突然変異した(異常な)KRAS遺伝子を有することが知られている。腫瘍に頻繁に見られるKRAS突然変異は、エキソン2(コドン12及び13)及びエキソン3(コドン61)における突然変異を含み、これは腫瘍生検材料から分析することができる。それは、細胞の成長、増殖、浸潤、及び転移に関与する下流シグナル伝達経路を刺激する、連続的なシグナル伝達をもたらす、活性化突然変異を含む。発癌性K-Rasは、TRAILによって誘発されるアポトーシスに対する抵抗性を与えることができることが示唆されている(Hoogwater et al., Gastroenterology. 2010 Jun;138(7):2357-67)。いくつかの実施態様では、本明細書に記載の結合性分子(TR#1、TR#2、TR#3、TR#7、TR#8、TR#10、TR#12、TR2v1、TR2v2、TR2v3、TR2v4、TR2v5、TR2v6、TR2v7のいずれか1つのTRAILR2結合部位と、CDH17E9、CDH17A6、CDH17E2、CDH17H2、及びCDH17v1のいずれか1つのCDH17結合部位とを有する結合性分子)は、KRAS野生型結腸直腸癌(すなわち、KRAS野生型腫瘍を有する患者)の処置に使用するためのものである。いくつかの実施態様では、本明細書に記載の結合性分子(TR#1、TR#2、TR#3、TR#7、TR#8、TR#10、TR#12、TR2v1、TR2v2、TR2v3、TR2v4、TR2v5、TR2v6、TR2v7のいずれか1つのTRAILR2結合部位と、CDH17E9、CDH17A6、CDH17E2、CDH17H2、及びCDH17v1のいずれか1つのCDH17結合部位とを有する結合性分子)は、KRAS突然変異体結腸直腸癌(すなわちKRAS突然変異体腫瘍を有する患者)の処置に使用するためのものである。
【0393】
さらなる態様では、本発明は、がんの治療又は予防のための方法に関し、該方法は、有効量の本発明の結合性分子をヒト(例えば、がんを患っているか又はがんを発症するリスクのある個体)に投与する工程を含む。
【0394】
好ましい適用様式は、注入又は注射(静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、皮内)による非経口であるが、吸入、経皮、鼻腔内、頬側、口腔内によるなどの他の適用様式も適用可能であり得る。
【0395】
さらなる態様では、本発明の結合性分子は、シリンジ、ペン型注射器、マイクロポンプ、又は他の器具などの結合性分子の投与に有用な器具と組み合わせて使用される。さらなる態様では、本発明の結合性分子は、例えば、結合性分子の使用説明書と共に添付文書も含む、パーツ一式に含まれる。
【0396】
投与される予定の「治療有効量」の分子は、がんの臨床症状を予防、軽減、又は治療するのに必要とされる最少量、特にこれらの障害に対して有効な最少量である。
【0397】
1日あたりに適用可能な本発明の結合性分子の用量範囲は通常、1μg/kgから100mg/kg、好ましくは0.1mg/kgから20mg/kgである。
【0398】
一般的に、本明細書に記載の疾患、障害、及び容態の治療及び/又は軽減のために、処置される予定の具体的な疾患、障害、又は容態、使用される予定の本発明の具体的な結合性分子の効力、具体的な投与経路、及び使用される具体的な医薬製剤又は医薬組成物に応じて、本発明の抗体分子は一般的に、体重1kgあたり0.005~20.0mgの量で、好ましくは0.05~10.0mg/kg/用量、より好ましくは0.5~10mg/kg/用量の用量で、連続的に(例えば点滴によって)又はより好ましくは一回量としてのいずれかで投与されるだろう。投与間隔は例えば、週2回、週1回、又は月1回の用量であり得るが、特に前記のパラメーターに応じてかなり変更してもよい。したがって、上記に示された最少用量よりも少ないものを使用することで十分である場合もあり、一方、上限を超えなければならない場合もある。大量を投与する場合には、1日にわたり多数のより少ない用量に分割することが賢明であり得る。
【0399】
本発明の具体的な結合性分子並びにその具体的な薬物動態特性及び他の特性に応じて、1日1回、2日間毎、3日間毎、4日間毎、5日間毎、又は6日間毎、週1回、月1回などに投与され得る。投与処方計画は、長期の週1回の処置を含み得る。「長期」によって少なくとも2週間、好ましくは数か月間又は数年間の期間を意味する。
【0400】
本発明の結合性分子及びそれを含む組成物の有効性は、任意の適切なインビトロアッセイ、細胞アッセイ、インビボアッセイ、及び/又はそれ自体公知の動物モデル、又はその任意の組み合わせを使用して、発症した具体的な疾患に応じて試験することができる。適切なアッセイ及び動物モデルは当業者には明らかであり、例えば、以下の実施例に使用されるアッセイ及び動物モデルが挙げられる。
【0401】
実際の薬学的に有効な量又は治療用量は勿論、患者の年齢及び体重、投与経路、及び疾患の重症度などの、当業者には公知の要因に依存するだろう。いずれの場合にも本発明の結合性分子は、患者特有の容態に基づいて薬学的に有効な量が送達されることを可能とする用量及び方法で投与されるだろう。
【0402】
本発明の結合性分子は、単独で、又は他の薬理学的に活性な成分、例えば最先端の若しくは標準的な化合物、例えば細胞静止性物質若しくは細胞障害性物質、細胞増殖阻害剤、血管新生抑制物質、ステロイド、免疫調節剤/チェックポイント阻害剤などと組み合わせて使用され得る。
【0403】
したがって、本発明のさらなる態様は、薬学的に許容される担体及び場合により1つ以上のさらに他の活性成分と一緒に、本発明の結合性分子を含む医薬組成物を提供する。
【0404】
本発明のさらなる態様は、がんの治療法に使用するための本発明の結合性分子を提供し(例えば、がんを患っているか又はがんを発症するリスクのある個体)、ここでの該療法は1つ以上の薬理学的に活性な物質を含む。
【0405】
本発明のさらなる態様は、がん及び/又は腫瘍の治療用医薬品の製造における1つ以上の活性成分の使用を提供し(例えばがんを患っているか又はがんを発症するリスクのある個体)、ここでの該医薬品は本発明の結合性分子を含む。
【0406】
本発明の結合性分子と組み合わせて投与され得る細胞静止性物質及び/又は細胞障害性物質としては、ホルモン、ホルモン類似体、及び抗ホルモン剤、アロマターゼ阻害剤、LHRHアゴニスト及びアンタゴニスト、増殖因子阻害剤(例えば血小板由来増殖因子(PDGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、表皮増殖因子(EGF)、インシュリン様成長因子(IGF)、ヒト表皮増殖因子(HER、例えばHER2、HER3、HER4)、及び肝細胞増殖因子(HGF)などの増殖因子)、阻害剤は例えば(抗)増殖因子抗体、(抗)増殖因子受容体抗体、及びチロシンキナーゼ阻害剤、例えばセツキシマブ、ゲフィチニブ、アファチニブ、ニンテダニブ、イマチニブ、ラパチニブ、ボスチニブ、及びトラスツズマブである;代謝拮抗剤(例えば、抗葉酸剤、例えばメトトレキサート、ラルチトレキセド、ピリミジン類似体、例えば5-フルオロウラシル(5-FU)、ゲムシタビン、イリノテカン、ドキソルビシン、TAS-102、カペシタビン、及びゲムシタビン、プリン及びアデノシン類似体、例えばメルカプトプリン、チオグアニン、クラドリビン及びペントスタチン、シタラビン(araC)、フルダラビン);抗腫瘍性抗生物質(例えば、アントラサイクリン);白金誘導体(例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン);アルキル化剤(例えばエストラムスチン、メクロレタミン、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、ダカルバジン、シクロホスファミド、イフォスファミド、テモゾロミド、ニトロソウレア、例えばカルムスチン及びロムスチン、チオテパ);有糸分裂阻害剤(例えばビンカアルカロイド、例えばビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン、及びビンクリスチン;並びに、タキサン、例えばパクリタキセル、ドセタキセル);血管新生阻害剤、例えば、ベバシズマブ、ラムシルマブ、及びアフリベルセプト、チューブリン阻害剤;DNA合成阻害剤、PARP阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エピポドフィロトキシン、例えばエトポシド及びエトポフォス、テニポシド、アムサクリン、トポテカン、イリノテカン、ミトキサントロン)、セリン/トレオニンキナーゼ阻害剤(例えば、PDK1阻害剤、Raf阻害剤、A-Raf阻害剤、B-Raf阻害剤、C-Raf阻害剤、mTOR阻害剤、mTROC1/C2阻害剤、PI3K阻害剤、PI3Kα阻害剤、デュアルmTOR/PI3K阻害剤、STK33阻害剤、AKT阻害剤、PLK1阻害剤(例えばボラセルチブ)、CDK阻害剤、例えばCDK9阻害剤、オーロラキナーゼ阻害剤)、チロシンキナーゼ阻害剤(例えばPTK2/FAK阻害剤)、タンパク質間相互作用阻害剤、MEK阻害剤、ERK阻害剤、FLT3阻害剤、BRD4阻害剤、IGF-1R阻害剤、Bcl-xL阻害剤、Bcl-2阻害剤、Bcl-2/Bcl-xL阻害剤、ErbB受容体阻害剤、BCR-ABL阻害剤、ABL阻害剤、Src阻害剤、ラパマイシン類似体(例えばエベロリムス、テムシロリムス、リダフォロリムス、シロリムス)、アンドロゲン合成阻害剤、アンドロゲン受容体阻害剤、DNMT阻害剤、HDAC阻害剤、ANG1/2阻害剤、CYP17阻害剤、放射性医薬品、免疫治療剤、例えば免疫チェックポイント阻害剤(例えば、CTLA4、PD1、PD-L1、LAG3、及びTIM3の結合性分子/免疫グロブリン、例えばイピリムマブ、ニボルマブ、ペンブロリズマブ)、並びに様々な化学療法剤、例えばアミホスチン、アナグレリド、クロドロン酸、フィルグラスチム、インターフェロン、インターフェロンα、ロイコボリン、リツキシマブ、プロカルバジン、レバミソール、メスナ、ミトタン、パミドロン酸、及びポルフィマー;プロテアーゼ阻害剤(例えばボルテゾミブ);Smac及びBH3模倣薬;p53の機能を回復させる薬剤、例えばmdm2-p53アンタゴニスト;Wnt/β-カテニンシグナル伝達経路阻害剤;並びに/又はサイクリン依存性キナーゼ9阻害剤が挙げられるがこれらに限定されない。
【0407】
特に好ましいのは、以下から選択された薬物と組み合わせた本発明の結合性分子を用いての処置である:
(i)乳癌患者における化学療法(術前補助化学療法の状況における、ドキソルビシン/シクロホスファミドの組み合わせ、及び/又はカペシタビン/ドセタキセルの組み合わせ;一次処置及び二次以降の処置のためのタキサン/白金処方計画)と組み合わせた又は組み合わせない抗VEGF抗体(ベバシズマブ及び他の血管新生抑制物質);
(ii)CRCの処置に使用される化学療法剤(5-フルオロウラシル、イリノテカン、ドキソルビシン、及びTAS-102を含む);
(iii)例えばCRC患者の処置のための、化学療法(イリノテカンを含む)と組み合わせた又は組み合わせない、抗VEGF抗体(ベバシズマブ及び他の血管新生抑制物質)と組み合わせた、又はレゴラフェニブと組み合わせた、抗EGFR抗体(KRAS野生型腫瘍におけるセツキシマブ及びパニツムマブ);
(iv)例えばCRC患者の処置のための、抗PD-1抗体薬剤及び抗PD-L1抗体薬剤並びに抗LAG3抗体薬剤、例えばペンブロリズマブ及びニボルマブ並びに国際公開公報第2017/198741号に開示されているような抗体をはじめとする、免疫療法剤。
【0408】
治療法に使用するためには、本発明の結合性分子又は抗体は、動物又はヒトへの投与を容易にするのに適した医薬組成物へと製剤化される。本明細書に記載の結合性分子又は抗体分子の典型的な製剤は、結合性分子又は抗体分子を生理学的に許容される担体、賦形剤、又は安定化剤と混合することによって、凍結乾燥製剤若しくは別様に乾燥させた製剤、あるいは水性液剤又は水性若しくは非水性懸濁剤の剤形で調製され得る。担体、賦形剤、改変剤、又は安定化剤は、使用される用量及び濃度では無毒性である。それらは、リン酸、クエン酸、酢酸、及び他の無機酸又は有機酸、並びにその塩などの緩衝系;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸及びメチオニン;保存剤、例えばオクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルアルコール、又はベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えばメチルパラベン又はプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン又はポリエチレングリコール(PEG);アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリジン;単糖、二糖、オリゴ糖、又は多糖、及び他の糖質、例えばブドウ糖、マンノース、ショ糖、トレハロース、デキストリン、又はデキストラン;キレート剤、例えばEDTA;糖アルコール、例えばマンニトール又はソルビトール;塩形成対イオン、例えばナトリウム;金属錯体(例えばZn-タンパク質錯体);及び/又はイオン性若しくは非イオン性界面活性剤、例えばTWEEN(商標)(ポリソルベート)、プルロニック(商標)又は脂肪酸エステル、脂肪酸エーテル若しくは糖エステルを含む。また、エタノール又はイソプロパノールなどの有機溶媒も、抗体製剤に含有させてもよい。賦形剤はまた、放出改変機能又は吸収改変機能を有していてもよい。
【0409】
通常、水性液剤又は懸濁剤が好ましいだろう。一般的には、本発明の結合性分子などの治療用タンパク質に適した製剤は、緩衝化されたタンパク質溶液、例えば適切な濃度(例えば0.001~400mg/ml、好ましくは0.005~200mg/ml、より好ましくは0.01~200mg/ml、より好ましくは1.0~100mg/ml、例えば1.0~10.0mg/ml(静脈内投与)又は100mg/ml(皮下投与))のタンパク質と、水性緩衝液、例えば:
-リン酸緩衝食塩水(pH7.4)、
-他のリン酸緩衝液(pH6.2~8.2)、
-酢酸緩衝液(pH3.2~7.5、好ましくはpH4.8~5.5)、
-ヒスチジン緩衝液(pH5.5~7.0)、
-コハク酸緩衝液(pH3.2~6.6)、及び
-クエン酸緩衝液(pH2.1~6.2)、
並びに場合により、溶液の等張性を与えるための塩(例えばNaCl)及び/又は安定化剤(例えばショ糖、トレハロース、リジン)及び/又は他のポリアルコール(例えばマンニトール及びグリセロール)、並びに場合により、例えば凝集を防ぐための洗浄剤(例えば0.02%のTween-20又はTween-80)とを含む溶液である。
【0410】
静脈内投与用の好ましい緩衝化タンパク質溶液は、10mMのクエン酸緩衝液(pH5.5)、207mMのショ糖、25mMのリジン塩酸塩、及び0.02%のポリソルベート20に溶かした約10mg/mlの本発明の結合性分子を含んでいる溶液である。皮下適用のための製剤は、有意により高い濃度の、例えば最大で100mg/mlの又はさらには約100mg/mlを超える濃度などの本発明の抗体を含み得る。しかしながら、上記に示されているような成分及びその量は1つの好ましい選択肢を示したにすぎないことが当業者には明らかであろう。代替選択肢及びその変更形は当業者には即座に明らかであるか、又は上記の開示から出発して容易に思いつくことができる。
【0411】
本発明はこれから、以下の非限定的な実施例を用いて説明される。
【0412】
実施例1A:原発性及び転移性結腸直腸癌(CRC)並びに原発性胃癌(GC)及び膵臓癌(PAC)におけるCDH17及びTRAILR2の両方の存在率
様々な腫瘍型におけるTRAILR2及びCDH17のタンパク質発現を評価するための試験を実施した。
【0413】
原発性CRCに関するTRAILR2及びCDH17の免疫組織化学的検査を、新鮮な凍結試料及びOCT包埋試料に実施した。5μm厚の切片を凍結切片作製装置で調製し、スライドガラス上に載せ、その後、室温で4%PFA及びブロッキング溶液(PBS/2%ウシ血清アルブミン)で固定した。切片を、一次抗体(アディポジェン社製の抗TRAILR2抗体クローンTR2.21、AG-20B-0028番、C=10μg/ml;R&Dシステムズ社製の抗CDH17抗体(muIgG1)クローン141713、MAB1032番、C=1μg/ml)と共に、次いで検出試薬(TRAILR2及びCDH17;Envision+、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、マウス、ダコ社、4000番)と共にインキュベートし、DAB溶液中でインキュベーションした。対比染色を、ヘマトキシリンを使用して実施した。PBS中での洗浄工程は適宜実施された。CRC転移に関するTRAILR2及びCDH17の免疫組織化学的検査を、ホルマリン固定試料及びパラフィン包埋試料に対して実施した。2μm厚の切片を切片作製装置で調製し、スライドガラス上に載せ、脱脂した。脱マスキング溶液(TRAILR2:pH9、ベクターラボラトリーズ社、H3301番;CDH17:pH6、ベクターラボラトリーズ社、H3300番)を121℃/1気圧で適用し、次いで、3%のH2O2、続いてPBS/2%BSA中の正常なヤギ血清(ベクターラボラトリーズ社、S-1000番)を使用してブロッキング工程を適用した。切片を一次抗体(セルシグナリング社製の抗TRAILR2(D4E9)XP(登録商標)ウサギmAb、8074番、希釈率1:20;R&Dシステムズ社製の抗CDH17抗体(muIgG1)クローン141713、MAB1032番、C=1μg/ml)と共に室温で1時間インキュベートし、次いで検出試薬(TRAILR2:EnVision+、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、ウサギ、ダコ社、K4003番;CDH17:EnVision+、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、マウス、ダコ社、4000番)と共にインキュベートし、その後、DAB溶液中でインキュベートした。対比染色は、ヘマトキシリンを使用して実施された。PBS中での洗浄工程は、適宜、実施された。
【0414】
図14では、原発性CRC及びCRC肝転移における、TRAILR2及びCDH17の両方についての代表的な免疫組織化学検査画像が示されている。原発性CRC(n=26)では、CDH17の発現は全症例の100%に、TRAILR2との共発現は88%に観察され;転移性CRC(n=39;肝臓及び肺)では、CDH17の発現は全症例の100%に、TRAILR2との共発現は100%に観察され;原発性GC(n=49)では、CDH17の発現は全症例の95%に、TRAILR2との共発現は60%に;原発性PaC(n=32)では、CDH17の発現は全症例の80%に、TRAILR2との共発現は20%に観察された。この研究は、CRC、GC、及びPACの大きなサブセットにおけるCDH17とTRAILR2の共発現を支持する。
【0415】
実施例1B:ヒトTRAILR受容体2(TRAILR2)及びヒトカドヘリン17(CDH17)を認識する結合性分子の設計
本発明者らは、CDH17及びTRAILR2に結合し、CDH17とTRAILR2の両方を発現しているがん細胞のアポトーシスを誘発する、結合性分子を開発した。使用される分子設計は、1つの標的抗原に対して特異性を有し、重鎖のC末端に異なる特異性を示すscFvが結合した、IgG抗体(「マスター抗体」と呼ばれる)を有する。設計の図を
図1に示す。
【0416】
好ましくは、結合性分子は二重特異的かつ四価である。
【0417】
二重特異的分子は、scFvの重鎖可変(VH)ドメインと軽鎖可変(VL)ドメインとの間に可動性のペプチド配列を含有し、scFvドメインは、さらなる一連のリンカーを介してマスターIgG抗体に連結されている。1つの立体配置では、scFvは、VLドメインがscFvの「N末端」を形成するように配向し、したがって、マスター抗体の重鎖のC末端に融合しているが、VHはscFvのC末端及び実際には全重鎖ポリペプチドを形成している。しかしながら、この「N-VL-VH-C」構造は逆転していてもよく、すなわち「N-VH-VL-C」でもよいことが理解され得る。
【0418】
この概念の実現可能性を試験するために、
図1に示されたフォーマットに基づいた多くの異なる二重特異的分子が調製された。
【0419】
以下の実施例は、CDH17及びTRAILR2に結合する二重特異的分子、並びに、これらの分子のフォーマット及び生物学的活性の変化形を作製するために使用される方法を説明する。
【0420】
実施例2:ハイブリドーマ及び培養された単一B細胞からのハイスループットV遺伝子回収を使用した、CDH17及びTRAILR2を認識する結合性ドメインの調製
理解され得るように、ヒトCDH17及びTRAILR2に結合する二重特異的分子を調製するために、個々の標的抗原に結合する可変ドメインを得ることが必要である。
【0421】
これを達成するために、CDH17又はTRAILR2免疫化マウスから得られたクローン性ハイブリドーマ又は単一B細胞をインビトロで培養した。上清を、ヒトCDH17又はTRAILR2に対する反応性についてスクリーニングした。次いで、免疫グロブリン(Ig)のVH遺伝子及びVL遺伝子を、同定された陽性クローンから増幅した。
【0422】
ハイブリドーマからRNAを単離するために、単一クローンからの約2×106個の細胞をペレット化し、材料源として使用した。単一B細胞については、単一の単離されたB細胞から増幅させた100~500個の細胞を材料源として使用した。RNAを、RNeasy Plus(キアゲン社、ヒルデン、ドイツ)を使用して単離した。次いで、cDNAを、Smarter cDNA合成キット(クロンテック社、マウンテンビュー、CA州)を使用して製造業者の説明書に従って合成した。
【0423】
IgのVH遺伝子及びVL遺伝子を、表1に列挙されたプライマーを使用して増幅した。各50μlのPCR反応液は、20μMの正方向プライマーと逆方向プライマーのミックス、25μlのPfuプレミックス(アジレント・テクノロジーズ社)、2μlの未精製cDNA、及び21μlの再蒸留水からなっていた。PCR反応は、94℃の工程を3分間から開始し、その後、15回のPCRサイクル(92℃で1分間、55℃で1分間、68℃で1分間)、次いで25回のPCRサイクル(94℃で1分間、50℃で1分間、72℃で1分間)が続き、72℃の工程を7分間で終了する。
【0424】
次いで、2回目のPCRを、454次世代シークエンスのためのバーコードの付いたプライマーセットを用いて実施した。反応を94℃で3分間で開始し、次いで92℃で1分間、53℃で1分間、及び68℃で1分間のサイクルを35回行なった。VL及びVHのPCR産物を一緒に集め、ゲル精製し、次いで、454DNAシークエンス(ロシュ社GS-FLX、SeqWright、米国)に提出した。
【0425】
この方法を使用して、CDH17又はTRAILR2に対して特異性を有する結合性ドメインをコードしているIgのVH遺伝子及びVL遺伝子の対を数多く調製した。VH配列及びVL配列のいくつかはさらに、当技術分野において公知の方法を使用してヒト化された。
【0426】
【0427】
実施例3:CDH17及びTRAILR2に結合する二重特異的分子のハイスループット構築
TRAILR2 scFvをコードしている遺伝子セグメントを構築するために、実施例2で調製されたか又は当技術分野において公知であるTRAILR2結合性可変ドメインをコードしているVL遺伝子とVH遺伝子の対を、ペプチド配列GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号143)の可動性リンカーをコードしている遺伝子セグメントによって接続した。結果として得られたscFvコード遺伝子セグメントは次いで、ヒトIgG抗体の重鎖をコードしている遺伝子の3’末端にインフレームでクローニングされた。これらのコーディングセグメントをオーバーラップPCR法によって合成し、発現ベクターpTT5にクローニングした。
【0428】
次いで、実施例2で調製されたCDH17結合性可変ドメインをコードしているVL遺伝子とVH遺伝子の対を、実施例1で概略が示されている二重特異的フォーマットにフォーマット化した。VH遺伝子を、ヒトIgγをコードしている遺伝子の5’末端におけるインフレーム融合物として、pTT5発現ベクターにクローニングした。TRAILR2結合性scFvをコードしている遺伝子を、同じIgγをコードしているセグメントの3’末端にインフレームでクローニングした。同様に、VL遺伝子を、ヒトIgGκ軽鎖をコードしている遺伝子とのインフレーム融合物として、pTT5発現ベクターにクローニングした。
【0429】
実施例2において調製されたか又は当技術分野において公知であるTRAILR2結合性可変ドメインをコードしているVL遺伝子とVH遺伝子の対をさらに使用して、TRAILR2(例えば、抗原結合部位TR2v1又はTRv2を含む)に特異的に結合する抗体分子(2本の軽鎖と2本の重鎖を含む完全長抗体分子)を、当技術分野において公知の方法を使用して調製し、以下に記載の実施例における細胞を検出/標識するために又は対照抗体として使用した。このような抗体は、ヒトIgG1WT定常ドメイン又はIgG1(KO)定常ドメインのいずれかを含む。
【0430】
同様に、実施例2において調製されたか又は当技術分野において公知であるCDH17結合性可変ドメインをコードしているVL遺伝子とVH遺伝子の対をさらに使用して、CDH17(例えば、抗原結合部位CDH17v1又はCDH17H2を含む)に特異的に結合する抗体分子(2本の軽鎖と2本の重鎖を含む完全長抗体分子)を、当技術分野において公知の方法を使用して調製し、以下に記載の実施例における細胞を検出/標識するために又は対照抗体として使用した。このような抗体は、ヒトIgG1WT定常ドメイン又はIgG1(KO)定常ドメインのいずれかを含む。
【0431】
上記され対照抗体として以下の実施例において使用されるTRAILR2又はCDH17のいずれかに対して特異的である抗体は、2本の重鎖と2本の軽鎖を有する慣用的な完全長抗体である。このような対照抗体の結合部位は、それらが比較される二重特異的結合性タンパク質と同じ可変ドメインによって定義される。例えば、
図3では、CDH17特異的結合部位であるCDH17v1とTRAILR2特異的結合部であるTR2v1とを有する結合性分子(結合性分子CDH17v1/TR2v1と称される)は、CDH17に対して特異的な配列番号118のVH配列とCDH17に対して特異的な配列番号119のVL配列、及びTRAILR2に対して特異的な配列番号96のVH配列とTRAILR2に対して特異的な配列番号97のVL配列を含む(表2参照)。したがって、この実施例において使用される対照抗体である抗CDH17v1抗体は、CDH17に対して特異的な配列番号118のVH配列と、CDH17に対して特異的な配列番号119のVLを含み、対照抗体である抗TRv1抗体は、TRAILR2に対して特異的な配列番号96の配列と、TRAILR2に対して特異的な配列番号97のVL配列を含む(
図3参照)。
【0432】
In-Fusion(登録商標)HDクローニングキット(クロンテック社、米国)を、VH遺伝子及びVL遺伝子の定方向クローニングのための上記手順において使用した。鎖状ベクターの末端に対して相補的な15bpの伸長部分を有するVL/VHのPCRプライマーを合成した。PCRを製造業者の標準的なプロトコールを使用して実施し、アンプリコンをクローニングエンハンサーを用いて精製又は処理し、次いで、適切なベクターにクローニングした。次いで、E.coliを製造業者の説明書(クロンテック社、米国)に従って形質転換した。DNAの小規模精製物をシークエンスした。
【0433】
各発現ベクターは、鎖をコードしている遺伝子のための真核生物プロモーター配列、シグナル配列と重鎖又は軽鎖をコードしている遺伝子、アンピシリンなどの原核生物選択マーカー遺伝子のための発現カセット、及び複製起点を含有している。これらのDNAプラスミドをアンピシリン耐性E.coliコロニーで増幅させ、精製した。
【0434】
実施例4:ヒトTRAILR2及びヒトCDH17を認識する二重特異的で四価の分子の発現及び精製
実施例3において調製された発現ベクターをCHO-E細胞にトランスフェクトした。
【0435】
無血清培地の懸濁液中で増殖させているトランスフェクトされたCHO-E細胞を振盪フラスコ中で140rpmの撹拌、37℃及び5%CO2の下で培養し、指数関数的増殖条件に保った。トランスフェクション日に、細胞を、軽鎖プラスミド 1mg及び重鎖プラスミド 0.5mgを用いて化学的にトランスフェクトした。次いで、それらを1Lのギブコ社(登録商標)FreeStyle(商標)CHO発現培地(ライフテクノロジーズ社、NY、米国)中1~2×106個の細胞/mlで播種した。次いで、細胞を、タンパク質の発現を可能とするために150mlの市販のフィード溶液を1回だけフィードして、回転振盪下で10~12日間インキュベートした。細胞培養上清中の抗体/結合性分子の力価を、Octet(登録商標)機器(Pall ForteBio、CA州、米国)及びプロテインAバイオセンサーチップを使用して製造業者の説明書に従って決定した。
【0436】
組換え結合性分子又は抗体は、培養上清からプロテインAアフィニティクロマトグラフィーによってMabSelect(商標)(アメルシャム・バイオサイエンシーズ社)を使用して精製され、60mM NaOAc緩衝液(pH5.0)中に保存した。試料の純度及び不均一度を質量分析及び分析用超遠心分離によって評価した。全ての試料が、機能試験の前に、90%以上のモノマー含量を有し、10%未満の不純物を含有していることが確認された。
【0437】
実施例5:調製されたヒトTRAILR2分子とヒトCDH17分子とを認識する二重特異的分子の詳細
以下の実施例では、本発明の多くの異なる二重特異的TRAILR2/CDH17抗体分子を調製した。混乱を避けるために、これらの分子の特徴及び配列を以下に提供する。
【0438】
【0439】
【0440】
実施例6:ヒトTRAILR2とヒトCDH17とを認識する二重特異的分子の高まったアポトーシス効果
序論
上記に示された実施例は、TRAILR2及びヒトCDH17を認識する二重特異的分子の調製を示す。アポトーシス誘発におけるこれらの分子の効果を決定するために、本発明者らは、該分子が細胞生存率の減少を引き起こすことができるかどうか、あらゆるこのような減少がアポトーシスによって引き起こされたかどうか、あらゆるアポトーシス効果は二重特異的TRAILR2/ヒトCDH17結合性分子によって特異的に媒介されたかどうかを調べることを決断した。
【0441】
細胞アッセイの開発
まず、細胞表面上にTRAILR2及びCDH17を有するがん細胞株を同定することが必要であった。Colo-205細胞株は、白人結腸腺癌に由来する。それは周知の実験細胞培養ツールである。本発明者らは、これを、二重特異的TRAILR2/CDH17結合性分子の機能を評価するための細胞株候補として選択する。
【0442】
Colo-205細胞上におけるTRAILR2及びCDH17タンパク質の表面発現を以下のように分析した。細胞を、アキュターゼ(シグマ社A6964)を使用して剥がし、FACS緩衝液(PBS、ギブコ社14190;3%FCS、ギブコ社26140;及び0.09%NaN3、シグマアルドリッチ社S2002)で2回洗浄した。細胞をViCell(ベックマンコールターライフサイエンシーズ社)を使用して計数し、細胞数を2~5×106個の細胞/mlに調整した。100μl/ウェルの細胞懸濁液を、96ウェル丸底プレートに播種した。
【0443】
細胞を接種した後、プレートを1200rpmで5分間遠心分離にかけ、上清を廃棄した。次いで、細胞を、100μl/ウェルの一次抗体の適切な希釈液と共に、4℃で60分間インキュベートした。細胞をFACS緩衝液で2回洗浄し、100μl/ウェルの適切な二次抗体/コンジュゲート抗体の希釈液を加えた。二次抗体を含む細胞を、暗闇で4℃で45分間インキュベートした。FACS緩衝液で2回洗浄した後、細胞を、1ウェルあたり100μlのFACS緩衝液に再懸濁し、FACS Canto(BDバイオサイエンシーズ社)で分析した。
【0444】
TRAILR2の検出のために、コンジュゲートさせた抗ヒトCD262抗体(DR5)フィコエリトリン(イーバイオサイエンス社、12-9908-42)を使用した。CDH17については、抗CDH17抗体(R&Dシステムズ社、MAB1032)を使用し、続いて、二次抗体ウサギ抗マウスIgG フィコエリトリン(ダコ社、R0439)を使用した。対照として、マウスIgG1アイソタイプ対照フィコエリトリン(イーバイオサイエンス社、12-4714-12)及びマウスIgG1アイソタイプ対照(AbDセロテック社、MCA928EL)をそれぞれ使用した。
【0445】
図2では、Colo-205細胞におけるTRAILR2及びCDH17のタンパク質表面発現が示され、どちらのタンパク質も有意な発現を与える。
【0446】
Colo-205細胞に対する二重特異的TRAILR2/CDH17分子の効果
二重特異的TRAILR2/CDH17結合性分子の機能を評価するために適切ながん細胞株としてColo-205細胞を同定したので、本発明者らは以下のアッセイを考案した。
【0447】
Colo-205細胞を、培養培地(RPMI1640/グルタマックス、ギブコ社61870-010;それに加えて10%FCS、ギブコ社26140)に蒔いた。37℃及び5%CO2で一晩休ませた後、細胞を、所望の濃度の50μlの様々な抗体又は結合性分子の希釈液と共に24時間インキュベートした。次いで、細胞生存率を、CellTiter-Glo Luminescent細胞生存率アッセイ(プロメガ社G7571)を使用することによって製造業者によって提供された説明書に従って評価した。最後に、発光を、パーキンエルマー社製のVICTOR X4 2030マルチラベルプレートリーダーを使用して記録した。
【0448】
細胞生存率に対する二重特異的TRAILR2/CDH17結合性分子の効果を
図3に示す。Colo-205細胞を、(i)二重特異的分子、(ii)抗TRAILR2抗体単独、(iii)抗CDH17抗体単独、又は(iv)TRAILR2抗体とCDH17抗体の等価な自由な組合せと共に24時間インキュベートした。
【0449】
図3に示されているように、抗CDH17抗体は、7×10
-4から70nMの濃度範囲で使用された場合には、Colo-205細胞の生存率に効果は全くなかった。TRAILR2抗体は、7から70nMの間で使用された場合に細胞生存率を有意に減少させることができ、自由な組合せでの抗CDH17抗体の添加は、抗TRAILR2抗体単独で観察された効果に対して変化がなかった。最後に、Colo-205細胞を、本明細書に記載されているような二重特異的TRAIL-R2/CDH17結合性分子(配列番号145の重鎖配列と配列番号146の軽鎖配列とを含む、CDH17v1/TR2v1)とインキュベートすることにより、抗TRAIL-R2抗体(それぞれ配列番号96及び配列番号97のVH配列及びVL配列を有する抗原結合部位TRv1を含む)単独、及び抗CDH17抗体と組み合わせた抗TRAIL-R2抗体(それぞれ配列番号118及び配列番号119のVH配列及びVL配列を有する抗原結合部位CDH17v1を含む)の両方と比較して、1000倍を超える改善された効力がもたらされた。
【0450】
TRAILR2/CDH17分子は、Colo-205細胞のアポトーシスを誘発する
次に、
図3に示されているような細胞生存率の減少が、アポトーシスの誘発によって引き起こされたかどうかを調べた。TRAILにより誘発されたアポトーシスは、カスパーゼ-8の補充及び活性化によって媒介され、このカスパーゼ-8は次いで、エフェクターのカスパーゼ-3を活性化し、その結果、アポトーシスが起こる。したがって、本明細書で調製された抗体及び結合性分子が、アポトーシス経路を特異的に活性化することができるかどうかを決定するために、本発明者らは、標的細胞株におけるカスパーゼ-8及びカスパーゼ-3の両方の活性を測定した。
【0451】
カスパーゼ-3及びカスパーゼ-8の活性は、プロメガ社のApo-ONEホモジニアスカスパーゼ-3/7アッセイ(製造番号G7790)及びプロメガ社のカスパーゼ-Glo8アッセイ(製造番号G8201)をそれぞれ使用して測定された。37℃及び5%CO2で一晩休ませた後、細胞を、所望の濃度を達成するために50μlの様々な抗体又は結合性分子の希釈液と共に様々な時点においてインキュベートした。次いで、カスパーゼ-3及びカスパーゼ-8の活性を、製造業者によって提供された説明書に従って評価した。次いで、各試料の発光を、パーキンエルマー社製のVICTOR X4 2030マルチラベルプレートリーダーを使用して測定した。
【0452】
このアッセイの結果を
図4に示す。ここで、抗TRAILR2抗体(それぞれ配列番号96及び配列番号97のVH配列及びVL配列を有する抗原結合部位TRv1を含む)単独、及び二重特異的TRAILR2/CDH17結合性分子(配列番号145の重鎖配列と配列番号146の軽鎖配列とを含むCDH17v1/TR2v1)のどちらも、カスパーゼ8(A)及び3(B)の両方を効率的に活性化することができたことが分かる。未処置対照と比較した場合、抗CDH17抗体(それぞれ配列番号118及び配列番号119のVH配列及びVL配列を含む抗原結合部位CDH17v1を含む)のインキュベーション後には効果は全く観察されなかった。このデータは、
図3に観察された細胞生存率の減少が、いずれかの非特異的な機序に起因するのではなく、どちらの分子も標的細胞のアポトーシスを効率的かつ特異的に誘発することができることを実証する。細胞生存率のデータと一致して、本発明者らは、Colo-205細胞を二重特異的TRAILR2/CDH17結合性分子とインキュベーショすることにより明らかに、抗TRAILR2抗体単独と比較して優れたカスパーゼ-8及びカスパーゼ-3の活性化(3logを超える効力の移動)がもたらされたことを観察した。
【0453】
Colo-205細胞のアポトーシスは、二重特異的TRAILR2/CDH17分子によって特異的に誘発される
本発明者らはまた、本発明の二重特異的TRAILR2/CDH17結合性分子によって調節されるアポトーシスの増加が、Colo-205細胞表面上に存在するCDH17によって特異的に媒介されることを確認したかった。これを実証するために、本発明者らは、ヒトTRAILR2及びトリニトロフェノール(TNP)を認識する追加の二重特異的で四価の分子を作製し、ここではIgGマスター抗CDH17抗体は、TNPを認識するものに置き換えられていた。TNPへの結合領域は、分子の非特異的対照として作用する。なぜなら、TNP抗原は細胞表面上には容易に発見されることはできないからである。
【0454】
Colo-205細胞を、様々な濃度の(i)TNPに対する抗体単独、(ii)抗CDH17抗体単独、(iii)抗TRAILR2抗体単独、(iv)二重特異的TRAILR2/TNP結合性分子、(v)二重特異的TRAIL2/CDH17分子を用いて24時間処置し、細胞生存率を測定した。得られたデータを
図5に示す。
【0455】
図5に示されているように、二重特異的TRAILR2/CDH17結合性分子(配列番号145の重鎖配列と配列番号146の軽鎖配列を含むCDH17v1/TR2v1)は、抗TRAILR2抗体(それぞれ配列番号96及び配列番97のVH配列及びVL配列を含む抗原結合部位TRv1を含む)と比較して、細胞生存率の減少において明確に優れた効果を誘発することができた。この効果は、二重特異的TRAILR2/TNP結合性分子には見られない。したがって、CDH17をTNPで置換することにより、二重特異的TRAILR2/CDH17結合性分子の優れたアポトーシス効果は消失し、二重特異的TRAILR2/TNP結合性分子は、抗TRAILR2抗体単独と同等な効果を有する。
【0456】
HepG2細胞に対する二重特異的TRAILR2/CDH17分子の効果
肝臓に由来するCDH17陰性でTRAILR2感受性の細胞における、二重特異的TRAILR2/CDH17結合性分子の効果を研究するために、上記のような類似の実験を、HepG2細胞を使用して実施した。この細胞株は元来、15歳の白人男性の肝細胞癌に由来していた。
【0457】
HepG2細胞を、DMEM(ロンザ社、BE12-604F)と10%FCS(ギブコ社26140)中、37℃及び5%CO2で培養した。
【0458】
Colo-205について記載されているように、タンパク質表面発現及び細胞生存率を、実施例3に記載のように分析した。
図6Aには、HepG2細胞におけるTRAILR2及びCDH17のタンパク質表面発現が示され、TRAILR2のみが有意な発現を与えた。
【0459】
HepG2細胞を、(i)抗TRAILR2抗体(それぞれ配列番号96及び配列番号97のVH配列及びVL配列を有する抗原結合部位TRv1を含む抗TR2v1)単独、(ii)TRAILR2/CDH17二重特異的結合性分子(配列番号145の重鎖配列及び配列番号146の軽鎖配列を含むCDH17v1/TR2v1)と共にインキュベートした。さらに、様々なアゴニスト作用を有するヒトTRAILR1抗体及びTRAILR2抗体について文献(Ichikawa et al., 2001. Nat Med. Aug;7(8):954-60; Li et al., 2008 BMC Cancer. Nov 7;8:325; Natoni et al., 2007, British journal of haematology 2007 Nov;139(4):568-77; Pukac et al., 2005 Br J Cancer. 2005 Apr 25;92(8):1430-41; Yada et al., 2008 Ann Oncol. 2008 Jun;19(6):1060-70 ; Zhang et al., 2007a Cancer Lett. 2007 Jun 18;251(1):146-57)に記載されているような抗TRAILR2抗体の最大のアポトーシス誘発シグナル伝達の対照として、HepG2細胞もまた、(iii)抗TRAILR2抗体(それぞれ配列番号96及び配列番号97のVH配列及びVL配列を有する抗原結合部位TRv1を含む)と共に、架橋リンカーであるヤギ抗ヒトIgG(抗TR2v1抗体(Fcに架橋))の存在下でインキュベートした。
図6Bに示されているように、抗TRAILR2抗体単独及びTRAILR2/CDH17二重特異的分子のどちらも、生存率に対して効果を全く及ぼさない。TRAILR2抗体の人工Fc架橋のみが、細胞生存率を有意に減少させることができた。
【0460】
追加のCRC細胞に対する二重特異的TRAILR2/CDH17分子の効果
Colo-205において観察される効果を、他のCRC細胞株に適用することができるかどうかを試験するために、上記のような類似の実験を、2つの追加のCRC細胞株であるCL-34細胞(KRAS野生型)及びSK-CO-1細胞(KRASp.G12V)を使用して実施した。
【0461】
CL-34細胞及びSK-CO-1細胞を、それぞれDMEM/F-12(ATCC30-2006)+20%FCS(ギブコ社26140)、及びEMEM(ロンザ社BE12-662F)+10%FCS(ギブコ社26140)中で37℃及び5%CO2で培養した。
【0462】
実施例6に記載のように、タンパク質表面発現及び細胞生存率を分析した。
図11A及び11Bでは、CL-34細胞(A)及びSK-CO-1細胞(B)におけるTRAILR2及びCDH17のタンパク質表面発現が示され、どちらのタンパク質も有意な発現を与える。
【0463】
CL-34細胞及びSK-CO-1細胞を、(i)二重特異的TRAILR2/CDH17結合性分子(配列番号145の重鎖と配列番号146の軽鎖を含むCDH17v1/TR2v1)、(ii)抗TRAILR2抗体(それぞれ配列番号96及び配列番号97のVH配列及びVL配列を含む抗原結合部位TRv1を含む)単独、又は(iii)抗CDH17抗体(それぞれ配列番号118及び配列番号119のVH配列及びVL配列を有する抗原結合部位CDH17v1を含む)単独と共にインキュベートした。
図11に示されているように、抗CDH17抗体は、生存率に対して全く効果を及ぼさないが、TRAILR2抗体は、7から70nMで使用した場合に細胞生存率を有意に減少させることができた。Colo-205細胞について記載されているように、CL-34細胞及びSK-CO-1細胞の両方を、二重特異的TRAILR2/CDH17結合性分子とインキュベートすることにより、抗TRAILR2抗体単独と比較して、細胞生存率に対して3logを超える明らかな効力の移動がもたらされた。
【0464】
CL-34細胞及びSK-CO-1細胞において観察された類似の応答と一致して、KRASmut細胞株とKRASwt細胞株の間の感度の有意差は、拡大された一団の19個のCRC細胞株においては全く検出されなかった(ウィルコクソンの順位和検定、データは示されていない)。
【0465】
考察
本発明者らは、二重特異的TRAILR2/CDH17結合性分子がCRC細胞株のアポトーシスを誘発することを上記において実証した。このアポトーシス効果は、TRAILR2抗体単独よりも三桁以上低い濃度を使用して達成され、これは治療的に有用な用量レベルである。また、この効果は、二重特異的分子のCDH17部分によって特異的にトリガーされ、最大効果濃度では、肝臓由来のCDH17陰性でTRAILR2感受性のHepG2細胞の細胞生存率に対して検出可能な効果は全くなかったことが実証された。
【0466】
実施例7:二重特異的TRAILR2/CDH17分子における様々なIgG骨格の使用
本発明者らはまた、二重特異的TRAILR2/CDH17分子のマスター抗体配列に使用されるIgG骨格を変化させることにより、アポトーシスの誘発が変化するかどうかを調べた。
【0467】
Colo-205細胞を、様々な濃度の抗TRAILR2抗体単独、及びIgG1定常領域(A及びC)又はIgG4Pro定常領域(B)を含む二重特異的TRAILR2/CDH17結合性分子を用いて24時間処置した。抗体のインキュベーション後、細胞の生存率を測定した(
図7)。
【0468】
図7に示されているように、以前に使用されていたIgG1骨格を、2つの追加の突然変異(L234A及びL235A)を有する第二の形式(IgG1 KO;配列番号121)又は1つの追加の突然変異(H310A)を有する第三の形式(FcRnmut)(配列番号270)に置き換えることによって、Colo-205細胞生存率の低減に対する効果は変化しなかった。
【0469】
野生型形式と同じように、新規に作製された二重特異的結合性分子(配列番号147の重鎖と配列番号148の軽鎖を含むTRv1/CDH17v1 IgG1(KO))は、10
-2nMという低い濃度で使用された場合に細胞生存率を有意に減少させることができ、一方、親TRAILR2抗体(それぞれ配列番号96及び配列番号97のVH配列及びVL配列を有する抗原結合部位TRv1を含む)は全く効果を示さなかった。これはまた、TRAILR2結合性ドメインが、僅かに改変された配列(それぞれ配列番号98及び配列番号99のVH配列及びVL配列を有する抗TR2v2抗体と比較して、配列番号149の重鎖と配列番号150の軽鎖を含む、TRAILR2v2)で置き換えられていた、第二の二重特異的結合性分子においても該当していた。さらに、二重特異的骨格のマスター抗体配列に使用されるIgG骨格が、IgG4Proアイソフォーム(配列番号151の重鎖配列と配列番号152の軽鎖配列とを含む)又はIgG1FcRnmut(CDH17H2/TR2v2)(配列番号271の重鎖配列と配列番号218の軽鎖配列を含む)で完全に置き換えられた、様々な二重特異的分子が調製された。
図7に示されているように、分子のこの変化は、Colo-205細胞生存率の低減におけるその効力を変化させなかった。
【0470】
実施例8:細胞生存率の低減におけるscFv変異体の効果
次いで、scFv二次抗体成分への変化が、本発明の分子によるアポトーシスの誘発に影響を及ぼすかどうかが調べられた。
【0471】
実施例6に使用される分子では、scFvは、VLが結合部分のN末端を形成するように配向し、したがって、マスター抗体の重鎖のC末端にリンカーを介して融合し、一方、scFvのVHは、完全重鎖分子のC末端を形成している。
【0472】
それ故、可変ドメインと同一であるが異なる配向及び/又はさらなる該ドメインの改変(scFv形式1~4)によって定義される結合性部位を含む、多くの異なる二重特異的TRAILR2/CDH17結合性分子を作製した。
【0473】
1.二重特異的TRAILR2/CDH17 scFv1分子はVH-VLの配向を有し、すなわち、scFvのVHは、抗体のC末端にリンカーを介して融合し、scFvのVLは重鎖完全分子(配列番号131のscFv配列を有するCDH17v1/TRv1)のC末端を形成する。
【0474】
2.二重特異的TRAILR2/CDH17 scFv2分子もVH-VLの配向を有し、すなわち、scFvのVHは、抗体のC末端にリンカーを介して融合し、scFvのVLは重鎖完全分子のC末端を形成し、scFv結合性ドメイン(配列番号132のscFv配列を有するCDH17v1/TRv1)を安定化させるための追加のジスルフィド結合を有する。
【0475】
3.二重特異的TRAILR2/CDH17 scFv3分子は
図7に使用されているものであり、よってそれはVL-VHの配向を有し、すなわち、scFvのVLは、抗体のC末端にリンカーを介して融合し、scFvのVHは重鎖完全分子(配列番号124のscFv配列を有するCDH17v1/TRv1)のC末端を形成している。
【0476】
4.二重特異的TRAILR2/CDH17 scFv4分子はVL-VHの配向を有し、すなわち、scFvのVLは、抗体のC末端にリンカーを介して融合し、scFvのVHは重鎖完全分子のC末端を形成し、scFv結合性ドメイン(配列番号133のscFv配列を有するCDH17v1/TRv1)を安定化させるための追加のジスルフィド結合を有する。
【0477】
次いで、二重特異的TRAILR2/CDH17結合性分子のこれらの変異体の機能を、実施例6に記載のColo-205細胞アポトーシスアッセイにおいて調べた。結合性分子とインキュベートした後、細胞生存率を測定した。
【0478】
図8に提示されたデータは、二重特異的TRAILR2/CDH17結合性分子が、scFv抗体ドメイン内のVHドメイン及びVLドメインの配向に関係なくColo-205細胞アポトーシスを誘発することができるが、しかしながら、VL-VHは、VH-VLの配向よりも大きなアポトーシス効果を有することを示す。追加のジスルフィド結合を有する分子は、これらの外部の結合を有さない対応する親分子と比較した場合、有意な効果を全く示さない。
【0479】
したがって、実施例1に概略が示された二重特異的抗体フォーマットの構造への変化は耐容性を示し得るが、VL-VHは、驚くべき程により大きなアポトーシス効果を有する。
【0480】
実施例9:Colo-205細胞生存率の低減における、代替的な結合配列を使用した二重特異的分子TRAILR2及びCDH17 bi-scFvの効果
異なる結合ドメインを有する二重特異的TRAILR2/CDH17結合性分子の変異体を調製した。使用される具体的な結合性分子の詳細が、実施例5の表に示されている。次いで、実施例6に記載されているようなColo-205細胞アポトーシスアッセイに使用される結合性ドメインを変化させる効果を調べた。
【0481】
Colo-205細胞を、様々な濃度の、様々な新規に同定されたCDH17結合性配列(A)とTRAILR2結合性配列(B及びC)とを含有している様々な二重特異的分子を用いて24時間処置した。抗体のインキュベート後、細胞生存率を測定した。
【0482】
図9(A~C)に提示されるデータは、様々なTRAILR2結合性配列及びCDH17結合性配列を有する二重特異的結合性分子(配列番号182の重鎖と配列番号188の軽鎖を含むCDH17A6/TR2v2;配列番号197の重鎖と配列番号203の軽鎖を含むCDH17E2/TR2v2;配列番号167の重鎖と配列番号173の軽鎖を含むCDH17E9/TR2v2;配列番号219の重鎖と配列番号233の軽鎖を含むCDH17v1/TR2#1;配列番号220の重鎖と配列番号233の軽鎖を含むCDH17v1/TR2#2;配列番号221の重鎖と配列番号233の軽鎖を含むCDH17v1/TR2#3;配列番号223の重鎖と配列番号233の軽鎖を含むCDH17v1/TR2#8;配列番号224の重鎖と配列番号233の軽鎖を含むCDH17v1/TR2#10;配列番号212の重鎖と配列番号218の軽鎖を含むCDH17H2/TR2v2;配列番号213の重鎖と配列番号218の軽鎖を含むCDH17H2/TR2v3;配列番号214の重鎖と配列番号218の軽鎖を含むCDH17H2/TR2v4;配列番号215の重鎖と配列番号218の軽鎖を含むCDH17H2/TR2v5;配列番号216の重鎖と配列番号218の軽鎖を含むCDH17H2/TR2v6;配列番号217の重鎖と配列番号218の軽鎖を含むCDH17H2/TR2v7)は、10
-2nMという低い濃度で使用された場合に細胞生存率を有意に減少させることができ、一方、親TRAILR2抗体(配列番号98のVHと配列番号99のVLを含むTR2v2)は、同濃度で効果を全く示さなかった。
図9Dでは、これらの分子(配列番号212の重鎖と配列番号218の軽鎖を含むCDH17H2/TR2v2;配列番号213の重鎖と配列番号218の軽鎖を含むCDH17H2/TR2v3;配列番号214の重鎖と配列番号218の軽鎖を含むCDH17H2/TR2v4;配列番号215の重鎖と配列番号218の軽鎖を含むCDH17H2/TR2v5;配列番号216の重鎖と配列番号218の軽鎖を含むCDH17H2/TR2v6;配列番号217の重鎖と配列番号218の軽鎖を含むCDH17H2/TR2v7)のいくつかを、上記の肝臓に由来するCDH17陰性でTRAILR2感受性のHepG2細胞において試験した。図に示されているように、1nMまでの濃度は、試験されたいずれの分子においてもHepG2細胞生存率に検出可能な効果を全く示さない。
図9C~Dでは、また、親CDH17抗体(配列番号116のVHと配列番号117のVLを含むCDH17H2)は、試験された濃度範囲内ではColo-205の細胞生存率を減少させる作用もHepG2の細胞生存率を減少させる作用も全く示さなかった。
【0483】
ここで、様々なTRAILR2結合性配列及びCDH17結合性配列を、本発明の二重特異的TRAILR2/CDH17結合性分子に使用することができる。
【0484】
実施例10:TRAILR2とCD44v6とを認識する二重特異的分子は、Colo-205細胞生存率の減少において相加作用を全く有さない
代替的なアンカー標的を、CDH17の代わりに使用することができるかどうかも調べた。したがって、TRAILR2とCD44v6とを認識する二重特異的分子を調製した。
【0485】
実施例6と同様に、本発明者らはまず、FACSによってTRAILR2及びCD44v6タンパク質の表面発現を測定した。CD44v6の検出については、BIWA1抗体、次いで二次抗体のヤギ抗マウスIgGフィコエリトリン(ダコ社、R0480)を使用した。対照として、マウスIgG1アイソタイプ対照(AbDセロテック社、MCA928EL)を使用した。
【0486】
図10Aでは、Colo-205細胞におけるTRAILR2及びCD44v6のタンパク質表面発現が示され、どちらのタンパク質も有意な発現を示す。
【0487】
次いで、細胞生存率を、CellTiter-Glo発光細胞生存率アッセイを使用して測定した。Colo-205細胞を、TRAILR2/CD44v6二重特異的結合性分子、抗TRAILR2抗体単独、又は抗CD44v6抗体単独のいずれかと共にインキュベートした。データを
図10Bに提示する。
【0488】
10-2ng/mlから10mg/mlnMの濃度範囲にわたる抗CD44v6抗体のインキュベーションは、Colo-205細胞の生存率において全く効果を及ぼさない。抗TRAILR2抗体(配列番号96のVHと配列番号97のVLを含むTR2v1)とのインキュベーションは、0.1μg/mlから10μg/mlで使用された場合に細胞生存率を有意に減少させることができ、Colo-205細胞と、ヒトTRAILR2及びヒトCD44v6を認識する等価量の二重特異的で四価の分子とのインキュベーションは、抗TRAILR2抗体単独で観察された効果と差はなかった。
【0489】
したがって、CD44v6は、Colo-205細胞におけるTRAILR2誘発アポトーシスを調節するためのアンカー標的として使用することはできない。
【0490】
実施例11:CRC異種移植片モデルにおける二重特異的分子のインビボにおける効力
TRAILR2及びCDH17を認識する結合性分子のインビボでの効力も調べた。この目的のために、TRAILR2とCDH17との両方を発現しているヒトCRCがん細胞株である、Colo205(KRAS野生型)及びGp2d(KRASp.G12D)を免疫不全マウスに移植し、腫瘍体積に対する本発明の分子の投与効果を測定した。
【0491】
続いて、雌BomTac:NMRI-Foxn1nuホモ接合体マウスに、5.0×106個のColo205細胞(0.1mL PBS+5%FCS)又は5.0×106個のGp2d細胞(細胞:マトリゲルの比が1:1(v/v)である0.1mL)を移植し、腫瘍が180~200mm3に達するまで腫瘍の成長をモニタリングした。マウスを2つの群に無作為化し、1回のビヒクル対照又は本発明の結合性分子-Colo205については5mg/Kg及びGp2dについては1.67mg/Kg[配列番号212の重鎖配列と配列番号218の軽鎖配列を含むCDH17H2/TR2v2-(IgG1KO)];Colo205及びGp2dについては5mg/Kg[配列番号271の重鎖配列と配列番号218の軽鎖配列を含むCDH17H2/TR2v2-(IgG1FcRnmut)]-を投与した。
【0492】
図12に提示されるデータは、本発明の結合性分子が、対照群と比較した場合に腫瘍体積の有意かつ長期の減少を誘発することができることを実証する。
【0493】
実施例12:新規に作製されたCDH17抗体を使用したCDH17表面発現の検出
図13には、新規に作製された抗CDH17H2抗体(配列番号116のVHと配列番号117のVL及び配列番号121のIgG1配列を含む)がどのようにCDH17タンパク質表面発現を検出することができるのかが示されている。FACS分析は、実施例6に記載のように実施された。新規に作製された抗CDH17H2抗体は、検出用の一次抗体として使用され、その後、二次抗体ウサギ抗マウスIgGフィコエリトリン(ダコ社、R0439)として使用された。対照として、ヒトIgG1アイソタイプ対照アロフィコシアニン(バイオレジェンド社、409306)を使用した。
【0494】
実施例13:静脈内投与用の医薬製剤
本発明の上記の結合性分子のいずれかを、静脈内適用のための医薬製剤の製造のために選択することができる。本発明の抗体のために適した医薬製剤の一例は以下の通りである。
【0495】
10mLのバイアルは、10mMのクエン酸(pH5.5)、207mMのショ糖、25mMのリジン塩酸塩、及び0.02%のポリソルベート20、及び注射用水(WFI)からなる緩衝液中に10mg/mLの本発明の結合性分子を含有している。
【0496】
実施例14:プロテインAのアフィニティクロマトグラフィー及び分析用サイズ排除クロマトグラフィー(aSEC)によるモノマー含量の決定
本明細書に記載の様々な結合性分子の試料を、MabSelect SuRe樹脂(GEヘルスケア社)を使用した組換えプロテインAアフィニティクロマトグラフィーによって、収集した細胞培養液から捕捉した。試料を、30mMの酢酸ナトリウム(pH3.5)を使用して均一溶媒モードで溶出し、溶出した試料を1%の3M酢酸ナトリウム溶液(pH9.0)を使用してpH5.0へと中和した。
【0497】
aSECを、ウォーターズ社UHPLCシステムでウォーターズ社BEH200カラムを用いて実施した。移動相の緩衝液は、50mMのリン酸ナトリウム(pH6.8)、200mMのアルギニン、0.05%のアジ化ナトリウムであった。各操作のために、5~10μgの試料を、0.5ml/分の操作流速で注入した。モノマー含量の比率を決定し、様々な結合性分子の結果を表4に示す。
【0498】
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2022-10-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載の発明。
【手続補正書】
【提出日】2022-10-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】変更
【補正の内容】
【配列表】
【外国語明細書】