(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174363
(43)【公開日】2022-11-24
(54)【発明の名称】口腔内測定装置
(51)【国際特許分類】
A61C 19/04 20060101AFI20221116BHJP
【FI】
A61C19/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080104
(22)【出願日】2021-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 崇
(72)【発明者】
【氏名】長岡 敦
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 義弘
(72)【発明者】
【氏名】ヌルナビラ ムハマドマクタ
【テーマコード(参考)】
4C052
【Fターム(参考)】
4C052NN04
4C052NN15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】光透過窓付きのカバーによって空間部を介してプロズムを覆う構成において、光透過窓の結露を防止した口腔内測定装置を提供する。
【解決手段】筐体によりプリズム12の基端側を保持した装置本体10と、測定対象物に対向して配置したプリズムの先端側を空間部を介して覆う状態で装置本体に装着され、測定対象物に対向して配置した部分が光透過窓101により構成したカバー部材100と、装置本体からプリズムの非光学面に沿って延設し、プリズムから突出して設けた突出端が、カバー部材の光透過窓に当接することにより、装置本体の熱を光透過窓に伝える伝熱部材13とを備え、プリズムの非光学面に、伝熱部材の突出端と逆方向に非光学面から突出する位置決め部材14を設け、位置決め部材が、装置本体に装着したカバー部材の内壁によって突出端側に押圧されることにより、プリズムおよび伝熱部材の突出端を光透過窓側に押圧する構成とする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明部材と撮像部材とを収容する筐体によってプリズムの基端側を保持した装置本体と、
測定対象物に対向して配置される前記プリズムの先端側を空間部を介して覆う状態で前記装置本体に装着され、前記測定対象物に対向して配置される部分が光透過窓によって構成されたカバー部材と、
前記装置本体から前記プリズムの非光学面に沿って延設され、前記プリズムから突出して設けられた突出端が、前記カバー部材の前記光透過窓に当接されることにより、前記装置本体の熱を前記光透過窓に伝える伝熱部材とを備え、
前記プリズムの非光学面には、前記伝熱部材の前記突出端と逆方向に前記非光学面から突出する位置決め部材が設けられ、
前記位置決め部材は、前記装置本体に装着された前記カバー部材の内壁によって前記突出端側に押圧されることにより、前記プリズムおよび前記伝熱部材の突出端を前記光透過窓側に押圧する
口腔内測定装置。
【請求項2】
前記カバー部材は、前記装置本体に対しての装着が自在である
請求項1に記載の口腔内測定装置。
【請求項3】
前記位置決め部材は、前記伝熱部材の前記突出端側とその逆側とにおいて、前記プリズムの非光学面から周端縁を突出させたシート状のものであり、
前記伝熱部材の前記突出端は、前記位置決め部材よりも大きく突出している
請求項1または2に記載の口腔内測定装置。
【請求項4】
前記カバー部材の内壁には、前記位置決め部材を前記伝熱部材の前記突出端側に押圧するための弾性部材が設けられている
請求項1~3のうちの何れか1項に記載の口腔内測定装置。
【請求項5】
前記弾性部材は、前記カバー部材と一体に形成されたものである
請求項4に記載の口腔内測定装置。
【請求項6】
前記位置決め部材には、前記カバー部材の内壁を介して前記プリズムおよび前記位置決め部材を前記伝熱部材の前記突出端側に押圧するための弾性部材が設けられている
請求項1~3のうちの何れか1項に記載の口腔内測定装置。
【請求項7】
前記弾性部材は、前記位置決め部材と一体に形成されたものである
請求項6に記載の口腔内測定装置。
【請求項8】
前記プリズムは、対向して配置された2つの非光学面を有し、
前記伝熱部材は、前記2つの非光学面のうちの少なくとも一方に設けられた
請求項1~7のうちの何れか1項に記載の口腔内測定装置。
【請求項9】
前記プリズムは、対向して配置された2つの非光学面を有し、
前記伝熱部材は、前記2つの非光学面の両方に設けられた
請求項1~8のうちの何れか1項に記載の口腔内測定装置。
【請求項10】
前記位置決め部材は、前記2つの非光学面に対してそれぞれ設けられた
請求項8または9に記載の口腔内測定装置。
【請求項11】
前記伝熱部材の突出端は、前記カバー部材を前記装置本体に装着した状態において、先端が前記カバー部材の前記光透過窓と平行に屈曲している
請求項1~10のうちの何れか1項に記載の口腔内測定装置。
【請求項12】
前記伝熱部材は、前記突出端の屈曲部分が弾性を有する
請求項11に記載の口腔内測定装置。
【請求項13】
前記装置本体と前記カバー部材とは、前記装置本体に前記カバー部材を装着した場合に相互に嵌合する複数の嵌合部を有する
請求項1~12のうちの何れか1項に記載の口腔内測定装置。
【請求項14】
前記伝熱部材は、前記照明部材で生成された熱を前記光透過窓に伝える
請求項1~13のうちの何れか1項に記載の口腔内測定装置。
【請求項15】
前記伝熱部材は、前記照明部材から前記プリズムの非光学面に向かって、表面積が広く形成されている
請求項14に記載の口腔内測定装置。
【請求項16】
前記伝熱部材の突出端は、前記カバー部材の光透過窓と同程度の幅で、前記プリズムの非光学面から突出して設けられる
請求項15に記載の口腔内測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
歯および歯肉の口腔内形状を測定するための技術として口腔内測定装置がある。このような装置に関する技術として、下記特許文献1に開示の技術がある。この特許文献1には、本体の一部である管体に、ミラーが設置されたカバー状のチップを取り付け、治療の終わりにチップを取り外して滅菌することでチップを再利用する構成が記載されている。また、管体の先端に設けられた前面窓、およびチップに設けられたミラーの結露を防止するために、スキャナ本体の先端(管体)に熱伝導シートを設け、ミラーの背後から管体に物理的に接触する領域にまで熱伝導シートを延設させた構成が記載されている。これにより、管体の加熱によって生成された熱が、熱伝導シートを介して前面窓およびミラーにまで伝達され、前面窓およびミラーの温度が上昇して水分の凝縮を防止できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国公開2015/0018613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、口腔内測定装置の別の形態として、本体の先端部がプリズムによって構成され、その先端部分を光透過窓付きのカバーによって取り外し自在に覆う構成のものがある。このような構成においては、カバーに設けた光透過窓を介して、プリズムに対して測定光が出入りするため、光透過窓の全面に熱伝導シートを密着させることができない。
【0005】
しかも、このような構成においてカバー側に設けられた光透過窓を加熱するためには、熱源部がある本体側に設けた電熱シートの先端を、光透過窓に対向する位置においてプリズムから外側に突出させた構成とし、本体にカバーを装着した状態において、電熱シートの突出端を光透過窓に当接させる必要がある。
【0006】
しかしながら、光透過窓に対向配置されるプリズム面は全反射面であって、プリズムと光透過窓との間には空気層が必要なため、カバーに対するプリズムの位置には多少の接合ガタが生じる。これにより、電熱シートの突出端を光透過窓に当接させることが容易ではなく、光透過窓の結露を確実に防止することができなかった。
【0007】
そこで本発明は、光透過窓付きのカバーによって空間部を介してプロズムを覆う構成において、光透過窓の結露を確実に防止することが可能な口腔内測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明は、照明部材と撮像部材とを収容する筐体によってプリズムの基端側を保持した装置本体と、測定対象物に対向して配置される前記プリズムの先端側を空間部を介して覆う状態で前記装置本体に装着され、前記測定対象物に対向して配置される部分が光透過窓によって構成されたカバー部材と、前記装置本体から前記プリズムの非光学面に沿って延設され、前記プリズムから突出して設けられた突出端が、前記カバー部材の前記光透過窓に当接されることにより、前記装置本体の熱を前記光透過窓に伝える伝熱部材とを備え、前記プリズムの非光学面には、前記伝熱部材の前記突出端と逆方向に前記非光学面から突出する位置決め部材が設けられ、前記位置決め部材は、前記装置本体に装着された前記カバー部材の内壁によって前記突出端側に押圧されることにより、前記プリズムおよび前記伝熱部材の突出端を前記光透過窓側に押圧する口腔内測定装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光透過窓付きのカバーによって空間部を介してプロズムを覆う構成において、光透過窓の結露を確実に防止することが可能な口腔内測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る口腔内測定装置の構成を説明するための全体構成図(その1)である。
【
図2】第1実施形態に係る口腔内測定装置の構成を説明するための全体構成図(その2)である。
【
図3】第1実施形態に係る口腔内測定装置の構成を説明するための要部拡大図(その1)である。
【
図4】第1実施形態に係る口腔内測定装置の構成を説明するための要部拡大図(その2)である。
【
図5】第1実施形態に係る口腔内測定装置の構成を説明するための要部拡大図(その3)である。
【
図6】第1実施形態に係る口腔内測定装置の構成を説明するための要部拡大図(その4)である。
【
図7】第1実施形態に係る口腔内測定装置の要部断面図である。
【
図8】第1実施形態に係る変形例の口腔内測定装置の要部断面図である。
【
図9】第2実施形態に係る口腔内測定装置の構成を説明するための要部拡大図(その1)である。
【
図10】第2実施形態に係る口腔内測定装置の構成を説明するための要部拡大図(その2)である。
【
図11】第3実施形態に係る口腔内測定装置の要部断面図である。
【
図12】第4実施形態に係る口腔内測定装置の構成を説明するための要部拡大図である。
【
図13】第5実施形態に係る口腔内測定装置の構成を説明するための要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した口腔内測定装置の各実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する各実施の形態において、同一の構成要素には同一の符号を付し重複する説明は省略する。
【0012】
≪第1実施形態≫
図1および
図2は、第1実施形態に係る口腔内測定装置1の構成を説明するための全体構成図(その1)および(その2)である。これらの図に示す口腔内測定装置1は、例えば口腔内の3D画像を撮影するためのものであり、装置本体10、および装置本体10に対して取り外し自在なカバー部材100を備える。
図1は、装置本体10にカバー部材100を装着した状態の全体構成図であり、
図2は、装置本体10からカバー部材100を取り外した状態の全体構成図となっている。以下、装置本体10およびカバー部材100の構成を順に説明する。
【0013】
<装置本体10>
装置本体10は、光学部品が収容された筐体11と、筐体11から先端側を突出させて設けられたプリズム12と、プリズム12の側壁に設けられた伝熱部材13、および位置決め部材14を備える。またこれらの部材を備えた装置本体10は、熱源を有するものでもある。以下、装置本体10を構成する各要素を説明する。
【0014】
[筐体11]
筐体11は、光学部品を収容し、プリズム12の基端側を保持する。筐体11内に収容される光学部材は、照明部材11aよび撮像部材11bである。筐体11は、照明部材11aから照射された測定光をプリズム12に入射させ、プリズム12から放出されて測定対象物(図示省略)で反射され、再びプリズム12に入射した測定光が撮像部材11bに入射するように、これらの光学部材を収容する。このうち照明部材11aは、例えばLED(light emitting diode)のような光源を備えている。この光源は、以降に説明する伝熱部材13の熱源の一例となる。なお、伝熱部材13の熱源は、照明部材11aに設けられた光源に限定されることはなく、装置本体10を構成する他の部材であって、例えば筐体11や、ここでの説明を省略した他の部材であってもよい。
【0015】
[プリズム12]
プリズム12は、筐体11から延設される長尺形状を有し、筐体11から延設された長尺形状の先端側が口腔内に挿入されるものであり、この先端側にカバー部材100が装着される。このプリズム12は、筐体11に保持された端部を基端側とし、この基端側に照明部材11aおよび撮像部材11bが配置される。
【0016】
図3は、第1実施形態に係る口腔内測定装置1の構成を説明するための要部拡大図(その1)であり、プリズム12の先端側を拡大した図であって、測定光[H]の光路を示した図である。この
図3および
図1、
図2を参照すると、プリズム12は、照明部材11aから供給された測定光[H]を、内部で複数回反射させて先端側に導き、測定対象物[T]に測定光[H]を照射する。測定対象物[T]は、例えば口腔内の歯や歯肉である。またプリズム12は、測定対象物[T]において反射した測定光[H]を、内部で複数回反射させて撮像部材11bに導く。
【0017】
ここでプリズム12は、一例として図面上において正面に向けられた非光学面12aと、これと略平行なもう一つの非光学面12aとを有し、これらの非光学面12aを底面とする角柱である。角柱の側周壁は、xz平面に対して垂直、y方向に対して平行に配置されることとする。このようなプリズム12においては、xz平面に対して垂直に配置された複数の側周壁が光学面12bとなる。これらの光学面12bは、全て平面で構成された面である。このうち、
図3においての図示が省略されているプリズム12の基端側の光学面は光透過面であり、その他の光学面12bは測定光[H]を全反射させる光反射面である。
【0018】
またプリズム12の光学面12bは、
図3においての図示が省略されているプリズム12の基端側の光学面を除き、例えば照明部材11aから照射された測定光[H]の到達順に、第1面12ba、第2面12bb、第3面12bcである。測定光[H]は、第3面12bcで全反射した後に、再び第2面12bbに照射され、第2面12bbを透過して測定対象物[T]に照射される。そして、第2面12bbのうち、特に測定対象物[T]に対向して配置される領域であって、測定光[H]が透過する領域を、対物面12bb’と称する。
【0019】
[伝熱部材13]
図1~
図3を参照し、伝熱部材13は、銀、銅、金、アルミニウム、ニッケル、白金のような熱伝導率の良好な材料からなる薄板状の長尺部材である。このような伝熱部材13は、照明部材11aのうち熱源となる光源部分から引き出され、プリズム12の非光学面12aに沿って延設され、対物面12bb’の側方においてプリズム12から突出して配置される。
【0020】
伝熱部材13において、プリズム12から突出する突出端13aの長さ、すなわち突出長さ[d](
図3参照)は、プリズム12にカバー部材100を装着した場合においての光学面12b(特に第2面12bb)とカバー部材100の内壁との距離よりもわずかに大きいこととする。
【0021】
このような伝熱部材13は、プリズム12を含む装置本体10に対して、例えば接着によって固定されていてよい。また伝熱部材13は、プリズム12の2つの非光学面12aに沿って、それぞれ設けられていてもよく、一方の非光学面12aのみに設けられていてもよい。
【0022】
[位置決め部材14]
図4は、第1実施形態に係る口腔内測定装置の構成を説明するための要部拡大図(その2)であり、プリズム12の先端側を拡大した図である。この図に示すように、位置決め部材14は、例えばプリズム12の非光学面12aを覆うシート状のものであって、伝熱部材13に対して重ねて配置される。
図4においては、プリズム12の非光学面12aと位置決め部材14とで、伝熱部材13を挟持する構成を図示したが、プリズム12の非光学面12aと伝熱部材13とで、位置決め部材14を挟持してもよい。
【0023】
また位置決め部材14は、光学面12bのうちの第1面12ba側、すなわち伝熱部材13が突出している側と逆側において、プリズム12から外側に突出する形状であることとする。さらに位置決め部材14は、対物面12bb’を含む第2面12bb側、すなわち伝熱部材13が突出している側においても、プリズム12から外側に突出していてもよい、さらに図示したように、第3面12bc側においてもプリズム12から突出していてもよい。
【0024】
位置決め部材14が、プリズム12からは突出する長さは、次に説明するカバー部材100に対して、位置決め部材14が貼り合わせられた状態のプリズム12の挿入が妨げられない範囲である。特に第2面12bb側においては、伝熱部材13の突出端13aよりも短いことが必須であり、これによりカバー部材100に対する伝熱部材13の突出端13aの当接が、位置決め部材14によって妨げられることを防止する。
【0025】
また位置決め部材14の厚みは、次に説明するカバー部材100に対して、位置決め部材14が貼り合わせられた状態のプリズム12の挿入が妨げられない範囲であることとする。さらにプリズム12の2つの非光学面12aのうち、一方のみに伝熱部材13が配置されている場合であっても、位置決め部材14は、両側の非光学面12aに配置されていることが好ましい。これにより、カバー部材100内に挿入したプリズム12の位置を、安定に保つことができる。
【0026】
このような位置決め部材14は、伝熱部材13の突出端13aと逆側の周端縁が、以降のカバー部材100の内壁によって突出端13a側に押圧されることにより、位置決め部材14に追従させて伝熱部材13の突出端13aをカバー部材100側に押圧するためのものである。このような位置決め部材14は、その材質が限定されることはないが、例えば樹脂材料や金属材料によって構成されていることとし、位置決め部材14自体が伝熱材料であってもよい。
【0027】
<カバー部材100>
図5および
図6は、第1実施形態に係る口腔内測定装置1の構成を説明するための要部拡大図(その3)および(その4)であり、プリズム12とそれを覆うカバー部材100を拡大した図である。これらの
図5,
図6、および先の
図1および
図2に示すように、カバー部材100は、装置本体10において筐体11から突出させて設けられたプリズム12の先端側を覆う部材であって、装置本体10に対しての着脱が自在なものである。
【0028】
このカバー部材100は、プリズム12の外形形状に倣った筒型形状のもので、一方の端部が閉塞され、他方の端部がプリズム12の挿入口100aとなっている。このようなカバー部材100は、プリズム12の外形に沿ってカバー部材100を装置本体10に対して装着させることで、プリズム12との間に空間部を形成する。この空間部は空気層となる。またこの状態において、装置本体10の筐体11とカバー部材100との内部に、プリズム12が密閉される。このようなカバー部材100は、光透過窓101と、弾性部材102とを備える。
【0029】
[光透過窓101]
光透過窓101は、カバー部材100の壁部の一部を構成するもので、装置本体10に対してカバー部材100を装着した状態において、プリズム12の対物面12bb’に対向して配置される。このような光透過窓101は、ガラスや樹脂材料によって構成されていることとする。
【0030】
[弾性部材102]
弾性部材102は、装置本体10にカバー部材100を装着した状態において、位置決め部材14を、プリズム12の第1面12ba側から第2面12bb側に押圧する位置および大きさで設けられている。なお、プリズム12の第2面12bbは、伝熱部材13がプリズム12から突設する方向の面であって、光透過窓101に対向する面である。
【0031】
このような弾性部材102は、例えば、装置本体10に対してカバー部材100を装着した状態において、プリズム12の第1面12baに対向するカバー部材100の内壁で、位置決め部材14の周端縁に対向する位置に設けられている。このような弾性部材102は、図示したような板バネに限定されることはなく、例えばゴムのような弾性材料で構成されたものであってもよい。また弾性部材102は、カバー部材100と一体に形成されたものであってもよく、これにより部品点数の増加が抑えられる。
【0032】
<第1実施形態の効果>
以上説明した第1実施形態によれば、プリズム12から突出させて設けた位置決め部材14により、カバー部材100の内壁によって位置決め部材14が押圧され、位置決め部材14を介してプリズム12および伝熱部材13が、光透過窓101側に押圧される。これにより、装置本体10のプリズム12とカバー部材100との間に空間部が介在していることで、装置本体10のプリズム12とカバー部材100との装着ガタが生じる場合であっても、伝熱部材13の突出端13aを光透過窓101に当接させることができる。
【0033】
ここで
図7は、第1実施形態に係る口腔内測定装置1の要部断面図であって、
図6のA-A断面に相当する図である。
図7および先の
図6にも矢印で示したように、位置決め部材14の押圧に追従させて伝熱部材13の突出端13aがカバー部材100の光透過窓101側に押圧されることにより、伝熱部材13の突出端13aが光透過窓101に当接し易くなる(
図7A部参照)。この結果、光透過窓101の結露を確実に防止することが可能となる。
【0034】
なお、
図8は、第1実施形態に係る変形例の口腔内測定装置1’の要部断面図であって、
図6のA-A断面に相当する図である。この図に示す変形例は、プリズム12における2つの非光学面12aのぞれぞれに、伝熱部材13および位置決め部材14を設けた例である。この場合も、同様に、各伝熱部材13の突出端13aが光透過窓101に当接し易くなる(
図8A部参照)。この結果、2の伝熱部材13からの加熱により、光透過窓101の結露を、より確実に防止することが可能となる。
【0035】
≪第2実施形態≫
図9および
図10は、第2実施形態に係る口腔内測定装置2の構成を説明するための要部拡大図(その1)および(その2)である。これらの
図9および
図10に示す第2実施形態の口腔内測定装置2が、
図1~
図8を用いて説明した第1実施形態の口腔内測定装置1と異なるところは、装置本体10側の位置決め部材14に対して弾性部材15を取り付けたところにある。このため、カバー部材100には、弾性部材が設けられていない。その他の構成は、第1実施形態の口腔内測定装置1と同様である。
【0036】
この場合、弾性部材15は、装置本体10にカバー部材100を装着した状態において、カバー部材100を介して、プリズム12の第1面12ba側から第2面12bb側に位置決め部材14を押圧する位置および大きさで設けられている。
【0037】
このような弾性部材15は、例えば、プリズム12の第1面12baから突出している位置決め部材14の周端縁に設けられている。このような弾性部材102は、図示したような板バネに限定されることはなく、例えばゴムのような弾性材料で構成されたものであってもよい。また弾性部材15は、位置決め部材14と一体に形成されたものであってもよく、これにより部品点数の増加が抑えられる。
【0038】
<第2実施形態の効果>
以上説明した第2実施形態の口腔内測定装置2であっても、カバー部材100側からの位置決め部材14の押圧に追従させて伝熱部材13の突出端13aがカバー部材100の光透過窓101側に押圧される。このため、第1実施形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0039】
≪第3実施形態≫
図11は、第3実施形態に係る口腔内測定装置3の要部断面図であって、
図6のA-A断面に相当する図である。
図11に示す第3実施形態の口腔内測定装置3が、
図1~
図8を用いて説明した第1実施形態の口腔内測定装置1と異なるところは、プリズム12の非光学面12aに沿って設けた伝熱部材13’の突出端13a’の形状にある。その他の構成は、第1実施形態の口腔内測定装置1と同様である。
【0040】
伝熱部材13’において、プリズム12から突出する突出端13a’は、突出長さ[d](
図3参照)の先端において、プリズム12の対物面12bb’に沿って屈曲している。すなわち、伝熱部材13’の突出端13a’の先端は、装置本体10にカバー部材100を装着した状態において、光透過窓101と平行に屈曲している。
【0041】
突出端13a’の先端、すなわち屈曲部分から先端側の長さは、対物面12bb’においての測定光の透過に影響のない範囲であることとする。また屈曲部分および先端側の材質は、伝熱部材13’の装置本体部分と同様に、銀、銅、金、アルミニウム、ニッケル、白金のような熱伝導率の良好な材料からなることとし、装置本体部分と同一の材料であってもよく、異なる材料であってもよい。ただし、伝熱部材13’の屈曲部分は、機械的な強度を考慮すると、弾性を有することが好ましく、弾性材料によって構成されるか、または例えば微細な屈曲により弾性を有する構造となっていることとする。また伝熱部材13’は、全体が同一材料で一体に構成されていてもよい。さらに屈曲部分の板厚を部分的に大きくしたり、別体で支持することにより補強された構造であってもよい。
【0042】
<第3実施形態の効果>
以上説明した第3実施形態によれば、他の実施形態のものと比較して、伝熱部材13’の突出端13a’と、光透過窓101との接地面積を大きくすることが可能である。このため、突出端13a’から光透過窓101への伝熱効果が高められ、さらに確実に光透過窓101の結露を防止することが可能となる。
【0043】
≪第4実施形態≫
図12は、第4実施形態に係る口腔内測定装置4の構成を説明するための要部拡大図である。
図12に示す第4実施形態の口腔内測定装置4が、
図1~
図8を用いて説明した第1実施形態の口腔内測定装置1と異なるところは、装置本体10の筐体11と、カバー部材100とに、位置決め機構を設けたところにあり、その他の構成は、第1実施形態の口腔内測定装置1と同様である。
【0044】
すなわち、装置本体10の筐体11において、カバー部材100の挿入口100aの周端縁が当接する位置には、プリズム12の延設方向に沿って嵌合部としての位置決めピン16が立設されている。一方、カバー部材100において、装置本体10における筐体11の周端縁が当接する位置には、位置決めピン16が挿入される位置決め孔103が嵌合部として設けられている。これらの位置決めピン16、および位置決め孔103によって、装置本体10とカバー部材100との位置決め機構が構成されている。
【0045】
これらの位置決めピン16と位置決め孔103からなる位置決め機構は、少なくとも2か所に配置されることが好ましい。また位置決めピン16と位置決め孔103とは逆であってもよく、カバー部材100に位置決めピンが設けられ、筐体11に位置決め孔が設けられてもよい。
【0046】
<第4実施形態の効果>
以上説明した第4実施形態によれば、筐体11とカバー部材100との位置決め機構を設けたことにより、装置本体10に対してカバー部材100を装着する際の装着状態を、一定の状態とすることができる。このため、装置本体10のプリズム12とカバー部材100との間に空間部が介在している場合であっても、装置本体10のプリズム12とカバー部材100との装着ガタを解消することができる。これによっても、伝熱部材13の突出端13aと光透過窓101との当接を確実とすることができるため、光透過窓101の結露を確実に防止することが可能となる。
【0047】
≪第5実施形態≫
図13は、第5実施形態に係る口腔内測定装置5の構成を説明するための要部拡大図である。
図13に示す第5実施形態の口腔内測定装置5が、
図1~
図8を用いて説明した第1実施形態の口腔内測定装置1と異なるところは、プリズム12の非光学面12aに沿って設けた伝熱部材13”の形状にある。その他の構成は、第1実施形態の口腔内測定装置1と同様である。
【0048】
すなわち、伝熱部材13”は、薄板状の長尺部材であることに限定されず、プリズム12の非光学面12aに沿った幅の広い形状を有する薄板状のものであってもよい。この場合、
図13に示すように、伝熱部材13”は、熱源となる光源部分を備えた照明部材11aから、プリズム12の非光学面12aに向かって表面積が広く形成され、プリズム12の非光学面12a部分においては非光学面12aと略同一の面形状を有し、カバー部材100の装着に影響のない範囲において非光学面12aから突出してもよい。
【0049】
この場合、伝熱部材13”の突出端は、カバー部材100の光透過窓101と同程度の幅でプリズム12の非光学面12aから突出して設けられることとが好ましい。ここで同程度とは、光透過窓101の幅と同一の幅を含み、好ましくは光透過窓の幅の80%以上、さらに好ましくは90%以上の幅を意味し、位置ずれを考慮すると光透過窓101の幅よりも大きいことがさらに好ましい。これにより、伝熱部材13”において非光学面12aからはみ出した突出端13a”が、カバー部材100の光透過窓101に広い範囲で当接する構成となっている。
【0050】
<第5実施形態の効果>
以上説明した第5実施形態によれば、照明部材から前記プリズムの非光学面に向かって、表面積が広く形成されていることにより、照明部材で発生した熱を、伝熱部材13”によって、効果的に光透過窓101に伝熱することができる。このような熱伝導効率の向上により、光透過窓101の結露を確実に防止することが可能となる。
【0051】
なお、以上の各実施形態および変形例は、それぞれ組み合わせることが可能であり、組み合わせることによってそれぞれの効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0052】
1,1’,2,3,4,5…口腔内測定装置
10…装置本体
11…筐体
11a…照明部材
11b…撮像部材
12…プリズム
12a…非光学面
12b…光学面
12ba…第1面
12bb…第2面
12bb’…対物面
12bc…第3面
13,13,13”…伝熱部材
13a,13a’,13a”…突出端
14…位置決め部材
15…弾性部材
16…位置決めピン(嵌合部)
100…カバー部材
101…光透過窓
102…弾性部材
103…位置決め孔(嵌合部)
[T]…測定対象物