(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174414
(43)【公開日】2022-11-24
(54)【発明の名称】空気清浄器及び空気清浄器ユニット
(51)【国際特許分類】
B03C 3/155 20060101AFI20221116BHJP
B03C 3/32 20060101ALI20221116BHJP
F24F 8/108 20210101ALI20221116BHJP
F24F 8/80 20210101ALI20221116BHJP
F24F 8/192 20210101ALI20221116BHJP
【FI】
B03C3/155 Z
B03C3/32
F24F8/108 110
F24F8/80 212
F24F8/80 238
F24F8/192
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080197
(22)【出願日】2021-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】505389547
【氏名又は名称】株式会社岐阜多田精機
(74)【代理人】
【識別番号】110000615
【氏名又は名称】弁理士法人Vesta国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多田 憲生
【テーマコード(参考)】
4D054
【Fターム(参考)】
4D054AA13
4D054BB30
4D054BC11
4D054EA11
(57)【要約】
【課題】小型化可能で集塵効率も良いこと。
【解決手段】空気清浄器1は、回転駆動により空気の流れを発生させるファン20と、空気の流通を許容し空気中の塵埃を捕集する捕集部としてのフィルタ41と、ファン20の回転駆動で摩擦され静電気を帯電するファン20と一体のファン摩擦部25と、フィルタ41に接触または近接して設けられ、ファン20のファン摩擦部25と接触しファン20の回転駆動でファン摩擦部25と摩擦して静電気を帯電する、ファン20に対向した対向摩擦部として、ファン20に対向して配設し空気の流通を許容する開口部33を有する摩擦体31と一体の突起部35とを具備する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動により空気の流れを発生させるファンと、
前記ファンの吸気側に配設し、前記空気の流通を許容して前記空気中の塵埃を捕集する捕集部と、
前記ファンの回転駆動で摩擦され静電気を帯電する前記ファンと一体のファン摩擦部と、
前記捕集部を構成し、または、前記捕集部に接触若しくは近接して設けられ、前記ファン摩擦部と接触し前記ファンの回転駆動で前記ファン摩擦部と摩擦し静電気を帯電する、前記ファンに対向した対向摩擦部と
を具備することを特徴とする空気清浄器。
【請求項2】
所定容積の収容空間を画成する周囲面に空気の吸気口及び排気口を有するケーシングと、
前記ケーシング内に収納され、前記吸気口から吸気し前記排気口に排気する空気の流れを回転駆動により発生させるファンと、
前記ケーシングの内側または外側で前記ファンの吸気側に配設され、前記空気の流通を許容して前記空気中の塵埃を捕集する捕集部と、
前記ファンの回転駆動で摩擦され静電気を帯電する前記ファンと一体のファン摩擦部と、
前記捕集部を構成し、または、前記捕集部に接触若しくは近接して設けられ、前記ファン摩擦部と接触し前記ファンの回転駆動で前記ファン摩擦部と摩擦し静電気を帯電する、前記ファンに対向した対向摩擦部と
を具備することを特徴とする空気清浄器。
【請求項3】
前記捕集部は、フィルタで構成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気清浄器。
【請求項4】
前記ファン摩擦部は、前記ファンを構成する一部とし、前記対向摩擦部よりも摩擦面積を広くしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の空気清浄器。
【請求項5】
前記対向摩擦部は、前記ファン摩擦部よりも摩擦面積を広くしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の空気清浄器。
【請求項6】
回転駆動により空気の流れを発生させるファンと、前記ファンの吸気側に配設し、前記空気の流通を許容して前記空気中の塵埃を捕集する捕集部と、前記ファンの回転駆動で摩擦され静電気を帯電する前記ファンと一体のファン摩擦部と、前記捕集部を構成し、または、前記捕集部に接触若しくは近接して設けられ、前記ファン摩擦部と接触し前記ファンの回転駆動で前記ファン摩擦部と摩擦し静電気を帯電する、前記ファンに対向した対向摩擦部とを有する第1の空気清浄器と、
回転駆動により空気の流れを発生させるファンと、前記ファンの吸気側に配設し、前記空気の流通を許容して前記空気中の塵埃を捕集する捕集部と、前記ファンの回転駆動で摩擦され静電気を帯電する前記ファンと一体のファン摩擦部と、前記捕集部を構成し、または、前記捕集部に接触若しくは近接して設けられ、前記ファン摩擦部と接触し前記ファンの回転駆動で前記ファン摩擦部と摩擦し前記第1の空気清浄器の対向摩擦部の帯電極性とは反対極性の静電気を帯電する、前記ファンに対向した対向摩擦部とを有する第2の空気清浄器と
を具備することを特徴とする空気清浄器ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩擦によって発生させた静電気を利用して空気中の塵埃を捕集できる空気清浄器及び空気清浄器ユニットに関するもので、特に、持ち運びできる小型の空気清浄器及び空気清浄器ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、生活の質を重視する傾向や、健康意識の高まりから、また、PM2.5、黄砂、花粉の飛来や大気汚染による健康害の懸念から、空気中に浮遊している花粉、タバコの煙等の固体状または液体状の粒子、臭気ガス、空気中に浮遊している微生物等を含む塵埃を除去する空気清浄器が家庭やオフィス等に広く普及している。
【0003】
例えば、ファン式の空気清浄器は、ファンの回転により吸引した空気をフィルタに通すことで、空気中に浮遊している粒子等の塵埃を除去するものである。
ところが、こうしたフィルタにより空気中の粒子等の塵埃を集塵、濾過するものでは、捕捉される粒子サイズはフィルタの目のサイズに依存することから、微細な粒子を捕捉可能な目の細かなフィルタを使用すると、圧力損失が大きくなる。このため、目の細かなフィルタを用いて微細な粒子を捕捉する捕集効率を高めるためには、ファンによる吸引力を高める必要があり、捕集効率と小型化の両立が困難である。
【0004】
また、ファン式以外の空気清浄器として、電気集塵式の空気清浄器も知られている。この電気集塵式の空気清浄機器は、ワイヤー状(針状)の電極に直流の高電圧を印加することによりコロナ放電させ、コロナ放電の際に生じる加速イオンによって空気中の塵埃を帯電させる一方、集塵部においても直流の高電圧が印加される電極を有し、電極間に高電圧を印加することで静電界を形成することにより、帯電した塵埃を静電気的に集塵部に捕集するものである。
しかしながら、この電気集塵式の空気清浄器においては、集塵に放電や高電圧を使用するものであるから、大型で重いものにならざるを得ない。また、ファン式に比べると安全性や電極のメンテンナンスを含め取扱性にも難がある。
【0005】
そこで、高電圧をかけなくとも静電気を発生させて空気中の塵埃を捕集する技術として、例えば、特許文献1及び特許文献2がある。
特許文献1は、平行に複数設けた集塵手段と、前記集塵手段の外面を摩擦して静電気を帯電させる摩擦手段と、前記摩擦手段を集塵手段の外面に沿って摩擦移動させる駆動手段と、前記集塵手段を保持する保持手段とを備えた集塵装置を開示している。
また、特許文献2は、空気が通過する風路が形成されるように互いに間隔をあけて配列された、摩擦により帯電する複数の集塵体と、前記集塵体を摩擦して帯電させる1以上の摩擦体とを備え、前記風路を挟んで対向する前記集塵体のうち少なくとも一方は、前記風路に向かって突出する1以上の突起部を有する集塵デバイスを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-336733号公報
【特許文献2】再表2019/003379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2の集塵装置(集塵デバイス)においては、空気調和機への採用を前提とするものであり、空気流を生じさせるファンやブロアの駆動手段と、集塵体(集塵手段)を摩擦する摩擦体(摩擦手段)を摩擦移動させる駆動手段とが設けられ、装置が大掛かりで高価なものである。
【0008】
そこで、本発明は、小型化可能で集塵効率も良い空気清浄器及び空気清浄器ユニットの提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明の空気清浄器は、空気の流れを発生させるファンの回転駆動で摩擦され静電気を帯電する前記ファンと一体のファン摩擦部と、空気の流通を許容し前記空気中の塵埃を捕集する捕集部を構成し、または、前記捕集部に接触若しくは近接して設けられ、前記ファン摩擦部と接触し前記ファンの回転駆動で前記ファン摩擦部と摩擦し静電気を帯電する、前記ファンに対向した対向摩擦部とを有し、互いに接触している前記ファン摩擦部と前記対向摩擦部が前記ファンの回転駆動によって摩擦することで静電気を帯電するものである。
【0010】
上記ファンは、回転駆動により空気の流れを発生させるものであり、例えば、軸流ファン、遠心ファン、シロッコファン等が使用できる。
【0011】
上記捕集部は、空気の流通を許容し、そこを通過する空気中の粒子等の塵埃を捕集するものであり、特に、ファン摩擦部と対向摩擦部の摩擦で生じた静電気力(クーロン力)で空気中の帯電している粒子等の塵埃を捕集し、吸着するものであり、静電気力を帯電する対向摩擦部を構成しそこで帯電している粒子等の塵埃を捕集してもよいし、静電気力を帯電する対向摩擦部に接触または近接して設けて、対向摩擦部の帯電した静電気力で引き付けられた帯電している粒子等の塵埃を対向摩擦部に接触または近接して設けた捕集部によって捕捉するようにしてもよい。好ましくは、濾過式のフィルタ機能を有するものであり、例えば、網状、筋状のものや、不織布、編物、織物、フェルト等が使用できる。
なお、上記塵埃とは、空気中に浮遊している花粉、タバコの煙、臭ガス成分等の固体状または液体状の粒子や空気中に浮遊している微生物等を含むものである。
【0012】
上記ファン摩擦部は、ファンに一体に設けたものであり、ファンに対向して設けた対向摩擦部が接触し、ファンの回転する動きで対向摩擦部と摩擦して静電気を帯電するものである。回転駆動するファンを構成する一部であってもよいし、ファンと一体に形成したものであってもよい。
【0013】
上記対向摩擦部は、ファンに対向して設けてファンに一体のファン摩擦部に接触しファンの回転する動きでファン摩擦部と摩擦して静電気を帯電するものである。捕集部を構成または捕集部と一体に構成してもよいし、捕集部とは別にして捕集部に接触または近接して設けてもよい。
【0014】
請求項2の発明の空気清浄器は、所定容積の収容空間を画成する周囲面に空気吸入口及び空気排気口を有するケーシングと、前記ケーシング内に収納され、前記吸気口から吸気し前記排気口に排気する空気の流れを発生させるファンの回転駆動で摩擦され静電気を帯電する前記ファンと一体のファン摩擦部と、空気の流通を許容し前記空気中の塵埃を捕集する捕集部を構成し、または、前記捕集部に接触若しくは近接して設けられ、前記ファン摩擦部と接触し前記ファンの回転駆動で前記ファン摩擦部と摩擦し静電気を帯電する、前記ファンに対向した対向摩擦部とを有し、互いに接触している前記ファン摩擦部と前記対向摩擦部が前記ファンの回転駆動によって摩擦することで静電気を帯電するものである。
【0015】
上記ケーシングは、ファン等を収容する所定容積の収容空間を形成し、その周囲面に空気を流通させる吸気口及び排気口を有するものであり、例えば、所定の容積空間を有する容器本体とその容器本体の開口を覆う蓋体との結合及び分離自在に構成することで内部に収容した部品の交換を自在とするが、一体で分離しない構造であってもよい。
上記ファンは、回転駆動により空気の流れを発生させるものであり、例えば、軸流ファン、遠心ファン、シロッコファン等が使用できる。
【0016】
上記捕集部は、空気の流通を許容し、そこを通過する空気中の粒子等の塵埃を捕集するものであり、特に、ファン摩擦部と対向摩擦部の摩擦で生じた静電気力(クーロン力)で空気中の帯電している粒子等の塵埃を捕集し、吸着するものであり、静電気力を帯電する対向摩擦部を構成しそこで帯電している粒子等の塵埃を捕集してもよいし、静電気力を帯電する対向摩擦部に接触または近接して設けて、対向摩擦部の帯電した静電気力で引き付けられた帯電している粒子等の塵埃を対向摩擦部に接触または近接して設けた捕集部によって捕捉するようにしてもよい。好ましくは、濾過式のフィルタ機能を有するものであり、例えば、網状、筋状のものや、不織布、編物、織物、フェルト等が使用できる。
なお、上記塵埃とは、空気中に浮遊している花粉、タバコの煙、臭ガス成分等の固体状または液体状の粒子や空気中に浮遊している微生物等を含むものである。
【0017】
上記ファン摩擦部は、ファンに一体に設けたものであり、ファンに対向して設けた対向摩擦部が接触し、ファンの回転する動きで対向摩擦部と摩擦して静電気を帯電するものである。回転駆動するファンを構成する一部であってもよいし、ファンと一体に形成したものであってもよい。
【0018】
上記対向摩擦部は、ファンに対向して設けてファンに一体のファン摩擦部に接触しファンの回転する動きでファン摩擦部と摩擦して静電気を帯電するものである。捕集部を構成または捕集部と一体に構成してもよいし、捕集部とは別にして捕集部に接触または近接して設けてもよい。
【0019】
請求項3の発明の空気清浄器の前記捕集部は、濾過式のフィルタで構成したものである。
上記濾過式のフィルタとは、空気中に含まれる塵埃の通過を物理的に遮断して濾過、集塵する機能があればよく、例えば、網状、筋状のもの、不織布、フェルト、織物、編物等が使用される。
【0020】
請求項4の発明の空気清浄器の前記ファン摩擦部は、前記ファンを構成する一部とし、前記対向摩擦部よりも摩擦面積を広くしたものである。前記ファン摩擦部は、例えば、前記ファンの回転軸周りのハブ部やボス部に相当する部分の広い摩擦面積とする一方、前記対向摩擦部は、前記ファン摩擦部の一部に当接する狭い摩擦面積としたものである。
【0021】
請求項5の発明の空気清浄器の前記対向摩擦部は、前記ファン摩擦部よりも摩擦面積を広くしたものである。前記ファン摩擦部は、前記ファンと一体に設けて前記対向摩擦部の一部に当接する狭い摩擦面積とする一方、前記対向摩擦部は、前記ファン摩擦部が接触する広い摩擦面積としたものである。
【0022】
請求項6の発明の空気清浄器ユニットは、空気の流れを発生させるファンの回転駆動で摩擦され静電気を帯電する前記ファンと一体のファン摩擦部と、空気の流通を許容し前記空気中の塵埃を捕集する捕集部を構成し、または、前記捕集部に接触若しくは近接して設けられ、前記ファン摩擦部と接触し前記ファンの回転駆動で前記ファン摩擦部と摩擦し静電気を帯電する、前記ファンに対向した対向摩擦部とを有する第1の空気清浄器と、空気の流れを発生させるファンの回転駆動で摩擦され静電気を帯電する前記ファンと一体のファン摩擦部と、空気の流通を許容し前記空気中の塵埃を捕集する捕集部を構成し、または、前記捕集部に接触若しくは近接して設けられ、前記ファン摩擦部と接触し前記ファンの回転駆動で前記ファン摩擦部と摩擦し前記第1の空気清浄器の対向摩擦部の帯電極性とは反対極性の静電気を帯電する、前記ファンに対向した対向摩擦部とを有する第2の空気清浄器とを具備し、前記各第1空気清浄器及び第2空気清浄器において、互いに接触している前記ファン摩擦部と前記対向摩擦部が前記ファンの回転駆動によって摩擦することで静電気を帯電するものである。
【0023】
上記ファンは、回転駆動により空気の流れを発生させるものであり、例えば、軸流ファン、遠心ファン、シロッコファン等が使用できる。
【0024】
上記捕集部は、空気の流通を許容し、そこを通過する空気中の粒子等の塵埃を捕集するものであり、特に、ファン摩擦部と対向摩擦部の摩擦で生じた静電気力(クーロン力)で空気中の帯電している粒子等の塵埃を捕集し、吸着するものであり、静電気力を帯電する対向摩擦部を構成しそこで帯電している粒子等の塵埃を捕集してもよいし、静電気力を帯電する対向摩擦部に接触または近接して設けて、対向摩擦部の帯電した静電気力で引き付けられた帯電している粒子等の塵埃を対向摩擦部に接触または近接して設けた捕集部によって捕捉するようにしてもよい。好ましくは、濾過式のフィルタ機能を有するものであり、例えば、網状、筋状のものや、不織布、編物、織物、フェルト等が使用できる。
なお、上記塵埃とは、空気中に浮遊している花粉、タバコの煙、臭ガス成分等の固体状または液体状の粒子や空気中に浮遊している微生物等を含むものである。
【0025】
上記ファン摩擦部は、ファンに一体に設けたものであり、ファンに対向して設けた対向摩擦部が接触し、ファンの回転する動きで対向摩擦部と摩擦して静電気を帯電するものである。回転駆動するファンを構成する一部であってもよいし、ファンと一体に形成したものであってもよい。
【0026】
上記対向摩擦部は、ファンに対向して設けてファンに一体のファン摩擦部に接触しファンの回転する動きでファン摩擦部と摩擦して静電気を帯電するものである。捕集部を構成または捕集部と一体に構成してもよいし、捕集部とは別にして捕集部に接触または近接して設けてもよい。
【発明の効果】
【0027】
請求項1の発明に係る空気清浄器によれば、回転駆動により空気の流れを発生させるファンと、前記ファンの吸気側に配設し、前記空気の流通を許容して前記空気中の塵埃を捕集する捕集部と、前記ファンの回転駆動で摩擦され静電気を帯電する前記ファンと一体のファン摩擦部と、前記捕集部を構成し、または、前記捕集部に接触若しくは近接して設けられ、前記ファン摩擦部と接触し前記ファンの回転駆動で前記ファン摩擦部と摩擦し静電気を帯電する、前記ファンに対向した対向摩擦部とを具備するから、ファンの回転駆動により空気流が生じ捕集部に空気が流通する。このとき、ファンに一体に設けたファン摩擦部とファンに対向配置した対向摩擦部とが互いに接触しているから、ファンの回転駆動でファン摩擦部も回転することでファン摩擦部と対向摩擦部が摩擦し静電気を帯電する。これより、対向摩擦部に接触または近接して設けた捕集部、若しくは、対向摩擦部によって構成され対向摩擦部と一体である捕集部に、摩擦対向部の帯電した静電気力によって、捕集部を流通する空気中の帯電した塵埃が捕集される。特に、このような対向摩擦部に帯電した静電気力によれば、室内空間で帯電しやすい微細な粒子も低圧損で捕捉可能である。
【0028】
よって、請求項1の発明の空気清浄器によれば、ファンの動きと摩擦する動きを共通化し、また、摩擦により帯電した静電気力で空気中の帯電している塵埃を捕集するものであるから、微細な粒子の集塵効率が良いうえ、小型で軽量かつ安価なものにすることができる。
特に、捕集部に濾過式のフィルタを使用した場合、フィルタの目を細かくしなくとも、捕集部に接触若しくは近接して設けられまたは捕集部を構成し捕集部と一体に設けられた対向摩擦部の帯電した静電気力によって、フィルタに対しフィルタの目より微細な帯電粒子を吸着させることが可能となり、フィルタの目による粒子の捕捉に加え、対向摩擦部の帯電した静電気力によっても微細な粒子を捕捉できるから、低圧損で高い集塵効率が得られ、小型化と高い集塵効率が両立する。
【0029】
請求項2の発明に係る空気清浄器によれば、所定容積の収容空間を画成する周囲面に空気の吸気口及び排気口を有するケーシングと、前記ケーシング内に収納され、前記吸気口から吸気し前記排気口に排気する空気の流れを回転駆動により発生させるファンと、前記ケーシングの内側または外側で前記ファンの吸気側に配設され、前記空気の流通を許容して前記空気中の塵埃を捕集する捕集部と、前記ファンの回転駆動で摩擦され静電気を帯電する前記ファンと一体のファン摩擦部と、前記捕集部を構成し、または、前記捕集部に接触若しくは近接して設けられ、前記ファン摩擦部と接触し前記ファンの回転駆動で前記ファン摩擦部と摩擦し静電気を帯電する、前記ファンに対向した対向摩擦部とを具備するから、ファンの回転駆動によりケーシングの吸気口から外部の空気が取り込まれ、捕集部を流通して排気口から排気する空気流が生じる。このとき、ファンに一体に設けたファン摩擦部とファンに対向配置した対向摩擦部とが互いに接触しているから、ファンの回転駆動でファン摩擦部も回転することでファン摩擦部と対向摩擦部が摩擦し静電気を帯電する。これより、対向摩擦部に接触または近接して設けた捕集部、若しくは、対向摩擦部によって構成され対向摩擦部と一体である捕集部に、摩擦対向部の帯電した静電気力によって、捕集部を流通する空気中の帯電した塵埃が捕集される。特に、このような対向摩擦部に帯電した静電気力によれば、室内空間で帯電しやすい微細な粒子も低圧損で捕捉可能である。
【0030】
よって、請求項2の発明の空気清浄器によれば、ファンの動きと摩擦する動きを共通化し、また、摩擦により帯電した静電気力で空気中の帯電している塵埃を捕集するものであるから、微細な粒子の集塵効率が良いうえ、小型で軽量かつ安価なものにすることができる。
特に、捕集部に濾過式のフィルタを使用した場合、フィルタの目を細かくしなくとも、捕集部に接触若しくは近接して設けられまたは捕集部を構成し捕集部と一体に設けられた対向摩擦部の帯電した静電気力によって、フィルタに対しフィルタの目より微細な帯電粒子を吸着させることが可能となり、フィルタの目による粒子の捕捉に加え、対向摩擦部の帯電した静電気力によっても微細な粒子を捕捉できるから、低圧損で高い集塵効率が得られ、小型化と高い集塵効率が両立する。
そして、請求項2の発明の空気清浄器によれば、ファン等がケーシングに収められているため、持ち運びしやすく、見栄えもよい。
【0031】
請求項3の発明に係る空気清浄器によれば、前記捕集部はフィルタで構成されたものであり、流通する空気中の粉塵を濾過できるから、請求項1及び請求項2に記載の効果に加えて、小型化と高い集塵効率を両立できる。
【0032】
請求項4の発明に係る空気清浄器によれば、前記ファン摩擦部は、前記ファンを構成する一部とし、前記対向摩擦部よりも摩擦面積を広くしたものであるから、少ない部品点数及び省スペースで済む。よって、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の効果に加えて、製造が容易で低コスト化できる。
【0033】
請求項5の発明に係る空気清浄器によれば、前記対向摩擦部は、前記ファン摩擦部よりも摩擦面積を広くしたものであり、ファンよりも捕集部に近い対向摩擦部または捕集部を構成する対向摩擦部がファン摩擦部よりも広い面積で摩擦されるものであるから、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の効果に加えて、静電気力で捕集部に塵埃を捕集する捕集効率を高めることが可能である。
【0034】
請求項6の発明に係る空気清浄器ユニットによれば、回転駆動により空気の流れを発生させるファンと、前記ファンの吸気側に配設し、前記空気の流通を許容して前記空気中の塵埃を捕集する捕集部と、前記ファンの回転駆動で摩擦され静電気を帯電する前記ファンと一体のファン摩擦部と、前記捕集部を構成し、または、前記捕集部に接触若しくは近接して設けられ、前記ファン摩擦部と接触し前記ファンの回転駆動で前記ファン摩擦部と摩擦し静電気を帯電する、前記ファンに対向した対向摩擦部とを有する第1の空気清浄器、及び、回転駆動により空気の流れを発生させるファンと、前記ファンの吸気側に配設し、前記空気の流通を許容して前記空気中の塵埃を捕集する捕集部と、前記ファンの回転駆動で摩擦され静電気を帯電する前記ファンと一体のファン摩擦部と、前記捕集部を構成し、または、前記捕集部に接触若しくは近接して設けられ、前記ファン摩擦部と接触し前記ファンの回転駆動で前記ファン摩擦部と摩擦し前記第1の空気清浄器の対向摩擦部の帯電極性とは反対極性の静電気を帯電する、前記ファンに対向した対向摩擦部とを有する第2の空気清浄器を具備する。よって、各第1の空気清浄器及び第2の空気清浄器において、ファンの回転駆動により空気流が生じ捕集部に空気が流通する。このとき、ファンに一体に設けたファン摩擦部とファンに対向配置した対向摩擦部とが互いに接触しているから、ファンの回転駆動でファン摩擦部も回転することでファン摩擦部と対向摩擦部が摩擦し静電気を帯電する。これより、対向摩擦部に接触または近接して設けた捕集部、若しくは、対向摩擦部によって構成され対向摩擦部と一体である捕集部に、摩擦対向部の帯電した静電気力によって、捕集部を流通する空気中の帯電した塵埃が捕集される。そして、このような対向摩擦部に帯電した静電気力によれば、室内空間で帯電しやすい微細な粒子も低圧損で捕捉可能である。
【0035】
特に、請求項6の発明の空気清浄器によれば、第1の空気清浄器の対向摩擦部と第2空気清浄機の対向摩擦部とにおいて帯電極性を対にしていることで、空気中のマイナスに帯電した塵埃とプラスに帯電した塵埃の両方を第1の空気清浄器の捕集部または第2空気清浄機の捕集部で捕集できるから、周囲環境条件によらず高い捕集効率が得られる。
【0036】
こうして、請求項6の発明の空気清浄ユニットによれば、ファンの動きと摩擦する動きを共通化し、また、摩擦により帯電した静電気力で空気中の帯電している塵埃を捕集するものであるから、微細な粒子の集塵効率が良いうえ、小型で軽量かつ安価なものにすることができる。
特に、捕集部に濾過式のフィルタを使用した場合、フィルタの目を細かくしなくとも、捕集部に接触若しくは近接して設けられまたは捕集部を構成し捕集部と一体に設けられた対向摩擦部の帯電した静電気力によって、フィルタに対しフィルタの目より微細な帯電粒子を吸着させることが可能となり、フィルタの目による粒子の捕捉に加え、対向摩擦部の帯電した静電気力によっても微細な粒子を捕捉できるから、低圧損で高い集塵効率が得られ、小型化と高い集塵効率が両立する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】
図1は本発明の実施の形態に係る空気清浄器の全体構成を説明する説明図である。
【
図2】
図2は本発明の実施の形態に係る空気清浄器の外観及び空気の流れを示した説明図である。
【
図3】
図3は本発明の実施の形態に係る空気清浄器の内部構成を説明する説明図である。
【
図4】
図4は本発明の実施の形態に係る空気清浄器のファン摩擦部と対向摩擦部を説明する説明図である。
【
図5】
図5は本発明の実施の形態に係る空気清浄器の対向摩擦部を説明する部分拡大図である。
【
図6】
図6は本発明の実施の形態に係る空気清浄器のファンを収容したケーシングの構造を説明する説明図である。
【
図7】
図7は本発明の実施の形態に係る空気清浄器のファンとファンを収容するケーシングの構造を説明する分解説明図である。
【
図8】
図8は本発明の実施の形態に係る空気清浄器の
図2に示したA-A線部分断面図である。
【
図9】
図9は本発明の実施の形態に係る空気清浄器の突起部の他の例を説明する説明図である。
【
図10】
図10は本発明の実施の形態の変形例1に係る空気清浄器のファン摩擦部としての突起部及び対向摩擦部を説明する説明図である。
【
図11】
図11は本発明の実施の形態の変形例2に係る空気清浄器のファン摩擦部としての突起部及び対向摩擦部を説明する説明図である。
【
図12】
図12は本発明の実施の形態や変形例に係る空気清浄器の使用形態を例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、各実施の形態及び変形例において、同一の記号及び同一の符号は同一または相当する機能部分を意味し、各実施の形態及び変形例の相互の同一の記号及び同一の符号は、それら実施の形態及び変形例に共通する機能部分であるから、ここでは重複する詳細な説明を省略する。
【0039】
[実施の形態]
まず、本発明の実施の形態に係る空気清浄器1について、
図1乃至
図8を参照して、説明する。
本実施の形態の空気清浄器1は、回転駆動により空気の流れを発生させるファン20と、ファン20の前方の吸気側に配設し空気の流通、即ち、通気を許容するフィルタ41と、ファン20とフィルタ41の間に配設されファン20の中央のファン摩擦部25に接触させる対向摩擦部としての突起部35を設けた摩擦体31と、ファン20を回転駆動させるモータ46及びモータ46に電力を供給する電源部としての電池41と、が容器本体11及び蓋体12からなるケーシング10に収容されて構成されている携帯可能な小型のものである。
【0040】
本実施の形態のケーシング10は、ファン20、モータ46及び電池41等を収容する略直方体の箱状で、上方が開口した容器本体11と、容器本体11の開口を閉じる蓋体12とから構成されている。
図1、
図6及び
図7等で示すように、略直方体状の容器本体11は、底面部11a及び底面部11aに立設した4面の側壁部11bからなり、それら底面部11a及び4面の側壁部11bで画成された内部には、底面部11aに立設した整流仕切部13によって、ファン20を収容してファン20の回転駆動で生じる空気流を整流するファン収容空間14が区画されている。
【0041】
そして、本実施の形態の容器本体11では、底面部11aに立設した側壁部11bの4面のうちの1面の側壁部11bと整流仕切部13とで、ファン20を収容するファン収容空間14を画成し、ファン収容空間14を画成している1面の側壁部11bには、複数の孔からなり通気を許容する排気口15Bを有する。
なお、容器本体11内において、ファン収容空間14側の底面部11aは、
図7に示すように、略凹状に形成され、駆動軸46aによってファン20に直結されてファン20を回転駆動するモータ46が収容されるモータ収容空間16を形成しており、ファン20の背面側にモータ46が配設される。
図7に示す容器本体11においては、モータ46を収容するモータ収容空間16内にモータ46の移動を規制する複数の規制部16aが放射状に形成されており、放射状に配置した複数の規制部16aに囲まれた中央部分にモータ46が嵌合している。
【0042】
また、
図6及び
図7等に示した容器本体11内には、底面部11aに立設した電池仕切部18によって、ファン20を回転駆動するモータ46に電力を供給する電池41が収容される電池収容空間17が区画されており、電池仕切部18及び側壁部11bとで画成される電池収容空間17に電池41が収容される。
そして、この容器本体11には、電池41からモータ46に電力を供給するリード線42の電気回路のON/OFFを行うスイッチ部43が取付けられており、電池41に接続されているリード線42は、スイッチ部43を経由してモータ46に接続されている。
【0043】
また、
図1及び
図2に示すように、本実施の形態のケーシング10を構成し容器本体11の開口を閉じる蓋体12は、断面略コ字状に形成され、その中央側で網状に開口を形成した通気を許容する吸気口15Aを有する。
【0044】
本実施の形態のケーシング10を構成するこれら容器本体11及び蓋体12は、互いに嵌合する構造で構成されており、容器本体11の開口を塞ぐように蓋体12が着脱自在に固着される。
ケーシング10の容器本体11及び蓋体12は、プラスチック、セラミックス、金属、ガラス等の任意の材料から形成することができるが、携帯性、軽量性、取扱性の観点から、更には、静電気を効率的に帯電させる観点から、プラスチック製が好ましい。
【0045】
ケーシング10の容器本体11内に収容された本実施の形態のファン20は、
図1、
図6及び
図7等で示すように、遠心ターボ型のファンであり、円形基板21及び円形基板21の上面に一体に形成した複数枚のブレード22から形成されている。本実施の形態のファン20は、例えば、軽量で取扱性がよいプラスチック製のものからなり、その中央部のハブ部に相当する部分の環状のファン摩擦部25がファン20の吸気側、即ち、ブレード22形成側の前方に配設する摩擦体31に設けた突起部35と摩擦することで、静電気を帯電する材質である。
【0046】
本実施の形態のファン20の円形基板21は、例えば、直径4cm~10cm程度である円形状の外形を有し、その中央部に向かって突出する山形の断面略凸状に形成されているものであり、その中央部にはモータ46の駆動軸(回転軸)46aが取付けられる取付孔26aを形成した円筒部26を有する。
【0047】
また、本実施の形態のファン20のブレード22は、円板基板21上で駆動軸46aの取付孔26aを有する円筒部26を中心として略放射線状に円周方向に所定の等間隔で複数枚、例えば、6枚~15枚程度が形成されたものである。
図7等で示すように、各ブレード22の形状は、例えば、全体が略台形状または略矩形状で湾曲した平板状を成し、内側及び/または外側の端部の傾斜面のエッジにおいてギザキザが付され鋸歯状に形成される。本実施の形態において、各ブレード22は、
図6及び
図7等で示すように、所謂、後ろ向き羽根であり、円板基板21の中心部から外周に向かって、回転方向とは逆方向に湾曲する曲率を有するもので、各ブレード22の間隔は中心部側から外周に向かって幅広となっている。こうしたブレード22の後ろ向き羽根の形状と、内側及び/または外側の傾斜面のエッジにおいてギザキザが付され鋸歯状に形成されたブレード22の形状によれば、空気流との抵抗を少なくし、静音化及び空気流の効率が高いものとなる。
【0048】
このような構成の本実施の形態のファン20は、その中央部の円筒部26の取付孔26aにモータ46の駆動軸(回転軸)46aが取付けられることによりモータ46の駆動によってその駆動軸46aが取付けられた円筒部26を中心として回転される。そして、ファン20の回転駆動によりその駆動軸46aに対して垂直な半径方向に空気流が生じるものである。即ち、互いに隣接する2枚のブレード22間を円筒部26側から外周側に向かう空気流が生じるものである。
【0049】
そして、本実施の形態のファン20は、その円形基板21の中央部において、モータ46の駆動軸46aが取付けられた円筒部26の周囲のハブ部に相当する部分が、ファン20の前方に対向配置される摩擦体31に設けた突起部35が当接して摩擦される環状のファン摩擦部25を形成する。なお、本実施の形態のファン20の円形基板21においては、その中心側の円筒部26を頂点とし円筒部26側に向かって突出する断面略凸状の山形状に形成されているから、円筒部26を中心として放射線状に配設したブレード22と円筒部26の間のハブ部に相当する部分の周方向に連続するファン摩擦部25は、傾斜面を有するものである。
【0050】
更に、
図1、図、
図5及び
図8等で示すように、ケーシング10の容器本体11内に収容されたファン20の前方には、ファン20の円形基板21中央部のファン摩擦部25の表面に接触させる突起部35を設けた摩擦体31が配設される。本実施の形態の摩擦体31は、ケーシング10の容器本体11の開口を覆う大きさ、即ち、容器本体11の開口面と略同等面積の板状に形成され、容器本体11の開口を覆うようにケーシング10内に収容される。
この摩擦体31は、例えば、軽量で取扱性がよいプラスチック製のものからなり、突起部35によるファン20のファン摩擦部25との摩擦で静電気を帯電する材質である。
【0051】
本実施の形態の摩擦体31は、板状の基板32に対しファンに対向させる面側からファン20側に向かって突出して延びる突起部35を設けたものであり、板状の基板32には容器本体11内に収容されたファン20に対向する箇所で空気の流通、即ち、通気を許容する開口部33が形成されている。
【0052】
そして、本実施の形態の摩擦体31では、板状の基板32において開口部33を区画するように放射線状に補強リブ34が形成されており、その補強リブ34に対しファン20に対向する面側でファン20の円形基板21の中央部に設けた円筒部26の周囲の環状のファン摩擦部25に接触させる突起部35が形成されている。なお、
図1乃至
図5等に示した摩擦体31においては、放射線状に配した補強リブ34の中心部であって、ファン20の円筒部26に対向する部分は、略六角形状または円形状の板状中央部36となっている。更に、摩擦体31の板状の基板32には、適宜、補強のためのリブや、摩擦体31のガタツキを防止して位置決めを行うためのリブや、後述する不織布からなるフィルタ41を係止するための突起部等を形成してもよい。
【0053】
本実施の形態の突起部35は、ファン20のファン摩擦部25の傾斜面に対応し、その先端部が、板状中央部36に近い内側よりも外側で補強リブ34からの突出長さを長くして傾斜しており、ファン20のファン摩擦部25の表面と線接触以上、即ち、線接触または線接触に近い面接触を確保して、接触抵抗を高める形状としている。
また、本実施の形態の突起部35は、平板状の基板32の補強リブ34からファン20側に向かって延びるように突出形成したものであるが、板状の基板32の面の垂直方向に対して傾斜して補強リブ34に設けられており、特に、ファン20の回転方向とは逆方向の向きで傾かせていることで、空気流との抵抗を少なくし負荷を少なくしている。
【0054】
こうした突起部35を有する摩擦体31は、突起部35がファン20の円板基板21における円筒部26周囲のファン摩擦部25の表面に接触するようにファン20に対向して配設されることで、ファン20に当接した突起部35がファン20の回転に伴いファン20のファン摩擦部25の表面を摩擦し、ファン摩擦部25やファン摩擦部25を有するファン20及び突起部35や突起部35を有する摩擦体31が静電気を帯電する。
【0055】
ここで、ファン摩擦部25を有するファン20及び突起部35を有する摩擦体31は、互いに異なる材質を用い、帯電列上で遠く離れた位置関係にある材質同士の組み合わせるのが好ましい。
例えば、摩擦体31を、ファン20の材質よりもマイナス(ー)に帯電しやすい材質、具体的には、マイナスへの帯電傾向が強いポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、アクリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ゴム、シリコーン等で形成する一方、ファン20を、摩擦体31の材質よりもプラス(+)に帯電しやすい材質、具体的には、プラスへの帯電傾向が強いナイロン、ポリアミド等により形成することで、ファン20のファン摩擦部25に対する摩擦体31の突起部35による摩擦によって、ファン摩擦部25やファン摩擦部25を有するファン20がプラスに帯電し、突起部35や突起部35を有する摩擦体31がマイナスに帯電する。
【0056】
或いは、その逆であってもよい。即ち、摩擦体31をプラス(+)に帯電しやすい材質、例えば、ナイロン、ポリアミド等で形成する一方、ファン20をマイナス(-)に帯電しやすい材質、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、アクリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ゴム、シリコーン等で形成することで、ファン摩擦部25やファン摩擦部25を有するファン20がマイナスに帯電し、突起部35や突起部35を有する摩擦体31がプラスに帯電する。
こうしたプラス(+)に帯電しやすいナイロン等と、マイナス(-)に帯電しやすいポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、アクリル、ポリエステル、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)等の組み合わせによれば帯電列の位置関係が遠いことで帯電量、即ち、静電気の発生量を大きくし、強い静電気力を得ることが可能となる。
【0057】
また、本実施の形態においては、
図1及び
図3等に示すように、このようにファン20のファン摩擦部25に接触させる突起部35を有する摩擦体31において突起部35と反対側の面側にフィルタ41が配設される。フィルタ41は、例えば、摩擦体31の基板32と略同等の面積に形成され、摩擦体31のファン20の対向面とは反対の面側に配設されてケーシング10内に収容される。フィルタ41は、摩擦板31または蓋体12に固定してもよいし固定してなくてもよいが、取換自在にケーシング10内に収容される。特に、フィルタ41は摩擦体31に隣接していると突起部35や突起部35を有する摩擦体31の帯電した静電気力によりフィルタ41における捕集効率を高めることができる。
【0058】
フィルタ41は、通気を許容し、ファン20の回転駆動により蓋体12の吸気口15Aから取り込まれた空気中の塵埃を濾過式で捕集できるものであればよく、本実施の形態ではスパンボンド不織布、メルトブローン不織布、湿式不織布、スパンレース不織布等の不織布を使用している。不織布の素材は特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン、アセテート、ナイロン、ポリエステル、アクリル、アラミド、ビニロン、ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリウレタン等の合成繊維や、レーヨン、キュプラ、コットン、パルプ、麻、絹等の天然繊維や、ガラス繊維からなるものが使用できる。1枚の不織布に限定されず、2枚または3枚上の不織布を重ねて使用することも可能である。こうした不織布であれば、安価で高い濾過効率を得ることができ、使い捨てであっても低コストで済み、メンテンナンスが容易で衛生さも維持できる。
【0059】
こうして、本実施の形態の空気清浄器1は、容器本体11とそれに嵌合する蓋体12とからなるケーシング10内において、容器本体11内にファン20とそれを回転駆動させるための回転軸46aを有するモータ46とその電源部となる電池41が収容され、また、その容器本体11の開口側を覆うように突起部35を有する摩擦体31が配設し、更に、摩擦体31の突起部35とは反対面側に不織布からなるフィルタ41が配設する。
【0060】
このように構成された本実施の形態の空気清浄器1によれば、ケーシング10の容器本体11に取付けたスイッチ部43をONにすると、リード線42を介して電池41からモータ46に電力が供給されて、モータ46の駆動によりその回転軸46aを中心としてファン20が回転駆動される。
【0061】
ここで、ケーシング10の容器本体11の開口側を閉じる蓋体12には、空気の流通を許容する吸気口15Aが形成され、また、ケーシング10内に配設されたフィルタ41も通気を許容する不織布からなり、更に、容器本体11内に収容されたファン20とフィルタ41の間に配設する板状の摩擦体31も、ファン20に対向する箇所で通気を許容する開口部33を有する。更に、ケーシング10の容器本体11において、収容されたファン20の周囲の側面部11bには通気を許容する排気口15Bが形成されている。
【0062】
したがって、ファン20の吸気側の前方に配設した摩擦体31の開口部33、不織布からなるフィルタ41及び蓋体12の吸気口15Aで通気が許容され、また、ケーシング10の容器本体11においてファン20の周囲の側面部11bの排気口15Bで通気が許容されているため、ケーシング10の容器本体11に収容されたファン20が回転駆動されると、そのファン20の回転駆動により蓋体12の吸気口15Aから外部の空気が吸い込まれて、不織布からなるフィルタ41及び板状の摩擦体31の開口部33を通って容器本体11内のファン20を収容したファン収容部14に流れ込み、更に、ファン収容部14を画成している容器本体11の側壁部11bの排気口15Bから排気される空気流が形成される。
【0063】
このとき、容器本体11に収容されたファン20の前方、即ち、吸気側には、不織布からなるフィルタ41を設けているから、ファン20の回転駆動により蓋体12の吸気口15Aから取り込まれた外部の空気が不織布からなるフィルタ41を通過する際に、空気中の塵埃がフィルタ41で濾過、捕集され、摩擦体31の開口部33及びファン収容部空間14を通過して容器本体11の側壁部11bの排気口15Aから排気されることになる。よって、本実施の形態の空気清浄器1によれば、空気を浄化したり脱臭(消臭、除臭)したりすることができる。
【0064】
特に、本実施の形態の空気清浄器1では、ケーシング10の容器本体11に収容されたファン20とフィルタ41との間で、容器本体11の開口を覆う大きさに形成された板状の摩擦体31を配設し、その摩擦体31にはファン20と対向する面側に突出部35を突出形成して、その突出部35をファン20の中心の円筒部26周囲であって円形基板21のブレード22が配設されていないファン摩擦部25に当接させている。
【0065】
このため、ファン20が回転すると、その動きに伴い、ファン20とフィルタ41の間に配設した摩擦体31の突出部35とファン20の円筒部26周囲のファン摩擦部25の表面とが摩擦し、ファン摩擦部25やファン摩擦部25を有するファン20及び突起部35や突起部35を有する摩擦体31が静電気を帯電する。
したがって、ファン摩擦部25やファン摩擦部25を有するファン20の全体(全面)、また、突起部35や突起部35を有する摩擦体31の全体(全面)に帯電した負または正の静電気力によって、摩擦体31に接触または近設配置したフィルタ41や摩擦体31やファン20に空気中の帯電した塵埃を吸着させ捕捉することが可能である。特に、ファン20のファン摩擦部25と摩擦体31の突起部35との摩擦で帯電させた静電気力によれば、フィルタ41の目よりも細かな塵埃の帯電粒子であっても、摩擦体31に接触または近設配置したフィルタ41に吸着させフィルタ41で捕捉することも可能となる。また、摩擦体31及びファン20の間に静電界が形成されるから、フィルタ41を通過した微細な帯電粒子であっても、また、それが正負の何れに帯電していても、摩擦体31やファン20で吸着、捕集することが可能である。
【0066】
こうして、本実施の形態の空気清浄器1によれば、フィルタ41の目を細かくしなくても、空気流を生じさせるファン20の回転駆動によってファン20のファン摩擦部25の表面と摩擦体31の突起部35とが摩擦することで、その摩擦でファン摩擦部25やファン摩擦部25を有するファン20、また、突起部35や突起部35を有する摩擦体31の帯電した静電気力により、帯電した微細な粒子の捕集も可能になるから、省エネ、低圧損で細かい粒子の捕集効率を上げることが可能となる。故に、少ないエネルギ量で高い捕集効率が得られるから、小型化が可能である。
【0067】
ここで、フィルタ41を形成する繊維として帯電し難い材質や摩擦体31の材質と帯電列上で近い材質を使用した場合には、突起部35を有する摩擦体31に帯電した電荷と同極側に帯電している空気中の粒子が摩擦体31に接触または近接して設けたフィルタ41に捕集されやすい。例えば、ファン20を摩擦体31の材質よりもマイナス(-)に帯電しやすい材質により形成する一方で、摩擦体31をプラス(+)に帯電しやすい材質により形成した場合には、空気中のマイナスに帯電した粒子がフィルタ41や摩擦体31に吸着され、捕集されやすく、更に、フィルタ41を通過した空気中のプラスに帯電した粒子はファン20に吸着、捕集されることもある。或いは、ファン20を摩擦体31の材質よりもプラス(+)に帯電しやすい材質により形成する一方で、摩擦体31をマイナス(-)に帯電しやすい材質により形成した場合には、空気中のプラスに帯電した粒子がフィルタ41や摩擦体31に吸着され、捕集されやすく、更に、フィルタ41を通過した空気中のマイナスに帯電した粒子はファン20に吸着、捕集されることもある。
【0068】
一方、フィルタ41を形成する繊維が摩擦体31の材質と反対極性に帯電しやすい材質を用いることで、フィルタ41と摩擦体31の接触帯電を生じさせて、フィルタ41と摩擦体31の接触帯電によって摩擦体31の電荷量、即ち、静電気力を高めることも可能である。この場合には、摩擦体31の帯電した電荷とは反対極側の電荷がフィルタ41に帯電しやすいことで、摩擦体31の帯電した電荷と同極に帯電している空気中の粒子がフィルタ41に捕集されやすくなる。
【0069】
特に、本実施の形態の空気清浄器1によれば、回転駆動しているファン20に対して摩擦体31の突起部35を接触して摩擦させており、ファン20の回転駆動により空気流が生じ、ケーシング10内、特に、ファン収容部14の空間は湿気が低い乾燥した状態になりやすく、ファン20のファン摩擦部25の表面抵抗や摩擦体31の突起部35の表面抵抗を大きくできるから、効率的に摩擦を生じさせて静電気の帯電を可能とし、省スペースでも高い静電気の帯電量、即ち、静電気力を得ることが可能である。
【0070】
なお、スイッチ部43のOFFによりファン20の回転が停止されると、或いは、摩擦体31やファン20に埃塵等の粒子が堆積してくると、摩擦体31やファン20の静電気力が低下、消失して、摩擦体31やファン20に付着した微粒子が落下してくる可能性がある。したがって、本発明を実施する場合には、例えば、ケーシング10の容器本体11の整流仕切部13側に摩擦体31やファン20に付着した微粒子を回収するための不織布や粘着性部材等を取換自在に配置しておくと好ましい。これにより、ファン20の吸引力の低下を防止し、高い捕集効率を長時間維持することが可能となる。
【0071】
また、本実施の形態の空気清浄器1では、ケーシング10内にフィルタ41を取換自在に収容するから、濾過能力が低下してきたらフィルタ41を交換することで濾過能力を回復することができ、メンテンナンスも低コストで済む。
更に、摩擦体31についてもケーシング10内に取換自在に収容しており、ケーシング10から取り外し自在な構成である。加えて、ファン20についても、モータ46の回転駆動軸46aに対して取付け及び取り外し自在な構成である。よって、ファン20や摩擦体31の突起部35が摩擦により摩耗し摩擦効率の低下、静電気力の低下が生じてきても、ファン20や摩擦体31を交換すれば集塵効果の回復を可能とし、低コストで長く使用できる。しかし、本発明を実施する場合には、一体に組付けられ交換を前提としないものであってもよい。
【0072】
このように上記実施の形態の空気清浄器1は、回転駆動により空気の流れを発生させるファン20と、空気が流れる空気路に配設し空気の流通を許容し空気中の塵埃を捕集する捕集部としてのフィルタ41と、ファン20の回転駆動で摩擦され静電気を帯電するファン20と一体のファン摩擦部25と、フィルタ41に接触または近接して設けられ、ファン20のファン摩擦部25と接触しファン20の回転駆動でファン摩擦部25と摩擦して静電気を帯電する、ファン20に対向した対向摩擦部として、ファン20に対向して配設し空気の流通を許容する開口部33を有する摩擦体31と一体の突起部35とを具備するものである。
【0073】
また、上記実施の形態は、所定の容積空間を有する容器本体11と容器本体11の開口を覆う蓋体12とからなり、所定の容積空間を画成する周囲面に空気の吸気口15A及び排気口15Bを有するケーシング11と、ケーシング11に収納され、吸気口15Aから吸気し排気口15Bから排気する空気の流れを回転駆動により発生させるファン20と、ケーシング11内でファン20による吸気側に配設され、空気の流通を許容し空気中の塵埃を捕集する捕集部としてのフィルタ41と、ケーシング11に収納したファン20の回転駆動で摩擦され静電気を帯電するファン20と一体のファン摩擦部25と、ケーシング11内でフィルタ41に接触または近接して設けられ、ファン20のファン摩擦部25に接触しファン20の回転駆動でファン20のファン摩擦部25と摩擦し帯電する、ファン20に対向した対向摩擦部として、ファン20に対向して配設し空気の流通を許容する開口部33を有する摩擦体31と一体の突起部35とを具備する空気清浄器1の発明と捉えることもできる。
【0074】
上記実施の形態に係る空気清浄器1によれば、ファン20の回転駆動により空気流が生じ、捕集部としてのフィルタ41に空気が流通する。詳細には、ファン20の回転駆動により空気流が生じ、ケーシング10の蓋体12の吸気口15Aから外部の空気が吸気され、ファン20の吸気側に配設した空気の流通を許容する捕集部としてのフィルタ41を通過し、また、フィルタ41に接触または近接して設けられた摩擦体31の開口部33を通過し、ケーシング10の容器本体11の排気口15Bから排気される。このとき、ファン20の回転駆動によりファン20のファン摩擦部25に接触した対向摩擦部としての摩擦体31の突起部35とファン20のファン摩擦部25とが摩擦し、静電気を帯電する。よって、フィルタ41に接触または近接して設けた摩擦体31の突起部35とファン20のファン摩擦部25との摩擦で、突起部35や突起部35を有する摩擦体31全体に帯電した静電気力によって、摩擦体31と接触または近接したフィルタ41を流通する空気中の帯電した塵埃をフィルタ41に吸着させることが可能である。また、フィルタ41の目を通過した微細な帯電粒子であっても、摩擦体31やファン20の帯電した静電気力によって摩擦体31やファン20に吸着できる。特に、こうした静電気力によれば、室内空間で帯電しやすい微細な粒子、例えば、空気中に浮遊している花粉、タバコの煙等の固体状または液体状の粒子、臭ガス等の粒子の微粒子や、空気中に浮遊している微生物等も低圧損で捕捉可能となる。
【0075】
こうして、上記実施の形態に係る空気清浄器1によれば、空気流を発生させるファン20の動きと摩擦して帯電させる動きとを共通化して少ない消費電力とし、また、摩擦による帯電で塵埃を捕集するものでありコロナ放電の高電圧を要するものでもないから、安全で取扱いやすく、小型で軽量かつ安価なものにすることができる。
【0076】
特に、上記実施の形態に係る空気清浄器1によれば、捕集部として濾過式のフィルタ41を使用しているところ、フィルタ41の目を細かくしなくとも、フィルタ41の目より微細な帯電粒子を摩擦体31の突起部35とファン20のファン摩擦部25との摩擦で帯電した摩擦体31の静電気力によって、フィルタ41に吸着できるものである。また、フィルタ41の目を通過した微細な帯電粒子であっても、摩擦体31やフィルタ20の帯電した静電気力によって摩擦体31やフィルタ20に吸着できる。したがって、フィルタ41の目による塵埃の濾過に加え、フィルタ41に接触または近接した摩擦体31の突起部35とファン20のファン摩擦部25とが摩擦して帯電した静電気力によって、微細な帯電した塵埃をフィルタ41や摩擦体31やファン20で捕捉できるから、通気抵抗を高めることなく、即ち、低圧損で高い集塵効率が得られ、小型化と高い集塵効率が両立する。
そして、上記実施の形態に係る空気清浄器1によれば、ファン摩擦部25を有するファン20、フィルタ41、突起部35を有する摩擦体31の全体がケーシング10内に収められているため、小型で持ち運びしやすく、見栄えもよい。
【0077】
また、上記実施の形態に係る空気清浄器1によれば、ファン摩擦部25はファン20の円筒部26の周囲に相当してファン20を構成する一部であり、ファン20とフィルタ41との間でフィルタ41に接触または近接して設けた摩擦体31において、ファン20のファン摩擦部25に接触しファン摩擦部25を摩擦する突起部35を形成し、ファン20の回転駆動で突起部35よりも接触面積が広い環状のファン摩擦部25に摩擦体31の突起部35を摩擦させるものである。よって、少ない部品点数及び省スペースで済むから、安価に製造でき、よりコンパクトで軽量かつ安価なものとなる。更に、このようにファン摩擦部25上で突起部35が摩擦するものではファン摩擦部25の摩耗が少ないことでファン20自体の交換頻度を多くしないから、メンテナンスが低コストで済む。
【0078】
ところで、
図1乃至
図8においては、突起部35は、同一の軸線状上の補強リブ34に2個設けているが、本発明を実施する場合には、その個数は2個に特定されず、1個であってもよいし、3個以上であってもよいし、補強リブ34の本数に対応させてもよい。また、ファン摩擦部25に接触させる先端部が平坦状に限定せず、例えば、鋸状としてもよい。
更に、本発明を実施する場合には、例えば、
図9に示したように、ファン20のファン摩擦部25の環状の全周に亘って接触させる突起部35の構成としてもよい。例えば、
図9に示したように摩擦体31の放射線状に配置した補強リブ34に囲まれた中央部に設けられ、下側に向かって拡径した筒状とし先端部を鋸状とした突起部35としてもよいし、一定の径の筒状の突起部35であってもよい。また、先端部を鋸状とせずに、平坦なものとしてもよい。
【0079】
なお、上記説明では、ファン摩擦部25はファン20の円形基板21を構成する一部としたが、本発明を実施する場合には、円形基板21とは別体にファン摩擦部25を形成し、それを円形基板21に交換自在に取り付けるようにしてもよい。例えば、環状等に形成したファン摩擦部25を接着や嵌合構造等によって円形基板21の中央部の円筒部26の周囲に取替自在に取付けて、或いは、円筒部26に取替自在に取付けて、ファン摩擦部25が摩耗したらそのファン摩擦部25のみを交換するものとする。このときのファン摩擦25としては、例えば、環状等に形成した樹脂製やゴム製の板状のものや、樹脂製のフィルム(シート)状のもの、樹脂製やゴム製のスポンジ状のもの、合成または天然繊維等からなる不織布等が使用できる。これにより、より低コストでのメンテンナンスを可能とする。
【0080】
[変形例1]
次に、上記実施の形態の変形例1に係る空気清浄器1について、
図10を参照して説明する。
上記実施の形態においては、ファン20に対して突起部35を有する摩擦体31を対向配置し、その突起部35をファン20を構成する円形基板21の中央部であるハブ部に相当する環状のファン摩擦部25に接触させることで、ファン20の回転駆動で、ファン20の中心部の円筒部26の周囲のファン摩擦部25の表面と摩擦体31の突起部35とが摩擦し、ファン摩擦部25を構成するファン20及び突起部35を構成する摩擦体31が静電気を帯電するものである。
【0081】
これに対し、変形例1に係る空気清浄器1は、ファン摩擦部としてファン20に突起部350を有する摩擦回転体351を一体に設け、その突起部350をファン20の前方でフィルタ41との間でフィルタ41に接触または近接して設けた摩擦体31に形成した対向摩擦部250に接触させることで、ファン20の回転駆動によりファン20の突起部350を摩擦体31の対向摩擦部250の表面に回転摺動させて、ファン20に一体に設けた突起部350と摩擦体31に形成した対向摩擦部250との摩擦で、突起部350を設けたファン20と対向摩擦部250を構成する摩擦体31に静電気を帯電するものである。その他の構成は、上記実施の形態と同じであるから、ここでは重複する説明を省略する。
【0082】
変形例1に係るファン20は、円板基板21の中央部に設けた、モータ46の回転軸46aが挿入される取付孔26aを有する円筒部26に対し、突起部350を有する摩擦回転体351を取付けたものである。
この摩擦回転体351は、好ましくはファン20と同じ材質で形成され、ファン20の中心部に設けた円筒部26の取付孔26aに挿入される軸部352または円筒部26が装着される中空状の軸部352と、軸部352から一体に形成されてその径方向に延びた突起部350とから構成されている。突起部350は、例えば、四角錐台形状を呈し、摩擦体31の対向摩擦部250に接触する上端部が略平坦状に形成されたものである。なお、
図10において、突起部350は軸部352を対称軸として等間隔に4個設けているが、本発明を実施する場合には、その個数は特に限定されない。回転バランスからすれば、2個以上が好ましい。
【0083】
摩擦回転体351とファン20の円筒部26とは、ファン20の回転で円筒部26から摩擦回転体351が外れ難い構造であればよく、例えば、摩擦回転体351の軸部352を弾性材で形成したり、軸部352やファン20の円筒部26に係合構造を設けたりすることで、ファン20の回転で円筒部26から摩擦回転体351が外れ難いものとなる。好ましくは、摩擦回転体351は、円筒部26に対し、取付け及び取り外しが自在、即ち、取替自在に装着されるものである。これにより、その摩擦回転体351の突起部350が摩耗したら摩擦回転体351のみを交換することでメンテンナンスが低コストで済む。しかし、本発明を実施する場合には、摩擦回転体351とファン20の円筒部26を強固に固着してもよいし、摩擦回転体351及び円筒部26を一体に形成してもよく、突起部350が摩耗したらファン20全体を交換するようにしてもよい。
【0084】
そして、変形例1に係る空気清浄器1においても、ファン20を収容したケーシング10の容器本体11に対しその開口を覆う大きさでファン20に対向して板状の摩擦体31が配置され、容器本体11及び蓋体12からなるケーシング10内に収容される。
【0085】
ここで、変形例1に係る摩擦体31は、板状の基板32にファン20と対向する側で通気を許容する開口部33を設けているものであり、その開口部33を区画するように放射線状の補強リブ34a及びファン20に設けた摩擦回転体351の突起部350が接触する略円板状の対向摩擦部250が形成されているものである。なお、
図10に示した変形例1に係る摩擦体31においては、対向摩擦部250の周囲で放射線状に通気を許容する開口部33を設けているが、本発明を実施する場合には、対向摩擦部250を環状に形成してもよい。即ち、ファン20の中心部に対応する箇所で通気を許容する開口を設けてその開口を囲むように環状に対向摩擦部250を形成してもよい。
【0086】
このように構成された変形例1に係る空気清浄器1においても、ケーシング10の容器本体11に収容されたファン20が回転駆動されると、そのファン20の回転駆動により蓋体12の吸気口15Aから、外部の空気が吸い込まれて、不織布からなるフィルタ41及び板状の摩擦体31の開口部33を通って容器本体11内のファン20を収容したファン収容部14に入り、容器本体11の側壁部11bの排気口15Bから排気される空気流が形成される。
【0087】
このとき、変形例1に係る空気清浄器1においても、容器本体11に収容されたファン20の前方、即ち、吸気側には、摩擦体31を介して不織布からなるフィルタ41を設けているから、ファン20の回転駆動により蓋体12の吸気口15Aから取り込まれた外部の空気が不織布からなるフィルタ41を通過する際に、空気中の塵埃がフィルタ41で濾過、捕集され、摩擦体31の開口部33及びファン収容部空間14を通過して容器本体11の側壁部11aの排気口15Bから排気される。よって、空気を浄化、脱臭(消臭、徐臭)することができる。
【0088】
特に、変形例1に係る空気清浄器1では、モータ46の駆動軸46aが取付けられるファン20の中心部の円筒部26に対し突起部350を有する摩擦回転体351が取付けられ、また、ファン20の前方、即ち、吸気側には、ケーシング10の容器本体11の開口を被覆する大きさの板状の摩擦体31を配設し、ファン20に設けた突起部350が当接する対向摩擦部250がファン20の突起部350に対向する位置で摩擦体31に設けられている。
【0089】
このため、ファン20が回転すると、その動きに伴い、ファン20の中央の円筒部26に取付けた回転摩擦体351の突起部350がそれに対向配置した摩擦体31の対向摩擦部250の表面上を回転摺動し、摩擦体31の対向摩擦部250とファン20に取付けた回転摩擦体351の突起部350とが摩擦することにより、ファン20の突起部350や回転摩擦体351やファン20全体、また、摩擦体31の対向摩擦部250や摩擦体31全体が静電気を帯電する。
したがって、ファン20の突起部350や回転摩擦体351やファン20全体、また、対向摩擦部250や対向摩擦部250を有する摩擦体31全体に帯電した負または正の静電気力によって、摩擦体31に接触または近設配置したフィルタ41や摩擦体31やファン20に空気中の帯電した塵埃を吸着させ捕捉することが可能である。特に、ファン20の突起部350と摩擦体31の対向摩擦部250との摩擦で帯電させた静電気力によれば、フィルタ41の目よりも細かな塵埃の帯電粒子であっても、摩擦体31に接触または近設配置したフィルタ41に吸着させフィルタ41で捕捉することも可能となる。更に、摩擦体31及びファン20の間に静電界が形成されるから、フィルタ41を通過した微細な帯電粒子であっても、また、それが正負の何れに帯電していても、摩擦体31やファン20で吸着、捕集することが可能である。
【0090】
こうして、変形例1に係る空気清浄器1においても、フィルタ41の目を細かくしなくても、空気流を生じさせるファン20の回転駆動によってフィルタ41に隣接する摩擦体31の対向摩擦部250にファン20に取付けた回転摩擦体351の突起部350が回転摺動し摩擦を発生させて、その摩擦で対向摩擦部250や対向摩擦部250を有する摩擦体31、また、突起部350や突起部350を有する回転摩擦体351やファン20の帯電した静電気力により、細かい帯電した微粒子の捕集が可能になるから、省エネ、低圧損で細かい捕集効率を上げることができる。故に、少ないエネルギ量で高い捕集効率が得られるから、小型化が可能である。
【0091】
このように変形例1に係る空気清浄器1は、回転駆動により空気の流れを発生させるファン20と、空気が流れる空気路に配設し、空気の流通を許容し空気中の塵埃を捕集する捕集部としてのフィルタ41と、ファン20の回転駆動で摩擦され静電気を帯電するファン20と一体の摩擦部としてファン20の中央の円筒部26に取付けた摩擦回転体310に一体の突起部350と、フィルタ41に接触または近接して設けられ、摩擦回転体310の突起部350と接触しファン20の回転駆動で突起部350と摩擦して静電気を帯電する、ファン20に対向し空気の流通を許容する開口部33を有する摩擦体31と一体の対向摩擦部250とを具備するものである。
【0092】
また、上記変形例1は、所定の容積空間を有する容器本体11と容器本体11の開口を覆う蓋体12とからなり、所定の容積を区画する周囲面に空気の吸気口15A及び排気口15Bを有するケーシング11と、ケーシング11に収納され、吸気口15Aから吸気し排気口15Bから排気する空気の流れを回転駆動により発生させるファン20と、ケーシング11内でファン20による吸気側に配設され、空気の流通を許容し空気中の塵埃を捕集する捕集部としてのフィルタ41と、ケーシング11に収納したファン20の回転駆動で摩擦され静電気を帯電するファン20と一体のファン摩擦部としてファン20の中央の円筒部26に取付けた摩擦回転体310に一体の突起部350と、ケーシング11内でフィルタ41に接触または近接して設けられ、摩擦回転体310の突起部350と接触しファン20の回転駆動で突起部350と摩擦して静電気を帯電する、ファン20に対向し空気の流通を許容する開口部33を有する摩擦体31と一体の対向摩擦部250とを具備する空気清浄器1の発明と捉えることもできる。
【0093】
上記変形例1に係る空気清浄器1においても、ファン20の回転駆動により空気流が生じ、捕集部としてのフィルタ41に空気が流通する。詳細には、ファン20の回転駆動により空気流が生じ、ケーシング10の蓋体12の吸気口15Aから外部の空気が吸気され、ファン20の吸気側に配設した空気の流通を許容する捕集部としてのフィルタ41を通過し、更に、フィルタ41に接触または近接して設けられた摩擦体31の開口部33を通過し、ケーシング10の容器本体11の排気口15Bから排気される。このとき、ファン20に対向して設けた摩擦体31の対向摩擦部250に対し接触しているファン摩擦部としてのファン20に一体に設けた摩擦回転体351の突起部350が、ファン20の回転駆動により摩擦体31の対向摩擦部250を摺動することによりファン20の突起部350と摩擦体31の対向摩擦部250が摩擦し、静電気を帯電する。よって、フィルタ41に接触または近接して設けた摩擦体31の対向摩擦部250とファン20の突起部350との摩擦で、対向摩擦部250や摩擦体31全体に帯電した静電気力によって、摩擦体31と接触または近接したフィルタ41を流通する空気中の帯電した塵埃をフィルタ41に吸着させることが可能である。また、フィルタ41の目を通過した微細な帯電粒子であっても、摩擦体31やファン20側の帯電した静電気力によって摩擦体31やファン20側に吸着できる。特に、こうした静電気力によれば、室内空間で帯電しやすい微細な粒子、例えば、空気中に浮遊している花粉、タバコの煙等の固体状または液体状の粒子、臭ガス等の粒子の微粒子や、空気中に浮遊している微生物等も低圧損で捕捉可能となる。
【0094】
こうして、変形例1に係る空気清浄器1においても、空気流を発生させるファン20の動きと摩擦して帯電させる動きを共通化し、また、摩擦による帯電で塵埃を捕集するものでありコロナ放電の高電圧を要するものでもないから、安全で取扱いやすく、小型で軽量かつ安価なものにすることができる。
【0095】
特に、変形例1に係る空気清浄器1でも、捕集部として濾過式のフィルタ41を使用しているところ、フィルタ41の目を細かくしなくとも、フィルタ41の目より微細な帯電粒子を摩擦体31の対向摩擦部250とファン20の突起部350との摩擦で帯電した対向摩擦部250や摩擦体31の静電気力によってフィルタ41に吸着できるものである。また、フィルタ41の目を通過した微細な帯電粒子であっても、摩擦体31やフィルタ20側の帯電した静電気力によって摩擦体31やフィルタ20側に吸着できる。したがって、フィルタ41の目による塵埃の濾過に加え、フィルタ41に接触または近接した摩擦体31の対向摩擦部250とファン20の突起部350とが摩擦して帯電した静電気力によって微細な帯電した塵埃もフィルタ41や摩擦体31やファン20で捕捉できるから、通気抵抗を高めることなく、即ち、低圧損で高い集塵効率が得られ、小型化と高い集塵効率が両立する。
【0096】
そして、変形例1に係るに係る空気清浄器1においても、突起部350を設けたファン20、フィルタ41、及び対向摩擦部250を設けた摩擦体31の全体がケーシング10内に収められているため、小型で持ち運びしやすく、見栄えもよい。
【0097】
また、変形例1に係る空気清浄器1によれば、ファン20にファン摩擦部として突起部350を設け、フィルタ41とファン20の間に設けた摩擦体31に突起部350が摺動される突起部350よりも摩擦面積が広い対向摩擦部250を形成したものであり、フィルタ41に近い摩擦体31の対向摩擦部250で突起部350よりも広い面積で摩擦されるから、フィルタ41に埃塵を捕集する捕集率を高めることが可能である。
【0098】
[変形例2]
更に、上記実施の形態の空気清浄器1の別の変形例2について、
図11を参照して説明する。
上記変形例1では、ファン20に対向配置した摩擦体31の対向摩擦部250に当接する突起部350をファン20の中心部の円筒部26に取付けた摩擦回転体351に設けたものである。
これに対し、変形例2では、ファン20に対向配置した摩擦体31の対向摩擦部250に当接する突起部350をファン20の中心部の円筒部26の周囲に形成したものである。即ち、ファン20を構成する円形基板21に突起部350を一体に形成したものである。その他の構成は、変形例1と同じであるから重複する説明は省略する。
【0099】
例えば、
図11に示すように、ファン20の円筒部26の周囲で円形基板21上に断面矩形状の凸状の突起部350を周方向に沿って所定の間隔だけ離間させて1又は2以上を立設する。
【0100】
このように、ファン20の円筒部26の周囲において、円形基板21に一体に摩擦体31の対向摩擦部250に部分的に当接する突起部350を形成することでも、上記変形例1のときと同様、対向摩擦部250を摩擦させて突起部350や突起部350を有するファン20、また、対向摩擦部250や対向摩擦部250と一体の摩擦体31に静電気を帯電させて、対向摩擦部250に接触または近接して設けたフィルタ41や摩擦体31やファン20に空気中に浮遊する帯電粒子を捕集することが可能である。
【0101】
次に、上述の実施の形態や変形例に係る空気清浄器1を用いた空気清浄器ユニットについて説明する。
本発明の実施の形態に係る空気清浄器ユニットは、上述の実施の形態や変形例で説明した空気清浄器1の2台(2体)を1組として構成するものである。
【0102】
例えば、上記実施の形態に係る空気清浄器1を用いた空気清浄器ユニットにおいては、ファン20のファン摩擦部25と対向摩擦部としての摩擦体31の突起部35との摩擦により対向摩擦部としての突起部35や突起部35を有する摩擦体31がプラスに帯電する空気清浄器1と、ファン20のファン摩擦部25と対向摩擦部としての摩擦体31の突起部35との摩擦により対向摩擦部としての突起部35や突起部35を有する摩擦体31がマイナスに帯電する空気清浄器1との1組から構成される。
また、変形例に係る空気清浄器1を用いた空気清浄器ユニットにおいては、ファン20に設けたファン摩擦部としての突起部350と摩擦体31の対向摩擦部250との摩擦により対向摩擦部250や対向摩擦部250を有する摩擦体31がプラスに帯電する空気清浄器1と、ファン20に設けたファン摩擦部としての突起部350と摩擦体31の対向摩擦部250との摩擦により対向摩擦部250や対向摩擦部250を有する摩擦体31がマイナスに帯電する空気清浄器1の1組から構成される。
【0103】
こうして互いに対向摩擦部としての突起部35や対向摩擦部250の帯電する極性をプラスとマイナスで異にする空気清浄器1を組み合わせた空気清浄器ユニットによれば、一方の第1空気清浄器1または第2空気清浄器1によって空気中のプラスに帯電した粒子が捕集されやすく、他方の第2空気清浄器1または第1空気清浄器1によって空気中のマイナスに帯電した粒子が捕集されやすいから、幅広く複数種の粒子を捕集できることで、空気の浄化効率が高く、空気の脱臭(消臭、除臭)にも効果的となる。
【0104】
特に、互いに対向摩擦部35、250の帯電する極性を反対にした空気清浄器1同士を近づけて配置する場合には、第1の空気清浄器1及び第2の空気清浄器1の対向摩擦部35、250の帯電により生じる電界強度が強まり、即ち、第1の空気清浄器1において静電気帯電する対向摩擦部35、250と、第2の空気清浄器1において第1の空気清浄器1の対向摩擦部35、250の帯電極性とは反対極性の静電気を帯電する対向摩擦部35、250との間の静電界の形成を期待でき、プラスとマイナスの何れに帯電した粒子であっても、その捕集効率の向上を期待できる。また、空気清浄器ユニットの各空気清浄器1のファン20の回転駆動によって、一方の空気清浄器1の吸気口15Aから吸気され排気口15Bから排気された空気では、フィルタ41や摩擦体31やファン20にも吸着されずに通過したプラスまたはマイナスの何れかの帯電した粒子濃度の増大、凝集による電荷量の増大によって、他方の空気清浄器1のフィルタ41や摩擦体31やファン20に吸着されやすくなる効果も期待できる。
【0105】
上述した空気清浄器ユニットは、回転駆動により空気の流れを発生させるファン20と、空気が流れる空気路に配設し空気の流通を許容し空気中の塵埃を捕集する捕集部としてのフィルタ41と、ファン20の回転駆動で摩擦され静電気を帯電するファン20と一体のファン摩擦部25または突起部350と、フィルタ41に接触または近接して設けられ、ファン20のファン摩擦部25または突起部350と接触しファン20の回転駆動でファン摩擦部25または突起部350と摩擦して静電気を帯電する、ファン20に対向した摩擦体35と一体の突起部35または対向摩擦部250とを有する第1の空気清浄器1、及び、回転駆動により空気の流れを発生させるファン20と、空気が流れる空気路に配設し空気の流通を許容し空気中の塵埃を捕集する捕集部としてのフィルタ41と、ファン20の回転駆動で摩擦され静電気を帯電するファン20と一体のファン摩擦部25または突起部350と、フィルタ41に接触または近接して設けられ、ファン20のファン摩擦部25または突起部350と接触しファン20の回転駆動でファン摩擦部25または突起部350と摩擦して第1の空気清浄器1の突起部35または対向摩擦部250の帯電極性とは反対極性に静電気を帯電する、ファン20に対向した摩擦体35と一体の突起部35または対向摩擦部250とを有する第2の空気清浄器1とを具備するものである。
【0106】
また、上記説明は、所定の容積空間を有する容器本体11と容器本体11の開口を覆う蓋体12とからなり、空気の吸気口15A及び排気口15Bを有するケーシング11と、ケーシング11に収納され、吸気口15Aから吸気し排気口15Bから排気する空気の流れを回転駆動により発生させるファン20と、空気が流れる空気路に配設し空気の流通を許容し空気中の塵埃を捕集する捕集部としてのフィルタ41と、ファン20の回転駆動で摩擦され静電気を帯電するファン20と一体のファン摩擦部25または突起部350と、フィルタ41に接触または近接して設けられ、ファン20のファン摩擦部25または突起部350と接触しファン20の回転駆動でファン摩擦部25または突起部350と摩擦して静電気を帯電する、ファン20に対向した摩擦体35と一体の突起部35または対向摩擦部250とを有する第1の空気清浄器1、及び、所定の容積空間を有する容器本体11と容器本体11の開口を覆う蓋体12とからなり、空気の吸気口15A及び排気口15Bを有するケーシング11と、ケーシング11に収納され、吸気口15Aから吸気し排気口15Bから排気する空気の流れを回転駆動により発生させるファン20と、回転駆動により空気の流れを発生させるファン20と、空気が流れる空気路に配設し空気の流通を許容し空気中の塵埃を捕集する捕集部としてのフィルタ41と、ファン20の回転駆動で摩擦され静電気を帯電するファン20と一体のファン摩擦部25または突起部350と、フィルタ41に接触または近接して設けられ、ファン20のファン摩擦部25または突起部350と接触しファン20の回転駆動でファン摩擦部25または突起部350と摩擦して第1の空気清浄器1の突起部35または対向摩擦部250の帯電極性とは反対極性に静電気を帯電する、ファン20に対向した摩擦体35と一体の突起部35または対向摩擦部250とを有する第2の空気清浄器1を具備する空気清浄器ユニットの発明と捉えることもできる。
【0107】
こうした空気清浄器ユニットによれば、各第1の空気清浄器1及び第2の空気清浄器1において、ファン20の回転駆動により空気流が生じ、捕集部としてのフィルタ41に空気が流通する。詳細には、ファン20の回転駆動により空気流が生じ、ケーシング10の蓋体12の吸気口15Aから外部の空気が吸気され、ファン20の吸気側に配設した空気の流通を許容する捕集部としてのフィルタ41を通過し、また、フィルタ41に接触または近接して設けられた摩擦体31の開口部33を通過し、ケーシング10の容器本体11の排気口15Bから排気される。
【0108】
このとき、各第1の空気清浄器1及び第2の空気清浄器1において、ファン20のファン摩擦部25に接触した摩擦体31の突起部35がファン20の回転駆動によりファン20のファン摩擦部25と摩擦体31の突起部35が摩擦し、静電気を帯電する。よって、摩擦体31の突起部35とファン20のファン摩擦部25との摩擦で、突起部35や突起部35を有する摩擦体31全体に帯電した静電気力によって、摩擦体31と接触または近接したフィルタ41を流通する空気中の帯電した塵埃をフィルタ41に吸着させることが可能となる。
【0109】
或いは、上述の変形例の場合には、摩擦体31の対向摩擦部250に接触したファン20の突起部350がファン20の回転駆動によりファン20の対向摩擦部250を摺動することにより、ファン20の突起部350と摩擦体31の対向摩擦部250が摩擦し、静電気を帯電する。よって、摩擦体31の対向摩擦部250とファン20の突起部350との摩擦で、対向摩擦部250や対向摩擦部250を有する摩擦体31全体に帯電した静電気力によって、摩擦体31と接触または近接したフィルタ41を流通する空気中の帯電した塵埃をフィルタ41に吸着させることが可能である。
【0110】
こうした空気清浄ユニットの各第1の空気清浄器1及び第2の空気清浄器1によれば、フィルタ41の目を通過した微細な帯電粒子であっても、摩擦体31やファン20の帯電した静電気力によって摩擦体31やファン20に吸着できる。特に、こうした静電気力によれば、室内空間で帯電しやすい微細な粒子、例えば、空気中に浮遊している花粉、タバコの煙等の固体状または液体状の粒子、臭ガス等の粒子の微粒子や、空気中に浮遊している微生物等も低圧損で捕捉可能となる。
【0111】
このような空気清浄ユニットでも、第1の空気清浄器1及び第2の空気清浄器1において、空気流を発生させるファン20の動きと摩擦して帯電させる動きとを共通化し、また、摩擦による帯電で塵埃を捕集するものでありコロナ放電の高電圧を要するものでもないから、安全で取扱いやすく、小型で軽量かつ安価なものにすることができる。
【0112】
そして、捕集部として濾過式のフィルタ41を使用しているところ、フィルタ41の目を細かくしなくとも、フィルタ41の目より微細な帯電粒子を摩擦体31の静電気力によってフィルタ41に吸着できるものである。また、フィルタ41の目を通過した微細な帯電粒子であっても、摩擦体31やフィルタ20側の帯電した静電気力によって摩擦体31やフィルタ20側に吸着できる。したがって、フィルタ41の目による塵埃の濾過に加え、フィルタ41に接触または近接した摩擦体31に帯電した静電気力によって微細な帯電した塵埃もフィルタ41や摩擦体31やファン20で捕捉できるから、通気抵抗を高めることなく、即ち、低圧損で高い集塵効率が得られ、小型化と高い集塵効率が両立する。
【0113】
特に、この空気清浄器ユニットによれば、第1の空気清浄器1の対向摩擦部35、250と第2空気清浄器1の対向摩擦部35、250とにおいて帯電極性を対にしていることで、空気中のマイナスに帯電した塵埃とプラスに帯電した塵埃の両方を第1の空気清浄器1の捕集部としてのフィルタ41及び第2空気清浄器1の捕集部としてのフィルタ41で捕集できるから、即ち、帯電している粒子の極性を問わずして捕集が可能であるから、周囲環境条件によらず高い捕集効率が得られる。
【0114】
ところで、上記実施の形態及び変形例においては、ファン20は、遠心ターボ側のファンとし、少ないブレード枚数でも空気流の効率を良くし、また、薄型を可能とするものだが、本発明を実施する場合には、その他の遠心ファンや、シロッコファンや、軸流ファン等を用いてもよい。
【0115】
ここで、上記実施の形態及び変形例においては、捕集部として濾過式の不織布からなるフィルタ41を用いたが、本発明を実施する場合には、フィルタ41は不織布に限定されず、ネット状のものや、織物、編物等であってもよい。更に、本発明を実施する場合には、フィルタ41等の捕集部は、ケーシング10の内側に配設することに限定されず、ケーシング11の外側に配設、例えば、蓋体12の外面側に接着するようにしてもよい。これにより、捕集部の汚れを視認しやすく、視覚的に空気清浄の効果を認識でき、また、フィルタ41等の捕集部の交換のタイミングも分かりやすく、交換も容易となる。
更に、本発明を実施する場合には、フィルタ41を省略し静電気を帯電する板状の摩擦体31を捕集部としてもよいし、フィルタ41と摩擦体31の両方を捕集部としてもよい。また、摩擦体31は通気を許容する構造であれば、放射線状に配設された開口の形状に限定されず、桟を縦または横に平行に配置した柵状や、網状や、格子状等であってもよい。
【0116】
また、上記実施の形態及び変形例においては、ファン20とフィルタ41との間に板状の摩擦体31を配置し、その板状の摩擦体31に突起部35或いは対向摩擦部250を設けているが、本発明を実施する場合には、摩擦体31を省略し、フィルタ41と一体の突起部35或いは対向摩擦部250を設けてもよい。
【0117】
更に、上記実施の形態及び変形例では、突起部35、350は直線状または曲線状の平板状或いは断面矩形状の直方体状のものであり先端部の形状が線状または面状のものであるが、本発明を実施する場合には、それらに限定されず、例えば、先端部がカーブ状のもの、ブラシ、刷毛、繊維状のもの、スポンジ状のもの等であってもよい。
【0118】
そして、上記実施の形態及び変形例においては、ファン20を回転駆動させるモータ46の駆動は、乾電池41を電源とするものである。これにより、移動範囲が限定されず屋内でも屋外(野外)でも、即ち、電源配線のない場所でも、自由に持ち運んで空気中の塵埃、例えば、空気中に浮遊している花粉、タバコの煙、臭ガス等の固体状または液体状の粒子や、空気中に浮遊している微生物等を除去することが可能となる。
【0119】
特に、本実施の形態及び実施例の空気清浄器1によれば、ファン20の動きと、ファン摩擦部25,350及び対向摩擦部35,250で摩擦する動きとを共通化し、ファン摩擦部25,350及び対向摩擦部35,250の摩擦により帯電した静電気力で空気中の帯電している塵埃を捕集することにより、微細な粒子を捕捉する高い集塵効率が高いうえ、小型化可能であるから、例えば、
図12に示すように、ケーシング10の容器本体11の底面側に形成した環状部19(
図8参照)に紐、ストラップ等を通して環状にし、それを首にかけて使用する携帯可能な全体として小型で軽量かつ安価の空気清浄器1とすることも可能である。このような使用形態では、ファン20の稼働によりケーシング10の吸気口15Aから外部の空気が取り入れられ、空気中の塵埃がフィルタ41等の捕集部で捕集されケーシング10の排気口15Bから排気されることで、空気清浄器1によって清浄された空気を吸うことが可能である。また、煙草を吸う人ならば、煙草の煙、ヤニ、臭い等を空気清浄器1で除去、脱臭(消臭、除臭)できる。更に、ケーシング10の排気口15Bから排気される空気流で涼しさを得ることも可能である。加えて、空気清浄器1によって塵埃、例えば、帯電した花粉等の微細な粒子も捕集できるので、帯電した花粉等の微細な粒子が身体や衣服等に付着するのを防止でき、更に、身体や衣服等に帯電した粒子が付着し難いことで静電気の発生を抑制することも可能となる。摩擦体31の帯電量が高い場合には、同極性の帯電粒子をよせつけず身体や衣服等に付着するのを防止する効果も期待できる。
【0120】
また、小型の空気清浄器1であれば、電車やバス等に乗る際でも首にかけて使用することも可能であるし、鞄等に入れて持ち運ぶことも可能である。更に、このような携帯可能な小型の空気清浄器1では、オフィス等のデスク周りに置いて空気を清浄、脱臭したり、密室で空気がよどみやすく塵埃が溜まりやすい自動車の車内に持ち運んで車内空間の空気を浄化、脱臭したりすることも可能である。勿論、オフィス、店舗、家庭等の室内、例えば、リビング、玄関、トイレ等に据え置きする使用形態とすることも可能である。
【0121】
なお、本発明を実施する場合には、プラグで家庭用等のコンセントに差し込んで電源を取る構成として家庭用等の交流電源を使用するようにしてもよいし、充電池等の蓄電池を使用してもよい。
また、上記実施の形態及び変形例では、ケーシング10にファン等を収容する構成としたが、本発明を実施する場合には、ケーシング10を専用のハウジングとして設定するものだけではなく、例えば、室内等の壁や、テーブル、机、下駄箱、椅子、ソファ等の家具、壁掛等の枠体またはハウジングとして、その一部に組み込む構成としてもよい。
【符号の説明】
【0122】
1 空気清浄器
10 ケーシング
15A 吸気口
15B 排気口
20 ファン
25 ファン摩擦部
35 突起部(対向摩擦部)
41 フィルタ(捕集部)
250 対向摩擦部
350 突起部(ファン摩擦部)
【手続補正書】
【提出日】2022-10-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動により空気の流れを発生させるファンと、
前記ファンの吸気側に配設し、前記空気の流通を許容して前記空気中の塵埃を捕集する捕集部と、
前記ファンの回転駆動で摩擦され静電気を帯電する前記ファンと一体のファン摩擦部と、
前記捕集部を構成し、または、前記捕集部に接触若しくは近接して設けられ、前記ファン摩擦部と接触し前記ファンの回転駆動で前記ファン摩擦部と摩擦し静電気を帯電する、前記ファンに対向した対向摩擦部と
を具備し、
前記ファン及び前記ファン摩擦部はナイロン樹脂で一体成形し、前記対向摩擦部は前記ナイロン樹脂よりプラスに帯電しやすい樹脂で形成し、或いは、前記対向摩擦部はナイロン樹脂で一体成形し、前記ファン及び前記ファン摩擦部は前記ナイロン樹脂よりプラスに帯電しやすい樹脂で一体成形し、
前記ファン及び前記ファン摩擦部を前記摩擦によりマイナスまたはプラスの極性に帯電させ、前記対向摩擦部を前記摩擦により前記ファン及び前記ファン摩擦部とは反対側の極性に帯電させることを特徴とする空気清浄器。
【請求項2】
所定容積の収容空間を画成する周囲面に空気の吸気口及び排気口を有するケーシングと、
前記ケーシング内に収納され、前記吸気口から吸気し前記排気口に排気する空気の流れを回転駆動により発生させるファンと、
前記ケーシングの内側または外側で前記ファンの吸気側に配設され、前記空気の流通を許容して前記空気中の塵埃を捕集する捕集部と、
前記ファンの回転駆動で摩擦され静電気を帯電する前記ファンと一体のファン摩擦部と、
前記捕集部を構成し、または、前記捕集部に接触若しくは近接して設けられ、前記ファン摩擦部と接触し前記ファンの回転駆動で前記ファン摩擦部と摩擦し静電気を帯電する、前記ファンに対向した対向摩擦部と
を具備し、
前記ファン及び前記ファン摩擦部はナイロン樹脂で一体成形し、前記対向摩擦部は前記ナイロン樹脂よりプラスに帯電しやすい樹脂で形成し、或いは、前記対向摩擦部はナイロン樹脂で一体成形し、前記ファン及び前記ファン摩擦部は前記ナイロン樹脂よりプラスに帯電しやすい樹脂で一体成形し、
前記ファン及び前記ファン摩擦部を前記摩擦によりマイナスまたはプラスの極性に帯電させ、前記対向摩擦部を前記摩擦により前記ファン及び前記ファン摩擦部とは反対側の極性に帯電させることを特徴とする空気清浄器。
【請求項3】
前記捕集部は、フィルタで構成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気清浄器。
【請求項4】
前記ファン摩擦部は、前記ファンを構成する一部とし、前記対向摩擦部よりも摩擦面積を広くしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の空気清浄器。
【請求項5】
前記対向摩擦部は、前記ファン摩擦部よりも摩擦面積を広くしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の空気清浄器。
【請求項6】
回転駆動により空気の流れを発生させるファンと、前記ファンの吸気側に配設し、前記空気の流通を許容して前記空気中の塵埃を捕集する捕集部と、前記ファンの回転駆動で摩擦され静電気を帯電する前記ファンと一体のファン摩擦部と、前記捕集部を構成し、または、前記捕集部に接触若しくは近接して設けられ、前記ファン摩擦部と接触し前記ファンの回転駆動で前記ファン摩擦部と摩擦し静電気を帯電する、前記ファンに対向した対向摩擦部とを有する第1の空気清浄器と、
回転駆動により空気の流れを発生させるファンと、前記ファンの吸気側に配設し、前記空気の流通を許容して前記空気中の塵埃を捕集する捕集部と、前記ファンの回転駆動で摩擦され静電気を帯電する前記ファンと一体のファン摩擦部と、前記捕集部を構成し、または、前記捕集部に接触若しくは近接して設けられ、前記ファン摩擦部と接触し前記ファンの回転駆動で前記ファン摩擦部と摩擦し前記第1の空気清浄器の対向摩擦部の帯電極性とは反対極性の静電気を帯電する、前記ファンに対向した対向摩擦部とを有する第2の空気清浄器と
を具備することを特徴とする空気清浄器ユニット。