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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174357
(43)【公開日】2022-11-24
(54)【発明の名称】表示装置及び表示制御方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20221116BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20221116BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20221116BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/34 J
G09G3/20 641E
G02F1/133 535
G02F1/133 505
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080091
(22)【出願日】2021-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】八木 徳和
【テーマコード(参考)】
2H193
5C006
5C080
【Fターム(参考)】
2H193ZC39
2H193ZF12
2H193ZG03
2H193ZG14
2H193ZG43
2H193ZG48
2H193ZG50
2H193ZG60
2H193ZH23
2H193ZH52
2H193ZH56
5C006AA14
5C006AA15
5C006AF45
5C006AF52
5C006BB15
5C006BC03
5C006BC11
5C006BF15
5C006BF36
5C006EA01
5C080AA10
5C080BB05
5C080EE28
5C080FF09
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
5C080JJ05
5C080JJ07
(57)【要約】
【課題】時分割駆動における発光部のグループ数が多い場合でも、一フレーム期間に点灯される発光部の明るさが暗くなることを抑制できる表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置は、複数の表示エリアを有する表示部と、複数の発光部と、一フレーム期間において、前記複数の発光部を区分けした複数のグループを時分割で駆動する点灯制御部と、前記複数の表示エリアに夫々対応する複数の画像エリアの明るさに基づいて、前記一フレーム期間において前記複数のグループが夫々駆動される複数のサブフレーム期間の長さを決定する決定部と、を備える。前記点灯制御部は、前記表示部に入力画像を表示するときに、前記一フレーム期間において前記複数のグループを前記複数のサブフレーム期間に基づいて時分割で駆動し、且つ駆動対象の前記グループに含まれる前記発光部を、前記サブフレーム期間の長さを上限に点灯させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示エリアを有する表示部と、
前記複数の表示エリアの夫々に、点灯して光を照射する複数の発光部と、
一フレーム期間において、前記複数の発光部を区分けした複数のグループを時分割で駆動する点灯制御部と、
入力画像において前記複数の表示エリアに夫々対応する複数の画像エリアの明るさに基づいて、前記一フレーム期間において前記複数のグループが夫々駆動される複数のサブフレーム期間の長さを決定する決定部と、を備え、
前記点灯制御部は、前記表示部に前記入力画像を表示するときに、前記一フレーム期間において前記複数のグループを前記複数のサブフレーム期間に基づいて時分割で駆動し、且つ駆動対象の前記グループに含まれる前記発光部を、前記サブフレーム期間の長さを上限に点灯させる、
表示装置。
【請求項2】
前記複数のグループの各々は、二以上の前記発光部から構成され、
前記決定部は、
前記複数のグループの各々について、前記グループを構成する前記二以上の発光部に対応する二以上の前記画像エリアの明るさに基づいて、当該グループの基準値を算出し、
前記サブフレーム期間の長さを、当該サブフレーム期間に対応する前記グループの基準値に基づいて決定する、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記決定部は、
前記複数のグループの各々について、前記グループを構成する前記二以上の発光部に対応する前記二以上の画像エリアの明るさの最大値を、当該グループの基準値として算出し、
前記複数のグループにおける前記基準値の比率に応じて、前記複数のサブフレーム期間の長さを決定する、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記決定部は、
前記複数のグループの各々について、前記グループを構成する前記二以上の発光部に対応する前記二以上の画像エリアの明るさの平均値を、当該グループの基準値として算出し、
前記複数のグループにおける前記基準値の比率に応じて、前記複数のサブフレーム期間の長さを決定する、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記複数のグループの各々は、一つの直線上に並ぶ二以上の前記発光部から構成される、
請求項1から4の何れかに記載の表示装置。
【請求項6】
前記複数のグループの各々は、二次元配列された三つ以上の前記発光部から構成される、
請求項1から4の何れかに記載の表示装置。
【請求項7】
複数の表示エリアを有する表示部と、
前記複数の表示エリアの夫々に、点灯して光を照射する複数の発光部と、
を備えた表示装置で実行される表示制御方法であって、
一フレーム期間において、前記複数の発光部を区分けした複数のグループを時分割で駆動する点灯ステップと、
入力画像において前記複数の表示エリアに夫々対応する複数の画像エリアの明るさに基づいて、前記一フレーム期間において前記複数のグループが夫々駆動される複数のサブフレーム期間の長さを決定する決定ステップと、を備え、
前記点灯ステップは、前記表示部に前記入力画像を表示するときに、前記一フレーム期間において前記複数のグループを前記複数のサブフレーム期間に基づいて時分割で駆動し、且つ駆動対象の前記グループに含まれる前記発光部を、前記サブフレーム期間の長さを上限に点灯させる、
表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置及び表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置のマトリクス駆動のように、LEDをスイッチの切り替えによって例えば行毎に駆動する時分割駆動(パッシブ駆動)が知られている(例えば、特許文献1参照)。LEDの時分割駆動では、一フレーム期間が複数のサブフレーム期間に分割され、各サブフレーム期間にそれに対応する行のLEDが点灯する。一フレーム期間の長さをFTとし、LEDの行数をGNとし、一フレーム期間におけるLEDの駆動回数をNとすると、各行のLEDの点灯が下記の式で算出される時間Tごとに切り替えられる。
T=FT/(GN×N)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-27273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の時分割駆動では、各行のLEDの点灯が一フレーム期間を等間隔に時分割で切り替えられるため、各行のサブフレーム期間は何れも同じ時間の長さとなる。上記式において、LEDの行数であるGNが増えるほど、時間Tが短くなる。つまりLEDの行数が増えるほど、各行のサブフレーム期間が短くなる。サブフレーム期間が短くなるほど、サブフレーム期間内における各行のLEDの最大点灯時間が短くなるため、一フレーム期間に点灯されるLEDの明るさが暗くなる可能性がある。
【0005】
本開示の一態様は、時分割駆動における発光部のグループ数が多い場合でも、一フレーム期間に点灯される発光部の明るさが暗くなることを抑制できる表示装置及び表示制御方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る表示装置は、複数の表示エリアを有する表示部と、前記複数の表示エリアの夫々に、点灯して光を照射する複数の発光部と、一フレーム期間において、前記複数の発光部を区分けした複数のグループを時分割で駆動する点灯制御部と、入力画像において前記複数の表示エリアに夫々対応する複数の画像エリアの明るさに基づいて、前記一フレーム期間において前記複数のグループが夫々駆動される複数のサブフレーム期間の長さを決定する決定部と、を備え、前記点灯制御部は、前記表示部に前記入力画像を表示するときに、前記一フレーム期間において前記複数のグループを前記複数のサブフレーム期間に基づいて時分割で駆動し、且つ駆動対象の前記グループに含まれる前記発光部を、前記サブフレーム期間の長さを上限に点灯させる。
【0007】
本開示の一態様に係る表示制御方法は、複数の表示エリアを有する表示部と、前記複数の表示エリアの夫々に、点灯して光を照射する複数の発光部と、を備えた表示装置で実行される表示制御方法であって、一フレーム期間において、前記複数の発光部を区分けした複数のグループを時分割で駆動する点灯ステップと、入力画像において前記複数の表示エリアに夫々対応する複数の画像エリアの明るさに基づいて、前記一フレーム期間において前記複数のグループが夫々駆動される複数のサブフレーム期間の長さを決定する決定ステップと、を備え、前記点灯ステップは、前記表示部に前記入力画像を表示するときに、前記一フレーム期間において前記複数のグループを前記複数のサブフレーム期間に基づいて時分割で駆動し、且つ駆動対象の前記グループに含まれる前記発光部を、前記サブフレーム期間の長さを上限に点灯させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】表示装置の全体構成を示すブロック図である。
図2】液晶パネルの表示部の概略構成図である。
図3】バックライト装置の概略構成図である。
図4】第一例の表示部の正面図である。
図5】時分割駆動を実行するメイン処理のフローチャートである。
図6】第一例の時分割駆動のタイムチャートである。
図7図6の比較例を示す、従来の時分割駆動のタイムチャートである。
図8A】第二例の表示部の正面図である。
図8B】第二例の時分割駆動のタイムチャートである。
図9A】第三例の表示部の正面図である。
図9B】第三例の時分割駆動のタイムチャートである。
図10A】第四例の表示部の正面図である。
図10B】第四例の時分割駆動のタイムチャートである。
図11】バックライト装置の他の概略構成図である。
図12】表示部の他の正面図である。
図13】発光部の点灯時間を決定する手法を説明するための二次元グラフである。
図14】発光部の点灯時間を決定する手法を説明するための二次元グラフである。
図15】変形例に係る照明部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0010】
(第一実施形態)
第一実施形態に係る表示装置100の全体構成を説明する。図1は、表示装置100の全体構成を示すブロック図である。図2は、液晶パネル130の表示部200の概略構成図である。図3は、バックライト装置170の概略構成図である。図4は、第一例の表示部200の正面図である。
【0011】
図1に示すように、表示装置100は、タイミングコントローラ110、パネル駆動部120、液晶パネル130、ローカルディミング制御部140、バックライト装置170を含む。液晶パネル130は、対向する二枚のガラス基板によって形成されており、画像を表示する表示部200(図2参照)を含む。
【0012】
図2に示すように、液晶パネル130の表示部200には、複数のゲートバスラインGLと複数のソースバスラインSLとが配設されている。複数のゲートバスラインGLと複数のソースバスラインSLとの各交差点に対応して、複数の画素部210が設けられる。複数の画素部210は、マトリクス状に配置されて画素マトリクスを構成する。複数の画素部210の各々は、画素容量を含む。
【0013】
図1に示すように、バックライト装置170は、液晶パネル130の背面に設けられる。バックライト装置170は、ライト駆動部150と照明部160とを含む。照明部160では、基板上に光源としての複数の発光部180(図3参照)が搭載されている。本実施形態では、複数の発光部180は複数のLEDであり、LEDの調光方式はPWM調光方式である。
【0014】
図3に示すように、ライト駆動部150は、複数の発光部180を時分割駆動するための駆動回路(ドライバIC)151とスイッチ152を含む。複数の発光部180は、照明部160の基板上で縦横方向に二次元配列されている。複数の発光部180は、複数のグループに区分けされる。例えば、複数のグループの各々は、縦方向において一つの直線上に並ぶ二以上の発光部180から構成される。従って、複数のグループは照明部160において横方向に並ぶ。
【0015】
本実施形態では、説明の便宜上、照明部160は縦横方向に二つずつ並ぶ計四つの発光部180を有する。但し一般的には、発光部180の数量は1000個以上である。計四つの発光部180は、縦方向に並ぶ二つの発光部180によって一つのグループが構成されるよう、横方向に並ぶ二つのグループGR1,GR2に区分されている。スイッチ152の切り替えが行われることにより、複数の発光部180はグループGR1,GR2毎に駆動される。
【0016】
一つのグループが二つの発光部180によって構成されるのに対応して、各グループにおいて二つの発光部180を駆動するために、二つの駆動回路151が駆動信号用のチャネルとして設けられている。なお、各グループGR1,GR2を構成する二つの発光部180は、アノード又はカソードが互いに接続されている。
【0017】
図3の例では、スイッチ152は、右側のグループGR1をオン/オフするスイッチPS1と、左側のグループGR2をオン/オフするスイッチPS2とを含む。駆動回路151は、各グループを構成する二つの発光部180のうち、上側の発光部180を駆動するための駆動回路D1と、下側の発光部180を駆動するための駆動回路D2とを含む。グループGR1を構成する二つの発光部180は、駆動回路D1,D2に夫々接続されたLED11,LED12である。グループGR2を構成する二つの発光部180は、駆動回路D1,D2に夫々接続されたLED21,LED22である。
【0018】
図4に示すように、液晶パネル130の表示部200は、複数の表示エリア220を有する。複数の発光部180は、複数の表示エリア220の夫々に、点灯して光を照射する。複数の表示エリア220の各々では、複数の画素部210が縦横方向に二次元配列されている。従って、各表示エリア220に含まれる複数の画素部210は、対応する一つの発光部180によって光が照射される。表示部200に表示される入力画像300は、複数の表示エリア220に夫々表示される複数の画像エリアを有する。
【0019】
本実施形態では、照明部160に設けられた四つの発光部180に対応して、表示部200が四つの表示エリア220に区分される。四つの表示エリア220は、夫々、LED11,LED12,LED21,LED22によって光が照射される。表示部200に表示される入力画像300は、四つの表示エリア220に夫々映し出される四つの画像エリアA11,A12,A21,A22で構成される。つまり、四つの画像エリアA11,A12,A21,A22は、LED11,LED12,LED21,LED22と夫々対応する。
【0020】
図1を参照し、表示装置100における画像表示制御の概要を説明する。ローカルディミング制御部140は、公知のローカルディミングを実行するために、外部から受信した入力画像300の入力画像データDATに基づいて、ライト駆動部150の動作を制御するための発光制御信号LCTLを出力する。ローカルディミングは、表示エリア220毎に発光部180の輝度を制御する処理である。
【0021】
更にローカルディミング制御部140は、発光部180の点灯状態に応じて入力画像データDATに対して補正処理を行い、補正後の画像データDVをタイミングコントローラ110に出力する。補正処理では、各画素部210の輝度が入力画像データDATの示す輝度と等しくなるように、パネル制御信号PCTLに含まれる液晶データが補正される。具体的には、発光部180を暗くした場合には透過率が大きくなるように液晶データが補正され、発光部180を明るくした場合には透過率が小さくなるように液晶データが補正される。
【0022】
タイミングコントローラ110は、補正後の画像データDVを受け取り、パネル駆動部120に対してパネル制御信号PCTLを出力する。
【0023】
パネル駆動部120は、タイミングコントローラ110から送られるパネル制御信号PCTLに基づいて液晶パネル130を駆動する。詳しくは、パネル駆動部120は、ゲートバスラインGLを駆動するゲートドライバと、ソースバスラインSLを駆動するソースドライバとによって構成されている。ゲートドライバがゲートバスラインGLを駆動し、ソースドライバがソースバスラインSLを駆動することにより、各画素部210内の画素容量に目標表示画像に応じた電圧が書き込まれる。
【0024】
ライト駆動部150は、ローカルディミング制御部140から送られる発光制御信号LCTLに基づいて、照明部160において各発光部180が所望の輝度で発光するよう、各発光部180を駆動する。これにより、所望の輝度で発光する各発光部180が、表示部200において夫々対応する各発光部180に光を照射する。
【0025】
以上により、液晶パネル130の表示部200に設けられた各画素部210の画素容量に目標表示画像に応じた電圧が書き込まれた状態で、バックライト装置170の照明部160が表示部200にその背面から光を照射することにより、入力画像300が表示部200に表示される。
【0026】
本実施形態において、ライト駆動部150は、複数の発光部180を時分割駆動するための点灯制御部191を含む。点灯制御部191は、一フレーム期間において、複数の発光部180を区分けした複数のグループ(本例では、グループGR1,GR2)を時分割で駆動する。ローカルディミング制御部140は、決定部192を含む。決定部192は、入力画像300において複数の表示エリア220に夫々対応する複数の画像エリアの明るさに基づいて、一フレーム期間において複数のグループが夫々駆動される複数のサブフレーム期間の長さを決定する。
【0027】
点灯制御部191は、表示部200に入力画像300を表示するときに、一フレーム期間において複数のグループを複数のサブフレーム期間に基づいて時分割で駆動する。このとき、点灯制御部191は、駆動対象のグループに含まれる発光部180を、決定部192が決定したサブフレーム期間の長さを上限に点灯させる。つまり本実施形態の時分割駆動では、一フレーム期間に含まれる複数のサブフレーム期間の長さが、入力画像300を構成する各画像エリアの明るさに応じて可変である。
【0028】
具体的には、ローカルディミング制御部140は、上記の時分割駆動に関する各種データを含む発光制御信号LCTLを、ライト駆動部150に出力する。例えば発光制御信号LCTLは、サブフレーム制御データ及び点灯制御データを含む。サブフレーム制御データは、一フレーム期間に含まれる各サブフレーム期間の長さ(後述の長さDpsi)を示す。点灯制御データは、一フレーム期間における各発光部180の点灯時間の長さ(後述の点灯時間Dledij)を示す。これらのサブフレーム期間及び点灯時間の長さを決定する手法は後述する。
【0029】
ライト駆動部150には、予め外部から受信した動作設定データが記憶されている。動作設定データは、時分割駆動を制御する点灯制御部191によって参照され、少なくとも一フレーム期間の長さを示す。例えばフレームレートが60Hzである場合、一フレーム期間の長さは16.6ミリ秒である。本実施形態では、点灯制御部191は、一フレーム期間に各発光部180が一回点灯するように、各発光部180を二つのグループに分けて時分割駆動する。
【0030】
なお、点灯制御部191は、一フレーム期間に各発光部180を複数回点灯させる時分割駆動を行ってもよい。この場合、一フレーム期間は、各発光部180を一回点灯させる複数のサブフレーム期間を一周期として、各発光部180の点灯回数と同数の複数周期を含む。一フレーム期間の各周期において各発光部180を一回点灯させるサブフレーム期間の比率は、一フレーム期間に各発光部180を一回点灯させる場合のサブフレーム期間の比率と同じであればよい。
【0031】
点灯制御部191は発光制御信号LCTLに基づいて、一フレーム期間中に実行される各サブフレーム期間の長さを、各サブフレーム期間に夫々対応するスイッチ152のデューティ比を制御して調整する。スイッチ152のデューティ比は、一フレーム期間においてスイッチ152がオンされる比率を示す。具体的には、点灯制御部191は、各グループがサブフレーム制御データに基づくサブフレーム期間の長さだけ駆動されるように、スイッチ152のオン/オフ状態を切り替える制御信号を生成して、当該制御信号をスイッチ152に出力する。
【0032】
更に、点灯制御部191は発光制御信号LCTLに基づいて、実行対象のサブフレーム期間に対応するグループを構成する各発光部180を、各発光部180のデューティ比を制御して調整する。各発光部180のデューティ比は、これらの発光部180が構成する一グループに対応するサブフレーム期間において、各発光部180がオンされる比率を示す。
【0033】
具体的には、点灯制御部191は、発光部180に定電流が流れ得る状態を維持しつつ、駆動対象の発光部180が点灯制御データに基づく点灯時間の長さで点灯するようにトランジスタのオン/オフ状態を制御するPWM信号を生成し、当該PWM信号を駆動回路151に出力する。PWM調光方式では、発光部180に流れる電流の大きさは一定とされ、発光部180の点灯時間を変化させることによって、発光部180の輝度が制御される。点灯時間が長い発光部180ほど明るいため、点灯時間が長い発光部180によって光が照射される表示エリア220では、画素部210の最大輝度が高くなる。
【0034】
本実施形態における時分割駆動の制御例を、より詳細に説明する。図5は、時分割駆動を実行するメイン処理のフローチャートである。図5に示すように、入力画像300の入力画像データDATがローカルディミング制御部140に入力されると、決定部192は各画像エリアの明るさABijを取得する(S501)。詳細には、明るさABijは、入力画像300において二次元配列された画像エリアの明るさを示す。本実施形態では「明るさ」を輝度で表すが、照度、明度等で表されてもよい。
【0035】
入力画像300の画像エリアは、表示部200の表示エリア220に対応して、横方向にn個且つ縦方向にm個並ぶように二次元配列されている。従ってS501では、(n×m)個分の画像エリアの明るさABijが算出される。各明るさABijは、入力画像300において、横方向にi番目(iは1~nの正の整数)、且つ縦方向にj番目(jは1~mの正の整数)にある画像エリアの明るさである。
【0036】
図4の例では、S501において、4つの画像エリアA11,A12,A21,A22の明るさAB11,AB12,AB21,AB22が算出される。説明の便宜のため、入力画像300を構成する複数の画像エリアのうち、最も明るい画像エリアA11の明るさAB11を「100」とし、中間的な明るさの画像エリアA12,A21の明るさAB12,AB21を「33.3」とし、最も暗い画像エリアA22の明るさAB22を「16.7」とする。
【0037】
次いで決定部192は、一フレーム期間におけるサブフレーム期間の長さDpsiを決定する(S503)。詳細には、先述の画像エリアに対応する(n×m)個の発光部180は、縦方向に並ぶm個の発光部180を一グループとして、横方向に並ぶn個のグループに区分けされている。サブフレーム期間の長さDpsiは、予め定められた一フレーム期間において、横方向にi番目(iは1~nの正の整数)のグループに対応するサブフレーム期間の長さ(例えば、一フレーム期間におけるデューティ比)である。図3の例では、S503において、二つのグループGR1,GR2に夫々対応する二つのサブフレーム期間の長さDps1,Dps2が算出される。
【0038】
詳細には、決定部192は、複数のグループの各々について、グループを構成する二以上の発光部180に対応する二以上の画像エリアの明るさに基づいて、当該グループの基準値を算出する。グループの基準値は、そのグループを構成する二以上の発光部180に対応する二以上の画像エリアの明るさを代表する値である。決定部192は、サブフレーム期間の長さDpsiを、当該サブフレーム期間に対応するグループの基準値に基づいて決定する。このようにサブフレーム期間の長さDpsiを決定する二つの態様を、図4を参照して具体的に説明する。
【0039】
第一態様を説明する。決定部192は、複数のグループの各々について、グループを構成する二以上の発光部180に対応する二以上の画像エリアの明るさの最大値を、当該グループの基準値として算出する。図4の例では、グループGR1の基準値は、グループGR1を構成するLED11,LED12に対応する画像エリアA11,A12のうち、最も明るい画像エリアA11の明るさAB11「100」である。グループGR2の基準値は、グループGR2を構成するLED21,LED22に対応する画像エリアA21,A22のうち、最も明るい画像エリアA21の明るさAB21「33.3」である。
【0040】
次いで決定部192は、複数のグループにおける基準値の比率に応じて、複数のサブフレーム期間の長さDpsiを決定する。図4の例では、グループGR1の基準値とグループGR2の基準値との比率は「3:1」である。この比率に応じて、一フレーム期間の長さを「100%」とした場合、グループGR1のサブフレーム期間の長さDps1は「75%」であり、グループGR2のサブフレーム期間の長さDps2は「25%」である。
【0041】
第二態様を説明する。決定部192は、複数のグループの各々について、グループを構成する二以上の発光部180に対応する二以上の画像エリアの明るさの平均値を、当該グループの基準値として算出する。図4の例では、グループGR1の基準値は、画像エリアA11の明るさAB11「100」と、画像エリアA12の明るさAB12「33.3」との平均値「66.7」である。グループGR2の基準値は、画像エリアA21の明るさAB21「33.3」と、画像エリアA22の明るさAB22「16.7」との平均値「25」である。
【0042】
次いで決定部192は、複数のグループにおける基準値の比率に応じて、複数のサブフレーム期間の長さDpsiを決定する。図4の例では、グループGR1の基準値とグループGR2の基準値との比率は「2.7:1」である。この比率に応じて、一フレーム期間の長さを「100%」とした場合、グループGR1のサブフレーム期間の長さDps1は「73%」であり、グループGR2のサブフレーム期間の長さDps2は「27%」である。
【0043】
S503の実行後、決定部192は、各発光部180の点灯時間Dledijを決定する(S505)。点灯時間Dledijは、横方向にi番目(iは1~nの正の整数)、且つ縦方向にj番目(jは1~mの正の整数)にある発光部180(即ち、LEDij)の明るさである。点灯時間Dledijは、スイッチSPiがオンであるときに、LEDijが一フレーム期間内にオンされる時間の長さ(例えば、一フレーム期間におけるデューティ比)で示される。図3の例では、S505において、四つの発光部180(LED11,LED12,LED21,LED22)の点灯時間Dled11,Dled12,Dled21,Dled22が決定される。なお、点灯時間Dledijの決定手法の詳細は、後述する。
【0044】
例えば決定部192は、画像エリアA11に対応するLED11の点灯時間Dled11を、「一フレーム期間の長さ×75%」に決定する。決定部192は、画像エリアA12,A21に対応する点灯時間Dled12,Dled21を、「一フレーム期間の長さ×25%」に決定する。決定部192は、画像エリアA22に対応する点灯時間Dled22を、「一フレーム期間の長さ×12.5%」に決定する。
【0045】
S505の実行後、ローカルディミング制御部140は、決定した全てのサブフレーム期間の長さDpsiを示すサブフレーム制御データと、決定した全ての点灯時間Dledijを示す点灯制御データとを含む一フレーム期間分の発光制御信号LCTLを、ライト駆動部150へ出力する。ライト駆動部150では、先述したように点灯制御部191が、発光制御信号LCTLに基づいて一フレーム期間の時分割駆動を実行する(S507)。その後、処理はS501に戻り、次の一フレーム期間について同様の処理が繰り返し実行される。
【0046】
なお、図5では一フレーム期間毎にS501~S507を繰り返す場合を例示したが、複数のフレーム期間毎にS501~S507を繰り返してもよい。また、先述したように一フレーム期間に各発光部180を複数回点灯させる場合、一フレーム期間に含まれる周期毎に、S501~S507を繰り返してもよい。この場合、S501~S507のルーチンが複数周期と同数分、一フレーム期間に繰り返し実行される。
【0047】
上記の時分割駆動(S507)の具体例を、従来の時分割駆動と対比して説明する。以下では、点灯制御部191が、各発光部180を二つのグループGR1,GR2に分けて一フレーム期間内に一回ずつ駆動するように、スイッチPS1,PS2を交互にオン・オフする場合を例示する。一フレーム期間の長さは、説明の便宜のため、20ミリ秒とする。
【0048】
図4及び図6を参照して、第一例の時分割駆動を説明する。図6は、第一例の時分割駆動のタイムチャートである。第一例では、図4に示すように入力画像300が表示部200に表示される。このとき点灯制御部191は、先述した第一態様で決定された長さDps1「75%」と長さDps2「25%」とに基づいて、図6に示すように時分割駆動を実行する。具体的には、点灯制御部191は一フレーム期間FT内に、長さDps1に基づいてスイッチPS1のみを15ミリ秒オンにし、次いで長さDps2に基づいてスイッチPS2のみを5ミリ秒オンにする。
【0049】
スイッチPS1がオンとなるグループGR1のサブフレーム期間には、駆動回路D1はLED11を点灯時間Dled11だけ駆動し、駆動回路D2はLED12を点灯時間Dled12だけ駆動する。本例では、LED11は一フレーム期間FTの75%に相当する15ミリ秒点灯する。LED12は一フレーム期間FTの25%に相当する5ミリ秒点灯する。スイッチPS2がオンとなるグループGR2のサブフレーム期間には、駆動回路D1はLED21を点灯時間Dled21だけ駆動し、駆動回路D2はLED22を点灯時間Dled22だけ駆動する。本例では、LED21は一フレーム期間FTの25%に相当する5ミリ秒点灯する。LED22は一フレーム期間FTの12.5%に相当する2.5ミリ秒点灯する。
【0050】
このように、本実施形態の時分割駆動では、グループGR1のサブフレーム期間がグループGR2のサブフレーム期間よりも長い。グループGR1のサブフレーム期間では、最も明るい画像エリアA11を表示するためのLED11が駆動される。即ち、入力画像300を構成する各画像エリアの明るさに応じてサブフレーム期間の長さを可変とすることで、相対的に明るい画像エリアを表示するための発光部180をより長い時間点灯できる。表示装置1は、入力画像300のうちで相対的に明るい画像エリアを、対応する表示エリア220でより明るく映し出せる。
【0051】
ここで、従来の時分割駆動によって、図4に示すように入力画像300が表示部200に表示される場合を説明する。図7は、図6の比較例を示す、従来の時分割駆動のタイムチャートである。図7の例では、図6と同様に、各発光部180を二つのグループGR1,GR2に分けて一フレーム期間FT(20ミリ秒)内に一回ずつ駆動するように、スイッチPS1,PS2を交互にオン・オフされる。但し、従来の時分割駆動では、一フレーム期間FT内で各サブフレーム期間に割り当てられる時間は均等である。従って、グループGR1のサブフレーム期間の長さDps1は、グループGR2のサブフレーム期間の長さDps2は、何れも10ミリ秒である。
【0052】
この場合、各発光部180が1回の駆動で点灯可能な最大の時間(最大点灯時間)は、10ミリ秒である。従って、入力画像300のうちで最も明るい画像エリアA11を表示するためのLED11も、最大で10ミリ秒しか点灯できないため、画像エリアA11を十分な明るさで表示できないおそれがある。特に従来の時分割駆動では、発光部180のグループ数が多くなるほど、一フレーム期間FTにおけるサブフレーム期間の長さ(つまり、発光部180の最大点灯時間)が短くなり、入力画像300の明るい画像エリアも暗く表示されるおそれがある。
【0053】
これに対して本実施形態では、先述のように、入力画像300を構成する各画像エリアの明るさに応じてサブフレーム期間の長さが可変である。これにより、時分割駆動における発光部180のグループ数が多くなっても、入力画像300の明るい画像エリアを表示するための発光部180の最大点灯時間を、従来よりも長く確保できる。従って表示装置1は、入力画像300のうちで相対的に明るい画像エリアをより明るく表示することで、入力画像300を良好な画像品質で表示できる。
【0054】
図8A及び図8Bを参照して、第二例の時分割駆動を説明する。図8Aは、第二例の表示部200の正面図である。図8Bは、第二例の時分割駆動のタイムチャートである。第二例では、図8Aに示すように、入力画像300が表示部200に表示される。入力画像300のうちで、画像エリアA11の一部が最も明るい明領域であり、この明領域以外は最も暗い暗領域である。従って、入力画像300を構成する複数の画像エリアのうち、画像エリアA11が最も明るい。画像エリアA11の明るさAB11を「80」とし、残りの画像エリアA12,A21,A22の明るさAB12,AB21,AB22を「0」とする。
【0055】
この場合、決定部192は、上記の明るさAB11,AB12,AB21,AB22を取得する(S501)。決定部192は、先述した第一態様の手法に従い、グループGR1の基準値「80」とグループGR2の基準値「0」との比率に基づき、サブフレーム期間の長さDps1,Dps2を「100%」及び「0%」に夫々決定する(S503)。S505において、例えば決定部192は、画像エリアA11に対応する点灯時間Dled11を、「一フレーム期間×80%」に決定する。決定部192は、画像エリアA12に対応する点灯時間Dled12を、「一フレーム期間×0%」に決定する。決定部192は、画像エリアA21,A22に対応する点灯時間Dled21,Dled22を、「一フレーム期間×0%」に決定する。
【0056】
点灯制御部191は、決定されたサブフレーム期間の長さDpsi及び点灯時間Dledijに基づいて、図8Bに示すように時分割駆動を実行する(S507)。図8Bの例では、一フレーム期間FTの100%(20ミリ秒)に亘ってスイッチPS1のみが継続してオンされて、LED11のみが16ミリ秒点灯する。つまり、一フレーム期間FTにおいて、何れも暗い画像エリアA21,A22に対応するグループGR2のサブフレーム期間は実行されない。相対的に明るい画像エリアA11に対応するグループGR1のサブフレーム期間に、一フレーム期間FTの全体が割り当てられる。これにより、入力画像300において明るい画像エリアA11は、従来の時分割駆動の最大点灯時間よりも長く点灯するLED11によって、従来よりも明るく映し出すことができる。
【0057】
図9A及び図9Bを参照して、第三例の時分割駆動を説明する。図9Aは、第三例の表示部200の正面図である。図9Bは、第三例の時分割駆動のタイムチャートである。第三例では、図9Aに示すように、入力画像300が表示部200に表示される。入力画像300のうちで、画像エリアA11の一部及び画像エリアA12の一部が最も明るい明領域であり、この明領域以外は最も暗い暗領域である。従って、入力画像300を構成する複数の画像エリアのうち、画像エリアA11,A12が最も明るい。画像エリアA11,A12の明るさAB11,AB12を「80」とし、残りの画像エリアA21,A22の明るさAB21,AB22を「0」とする。
【0058】
この場合、決定部192は、上記の明るさAB11,AB12,AB21,AB22を取得する(S501)。決定部192は、第二例と同様に、サブフレーム期間の長さDps1,Dps2を「100%」及び「0%」に夫々決定する(S503)。S505において、例えば決定部192は、画像エリアA11,A12に対応する点灯時間Dled11,Dled12を、「一フレーム期間×80%」に決定する。決定部192は、画像エリアA21,A22に対応する点灯時間Dled21,Dled22を、「一フレーム期間×0%」に決定する。
【0059】
点灯制御部191は、決定されたサブフレーム期間の長さDpsi及び点灯時間Dledijに基づいて、図9Bに示すように時分割駆動を実行する(S507)。図9Bの例では、一フレーム期間FTの100%(20ミリ秒)に亘ってスイッチPS1のみが継続してオンされて、LED11,LED12のみが16ミリ秒点灯する。従って第二例と同様に、入力画像300において明るい画像エリアA11,A12は、従来の時分割駆動の最大点灯時間よりも長く点灯するLED11,LED12によって、従来よりも明るく映し出すことができる。
【0060】
図10A及び図10Bを参照して、第四例の時分割駆動を説明する。図10Aは、第四例の表示部200の正面図である。図10Bは、第四例の時分割駆動のタイムチャートである。第四例では、図10Aに示すように、入力画像300が表示部200に表示される。入力画像300のうちで、画像エリアA11の一部及び画像エリアA12の一部が最も明るい明領域であり、画像エリアA21の一部及び画像エリアA22の一部が中間的な明るさのグレー領域であり、明領域及びグレー領域以外は最も暗い暗領域である。従って、入力画像300を構成する複数の画像エリアのうち、画像エリアA11,A12が最も明るい。画像エリアA11,A12の明るさAB11,AB12を「80」とし、残りの画像エリアA21,A22の明るさAB21,AB22を「20」とする。
【0061】
この場合、決定部192は、上記の明るさAB11,AB12,AB21,AB22を取得する(S501)。決定部192は、先述した第一態様の手法に従い、グループGR1の基準値「80」とグループGR2の基準値「20」との比率に基づき、サブフレーム期間の長さDps1,Dps2を「80%」及び「20%」に夫々決定する(S503)。S505において、例えば決定部192は、画像エリアA11,A12に対応する点灯時間Dled11,Dled12を、「一フレーム期間×80%」に決定する。決定部192は、画像エリアA21,A22に対応する点灯時間Dled21,Dled22を、「一フレーム期間×20%」に決定する。
【0062】
点灯制御部191は、決定されたサブフレーム期間の長さDpsi及び点灯時間Dledijに基づいて、図10Bに示すように時分割駆動を実行する(S507)。図10Bの例では、一フレーム期間FTの80%(16ミリ秒)に亘ってスイッチPS1がオンされて、その期間内にLED11,LED12が14ミリ秒点灯する。次いで、一フレーム期間FTの20%(4ミリ秒)に亘ってスイッチPS2がオンされて、その期間内にLED21,LED22が3ミリ秒点灯する。
【0063】
つまり、相対的に明るい画像エリアA11,A12に対応するグループGR1のサブフレーム期間が長くなり、且つ相対的に暗い画像エリアA21,A22に対応するグループGR2のサブフレーム期間が短くなるように、各サブフレーム期間の長さが調整される。従って第二例と同様に、入力画像300において明るい画像エリアA11,A12は、従来の時分割駆動の最大点灯時間よりも長く点灯するLED11,LED12によって、従来よりも明るく映し出すことができる。
【0064】
以上の説明では、理解を容易にするため、縦横方向に二つずつ並ぶ計四つの発光部180を時分割駆動する場合を例示したが、発光部180の数量は限定されない。図11は、バックライト装置170の他の概略構成図である。図12は、表示部200の他の正面図である。図13及び図14は、発光部180の点灯時間Dledijを決定する手法を説明するための二次元グラフである。
【0065】
図11に示すように、照明部160は、横方向にn個且つ縦方向にm個並ぶように二次元配列された、(n×m)個の発光部180(LED11~LEDnm)を備える。縦方向において一つの直線上に並ぶm個の発光部180で構成されたグループが、横方向にn個並んで設けられる。ライト駆動部150は、n個のグループGR1~GRnに夫々対応するスイッチ152(スイッチPS1~PSn)と、各グループにおける1番目~n番目の発光部180に夫々対応する駆動回路151(駆動回路D1~Dm)とを備える。
【0066】
図12に示すように、表示部200は、LED11~LEDnmによって光が夫々照射される(n×m)個の表示エリア220を備える。入力画像300を構成する(n×m)個の画像エリアA11~Anmは、(n×m)個の表示エリア220に夫々表示される。このように複数の発光部180がn個のグループGR1~GRnに区分けされる場合でも、これらのグループに対応するn個のサブフレーム期間は、上記と同様に可変にできる。
【0067】
図13を参照して、決定部192がメイン処理(図5参照)において点灯時間Dledijを決定する具体的態様を説明する。なお、図13の二次元グラフは、先述の第一態様に基づいてサブフレーム期間の長さDpsiを算出する場合に、画像エリアの明るさABと発光部180の点灯時間Dledとの関係を表すために生成される。
【0068】
S503において、まず決定部192は、S501で取得された各画像エリアA11~Anmの明るさAB11~ABnmに基づき、i番目(iは1~nの正の整数)のグループGRiに対応するサブフレーム期間の長さDpsiを、以下の式で算出する。なお、kは1~nの正の整数である。
Dpsi=Max(ABi1,ABi2,…,ABim)/ΣMax(ABk1,ABk2,…,ABkm)
【0069】
上記の式によれば、グループGRiの基準値(Max)を、全てのグループGR1~GRnの基準値(Max)の合計値によって除算することで、グループGRiのサブフレーム期間の長さDpsiが算出される。基準値(Max)は、グループGRiに対応する画像エリアAi1~Aimの明るさABi1~ABimの最大値である。つまり第一態様で説明したように、各グループGR1~GRnの基準値の比率に応じて、複数のサブフレーム期間の長さDpsiが決定される。
【0070】
次に決定部192は、n個の明るさの最大値であるMax(ABi1,ABi2,…,ABim)(但し、i=1~n)と、これらのMaxに対応するグループGRiのサブフレーム期間の長さDpsi(但し、i=1~n)とを、夫々昇順に並び替える。その結果、昇順に並ぶn個のMaxを、Max(1)、Max(2)、・・・Max(n)と表す。昇順に並ぶn個の長さDpsiを、Dps(1)、Dps(2)、・・・Dps(n)と表す。
【0071】
図13に示すように、決定部192は、Max(1)~Max(n)をX軸に沿って並べ、且つDps(1)~Dps(n)をY軸に沿って並べて、n個のMax(i)及びDps(i)の組合せをグラフ上にプロットする。n個のMax(i)及びDps(i)の組合せをi=1~nの順に原点から繋ぐと、線L0が生成される。なお、図13において、X軸上にある明るさABの「100%」は、入力画像300のうちで最も明るい画像エリアの明るさである。Y軸上にある点灯時間Dledの「100%」は、一フレーム期間の長さである。
【0072】
その後、決定部192は、入力画像300における任意の画像エリアAijの明るさABijを取得し、その明るさABijに対応する点灯時間Dledijを、線L0を参照して決定する。同様にして、全ての画像エリアAijに夫々対応する全てのLEDijの点灯時間Dledijが、線L0を参照して決定される。
【0073】
例えばn個のMaxのうち、一つのMaxの明るさが「100」であり、且つ残り全てのMaxの明るさが「0」である場合、上述の並び替えを行うと、Max(1)~Max(n-1)の明るさが「0%」、且つMax(n)の明るさが「100%」となる。この場合、上記と同様にグラフ上でプロットして、n個のMax(i)及びDps(i)の組合せをi=1~nの順に原点から繋ぐと、線L1が生成される。この線L1によれば、明るさABij「100%」の画像エリアAijに対応するLEDijの点灯時間Dledijは、一フレーム期間に対して100%の長さとなる。
【0074】
例えば、n個のMaxが何れも同じ明るさ(例えば、100)である場合、上述の並び替えを行うと、Max(1)~Max(n)の明るさは何れも「100%」となる。この場合、上記と同様にグラフ上でプロットして、n個のMax(i)及びDps(i)の組合せをi=1~nの順に原点から繋ぐと、線L2が生成される。この線L2によれば、明るさABij「100%」の画像エリアAijに対応するLEDijの点灯時間Dledijは、一フレーム期間に対して「100/n(%)」の長さとなる。この場合は、従来の時分割駆動と同様に、全てのLEDijの最大点灯時間が「一フレーム期間/n」に制限される。
【0075】
通常、上記の線L0は、線L1と線L2との間に生成される。従って、n個のMaxの比率に応じて線L0を最適化することで、一フレーム期間におけるサブフレーム期間の長さを好適に調整できる。具体的には、各発光部180の点灯時間がサブフレーム期間を超えることを抑制しつつ、明るい画像エリアを表示するためのサブフレーム期間をより長くすることができる。
【0076】
なお、図14に示すように、先述の第二態様に基づいてサブフレーム期間の長さDpsiを算出する場合も、各発光部180の点灯時間Dledijを上記と同様に決定できる。図14の二次元グラフは、先述の第二態様に基づいてサブフレーム期間の長さDpsiを算出する場合に、画像エリアの明るさABと発光部180の点灯時間Dledとの関係を表すために生成される。
【0077】
S503において、まず決定部192は、S501で取得された各画像エリアA11~Anmの明るさAB11~ABnmに基づき、i番目(iは1~nの正の整数)のグループGRiに対応するサブフレーム期間の長さDpsiを、以下の式で算出する。なお、kは1~nの正の整数である。
Dpsi=Ave(ABi1,ABi2,…,ABim)/ΣAve(ABk1,ABk2,…,ABkm)
【0078】
上記の式によれば、グループGRiの基準値(Ave)を、全てのグループGR1~GRnの基準値の合計値(Ave)によって除算することで、グループGRiのサブフレーム期間の長さDpsiが算出される。基準値(Ave)は、グループGRiに対応する画像エリアAi1~Aimの明るさABi1~ABimの平均値である。つまり第二態様で説明したように、各グループGR1~GRnの基準値の比率に応じて、複数のサブフレーム期間の長さDpsiが決定される。以降の処理は、上記と同様である。
【0079】
本開示は上記各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態に夫々開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。更に、上記実施形態に夫々開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【0080】
上記実施形態では、スイッチ152に接続する二以上の発光部180が並ぶ列方向と、駆動回路151に接続する二以上の発光部180が並ぶ行方向とが、夫々、正面視で縦方向及び横方向である場合を例示した。これに代えて、複数の発光部180が配置される列方向及び行方向が、夫々、正面視で横方向及び縦方向となるように、複数の発光部180に対する駆動回路151及びスイッチ152の接続態様を変更してもよい。
【0081】
一つのグループを構成する二以上の発光部180の配置は、一つの直線上に並ぶ態様に限定されない。図15は、変形例に係る照明部160の正面図である。複数のグループGR1~GRnの各々は、二次元配列された三つ以上の発光部180から構成されてもよい。図15の例では、縦横方向に二つずつ並ぶ計四つの発光部180によって、複数のグループGR1~GRnの各々が構成されている。複数のグループGR1~GRnは、照明部160において縦横方向に並んで二次元配置されている。
【0082】
一つのグループを構成する二以上の発光部180は、互いに隣り合う態様に限定されず、互いに離隔してもよい。つまり、一つのグループを構成する二以上の発光部180は、画面の位置に応じた一群の発光部180であることに限定されず、互いに共通のスイッチ152に接続すると共に、互いに異なる駆動回路151に接続すればよい。なお、一フレーム期間に各発光部180を複数回駆動する時分割駆動においても、上記と同様にサブフレーム期間を可変にしてもよい。
【0083】
(ソフトウェアによる実現例)
表示装置100の各種コントローラ(例えば、タイミングコントローラ110、パネル駆動部120、ライト駆動部150、ローカルディミング制御部140)は、集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ)等で実装されればよい。表示装置100の機能ブロック(例えば、点灯制御部191、決定部192)は、集積回路等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現可能であり、またCPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。例えば表示装置100は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROMまたは記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、プログラムを展開するRAM等を備える。コンピュータ(またはCPU)は、プログラムを記録媒体から読み取って実行することで、点灯制御部191及び決定部192として動作すればよい。記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路等を用いることができる。プログラムは、任意の伝送媒体を介してコンピュータに供給されてよい。
【符号の説明】
【0084】
100 表示装置、180 発光部、191 点灯制御部、192 決定部、200 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15