(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174450
(43)【公開日】2022-11-24
(54)【発明の名称】家電機器
(51)【国際特許分類】
F21V 17/00 20060101AFI20221116BHJP
F21V 33/00 20060101ALI20221116BHJP
F21V 11/00 20150101ALI20221116BHJP
【FI】
F21V17/00 150
F21V33/00 300
F21V11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080248
(22)【出願日】2021-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 敦史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕悦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 房俊
【テーマコード(参考)】
3K011
3K014
【Fターム(参考)】
3K011EF00
3K014AA01
(57)【要約】
【課題】床面の意図しない箇所に光が届くのを抑制できる家電機器を提供する。
【解決手段】筐体30の下板33には、収納部100の上穴101から漏れ出した発光部121の光が筐体30を設置する床面に届くことを抑制する遮光壁130を形成した。収納部100には下面を覆う透光性のカバー110が設置され、カバー110のツメが収納部100の上穴101に係止される。発光部121から照射されカバー110を介した光がツメ111まで届くと、上穴101から床面方向へ照射されるように光が漏れ出る。遮光壁130により床面方向へ漏れ出た光が床面まで届くのを抑制することで、本来意図しない箇所の床面が照射されず、意匠性を損ねない。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
当該筐体の下端に位置し吸込口を有した下板と、
当該下板の下方で水平方向の端部と接続し床面に設置された脚部と、
前記下板に位置し側方に壁面を有した収納部と、
当該収納部内に配設され床面を照らす発光手段と、
前記発光手段を覆うように前記収納部へ設置可能な透光性のカバーと、を備え、
前記カバーは、側方端部に立設するツメを有し、
前記収納部は、前記壁面に前記カバーの前記ツメが係止可能な穴を有し、
前記穴の外側に位置する前記下板には、前記発光手段からの光が前記床面に届くのを抑制する遮光壁を形成したことを特徴とする家電機器。
【請求項2】
前記遮光壁は、前記収納部の前記穴と隣接する前記吸込口に形成したことを特徴とする請求項1記載の家電機器。
【請求項3】
前記収納部の前記穴と隣接する前記吸込口に桟が配設され、
前記遮光壁は、前記桟に形成したことを特徴とする請求項2記載の家電機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、家電機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものでは、家電機器の一種である暖房機において、ヒータの熱を放熱する放熱部を筐体の内部に収容し、放熱部から放熱される熱で空調対象の空気を暖めていた。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のものでは、夜間に暖房した状態で就寝した後、室内の照明を点灯させない状態で移動する場合、筐体の足元周辺を目視で確認することができないため、ユーザが筐体に衝突する虞があることから、筐体の下部に間接照明機能としての発光手段を配置することが考えられる。
ところが、発光手段の光が本来意図した箇所以外に漏れ出すと、意匠性を損ねることから、改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、筐体と、
当該筐体の下端に位置し吸込口を有した下板と、
当該下板の下方で水平方向の端部と接続し床面に設置された脚部と、
前記下板に位置し側方に壁面を有した収納部と、
当該収納部内に配設され床面を照らす発光手段と、
前記発光手段を覆うように前記収納部へ設置可能な透光性のカバーと、を備え、
前記カバーは、側方端部に立設するツメを有し、
前記収納部は、前記壁面に前記カバーの前記ツメが係止可能な穴を有し、
前記穴の外側に位置する前記下板には、前記発光手段からの光が前記床面に届くのを抑制する遮光壁を形成したことを特徴とした。
【0006】
また、請求項2では、前記遮光壁は、前記収納部の前記穴と隣接する前記吸込口に形成したことを特徴とした。
【0007】
また、請求項3では、前記収納部の前記穴と隣接する前記吸込口に桟が配設され、
前記遮光壁は、前記桟に形成したことを特徴とした。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、発光手段からの光が本来意図した箇所以外から漏れ出さないので、意匠性を損ねない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る暖房機の一実施形態を示す暖房機の右前方から見た斜視図。
【
図2】暖房機の前板および左右パネルを取り外し、右前方から見た斜視図。
【
図5】暖房機の下板、基板、カバーを説明する斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る家電機器の一種である暖房機の実施形態を
図1から
図4を参照して説明する。
【0011】
以下の説明において、「前(前面)」、「後(背面)」、「上」、「下」、「右」、および「左」は、
図1から
図3における定義に従う。また、上下方向は、暖房機1の設置時における鉛直方向に対応する。前後方向および左右方向は、暖房機1の設置時における水平方向に対応する。
【0012】
暖房機1は、放熱部10と、ヒータ20と、筐体30と、主制御基板70と、電源基板80と、を主に有する。
【0013】
放熱部10は、上段放熱部10a、中段放熱部10b、および下段放熱部10cを有する。上段放熱部10a、中段放熱部10b、および下段放熱部10c(以下これらを区別しない場合、単に「放熱部10」という。)は、それぞれ上段ヒータ20a、中段ヒータ20b、および下段ヒータ20c(以下これらを区別しない場合、単に「ヒータ20」という。)を内部に収容し、ヒータ20の熱を外表面から放熱する。放熱部10は、例えばアルミニウム合金のダイカスト成形品である。放熱部10は、ヒータ収容部11と、複数のフィン12と、を有する。ヒータ収容部11は、前後方向に沿う面方向を有する2枚の板状部材13の間に形成され、ヒータ20を収容する。フィン12は、板状部材13から略垂直に左右方向に突出し、上下方向に延びる(上下方向に沿う面方向を有する)。フィン12は、前後方向に沿って、例えば略等間隔で配列される。放熱部10は、左右側面においてボルト14により固定具15と連結される。放熱部10は、この固定具15を介して一対の遮熱板50に固定(架設)される。
【0014】
ヒータ20は、両端に端子21を有する、例えばシーズヒータである。ヒータ20は、主に前後方向に延びたU字形状を有する。ヒータ20は、端子21を放熱部10から露出してヒータ収容部11に収容されている。ヒータ20は、放熱部10の内部に鋳込まれることにより、放熱部10と一体成形される。
【0015】
筐体30は、放熱部10を収容し、暖房機1の外郭をなす。筐体30は、前板31と、後板32と、下板33と、上カバー34と、左右パネル35と、遮熱板50と、仕切板60と、を有する。前板31、後板32、下板33、上カバー34、および左右パネル35は、例えば冷間圧延鋼板や溶融亜鉛めっき鋼板などの薄鋼板からなる。遮熱板50および仕切板60は、例えば薄鋼板からなる。
【0016】
前板31は、暖房機1の前面に沿って配置される。前板31は、表示部37と、操作部38と、前側取っ手39と、を有する。表示部37は、暖房機1の運転状態や操作内容を表示する、例えば液晶表示パネルである。操作部38は、暖房機1の電源のオン、オフや、運転内容の指示を受け付ける。前側取っ手39は、表示部37の上方に配置され、ユーザによる暖房機1の移動に用いられる。後板32は、暖房機1の後面に沿って配置される。後板32は、前側取っ手39と前後方向において対になる位置に、後側取っ手(図示せず)を有する。
【0017】
下板33は、暖房機1の下面に沿って配置される。下板33は、前板31、後板32、および遮熱板50のベースで、筐体30を載置する。下板33は、暖房機1を移動するために用いられる脚部としての一対のキャスター付脚41を下方の前後方向において対になる位置に有する。キャスター付脚41は、下板33の水平方向両端となる前後方向の端部と接続する。
【0018】
また、下板33は、前後方向においてヒータ室30aおよび基板室30bに亘って配置される。ヒータ室30a側に位置する下板33は、ヒータ室30aに空気を取り入れる格子状のヒータ室側吸込口40aを有する。ヒータ室側吸込口40aには、複数の縦桟40a1、及び複数の横桟40a2が配設され、格子状の吸込口となっている。基板室30b側に位置する下板33は、基板室30bに空気を取り入れる基板室側吸込口40bを有する。すなわち、基板室側吸込口40bは、基板室30bにおける鉛直方向下方に設けられる吸込口である。
【0019】
上カバー34は、暖房機1の上面に沿って配置される。上カバー34は、グリル42と、金網43と、パネル取付具45と、を有する。グリル42は、ヒータ室側吸込口40aまたは基板室側吸込口40bから取り入れられ、暖房機1内を下から上に向かって流れる空気を吹き出すヒータ室側吹出口46aを有する。金網43は、ヒータ室側吹出口46aを塞ぐように、グリル42の下方に配置される。パネル取付具45は、金網43の下方に配置され、一対の遮熱板50間に前後に架設された枠部材である。パネル取付具45は、左右パネル35を固定するための構造である爪部45aを左右の枠面に有する。
【0020】
左右パネル35は、暖房機1の左右側面に沿ってそれぞれ配置される。左右パネル35は、放熱部10からの高温の熱に対するユーザの安全性を確保するため、放熱部10を覆って遮蔽する。これにより、暖房機1の内部はユーザにより視認されない。
【0021】
左右パネル35は、上端に内面方向の折返し(図示せず)を有する。左右パネル35の上端は、この折り返しをパネル取付具45の爪部45aに引っ掛けることにより固定されている。左右パネル35の下端は、下板33にネジ止めされることにより固定されている。また、左右パネル35の前後端は、前板31および後板32にそれぞれ係止されている。左右パネル35の中央部36aは、外縁部36bに対して放熱部10から離れるように膨出した形状を有している。これにより左右パネル35は、遮熱板50とは非接触に固定されているとともに、放熱部10との間に一定の隙間が設けられている。このため、左右パネル35は、過剰な温度上昇が抑制されている。
【0022】
遮熱板50は、放熱部10からの熱を、前板31および後板32と放熱部10との間で遮熱する。遮熱板50は、下板33に下部が固定され、遮熱板50の上方に位置するパネル取付具45に上部が固定される。これにより、遮熱板50、パネル取付具45および下板33は、暖房機1(ヒータ室30a)の内部骨格を構成している。
【0023】
前方に配置され、前板31と対向する前遮熱板51は、主制御基板70、電源基板80、リード線87などの電子部品と、放熱部10との間を前後方向(鉛直方向に直交する水平方向)に仕切り、放熱部10と電子部品とを隔離する。すなわち、前遮熱板51は、筐体30がヒータ20を収容するヒータ室30aと、電源基板80、サーモスタット85、リード線87および主制御基板70を収容する基板室30bと、を有するように、筐体30内部を区画する。前遮熱板51は、鉛直方向上方に、基板室側吹出口46b(吹出口)を有する。基板室側吹出口46bは、基板室30bを自然対流で上昇する空気をヒータ室30a側に放出する。
【0024】
仕切板60は、基板室30b内に配置され、基板室30bを電源基板80およびリード線87を含む第一空間90と、主制御基板70を含む第二空間91と、に仕切る。第二空間91は、仕切板60が位置する上下方向の範囲において、仕切板60より前方に位置する空間である。第一空間90は、基板室30bにおける第二空間91以外の空間である。なお、
図2および
図3から明らかなとおり、第一空間90と第二空間91とは、仕切板60により全ての境界が明確に隔離されているわけではない。
【0025】
仕切板60は、基面61と、傾斜面62と、固定片63と、を有する。基面61は、上下方向に沿う面方向を有する平板である。基面61は、
図3に示すように、主制御基板70よりも後方であって、電源基板80およびリード線87よりも前方に配置される。基面61の上端61a(仕切板60の上端)は、電源基板80からの放熱、およびリード線87からのノイズを考慮して、主制御基板70の上方に位置する。基面61の左右の辺61bと遮熱板50との間には、遮熱性およびノイズに対する遮蔽性から、隙間が設けられないのが好ましい。
【0026】
傾斜面62は、基面61の下端(基面下端61c)と連続的に形成された平板であり、基面下端61c位置から下方に向けて前板31に近づくように傾斜する。傾斜面62の下端(傾斜面下端62c)は、前板31に対して隙間92を有する。傾斜面下端62cは、主制御基板70よりも下方に位置する。固定片63は、基面61の左右の辺61bに断続的に設けられ、仕切板60を前遮熱板51の左右側面51aに固定する。
【0027】
仕切板60は、傾斜面下端62c(仕切板60の下端)において、基板室側吸込口40bから吸い込まれ基板室側吹出口46bに向う空気の流路を、第一流路と、第二流路と、に分岐する。第一流路は、第一空間90を経由する、すなわち仕切板60の後方を経由する流路である。第二流路は、第二空間91を経由する、すなわち仕切板60の前方を経由する流路である。
【0028】
主制御基板70は、暖房機1を統括的に制御するマイクロコンピュータを有する回路基板である。主制御基板70は、操作部38を介してユーザの指示を受け付け、この指示に基づいて電源基板80からヒータ20への電源の供給を制御する。また、主制御基板70は、必要な情報を表示するため表示部37を制御する。主制御基板70は、表示部37および操作部38とともに、前板31の表示部37および操作部38の背面側に固定されている。
【0029】
主制御基板70は、室温サーミスタ71およびプラグサーミスタ72と接続されている。室温サーミスタ71は、キャスター付脚41に固定され、暖房機1の外部の温度を室温として検出する。主制御基板70は、室温サーミスタ71から得られた室温に基づいて、ヒータ20の出力を制御する。プラグサーミスタ72は、電源プラグ86内に収容されたサーミスタであり、電源プラグ86の温度を検出する。主制御基板70は、プラグサーミスタ72から、トラッキング現象などが発生したとみなされる異常な高温を検出した場合、暖房機1の電源をオフする(ヒータ20への電力供給を停止する)。
【0030】
電源基板80は、主制御基板70の制御に基づいて、各ヒータ20へ電源を供給する。電源基板80は、トライアック81と、ヒートシンク82と、を主に有する。トライアック81は、ヒータ20への電源供給をオン、オフ制御する。ヒートシンク82は、トライアック81の熱を放熱する。
【0031】
また、電源基板80は、サーモスタット85および電源プラグ86と接続されている。サーモスタット85は、リード線87および電源基板80を介して電源プラグ86と直列に接続されている。サーモスタット85は、電源基板80の鉛直方向上方であって、かつ主制御基板70および仕切板60よりも上方に配置される。サーモスタット85は、前遮熱板51に固定され、基板室30bの雰囲気温度が異常な高温となった場合、暖房機1の電源をオフする(ヒータ20への電力供給を遮断する)。
【0032】
主制御基板70は、電源基板80とサーモスタット85の間であって、第二空間91に配置されている。電源基板80は、主制御基板70の下方であって、第一空間90に配置されている。また、リード線87は、第一空間90を上下方向に延びている。
【0033】
次に、
図5から
図8を参照して下板33の略中央部付近の構造について詳述する。
【0034】
100は下板33の略中央に形成され側方、及び上方に壁面を有し内部が中空で下面100aが開放された収納部である。収納部100は、暖房機1を床面に設置したとき、下面100aが床面と所定距離だけ離れた状態で対向する。収納部100は、前後方向に位置する壁面に上穴101が形成され、上穴101の左右それぞれの壁面に下穴102が形成されている。上穴101と下穴102は、上穴101が下穴102の上方となるよう、上下方向に分離するように形成されている。収納部100は、上面に3箇所の係止孔103とネジ止め孔104とが形成されている。収納部100は、左側面に後述する結線123が通過する結線穴105が形成されている。収納部100は、上端面に後述する発光基板122を係止する基板係止ツメ106が形成されている。
【0035】
また、収納部100は、上穴101と左右方向に隣接する位置に上端から下方へ延びる内側突起107が形成されている。この内側突起107は、後述する発光部121の光が上穴101から漏れ出すことを抑制する。
【0036】
110は収納部100の下面100aを覆うように設置する透光性を有し上方視略円形状のカバー面110aを有したカバーである。カバー110は、側面端部の2箇所にツメ111が立設され、ツメ111の左右に凸部112が形成されている。ツメ111は弾性を有している。
【0037】
作業者がカバー110を収納部100の下面100aに合わせて上方に持ち上げると、ツメ111が上穴101に嵌まり込み、凸部112が下穴102に嵌まり込むことで、カバー110が下面100aに装着される。ツメ111が上穴101の嵌まり込むことで、カバー110の脱落を防止する。凸部112が下穴102に嵌まり込むことで、カバー110が水平方向へ回転することでの位置ずれを阻止する。
また、作業者がツメ111を収納部100の中心方向へ撓ませ、上穴101からツメ111を抜き出して下方へ押し出すことで、カバー110を下面100aから取り外すことができる。
【0038】
120は収納部100内に収納される発光手段である。発光手段120は、LEDで構成された発光部121と、発光部121が略中央に設置されマイコンで構成された発光基板122と、一端が発光基板122と接続し他端が主制御基板70と接続する結線123と、で構成されている。
【0039】
発光部121は、ユーザによる操作部38にある図示しない足元照明スイッチの操作を受け、発光部121の点灯、及び消灯を切り替える。発光部121の点灯状態は、操作部38により複数段階で照度が切替可能であり、操作部38の操作を受けて所定の照度となるよう調節する。
【0040】
発光基板122は、図示しない3箇所に形成された引っ掛け部が係止孔103に引っ掛かり、端部が基板係止ツメ106により係止され、ネジ124が発光基板122に形成されたネジ孔122aを貫通してネジ止め孔104に螺着されることで、収納部100の上端略中央に配設される。収納部100に発光基板122が配設されると、発光部121と床面との間の距離が確保され、発光部121の点灯時に筐体30の床面をムラなく照らすことができる。暖房機1が設置された部屋が消灯し発光部121が点灯した状態のとき、暖房機1の位置をユーザが容易に把握することができる。
【0041】
結線123は、収納部100の結線穴105を介して主制御基板70に接続されている。操作部38の指示、及び電源基板80の電流を発光基板122へ送電し、発光部121を所定の照度で発光、あるいは消灯させる。
【0042】
130は、下板33に有したヒータ室側吸込口40aにある縦桟40a1に形成されたリブ状の遮光壁である。遮光壁130は、収納部100の上穴101に最も近い位置で隣接してツメ111に対向した縦桟40a1にあり、上方向へ延伸するように形成されている。遮光壁130は、上穴101の左右幅と同等の左右幅を有し、3つの横桟40a2に跨がっている。遮光壁130は、上端が上穴101の上下方向高さの範囲にある。
【0043】
発光部121が点灯すると、照射された光が周囲に拡散する。発光部121から収納部100の上穴101へ直接向かう光は内側突起107で遮断されるため、上穴101へ光が直接的に届くことを抑制できる。発光部121からカバー110に至った光は、大部分がカバー110と対向する本来意図した箇所の床面方向へ照射されるが、カバー110内で反射した一部の光がツメ111まで至り、ツメ111から漏れ出た光が床面方向へ向かう。ツメ111が係止される収納部100の上穴101と床面との間に遮光壁130が位置することで、ツメ111から漏れ出た光が本来意図しない箇所の床面に届くことを抑制することができる。
【0044】
通常運転時、ヒータ20に通電されることで放熱部10付近が加熱され、筐体30の下部から上部へ向かう空気の流れが発生する。このとき、下板33のヒータ室側吸込口40aを通過した空気の一部が、下穴102にある凸部112との隙間を通過して収納部100内に入る。収納部100内に入った空気は、上穴101にあるツメ111との隙間、あるいは結線穴105を通過して収納部100外へ抜ける。収納部100内に空気の流れが発生し、室内空気が発光基板122付近を通過して発光基板122が冷却される。
【0045】
収納部100内に設置された発光基板122は、下段ヒータ20cがその上部に位置する。ヒータ20の駆動時、発光基板122はヒータ20の熱影響により温度が上昇しやすい。上穴101、下穴102、結線穴105により収納部100内に空気の流れが発生することで、発光基板122が冷却され温度上昇を未然に阻止できる。発光基板122が温度上昇し、発光基板122に配置された機能部品が熱損傷することが阻止できる。
【0046】
また、上穴101、下穴102、及び結線穴105は収納部100の側方の壁面に形成されている。収納部100の上方には下段ヒータ20cが位置し熱の影響を受けやすい。収納部100の側面に各穴が形成されたことで、下段ヒータ20cの影響を受けず空気が流れる。発光基板122を効率よく冷却することができる。
【0047】
また、下板33のヒータ室側吸込口40aの略中央に発光手段120を内部に収納した収納部100が位置するので、ヒータ20が駆動することで格子状のヒータ室側吸込口40aを通過し、筐体30を上昇する自然対流によるドラフトの偏りが抑制でき、均一なドラフトが実現できる。ヒータ室側吹出口46aから均一に空気が上昇し、暖房感を損なうことがない。
【0048】
また、下板33のヒータ室側吸込口40aの略中央に発光手段120を内部に収納した収納部100が位置するので、発光部121とキャスター付脚41との間が前後方向において等間隔となる。発光部121が点灯したとき、キャスター付脚41により不自然な影が床面に発生することがないため、自然な間接照明が実現できる。
【0049】
また、収納部100の上穴101の外側に位置するヒータ室側吸込口40aの縦桟40a1に遮光壁130を形成したので、発光部121から照射された光がカバー110を介してツメ111に至り、上穴101から漏れ出た光が床面まで届くことを抑制できる。本来意図した照射位置からずれた箇所の床面に光が届くことを阻止できるため、間接照明による意匠性を損ねることがない。
【0050】
次に、本発明の効果を説明する。
【0051】
筐体30の下板33には、収納部100の上穴101から漏れ出した発光部121の光が筐体30を設置する床面に届くことを抑制する遮光壁130を形成した。収納部100には下面100aを覆う透光性のカバー110が設置され、カバー110のツメ111が収納部100の上穴101に係止される。発光部121から照射されカバー110を介した光がツメ111まで届くと、上穴101から床面方向へ照射されるように光が漏れ出る。遮光壁130により床面方向へ漏れ出た光が床面まで届くのを抑制することで、本来意図しない箇所の床面が照射されず、意匠性を損ねない。
【0052】
また、遮光壁130は、収納部100の上穴101と隣接するヒータ室側吸込口40aに配置したので、上穴101から床面に届く光の経路を簡易な構成で遮断することができ、上穴101から漏れ出た光が床面まで届くことを抑制できる。
【0053】
また、収納部100の上穴101と隣接する位置にヒータ室側吸込口40aを構成する縦桟40a1を有し、遮光壁130は、縦桟40a1に形成したので、大幅な構造変更を要することなく上穴101から漏れ出た光が床面に届くことを抑制できる。
【0054】
なお、本実施形態では収納部100の上穴101の最も近くに位置する縦桟40a1に遮光壁130を形成しているが、これに限られない。遮光壁130は、上穴101に隣接してカバー110のツメ111と対向する位置にあれば、本来意図しない箇所に光が届くことを抑制することができる。よって、本実施形態とは異なる位置の収納部100の側方壁面に上穴101が形成された場合、上穴101と隣接しツメ111と対向する箇所にあるヒータ室側吸込口40aの縦桟40a1、または横桟40a2に遮光壁130を形成したものは、本発明の範疇に入る。
【0055】
また、本実施形態では収納部100の上穴101から漏れ出た光が床面に届くことを阻止する遮光壁130について説明したが、光が漏れ出るのは上穴101だけではないことから、これに限られない。例えば、収納部100の下穴102からも光が漏れ出し、床面の本来意図しない箇所で光が照射されるようであれば、下穴102と床面との間に位置し光の経路となる下板33に遮光壁130を形成する。床面の本来意図しない箇所における光の照射を抑制することができ、本発明の作用効果が得られることから、収納部100の壁面に形成されたいずれかの穴より漏れ出た光により、本来意図しない箇所の床面で光が照射されることを抑制する遮光壁130が下板33に形成されたものであれば本発明の範疇である。
【0056】
また、本実施形態では家電機器の一種である暖房機の下面に発光手段120を搭載した内容で説明したが、本発明の適用範囲は暖房機に限られるものではない。例えば、筐体内に低温の冷媒や水等の熱媒が循環する熱交換器を備え、当該熱交換器へファンにより送風することで送風口から冷風を吹き出す冷風機等において本発明を適用したものであってもよく、家電機器の種類は特に限定されないものである。
【符号の説明】
【0057】
30 筐体
33 下板
40a ヒータ室側吸込口
40a1 縦桟
41 キャスター付脚(脚部)
100 収納部
101 上穴
110 カバー
111 ツメ
120 発光手段
121 発光部
130 遮光壁