(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174459
(43)【公開日】2022-11-24
(54)【発明の名称】建材保持冶具
(51)【国際特許分類】
B66C 1/06 20060101AFI20221116BHJP
【FI】
B66C1/06 E
B66C1/06 A
B66C1/06 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080267
(22)【出願日】2021-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000150110
【氏名又は名称】株式会社竹中土木
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉知 星人
(72)【発明者】
【氏名】千葉 俊二
(72)【発明者】
【氏名】大村 啓介
【テーマコード(参考)】
3F004
【Fターム(参考)】
3F004EA03
3F004GA01
3F004JA06
3F004KA05
(57)【要約】
【課題】様々な大きさの鋼板を保持できる建材保持冶具を提供する。
【解決手段】建材保持冶具(アタッチメント40)は、鋼板を運搬する運搬機のアームに固定される固定部材42と、固定部材42に取付けられた枠状のフレーム44と、フレーム44に対して、フレーム44に沿ってスライド可能に取付けられ、鋼板を着脱可能に吸着する複数のマグネット46と、を備えている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼板を運搬する運搬機のアームに固定される固定部材と、
前記固定部材に取付けられた枠状のフレームと、
前記フレームに対して、前記フレームに沿ってスライド可能に取付けられ、前記鋼板を着脱可能に吸着する複数のマグネットと、
を備えた建材保持冶具。
【請求項2】
前記フレームは、
前記マグネットが取付けられた枠状の外側フレームと、
前記外側フレームに囲まれた位置において前記外側フレームに架け渡された内側フレームと、を備え、
前記内側フレームにもマグネットが固定されていると共に、前記内側フレームは前記外側フレームの面内に沿ってスライド可能とされている、
請求項1に記載の建材保持冶具。
【請求項3】
前記外側フレームは、
筒状に形成された筒状部材と、
前記筒状部材に挿入される棒状部材と、を備えて形成され、
前記棒状部材の前記筒状部材に対する挿入深さを変えることで、前記外側フレームの大きさを変更できる、
請求項2に記載の建材保持冶具。
【請求項4】
前記固定部材から前記フレームの面外方向へ張出し、前記フレームを前記面外方向へ移動可能に支持するレールと、
前記固定部材に取付けられ、前記フレームを前記面外方向へ移動させるシリンダと、
を備えた請求項1~3の何れか1項に記載の建材保持冶具。
【請求項5】
前記マグネットは吸着面が長方形状とされ、前記フレームの面内方向に沿って回転可能とされている、
請求項1~4の何れか1項に記載の建材保持冶具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建材保持冶具に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、各種建材を移動、位置決めするためのハンドリング機械が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のハンドリング機械には、建材を把持する把持アタッチメントが設けられている。この把持アタッチメントは、ハンドリング操作レバーを操作することによって、左右、立起し(チルト)、左右傾きの各方向の微調整が可能とされている。
【0005】
このようなハンドリング機械で把持する建材としては、例えば鋼板等の板状部材がある。鋼板の大きさは取付け箇所によって異なるため、一つの把持アタッチメントで様々な大きさの鋼板を把持できることが望ましい。
【0006】
ここで、例えば鋼板の大きさに対して把持アタッチメントにおける把持部の距離が短い場合、把持部には大きなモーメントが作用する。一方、鋼板の大きさに対して把持部の距離が長い場合も、2箇所の把持部で把持できずに、一つの把持部でしか把持できないことがある。このような場合においても、把持部には大きなモーメントが作用する。
【0007】
したがって、把持部に作用するモーメントが過大とならない程度の大きさの鋼板を選定する必要がある。つまり、把持できる鋼板の大きさに制約をうけてしまう。
【0008】
本発明は、上記事実を考慮して、様々な大きさの鋼板を保持できる建材保持冶具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の建材保持冶具は、鋼板を運搬する運搬機のアームに固定される固定部材と、前記固定部材に取付けられた枠状のフレームと、前記フレームに対して、前記フレームに沿ってスライド可能に取付けられ、前記鋼板を着脱可能に吸着する複数のマグネットと、を備えている。
【0010】
請求項1に記載の建材保持冶具では、鋼板を固定するマグネットが、フレームに沿ってスライドできる。このため、吸着位置を変えることができる。これにより、様々な大きさや形状の鋼板を保持することができる。また、鋼板に凹凸や孔がある場合でも、これらを避けて、マグネットによって保持できる。
【0011】
請求項2の建材保持冶具は、請求項1に記載の建材保持冶具において、前記フレームは、前記マグネットが取付けられた枠状の外側フレームと、前記外側フレームに囲まれた位置において前記外側フレームに架け渡された内側フレームと、を備え、前記内側フレームにもマグネットが固定されていると共に、前記内側フレームは前記外側フレームの面内に沿ってスライド可能とされている。
【0012】
請求項2に記載の建材保持冶具では、内側フレームに固定されたマグネットが、内側フレームと共に、外側フレームの面内に沿ってスライドできる。このため、外側のマグネットだけでなく内側のマグネットの吸着位置も変えることができる。これにより、様々な形状の鋼板を保持することができる。また、鋼板に凹凸や孔がある場合でも、これらを避けて、マグネットによって保持できる。
【0013】
請求項3の建材保持冶具は、請求項2に記載の建材保持冶具において、前記外側フレームは、筒状に形成された筒状部材と、前記筒状部材に挿入される棒状部材と、を備えて形成され、前記棒状部材の前記筒状部材に対する挿入深さを変えることで、前記外側フレームの大きさを変更できる、
【0014】
請求項3に記載の建材保持冶具では、フレームが筒状部材と棒状部材とで形成され、棒状部材の筒状部材に対する挿入深さを変えることで、フレームの大きさを変更できる。これにより、様々な大きさの鋼板を保持することができる。
【0015】
請求項4の建材保持冶具は、請求項1~3の何れか1項に記載の建材保持冶具において、前記固定部材から前記フレームの面外方向へ張出し、前記フレームを前記面外方向へ移動可能に支持するレールと、前記固定部材に取付けられ、前記フレームを前記面外方向へ移動させるシリンダと、を備えている。
【0016】
請求項4に記載の建材保持冶具では、フレームが固定部材から面外方向へ張出したレールに移動可能に支持されおり、シリンダを伸縮させることで、フレームを面外方向へ移動させることができる。このため、運搬機やアームを移動させて鋼板を取付面に取付ける態様と比較すると、精度よく鋼板を取付面に取付けることができる。
【0017】
請求項5の建材保持冶具は、請求項1~4の何れか1項に記載の建材保持冶具において、前記マグネットは吸着面が長方形状とされ、前記フレームの面内方向に沿って回転可能とされている。
【0018】
請求項5に記載の建材保持冶具では、長方形状のマグネットがフレームの延設方向へ移動できるだけではなく、フレームの面内方向に沿って回転可能とされている。このため、鋼板に凹凸や孔がある場合、これらをより避けやすい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、様々な大きさの鋼板を把持できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係る建材保持冶具が適用された鋼板運搬装置を用いて補強される取付面及び補強用の鋼板を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る建材保持冶具が適用された鋼板運搬装置を示す側面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る建材保持冶具が適用された鋼板運搬装置を示す平面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る建材保持冶具を示す側面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る建材保持冶具を示す正面図である。
【
図6】(A)は本発明の実施形態に係る建材保持冶具の固定部材を示す正面図であり、(B)はフレームを示す正面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るフレームを大きくした状態を示す正面図である。
【
図8】(A)はマグネットを省略した
図5におけるA-A線断面図であり、(B)は固定部材に対してフレームを移動させた状態を示すA-A線断面図である。
【
図9】(A)は本発明の実施形態に係る建材保持冶具を示す平面図であり、(B)は固定部材に対してフレームを移動させた状態を示す平面図である。
【
図10】(A)は本発明の実施形態に係る建材保持冶具において、筒状部材と棒状部材のスライド機構の一例を示す断面図であり、(B)は筒状部材と棒状部材との固定方法の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に係る建材保持冶具について、図面を参照しながら説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一の構成要素であることを意味する。但し、明細書中に特段の断りが無い限り、各構成要素は一つに限定されず、複数存在してもよい。
【0022】
また、各図面において重複する構成及び符号については、説明を省略する場合がある。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において構成を省略する又は異なる構成と入れ替える等、適宜変更を加えて実施することができる。
【0023】
各図において矢印X、Yで示す方向は水平面に沿う方向であり、互いに直交している。また、矢印Zで示す方向は鉛直方向(上下方向)に沿う方向である。各図において矢印X、Y、Zで示される各方向は、互いに一致するものとする。
【0024】
<取付面>
図2には、本発明の実施形態に係る建材保持冶具であるアタッチメント40を備えた鋼板運搬装置20が示されている。鋼板運搬装置20は、一例として、建材としての鋼板10を運搬し、被補強体12の取付面12Aに固定するための、運搬及び取付装置である。
【0025】
図1に示すように、本実施形態において被補強体12はコンクリート柱とされ、耐震性向上等のために、鋼板10が取付けられて補強される。なお、被補強体12としては、壁面や天井面など、各種の構成を採用できる。
【0026】
被補強体12において、鋼板10が取付けられて補強される取付面12Aには、鋼板10の取付けに先立って、複数のアンカーボルト14が施工される。また、鋼板10には、アンカーボルト14と対応する位置に、貫通孔10Aを形成しておく。
【0027】
そして鋼板10を取付面12Aに取付ける際は、アンカーボルト14を貫通孔10Aに挿通させて、鋼板10を取付面12Aに接触させる。その後、アンカーボルト14に図示しないナットを捩じ込むことで、鋼板10が取付面12Aに取付けられ、かつ、固定される。
【0028】
<鋼板運搬装置>
図2に示すように、鋼板運搬装置20は、運搬機22、運搬機22に備えつけられた操舵部24、アーム30及びアタッチメント40を備えている。
【0029】
<運搬機>
運搬機22は、オペレータが所望する方向へ走行させられる車両である。運搬機22は、オペレータが操舵部24を操作することで、運搬機22の発進、停止、走行方向及び走行速度の変更を実施できる。操舵部24は、オペレータが操作するためのハンドルを備えている。また、操舵部24は、アーム30等を操作するコントローラを含んで形成されている。
【0030】
運搬機22には、アーム30が設けられており、アーム30の先端には、アタッチメント40を着脱可能に保持するハンド部32が設けられている。換言すると、アタッチメント40は、ハンド部32を介して、アーム30に固定されている。
【0031】
(アーム部及びハンド部の動き)
アーム30は、矢印N1で示すように、起伏可能とされている。アーム30を起伏させることで、アーム30の先端にハンド部32を介して固定されたアタッチメント40及び鋼板10の上下方向(Z方向)の位置を調整できる。
【0032】
また、アーム30は、矢印N2で示すように、伸縮可能とされている。アーム30を伸縮させることで、アーム30の先端にハンド部32を介して固定されたアタッチメント40及び鋼板10の前後方向(X方向、運搬機22の前後方向)の位置を調整できる。
【0033】
ハンド部32は、矢印N3で示すように、水平方向(Y方向、運搬機22の車幅方向)を回転軸として回転(チルト)可能とされている。ハンド部32をチルトさせることで、アーム30の先端にハンド部32を介して固定されたアタッチメント40及び鋼板10の上下方向の傾きを調整できる。
【0034】
また、ハンド部32は、
図3の平面図に矢印N4で示すように、上下方向(Z方向)を回転軸として回転(スイング)可能とされている。ハンド部32をスイングさせることで、アーム30の先端にハンド部32を介して固定されたアタッチメント40及び鋼板10の水平方向の傾きを調整できる。なお、
図3において後述するアタッチメント40における押出機構50の図示は省略されている。
【0035】
さらに、ハンド部32は、
図5に矢印N5で示すように、水平方向(X方向、運搬機22の前後方向、
図2参照)を回転軸として回転(ロール)可能とされている。アーム30をロールさせることで、アーム30の先端にハンド部32を介して固定されたアタッチメント40及び鋼板10(
図2等参照)の面内方向の傾きを調整できる。
【0036】
なお、
図3に矢印N6で示すように、運搬機22は、タイヤの位置を変更することなく、車体を横方向(Y方向、運搬機22の車幅方向)へ移動(横行)可能とされている。運搬機22を横行させることで、アーム30の先端にハンド部32を介して固定されたアタッチメント40及び鋼板10の横方向(Y方向、運搬機22の車幅方向)の位置を調整できる。
【0037】
<アタッチメント>
図4、
図5に示すように、アタッチメント40は、固定部材42と、フレーム44と、マグネット46と、レール48と、押出機構50と、を備えている。
【0038】
(固定部材)
図6(A)に示すように、固定部材42は、ハンド部32を介してアーム30に固定された鋼製の棒状部材であり、角型の筒形状とされている。なお、固定部材42は無垢の角材で形成してもよい。
【0039】
図4に示すように、固定部材42には、水平方向(X方向、運搬機22の前後方向)で、かつ、アーム30の反対側へ突出した突出部42Aが4本固定されている。突出部42AにおけるY方向の両面には、それぞれレール48が固定されている。
【0040】
(フレーム)
フレーム44は、固定部材42にレール48を介して固定された鋼製の枠状部材である。
図6(B)に示すように、フレーム44は、枠状(「ロ字」状)の外側フレーム44Aと、閂状(直線状)の内側フレーム44Bと、を備えている。
【0041】
外側フレーム44Aは、さらに、外側フレーム44Aの両端部を形成する筒状部材44AAと、筒状部材44AAに挿入され、外側フレーム44Aの中央部を形成する棒状部材44ABと、を備えて形成されている。
【0042】
筒状部材44AAは、一対設けられ、それぞれの筒状部材44AAが、門型(「コ字」状)に形成されている。筒状部材44AAにおいて、
図6(B)でのY方向に延設された部材の端部には、X方向に沿って伸びる突出部が設けられており、この突出部が、筒状に形成されている。
【0043】
棒状部材44ABは、一対設けられ、両端部のそれぞれが、対向する筒状部材44AAの突出部に挿入されている。棒状部材44ABの両端部と、筒状部材44AAの突出部とは、ボルトを用いて固定されている。
【0044】
筒状部材44AAに対する棒状部材44ABの挿入深さは自由に設定できる。そして、筒状部材44AAと棒状部材44ABとのボルト固定位置は可変である。このため、矢印K1で示すように、筒状部材44AAは棒状部材44ABに対してスライド可能とされ、適宜固定することができる。
【0045】
これにより、例えば
図7に示すように、一対の筒状部材44AAを、
図5や
図6(B)に示した状態より、互いに離間して配置して、棒状部材44ABに固定することができる。
【0046】
ここで、筒状部材44AAを棒状部材44ABに対してスライド可能で、かつ、適宜固定できる構成の一例としては、例えば
図10(A)に示すように、筒状部材44AAに複数の貫通孔H2を、筒状部材44AAの材軸方向に沿って形成する構成が挙げられる。また、棒状部材44ABには、少なくとも1つの貫通孔H1を形成する。
【0047】
そして、
図10(B)に示すように、貫通孔H1と、貫通孔H2のうち何れかに、ボルトを挿通させる。ボルトを挿通する貫通孔H2を変えることにより、筒状部材44AAは棒状部材44ABに対してスライドし、かつ、固定することができる。
【0048】
なお、筒状部材44AAに1つの貫通孔を形成し、棒状部材44ABに2つ以上の貫通孔を形成してもよい。また、このような筒状部材44AAと棒状部材44ABとの構成は、本実施形態において「スライド可能」とされた各種の部材間で適用することができる。
【0049】
図6(B)に示すように、内側フレーム44Bは、外側フレーム44Aに囲まれた位置において外側フレーム44Aに架け渡された部材である。
【0050】
内側フレーム44Bは、軸部44BAと、スライド部44BBと、連結部44BCと、を備えている。軸部44BAは、外側フレーム44Aにおける棒状部材44ABに架け渡された棒状部材である。
【0051】
スライド部44BBは、一対設けられ、軸部44BAの両端部に固定され、かつ、棒状部材44ABが挿通された筒状部材である。
【0052】
スライド部44BBと棒状部材44ABとは、ボルトを用いて固定されるが、この固定位置は可変である。このため、矢印K2で示すように、内側フレーム44Bは棒状部材44ABに対してスライド可能とされ、適宜固定することができる。換言すると、内側フレーム44Bは、外側フレーム44Aの面内方向に沿ってスライド可能とされ、適宜固定することができる。
【0053】
連結部44BCは、軸部44BAの中央部分に一対設けられている。
図5に示すように、それぞれの連結部44BCは、固定部材42の突出部42Aを挟んで配置され、かつ、レール48が固定されている。
【0054】
(レール)
レール48は、スライドレールであり、
図8(A)、(B)に示すように、固定部材42の突出部42Aに固定された第一レール48Aと、内側フレーム44Bの連結部44BCに固定された第二レール48Bと、を備えている。
【0055】
第一レール48A及び第二レール48Bは互いに噛み合って配置され、互いに接触した状態で、矢印K3(
図8(A)参照)、K4(
図8(B)参照)で示すように、前後方向(X方向、運搬機22の前後方向)へ可動することができる。第一レール48A及び第二レール48Bが相対的に移動することにより、固定部材42に対して、フレーム44が移動する。
【0056】
第一レール48Aと第二レール48Bとの間にはボールベアリング等が設けられている。なお、レール48は、ストロークを調整するために、これらの第一レール48Aと第二レール48Bの長さを適宜調整できるほか、3本以上のレールを組み合わせて形成してもよい。
【0057】
図5に示すように、レール48は、それぞれの内側フレーム44B毎に4セット設けられている。これにより、固定部材42に対して、フレーム44が安定して移動することができる。
【0058】
(シリンダ)
図6(B)に示すように、外側フレーム44Aにおける筒状部材44AAのそれぞれには、押出機構50が固定されている。この押出機構50は、
図9(A)、(B)に示すように、シリンダ54と、シリンダ54によって移動する移動部材52と、を備えて形成されている。
【0059】
シリンダ54は電動シリンダであり、一方の端部が、固定部材42におけるアーム30(図示略、
図9(A)においては紙面上側)側の面に固定されている。シリンダ54の他方の端部は、移動部材52に固定されている。
【0060】
移動部材52は、2枚の端部プレート52A、52Bと、端部プレート52A、52B同士を連結する連結部材52Cと、を備えて形成されている。
【0061】
端部プレート52A、52Bの間には、シリンダ54が配置され、端部プレート52Aにおける端部プレート52B側の面に、シリンダ54の端部が固定されている。そして、端部プレート52Bにおける端部プレート52Aとは反対側の面に、フレーム44が固定されている。
【0062】
ここで、
図9(A)には、シリンダ54が最も伸びた状態が示されている。この状態から矢印K5で示すようにシリンダ54を縮めると、
図9(B)に示すように、運搬機22に固定された固定部材42が動かない一方、移動部材52及び移動部材52に固定されたフレーム44が前方向(X方向、運搬機22の前方向)へ移動する。
【0063】
同様に、
図9(B)に示した状態から、矢印K6で示すようにシリンダ54を伸ばすと、
図9(A)に示すように、運搬機22に固定された固定部材42が動かない一方、移動部材52及び移動部材52に固定されたフレーム44が後方向(X方向、運搬機22の後方向)へ移動する。
【0064】
(マグネット)
図5に示すように、フレーム44には、鋼板10を着脱可能に吸着する複数のマグネット46が取付けられている。マグネット46は、
図9(A)、(B)にも示すように、マグネット本体46A、軸部46B及び固定部46Cを備えて形成されている。
【0065】
マグネット本体46Aは、鋼板10(
図2等参照)を磁力によって固定可能な部分であり、
図5に示すように、鋼板10と接触する部分(吸着面)が長方形状とされている。マグネット本体46Aにおける磁力の切替えは、人力(手動)で行う。
【0066】
固定部46Cは、フレーム44に固定される部分である。ここで、外側フレーム44Aに取付けられるマグネット46では、固定部46Cにおいてフレーム44に固定される部分が、筒状に形成されている。これにより、マグネット46は、外側フレーム44Aに対して、
図5に矢印K7で示すように、スライド可能に固定される。
【0067】
一方、内側フレーム44Bに取付けられるマグネット46は、固定部材42の突出部42Aに跨るように配置され、内側フレーム44Bに対してスライドしない。
【0068】
なお、固定部46Cを筒状に形成したマグネット46は、外側フレーム44Aにおける筒状部材44AAのどこに取付けてもよい。また、このマグネット46は、棒状部材44ABに取付けてもよい。さらに、このマグネット46は、内側フレーム44Bに取付けてもよい。
【0069】
マグネット46の軸部46Bは、
図9(A)、(B)に示すように、マグネット本体46A及び固定部46Cを連結する連結部材であり、X方向を回転軸として、軸回転することができる。これにより、
図5に矢印K8、K9で示すように、マグネット本体46Aが、フレーム44の面内方向に沿って回転することができる。
【0070】
<作用及び効果>
本発明の実施形態に係る建材保持冶具としてのアタッチメント40では、
図5に矢印K7で示すように、鋼板10(
図2等参照)を固定するマグネット46が、フレーム44における外側フレーム44Aに沿ってスライドできる。
【0071】
このため、鋼板10の吸着位置を変えることができる。これにより、様々な大きさや形状の鋼板を保持することができる。また、鋼板に凹凸や孔(例えば鋼板10の貫通孔10A)がある場合でも、これらを避けて、マグネット46によって保持できる。
【0072】
また、本発明の実施形態に係るアタッチメント40では、
図5に示す内側フレーム44Bに取付けられたマグネット46が、内側フレーム44Bと共に、外側フレーム44Aの面内に沿ってスライドできる(
図6における矢印K2)。
【0073】
このため、
図5に示す外側のマグネット46(外側フレーム44Aに取付けられたマグネット46)だけでなく内側のマグネット46(内側フレーム44Bに取付けられたマグネット46)の吸着位置も変えることができる。
【0074】
これにより、様々な形状の鋼板を保持することができる。また、鋼板に凹凸や孔(例えば鋼板10の貫通孔10A)がある場合でも、これらを避けて、マグネットによって保持できる。
【0075】
また、本発明の実施形態に係るアタッチメント40では、フレーム44における外側フレーム44Aが、筒状部材44AAと棒状部材44ABとで形成されている。また、棒状部材44ABの筒状部材44AAに対する挿入深さを変えることで、フレーム44の大きさを変更できる。これにより、様々な大きさの鋼板を保持することができる。
【0076】
また、本発明の実施形態に係るアタッチメント40では、
図8(A)、(B)に示すように、フレーム44が固定部材42から面外方向へ張出したレール48に移動可能に支持されている。
【0077】
そこで、
図9(A)、(B)に矢印K5、K6で示すように、シリンダ54を伸縮させることで、
図8に矢印K3、K4で示すように、フレーム44を面外方向へ移動させることができる。このため、運搬機22やアーム30を移動させて鋼板10を取付面12Aに取付ける態様と比較すると、精度よく鋼板10を取付面12Aに取付けることができる。
【0078】
また、本発明の実施形態に係るアタッチメント40では、長方形状のマグネット本体46Aが、
図5に矢印K7で示すように、フレーム44の延設方向へ移動できるだけではなく、矢印K8、K9で示すように、フレーム44の面内方向に沿って回転可能とされている。このため、鋼板10に凹凸や孔がある場合、これらをより避けやすい。
【0079】
<その他の実施形態>
本発明の実施形態に係るアタッチメント40では、フレーム44における外側フレーム44Aが、筒状部材44AAと棒状部材44ABとで形成され、外側フレーム44Aの大きさが可変とされているが、本発明の実施形態はこれに限らない。
【0080】
例えば外側フレーム44Aは大きさが変わらない構成としてもよい。外側フレーム44Aの大きさが変わらなくても、マグネット46をフレーム44に沿ってスライドできれば、様々な大きさの鋼板を保持できる効果は得られる。
【0081】
同様に、本発明の実施形態に係るアタッチメント40では、内側フレーム44Bが外側フレーム44Aの面内方向に沿ってスライド可能とされているが、本発明の実施形態はこれに限らない。
【0082】
例えば内側フレーム44Bが外側フレーム44Aに対してスライド可能でなくても、マグネット46をフレーム44に沿ってスライドできれば、様々な大きさの鋼板を保持できる効果は得られる。
【0083】
また、本発明におけるアタッチメント40は、レール48及びシリンダ54を備えているが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えばアタッチメント40は、レール48及びシリンダ54を必ずしも備えてなくてもよい。レール48及びシリンダ54がなくても、運搬機22やアーム30を移動させることにより、鋼板10を取付面12Aに取付けることができる。
【0084】
また、本発明におけるアタッチメント40では、マグネット本体46Aの吸着面は必ずしも長方形状でなくてもよい。また、マグネット本体46Aは必ずしも回転可能でなくてもよい。マグネット本体46Aの吸着面が長方形状でなくても、又は、回転可能でなくても、フレーム44に沿ってスライドできれば、様々な大きさの鋼板を保持できる効果は得られる。
【符号の説明】
【0085】
10 鋼板
30 アーム
40 アタッチメント(建材保持冶具)
42 固定部材
44 フレーム
44A 外側フレーム
44AA 筒状部材
44AB 棒状部材
44B 内側フレーム
46A マグネット本体(マグネット)
48 レール
54 シリンダ