(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174218
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】呼吸装置
(51)【国際特許分類】
A61M 16/06 20060101AFI20221115BHJP
【FI】
A61M16/06 C
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022144697
(22)【出願日】2022-09-12
(62)【分割の表示】P 2020116991の分割
【原出願日】2015-11-06
(31)【優先権主張番号】62/077,071
(32)【優先日】2014-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/212,431
(32)【優先日】2015-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513259285
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】ウェン、ドン、ホアン
(72)【発明者】
【氏名】アービン、サン、ホセ、ガーディオラ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー、ロジャー、スティーブンソン
(72)【発明者】
【氏名】トーン、チュオ、リム
(72)【発明者】
【氏名】ブルース、マイケル、ウォールズ
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー、オーウェン、ヤング
(57)【要約】 (修正有)
【課題】著しい不快なしに使用者の顔面に対して十分にシールするマスクを提供する。
【解決手段】マスクフレームは、3次元曲率を有する中央導管接続アパーチャおよび横方向アームを備え、フレームの中心から外側に、患者の耳に向かって後方に延在する。長さに沿って「ねじれ」各横方向アームの端部の下部マージンは、上部マージンより導管接続アパーチャの中心を通る垂直面から離れて配置される。ヘッドギアのストラップとマスクとの間の回転を制限または阻止する回転防止機構も設けられる。閉ループヘッドギア用のバックルは複数の開口部と、ヘッドギアストラップループが通過することができるヘッドギアストラップ通路を形成するポストとを備える。バックルはまた摩擦ループ開口部も備え、ヘッドギアストラップループが通過することができ、傾斜通路の角度によりヘッドギアストラップループのさらなる部分が摩擦ループ開口部と摩擦係合する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に呼吸ガスを送達する患者マスク用のマスクフレームであって、
呼吸ガス送達導管に接続されるように構成された導管接続アパーチャを備える中央領域であって、概念的な中心垂直平面が前記導管接続アパーチャの中心を通って延在する、中央領域と、
各々が前記中心垂直平面から離れる方向に前記中央領域から外側に延在している、第1横方向アームおよび第2横方向アームと、
を備え、
各横方向アームが、ある長さを有し、前記中央領域から遠い遠位端で終端し、各横方向アームが上部マージンおよび下部マージンを備え、
各横方向アームがその長さに沿ってねじれ、それにより、各横方向アームの端部における前記下部マージンが、各横方向アームの前記端部における前記上部マージンより前記概念的な中心垂直平面から離れて配置される、マスクフレーム。
【請求項2】
前記横方向アームが、
前記フレームの前記中央領域から横方向に外側に、
患者の耳に向かって後方に、かつ
前記横方向アームが、上方に傾斜し、それにより、前記横方向アームの前記端部から前記使用者の側頭と耳との間の領域まで延在する方向に沿って延在するように、上方に、
延在している、請求項1に記載のマスクフレーム。
【請求項3】
前記横方向アームが、前記鼻の下方から前記耳の頂部における前記側頭の間の箇所まで進むベクトルに沿って上方に延在している、請求項2に記載のマスクフレーム。
【請求項4】
各横方向アームが平面ストリップを備え、各ストリップの端部が、前記上部マージンおよび前記下部マージンそれぞれにおいて上隅および下隅を画定し、前記側部アームが、それらの長さに沿ってねじれ、それにより、前記横方向アームの前記端部の前記下隅が前記上隅より前記フレームの前記中央領域から離れて配置される、請求項1~3のいずれか一項に記載のマスクフレーム。
【請求項5】
各横方向アームが、その長さに沿ってテーパ状であり、すなわち、前記上部マージンと前記下部マージンとの間の距離が、各横方向アームの長さの少なくとも一部に沿って低減している、請求項4に記載のマスクフレーム。
【請求項6】
前記横方向アームの前記端部が、前記エルボ接続アパーチャの中心を通る概念的な水平中間平面の下方に配置されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のマスクフレーム。
【請求項7】
各アームの前記端部が、前記フレームをヘッドギアに接続するように構成されたヘッドギアコネクタを備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のマスクフレーム。
【請求項8】
前記ヘッドギアコネクタが、ヘッドギアに取り付けられたヘッドギアクリップのフックのための接続箇所を提供するように構成されたループおよびポストを備える、請求項に記載のマスクフレーム。
【請求項9】
前記ヘッドギアコネクタが、前記ヘッドギアコネクタに接続されたヘッドギアと前記マスクフレームとの間の相対回転を制限するように構成された回転制限構造を備える、請求項7または8に記載のマスクフレーム。
【請求項10】
前記回転制限構造が、前記マスクフレームと前記へドギアとの間の所定量の相対回転の後に前記ヘッドギアが当接する、端部止め具を備える、請求項9に記載のマスクフレーム。
【請求項11】
マスクフレームと前記マスクフレームに接続されるように構成されたヘッドギアとを備えるマスクアセンブリであって、前記マスクフレームおよび前記ヘッドギアのうちの少なくとも一方が、ポストを備えるコネクタを備え、前記マスクフレームおよび前記ヘッドギアのうちの他方が、フックを備えるコネクタを備え、前記フックが、前記フックが前記ポストを中心に前記マスクフレームに向かってかつ前記マスクフレームから離れる方向に回転することができるように、前記ヘッドギアを前記マスクフレームに接続するように前記ポストを受け入れるように構成され、前記マスクアセンブリが、前記フックと前記ポストとの間の相対回転の範囲を制限するように構成された少なくとも1つの回転制限構造をさらに備える、マスクアセンブリ。
【請求項12】
前記回転制限構造が、前記マスクフレームおよび前記ヘッドギアのうちの一方に端部止め具を備え、それに対して、前記マスクフレームおよび前記ヘッドギアのうちの他方が、前記マスクフレームと前記ヘッドギアとの間の所定量の相対回転の後に当接する、請求項11に記載のマスクアセンブリ。
【請求項13】
2つの端部止め具を備え、一方が前記マスクフレームにあり、他方が前記ヘッドギアにあり、前記端部止め具が、前記マスクフレームと前記ヘッドギアとの間の所定量の相対回転の後に当接するように構成されている、請求項12に記載のマスクアセンブリ。
【請求項14】
一方の端部止め具が前記フックに設けられ、他方の端部止め具が前記ポストに設けられている、請求項13に記載のマスクアセンブリ。
【請求項15】
前記フックおよび前記ポストのうちの少なくとも一方が、2つの間隔を空けて配置された端部止め具を備え、前記フックと前記ポストとの間の相対運動は、前記2つの間隔を空けて配置された端部止め具の間の距離によって制限される、請求項14に記載のマスクアセンブリ。
【請求項16】
前記端部止め具のうちの一方が、前記フックおよび前記ポストのうちの一方から突出する突出部を備え、前記フックおよび前記ポストのうちの他方が、対向する端部を有する溝または凹部を備え、前記対向する端部が、前記2つの間隔を空けて配置された端部止め具を形成し、前記突出部が、前記ヘッドギアが前記マスクフレームに接続されたときに前記溝または凹部に受け入れられ、かつ、前記突出部が前記溝または凹部内で前記対向する端部の間で移動するように、構成されている、請求項14に記載のマスクアセンブリ。
【請求項17】
前記溝または凹部が前記ポストに設けられ、前記突出部が前記フックに設けられている、請求項14に記載のマスクアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
あらゆる優先権出願の参照による援用
本出願は、2014年7月11日に出願された米国特許出願第62/077071号明細書および2015年8月31日に出願された米国特許出願第62/212431号明細書に対する優先権を主張し、それら出願の両方の内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本開示の主題発明は、概して、受容者に加圧ガスを供給するためのインタフェースに関する。
【背景技術】
【0003】
呼吸ガスは、種々の異なるマスクスタイルで使用者に送達することができ、種々の異なる目的で送達することができる。たとえば、使用者に対して、非侵襲的換気(NIV)を用いて換気することができる。さらに、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)またはうっ血性心不全(CHF)等の内科的疾患を治療するために、マスクを使用して持続陽圧呼吸療法(CPAP)または可変気道圧を送達することができる。
【0004】
これらの非侵襲的換気および圧支持(プレッシャーサポート)療法では、一般に、使用者の顔面における、典型的には鼻マスクまたは鼻/口マスクであるユーザインタフェース装置の配置を必要とする。呼吸ガスの流れは、圧力/流れ発生装置からマスクを通して使用者の気道まで送達することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、患者インタフェース装置は、封止部材を支持するマスクフレームを含む。封止部材は、鼻および鼻孔を含む、鼻を包囲する領域を含む、使用者の顔面と接触する。こうしたマスクは、通常、長期間着用されるため、種々の問題を考慮しなければならない。たとえば、OSAを治療するためにCPAPを提供するために、使用者は通常、眠っている間、一晩中マスクを着用する。こうした状況における1つの問題は、マスクが可能な限り快適でなければならないということである。マスクが、著しい不快なしに使用者の顔面に対して十分なシールを提供することも重要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様によれば、患者に呼吸ガスを送達する患者マスク用のマスクフレームが提供され、マスクフレームは、
呼吸ガス送達導管に接続されるように構成された導管接続アパーチャを備える中央領域であって、概念的な中心垂直平面が前記導管接続アパーチャの中心を通って延在する、中央領域と、
各々が中心垂直平面から離れる方向に中央領域から外側に延在している、第1横方向アームおよび第2横方向アームと、
を備え、
各横方向アームは、ある長さを有し、中央領域から遠い遠位端で終端し、各横方向アームが上部マージンおよび下部マージンを備え、
各横方向アームは、その長さに沿ってねじれ、それにより、各横方向アームの端部における下部マージンが、各横方向アームの端部における上部マージンより概念的な中心垂直平面から離れて配置される。
【0007】
横方向アームは、
フレームの中央領域から横方向に外側に、
患者の耳に向かって後方に、かつ
横方向アームが、上方に傾斜し、それにより、横方向アームの端部から使用者の側頭と耳との間の領域まで延在する方向に沿って延在するように、上方に、
延在することができる。横方向アームは、鼻の下方から耳の頂部における側頭の間の箇所まで進むベクトルに沿って上方に延在することができる。
【0008】
各横方向アームは、平面の、概して長方形のストリップまたはバンドを備えることができ、各ストリップの端部は、上部マージンおよび下部マージンそれぞれにおいて上隅および下隅を画定し、側部アームは、それらの長さに沿ってねじれ、それにより、横方向アームの端部の下隅は、上隅よりフレームの中央領域から離れて配置される。
【0009】
各横方向アームは、その長さに沿ってテーパ状とすることができ、すなわち、上部マージンと下部マージンとの間の距離が、各横方向アームの長さの少なくとも一部に沿って低減している。
【0010】
横方向アームの端部は、エルボ接続アパーチャの中心を通る概念的な水平中間平面の下方に配置することができる。
【0011】
各アームの端部は、フレームをヘッドギアに接続するように構成されたヘッドギアコネクタを備えることができる。ヘッドギアコネクタは、ヘッドギアに取り付けられたヘッドギアクリップのフックのための接続箇所を提供するように構成されたループおよびポストを備えることができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、ヘッドギアコネクタは、ヘッドギアコネクタに接続されたヘッドギアとマスクフレームとの間の相対回転を制限するように構成された回転制限構造を備えることができる。回転制限構造は、マスクフレームとへドギアとの間の所定量の相対回転の後にヘッドギアが当接する、端部止め具を備えることができる。回転制限構造をポストに設けることができる。回転制限構造は、2つの間隔を空けて配置された端部止め具を備えることができ、ヘッドギアとマスクフレームとの間の相対運動は、2つの間隔を空けて配置された端部止め具の間の距離によって制限される。
【0013】
本発明の別の態様によれば、第1態様のマスクフレームを備えるマスクアセンブリであって、マスクフレームの横方向アームに接続されるように構成されたヘッドギアと、マスクフレームに取り付けられるように構成された封止クッションとをさらに備えるマスクアセンブリが提供される。
【0014】
本発明のさらなる態様によれば、マスクフレームとマスクフレームに接続されるように構成されたヘッドギアとを備えるマスクアセンブリであって、マスクフレームおよびヘッドギアのうちの少なくとも一方が、ポストを備えるコネクタを備え、マスクフレームおよびヘッドギアのうちの他方が、フックを備えるコネクタを備え、フックが、フックがポストを中心にマスクフレームに向かってかつマスクフレームから離れる方向に回転することができるように、ヘッドギアをマスクフレームに接続するようにポストを受け入れるように構成され、マスクアセンブリが、フックとポストとの間の相対回転の範囲を制限するように構成された少なくとも1つの回転制限構造をさらに備える、マスクアセンブリが提供される。
【0015】
回転制限構造は、マスクフレームおよびヘッドギアのうちの一方に端部止め具を備えることができ、それに対して、マスクフレームおよびヘッドギアのうちの他方が、マスクフレームとヘッドギアとの間の所定量の相対回転の後に当接する。2つの端部止め具を設けることができ、一方はマスクフレームにあり、他方はヘッドギアにあり、端部止め具は、マスクフレームとヘッドギアとの間の所定量の相対回転の後に当接するように構成されている。一方の端部止め具をフックに設けることができ、他方の端部止め具をポストに設けることができる。
【0016】
フックおよびポストのうちの少なくとも一方は、2つの間隔を空けて配置された端部止め具を備えることができ、フックとポストとの間の相対運動は、2つの間隔を空けて配置された端部止め具の間の距離によって制限される。端部止め具のうちの一方は、フックおよびポストのうちの一方から突出する突出部を備えることができ、フックおよびポストのうちの他方は、対向する端部を有する溝または凹部を備えることができ、対向する端部は、2つの間隔を空けて配置された端部止め具を形成し、突出部は、ヘッドギアがマスクフレームに接続されたときに溝または凹部に受け入れられ、かつ、突出部が溝または凹部内で対向する端部の間で移動するように、構成されている。溝または凹部をポストに設けることができ、突出部をフックに設けることができる。
【0017】
本発明の別の態様によれば、ヘッドギアをマスクに接続するヘッドギアコネクタアセンブリが提供され、ヘッドギアコネクタアセンブリは、ポストを備える第1コネクタと、フックを備える第2コネクタとを備え、フックは、フックがポストを中心に回転することができるように、第1コネクタを第2コネクタに接続するようにポストを受け入れるように構成され、ヘッドギアコネクタアセンブリは、フックとポストとの間の相対回転の範囲を制限するように構成された少なくとも1つの回転制限構造をさらに備える。
【0018】
本発明のさらなる態様によれば、マスクフレームとマスクフレームに接続されるように構成されたヘッドギアとを備えるマスクアセンブリが提供され、マスクフレームは、
呼吸ガス送達導管に接続されるように構成された導管接続アパーチャを備える中央領域であって、概念的な中心垂直平面が導管接続アパーチャの中心を通って延在する、中央領域と、
各々が中心垂直平面から離れる方向に中央領域から外側に延在している、第1横方向アームおよび第2横方向アームと、
を備え、
各横方向アームは、ある長さを有し、中央領域から遠い遠位端で終端し、各横方向アームが上部マージンおよび下部マージンを備え、
各横方向アームは、その長さに沿ってねじれ、それにより、各横方向アームの端部における下部マージンが、各横方向アームの端部における上部マージンより概念的な中心垂直平面から離れて配置され、
ヘッドギアは、横方向アームの端部に回転可能に接続されるように構成されたヘッドギアコネクタを有するストラップを備え、
マスクアセンブリは、マスクフレームとヘッドギアとの間の相対回転の範囲を制限するように構成された少なくとも1つの回転制限構造をさらに備える。
【0019】
本発明のさらなる態様によれば、閉ループヘッドギア用のバックルが提供され、バックルは、
底面と上面との間に延在する内側面および外側面と、
各々が上面と底面との間に延在する内側ポスト、中心ポストおよび外側ポストと、
内側ポストと中心ポストとの間に配置され、かつヘッドギアストラップループの一部を受け入れるように構成された摩擦ループ開口部と、
少なくとも内側面に形成された正面開口部と、
少なくとも外側面に形成された外側開口部と、
外側ポストと中心ポストとの間の正面開口部と外側開口部との間に延在するヘッドギアストラップ通路であって、ヘッドギアストラップループの戻り部分を受け入れるように構成された通路と、
を備え、
正面開口部および外側開口部は、ヘッドギアストラップ通路が傾斜するようにずれている。
【0020】
バックルは、ヘッドギアストラップ通路に沿って外側ポストの内側面に位置するストラップ取付面をさらに備えることができ、ストラップ取付面は、ヘッドギアのストラップに取り付けられるように構成される。
【0021】
正面開口部は、バックルの底面に隣接して形成することができ、それにより、正面開口部は、底面と内側面の両方を通って延在する。
【0022】
外側開口部は、外側面に沿って、底面から間隔を空けて配置されるように距離をあけて形成することができる。
【0023】
摩擦ループ開口部は上部マージンおよび下部マージンを備えることができ、それらのうちの少なくとも一方は、傾斜通路を通るヘッドギアストラップの戻り部分の角度により、ヘッドギアストラップループと摩擦係合するように構成される。
【0024】
本発明のさらなる態様によれば、閉ループヘッドギアであって、
上述した本発明の態様によるバックルと、
後方ヘッドギア部分と、
後方ヘッドギア部分から前方に延在する少なくとも1つのストラップであって、内側ポストと中心ポストとの間で摩擦ループ開口部を通過する少なくとも1つのストラップと、を備える閉ループヘッドギアが提供される。
【0025】
ストラップは、好ましくは、続いて、ヘッドギアのフックコネクタを通過し、折り返してヘッドギアの戻り部分を形成し、傾斜したヘッドギアストラップ通路を通って戻る。
【0026】
ストラップは、外側開口部からバックルを通って延在するグリップストラップ端部を含むことができる。グリップストラップ端部は、親指と1つまたは2つの指との間でつかむのに十分長い長さを有することができる。グリップストラップ端部の遠位端に、さらなる把持のためのくぼみを設けることができる。
【0027】
後部ヘッドギア部分は、二又後方部分を備えることができる。
【0028】
本発明のさらなる態様によれば、患者マスクアセンブリに呼吸ガス送達導管を接続するエルボが提供され、エルボは、
ボールジョイント部分および底部と、
ボールジョイント部分および底部を接続する細長いチューブ部分と、
を備え、
細長いチューブ部分は、底部、およびボールジョイント部分の最大径より、幅が狭い。
【0029】
細長いチューブ部分は、使用時に使用者から離れる方向に面するように構成された正面部分と、使用時に使用者に向かう方向に面するように構成された背面部分とを含むことができ、正面部分は背面部分より長い。
【0030】
細長いチューブ部分は切頭頂部を形成することができ、そこで、正面部分および背面部分がボールジョイント部分に接続する。
【0031】
細長いチューブ部分は、細長いチューブ部分の長手方向軸とボールジョイント部分の長手方向軸との間に角度θを有するエルボを形成することができる。
【0032】
細長いチューブ部分の正面部分は、使用中にCO2ウォッシュアウトを可能にするように構成された複数のバイアス流穴を含むことができる。複数のバイアス流穴を、正面部分の長さに沿って列で配置することができ、一実施形態では、複数のバイアス流穴は、2つの列の2つのアレイで配置され、2つのアレイの間に空間がある。各部分内の列は、ずれている場合があり、それにより、各行のバイアス流穴は、互いに対して入れ子になっており、すなわち、1つの列のバイアス流穴は、隣接する列のバイアス流穴の間の空間に少なくとも部分的に配置される。1つの列は、別の列とは異なる数のバイアス流穴を有することができる。
【0033】
細長いチューブ部分は、各々が切欠きを有する側面部分を含むことができる。切欠きは、対応する形状を有するディフューザ本体の特徴を受け入れるように構成することができる。
【0034】
本発明の他の態様では、以下が提供される。
【0035】
A:図示し記載するような装置。
【0036】
B:3次元曲率を有する側部アームを備えるマスクフレーム。側部アームは、フレームの中心から外側に、患者の耳に向かって後方に、かつ鼻の下方から側頭と耳の頂部との間の箇所まで進むベクトルに沿って上方に延在することができる。側部アームは、それらの長さに沿ってねじれることができ、それにより、側部アームの端部の下隅は、上隅よりフレームの中央部分から離れて配置される。
【0037】
C:
ボール部分および幅広底部と、
ボール部分および幅広底部を接続する細長いチューブ部分と、
を備え、
細長いチューブ部分が、幅広底部、およびボール部分の最大径より、幅が狭い、エルボ。細長いチューブ部分は、(使用時に使用者およびマスクから離れる方向に面する)長い正面部分と、(使用時に使用者およびマスクに向かう方向に面する)短い背面部分とを含むことができる。細長いチューブ部分は、切頭頂部を形成することができ、そこで、長い正面部分および短い背面部分がボール部分に接続する。細長いチューブ部分は、概して、角度θを有するエルボを形成する。細長いチューブ部分の長い正面部分は、使用中のCO2ウォッシュアウトのための複数のバイアス穴を含むことができる。複数のバイアス穴は、長い正面部分の長さに沿って列で配置することができる。複数のバイアス穴は、2つの列の2つの部分で配置することができ、2つの部分の間に空間がある。各部分内の列は、ずれている場合があり、それにより、各行のバイアス穴は互いに対して入れ子になる。細長いチューブ部分は、各々が切欠きを有する側面部分を含むことができる。切欠きは、ディフューザ本体の対応する形状を受け入れるように構成することができる。
【0038】
D.閉ループヘッドギア用のバックルであって、
底面および上面と、
各々が上面と底面とのとの間に延在する内側ポスト、中心ポストおよび外側ポストと、 内側ポストと中心ポストとの間の摩擦ループ開口部と、
外側ポストと中心ポストとの間に正面開口部および外側開口部を備える通路と、
を備え、
正面開口部および外側は、ずれて、傾斜通路を形成する。外側通路の内側に、ストラップ取付面を配置することができる。
【0039】
E:上記態様Dによるバックルを備える閉ループヘッドギアであって、
後方部分から前方に延在する少なくとも1つのストラップが、内側ポストと中心ポストとの間でバックルを通過する、閉ループヘッドギアを提供することができる。ストラップは、続いて、フックコネクタを通過し、折り返して、バックルの中心ポストおよび外側ポストを通って戻る。ストラップは、外側開口部からバックルを通って延在するグリップストラップ端部を含むことができる。グリップストラップ端部は、親指と1つまたは複数の指との間でつかむのに十分長い長さを有することができる。グリップストラップ端部の遠位端に、さらなる把持のためのくぼみを設けることができる。後方部分は二又後部であり得る。
【0040】
本発明のさまざまな特徴、態様および利点は、種々の方法のうちの任意のもので実施することができる。たとえば、本明細書ではいくつかの実施形態について記載しているが、実施形態のうちの任意のものからの特徴のセットまたはサブセットを、他の実施形態のうちの任意のものからの特徴のセットまたはサブセットとともに使用することができる。
【0041】
「備えている、含んでいる(comprising)」という用語は、本明細書および特許請求の範囲で使用され、「少なくとも一部は~から構成されている」を意味する。本明細書及び特許請求の範囲において「備えている、含んでいる」を含む文を解釈するとき、その用語の前にくる特徴以外の特徴もまた存在する可能性がある。「備える、含む(comprise、comprises)」等の関連する用語も同様に解釈されるべきである。
【0042】
本明細書において、特許出願、他の外部文献または他の情報源について参照する場合、これは、概して、本発明の特徴について考察するための状況を提供することを目的とするものである。特に別段の定めのない限り、こうした外部文献に対する参照は、こうした文献またはこうした情報源が、いずれかの権限において、従来技術であるかまたは本技術分野における共通の一般知識の一部を形成する、ということを容認するものとして解釈されるべきではない。
【0043】
本発明のこれらおよび他の特徴、態様および利点について、以下の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】使用者の鼻孔に直接加圧呼吸ガスの流れを提供するように構成された鼻呼吸マスクの限定しない例示的な実施形態の上面正面左側斜視図である。
【
図1a】
図1のマスクと使用することができる可撓性ガス供給導管、エルボアセンブリおよびスイベルアセンブリの正面図である。
【
図1b】
図1aの可撓性ガス供給導管、エルボアセンブリおよびスイベルアセンブリの側面図である。
【
図1c】
図1aおよび
図1bのエルボアセンブリおよび可撓性ガス供給導管の拡大斜視図である。
【
図2a】
図1のマスクに組み込むことができる封止クッションの限定しない例示的な実施形態の上面正面左側斜視図である。
【
図2b】
図2aの封止クッションの底背面右側斜視図である。
【
図3a】近位側、遠位側、中央領域、および中央領域の両側から延在する横方向アームを備え、かつ、
図1のマスクに
図2aおよび
図2bの封止クッションとともに組み込むことができる、マスクフレームの限定しない例示的な実施形態の上面正面左側斜視図である。
【
図3b】
図3aのマスクフレームの底面背面右側斜視図である。
【
図4】
図3aおよび
図3bのマスクフレームの直交正面図を示す。
【
図5】
図3aおよび
図3bのマスクフレームの対応する直交上面図を示す。
【
図6】
図3aおよび
図3bのマスクフレームの対応する直交側面図を示す。
【
図7】使用時の使用者Uの上の呼吸マスクの側面図である。
【
図8】任意選択的に
図2aおよび
図2bの封止クッションならびに
図3aおよび
図3bのマスクフレームとともに、
図1のマスクに組み込むことができる、エルボの限定しない例示的な実施形態を示す。
【
図8A-F】任意選択的に
図2aおよび
図2bの封止クッションならびに
図3aおよび
図3bのマスクフレームとともに、
図1のマスクに組み込むことができる、エルボの限定しない例示的な実施形態を示す。
【
図9A-D】
図8および
図8A~
図8Fのエルボに接続するように構成されたディフューザの限定しない例示的な実施形態を示す。
【
図10A-E】
図8および
図8A~
図8Fのエルボとディフューザアセンブリとを示し、ディフューザは、バイアス穴が覆われるようにエルボに接続されている。
【
図11A-B】閉ループヘッドギアを備えるマスクアセンブリの限定しない例示的な実施形態を示す。
【
図12A-F】閉ループヘッドギアで使用されるバックルの限定しない例示的な実施形態を示す。
【
図13A-B】閉ループヘッドギアで使用されるバックルおよびストラップの外側斜視図である。
【
図14A-B】ヘッドギアストラップは断面でバックルを通過する。
【
図15A-B】摺動モードおよび摩擦モードにある閉ループヘッドギアを示す。
【
図16A-F】ヘッドギアをマスクに接続するヘッドギアコネクタアセンブリの限定しない例示的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本明細書で用いる「保持力」という用語は、使用者の顔面上で呼吸マスクを保持するためにヘッドギアによって加えられる任意の力を指す。
【0046】
図1は、加圧された呼吸ガスの流れを使用者の鼻孔に直接提供するように構成された鼻呼吸マスク1の限定しない例示的な実施形態を示す。呼吸マスク1は、封止クッション3、マスクフレーム5、エルボアセンブリ7、可撓性ガス供給導管9、スイベルアセンブリ11、ヘッドギア13および一対のヘッドギアクリップ15を備える。
【0047】
エルボおよび可撓性ガス供給導管
図1a~
図1cを参照すると、エルボアセンブリは、マスクフレーム5(たとえば、
図1および
図3aを参照)のエルボ接続アパーチャ77に接続するように構成されている。エルボアセンブリ7は、ボールジョイント部分21および幅広底部23を含む。細長いチューブ部分25が、ボールジョイント部分21および幅広底部23を接続している。この例では、細長いチューブ部分25は、幅広底部23、およびボールジョイント部分21の最大径より、幅が狭い。細長いチューブ部分25は、(使用時、使用者およびマスク1から離れる方向に面する)長い正面部分27と(使用時、使用者およびマスクフレーム5に向かう方向に面する)短い背面部分29とを含む。細長いチューブ部分25は、切頭頂部31を形成し、そこで、長い正面部分27および短い背面部分29がボールジョイント部分21に接続する。この構成では、細長いチューブ部分25は、概して、その長さに沿って曲げ部を有するエルボを形成し、それにより、エルボアセンブリ7に対する導管受入部分の長手方向軸は、ボールジョイント部分21の長手方向と位置合せされない。
【0048】
細長いチューブ部分25の長い正面部分27は、使用中のCO2ウォッシュアウト(washout)のための複数のバイアス流穴35を含む。複数のバイアス流穴35は、長い正面部分の長さに沿って列で配置されており、列は、概して、細長いチューブ部分25の長手方向軸と位置合せされている。特に、この例では、複数のバイアス流穴35は、3つの中央の長い方の列と2つの側方の短い方の列とで配置され、2つの部分の間に空間がある。各長い中央の列は、この例では、12のバイアス流穴を有し、各短い側方の列は、7つのバイアス流穴を有する。それらの列は、長い正面部分27のテーパ状の鍵穴状領域に配置されている。
【0049】
幅広底部23は、導管受入部分から同心状にずれている短いチューブ部分であり、それにより、それらの2つの間に環状チャネルが形成されている。導管受入部分は、その外面に可撓性ガス供給導管9を受け入れるように構成されている。環状チャネルは、可撓性ガス供給導管9の端部を受け入れかつ保持するように構成されている。導管受入部分は、可撓性ガス供給導管9を保持するように構成されている雄ねじを含む。幅広底部23は、可撓性ガス供給導管9の端部を隠すように構成されている。
【0050】
可撓性ガス供給導管9は、外部らせん状ビード41とビード41によって支持される薄い導管壁43とを備える可撓性チューブである。ビード41は、導管9に加熱を提供するか、または導管9に沿ってデータまたはセンサ信号を移送するための、導電性ワイヤまたはストリップを含むことができる。薄壁43は、各隣接するらせん状コイルの間に半径方向外側に向けられた折目または曲げ部45を備えている。この外側に向けられた折目45は、ビード41ほど外側に突出せず、それにより、
図1a~
図1cに示すように、導管9が中立状態にあるとき、折目の直径はビードの直径より小さい。ビード41および折目45は、導管9が、可撓性があり、曲がることができかつ長手方向に伸長するかまたは収縮することができるように、構成されている。折目45により、導管9は、使用時にまっすぐでないように曲がることができる。折目45によって、導管9の長さを変更することも可能になる。ビード41は、導管9のいかなる屈曲、伸長または収縮も弾力性があるように、ばねとして構成することができ、ビード41および/または折目は、導管9の端部に力が加えられていないとき、導管9をその中立状態に戻す。
【0051】
封止クッション
封止クッション3は、加圧された呼吸用ガスが鼻道に直接送達されるように、使用者の鼻の鼻孔および外側に面する面と係合しかつ実質的気密シールを形成するように構成されている。こうしたシールについては、内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、2014年7月17日に出願されたPCT/NZ2014/000150号明細書(国際公開第2015009172号パンフレット)に記載されている。
【0052】
封止クッション3は、好ましくは、シール本体51およびマスクフレームコネクタ53を備える。シール本体51は、軟質かつ可撓性材料から形成することができ、それにより、内部空洞を画定する柔軟なポケットまたは覆いが提供される。シール本体51は、限定されないが、ラテックス、ビニル、シリコーンまたはポリウレタン等、任意の適切な材料から作製することができる。
【0053】
図2aおよび
図2bを参照すると、シール本体51は、中央部55と中央部55の各側から延在する第1側部57および第2側部57とを備える。シール本体51は、内側59(
図2b)および外側61(
図2a)をさらに備える。内側59は、使用時に使用者の顔面に対して近位側に配置され、封止面、安定化面および位置決め面を提供するように構成されている。外側61は、使用時に内側59に対して、使用者の顔面に対して遠位側に配置され、封止クッション3に構造を提供するように構成されている。
【0054】
中央部分55の内側59は、使用者の鼻の基部を横切って延在するように構成され、側部57の各々の内側は、鼻の側面の周囲で湾曲しかつそこを横切って延在するように構成されている。これらの側部57は、鼻の外側に面する面すなわち側面(flank)に周囲シールを形成することができる。側部57は、下隅において使用者の鼻から離れる方向に外側に広がり、それにより、食い込むことなく使用者の頬に接触する。側部57と使用者の頬との間の接触により、呼吸マスク1を安定化するために、ヘッドギア13によって使用者の顔面に保持力を加えることができる場所が提供される。
【0055】
内側59は、薄い壁厚さを有し、それにより、シール本体51は、柔軟であり、使用者の鼻の形状に沿うことができる。外側61は、内側59より大きい壁厚さを有し、それにより、より柔軟な内側59に対して構造および安定性を提供する。
【0056】
中央部分55の内側59は、一対のプロング62をさらに備える。プロング62は、空気送達開口部63および位置決め面65を備える。空気送達開口部63は、加圧された呼吸用ガスの流れがシール本体51内から使用者の気道に進むのを可能にするように構成されている。位置決め面65は、使用者の鼻孔内でプロング62を位置決めしかつ封止し、鼻の上に封止クッション3を配置する手段を提供するように構成されている。
【0057】
マスクフレームコネクタ53は、中央部分55の外側61内に位置し、任意の適切な手段によりシール本体51に永久的に取り付けられる実質的に剛性のリングを備える。マスクフレームコネクタ53は、加圧された呼吸用空気がシール本体51内に送達される際に通る入口を提供するように構成されている。マスクフレームコネクタ53は、封止クッション3とマスクフレーム5との間に実質的に気密の接続部を提供するようにさらに構成されており、マスクフレーム5および封止クッション3は、繰り返し組み立てかつ分解することができる。マスクフレーム5とマスクフレームコネクタ53との間の接続は、限定されないが、スナップフィット、摩擦嵌合、ねじ切りまたはバヨネット機構を含む任意の適切な手段によって達成することができる。
【0058】
マスクフレーム
図3aおよび
図3bに示すように、マスクフレーム5は、近位側71(
図3b)と、遠位側73(
図3a)と、中央領域75と、中央領域75の各側から延在する第1横方向アーム97および第2横方向アーム97とを備える。横方向アーム97は、各々、各アーム97の長さに沿って延在する細長い上部マージンおよび下部マージンを有する概して長方形の平面ストリップを備える。したがって、横方向アーム97は、正面から見ると比較的幅が広いが、上方から見ると比較的幅が狭い。近位側71は、封止クッション3に隣接しかつ使用時に使用者の顔面に対して近位側にあるように構成されている。遠位側73は、マスクフレーム5の外面を形成する。中央領域75の遠位側73は、任意選択的に円形であり得るエルボ接続アパーチャ77を備える。エルボ接続アパーチャ77は、エルボアセンブリ17のボールジョイント21を受け入れるように構成されている。エルボ接続アパーチャ77から半径方向外側に、平面の表面81が延在している。
【0059】
中央領域75の近位側71は、エルボ接続アパーチャ77の周囲に、封止クッション3に向かって後方向に突出する環状壁83を備える。
【0060】
環状壁83は、内側面85および外側面87を備える。内側面85は、ボールジョイントソケットを形成するように構成された凹状球形部分を備える。ボールジョイントソケットは、エルボアセンブリ17、すなわちボールジョイント部分21の対応する形状に接続するように構成されている。外側面87は、封止クッション3のマスクフレームコネクタ53の対応する形状に結合されるように構成された1つまたは複数の窪み91を備え、それにより、マスクフレーム5とクッションシールとの間の接続が達成される。
【0061】
図4は、マスクフレーム5の直交正面図を示す。この図は、平面の表面81(たとえば
図3aを参照)と一致する正面80に対して垂直である。マスクフレーム5は、エルボ接続アパーチャ77の中心を通る中心垂直面「y」を中心に対称である。マスクフレーム5は、上縁マージン93および下縁マージン95をさらに備え、それらはともに、一方の横方向アーム97から中央領域75を通って他方の横方向アーム97まで延在している。上縁マージン93は、
図4の図においてかつ使用時に、下縁マージン95の上方にあるように配置される。中央領域75内で、上縁マージン93は、エルボ接続アパーチャ77からずれ、実質的にその曲率に従う。上縁マージン93は、中央領域75から横方向アーム97の各々まで遷移するに従い、大幅に下向きの方向において外側に(中央垂直面「y」から離れる方向に水平に)テーパ状になっている。下縁マージン95は、中央垂直面「y」領域から幾分か上向きの方向において外側に湾曲している。それは、中央領域75の端部から横方向アーム97の各々の端部に向かって遷移するに従い、わずかに下向きの方向において湾曲している。
【0062】
上縁マージン93および下縁マージン95のテーパ状遷移部は、横方向アーム97を形成し、横方向アーム97は、中央領域75の各側から外側に延在する実質的に細長いテーパ状部材である。横方向アーム97は、ヘッドギアクリップ(たとえば、
図14Aを参照)に対する接続箇所を提供するように構成されたループ99およびポスト101を備える。ループ99は、遠位面に対して垂直に横方向アーム97を通って延在する矩形アパーチャである。代替実施形態では、アパーチャは、任意の適切な形状を有することができる。ポスト101は、ループ99の外壁によって形成され、横方向アーム97の外端部を形成し、実質的に円筒状である。ポスト101は、中央領域77に向かって上方向に傾斜している。これは、下縁の幅w
1が上縁の幅w
2より広いことによって示される。
【0063】
横方向アーム97の端部は、水平中間面「x」の実質的に下方に配置され、水平中間面「x」は、正面および垂直面yに対して垂直であり、エルボ接続アパーチャ77の中心を通過する。したがって、横方向アーム97は、マスクフレーム5の下半分に向かってテーパ状になっている。
【0064】
図5は、マスクフレーム5の対応する直交上面図を示す。それは、横方向アーム97がまた、平面の表面81から後方向に(遠位から近位に)延在することを示す。
【0065】
図6は、マスクフレーム5の対応する直交側面図を示す。下縁マージン95の端部が上縁マージン93の端部より正面に近いことが分かる。これにより、ポスト101の長さが、正面と鋭角αを形成することになる。
【0066】
図7は、使用者Uに対する使用時の呼吸マスク1の側面図である。使用時、使用者Uが直立している場合、正面は傾斜していることが分かる。(
図6を参照して上述した)ポスト101の角度は、ヘッドギア13によって加えられる保持力Fがポスト101の角度に対して実質的に垂直であるようなものである。これにより、ヘッドギア13とマスクフレーム5との間のねじり力は最小限になり、したがって、使用者Uにおける呼吸マスク1の安定性が向上する。横方向アーム97は、横方向アーム97の端部から使用者の側頭と耳との間の領域まで延在する方向に沿って延在するように、上方に傾斜している。
【0067】
言い換えれば、横方向すなわち側部アーム97は3次元曲率を有している。使用時、横方向アーム97は、フレーム5の中心から外側に、患者の耳に向かって後方に、かつ鼻の下から側頭と耳の頂部との間の箇所まで進むベクトルに沿って延在する。さらに、横方向アーム97は、それらの長さに沿って「ねじれ」、それにより、横方向アーム97の端部の下隅は、たとえば、
図5に示すように、上隅より中心垂直面から離れて配置される。
【0068】
横方向アーム97をマスクフレーム5の下半分に配置することにより、使用者の顔面における呼吸マスクの安定性が向上する。マスクフレーム5および封止クッション3に対してヘッドギア13によって加えられる保持力Fは、主に、封止クッション3の側部を通して加えられる。これにより、保持力は主に使用者の鼻、使用者の上唇および頬の下面に加えられることになる。これにより、力を分散させることができる表面積が広くなり、したがって安定性が向上する。より広い表面積にわたって力を分散させることにより、不快をもたらす可能性がある使用者の顔面に対するいかなる圧点も最小限にすることができる。横方向アーム97がマスクフレーム5の上でより高く配置された場合、力ベクトルFは、主に使用者の鼻の先端に加えられ、それにより、呼吸マスク1に対する安定性が低下する可能性がある。これにより、使用者の鼻の先端に対する圧点の形態で使用者に対して不快がもたらされる可能性もある。
【0069】
横方向アーム97を下方に配置することにより、呼吸マスク1に対して、より最小限の外観が与えられる。マスクフレーム5は、使用時、実質的に鼻の下方に配置されるため、それほど目に入らなくなり、したがって、使用者の顔面において著しく目立つことがなくなる。ポスト99の角度と組み合わせて横方向アーム97を下方に配置することによってもまた、ヘッドギア13が、眼の下からより離れた場所で使用者の頬の上を通ることになる。これは、ヘッドギア13が使用者の周辺視野内に入る可能性が低くなり、マスク1が目障りでなくなり着用がより快適になるという点で有益である。
【0070】
エルボおよびディフューザ
図8および
図8A~
図8Fに、上述したエルボ17と同様であって、エルボ接続アパーチャ77(たとえば、
図1および
図3aを参照)に接続するように構成された、エルボ117を示す。エルボ117は、ボールジョイント部分121および幅広底部123を含む。細長いチューブ部分125が、ボールジョイント部分121および幅広底部123を接続している。細長いチューブ部分125は、幅広底部123、およびボールジョイント部分121の最大径より、幅が狭い。細長いチューブ部分125は、(使用時、使用者およびマスクから離れる方向に面する)長い正面部分127と、(使用時、使用者およびマスクフレーム5に向かう方向に面する)短い背面部分129とを含む。細長いチューブ部分125は、切頭頂部131を形成し、そこでは、長い正面部分127および短い背面部分129がボールジョイント部分121に接続する。この構成では、細長いチューブ部分125は、概して、角度Φを有するエルボを形成する。
【0071】
細長いチューブ部分125の長い正面部分127は、使用中のCO2ウォッシュアウトのための複数のバイアス流穴135を含む。複数のバイアス流穴135は、長い正面部分127の長さに沿って列で配置されている。特に、図示するように、複数のバイアス流穴135は、2つの列の2つの部分または領域で配置され、細長いチューブ部分125の2つの部分または領域の間に空間がある。各部分または領域内の列は、ずれており、それにより、各行のバイアス流穴は互いに対して入れ子になっており、すなわち、1つの列のバイアス流穴は、少なくとも部分的に、別の列のバイアス流穴の間の空間内で入れ子になっている。細長いチューブ部分125は、各々が切欠き139を有する側面部分137をさらに含む。切欠き139は、対応する形状を有するディフューザ本体の一部を受け入れるように構成されている。
【0072】
幅広底部123は、導管受入部分141から同心状にずれている短いチューブ部分であり、それにより、それらの2つの間に環状チャネル143が形成されている。導管受入部分141は、その外面に可撓性ガス供給導管9を受け入れるように構成されている。環状チャネル143は、可撓性ガス供給導管9の端部を受け入れかつ保持するように構成されている。導管9受入部分は、突出部であり得る保持構造を含み、それは、この例ではねじ山145であり、それは、可撓性ガス供給導管9を保持するように構成されている。幅広底部123は、可撓性ガス供給導管9の端部を隠すように構成されている。したがって、可撓性導管9の端部は、エルボ117の上にねじ込まれて、導管9をエルボ117の上で保持する。
【0073】
図9A~
図9Dに、エルボ117に接続するように構成されたディフューザ151を示し、それは、バイアス流穴135から排出されるガスがディフューザ151を通過するように、バイアス流穴135を覆う。ディフューザ151は、ディフューザ本体153とディフューザ材料155の1つまたは複数の領域とを備える。ディフューザ本体151は、2つの側面157とそれらの間の正面領域159とを有する実質的に剛性のプラスチック構成要素を備える。ディフューザ本体153は、エルボ117の細長いチューブ部分125の曲率を賞賛する曲率を有するように構成され、一方の側方部分から正面部分を横切って他方の側方部分まで延在している。ディフューザ本体153は、1つまたは複数のディフューザ開口部161と一対のグリップタブ163とをさらに備える。ディフューザ開口部161は、使用時にバイアス流穴135の上に部分的に重なるように正面領域159に配置されている。本開示のこの実施形態例では、ディフューザ開口部161は、格子部材165によって分離されている。
【0074】
グリップタブ163は、ディフューザ本体153の側面157の各々の縁からおよそ垂直に延在し、実質的に台形の輪郭を有する。それらは、ディフューザ151を、エルボ117から取り外す間に、使用者の親指と人差し指との間で把持することができるように構成されている。
【0075】
ディフューザ本体153は、使用時に、エルボ117の細長いチューブ部分125に対して近位側であるように構成されている内側面167を有する。内側面167は、一対の係合タブ169を備える。係合タブ169は、グリップタブ163の各々から内向きに延在し、エルボ117の切欠き139と係合するように構成され、それにより、ディフューザ151はエルボ117上で保持される。
【0076】
ディフューザ材料155の領域は、ディフューザ開口部161を充填するように構成され、吐出空気が通過する曲がりくねった通路を提供する。ディフューザ材料155は、任意の通気性または多孔性材料であり得る。使用時、ディフューザ材料155は、バイアス流穴135と同一平面であり、したがって、バイアス流穴135から排出される空気がディフューザ材料155を通って拡散されるのを確実にする。
【0077】
図10A~
図10Dは、エルボ117およびディフューザ151を示し、そこでは、ディフューザ151は、バイアス流穴135が覆われるようにエルボ117に接続されている。エルボ117の細長いチューブ部分125の幅が狭いため、ディフューザ151は、ここでは、エルボ117の幅広底部分123の外径と実質的に等しい幅を有するように構成することができる。さらに、エルボ117の細長いチューブ部分125により、バイアス流穴135の列を長くすることができ、したがって、エルボ117、したがってエルボ117およびディフューザ151の幅を狭くすることができる。これにより、エルボ117及びディフューザ151アセンブリに対してより小さくかつかさばらない外観が与えられる。
【0078】
ヘッドギア
図1および
図7に示すように、呼吸マスク1は、ヘッドギア13によって使用者の頭部の適所に固定される。ヘッドギア13は3部品構造を備え、そこでは、3つの部品は、一対の側部ストラップ171および後部173を含む。側部ストラップ171は、一端では後部173に接合し、他端ではヘッドギアクリップ175に接続されるように構成されている。側部ストラップ171は、限定されないが超音波溶接、高周波溶接、接着剤または縫合を含む任意の好適な手段により、後部173に接合することができる。ヘッドギアクリップ175に接続する側部ストラップ171の端部は、ヘッドギアサイズを調整するための固定タブ177を備える。固定タブ177は、限定されないがVelcro(商標)等、フック・ループコネクタのフック要素を備える。固定タブ177は、側部ストラップ171の長さ、したがってヘッドギア13のサイズを固定するために、側部ストラップ171の外面に取り付けられるように構成されている。後部173は、使用者の頭部の後頭領域と係合するように構成された上部ストラップ173aおよび下部ストラップ173bを有する二又構成要素を備える。ヘッドギア13は、限定されないが、Neoprene、TPE、Breathoprene
TMもしくは編布、または材料の任意の組合せを含む、本技術分野において既知である任意の好適な非伸縮性材料または伸縮性材料から作製することができる。好ましい実施形態では、後部173および側部ストラップ171は、対照をなす色で単一材料から作製される。代替実施形態では、側部ストラップ171に対して異なる材料から後部173を作製することができる。さらなる代替実施形態では、後部173および側部ストラップ171は単色であり得る。
【0079】
閉ループヘッドギア
図11Aおよび
図11Bは、閉ループヘッドギア13を備えるマスクアセンブリ1の限定しない例示的な実施形態のそれぞれ斜視図および上面図を示す。マスクアセンブリ1は、二又ヘッドギア13に取り付けられている。前方ストラップ171が、後方の二又部分173から前方に延在している。前方ストラップ171は、バックル179を通過した後、マスクアセンブリ1に取り付けられているフック101を通過する。各前方ストラップ171は、折り返されて、バックル179を通過する。
【0080】
図11Aおよび
図11Bに示すヘッドギア13は、閉ループヘッドギアであり、それは、ヘッドギアの長さを最小の長さから最大の長さまで調整することができるが、完全に取り外すことはできないことを意味する。閉ループ構成は望ましい可能性があり、それは、ヘッドギア13は、分解することができず、したがって不適当に再度組み立てられる可能性がないためである。ヘッドギア13は、限定されないが、Neoprene、TPE、Breathoprene(商標)または編布を含む、本技術分野において既知である任意の好適な非伸縮性材料または伸縮性材料から作製することができる。
【0081】
図12A~
図12Fは、
図11Aおよび
図11Bに示したような、閉ループヘッドギア13で使用されるバックル179の限定しない例示的な実施形態を示す。
図12Aおよび
図12Bは、バックル179のそれぞれ内側の図および外側の図を示す。図示するように、バックル179は、底面181および上面183を含む。上面181と底面183との間から、内側ポスト185、中心ポスト187および外側ポスト189が延在している。内側ポスト185と中心ポスト187との間に、摩擦ループ開口部191がある。外側ポスト189と中心ポスト187との間に、正面開口部193および外側開口部195を備える通路がある。正面開口部193および外側開口部195は、ずれて、傾斜通路を形成している。さらに、外側ポスト189の内側に、ストラップ取付面197が配置されている。
【0082】
図12Cおよび
図12Dに、バックル179の斜視断面を、特に内部の特徴を示すように示す。中心ポスト187に、中心ポスト肩部199および中心ポスト凹部201がある。
【0083】
図12Eおよび
図12Fに、バックルのそれぞれ正面図および背面図を、特に上述した特徴のさらなる図を示すように示す。
【0084】
図13Aおよび
図13Bは、閉ループヘッドギア13において使用されるバックル179およびストラップ171の外側斜視図である。図示するように、後方部分173から前方に延在するストラップ171は、内側ポスト185と中心ポスト187との間でバックル179を通過する。ストラップ171は、続いて、フック(たとえば
図11Aを参照)を通過し、折り返して、バックル179の中心ポスト187および外側ポスト189を通って戻る。ストラップ171は、バックル179を通って延在するグリップストラップ端部205を含む。グリップストラップ端部205は、親指と1つまたは複数の指との間でつかむのに十分に長い長さを有する。さらなる把持のためにくぼみ207が設けられている。
【0085】
図14Aおよび
図14Bは、調整可能な閉ループ209を形成する、バックル179を通過してしているストラップ171の断面を示す。ストラップ171は、内側ポスト185と中心ポスト187との間に形成された摩擦ループ開口部191を通過する。ストラップ171は、バックル179を通り、正面開口部193から外側開口部195の間に形成された傾斜通路を通って戻る。
【0086】
図示するように、バックル179は、ストラップ171に対して相対的に傾斜している。ストラップ171が摩擦ループ開口部191を通過する際の角度の結果として、ストラップ171が張力下にあるときに摺動するのを制限する摩擦力を発生させる、締り嵌めコーナ192がある。特に、ストラップ171が摩擦ループ開口部を通過するストラップ171の平面は、バックル179の平面に対して傾斜しており、それにより、ストラップ171は、バックル179に対して垂直でも平行でもない。
【0087】
ストラップ171は、外側ポスト189の内側に位置するストラップ取付面211(たとえば
図12Aを参照)においてバックル179に永久的に取り付けられている。ストラップ171がバックル179に永久的に取り付けられているため、ヘッドギア13を分解することができない(すなわち、調整可能な閉ループのフックを取り外すことができない)。限定しないが、超音波溶接、高周波溶接、接着剤または縫合を含む任意の好適な手段により、ストラップ取付面211にストラップ171を取り付けることができる。
【0088】
図15Aおよび
図15Bは、それぞれ摺動モードおよび摩擦モードにある閉ループヘッドギア13を示す。
図15Aでは、グリップストラップ端部205に引張力204が加えられる。この引張力により、バックル179が引張力の方向において(図示するように左回りに)回転する206。「回転した」バックル179を、
図15Aでは破線の矩形で表す。ストラップ171が、ストラップ取付面211においてバックル179に取り付けられているため、バックル179は引張力によって回転する。バックル179が回転する際、バックル179、特に摩擦ループ開口部191は、ストラップ171が開口部191を通して摺動する208ことにより、より垂直になる。その結果、締り嵌めコーナ192(たとえば、
図14Bを参照)における締り嵌め、したがって摩擦力が低減する。これにより、ストラップ171が、摩擦ループ開口部191を自由に(または少なくともより低い抵抗で)通過することができ、したがって調整が可能になる。
【0089】
別法として、
図15Bに示すように、たとえば、マスクアセンブリ1が使用されているとき、張力210が加えられる。張力210により、バックル179が張力の方向に(図示するように右回りに)回転する202。バックル179が回転すると、バックル、特に摩擦ループ開口部191は、ストラップ171に対してより傾斜して、開口部191を通過する。「回転した」バックル179を、
図15Bでは破線の矩形として表す。その結果、締り嵌めコーナ(たとえば、
図14Bを参照)における締り嵌めが増大し、したがて、摩擦ループ開口部191とそこを通過するストラップ171との間の摩擦力が増大する。
【0090】
ヘッドギアコネクタアセンブリ
図16A~
図16Fを参照すると、フック・ポスト型ヘッドギアコネクタアセンブリ221を用いてマスクフレーム5にヘッドギア13が接続されている。一例では、マスクフレーム5は、各横方向アーム97にポスト101を備える。各ヘッドギアクリップ15が、ヘッドギア13をマスクフレーム5に接続するために、マスクフレーム5のそれぞれのポスト101を受け入れるように構成されたフック15aを備える。
【0091】
一実施形態では、各ヘッドギアクリップ15は、マスクフレーム5のそれぞれのポスト101を中心に自由に回転することができる。ポスト101は、マスク1およびヘッドギア13の通常の使用時に概して垂直に向けられ、したがって、側部ストラップ171は、概して垂直の枢支軸を中心に横方向に回転する。これには、マスク1およびヘッドギア13が使用者の頭部に配置される前に、ヘッドギア13の側部ストラップ171が、マスクフレーム5のポスト101の周囲で、ヘッドギア13の一部がマスク1に隣接し、したがって使用者の顔面に位置しているマスク1を妨げる位置まで枢動している、という影響がある可能性がある。したがって、ヘッドギア13の側部ストラップ171は、マスクフレーム5のポスト101の周囲で回転する可能性があり、それにより、側部ストラップ171はシール本体53の内側を妨げる。これにより、マスク1およびヘッドギア13が、着用が困難であるかまたは不都合になる可能性がある。
【0092】
ヘッドギア13とマスクフレーム5との間の相対回転運動を阻止し、制限し、またはその範囲を制御することができ、特に、マスクフレーム5に対するヘッドギア13の側部ストラップ171の回転の範囲を制限することができることが望ましい場合がある。
【0093】
図16A~
図16Fをさらに参照すると、一実施形態では、マスクフレーム5のポスト101およびヘッドギアクリップ15のフック15aは、各々、それぞれの動き制限構造を備えている。これらの構造は、マスクフレーム5とヘッドギア13との間、より詳細には、マスクフレーム5とヘッドギア13の側部ストラップ171との間の相対回転運動を阻止するように係合するように配置される。したがって、マスク1とヘッドギア13との間のヘッドギアコネクタアセンブリ221は、ヘッドギア13の側部ストラップ171が、マスク1を妨げる位置、特にシール本体53の内側まで、マスクフレーム5に対して回転するのを防止するのに役立つように、回転制限機能を実行する。
【0094】
一実施形態では、マスクフレーム5の各ポスト101は、ポスト101の軸に対して垂直な平面において、特にポスト101の周囲に延在する溝または凹部225を形成する、ポスト101の残りの部分に比較して直径が低減した凹状領域を備える。上方から、すなわちポスト101の軸に沿って見ると、溝または凹部225は、ポスト101の一部のみの周囲に延在し、すなわち、溝または凹部225は部分円周である。溝または凹部225は、たとえば、約180°を通して延在することができる。したがって、溝または凹部225は、2つの対向する端部225a、225bを備え、そこで、溝または凹部225は、ポスト101の非凹状部と接する。これらの端部225a、225bは、端部止め具を構成する動き制限構造である。
【0095】
各フック15aもまた、動き制限機構を備え、それは、一例では、フック15aの内面に、すなわち、使用時にポスト101を受け入れるフック15aの一部に、端部止め具として機能する出っ張りまたは突出部227を備える。ポスト101が、フック15aに受け入れられる(それは、スナップフィット型接続を用いてあり得る)と、フック15aの出っ張り227が溝または凹部225内で移動して、ポスト101とフック15aとの間で相対回転が発生することができる。これにより、ヘッドギア13の側部ストラップ171は、マスクフレーム5のポスト101の周囲を限られた範囲まで枢動することができる。側部ストラップ171がマスクフレーム5に対して所定距離回転したとき、出っ張り227は、溝または凹部225の一端に達し、溝または凹部の端部止め具225a、225bと当接し、この当接により、フック15aとポスト101との間のさらなる相対回転が阻止される。したがって、出っ張り227は、出っ張り227がそれ以上移動する前に、溝または凹部225に沿って所定距離移動することができ、したがって、マスクフレーム5に対する側部ストラップ171の回転が防止される。
【0096】
別の実施形態では、フック15aおよびポスト101を反対にすることができ、フック15aはマスクフレーム5に設けられ、ポスト101はヘッドギアクリップ15に設けられることが理解されよう。同様に、ポスト101に出っ張りまたは突出部227を形成することができ、フック15aに溝または凹部225を形成することができることが企図される。
【0097】
ポスト101の長さに沿った任意の位置に、すなわちポスト101の任意の軸方向位置に、溝または凹部225を設けることができる。2つ以上の溝または凹部225および出っ張り227を設けることができる。ポスト101とフック15aとの間の所望の相対回転の角度を達成するように、溝もしくは凹部225の長さおよび/または出っ張り227のサイズを選択することができる。
【0098】
少なくとも1つの実施形態では、溝または凹部225は、左側ポスト101において第1垂直間隔で配置され、溝または凹部227は、右側に第2垂直間隔で配置される。いくつかの実施形態では、第1垂直間隔および第2垂直間隔は異なる。対応する左フック15aおよび右フック15aは突出部225を含み、突出部225は、左フック15aおよび右フック15aが左側ポスト101または右側ポスト101のうちの一方に接続可能であるように、第1垂直高さおよび第2垂直高さにある。
【0099】
別段文脈から明らかに必要でない限り、明細書および特許請求の範囲を通して、「備える、含む」、「備えている、含んでいる」等の用語は、排他的または網羅的な意味とは反対に、包括的な意味で、すなわち、「限定されないが~を含む」という意味で解釈されるべきである。
【0100】
本明細書におけるにおけるあらゆる従来技術への言及は、その従来技術が、世界中のいかなる国においても努力傾注分野において共通の一般知識の一部を形成するという承認またはいかなる形態の示唆でもなく、かつそのように解釈されるべきではない。
【0101】
本明細書に開示する発明が、広く、本出願の明細書において個々にまたはまとめて言及するかまたは示す部分、要素および特徴に(前記部分、要素または特徴のうちの2つ以上のいずれかまたはすべての組合せで)あると言うことも可能である。
【0102】
上述した説明において、既知の均等物を有する完全体または構成要素について言及している場合、それらの完全体は、個々に示されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0103】
本明細書に記載する現時点で好ましい実施形態に対するあらゆる変形および変更は、当業者には明らかとなることは留意するべきである。こうした変形および変更は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、かつその付随する利点を減ずることなく行うことができる。たとえば、さまざまな構成要素に対して、要求に応じて位置を変えることができる。したがって、こうした変形および変更が、本発明の範囲内に含まれることが意図されている。さらに、本発明を実施するために、特徴、態様および利点のすべてが必ずしも必要であるとは限らない。したがって、本発明のうちの少なくともいくつかの範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ定義されるように意図されている。
【手続補正書】
【提出日】2022-10-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に呼吸ガスを送達する患者マスク用のマスクフレームであって、
呼吸ガス送達導管に接続されるように構成された導管接続アパーチャを備える中央領域であって、概念的な中心垂直平面が前記導管接続アパーチャの中心を通って延在する、中央領域と、
各々が前記中心垂直平面から離れる方向に前記中央領域から外側に延在している、第1横方向アームおよび第2横方向アームと、
を備え、
各横方向アームが、ある長さを有し、前記中央領域から遠い遠位端で終端し、各横方向アームが上部マージンおよび下部マージンを備え、
各横方向アームがその長さに沿ってねじれ、それにより、各横方向アームの端部における前記下部マージンが、各横方向アームの前記端部における前記上部マージンより前記概念的な中心垂直平面から離れて配置される、マスクフレーム。
【外国語明細書】