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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174204
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】冷媒回収システム
(51)【国際特許分類】
   F25B 45/00 20060101AFI20221115BHJP
【FI】
F25B45/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143337
(22)【出願日】2022-09-08
(62)【分割の表示】P 2021061282の分割
【原出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】加治 隆平
(72)【発明者】
【氏名】熊倉 英二
(72)【発明者】
【氏名】吉見 敦史
(72)【発明者】
【氏名】田中 政貴
(72)【発明者】
【氏名】上田 浩貴
(72)【発明者】
【氏名】中山 雅樹
(57)【要約】
【課題】冷凍サイクル装置から収容された冷媒を再利用するにあたっての作業が煩雑になることを抑制する。
【解決手段】冷媒回収システムは、ボンベと、第1検知部と、制御部とを備える。ボンベは、冷凍サイクル装置に充填された冷媒を収容する。第1検知部は、ボンベに収容された冷媒の組成を算出するための所定の物理量を検知する。制御部は、第1検知部の検知結果を取得して第1検知結果として出力する。冷媒回収システムは、算出部をさらに備えてもよく。算出部は、第1検知結果に基づいてボンベに収容された冷媒の組成に関する情報である組成情報を算出する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍サイクル装置(500)に充填された冷媒を収容するボンベ(10)と、
前記ボンベに収容された冷媒の組成を算出するための所定の物理量を検知する第1検知部(20)と、
前記第1検知部の検知結果を取得して第1検知結果として出力する制御部(30)と
を備える、
冷媒回収システム(100)。
【請求項2】
前記第1検知結果に基づいて前記ボンベに収容された前記冷媒の組成に関する情報である組成情報を算出する算出部(40)をさらに備える、
請求項1に記載の冷媒回収システム。
【請求項3】
前記ボンベに取付けられ、所定の情報を表示する表示部(50)をさらに備え、
前記制御部は、
前記第1検知結果又は前記組成情報を前記表示部に表示させる、
請求項2に記載の冷媒回収システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記組成情報を参照し、所定の組成物の割合が所定の範囲内でないと判断すると、前記表示部に第1情報を表示する、
請求項3に記載の冷媒回収システム。
【請求項5】
前記ボンベに取付けられた通信部(60)をさらに備え、
前記制御部は、
前記第1検知結果を通信部により送信する、
請求項1から4のいずれかに記載の冷媒回収システム。
【請求項6】
前記制御部は、
前記ボンベに設定された識別番号を、前記表示部に表示する、
請求項1から5のいずれかに記載の冷媒回収システム。
【請求項7】
前記物理量は、
前記ボンベに収容された前記冷媒のガス相の赤外線吸収率である、
請求項1から6のいずれかに記載の冷媒回収システム。
【請求項8】
前記物理量は、
前記ボンベに収容された際の前記冷媒の温度及び圧力をさらに含む、
請求項7に記載の冷媒回収システム。
【請求項9】
前記物理量は、
前記ボンベに収容された前記冷媒の液冷媒量をさらに含む、
請求項8に記載の冷媒回収システム。
【請求項10】
前記ボンベに収容された前記冷媒に含まれる所定の不純物を検知する第2検知部(70)をさらに備え、
前記制御部は、
前記第2検知部が前記不純物を検知した場合に、前記表示部に第2情報を表示する、
請求項1から9のいずれかに記載の冷媒回収システム。
【請求項11】
前記不純物は、
大気又は水である、
請求項10に記載の冷媒回収システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
冷媒回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特表2018-532091号公報)は、冷凍ユニット(冷凍サイクル装置)の冷媒を再利用するために回収するシステムを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1が開示するようなシステムを利用した冷媒循環サイクルでは、混合冷媒を用いた冷凍サイクル装置から冷媒を回収する場合、一部の冷媒が漏洩する等して冷媒の組成が変化をする恐れがある。このため、ボンベに収容された冷媒を再利用しようとする場合、ボンベから取り出した冷媒の一部について組成を測定して再利用の可否を判断する必要があり、作業が煩雑になる。
【0004】
本開示は、冷凍サイクル装置から収容された冷媒を再利用するにあたっての作業が煩雑になることを抑制する冷媒回収システムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1観点の冷媒回収システムは、ボンベと、第1検知部と、制御部とを備える。ボンベは、冷凍サイクル装置に充填された冷媒を収容する。第1検知部は、ボンベに収容された冷媒の組成を算出するための所定の物理量を検知する。制御部は、第1検知部の検知結果を取得して第1検知結果として出力する。
【0006】
冷媒回収システムでは、ボンベに収容された冷媒の組成を算出するための所定の物理量を第1検知部が検知し、制御部が第1検知結果として出力する。このため、ボンベから冷媒を取り出すことなく、制御部の出力結果を参照することでボンベに収容された冷媒の組成を算出して、冷媒の再利用の可否を判断できる。したがって、冷媒回収システムによれば、冷凍サイクル装置から収容された冷媒を再利用するにあたっての作業が煩雑になることが抑制される。
【0007】
第2観点の冷媒回収システムは、第1観点の冷媒回収システムであって、算出部をさらに備える。算出部は、第1検知結果に基づいてボンベに収容された冷媒の組成に関する情報である組成情報を算出する。
【0008】
本冷媒回収システムによれば、算出部が組成情報を算出するため、作業者は冷媒の組成情報を容易に参照することができる。このため、冷凍サイクル装置から収容された冷媒を再利用するにあたっての作業が煩雑になることがより効果的に抑制される。
【0009】
第3観点の冷媒回収システムは、第2観点の冷媒回収システムであって、冷媒回収システムは、表示部をさらに備える。表示部は、ボンベに取付けられ、所定の情報を表示する。制御部は、組成情報を表示部に表示させる。冷媒回収システムは、ボンベに取付けられた表示部に組成情報を表示させる。
【0010】
本冷媒回収システムによれば、作業者は、表示部を通じて冷媒の組成情報を容易に参照することができる。このため、冷凍サイクル装置から収容された冷媒を再利用するにあたっての作業が煩雑になることがより効果的に抑制される。
【0011】
第4観点の冷媒回収システムは、第3観点の冷媒回収システムであって、制御部は、組成情報を参照し、所定の組成物の割合が所定の範囲内でないと判断すると、表示部に第1情報を表示する。
【0012】
本冷媒回収システムによれば、作業者がボンベに充填された冷媒の再利用の可否を容易に知ることができるため、冷凍サイクル装置から収容された冷媒を再利用するにあたっての作業が煩雑になることがより効果的に抑制される。
【0013】
第5観点の冷媒回収システムは、第1観点から第4観点のいずれかの冷媒回収システムであって、ボンベに取付けられた通信部をさらに備える。制御部は、第1検知結果を通信部により送信する。
【0014】
本冷媒回収システムによれば、冷媒を回収する現場以外においても、収容された冷媒の第1検知結果を取得できる。このため、冷凍サイクル装置から収容された冷媒を再利用するにあたっての作業が煩雑になることがより効果的に抑制される。
【0015】
第6観点の冷媒回収システムは、第1観点から第5観点のいずれかの冷媒回収システムであって、制御部は、ボンベに設定された識別番号を、表示部に表示する。
【0016】
本冷媒回収システムによれば、作業者が、ボンベの混合冷媒の組成情報と識別番号とを表示部によって容易に参照することができる。このため、本冷媒回収システムによれば、ボンベとボンベに充填された冷媒の組成情報との紐づけが容易になり、冷凍サイクル装置から収容された冷媒を再利用するにあたっての作業が煩雑になることがより効果的に抑制される。
【0017】
第7観点の冷媒回収システムは、第1観点から第6観点のいずれかの冷媒回収システムであって、物理量は、ボンベに収容された冷媒のガス相の赤外線吸収率である。冷媒回収システムでは、制御部は、ボンベに収容された冷媒のガス相の赤外線吸収率を第1検知結果として出力する。
【0018】
本冷媒回収システムによれば、冷媒のガス相の赤外線吸収率に基づいて、冷媒の組成比率を算出できる。
【0019】
第8観点の冷媒回収システムは、第7観点の冷媒回収システムであって、物理量は、ボンベに収容された際の冷媒の温度及び圧力をさらに含む。
【0020】
本冷媒回収システムによれば、冷媒のガス相の赤外線吸収率のみから組成情報を算出する場合と比べて、より正確に組成情報を算出することができる。
【0021】
第9観点の冷媒回収システムは、第8観点の冷媒回収システムであって、物理量は、ボンベに収容された冷媒の液冷媒量をさらに含む。
【0022】
本冷媒回収システムによれば、冷媒のガス相の赤外線吸収率、ならびにボンベに収容された際の冷媒の温度及び圧力から組成情報を算出する場合と比べて、さらに正確に組成情報を算出することができる。
【0023】
第10観点の冷媒回収システムは、第1観点から第9観点のいずれかの冷媒回収システムであって、第2検知部をさらに備える。第2検知部は、ボンベに収容された冷媒に含まれる所定の不純物を検知する。制御部は、第2検知部が不純物を検知した場合に、表示部に第2情報を表示する。
【0024】
冷媒回収システムによれば、作業者は、ボンベから冷媒を取り出すことなく、冷媒の組成情報に加えて、不純物の含有量を知ることができる。このため、冷媒回収システムによれば、冷凍サイクル装置から収容された冷媒を再利用するにあたっての作業が煩雑になることがより効果的に抑制される。
【0025】
第11観点の冷媒回収システムは、第10観点の冷媒回収システムであって、不純物は、大気又は水である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】冷媒循環サイクルの概略構成図である。
図2】冷媒回収システム100の概略構成図である。
図3】制御部30及び算出部40が実行する制御フローのフローチャートである。
図4】変形例1Aに係る冷媒回収システム100の制御部30及び算出部40が実行する制御フローのフローチャートである。
図5】冷媒回収システム110の概略構成図である。
図6】冷媒回収システム120の概略構成図である。
図7】制御部32及び算出部40が実行する制御フローのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<第1実施形態>
(1)全体構成
第1実施形態に係る冷媒回収システム100は、冷凍サイクル装置500から冷媒を回収する作業が煩雑になることを抑制するシステムである。冷凍サイクル装置500は、冷媒を用いて蒸気圧縮式の冷凍サイクルを実現する機器である。冷凍サイクル装置500は、例えば、空気調和装置、空気清浄装置、ヒートポンプ式給湯装置、冷凍装置又は冷蔵装置である。冷凍サイクル装置500に使用される冷媒は、複数の冷媒を所定の組成比率で混合した混合冷媒である。冷凍サイクル装置500に使用される冷媒は、限定をするものではないが、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)と二酸化炭素(R744)とを、所定の組成比率で含む。
【0028】
はじめに、冷媒回収システム100が、主に、使用される冷媒循環サイクルについて概要を説明する。図1は、冷媒循環サイクルの概略構成図である。
【0029】
冷媒循環サイクルは、主として、生産段階、分配段階、据付段階、メンテナンス段階、回収段階、及び再生段階から構成される。図1では、冷媒の流れが矢印で示されている。冷媒は、冷媒は、ボンベR1等の専用の容器、又は、冷凍サイクル装置500に充填された状態で流通する。図1には、冷媒が充填されたボンベR1、及び、冷媒が充填された冷凍サイクル装置500の流れが示されている。
【0030】
生産段階では、冷媒製造業者によって冷媒が新規に生産される。生産段階で生産された冷媒は、専用のボンベR1に充填されて冷媒の分配業者に出荷される。冷媒の出荷先は、例えば、冷凍サイクル装置500をはじめとする冷媒使用機器の製造業者、冷媒使用機器の据付業者、及び冷媒使用機器のメンテナンス業者である。冷媒使用機器の製造業者は、冷媒使用機器の製造時又は出荷時において、必要に応じて冷媒使用機器に冷媒を充填する。
【0031】
分配段階では、冷媒の分配業者によって、生産段階で新規に生産された冷媒、又は、再生段階で再生された冷媒が分配される。分配業者は、例えば、冷媒製造業者が製造した冷媒、又は、再生業者が再生した冷媒を買い取り、冷媒使用機器の製造業者、据付業者及びメンテナンス業者の少なくとも1つに販売する。
【0032】
据付段階では、据付業者によって所定の設置場所に冷凍サイクル装置500が据え付けられる。所定の設置場所は、例えば、冷凍サイクル装置500の保有者が利用又は所有している建物等の物件である。据付業者は、冷凍サイクル装置500の据付時に、分配業者により分配された冷媒を、冷凍サイクル装置500に充填する。
【0033】
メンテナンス段階では、設置された冷凍サイクル装置500の保守管理が、メンテナンス業者によって行われる。具体的には、メンテナンス業者は、冷凍サイクル装置500の点検作業又は修理作業等を行う。メンテナンス業者は、必要に応じて、冷媒が充填されたボンベR1を用いて、冷凍サイクル装置500に充填されている冷媒の交換作業、又は、冷凍サイクル装置500に冷媒を補充するための再充填作業を行う。冷媒の交換作業は、例えば、冷凍サイクル装置500が設置された後、所定の期間が経過した時に行われる。冷媒の再充填作業は、例えば、冷凍サイクル装置500に充填されている冷媒の量が不足していることが点検時に発覚した時に行われる。
【0034】
回収段階では、冷媒の回収業者によって、冷凍サイクル装置500、又は、物件に据え付けられた冷凍サイクル装置500及び冷媒配管に充填されている冷媒が回収される。回収業者は、冷凍サイクル装置500の修理、移設又は廃棄等の際に、冷媒を回収する。冷媒の回収方法としては、冷媒配管に充填されている冷媒を冷凍サイクル装置500内に集めて回収する方法、及び、冷凍サイクル装置500と冷媒配管中の冷媒を専用のボンベR1に収容して回収する方法等がある。回収業者は、冷凍サイクル装置500に充填されている冷媒を交換する時にも、冷凍サイクル装置500から冷媒を取り出して回収する。
【0035】
再生段階では、冷媒の再生業者によって、回収業者が回収した冷媒の再生処理が行われる。冷媒の再生処理とは、例えば、回収された冷媒を原料にして冷媒を再生産する処理、及び回収された冷媒から不純物を取り除く処理である。再生業者は、再生予定の冷媒が充填されたボンベR1を回収業者から引き取って、冷媒を再生する。再生された冷媒は、ボンベR1に収容される。
【0036】
(2)詳細構成
冷媒回収システム100は、ボンベ10と、第1検知部20と、制御部30と、算出部40と、表示部50とを有する。図2は、冷媒回収システム100の概略構成図である。
【0037】
(2-1)ボンベ10
ボンベ10は、冷凍サイクル装置500に充填された冷媒を回収するために収容する容器である。具体的には、ボンベ10は、冷媒循環サイクルのメンテナンス段階又は回収段階から再生段階の間において用いられるボンベR1に対応する。
【0038】
(2-2)第1検知部20
第1検知部20は、ボンベ10に収容された冷媒の組成比率を算出するための所定の物理量を検知する。本実施形態では、ボンベ10に収容された冷媒における二酸化炭素の組成比率を算出するために、第1検知部20は、所定の物理量としてボンベ10に収容された冷媒のガス相の赤外線吸収率を検知する。本実施形態では、第1検知部20は、ガス相の赤外線吸収率を測定できる赤外線ガス分析計である。
【0039】
(2-3)制御部30
制御部30は、第1検知部20の検知結果を取得して第1検知結果として出力する。本実施形態では、制御部30は、第1検知部20が検知した冷媒のガス相の赤外線吸収率を取得して第1検知結果として算出部40に出力する。また、制御部30は、算出部40から算出結果である組成情報を取得する。制御部30は、算出部40から組成情報を受信すると、この組成情報を表示部50に表示させる。
【0040】
制御部30はコンピュータにより実現されるものである。制御部30は、制御演算装置と記憶装置とを備える(いずれも図示省略)。制御演算装置には、CPU又はGPUといったプロセッサを使用できる。制御演算装置は、記憶装置に記憶されているプログラムを読み出し、このプログラムに従って所定の画像処理や演算処理を行う。さらに、制御演算装置は、プログラムに従って、演算結果を記憶装置に書き込んだり、記憶装置に記憶されている情報を読み出したりすることができる。
【0041】
(2-4)算出部40
算出部40は、制御部30が出力する第1検知結果に基づいてボンベ10に収容された冷媒の組成に関する情報である組成情報を算出する。本実施形態では、算出部40は、組成情報として、ボンベ10に収容された二酸化炭素の組成比率を、冷媒のガス相の赤外線吸収率をもとに算出する。算出部40は、算出された組成情報を制御部30に出力する。本実施形態では、算出部40はボンベ10に取り付けられている。
【0042】
算出部40は、制御部30と同様にコンピュータにより実現されるものである。算出部40は、制御部30と同じコンピュータにより実現されてもよいし、別のコンピュータにより実現されてよい。
【0043】
(2-5)表示部50
表示部50は、ボンベ10に取付けられ、所定の情報を表示する表示媒体である。表示部50は、所定の情報を制御部30から取得して表示する。本実施形態では、表示部50が表示する所定の情報は、算出部40が算出したボンベ10に収容された二酸化炭素の組成比率である。表示部50としては、限定をするものではないが、たとえば、液晶表示器、LED表示器、電気泳動表示器等が用いられる。なお、表示部50は、ボンベ10に取り付けられていなくてもよい。この場合、表示部50は通信ポートを備え、当該通信ポートを介して所定の情報を制御部30から取得して表示してもよい。
【0044】
(3)全体動作
図3は、制御部30及び算出部40が実行する制御フローのフローチャートである。図3の制御フローは、制御部30及び算出部40の電源が投入されることにより開始される。
【0045】
ステップS100において、制御部30は、第1検知部20が検知した物理量(ボンベ10に収容された冷媒のガス相の赤外線吸収率)を取得して、ステップS110に進む。
【0046】
ステップS110において、制御部30は、取得した第1検知部20の検知結果を第1検知結果として算出部40に出力し、ステップS120に進む。
【0047】
ステップS120において、算出部40は、第1検知結果に基づいて組成情報(ボンベ10に収容された二酸化炭素の組成比率)を算出し、この組成情報を制御部30に出力すると、ステップS130に進む。
【0048】
ステップS130において、制御部30は、組成情報を取得し表示部50に表示させ、制御フローを終了する。
【0049】
以上で説明をした制御フローは、たとえば、上述した冷媒循環サイクルのメンテナンス段階又は回収段階において実行される。具体的には、メンテナンス段階又は回収段階において、冷凍サイクル装置500の冷媒がボンベ10に回収されると、メンテナンス業者又は回収業者の作業者により図3の制御フローの実行が開始される。図3の制御フローが終了すると、ボンベ10に回収された二酸化炭素の組成比率が、ボンベ10に取り付け得られた表示部50に表示される。
【0050】
(4)特徴
(4-1)
冷媒回収システム100は、ボンベ10と、第1検知部20と、制御部30とを備える。ボンベ10は、冷凍サイクル装置500に充填された冷媒を収容する。第1検知部20は、ボンベ10に収容された冷媒の組成を算出するための所定の物理量を検知する。制御部30は、第1検知部20の検知結果を取得して第1検知結果として出力する。
【0051】
冷媒循環サイクルでは、冷凍サイクル装置500から回収した冷媒は、冷媒を新たに追加したり減らしたりする再生処理をすることなくそのまま再利用できることが好ましい。しかしながら、混合冷媒を用いた冷凍サイクル装置500からボンベ10に冷媒を収容する際に、一部の冷媒が漏洩する等して冷媒の組成が変化をする恐れがある。このため、ボンベ10に収容された冷媒を再利用しようとする場合、ボンベ10から取り出した冷媒の一部について組成を測定して再利用の可否を判断する必要があり、回収作業が煩雑になる。
【0052】
冷媒回収システム100では、ボンベ10に収容された冷媒のガス相の赤外線吸収率を第1検知部20が検知し、制御部30が第1検知結果として出力する。このため、再生段階では、ボンベ10から冷媒を取り出すことなく、制御部30の出力結果を参照することでボンベ10に収容された冷媒の組成比率を算出して、冷媒の再利用の可否を判断できる。したがって、冷媒回収システム100によれば、冷凍サイクル装置500から回収された冷媒を再利用するにあたっての作業が煩雑になることが抑制される
(4-2)
冷媒回収システム100は、算出部40をさらに備える。算出部40は、第1検知結果に基づいてボンベ10に収容された冷媒の組成に関する情報である組成情報を算出する。
【0053】
冷媒回収システム100は、算出部40を備えることで、第1検知結果であるボンベ10に収容された冷媒のガス相の赤外線吸収率に基づいてボンベ10に収容された冷媒の組成情報である二酸化炭素の組成比率を算出できる。本冷媒回収システム100によれば、算出部40が組成情報を算出するため、作業者は、冷媒の組成情報を容易に参照することができる。このため、冷凍サイクル装置500から回収された冷媒を再利用するにあたっての作業が煩雑になることがより効果的に抑制される。
【0054】
(4-3)
冷媒回収システム100は、表示部50をさらに備える。表示部50は、ボンベ10に取付けられ、所定の情報を表示する。制御部30は、組成情報を表示部50に表示させる。冷媒回収システム100は、ボンベ10に取付けられた表示部50に組成情報を表示させる。
【0055】
本冷媒回収システム100によれば、作業者は、表示部50を通じて冷媒の組成情報を容易に参照することができる。このため、冷凍サイクル装置500から回収された冷媒を再利用するにあたっての作業が煩雑になることがより効果的に抑制される。
【0056】
(4-4)
物理量は、ボンベ10に収容された冷媒のガス相の赤外線吸収率である。冷媒回収システム100では、制御部30は、ボンベ10に収容された冷媒のガス相の赤外線吸収率を第1検知結果として出力する。
【0057】
本冷媒回収システム100によれば、冷媒のガス相の赤外線吸収率に基づいて、冷媒に含まれる二酸化炭素の組成比率を算出できる。
【0058】
(5)変形例
(5-1)変形例1A
制御部30が表示部50に表示する情報は、組成情報に限定されない。変形例1Aに係る冷媒回収システム100では、制御部30は、組成情報を参照し、所定の組成物の割合が所定の範囲内でないと判断すると、表示部50に第1情報を表示する。具体的には、制御部30は、組成情報として二酸化炭素の組成比率を参照し、二酸化炭素の組成比率があらかじめ設定された許容割合の範囲内でないと判断すると、表示部50に第1情報を表示する。
【0059】
図4は、変形例1Aに係る冷媒回収システム100の制御部30及び算出部40が実行する制御フローのフローチャートである。図3に示された制御フローと、図4に示された制御フローとの主な相違点は、図4に示された制御フローが、ステップS121、及びステップS123を有する点である。以下では、相違点を中心に説明する。
【0060】
ステップS120において、算出部40は、第1検知結果に基づいて組成情報(ボンベ10に収容された二酸化炭素の組成比率)を算出し、この組成情報を制御部30に出力すると、ステップS121に進む。
【0061】
ステップS121において、制御部30は、組成情報を取得し、二酸化炭素の組成比率が許容割合の範囲内であるか否かを判断する。制御部30は、二酸化炭素の組成比率が許容割合の範囲内であれば(Yes)ステップS130に進み、二酸化炭素の組成比率が許容割合の範囲内でなければ(No)ステップS123に進む。
【0062】
より詳細には、ステップS121において、制御部30は、記憶装置にあらかじめ記録された二酸化炭素の許容割合を読み込み、取得した組成情報と比較することにより、二酸化炭素の組成比率が許容割合の範囲内であるか否かを判断する。許容割合の範囲とは、冷媒循環サイクルの再生段階において、二酸化炭素を新たに追加したり減らしたりする再生処理を行うことなく、ボンベ10に収容された冷媒を再利用できる二酸化炭素の組成比率の範囲である。二酸化炭素の許容割合の範囲は、たとえば、0.1%以上30%以下である。
【0063】
ステップS123において、制御部30は、表示部50に、第1情報を出力させステップS130に進む。第1情報は、ボンベ10に収容された二酸化炭素が、許容割合の範囲内にないため、新たな冷媒を充填することなく再利用できないことを作業者に示す警告である。
【0064】
本冷媒回収システム100によれば、作業者がボンベ10に充填された冷媒の再利用の可否を容易に知ることができるため、冷凍サイクル装置500から回収された冷媒を再利用するにあたっての作業が煩雑になることがより効果的に抑制される。
【0065】
(5-2)変形例1B
変形例1Bに係る冷媒回収システム100では、制御部30は、ボンベ10に設定された識別番号を表示部50に表示する。
【0066】
識別番号は、たとえば、冷媒循環サイクルにおいてボンベ10を管理するために、冷媒の回収業者によって各ボンベ10に個別に設定された番号である。識別番号は、制御部30の記憶装置に記録される。制御部30は、記憶装置に記録された識別番号を参照して、表示部50に表示させる。
【0067】
本冷媒回収システム100によれば、作業者が、冷媒の組成情報と識別番号とを表示部50によって容易に参照することができる。このため、本冷媒回収システム100によれば、ボンベ10とボンベ10に収容された冷媒の組成情報との紐づけが容易になり、冷凍サイクル装置500から冷媒を回収する作業が煩雑になることがより効果的に抑制される。
【0068】
(5-3)変形例1C
第1検知部20が検知する冷媒の組成を算出するための所定の物理量は、冷媒のガス相の赤外線吸収率に限定されない。所定の物理量は、ボンベ10に収容された際の冷媒の温度及び圧力をさらに含んでもよい。
【0069】
変形例1Cに係る冷媒回収システム100では、第1検知部20は、赤外線ガス分析計に加えて、冷媒の温度及び圧力を測定するための温度センサー及び圧力センサーを備える。
【0070】
変形例1Cに係る冷媒回収システム100では、制御部30は、図3に示された制御フローのステップS110において、冷媒のガス相の赤外線吸収率と、ボンベ10に収容された際の冷媒の温度及び圧力とを物理量として取得する。また、制御部30は、ステップS100において、これらの物理量を第1検知結果として算出部40に出力する。さらに、算出部40は、ステップS120において、冷媒のガス相の赤外線吸収率に加えて、ボンベ10に収容された際の冷媒の温度及び圧力を用いてボンベ10に収容された冷媒の組成情報を算出する。
【0071】
本冷媒回収システム100によれば、冷媒のガス相の赤外線吸収率のみから組成情報を算出する場合と比べて、より正確に組成情報を算出することができる。
【0072】
(5-4)変形例1D
所定の物理量は、ボンベ10に収容された冷媒の液冷媒量をさらに含んでもよい。
【0073】
変形例1Dに係る冷媒回収システム100では、第1検知部20は、赤外線ガス分析計、温度センサー、及び圧力センサーに加えて、液面センサーを備える。液面センサーは、ボンベ10内における液冷媒の液面の高さを測定して、液冷媒量を求める。
【0074】
変形例1Dに係る冷媒回収システム100では、制御部30は、図3に示された制御フローのステップS100において、冷媒のガス相の赤外線吸収率と、ボンベ10に収容された際の冷媒の温度及び圧力と、液冷媒量とを物理量として取得する。また、制御部30は、ステップS110において、これらの物理量を第1検知結果として算出部40に出力する。さらに、算出部40は、ステップS120において、冷媒のガス相の赤外線吸収率、ボンベ10に収容された際の冷媒の温度及び圧力に加えて、液冷媒量を用いてボンベ10に収容された冷媒の組成情報を算出する。
【0075】
本冷媒回収システム100によれば、冷媒のガス相の赤外線吸収率、ならびにボンベ10に収容された際の冷媒の温度及び圧力から組成情報を算出する場合と比べて、さらに正確に組成情報を算出することができる。
【0076】
(5-5)変形例1E
制御部30は、表示部50に、組成情報とともに、または組成情報に代えて第1検知結果を表示させてもよい。言い換えると、変形例1Eに係る冷媒回収システム100の制御部30は、第1検知部20の検知結果を取得した際の出力先を表示部50とする。
【0077】
<第2実施形態>
(1)全体構成
第2実施形態に係る冷媒回収システム110は、冷媒回収システム100が有する機能を、ボンベ10とは別に設けられた処理サーバを用いて実現する。冷媒回収システム110と冷媒回収システム100との相違点は、冷媒回収システム110が制御部30に代えて制御部31を備える点、算出部40に代えて算出部41を備える点、及び冷媒回収システム110が通信部60をさらに備える点である。以下では、冷媒回収システム110について、冷媒回収システム100との相違点を中心に説明する。
【0078】
(2)詳細構成
冷媒回収システム110は、ボンベ10と、第1検知部20と、制御部31と、算出部44と、表示部50と、通信部60とを有する。図5は、冷媒回収システム110の概略構成図である。
【0079】
(2-1)制御部31
制御部31と制御部30との相違点は、制御部31が、第1検知結果を通信部60に出力してネットワークNに送信する点である。また、制御部31は、通信部60を介して算出部41の算出結果である組成情報を取得する。制御部31は、組成情報を受信すると、この組成情報を表示部50に表示させる。
【0080】
(2-2)算出部41
算出部41と算出部40との相違点は、算出部41がボンベ10に取り付けられていない点である。算出部41は、インターネット等のネットワークNに接続されている。算出部41は、通信部60が送信した第1検知結果を、通信装置(図示省略)によりネットワークNから取得する。第1検知結果を受信した算出部41は、算出部40と同様に、第1検知結果に基づいてボンベ10に収容された冷媒の組成に関する情報である組成情報を算出する。算出部41は、算出された組成情報を、通信装置(図示省略)によりネットワークNに送信する。算出部41は、たとえば、回収業者、メンテナンス業者又は再生業者が有する処理サーバにより実現される。
【0081】
(2-3)通信部60
通信部60は、制御部31が出力した第1検知結果を送信するとともに、算出部41が送信した組成情報を受信する通信装置である。通信部60は、制御部31が出力した第1検知結果を、たとえば無線通信を用いてネットワークNに送信する。通信部60は、ネットワークNから算出部41が算出した組成情報を取得する。通信部60は、ボンベ10に取り付けられる。
【0082】
(3)全体動作
冷媒回収システム100と冷媒回収システム110との動作における相違点は、冷媒回収システム110での制御部31と算出部41との間での第1検知結果及び組成情報のやりとりが、通信部60及びネットワークNを介して行われている点である。それ以外の点について、図3に示された制御フローと違いはないため、動作についての詳細な説明は省略する。
【0083】
(4)特徴
(4-1)
冷媒回収システム110は、ボンベ10に取付けられた通信部60をさらに備える。制御部31は、第1検知結果を通信部60により送信する。
【0084】
冷媒回収システム110では、たとえば、メンテナンス段階又は回収段階において、冷凍サイクル装置500の冷媒がボンベ10に収容された時点で、得られた第1検知結果を通信部60により再生業者に送信できる。これにより、再生業者は、冷媒が収容された時点で得られた第1検知結果に基づいて、今後回収されてくる冷媒が、再生処理を行うことなく再利用が可能であるか、再充填等の処理が必要であるかの情報を得ることができる。したがって、冷媒回収システム110によれば、冷凍サイクル装置500から収容された冷媒を再利用するにあたっての作業が煩雑になることがより効果的に抑制される。
【0085】
(5)変形例
(5-1)変形例2A
冷媒回収システム110では、表示部50は、算出部41にも設けられてもよい。具体的には、表示部50は、算出部41を実現する処理サーバに設けられてもよい。
【0086】
<第3実施形態>
(1)全体構成
第3実施形態に係る冷媒回収システム120は、冷媒回収システム100が有する機能に加えて、ボンベ10に収容された冷媒に所定の不純物を検知する機能を有する。冷媒回収システム120と冷媒回収システム100との相違点は、冷媒回収システム120が第2検知部70をさらに備える点、及び制御部30に代えて制御部32を有する点である。以下では、冷媒回収システム120について、冷媒回収システム100との相違点を中心に説明する。
【0087】
(2)詳細構成
冷媒回収システム120は、ボンベ10と、第1検知部20と、制御部32と、算出部40と、表示部50と、第2検知部70とを有する。図6は、冷媒回収システム120の概略構成図である。
【0088】
(2-1)第2検知部70
第2検知部70は、ボンベ10に収容された冷媒に所定の不純物を検知する。本実施形態では、不純物は水分である。第2検知部70は、冷媒に含まれる水分を検知できる水分センサーであり、水分を検知したか否かを出力する。
【0089】
(2-2)制御部32
制御部32と制御部30との相違点は、制御部32が、第1検知部20の検知結果を取得して第1検知結果として算出部40に出力するのに加えて、第2検知部70不純物を検知した場合に、前記表示部に第2情報を表示する点である。
【0090】
また、制御部32は、算出部40から算出結果である組成情報を取得する。制御部32は、算出部40から組成情報を受信すると、この組成情報を表示部50に表示させる。
【0091】

(3)全体動作
図7は、制御部32及び算出部40が実行する制御フローのフローチャートである。
【0092】
図3に示された制御フローと、図7に示された制御フローとの相違点は、図7に示された制御フローが、ステップS125からステップS127を有する点である。以下では、相違点を中心に説明する。
【0093】
ステップS120において、算出部40は、第1検知結果に基づいてボンベ10に収容された冷媒の組成情報を算出し、組成情報を制御部32に出力し、ステップS125に進む。
【0094】
ステップS125において、制御部32は、第2検知部70の検知結果を取得し、冷媒に不純物である水分が含まれるか否か判断し、冷媒に不純物が含まれていれば(Yes)ステップS127に進み、不純物が含まれていなければ(No)ステップS130に進む。
【0095】
ステップS127において、制御部32は、表示部50に第2情報を出力させステップS130に進む。第2情報は、ボンベ10に収容された冷媒に水分が含まれるため、そのままでは再利用できないことを作業者に示す警告である。
【0096】
(5)特徴
(5-1)
冷媒回収システム120は、第2検知部70をさらに備える。第2検知部70は、ボンベ10に収容された冷媒に含まれる所定の不純物(水分)を検知する。制御部32は、第2検知部70が水分を検知した場合に、表示部50に第2情報を表示する。
【0097】
冷媒回収システム120によれば、作業者は、ボンベ10から冷媒を取り出すことなく、冷媒の組成情報に加えて、不純物の有無を知ることができる。このため、冷媒回収システム120によれば、冷凍サイクル装置500から収容された冷媒を再利用するにあたっての作業が煩雑になることがより効果的に抑制される。
【0098】
(6)変形例
(6-1)変形例3A
第2検知部70が検知する不純物は、冷媒への含有が好ましくない物質であれば水分に限定されない。変形例3Aに係る第3実施形態に係る冷媒回収システム120の第2検知部70は、不純物として大気を検出する。
【0099】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0100】
100 冷媒回収システム
10 ボンベ
20 第1検知部
30 制御部
40 算出部
50 表示部
60 通信部
70 第2検知部
500 冷凍サイクル装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0101】
【特許文献1】特表2018-532091号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7