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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174439
(43)【公開日】2022-11-24
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/00 20060101AFI20221116BHJP
   F16D 65/16 20060101ALI20221116BHJP
   F16D 121/20 20120101ALN20221116BHJP
   F16D 127/06 20120101ALN20221116BHJP
   F16D 127/02 20120101ALN20221116BHJP
【FI】
H02K7/00 Z
F16D65/16
F16D121:20
F16D127:06
F16D127:02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080231
(22)【出願日】2021-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】安藤 将哉
(72)【発明者】
【氏名】中島 啓太
【テーマコード(参考)】
3J058
5H607
【Fターム(参考)】
3J058AB21
3J058BA67
3J058CC13
3J058FA42
5H607BB01
5H607BB04
5H607BB14
5H607BB25
5H607CC03
5H607CC09
5H607DD14
5H607EE06
5H607EE18
(57)【要約】
【課題】小型化可能に逆入力耐性を確保する。
【解決手段】モータ1は、回転軸2とモータコイルが巻回された複数のティース5とを有したロータ3を備える。また、モータ1は、モータコイルに対する給電により、その回転軸2の軸方向に延在して軸端部20に至る磁路Lを形成する磁路形成部65を備える。更に、モータ1は、この磁路Lの形成により回転軸2の軸端部20に吸引される磁性部材42を備える。更に、モータ1は、回転軸2の軸端部20に係合することにより、ロータ3の回転を規制するロック部材44を備える。そして、このロック部材44は、回転軸2の軸端部20に吸引された磁性部材42に押圧されることにより、その軸端部20から脱離するように構成される。
【選択図】図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸とモータコイルが巻回された複数のティースとを有するロータと、
前記モータコイルに対する給電により前記回転軸の軸方向に延在して該回転軸の軸端部に至る磁路を形成する磁路形成部と、
前記磁路の形成により前記回転軸の前記軸端部に吸引される磁性部材と、
前記回転軸の前記軸端部に係合して前記ロータの回転を規制するとともに前記軸端部に吸引された前記磁性部材に押圧されることにより前記軸端部から脱離するロック部材と、
を備えるモータ。
【請求項2】
請求項1に記載のモータにおいて、
前記回転軸は、
非磁性体からなる軸本体と、
前記軸本体に設けられた軸方向に延在する複数の溝部と、
前記各溝部内に配置された磁性体からなる複数の磁路形成部材と、
を備えてなること、を特徴とするモータ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のモータにおいて、
前記各ティースが配置される前記回転軸の周方向位置に設けられた複数の前記磁路形成部を備えること、を特徴とするモータ。
【請求項4】
請求項3に記載のモータにおいて、
前記各磁路形成部に接続される前記各ティースの基端部には、該基端部を前記回転軸の軸方向に拡張する肉盛部が設けられること、を特徴とするモータ。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れか一項に記載のモータにおいて、
前記ロック部材は、非回転部材に係合する第1係合部と前記回転軸の前記軸端部に係合する第2係合部とを有して前記軸端部と前記磁性部材との間に介在されるとともに該磁性部材に前記押圧されることにより拡径して前記第2係合部が前記軸端部から脱離する弾力性を有した環状部材であること、を特徴とするモータ。
【請求項6】
請求項5に記載のモータにおいて、
前記磁性部材は、前記環状部材の環形状に嵌合する状態で前記環状部材を押圧する球面形状を有すること、を特徴とするモータ。
【請求項7】
請求項6に記載のモータにおいて、
前記回転軸の前記軸端部には、該軸端部に吸引された前記磁性部材の前記球面形状を内側に配置する凹部が設けられること、を特徴とするモータ。
【請求項8】
請求項1~請求項4の何れか一項に記載のモータにおいて、
前記ロック部材は、非回転部材に支持された状態で付勢部材に回動付勢されることにより第1端部が前記回転軸の前記軸端部に係合するとともに第2端部が前記磁性部材に前記押圧されることにより前記付勢部材の付勢力に抗して前記第1端部が前記軸端部から脱離するレバー部材であること、を特徴とするモータ。
【請求項9】
請求項8に記載のモータにおいて、
支軸を共有する状態で前記非回転部材に前記支持されることにより前記回転軸の径方向において互いに相反する方向から前記軸端部に係合する一対の前記レバー部材と、
縮径方向の弾性力を発生する環形状内に配置された前記各レバー部材を押圧することにより該各レバー部材を前記回動付勢するOリングと、を備えること、
を特徴とするモータ。
【請求項10】
請求項9に記載のモータにおいて、
前記磁性部材には、前記各レバー部材及び前記Oリングを内側に配置する収容室が設けられること、を特徴とするモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、逆入力に抗して出力位置を保持する逆入力耐性を備えたアクチュエータがある。例えば、特許文献1に記載のアクチュエータは、ウォーム&ホイールを用いてモータの回転を減速する。そして、そのウォームの進み角に基づいたセルフロック機能を利用することにより、逆入力耐性を確保する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/235292号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来技術の構成では、その小型化が難しいという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するモータは、回転軸とモータコイルが巻回された複数のティースとを有したロータと、前記モータコイルに対する給電により前記回転軸の軸方向に延在して該回転軸の軸端部に至る磁路を形成する磁路形成部と、前記磁路の形成により前記回転軸の前記軸端部に吸引される磁性部材と、前記回転軸の前記軸端部に係合して前記ロータの回転を規制するとともに前記軸端部に吸引された前記磁性部材に押圧されることにより前記軸端部から脱離するロック部材と、を備える。
【0006】
上記構成によれば、容易に小型化できる簡素な構成にて、モータコイルに対する給電時には、ロータの回転を許容するとともに、非給電には、その回転を規制することのできるセルフロック機構を形成することができる。そして、これにより、モータ単体で、その逆入力耐性を確保することができる。
【0007】
上記課題を解決するモータにおいて、前記回転軸は、非磁性体からなる軸本体と、前記軸本体に設けられた軸方向に延在する複数の溝部と、前記各溝部内に配置された磁性体からなる複数の磁路形成部材と、を備えてなることが好ましい。
【0008】
上記構成によれば、簡素な構成にて、容易に、その回転軸に磁路形成部を形成することができる。
上記課題を解決するモータは、前記各ティースが配置される前記回転軸の周方向位置に設けられた複数の前記磁路形成部を備えることが好ましい。
【0009】
上記構成によれば、回転軸に形成された磁路形成部に、より多くの磁束が流れるようにすることができる。
上記課題を解決するモータは、前記各磁路形成部に接続される前記各ティースの基端部には、該基端部を前記回転軸の軸方向に拡張する肉盛部が設けられることが好ましい。
【0010】
上記構成によれば、各ティースの基端部が磁路形成部に接続される部分の断面積を拡大することができる。そして、これにより、各ティースに発生した磁束を、より多く各磁路形成部に流し込むことができる。
【0011】
上記課題を解決するモータにおいて、前記ロック部材は、非回転部材に係合する第1係合部と前記回転軸の前記軸端部に係合する第2係合部とを有して前記軸端部と前記磁性部材との間に介在されるとともに該磁性部材に前記押圧されることにより拡径して前記第2係合部が前記軸端部から脱離する弾力性を有した環状部材であることが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、容易に小型化できる簡素な構成にて、回転軸の軸端部に吸引された磁性部材に押圧されることにより回転軸の軸端部から脱離して、そのロータの回転を許容することのできるロック部材を形成することができる。更に、このロック部材に付与された弾力性を有する環形状に基づいて、再び、その第2係合部を回転軸の軸端部に係合させることができる。そして、これにより、モータコイルに対する給電の停止によって、そのロータの回転が規制された状態に復帰させることができる。
【0013】
上記課題を解決するモータにおいて、前記磁性部材は、前記環状部材の環形状に嵌合する状態で前記環状部材を押圧する球面形状を有することが好ましい。
上記構成によれば、環状部材としての構成を有したロック部材の環形状を円滑に拡径させることができる。
【0014】
上記課題を解決するモータにおいて、前記回転軸の前記軸端部には、該軸端部に吸引された前記磁性部材の前記球面形状を内側に配置する凹部が設けられることが好ましい。
上記構成によれば、ロック部材の環形状に嵌合する球面形状を有した磁性部材と回転軸の軸端部との干渉を回避して、その磁性部材を、より回転軸の軸端部に近い位置に配置することができる。そして、これにより、回転軸の軸方向に延在して軸端部に至る磁路の形成により、その回転軸の軸端部に磁性部材が吸引される力を有効に利用することができる。
【0015】
上記課題を解決するモータにおいて、前記ロック部材は、非回転部材に支持された状態で付勢部材に回動付勢されることにより第1端部が前記回転軸の前記軸端部に係合するとともに第2端部が前記磁性部材に前記押圧されることにより前記付勢部材の付勢力に抗して前記第1端部が前記軸端部から脱離するレバー部材であることが好ましい。
【0016】
上記構成によれば、容易に小型化できる簡素な構成にて、セルフロック機構を形成することができる。即ち、レバー部材をロック部材として、モータコイルに対する給電時には、ロータの回転を許容するとともに、非給電には、その回転を規制することができる。そして、これにより、モータ単体で、その逆入力耐性を確保することができる。
【0017】
上記課題を解決するモータは、支軸を共有する状態で前記非回転部材に前記支持されることにより前記回転軸の径方向において互いに相反する方向から前記軸端部に係合する一対の前記レバー部材と、縮径方向の弾性力を発生する環形状内に配置された前記各レバー部材を押圧することにより該各レバー部材を前記回動付勢するOリングと、を備えることが好ましい。
【0018】
上記構成によれば、Oリングを付勢部材として、容易に小型化できる簡素な構成にて、セルフロック機構を形成することができる。また、各レバー部材の第1端部が回転軸の軸端部を径方向に相反する方向から挟み込む態様で、バランスよく、その各レバー部材を回転軸の軸端部に係合させることができる。更に、これらのレバー部材が回転軸の軸端部を挟み込む力に基づいて、その第2端部に当接した磁性部材が、回転軸の軸端部から離間する方向に押圧される。そして、これにより、モータコイルに対する給電を停止して、ロータの回転を許容する状態から、その回転を規制する状態に移行する際、その磁性部材を回転軸の軸端部に吸引される前の位置に復帰させることができる。
【0019】
上記課題を解決するモータにおいて、前記磁性部材には、前記各レバー部材及び前記Oリングを内側に配置する収容室が設けられることが好ましい。
上記構成によれば、その磁性部材、各レバー部材、及びOリングをコンパクトにまとめて配置することができる。そして、これにより、更なる小型化を図ることができる。
【0020】
また、回転軸の軸端部に対し、より近い位置に磁性部材を配置することができる。そして、これにより、回転軸の軸方向に延在して軸端部に至る磁路の形成により、その回転の軸端部に磁性部材が吸引される力を有効に利用することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、小型化可能に逆入力耐性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】モータの側面図。
図2】モータの断面図。
図3】回転軸の断面図。
図4】モータの拡大断面図。
図5】ティース基端の斜視図。
図6】モータの断面図。
図7】モータの断面図。
図8】回転軸の軸端部、ストッパ、及び鉄球の斜視図。
図9】ストッパの平面図。
図10】ストッパの下面図。
図11】ストッパの側面図。
図12】モータの断面図。
図13】モータの拡大断面図。
図14】モータの断面図。
図15】モータの断面図。
図16】モータの拡大断面図。
図17】モータの断面図。
図18】回転軸の軸端部、レバー部材、支軸、及びOリングの斜視図。
図19】第2の実施形態におけるモータの断面図。
図20】第2の実施形態における磁性部材の側面図。
図21】第2の実施形態における磁性部材の側面図。
図22】第2の実施形態におけるモータの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1の実施形態]
以下、モータを具体化した第1の実施形態を図面に従って説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態のモータ1は、図示しない軸受により回転自在に軸支される回転軸2を有したロータ3を備えている。また、このロータ3は、モータコイル4が巻回された複数のティース5を有している。そして、本実施形態のモータ1は、略円筒状の外形を有してロータ3の径方向外側に同軸配置されたモータハウジング6と、このモータハウジング6の内周に固着されたマグネット7と、を備えている。
【0024】
詳述すると、本実施形態のモータ1において、ロータ3は、周方向に均等角度間隔で回転軸2に設けられた三本のティース5を備えている。また、マグネット7には、円筒状の外形を有したリングマグネット8が用いられている。そして、このリングマグネット8には、周方向に180°離間した二位置に、それぞれ、N極とS極が着磁されている。
【0025】
また、本実施形態のモータ1は、回転軸2における一方の軸端部10(図1中、下側の軸方向端部)に固定された整流子11を備えている。また、モータ1は、この整流子11に設けられた図示しないセグメントに摺接する一対の給電ブラシ12,12を備えている。そして、本実施形態のモータ1は、これにより、これらの給電ブラシ12,12を介して、各ティース5に巻回されたモータコイル4に給電するブラシ付きモータとしての構成を有している。
【0026】
さらに詳述すると、図3図5に示すように、本実施形態のモータ1において、回転軸2の両軸端部10,20は、それぞれ、断面略円形をなす円柱状の外形を有している。また、回転軸2の中間部30は、断面略六角形状をなす略六角柱状の外形を有している。更に、回転軸2の中間部30には、その周方向に120°間隔で離間した三面に、それぞれ、回転軸2の軸方向(図3及び図4中、紙面に直交する方向)に延びる3本の溝部31が設けられている。そして、本実施形態のモータ1は、これらの各溝部31に対し、それぞれ、各ティース5の基端部5xが嵌合することにより、そのロータ3が形成される構成になっている。
【0027】
また、図3図6に示すように、本実施形態のモータ1において、これらの各溝部31は、回転軸2の軸端部20まで延設されている。更に、本実施形態の回転軸2において、これらの各溝部31が凹設された軸本体33は、非磁性体を用いて形成されている。そして、本実施形態のモータ1は、各ティース5の基端部5xよりも径方向内側において、その各溝部31内に配置された磁性体からなる磁路形成部材35を備えている。
【0028】
具体的には、これらの各磁路形成部材35は、回転軸2の軸方向(図6中、上下方向)に延在するとともに、断面略円形状をなす軸端部20の周方向に沿って円弧状に湾曲した長尺の湾曲板形状をなしている。そして、本実施形態の回転軸2は、これにより、その軸端部20の円柱形状が形成される構成となっている。
【0029】
また、図1図7及び図8に示すように、本実施形態のモータ1は、回転軸2の軸端部20を覆う状態で、この回転軸2と同軸に設けられた略有蓋円筒形状の非回転部材40としてのハウジング41を備えている。また、モータ1は、この非回転部材40の筒形状内において、回転軸2の軸方向、この回転軸2の軸端部20に対向配置された磁性部材42としての鉄球43を備えている。更に、モータ1は、この鉄球43と回転軸2の軸端部20との間に介在されたロック部材44としてのストッパ45を備えている。そして、本実施形態のモータ1においては、これらのハウジング41、鉄球43及びストッパ45、並びに上記各磁路形成部材35によって、モータコイル4に対する非給電時、そのロータ3の回転を規制するセルフロック機構50が形成されている。
【0030】
詳述すると、図7図11に示すように、本実施形態のストッパ45は、周方向の一部分が切り欠かれた所謂Cリング状の環状部材51としての構成を有している。そして、本実施形態のモータ1は、その環形状を回転軸2と同軸に配置する状態で、このストッパ45を、その回転軸2の軸端部20に取着する構成となっている。
【0031】
具体的には、本実施形態のストッパ45は、回転軸2の軸端部20に設定された直径D0と略等しい内径D1を有した嵌合部52を備えている。また、このストッパ45は、嵌合部52に連続して、その環形状の軸線方向(図9図11中、上下方向)に延びる断面C字状の受圧部53を備えている。そして、本実施形態のモータ1において、このストッパ45は、比較的軟質な素材を用いて弾性変形可能に構成されている。
【0032】
即ち、本実施形態のストッパ45は、回転軸2の軸端部20に対して、その嵌合部52が外嵌する状態で回転軸2の軸方向に配置される。そして、本実施形態のストッパ45は、これにより、その受圧部53が、鉄球43の球面形状に当接する湾曲した受圧面53sを形成する構成となっている。
【0033】
また、図7に示すように、本実施形態のモータ1は、これらの鉄球43及びストッパ45とともに、そのハウジング41の筒内に配置されたダンパ55を備えている。具体的には、本実施形態のダンパ55は、比較的軟質な素材を用いて構成されている。また、このダンパ55には、鉄球43の球面形状と略等しい球状凹部56が設けられている。そして、本実施形態のモータ1は、この球状凹部56を鉄球43の当接面として、回転軸2の軸方向、このダンパ55とストッパ45との間の位置に、その鉄球43を配置する構成となっている。
【0034】
更に、本実施形態のモータ1においては、回転軸2の軸端面2sにも、略半球状の凹部57が設けられている。そして、本実施形態のモータ1は、これにより、鉄球43の球面形状が、その回転軸2の軸端面2s、つまりは軸端部20に干渉しない構成となっている。
【0035】
また、図7図12に示すように、本実施形態のストッパ45は、その略C字状の環形状をなす嵌合部52に設けられた径方向外側に突出する複数の外側係合突部58を備えている。具体的には、本実施形態のストッパ45は、その嵌合部52の周方向に略180°離間した二位置に設けられた一対の外側係合突部58,58を有している。更に、本実施形態のモータ1においては、ハウジング41の内周にも、周方向に略180°離間した二位置において、その回転軸2の軸方向に延びる一対の係合溝59,59が設けられている。そして、本実施形態のストッパ45は、これらの各係合溝59,59に対して各外側係合突部58,58が係合することにより、その非回転部材40としての構成を有したハウジング41に対する相対回転が規制される構成となっている。
【0036】
また、図8に示すように、本実施形態の回転軸2は、その軸端部20に設けられた複数の係合凹部60を備えている。具体的には、本実施形態のモータ1は、上記各磁路形成部材35の先端35aが、回転軸2の軸端面2sからわずかに突出する状態で、その回転軸2の軸方向に延びる上記各溝部31に配置される構成となっている。そして、本実施形態の回転軸2においては、これらの各磁路形成部材35の間となる周方向位置に、それぞれ、その径方向及び軸方向に開口する係合凹部60が形成されている。
【0037】
更に、図10図13及び図14に示すように、本実施形態のストッパ45は、その嵌合部52の環形状が回転軸2の軸端部20に外嵌する状態で、これらの各係合凹部60に配置される複数の内側係合突部62を備えている。具体的には、本実施形態のストッパ45は、回転軸2の周方向に延びる略円弧形状を有して嵌合部52から略120°間隔で径方向内側に突出する3つの内側係合突部62を有している。そして、本実施形態のストッパ45は、これらの各内側係合突部62が、それぞれ、その回転軸2の軸端部20に各係合凹部60を形成する上記各磁路形成部材35の先端35aに係合することで、その回転軸2に対する相対回転が規制される構成となっている。
【0038】
また、図15に示すように、本実施形態のモータ1においては、モータコイル4に対する給電により、回転軸2に設けられた各磁路形成部材35が、その回転軸2の軸方向に延在して、この回転軸2の軸端部20に至る磁路Lを形成する。更に、この磁路Lの形成により、回転軸2の軸端部20に対向配置された磁性部材42としての鉄球43が、その軸端部20に吸引される。そして、本実施形態のモータ1は、この鉄球43の動作に基づいて、そのセルフロック機構50によるロータ3の回転規制が解除される構成になっている。
【0039】
即ち、図16及び図17に示すように、本実施形態のモータ1においては、回転軸2の軸端部20に吸引された鉄球43の球面形状が、ロック部材44を構成するストッパ45の環形状に嵌合する状態で、このストッパ45を押圧する。尚、本実施形態の回転軸2は、このとき、鉄球43の球面形状が、その軸端面2sに形成された凹部57の内側に配置される構成になっている。更に、本実施形態のストッパ45は、この鉄球43の押圧力に基づいて、その略C字状の環形状を形成する切欠き63が広がる態様で拡径する。そして、本実施形態のモータ1は、これにより、ストッパ45の各内側係合突部62が、回転軸2の軸端部20に設けられた各係合凹部60から脱離することで、そのロータ3の回転が許容される構成になっている。
【0040】
また、本実施形態のモータ1においては、モータコイル4に対する給電が停止されることにより、その回転軸2に形成された軸方向に延在して軸端部20に至る磁路Lが消失する。更に、これにより回転軸2の軸端部20に吸引される鉄球43の押圧力が弱まることで、その弾性変形により拡開したストッパ45の環形状が復元される。そして、本実施形態のモータ1は、これにより、ストッパ45の各内側係合突部62が、再び、その各係合凹部60に係合することで、ロータ3の回転が規制される構成になっている。
【0041】
このように、本実施形態のモータ1は、モータコイル4に対する非給電時には、そのロータ3が回転できない構成となっている。そして、これにより、このモータ1単体で、その逆入力耐性を確保することが可能になっている。
【0042】
また、図2及び図15に示すように、本実施形態のモータ1においては、その磁路形成部65を構成する各磁路形成部材35が、モータコイル4が巻回される各ティース5が配置された回転軸2の周方向位置に設けられている。更に、各ティース5は、その基端部5xが各磁路形成部材35が配置された各溝部31に係合することで、各磁路形成部材35に対して直接的に接続される構成となっている。そして、本実施形態のモータ1は、これにより、その回転軸2に設けられた磁路形成部65に、より多くの磁束が流れる構成となっている。
【0043】
更に、図5及び図15に示すように、各磁路形成部材35に接続される各ティース5の基端部5xには、それぞれ、その基端部5xを回転軸2の軸方向に拡張する肉盛部66が設けられている。即ち、各磁路形成部材35が延在する回転軸2の軸方向に沿って、その各ティース5の基端部5xを拡張することにより、これらの各磁路形成部材35に接続される部分の断面積を拡大することができる。そして、本実施形態のモータ1は、これにより、各ティース5に発生した磁束を、より多く、その各磁路形成部材35が形成する回転軸2の磁路形成部65に流し込むことのできる構成になっている。
【0044】
次に、本実施形態の作用について説明する。
即ち、モータコイル4に給電することにより、そのモータコイル4が巻回された各ティース5から回転軸2の軸方向に延在して、この回転軸2の軸端部20に至る磁路Lが形成される。更に、この磁路Lの形成により軸端部20に吸引された鉄球43に押圧されてストッパ45が弾性変形する。そして、これにより、このストッパ45が、その軸端部20から脱離することで、ロータ3の回転規制が解除される。
【0045】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)モータ1は、回転軸2とモータコイル4が巻回された複数のティース5とを有したロータ3を備える。また、モータ1は、モータコイル4に対する給電により、その回転軸2の軸方向に延在して軸端部20に至る磁路Lを形成する磁路形成部65を備える。更に、モータ1は、この磁路Lの形成により回転軸2の軸端部20に吸引される磁性部材42を備える。更に、モータ1は、回転軸2の軸端部20に係合することにより、ロータ3の回転を規制するロック部材44を備える。そして、このロック部材44は、回転軸2の軸端部20に吸引された磁性部材42に押圧されることにより、その軸端部20から脱離するように構成される。
【0046】
上記構成によれば、容易に小型化できる簡素な構成にて、モータコイル4に対する給電時には、ロータ3の回転を許容するとともに、非給電には、その回転を規制することのできるセルフロック機構50を形成することができる。そして、これにより、モータ1単体で、その逆入力耐性を確保することができる。
【0047】
(2)回転軸2は、非磁性体からなる軸本体33と、この軸本体33に設けられた軸方向に延在する複数の溝部31と、これらの各溝部31内に配置された磁性体からなる複数の磁路形成部材35と、を備えてなる。これにより、簡素な構成にて、容易に、その回転軸2に磁路形成部65を形成することができる。
【0048】
(3)モータ1は、各ティース5が配置された回転軸2の周方向位置において、それぞれ、その磁路形成部65を形成する複数の磁路形成部材35を備える。これにより、その回転軸2に設けられた各磁路形成部材35が形成する磁路形成部65に、より多くの磁束が流れるようにすることができる。
【0049】
(4)各磁路形成部65に接続される各ティース5の基端部5xには、それぞれ、その基端部5xを回転軸2の軸方向に拡張する肉盛部66が設けられる。
即ち、各磁路形成部材35が延在する回転軸2の軸方向に沿って各ティース5の基端部5xを拡張することにより、その磁路形成部65に接続される部分の断面積を拡大することができる。そして、これにより、各ティース5に発生した磁束を、より多く各磁路形成部65に流し込むことができる。
【0050】
(5)モータ1は、その軸端部20と磁性部材42との間に介在された環状部材51としての構成を有するストッパ45を備える。また、このストッパ45は、非回転部材40を構成するハウジング41に係合する第1係合部71としての機能を有した外側係合突部58と、回転軸2の軸端部20に係合する第2係合部72としての機能を有した内側係合突部62と、を備える。更に、このストッパ45は、比較的軟質な素材を用いて弾性変形可能に構成される。そして、このストッパ45は、回転軸2の軸端部20に吸引された磁性部材42に押圧されることにより拡径して、その内側係合突部62が回転軸2の軸端部20から脱離するように構成される。
【0051】
上記構成によれば、容易に小型化できる簡素な構成にて、回転軸2の軸端部20に吸引された磁性部材42に押圧されることにより回転軸2の軸端部20から脱離して、そのロータ3の回転を許容することのできるロック部材44を形成することができる。更に、ストッパ45に付与された弾力性に基づいて、再び、その内側係合突部62を回転軸2の軸端部20に係合させることができる。そして、これにより、モータコイル4に対する給電の停止によって、そのロータ3の回転が規制された状態に復帰させることができる。
【0052】
(6)磁性部材42には、鉄球43が用いられる。そして、モータ1は、この鉄球43の球面形状が、その環形状に嵌合する状態でストッパ45を押圧するように構成される。これにより、円滑に、そのストッパ45の環形状を拡径させることができる。
【0053】
(7)回転軸2の軸端部20には、この軸端部20に吸引された鉄球43の球面形状を内側に配置する凹部57が設けられる。
上記構成によれば、鉄球43と回転軸2の軸端部20との干渉を回避して、その鉄球43を、より回転軸2の軸端部20に近い位置に配置することができる。そして、これにより、回転軸2の軸方向に延在して軸端部20に至る磁路Lの形成により、その回転軸2の軸端部20に磁性部材42が吸引される力を有効に利用することができる。
【0054】
[第2の実施形態]
以下、モータを具体化した第2の実施形態を図面に従って説明する。尚、説明の便宜上、上記第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略することとする。
【0055】
図18及び図19に示すように、本実施形態のモータ1Bは、回転軸2Bの軸端面2sから軸方向に離間した位置において、その径方向に延在する支軸81を備えている。本実施形態のモータ1Bにおいて、この支軸81は、非回転部材40Bとしてのハウジング41Bの周壁82に架け渡される態様で、その回転軸2Bの軸端部20Bとの相対位置が保持されている。更に、本実施形態のモータ1Bは、この支軸81を共有する状態で、ハウジング41Bに回動可能に支持された一対のレバー部材83,83を備えている。そして、本実施形態のモータ1Bにおいては、これらの各レバー部材83,83をロック部材44Bとして、そのセルフロック機構50Bが形成されている。
【0056】
詳述すると、図18図21に示すように、本実施形態の磁性部材42Bは、扁平略円柱状の外形を有している。そして、本実施形態のモータ1Bにおいては、この磁性部材42Bと軸方向に対向する回転軸2Bの軸端面2s及びダンパ55Bの当接面55sもまた、その磁性部材42Bの形状に対応した平坦面となっている。
【0057】
また、本実施形態の磁性部材42Bは、この磁性部材42Bを径方向に貫通する貫通孔84を有している。更に、本実施形態のモータ1Bにおいては、この貫通孔84に対して、上記支軸81が挿通される。具体的には、この貫通孔84は、円柱状をなす磁性部材42Bの軸方向に延在する長孔形状を有している。そして、本実施形態のモータ1Bは、これにより、回転軸2Bに延在して軸端部20Bに至る磁路Lの形成時(図15参照)、その回転軸2Bの軸端部20Bに吸引された磁性部材42Bの軸方向移動を許容する構成になっている。
【0058】
また、本実施形態の磁性部材42Bは、その貫通孔84が開口する二位置から周方向にそれぞれ90°離間した二位置に開口する一対のスリット85,85を有している。具体的には、これらの各スリット85,85は、回転軸2Bの軸端面2sに対する対向面86の一部を切り欠く態様で、その円柱状をなす磁性部材42Bの軸方向に延設されている。更に、本実施形態の磁性部材42Bは、その内部に、これらの各スリット85,85に連通する収容室90を備えている。そして、本実施形態のモータ1Bは、この磁性部材42Bに設けられた収容室90内に、その支軸81に軸支された各レバー部材83,83を配置する構成になっている。
【0059】
具体的には、本実施形態の収容室90は、その貫通孔84が形成された位置から、磁性部材42Bの径方向、その対向面86の一部を切り欠く各スリット85,85の第1端85a,85aに向かって延設された一対の第1斜面91,91を有している。また、この収容室90は、同じく貫通孔84の形成位置から、磁性部材42Bの径方向、各スリット85,85の第2端85b,85bに向かって延設された一対の第2斜面92,92を有している。更に、本実施形態のモータ1Bにおいて、各レバー部材83,83は、互いの延伸方向が交差する状態で、それぞれ、その共有する支軸81に軸支されている。そして、本実施形態の各レバー部材83,83は、これにより、それぞれ、第1端部83a,83a側が第1斜面91,91に当接し、第2端部83b,83b側が第2斜面92,92に当接する状態で、磁性部材42Bに設けられた収容室90内に配置されている。
【0060】
また、図18及び図19に示すように、本実施形態のモータ1Bは、各レバー部材83,83に対し、これらの各レバー部材83,83を相反する方向に回動させる付勢力を付与する付勢部材93としての機能を有したOリング94を備えている。即ち、このOリング94は、縮径方向の弾性力を発生することにより、その環形状内に配置された各レバー部材83,83を挟み込む態様で押圧する。そして、本実施形態のモータ1Bにおいては、これにより、その各レバー部材83,83が、それぞれ、上記第1斜面91,91及び第2斜面92,92に押し当てられる態様で、互いに相反する方向に回動付勢される構成になっている。
【0061】
尚、本実施形態の磁性部材42Bには、そのダンパ55Bに対する対向面87に開口する円孔状の取着孔95が設けられている。そして、本実施形態の磁性部材42Bは、この取着孔95を介して、その収容室90内にOリング94が挿入される構成になっている。
【0062】
更に、本実施形態の磁性部材42Bにおいて、各レバー部材83,83は、それぞれ、スリット85,85を介して、その収容室90内に挿入される。そして、本実施形態の磁性部材42Bは、これにより、その収容室90内に配置されたOリング94の環形状内に各レバー部材83,83を配置することが可能になっている。
【0063】
また、本実施形態のモータ1Bにおいて、回転軸2Bの軸端部20Bには、周方向に180°離間した二位置において、その径方向及び軸方向に開口する一対の係合凹部96,96が設けられている。更に、本実施形態の磁性部材42Bは、収容室90内に配置された各レバー部材83,83の第1端部83a,83aが、それぞれ、その対向面86の一部を切り欠く各スリット85,85の第1端85a,85aから軸方向に突出する構成になっている。そして、本実施形態のモータ1Bは、これら各レバー部材83,83の第1端部83a,83aが、それぞれ、その回転軸2Bの軸端部20Bに設けられた各係合凹部96,96に係合する構成になっている。
【0064】
即ち、本実施形態のモータ1Bにおいては、これらの各レバー部材83,83と各係合凹部96,96との係合力に基づいて、その非回転部材40Bとしてのハウジング41Bに支持された各レバー部材83,83に対する回転軸2Bの相対回転が規制される。そして、本実施形態のモータ1Bは、これにより、モータコイル4に対する非給電時、これらの各レバー部材83,83をセルフロック機構50Bのロック部材44Bとして、そのロータ3の回転を規制することのできる構成となっている。
【0065】
また、図22に示すように、本実施形態のモータ1Bにおいてもまた、モータコイル4に対する給電により、その回転軸2Bの軸方向に延在して軸端部20Bに至る磁路Lが形成されることで(図15参照)、この軸端部20Bに磁性部材42Bが吸引される。更に、本実施形態のモータ1Bにおいては、これにより、その磁性部材42Bの収容室90内に配置された各レバー部材83,83の第2端部83b,83bを、これらの各第2端部83b,83bに当接する各第2斜面92,92が押圧する。そして、本実施形態のモータ1Bは、これにより、その付勢部材93を構成するOリング94の付勢力に抗して各レバー部材83,83が回動することで、これらの各レバー部材83,83が、その回転軸2Bの軸端部20Bから脱離する構成になっている。
【0066】
即ち、本実施形態のモータ1Bにおいて、各レバー部材83,83は、Oリング94に付勢されることにより、その各第1端部83a,83aが、回転軸2Bの径方向、互いに相反する方向から、その軸端部20Bに設けられた各係合凹部96,96に係合する。また、これらの各レバー部材83,83は、その軸端部20Bに吸引された磁性部材42Bに第2端部83b,83bが押圧されることで、それぞれ、その第1端部83a,83aが互いに離間する方向に回動する。そして、本実施形態のモータ1Bは、これにより、各レバー部材83,83の第1端部83a,83aと回転軸2Bの軸端部20Bに設けられた各係合凹部96,96との係合が解除されることで、そのロータ3の回転が許容される構成になっている。
【0067】
更に、本実施形態のモータ1Bにおいてもまた、モータコイル4に対する給電が停止されることにより、その回転軸2Bに形成された軸方向に延在する磁路Lが消失する。また、本実施形態のモータ1Bにおいては、回転軸2Bの軸端部20Bに吸引される磁性部材42Bの押圧力が弱まることで、Oリング94の付勢力に基づいて、その第1端部83a,83aが互いに近接する方向に各レバー部材83,83が回動する。更に、この回動により、その各レバー部材83,83の第1端部83a,83aが、再び、回転軸2Bの軸端部20Bに設けられた各係合凹部96,96に係合する。そして、本実施形態のモータ1Bは、これにより、そのロータ3の回転が規制される構成になっている。
【0068】
また、本実施形態のモータ1Bにおいては、このとき、そのOリング94に付勢された各レバー部材83,83の第1端部83a,83aが、回転軸2Bの軸端部20Bを、径方向に相反する方向から挟み込む。更に、この各レバー部材83,83が回転軸2Bの軸端部20Bを挟み込む力に基づいて、その第2端部83b,83bに当接した磁性部材42Bが、回転軸2Bの軸端面2sから離間する方向に押圧される。そして、本実施形態のモータ1Bは、これにより、その磁性部材42Bが、回転軸2Bの軸端部20Bに吸引される前の位置に復帰する構成になっている。
【0069】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)モータ1Bは、非回転部材40Bを構成するハウジング41Bに支持された状態で付勢部材93に回動付勢されることにより第1端部83aが回転軸2Bの軸端部20Bに係合するレバー部材83を備える。更に、このレバー部材83は、磁路Lの形成により回転軸2Bの軸端部20Bに吸引された磁性部材42Bに第2端部83bが押圧されることにより、その付勢部材93の付勢力に抗して回動する。そして、このレバー部材83は、この回動により、第1端部83aが回転軸2Bの軸端部20Bから脱離するように構成される。
【0070】
上記構成によれば、容易に小型化できる簡素な構成にて、セルフロック機構50Bを形成することができる。即ち、レバー部材83をロック部材44Bとして、モータコイル4に対する給電時には、ロータ3の回転を許容するとともに、非給電には、その回転を規制することができる。そして、これにより、モータ1B単体で、その逆入力耐性を確保することができる。
【0071】
(2)モータ1Bは、支軸81を共有する状態でハウジング41Bに支持されることにより回転軸2Bの径方向、互いに相反する方向から、その軸端部20Bに係合する一対のレバー部材83,83を備える。更に、モータ1Bは、これらのレバー部材83,83を、その環形状内に配置するOリング94を備える。そして、モータ1Bは、このOリング94が縮径方向の弾性力を発生して各レバー部材83,83を押圧することで、これらの各レバー部材83,83が回動付勢されるように構成される。
【0072】
上記構成によれば、Oリング94を付勢部材93として、容易に小型化できる簡素な構成にて、セルフロック機構50Bを形成することができる。また、各レバー部材83,83の第1端部83a,83aが回転軸2Bの軸端部20Bを径方向に相反する方向から挟み込む態様で、バランスよく、その各レバー部材83,83を回転軸2Bの軸端部20Bに係合させることができる。更に、この各レバー部材83,83が回転軸2Bの軸端部20Bを挟み込む力に基づいて、その第2端部83b,83bに当接した磁性部材42Bが、回転軸2Bの軸端面2sから離間する方向に押圧される。そして、これにより、モータコイル4に対する給電を停止して、ロータ3の回転を許容する状態から、その回転を規制する状態に移行させる際、その磁性部材42Bを回転軸2Bの軸端部20Bに吸引される前の位置に復帰させることができる。
【0073】
(3)各レバー部材83,83及びOリング94は、磁性部材42Bに設けられた収容室90の内側に配置される。
上記構成によれば、その磁性部材42B、各レバー部材83,83及びOリング94をコンパクトにまとめて配置することができる。そして、これにより、更なる小型化を図ることができる。
【0074】
また、回転軸2Bの軸端部20Bに対し、より近い位置に磁性部材42Bを配置することができる。そして、これにより、回転軸2Bの軸方向に延在して軸端部20Bに至る磁路Lの形成により、その回転軸2Bの軸端部20Bに磁性部材42Bが吸引される力を有効に利用することができる。
【0075】
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0076】
・上記各実施形態では、モータ1は、所謂2極3スロットの構成を有することとした。しかし、これに限らず、回転軸2とモータコイル4が巻回された複数のティース5とを有したロータ3を備えるものであれば、その構成は、任意に変更してもよい。
【0077】
・上記各実施形態では、非磁性体からなる軸本体33に設けられた軸方向に延在する溝部31内に磁性体からなる磁路形成部材35を配置することにより、その回転軸2に磁路形成部65を形成することとした。しかし、これに限らず、軸本体33が磁性体からなるものであっても、例えば、その軸本体33と磁路形成部材35との間に非磁性体を介在させる等により、その回転軸2の軸方向に延在して軸端部20に至る磁路Lが形成されるように構成してもよい。
【0078】
・また、上記各実施形態では、モータ1は、各ティース5が配置された回転軸2の周方向位置において、それぞれ、その磁路形成部65を形成する複数の磁路形成部材35を備えることとした。しかし、これに限らず、その各ティース5と各磁路形成部65との周方向位置は、必ずしも完全に一致していなくともよい。そして、その各ティース5と各磁路形成部65と数についてもまた、必ずしも一致していなくともよい。
【0079】
・上記第1の実施形態では、ロック部材44を構成するストッパ45は、周方向の一部分が切り欠かれた所謂Cリング形状をなすこととした。しかし、これに限らず、磁性部材42に押圧されることにより拡径して回転軸2の軸端部20から脱離する弾力性を有するものであれば、Oリング状やコイル状の環状部材51を用いてもよい。
【0080】
・また、上記第1の実施形態では、ストッパ45は、その略C字状をなす環形状の径方向外側に突出する外側係合突部58と、その径方向内側に突出する内側係合突部62と、を備える。更に、非回転部材40を構成するハウジング41には、その外側係合突部58と係合する係合溝59が設けられ、回転軸2の軸端部20には、その内側係合突部62に係合する係合凹部60が設けられる。そして、これにより、その外側係合突部58が第1係合部71を構成し、その内側係合突部62が第2係合部72を構成することとした。しかし、これに限らず、例えば、その形状や配置、数等、これらの第1係合部71及び第2係合部72の構成は、任意に変更してもよい。
【0081】
・上記第1の実施形態では、鉄球43を磁性部材42に用いることとした。しかし、これに限らず、その磁性体からなる磁性部材42の形状は、任意に変更してもよい。但し、そのロック部材44がストッパ45のような磁性部材42に押圧されることにより拡径して回転軸2の軸端部20から脱離する弾力性を有した環状部材51である場合、磁性部材42は、環状部材51の環形状に嵌合する球面形状を有していることが好ましい。これにより、その押圧力に基づいて、円滑に、ロック部材44の環形状を拡径させることができる。
【0082】
・上記第2の実施形態では、そのロック部材44Bとして、一対のレバー部材83,83を備えることとした。しかし、これに限らず、レバー部材83の数は、一つでも3つ以上であってもよい。
【0083】
・また、上記第2の実施形態では、Oリング94を付勢部材93に用いて各レバー部材83,83を回動付勢する構成としたが、例えば、バネを用いる等、その付勢部材93の構成は、任意に変更してもよい。
【0084】
・更に、上記第2の実施形態では、各レバー部材83,83及びOリング94は、磁性部材42Bに設けられた収容室90の内側に配置されることとしたが、その配置についてもまた、任意に変更してもよい。
【符号の説明】
【0085】
1…モータ
2…回転軸
3…ロータ
4…モータコイル
5…ティース
20…軸端部
42…磁性部材
44…ロック部材
65…磁路形成部
L…磁路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22