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特開2022-174210高温で使用されるウルトラキャパシタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174210
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】高温で使用されるウルトラキャパシタ
(51)【国際特許分類】
   H01G 11/24 20130101AFI20221115BHJP
   H01G 11/70 20130101ALI20221115BHJP
   H01G 11/32 20130101ALI20221115BHJP
   H01G 11/52 20130101ALI20221115BHJP
   H01G 11/62 20130101ALI20221115BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20221115BHJP
   H01G 11/68 20130101ALI20221115BHJP
   H01G 11/42 20130101ALI20221115BHJP
   H01G 11/60 20130101ALI20221115BHJP
【FI】
H01G11/24
H01G11/70
H01G11/32
H01G11/52
H01G11/62
H01G11/78
H01G11/68
H01G11/42
H01G11/60
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022144345
(22)【出願日】2022-09-12
(62)【分割の表示】P 2018561052の分割
【原出願日】2017-05-17
(31)【優先権主張番号】62/339,173
(32)【優先日】2016-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500047848
【氏名又は名称】キョーセラ・エイブイエックス・コンポーネンツ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100168066
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】クノップスナイダー,ジョナサン・ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン,ショーン
(72)【発明者】
【氏名】リッター,アンドリュー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高温で動作することができ、かつ、依然として安定な電気的性質を維持することができる改善されたウルトラキャパシタを提供する。
【解決手段】約80℃以上の温度を有する高温雰囲気に接触するウルトラキャパシタ101であって、第1の電極105、第2の電極106、前記電極と対面構成で積層され、かつ、両側のタブ104により一緒に接続されるセパレータを含む電極アセンブリ102と、非水性電解質112と、非水性電解質112を封入する柔軟なパッケージ103と、を含む。第1の電極は、第1の炭素質コーティングに電気的に連結された第1の集電子を含み、第2の電極は、第2の炭素質コーティングに電気的に連結された第2の集電子を含む。ウルトラキャパシタは、周波数120Hz、かつ、印加電圧なしで測定されたとき、高温雰囲気中で、立方センチメートル当たり約6ファラド以上のキャパシタンス値を示す。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約80℃以上の温度を有する高温雰囲気に接触するウルトラキャパシタであって、
第1の炭素質コーティングに電気的に連結された第1の集電子を含む第1の電極と、
第2の炭素質コーティングに電気的に連結された第2の集電子を含む第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に位置決めされたセパレータと、
前記第1の電極および前記第2の電極とイオン接触する非水性電解質と、そして
前記第1の電極、前記第2の電極、前記セパレータ、および前記電解質が内部に保持されるハウジングと
を含み、
前記第1の集電子および前記第2の集電子が、それぞれ導電性金属を含む支持体を含み、前記ウルトラキャパシタが、120Hzの周波数でかつ印加電圧なしに測定されたとき、高温雰囲気中で、立方センチメートル当たり約6ファラド以上のキャパシタンス値を示す、
ウルトラキャパシタ。
【請求項2】
前記高温雰囲気に1008時間にわたり曝露された後の前記ウルトラキャパシタのキャパシタンス値の、前記高温雰囲気に最初に曝露されたときの前記ウルトラキャパシタのキャパシタンス値に対する比が、約0.75以上である、請求項1に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項3】
前記高温雰囲気および約1ボルト以上の印加電圧に曝露された後の前記ウルトラキャパシタのキャパシタンス値の、前記高温雰囲気に曝露されたときであるが前記印加電圧が加えられる前の前記ウルトラキャパシタの初期キャパシタンスに対する比が、約0.60以上である、請求項1に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項4】
前記高温雰囲気および約40%以上の湿度レベルに曝露された後の前記ウルトラキャパシタのキャパシタンス値の、前記高温雰囲気に曝露されたときであるが前記湿度レベルに曝露される前の前記ウルトラキャパシタの初期キャパシタンス値に対する比が、約0.7以上である、請求項1に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項5】
周波数1kHzでかつ印加電圧なしで決定されたときに約150mオーム以下のESRを有する、請求項1に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項6】
前記高温雰囲気に1008時間にわたり曝露された後の前記ウルトラキャパシタのESRの、前記高温雰囲気に最初に曝露されたときの前記ウルトラキャパシタのESRに対する比が、約1.5以下である、請求項1に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項7】
前記高温雰囲気および約1ボルト以上の印加電圧に曝露された後の前記ウルトラキャパシタのESRの、前記高温雰囲気に曝露されたときであるが前記印加電圧が加えられる前の前記ウルトラキャパシタの初期ESRに対する比が、約1.8以下である、請求項1に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項8】
前記高温雰囲気および約40%以上の湿度レベルに曝露された後の前記ウルトラキャパシタのESRの、前記高温雰囲気に曝露されたときであるが前記湿度レベルに曝露される前の前記ウルトラキャパシタの初期ESRに対する比が、約1.5以下である、請求項1に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項9】
前記導電性金属が、アルミニウムまたはその合金である、請求項1に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項10】
複数の繊維様ウィスカが、前記第1の集電子の支持体、前記第2の集電子の支持体またはその両方から外向きに突出している、請求項1に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項11】
前記ウィスカが、前記導電性金属の炭化物を含有する、請求項10に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項12】
前記第1の炭素質コーティング、前記第2の炭素質コーティング、または両方が、活性炭粒子を含有する、請求項1に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項13】
前記活性炭粒子の少なくとも50体積%が、約0.01から約30マイクロメートルのサイズを有する、請求項12に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項14】
前記活性炭粒子が複数の細孔を含有し、約2ナノメートル以下のサイズを有する細孔の量が全細孔体積の約50体積%以下であり、約2ナノメートルから約50ナノメートルのサイズを有する細孔の量が全細孔体積の約20体積%から約80体積%であり、約50ナノメートル以上のサイズを有する細孔の量が全細孔体積の約1体積%から約50体積%である、請求項12に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項15】
前記非水性電解質が、非水性溶媒に溶解したイオン性液体を含有し、前記イオン性液体がカチオン性種および対イオンを含有する、請求項1に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項16】
前記非水性溶媒がプロピレンカーボネートを含む、請求項15に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項17】
前記カチオン性種が、有機第四級アンモニウム化合物を含む、請求項15に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項18】
前記有機第四級アンモニウム化合物が、下記の構造
【化1】
[式中、mおよびnは独立して3から7の数である]
を有する、請求項17に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項19】
前記イオン性液体が、約1.0M以上の濃度で存在する、請求項15に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項20】
前記セパレータが、セルロース繊維材料を含む、請求項1に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項21】
前記ハウジングが、柔軟なパッケージを含む、請求項1に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項22】
前記柔軟なパッケージが、金属を含む障壁層を含む、請求項21に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項23】
前記柔軟なパッケージが外層をさらに含み、前記障壁層が、前記外層と前記電極との間に位置決めされている、請求項22に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項24】
前記外層が、ポリオレフィン、ポリエステル、またはこれらの組合せを含むフィルムを含む、請求項23に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項25】
前記柔軟なパッケージが内層をさらに含み、前記内層が、前記障壁層と前記電極との間に位置決めされている、請求項23に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項26】
前記内層がイオノマーを含有する、請求項25に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項27】
前記ハウジングが金属容器を含む、請求項1に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項28】
前記金属容器が、円筒形状を有する、請求項27に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項29】
前記第1の電極、前記第2の電極、および前記セパレータが巻かれて、ジェリーロール構成を有する電極アセンブリになっている、請求項1に記載のウルトラキャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、その参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2016年5月20日に出願された米国仮出願第62/339,173号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギー貯蔵セルは、電子、電気機械、電気化学、およびその他の有用なデバイスに電力を提供するのに広く使用される。例えば、電気二重層ウルトラキャパシタは、一般に、液体電解質を含浸させた炭素粒子(例えば、活性炭)を含有する1対の分極性電極を用いる。粒子の有効表面積と、電極間の小さい間隔とに起因して、大きいキャパシタンス値が実現され得る。それにも関わらず、課題が残される。例えば、多くの従来のウルトラキャパシタは高温に感受性であり、それが低いキャパシタンスと増大した等価直列抵抗(「ESR」)とをもたらし得る。したがって、高温で動作することができかつ依然として安定な電気的性質を維持することができる、改善されたウルトラキャパシタが現在求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の一実施形態によれば、約80℃以上の温度を有する高温雰囲気に接触しているウルトラキャパシタが開示される。ウルトラキャパシタは、第1の炭素質コーティングに電気的に連結された第1の集電子を含む第1の電極と、第2の炭素質コーティングに電気的に連結された第2の集電子を含む第2の電極とを含む。第1の集電子および第2の集電子はそれぞれ、導電性金属を含む支持体を含む。セパレータが、第1の電極と第2の電極との間に位置決めされ、非水性電解質が第1の電極および第2の電極とイオン接触する。ウルトラキャパシタは、第1の電極、第2の電極、セパレータ、および電解質が内部に保持されているハウジングも含む。キャパシタは、120Hzの周波数でかつ印加電圧なしに決定された場合、高温雰囲気中で、立方センチメートル当たり約6ファラド以上のキャパシタンス値を示す。
【0004】
本発明のその他の特徴および態様について、以下に、さらに詳細に述べる。
当業者を対象にした本発明の完全かつ可能な開示を、その最良の形態も含めて、添付される図を参照しながら本明細書の残りの部分でより詳細に述べる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、本発明のウルトラキャパシタで用いられてもよい集電子の、一実施形態の概略図である。
図2図2は、本発明のウルトラキャパシタで用いられてもよい集電子/炭素質コーティング構成の、一実施形態の概略図である。
図3図3は、本発明のウルトラキャパシタで使用することができる電極アセンブリを形成するための、一実施形態を示す概略図である。
図4図4は、本発明のウルトラキャパシタの一実施形態の概略図である。
図5図5は、本発明のウルトラキャパシタの別の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書および図面における参照符号の反復使用は、本発明の同じまたは類似の形体または要素を表すものとする。
当業者なら、本考察が単なる例示的な実施形態の記載であり、例示的な構造に具体化さ
れる本発明のより広い態様を、限定するものではないことを理解されたい。
【0007】
一般的には、本発明は、高温で良好な特性を示すことが可能なウルトラキャパシタを対象とする。ウルトラキャパシタは、第1の集電子に電気的に連結された第1の炭素質コーティング(例えば、活性炭粒子)を含む第1の電極と、第2の集電子に電気的に連結された第2の炭素質コーティング(例えば、活性炭粒子)を含む第2の電極とを含む。セパレータも、第1の電極と第2の電極との間に位置決めされ、電解質は、第1の電極および第2の電極とイオン接触している。第1の電極、第2の電極、セパレータ、および電解質は、ハウジング内に保持される。
【0008】
本発明者らは、集電子(複数可)および電極(複数可)を形成するのに使用される材料の特定の性質の選択的制御を通して、ならびにそれらが形成される手法を通して、様々な有益な特性が実現され得ることを発見した。即ち、得られるウルトラキャパシタは、高温に曝露されても優れた電気的特性を示し得る。例えば、ウルトラキャパシタは、約80℃以上、いくつかの実施形態では約100℃から約150℃、いくつかの実施形態では約105℃から約130℃(例えば、85℃または105℃)の温度を有する雰囲気に接触して配置されてもよい。そのような高温であっても、キャパシタンスは、周波数120Hzでかつ印加電圧なしで測定したときに、立方センチメートル当たり約6ファラド(「F/cm」)以上、いくつかの実施形態では約8F/cm以上、いくつかの実施形態では約9から約100F/cm、いくつかの実施形態では約10から約80F/cmであってもよい。キャパシタンスは、そのような温度でかなりの期間にわたり、例えば100時間以上、いくつかの実施形態では約300時間から約5000時間、いくつかの実施形態では約600時間から約4500時間(例えば、168、336、504、672、840、1008、1512、2040、3024、または4032時間)などにわたり、安定なままにすることができる。一実施形態では、例えば、高温雰囲気(例えば、85℃または105℃)に1008時間曝露された後のウルトラキャパシタのキャパシタンス値の、高温雰囲気に最初に曝露されたときのウルトラキャパシタのキャパシタンス値に対する比が、約0.75以上、いくつかの実施形態では約0.8から1.0、いくつかの実施形態では約0.85から1.0である。
【0009】
とりわけ、そのような高キャパシタンス値は、電圧が印加されたときおよび/または湿った雰囲気中などの様々な極限条件下で維持することもできる。例えば、高温雰囲気(例えば、85℃または105℃)および印加電圧に曝露された後のウルトラキャパシタのキャパシタンス値の、高温雰囲気に曝露されるが電圧が印加される前のウルトラキャパシタの初期キャパシタンス値に対する比は、約0.60以上、いくつかの実施形態では約0.65から1.0、いくつかの実施形態では約0.7から1.0であってもよい。電圧は、例えば約1ボルト以上、いくつかの実施形態では約1.5ボルト以上、いくつかの実施形態では約2から約10ボルト(例えば、2.1ボルト)であってもよい。例えば、一実施形態では、上述の比は1008時間以上維持されてもよい。ウルトラキャパシタは、高湿度レベルに曝露されたとき、例えば約40%以上、いくつかの実施形態では約45%以上、いくつかの実施形態では約50%以上、いくつかの実施形態では約70%以上(例えば、約85%から100%)の相対湿度を有する雰囲気に接触して配置されたときに、上述のキャパシタンス値を維持してもよい。相対湿度は、例えば、ASTM E337-02、方法A(2007)に従い決定されてもよい。例えば、高温雰囲気(例えば、85℃または105℃)および高湿度(例えば、85%)に曝露された後のウルトラキャパシタのキャパシタンス値の、高温雰囲気に曝露されるが高湿度に曝露される前のウルトラキャパシタの初期キャパシタンス値に対する比は、約0.7以上、いくつかの実施形態では約0.75から1.0、いくつかの実施形態では約0.80から1.0であってもよい。例えば、一実施形態では、この比は1008時間以上維持されてもよい。
【0010】
上述の温度範囲内にある高温雰囲気に曝露されるとき、ウルトラキャパシタは、周波数1kHzでかつ印加電圧なしで決定されたとき、低い等価直列抵抗(「ESR」)、例えば約150mオーム以下、いくつかの実施形態では約125mオーム未満、いくつかの実施形態では約0.01から約100mオーム、いくつかの実施形態では約0.05から約70mオームを有していてもよい。ESRは、上述のようなかなりの期間にわたり、そのような温度で安定なままにすることもできる。例えば、一実施形態では、高温雰囲気(例えば、85℃または105℃)に1008時間曝露された後のウルトラキャパシタのESRの、高温雰囲気に最初に曝露されたときのウルトラキャパシタのESRに対する比は、約1.5以下、いくつかの実施形態では約1.2以下、いくつかの実施形態では約0.2から約1であってもよい。とりわけ、そのような低ESR値は、様々な極限条件下、例えば上記のように高電圧が印加されたときおよび/または湿った雰囲気にあるときに、維持することもできる。例えば、高温雰囲気(例えば、85℃または105℃)および印加電圧に曝露された後のウルトラキャパシタのESRの、高温雰囲気に最初に曝露されるが電圧が印加される前のウルトラキャパシタの初期ESRに対する比は、約1.8以下、いくつかの実施形態では約1.7以下、いくつかの実施形態では約0.2から約1.6であってもよい。例えば、一実施形態では、上述の比は、1008時間以上維持され得る。ウルトラキャパシタは、高湿度レベルに曝露されたときに、上述のESR値を維持してもよい。例えば、高温雰囲気(例えば、85℃または105℃)および高湿度(例えば、85%)に曝露された後のウルトラキャパシタのESRの、高温雰囲気に曝露されるが高湿度に曝露される前のウルトラキャパシタの初期キャパシタンス値に対する比は、約1.5以下、いくつかの実施形態では約1.4以下、いくつかの実施形態では約0.2から約1.2であってもよい。例えば、一実施形態では、この比は1008時間以上にわたり維持され得る。
【0011】
本発明の様々な実施形態について、次に、より詳細に記載する。
I. 電極
上記のように、本発明の第1および第2の電極は、それぞれ第1および第2の集電子を含む。所望の場合には、特にウルトラキャパシタが多数のエネルギー貯蔵セルを含む場合には、追加の集電子を用いてもよいことが理解されるべきである。集電子は、同じまたは異なる材料から形成されてもよい。それにも関わらず、各集電子は、典型的には、導電性金属、例えばアルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、銀、パラジウムなど、ならびにこれらの合金を含む支持体から形成される。アルミニウムおよびアルミニウム合金は、本発明で使用するのに特に適切である。支持体は、箔、シート、プレート、メッシュなどの形をとってもよい。支持体は、比較的小さい厚み、例えば約200マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では約1から約100マイクロメートル、いくつかの実施形態では約5から約80マイクロメートル、いくつかの実施形態では約10から約50マイクロメートルを有していてもよい。決して必要というわけではないが、支持体の表面は、任意に、洗浄、エッチング、ブラスト処理などによって粗くしてもよい。
【0012】
ある実施形態では、第1および第2の集電子の少なくとも1つ、好ましくは両方が、支持体から外向きに突出する複数の繊維状ウィスカも含有する。理論に拘泥するものではないが、これらのウィスカは、集電子の表面積を効果的に増大させ、集電子と対応する電極との接着を改善することもできると考えられる。このことは、第1の電極および/または第2の電極における比較的低い結合剤含量の使用を可能にし、電荷移動を改善しかつ界面抵抗を低減させることができ、その結果、非常に低いESR値を得ることができる。ウィスカは、典型的には、炭素、および/または炭素および導電性金属の反応生成物を含有する材料から形成される。例えば、一実施形態では、材料は、炭化アルミニウム(Al)などの導電性金属の炭化物を含有してもよい。例えば、図1を参照すると、支持体1から外向きの突出する複数のウィスカ21を含有する集電子の一実施形態が示されている。所望の場合には、ウィスカ21は、支持体1内に埋め込まれたシード部分3から任意で
突出してもよい。ウィスカ21と同様に、シード部分3は、炭素、および/または炭素および導電性金属の反応生成物、例えば導電性金属の炭化物(例えば、炭化アルミニウム)を含有する材料から形成されてもよい。
【0013】
そのようなウィスカが支持体上に形成される手法は、所望の通りに変えてもよい。例えば、一実施形態では、支持体の導電性金属を炭化水素化合物と反応させる。そのような炭化水素化合物の例としては、例えば、パラフィン炭化水素化合物、例えばメタン、エタン、プロパン、n-ブタン、イソブタン、ペンタンなど;オレフィン炭化水素化合物、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエンなど;アセチレン炭化水素化合物、例えばアセチレン;ならびに前述のいずれかの誘導体または組合せを挙げることができる。炭化水素化合物は、反応中に気体状形態にあることが一般に望ましい。したがって、加熱したときに気状形態をとる、メタン、エタン、およびプロパンなどの炭化水素化合物を用いることが望ましいと考えられる。必ずしも必要ではないが、炭化水素化合物は、支持体100重量部に対し、約0.1重量部から約50重量部、一実施形態では約0.5重量部から約30重量部の範囲で、典型的には用いられる。炭化水素および導電性金属との反応を開始するために、支持体を、一般的には約300℃以上の温度、一実施形態では約400℃以上、いくつかの実施形態では約500℃から650℃の温度の雰囲気中で加熱する。加熱する時間は、選択された厳密な温度に依存するが、典型的には約1時間から約100時間に及ぶ。雰囲気は、支持体表面での誘電体被膜の形成を最小に抑えるために、典型的には比較的低い量の酸素を含有する。例えば、雰囲気の酸素含量は、約1体積%以下であってもよい。
【0014】
ウルトラキャパシタは、第1および第2の集電子にそれぞれ電気的に連結される第1および第2の炭素質コーティングも含む。それらは同じまたは異なるタイプの材料から形成されてもよく、1つまたは複数の層を含んでいてもよいが、炭素質コーティングのそれぞれは一般に、活性化粒子を含む少なくとも1つの層を含む。例えば、ある実施形態では、活性炭層を集電子上に直接位置決めしてもよく、任意で、炭素質コーティングの唯一の層であってもよい。好適な活性炭粒子の例としては、例えば、ヤシ殻をベースにした活性炭、石油コークスをベースにした活性炭、ピッチをベースにした活性炭、ポリ塩化ビニリデンをベースにした活性炭、フェノール樹脂をベースにした活性炭、ポリアクリロニトリルをベースにした活性炭、および石炭、木炭、またはその他の天然有機源などの天然源からの活性炭を挙げることができる。
【0015】
ある実施形態では、活性炭粒子のある態様、例えばそれらの粒度分布、表面積、および孔径分布を選択的に制御することにより、1回または複数回の充放電サイクルに供された後の、あるタイプの電解質に関するイオン移動度を改善するのを助けることが望ましいと考えられる。例えば、粒子の少なくとも50体積%(D50サイズ)は、約0.01から約30マイクロメートル、いくつかの実施形態では約0.1から約20マイクロメートル、いくつかの実施形態では約0.5から約10マイクロメートルの範囲のサイズを有してもよい。粒子の少なくとも90体積%(D90サイズ)は同様に、約2から約40マイクロメートル、いくつかの実施形態では約5から約30マイクロメートル、いくつかの実施形態では約6から約15マイクロメートルの範囲のサイズを有してもよい。BET表面は、約900m/gから約3,000m/g、いくつかの実施形態では約1,000m/gから約2,500m/g、いくつかの実施形態では約1,100m/gから約1,800m/gに及んでもよい。
【0016】
あるサイズおよび表面積を有することに加え、活性炭粒子は、あるサイズ分布を有するある細孔を有してもよい。例えば、サイズが約2ナノメートル未満の細孔(即ち、「ミクロ細孔」)の量は、全細孔体積の約50体積%以下、いくつかの実施形態では約30体積%以下、いくつかの実施形態では0.1体積%から15体積%の細孔体積を提供し得る。
サイズが約2ナノメートルから約50ナノメートルの間の細孔(即ち、「メソ細孔」)の量は同様に、約20体積%から約80体積%、いくつかの実施形態では約25体積%から約75体積%、いくつかの実施形態では、約35体積%から約65体積%であってもよい。最後に、サイズが約50ナノメートルよりも大きい細孔(即ち、「マクロ細孔」)の量は、約1体積%から約50体積%、いくつかの実施形態では約5体積%から約40体積%、いくつかの実施形態では約10体積%から約35体積%であってもよい。炭素粒子の全細孔体積は、約0.2cm/gから約1.5cm/g、いくつかの実施形態では約0.4cm/gから約1.0cm/gの範囲であってもよく、メジアン細孔幅は、約8ナノメートル以下、いくつかの実施形態では約1から約5ナノメートル、いくつかの実施形態では約2から約4ナノメートルであってもよい。孔径および全細孔体積は、窒素吸着を使用して測定され、当技術分野で周知のBarrett-Joyner-Halenda(「BJH」)技法によって分析されてもよい。
【0017】
上記論じたように、本発明の1つの独自の態様は、電極が、ウルトラキャパシタ電極に従来から用いられるかなりの量の結合剤を含有する必要がないものである。即ち結合剤は、第1および/または第2の炭素質コーティング中、炭素100部当たり約60部以下の量で、いくつかの実施形態では40部以下で、いくつかの実施形態では約1から約25部の量で存在してもよい。結合剤は、例えば、炭素質コーティングの全重量の約15重量%以下、いくつかの実施形態では約10重量%以下、いくつかの実施形態では約0.5重量%から約5重量%を構成してもよい。それにも関わらず、用いられる場合には、様々な適切な結合剤のいずれかを、電極に使用することができる。例えば、水不溶性有機結合剤は、スチレン-ブタジエンコポリマー、ポリ酢酸ビニルホモポリマー、酢酸ビニル-エチレンコポリマー、酢酸ビニル-アクリルコポリマー、エチレン-塩化ビニルコポリマー、エチレン-塩化ビニル-酢酸ビニルターポリマー、アクリルポリ塩化ビニルポリマー、アクリルポリマー、ニトリルポリマー、ポリテトラフルオロエチレンまたはポリフッ化ビニリデンなどのフルオロポリマー、ポリオレフィンなど、ならびにこれらの混合物などが、ある実施形態で用いられてもよい。水不溶性有機結合剤は、多糖およびその誘導体などが用いられてもよい。ある特定の実施形態では、多糖は、非イオン性セルロースエーテル、例えばアルキルセルロースエーテル(例えば、メチルセルロースおよびエチルセルロース);ヒドロキシアルキルセルロースエーテル(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルヒドロキシブチルセルロース、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルヒドロキシブチルセルロース、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロースなど);アルキルヒドロキシアルキルセルロースエーテル(例えば、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルエチルヒドロキシエチルセルロース、およびメチルエチルヒドロキシプロピルセルロース);カルボキシアルキルセルロースエーテル(例えば、カルボキシメチルセルロース);および同様のもの、ならびに前述のいずれかのプロトン化塩、例えばナトリウムカルボキシエチルセルロースであってもよい。
【0018】
所望の場合には、第1および/または第2の炭素質コーティングの活性炭層内に、および/または第1および/または第2の炭素質コーティングのその他の層内に、その他の材料を用いてもよい。例えば、ある実施形態では、導電性促進剤を用いて、導電率をさらに増大させてもよい。例示的な導電性促進剤としては、例えば、カーボンブラック、黒鉛(天然または人工)、黒鉛、カーボンナノチューブ、ナノワイヤまたはナノチューブ、金属ファイバ、グラフェンなど、ならびにこれらの混合物を挙げることができる。カーボンブラックが特に好適である。用いられる場合、導電性促進剤は、典型的には、炭素質コーティング中の活性炭粒子100部当たり、約60部以下、いくつかの実施形態では40部以下、いくつかの実施形態では約1から約25部を構成する。導電性促進剤は、例えば、炭素質コーティングの全重量の、約15重量%以下、いくつかの実施形態では約10重量%
以下、いくつかの実施形態では約0.5重量%から約5重量%を構成してもよい。活性炭粒子は同様に、典型的には、炭素質コーティングの85重量%以上、いくつかの実施形態では約90重量%以上、いくつかの実施形態では約95重量%から約99.5重量%を構成する。
【0019】
炭素質コーティングを集電子に塗布する特定の手法は、印刷(例えば、輪転グラビア)、噴霧、スロット-ダイコーティング、ドロップコーティング、浸漬コーティングなど、当業者に周知のように様々であってもよい。塗布する手法とは無関係に、約100℃以上、いくつかの実施形態では約200℃以上、いくつかの実施形態では約300℃から約500℃の温度などで、コーティングから水分が除去されるように、得られる電極を典型的には乾燥させる。電極は、ウルトラキャパシタの体積効率を最適化するために、圧縮され(例えば、カレンダ加工され)てもよい。任意でのいずれかの圧縮後、各炭素質コーティングの厚さは一般に、ウルトラキャパシタの所望の電気性能および動作範囲に基づいて変化してもよい。しかし典型的には、コーティングの厚さは、約20から約200マイクロメートル、30から約150マイクロメートル、いくつかの実施形態では約40から約100マイクロメートルである。コーティングは、集電子の片面または両面に存在してもよい。それにも関わらず、電極全体(任意での圧縮後の集電子および炭素質コーティング(複数可)を含む)の厚さは、典型的には約20から約350マイクロメートルの範囲内、いくつかの実施形態では約30から約300マイクロメートルの範囲内、いくつかの実施形態では約50から約250マイクロメートルの範囲内である。
II. 非水性電解質
ウルトラキャパシタに用いられる電解質は、一般に、その性質が非水性であり、したがって少なくとも1種の非水性溶媒を含有する。ウルトラキャパシタの動作温度範囲を拡げるのを助けるため、典型的には、非水性溶媒が比較的高い沸騰温度、例えば約150℃以上、いくつかの実施形態では約200℃以上、いくつかの実施形態では約220℃から約300℃を有することが望ましい。特に好適な高沸点溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状カーボネート溶媒を挙げることができる。プロピレンカーボネートは、その高い導電率および分解電圧、ならびにその広範囲にわたる温度で使用される能力に起因して、特に好適である。当然ながら、その他の非水性溶媒を、単独でまたは環状カーボネート溶媒と組み合わせて用いてもよい。そのような溶媒の例としては、例えば、開鎖カーボネート(例えば、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなど)、脂肪族モノカルボキシレート(例えば、酢酸メチル、プロピオン酸メチルなど)、ラクトン溶媒(例えば、ブチロラクトン バレロラクトンなど)、ニトリル(例えば、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3-メトキシプロピオニトリルなど)、アミド(例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチルピロリジノン)、アルカン(例えば、ニトロメタン、ニトロエタンなど)、硫黄化合物(例えば、スルホラン、ジメチルスルホキシドなど);および同様のものを挙げることができる。
【0020】
電解質は、非水性溶媒に溶解された少なくとも1種のイオン性液体を含有してもよい。イオン性液体の濃度は変えることができるが、典型的には、イオン性液体は比較的高い濃度で存在することが望ましい。例えば、イオン性液体は、電解質リットル当たり約0.8モル(M)以上の量、いくつかの実施形態では約1.0M以上、いくつかの実施形態では約1.2M以上、いくつかの実施形態では約1.3から約1.8Mの量で存在してもよい。
【0021】
イオン性液体は、一般に、比較的低い融解温度、例えば約400℃以下、いくつかの実施形態では約350℃以下、いくつかの実施形態では約1℃から約100℃、いくつかの実施形態では約5℃から約50℃を有する塩である。塩は、カチオン種および対イオンを
含有する。カチオン性種は、「カチオン中心」として少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、窒素またはリン)を有する化合物を含有する。そのようなヘテロ原子化合物の例としては、例えば、非置換または置換有機第四級アンモニウム化合物、例えばアンモニウム(例えば、トリメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウムなど)、ピリジニウム、ピリダジニウム、ピラミジニウム、ピラジニウム、イミダゾリウム、ピラゾリウム、オキサゾリウム、トリアゾリウム、チアゾリウム、キノリニウム、ピペリジニウム、ピロリジニウム、2個以上の環がスピロ原子(例えば、炭素、ヘテロ原子など)によって一緒に接続されている第四級アンモニウムスピロ化合物、第4級アンモニウム縮合環(例えば、キノリニウム、イソキノリニウムなど)、および同様のものが挙げられる。例えば、ある特定の実施形態では、カチオン性種はN-スピロ二環式化合物、例えば環式環を有する対称または非対称N-スピロ二環式化合物であってもよい。そのような化合物の一例は、下記の構造:
【0022】
【化1】
【0023】
[式中、mおよびnは独立して3から7の数であり、いくつかの実施形態では4から5である(例えば、ピロリジニウムまたはピペリジニウム)である]
を有する。
【0024】
同様に、陽イオン性種に好適な対イオンとしては、ハロゲン(例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物など);スルフェートまたはスルホネート(例えば、硫酸メチル、硫酸エチル、硫酸ブチル、硫酸ヘキシル、硫酸オクチル、硫酸水素、スルホン酸メタン、スルホン酸ドデシルベンゼン、ドデシルスルフェート、スルホン酸トリフルオロメタン、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、ドデシルエトキシ硫酸ナトリウムなど);スルホスクシネート;アミド(例えば、ジシアナミド);イミド(例えば、ビス(ペンタフルオロエチル-スルホニル)イミド、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(トリフルオロメチル)イミドなど);ボレート(例えば、テトラフルオロボレート、テトラシアノボレート、ビス[オキサラト]ボレート、ビス[サリチラト]ボレートなど);ホスフェートまたはホスフィネート(例えば、ヘキサフルオロホスフェート、ジエチルホスフェート、ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィネート、トリス(ペンタフルオロエチル)-トリフルオロホスフェート、トリス(ノナフルオロブチル)トリフルオロホスフェートなど);アンチモネート(例えば、ヘキサフルオロアンチモネート);アルミネート(例えば、テトラクロロアルミネート);脂肪酸カルボキシレート(例えば、オレエート、イソステアレート、ペンタデカフルオロオクタノエートなど);シアネート;アセテート;および同様のもの、ならびに前述のいずれかの組合せを挙げることができる。
【0025】
好適なイオン性液体のいくつかの例としては、例えば、テトラフルオロホウ酸スピロ-(1,1’)-ビピロリジニウム、テトラフルオロホウ酸トリエチルメチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウム、ヨウ化スピロ-(1,1’)-ビピロリジニウム、ヨウ化トリエチルメチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸メチルトリエチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸テトラエチルアンモニウムなどを挙げることができる。
III. セパレータ
上述のように、本発明のウルトラキャパシタは、第1および第2の電極間に位置決めされたセパレータも含む。所望の場合には、その他のセパレータを、本発明のウルトラキャパシタに用いてもよい。例えば、1つまたは複数のセパレータは、第1の電極、第2の電極、またはその両方の上に位置決めされてもよい。セパレータは、1つの電極を別の電極から電気的に隔離して、電気的短絡を防止するのを助けることが可能であるが、依然として2つの電極間でイオン輸送がなされる。例えば、ある実施形態では、セパレータは、セルロース繊維材料(例えば、エアレイドペーパーウェブ、湿式ペーパーウェブなど)、不織繊維材料(例えば、ポリオレフィン不織ウェブ)、織布、フィルム(例えば、ポリオレフィンフィルム)などを含むものが用いられてもよい。セルロース繊維材料は、天然繊維、合成繊維などを含有するものなどが、ウルトラキャパシタで使用するのに特に適している。セパレータで使用するのに適したセルロース繊維の特定の例としては、例えば、広葉樹パルプ繊維、針葉樹パルプ繊維、レーヨン繊維、再生セルロース繊維などを挙げることができる。用いられる特定の材料とは無関係に、セパレータは、典型的には約5から約150マイクロメートル、いくつかの実施形態では約10から約100マイクロメートル、いくつかの実施形態では約20から約80マイクロメートルの厚さを有する。
IV. ハウジング
本発明のウルトラキャパシタは、電極、電解質、およびセパレータが内部に保持され、かつ任意で気密封止される、ハウジングを用いる。ハウジングの性質は、所望に応じて変化してもよい。例えば、ある実施形態では、ハウジングは、ウルトラキャパシタの構成要素を封入する柔軟なパッケージの形をとってもよい。例えば、図5を参照すると、ウルトラキャパシタ101の一実施形態は、電極アセンブリ102および電解質112を封入する柔軟なパッケージ103を含むものが示されている。電極アセンブリ102は、電極105および106と、対面構成で積層されかつ両側のタブ104により一緒に接続されるセパレータ(図示せず)とを含んでいてもよい。ウルトラキャパシタ101は、それぞれがタブ104で電気的に接続されている第1の端子105および第2の端子106も含む。より詳細には、電極105および106は、パッケージ103内に配置された第1の端部107および108と、それぞれパッケージ103の外側に配置された第2の端部109および110とを有する。積層とは別に、電極アセンブリは、所望のいずれのその他の形で設けられてもよいことを、理解されるべきである。例えば、電極は、ジェリーロール構成になるよう一緒に折り畳まれまたは巻かれてもよい。
【0026】
パッケージ103は、一般に、2つの端部115および116の間を延び、かつ縁部117、118、119、および120を有する、支持体114を含む。端部115および116、ならびに重なる両側面119および120は、柔軟にかつ封止状態で互いに対して隣接している(例えば、熱溶接によって)。このように電解質112は、パッケージ103内に保持することができる。支持体114は、典型的には約20マイクロメートルから約1,000マイクロメートル、いくつかの実施形態では約50マイクロメートルから約800マイクロメートル、いくつかの実施形態では約100マイクロメートルから約600マイクロメートルの範囲内の厚さを有する。
【0027】
支持体114は、所望のレベルの障壁特性を実現することが所望のいずれの数の層、例えば1層または複数、いくつかの実施形態では2層以上、いくつかの実施形態では2から4層を含んでいてもよい。典型的には支持体は、アルミニウム、ニッケル、タンタル、チタン、ステンレス鋼などの金属を含んでもよい障壁層を含む。そのような障壁層は、一般に、その漏出を阻止できるように電解質を通さず、一般に水およびその他の汚染物質も通さない。所望の場合には、支持体は、パッケージ用の保護層として働く外層を含んでいてもよい。このように、障壁層は、外層と電極アセンブリとの間に位置決めされる。外層は例えば、ポリオレフィン(例えば、エチレンコポリマー、プロピレンコポリマー、プロピレンホモポリマーなど)、ポリエステルなどから形成されるような、ポリマーフィルムか
ら形成されてもよい。特に好適なポリエステルフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどを挙げることができる。
【0028】
所望の場合には、支持体は、電極アセンブリと障壁層との間に位置決めされた内層を含んでいてもよい。ある実施形態では、内層は、ヒートシール可能なポリマーを含有してもよい。好適なヒートシール可能なポリマーとしては、例えば、塩化ビニルポリマー、ビニルクロリジンポリマー、イオノマーなど、ならびにこれらの組合せを挙げることができる。イオノマーが特に好適である。例えば、一実施形態では、イオノマーは、α-オレフィンおよび(メタ)アクリル酸反復単位を含有するコポリマーであってもよい。特定のα-オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1-ブテン;3-メチル-1-ブテン;3,3-ジメチル-1-ブテン;1-ペンテン;1個または複数のメチル、エチル、またはプロピル置換基を持つ1-ペンテン;1個または複数のメチル、エチル、またはプロピル置換基を持つ1-ヘキセン;1個または複数のメチル、エチル、またはプロピル置換基を持つ1-ヘプテン;1個または複数のメチル、エチル、またはプロピル置換基を持つ1-オクテン;1個または複数のメチル、エチル、またはプロピル置換基を持つ1-ノネン;エチル、メチル、またはジメチル-置換1-デセン;1-ドデセン;およびスチレンを挙げることができる。エチレンが特に好適である。上述のように、コポリマーは、(メタ)アクリル酸反復単位であってもよい。本明細書で使用される「(メタ)アクリル」という用語は、アクリルおよびメタクリルモノマー、ならびにそれらの塩またはエステル、例えばアクリレートおよびメタクリレートモノマーを含む。そのような(メタ)アクリルモノマーの例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸i-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸s-ブチル、アクリル酸i-ブチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸n-アミル、アクリル酸i-アミル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸n-ヘキシル、アクリル酸2-エチルブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸n-デシル、アクリル酸メチルシクロヘキシル、アクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸i-プロピル、メタクリル酸i-ブチル、メタクリル酸n-アミル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸i-アミル、メタクリル酸s-ブチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸2-エチルブチル、メタクリル酸メチルシクロヘキシル、メタクリル酸シンナミル、メタクリル酸クロチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸2-エトキシエチル、メタクリル酸イソボルニルなど、ならびにこれらの組合せを挙げることができる。典型的には、α-オレフィン/(メタ)アクリル酸コポリマーは、金属イオンで少なくとも部分的に中和されて、イオノマーを形成する。適切な金属イオンとしては、例えば、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなど)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、マグネシウムなど)、遷移金属(例えば、マンガン、亜鉛など)、および同様のもの、ならびにこれらの組合せを挙げることができる。金属イオンは、金属のギ酸塩、酢酸塩、硝酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、酸化物、水酸化物、アルコキシド、および同様のものなどの、イオン化合物によって提供されてもよい。
【0029】
上記のような柔軟なパッケージとは別に、その他のハウジング構成を用いてもよい。例えばハウジングは、タンタル、ニオブ、アルミニウム、ニッケル、ハフニウム、チタン、銅、銀、鋼(例えば、ステンレス)、これらの合金、これらの複合体(例えば、導電性酸化物でコーティングされた金属)、および同様のものから形成されるような、金属容器(「カン」)を含んでいてもよい。アルミニウムが、本発明で使用するのに特に好適である。金属容器は、円筒状、D字形などの様々な異なる形状のいずれかを有してもよい。円筒形状の容器が特に好適である。
【0030】
これらの構成要素がハウジングに挿入される手法は、当技術分野で公知のように様々であってもよい。例えば、電極およびセパレータを最初に折り畳み、巻き上げ、またはその他の手法で一緒に接触させて、電極アセンブリを形成してもよい。電解質は、任意で、アセンブリの電極に浸漬してもよい。ある特定の実施形態では、電極、セパレータ、および任意の電解質を巻き上げて、「ジェリーロール」構成を有する電極アセンブリにしてもよい。例えば図3を参照すると、そのようなジェリーロール電極アセンブリ1100の一実施形態が示されており、第1の電極1102、第2の電極1104、ならびに電極1102および1104に間に位置決めされたセパレータ1106を含んでいる。この特定の実施形態では、電極アセンブリ1100は、第2の電極1104上に位置決めされた別のセパレータ1108も含む。このように、電極の2つのコーティングされた表面のそれぞれは、セパレータによって分離され、それによって単位体積当たりの表面積およびキャパシタンスが最大になる。決して必要ではないが、電極1102および1104は、そのそれぞれの接触角が、第1および第2のセパレータ1106および1108の第1および第2の縁部をそれぞれ超えて延びた状態になるように、この実施形態ではオフセット状態にされる。とりわけ、このことは、電極間の電流の流れに起因する「短絡」を防止するのを助けることができる。
【0031】
電極アセンブリは、様々な異なる技法を使用して円筒状ハウジング内に封止されてもよい。図4を参照すると、上記論じたジェリーロール構成になるよう一緒に巻かれた層2106を含む電極アセンブリ2108を含む、ウルトラキャパシタの一実施形態が示されている。この特定の実施形態では、ウルトラキャパシタは、第1のコレクタディスク2114を含み、このディスクは、ディスク形状部分2134、スタッド部分2136、および留め具2138(例えば、ねじ)を含む。コレクタディスク2114は、電極アセンブリの中心に形成された中空コア2160の第1の端部に位置合わせされ、次いでスタッド部分2136はコアの開口に挿入されて、第1の接触縁2110でディスク形状部分2134が電極アセンブリ2108の第1の端部に架かるようになされている。蓋2118を第1の端子ポスト2116に溶接(例えば、レーザ溶接)し、例えばねじ山が付けられていてもよいソケットを留め具2138に連結する。ウルトラキャパシタは、ディスク形状部分2142、スタッド部分2140、および第2の端子ポスト2144を含む第2のコレクタディスク2120も含む。第2のコレクタディスク2120は、中空コア2160の第2の端部に位置合わせされ、次いでコアの開口に挿入されて、コレクタディスク部分2142が電極アセンブリ2108の第2の端部に架かるようになされている。
【0032】
金属容器2122(例えば、円筒形状のカン)を、その後、電極アセンブリ2108上に滑らせて、第2のコレクタディスク2120を容器2122に最初に進入させ、第1の絶縁ワッシャ2124内に通し、容器2122の端部で軸方向の穴中に通し、次いで第2の絶縁ワッシャ2126内に通すようにする。第2のコレクタディスク2120は、フラットワッシャ2128およびスプリングワッシャ2130も通過する。ロックナット2132をスプリングワッシャ2130上で締め、スプリングワッシャ2130をフラットワッシャ2128に押し付け、即ち第2の絶縁ワッシャ2126に押し付ける。第2の絶縁ワッシャ2126は、金属容器2122内で軸方向の穴の外周に押し付けられ、第2のコレクタディスク2120がこの圧縮力によって軸方向の穴に向かって引き出されるにつれ、第1の絶縁ワッシャ2124は第2のコレクタディスク2102と容器2122の軸方向の穴の内周との間で圧縮される。第1の絶縁ワッシャ2124上のフランジは、第2のコレクタディスク2120と軸方向の穴のリムとの間の電気接触を阻止する。同時に、蓋2118を容器2122の開口に引き入れて、蓋2118のリムが容器2122の開口のリップのちょうど内側に据えられるようにする。次いで蓋2118のリムを、容器2122の開口のリップに溶接する。
【0033】
ロックナット2132をスプリングワッシャ2130に対して締めたら、気密封止を、
軸方向の穴、第1の絶縁ワッシャ2124、第2の絶縁ワッシャ2126、および第2のコレクタディスク2120の間に形成してもよい。同様に、容器2122のリップへの蓋2118の溶接、第1の端子ポスト2116への蓋2118の溶接は、別の気密封止を形成してもよい。蓋2118の穴2146は、上述の電解質の充填ポートとして働くように、開放されたままにすることができる。電解質がカンの中に入ると(即ち、上述のように真空中でカンに引き込まれる)、ブッシング2148が穴2146に挿入され、穴2146の内縁でフランジ2150に対して据えられる。ブッシング2148は、例えば、その形状が中空円筒で、プラグ2152を受容するように作り上げられてもよい。形状が円筒のプラグ2152は、ブッシング2148の中心に加圧され、それによってブッシング2148は穴2146の内部に押し付けられ、穴2146、ブッシング2148、およびプラグ2152の間に気密封止を形成する。プラグ2152およびブッシング2148は、ウルトラキャパシタ内で指示されたレベルの圧力に達したときに、押し除けられるように選択されてもよく、それによって、過圧安全性機構が形成される。
【0034】
上記の実施形態は、一般に、キャパシタにおける単一電気化学セルの使用に言及する。しかし当然ながら、本発明のキャパシタは2つ以上の電気化学セルを含んでいてもよいことを理解されるべきである。例えば、そのような1つの実施形態では、キャパシタは、同じでも異なってもよい2つ以上の電気化学セルのスタックを含んでもよい。
【0035】
本発明は、以下の実施例を参照することで、より良く理解されよう。
試験方法
等価直列抵抗(ESR)
等価直列抵抗は、Keithley 3330 Precision LCZメータを使用して、DCバイアス0.0ボルト、1.1ボルト、または2.1ボルト(0.5ボルトのピーク間正弦波信号)で測定されてもよい。動作周波数は1kHzである。様々な温度および相対湿度レベルを試験してもよい。例えば、温度は85℃または105℃であってもよく、相対湿度は25%または85%であってもよい。
キャパシタンス
キャパシタンスは、Keithley 3330 Precision LCZメータを使用して、DCバイアス0.0ボルト、1.1ボルト、または2.1ボルト(0.5ボルトのピーク間正弦波信号)で測定されてもよい。動作周波数は120kHzである。様々な温度および相対湿度レベルを試験してもよい。例えば、温度は85℃または105℃であってもよく、相対湿度は25%または85%であってもよい。
【実施例0036】
本発明による電気化学セルを形成する能力を実証した。最初に、炭化アルミニウムウィスカを含有する2つのアルミニウム集電子(厚さ12から50μm)の各面を、活性炭粒子10~40重量%、スチレン-ブタジエンコポリマー2~10重量%、およびナトリウムカルボキシメチルセルロース5~40重量%の混合物でコーティングした。活性炭粒子は、そのD50サイズが約5~20μm、BET表面積が約1300~2200m/gであった。活性炭粒子は、サイズが2ナノメートル未満の細孔を10体積%未満の量で、サイズが2から50ナノメートルの細孔を約40から70体積%の量で、サイズが50nmよりも大きい細孔を約20から50体積%の量で含有した。得られるコーティングのそれぞれの厚さは、約12から200μmであった。次いで電極をカレンダ加工し、70℃から150℃の温度で真空乾燥した。形成した後、2つの電極を、電解質およびセパレータ(厚さ25μmのセルロース材料)と共に組み立てた。電解質は、5-アゾニアスピロ[4,4]-ノナンテトラフルオロボレートを、プロピレンカーボネート中1.05から2.5Mの濃度で含有した。得られたストリップを個々の電極に切り分け、それらの間でセパレータと交互に電極を積層することによって組み立てた。電極積層体が完成したら、全ての電極端子を単一アルミニウム端子に溶接する。次いでこのアセンブリを、プラスチ
ック/アルミニウム/プラスチック積層パッケージ材料に入れ、縁部の1つを除く全てを一緒にヒートシールする。次に、電解質を、開放縁部を通してパッケージに注入する。次いで電解質充填パッケージを真空中に置き、最終縁部をヒートシールして、仕上げられたパッケージを完成させる。得られたセルを、形成し、ESRおよびキャパシタンスに関して試験をした。結果を、以下の表1~6に示す:
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
【表5】
【0042】
【表6】
【0043】
本発明のこれらおよびその他の修正例および変形例を、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当業者なら実施することができる。加えて、様々な実施形態の態様は、全体的にも部分的にも相互に交換してもよいことを、理解されるべきである。さらに、当業者なら、先の記述は単なる例示であり、そのような添付された特許請求の範囲にさらに記述されるような本発明を限定するものではないことが理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-10-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約80℃以上の温度を有する高温雰囲気に接触するウルトラキャパシタであって、
複数の細孔を含有する活性炭粒子を含有する第1の炭素質コーティングに電気的に連結された第1の集電子を含む第1の電極と、
複数の細孔を含有する活性炭粒子を含有する第2の炭素質コーティングに電気的に連結された第2の集電子を含む第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に位置決めされたセパレータと、ここで、前記セパレータはセルロース繊維材料を含む、
前記第1の電極および前記第2の電極とイオン接触する非水性電解質と、ここで、前記非水性電解質は非水性溶媒に溶解したイオン性液体を含有し、前記イオン性液体はカチオン性種および対イオンを含有する、そして
前記第1の電極、前記第2の電極、前記セパレータ、および前記電解質が内部に保持されるハウジングと
を含み、
前記第1の集電子および前記第2の集電子が、それぞれ導電性金属を含む支持体を含み、
前記ウルトラキャパシタが、120Hzの周波数でかつ印加電圧なしに測定されたとき、高温雰囲気中で、立方センチメートル当たり約6ファラド以上のキャパシタンス値を示し、
前記高温雰囲気に1008時間にわたり曝露された後の前記ウルトラキャパシタのキャパシタンス値の、前記高温雰囲気に最初に曝露されたときの前記ウルトラキャパシタのキャパシタンス値に対する比が、約0.75以上である
ウルトラキャパシタ。
【請求項2】
前記高温雰囲気および約1ボルト以上の印加電圧に曝露された後の前記ウルトラキャパシタのキャパシタンス値の、前記高温雰囲気に曝露されたときであるが前記印加電圧が加えられる前の前記ウルトラキャパシタの初期キャパシタンスに対する比が、約0.60以上である、請求項1に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項3】
前記高温雰囲気および約40%以上の湿度レベルに曝露された後の前記ウルトラキャパシタのキャパシタンス値の、前記高温雰囲気に曝露されたときであるが前記湿度レベルに曝露される前の前記ウルトラキャパシタの初期キャパシタンス値に対する比が、約0.7以上である、請求項1に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項4】
周波数1kHzでかつ印加電圧なしで決定されたときに約150mオーム以下のESRを有する、請求項1に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項5】
前記高温雰囲気に1008時間にわたり曝露された後の前記ウルトラキャパシタのESRの、前記高温雰囲気に最初に曝露されたときの前記ウルトラキャパシタのESRに対する比が、約1.5以下である、請求項1に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項6】
前記高温雰囲気および約1ボルト以上の印加電圧に曝露された後の前記ウルトラキャパシタのESRの、前記高温雰囲気に曝露されたときであるが前記印加電圧が加えられる前の前記ウルトラキャパシタの初期ESRに対する比が、約1.8以下である、請求項1に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項7】
前記高温雰囲気および約40%以上の湿度レベルに曝露された後の前記ウルトラキャパシタのESRの、前記高温雰囲気に曝露されたときであるが前記湿度レベルに曝露される前の前記ウルトラキャパシタの初期ESRに対する比が、約1.5以下である、請求項1に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項8】
前記導電性金属が、アルミニウムまたはその合金である、請求項1に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項9】
複数の繊維様ウィスカが、前記第1の集電子の支持体、前記第2の集電子の支持体またはその両方から外向きに突出している、請求項1に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項10】
前記ウィスカが、前記導電性金属の炭化物を含有する、請求項に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項11】
前記活性炭粒子の少なくとも50体積%が、約0.01から約30マイクロメートルのサイズを有する、請求項に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項12】
前記活性炭粒子が複数の細孔を含有し、約2ナノメートル以下のサイズを有する細孔の量が全細孔体積の約50体積%以下であり、約2ナノメートルから約50ナノメートルのサイズを有する細孔の量が全細孔体積の約20体積%から約80体積%であり、約50ナノメートル以上のサイズを有する細孔の量が全細孔体積の約1体積%から約50体積%である、請求項に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項13】
前記非水性溶媒がプロピレンカーボネートを含む、請求項に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項14】
前記カチオン性種が、有機第四級アンモニウム化合物を含む、請求項に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項15】
前記有機第四級アンモニウム化合物が、下記の構造
【化1】
[式中、mおよびnは独立して3から7の数である]
を有する、請求項14に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項16】
前記イオン性液体が、約1.0M以上の濃度で存在する、請求項に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項17】
前記ハウジングが、柔軟なパッケージを含む、請求項1に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項18】
前記柔軟なパッケージが、金属を含む障壁層を含む、請求項17に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項19】
前記柔軟なパッケージが外層をさらに含み、前記障壁層が、前記外層と前記電極との間に位置決めされている、請求項18に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項20】
前記外層が、ポリオレフィン、ポリエステル、またはこれらの組合せを含むフィルムを含む、請求項19に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項21】
前記柔軟なパッケージが内層をさらに含み、前記内層が、前記障壁層と前記電極との間に位置決めされている、請求項19に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項22】
前記内層がイオノマーを含有する、請求項21に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項23】
前記ハウジングが金属容器を含む、請求項1に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項24】
前記第1の電極、前記第2の電極、および前記セパレータが巻かれて、ジェリーロール構成を有する電極アセンブリになっている、請求項1に記載のウルトラキャパシタ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
本発明のこれらおよびその他の修正例および変形例を、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当業者なら実施することができる。加えて、様々な実施形態の態様は、全体的にも部分的にも相互に交換してもよいことを、理解されるべきである。さらに、当業者なら、先の記述は単なる例示であり、そのような添付された特許請求の範囲にさらに記述されるような本発明を限定するものではないことが理解されよう。
本発明は以下の実施態様を含む。
(1)約80℃以上の温度を有する高温雰囲気に接触するウルトラキャパシタであって、
第1の炭素質コーティングに電気的に連結された第1の集電子を含む第1の電極と、
第2の炭素質コーティングに電気的に連結された第2の集電子を含む第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に位置決めされたセパレータと、
前記第1の電極および前記第2の電極とイオン接触する非水性電解質と、そして
前記第1の電極、前記第2の電極、前記セパレータ、および前記電解質が内部に保持されるハウジングと
を含み、
前記第1の集電子および前記第2の集電子が、それぞれ導電性金属を含む支持体を含み、
前記ウルトラキャパシタが、120Hzの周波数でかつ印加電圧なしに測定されたとき、高温雰囲気中で、立方センチメートル当たり約6ファラド以上のキャパシタンス値を示す、
ウルトラキャパシタ。
(2)前記高温雰囲気に1008時間にわたり曝露された後の前記ウルトラキャパシタのキャパシタンス値の、前記高温雰囲気に最初に曝露されたときの前記ウルトラキャパシタのキャパシタンス値に対する比が、約0.75以上である、(1)に記載のウルトラキャパシタ。
(3)前記高温雰囲気および約1ボルト以上の印加電圧に曝露された後の前記ウルトラキャパシタのキャパシタンス値の、前記高温雰囲気に曝露されたときであるが前記印加電圧が加えられる前の前記ウルトラキャパシタの初期キャパシタンスに対する比が、約0.60以上である、(1)に記載のウルトラキャパシタ。
(4)前記高温雰囲気および約40%以上の湿度レベルに曝露された後の前記ウルトラキャパシタのキャパシタンス値の、前記高温雰囲気に曝露されたときであるが前記湿度レベルに曝露される前の前記ウルトラキャパシタの初期キャパシタンス値に対する比が、約0.7以上である、(1)に記載のウルトラキャパシタ。
(5)周波数1kHzでかつ印加電圧なしで決定されたときに約150mオーム以下のESRを有する、(1)に記載のウルトラキャパシタ。
(6)前記高温雰囲気に1008時間にわたり曝露された後の前記ウルトラキャパシタのESRの、前記高温雰囲気に最初に曝露されたときの前記ウルトラキャパシタのESRに対する比が、約1.5以下である、(1)に記載のウルトラキャパシタ。
(7)前記高温雰囲気および約1ボルト以上の印加電圧に曝露された後の前記ウルトラキャパシタのESRの、前記高温雰囲気に曝露されたときであるが前記印加電圧が加えられる前の前記ウルトラキャパシタの初期ESRに対する比が、約1.8以下である、(1)に記載のウルトラキャパシタ。
(8)前記高温雰囲気および約40%以上の湿度レベルに曝露された後の前記ウルトラキャパシタのESRの、前記高温雰囲気に曝露されたときであるが前記湿度レベルに曝露される前の前記ウルトラキャパシタの初期ESRに対する比が、約1.5以下である、(1)に記載のウルトラキャパシタ。
(9)前記導電性金属が、アルミニウムまたはその合金である、(1)に記載のウルトラキャパシタ。
(10)複数の繊維様ウィスカが、前記第1の集電子の支持体、前記第2の集電子の支持体またはその両方から外向きに突出している、(1)に記載のウルトラキャパシタ。
(11)前記ウィスカが、前記導電性金属の炭化物を含有する、(10)に記載のウルトラキャパシタ。
(12)前記第1の炭素質コーティング、前記第2の炭素質コーティング、または両方が、活性炭粒子を含有する、(1)に記載のウルトラキャパシタ。
(13)前記活性炭粒子の少なくとも50体積%が、約0.01から約30マイクロメートルのサイズを有する、(12)に記載のウルトラキャパシタ。
(14)前記活性炭粒子が複数の細孔を含有し、約2ナノメートル以下のサイズを有する細孔の量が全細孔体積の約50体積%以下であり、約2ナノメートルから約50ナノメートルのサイズを有する細孔の量が全細孔体積の約20体積%から約80体積%であり、約50ナノメートル以上のサイズを有する細孔の量が全細孔体積の約1体積%から約50体積%である、(12)に記載のウルトラキャパシタ。
(15)前記非水性電解質が、非水性溶媒に溶解したイオン性液体を含有し、前記イオン性液体がカチオン性種および対イオンを含有する、(1)に記載のウルトラキャパシタ。
(16)前記非水性溶媒がプロピレンカーボネートを含む、(15)に記載のウルトラキャパシタ。
(17)前記カチオン性種が、有機第四級アンモニウム化合物を含む、(15)に記載のウルトラキャパシタ。
(18)前記有機第四級アンモニウム化合物が、下記の構造
【化2】
[式中、mおよびnは独立して3から7の数である]
を有する、(17)に記載のウルトラキャパシタ。
(19)前記イオン性液体が、約1.0M以上の濃度で存在する、(15)に記載のウルトラキャパシタ。
(20)前記セパレータが、セルロース繊維材料を含む、(1)に記載のウルトラキャパシタ。
(21)前記ハウジングが、柔軟なパッケージを含む、(1)に記載のウルトラキャパシタ。
(22)前記柔軟なパッケージが、金属を含む障壁層を含む、(21)に記載のウルトラキャパシタ。
(23)前記柔軟なパッケージが外層をさらに含み、前記障壁層が、前記外層と前記電極との間に位置決めされている、(22)に記載のウルトラキャパシタ。
(24)前記外層が、ポリオレフィン、ポリエステル、またはこれらの組合せを含むフィルムを含む、(23)に記載のウルトラキャパシタ。
(25)前記柔軟なパッケージが内層をさらに含み、前記内層が、前記障壁層と前記電極との間に位置決めされている、(23)に記載のウルトラキャパシタ。
(26)前記内層がイオノマーを含有する、(25)に記載のウルトラキャパシタ。
(27)前記ハウジングが金属容器を含む、(1)に記載のウルトラキャパシタ。
(28)前記金属容器が、円筒形状を有する、(27)に記載のウルトラキャパシタ。
(29)前記第1の電極、前記第2の電極、および前記セパレータが巻かれて、ジェリーロール構成を有する電極アセンブリになっている、(1)に記載のウルトラキャパシタ。
【外国語明細書】