(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174206
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】地表面下に土壌処理剤を施剤するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A01M 7/00 20060101AFI20221115BHJP
A01M 17/00 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
A01M7/00 W
A01M17/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143362
(22)【出願日】2022-09-09
(62)【分割の表示】P 2020194772の分割
【原出願日】2014-08-14
(31)【優先権主張番号】61/868,321
(32)【優先日】2013-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515012583
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ アグロ ベー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シンク,ジェイムズ エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ケネス エス.
(72)【発明者】
【氏名】ウォーリナー,リチャード エー.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】構造物に隣接した地表面下に土壌処理剤(例えば、防蟻剤又は他の殺有害生物剤)を施剤するための手持ち式高圧施剤ツールが必要とされている。
【解決手段】作業現場において土壌を処理するための方法及び装置710において、高圧施剤ツール712が、ベースユニット714に接続されて、構造物に隣接した作業現場の第1の領域に沿ってベースユニット714に対して移動され、且つ、作業現場の第1の領域に沿って土壌中に土壌処理剤を注入するように作動される。低圧施剤ツール711が、高圧施剤ツール712と交換されて、構造物に隣接し且つ作業現場の第1の領域とは異なる作業現場の第2の領域に沿って、ベースユニットに対して移動される。低圧施剤ツール711は、作業現場の第2の領域に沿って土壌に土壌処理剤を施剤するように作動される。
【選択図】
図23
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧モードと低圧モードとの間で選択的に動作可能である、土壌処理剤を施剤するための装置であって、
前記装置の前記高圧モードにおいて土壌中に高圧で土壌処理剤を注入するように動作可能な高圧施剤ツールと、
高圧施剤ツールとは別個のものであり且つ前記装置の前記低圧モードにおいて前記土壌に低圧で土壌処理剤を施剤するように動作可能な低圧施剤ツールであって、前記低圧が前記装置の前記高圧モードの前記高圧よりも実質的に低い、低圧施剤ツールと、
前記装置の前記高圧モードにおいて前記高圧施剤ツールと流体連通し且つ前記高圧モードにおいて前記高圧施剤ツールの動作のために前記高圧施剤ツールに加圧流体を送達するように動作可能なベースユニットと、を備えており、
前記ベースユニットが、前記装置の前記低圧モードにおいて前記低圧施剤ツールと流体連通し、且つ、前記低圧モードにおいて前記高圧モードにおけるよりも実質的に低い圧力で前記低圧施剤ツールに流体を送達するように動作可能であり、
前記高圧施剤ツール及び前記低圧施剤ツールのそれぞれが、前記ベースユニットに対して別々に位置決め可能であり、
前記高圧施剤ツールが動作しているときには前記低圧施剤ツールが動作不可能であり、前記低圧施剤ツールが動作しているときには前記高圧施剤ツールが動作不可能であるように、前記ベースユニット、高圧施剤ツール、及び低圧施剤ツールが相互に対して構成されている、装置。
【請求項2】
前記装置の前記高圧モードにおいて、前記高圧施剤ツールが、前記高圧施剤ツールと流体連通する前記ベースユニットに接続され、前記低圧施剤ツールが前記ベースユニットから分離され、
前記低圧モードにおいて、前記低圧施剤ツールが、前記低圧施剤ツールと流体連通する前記ベースユニットに接続され、前記高圧施剤ツールが前記ベースユニットから分離される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ベースユニットが、前記ベースユニットから流体を送達するための導管を含み、
前記高圧モードにおいては、前記高圧施剤ツールが前記導管に接続される一方で、前記低圧施剤ツールが前記導管から分離され、
前記低圧モードにおいては、前記低圧施剤ツールが前記導管に接続される一方で、前記高圧施剤ツールが前記導管から分離される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ベースユニットが、前記ベースユニットから流体を送達するために前記ベースユニットの動作を制御するための制御システムを備えており、
前記制御システムが、前記ベースユニットの動作を前記装置の前記高圧モードと前記装置の前記低圧モードとの間で選択的に切り替えるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ベースユニットが、搬送液体の供給源から搬送液体を送達するように動作可能な圧力ポンプと、前記装置の前記低圧モードにおいて前記ベースユニットから送達される流体を画定するために前記搬送液体と混合される活性成分を収容するためのタンクと、前記搬送液体と混合するために前記タンクから活性成分を送達するように動作可能な蠕動ポンプと、を備えており、
前記圧力ポンプが、前記装置の前記低圧モードにおいて前記搬送液体を或る流量で送達するように動作可能であり、
前記蠕動ポンプが、前記装置の前記低圧モードにおいて、前記搬送液体の流量に基づいた投与量で前記活性成分を送達するように動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記蠕動ポンプが、前記搬送液体の流量の変化に応答して調節可能な稼働率を有している、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
作業現場において構造物に隣接した土壌を処理する方法であって、
前記構造物に隣接した前記作業現場の第1の領域に沿って高圧注入装置を移動させること、
前記高圧注入装置を作動させて、前記作業現場の前記第1の領域に沿って前記土壌中に土壌処理剤を注入すること、
前記構造物に隣接した前記作業現場の第2の領域に沿って低圧施剤ツールを移動させること、
前記低圧施剤ツールを作動させて、前記作業現場の前記第2の領域に沿って前記土壌に土壌処理剤を施剤すること、を含む方法。
【請求項8】
前記低圧施剤ツールが、それを通して前記低圧施剤ツールから土壌処理剤が送達される出口を有しており、
前記作業現場の前記第2の領域に沿って前記低圧施剤ツールを移動させる前記ステップが、注入のたびに前記ツールの前記出口が硬化した表面よりも下方に位置するように、前記第2の作業領域に沿って離間された位置において前記低圧施剤ツールの少なくとも一部分を断続的に地中に挿入することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記低圧施剤ツールが、それを通して前記低圧施剤ツールから土壌処理剤が送達される出口を有しており、
前記作業現場の前記第2の領域に沿って低圧施剤ツールを移動させる前記ステップが、前記第2の作業領域において地面に穴及び溝のうちの少なくとも一つを掘削することと、前記低圧施剤ツールを作動させる前に前記ツールの前記出口が前記地表面よりも下方に位置するように、前記低圧施剤ツールの少なくとも一部分を前記穴及び溝のうちの少なくとも一つに挿入することとを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記高圧注入装置を作動させて前記土壌中に土壌処理剤を注入する前記ステップが、前記高圧注入装置を作動させて前記第1の領域の第1の注入地点において前記土壌中に土壌処理剤を注入することと、前記高圧注入装置を前記第1の領域の第2の注入地点に移動させている間、前記高圧注入装置からの前記土壌処理剤の流れを止めることと、前記高圧注入装置を作動させて前記第1の領域の前記第2の注入地点において前記土壌中に土壌処理剤を注入することとを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記作業現場が、前記構造物の周りの周辺部全体を実質的に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記高圧注入装置及び前記低圧施剤ツールのうちの一つ以上によって施剤される前記土壌処理剤が、防蟻剤を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の領域が、前記作業現場のうちの複数の別個の領域を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の領域が、前記作業現場のうちの複数の別個の領域を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項15】
前記作業現場の前記第1の領域を画定するために、前記作業現場のうちのどの領域が前記高圧注入装置を使用する処理に適しているかを判定することと、前記作業現場の前記第2の領域を画定するために、前記作業現場のうちのどの領域が前記高圧注入装置を使用する処理に適していないかを判定することとをさらに含み、
前記判定することが、前記作業現場の前記土壌のタイプ、及び前記作業現場の前記地表面のうちの一つ以上と相関している、請求項7に記載の方法。
【請求項16】
前記作業現場の前記第2の領域が、強く圧縮した土壌、及び前記土壌上の硬化した地表面のうちの一つ以上を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記作業現場の前記第1の領域に沿って前記高圧注入装置を移動させることの前に、前記高圧注入装置が流体送達デバイスに対して位置決め可能であるように、前記高圧注入装置と流体連通する前記流体送達デバイスに前記高圧注入装置を接続するステップをさらに含み、
前記高圧注入装置を作動させて前記土壌中に土壌処理剤を注入する前記ステップが、前記流体送達デバイスを作動させて前記高圧注入装置に高圧で流体を送達することを含み、 前記方法が、前記作業現場の前記第2の領域に沿って前記低圧施剤ツールを移動させることの前に、前記高圧注入装置を前記流体送達デバイスから分離することと、前記低圧施剤ツールが前記流体送達デバイスに対して位置決め可能であるように、前記低圧施剤ツールと流体連通する前記流体送達デバイスに前記低圧施剤ツールを接続することとをさらに含み、
前記低圧施剤ツールを作動させて土壌処理剤を施剤する前記ステップが、前記流体送達デバイスを作動させて、前記注入装置に送達される前記流体の前記高圧よりも実質的に低い圧力で前記低圧施剤ツールに流体を送達することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項18】
前記流体送達デバイスから前記注入装置を分離する前に前記高圧注入装置から圧力を抜くことをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記作業現場の前記第2の領域が、少なくとも部分的には前記作業現場の前記第1の領域と重なる、請求項7に記載の方法。
【請求項20】
前記高圧注入装置を作動させる前記ステップが、前記高圧注入装置を作動させて前記土壌の前記表面よりも深い注入深さまで前記土壌中に土壌処理剤を注入することを含み、
前記作業現場の第2の領域に沿って低圧施剤ツールを移動させる前記ステップが、前記作業現場の前記第1の領域に重なった第2の領域に沿って前記低圧施剤ツールを移動させることを含み、
前記低圧施剤ツールを作動させる前記ステップが、前記注入深さよりも深い前記土壌中に前記低圧施剤ツールを挿入することと、前記低圧施剤ツールを作動させて前記注入深さよりも深い前記土壌に土壌処理剤を施剤することとを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の分野は一般に、土壌処理に関し、より詳細には、特定の動作モードでは土壌処理剤が注入される前に土壌表面を乱すことのない手持ち式施剤ツールを使用して地表面下に土壌処理剤(例えば、殺有害生物剤)を施剤するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
虫又は他の有害生物の蔓延を防止するために、建造物近傍の土壌への土壌処理剤の挿入が用いられてきた。処理なしでは、これらの有害生物は、建造物の所有者又はその占有者にとって大きな迷惑又は危険となる恐れがある。そのような有害生物は、建造物の構造を冒すことで知られており、また、建造物に侵入して、建造物の占有者に他の問題をもたらす可能性がある。
【0003】
少なくとも一つの公知の土壌処理方法は、構造物の下及び周辺、装飾的な植栽、ポール、フェンス、デッキ、又は他の木製要素の周辺又は近傍の土壌中に直接配置することにより、殺有害生物剤、肥料、又は他の土壌処理剤を施剤することを含む。この直接配置する方法は、掘削、溝掘り、及び/又はロッジング(rodding)(即ち、施剤デバイスを土壌に押し込むこと)を行い、次いで溝の掘り返した領域に土壌処理剤を直接配置することを含む。この公知の方法は、植生に被害をもたらしたり、造園を中断させたり、植生が再生するか新規の植え付けがなされるまで、処理した領域の美観及び価値に著しく影響を及ぼすか又はそれらを損なわせたりする可能性がある。
【0004】
例えば、幾つかの一般的なシロアリ処理では、構造物の周囲の土壌への防蟻剤の直接配置は、おおよそ幅が4インチから6インチで深さが6インチの溝を掘削することを伴い、その溝に、10リニアフィート(linear feet)の溝の1フィートの深さにつき4ガロンの割合で防蟻剤合成物が施剤される。溝への土壌処理剤の施剤に加えて、土壌処理剤はまた、一般におおよそフッタ(footer)(即ち、建造物の基礎の一部)の頂部の深さまで地中に突き刺されるロッド型注入ツールの使用を通じて、地中に分配され得る。200リニアフィートの周囲長さを有する典型的な構造物の場合、準備し、掘削し、注入して、土壌処理剤の施剤を終わらせるための時間は、土壌のタイプ、及び施剤する技術者が二人組か単独かに応じて、少なくとも4時間から6時間を要する。
【0005】
別の公知の土壌処理方法は、ツールを直接地中に挿入して、殺有害生物剤、肥料、又は他の土壌処理剤を地中に送達することを含む。土壌表面下への土壌処理剤の施剤は、処理剤の洗い流しを制限する一手段として使用されてきた。そのような土壌処理を実行するための典型的なデバイスは、土壌中に通路を作り、また、その通路を通して処理剤が地下領域に施剤される、針又は他の機械的なデバイスを利用してきた。これらのデバイスは、機械力を使用して穴を作ることを必要とするだけでなく、見苦しくなり得る穴を土壌に作ること、又は、挿入地点に隣接した土壌の不要な圧縮などの他の不都合な懸念を生じさせることといった、明白な制約を有する。さらに、地中に押し込まれるデバイスは、土壌又は他の岩屑が詰まる可能性があり、それにより、施剤ツールを分解して洗浄することが必要とされる。地中に押し込まれるデバイスの別の欠点は、デバイスが土壌病原体又は他の汚染物質で汚染される可能性があり、それらが次の注入地点に移される可能性があることである。
【0006】
土壌表面下に物質を効果的に注入する方法として高圧流を使用することは、Apparatus and Method for Aerating and/or Introducing Particulate Matter into a Ground Surfaceと題されたモンローへの米国特許第5,370,069号などで、以前から説明されていた。これらの方法は、土壌処理剤が流体に溶解しているものであれ流体とともに運ばれる粒状物質であれ、土壌処理剤を同伴する空気又は水などの流体の高圧ジェットを使用する。高圧ジェットは、内部に土壌処理物質が配置される小さな穴を土壌表面に形成するか、又は、土壌処理物質を急速に土壌表面に吸収させることができ、それにより、土壌乱れが最小限に抑えられる。高圧ジェットを使用する一つの利点は、土壌処理物質を土壌表面下に配置する前提として通路を作り出すために、機械的な作用力を必要としないことである。さらに、ツールを直接地表面下に配置することなどの、他の土壌乱れもなんら必要としない。
【0007】
モンローの特許で開示されたデバイスなどのデバイスは、表面下への土壌処理物質の配置に効果的であるが、それらのデバイスは、土壌表面下の浅い距離に、また、機器のサイズが制限されない広く開けた場所にわたって、そのような物質を散布するように設計されている。これらの公知のデバイスは、特に虫の蔓延に対する処理に関する処理が一般的である、構造物、装飾的な植栽、ポール、フェンス、デッキ、及び他の木製要素の下並びに周辺の土壌中のより深い所に土壌処理剤を戦略的に注入するのには適していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、構造物に隣接した地表面下に土壌処理剤(例えば、防蟻剤又は他の殺有害生物剤)を施剤するための手持ち式高圧施剤ツールが必要とされている。そのような手持ち式ツールにより、操作者は、家屋、デッキ、家屋及び/又はデッキに近接し得る任意の造園要素などの構造物の周囲、電柱の周囲、及び植物の周囲に、戦略的にそのツールを位置決めすることが可能になるであろう。ツールは、望ましい所定の深さまで土壌処理剤を注入するために制御された圧力で所定量の土壌処理剤を施剤するための複数のノズルを含み得る。これにより、施剤する領域が慎重に制御された、正確な施剤が可能になる。
【0009】
しかし、一部の施剤では、土壌のタイプ(例えば、固い土壌、圧縮した土壌、等)又は他の障害のタイプ(例えば、コンクリート製パティオ、歩道、等)により、操作者が高圧施剤ツールを使用して特定の領域を処理することが妨げられる場合がある。したがって、高圧モードや低圧モード(高圧での施剤を実行することができない領域に殺有害生物剤を施剤する際に使用する)などの異なるモードで動作することができるシステムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一つの態様では、高圧モードと低圧モードとの間で選択的に動作可能な土壌処理剤を施剤するための装置が一般に、装置の高圧モードにおいて土壌中に高圧で土壌処理剤を注入するように動作可能な高圧施剤ツールを備える。低圧施剤ツールが、高圧施剤ツールとは別に存在し、且つ、装置の低圧モードにおいて、装置の高圧モードの高圧よりも実質的に低い低圧で土壌処理剤を土壌に施剤するように動作可能である。ベースユニットが、装置の高圧モードにおいて高圧施剤ツールと流体連通し、且つ、高圧モードにおいて高圧施剤ツールの動作のために高圧施剤ツールに加圧流体を送達するように動作可能である。ベースユニットは、装置の低圧モードにおいて低圧施剤ツールと流体連通し、且つ、低圧モードにおいて高圧モードよりも実質的に低い圧力で低圧施剤ツールに流体を送達するように動作可能である。高圧施剤ツール及び低圧施剤ツールのそれぞれは、ベースユニットに対して個々に位置決め可能(positionable)である。ベースユニット、高圧施剤ツール、及び低圧施剤ツールは、高圧施剤ツールが動作しているときには低圧施剤ツールが動作不可能であるように、また、低圧施剤ツールが動作しているときには高圧施剤ツールが動作不可能であるように、相互に対して構成される。
【0011】
別の態様では、作業現場において構造物に隣接した土壌を処理する方法が、一般に、構造物に隣接した作業現場の第1の領域に沿って高圧注入装置を移動させること、及び、注入装置を作動させて、作業現場の第1の領域に沿って土壌中に土壌処理剤を注入することを含む。低圧施剤ツールが、構造物に隣接した作業現場の第1の領域とは異なる作業現場の第2の領域に沿って移動される。低圧施剤ツールは、作業現場の第2の領域に沿って土壌に土壌処理剤を施剤するように作動される。
【0012】
さらに別の態様では、地下土壌中に土壌処理剤を注入する方法が一般に、殺有害生物剤を注入される土壌に注入装置の少なくとも一つの高圧ノズルが隣接するように、注入装置を位置決めすることを含む。注入装置は、加圧土壌処理剤を少なくとも一つの高圧ノズルに送達するようにトリガされ、それにより、加圧土壌処理剤は、高圧ノズルから土壌表面下中に噴射される。トリガリングは一般に、搬送液体が少なくとも一つの高圧ノズルに高圧で送達される所定の時間周期を決定することを含み、この所定の時間周期は、少なくとも部分的には、土壌処理剤が注入される土壌のタイプに基づく。所定の投与量の活性成分が、少なくとも一つの高圧ノズルから土壌処理剤が噴射される前に土壌処理剤を画定するために、所定の時間周期にわたって少なくとも一つの高圧ノズルに向けて送達されて、搬送液体と混合される。所定の投与量は注入ごとのものであり、且つ、所定の時間周期に無関係なものである。
【0013】
なおもさらに別の態様では、地下土壌中に土壌処理剤を注入するための装置が一般に、土壌中に高圧で土壌処理剤を注入するように動作可能な注入装置を含む。ベースユニットが、注入装置に加圧流体を送達するように動作可能である。注入装置は、注入装置とベースユニットとの間に流体通路を画定する導管により、注入装置と流体連通するベースユニットに接続され、ベースユニットから離れた所に位置決め可能となる。注入装置は、ベースユニットへの給電接続なしで注入装置に電力を供給するための電池を携行する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】システムがベースユニット及び手持ち式施剤ツールを含む、例示的な一実施形態による、地中に防蟻剤を注入するための高圧注入システムの概略図である。
【
図2】
図1の手持ち式可搬型施剤ツールの、一部を切り取った正面概略図である。
【
図3】
図2の手持ち式可搬型施剤ツールの側面概略図である。
【
図4】施剤ツールで使用するための、細長い形状のマニホルドヘッドの概略斜視図である。
【
図5】施剤ツールで使用するための、弓形形状のマニホルドヘッドの概略斜視図である。
【
図6】高圧ノズルに隣接して位置決めされた低圧ノズルを有する、
図2に示される手持ち式可搬型施剤ツールのマニホルドヘッドの概略斜視図である。
【
図7】高圧ノズルと同心の低圧ノズルを有する、
図2に示される手持ち式可搬型施剤ツールのマニホルドヘッドの概略斜視図である。
【
図8】マーキング材料を塗布するための周辺のノズルを有する、
図2に示される手持ち式可搬型施剤ツールのマニホルドヘッドの底面概略図である。
【
図9】
図1に示されるベースユニットの側面概略図である。
【
図10】構造物に隣接した土壌に防蟻剤を注入するために使用される
図1の高圧注入システムを示す、上面概略図である。
【
図11】多孔中心ノズルを含むマニホルドヘッドの概略斜視図である。
【
図12】四つの中心ノズルを含むマニホルドヘッドの概略斜視図である。
【
図13】手持ち式施剤ツールの別の実施形態の概略斜視図である。
【
図14】
図13の手持ち式施剤ツールであるが、ツールのトリガスイッチが作動されている状態の概略斜視図である。
【
図15】システムがベースユニット及び手持ち式施剤ツールを含む、別の例示的な実施形態による、地中に防蟻剤を注入するための高圧注入システムの概略図である。
【
図16】
図15の手持ち式可搬型施剤ツールの、一部を切り取った正面概略図である。
【
図17】
図16の手持ち式可搬型施剤ツールの側面概略図である。
【
図18】システムがベースユニット及び手持ち式施剤ツールを含む、別の例示的な実施形態による、地中に防蟻剤を注入するための高圧注入システムの概略図である。
【
図19】
図18の手持ち式可搬型施剤ツールの正面概略図である。
【
図20】
図18の手持ち式可搬型施剤ツールの側面概略図である。
【
図21】
図18の手持ち式可搬型施剤ツールの背面概略図である。
【
図22】
図18のベースユニットから取り外されたホースリールの拡大概略斜視図である。
【
図23】装置がベースユニット、手持ち式可搬型高圧施剤ツール、及び手持ち式可搬型低圧施剤ツールを含む、地表面下に土壌処理剤を施剤するための装置の別の例示的な実施形態の概略図である。
【
図27】
図23のベースユニットから取り外されたホースリールの拡大概略斜視図である。
【
図28】
図23の装置の制御システム及び通信機能の概略図である。
【
図29】
図23の装置のためのベースユニット制御システムのディスプレイユニットからのスクリーンショットである。
【
図30】
図23の装置のためのベースユニット制御システムのディスプレイユニットからのスクリーンショットである。
【
図31】
図23の装置のためのベースユニット制御システムのディスプレイユニットからのスクリーンショットである。
【
図32】
図23の装置のためのベースユニット制御システムのディスプレイユニットからのスクリーンショットである。
【
図33】
図23の装置のためのベースユニット制御システムのディスプレイユニットからのスクリーンショットである。
【
図34】
図23の装置のためのベースユニット制御システムのディスプレイユニットからのスクリーンショットである。
【
図35】
図23の装置のためのベースユニット制御システムのディスプレイユニットからのスクリーンショットである。
【
図36】
図23の装置のためのベースユニット制御システムのディスプレイユニットからのスクリーンショットである。
【
図37】
図23の装置のためのベースユニット制御システムのディスプレイユニットからのスクリーンショットである。
【
図38】
図23の装置のためのベースユニット制御システムのディスプレイユニットからのスクリーンショットである。
【
図39】
図23の装置のためのベースユニット制御システムのディスプレイユニットからのスクリーンショットである。
【
図40】
図23の装置のためのベースユニット制御システムのディスプレイユニットからのスクリーンショットである。
【
図41】
図23の装置のためのベースユニット制御システムのディスプレイユニットからのスクリーンショットである。
【
図42】
図23の装置のためのベースユニット制御システムのディスプレイユニットからのスクリーンショットである。
【
図43】
図23の装置のためのベースユニット制御システムのディスプレイユニットからのスクリーンショットである。
【
図44】
図23の装置のためのベースユニット制御システムのディスプレイユニットからのスクリーンショットである。
【
図45】
図23の装置のためのベースユニット制御システムのディスプレイユニットからのスクリーンショットである。
【
図46】
図23の装置のためのベースユニット制御システムのディスプレイユニットからのスクリーンショットである。
【
図47】
図23の装置のためのベースユニット制御システムのディスプレイユニットからのスクリーンショットである。
【
図48】
図23の装置のための高圧施剤ツール制御システムのディスプレイユニットからのスクリーンショットである。
【
図49】
図23の装置のための高圧施剤ツール制御システムのディスプレイユニットからのスクリーンショットである。
【
図50】
図23の装置のための高圧施剤ツール制御システムのディスプレイユニットからのスクリーンショットである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
地表面下に土壌処理剤(例えば、殺有害生物剤、殺虫剤、防蟻剤、肥料、又は微量元素)を施剤するための高圧注入システムについて、以下に詳細に説明する。本明細書で開示されるシステムは、殺有害生物剤、殺虫剤、防蟻剤、又は土壌改良材を含む任意の適切な土壌処理剤を施剤するために使用することができ、また、様々なタイプの有害生物、病原体を抑制又は制御するため、又は土壌の栄養価を増大させるために使用できることが理解される。例えば、シロアリ、アリ、ゴキブリ、甲虫、ハサミムシ、シミ、コオロギ、クモ、ムカデ、ヤスデ、サソリ、ワラジムシ、ダンゴムシ、ハエ、カ、ブヨ、ガ、ジガバチ、スズメバチ、ミツバチ等を抑制及び/又は制御することが望ましくあり得る。本明細書において、「殺有害生物剤」という用語は、昆虫、動物(例えば、ハツカネズミ、クマネズミ)、植物(例えば、雑草)、菌類、微生物(例えば、細菌及びウイルス)、偽体腔動物(例えば、線虫)、及びプリオンを含むいかなる有害生物をも阻止、駆除、撃退、又は軽減するための任意の物質又は混合物を意味する。「殺虫剤」という用語は、殺有害生物剤の一種であるが、本明細書では、昆虫を阻止、駆除、撃退、又は軽減するための任意の物質又は混合物を意味する。「防蟻剤」という用語は、殺虫剤の一種であるが、本明細書では、シロアリを阻止、駆除、撃退、又は軽減するための任意の物質又は混合物を意味する。
【0016】
本明細書で説明される方法及びシステムは、地表面下への防蟻剤の施剤に関するものであるが、この方法及びシステムは、殺有害生物剤、殺虫剤、又は他の土壌処理剤を施剤するために使用することもできる。本明細書で説明されるような防蟻剤の使用は、決して限定的なものとして意図されていない。むしろ、防蟻剤の使用は、例示を目的としたものである。したがって、本明細書で説明される方法及びシステムは、地面の下に任意のタイプの土壌処理剤(例えば、殺有害生物剤、肥料、他の土壌改良材料、及び、構造物の周辺部の周りに配置される殺虫剤を含む昆虫処理剤)を施剤するために使用することができ、決して防蟻剤のみに限定されるものではない。
【0017】
本明細書で説明される方法及びシステムは、防蟻剤流体供給カート(ベースユニット)と、構造物、装飾的な植栽、ポール、フェンス、デッキ、樹木、並びに他の構造的及び非構造的な要素の下及び周りの土壌中への防蟻剤の施剤又は注入を容易にする可搬型手持ち式施剤ツールとを含む。例示的な実施形態は、掘削、溝掘り、及び/又はロッジングなどの特定の公知の技法、これらは全て少なくとも地表面又は土壌を機械的に乱すことを必要とするが、そのような技法を使用して防蟻剤を施剤する必要性を排除する。これらの公知の技法は、植生に被害をもたらしたり、造園を中断させたり、植物が再生するか新規の植え付けがなされるまで、処理した領域の美観及び価値に影響を及ぼすかそれらを損なわせたりする可能性がある。
【0018】
本明細書で説明される施剤システムは、施剤ツールを含み、この施剤ツールは、その頂部にはT字形ハンドル(tee-handle)を有し、その底部にはマニホルド組立体を有する。T字形ハンドルは、ハンドルとマニホルド組立体との間に延在する垂直軸の各側上に握り部分を含む。握り部分は、施剤中のツールの保持を支援し且つ手の負担を和らげるために、ゴム製グリップを含むことができる。他の実施形態では任意の適切なハンドル構成が使用され得ることが意図されている。例えば、ハンドルは、ツールの操作中又は運搬中に操作者の手の位置決めを調節可能にするために、ハンドルの外周の周りに連続的に又は分かれて延在する一つ以上のゴム製グリップを備えた円形状のハンドルであってもよい。
【0019】
ツールの垂直軸は、ハンドルが押し下げられたときにポーゴー(pogo stick)そっくりに軸を圧縮することを可能にする幾つかの部品から成る。軸が圧縮されることで、吐出し弁、例えばポペット弁を一時的に開放する、電子トリガスイッチ(概して、「作動装置」)が作動される。操作者がマニホルド組立体(即ち、デバイス板)を地面の上に位置させているときには、操作者は、ハンドルを使用して、軸に対して下向きの圧力(おおよそ15~20ポンド)を加えてトリガスイッチを作動させ、そしてトリガスイッチが、地中への防蟻剤の注入を1回だけ生じさせる。操作者は、スイッチを切るために、軸に加えられた圧力を解放しなければならず、それによりシステムがリセットされる。
【0020】
例示的な実施形態では、スイッチは、軸が1回圧縮されるたびに、1回だけ吐出し弁を作動させる。したがって、軸が1回圧縮されるたびに、吐き出し弁が1回だけ開かれて、ツールから所定量の防蟻剤が吐き出される。軸が解放されると、ツールのスイッチはリセットされる。次いで、再度軸を圧縮することにより、次の施剤を行うことができる。
【0021】
施剤ツールはまた、マニホルド組立体を軸に取り付ける取付けブラケットを含む。このブラケットは、施剤ヘッド又はマニホルド組立体が少なくとも一つの軸のまわりで枢動できるようにする。それにより、操作者は、施剤スイッチの作動の前にマニホルド組立体が適切に位置決めされるように、ツールを調整することができる。
【0022】
マニホルド組立体は、吸入口、吐出し弁、複数の高圧ノズル、マニホルドヘッド、及び、複数の高圧ノズルを保護するための接触板を含む。システムはまた、供給カートと手持ち式施剤ツールとの間に延在する、少なくとも一つの高圧液体ライン及び電気接続を含む。システムはまた、圧力マニホルド、及び、電子スイッチの1回の作動中に吐出し弁が開いたままでいる時間の長さを設定する電子制御装置(概して、「弁閉塞装置」)を含む。
【0023】
動作にあたっては、供給カート上に収容された容器からの測定された分量の液体防蟻剤濃縮物が、測定された供給量の水と混合されて、列形噴射システムによって施剤ツールへ送り込まれる。別の実施形態では、防蟻剤濃縮物は、施剤ツール上に収容されたタンクから供給されて、噴射ポンプを介して施剤マニホルドへ送り込まれる。さらに別の実施形態では、防蟻剤溶液は、列形噴射ポンプ又はデバイスを必要とすることなく、タンク又は容器から施剤ツールへ供給される。なおも別の実施形態では、防蟻剤濃縮物は、操作者によって運搬され、また、バックパック、肩掛けホルスター、背負い紐、ベルトホルスター、足掛けホルスター、若しくは殺有害生物剤容器を保持することができる他の適切なデバイスの中に形成され且つ/又はそれらの内部に保持される可搬型の容器に収容され得る。
【0024】
本明細書で説明される方法及びシステムは、地表面下の土壌に防蟻剤を注入するために、高圧を利用する。本明細書で説明される高圧注入システムは、現在の業界で標準的な液体防蟻剤注入システムが25psiから35psiの圧力を使用し、また、単一の注入孔又は注入口を通じて、地中に液体を注入するという点で、土壌処理のために防蟻剤を施剤する少なくとも幾つかの公知の液体注入システムとは異なる。本明細書で説明される例示的なシステムは、約50psiから約10,000psiの範囲の圧力で防蟻剤溶液を地中に注入し、また、別の実施形態では、約1,000psiから約7,000psiの圧力で注入し、さらに別の実施形態では、約4,000psiの圧力で注入する。
【0025】
動作にあたっては、施剤ツールは、防蟻剤を施剤するための所望の圧力に設定される。次いで操作者は、マニホルド組立体を、より具体的には注入ノズルを保護する接触板を、所望の施剤領域に配置する。所望の領域は、例えば、構造物の壁又は基礎に隣接し得る。次いで操作者は、施剤ハンドルを押し下げて、ツールの軸を圧縮する。この加法への圧力により、デバイス軸の上方部分と下方部分とが接近し、それにより電子スイッチが作動される。スイッチは、吐出し弁を一時的に開いて、所定量の防蟻剤溶液が高圧注入ノズルを通って地中に入れるようにする。スイッチは、1回分の分量(即ち、所定量の防蟻剤溶液)のみがノズルを通過できるようにする。スイッチは、ハンドルに加えた圧力を解放して電子スイッチの二つの部品を分離できるようにすることにより、リセットされる。次いで施剤装置操作者は、手持ち式施剤ツールを壁に沿って次の施剤地点まで持ち上げるか又は摺動させて再度ハンドルを押し下げることになり、そのようにして、土壌への防蟻剤溶液の注入が繰り返される。操作者は、所望の施剤領域への防蟻剤の注入が終わるまで、手持ち式施剤ツールの移動と防蟻剤の注入とを続ける。一例では、所望の施剤領域は、防蟻剤の障壁が完全に構造物を取り囲み、それによりシロアリが障壁を越えて構造物まで来るのを阻害するように、構造物の周辺部とされる。
【0026】
一代替実施形態では、電子スイッチは、ツールのT字形ハンドル部分上又はその近傍の、操作者がボタン又はスイッチを指又は親指で押し下げることで電子スイッチを作動させることができる位置に位置決めされ得る。別の実施形態では、ツールは、防蟻剤が施剤されるときに塗布される、泡、細粉、粉末、塗料、又は染料などの位置マーカを含み得る。位置マーカは、1回ごとの施剤中に接触板の位置に印を付けるために、地面にマーキング材料を塗布する。それにより、操作者は、施剤が行われた場所とデバイス板を再位置決めすべき場所とを視覚的に判定して、構造物の周辺部の周りで連続して防蟻剤の施剤が行われることを確実にすることができる。マーカはまた、施剤領域内での防蟻剤溶液の過度の又は不十分な施剤を防ぐのに役立つであろう。
【0027】
本明細書で説明されるのと同じものを使用する高圧施剤ツール及び方法は、公知のシステムに勝る多くの利点を有する。例えば、本明細書で説明されるツールは、列形噴射組立体を含むことができ、この列形噴射組立体は、大量の防蟻剤溶液を混合する必要性を排除し、且つ、公共の道路又は私有地での大量の防蟻剤の搬送又は取扱いに伴う危険を減らす。高圧注入ツールの使用はまた、地中に防蟻剤溶液を施剤する前の掘削(即ち、溝掘り)の必要性を排除する。それにより、処理される構造物の周辺部の周りの景観及び/又は自然植生の破壊が軽減され、また、施剤を行うために使用されるツールの摩耗及び裂断が少なくなる。例えば、高圧注入ツールはまた、防蟻剤溶液を施剤するために土壌に施剤デバイスを押し込む必要性を減少させるか又は排除する。高圧ツールはまた、ノズルごとに特定の量の防蟻剤溶液を送達するように、また、施剤圧力を制御することにより溶液が土壌に浸透する深さを制御するように、プログラムすることができる。量及び圧力を制御することにより、防蟻剤の施剤量は、標準的な液体防蟻剤施剤量の25%から80%減少せることができ、したがって、費用が抑えられ、また、水の必要量が減少する。このことは、より乾燥した気候では又は乾期中では、特に重要である。高圧ツールはまた、構造物の周りでの防蟻剤処理を完了するのに必要とされる時間を著しく短縮する。この時間の短縮は、40%から80%に及び得る。その結果、現場で費やされる時間が短くなり、したがって、現場での準備及び施剤に関わる人件費が削減される。また、防蟻剤を地中に注入するときに注入ノズルを地面に極めて接近させて配置するように設計された施剤ツールは、施剤領域のすぐそばにいる操作者又は他の人への暴露の恐れを軽減する。
【0028】
各図面を参照すると、
図1は、本発明の例示的な一実施形態による、地中に防蟻剤を注入するための高圧注入システム10の概略図である。注入システム10は、手持ち式可搬型施剤ツール12(概して、「注入装置)と、防蟻剤流体供給カート14(概して、「ベースユニット」)とを含む。施剤ツール12は、流体通路を確定する導管13(例えば、ホース)、及び少なくとも一つの電気接続15を介して、カート14に接続される。導管13は、流体(例えば、水及び/又は防蟻剤溶液)がカート14から施剤ツール12へ流れるのを可能にする。電気接続15は、施剤ツール12とカート14との間で様々な制御信号を伝送するために使用される。
【0029】
図2は、手持ち式可搬型施剤ツール12の正面概略図であり、
図3は、施剤ツール12の側面概略図である。手持ち式可搬型施剤ツール12は、ハンドル17、及びハンドルに取り付けられたマニホルドヘッド16を含む。ハンドル17は、上方部分18及び下方部分19を含む。上方部分18は、管状部分20、及び管状部分20の上端部24に取り付けられた握り部分22を含む。結果的に、ハンドル17の上方部分18は、全体的にT字の形状を有する。ハンドル17の下方部分19は、管状であるが、ハンドルの上方部分18の管状部分20に挿入されるサイズとされる。ハンドル17の下方部分19がハンドルの上方部分18の管状部分20に挿入されていると、上方部分は、下方部分に対して、第1の伸長位置から第2の圧縮位置まで移動することができる。ハンドル17の上方部分18をその第1の伸長位置の方へ付勢するために、ばね26などの付勢要素が設けられる。しかし、任意の公知の付勢要素26を使用できることが理解される。ハンドル17の下方部分19が引っ張られるかさもなければ上方部分18から引き抜かれるのを阻止し、それにより下方部分が上方部分に入れ子式に取り付けられたままでいることを確実にするために、フランジ(図示せず)又は他の適切な保持器が設けられ得る。ハンドル17の下方部分19の下端部28が、逆U字形の取付けブラケット30に取り付けられる。マニホルドヘッド16は、その端部32、34のそれぞれにおいて、一対の枢動ピン36を介して取付けブラケット34に枢着される。
【0030】
マニホルドヘッド16は、複数の高圧ノズル38に防蟻剤を分配するために少なくとも一つの内部通路を含み、高圧ノズル38は、この内部通路と流体連通している。
図3で明らかなように、例示されたマニホルドヘッド16は、二つの主内部通路40、42、及び主内部通路を連結する交差通路44を含む。マニホルドヘッド16は、単一のノズルを含めて任意の数の高圧ノズル38を含み得ることが意図されている。例えば、例示的な実施形態のマニホルドヘッド16は、各ノズルが相互にほぼ等距離の所に位置している六つの高圧ノズル38の行列を有する。一つの実施形態では、高圧ノズル38のそれぞれが、約0.002インチから約0.01インチの範囲のオリフィス径を有する。
【0031】
図2を再度参照すると、高圧ノズル38を保護するために、マニホルドヘッド16の底面52に接触板50が取り付けられる。例示された実施形態では、接触板50は、複数の開口部54を含み、開口部のそれぞれは、複数の高圧ノズル38のうちのそれぞれ一つと概ね位置合わせされている。その結果、高圧ノズル38は、接触板50によって土壌から離間され、したがって、土壌には直接接触しない。さらに、接触板50は、防蟻剤の注入中に「蹴り上げ」られ得る土壌、岩石、及び/又は他の岩屑を遮蔽するか或いは遮断する。接触板50は、ツール12の摺動を容易にするために、丸みを帯びた縁部を含む。接触板50は、任意の適切な材料、例えば金属及び/又はプラスチックから作ることができる。
【0032】
マニホルドヘッド16のサイズ及び形状は、ツール12が使用されるように意図された個々の用途に基づいて選択され得る。一つの実施形態では、マニホルドヘッド16は、
図4に示されるように高圧ノズル38が1列に直線的に配列されるように、幅に対する長さの比が大きい形状を有する。別の実施形態では、マニホルドヘッド16は、
図5に示されるように弓形形状を有する。弓形形状のマニホルドヘッド16は、樹木の周りなどの、円形の縁部の周りに適合するために使用され得る。マニホルドヘッド16は、交換可能とされることが意図されている。つまり、ツール12の操作者は、マニホルドヘッド16を選択的に取り換えることができる。マニホルドヘッド16は、低圧で防蟻剤の供給量を送達するための他の送達手段(例えば、ロッド型注入ツール)に置き換えられ得ることも、意図されている。そうした低圧送達手段は、高圧注入にあまり適していない領域で使用することができる。
【0033】
マニホルドヘッド16の重量は、マニホルドヘッド16の質量が、操作者によるツールの手動での位置決め及び移動に対して過度に負担にならずに、複数の高圧ノズル38からの吐出し中にツール12を所定の位置に維持するのに役立つように、選択され得る。一般に、マニホルドヘッド16の質量が軽いほど、高圧ノズル38からの防蟻剤の吐出し中にツール12を所定の位置に維持するために操作者がハンドル17に加えなければならない力は大きくなる。
【0034】
図2に示されるように、吐出し弁56が、マニホルドヘッド16に取り付けられ、且つ、マニホルドヘッド内の内部通路40、42、44、及び防蟻剤の供給源と流体連通する。より具体的には、吐出し弁56の一方の端部は、高圧吸入口58に結合され、吐出し弁のもう一方の端部は、ホース13に結合される。吐出し弁56は、開位置と閉位置との間で移動可能である。吐出し弁がその閉位置にあるときには、防蟻剤は、防蟻剤の供給源からホース13を通って高圧吸入口58を介してマニホルドヘッド内の内部通路40、42、44に流れることを抑制される。吐出し弁56が開かれているときには、防蟻剤溶液は、高圧を受けて、防蟻剤の供給源からホース13を通って吸入口58内へと流れる。加圧された防蟻剤は、吸入口58から、マニホルドヘッド16の内部通路40、42、44内に流れて高圧ノズル38を通り、そこから地中に注入される。防蟻剤は、一つの実施形態では約25psiから約10,000psiの圧力まで加圧され、別の実施形態では約1,000psiから約7,000psiの圧力まで加圧され、さらに別の実施形態では約4,000psiの圧力に加圧される。
【0035】
一つの適切な実施形態では、吐出し弁56は、使用時の圧力に基づいた正確な土壌浸透深さと特定の用途のための正確な防蟻剤溶液の量とを可能にするための所望の時間パラメータの範囲内で吐き出し弁56を開閉させるのに十分に迅速に動作することが可能な、電磁ポペット弁である。油圧駆動弁を使用することもできるが、そのような弁のサイズ及び重量の制約は、別の面では手持ち式施剤ツール12の有用性を制限する可能性がある。
【0036】
別の適切な実施形態では、マニホルドヘッド16は、複数の高圧ノズル38にわたって均一な防蟻剤流体の分配を確実にすることができるように、高圧ノズル38のそれぞれに関連付けられた吐出し弁56を有し得る。吐出しの釣り合わせは、単に内部通路40、42、44のサイズを適切に決めることにより妥当なパラメータ範囲内で得ることができるが、必要とされるのであれば、また、費用が妥当とされるのであれば、吐出し弁56のそれぞれに供給する供給ホースに収容される加圧された防蟻剤溶液が、高圧ノズル38のそれぞれに十分な量の防蟻剤溶液が使用可能であることを実現し得るようにして、複数の吐出し弁56を使用することができる。しかし、そのような構成は、制御装置が1回の作動に応答して複数の吐出し弁56を作動させなければならないという点において、システム10の複雑さを強める。即ち、弁を制御するのに必要とされる配線及び電力の量が増大する。ただし、所用電力は、より小型の吐出し弁56を使用することによって相殺することができる。
【0037】
図2に示されるように、トリガスイッチ60(概して、「作動装置」)が、ハンドル17の下方部分19に取り付けられ、また、トリガスイッチ作動装置62が、上方部分18に取り付けられる。トリガスイッチ60は、吐出し弁56に電気的に結合されるが、トリガスイッチ作動装置62がトリガスイッチ60と係合したときに、吐出し弁56を作動させる。例示された実施形態では、また、
図3で明らかなように、トリガスイッチ作動装置62は、ハンドル17の上方部分18がその第2の圧縮位置まで移動されたときに、トリガスイッチ60と係合される。したがって、トリガスイッチ60は、トリガスイッチ作動装置がトリガスイッチ60と係合するまで、上方部分がハンドルの下方部分19に対して下方に摺動するように上方部分に力を加えることにより、ハンドル17の上方部分18をその第1の伸長位置からその第2の圧縮位置まで移動させることによって、作動させることができる。
【0038】
別の実施形態(図示せず)では、トリガスイッチ60は、ハンドル17の上方部分18の握り部分22上の、操作者が指又は親指を使用してトリガスイッチ60を作動させることができる位置に配置され得る。トリガスイッチは、吐出し弁56から高圧ノズル38への防蟻剤の流れを遮断する機械的なデバイスであってもよく、又は、吐出し弁56への電気信号を遮断し、したがって吐出し弁56の作動を妨げる、電気的なスイッチであってもよい。
【0039】
地中に防蟻剤を注入するためには、操作者は、接触板50が地表面と接触するように手持ち式可搬型施剤ツール12を位置決めする。上方部分18をその第1の位置からその第2の位置まで移動させ、それにより上方部分に取り付けられたトリガスイッチ作動装置62を下方部分19に取り付けられたトリガスイッチ60と係合させるために、操作者により約15ポンドから20ポンドの間の下向きの力がハンドル17の上方部分18に加えられる。トリガスイッチ作動装置62とトリガスイッチ60とが係合することにより、トリガスイッチ60が作動される。その結果、電気信号がトリガスイッチ60から吐出し弁56に送られて、吐出し弁は、所定の時間にわたってその閉位置からその開位置まで移動され、それにより、防蟻剤が、地中に防蟻剤を注入するための高圧ノズル38へと流されてそこから外に出る。次いで操作者は、ハンドル17から圧力を解放し、それによりトリガスイッチがリセットされる。より具体的には、ばね26が、ハンドル17の上方部分18をその第1の伸長位置まで後退させる。例示されたトリガスイッチ60は、ハンドル17がリセットされるまでに吐出し弁56が繰り返し開くのを防ぐために、ハンドル17の1回の圧縮中に1回だけ動作するように構成される。
【0040】
地中への防蟻剤溶液の浸透深さは、防蟻剤溶液がツール12から吐き出されるときの圧力と、防蟻剤が注入される土壌のタイプとの関数である。例えば、粘度などの固く詰まった又は圧縮された土壌は、柔らかい砂質の土壌よりも浸透させづらく、より高い圧力を必要とする場合がある。したがって、一定の圧力において、砂質の土壌への防蟻剤の浸透力は、約12インチから14インチになる可能性があり、一方で、同じ圧力での砂壌土への防蟻剤の浸透力は、約6インチから9インチになる可能性があり、また、同じ圧力での粘土質土壌への防蟻剤の浸透力は、約2インチから5インチになる可能性がある。しかし、防蟻剤の浸透力は、圧力を高くするほど大きくすることができることが理解される。例えば、粘土質土壌への防蟻剤の浸透力は、十分に高い圧力では、約10インチから12インチになる可能性がある。
【0041】
地中への防蟻剤溶液の浸透深さはまた、吐出し弁56が開いている継続時間の関数である。吐出し弁56が開いている継続時間が長くなるほど、より長い溶液の持続力が維持される-結果的に、溶液の浸透深さが増大する。低圧では、所望の施剤深さまで地中に入り込むために溶液に必要とされる時間は、溶液が送達される圧力が高められた場合よりも長くなる。
【0042】
図5を参照すると、マニホルドヘッドは、アーチ形、半円形、又は他の角度が付けられ撓んだ形態に形成され得る。そのようにして形成されたマニホルドは、湾曲した又は角度の付いたマニホルドにより施剤者が施剤対象地点に近接した領域内に殺有害生物剤を配置することが可能になる、樹木、茂み、柱、ポール、鉢植え、根鉢、若しくは他の植物、又は構造要素の周りでの殺有害生物剤溶液の注入を容易にするのに、よく適するであろう。
【0043】
図6及び
図7も参照すると、マニホルドヘッド16はまた、複数の低圧ノズル66を含み得る。
図6の例示された実施形態では、低圧ノズル66のそれぞれは、複数の高圧ノズル38のうちの一つに隣接して位置決めされている。
図7に例示されている別の実施形態では、低圧ノズル66のそれぞれは、高圧ノズル38のうちの一つと同心である。低圧ノズル66は、低圧吐出し弁68が開かれたときに、地表面上に防蟻剤溶液を施剤する。低圧吐出し弁は、前述の吐出し弁65と同じように動作する。低圧ノズル66は、約35psi未満の圧力で地面に防蟻剤溶液を施剤するように構成される。幾つかの実施形態では、高圧ノズル38は、全てが同じサイズ(例えば、直径)のオリフィスを有していなくてもよいことも意図されている。例えば、動作にあたって構造物により接近するノズル38は、構造物により近い方により多量の防蟻剤溶液が施剤され、構造物から離れた方により少量の防蟻剤溶液が施剤されるように、構造物から離れるノズルよりも大きい直径のオリフィスを有し得る。同様の構成が、低圧ノズル66にも提供され得る。
【0044】
次に
図8を参照すると、手持ち式可搬型施剤ツール12はまた、防蟻剤が注入された領域を示すために土壌の表面に位置マーカ材料を置き、また、1回ごとの施剤中にマニホルドヘッド16の位置に印を付けるための、複数のノズル70(概して、「ディスペンサ」)を含み得る。マニホルドヘッド16の位置に印を付けることにより、操作者は、防蟻剤が施剤された場所と次にマニホルドヘッドを位置決めするべき場所とを視覚的に観測することが可能になり、それにより、構造物の周辺部の周りに一様な防蟻剤の施剤を行うことが可能になる。さらに、塗布されたマーキング材料はまた、過度の及び/又は不十分な防蟻剤の施剤を防ぐのに役立ち得る。例えば、泡、粉末、塗料、及び染料などの、任意の適切なマーキング材料を使用することができる。例示された実施形態では、マーキング材料は、マニホルドヘッド16の周辺部の周りの複数のノズル70によって塗布される。マーキング材料を収容する容器72が、施剤ツール12か、又は
図1に示されるカート14などの遠隔設置されたデバイスによって担持され得る。マーキング材料は、任意の適切な送達デバイスによって塗布することができ、また、本発明の範囲に含まれることが理解される。
【0045】
防蟻剤溶液の供給は、供給カート14によって提供され得る。一つの実施形態では、カート14は、水タンク80と、防蟻剤溶液を加圧するための高圧ポンプ82と、防蟻剤濃縮物タンク84と、防蟻剤溶液を形成するために適量の水と混合される適量の防蟻剤濃縮物を供給する混合デバイス86とを含む。外部の水源(例えば、標準的な住宅用の蛇口)から水を受け取るための吸水口81も設けられる。水タンク80又は吸水口81のどちらかを省略できることが意図されている。供給カート14はまた、圧力ポンプ82を動作させる動力を生成し、且つ、ツール12に関連付けられた制御装置92を動作させる電流を生成するための、発電機90を備えたガソリン機関88を含む。別の実施形態では、電力は、施剤現場に設置された電気コンセントに接続することによって供給され得る。
【0046】
供給カート14は、カート14が現場まで牽引されて次いでカート自体の動力で動き回ることができるように、車載式(例えば、トラック、バン、ATV)、牽引車搭載式、自己推進式、さらにはそれらの組合せであってもよいことが意図されている。また、供給カート14に取り付けられるものとして本明細書で説明されたシステム10の様々な構成要素のうちの幾つかは、施剤ツール12に取り付けられ得ることが意図されている。例えば、防蟻剤濃縮物タンク84及び混合デバイス86は、供給カート14ではなく施剤ツール12に取り付けられ得ることが意図されている。さらに、供給カート14は省略され得ることが意図されている。そのような実施形態では、少なくとも防蟻剤濃縮物タンク84、混合デバイス86、及び吸水口81は、施剤ツール12に搭載される。
【0047】
カート14に取り付けられた制御装置92により、システム10の操作者は、防蟻剤注入のためのパルス持続時間及び圧力レベルを選択的に設定することができる。制御装置92は、混合デバイス86を通じた投与の適切な制御、又は注入回数の追跡、等が可能になるように、操作者に、オリフィスの数及びそのサイズを決定することなどによる使用される特定のマニホルドヘッド16に関連したパラメータの入力、使用される防蟻剤溶液に関連したパラメータの入力等を可能とするように、プログラム可能とされ得る。防蟻剤注入のためのパルス持続時間及び/又は圧力レベルは、制御装置92を使用して設定することに加えて又はその代わりに、手動調節可能(例えば、手動で調節できる弁を介して)とできることが理解される。
【0048】
図10に示されるように、システム10は、家屋94などの構造物に隣接した土壌を処理するための方法の一つの実施形態に従って使用することができる。例えば、システム10は、家屋94の周辺部の周りの土壌に防蟻剤を注入及び/又は施剤し、それによりシロアリが家屋に接近するのを阻止し且つ家屋に接近しているシロアリを抑える障壁を設けるために、使用することができる。一つの方法によれば、ベースユニット14は、家屋94に対して固定された位置に設置され、ツール12は、通常は家屋に隣接した注入地点96の上に、またより適切には注入地点96に接触して、位置決めされる。ツール12は、事前に土壌を乱すことなく注入地点96の土壌に防蟻剤を注入するために、上述のように操作される。次いでツール12は、少なくとも部分的には先の注入地点とは異なり且つ通常は家屋94に隣接した別の注入地点96へと、供給カート14に対して移動される。例示された実施形態では、注入地点96は、全体的に、相互に隣り合った関係で位置している。ツール12は、事前に土壌を乱すことなくこの次の注入地点96の土壌に防蟻剤を注入するように、再度操作される。
【0049】
図10で明らかなように、ツール12は、各注入地点が協調して実質的に家屋94の全周を取り囲むように、構造物に隣接した複数の注入地点96まで移動されてそこで操作される。
図10は、防蟻剤が注入された複数の注入地点96(図には実線で示されている)と、これから防蟻剤が注入される複数の注入地点(図には破線で示されている)とを示す。防蟻剤は、注入地点96のそれぞれ又はそのうちの幾つかの地点の土壌表面にも施剤され得ることが理解される。土壌に殺有害生物剤溶液が注入された場所を示すために、土壌の上にマーキング材料が付着され得ることがさらに理解される。また、必要であれば、供給カート14は、手持ち式ツール12が家屋94の周辺部の周りで使用されるにつれて別の場所に移動できることが意図されている。
【0050】
次に
図11を参照すると、別の実施形態では、マニホルドヘッド16は、矩形に配列された、より適切には隣接したノズル38が相互にほぼ等距離の所に位置している正方行列配置100に配列された、四つの高圧ノズル38を含む。例示された実施形態では、高圧ノズルのそれぞれは、全体的に、正方行列配置100の各隅部に位置決めされる。高圧ノズル38の正方行列がマニホルドヘッド16に二つ以上形成されてもよいことが意図されている。例えば、
図12は、六つの高圧ノズル38が隣り合った二つの正方行列100(又は、単一の矩形行列)を形成する、一実施形態を示す。マニホルドヘッド16は、1+(x/2)個の隣り合った正方行列100を形成する、等距離の所に位置する4+x個の高圧ノズル38を含み得ることが意図されており、ここで、xは、0よりも大きい偶数の整数である。高圧ノズル38は、直交行列配置、例えば、矩形行列、六角形の行列、八角形の行列、等に配列できることも意図されている。
【0051】
図11及び
図12で明らかなように、正方行列100のそれぞれの中央に、多孔高圧ノズル102を位置決めすることができる。図示された多孔ノズル102のそれぞれは、行列100の隅部に向かって角度を付けられた四つの孔104を含む。高圧ノズル38のそれぞれは、ノズル38からの防蟻剤の吐出流106がマニホルドヘッド16の底面52に対して実質的に直角になるように配向される。マニホルドヘッド16が地面の上に位置決めされると、吐出流106は、地表面に対して実質的に垂直になり、例えば、地表面が実質的に水平である場合には鉛直になる。多孔ノズル102の孔104のそれぞれは、孔からの防蟻剤の吐出流108を高圧ノズル38のうちの一つからの吐出流106と交差させるように構成される。多孔高圧ノズル102の孔104のうちの一つからの吐出流108による、高圧ノズル38のうちの一つからの吐出流106との交差は、地表面下約1インチから12インチで生じ得る。
【0052】
多孔ノズル102の孔104のうちの一つの孔の吐出流108の垂直からの角度110は、所望の交差の深さ及びノズル38間の距離に基づく。吐出流の交差は、注入された防蟻剤の一部を貯留させる可能性がある。例えば、高圧ノズル38が相互に2インチ離間している場合、孔104の吐出流108の垂直からの角度110は、表面下1インチでの交差に対しては約54度であり、表面下6インチでの交差に対しては約9度であり、表面下12インチでの交差に対しては約5度である。土壌はまた、角度を付けられたノズル38から吐き出された溶液の「持ち上げ効果(lift-effect)」によって破壊される。溶液は、ノズルから流れるときに、土壌上で偏向する。偏向エネルギーにより、土壌は吐出流108から上方へ離れるように押し進められ、それにより土壌が破壊され、より多くの防蟻剤溶液のために土壌に穴が開けられ、ノズル38から押し出される溶液の分布が高められる。
【0053】
孔104から放出される防蟻剤の吐出流が概ね垂直になるように多孔ノズル102の孔104を構成できること、及び、高圧ノズル38から放出される防蟻剤の吐出流が垂直以外になるように複数の高圧ノズル38のうちの幾つか又は全てを構成できることが意図されている。一つの適切な実施形態では、防蟻剤は、概ね円錐形の吐出流でノズル38から放出される。多孔ノズル102の孔104及び複数の高圧ノズル38は、垂直以外の防蟻剤の吐出流を放出するように構成できることがさらに意図されている。これらの構成のどちらにおいても、制御板の周辺に向かって(即ち、多孔ノズル102から離れる方に)角度を付けられた吐出流を放出してそれにより防蟻剤の分布領域を増大するように、複数の高圧ノズル38のうちの幾つか又は全てを構成することができ、また、内方に角度を付けられた吐出流と、多孔ノズルの孔104から放出された吐出流と交差するように多孔ノズル102に向かって角度を付けられた吐出流とを放出するように、複数の高圧ノズル38のうちの幾つか又は全てを構成することができる。
【0054】
動作にあたっては、マニホルドヘッド16は、地面上に位置決めされ、操作者は、吐出し弁56を開かせるトリガスイッチ60を作動させ、それにより、所定量の防蟻剤が高圧ノズル38のそれぞれと多孔高圧ノズル102の孔104のそれぞれとに流れてそこから出て行くことを可能にし、それにより、防蟻剤が地中に注入される。高圧ノズル38のそれぞれからの防蟻剤の吐出流106は、実質的に垂直に地中に注入される。孔104からの防蟻剤の吐出流108は、孔104のそれぞれからの吐出流108を高圧ノズル38からのそれぞれの吐出流106と地表面下で交差させる垂直からの角度110で、地中に注入される。
【0055】
孔104の角度を付けられた吐出流108により、高圧ノズル38だけを使用した場合よりも広い注入領域への防蟻剤の供給が実現される。孔104の角度を付けられた吐出流108は、高圧ノズル38によって注入される防蟻剤によって確定される外側注入ゾーン内に配置する、注入領域の中央注入ゾーン内の土壌中に、防蟻剤を注入する。高圧での防蟻剤の注入により、防蟻剤の吐出流106、108が土壌を通過するにつれて土壌が破壊される。別の実施形態では、孔104のそれぞれは、それらの防蟻剤の吐出流108が高圧ノズル38からのそれぞれの吐出流106と正確に交差することがないように、わずかにオフセットされる。
【0056】
図12を再度参照すると、別の実施形態では、多孔ノズル102の代わりに、四つの中央高圧ノズル112が使用され得る。四つの中央ノズル112は、行列100の中央にまとめて位置決めされ、それぞれが、正方行列の異なる隅部に向かって角度を付けられる。上述の多孔ノズル102と同様に、中央ノズル112は、それらの吐出流108を高圧ノズル38のうちのそれぞれ一つからの吐出流106と交差させるように構成される。中央高圧ノズル112のうちの一つからの吐出流108による高圧ノズル38のうちの一つからの吐出流106との交差は、土壌表面下約1インチから約12インチで生じ得る。中央ノズル112の吐出流108の垂直からの角度110は、所望の交差の深さ及び高圧ノズル38間の距離に基づく。例えば、各高圧ノズル38が相互に2インチ離間している場合、中央ノズル112からの吐出流108の垂直からの角度110は、表面下1インチでの交差に対しては約54度であり、表面下6インチでの交差に対しては約9度であり、表面下12インチでの交差に対しては約5度である。
【0057】
図13は、上述された防蟻剤を地中に注入するための高圧注入システムで使用するのに適した、手持ち式可搬型施剤ツール212(概して、「注入装置」)の別の実施形態の概略図である。ツール212の相対的サイズは、開けた空間(例えば、芝地)での使用にも、狭い空間(例えば、這って進むような空間)での使用にも適したものである。
図13で明らかなように、施剤ツール212は、ハンドル217、及びハンドルに取り付けられたマニホルドヘッド216を含む。マニホルドヘッド216は、一対の枢動ピン236(
図13及び
図14には一方の枢動ピンが示されている)を介してハンドル217に枢動可能に取り付けられているが、
図1~
図3に示されたマニホルドヘッド16と実質的に同一である。そのため、
図13及び
図14に示されたマニホルドヘッド216については、詳細には説明しない。
【0058】
ツール212のハンドル217は、上方部分218及び下方部分219を含む。例示された実施形態では、ツールの上方部分218及び下方部分219の両方が、全体的にU字形のブラケットを含む。ハンドル217の上方部分218は、第1の伸長位置(
図13)から第2の圧縮位置(
図14)まで、下方部分219に対して移動することができる。一対のばね226などの付勢要素が、ハンドル217の上方部分218を、その第1の伸長位置に向けて、また、下方部分219から離れる方向に付勢する。例示された実施形態では、ばね226のそれぞれは、ボルト223を介してハンドル217に取り付けられている。さらに、下方部分に対する上方部分の移動範囲を限定するために、一対の上方止め具225及び一対の下方止め具227が下方部分219に取り付けられて、上方部分218に形成されたスロット229を貫通する。
図13及び
図14には、一方の上方止め具225及び一方の下方止め具227が示されている。しかし、任意の公知の付勢要素226を使用できること、及び、他の適切な方法で付勢要素をハンドル217に取り付けられることが理解される。ハンドル217の上方部分218と下方部分219との間の相対運動を制限するために、他のタイプの止め具を使用できることも理解される。
【0059】
図13及び
図14に示されるように、トリガスイッチ260(概して、「作動装置」)が、ハンドル217の下方部分219に取り付けられる。トリガスイッチ260は、吐出し弁256に電気的に結合され、トリガスイッチが作動されたときにその吐出し弁を作動させる。
図14で明らかなように、トリガスイッチ260は、ハンドル217の上方部分218が手動で押されてトリガスイッチと接触することによって作動される。つまり、トリガスイッチ260は、トリガスイッチ260が作動されるまで上方部分がハンドルの下方部分219に対して下方に摺動するように上方部分に力を加えることでハンドル217の上方部分218をその第1の伸長位置からその第2の圧縮位置まで手動で移動させることによって、作動させることができる。トリガスイッチ260が作動することにより、防蟻剤がマニホルド216を通じて地中に注入される。
【0060】
次に
図15~
図17を参照すると、これらの図は、別の例示的な実施形態による防蟻剤(又は、他の適切な処理剤)を地中に注入するための高圧注入システム310を概略的に示している。
図15で明らかなように、注入システム310は、手持ち式可搬型施剤ツール312(概して、「注入装置」)と、供給カート314(概して、「ベースユニット」)とを含む。施剤ツール312は、流体通路を確定する導管313(例えば、ホース)、及び少なくとも一つの電気接続315を介して、カート314に接続される。導管313は、流体(例えば、水及び/又は防蟻剤溶液)がカート314から施剤ツール312へ流れるのを可能にする。電気接続315は、施剤ツール312とカート314との間で様々な制御信号を伝送するために使用される。
【0061】
図16は、手持ち式可搬型施剤ツール312の正面概略図であり、
図17は、施剤ツール312の側面概略図である。手持ち式可搬型施剤ツール312は、ハンドル317、及びハンドルに取り付けられたマニホルドヘッド316を含む。ハンドル317は、上方部分318及び下方部分319を含む。上方部分318は、管状部分320、及び管状部分320の上端部324に取り付けられた握り部分322を含む。結果的に、ハンドル317の上方部分318は、全体的にT字の形状を有する。ハンドル317の下方部分319は、やはり管状であるが、ハンドルの上方部分318の管状部分320に挿入されるサイズとされる。ハンドル317の下方部分319がハンドルの上方部分318の管状部分320に挿入されていると、上方部分は、下方部分に対して、第1の伸長位置から第2の圧縮位置まで移動することができる。ハンドル317の上方部分318をその第1の伸長位置の方へ付勢するために、ばね326などの付勢要素が設けられる。しかし、任意の公知の付勢要素326を使用できることが理解される。ハンドル317の下方部分319が引っ張られるかさもなければ上方部分318から引き抜かれるのを阻止し、それにより下方部分が上方部分に入れ子式に取り付けられたままでいることを確実にするために、フランジ(図示せず)又は他の適切な保持器が設けられ得る。
【0062】
ハンドル317の下方部分319の下端部328が、逆U字形の取付けブラケット330に取り付けられる。マニホルドヘッド316は、その端部332、334のそれぞれにおいて、一対の枢動ピン336を介して取付けブラケット330に枢着される。マニホルド316に対するハンドル317の枢動を制限するために、一つ以上の止め具(図示せず)が設けられ得ることが意図されている。足用ブラケット331が、U字形の取付けブラケット330に取り付けられる。ツール312の使用時には、使用者はその足を足用ブラケット331の上に置いて、注入中のツールの動きを抑えることができる。
【0063】
マニホルドヘッド316は、複数の高圧ノズル338に防蟻剤を分配するために少なくとも一つの内部通路を含み、高圧ノズル338は、この内部通路と流体連通している。
図17で明らかなように、例示されたマニホルドヘッド316は、二つの主内部通路340、342、及び主内部通路を連結する交差通路344を含む。マニホルドヘッド316は、任意の数の高圧ノズル338を含み得ることが意図されている。例えば、例示的な実施形態のマニホルドヘッド316は、各ノズルが相互にほぼ等距離の所に位置している六つの高圧ノズル338の行列を有する。一つの実施形態では、高圧ノズル338のそれぞれは、約0.002インチから約0.01インチの範囲のオリフィス径を有する。
【0064】
図16を再度参照すると、高圧ノズル338を保護するために、マニホルドヘッド316の底面352に接触板350が取り付けられる。例示された実施形態では、接触板350は、複数の開口部354を含み、開口部のそれぞれは、複数の高圧ノズル338のうちのそれぞれ一つと概ね位置合わせされている。その結果、高圧ノズル338は、接触板350によって土壌から離間され、したがって、土壌には直接接触しない。さらに、接触板50は、防蟻剤の注入中に「蹴り上げ」られ得る土壌、岩石、及び/又は他の岩屑を遮蔽するか或いは遮断する。
図17で明らかなように、接触板350は、ツール312の摺動(例えば、引き摺り)を容易にするために、丸みを帯びた縁部を含む。接触板350は、任意の適切な材料、例えば金属及び/又はプラスチックから作ることができる。
【0065】
この実施形態では、防蟻剤の注入中に「蹴り上げ」られ得る土壌、岩石、及び/又は他の岩屑をさらに遮蔽するか或いは遮断するために、キックガード398が接触板350上の三つの側面から外方に延在する。例示された実施形態では、接触板及びマニホルドヘッド316を物体及び構造物に接近させて配置し易くするために、接触板350の一つの側面にはキックガード398が存在しない。しかし、キックガード398は接触板350の全周(即ち、四つの側面全て)の周りに延在し得ることが理解される。一つの適切な実施形態では、キックガード398は、適切なゴム材料の三つの片から作られ、各ゴム材料片は、接触板350のそれぞれの側面から外方に延在している。しかし、キックガード398は、他の適切な構成(例えば、ブリストル、帯板、フラップ)を有することができ、また、任意の適切な材料で作られ得ることが理解される。
【0066】
図16に示されるように、吐出し弁356が、マニホルドヘッド316に取り付けられ、且つ、マニホルドヘッド内の内部通路340、342、344、及び防蟻剤の供給源と流体連通する。吐出し弁356は、開位置と閉位置との間で移動可能である。吐出し弁がその閉位置にあるときには、防蟻剤溶液は、高圧吸入口358を介してマニホルドヘッド内の内部通路340、342、344に流れることを抑制される。吐出し弁356が開かれているときには、防蟻剤溶液は、高圧を受けて吸入口358に流れ込む。加圧された防蟻剤溶液は、吸入口358から、マニホルドヘッド316の内部通路340、342、344内に流れて高圧ノズル338を通り、そこから地中に注入される。防蟻剤溶液は、一つの実施形態では約25psiから約10,000psiの圧力まで加圧され、別の実施形態では約1,000psiから約7,000psiの圧力まで加圧され、さらに別の実施形態では約4,000psiの圧力に加圧される。
【0067】
一つの適切な実施形態では、吐出し弁356は、使用時の圧力に基づいた正確な土壌浸透深さと特定の用途のための正確な防蟻剤溶液の量とを可能にするための所望の時間パラメータの範囲内で吐き出し弁356を開閉させるのに十分に迅速に動作することが可能な、電磁ポペット弁である。油圧駆動弁を使用することもできるが、そのような弁のサイズ及び重量の制約は、別の面では手持ち式施剤ツール312の有用性を制限する可能性がある。
【0068】
図16に示されるように、トリガスイッチ360(概して、「作動装置」)が、ハンドル317の下方部分319に取り付けられ、また、トリガスイッチ作動装置362が、上方部分318に取り付けられる。トリガスイッチ360は、吐出し弁356に電気的に結合されるが、トリガスイッチ作動装置362がトリガスイッチ360と係合したときに、吐出し弁356を作動させる。例示された実施形態では、また、
図16で明らかなように、トリガスイッチ作動装置362は、ハンドル317の上方部分318がその第2の圧縮位置まで移動されたときに、トリガスイッチと係合される。したがって、トリガスイッチ360は、トリガスイッチ作動装置がトリガスイッチ360と係合するまで、上方部分がハンドルの下方部分319に対して下方に摺動するように上方部分に力を加えることにより、ハンドル317の上方部分318をその第1の伸長位置からその第2の圧縮位置まで移動させることによって、作動させることができる。
【0069】
一つの適切な実施形態では、システム310を迅速且つ容易に止めるために、ハンドル317の上方部分318の握り部分322上の操作者が作動させることができる位置に、緊急停止スイッチ(図示せず)が配置され得る。緊急停止スイッチは、ハンドル317の握り部分322以外のツール312の他の部分に配置され得ることが意図されている。また、ツール312に配置される緊急停止スイッチに加えて又はその代わりに、カート314に緊急停止スイッチが設けられ得ることが意図されている。さらに、緊急停止スイッチは、システム(即ち、制御装置)に組み込むことができ、それにより、吐出し弁356が指定された時間間隔内で開かない場合には、緊急停止スイッチがクラッチを圧力マニホルドから係脱させ且つ/又は機関を停止させることが意図されている。
【0070】
この実施形態では、第1の防蟻剤濃縮物タンク384'及び投与デバイス385が、ツール312のハンドル317に取り付けられる。投与デバイス385は、防蟻剤濃縮物タンク384'と流体連通し、且つ、トリガスイッチ360が作動されるたびに所定量(即ち、1回分の投与量)の濃縮防蟻剤を適切な第1の混合デバイス386'に送達するように構成される。一つの適切な実施形態では、投与デバイス385は、濃縮防蟻剤の所定量を調節することができるように調節可能である。別の適切な実施形態では、投与デバイス385は、調節不可能である。つまり、トリガスイッチ360が作動されるたびに混合デバイス386'に送達される濃縮防蟻剤の量は、投与デバイスを交換しなければ変更することができない。一つの適切な投与デバイス385は、アメリカ、インディアナ州、インディアナポリス(Indianapolis)のSMCコーポレーションから、製品番号NCMB075-0125として入手可能である。例示された実施形態では、混合デバイス386'はマニホルドヘッド316の頂部に取り付けられているが、混合デバイスは別のやり方で取り付けられてもよいことが理解される。例えば、混合デバイス386'は、ハンドル317の下方部分319に取り付けることができる。
【0071】
なおも
図16を参照すると、蓄圧器387がハンドル317に取り付けられている。蓄圧器387は、カート314からの加圧水(又は、他の適切な搬送液体)を、それらが混合デバイス386'に送達される前に蓄えるように構成される。蓄圧器387は、カート314と混合デバイス386'との間の圧力降下の影響を最小限に抑える。したがって、蓄圧器387は、加圧水がカートから混合デバイスに直接送達される場合に比べて、より高圧でカート314から混合デバイス386'に加圧水を提供する。
【0072】
図15に示された実施形態では、カート314は、水タンク380と、高圧ポンプ382と、第2の防蟻剤濃縮物タンク384と、防蟻剤溶液を形成するために適量の水と混合される適量の防蟻剤濃縮物を供給することが可能な第2の混合デバイス386とを含む。外部の水源(例えば、標準的な住宅用の蛇口)から水を受け取るための吸水口381も設けられる。水タンク380又は吸水口381のどちらかを省略できることが意図されている。
【0073】
供給カート314はまた、圧力ポンプ382を動作させる動力を生成し、且つ、システム310に関連付けられた制御装置392を作動させる電力を生成するための、発電機390を備えたガソリン機関388を含む。別の実施形態では、電力は、施剤現場に設置された電気コンセントに接続することによって供給され得る。高圧ポンプ382によって押し進められる加圧水を冷却するために、放熱器191が設けられる。例示された実施形態では、カート314と施剤ツール312との間に延在するホース313を巻き取るために、ホースリール193がカート314に取り付けられている。蓄圧器387の前に加圧水を吐出することができるように、ツール312のハンドル317に加圧水バイパス389が設けられている。バイパス389は、高圧ポンプ382の呼び水入れ、及びホース313からの防蟻剤溶液の洗い流しを促進するために使用することができる。
【0074】
制御装置392により、システム310の操作者は、防蟻剤注入のためのパルス持続時間を選択的に設定することができる。制御装置392は、混合デバイス386を通じた投与の適切な制御、又は注入回数の追跡、等が可能になるように、操作者に、オリフィスの数及びそのサイズを決定することなどによる使用される特定のマニホルドヘッド316に関連したパラメータの入力、使用される防蟻剤溶液に関連したパラメータの入力等を可能とするように、プログラム可能とされ得る。
【0075】
地中に防蟻剤を注入するためには、操作者は、接触板350が地表面と接触するように手持ち式可搬型施剤ツール312を位置決めする。上方部分318をその第1の位置からその第2の位置まで移動させ、それにより上方部分に取り付けられたトリガスイッチ作動装置362を下方部分319に取り付けられたトリガスイッチ360と係合させるために、操作者により約15ポンドから20ポンドの下向きの力がハンドル317の上方部分318に加えられる。トリガスイッチ作動装置362とトリガスイッチ360とが係合することにより、吐出し弁356が作動される。より具体的には、電気信号がトリガスイッチ360から吐出し弁356に送られて、吐出し弁をプログラムされた時間にわたってその閉位置からその開位置まで移動させる。
【0076】
さらに、下方部分319に対するハンドル317の上方部分318の運動により、所定量の防蟻剤濃縮物が、投与デバイス385により第1の防蟻剤濃縮物タンク384'から混合デバイス386'へ送達される。吐出し弁356を開くことにより、蓄圧器387が、その中に蓄えられた加圧水のうちの少なくとも一部を混合デバイス386'へ解放する。防蟻剤濃縮物及び加圧水は、混合デバイス386'内で混ざり合って、防蟻剤溶液を形成する。次いで、防蟻剤溶液は、マニホルドヘッド316へと押し進められ、そこから地中に注入するための高圧ノズル338へ流れて、高圧ノズル338から出て行く。
【0077】
次いで操作者は、ハンドル317から圧力を解放し、それにより、トリガスイッチ360、投与デバイス385、及び蓄圧器387がリセットされる。より具体的には、ばね326が、ハンドル317の上方部分318をその第1の伸長位置まで後退させる。例示されたトリガスイッチ360は、ハンドル317がリセットされるまでに吐出し弁356が繰り返し開くのを防ぐために、ハンドル317の1回の圧縮中に1回だけ動作するように構成される。
【0078】
地中への防蟻剤溶液の浸透深さは、防蟻剤溶液がツール312から吐き出されるときの圧力と、吐出し弁356が開いたままでいる継続時間と、防蟻剤が注入される土壌のタイプとの関数である。一つの適切な実施形態では、地中への防蟻剤の浸透力は、約12インチから16インチの間である。
【0079】
カート314に取り付けられた、第2の防蟻剤濃縮物タンク384及び第2の混合デバイス386は、カートを低圧での施剤のために使用できるようにする。防蟻剤の低圧施剤は、本明細書で例示された施剤ツール312を使用して、又は従来のロッジング技法を使用して行うことができる。第2の防蟻剤濃縮物タンク384及び第2の混合デバイス386は省略され得ることが理解される。
【0080】
次に
図18~
図22を参照すると、これらの図は、全体が510で示された、さらに別の例示的な実施形態による防蟻剤(又は、他の適切な土壌処理剤)を地中に注入するための高圧注入システムを示している。
図18で明らかなように、注入システム510は、手持ち式可搬型施剤ツール512(概して、「注入装置」)と、供給カート514(概して、「ベースユニット」)とを含む。施剤ツール512は、流体通路を確定する導管513(例えば、ホース)、及び少なくとも一つの電気接続515を介して、カート514に接続される。導管513は、流体(例えば、水及び/又は防蟻剤溶液)がカート514から施剤ツール512へ流れるのを可能にする。電気接続515は、施剤ツール512とカート514との間で様々な制御信号を伝送するために使用される。
【0081】
次に
図19~
図21を参照すると、手持ち式可搬型施剤ツール512は、ハンドル517、及びハンドルに取り付けられたマニホルドヘッド516を含む。ハンドル517は、上方部分518及び下方部分519を含む。上方部分518は、管状部分520、管状部分の上端部524に取り付けられた第1の握り部分522、及び管状部分の下端部525に取り付けられた第2の握り部分523を含む。一対の握り527が、第1の握り部分522と第2の握り部分523との間で選択的に移動可能である。例えば、例示された実施形態では、第1の握り部分522及び第2の握り部分523の両方が、握り527のうちの一つを受け入れるための一対のねじ込みソケットを含み、握り527もまた、ねじが切られている。その結果、使用者は、背の高い使用者に適合するように設計された第1の握り部分522と、背の低い使用者に適合するように設計された第2の握り部分との間で、握り527を選択的に移動させることができる。上方部分518はまた、第2の握り部分523から下方に延在している二本の離間した管状軸529を含む。
【0082】
ハンドル517の下方部分519は、ハンドルの上方部分518の管状軸529に挿入されるように構成された二本の離間した管状軸533を有する。下方部分519の二本の管状軸533が上方部分518の二本の管状軸529に挿入されていると、上方部分は、下方部分に対して、第1の伸長位置から第2の圧縮位置まで移動することができる。ハンドル517の上方部分518及び下方部分519は、幾つかの実施形態では三本以上の管状軸529、533を有し得ることが理解される。ハンドル517の上方部分518をその第1の伸長位置の方へ付勢するために、一対のばね526などの付勢要素が設けられる。例示された実施形態では、一方のばね526が、ハンドル517の上方部分518の管状軸529のうちの一方の軸内に配置され、もう一方のばねが、上方部分の管状軸のうちのもう一方の軸内に配置される。しかし、任意の適切な付勢要素526を使用できることが理解される。ハンドル517の下方部分519が引っ張られるかさもなければ上方部分518から引き抜かれるのを阻止し、それにより下方部分が上方部分に入れ子式に取り付けられたままでいることを確実にするために、フランジ(図示せず)又は他の適切な保持器が設けられ得る。
【0083】
ハンドル517の下方部分519の二本の管状軸533は、逆U字形の取付けブラケット530に取り付けられる。
図20で明らかなように、逆U字形の取付けブラケット530は、構造物(例えば、建物、植生、フェンス)の隣及びすぐ下へのマニホルドヘッド516の配置を容易にするために、ハンドル517に対して角度を付けられている。例示された実施形態では、ブラケット530は、ハンドル517に対して約10度の角度を付けられている。しかし、ブラケット530は、ハンドル517に対して任意の適切な角度(例えば、約0度から約45度の間の任意の角度)で配列できることが理解される。U字形の取付けブラケット530は省略することができ、また、マニホルドヘッド516は下方部分519の二本の管状軸533に取り付けられることが理解される。
【0084】
一つの適切な実施形態では、マニホルドヘッド516は、その端部のそれぞれにおいて、一対の枢動ピン536を介して取付けブラケット530に枢着される。その結果、ハンドル517をマニホルドヘッド516に対して移動させることができる。マニホルド516に対するハンドル517の枢動を制限するために、一対の止め具537が設けられる。止め具537は、ハンドル517が所定の可動域を越えてマニホルドヘッド516に対して枢動するのを阻止する。適切には、止め具537は、ハンドル517が枢動して導管513に接触するのを阻止する。足用ブラケット531が、U字形の取付けブラケット530に取り付けられる。ツール512の使用時には、使用者はその足を足用ブラケット531の上に置いて、注入中のツールの動きを抑えることができる。
【0085】
マニホルドヘッド516は、複数の高圧ノズル538に防蟻剤を分配するために少なくとも一つの内部通路を含み、高圧ノズル538は、この内部通路と流体連通している。マニホルドヘッド516は、任意の数の高圧ノズル538を含み得ることが意図されている。例えば、図示された例示的な実施形態のマニホルドヘッド516は、各ノズルが相互にほぼ等距離の所に位置している六つの高圧ノズル538の行列を有する。
【0086】
高圧ノズル538を保護するために、マニホルドヘッド516の底面552に接触板550が取り付けられる。例示された実施形態では、接触板550は、複数の開口部554を含み、開口部のそれぞれは、複数の高圧ノズル538のうちのそれぞれ一つと概ね位置合わせされている。その結果、高圧ノズル538は、接触板550によって土壌から離間され、したがって、土壌には直接接触しない。さらに、接触板550は、防蟻剤の注入中に「蹴り上げ」られ得る土壌、岩石、及び/又は他の岩屑を遮蔽するか或いは遮断する。接触板550は、ツール512の摺動(例えば、引き摺り)を容易にするために、丸みを帯びた縁部を少なくとも一つ含む。接触板550は、任意の適切な材料、例えば金属及び/又はプラスチックから作ることができる。
【0087】
この実施形態では、防蟻剤の注入中に「蹴り上げ」られ得る土壌、岩石、及び/又は他の岩屑をさらに遮蔽するか或いは遮断するために、キックガード598が接触板550上の一つの側面(例えば、後側面)から外方に延在する。より具体的には、キックガード598は、岩屑が、注入された防蟻剤によって「蹴り上げ」られて、先の注入によって生成された土壌の開口部を通って出てくるのを抑制する。したがって、例示されたキックガード598は、全体的に先の注入地点の上に乗るようなサイズ及び形状とされる。一つの適切な実施形態では、キックガード598は、適切なゴム材料の単一片から作られる。しかし、キックガード598は、他の適切な構成(例えば、ブリストル、帯板、フラップ)を有することができ、また、任意の適切な材料から作られることが理解される。
【0088】
図19に示されるように、吐出し弁556が、マニホルドヘッド516に取り付けられ、且つ、マニホルドヘッド内の内部通路及び防蟻剤の供給源と流体連通する。吐出し弁556は、開位置と閉位置との間で移動可能である。吐出し弁がその閉位置にあるときには、防蟻剤溶液は、マニホルドヘッド内の内部通路に流れることを抑制される。吐出し弁556が開かれているときには、防蟻剤溶液は、高圧を受けてマニホルドヘッド内の内部通路に流れ込み、高圧ノズル538を通り、そこから地中に注入される。防蟻剤溶液は、一つの実施形態では約25psiから約10,000psiの圧力まで加圧され、別の実施形態では約1,000psiから約7,000psiの圧力まで加圧され、さらに別の実施形態では約4,000psiの圧力に加圧される。
【0089】
一つの適切な実施形態では、吐出し弁556は、使用時の圧力に基づいた正確な土壌浸透深さと特定の用途のための正確な防蟻剤溶液の量とを可能にするための所望の時間パラメータの範囲内で吐出し弁556を開閉させるのに十分に迅速に動作することが可能な、電磁ポペット弁である。油圧駆動弁を使用することもできるが、そのような弁のサイズ及び重量の制約は、別の面では手持ち式施剤ツール512の有用性を制限する可能性がある。
【0090】
図19及び
図21に示されるように、トリガスイッチ作動装置562が、ハンドル517の下方部分519に取り付けられ、また、トリガスイッチ560(概して、「作動装置」)が、トリガスイッチ作動装置に下向きに面し且つハンドルの上方部分の管状軸529と下方部分の管状軸533との間に配置されるように、上方部分518に取り付けられる。トリガスイッチ560は、吐出し弁556に電気的に結合されるが、トリガスイッチ作動装置562がトリガスイッチ560と係合したときに、吐出し弁556を作動させる。例示された実施形態では、トリガスイッチ作動装置562は、ハンドル517の上方部分518がその第2の圧縮位置まで移動されたときに、トリガスイッチによって係合される。したがって、トリガスイッチ560は、トリガスイッチがトリガスイッチ作動装置と係合するまで、上方部分がハンドルの下方部分519に対して下方に摺動するように上方部分に力を加えることにより、ハンドル517の上方部分518をその第1の伸長位置からその第2の圧縮位置まで移動させることによって、作動させることができる。トリガスイッチ560が下を向き且つ上方部分の管状軸529の間に配置されるようにして、トリガスイッチ560をハンドル517の上方部分518に取り付けることにより、トリガスイッチ560の不注意な作動が阻止される。
【0091】
この実施形態では、第1の防蟻剤濃縮物タンク584'及び投与デバイス585が、ツール512のハンドル517に取り付けられる。
図19で明らかなように、第1の防蟻剤濃縮物タンク584'は、概ねツール512の長手軸に沿って位置合わせされるようにして、ハンドルの上方部分518の管状軸529のそれぞれに取り付けられる。その結果、第1の防蟻剤濃縮物タンク584'の重量は、上方部分518の二本の管状軸529の間にほぼ均等に分散される。やはり
図19で明らかなように、投与デバイス585は、下方部分の二本の管状軸533の間に配置されるようにして、ハンドル517の下方部分519に取り付けられる。その結果、ハンドル517の下方部分519の管状軸533は、投与デバイス585に対するある程度の保護又は投与デバイス585の遮蔽を提供する。
【0092】
投与デバイス585は、防蟻剤濃縮物タンク584'と流体連通し、且つ、トリガスイッチ560が作動されるたびに所定量(即ち、1回分の投与量)の濃縮防蟻剤を適切な第1の混合デバイス586'に送達するように構成される。一つの適切な実施形態では、投与デバイス585は、濃縮防蟻剤の所定量を調節することができるように調節可能である。別の適切な実施形態では、投与デバイス585は、調節不可能である。つまり、トリガスイッチ560が作動されるたびに混合デバイス586'に送達される濃縮防蟻剤の量は、投与デバイスを交換しなければ変更することができない。一つの適切な投与デバイス585は、アメリカ、インディアナ州、インディアナポリス(Indianapolis)のSMCコーポレーションから、製品番号NCMB075-0125として入手可能である。例示された実施形態では、混合デバイス586'はマニホルドヘッド516の頂部に取り付けられているが、混合デバイスは別のやり方で取り付けられてもよいことが理解される。例えば、混合デバイス586'は、ハンドル517の下方部分519に取り付けることができる。
【0093】
蓄圧器587が、ハンドル517に取り付けられる。より具体的には、蓄圧器587は、概ねツール512の長手軸に沿って位置合わせされるようにして、ハンドル517の下方部分519の二本の管状軸533の間に取り付けられる。その結果、蓄圧器の重量は、下方部分519の二本の管状軸533の間にほぼ均等に分散される。蓄圧器587は、カート514からの加圧水(又は、他の適切な搬送液体)を、それらが混合デバイス586'に送達される前に蓄えるように構成される。蓄圧器587は、カート514と混合デバイス586'との間の圧力降下の影響を最小限に抑える。したがって、蓄圧器587は、加圧水がカートから混合デバイスに直接送達される場合に比べて、より高圧でカート514から混合デバイス586'に加圧水を提供する。
【0094】
図18に示された実施形態では、カート514は、水タンク580と、高圧ポンプ582と、第2の防蟻剤濃縮物タンク584と、防蟻剤溶液を形成するために適量の水と混合される適量の防蟻剤濃縮物を供給することが可能な第2の混合デバイス586とを含む。外部の水源(例えば、標準的な住宅用の蛇口)から水を受け取るための吸水口581も設けられる。水タンク580又は吸水口581のどちらかを省略できることが意図されている。
【0095】
供給カート514はまた、圧力ポンプ582を動作させる動力を生成し、且つ、システム510に関連付けられた制御装置592を動作させる電力を生成するための、発電機590を備えたガソリン機関588を含む。別の実施形態では、電力は、施剤現場に設置された電気コンセントに接続することによって供給され得る。注入と注入の間で(又は、所定の時間間隔の後で)高圧ポンプ582を係脱させ、それにより高圧ポンプによって押し進められる水が加熱されるのを抑えるために、クラッチ機構591が設けられる。例示された実施形態では、カート514と施剤ツール512との間に延在する導管513を巻き取るために、ホースリール593がカート514に取り付けられている。蓄圧器587の前に加圧水を吐出することができるように、ツール512のハンドル517に加圧水バイパス589が設けられている。バイパス589は、高圧ポンプ582の呼び水入れ、及び導管513からの防蟻剤溶液の洗い流しを促進するために使用することができる。一つの適切な実施形態では、バイパス589は、バイパスを通過する液体(例えば、水、防蟻剤溶液)、気体(例えば、空気)、又はそれらの組合せをマニホルドヘッドの下に吐出することができるように、マニホルドヘッド516に流体的に接続される。
【0096】
図22で明らかなように、ホースリール593は、スプール594と、スプールを供給カート514に取り付けるための取付けブラケット595と、スプールを取付けブラケットに対して手動で回転させるためのハンドル596とを含む。したがって、スプール594は、スプールの周りで導管513を巻き取ったり繰り出したりするために、ハンドル596を使用して、取付けブラケット595に対して選択的に回転させることができる。水タンク580及び/又は外部の水源からの水は、回転式連結器597を通じて導管513に供給される。回転式連結器597により、スプール594を、したがってスプールに巻き付けられた導管513を、回転式連結器597と水タンク580及び/又は外部の水源とを接続する吸入ライン(図示せず)に対して回転させることが可能になる。回転式連結器597は、吸入ラインのねじれを抑制する。なおも
図22を参照すると、ハンドル596は、スプール594の周りに巻き取られた導管513に電気接続515を供給するために、その自由端に回転式電気コネクタ599を含む。回転式電気コネクタ599は、導管513がスプール594の周りで巻き取られたり繰り出されたりするときに、電気接続515がねじれるのを抑制する。
【0097】
図18を再度参照すると、制御装置592により、システム510の操作者は、防蟻剤注入のためのパルス持続時間及び圧力レベルを選択的に設定することができる。他の実施形態では、制御装置592は、操作者がパルス持続時間を選択的に設定できるようにすることができるが、圧力は、圧力弁(図示せず)を調節することによって手動で設定される。制御装置592は、混合デバイス586を通じた投与の適切な制御、又は注入回数の追跡、等が可能になるように、操作者に、オリフィスの数及びそのサイズを決定することなどによる使用される特定のマニホルドヘッド516に関連したパラメータの入力、使用される防蟻剤溶液に関連したパラメータの入力等を可能とするように、プログラム可能とされ得る。制御装置592は、カート514に取り付けられた制御装置に加えて又はその代わりに、ツール512に取り付けられ得ることが理解される。
【0098】
地中に防蟻剤を注入するためには、操作者は、接触板550が地表面と接触するように手持ち式可搬型施剤ツール512を位置決めする。上方部分518をその第1の位置からその第2の位置まで移動させ、それにより上方部分に取り付けられたトリガスイッチ560を下方部分519に取り付けられたトリガスイッチ作動装置562と係合させるために、操作者により約15ポンドから20ポンドの下向きの力がハンドル517の上方部分518に加えられる。トリガスイッチ作動装置562とトリガスイッチ560とが係合することにより、吐出し弁556が作動される。より具体的には、電気信号がトリガスイッチ560から吐出し弁556に送られて、吐出し弁を所定の時間にわたってその閉位置からその開位置まで移動させる。
【0099】
さらに、下方部分519に対するハンドル517の上方部分518の運動により、所定量の防蟻剤濃縮物が、投与デバイス585により第1の防蟻剤濃縮物タンク584'から混合デバイス586'へ送達される。吐出し弁556を開くことにより、蓄圧器587が、その中に蓄えられた加圧水のうちの少なくとも一部を混合デバイス586'へ解放する。防蟻剤濃縮物及び加圧水は、混合デバイス586'内で混ざり合って、防蟻剤溶液を形成する。次いで、防蟻剤溶液は、マニホルドヘッド516へと押し進められ、そこから地中に注入するための高圧ノズル538へ流れて、高圧ノズル538から出て行く。
【0100】
次いで操作者は、ハンドル517から圧力を解放し、それにより、トリガスイッチ560、投与デバイス585、及び蓄圧器587がリセットされる。より具体的には、ばね526が、ハンドル517の上方部分518をその第1の伸長位置まで後退させる。例示されたトリガスイッチ560は、ハンドル517がリセットされるまで吐出し弁556が繰り返し開くのを防ぐために、ハンドル517の1回の圧縮中に1回だけ作動するように構成される。
【0101】
地中への防蟻剤溶液の浸透深さは、防蟻剤溶液がツール512から吐き出されるときの圧力と、吐出し弁556が開いたままでいる継続時間と、防蟻剤が注入される土壌のタイプとの関数である。一つの適切な実施形態では、地中への防蟻剤の浸透力は、約12インチから16インチの間である。
【0102】
カート514に取り付けられた、第2の防蟻剤濃縮物タンク584及び第2の混合デバイス586は、カートを低圧での施剤のために使用できるようにする。防蟻剤の低圧施剤は、本明細書で例示された施剤ツール512を使用して、又は従来のロッジング技法を使用して行うことができる。幾つかの実施形態では、第2の防蟻剤濃縮物タンク584及び第2の混合デバイス586は省略され得ることが理解される。
【0103】
図23~
図27は、本明細書で前述された土壌処理剤のうちの任意のものなどの土壌処理剤を地表面下に施剤するための装置710の一つの実施形態を示している。装置710は一般に、供給カート714の形態のベースユニットと、手持ち式可搬型高圧施剤ツール712と、手持ち式可搬型低圧施剤ツール711とを備える。一つの実施形態では、供給カート714は、
図18~
図22に示され且つ本明細書で前述された実施形態の供給カート514に実質的に類似する。具体的には、この実施形態の供給カート714は、流体送達デバイスとして機能し、且つ、水タンク780と、圧力ポンプ782と、第2の防蟻剤濃縮物タンク784と、吸水口781と、圧力ポンプ782を動作させるための発電機790を備えたガソリン機関788と、クラッチ機構791とを含み、これらは全て、供給カート514の類似の構成要素に関連して前述された形で動作可能である。クラッチ機構791は高圧ポンプ782によって押し進められる加圧水による過熱を抑制するのに十分なものなので、先の実施形態の放熱器191は、この実施形態からは省略される。
【0104】
高圧施剤ツール712は、流体(例えば、混合デバイス786'からの水及び/又は防蟻剤溶液)がカート714から高圧施剤ツールへ流れるのを可能にする導管713(例えば、
図27に示されるようなスプール794と、取付けブラケット795と、ハンドル796とを含むホースリール793によって支持されたホース)を介して、供給カート714と流体連通している。しかし、この実施形態では、導管714は、高圧施剤ツール712への有線電気接続を含まない。正確に言えば、高圧施剤ツール712は、適切な充電式電池797によって電池駆動される。一つの実施形態では、電池797は、充電のために施剤ツール712から取り外すことができる。別の実施形態では、電池797は、施剤ツール712上に留まったままで充電され得る。電池を機能停止して施剤ツールをオン及びオフするのに使用するために、適切な電源スイッチ(図示せず)が高圧施剤ツール712に設けられて、電池797と電気的に通信する。しかし、電気ケーブル又は他の有線電気接続が、高圧施剤ツール712と供給カート714とを電気的に接続することができ、また、本開示の範囲に含まれることが理解される。
【0105】
一つの適切な実施形態では、手持ち式可搬型高圧施剤ツール712は、供給カート714に対して(即ち、ベースユニットに対して)移動可能(したがって、位置決め可能)であるように、
図18~
図22の実施形態の施剤ツール512と同じように、別のやり方で構成される。導管713は、供給カート714と高圧施剤ツールとの間の選択的な接続及び分離を可能にするために、高圧施剤ツール712と解放可能に接続するためのクイックコネクト(図示せず)を含む。高圧施剤ツールから導管713を分離する前にツール内の圧力を抜くために、図示されていない圧力逃がし弁が高圧施剤ツール712に設けられる。他の実施形態では、
図18~
図22の実施形態のものと同一の高圧施剤ツールが使用され得るか、又は、
図1~
図17に示された施剤ツールのうちの任意のものが使用され得るか、又は、それらの構成要素の任意の組合せが使用され得るか、又は、本開示の範囲から逸脱することなく別の適切な高圧施剤ツールが使用され得ることが、理解される。
【0106】
この実施形態の高圧施剤ツール712はまた、先の実施形態の投与デバイス585に類似し且つトリガスイッチ760が作動されるたびに所定量(即ち、1回分の投与、又は投与量)の濃縮防蟻剤(概して、活性成分とも呼ばれる)を第1の混合デバイス786'に送達するために防蟻剤濃縮物タンク584'と流体連通している、投与デバイス785を使用する。一つの適切な実施形態では、投与デバイス785は、濃縮防蟻剤の所定量(即ち、投与量)を調節することができるように調節可能である。別の適切な実施形態では、投与デバイス785は、調節不可能である。つまり、トリガスイッチ760が作動されるたびに混合デバイス786'に送達される濃縮防蟻剤の量は、投与デバイスを交換しなければ変更することができない。この態様では、所定の投与量は、高圧施剤ツール712の注入のたびに使用される搬送液体(例えば、水)の圧力に依存せず、また、1回の注入につきどれほどの水が使用されるかに依存しない。むしろ、投与量は、注入事象そのものだけに基づく。
【0107】
図23に戻り参照すると、一つの実施形態による低圧施剤ツール711は、従来のロッジングツールを含む。ロッジングツール711は、装置710の低圧モードにおいて導管713を介して供給カート714と流体連通するように構成される。より適切には、ロッジングツール711は、導管上のクイックコネクト(図示せず)を使用することなどにより、導管713と解放可能に接続するように構成される。この態様では、ロッジングツール713は、高圧モードと低圧モードとの間での装置710の動作の切り替えに応じて、高圧施剤ツール712と容易且つ選択的に交換することができる。低圧施剤ツール711は、土壌処理剤の低圧流れを受け取り、且つ、土壌にツールを押し込むこと、又は、地面に穴若しくは溝を予め掘削し次いでその中にツールを降ろしてから土壌処理剤を分注する-又は土壌表面上に土壌処理剤を分注することなどにより出口を通して土壌処理剤を土壌中に向かわせることができるワンド、溝掘りデバイス、噴霧器、又は任意の他の可搬型手持ち式ツールなどの、ロッジングツール以外のものであってもよいことも意図されている。
【0108】
例示的な実施形態では、一度に低圧施剤ツール711及び高圧施剤ツール712のうちの一方のみが導管713に接続される。したがって、高圧施剤ツールが動作しているときには低圧施剤ツールは動作不可能であり、低圧施剤ツールが動作しているときには高圧施剤ツールは動作不可能である。さらに、装置710は、低圧施剤ツール711が供給カート714に接続されているときには、高圧モードで動作不可能である。
【0109】
この実施形態では、供給カート714上の第2の混合デバイス786は、濃縮物タンク784から活性成分(例えば、例示された実施形態では濃縮防蟻剤)を送達して、低圧施剤ツール711に送達される前に圧力ポンプ782からの搬送液体(例えば、水)と低圧で混合させるように動作可能な、適切な蠕動ポンプを含む。蠕動ポンプの構造及び動作は従来から公知であり、したがって本開示を形成するのに必要な範囲を除いては、本明細書ではさらに詳細には説明されない。蠕動ポンプ786は、圧力ポンプ782によって送達される搬送液体(例えば、水)の流量に対する濃縮防蟻剤の送達量の関数としての所定の混合比に基づいてタンク784から濃縮防蟻剤を送達するために、適切に動作可能である。
【0110】
特に適切な一実施形態では、蠕動ポンプ786が動作する速度(例えば、1分当たりの回転数)は、圧力ポンプ782から送達される様々な搬送液体の流量に適応するように調節可能であり得る。それにより、流量が動作中に変化するかどうか、又は流量が処理剤ごとに異なるかどうかに関係なく、搬送液体に対する活性成分の混合比を所望の又は所定の混合比に維持することが可能になる。より適切には、ポンプ786の動作速度は、装置710の低圧モードでの処理中に搬送液体の流量を示す信号に応じてポンプの動作速度を自動的に調節する適切な制御装置(図示せず)などによって自動的に調節可能とされ得る。搬送液体の流量は、搬送液体と活性成分とが混ざり合う所の上流に設置された流量計(図示せず)によって適切に監視される。ポンプ786の下流であるが活性成分と搬送液体とが混ざり合う所の上流のライン上に配置されたフローセル(やはり図示せず)が、それを通って流れる活性成分の存在を監視して、動作中に活性成分がなおも流れていることを確認する。
【0111】
土壌に土壌処理剤を施剤するための、特には地表面下に土壌処理剤を施剤するための方法の一つの実施形態による動作にあたっては、装置710は、処理すべき作業現場の第1の領域に沿って第1の処理に従って高圧モードで動作され、次いで、作業現場の第1の領域とは異なる作業現場の第2の領域に沿って第2の処理に従って低圧モードで動作され得る。例えば、作業現場が住居の周辺部の周りに処理剤が施剤される住宅地である場合には、周辺部の第1の領域(周辺部のうちの連続した区間、又は周辺部のうちの複数の別個の区間)は、装置710の高圧モードを使用するのに適した土壌で構成され、一方で周辺部の別の領域(第2の領域)(連続的な区間、又は複数の別個の区間)は、装置の高圧モードを使用するのに適切でなく、したがって土壌処理剤を施剤するために装置の低圧モードを使用しなければならない場合がある。しかし、1回の処理が高圧モードのみ又は低圧モードのみでの装置710の動作を含む場合があり、また、本開示の範囲に含まれることが、理解される。
【0112】
他の実施形態では、低圧モードが使用される第2の作業領域は、高圧モードが使用される第1の作業領域と完全に又は部分的に重り得ることも意図されている。例えば、フッタ又は基礎の深さまで(例えば、装置710の高圧モードにおいて土壌処理剤が注入され得る12インチ~16インチの深さを超えて)土壌中に土壌処理剤が注入される場合、高圧モードでの施剤は、土壌の上部12インチ~16インチをカバーするように第1の領域に対して適用され、低圧モードでの施剤は、第1の領域に重なった第2の領域に対して適用される。具体的には、そのような低圧モード施剤は、フッタ又は基礎に至るまで注入された深さ(例えば、12インチ~16インチ)よりも下方に土壌処理剤を送達するために、ロッジングツール711などの施剤ツールを土壌に挿入することを含み得る。施剤ツールは、フッタ又は基礎の全周に沿って離間された配置において、断続的に地中に挿入されてもよい。
【0113】
図23を再度参照すると、この実施形態では、装置710の全体的な動作を制御するため、また、供給カートから離れて高圧施剤ツールを使用しているときの動作に対するある程度の制御を操作者に提供するために、供給カート714上に配置された第1の(例えば、ベースユニット又は供給カート)制御システム792と、高圧施剤ツール712上に配置された第2の(例えば、施剤ツール)制御システム799とを含む、複式制御システムが用いられる。供給カート制御システム792は、適切には、少なくともマイクロコントローラなどの制御装置と、装置の様々な動作態様を選択するために操作者によって使用されるユーザインタフェースを備えたディスプレイユニットとを含む。施剤ツール制御システム799もまた、マイクロコントローラなどの制御装置と、関連するユーザインタフェースを備えたディスプレイユニットとを含む。例示された実施形態では、供給カート制御システム792及び施剤ツール制御システム799は、無線通信を介して-具体的には供給カート714及び高圧施剤ツール712のそれぞれ一つにそれぞれが配置されている一対のトランシーバによって、相互に通信する。しかし、他の実施形態では、制御システム792、799は、供給カート714から高圧施剤ツール712まで延在するケーブル又は他の適切な接続などにより、有線接続によって通信し得ることが理解される。
【0114】
図28を参照すると、一つの実施形態による装置710、より具体的には供給カート制御システム792及び施剤ツール制御システム799は、ウェブサイト、リモートコンピュータ、又は供給カート制御システム792及び/若しくは施剤ツール制御システム799との間でデータ又は他の情報を送受信することが可能な他の適切なシステムなどの遠隔データ管理システム801と例えば無線通信を介して同調して動作するように、適切に構成される。例えば、
図28の例示された実施形態では、供給カート714は、遠隔通信制御システム802(
図28では概略的に示される)をさらに備え、この遠隔通信制御システム802は、供給カートに搭載され、より適切には供給カート制御システム792を収容するハウジング又は制御ボックス内に携行され、且つ、遠隔データ管理システム801と通信するように構成された少なくとも一つの第2のトランシーバ及び関連制御装置を含む。遠隔通信制御システム802はまた、供給カート制御システム792との間でデータの伝送を可能にするために、無線通信でもよいが適切には有線通信によって供給カート制御システム792と通信するように構成される。
【0115】
より具体的な実施例では、遠隔データ管理システム801は、それぞれの装置710を顧客場所まで運搬してその顧客場所で土壌処理剤を施剤する複数の現場操作者を有する有害生物管理会社に設置されるか又は有害生物管理会社によって(例えば、アクセス可能なウェブサイトの形態で)アクセス可能とされ得る。有害生物管理会社は、遠隔データ管理システム801と供給カート714上の遠隔通信制御システム802との間の通信を使用して各装置にデータをダウンロードすることができ、また、顧客場所のそれぞれにおける装置710の動作中に収集されたデータを受信することができる。例えば、有害生物管理会社は、作業命令識別子、及び処理が行われる様々な作業現場の実在住所などのデータを、遠隔通信制御システム802に送信することができる。次いで、遠隔通信制御システム802は、顧客作業現場で所望の処理を行うのに使用するための供給カート制御システム792に情報を伝える。処理が完了すると、処理工程中に収集されたデータが、供給カート制御システム792により遠隔通信制御システム802に伝えられ、次いでデータは、遠隔データ管理システム801に送信される。
【0116】
当然ながら、他の実施形態では、装置710は、遠隔データ管理システム801から独立して又は完全に遠隔データ管理システム801なしで動作することができ、また、本開示の範囲に含まれることが理解される。遠隔データ管理システム801が供給カート制御システム792及び/又は施剤ツール制御システム799などの装置710と直接(例えば、無線通信によって)通信するように、遠隔通信制御システム802が省略され得ることも意図されている。
【0117】
幾つかの実施形態では、遠隔データ管理システム801は、供給カート制御システム792及び/又は施剤ツール制御システム799によって収集されたデータを無線通信によって受信するように構成され得ることも意図されている。例えば、遠隔データ管理システム801は、収集されたデータをデータ管理システムに転送するために、注入装置制御システム792及び/又は施剤ツール制御システム799に(又は、他の実施形態では遠隔通信制御システム802に)配線接続され得るか、或いは、遠隔データ管理システム801は、収集されたデータをデータ管理システムに転送するために、供給カート制御システム792、施剤ツール制御システム799、及び/又は遠隔通信制御システム802へのUSBケーブル若しくは他のデータ転送ケーブルなどによる解放可能な配線接続用に構成され得るか、或いは、遠隔データ管理システム801は、USBドライブ、コンパクトディスク、又は収集されたデータを含む他の可搬型データ記憶メディアなどの可搬型データ記憶メディアを受け入れるように構成され得る。
【0118】
供給カート制御システム792のディスプレイユニットは、装置710の動作の前に操作者によって選択される様々なパラメータの画像表示を提供するように構成される。
図29~
図47を参照すると、例示されたディスプレイユニットは、ディスプレイ画面803と、画面上の表示を制御するのに使用するため、また装置の動作パラメータの所望の選択を行うために操作者がアクセスできるように画面の下縁に相互に離間された複数の押しボタン805(例えば、
図32に最も良く示される)とを有する。他の実施形態では、ディスプレイ画面803は、画面に直接触れることにより表示の制御及び動作パラメータの選択が行われるタッチスクリーンディスプレイを代わりに含み得る。例示された実施形態では、装置710の動作パラメータのうちの一つ以上が、遠隔データ管理システム801から受信される。供給カート制御システム792及び施剤ツール制御システム799が遠隔データ管理システム801から完全に独立して動作する実施形態では、供給カート制御システムを動作させるのに必要なデータが、手動で入力され得る。
【0119】
図29は、装置710が遠隔データ管理システム801と組み合わせて使用される場合に供給カート714の電源を入れたときに操作者が見る第1の画面のスクリーンショットである。具体的には、ディスプレイ画面803は、「通信」画面であり、ディスプレイは、遠隔通信制御システムが遠隔データ管理システム801との無線接続を確立していることを示している。接続の強さを示す印もまた、「通信」画面の右上隅部に提供されている。リンクが確立されると、
図30に示されるように、遠隔データ管理システム801から(例えば、供給カート714上の遠隔通信制御システムを介して)供給カート制御システム792にデータが転送される。遠隔データ管理システム801からのデータの受け取りの後、「通信」画面は、
図31に示されるようにデータが受信されたことを示す表示を表示する。適切な接続が確立されなかった場合、「通信」画面は、
図32に示されるように通信失敗警告を表示する。
【0120】
供給カート制御システム792にデータが転送されると、
図33に示されたディスプレイ画面803が現れる。時刻、日付、及びオペレーティングソフトウェアのバージョンに加えて、このディスプレイ画面803は、画面の下縁余白に沿ったボックス内に存在することによってそれぞれが示された、三つの任意選択のセレクションを含む。具体的には、「開始」セレクション、「時計」セレクション、及び「セットアップ」セレクションが、ディスプレイ画面上に示される。「セットアップ」セレクションは、特定の動作パラメータが装置710の製造業者、又は公認技術者、さらには有害生物管理会社によって設定されることを可能にする。一つの実施形態では、「セットアップ」セレクションは、処理剤が施剤される場所で操作者によって使用されることがない。他の実施形態では、「セットアップ」セレクションは省略され得ることが意図されている。
【0121】
操作者は、ディスプレイ画面803上のセレクションの下に配置された対応する押しボタン805を押すことにより、「開始」セレクション及び「時計」セレクションから選択することができる。例えば、
図34に示されるように、操作者が「時計」セレクションの下のボタン805を押した場合、ディスプレイ画面803は、操作者がディスプレイ画面上の時刻及び日付を変更できるようにするための「時計」画面に変わる。「時計」画面の下縁余白に沿って、セレクション選択肢「戻る」、「INC」、「DEC」、及び「次へ」が存在する。「次へ」セレクションは、典型的には、時刻及び日付のセレクションを、例えば時、分、秒、月、日、及び年の間で変更するために使用される。操作者が変更を望む時刻及び日付の値を選択した後、操作者は、「INC」セレクション及び「DEC」セレクションの下のボタン805を押して、値を変更する。「INC」セレクション及び「DEC」セレクションはそれぞれ、「増加」及び「減少」を表し、また、時刻及び日付セレクションに関連付けられた様々な値を切り替えていくために使用される。操作者が所望の時刻及び日付の値を入力し終わると、操作者は、「戻る」セレクションの下のボタン805を押して、
図33に示された前の画面に戻る。
【0122】
図33に戻り参照すると、「開始」セレクションを選択することにより、住宅地、業務用地、又は他の作業現場などの特定の作業現場を処理するために装置710を準備するためのパラメータ選択過程が開始される。例えば、操作者が特定の作業現場を処理することになっている場合、装置710は、その作業現場まで搬送され、その作業現場でセットアップされて電源を入れられ、それにより、
図33の画面がディスプレイ画面803上に現れる。「開始」セレクションを選択することにより、ディスプレイ画面803は、
図35に示された第1のパラメータ選択画面に変わる。「場所設定」画面と呼ばれるこの画面は、操作者が処理される作業現場の場所を選択できるようにする。より具体的には、
図35に示されるように、ディスプレイ画面の右上隅部に面した「1」は、画面上の情報が供給カート制御システム792の記憶装置(一時記憶装置など、例えば、ランダムアクセスメモリ)に記憶された第1の場所に関連していることを示す。
【0123】
一例として、例示された実施形態では、供給カート制御システム792は、操作者によって処理される、十四箇所までの異なる作業現場に関する情報を一時的に記憶することができる。情報は、限定されることなしに、行われる処理に関連付けられた作業命令識別子、及び、作業命令識別子に関連付けられた作業現場の住所を含む。作業命令識別子は、遠隔データ管理システム801からダウンロードされるデータに適切に含まれる。他の実施形態では、作業命令識別子及び関連情報は、携帯電話から、フラッシュドライブ若しくは他のデータ記憶メディアから、又は任意の他の適切な技法によってダウンロードされ得る。供給カート制御システム792は、キーボード入力デバイス、又は、操作者が供給カート制御システム792に作業命令識別子を入力することを可能にする、供給カート制御システム792に関連付けられた他の適切な入力デバイスをさらに含み得ることも意図されている。
【0124】
一つの適切な実施形態では、供給カート制御システム792に作業命令識別子が入力又はダウンロードされていない場合には、装置710は作動しない。また、操作者は、処理しようとしている住所に関連付けられた有効な作業命令識別子を操作者が有することを確認するために、「場所設定」画面上の住所情報を、操作者がセットアップしている場所の実際の住所と比較することができる。「場所設定」画面の下縁余白に沿って、セレクション選択肢「次へ」、「INC」、「DEC」、及び「データ」が存在する。「データ」セレクションは、通常、特定の作業現場での処理の完了に続いて使用されるものであり、本明細書では以下でさらに詳細に説明される。「INC」セレクション及び「DEC」セレクションは、それぞれ「増加」及び「減少」を表すものであり、供給カート制御システム792に記憶された様々な場所番号(したがって、作業命令識別子)を切り替えるために使用される。操作者が処理のために装置710を搬送した作業現場に対応する作業命令識別子及び関連住所が「場所設定」画面上に表示されると、操作者は「次へ」セレクションの下のボタン805を押して、選択された作業命令識別子に対して処理が行われることを承認する。
【0125】
図36を参照すると、一つの実施形態による供給カート制御システム792は、単にメンテナンス目的のための、例えばメンテナンス技術者による装置の動作試験のための、予め設定された(装置710の製造業者による)第15の場所をさらに含み得る。作業命令識別子は必要とされないが、この場所に対して装置を作動させるには、メンテナンス技術者がパスワードを入力しなければならない。それにより、関連した作業命令識別子(例えば、顧客に送り状を送るための)なしで操作者が装置を作動させて処理を行うことが妨げられる。
【0126】
操作者によって場所(即ち、作業命令識別子)が選択されると、
図37に示されるような「製品選択」画面が、ディスプレイ画面803上に現れる。それにより、操作者は、処理を行う際に複数の異なる活性成分(例えば、例示された実施形態における濃縮防蟻剤)のうちのどれを使用するかを選択することができる。
図37に示された「製品選択」画面上には、装置710の低圧モードで動作するときの、活性成分が搬送液体と混合される既定混合比(例えば、例示された実施形態では、1ガロンの水につき1.6ozの活性成分)に加えて、活性成分のタイプ又は名前が表示される。「製品選択」画面の下縁余白に沿って、「次へ」、「SEL」、「比率」、及び「戻る」を含む、操作者のための四つのセレクション選択肢が存在する。「戻る」セレクションは、ディスプレイを「場所設定」画面に戻す。「次へ」セレクションは、画面上に表示された活性成分が使用すべき製品であることを承認するために、操作者によって使用される。「SEL」セレクションは、処理のために操作者が選択することができる他の活性成分をディスプレイ画面803に繰り返し表示させるために、操作者によって使用される。
【0127】
「比率」セレクションは、二つ以上の混合比で活性成分を使用できるときにのみ利用することができ、「製品選択」画面上に表示される。「比率」セレクションを選択することにより、ディスプレイ画面803が変更されて、同一の活性成分のタイプ又は名前が、しかし異なる混合比が表示される。例えば、
図38では、1ガロンの水につき0.8ozの活性成分が表示されている。使用される活性成分が既定混合比を一つしか有していない場合、「比率」セレクションは「製品選択」画面から省略される。例えば、
図37に示された画面から、「SEL」セクションが選択された場合、ディスプレイ画面は、一つの既定混合比だけが利用可能な活性成分のディスプレイ画面である、
図39に示されたディスプレイ画面803に変わる。
【0128】
使用される活性成分の選択に続いて、
図40に示されるように、「土壌設定」画面がディスプレイ画面803上に現れる。この画面は、装置710がその高圧モードで作動されるときに処理される土壌のタイプを操作者が選択できるようにする。例えば、例示された実施形態では、操作者は、「軽」土壌、「標準」土壌、及び「重」土壌から選択することができる。一つの実施形態による「軽」土壌は、これらに限定されることはないが、砂、壌質砂土、及び砂壌土などの、比較的ゆるい土壌を含む。一つの実施形態による「標準」土壌は、これらに限定されることはないが、壌土、砂埴壌土、シルト質壌土、及びシルトなどの、もう少し密な土壌を含む。そして、一つの実施形態による「重」土壌は、これらに限定されることはないが、埴土、砂質埴土、シルト質埴土、及びシルト質埴壌土などの、より強く圧縮した土壌を含む。操作者は、作業現場に来ると、土壌タイプを評価して適切な選択を行う。「INC」セレクション及び「DEC」セレクションは、土壌タイプ選択肢を切り替えるために再度使用される。「次へ」セレクションは、所望の土壌タイプの選択を承認するために使用されて、画面を次のパラメータ選択画面に変える。「戻る」セレクションは、前のパラメータ選択画面に戻るために使用される。
【0129】
一つの実施形態によれば、土壌タイプの選択は、各トリガ事象中に即ち各注入中に高圧施剤ツール712の吐出し弁756が開いたままでいる時間を決定する。このタイミングは、製造業者によって予め設定されるか、又は、メンテナンス技術者によって変更され得るが、それ以外の方法で、作業現場で操作者によって調節されることはあり得ない。吐出し弁756の開放時間は、所望の深さまで土壌中に処理剤を注入するのに必要とされる、動作圧力での水の量に基づく。例えば、例示された実施形態では、「軽」土壌設定に対しては、関連する吐出し弁756の開放時間は0.05秒間であり、「標準」土壌設定に対しては、関連する弁756の開放時間は0.15秒間であり、「重」土壌設定に対しては、関連する弁756の開放時間は0.35秒間である。しかし、土壌タイプの選択に関連付けられた吐出し弁756の開放時間は、本開示の範囲から逸脱することなしに、上記に提示されたものとは異なってもよいことが理解される。
【0130】
土壌タイプの選択に続いて、「モード選択」画面が、
図41に示されるようにディスプレイ画面上に現れる。前述のように、装置710は、高圧モード又は低圧モードで動作可能である。高圧モードでは、高圧施剤ツール712が導管713(例えば、ホース)により供給カート714に取り外し可能に接続され、一方で低圧モードでは、低圧施剤ツール711が導管により供給カートに取り外し可能に接続される。「モード選択」画面は、高圧の動作モードに対応する「HT」セレクション(例えば、「液圧溝掘り(Hydraulic Trenching)」のことを指す)、低圧の動作モードに対応する「SA」セレクション(例えば、「標準施剤(Standard Application)」のことを指す)、「LCD」セレクション、及び「戻る」セレクションを含む。「戻る」セレクションは、前のパラメータ選択画面に戻るために使用される。操作者は、ディスプレイ画面803の下の対応するボタン805を押すことにより、所望のモードを選択する。
【0131】
「モード選択」画面から「LCD」セレクションを選択することにより、操作者はバックライト、コントラスト等の一つ以上のディスプレイ画面設定を変更することができる。例えば、一つの実施形態では、「LCD」セレクションの下のボタン805を押すことにより、ディスプレイ画面803が
図42及び
図43に示されるような「LCD設定」画面に変わる。「LCD設定」画面の下縁余白に沿って、セレクション選択肢「戻る」、「INC」、「DEC」、及び「次へ」が存在する。「次へ」セレクションは、通常、修正することができるLCD設定、例えば「バックライト」(
図42に示す)及び「コントラスト」(
図43に示す)を変更するために使用される。操作者が変更を望むLCD設定の選択に続いて、操作者は、「INC」セレクション及び「DEC」セレクションの下のボタン805を押して、値を変更する。「INC」セレクション及び「DEC」セレクションは、それぞれ「増加」及び「減少」を表すものであり、LCD設定に関連付けられた様々な値を切り替えるために使用される。操作者は、所望の値を入力し終わったら、「戻る」セレクションの下のボタン805を押して、
図41に示された前の画面に戻る。
【0132】
単一の作業命令(例えば、一作業現場で行われる単一の処理)が、装置710がその高圧モードで作動される第1の処理と、装置がその低圧モードで作動される第2の処理とを伴い得ることが理解される。具体的には、装置710がその低圧モードで作動される第2の処理は、第1の処理が装置の高圧モードで適用される作業現場の第1の領域とは異なる作業現場の第2の領域に、適切に適用される。例えば、作業現場が、家屋の周辺部の周りに処理剤が施剤される住宅地である場合、周辺部の一部(第1の領域)(周辺部のうちの連続した区間、又は周辺部のうちの複数の別個の区間)が、装置710の高圧モードの使用に適した土壌で構成され、一方で周辺部の別の部分(第2の領域)(連続した区間、又は複数の別個の区間)が、(固く締まった土壌であること、又は、硬化した表面、例えばコンクリートで覆われていることなどにより)装置の高圧モードの使用に適切でなく、したがって土壌処理剤を施剤するために装置の低圧モードが使用されなければならない場合がある。しかし、他の作業命令が、高圧モードだけでの作動、又は低圧モードだけでの作動を含み得ることが理解される。
【0133】
高圧モードを(例えば、「モード選択」画面から「HT」セレクションを選択することにより)選択すると、
図44に示された「HTモード」画面が、ディスプレイ画面803上に現れる。特定の実施形態では、「HTモード」画面は、装置710の高圧モードにおいて土壌処理を行うために高圧施剤ツール712を使用する直前に使用者が見る画面である。「HTモード」画面の下部には、これらに限定されることはないが、既定の投与量(即ち、装置の高圧モードにおいて1回の注入につき送達される濃縮防蟻剤などの活性成分の量)、選択された土壌タイプ、及び動作圧力などの、高圧モードのための装置710の主要な動作パラメータのうちの幾つかが提供される。「HTモード」画面上の動作圧力読取り値は、高圧施剤ツール712上に配置された適切な変換器(図示せず)からの読取り値に基づく。
【0134】
「HTモード」画面の上部は、それに従って当面の処理が行われる作業命令に関連付けられた場所番号(供給カート制御システム792の記憶メディア内の)を明らかにする。また、「HTモード」画面の上部には、この特定の作業命令(即ち、この特定の作業現場)に対してその時点までになされた注入の現在合計回数を示す注入カウントが含まれる。注入カウントの下にあるのは、この特定の作業命令に対してその時点までに分注された活性成分、例えば濃縮防蟻剤の量である。活性成分の量は、注入の回数及び投与量の関数である。この作業現場で行われる第1の注入に先立って、カウント及び使用される活性成分の量は、どちらもゼロにされるべきである。
【0135】
ディスプレイ画面の下縁余白に沿って、「データ」、「完了」、「SA」、及び「戻る」とされる、操作者が行うことができる四つの可能なセレクションが存在する。「戻る」セレクションは、操作者を前のパラメータ選択画面に至らせる。「データ」セレクションは、操作者を「場所データ」画面(本明細書では以下でより詳細に論じられる)に至らせ、そこで操作者は、特定の作業命令(即ち、場所番号)に関連して記録されたデータを見直すことができる。「完了」セレクションは、操作者が高圧モードでの装置710の動作を完了したことを、操作者が供給カート制御システム792に知らせられるようにする。具体的には、操作者は、「完了」セレクションに対応する押しボタン805を三秒間押下する。幾つかの実施形態では、高圧モードでの装置710の動作が完了したことを操作者が知らせるのに応答して、そのような動作中に収集された様々なデータが、供給カート制御システム792から遠隔通信制御システム802を介して遠隔データ管理システム801に転送される。操作者は、「完了」セレクションを選択する前又は後で、「データ」セレクションを選択することができる。
【0136】
高圧モードでの動作の完了を知らせるために「完了」セレクションが選択されると、操作者は、「SA」セレクションを選択して、低圧モードでの動作を始めることを供給カート制御システム792に知らせることができる。低圧モードへの切り替えは、高圧モードでの動作の完了を知らせるために「完了」セレクションが選択されるまで、行うことができない。動作の低圧モードへの切り替えのために「SA」セレクションが選択されると、高圧施剤ツール712は導管713から分離され、導管は低圧施剤ツール711に接続される。ディスプレイ画面803は、
図45に示された「SAモード」画面に切り替わる。
【0137】
「SAモード」画面は、これらに限定されることはないが、場所番号、及び濃縮物タンク784'(例えば、高圧施剤ツール712上の)からの活性成分の(前の「製品選択」画面上に示されたような)既定の送達量などの、セットアップ情報を含む。「SAモード」画面の上部の左側には、水圧(PSI単位での)、流量(ガロン毎分又はGPM単位での)、及び低圧モードでの動作の特定の時点において使用された(ガロン単位での)水の総量が表示される。「SAモード」画面の上部の右側は、低圧モードにおける装置710の動作中の特定の時点までに使用された活性成分(例えば、濃縮防蟻剤)の総量を表示する。使用された活性成分の総量は、既定の活性成分の送達量、及び(供給カート制御システム792によって監視される)使用された水の総量の関数である。
【0138】
「SAモード」画面の下縁余白に沿って、「データ」、「完了」、「HT」、及び「戻る」とされる、操作者が選択することのできる四つの使用可能なセレクションが存在する。「戻る」セレクションは、操作者を前のパラメータ選択画面に至らせる。「データ」セレクションは、操作者を「場所データ」画面(本明細書では以下でより詳細に論じられる)に至らせ、そこで操作者は、特定の作業命令(即ち、場所番号)に関連して記録されたデータを見直すことができる。「完了」セレクションは、操作者が低圧モードでの装置710の動作を完了したことを供給カート制御システム792に知らせられるようにする。具体的には、操作者は、「完了」セレクションに対応する押しボタン805を三秒間押下する。幾つかの実施形態では、低圧モードでの装置710の動作が完了したことを操作者が知らせるのに応答して、そのような動作中に記録された様々なデータが供給カート制御システム792から遠隔データ管理システム801に転送される。操作者は、「完了」セレクションを選択する前又は後で、「データ」セレクションを選択することができる。
【0139】
低圧モードでの動作の完了を知らせるために「完了」セレクションが選択されると、操作者は、「HT」セレクションを選択して、高圧モードでの動作を始めることを(例えば、低圧モードでの施剤が最初に行われた場合に)供給カート制御システム792に知らせることができる。高圧モードへの切り替えは、低圧モードでの動作の完了を知らせるために「完了」セレクションが選択されるまでは、達成され得ない。動作の高圧モードへの切り替えのために「HT」セレクションが選択されると、低圧施剤ツール711は導管713から分離され、導管は高圧施剤ツール712に接続される。ディスプレイ画面803は、
図44に示された「HTモード」画面に切り替わる。
【0140】
「HTモード」画面又は「SAモード」画面のどちらかから「完了」セレクションが選択された後でディスプレイ画面803上に現れる「場所データ」画面は、
図46に示されている。「HTモード」画面(
図44)又は「SAモード」画面(
図45)のどちらか一方からの選択に続いて表示された場合、「場所データ」画面は、操作者によって今しがた行われた処理に関連付けられた特定の場所番号(したがって、作業命令識別子)に関するデータを表示する。「場所データ」画面は、
図35に示された「場所設定」画面から到達され得ることも理解される。例えば、操作者は、場所番号を(「場所設定」画面上の「INC」セレクション及び「DEC」セレクションを使用して)特定の場所番号に切り替え、次いで「データ」セレクションを選択して、供給カート制御システム792に記憶された特定の場所番号(即ち、作業命令)のための「場所データ」画面を表示させることができる。
【0141】
「場所データ」は、特定の作業命令識別子に対して適用された処理に関連付けられた複数の異なるデータを表示する。例えば、例示された「場所データ」画面では、高圧モードでの動作中に使用された活性成分の総量が、行われた注入の回数と一緒に表示される。低圧モードでの動作中に使用された活性成分の総量もまた、低圧モードで使用された水の総量と一緒に表示される。他の実施形態では、本開示の範囲から逸脱することなしに、より多くのデータ又はより少ないデータが「場所データ」画面上に表示され得ることが理解される。
【0142】
データ情報の下には「モード」行があり、「HT」及び「SA」の印が隣り合っている。各「HT」印及び「SA」印のそれぞれの隣にあるチェックマークは、高圧モード及び低圧モードのそれぞれでの動作が(操作者が「HTモード」画面及び「SAモード」画面のそれぞれにおいて「完了」セレクションを選択したことに応じて)完了したことを示す。操作者が「HTモード」画面及び「SAモード」画面のどちらか一方で「完了」セレクションを選択していなかった場合、「場所データ」画面上の対応する「HT」印又は「SA」印の隣にチェックマークが存在しないことになる。「場所データ」画面上には「作業命令完了」印も表示され、その隣に「はい」印又は「いいえ」印が現れる。例えば、「モード」印に隣接した「HT」印及び「SA」印のそれぞれの隣にチェックマークが現れたならば、作業は完了し、「はい」印が現れる。しかし、「HT」印及び「SA」印のどちらか一方の隣にチェックマークがない場合、作業命令は不完全であり、どちらかの動作のモードがまだ完了していないことを示すチェックマークの不在とともに、「いいえ」印が現れる。この点について、特定の作業命令に対して、動作モードのうちの一方が実行されるものでなかったとしても、その動作モードの完了を知らせるために、依然として「HTモード」画面又は「SAモード」画面のそれぞれにおいて「完了」セレクションが選択されなければならない。
【0143】
「場所データ」画面の下縁余白に沿って、「送信」、「上」、「下」、及び「戻る」とされる、操作者が選択することのできる四つの使用可能なセレクションが存在する。「戻る」セレクションは、ディスプレイ画面803を前のパラメータ画面に変更する。「上」セレクション及び「下」セレクションは、操作者が第1の制御システムに記憶された様々な場所番号(即ち、作業命令)を切り替えられるようにする。「送信」セレクションは、操作者が「場所データ」画面上に現れる特定の場所番号に関するデータを遠隔データ管理システム801に転送するようにカート供給制御システム792に指示できるようにする。
【0144】
「送信」セレクションは、「場所データ」画面上に現れている特定の場所番号にのみ関連付けられているので、操作者は、作業命令が完了した各場所番号に対して「送信」セレクションを選択しなければならない。例えば、操作者が作業日の終わりなどに複数の作業命令が完了するまで待つ際に、操作者は、完了した作業命令のそれぞれに対するデータを転送するために、作業命令が完了した各場所番号を切り替えて、「場所データ」画面のそれぞれで「送信」セレクションを選択しなければならない。
図47を参照すると、特定の場所番号に対するデータの転送が成功すると、「場所データ」画面上の「送信」セレクションは、「OK」印に変わる。さらに、「場所データ」画面上のデータの全てがゼロになり、「HT」モード及び「SA」モードに関連付けられたチェックマークが削除され、「作業命令完了」行が「いいえ」を示す。それにより、操作者が場所番号を切り替えてこの特定の場所番号に戻ってきたときにはこの作業番号(例えば、作業命令)についての情報は既に送信されたという表示が操作者に提供される。
【0145】
供給カート制御システム792によって収集された(例えば、遠隔通信制御システムを介して遠隔データ管理システム801に転送するための)データの全てが供給カート制御システムの種々の画面上に表示され得るのではないことが理解される。例えば、一つの実施形態では、これらに限定されることはないが、場所(及び、関連する作業命令識別子)、供給カート制御システム及び施剤ツール制御システム792のそれぞれのためのオペレーティングソフトウェアのバージョン、ユニットID(高圧施剤ツール712のための識別子)、市及び州を含めた作業現場の住所、処理が行われた日付、施剤された製品のタイプ、選択された土壌設定、注入量設定(例えば高圧モードのための、活性成分注入量設定)、注入カウント、注入量(例えば、高圧モードで使用された総活性成分量)、高圧モードで使用された(ガロン単位での)水、低圧モードで使用された活性成分の総量、低圧モードで使用された(ガロン単位での)水、各場所で行われた作業の開始時刻、各場所での作業を完了するのに経過した(分単位での)合計時間、作業命令完了信号、どちらのモード(HT及び/又はSA)が使用されたか、並びに何らかのエラー/警告が作動されたかどうかなどのデータのうちのいずれか一つ又は全てが、供給カート制御システム792によって収集され得ることが意図されている。
【0146】
図48~
図50は、装置710がその高圧モードで作動されたときに施剤ツール制御システム799(即ち、高圧施剤ツール712上に存在する第2の制御システム)のディスプレイ画面813上に現れるスクリーンショットである。例えば、
図48は、高圧施剤ツール712の電源を入れたときに現れる第1の画面である。施剤ツール制御システム799のディスプレイユニットは、供給カート制御システム799のディスプレイユニットに類似したディスプレイ画面813及び押しボタン815を含む。しかし、ディスプレイユニットは、本開示の範囲から逸脱することなく、タッチスクリーン又は他の適切なユーザインタフェースを含むことができることが理解される。時刻、日付、及びオペレーティングソフトウェアのバージョンに加えて、この画面は、「開始」セレクション及び「LCD」セレクションを含む。「LCD」セレクションを選択することにより、操作者は、
図42及び
図43を参照して上述されたように、バックライト等の一つ以上のディスプレイ画面設定を変更することが可能になる。操作者は、高圧施剤ツール712の作動を始める準備ができたときに、「開始」セレクションを選択する。一つの安全機能として、施剤ツール制御システム799のディスプレイユニット上の「開始」セレクションは、「モード選択」画面を含めて「モード選択」画面までのセットアップを完了させる(また、操作者は「モード選択」画面上の「HT」セレクションを選択していなければならない)ことなどにより供給カート制御システム792のセットアップが完了するまで、ディスプレイ画面813を変更するように動作可能にはならない。
【0147】
供給カート制御システム792のセットアップが完了し、施剤ツール制御システム799のディスプレイ画面813上の「開始」セレクションが選択されると、施剤ツール制御システムのディスプレイ画面は、
図49に示される「土壌設定」画面に変わる。供給カート制御システム792の「土壌設定」画面(
図40)上に表示されるのと同じセレクション(「軽」、「標準」、及び「重」)が、高圧施剤ツール712の「土壌設定」画面上に表示される。例示された実施形態における無線接続、電気的接続、又は他の適切な接続などにより施剤ツール制御システム799と供給カート制御システム792との間に接続が確立されている限り、操作者が施剤ツール制御システムの「土壌設定」画面上で土壌タイプの選択を行うと、カート供給制御システムの「土壌設定」画面上で選択された土壌タイプ設定は無効にされる。それにより、操作者は、供給カート714から離れた場所に高圧施剤ツール712を移動させた後で土壌タイプを見直すことが可能になる。
【0148】
「土壌設定」画面上の土壌タイプを選択するために「次へ」セレクションが選択されると、
図50の「HTモード」画面が表示されて、高圧施剤ツール712が装置の高圧モードで動作可能な状態であることを示す。「HTモード」画面は、場所番号及び土壌タイプの設定、注入の圧力及び通し番号、並びに装置710の高圧モードでの処理を行うのに使用された活性成分(例えば、濃縮防蟻剤)の総量を表示する。また、「HTモード」画面上には、「システム状態」識別子が含まれる。「システム状態」の下に識別子「システムOK」が現れたならば、高圧施剤ツール712は動作可能な状態である。「システム状態」は、各注入後に更新する。高圧ツール712が動作可能な状態でない場合、識別子は、そのことを示すエラーメッセージ及び/又は警告を与えることになる。例えば、高圧施剤ツール712上の濃縮物タンク784'が空であるか他の理由でマニホルドに流れて行かない場合、又は、動作圧力が所定の最小圧力を下回る場合、「システム状態」は、そのような問題の表示を提供する。施剤ツール制御システム799が供給カート制御システム792との確立された通信リンクを有したかどうかを操作者に示すために、「リンク」状態識別子も表示される。「オンライン」の識別子が、リンクが確立されたことを示し、一方で「オフライン」識別子が、リンクが確立されていないことを示す。
【0149】
ディスプレイ画面813の下縁余白に沿って、「次へ」、「クラッチ」、「機関」、及び「戻る」を含む、四つのセレクション選択肢が存在する。「戻る」セレクションは、ディスプレイ画面を「土壌設定」画面に戻す。「クラッチ」セレクションは、加圧流体の送達を一時停止するために、供給カート制御システム792と通信してクラッチ機構791を係脱させる。「機関」セレクションは、装置710の動作を停止するために、供給カート制御システム792と通信して機関788を止める。したがって、操作者は、高圧施剤ツール712の遠隔位置から、供給カート714のある程度の制御を有する。「次へ」セレクションもまた、ディスプレイ画面を「土壌設定」画面に戻す。
【0150】
一つの実施形態では、施剤ツール制御システム799は、高圧モードでの装置710の動作中に施剤ツール制御システムと供給カート制御システム792との間の通信リンクが失われた場合に施剤ツール制御システムが「HTモード」画面(
図50)上に表示された注入に関するデータ-例えば少なくとも注入カウント及び圧力、及び場合により使用された活性成分の量を一時的に記憶するように、一時記憶装置などの十分な記憶装置を含む。リンクが再確立されると、一時的に記憶されたデータは、供給カート制御システム792に自動的に転送される。さらに、又はその代わりに、施剤ツール制御システム799は、遠隔データ管理システム801と直接通信するように構成され得ることも意図されている。
【0151】
本明細書で説明された方法、装置、及びシステムは、土地への土壌処理剤の施剤を容易にする。具体的には、一つの適切な実施形態では、土壌処理剤を施剤するための装置が、高圧モードと低圧モードとの間で選択的に動作可能である。装置は、装置の高圧モードにおいて土壌中に高圧で土壌処理剤を注入するように動作可能な高圧施剤ツールを含む。さらに装置は、高圧施剤ツールとは別個のものであって装置の低圧モードにおいて低圧下で土壌に土壌処理剤を施剤するように動作可能な低圧施剤ツールを含み、この低圧は、装置の高圧モードの高圧よりも実質的に低い。装置はまた、装置の高圧モードにおいて高圧施剤ツールと流体連通し、且つ高圧施剤ツールの動作のために高圧施剤ツールに加圧流体を送達するように高圧モードにおいて動作可能な、ベースユニットを含む。ベースユニットはまた、装置の低圧モードにおいて低圧施剤ツールと流体連通し、且つ、高圧モードにおけるよりも実質的に低い圧力で低圧施剤ツールに流体を送達するように低圧モードにおいて動作可能である。高圧施剤ツール及び低圧施剤ツールはそれぞれ、ベースユニットに対して別々に位置決め可能である。ベースユニット、高圧施剤ツール、及び低圧施剤ツールは、高圧施剤ツールが動作しているときには低圧施剤ツールが動作不可能であり、低圧施剤ツールが動作しているときには高圧施剤ツールが動作不可能であるように、相互に対して構成される。
【0152】
他の適切な実施形態では、装置の高圧モードでは、高圧施剤ツールは、ベースユニットに接続されてベースユニットと流体連通し、低圧施剤ツールは、ベースユニットから分離される。低圧モードでは、低圧施剤ツールは、ベースユニットに接続されてベースユニットと流体連通し、高圧施剤ツールは、ベースユニットから分離される。一つの適切な実施形態では、装置はさらに、高圧施剤ツールを分離する前に圧力を逃がすために、圧力逃がし弁を含む。
【0153】
別の適切な実施形態では、ベースユニットは、ベースユニットから流体を送達するための導管を含む。高圧モードでは、高圧施剤ツールは導管に接続されるが、低圧施剤ツールは導管から分離され、低圧モードでは、低圧施剤ツールは導管に接続されるが、高圧施剤ツールは導管から分離される。一つの適切な実施形態では、導管は、ベースユニットから遠位に位置決めされたクイックコネクトを含む。高圧施剤ツール及び低圧施剤ツールのそれぞれは、クイックコネクトでの導管への交換可能で取り外し可能な接続のために別々に構成される。
【0154】
さらに、別の実施形態では、ベースユニットは、ベースユニットから流体を送達するためにベースユニットの動作を制御するための制御システムを含む。制御システムは、ベースユニットの動作を装置の高圧モードと装置の低圧モードとの間で選択的に切り替えるように構成される。場合により、装置は、低圧施剤ツールがベースユニットに接続されているときには、装置の高圧モードで動作不可能である。
【0155】
さらに、一代替実施形態では、低圧施剤ツールは、地表面下に土壌処理剤を送達するように構成される。一つの具体的で非限定な例では、低圧施剤ツールは、ロッジングツールを含む。
【0156】
別の適切な実施形態では、ベースユニットは、搬送液体の供給源から搬送液体を送達するように動作可能な圧力ポンプと、装置の低圧モードにおいてベースユニットから送達される流体を画定するために搬送液体と混合される活性成分を収容するためのタンクと、搬送液体と混合させるためにタンクから活性成分を送達するように動作可能な蠕動ポンプとを含む。圧力ポンプは、装置の低圧モードにおいて、或る流量で搬送液体を送達するように動作可能であり、蠕動ポンプは、装置の低圧モードにおいて、搬送液体の流量に基づいた投与量で活性成分を送達するように動作可能である。一代替実施形態では、蠕動ポンプは、装置の高圧モードでは作動されない。別の代替実施形態では、蠕動ポンプは、搬送液体の流量の変化に応答して調節可能な稼働率を有する。さらに、別の実施形態では、稼働率は、搬送液体の流量に基づいて自動的に調節される。
【0157】
一つの適切な実施形態では、作業現場において構造物に隣接した土壌を処理する方法が説明される。方法は、構造物に隣接した作業現場の第1の領域に沿って高圧注入装置を移動させることを含む。さらに、方法は、高圧注入装置を作動させて、前述の作業現場の第1の領域に沿って土壌中に土壌処理剤を注入することを含む。方法はまた、構造物に隣接した作業現場の第2の領域に沿って低圧施剤ツールを移動させること、及び、低圧施剤ツールを作動させて、作業現場の第2の領域に沿って土壌に土壌処理剤を施剤することを含む。
【0158】
方法の別の適切な実施形態では、低圧施剤ツールは、それを通して土壌処理剤が低圧施剤ツールから送達される出口を有する。方法はさらに、作業現場の第2の領域に沿って低圧施剤ツールを移動させるステップを含み、このステップは、注入のたびにツールの出口が硬化した表面よりも下方に位置するように、第2の作業領域に沿って離間された位置において低圧施剤ツールの少なくとも一部分を断続的に地中に挿入することを含む。
【0159】
方法の一代替実施形態では、低圧施剤ツールは、それを通して土壌処理剤が低圧施剤ツールから送達される出口を有する。方法はさらに、作業現場の第2の領域に沿って低圧施剤ツールを移動させるステップを含み、このステップは、第2の作業領域において地面に一つ以上の穴及び溝を掘削することと、低圧施剤ツールを作動させる前にツールの出口が地表よりも下方に位置するように、穴又は溝内に低圧施剤ツールの少なくとも一部分を挿入することとを含む。
【0160】
さらに、方法の別の代替実施形態では、高圧注入装置を作動させて土壌中に土壌処理剤を注入するステップは、高圧注入装置を作動させて第1の領域の第1の注入地点において土壌中に土壌処理剤を注入することと、高圧注入装置を第1の領域の第2の注入地点に移動させている間、高圧注入装置からの土壌処理剤の流れを止めることと、高圧注入装置を作動させて第1の領域の第2の注入地点において土壌中に土壌処理剤を注入することとをさらに含む。
【0161】
上述の方法の一つの適切な実施形態では、作業現場は、構造物の周りの周辺部全体を実質的に含む。別の実施形態では、第1の領域は、作業現場のうちの複数の別個の領域を含む。さらに、別の実施形態では、第2の領域は、作業現場のうちの複数の別個の領域を含む。
【0162】
上述の方法のなおも別の適切な実施形態では、高圧注入装置及び低圧施剤ツールのうちの少なくとも一つによって施剤される土壌処理剤は、防蟻剤を含む。
【0163】
別の適切な実施形態では、上述の方法は、作業現場の第1の領域を画定するために、作業現場のうちのどの領域が高圧注入装置を使用する処理に適しているかを判定することと、作業現場の第2の領域を画定するために、作業現場のうちのどの領域が高圧注入装置を使用する処理に適していないかを判定することとを含む。作業現場の第1及び第2の領域を判定することは、作業現場の土壌のタイプ、及び作業現場の地表面のうちの一つ以上と相関している。一つの具体的で適切な実施形態では、作業現場の第2の領域は、強く圧縮した土壌、及び土壌上の硬化した地表面のうちの一つ以上を含む。
【0164】
別の適切な実施形態では、上述の方法は、作業現場の第1の領域に沿って高圧注入装置を移動させることの前に、高圧注入装置が流体送達デバイスに対して位置決め可能であるように、高圧注入装置と流体連通する流体送達デバイスに高圧注入装置を接続するステップを含む。高圧注入装置を作動させて土壌中に土壌処理剤を注入するステップは、流体送達デバイスを作動させて流体を高圧で高圧注入装置に送達することを含む。方法はさらに、作業現場の第2の領域に沿って低圧施剤ツールを移動させることの前に、高圧注入装置を流体送達デバイスから分離することと、低圧施剤ツールが流体送達デバイスに対して位置決め可能であるように、低圧施剤ツールと流体連通する流体送達デバイスに低圧施剤ツールを接続することとを含む。低圧施剤ツールを作動させて土壌処理剤を施剤するステップは、流体送達デバイスを作動させて、注入装置に送達される流体の高圧よりも実質的に低い圧力で低圧施剤ツールに流体を送達することを含む。或いは、方法は、流体送達デバイスから注入装置を分離する前に高圧注入装置から圧力を抜くことをさらに含む。
【0165】
方法の別の適切な実施形態では、作業現場の第1の領域は、作業現場の第2の領域から離れている。或いは、作業現場の2の領域は、少なくとも部分的には作業現場の第1の領域と重なる。
【0166】
方法の別の適切な実施形態では、高圧注入装置を作動させるステップは、高圧注入装置を作動させて土壌表面よりも深い注入深さまで土壌中に土壌処理剤を注入することを含む。作業現場の第2の領域に沿って低圧施剤ツールを移動させるステップは、作業現場の第1の領域に重なった第2の領域に沿って低圧施剤ツールを移動させることを含む。さらに、低圧施剤ツールを作動させるステップは、注入深さよりも深い土壌中に低圧施剤ツールを挿入することと、低圧施剤ツールを作動させて注入深さよりも深い土壌に土壌処理剤を施剤することとを含む。
【0167】
一代替実施形態では、地下土壌中に土壌処理剤を注入する方法が説明される。方法は、殺有害生物剤を注入される土壌に注入装置の少なくとも一つの高圧ノズルが隣接するように、注入装置を位置決めすることを含む。方法はまた、注入装置をトリガして加圧土壌処理剤を少なくとも一つの高圧ノズルに送達し、それにより加圧土壌処理剤が高圧ノズルから土壌表面下中に噴射されることを含む。注入装置のトリガリングは、搬送液体が少なくとも一つの高圧ノズルに高圧で送達される所定の時間周期を決定することを含む。所定の時間周期は、少なくとも部分的には、土壌処理剤が注入される土壌のタイプに基づく。さらに、注入装置のトリガリングは、少なくとも一つの高圧ノズルから土壌処理剤が噴射される前に土壌処理剤を画定するために、所定の投与量の活性成分を所定の時間周期にわたって少なくとも一つの高圧ノズルに向けて送達して搬送液体と混合させることを含む。所定の投与量は注入ごとのものであり、且つ、所定の時間周期に無関係なものである。
【0168】
別の適切な実施形態では、上述の方法は、注入装置の制御システムを操作して、土壌処理剤が注入される土壌のタイプを選択することを含む。所定の時間周期は、選択された土壌タイプに基づいて決定される。
【0169】
さらに、別の適切な実施形態では、所定の時間周期はさらに、少なくとも部分的には、注入装置の一回一回のトリガリングに対する意図された土壌中への土壌処理剤の浸透深さに基づく。
【0170】
なおも別の適切な実施形態では、地下土壌中に土壌処理剤を注入するための装置が、土壌中に高圧で土壌処理剤を注入するように動作可能な注入装置と、注入装置に加圧流体を送達するように動作可能なベースユニットとを含む。注入装置は、注入装置とベースユニットとの間に流体通路を画定する導管により、注入装置と流体連通するベースユニットに接続される。注入装置は、ベースユニットから離れた所に位置決め可能である。さらに、注入装置は、ベースユニットへの給電接続なしで注入装置に電力を供給するための電池を携行する。
【0171】
一つの適切な実施形態では、電池は充電式電池である。さらに、一つの実施形態では、電池は、充填のために注入装置から電池を取り外すのを容易にするために、注入装置に取り外し可能に取り付けられる。
【0172】
別の適切な実施形態では、装置はさらに、ベースユニットによって携行されたベースユニット制御システムと、ベースユニット制御システムに対して離れた所に位置決めするための、注入装置によって携行された注入装置制御システムとを含む。ベースユニット制御システム及び注入装置制御システムは、相互に無線通信するように構成される。さらに、一つの実施形態では、ベースユニット制御システムは、ベースユニットから注入装置への加圧流体の送達を制御するように動作可能である。注入装置制御システムは、ベースユニットから注入装置への加圧流体の送達を終えるために、注入装置制御システムからベースユニット制御システムへ信号を送信してベースユニットの動作の一時停止及び停止のうちの一方を行うように動作可能である。さらに、別の実施形態では、注入装置制御システムは、注入装置の操作者がアクセス可能なユーザインタフェースを含む。操作者は、ユーザインタフェースを使用することにより、ベースユニットの動作の一時停止及び停止のうちの一方を行うために、ベースユニット制御システムに信号を送信するように注入装置制御システムに指示することができる。
【0173】
本明細書は、最良の形態を含めて本発明を開示するため、また、任意のデバイス又はシステムを製造及び使用すること並びに任意の組み込まれた方法を行うことを含めて、いかなる当業者にも本発明を実践することを可能とするために、実施例を使用している。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義されるものであり、当業者に思い浮かぶ他の実施例を含み得る。そのような他の実施例は、それらが特許請求の範囲に記載の文言と異ならない構成要素を有する場合、又は、それらが特許請求の範囲に記載の文言と実質的な差異のない均等な構成要素を含む場合には、特許請求の範囲内にあると意図される。
【手続補正書】
【提出日】2022-10-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧注入ツール、低圧施剤ツール、及び流体送達デバイスを含む装置を使用して、作業現場において構造物に隣接した土壌を処理する方法であって、
前記構造物に隣接した前記作業現場の第1の領域に沿って前記高圧注入ツールを移動させることであって、前記装置の高圧モードにおいて前記高圧注入ツールが前記流体送達デバイスと流体連通していること、
前記装置が前記高圧モードの状態で前記高圧注入ツールを作動させて、前記作業現場の前記第1の領域に沿って前記土壌中に土壌処理剤を注入すること、
前記高圧モードと低圧モードとの間で前記装置を切り替えることであって、前記装置の前記低圧モードにおいて、前記低圧施剤ツールが前記流体送達デバイスと流体連通し、前記高圧注入ツールが前記流体送達デバイスから分離されていること、
前記構造物に隣接した前記作業現場の第2の領域に沿って前記低圧施剤ツールを移動させること、
前記装置が前記低圧モードの状態で前記低圧施剤ツールを作動させて、前記作業現場の前記第2の領域に沿って前記土壌に土壌処理剤を施剤すること、を含む方法であり、
前記作業現場が、前記構造物の周りの周辺部全体を実質的に含み、
前記高圧注入ツール及び前記低圧施剤ツールのうちの一つ以上によって施剤される前記土壌処理剤が、防蟻剤を含み、
前記第1の領域が、前記作業現場のうちの複数の別個の領域を含み、
前記第2の領域が、前記作業現場のうちの複数の別個の領域を含む、方法。
【請求項2】
前記低圧施剤ツールが、それを通して前記低圧施剤ツールから土壌処理剤が送達される出口を有しており、
前記作業現場の前記第2の領域に沿って前記低圧施剤ツールを移動させるステップが、注入のたびに前記低圧施剤ツールの前記出口が地表面よりも下方に位置するように、前記第2の領域に沿って離間された位置において前記低圧施剤ツールの少なくとも一部分を断続的に地中に挿入することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記低圧施剤ツールが、それを通して前記低圧施剤ツールから土壌処理剤が送達される出口を有しており、
前記作業現場の前記第2の領域に沿って前記低圧施剤ツールを移動させるステップが、前記第2の領域において地面に穴及び溝のうちの少なくとも一つを掘削することと、前記低圧施剤ツールを作動させる前に前記低圧施剤ツールの前記出口が地表面よりも下方に位置するように、前記低圧施剤ツールの少なくとも一部分を前記穴及び溝のうちの少なくとも一つに挿入することとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記装置が前記高圧モードの状態で前記高圧注入ツールを作動させて前記土壌中に土壌処理剤を注入するステップが、前記装置が前記高圧モードの状態で前記高圧注入ツールを作動させて前記第1の領域の第1の注入地点において前記土壌中に土壌処理剤を注入することと、前記高圧注入ツールを前記第1の領域の第2の注入地点に移動させている間、前記高圧注入ツールからの前記土壌処理剤の流れを止めることと、前記装置が前記高圧モードの状態で前記高圧注入ツールを作動させて前記第1の領域の前記第2の注入地点において前記土壌中に土壌処理剤を注入することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記作業現場の前記第1の領域を画定するために、前記作業現場のうちのどの領域が前記高圧注入ツールを使用する処理に適しているかを判定することと、前記作業現場の前記第2の領域を画定するために、前記作業現場のうちのどの領域が前記高圧注入ツールを使用する処理に適していないかを判定することとをさらに含み、
前記判定することが、前記作業現場の前記土壌のタイプ、及び前記作業現場の地表面のうちの一つ以上と相関している、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記作業現場の前記第2の領域が、強く圧縮した土壌、及び前記土壌を覆う物質のうちの一つ以上を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記作業現場の前記第1の領域に沿って前記高圧注入ツールを移動させることの前に、前記高圧注入ツールが前記流体送達デバイスに対して位置決め可能であるように、前記高圧注入ツールと流体連通する前記流体送達デバイスに前記高圧注入ツールを接続するステップをさらに含み、
前記高圧注入ツールを作動させて前記土壌中に土壌処理剤を注入するステップが、前記流体送達デバイスを作動させて前記高圧注入ツールに高圧で流体を送達することを含み、 前記高圧モードと低圧モードとの間で前記装置を切り替えることが、前記作業現場の前記第2の領域に沿って前記低圧施剤ツールを移動させることの前に、前記高圧注入ツールを前記流体送達デバイスから分離することと、前記低圧施剤ツールが前記流体送達デバイスに対して位置決め可能であるように、前記低圧施剤ツールと流体連通する前記流体送達デバイスに前記低圧施剤ツールを接続することとを含み、
前記低圧施剤ツールを作動させて土壌処理剤を施剤するステップが、前記流体送達デバイスを作動させて、前記高圧注入ツールに送達される前記流体の前記高圧よりも実質的に低い圧力で前記低圧施剤ツールに流体を送達することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記流体送達デバイスから前記注入ツールを分離する前に前記高圧注入ツールから圧力を抜くことをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記作業現場の前記第2の領域が、少なくとも部分的には前記作業現場の前記第1の領域と重なる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記高圧注入ツールを作動させるステップが、前記高圧注入ツールを作動させて前記土壌の表面よりも深い注入深さまで前記土壌中に土壌処理剤を注入することを含み、
前記作業現場の第2の領域に沿って低圧施剤ツールを移動させるステップが、前記作業現場の前記第1の領域に重なった第2の領域に沿って前記低圧施剤ツールを移動させることを含み、
前記低圧施剤ツールを作動させるステップが、前記注入深さよりも深い前記土壌中に前記低圧施剤ツールを挿入することと、前記低圧施剤ツールを作動させて前記注入深さよりも深い前記土壌に土壌処理剤を施剤することとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
高圧注入ツール、低圧施剤ツール、及び流体送達デバイスを含む装置を使用して、作業現場において構造物に隣接した土壌を処理する方法であって、
前記高圧注入ツールが前記流体送達デバイスに対して位置決め可能であるように、前記高圧注入ツールと流体連通する前記流体送達デバイスに前記高圧注入ツールを接続すること、
前記装置が高圧モードの状態で前記流体送達デバイスを作動させて前記高圧注入ツールに高圧で流体を送達することであって、前記装置の高圧モードにおいて前記高圧注入ツールが前記流体送達デバイスと流体連通していること、
前記高圧注入ツールから前記土壌中に土壌処理剤を注入すること、
前記高圧注入ツールを前記流体送達デバイスから分離すること、
前記低圧施剤ツールが前記流体送達デバイスに対して位置決め可能であるように、前記低圧施剤ツールと流体連通する前記流体送達デバイスに前記低圧施剤ツールを接続すること、
前記装置が低圧モードの状態で前記流体送達デバイスを作動させて、前記装置の前記高圧モードにおいて前記高圧注入ツールに送達される前記流体の前記高圧よりも実質的に低い圧力で前記低圧施剤ツールに流体を送達することであって、前記装置の前記低圧モードにおいて、前記低圧施剤ツールが前記流体送達デバイスと流体連通し、前記高圧注入ツールが前記流体送達デバイスから分離されていること、
前記低圧施剤ツールから前記土壌の表面に流体を施剤すること、を含む方法。
【請求項12】
前記流体送達デバイスから前記注入ツールを分離する前に前記高圧注入ツールから圧力を抜くことをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記土壌中に土壌処理剤を注入するステップが、前記高圧注入ツールを作動させて前記土壌の表面よりも深い注入深さまで前記土壌中に土壌処理剤を注入することを含み、
表面に流体を施剤するステップが、前記注入深さよりも深い前記土壌中に前記低圧施剤ツールを挿入することと、前記低圧施剤ツールを作動させて前記注入深さよりも深い前記土壌に土壌処理剤を施剤することとを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記高圧注入ツール及び前記低圧施剤ツールのうちの一つ以上によって施剤される前記土壌処理剤が、防蟻剤を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記低圧施剤ツールが、それを通して前記低圧施剤ツールから土壌処理剤が送達される出口を有しており、
前記方法が、注入のたびに前記低圧施剤ツールの前記出口が地表面よりも下方に位置するように、作業領域に沿って離間された位置において前記低圧施剤ツールの少なくとも一部分を断続的に地中に挿入することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記低圧施剤ツールが、それを通して前記低圧施剤ツールから土壌処理剤が送達される出口を有しており、
前記方法が、領域において地面に穴及び溝のうちの少なくとも一つを掘削することと、前記低圧施剤ツールを作動させる前に前記低圧施剤ツールの前記出口が地表面よりも下方に位置するように、前記低圧施剤ツールの少なくとも一部分を前記穴及び溝のうちの少なくとも一つに挿入することとをさらに含む、請求項11に記載の方法。