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特開2022-174276自動ドアの制御変更装置及び自動ドア装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174276
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】自動ドアの制御変更装置及び自動ドア装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/71 20150101AFI20221115BHJP
   E05F 15/74 20150101ALI20221115BHJP
【FI】
E05F15/71
E05F15/74
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149259
(22)【出願日】2022-09-20
(62)【分割の表示】P 2018118022の分割
【原出願日】2018-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100103263
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 康
(72)【発明者】
【氏名】田中 渉太
(57)【要約】

【課題】ドアの不要な開状態となる予測情報が得られた場合には、ドアが不必要に開くことがないようにする。
【解決手段】自動ドアの制御変更装置は、自動ドアが不要な開状態となるか否かを予測する予測部と、予測部によって自動ドアの不要な開状態が予測されたときに、自動ドア付近の被検知物を検知して自動ドアを開動作させるために設けられている検知エリアを自動ドアの不要な開状態が予測されていない場合に比べて縮小した状態で検知する制御又は検知エリアでの被検知物の検知に代え人間の操作に基づいて自動ドアを開く制御に変更するエリア制御部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動ドアが不要な開状態となるか否かを予測する予測部と、
前記予測部によって前記自動ドアの不要な開状態が予測されたときに、前記自動ドア付近の被検知物を検知して前記自動ドアを開動作させるために設けられている検知エリアの大きさを変えずに前記検知エリア内で前記被検知物を検知しにくくするエリア制御部と を備える、自動ドアの制御変更装置。
【請求項2】
前記自動ドア付近の被検知物を検知する第1検知部を更に備え、
前記予測部は、前記自動ドアの開状態から閉状態に至るまでの間で前記第1検知部が前記被検知物を検知していない場合に、前記不要な開状態となることを予測する、請求項1に記載の自動ドアの制御変更装置。
【請求項3】
前記検知エリア外を撮影するカメラ部を更に備え、
前記予測部は、前記カメラ部で撮影した画像から前記自動ドアに向かって移動する前記被検知物が存在していないと判断した場合に、前記不要な開状態となることを予測する、請求項1又は2に記載の自動ドアの制御変更装置。
【請求項4】
前記自動ドア付近の降雪及び降雨の少なくとも一方を検知する第2検知部を更に備え、
前記予測部は、前記第2検知部が降雪及び降雨の少なくとも一方を検知している場合に、前記不要な開状態となることを予測する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の自動ドアの制御変更装置。
【請求項5】
前記自動ドア付近の環境情報を取得する第3検知部を更に備え、
前記エリア制御部は、前記第3検知部が検知した環境情報に応じた重み情報で重み付けした環境補正情報に基づいて、前記不要な開状態となることを予測する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の自動ドアの制御変更装置。
【請求項6】
前記環境情報は、温度、湿度、気圧、風速、騒音、粉塵、花粉、粒子状物質、化学物質、及び黄砂の少なくとも一つの情報を含む、請求項5に記載の自動ドアの制御変更装置。
【請求項7】
前記重み情報は、前記自動ドアの内外の温度差、前記自動ドアの内外の湿度差、前記自動ドアの内外の気圧差、前記自動ドアの外側の風速、前記自動ドアの外側の騒音レベル、前記自動ドアの外側の粉塵量、前記自動ドアの外側の花粉量、前記自動ドアの外側の粒子状物質量、前記自動ドアの外側の化学物質量、及び前記自動ドアの外側の黄砂の量の少なくとも一つに応じた値の情報を含む、請求項5又は6に記載の自動ドアの制御変更装置。
【請求項8】
前記第3検知部は、前記自動ドアの内外それぞれの前記環境情報を検知する一対の第1センサと、前記自動ドアの外側の前記環境情報を検知する第2センサと、前記自動ドアの内外共通に用いられる前記環境情報を検知する第3センサと、の少なくとも一つを有する、請求項5乃至7のいずれか一項に記載の自動ドアの制御変更装置。
【請求項9】
前記エリア制御部は、前記予測部によって前記自動ドアの不要な開状態が予測されたときには、前記被検知物を検知する条件を前記予測部によって前記自動ドアの不要な開状態が予測されないときよりも厳しくする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の自動ドアの制御変更装置。
【請求項10】
前記被検知物を検知する条件は、前記被検知物の移動速度及び移動方向の少なくとも一方を対応する閾値と比較した結果を含む、請求項9に記載の自動ドアの制御変更装置。
【請求項11】
自動ドアが不要な開状態となるか否かを予測する予測部と、
前記予測部によって前記自動ドアの不要な開状態が予測されたときに、前記自動ドア付近の被検知物を検知するための閾値を前記被検知物がより検知しにくくなる値に変更する閾値制御部を備える、自動ドアの制御変更装置。
【請求項12】
前記閾値制御部は、前記自動ドアが開状態である場合に、前記予測部の予測に基づいて前記閾値を前記被検知物がより検知しにくくなる値に変更する、請求項11に記載の自動ドアの制御変更装置。
【請求項13】
前記閾値制御部は、前記自動ドアの内外の気圧差と、前記自動ドアの外側の風速と、前記自動ドアの開閉動作領域内に存在する異物との少なくとも一つの情報を含む前記予測部の予測に基づいて前記閾値を前記被検知物がより検知しにくくなる値に変更する、請求項11又は12に記載の自動ドアの制御変更装置。
【請求項14】
前記閾値制御部は、前記予測部の予測に応じた重み情報で重み付けした予測補正情報に基づいて、前記閾値を前記被検知物がより検知しにくくなる値に変更する、請求項12又は13に記載の自動ドアの制御変更装置。
【請求項15】
前記重み情報は、前記自動ドア付近の通行量と、前記自動ドア付近に存在する特定種類の人間の数との少なくとも一方を含む、請求項14に記載の自動ドアの制御変更装置。
【請求項16】
前記自動ドアの内外それぞれの第1環境情報を検知する一対の第1センサと、前記自動ドアの外側の第2環境情報を検知する第2センサと、前記自動ドアの内外共通に用いられる第3環境情報を検知する第3センサと、の少なくとも一つを含む検知部を備え、
前記予測部は、前記第1、第2及び第3環境情報の少なくとも一つに基づいて、前記自動ドアが不要な開状態となるか否かを予測する、請求項11乃至15のいずれか一項に記載の自動ドアの制御変更装置。
【請求項17】
建物開口のドア付近に設けられた検知エリア内の被検知物を検知する自動ドアセンサと、
前記自動ドアセンサの検知状態に応じて自動ドアを開く自動ドア制御部と、
前記自動ドア制御部が前記自動ドアを不要に開状態とするか否かを予測する予測部と、
前記予測部によって前記自動ドアの不要な開状態が予測されたときに、前記検知エリアの大きさを変えずに前記検知エリア内で前記被検知物を検知しにくくするエリア制御部と、を備える、自動ドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドアの制御変更装置及び自動ドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
使用者の手間を要することなく、自動ドアの内外の環境に応じて自動的にドアの開閉速度や開閉ストロークを最適の設定値に調整する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-18946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動ドアの内外の環境によっては、ドアを開くことが望ましくない場合もあるが、特許文献1には、ドアを開くことが望ましくない環境条件を検出する処理は行っておらず、明らかにドアが開かない方がよい場合にも、通行者が所定の検知エリア内に存在すると、ドアが開いてしまう。このため、ドアの外側の埃や風雨などがドアを通り抜けてしまい、ドアの内側の環境条件が悪化したり、風圧や異物などによりドアを駆動するモータに過大な負荷がかかるなどの不具合が生じるおそれがある。
【0005】
本発明は、上述した点を考慮してなされたものであり、ドアの不要な開状態となる予測情報が得られた場合には、ドアが不必要に開くことがないようにした自動ドアの制御変更装置及び自動ドア装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様によれば、自動ドアが不要な開状態となるか否かを予測する予測部と、
前記予測部によって前記自動ドアの不要な開状態が予測されたときに、前記自動ドア付近の被検知物を検知して前記自動ドアを開動作させるために設けられている検知エリアを前記自動ドアの不要な開状態が予測されていない場合に比べて縮小した状態で検知する制御又は前記検知エリアでの前記被検知物の検知に代え人間の操作に基づいて前記自動ドアを開く制御に変更するエリア制御部と を備える、自動ドアの制御変更装置が提供される。
【0007】
前記自動ドア付近の被検知物を検知する第1検知部を更に備え、
前記予測部は、前記自動ドアの開状態から閉状態に至るまでの間で前記第1検知部が前記被検知物を検知していない場合に、前記不要な開状態となることを予測してもよい。
【0008】
前記検知エリア外を撮影するカメラ部を更に備え、
前記予測部は、前記カメラ部で撮影した画像から前記自動ドアに向かって移動する前記被検知物が存在していないと判断した場合に、前記不要な開状態となることを予測してもよい。
【0009】
前記自動ドア付近の降雪及び降雨の少なくとも一方を検知する第2検知部を更に備え、
前記予測部は、前記第2検知部が降雪及び降雨の少なくとも一方を検知している場合に、前記不要な開状態となることを予測してもよい。
【0010】
前記自動ドア付近の環境情報を取得する第3検知部を更に備え、
前記エリア制御部は、前記第3検知部が検知した環境情報に応じた重み情報で重み付けした環境補正情報に基づいて、前記不要な開状態となることを予測してもよい。
【0011】
前記環境情報は、温度、湿度、気圧、風速、騒音、粉塵、花粉、粒子状物質、化学物質、及び黄砂の少なくとも一つの情報を含んでもよい。
【0012】
前記重み情報は、前記自動ドアの内外の温度差、前記自動ドアの内外の湿度差、前記自動ドアの内外の気圧差、前記自動ドアの外側の風速、前記自動ドアの外側の騒音レベル、前記自動ドアの外側の粉塵量、前記自動ドアの外側の花粉量、前記自動ドアの外側の粒子状物質量、前記自動ドアの外側の化学物質量、及び前記自動ドアの外側の黄砂の量の少なくとも一つに応じた値の情報を含んでもよい。
【0013】
前記エリア制御部は、前記不要な開状態となることが所定期間内に所定回数以上検出された場合に、前記検知エリアを前記所定回数以上検出されない場合に比べて縮小した状態で検知し、前記重み情報が大きいほど、前記所定回数の値を小さくしてもよい。
【0014】
前記第3検知部は、前記自動ドアの内外それぞれの前記環境情報を検知する一対の第1センサと、前記ドアの外側の前記環境情報を検知する第2センサと、前記ドアの内外共通に用いられる前記環境情報を検知する第3センサと、の少なくとも一つを有してもよい。
【0015】
前記縮小した状態で検知する前の前記検知エリア内で前記被検知物を検知する第4検知部と、
前記自動ドアの近傍の所定箇所に前記人間が触れたことを検知する第4センサと、前記人間が前記自動ドアを手動で開方向に移動させたことを検知する第5センサとの少なくとも一方を有する第5検知部と、を更に備え、
前記エリア制御部は、前記検知エリアを縮小しない状態では前記第4検知部の検知結果に基づいて前記ドアを開く制御に変更し、前記エリア制御部が人間の操作に基づいてドアを開く制御に変更する場合には前記第5検知部の検知結果に基づいて前記ドアを開く制御に変更してもよい。
【0016】
前記縮小した状態で検知する前の前記検知エリア内で被検知物を検知する第4検知部と、
前記検知エリアがゼロより大きくて、かつ前記第4検知部の検知可能範囲より小さい第5検知部と、を更に備え、
前記エリア制御部は、前記検知エリアを縮小しない状態では前記第4検知部の検知結果に基づいて前記自動ドアを開く制御に変更し、前記エリア制御部が前記検知エリアを縮小した状態で検知する制御に変更する場合には前記第5検知部の検知結果に基づいて前記ドアを開く制御に変更してもよい。
【0017】
前記エリア制御部は、前記検知エリアを縮小した状態で検知する前後で、前記検知エリアの検知可能範囲を同一とし、前記検知エリアを縮小した状態で検知するときには前記検知エリア内の一部の領域において前記検知エリアを縮小した状態で検知する前よりも前記被検知物を検知しにくくしてもよい。
【0018】
前記エリア制御部は、前記検知エリアを縮小した状態で検知するときには、前記被検知物を検知する条件を前記検知エリアを縮小した状態で検知する前よりも厳しくしてもよい。
【0019】
前記被検知物を検知する条件は、前記被検知物の移動速度及び移動方向の少なくとも一方を対応する閾値と比較した結果を含んでもよい。
【0020】
前記エリア制御部が前記検知エリアを縮小した状態で検知することを通知する通知部を備えてもよい。
【0021】
本発明の一態様では、自動ドアが不要な開状態となるか否かを予測する予測部と、
前記予測部によって前記自動ドアの不要な開状態が予測されたときに、前記自動ドア付近の被検知物を検知するための閾値を前記被検知物がより検知しにくくなる値に変更する閾値制御部を備える、自動ドアの制御変更装置が提供される。
【0022】
前記閾値制御部は、前記ドアが開状態である場合に、前記予測部の予測に基づいて前記閾値を前記被検知物がより検知しにくくなる値に変更してもよい。
【0023】
前記閾値制御部は、前記自動ドアの内外の気圧差と、前記自動ドアの外側の風速と、前記自動ドアの開閉動作領域内に存在する異物との少なくとも一つの情報を含む前記予測部の予測に基づいて前記閾値を前記被検知物がより検知しにくくなる値に変更してもよい。
【0024】
前記閾値制御部は、前記予測部の予測に応じた重み情報で重み付けした予測補正情報に基づいて、前記閾値を前記被検知物がより検知しにくくなる値に変更してもよい。
【0025】
前記重み情報は、前記自動ドア付近の通行量と、前記自動ドア付近に存在する特定種類の人間の数との少なくとも一方を含んでもよい。
【0026】
前記自動ドアの内外それぞれの第1環境情報を検知する一対の第1センサと、前記ドアの外側の第2環境情報を検知する第2センサと、前記ドアの内外共通に用いられる第3環境情報を検知する第3センサと、の少なくとも一つを含む検知部を備え、
前記予測部は、前記第1、第2及び第3環境情報の少なくとも一つに基づいて、前記自動ドアが不要な開状態となるか否かを予測してもよい。
【0027】
本発明の他の一態様では、建物開口のドア付近に設けられた検知エリア内の被検知物を検知する自動ドアセンサと、
前記自動ドアセンサの検知状態に応じて前記ドアを開く自動ドア制御部と、
前記自動ドア制御部が前記ドアを不要に開状態とするか否かを予測する予測部と、
前記予測部によって前記自動ドアの不要な開状態が予測されたときに、前記検知エリアを前記自動ドア制御部が前記ドアを不要に開状態とすると予測されていない場合に比べて縮小した状態で検知する制御又は人間の操作に基づいて前記ドアを開く制御に切り替えるエリア制御部と、を備える、自動ドア装置が提供される。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、ドアの不要な開状態となる予測情報が得られた場合には、ドアが不必要に開かなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】第1の実施形態による自動ドアシステムの概略構成を示すブロック図。
図2】自動ドアシステムの模式的な鳥瞰図。
図3】第1の実施形態によるセンサ制御部の内部構成の一例を示すブロック図。
図4】被検知物センサの設置箇所を示す図。
図5】第1の実施形態によるセンサ制御部の処理動作を示すフローチャート。
図6A】通知部の具体的な通知態様の例を示す図。
図6B】ドアの検知エリアが縮小されたことを通知する例を示す図。
図6C】ドアの一部に手動モードである旨を表示する例を示す図。
図6D】ドアの近くにいる通行者に検知エリアが縮小されたことを自動音声で通知する例を示す図。
図7】第2の実施形態によるセンサ制御部の内部構成を示すブロック図。
図8】第2の実施形態によるセンサ制御部の処理動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して本開示の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
【0031】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態による自動ドアシステム1の概略構成を示すブロック図、図2は自動ドアシステム1の模式的な鳥瞰図である。図1の自動ドアシステム1は、ドア21を自動で開閉する自動ドア装置2と、自動ドア装置2を制御する自動ドアセンサ3とを備えている。自動ドアセンサ3は、自動ドアの制御変更装置4の少なくとも一部を構成している。自動ドアシステム1は、ドア21を通行しようとする通行者を自動ドアセンサ3で検知し、自動ドアセンサ3の検知に応じて、通行者を通行させるためにドア21を開動作させる。
【0032】
(自動ドア装置2)
自動ドア装置2は、ドア21と、モータ22と、ドア制御部23とを備える。モータ22は、図示しない電源の電力が供給されることで、ドア21を自動で開閉するための回転力を発生させる。モータ22の回転力は、図示しないプーリやタイミングベルトなどの動力伝達部材を介して図2に示す開閉方向d1への並進力としてドア21に伝達される。図2の例において、2つのドア21は、引き分けタイプの引戸である。ドア21の態様は図2の例に限定されず、例えば、片引きタイプの引戸、開き戸、折り戸、グライドドア21などの様々な態様のドア21を採用してもよい。
【0033】
ドア制御部23は、モータ22および自動ドアセンサ3に接続されている。ドア制御部23は、自動ドアセンサ3およびモータ22から取得された信号または情報に基づいて、電力供給の制御によるモータ22の駆動制御を行う。モータ22の駆動制御を行うことで、ドア制御部23は、ドア21の駆動を制御する。モータ22の駆動制御は、モータ22の駆動の有無、駆動速度、駆動トルクおよび回転方向の少なくとも1つまたはこれらの2つ以上の組み合わせの制御である。
【0034】
例えば、ドア制御部23には、自動ドアセンサ3から、後述する有効検知エリア内の通行者や物体の検知に応じた開信号が入力される。ドア制御部23は、開信号の入力に応じてドア21を開方向に駆動する制御(以下、開駆動制御とも呼ぶ)を行う。
【0035】
(自動ドアの制御変更装置4)
自動ドアの制御変更装置4は、検知エリア又は所定箇所の被検知物を検知してドア21を開く制御を行う。自動ドアの制御変更装置4は、自動ドアセンサ3を備えている。また、自動ドアの制御変更装置4は、第1環境情報センサ11と、第2環境情報センサ12と、第3環境情報センサ13との少なくとも一つを備えている。
【0036】
自動ドアセンサ3は、ドア21の通行者等を検知するために、ドア21の上方の無目部24の中央、より具体的には、全閉状態の2枚のドア21の境界部の上方に設けられている。なお、自動ドアセンサ3は、無目部24以外の場所(例えば、建物の天井)に設けられていてもよい。
【0037】
図1に示すように、自動ドアセンサ3は、検知部(第4検知部)31と、センサ制御部32とを備える。センサ制御部32は、検知部31およびドア制御部23に接続されている。また、センサ制御部32は、後述する第1~第3環境情報センサ11~13の少なくとも一つに接続されている。センサ制御部32は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などのハードウェアで構成される。センサ制御部32の少なくとも一部をソフトウェアで構成してもよい。検知部31は、投光部311と受光部312とを有する。センサ制御部32は、第1~第3環境情報センサ11~13の少なくとも一つに基づいて、自動ドアシステム1が人間等を検知可能な範囲である検知エリア5の大きさを制御することができるが、まずは、センサ制御部32の基本的な動作について説明する。
【0038】
センサ制御部32は、有効検知エリアを有する。有効検知エリアとは、図2に示すように、自動ドアセンサ3を用いて検知可能な床面6上の領域である検知エリア5のうち、ドア21の通行者等の検知のために設定された少なくとも一部の範囲の領域である。
【0039】
投光部311は、図示しない複数の投光素子を有する。投光部311は、複数の投光素子のそれぞれから検知エリア5にパルス状の近赤外光を投光すなわち照射する。受光部312は、投光部311の複数の投光素子のそれぞれに光学的に対応する図示しない複数の受光素子を有する。受光部312は、投光部311の複数の投光素子のそれぞれから検知エリア5に投光された近赤外光の反射光を複数の受光素子のそれぞれによって受光し、受光素子毎に近赤外光の反射光の受光量を検知する。受光部312は、検知された受光量を、受光量に応じた信号値を有する検知信号としてセンサ制御部32に出力する。なお、投光部311及び受光部312は、近赤外光以外の周波数帯の光すなわち電磁波を投光および受光してもよい。
【0040】
図2の例において、検知エリア5は、2枚のドア21の正面においてドア21の開閉方向d1およびこれに直交する前後方向d2に間隔を空けて配置された複数の小検知エリア51で構成されている。図2の例では、小検知エリア51は、6列×12個の計72個存在する。なお、小検知エリア51の数やサイズ、具体的配置は任意である。
【0041】
個々の小検知エリア51は、投光部311の複数の投光素子のそれぞれから投光され、受光部312の複数の受光素子によってそれぞれ受光される近赤外光の照射スポットに対応している。
【0042】
図2の例における有効検知エリアは、複数の小検知エリア51のうち少なくとも1つの小検知エリア51で構成される。なお、図2の例において、各小検知エリア51は、円形状を有する。この場合の小検知エリア51の床面6における直径は、例えば、10cmから30cmの間の任意の値に設定することができる。小検知エリア51は、楕円形状、矩形状および多角形状などの円形状以外の形状を有していてもよい。
【0043】
複数の小検知エリア51のうちいずれの小検知エリア51を有効検知エリアに設定するかについては、具体的な態様は特に限定されない。例えば、有効検知エリアは、自動ドアシステム1の使用開始前に予め設定されてもよい。また、有効検知エリアは、ドア21位置等に応じて可変であってもよい。
【0044】
センサ制御部32は、投光部311の全ての投光素子に、それぞれに対応する小検知エリア51に向けて近赤外光を投光させる。受光部312の全ての受光素子は、各小検知エリア51からの近赤外光の反射光をそれぞれ受光する。そして、センサ制御部32は、受光部312から入力された小検知エリア51毎の検知信号のうち、有効検知エリアの検知信号を抽出する。そして、センサ制御部32は、抽出された有効検知エリアの検知信号に基づいて、ドア21の開閉制御を行う。
【0045】
センサ制御部32は、例えば、自動ドアシステム1の電源投入直後の有効検知エリアの検知信号の信号値(すなわち、受光量)を基準値として記憶しておき、基準値に対する信号値の変化量に基づいて通行者等の被検知物を検知してもよい。有効検知エリア内の通行者が検知された場合、センサ制御部32は、自動ドア装置2のドア制御部23に開信号を出力することで、有効検知エリアにおける検知結果をドア21の開駆動制御に使用する。
【0046】
また、センサ制御部32は、モータ22からドア21の位置を示す位置信号を取得し、取得された位置信号に基づいてドア21の位置を把握し、ドア21の位置によってドア21の開閉制御のアルゴリズムを変更してもよい。位置信号は、ドア21の位置を検知できるのであれば具体的な態様は特に限定されない。例えば、位置信号は、モータ22のホール素子の位相をもとに生成される。位置信号は、モータ22の回転を検知する回転エンコーダ、またはドア21の開閉位置を検知するために設けられるリニアエンコーダに基づく信号であってもよい。さらにモータ22から直接取得せずにドア制御部23を介して取得しても構わない。
【0047】
なお、センサ制御部32は、投光部311の全ての投光素子に近赤外光を投光させる代わりに、有効検知エリアに対応する投光素子のみに投光を行わせてもよい。この場合、近赤外光が投光された小検知エリア51の全てが有効検知エリアとなる。有効検知エリアに対応する投光素子のみに投光を行わせることで、電力消費量を削減できる。また投光素子の寿命を長くすることもできる。
【0048】
次に、センサ制御部32の特徴的な動作を説明する。まずは、第1~第3環境情報センサ11~13(第3検知部、第1~第3センサ)について説明する。第1~第3環境情報センサ11~13のうち少なくとも一つが設けられていればよい。
【0049】
第1環境情報センサ(第1センサ)11は、例えばドア21が設置される建物の内側の環境情報を検知する。第2環境情報センサ(第2センサ)12は、例えばドア21が設置される建物の外側の環境情報を検知する。ドア21が建物内の第1空間と第2空間とを仕切る場所に設置されている場合は、第1環境情報センサ11は第1空間側の環境情報を検知し、第2環境情報センサ12は第2空間側の環境情報を検知する。第1環境情報センサ11と第2環境情報センサ12とが検知する環境情報の具体的な内容は問わないが、例えば、温度、湿度、気圧、騒音等である。第1環境情報センサ11と第2環境情報センサ12のそれぞれは、複数種類の環境情報を検知する複数の環境情報検知部で構成されていてもよい。
【0050】
第3環境情報センサ(第3センサ)13は、建物の内外、又は上述した第1及び第2空間に共通する環境情報を検知する。例えば、第3環境情報センサ13が検知する環境情報は、例えば、風速、気圧、騒音、通行量などである。環境情報として通行量を検知する場合、第3環境情報センサ13は、撮像センサでもよい。第3環境情報センサ13が撮像センサの場合、撮像された画像を分析する処理を第3環境情報センサ13で行ってもよいし、この画像分析処理をセンサ制御部32で行ってもよい。
【0051】
第1~第3環境情報センサ11~13の設置場所は特に問わないが、例えば、第1環境情報センサ11はドア21の内側の無目部24の付近に設置され、第2環境情報センサ12はドア21の外側の無目部24の付近に設置される。第3環境情報センサ13は、ドア21の内外のどちらに設置されていてもよい。
【0052】
センサ制御部32は、第1環境情報センサ11の検知データと第2環境情報センサ12の検知データとを比較することによって、ドア21の内外の環境情報の差違を検出できる。例えば、センサ制御部32は、第1環境情報センサ11の検知データと第2環境情報センサ12の検知データとの比較により、ドア21の内外の温度差や湿度差、気圧差などを検出できる。また、センサ制御部32は、第3環境情報センサ13の検知データに基づいて、ドア21の内外に共通する環境情報を検出できる。例えば、センサ制御部32は、第3環境情報センサ13の検知データに基づいて、ドア21の周辺の騒音やドア21が受ける風圧、ドア21の外側の通行量などを検出できる。
【0053】
図3は第1の実施形態によるセンサ制御部32の内部構成の一例を示すブロック図である。図3のセンサ制御部32は、環境情報取得部33と、予測部34と、エリア制御部35と、開閉制御部(駆動制御部)36とを有する。センサ制御部32には、第1~第3環境情報センサ11~13の少なくとも一つが接続されている。
【0054】
環境情報取得部33は、第1~第3環境情報センサ11~13の少なくとも一つで検知された環境情報を取得する。なお、後述するように、第1~第3環境情報センサ11~13以外の種々のセンサや検知部から環境情報を取得してもよい。予測部34は、環境情報取得部33で取得された環境情報に基づいて、ドア21が不要な開状態となるか否かを予測する。ここで、ドア21の不要な開状態とは、ドア21を開く必要がないのにドア21が開いている状態を指す。
【0055】
環境情報取得部33は、第1~第3環境情報センサ11~13とは別個に、ドア21付近の被検知物を検知する第1検知部44からの検知情報を取得してもよい。また、環境情報取得部33は、ドア21付近の降雪及び降雨の少なくとも一方を検知する第2検知部46からの検知情報を取得してもよい。また、環境情報取得部33は、ドア21付近の環境情報を取得する第3検知部47からの検知情報を取得してもよい。この第3検知部47は、上述した第1~第3環境情報センサ11~13を含んでいてもよいし、第1~第3環境情報センサ11~13とは別個に設けてもよい。また、環境情報取得部33は、検知エリアを縮小前の検知エリア内で被検知物を検知する第4検知部48からの検知情報を取得してもよい。また、環境情報取得部33は、ドア21の近傍の所定箇所に人間が触れたことを検知する第4センサ49aと、人間がドア21を手動で開方向に移動させたことを検知する第5センサ49bとの少なくとも一方を有する第5検知部49からの検知情報を取得してもよい。
【0056】
予測部34は、ドア21の開状態から閉状態に至るまでの間に、ドア21付近で検知部31が被検知物を検知しない場合には、ドア21の不要な開状態となると予測してもよい(以下、第1予測)。ドア21付近での被検知物の検知は、検知部31で行ってもよいし、検知部31とは別個のセンサ(例えば、ドア21を横切る方向の障害物を検知する補助センサ41(後述する図4)やドアウェイ付近を撮像する撮像センサやカメラ部45など)、あるいは上述した第1検知部44~第5検知部49の少なくとも一つで行ってもよい。例えば、予測部34は、ドア21の開状態から閉状態に至るまでの間で、第1検知部44が被検知物を検知していない場合に、不要な開状態となることを予測してもよい。
【0057】
ここで、ドア21の不要な開状態とは、ドア21が開いている状態だけではなく、ドア21がいったん閉じかけた後、開く方向に反転動作をする状態も含む趣旨である。例えば、ドア21が閉じかけているときに、検知部31が被検知物を検知すると、反転動作が生じる。ドア21を通り抜ける人間が存在しないにもかかわらずドア21を開状態に動作又は維持するのは本来的に不必要であり、ドア21の外側の冷気や暖気が内側に入り込んで冷暖房効果を弱めたり、ドア21の外側から埃や昆虫、雪、雨などが内側に入り込んだりする等の不具合が発生することから、上述した第1予測をしてもよい。
【0058】
また、予測部34は、検知エリア5外を撮影するカメラ部45の撮影画像中にドア21に向かって移動する人間が存在していない場合に不要な開状態となると予測してもよい。より具体的には、予測部34は、検知エリア5外を撮影するカメラ部45の撮影画像中にドア21に向かって移動する人間が存在していないときに、ドア21の不要な開状態となると予測してもよい(以下、第2予測)。検知エリア5外を撮影するカメラ部45は、上述した第3環境情報センサ13でもよいし、第3環境情報センサ13とは別個に設けられてもよい。ドア21に向かって移動する人間がいないにもかかわらずドア21を開状態に動作又は維持するのは本来的に不必要であり、上述した不具合の要因になることから、上述した第2予測をしてもよい。
【0059】
さらに、予測部34は、第2検知部46にて降雪及び降雨の少なくとも一方が検知されたときに、ドア21の不要な開状態となると予測してもよい(以下、第3予測)。降雪や降雨の有無は、第2環境情報センサ12や第3環境情報センサ13にて検知してもよい。降雪や降雨の際に不必要にドア21を開状態に動作又は維持すると、ドア21の内側に雪や雨が降り込んで水浸しになるおそれがあることから、上述した第3予測をしてもよい。
【0060】
また、予測部34は、ドア21周辺の種々の環境情報を、環境情報に応じた重み情報で重み付けした環境補正情報に基づいて、ドア21の不要な開状態となるか否かを予測してもよい(以下、第4予測)。環境情報は、上述した第1~第3環境情報センサ11~13の少なくとも一つで検知される。環境補正情報は、例えば環境情報の値に、対応する重み情報の値を乗じることで計算される。環境情報は、温度、湿度、気圧、風速、騒音、粉塵、花粉、PM2.5等の粒子状物質、化学物質、及び黄砂の少なくとも一つの情報を含んでいてもよい。また、重み情報は、環境情報の種類に応じた値でもよい。あるいは、重み情報は、環境情報の値に応じた値であってもよい。例えば、重み情報は、ドア21の外側の風速、騒音レベル、粉塵量、花粉量、化学物質量、黄砂量の少なくとも一つに応じた値の情報を含んでいてもよい。ドア21の内外の環境情報が大きく相違する場合に不必要にドア21を開状態に動作又は維持すると、ドア21の内側の冷暖房効果が弱まったり、ドア21の内側の空間の環境条件が悪化する等の不具合が発生することから、上述した第4予測をしてもよい。
【0061】
エリア制御部35は、予測部34によってドア21の不要な開状態が予測されたときに、ドア21付近の被検知物を検知してドア21を開動作させるために設けられている検知エリアをドア制御部23がドア21を不要な開状態とすると予測されていない場合に比べて縮小した状態で検知する制御又は検知エリアでの被検知物の検知に代えて人間の操作に基づいてドア21を開く制御に変更する。ここで、検知エリアを縮小した状態で検知するとは、自動ドアセンサ3が検知可能な検知エリア自体を縮小してもよいし、或いは、自動ドアセンサ3が検知可能な検知エリア自体は縮小せずに、検知エリア内の一部の縮小エリアに被検知物が存在する場合にドア21の開動作を行い、縮小エリア外の検知エリア内での被検知物の存在を無視する制御を自動ドア制御部23が行ってもよい。以下では、「検知エリアを縮小した状態で検知する」ことを、「検知エリアを縮小する」と略して記載することもある。なお、本明細書では、エリア制御部35が人間の操作に基づいてドア21を開く制御に切り替える場合を、検知エリアを縮小する一例に含めて扱う。
【0062】
より具体的には、エリア制御部35は、予測部34が所定期間内に所定回数以上、ドア21が不要な開状態となると予測した場合に検知エリア5を縮小してもよい。また、エリア制御部35は、予測部34が、環境情報を重み情報で重み付けた環境補正情報に基づいて不要な開状態を予測する場合には、重み情報の値が大きいほど所定回数の値を小さくしてもよい。すなわち、重み情報の値が大きい場合には、対応する環境情報の重要度が高いと判断できるため、少ない数の予測回数で、検知エリア5を縮小してもよい。また、複数の環境情報に優先度を付けてもよく、優先度の高い環境情報に対応する重み情報の値をより大きくしてもよい。
【0063】
検知エリア5の縮小の第1例は、被検知物が存在するか否かを検知する範囲(有効検知エリア)を狭くすることである。この第1例は、検知部31内の投光部311から近赤外光を投光する範囲を狭めることで実現可能である。あるいは、投光部311の投光範囲は変えずに、受光部312で受光する受光素子の数を減らしてもよい。あるいは、図1の投光部311及び受光部312とは別個に、狭範囲内での被検知物を検知する別のセンサを設けてもよい。
【0064】
検知エリア5の縮小の第2例は、被検知物が存在するか否かを検知する範囲は変えずに、その範囲内の少なくとも一部について、被検知物が存在すると判断する条件を厳しくすることである。条件を厳しくするとは、例えば、受光部312で受光する光の光量が閾値を超えると被検知物が存在すると判断する処理を行う場合、その閾値を高くすることである。閾値を高くすることにより、被検知物を検知しにくくなるため、検知エリア5を実質的に縮小したことと等価になる。検知エリア5内の一部の領域については、被検知物を全く検知しないようにしてもよい。この第2例は、例えば検知部31内の受光部312の閾値設定を変えることで実現可能である。被検知物が存在すると判断する条件は、被検知物の移動速度や移動方向の少なくとも一つが閾値を超えたか否かで判断してもよい。この場合、条件を厳しくするとは、被検知物の移動速度と移動方向の少なくとも一方の許容範囲をより狭くすることが考えられる。例えば、被検知物の移動速度がより遅い場合のみ被検知物が存在すると判断するとか、被検知物の移動方向がドアの中央により近い方向の場合のみ被検知物が存在すると判断すること等が考えられる。
【0065】
検知エリア5の縮小の第3例は、検知エリア5を縮小する前に被検知物の検知を行っていた受光部312とは別のセンサ(以下、被検知物センサ又は第5検知部49と呼ぶ)を用いて、被検知物の検知を行うことである。この被検知物センサは、受光部312が被検知物を検知する範囲よりも狭い範囲で被検知物を検知する。被検知物センサは、図4に示すように、ドア21の設置面から所定高さでドア21を横切る方向に赤外線等を投光及び受光するセンサ(補助センサとも呼ばれる)41でもよい。また、被検知物センサは、図4に示すように、ドア21の所定箇所に取り付けられるタッチセンサ38でもよい。タッチセンサ38には、ドア21を通過する通行者がタッチする接触式センサか、ドア21を通過する通行者が手等をかざす非接触式センサが考えられる。接触式センサの場合、通行者がタッチしなければドア21を開かないため、検知エリア5はゼロである。また、非接触式センサの場合、検知エリア5はゼロではないが、図1の投光部311及び受光部312の検知エリア5よりも検知可能な範囲は狭くなる。このように、タッチセンサ38には、接触式センサと非接触式センサがあるため、本明細書では、通行者がタッチセンサ38を直接触れる場合と、通行者がタッチセンサ38に身体の一部をかざす場合とを含めて、タッチと呼ぶ。
【0066】
この第3例では、縮小する前の検知エリア内で被検知物を検知する第4検知部48と、ドア21の近傍の所定箇所に人間が触れたことを検知する第4センサ49aと、人間がドア21を手動で開方向に移動させたことを検知する第5センサ49bとの少なくとも一方を有する第5検知部49とを設けることで実現可能である。この場合のエリア制御部35は、検知エリアを縮小しない状態では第4検知部48の検知結果に基づいてドアを開く制御に変更し、エリア制御部35が人間の操作に基づいてドアを開く制御に変更する場合には第5検知部49の検知結果に基づいてドアを開く制御に変更する。
【0067】
あるいは、上述した第2例では、縮小する前の検知エリア内で被検知物を検知する第4検知部48と、検知エリアがゼロより大きくて、かつ第4検知部48の検知可能範囲より小さい第5検知部49とを設けることでも実現可能である。この場合のエリア制御部35は、検知エリアを縮小しない状態では第4検知部48の検知結果に基づいてドア21を開く制御に変更し、エリア制御部35が検知エリアを縮小する制御に変更する場合には第5検知部49の検知結果に基づいてドアを開く制御に変更する。エリア制御部35は、検知エリアを縮小する前後で、検知エリアの検知可能範囲を同一とし、検知エリアを縮小するときには検知エリア内の一部の領域において検知エリアを縮小する前よりも被検知物を検知しにくくしてもよい。あるいは、エリア制御部35は、検知エリアを縮小するときには、被検知物を検知する条件を検知エリアを縮小する前よりも厳しくしてもよい。被検知物を検知する条件は、被検知物の移動速度及び移動方向の少なくとも一方を対応する閾値と比較した結果を含んでいてもよい。
【0068】
検知エリア5がゼロの一具体例は、タッチセンサ38であるが、必ずしもタッチセンサ38には限らない。ドア21を自動モードから手動モードに切り替えて、通行者がドア21を自ら動かしてもよい。この場合、通行者がドア21を動かそうとして力を加えたことを検知して、モータを駆動するアシスト動作を行ってもよい。これにより、通行者は、わずかな力でドア21を手動で開くことができ、通行者の負担を軽減できる。このように、アシスト動作とは、人間がドア21を手動で移動させるのに必要な動力の一部をモータ22の駆動力にて負担することを指す。
【0069】
エリア制御部35が検知エリア5を縮小する際に、縮小前の検知エリア5で被検知物を検知する処理は継続して行ってもよい。すなわち、縮小後の検知エリア5内に被検知物が存在する場合のみドア21の開閉制御を行うものの、縮小前の検知エリア5内で被検知物の存在の有無を継続して行ってもよい。これにより、検知エリア5の縮小後も、ドア21に近づいてくる通行者の有無を検出したり、ドア21の周囲の通行量を検出する処理を継続して行うことができる。
【0070】
あるいは、エリア制御部35が検知エリア5を縮小した後は、被検知物の存在有無の検知を別の検知手段(例えば、タッチセンサ38など)に完全に切り替えて、検知部31による被検知物の検知処理は停止させてもよい。これにより、自動ドアシステム1の制御を簡易化でき、消費電力の削減が図れる。
【0071】
開閉制御部36は、エリア制御部35で制御される検知エリア5内で被検知物が検知されたか否かに応じて開信号又は閉信号を生成し、生成した開信号又は閉信号をドア制御部23に伝送する。
【0072】
図5は第1の実施形態によるセンサ制御部32の処理動作を示すフローチャートである。このフローチャートは、自動ドアシステム1の電源がオンである間、継続して行われる。まず、環境情報取得部33にて、ドア21周辺の環境情報を取得する(ステップS1)。環境情報取得部33は、第1~第3環境情報センサ11~13の少なくとも一つを用いて、環境情報を取得する。
【0073】
次に、取得した環境情報を重み付けするか否かを判定する(ステップS2)。環境情報によっては、重み付けが必要になるが、必ずしもすべての環境情報が重み付けを必要とするとは限らないため、ステップS2で重み付けするか否かを判定する。
【0074】
ステップS2で重み付けをすると判定された場合、環境情報に応じた重み情報を取得して、取得した重み情報を用いて環境情報を重み付けた環境補正情報を生成する(ステップS3)。重み情報は、環境情報の値に応じて異なる場合がありうるため、環境情報の値と重み情報の値との対応関係を予めテーブルに登録しておき、このテーブルを参照して、重み情報を取得してもよい。
【0075】
ステップS3の処理が終了した場合、又はステップS2で環境情報を重み付けしないと判定された場合は、予測部34が、不要な開状態となると予測したか否かを判定する(ステップS4)。例えば、予測部34は、第1~第3環境情報センサ11~13に基づいてドア21の不要な開状態となるか否かを予測する。
【0076】
ステップS4で、予測部34が不要な開状態となると予測した場合には、予測部34が所定時間内に所定回数以上、不要な開状態となると予測したか否かを判定する(ステップS5)。所定回数は1回でもよいし、2回以上の予め定めた回数でもよい。所定時間内に所定回数に達した場合には、エリア制御部35にて、検知エリア5を縮小する(ステップS6)。次に、縮小された検知エリア5内で検知部31が被検知物を検知したか否かに応じて開信号又は閉信号を生成する(ステップS7)。この開信号又は閉信号はドア制御部23に伝送される。
【0077】
ステップS4で、予測部34が不要な開状態となると予測しなかったと判定された場合、又は所定時間内に所定回数未満しか、予測部34が不要な開状態となると予測しなかった場合には、検知エリア5を初期化する(ステップS8)。検知エリア5の初期化とは、検知エリア5の縮小を行わないことを意味し、検知部31が被検知物を検知する範囲として予め想定している範囲に検知エリア5を設定する。次に、ステップS7に移行して、初期化した検知エリア5内で検知部31が被検知物を検知したか否かに応じて開信号又は閉信号を生成する。
【0078】
図5のステップS5で検知エリア5を縮小する際に、検知エリア5を縮小したことをドア21の通行者に通知してもよい。この場合、図1に破線で示すように、センサ制御部32には通知部37が接続される。通知部37は、エリア制御部35が検知エリア5を縮小したことを通知する。
【0079】
図6Aは通知部37の具体的な通知態様の例を示す図である。図6A及び図6Bは、タッチセンサ38が有効になったことを通行者に通知するためにタッチセンサ38の周囲の表示態様を切り替えるものである。図6Aはタッチセンサ38にLEDを取り付けて、LEDを点滅又は点灯させる例を示している。LEDの配置場所や点灯/点滅態様は任意である。図6Bはドア21の一部を点灯又は点滅させるなどして、ドア21の検知エリア5が縮小されたことを通知する例を示している。図6Bの場合、タッチセンサ38ではなく、ドア21を手動で開く手動モードに切り替わった場合に、通行者にその旨を通知することができる。例えば、通行者が手で把持するべき箇所を点灯又は点滅させて、通行者が手動モードに切り替わったことを認識できるようにする。
【0080】
図6Cはドア21が自動モードから手動モードに切り替わったことを通行者に通知するために、ドア21の一部に手動モードである旨を表示する例を示している。図6Cの例では、ドア21の一部又は全面に表示部42を設けて、表示部42に手動モードである旨を表示する。図6Dは、音声を出力するスピーカ43を設けて、ドア21の近くにいる通行者に検知エリア5が縮小されたことを自動音声で通知する例を示している。このように、通知部37の具体的な通知態様には種々のものが考えられ、どのような通知態様を採用してもよい。
【0081】
このように、第1の実施形態では、予測部34がドア21の不要な開状態となると予測したか否かを判定し、予測した場合には、検知エリア5を縮小する。よって、ドア21を開状態にすることが望ましくないと予測される場合には、事前に検知エリア5を縮小でき、ドア21が不用意に開く不具合を防止できる。
【0082】
本実施形態によれば、例えば、ドア21の内外の温度差や湿度差が大きい場合、ドア21の外側の風速が強かったり、騒音が大きい場合、ドア21の外側の空気が粉塵等で悪い場合等に、できるだけドア21を開かないような制御を行うことができ、ドア21の内側の環境条件の悪化を防止できる。また、ドア21を不必要に開かないようにするため、風が強い場合や異物等によってドア21を移動させるのにモータ22に過大な負荷がかかる不具合を防止できる。さらに、ドア21の外側の通行量が少ない場合には、ドア21を通り抜ける通行者の数も少ないと判断できるため、できるだけドア21を開かないような制御を行うこともできる。
【0083】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、予測部34がドア21の不要な開状態となると予測した場合には、ドア21を停止又は開く方向に駆動するための閾値を高くするものである。
【0084】
第2の実施形態による自動ドアシステム1は、図1と同様のブロック構成を備えているが、センサ制御部32の内部構成が図3とは異なっている。図7は第2の実施形態によるセンサ制御部32の内部構成を示すブロック図である。図7のセンサ制御部32は、環境情報取得部33と、予測部34と、閾値制御部39と、開閉制御部36とを有する。このように、図7のセンサ制御部32は、図3のエリア制御部35の代わりに、閾値制御部39を有する。なお、図7のセンサ制御部32に図3のエリア制御部35を追加してもよいし、図3のセンサ制御部32に図7の閾値制御部39を追加してもよい。
【0085】
予測部34は、第1の実施形態と同様に、環境情報取得部33で取得された環境情報に基づいて、ドア21が不要な開状態となるか否かを予測するが、予測する判断基準が第1の実施形態とは少し異なっている。
【0086】
本実施形態の予測部34は、ドア21を開いたままで停止させるか、あるいは閉まっているドア21を開く動作を行うか否かの判定基準となる閾値を高くする必要があるときに、不要な開状態となると予測する。例えば、本実施形態の予測部34は、ドア21の内外の気圧差と、ドア21の外側の風速と、ドア21の開閉動作領域内に存在する異物との少なくとも一つの情報に基づいて、不要な開状態となるか否かを予測してもよい。
【0087】
センサ制御部32には、第1の実施形態と同様に、第1~第3環境情報センサ(第1~第3センサ)11~13の少なくとも一つが接続される。例えば、第1及び第2環境情報センサ11,12を用いる場合は、これらセンサにて、ドア21の内外の気圧や風速を検知することが考えられる。また、ドア21の内外共通に用いられる第3環境情報センサ13を用いる場合は、風速やドア21に当たる風圧を検知するセンサを用いてもよいし、あるいはドア21の移動経路上に存在する異物を検知する撮像センサを用いてもよい。予測部34は、第1~第3環境情報センサ11~13の少なくとも一つで検知された環境情報に基づいて、ドア21が不要な開状態となるか否かを予測する。
【0088】
閾値制御部39は、予測部34がドア21の不要な開状態となると予測した場合に、ドア21を停止又は開く方向に駆動するための閾値を高くする。例えば、閾値制御部39は、ドア21が開状態である場合に、予測部34の予測に基づいて、閾値を被検知物がより検知しにくくする値に変更してもよい。より具体的には、閾値制御部39は、ドア21を駆動するモータの駆動トルクと、ドア21の動作状況と、予測部34の予測結果とに基づいて、閾値を制御してもよい。また、閾値制御部39は、予測部34が所定期間内に所定回数以上、ドア21の不要な開状態となると予測した場合に、閾値を高くしてもよい。これは、予測部34が誤って不要な開状態となると予測することもありうることから、所定回数以上、予測部34が不要な開状態となると予測したときに閾値を高くすれば、予測部34によるドア21の不要な開状態の予測精度を向上させることができるためである。
【0089】
予測部34がドア21の不要な開状態となると予測したときに閾値を上げる程度を複数段階に切り替えてもよい。例えば、閾値制御部39は、自動ドアの内外の気圧差と、自動ドアの外側の風速と、自動ドアの開閉動作領域内に存在する異物との少なくとも一つの情報を含む予測部の予測に基づいて被検知物を検知しにくくなるように変更してもよい。また、閾値制御部39は、風速や気圧の大きさに応じて、閾値を上げる程度を切り替えてもよい。あるいは、検出された異物のサイズや種類に応じて、閾値を上げる程度を切り替えてもよい。あるいは、予測部34がドア21の不要な開状態となると予測した回数に応じて、閾値を上げる程度を切り替えてもよい。例えば、異物の検出回数が多いほど、閾値を大きくしてもよい。
【0090】
また、閾値を重み情報にて重み付けしてもよい。重み情報は、自動ドア21付近の通行量や、自動ドア21付近に存在する特定種類の人間の数との少なくとも一方に応じて調整してもよい。特定種類の人間とは、例えば高齢者や障害者である。ドア21の外側に高齢者や障害者が存在する場合には、重み情報を大きくして閾値を大きくすることで、高齢者や障害者が閉まりかけているドア21に挟まれる事故を防止できる。この場合、閾値制御部39は、予測部34の予測に応じた重み情報で重み付けした予測補正情報に基づいて、閾値を被検知物を検知しにくくなるように変更してもよい。
【0091】
さらに、閾値制御部39は、ドア21を開閉動作させる駆動力を発生するモータ22の駆動トルクと、ドア21の動作状況と、予測部34による予測結果とに基づいて、閾値を制御してもよい。例えば、ドア21を押しつける風圧が強い場合や、移動経路上に異物が存在する場合には、ドア21を移動させる際の駆動トルクが通常よりも大きくなるため、駆動トルクが通常より大きい場合には閾値をより大きくしてもよい。
【0092】
図8は第2の実施形態によるセンサ制御部32の処理動作を示すフローチャートである。このフローチャートは、図5と同様に自動ドアシステム1の電源がオンである間、継続して行われる。ステップS11~S15は、図5のステップS1~S5と同様の処理である。予測部34がドア21の不要な開状態となると予測した場合、所定時間内に所定回数以上、予測部34がドア21の不要な開状態になると予測したか否かを判定する(ステップS15)。所定時間内に所定回数に達した場合には、閾値を高くする(ステップS16)。なお、所定回数は1回でもよいし、2回以上の予め定めた回数でもよい。
【0093】
ステップS14で予測部34がドア21の不要な開状態となると予測しなかった場合、又は所定時間内に所定回数未満しか、予測部34がドア21の不要な開状態になることを予測しない場合は、閾値の変更は行わず、図5のステップS7,S8と同様の処理を行う(ステップS17,S18)。センサ制御部32は、検知部31での検知データを、ステップS16で高くした閾値、あるいは元の閾値と比較して、開信号又は閉信号をドア制御部23に伝送する。
【0094】
例えば、ドア21の外側の風が強い場合には、ドア21の内側に、埃や風雨等を含む外気が入り込みやすくなるとともに、ドア21に大きな風圧がかかるため、ドア21が移動しづらくなる。よって、この場合、閾値を高くして、ドア21をできるだけ開けないようにする。また、ドア21の周囲に異物が存在する場合、その異物が風等で飛ばされてドア21の内側に入り込んだり、ドア21の移動経路に異物が挟まってドア21の移動を妨げたりするため、ドア21の周囲に異物が検出されると、閾値を高くしてドア21をできるだけ開けないようにしてもよい。より具体的には、異物が泥や氷雪の場合に、異物がドア21の移動経路上に存在することがわかると、閾値を高くして、異物がドア21の内側に入り込まないようにしてもよい。一方、異物がパチンコ玉のような剛体の場合、異物がドア21の移動経路上に存在することがわかると、閾値を高くせずにドア21を停止させて、ドア21を手動モードに切り替えてもよい。
【0095】
このように、第2の実施形態では、予測部34がドア21の不要な開状態となると予測した場合には、ドア21を停止又は開く方向に駆動するための閾値を高くするため、ドア21を開状態にするのが望ましくない場合に、ドア21ができるだけ開かないような制御を行うことができ、ドア21の内側に異物等が入り込む不具合を防止できる。
【0096】
本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本発明の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0097】
1 自動ドアシステム、2 自動ドア装置、3 自動ドアセンサ、4 自動ドアの制御変更装置、5 検知部、11 第1環境情報センサ、12 第2環境情報センサ、13 第3環境情報センサ、21 ドア、22 モータ、23 ドア制御部、24 無目部、31 検知部、32 センサ制御部、33 環境情報取得部、34 予測部、36 閾値制御部、37 通知部、38 タッチセンサ、39 閾値制御部、41 補助センサ、42
表示部、43 スピーカ、51 小検知エリア、311 投光部、312 受光部
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8