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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174427
(43)【公開日】2022-11-24
(54)【発明の名称】光学モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/02208 20210101AFI20221116BHJP
   H01S 5/02257 20210101ALI20221116BHJP
   H01S 5/183 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
H01S5/02208
H01S5/02257
H01S5/183
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080215
(22)【出願日】2021-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【弁理士】
【氏名又は名称】浅川 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100197996
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 武彦
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 崇
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173AC00
5F173MC03
5F173MC06
5F173MC26
5F173ME22
5F173ME32
5F173ME69
5F173ME76
5F173ME86
5F173MF03
5F173MF39
5F173MF40
(57)【要約】
【課題】
光拡散板の上面側および下面側の双方を支持することにより、枠体から光拡散板が脱落する恐れのない光学モジュールを提供する。
【解決手段】
本発明における光学モジュールは、上面1aと上面1aの四周を囲う側面1bとを有する基板1と、基板1の上面に実装されるVCSEL素子2と、VCSEL素子2を囲うようにして基板1に固定され上面3bと側面3aとを有する枠体3と、VCSEL素子2の上方に位置し枠体3の上面に形成された出射窓4と、出射窓4に配置される光拡散板5とを備え、光拡散板5は、上面側を支持する上部支持体6と、下面側を支持する下部支持体7とによって枠体3に支持される。
【選択図】図2



【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面と上面の四周を囲う側面とを有する基板と、
基板の上面に実装されるVCSEL素子と、
VCSEL素子を囲うようにして基板に固定され上面と側面とを有する枠体と、
VCSEL素子の上方に位置し枠体の上面に形成された出射窓と、
出射窓に配置される光拡散板と、を備え、
前記光拡散板は、上面側を支持する上部支持体と、下面側を支持する下部支持体とによって枠体に支持される光学モジュール。
【請求項2】
前記上部支持体は、出射窓の内壁部から突出する複数の弾性突起爪からなる請求項1に記載の光学モジュール。
【請求項3】
前記弾性突起爪は、出射窓の内壁部から光拡散板の上面付近まで延びるスナップ爪である請求項2に記載の光学モジュール。
【請求項4】
前記光拡散板の上面には、弾性突起爪の先端部が配置される凹部が形成される請求項2又は3に記載の光学モジュール。
【請求項5】
前記出射窓の内壁部には、枠体に支持された光拡散板の側面を弾性的に支持する補助支持体が突出形成される請求項1に記載の光学モジュール。
【請求項6】
前記上部支持体は、出射窓の内壁部から光拡散板の上面とほぼ平行に突出する遮蔽壁からなり、遮蔽壁が光拡散板の上面の外周部を被覆する請求項1に記載の光学モジュール。
【請求項7】
前記下部支持体は、出射窓の内壁部から突出する複数の突起であり、この突起上に光拡散板が載置される請求項1に記載の光学モジュール。
【請求項8】
前記基板の側面に凹み部が設けられる一方、枠体の側面には前記凹み部に嵌まり込む突起部が設けられ、凹み部に突起部を嵌め込むことにより枠体が位置決めされる請求項1に記載の光学モジュール。
【請求項9】
前記凹み部及び突起部には抜け止め手段が設けられている請求項8に記載の光学モジュール。
【請求項10】
前記枠体は、VCSEL素子を囲うようにして基板に固定される第1の枠体と、上面と側面とを有し第1の枠体を被覆する第2の枠体とを備え、
第2の枠体は、上面に光拡散板の上方に位置する開口窓と、開口窓の内壁部から光拡散板の上面に向けて突出する第2の弾性突起爪を有する請求項1乃至9のいずれかに記載の光学モジュール。
【請求項11】
前記第1の枠体と第2の枠体は、第1の枠体に第2の枠体を固定する固定手段を有する請求項10に記載の光学モジュール。
【請求項12】
前記固定手段は、第1の枠体の側面に設けられた突起部と、第2の枠体の側面に設けられ前記突起部が嵌合する孔部とを有する請求項11に記載の光学モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、VCSEL素子や光拡散板等の光機能素子を搭載した光モジュールパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、VCSEL素子等の発光素子や光拡散板を搭載した光モジュールは、基板上に発光素子を実装し、発光素子の上方を覆うケース等に光拡散板を組み付けることにより形成されていた。光拡散板の組付けに際しては、光拡散板の下面を接着剤によりケースに固定するものが知られていた(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-12932
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、光拡散板は、接着剤を介してケースの所定の載置部に支持された状態となるため、光モジュールの長期の使用における接着力の劣化を考慮した場合、光拡散板の支持が不十分となって、ケースから離脱するおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、ケースに組み付ける光拡散板の支持を確実なものとなる光学モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における光学モジュールは、上面と上面の四周を囲う側面とを有する基板と、基板の上面に実装されるVCSEL素子と、VCSEL素子を囲うようにして基板に固定され上面と側面とを有する枠体と、VCSEL素子の上方に位置し枠体の上面に形成された出射窓と、出射窓に配置される光拡散板とを備え、光拡散板は、上面側を支持する上部支持体と、下面側を支持する下部支持体とによって枠体に支持される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の光学モジュールによれば、光拡散板は、光拡散板の上面側を支持する上部支持体と、光拡散板の下面側を支持する下部支持体とによって枠体に支持されているので、光拡散板の支持が十分なものとなり、枠体から離脱するおそれがなくなった。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係る光学モジュールの斜視図である。
図2図1のII-II線断面図である。
図3図2のA部拡大図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る光学モジュールにおける光拡散板の要部拡大図である。
図5図4における光拡散板の要部断面図である。
図6】本発明の第3実施形態に係る光学モジュールの要部断面図である。
図7】本発明の第4実施形態に係る光学モジュールの斜視図である。
図8図7のVIII-VIII線断面図である。
図9】本発明の第5実施形態に係る光学モジュールの要部断面図である。
図10】本発明の第6実施形態に係る光学モジュールの斜視図である。
図11図10のXI-XI線断面図である。
図12】本発明の第7実施形態に係る光学モジュールの斜視図である。
図13図12のXIII-XIII線断面図である。
図14】本発明の第8実施形態に係る光学モジュールの斜視図である。
図15】本発明の第9実施形態に係る光学モジュールの斜視図である。
図16図15のXVI-XVI線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の光学モジュールについて、図面を参照しながら各実施形態に基づいて説明する。なお、図面は、光学モジュール、光学モジュールの構成部材および光学モジュールの周辺部材を模式的に表したものであり、これらの実寸の寸法および寸法比は、図面上の寸法および寸法比と必ずしも一致していない。また、特に断らない限り、便宜上、図1に示す光学モジュールの向きを基準に、上下などの方向を表わす。重複説明は適宜省略し、同一部材には同一符号を付与することがある。
【0010】
(第1実施形態)
図1~3には本発明の第1実施形態に係る光学モジュール10が示されている。この光学モジュール10は、外部電極(図示せず)と接続される矩形状の基板1と、基板1の上面に電気的に接続されるVCSEL素子2と、VCSEL素子2からの出射光を遮るように箱型に形成され、基板1と密着する枠体3と、枠体3の上面に形成された矩形状の貫通孔である出射窓4と、出射窓4の内部において、基板1およびVCSEL素子2と平行に配置される光拡散板5と、光拡散板5の上面側を支持する上部支持体6と、下面側を支持する下部支持体7とを備えている。
【0011】
基板1は、VCSEL素子2が水平に実装される上面1aと、上面1aの四周を囲う側面1bとを有する。基板1の上面1aの外縁部には枠体3を載置するスペースが確保されている。本実施形態に係る光学モジュール10は、半導体発光素子としてVCSEL素子2が採用されており、基板1の電極1cに導電性接合材によって電気的に接続されている。VCSEL素子2は例えば一辺の長さが1mmの矩形形状を有している。VCSEL素子2からの出射光は、おおむね基板1より上方の一方側に出射される。枠体3には、VCSEL素子2を囲うようにして基板1の外縁部に接着剤を介して固定された側面3aと、VCSEL素子2からの出射光を遮光するように側面3aの上部を覆う上面3bが形成されている。側面3aは、基板1の四周を覆うとともに基板1の上面1aと密接しており、VCSEL素子2から出射させる出射光の遮光性を向上させている。上面3bは、側面3aの上部に一体的に形成されており、基板1並びにVCSEL素子2の出射面と平行に配置されている。
【0012】
枠体3の上面3bには、VCSEL素子2からの出射光を枠体3外部に出射させる出射窓4が形成されている。出射窓4は、VCSEL素子2の上方に位置し、基板1の上面に対して垂直に形成された矩形状の貫通孔である。平面視したとき、出射窓4とVCSEL素子2の中心を一致するように配置してもよい。このとき、出射窓4と光学モジュール10の中心は一致していなくてもよい。出射窓4にはVCSEL素子2からの出射光を拡散させる光拡散板5が配置されている。出射窓4は、VCSEL素子2の出射面よりも広く開口しており、光拡散板5を配置するために基板1の厚みの数倍の深さに形成されている。光拡散板5は、VCSEL素子2のほぼ真上に配置されており、VCSEL素子2からの出射光は光拡散板5からのみ出射され、他からは光が漏れることはない。
【0013】
光拡散板5は、一例として平面形状が四角形の部材であり、ディフューザとも呼ばれる。光拡散板5は平板状のレンズによって構成され、VCSEL素子2の上方を覆い光拡散板5に入射する光を拡散させて出射する。VCSEL素子2からの出射光を必要な範囲にだけ拡散できるので光量を有効に活用できる。光拡散板5が枠体3から外れたり破損した場合は、VCSEL素子2が出射する光が光拡散板5で拡散されずに直接外部に照射されてしまうおそれがある。光拡散板5の大きさは、例えば、横幅及び縦幅が1mm~10mm、厚みは0.1mm~1mmとすればよい。このように、本実施の形態では光拡散板5をVCSEL素子2と比較して面積比で10倍程度の大きさとしているが、光拡散板5の大きさは特に限定されないものであり、例えば、さらに20倍以上の大きさとしてもよい。なお、光拡散板5は、平面視した状態において、VCSEL素子2を覆っていればよい。
【0014】
光拡散板5は、両面が平行で平坦な樹脂基材と、樹脂基材の一方の表面に光を拡散させるための微細な複数の凹凸が形成された樹脂層とを備えている。そして、光拡散板5は、基板1上に配置されたVCSEL素子2の出射光の経路上に設けられ、VCSEL素子2の出射光を樹脂層の凹凸により拡散して照射する。複数の凹凸は周期を有するパターンであってもよいし、周期的ではないランダムなパターンであってもよい。光拡散板5では、この複数の凹凸のパターンにより、光の屈折方向を制御し、VCSEL素子2から出射された光を所定の照射パターンに変更する。また、図1では、光拡散板5が四角形である例を示したが、多角形や円形など、他の形状であってもよい。光拡散板5の材料としてはエポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド樹脂等を用いることができる。
【0015】
光拡散板5は、光学モジュール10からの脱落防止のため上面側を上部支持体6により支持され、光学モジュール10への固定のために下面側を下部支持体7によって支持されている。このように、枠体3や上部支持体6及び下部支持体7を同じ材料の一体構造とし、枠体3と一体構造である上部支持体6と下部支持体7で光拡散板5の上下面を挟み込むようにして支持している。一体構造として光拡散板5を支持することにより、例えば、枠体3や上部支持体6及び下部支持体7を別部品として製造し、これらの3部品を接着にて固定した場合と比較して、長期にわたり安定的に光拡散板5を枠体3に保持することができる。また、枠体3に上部支持体6や下部支持体7を接着する工程が省略されるため、上部支持体6と下部支持体7の位置精度が向上し、光拡散板5を配置しやすくなるとともに、光拡散板5の組付け後の位置精度も向上する。さらに、枠体3や上部支持体6及び下部支持体7を一つの部材で構成することにより部品点数を削減できるため、コストダウンすることができる。
【0016】
この実施形態では、下部支持体7は、出射窓4の内壁部4aから対向するように複数個が内側に突出した突起7に設定されている。複数の突起7の上面は、それぞれ同一の高さに形成され光拡散板5の下面が載置される。突起7には、上面部分に接着剤が塗布され、光拡散板5が載置されるとともに接着される。
【0017】
上部支持体6は、出射窓4の内壁部4aから突出する複数の弾性突起爪6であってもよい。上部支持体6を弾性突起爪6とすることにより、光拡散板5の突起7への組付けが容易になる。この実施形態では、弾性突起爪は、出射窓の内壁部から光拡散板5の上面付近まで延びるスナップ爪6に設定されている。スナップ爪6は、矩形状の出射窓4の内壁部4aから内側に向かって突出するように形成されている。この実施形態では、内壁部4aの対向する2面にそれぞれに2箇所ずつ対称に形成されているが、スナップ爪6の配置は必ずしも対象でなくてもよく、左右において個数が違ってもよい。また、前述のようにスナップ爪6は、出射窓4の内壁部4aから内側に向かって突出するように形成されている。同じく突起7も、スナップ爪6よりもVCSEL素子2に近い位置にあるが、出射窓4の内壁部4aから内側に向かって突出するように形成されている。ここで、スナップ爪6の内壁部4aからの突出高さは、突起7の内壁部4aからの突出高さよりも低いことが好ましい。スナップ爪6がVCSEL素子2からの光を遮らなくするためである。なお、スナップ爪6は、光拡散板5の全周に配置する必要がなく、光拡散板5の一つの辺の一部に配置されている。スナップ爪6が配置される箇所が一部に限定されるため、光拡散板5の上面を覆う面積が最小限に抑えられ、更にVCSEL素子2からの光を遮る可能性を低減できる。
【0018】
スナップ爪6には、上方から見たときに光拡散板5に近づくほど出射窓4の内壁部4aから離れる方向へ突出する傾斜面6aが形成されている。傾斜面6aは、出射窓4に挿入される光拡散板5の挿入方向に対して角度θを有しており、光拡散板5の挿入時には光拡散板5の下面が傾斜面6aと接してそのまま下方に押し込まれる。角度θの大きさは、例えば、0~45度とすればよい。傾斜面6aは出射窓4の口元から連続する均一な斜面として形成されているため、光拡散板5の挿入時に、光拡散板5がスナップ爪6に接触する動作に連動して横方向の分力が発生し、この分力によりスナップ爪6を横方向にたわませることができる。このため、対向する2つのスナップ爪6の間隔より幅の広い光拡散板5が挿入された場合であっても滑らかに挿入することができ、光拡散板5をスナップ爪6よりも下方に移動させることができる。
【0019】
スナップ爪6には垂直壁面6bが形成されている。垂直壁面6bは、基板1および光拡散板5の上面に対して垂直であり、光拡散板5の側面と平行に形成されている。対向するスナップ爪6の間隔は光拡散板5の幅よりも狭く設定されているが、光拡散板5挿入時において垂直壁面6bと光拡散板5の側面を面接触させることにより、挿入時において光拡散板5を基板1に対して平行に保持しやすくなり、さらにスナップ爪6と光拡散板5との面圧が減少することにより光拡散板5が通過しやすくなる。なお、この実施形態では、傾斜面6aと垂直壁面6bは断面視において、くの字状に折れ曲がるように接続しているが、折れ曲がりではなく曲面にて接続してもよい。曲面とすることによりエッジ部分が無くなり光拡散板5が通過しやすくなる。
【0020】
スナップ爪6は、下方から見たときに出射窓4の内壁部4aに対して垂直な底面6cが形成され且つ内壁部側に切欠き6dが形成されている。すなわち、スナップ爪6は、上方に位置する一方の端部が出射窓4の内壁部4aと一体に形成され、下方に位置する他方の端部が出射窓4の内壁部4aと分離しており、出射窓4の内壁部4aに対して鋭角に突出するように形成されている。スナップ爪6が出射窓4の内壁部4aと分離される部分に形成される切欠き6dにより、スナップ爪6の横方向へのたわみ量が確保される。
【0021】
光拡散板5の挿入時において、光拡散板5が通過した後は、スナップ爪6が弾性力により光拡散板5の上面上にせり出すように突出する。このとき底面6cが光拡散板5の上面と対向するように静止し、光拡散板5の上方向への移動を接触して規制する。すなわち、光拡散板5は、光拡散板5の下方にある突起7と、上方に位置するスナップ爪6とで上下面を挟み込まれる構造により確実に固定されている。この光拡散板5を上下に挟み込んで固定する構造は、例えば、出射窓4の内壁部4aにスリットを設け、このスリットに光拡散板5を入れ込んで固定する構造と比較し、光拡散板5の小型化が容易でありコストダウンが可能となる。
【0022】
スナップ爪6の底面6cと光拡散板5の上面とは平行であることが好ましい。スナップ爪6の底面6cと光拡散板5の上面とを平行にすることにより、光拡散板5の抜け方向の動きに際して光拡散板5の上面とスナップ爪の底面6cが面接触するが、スナップ爪の底面6cは光拡散板5の抜け方向に対して垂直に形成されているため横方向の分力を生じない。このためスナップ爪6が横方向にたわむことがなく、スナップ爪6が破損しない限り光拡散板5は脱落しない。
【0023】
このように、光拡散板5の固定方法を上下面が挟み込まれる構造とし、且つ、下面は接着を併用することにより、光拡散板5の光学モジュールからの脱落を防止することができる。一方、複数の固定方法を併用せずに、下面の接着のみで光拡散板5を突起7に固定した場合、光拡散板5が光学モジュール10から脱落するおそれがある。光拡散板5の下面の接着のみの場合は、経年劣化等により接着剤が剥離すると、光拡散板5が突起7の上面の接着面から外れてしまう。このとき、光拡散板5の上方には光拡散板5の移動を規制する部材が存在しないので、光拡散板5は光学モジュール10から脱落し、VCSEL素子2が出射する光が光拡散板5で拡散されずに直接外部に照射されてしまう。また、複数の固定方法を併用せずに、下面の接着のみで光拡散板5を突起7に固定する場合は、固定力を増す方法として、接着面積を大きくすることが考えられるが、光拡散板5を大きくすることになり光拡散板5の製造コストが増えてしまう。光拡散板5の固定方法を上下面が挟み込まれる構造とすることにより、接着に必要な接着面積と比較して少ない係合面積で光拡散板5を固定することができ、且つ、接着を併用する場合であっても、少ない接着面積で相乗効果を発揮することができる。これらの効果により、光拡散板5を押さえる面積を小さくでき、光学モジュール10の小型化によるコストダウンにつながる。なお、本実施形態では、光拡散板5を固定するための部材により光拡散板5を遮光してしまう面積が最小限に抑えられている。本実施形態の場合、光拡散板5の外縁部を、スナップ爪6が上面から支持し、突起7が下面から支持しているが、光拡散板5の全面積の内、中心部分の70%を超える部分では、VCSEL素子2からの出射光が遮られることがない。
【0024】
本実施形態では、スナップ爪6が光拡散板5の上面にせり出すように突出している。このため接着剤の剥離により上方へ移動しようとする光拡散板5は、スナップ爪6と接触することにより移動を規制され、光学モジュール10から脱落する恐れがない。また、光拡散板5の組み立て時には、光拡散板5を突起7に載置する動作のみを必要とし、別途固定するための作業が不要である。すなわち、光拡散板5を突起7に接着する動作に連動して、光拡散板5の上下面とも挟み込まれて固定されるため、組付けが容易であり固定用の機械要素を用意しておく必要もなくコストダウンにつながる。
【0025】
(第2実施形態)
図4及び図5には本発明の第2実施形態に係る光学モジュール20が示されている。この光学モジュールは、以下に説明する点で第1実施形態に係る光学モジュールと相違し、その他の点では、第1実施形態に係る光学モジュールと同一の構成からなる。したがって、同一の構成には同一の符号を用いることで詳細な説明を省略する。
【0026】
この実施形態では、光拡散板8の上面には、弾性突起爪6の先端部が配置される凹部9が形成されている。弾性突起爪6の先端部が凹部9に組み合わさるように配置されることにより、光拡散板8の位置ずれを防止することができる。この実施形態では、光拡散板8の上面の両サイドに凹部9が形成され、光拡散板8の挿入時に弾性変形したスナップ爪6を弾性作用によって復元させるように設定されている。この光拡散板8の凹部9とスナップ爪6が互いに嵌まり込み組み合わさるように、出射窓4の内壁部4aにスナップ爪6を配置し、対向する光拡散板8の上面両サイドに凹部9が形成されている。凹部9とスナップ爪6は、互いに当接することのないように全方向においてきわめて小さい隙間が確保されているため、光拡散板8の挿入時に弾性変形したスナップ爪6は、弾性作用によって光拡散板8の凹部9と嵌まり込むことができる。また、スナップ爪6と凹部9とは対向面に微細な隙間を有する状態で互いに組み合っているため、光拡散板8が左右および上下方向に大きくずれることがなく、光拡散板8による出射光の拡散範囲が大きく変動することを防ぐことができる。また、スナップ爪6の先端部分を光拡散板8の上面よりも低い位置に配置できるため、スナップ爪6の先端部分が光拡散板8の上面にあるときと比べて枠体3を薄くすることができ、光学モジュール20の薄型化が可能となる。また、光拡散板8にレンズ機能を設け、特に傾きのある指向性調整を行うとき、光拡散板8の上面を遮るものがないため、光拡散板8の上面の傾き方向を目視にて容易に識別でき組み立てが容易となる。
【0027】
(第3実施形態)
図6には本発明の第3実施形態に係る光学モジュール30が示されている。この光学モジュールは、以下に説明する点で第1実施形態に係る光学モジュールと相違し、その他の点では、第1実施形態に係る光学モジュールと同一の構成からなる。したがって、同一の構成には同一の符号を用いることで詳細な説明を省略する。
【0028】
この実施形態では、出射窓4の内壁部4aに、枠体3に支持された光拡散板5の側面を弾性的に支持する補助支持体24が突出形成されている。補助支持体24は、出射窓4の内壁部4aと光拡散板5の側面との間に形成されている。内壁部4aから光拡散板5の側面方向へ突出している補助支持体24は、内壁部4aと光拡散板5の側面のクリアランスを埋め、光拡散板5の自由度を無くすことにより、接着により光拡散板5を突起7に固定しなくても光拡散板5の水平方向での動きや浮き上がりを抑制する。すなわち、スナップ爪6は、光拡散板5を下方に通過させ、光拡散板5の上方にせり出すように突出することにより、光拡散板5とは接触せずに脱落を防止する。一方、補助支持体24は、光拡散板5を下方に通過させずに、光拡散板5の側面を弾性支持する。なお、補助支持体24は、光拡散板5の隣接する少なくとも2つの辺に配置するとよい。光拡散板5は、補助支持体24の押圧によって、出射窓4の内壁部4aの補助支持体24の反対側の内壁部4aに押し当てられ水平方向の動きを抑制できる。また、本実施形態では、平面視で上部支持体6と補助支持体24が重ならない位置に設定されている。この配置により補助支持体24の上部には上部支持体6がないことから、平面視で補助支持体24が光拡散板5を内壁部4aに向かって押圧している状態を目視確認することができる。さらに本実施形態では、下部支持体7に矩形状の空洞が形成されており、この空洞の上方向に上部支持体6が形成されている。平面視で上部支持体6や下部支持体7及び補助支持体24が重ならない構造により、成型にて製作する場合に金型の製作が容易になる。
【0029】
(第4実施形態)
図7及び図8には本発明の第4実施形態に係る光学モジュール40が示されている。この光学モジュールは、以下に説明する点で第1実施形態に係る光学モジュールと相違し、その他の点では、第1実施形態に係る光学モジュールと同一の構成からなる。したがって、同一の構成には同一の符号を用いることで詳細な説明を省略する。
【0030】
この実施形態では、光拡散板11の上面の両サイドにテーパー部12が形成されている。このテーパー部12は、光拡散板11の挿入時に弾性変形したスナップ爪6を弾性作用によって復元させる。光拡散板11は、例えば、光拡散板11の両端面11aが、突起7の上面からスナップ爪6の先端の底面6cまでの高さよりも低く形成され、中央側の平坦面11bが、突起7の上面からスナップ爪6の先端の底面6cまでの高さよりも高く形成されている。さらに、両端面11aと平坦面11bは、斜面であるテーパー部12により連接されている。テーパー部12は平面であってもよいし曲面であってもよい。
【0031】
テーパー部12を備えることによって、挿入時に光拡散板11の両端面11aの外側に弾性変形したスナップ爪6は、弾性作用によって光拡散板11の上面側に復元することができる。一方、テーパー部12の中腹において、スナップ爪6は弾性力が解放されないまま復元が停止されるため、スナップ爪6が光拡散板11を下方向に押圧し続ける。このように、復元したスナップ爪6は光拡散板11の上面側に突出しているため、光拡散板11が光学モジュールから脱落することがなく、さらにスナップ爪6が弾性変形したまま光拡散板11に接触しているため、光拡散板11が左右および上下方向にずれることもない。これによって、光拡散板11からの出射光の拡散範囲が変動することを防ぐことができる。本実施形態では、光学モジュール40の薄型化ができると共に、接着による固定方法を用いなくても光拡散板11の水平方向の動きを抑制できる。
【0032】
(第5実施形態)
図9には本発明の第5実施形態に係る光学モジュール50が示されている。この光学モジュールは、以下に説明する点で第1実施形態に係る光学モジュールと相違し、その他の点では、第1実施形態に係る光学モジュールと同一の構成からなる。したがって、同一の構成には同一の符号を用いることで詳細な説明を省略する。
【0033】
この実施形態では、光拡散板5の下面に弾性シート13が配置されている。弾性シート13は、出射光を妨げないように中央部に間隔を空けて光拡散板5の下面の両サイドに接着されている。弾性シート13を接着したときの、光拡散板5および弾性シート13の合計の厚さは、突起7の上面からスナップ爪の底面6cまでの高さよりも厚くなるように設定されている。弾性シート13を接着することにより、スナップ爪6と光拡散板5との間に隙間がなくなり、水平方向動きや回転、高さ方向の傾きを生じることがない。なお、弾性シート13は光拡散板5の下面に帯状に接着してもよいし、突起7の上面に点状に接着してもよい。また、弾性シート13は上下面の平行であることが好ましい。光拡散板5を水平に載置できるからである。本実施形態では、弾性シート13の下面に配置した接着剤が劣化しても光拡散板5の動きを抑制でき、脱落を防止できる。
【0034】
(第6実施形態)
図10及び図11には本発明の第6実施形態に係る光学モジュール60が示されている。この光学モジュールは、以下に説明する点で第1実施形態に係る光学モジュールと相違し、その他の点では、第1実施形態に係る光学モジュールと同一の構成からなる。したがって、同一の構成には同一の符号を用いることで詳細な説明を省略する。
【0035】
この実施形態では、枠体3の上部に出射窓4の内壁部4aから光拡散板5の上面とほぼ平行に突出する遮蔽壁14が形成されている。遮蔽壁14は略L字状に形成され、光拡散板5の上面の一辺の外周部を被覆することにより、光拡散板5の光学モジュール60からの脱落を防止している。この実施形態では、出射窓4の内壁部4aの上部から庇状に光拡散板5側へせり出するように突出し、光拡散板5の上方向の脱落を防止するように設定されている。遮蔽壁14の下部に相当する出射窓4の内壁部4aは、凹凸のない平面状に形成されており、この内壁部4aに光拡散板5の側面が突き当たることにより、光拡散板5の2次元回転が抑制される。なお、遮蔽壁14の形成範囲は適宜設計される。例えば光拡散板5の上面のニ辺の上部を覆ってもよいし三辺の上部を覆ってもよい。これにより、光拡散板5の上方向の脱落をさらに確実に防止できる。
【0036】
(第7実施形態)
図12及び図13には本発明の第7実施形態に係る光学モジュール70が示されている。この光学モジュールは、以下に説明する点で第1実施形態に係る光学モジュールと相違し、その他の点では、第1実施形態に係る光学モジュールと同一の構成からなる。したがって、同一の構成には同一の符号を用いることで詳細な説明を省略する。
【0037】
この実施形態では、基板15の側面15bに凹み部15aが設けられている。一方、枠体16の側面16bには前記凹み部15aに嵌まり込む突起部16aが設けられている。この実施形態では、枠体16の側面16bから横方向に突出した複数の突起部16aが、さらに下方向の基板15の側面15bに向かって板状に突出しており、凹み部15aに突起部16aを嵌め込むことにより枠体16が接着による固定方法を用いなくても位置決めされるように設定されている。板状の突起部16aを含む枠体16の幅寸法は基板15の幅寸法とほぼ同一に設定されおり、光学モジュール70の外形部は突起のないフラットな形状になっている。このように、板状の突起部16aと嵌合するように基板15の側面に凹み部15aが形成されているため、突起部16aが凹み部15aを挟み込むことが可能になる。さらにこの部分に接着剤による接着を併用することもできる。この場合、枠体の底面のみを基板に接着する場合と比較して接着面積が大きくなり、基板15から枠体16が脱落するリスクが低減する。
【0038】
さらに、突起部16aは枠体16の全側面である四周に形成されており、基板15に対する枠体16の動きを四方向で拘束できるため、枠体16と基板15が位置ずれを起こさない。このため枠体16に設置される光拡散板5の、VCSEL素子2に対する正確な位置決めが容易になり、VCSEL素子2の上方に配置される光拡散板5の大きさを、許容範囲の最小限まで小さくできコスト削減につながる。また、本実施形態では、基板15の側面部に凹み部15aを設けているため、基板上に貫通孔を設ける場合と比較して、基板15の面積を小さくすることができ、光学モジュールの小型化が可能になる。この実施形態では、突起部16aは板状に設定されているが、突起部16aの形状、大きさは適宜設計される。
【0039】
(第8実施形態)
図14及には本発明の第8実施形態に係る光学モジュール80が示されている。この光学モジュールは、以下に説明する点で第1実施形態に係る光学モジュールと相違し、その他の点では、第1実施形態に係る光学モジュールと同一の構成からなる。したがって、同一の構成には同一の符号を用いることで詳細な説明を省略する。
【0040】
この実施形態は、前述した凹み部15a及び突起部16aに抜け止め手段を設けたものである。抜け止め手段を設けたことにより、基板15から枠体16が脱落することを確実に防ぐことができる。この実施形態では、凹み部15a及び突起部16aそれぞれに、凹凸による係合構造である抜け止め手段が設けられている。
【0041】
突起部16aの抜け止め手段としては、枠体16の側面16bから横方向に突出した複数の突起部16aが、さらに下方向の基板15の側面15bに向かって板状に突出しており、突起部16aの先端部分に根元部分よりも形状の大きい拡大凸部18が形成されている。凹み部15aの抜け止め手段としては、基板15の側面に形成された凹み部15aの下側に、拡大凸部18と嵌合する拡大凹み部17が形成されている。
【0042】
すなわち、抜け止め手段として機能する拡大凸部18が拡大凹み部17と干渉して、基板15と枠体16の上下方向での抜けを確実に防止することができる。また、この部分に接着剤による接着を併用することも可能である。なお、本実施形態の場合、側面15bに拡大凹み部17の加工を行うことができるよう基板15の厚さを増加させている。
【0043】
(第9実施形態)
図15及び図16には本発明の第9実施形態に係る光学モジュール90が示されている。この光学モジュールは、以下に説明する点で第1実施形態に係る光学モジュールと相違し、その他の点では、第1実施形態に係る光学モジュールと同一の構成からなる。したがって、同一の構成には同一の符号を用いることで詳細な説明を省略する。
【0044】
この実施形態では、VCSEL素子2を囲うようにして基板1に固定される第1の枠体3と、第1の枠体3を被覆する第2の枠体19とを備えている。第2の枠体19は、上面19aと側面19bとを有し、上面19aには光拡散板5の上方に位置する開口窓25が形成されている。開口窓25の内側壁には光拡散板5の上面に向けて突出する第2の弾性突起爪21が形成されている。この実施形態では、第2の枠体19の開口窓25は、第1の枠体3の出射窓4の内側に庇状にせり出しており、開口窓25の開口面積は、出射窓4の開口面積よりも狭く形成されている。出射窓4の内側に庇状にせり出した突出部20aの下面と光拡散板5上面との間には、第2の弾性突起爪21が設置されている。第2の弾性突起爪21は弾性変形した状態を維持したまま光拡散板5を押圧し続けるため、第2の弾性突起爪21と光拡散板5の間には隙間がなく、光拡散板5が水平方向および上下方向で位置ずれを起こすことがない。
【0045】
さらに、第1の枠体3と第2の枠体19とは、第1の枠体3に第2の枠体19を固定する固定手段を有している。この実施形態では、第1の枠体3の側面に設けられた突起部22と、第2の枠体19の側面に設けられた突起部22が嵌合する孔部23で構成されている。第1の枠体3の突起部22が、第1の枠体3を覆うように配置された第2の枠体19の孔部23に嵌合することにより、第2の枠体19が第1の枠体3に固定される。この固定手段により、第1の枠体3から第2の枠体19が脱落しなくなり、前述の第2の弾性突起爪21の弾性変形状態が維持される。
【符号の説明】
【0046】
10 光学モジュール
1 基板
1a 上面
1b 側面
1c 電極
2 VCSEL素子
3 枠体
3a 側面
3b 上面
4 出射窓
4a 内壁部
5 光拡散板
6 上部支持体
6a 傾斜面
6b 垂直壁面
6c 底面
6d 切欠き
7 下部支持体
8 光拡散板
9 凹部
11 光拡散板
11a 両端面
11b 平坦面
12 テーパー部
13 弾性シート
14 遮蔽壁
15 基板
15a 凹み部
15b 側面
16 枠体
16a 突起部
16b 側面
17 拡大凹み部
18 拡大凸部
19 第2の枠体
19a 上面
19b 側面
20a 突出部
21 第2の弾性突起爪
22 突起部
23 孔部
24 補助支持体
25 開口窓

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16