IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイリスオーヤマ株式会社の特許一覧

特開2022-174446管理システム、照明装置および無線タグ
<>
  • 特開-管理システム、照明装置および無線タグ 図1
  • 特開-管理システム、照明装置および無線タグ 図2
  • 特開-管理システム、照明装置および無線タグ 図3
  • 特開-管理システム、照明装置および無線タグ 図4
  • 特開-管理システム、照明装置および無線タグ 図5
  • 特開-管理システム、照明装置および無線タグ 図6
  • 特開-管理システム、照明装置および無線タグ 図7
  • 特開-管理システム、照明装置および無線タグ 図8
  • 特開-管理システム、照明装置および無線タグ 図9
  • 特開-管理システム、照明装置および無線タグ 図10
  • 特開-管理システム、照明装置および無線タグ 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174446
(43)【公開日】2022-11-24
(54)【発明の名称】管理システム、照明装置および無線タグ
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20221116BHJP
   H05B 47/19 20200101ALI20221116BHJP
   H05B 47/18 20200101ALI20221116BHJP
   H05B 47/115 20200101ALI20221116BHJP
   H05B 47/11 20200101ALI20221116BHJP
   G06K 19/07 20060101ALI20221116BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
H04Q9/00 301Z
H05B47/19
H05B47/18
H05B47/115
H05B47/11
G06K19/07 240
G06K19/07 090
G06K7/10 168
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080243
(22)【出願日】2021-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】尾形 大輔
【テーマコード(参考)】
3K273
5K048
【Fターム(参考)】
3K273PA10
3K273QA24
3K273RA16
3K273SA01
3K273SA04
3K273SA22
3K273SA31
3K273SA46
3K273SA57
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA27
3K273TA28
3K273TA41
3K273TA52
3K273TA54
3K273TA66
3K273TA71
3K273UA13
3K273UA15
3K273UA17
3K273UA22
3K273UA27
3K273UA29
5K048BA07
5K048DB01
5K048DC01
5K048HA05
5K048HA07
(57)【要約】
【課題】 無線タグに電池を備えることを不要とし、且つ無線タグの配置範囲を広げることが可能な管理システム、照明装置および無線タグを提供すること。
【解決手段】制御装置Ctと、
複数の中継ユニット(照明装置L)と、複数の無線タグWtと、を備える管理システムA1であって、制御装置Ctと照明装置Lとは、第1無線電波を用いた第1無線通信ネットワークCn1を構成し、無線タグWtは、無線通信部44、制御部42、記憶部43および自己発電部45を有し、且つ自己発電部45が、第1無線電波を受信することによって発電すると、自己発電部45からの電力供給により、記憶部43に記憶された固有の無線タグ情報を、第1無線電波とは異なる第2無線電波を介して無線通信部44から照明装置Lに送信し、無線タグ情報を受信した照明装置Lは、第1無線通信ネットワークCn1を介して制御装置Ctに無線タグ情報を転送する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置と、
複数の中継ユニットと、
複数の無線タグと、を備える管理システムであって、
前記制御装置と前記中継ユニットとは、第1無線電波を用いた第1無線通信ネットワークを構成し、
前記無線タグは、
無線通信部、制御部、記憶部および自己発電部を有し、且つ
前記自己発電部が、前記第1無線電波を受信することによって発電すると、前記自己発電部からの電力供給により、前記記憶部に記憶された固有の無線タグ情報を、前記第1無線電波とは異なる第2無線電波を介して前記無線通信部から前記中継ユニットに送信し、
前記無線タグ情報を受信した前記中継ユニットは、前記第1無線通信ネットワークを介して前記制御装置に前記無線タグ情報を転送する、管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の管理システムの前記中継ユニットを構成する照明装置であって、
光源部と、
前記光源部を制御する照明装置側制御部と、
照明装置側記憶部と、
前記第1無線通信ネットワークを介した無線通信を行う第1無線通信部と、
前記第1無線電波を用いて第1ビーコン信号を送信する第1ビーコン出力部と、
前記第2無線電波を用いて前記無線タグからの前記無線タグ情報を受信する第2無線通信部と、を備え、
前記第1ビーコン出力部は、所定間隔で前記第1ビーコン信号を出力し、
前記第2無線電波を介して受信した前記無線タグ情報と、前記照明装置側記憶部に記憶された固有の識別情報と、タイムスタンプと、を含む転送データ信号を、前記第1無線通信ネットワークを介して前記制御装置に転送する、照明装置。
【請求項3】
請求項1に記載の管理システムに用いられる無線タグであって、
ユーザに携帯される携帯品に組み込まれている、無線タグ。
【請求項4】
請求項1に記載の管理システムに用いられる無線タグであって、
測定部を備えるセンサ装置に組み込まれており、
前記自己発電部が、前記第1無線電波を受信することによって発電すると、前記自己発電部からの電力供給により、前記無線タグ情報と前記測定部の測定データとが、前記第2無線電波を介して前記無線通信部から前記中継ユニットに送信される、無線タグ。
【請求項5】
制御装置と、
複数の中継ユニットと、
複数の無線タグと、を備える管理システムであって、
前記制御装置と前記中継ユニットとは、第1無線電波を用いた第1無線通信ネットワークを構成し、
前記無線タグは、前記第1無線電波とは異なる第2無線電波を介して前記中継ユニットと無線通信し、
前記複数の中継ユニットは、前記第1無線電波および前記第2無線電波とは異なる第3無線電波を用いて第2ビーコン信号を出力する第2ビーコン出力部を有し、
前記無線タグは、
無線通信部、制御部、記憶部および自己発電部を有し、且つ
前記自己発電部が、前記第3無線電波を受信することによって発電すると、前記自己発電部からの電力供給により、前記記憶部に記憶された固有の無線タグ情報を、前記第2無線電波を介して前記無線通信部から前記中継ユニットに送信し、
前記無線タグ情報を受信した前記中継ユニットは、前記第1無線通信ネットワークを介して前記制御装置に前記無線タグ情報を転送する、管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理システム、照明装置および無線タグに関する。
【背景技術】
【0002】
無線タグは、無線通信によって自己の無線タグ情報を送信するデバイスとして普及している。特許文献1には、複数の無線タグと無線タグリーダとを備えた管理システムが開示されている。同文献に開示された管理システムは、無線タグリーダによって、無線タグから送信されたデータを読み取る。無線タグは、電池を備えている。無線タグは、電池から供給される電力を用いて、無線通信を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-026030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無線タグの動作に電池が必要である場合、電池切れによる動作停止や、電池が充電池である場合に、充電作業が強いられる。また、無線タグリーダから無線タグが所定範囲内に存在しない場合、無線タグリーダによって無線タグからのデータを読み取れない。
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、無線タグに電池を備えることを不要とし、且つ無線タグの配置範囲を広げることが可能な管理システム、照明装置および無線タグを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面によって提供される管理システムは、制御装置と、複数の中継ユニットと、複数の無線タグと、を備える管理システムであって、前記制御装置と前記中継ユニットとは、第1無線電波を用いた第1無線通信ネットワークを構成し、前記無線タグは、無線通信部、制御部、記憶部および自己発電部を有し、且つ前記自己発電部が、前記第1無線電波を受信することによって発電すると、前記自己発電部からの電力供給により、前記記憶部に記憶された固有の無線タグ情報を、前記第1無線電波とは異なる第2無線電波を介して前記無線通信部から前記中継ユニットに送信し、前記無線タグ情報を受信した前記中継ユニットは、前記第1無線通信ネットワークを介して前記制御装置に前記無線タグ情報を転送する。
【0007】
本発明の第2の側面によって提供される照明装置は、本発明の第1の側面によって提供される管理システムの前記中継ユニットを構成する照明装置であって、光源部と、前記光源部を制御する照明装置側制御部と、照明装置側記憶部と、前記第1無線通信ネットワークを介した無線通信を行う第1無線通信部と、前記第1無線電波を用いて第1ビーコン信号を送信する第1ビーコン出力部と、前記第2無線電波を用いて前記無線タグからの前記無線タグ情報を受信する第2無線通信部と、を備え、前記第1ビーコン出力部は、所定間隔で前記第1ビーコン信号を出力し、前記第2無線電波を介して受信した前記無線タグ情報と、前記照明装置側記憶部に記憶された固有の識別情報と、タイムスタンプと、を含む転送データ信号を、前記第1無線通信ネットワークを介して前記制御装置に転送する。
【0008】
本発明の第3の側面によって提供される無線タグは、本発明の第1の側面によって提供される管理システムに用いられる無線タグであって、ユーザに携帯される携帯品に組み込まれている。
【0009】
本発明の第4の側面によって提供される無線タグは、本発明の第1の側面によって提供される管理システムに用いられる無線タグであって、測定部を備えるセンサ装置に組み込まれており、前記自己発電部が、前記第1無線電波を受信することによって発電すると、前記自己発電部からの電力供給により、前記無線タグ情報と前記測定部の測定データとが、前記第2無線電波を介して前記無線通信部から前記中継ユニットに送信される。
【0010】
本発明の第1の側面によって提供される管理システムは、制御装置と、複数の中継ユニットと、複数の無線タグと、を備える管理システムであって、前記制御装置と前記中継ユニットとは、第1無線電波を用いた第1無線通信ネットワークを構成し、前記無線タグは、前記第1無線電波とは異なる第2無線電波を介して前記中継ユニットと無線通信し、前記複数の中継ユニットは、前記第1無線電波および前記第2無線電波とは異なる第3無線電波を用いて第2ビーコン信号を出力する第2ビーコン出力部を有し、前記無線タグは、無線通信部、制御部、記憶部および自己発電部を有し、且つ前記自己発電部が、前記第3無線電波を受信することによって発電すると、前記自己発電部からの電力供給により、前記記憶部に記憶された固有の無線タグ情報を、前記第2無線電波を介して前記無線通信部から前記中継ユニットに送信し、前記無線タグ情報を受信した前記中継ユニットは、前記第1無線通信ネットワークを介して前記制御装置に前記無線タグ情報を転送する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、無線タグに電池を備えることを不要とし、且つ無線タグの配置範囲を広げることができる。
【0012】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の第1実施形態に係る管理システムを示すシステム構成図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る管理システムの照明装置を示すブロック図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る管理システムの無線タグを示すブロック図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る管理システムの制御装置を示すブロック図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る管理システムの携帯端末を示すブロック図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る管理システムのシーケンスダイアグラムである。
図7】本発明の第1実施形態に係る管理システムの第1変形例のセンサ機器を示すブロック図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る管理システムの第1変形例のシーケンスダイアグラムである。
図9】本開示の第2実施形態に係る管理システムを示す概略配置図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る管理システムの照明装置を示すブロック図である。
図11】本発明の第2実施形態に係る管理システムのシーケンスダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0015】
本開示における「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、単に識別のために用いたものであり、それらの対象物に順列を付することを意図していない。
【0016】
<第1実施形態>
図1図6は、本発明の第1実施形態に係る管理システムを示している。図1に示すように、本実施形態の管理システムA1は、複数の照明装置L、制御装置Ctおよび複数の無線タグWtを備える。また、管理システムA1は、これらの構成要素に加えて、携帯端末Md、外部記憶装置Sdおよび時計ユニットUtを備えている。なお、管理システムA1は、携帯端末Md、外部記憶装置Sdおよび時計ユニットUtのすべて、またはいずれかを備えていない構成であってもよい。管理システムA1は、複数の無線タグWtを用いた管理を行うシステムである。
【0017】
〔照明装置L(中継ユニット)〕
照明装置Lは、本発明における中継ユニットの具体例である。中継ユニットの具体例としては、照明装置Lに限定されない。たとえば、以降に説明する照明装置Lから光源部11を除いた専用の構成の中継ユニットを用いてもよい。
【0018】
複数の照明装置Lは、たとえば屋内の照明に用いられ、天井、壁面、床面等の種々の箇所に設置される。また、照明装置Lは、屋外の照明に用いられる構成であってもよい。照明装置Lの具体的な形態は何ら限定されず、直管形照明や高天井照明、シーリングライト、ダウンライト、ベースライト、スポットライト等の種々の形態を適宜採用可能である。以降の説明においては、照明装置Lの一般的な構成を述べる場合に照明装置Lと称するとともに、複数の照明装置Lを区別する場合に照明装置L1、・・・照明装置Ln等の符号を適宜用いる場合がある。図1における複数の照明装置L1~Lnは、それぞれの構成が同一であってもよいし、互いの一部が共通していてもよいし、互いに異なる構成、異なる形態であってもよい。以降の説明においては、特段の記載がない限り、複数の照明装置L1~Lnが同一の構成である場合を例に説明する。
【0019】
図2は、照明装置Lのブロック図である。照明装置Lは、光源部11、制御部12、記憶部13、無線通信モジュール14および電源部15を備える。
【0020】
光源部11は、照明装置Lにおいて発光機能を果たす部位である。光源部11の具体的構成は何ら限定されず、たとえば、基板と当該基板に列をなして搭載された複数のLEDとからなる。また、照明装置Lは、光源部11からの光を透過させる透明または半透明のカバー(図示略)を適宜有する。
【0021】
制御部12は、制御装置Ctからの制御信号等に基づいて、照明装置Lの各部を制御するためのものである。制御部12は、本発明における照明装置側制御部に相当する。制御部12の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。記憶部13は、制御部12の制御に必要な情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリからなる。記憶部13は、本発明における照明装置側記憶部に相当する。なお、記憶部13は、照明装置Lの筐体(図示略)に内蔵されるものに限定されず、照明装置Lの筐体の外部に着脱可能に設けられるものであってもよい。
【0022】
無線通信モジュール14は、制御装置Ctおよび通信ネットワークを構成する他の照明装置Lと、複数の無線タグWtの少なくともいずれかと無線通信を行うための通信部であり、無線信号を送信および受信するモジュールである。無線通信モジュール14は、たとえば、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)通信によって制御部12と接続されているが、これに限定されない。本実施形態の無線通信モジュール14は、第1無線通信部141、第2無線通信部142および第1ビーコン出力部143を有する。
【0023】
無線通信モジュール14の機能を例示すると、制御装置Ctからのデータを受信し、受信したデータに含まれる信号(たとえば指定信号)を制御部12に送信する。また、データを受信したことを示すアクノリッジ信号を制御装置Ctに送信する。また、照明装置Lの動作状況を示すステータス情報信号を制御装置Ctに送信してもよい。
【0024】
本実施形態においては、複数の照明装置Lの各々が有する固有の照明装置IDが、無線通信モジュール14に記憶されている。照明装置IDの具体例は特に限定されず、たとえばMAC(Media Access Control)アドレスや位置情報である。なお、照明装置IDは、第1無線通信部141、第2無線通信部142および第1ビーコン出力部143のいずれか、もしくはこれら以外の無線通信モジュール14の構成要素に記憶されていてもよいし、たとえば記憶部13に記憶されていてもよい。無線通信モジュール14は、受信した信号のうち、自装置の照明装置IDに対する信号であると認識した場合に、当該信号を制御部12に伝達する。
【0025】
第1無線通信部141は、制御装置Ctおよび他の照明装置Lと第1無線電波を用いた無線通信を行うためのものである。第1無線電波を用いた無線通信は何ら限定されず、本実施形態においては、第1プロトコルを用いた無線通信として説明する。第1プロトコルを用いた無線通信の通信周波数は何ら限定されず、たとえ920MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯等が例示される。また、第1プロトコルの具体例は特に限定されず、たとえば、BLE(Bluetooth Low Energy)を含むBluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、あるいは独自規格のプロトコルなどが例示される。本実施形態においては、第1無線通信部141を有する複数の照明装置Lと制御装置Ctとが、たとえば2.4GHz帯の第1無線電波を用いた独自プロトコルにより、図1に示すメッシュネットワークである第1無線通信ネットワークCn1を構築している。第1プロトコルは、後述のように複数の照明装置L間で各種データの転送に用いられるため、それらのデータ転送に必要となる転送速度や、信頼性を確保した上で、メッシュネットワークを構築できるプロトコルが選択される。
【0026】
なお、本実施形態においては、制御装置Ctは、第1無線通信ネットワークCn1のルートノード(root node)である。複数の照明装置Lのいずれかは、GM(ゲートモジュール)として機能してもよい。ゲートモジュールは、クラスタのルートノードであり、制御装置Ctに接続する。このとき、ゲートモジュールは、他のゲートモジュールとともにメッシュネットワークを構築し、制御装置Ctに通信接続する。ゲートモジュールは、他のゲートモジュールや制御装置Ctとの通信品質を常に評価しており、通信品質が最も良い相手に自動的に接続する。同様に、照明装置Lも他の照明装置Lまたはゲートモジュールとの通信品質を常に評価しており、通信品質が最も良い相手に自動的に接続する。通常の照明装置Lもゲートモジュールとして機能する照明装置Lも、ハードウェア構成は同じである。照明装置Lが搭載するソフトウェアを異なるようにするか、モード切替によって通常の照明装置Lとして動作するか、ゲートモジュールとして動作するかを切り替えてもよい。
【0027】
第2無線通信部142は、無線タグWtと第2無線電波を用いた無線通信を行うためのものである。第2無線電波は、第1無線電波と異なる無線電波であり、周波数帯やプロトコルが互いに異なる。第2無線電波を用いた無線通信は何ら限定されず、本実施形態においては、第2プロトコルを用いた無線通信として説明する。第2プロトコルを用いた無線通信の通信周波数は何ら限定されず、たとえ920MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯等が例示される。また、第2プロトコルの具体例は特に限定されず、たとえば、BLE(Bluetooth Low Energy)を含むBluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、あるいは独自規格のプロトコルなどが例示される。第2プロトコルとしては、たとえば近距離に位置する無線タグWtと無線通信を行うことを意図した場合に、たとえば、Bluetooth(登録商標)が選択される。
【0028】
第1ビーコン出力部143は、第1無線電波を用いた無線通信により、第1ビーコン信号を送信するものである。第1無線電波を用いた無線通信の通信周波数は何ら限定されず、たとえ920MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯等が例示される。また、第1ビーコン信号の送信に用いられるプロトコルの具体例は特に限定されず、たとえば、BLE(Bluetooth Low Energy)を含むBluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、あるいは独自規格のプロトコルなどが例示される。
【0029】
第1ビーコン信号は、所定間隔毎に送信される。ビーコン信号の送信間隔は、たとえば制御装置Ctからの設定信号等によって設定され、たとえば、100~500msである。出力間隔を長くすることで、電力消費を抑えることができる。
【0030】
第1ビーコン出力部143が送信する第1ビーコン信号は、照明装置Lの自器具の識別情報(照明装置ID)を含んでいてもよい。また、第1ビーコン信号は、タイムスタンプを含んでいてもよい。この識別情報は、照明装置Lの位置を直接示す位置情報であってもよいし、MACアドレス等であってもよい。
【0031】
電源部15は、光源部11、制御部12および無線通信モジュール14等に動作に必要な電力を供給するためのものである。電源部15は、たとえば商用の交流100Vまたは200V電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータとしての機能や、変圧機能等を有する。
【0032】
〔無線タグWt〕
無線タグWtは、本実施形態の管理システムA1において管理対象となるデバイスである。図3は、無線タグWtのブロック図である。本実施形の無線タグWtは、制御部42、記憶部43、無線通信部44および自己発電部45を備える。なお、無線タグWtの具体的構成は何ら限定されず、チップ状の専用のタグデバイスとして構成されていてもよい。あるいは、無線タグWtは、ユーザに携帯される携帯品に組み込まれていてもよい。携帯品の具体的構成は、何ら限定されない。携帯品としては、たとえば、カード、タグ、ウエアラブル端末等が挙げられる。カードの具体例としては、たとえば交通系ICカードが挙げられる。
【0033】
以降の説明においては、無線タグWtの一般的な構成を述べる場合に無線タグWtと称するとともに、複数の無線タグWtを区別する場合に無線タグWt1、・・・、無線タグWtn等の符号を適宜用いる場合がある。複数の無線タグWt1~Wtnは、それぞれの構成が同一であってもよいし、互いの一部が共通していてもよいし、互いに異なる構成であってもよい。以降の説明においては、特段の記載がない限り、複数の無線タグWt1~Wtnが同一の構成である場合を例に説明する。
【0034】
制御部42は、無線タグWtの各部を制御するためのものである。制御部42の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。記憶部43は、制御部42の制御に必要なプログラムや設定条件等の情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリ等からなる。本実施形態においては、記憶部43には、無線タグWt毎に固有の無線タグ情報が記憶されている。無線タグ情報の具体例は何ら限定されず、たとえばタグIDであってもよい。
【0035】
無線通信部44は、対応する照明装置Lと上述した第2無線電波(第2プロトコル)を用いた無線通信を行うためのものである。
【0036】
自己発電部45は、第1無線電波(第1ビーコン信号)を受信すると、自己発電を行うものである。この自己発電は、第1無線電波をエネルギー変換することによって実行するものであり、たとえば、第1無線電波の受信によって生じる誘導電流を利用する。このような自己発電を行う自己発電部45は、たとえば第1無線電波の受信によって誘導電流が生じるアンテナ部(図示略)を有する。誘導電流の起電のための無線電波の電力は、5dBm以上が好ましく、更に10dBm以上の無線電波を受信することにより無線タグWtの各部を制御することが十分な誘導電流を起電することができる。自己発電部45が自己発電した電力は、測定部41、制御部42および無線通信部44等に供給される。
【0037】
〔制御装置Ct〕
制御装置Ctは、複数の中継ユニット(照明装置L)および複数の無線タグWtを用いた管理制御や、複数の照明装置L1~Lnの点灯制御を行うものである。制御装置Ctは、本実施形態の場合には、複数の中継ユニット(複数の照明装置L1~Ln)が設置されている部屋と同じ部屋に設置されていてもよいし、同じ建物の別の部屋や別のフロアに設置されていてもよいし、別の建物に設置されていてもよい。制御装置Ctと複数の中継ユニット(複数の照明装置L1~Ln)とがある程度離れている場合、制御装置Ctと複数の中継ユニット(複数の照明装置L1~Ln)とは、無線通信だけでなく、有線通信と無線通信とを利用して互いに通信する構成であってもよい。なお、管理システムA1は、少なくとも1つの制御装置Ctを備えていればよく、他の構成において複数の制御装置Ctを備えていてもよい。
【0038】
図4は、制御装置Ctのブロック図である。本実施形態においては、制御装置Ctは、表示部21、制御部22、記憶部23、無線通信部24および電源部25を備える。
【0039】
表示部21は、後述する管理システムA1の管理処理においては、必ずしも必要ではないが、制御装置Ctの初期設定やメンテナンス等に用いられる。表示部21は、たとえば液晶ディスプレイ等であり、さらにタッチパネル機能を有してもよい。また、表示部21がタッチパネルとして機能することに代えて、制御装置Ctは、たとえばキーボードやマウス等の操作デバイスを別途備えていてもよい。
【0040】
制御部22は、複数の中継ユニット(照明装置L)および複数の無線タグWtを用いた管理制御や、複数の照明装置L1~Lnの点灯制御を行う主要な構成要素であり、制御装置Ctの各部を制御するためのものである。たとえば、制御部22は、対象とする中継ユニット(照明装置L)へ制御データを送信するように、無線通信部24に制御信号を伝達する。制御部22の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。記憶部23は、制御部22の制御に必要なプログラムや設定条件等の情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリやハードディスクドライブ等からなる。
【0041】
無線通信部24は、複数の中継ユニット(複数の照明装置L1~Ln)の無線通信モジュール14の第1無線通信部141と無線通信を行うためのものである。無線通信部24の周波数帯や準拠する無線通信の規格は、上述の第1プロトコルを用いた無線通信である。図1に示す例においては、制御装置Ctは、複数の中継ユニット(複数の照明装置L1~Ln)とともに第1無線通信ネットワークCn1を構成する。無線通信部24は、たとえば、制御部22から複数の中継ユニット(複数の照明装置L1~Ln)への制御データを第1無線通信ネットワークCn1を介して送信する。なお、制御装置Ctは、無線通信部24に加えて、インターネットに接続する有線または無線の通信回路を有していてもよい。
【0042】
電源部25は、表示部21、制御部22および無線通信部24等に動作に必要な電力を供給するためのものである。電源部25は、たとえば商用の交流100Vまたは200V電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータとしての機能や、変圧機能等を有する。
【0043】
制御装置Ctは、複数の中継ユニット(複数の照明装置L1~Ln)の照明装置ID等の識別情報や複数の無線タグWtの無線タグ情報を保有しており、これらがたとえば記憶部23に記憶されている。制御装置Ctが保有する識別情報は、たとえば照明装置Lが保有する照明装置IDとしてのMACアドレスや無線タグWtが保有するタグIDであってもよい。
【0044】
〔携帯端末Md〕
携帯端末Mdは、管理システムA1においてユーザが操作する端末である。たとえば、ユーザは、携帯端末Mdを用いて、管理システムA1の動作の諸条件や項目等を設定する。携帯端末Mdによって設定される条件や項目等は何ら限定されない。条件や項目としては、たとえば、第1無線通信ネットワークCn1に関する事項(中継ユニットの選定、ルートノードの指定等)、複数の照明装置Lのそれぞれの照明制御(光量、色温度、ON/OFFスケジュール等)、等が挙げられる。
【0045】
携帯端末Mdは、ユーザの操作を実現可能な携帯性や情報処理能力等を有するものであれば特に限定されず、たとえばタブレット、スマートフォン、ノートPC等である。なお、管理システムA1を構成する複数の照明装置L(中継ユニット)が広範な領域に設置されている場合、管理システムA1は、複数の携帯端末Mdを備えていてもよい。
【0046】
図5は、携帯端末Mdのブロック図である。本実施形態においては、携帯端末Mdは、表示部31、制御部32、記憶部33、無線通信部34および電源部35を備える。
【0047】
表示部31は、携帯端末Mdの操作等に必要な情報や画像を表示するためのものである。表示部31は、たとえば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイであり、本実施形態においてはタッチパネル機能を有している。なお、表示部31がタッチパネルとして機能することに代えて、携帯端末Mdは、たとえばキーボードやマウス等の操作デバイスを別途備えていてもよい。
【0048】
制御部32は、携帯端末Mdの各部を制御するためのものである。制御部32の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。記憶部33は、制御部32の制御に必要なプログラムや設定条件等の情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリやハードディスクドライブ等からなる。
【0049】
無線通信部34は、制御装置Ctとの無線通信を行う。無線通信部34の周波数帯や準拠する無線通信の規格は、上述の第1無線通信部141と同様であってもよいし異なっていてもよく、たとえばWi-Fi(登録商標)が選択される。なお、無線通信部34は、携帯端末Mdとしてのタブレット等に内蔵された無線通信モジュールであってもよいし、USB端子等に接続された外付けの無線通信モジュールであってもよい。
【0050】
電源部35は、表示部31、制御部32および無線通信部34等に動作に必要な電力を供給するためのものである。電源部35は、たとえば充電可能なバッテリーである。
【0051】
〔外部記憶装置Sd〕
外部記憶装置Sdは、第1無線通信ネットワークCn1の外部に設置されており、たとえばサーバ、商用クラウド等である。外部記憶装置Sdと制御装置Ctとの通信は、たとえば商用インターネット回線や専用回線等が利用される。外部記憶装置Sdは、管理システムA1を構成する複数の照明装置L(中継ユニット)が設置された場所から離れた場所において、外部使用者が随時アクセス可能とされている。制御装置Ctは、たとえば収集した測定データを外部記憶装置Sdに保存してもよい。
【0052】
〔時計ユニットUt〕
時計ユニットUtは、たとえばFM電波を受信することにより、時刻情報を取得する機能と、時刻情報をたとえばWi-Fi(登録商標)によって制御装置Ctに送信する機能とを有する。
【0053】
次に、管理システムA1の動作について、以下に説明する。
【0054】
図6は、管理システムA1の動作を示すシーケンスダイアグラムである。
【0055】
本実施形態においては、まず、時刻情報を同期する(ステップS1)。時刻情報の同期は、第1無線通信ネットワークCn1を構成する制御装置Ctおよび複数の照明装置L(中継ユニット)を対象として行う。具体的には、時計ユニットUtが時刻情報を送信し、制御装置Ctが受信する。制御装置Ctは、時刻情報を第1プロトコルに変換することにより時刻データを作成し、第1無線通信ネットワークCn1を介して複数の照明装置L(中継ユニット)に送信する。時刻情報を受信した照明装置L1~Lnは、自機器の時刻を時刻データに同期させ、また時刻データを次の照明装置Lに転送する。
【0056】
次に、第1ビーコン信号Bs1を所定間隔毎に送信する(ステップS2)。具体的には、複数の照明装置L1~Lnは、第1ビーコン出力部143から第1無線電波を用いて、第1ビーコン信号Bs1を送信する。第1ビーコン信号Bs1は、各照明装置Lの識別情報を含んでいてもよい。所定間隔は、たとえば100~500msである。
【0057】
次に、照明装置Lにおいては、第1ビーコン信号Bs1を受信した自己発電部45が、自己発電を行う。たとえば、図1に示すように、照明装置L1の近くに無線タグWt1が配置されており、照明装置Lnの近くに無線タグWtnが配置されている場合について説明する。照明装置L1からの第1ビーコン信号Bs1を無線タグWt1の自己発電部45が受信すると、この自己発電部45は、自己発電を行う。照明装置L1の制御部42は、自己発電部45から電力供給を受けるなど、自己発電部45での自己発電を検知すると、自己発電部45からの電力を利用して、記憶部43に含まれる無線タグ情報を含む無線タグ情報信号Ws1を生成する。そして、制御部42は、無線通信部44から近くの照明装置L1に、第2プロトコル(第2無線電波)によって無線タグ情報信号Ws1を送信する。同様に、無線タグWtnが、無線タグ情報信号Wsnを生成し、無線通信部44から近くの照明装置Lnに、第2プロトコル(第2無線電波)によって無線タグ情報信号Wsnを送信する(ステップS3)。
【0058】
次に、無線タグ情報信号Ws1~Wsnを受信した複数の照明装置Lは、無線タグ情報信号Ws1~Wsnに含まれる無線タグ情報と自装置の識別情報とを含む転送データ信号Ts1~Tsnを生成する。そして、第1プロトコル(第1無線電波)を用いて、すなわち第1無線通信ネットワークCn1を介して、転送データ信号Ts1~Tsnを制御装置Ctに転送する(ステップS4)。
【0059】
次に、ステップS5では、制御装置Ctが、第1無線通信ネットワークCn1において転送された転送データ信号Ts1~Tsnを順次受信する。これにより、制御装置Ctは、転送データ信号Ts1~Tsnの各々に含まれた照明装置Lの識別情報と無線タグWtの無線タグ情報とを取得する。この取得により、制御装置Ctは、所定の管理処理を行う。たとえば、ある転送データ信号Tsに含まれた識別情報と無線タグ情報とに対応する照明装置Lと無線タグWtとは、互いに近い位置にあると推定される。図1に示す例においては、照明装置L1の近くに無線タグWt1が位置し、照明装置Lnの近くに無線タグWtnが位置していると推定される。
【0060】
複数の無線タグWtが時間の経過とともに移動する場合、上述のステップS2~ステップS5を繰り返すことにより、複数の照明装置Lと複数の無線タグWtとの位置関係、すなわち複数の無線タグWtの位置情報を蓄積することが可能である。時計ユニットUtを備えた管理システムA1の場合、ステップS1を実行することにより、複数の照明装置Lの時刻が同期されている。そして、ステップS4において、照明装置Lは、転送データ信号Tsに識別情報および無線タグ情報に加えてタイムスタンプを含ませる。これにより、制御装置Ctは、時系列における複数の無線タグWtの位置情報を蓄積することができる。制御装置Ctは、この位置情報を外部記憶装置Sdに適宜保存してもよい。
【0061】
<第1実施形態 第1変形例>
図7および図8は、管理システムA1の第1変形例を示している。本変形例においては、複数の無線タグWtの少なくともいずれかが、センサ装置Esに組み込まれている。センサ装置Esは、設置された環境に関する物理量を測定し、その測定結果を無線通信によって送信する機器である。図7は、センサ装置Esのブロック図である。本実施形のセンサ装置Esは、測定部41、制御部42、記憶部43、無線通信部44および自己発電部45を備える。すなわち、センサ装置Esには、制御部42、記憶部43、無線通信部44および自己発電部45からなる無線タグWtが組み込まれている。センサ装置Esの具体的構成は何ら限定されない。
【0062】
測定部41は、センサ装置Esの環境に関する物理量を測定する機能を果たすものである。測定部41の機能は特に限定されず、たとえば温度センサ、湿度センサ、照度センサ、人感センサ、風量センサ、二酸化炭素センサ等の種々の機能が挙げられる。また、測定部41の測定原理は何ら限定されず、光学的手法や電磁的手法を用いた非接触方式や、接触方式、あるいは測定部41内に内蔵した特定部位の状態監視によって測定する方式等、様々な方式を採用できる。
【0063】
本変形例の制御部42は、上述した無線タグWtの制御部42としての機能に加えて、表示部31を制御する機能を果たす。制御部42の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。記憶部43は、制御部42の制御に必要なプログラムや測定部41に関する設定条件等の情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリ等からなる。
【0064】
次に、本変形例の動作について、図8を参照して以下に説明する。
【0065】
たとえば、図6に示すステップS1,S2を実行した後に、図8に示すステップS3を実行する。ここでは、センサ装置Esnを例に説明する。センサ装置Esnにおいては、自己発電部45が第1ビーコン信号Bs1を受信することによって自己発電を行うと、制御部42が、無線タグ情報信号Wsnを生成する。この無線タグ情報信号Wsnには、無線タグ情報とともに、測定部41による測定データが含まれる。制御部42は、生成した無線タグ情報信号Wsnを無線通信部44から第2プロトコル(第2無線電波)を用いて照明装置Lnに送信する。照明装置Lnは、たとえば、複数の照明装置L(中継ユニット)のうち、センサ装置Esnに最も近いものである。
【0066】
本変形例のステップS4では、無線タグ情報信号Wsnを受信した照明装置Lnの制御部12が、転送データ信号Tsnを生成する。この転送データ信号Tsnには、無線タグ情報信号Wsnに含まれている無線タグWtnの無線タグ情報および測定データと、自装置の識別情報およびタイムスタンプとが含まれる。照明装置Lnの制御部12は、生成した転送データ信号Tsnを第1無線通信部141から第1無線通信ネットワークCn1を介して制御装置Ctへと転送する。
【0067】
ステップS5では、制御装置Ctが、転送された転送データ信号Tsnを受信する。制御装置Ctは、たとえば、照明装置Lnの近くにセンサ装置Esnが存在していること、およびセンサ装置Esnによる測定データを取得する。複数のセンサ装置Esを備えることにより、制御装置Ctには、複数の照明装置L(中継ユニット)のそれぞれに近い位置にあるセンサ装置Esからの測定データが集約される。これらの測定データには、タイムスタンプを付随させることが可能である。制御装置Ctは、これらの測定データを外部記憶装置Sdに適宜保存してもよい。
【0068】
なお、無線タグWtの具体的構成は何ら限定されない。管理システムA1に、携行品に組み込まれた無線タグWt、センサ装置Esに組み込まれた無線タグWt等をはじめ、種々の構成の複数種類の無線タグWtが混在していてもよい。
【0069】
次に、管理システムA1、照明装置Lおよび無線タグWtの作用について説明する。
【0070】
本実施形態によれば、無線タグWtが無線タグ情報信号Wsを送信する一連の動作は、自己発電部45の自己発電によって得られた電力を利用して行われる。このため、無線タグWt内に、電池等を備える必要がない。また、無線タグWtからの無線タグ情報信号Wsは、第2無線電波を用いて、中継ユニットとしての照明装置Lに送信される。このため、無線タグWtの無線タグ情報を読み取るための専用の読み取り装置を設ける必要がない。複数の中継ユニットを広い範囲に設置しておけば、より広い範囲に存在する無線タグWtの無線タグ情報信号Wsを制御装置Ctへと転送することが可能である。したがって、無線タグWtに電池を備えることを不要とし、且つ無線タグWtの配置範囲を広げることができる。
【0071】
本実施形態の管理システムA1は、中継ユニットを構成する照明装置Lを備えている。照明装置Lは、室内をくまなく照らす等の目的を果たすための器具であり、広い範囲に満遍なく設置されることが一般的である。このため、複数の照明装置Lが設置された広い範囲において、無線タグWtの無線タグ情報信号Wsを受信することができる。
【0072】
無線タグWtが、携行品に組み込まれている場合、ユーザや移動機器等に無線タグWtを支障なく付随させることができる。また、自己発電部45によって自己発電する構成は、無線タグWtが組み込まれた携行品が、過度に大型になったり、過度に重くなったりすることを回避するのに適している。
【0073】
無線タグWtがセンサ装置Esに組み込まれた変形例によれば、より広い範囲に配置されたセンサ装置Esの測定データを効率よく取得することができる。また、センサ装置Esに電池を設ける必要がなく、センサ装置Esの小型化および軽量化に好ましい。
【0074】
<第2実施形態>
図9図11は、本発明の第2実施形態に係る管理システムを示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。本実施形態の管理システムA2は、主に、制御装置Ct、中継ユニット(照明装置L)および無線タグWtの構成が、上述した実施形態と異なっている。
【0075】
図9は、管理システムA2の概略配置の一例を示している。管理システムA2においては、複数の中継ユニットとして、複数の照明装置L(照明装置L1~L18)が備えられている。複数の照明装置L1~L18は、たとえば室内の天井に、図示されたようにマトリクス状に配置されている。
【0076】
図10は、本実施形態の照明装置Lを示すブロック図である。本実施形態の照明装置Lは、上述の実施形態の照明装置Lの無線通信モジュール14における第1ビーコン出力部143に代えて、第2ビーコン出力部144が設けられている。
【0077】
第2ビーコン出力部144は、第1無線電波および第2無線電波とは異なる第3無線電波を用いた無線通信により、第2ビーコン信号を送信するものである。第3無線電波を用いた無線通信の通信周波数は何ら限定されず、たとえ920MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯等が例示される。また、第2ビーコン信号の送信に用いられるプロトコルの具体例は特に限定されず、たとえば、BLE(Bluetooth Low Energy)を含むBluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、あるいは独自規格のプロトコルなどが例示される。また、第3無線電波としては、第1無線電波よりも高出力である無線電波や、より遠距離に到達する無線電波を選定することが好ましい。
【0078】
第2ビーコン信号は、所定間隔毎に送信される。ビーコン信号の送信間隔は、たとえば制御装置Ctからの設定信号等によって設定され、たとえば、100~500msである。出力間隔を長くすることで、電力消費を抑えることができる。
【0079】
第2ビーコン出力部144が送信する第2ビーコン信号は、照明装置Lの自器具の識別情報(照明装置ID)を含んでいてもよい。また、第2ビーコン信号は、タイムスタンプを含んでいてもよい。この識別情報は、照明装置Lの位置を直接示す位置情報であってもよいし、MACアドレス等であってもよい。
【0080】
本実施形態の無線タグWtの自己発電部45は、第3無線電波を受信することにより、自己発電する。このような自己発電部45は、第3無線電波のみを受信することにより自己発電する構成であってもよいし、さらに第1無線電波を受信することによっても自己発電する構成であってもよい。自己発電部45が、第1無線電波および第3無線電波の少なくともいずれを受信することによって自己発電する場合、たとえば自己発電部45が有するアンテナ部(図示略)は、1つの兼用のコイル部を有するものであってもよいし、第1無線電波用のコイル部と、第3無線電波用のコイル部とを有するものであってもよい。
【0081】
次に、管理システムA2の動作について、図11を参照しつつ以下に説明する。
【0082】
まず、制御装置Ctが、ステップS11を実行する。ステップS11では、制御装置Ctが、設定信号Dsを生成する。設定信号Dsは、複数の照明装置L(中継ユニット)に対して、第2ビーコン出力部144のON/OFFを個別に設定する情報(たとえば、灯具ID等の識別情報と、識別情報に紐付けられたON/OFF情報)が含まれている。たとえば、図9に示す例においては、照明装置L1,L11,L16の3つの照明装置Lの第2ビーコン出力部144をONに設定し、その余の照明装置Lの第2ビーコン出力部144をOFFに設定する設定信号Dsを生成する。第2ビーコン信号は、先に説明した第1ビーコン信号よりも強い出力の無線電波、例えば10dBm以上の無線電波を送信するように設定する。複数配置した照明装置Lの全てから出力するのではなく、使用環境に応じて出力する照明装置(本例では、照明装置L1、L11、L16)を選択しているために、第2無線電波として出力の大きな無線電波を出力しても、互いの無線電波の混信を防ぐ効果がある。なお、図9および図11において、ONおよびOFFに設定される照明装置Lの組み合わせは、説明のための一例である。ONおよびOFFに設定される照明装置Lの組み合わせは、種々に設定可能である。また、無線タグWtの個数や配置は、何ら限定されず、図示された個数および配置は、説明の便宜である。
【0083】
次に、図11に示すように、制御装置Ctが、設定信号Dsを送信する(ステップS12)。制御装置Ctは、第1無線通信ネットワークCn1を介して、設定信号Dsを送信する。
【0084】
複数の照明装置Lのいずれか(図中においては、照明装置L1)は、第1無線通信ネットワークCn1を介して設定信号Dsを受信する。そして、第1無線通信ネットワークCn1を介して、他の照明装置Lに設定信号Dsを転送する(ステップS13)。これにより、第1無線通信ネットワークCn1を構成するすべての照明装置Lが、設定信号Dsを受信する。
【0085】
照明装置Lにおいては、無線通信モジュール14の第1無線通信部141が、設定信号Dsを受信する。制御部12は、設定信号Dsに含まれる自器具の識別情報に紐付けられたON/OFF情報を参照する。自器具の識別情報に紐付けられたON/OFF情報がONの場合、この照明装置Lの制御部12は、無線通信モジュール14の第2ビーコン出力部144から第2ビーコン信号Bs2を所定間隔毎に送信させる(ステップS14)。図11に示す例では、照明装置L1,L11,L16が、ステップS14を実行している。
【0086】
一方、自器具の識別情報に紐付けられたON/OFF情報がOFFの場合、この照明装置Lの制御部12は、無線通信モジュール14の第2ビーコン出力部144をOFFに設定し、第2ビーコン信号の送信を停止する(ステップS15)。図11に示す例では、照明装置L14が、ステップS14を実行している。さらに、図9に示したように、照明装置L1,L11,L16以外の複数の照明装置Lの制御部12が、第2ビーコン出力部144をOFFに設定する。
【0087】
照明装置L1,L11,L16のそれぞれから、所定間隔毎に第2ビーコン信号Bs2が送信されると、この第2ビーコン信号Bs2を受信した無線タグWtの自己発電部45が自己発電を行う。図9に示す例においては、図示された位置に無線タグWtが存在しており、照明装置L1,L11,L16のうち最も近い照明装置L16からの第2ビーコン信号Bs2を受信して、自己発電部45が自己発電を行う。
【0088】
照明装置L1の制御部42は、自己発電部45での自己発電を検知すると、自己発電部45からの電力を利用して、記憶部43に含まれる無線タグ情報を含む無線タグ情報信号Wsを生成する。そして、制御部42は、無線通信部44から近くの照明装置Lに、第2プロトコル(第2無線電波)によって無線タグ情報信号Wsを送信する。図9に示す例においては、無線タグWtに最も近い照明装置L14に、無線タグ情報信号Wsが送信される(ステップS16)。
【0089】
無線タグ情報信号Wsを受信した照明装置L14は、無線タグ情報信号Wsに含まれる無線タグ情報と自装置の識別情報とを含む転送データ信号Tsを生成する。そして、第1プロトコル(第1無線電波)を用いて、すなわち第1無線通信ネットワークCn1を介して、転送データ信号Tsを制御装置Ctに転送する(ステップS17)。
【0090】
次に、ステップS18では、制御装置Ctが、第1無線通信ネットワークCn1において転送された転送データ信号Tsを受信する。これにより、制御装置Ctは、転送データ信号Tsに含まれた照明装置L14の識別情報と無線タグWtの無線タグ情報とを取得する。この取得により、制御装置Ctは、所定の管理処理を行う。
【0091】
本実施形態によっても、無線タグWtに電池を備えることを不要とし、且つ無線タグWtの配置範囲を広げることができる。また、本実施形態においては、第1無線電波とは異なる第3無線電波を用いて第2ビーコン信号Bs2を送信する。このため、第2ビーコン信号Bs2の送信によって、第1無線通信ネットワークCn1の通信品質を低下させることを抑制することができる。また、第2ビーコン信号Bs2の送信頻度を高めた場合に、第1無線通信ネットワークCn1に及ぼす影響を低減することが可能である。さらに、第3無線電波を適宜選定することにより、より遠距離に位置する無線タグWtに第2ビーコン信号Bs2を受信させることが可能であり、無線タグWtをより広範囲に配置することができる。
【0092】
本発明に係る管理システム、照明装置および無線タグは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る管理システム、照明装置および無線タグの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0093】
A1,A2:管理システム
L,L1,L2,L3,L4,L5,L6,L7,L8,L9,L10,L11,L12,L13,L14,L15,L16,L17,L18,Ln:照明装置
Wt,Wt1,Wtn:無線タグ
Es,Esn:センサ装置Es
11 :光源部
12 :制御部
13 :記憶部
14 :無線通信モジュール
15 :電源部
21 :表示部
22 :制御部
23 :記憶部
24 :無線通信部
25 :電源部
31 :表示部
32 :制御部
33 :記憶部
34 :無線通信部
35 :電源部
41 :測定部
42 :制御部
43 :記憶部
44 :無線通信部
45 :自己発電部
141 :第1無線通信部
142 :第2無線通信部
143 :第1ビーコン出力部
144 :第2ビーコン出力部
Bs1 :第1ビーコン信号
Bs2 :第2ビーコン信号
Cn1 :第1無線通信ネットワーク
Ct :制御装置
Ds :設定信号
Md :携帯端末
S1,S11,S12,S13,S14,S15,S16,S17,S18,S2,S3,S4,S5:ステップ
Sd :外部記憶装置
Ts,Ts1,Tsn:転送データ信号
Ut :時計ユニット
Ws,Ws1,Wsn:無線タグ情報信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11