IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社マキタの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174468
(43)【公開日】2022-11-24
(54)【発明の名称】電動作業機
(51)【国際特許分類】
   B60L 3/00 20190101AFI20221116BHJP
   A01D 34/68 20060101ALI20221116BHJP
   A01D 34/47 20060101ALI20221116BHJP
   B60L 53/80 20190101ALI20221116BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20221116BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20221116BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
B60L3/00 S
A01D34/68 M
A01D34/47
B60L53/80
B60L50/60
B60L58/12
H02J7/00 X
H02J7/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080279
(22)【出願日】2021-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】竹田 幸市
【テーマコード(参考)】
2B083
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
2B083AA02
2B083BA12
2B083BA18
2B083DA03
2B083DA07
2B083FA11
2B083GA01
2B083HA19
2B083HA60
5G503BA01
5G503BB02
5G503EA05
5G503EA06
5G503FA06
5H125AA17
5H125AB01
5H125AC13
5H125BA09
5H125BC18
5H125BC25
5H125BC26
5H125CC01
5H125CD02
5H125EE01
5H125EE23
5H125EE70
5H125FF06
(57)【要約】
【課題】バッテリパックの容量低下を精度良く報知することが可能な電動作業機を提供する。
【解決手段】本開示の1つの局面の電動作業機は、接続部と、第1のモータと、第2のモータと、モータ制御部と、電圧検出部と、報知部と、報知制御部と、を備える。第2のモータは、第1のモータよりも少ない電力を消費する。報知制御部は、第1のモータの停止中において、バッテリパックの第1の電圧値を検出させ、且つ、第1の電圧値が第1の閾値未満であることに応じて、容量低下を報知させる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリパックに接続されるように構成された接続部と、
前記接続部に接続された前記バッテリパックから電力を受けて駆動するように構成された第1のモータと、
前記接続部に接続された前記バッテリパックから電力を受けて駆動するように構成され、前記第1のモータよりも少ない電力を消費するように構成された第2のモータと、
前記第1のモータと前記第2のモータとを個別に制御するように構成されたモータ制御部と、
前記接続部に接続された前記バッテリパックの第1の電圧値を検出するように構成された電圧検出部と、
前記バッテリパックの容量低下を報知するように構成された報知部と、
前記第1のモータの停止中において、前記電圧検出部に前記第1の電圧値を検出させ、且つ、前記第1の電圧値が第1の閾値未満であることに応じて、前記報知部に前記容量低下を報知させるように構成され、前記第1のモータの駆動中において、前記電圧検出部に前記第1の電圧値の検出を停止させるように、加えて/又は、前記報知部に前記容量低下の報知を停止させるように構成された、報知制御部と、を備える、
電動作業機。
【請求項2】
前記報知制御部は、前記第2のモータの停止中及び駆動中において、前記電圧検出部に前記第1の電圧値を検出させるように構成されている、
請求項1に記載の電動作業機。
【請求項3】
前記報知制御部は、前記第1のモータが停止してから所定時間経過するまでの間、前記電圧検出部に前記第1の電圧値の検出を停止させるように、加えて/又は、前記報知部に前記容量低下の報知を停止させるように構成されている、
請求項1又は2に記載の電動作業機。
【請求項4】
前記第1のモータから駆動力を受けて駆動するように構成された工具と、
前記第2のモータから駆動力を受けて駆動するように構成された一対の駆動輪と、を更に備える、
請求項1~3のいずれか1項に記載の電動作業機。
【請求項5】
前記バッテリパックからバッテリ情報を受信するように構成された通信部と、
前記通信部が受信した前記バッテリ情報が前記バッテリパックの使用不可能な状態を示す場合に、前記バッテリパックの使用不可を判定するように構成された使用不可判定部と、を更に備え、
前記報知部は、前記バッテリパックの使用不可を報知するように構成されており、
前記モータ制御部は、前記使用不可判定部により前記バッテリパックの使用不可が判定されたことに応じて、前記第1のモータ及び前記第2のモータを停止させるように構成されており、
前記報知制御部は、前記使用不可判定部により前記バッテリパックの使用不可が判定されたことに応じて、前記報知部に前記バッテリパックの使用不可能を報知させるように構成されている、
請求項1~4のいずれか1項に記載の電動作業機。
【請求項6】
前記電圧検出部は、前記接続部に接続された前記バッテリパックの第2の電圧値を検出するように構成され、
前記報知制御部は、前記第1のモータ又は前記第2のモータの駆動中において、前記電圧検出部に前記第2の電圧値を検出させるように構成され、
前記使用不可判定部は、前記電圧検出部により検出された前記第2の電圧値が、前記第1の閾値よりも小さい第2の閾値未満の場合に、前記バッテリパックの使用不可を判定するように構成されている、
請求項5に記載の電動作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の自走式作業機は、芝刈用モータと、走行用モータと、パワーコントローラと、を備える。上記自走式作業機には、バッテリパックが接続される。走行用モータは、芝刈刃に接続されており、芝刈刃を回転駆動する。走行用モータは、減速機等を介して一対の駆動輪に接続されている。芝刈用モータ及び走行用モータは、バッテリパックからの電力により通電される。パワーコントローラは、芝刈用モータ及び走行用モータの通電を個別に制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-185831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記自走式作業機では、芝刈用モータを停止させ、走行用モータのみ駆動させることがあり得る。したがって、2つのモータの両方の停止中に限って、バッテリパックの電圧を検出する場合、1つのモータのみの駆動により電圧が低下したときに、バッテリパックの容量低下を報知することができない。一方で、モータの駆動中に検出した電圧に基づいて、バッテリパックの容量低下を判定すると、判定精度が低下する可能性がある。
【0005】
本開示の1つの局面は、容量低下を速やかに精度良く報知することが可能な電動作業機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの局面の電動作業機は、接続部と、第1のモータと、第2のモータと、モータ制御部と、電圧検出部と、報知部と、報知制御部と、を備える。接続部は、バッテリパックに接続されるように構成される。第1のモータは、接続部に接続されたバッテリパックから電力を受けて駆動するように構成される。第2のモータは、接続部に接続されたバッテリパックから電力を受けて駆動するように構成され、第1のモータよりも少ない電力を消費するように構成される。モータ制御部は、第1のモータと第2のモータとを個別に制御するように構成される。電圧検出部は、接続部に接続されたバッテリパックの第1の電圧値を検出するように構成される。報知部は、バッテリパックの容量低下を報知するように構成される。報知制御部は、第1のモータの停止中において、電圧検出部に第1の電圧値を検出させ、且つ、第1の電圧値が第1の閾値未満であることに応じて、報知部に容量低下を報知させるように構成される。また、報知制御部は、第1のモータの駆動中において、電圧検出部に第1の電圧値の検出を停止させるように、加えて/又は、報知部に容量低下の報知を停止させるように構成される。
【0007】
上述の電動作業機では、比較的消費電力が大きい第1のモータの停止中に、第1の電圧値が検出され、第1の電圧値が第1閾値未満であることに応じて、容量低下が報知される。また、第1のモータの駆動中に、第1の電圧値の検出及び/又は容量低下の報知が停止される。すなわち、第1のモータが停止していれば、第2のモータが駆動していても、第1の電圧値が検出される。第2のモータは、比較的消費電力が小さいため、駆動中におけるバッテリパックの電圧値の変動も比較的小さい。第1のモータの停止を第1の電圧値の検出条件にし、第2のモータの停止を第1の電圧値の検出条件にしないことにより、バッテリパックの容量低下を精度良く判定できるとともに、容量低下の判定頻度を高めて、容量低下を速やかに報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る電度作業機の外観を示す図である。
図2】第1実施形態に係る電動作業機の報知部を示す図である。
図3】第1実施形態に係る電動作業機の電気的な構成を示すブロック図である。
図4】第1実施形態に係る第1及び第2モータの駆動中及び停止中におけるバッテリ電圧検出の許可又は禁止を示す表である。
図5】第1実施形態に係るバッテリ電圧の許可/禁止の遷移を示す図である。
図6】第1実施形態に係る報知部の消灯/点滅/点灯の遷移を示す図である。
図7】第1実施形態に係るメイン制御回路が実行する第1制御処理の手順を示すフローチャートである。
図8】第1実施形態に係るメイン制御回路が実行する第1スイッチ検出処理の手順を示すフローチャートである。
図9】第1実施形態に係るメイン制御回路が実行する第1通信処理の手順を示すフローチャートである。
図10】第1実施形態に係るメイン制御回路が実行する保護検出処理の手順を示すフローチャートである。
図11A】第1実施形態に係るメイン制御回路が実行するバッテリエラー検出処理の一部の手順を示すフローチャートである。
図11B】第1実施形態に係るメイン制御回路が実行するバッテリエラー検出処理の残りの部分の手順を示すフローチャートである。
図12】第1実施形態に係るメイン制御回路が実行する第1モータ制御処理の手順を示すフローチャートである。
図13】第1実施形態に係るメイン制御回路が実行する表示制御処理の手順を示すフローチャートである。
図14A】第1実施形態に係るメイン制御回路が実行する報知処理の一部の手順を示すフローチャートである。
図14B】第1実施形態に係るメイン制御回路が実行する報知処理の残りの部分の手順を示すフローチャートである。
図15】第1実施形態に係るサブ制御回路が実行する第2制御処理の手順を示すフローチャートである。
図16】第1実施形態に係るサブ制御回路が実行する第2スイッチ検出処理の手順を示すフローチャートである。
図17】第1実施形態に係るサブ制御回路が実行する第2通信処理の手順を示すフローチャートである。
図18】第1実施形態に係るサブ制御回路が実行する第2保護検出処理の手順を示すフローチャートである。
図19】第1実施形態に係るサブ制御回路が実行する動作許可信号の確認処理の手順を示すフローチャートである。
図20】第1実施形態に係るサブ制御回路が実行する第2モータ制御処理の手順を示すフローチャートである。
図21】第1実施形態に係る主電源、第1モータ、第2モータ、バッテリ容量、バッテリエラー、及び報知部の動作の時間変化を示すタイムチャートである。
図22】第2実施形態に係る電動作業機の電気的な構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態の総括]
ある実施形態における電動作業機は、接続部と、第1のモータと、第2のモータと、モータ制御部と、電圧検出部と、報知部と、報知制御部と、を備える。
【0010】
報知制御部は、第2のモータの停止中及び駆動中に、電圧検出部に第1の電圧値を検出させるように構成されていてもよい。第2のモータの停止中及び駆動中に第1の電圧値が検出されることにより、第1の電圧値の検出頻度を高くして、バッテリパックの容量低下を速やかに報知することができる。
【0011】
報知制御部は、第1のモータが停止してから所定時間経過するまでの間、電圧検出部に第1の電圧値の検出を停止させるように構成されていてもよい。加えて/又は、報知制御部は、第1のモータが停止してから所定時間経過するまでの間、報知部に容量低下の報知を停止させるように構成されていてもよい。
バッテリパックの電圧値は、第1のモータが停止してから所定時間経過するまでの間、変動を続ける。よって、第1のモータが停止してから所定時間経過するまでの間、第1の電圧値の検出を停止する及び/又は容量低下の報知を停止することにより、バッテリパックの容量低下を精度良く報知できる。
【0012】
ある実施形態における電動作業機は、更に、工具及び/又は一対の駆動輪を備えていてもよい。工具は、第1のモータから駆動力を受けて駆動するように構成されていてもよい。一対の駆動輪は、第2のモータから駆動力を受けて駆動するように構成されていてもよい。
【0013】
ある実施形態における電動作業機が、更に、工具及び一対の駆動輪を備えている場合、工具を停止させた状態で、駆動輪を駆動させて電動作業機を自走させるときに、自走に伴ってバッテリパックの容量が低下しても、容量低下を速やかに報知することができる。
【0014】
ある実施形態における電動作業機は、更に、通信部及び/又は使用不可判定部を備えていてもよい。通信部は、バッテリパックからバッテリ情報を受信するように構成されていてもよい。使用不可判定部は、通信部が受信したバッテリ情報がバッテリパックの使用不可能な状態を示す場合に、バッテリパックの使用不可を判定するように構成されていてもよい。報知部は、バッテリパックの使用不可を報知するように構成されていてもよい。モータ制御部は、使用不可判定部によりバッテリパックの使用不可が判定されたことに応じて、第1のモータ及び第2のモータを停止させるように構成されていてもよい。報知制御部は、使用不可判定部によりバッテリパックの使用不可が判定されたことに応じて、報知部にバッテリパックの使用不可能を報知させるように構成されていてもよい。
【0015】
ある実施形態における電動作業機が、更に、通信部及び使用不可判定部を備えている場合、バッテリパックから、バッテリ情報を受信することができる。そして、バッテリ情報がバッテリパックの使用不可能な状態を示す場合には、バッテリパックの使用不可が判定される。バッテリパックの使用不可が判定された場合には、第1のモータ及び第2のモータを停止させ、バッテリパックを保護することができる。さらに、バッテリパックの使用不可が判定された場合には、バッテリパックの使用不可能を報知することができる。
【0016】
電圧検出部は、接続部に接続されたバッテリパックの第2の電圧値を検出するように構成されていてもよい。報知制御部は、第1のモータ又は第2のモータの駆動中において、電圧検出部に第2の電圧値を検出させるように構成されていてもよい。使用不可判定部は、電圧検出部により検出された第2の電圧値が、第1の閾値よりも小さい第2の閾値未満の場合に、バッテリパックの使用不可を判定するように構成されていてもよい。
【0017】
第1のモータ又は第2のモータの駆動中に、第2の電圧値が検出され、検出された第2の電圧値に基づいて、バッテリパックが使用不可能か判定される。第2の電圧値は、電圧の変動により実際よりも低い値になるため、バッテリパックの使用不可能の判定に用いても、バッテリパックを安全に保護できる。よって、バッテパックの使用中に、バッテリパックが使用不可能な状態になった場合で、バッテリパックを保護して、バッテリパックの使用不可を報知することができる。
ある実施形態では、上述の特徴はどのように組み合わされていてもよい。また、ある実施形態では、上述の特徴の何れかは削除されてもよい。
【0018】
(1.第1実施形態)
以下、図面を参照しながら、本開示の例示的な実施形態を説明する。
<1-1.構成>
本実施形態に係る電動作業機10について、図1~3を参照して説明する。本実施形態に係る電動作業機10は、芝刈機である。電動作業機10は、車体11を備える。また、電動作業機10は、車体11の上部にバッテリ接続部19を備える。バッテリ接続部19は、蓋を備え、蓋の内側にバッテリパック20を着脱できるように構成されている。バッテリパック20は、充放電可能なバッテリ21と、制御回路とを含む。バッテリ21は、直列接続された複数のバッテリセルを含み、例えば、リチウムイオン二次バッテリである。
【0019】
電動作業機10は、集草ボックス5を備える。集草ボックス5は、車体11の後部に取り付けられる。
電動作業機10は、ハンドル12を備える。ハンドル12は、U字形状に形成されており、車体11に取り付けられている。ハンドル12は、ユーザによって把持されるように構成されている。ユーザは、ハンドル12を把持しながら電動作業機10の後方を歩行し、ハンドル12を介して電動作業機10を操作する。
【0020】
電動作業機10は、第1モータ駆動スイッチ13を備える。第1モータ駆動スイッチ13は、U字形状に形成され、ハンドル12の前側において、ハンドル12に取り付けられている。また、電動作業機10は、車体11の内部に、第1モータ40を備える。さらに、電動作業機10は、車体11の底面に設けられた芝刈刃42を備える。第1モータ40の回転軸は、直接又は伝達部を介して、芝刈刃42に物理的に接続されている。すなわち、第1モータ40は、芝刈刃42に駆動するためのモータであり、芝刈刃42は、第1モータ40から駆動力を受けて駆動する。第1モータ駆動スイッチ13は、第1モータ40を駆動又は停止するためのスイッチである。本実施形態において、芝刈刃42は、本開示の工具の一例に相当する。
【0021】
第1モータ駆動スイッチ13は、ハンドル12に向けて、後方へ変位するように構成されている。ユーザが、第1モータ駆動スイッチ13をハンドル12へ向けて引くことにより、第1モータ駆動スイッチ13はオンになる。また、ユーザが、第1モータ駆動スイッチ13を放すことにより、第1モータ駆動スイッチ13はオフになる。なお、電動作業機10は、ロックオフボタンを備えていてもよい。電動作業機10がロックオフボタンを備えている場合、ロックオフボタンを押さないと、第1モータ駆動スイッチ13をハンドル12へ向けて引くことができず、ロックオフボタンを押すことにより、第1モータ駆動スイッチ13をハンドル12へ向けて引くことが可能になる。
【0022】
電動作業機10は、第2モータ駆動スイッチ14を備える。第2モータ駆動スイッチ14は、U字形状に構成されており、ハンドル12の後側において、ハンドル12に取り付けられている。また、電動作業機10は、車体11の内部に、第2モータ60を備える。さらに、電動作業機10は、一対の駆動輪16を備える。一対の駆動輪16は、車体11の後部に設けられている。また、電動作業機10は、一対の従動輪15を備える。一対の従動輪15は、車体11の前部に設けられている。第2モータ60の回転軸は、伝達部を介して一対の駆動輪16に物理的に接続されている。すなわち、第2モータ60は、一対の駆動輪16を駆動するためのモータであり、一対の駆動輪16は、第2モータ60から駆動力を受けて駆動する。第2モータ駆動スイッチ14は、第2モータ60を駆動又は停止するためのスイッチである。
【0023】
第2モータ駆動スイッチ14は、ハンドル12に向けて、前方へ変位にするように構成されている。ユーザが、第2モータ駆動スイッチ14をハンドル12へ向けて押すことにより、第2モータ駆動スイッチ14はオンになる。また、ユーザが、第2モータ駆動スイッチ14を放すことにより、第2モータ駆動スイッチ14はオフになる。
【0024】
ここで、第2モータ60は、第1モータ40と個別に制御される。したがって、第1モータ40の停止中に、第2モータ60が駆動されることもある。例えば、芝刈刃42を停止させた状態で、電動作業機10を自走させることがある。また、第2モータ60の消費電力は、第1モータ40の消費電力よりも小さい。例えば、第1モータ40及び第2モータ60に印加される電圧は36V、芝刈作業時に第1モータ40を流れる電流値は40A~80Aであり、第2モータ60を流れる電流値は5~10Aである。また、芝刈刃42を無負荷で回転させる時に第1モータ40を流れる電流値(すなわち、無負荷電流値)は、8A程度になる。
【0025】
電動作業機10は、操作部17を備える。操作部17は、ハンドル12に取り付けられている。操作部17は、主電源スイッチ171を備える。主電源スイッチ171は、タクトスイッチであり、押される度に、主電源のオンとオフが切り替わる。操作部17は、主電源発光ダイオード(LED)172を備える。主電源LED172は、主電源スイッチ171に近接して設けられており、主電源スイッチ171がオンのときに点灯し、主電源スイッチ171がオフのときに消灯する。
【0026】
操作部17は、モードスイッチ173を備える。第1モータ40は、予め設定された複数のモードのうちの選択されたモードで駆動する。モードスイッチ173は、複数のモードのうちの1つを選択するためのスイッチである。モードスイッチ173は、タクトスイッチであり、押される度に、複数のモードを順番に切り替える。複数のモードは、例えば、高速モードと、低速モードとを含む。操作部17は、モードLED174を備える。モードLED174は、モードスイッチ173に近接して設けられており、選択されたモードに応じて点灯、点滅、又は消灯する。
【0027】
操作部17は、残容量表示スイッチ175と、残容量表示LED176と、を備える。残容量表示スイッチ175は、タクトスイッチであり、押される度に、バッテリパック20の残容量が所定時間(例えば、3秒)表示されて、自動的に消灯される。残容量表示LED176は、バッテリパック20の残容量の表示が設定されている場合に、バッテリパック20の残容量に応じて、点灯、点滅、又は消灯する。
【0028】
電動作業機10は、速度調整レバー177を備える。速度調整レバー177は、操作部17に取り付けられている。速度調整レバー177は、電動作業機10の走行速度を調整するためのレバーである。
【0029】
電動作業機10は、報知部18を備える。報知部18は、車体11の上面の後部に設けられている。図2に示すように、報知部18は、少なくとも1つのLEDを含んだ表示ランプである。報知部18は、バッテリパック20の第1状態、第2状態、第3状態を報知する。
【0030】
具体的には、第1状態は、バッテリパック20の容量が低下している状態に相当する。すなわち、第1状態は、バッテリパック20が容量不足になりつつある状態に相当する。報知部18は、バッテリパック20が第1状態のときに、点滅する。第2状態は、バッテリパック20が使用不可能な状態(すなわち、エラー状態)に相当する。すなわち、第2状態は、バッテリパック20が、容量不足、過温などで使用不可能な状態に相当する。報知部18は、バッテリパック20が第2状態のときに、点灯する。第3状態は、バッテリパック20の容量が十分に多い状態に相当する。報知部18は、バッテリパック20が第3状態のときに、消灯する。報知部18は、バッテリパック20が使用不可能に近づいている場合、又は、使用不可能である場合に、点滅又は点灯して警告する。
【0031】
次に、電動作業機10の電気的な構成について、図3を参照して説明する。電動作業機10は、メインコントローラ30を備える。メインコントローラ30は、1つの基板上に設けられており、第1モータ40とバッテリパック20との間に接続されている。メインコントローラ30は、第1モータ40を制御するとともに、各種のLEDの表示及びバッテリパック20を管理する。
【0032】
メインコントローラ30は、レギュレータ31を備える。レギュレータ31は、主電源スイッチ171がオンになると、バッテリパック20の電力から、メインコントローラ30内の各種回路へ供給する電源を生成して供給する。
【0033】
メインコントローラ30は、メイン制御回路35を備える。メイン制御回路35は、例えばマイクロコンピュータであり、CPU35a、メモリ35b、及びI/O等を備える。メインコントローラ30は、電圧検出部32を備える。本実施形態において、メイン制御回路35は、本開示の報知制御部、及び使用不可判定部の一例に相当する。また、本実施形態において、メイン制御回路35及び後述するサブ制御回路55は、本開示のモータ制御部の一例に相当する。
【0034】
電圧検出部32は、バッテリ21の第1の電圧値を検出し、検出した第1電圧値をメイン制御回路35へ出力する。また、電圧検出部32は、バッテリ21の第2の電圧値を検出し、検出した第2電圧値をメイン制御回路35へ出力する。本実施形態において、電圧検出部32は、電圧検出部の一例に相当する。
【0035】
第1の電圧値は、上述の第1状態を判定するために用いる電圧である。第2の電圧値は、上述の第2状態を判定するために用いる電圧である。ここで、第1モータ40及び第2モータ60の駆動中に電圧を検出すると、電流による電圧降下のために、バッテリ21の電圧が変動して実際よりも低い電圧値が検出される。実際の電圧値よりも低い電圧値を用いて第2状態を判定する場合、バッテリパック20を安全に保護できるため、問題がない。すなわち、第2の電圧値は、第1モータ40及び第2モータ60の駆動中か停止中かに関わらず検出してもよい。
【0036】
一方で、実際の電圧値よりも低い電圧値を用いて第1状態を判定すると、バッテリパック20の容量低下を精度良く検出できない。第1の電圧値を、第1モータ40及び第2モータ60の停止中に限って検出すれば、バッテリパック20の容量低下を精度良く検出できる。しかしながら、上述したように、第1モータ40の停止中に、第2モータ60のみを駆動させることがある。第1の電圧値を、第1モータ40及び第2モータ60の停止中に限って検出すると、第2モータ60のみの駆動によるバッテリパック20の容量低下を検出できない。
【0037】
ここで、第2モータ60の消費電力は、第1モータ40の消費電力よりも小さく、第2モータ60に流れる電流は、第1モータ40に流れる電流よりも少ない。したがって、第2モータ60のみの駆動中におけるバッテリパック20の電圧値の変動は比較的小さい。そのため、第2モータ60のみの駆動中において、検出された電圧値は比較的精度が高い。よって、第1モータ40が停止中であることを、第1の電圧値の検出条件とし第2モータ60が停止中であることは、第1の電圧値の検出条件としない。
【0038】
すなわち、図4に示すように、第1モータ40の停止中において、第1の電圧値を検出し、第1モータ40の駆動中において、第1の電圧値の検出を停止する。また、第2モータ60の停止中及び駆動中に、第1の電圧値を検出する。
【0039】
図5に、第1の電圧値の検出の許可/禁止の状態遷移を示す。主電源オフ状態Sa1では、第1の電圧値の検出が禁止される。主電源スイッチ171が押されると、主電源オフ状態Sa1からオン初期状態Sa2に移行する。オン初期状態Sa2では、第1の電圧値の検出が禁止される。オン初期状態Sa2から第2所定時間が経過すると、オン初期状態Sa2から待機状態Sa3へ移行する。待機状態Sa3では、第1の電圧値の検出が許可される。待機状態Sa3では、第1の電圧値が所定の周期で繰り返し検出される。第1モータ駆動スイッチ13がオンになると、待機状態Sa3から第1モータ駆動状態Sa4へ移行する。
【0040】
第1モータ40の駆動中では、第1の電圧値の検出が禁止される。第1モータ駆動スイッチ13がオフになると、第1モータ駆動状態Sa4から第1モータ停止状態Sa5へ移行する。第1モータ駆動スイッチ13がオフになってから第1所定時間が経過すると、第1モータ停止状態Sa5から待機状態Sa3へ移行する。第1モータ停止状態Sa5では、第1の電圧値の検出が禁止される。すなわち、第1モータ駆動スイッチ13がオフになっても直ちにバッテリパック20の電圧値は安定しないため、第1モータ駆動スイッチ13がオフになってから第1所定時間が経過するまでの間は、第1の電圧値の検出が禁止される。
【0041】
メインコントローラ30は、通信部33を備える。メイン制御回路35は、通信部33を介して、シリアル通信により、バッテリパック20との間で情報の送受信を行う。
メインコントローラ30は、第1モータ40に接続された駆動回路37を備える。本実施形態では、第1モータ40は、3相のブラシレスモータである。駆動回路37は、ハイサイドに設けられた3個のスイッチング素子と、ローサイドに設けられた3個のスイッチング素子とを備える3相のフルブリッジ回路であり、第1モータ40の通電を制御するための回路である。
【0042】
第1モータ40の近傍には、回転位置検出センサ41が配置されている。回転位置検出センサ41は、3つのホールICを含み、各ホールICは、第1モータ40のステータの各相に対して設けられている。回転位置検出センサ41は、第1モータ40のロータの位置を検出し、位置信号をメイン制御回路35へ出力する。
【0043】
メインコントローラ30は、ゲート回路36を備える。ゲート回路36は、メイン制御回路35から出力された制御指令に基づいて、駆動回路37の各スイッチング素子のオンオフを制御する。
【0044】
メインコントローラ30は、温度検出部38を備える。温度検出部38は、駆動回路37の近傍に設けられており、駆動回路37のスイッチング素子の温度を検出し、検出温度をメイン制御回路35へ出力する。
【0045】
メインコントローラ30は、電流検出回路39を備える。電流検出回路39は、第1モータ40を流れる電流値を検出し、検出した電流値をメイン制御回路35へ出力する。
また、メイン制御回路35には、主電源スイッチ171のオン又はオフ、第1モータ駆動スイッチ13のオン又はオフ、モードスイッチ173により選択されたモードが入力される。メイン制御回路35は、入力された各種情報に基づいて、制御指令を生成し、生成した制御指令をゲート回路36へ出力する。また、メイン制御回路35は、入力された各種情報に基づいて、主電源LED172、モードLED174、残容量表示LED176等の点灯、点滅、及び消灯を制御する。
【0046】
また、メイン制御回路35は、第1の電圧値及び第2の電圧値に基づいて、バッテリパック20の状態を判定し、判定結果に基づいて、報知部18の点灯、点滅、及び消灯を制御する。
【0047】
図6に、報知部18の点灯/点滅/消灯の状態遷移を示す。主電源スイッチ171の主電源オフ状態Sb1では、報知部18は消灯している。主電源スイッチ171がオンに変わると、主電源オン状態Sb2へ移行する。主電源オン状態Sb2では、バッテリエラー無し状態Sb3と、バッテリエラー状態Sb4の間で遷移する。バッテリエラー無し状態Sb3では、検出禁止状態Sb5と、検出許可状態Sb6との間で遷移する。
【0048】
検出禁止状態Sb5では、第1の電圧値の検出が禁止され、検出禁止状態Sb5になる前の検出許可状態Sb6における報知部18の状態が維持される。検出許可状態Sb6では、第1の電圧値の検出が許可され、検出された第1の電圧値が第1閾値未満の場合に点滅状態Sb8へ移行する。点滅状態Sb8では、報知部18が点滅することにより、バッテリパック20の容量低下(第1状態)を報知する。第1の電圧値が第1閾値以上になると、消灯状態Sb7へ移行する。消灯状態Sb7では、報知部18が消灯することにより、バッテリパック20の容量が比較的多いこと(第3状態)を報知する。また、バッテリエラー状態Sb4では、報知部18が点灯することにより、バッテリパック20が使用不可(第2状態)であることを報知する。
【0049】
また、電動作業機10は、サブコントローラ50を備える。サブコントローラ50は、メインコントローラ30とは異なる基板上に設けられており、メインコントローラ30と第2モータ60との間に接続されている。すなわち、サブコントローラ50は、メインコントローラ30を介してバッテリパック20に接続されている。サブコントローラ50は、第2モータ60を制御する。
【0050】
サブコントローラ50は、レギュレータ51を備える。レギュレータ51は、メイン制御回路35から出力された電源制御信号がオンの場合に、バッテリパック20の電力から、サブコントローラ50内の各種回路へ供給する電源を生成して供給する。メイン制御回路35は、主電源スイッチ171がオンになると、レギュレータ51へ出力する電源制御信号をオンにする。サブ制御回路55は、電源を受けて起動した後、レギュレータ51へ電源生成を指令するオン信号が出力する。これにより、レギュレータ51が電源生成を開始した後では、メイン制御回路35からのオン電源制御信号がなくても、サブコントローラ50が自身で電源を保持できる。
【0051】
サブコントローラ50は、サブ制御回路55を備える。サブ制御回路55は、例えばマイクロコンピュータであり、CPU55a、メモリ55b、及びI/O等を備える。サブ制御回路55には、第2モータ駆動スイッチ14のオン又はオフが入力される。
【0052】
サブコントローラ50は、第2モータ60に接続された駆動回路57を備える。本実施形態では、第2モータ60は、ブラシ付きモータである。駆動回路37は、ハイサイドに設けられた2個のスイッチング素子と、ローサイドに設けられた2個のスイッチング素子とを備えるブリッジ回路であり、第2モータ60の通電を制御するための回路である。
【0053】
サブコントローラ50は、ゲート回路56を備える。ゲート回路56は、サブ制御回路55から出力された制御指令に基づいて、駆動回路57の各スイッチング素子のオンオフを制御する。
【0054】
サブコントローラ50は、温度検出部58を備える。温度検出部58は、駆動回路57の近傍に設けられており、駆動回路57のスイッチング素子の温度を検出し、検出温度をサブ制御回路55へ出力する。
【0055】
サブコントローラ50は、電流検出回路59を備える。電流検出回路59は、第2モータ60を流れる電流値を検出し、検出した電流値をサブ制御回路55へ出力する。
サブ制御回路55は、動作要求信号をメイン制御回路35へ出力する。メイン制御回路35は、動作要求信号を受けると、バッテリパック20の状態に使用可能が設定されている場合には、出力する動作許可信号をオンにする。また、メイン制御回路35は、動作要求信号を受けると、バッテリパック20の状態に使用不可能が設定されている場合には、出力する動作許可信号をオフにする。サブ制御回路55は、オンの動作許可信号を受けた場合に、入力された各種情報い基づいて制御指令を生成し、生成した制御指令をゲート回路56へ出力する。
【0056】
<1-2.処理>
<1-2-1.メイン制御回路の処理>
次に、メイン制御回路35が実行する第1制御処理について、図7のフローチャートを参照して説明する。
【0057】
まず、S10において、第1スイッチ検出処理を実行する。第1スイッチ検出処理の詳細は後述する。
続いて、S20において、第1通信処理を実行する。第1通信処理では、サブ制御回路55と通信する。第1通信処理の詳細は後述する。
【0058】
続いて、S30において、第1保護検出処理を実行する。第1保護検出処理の詳細は後述する。
続いて、S40において、第1モータ制御処理を実行する。第1モータ制御処理の詳細は後述する。
【0059】
続いて、S50において、表示制御処理を実行する。表示制御処理では、報知処理を実行して、バッテリパック20が第1状態、第2状態、第3状態のいずれであるかを判定する。そして、判定結果に応じて、報知部18を点灯又は点滅又は消灯させる。
【0060】
続いて、S60では、第1電源保持処理を実行する。第1電源保持処理では、主電源スイッチ171が押される度に、メインコントローラ30の電源及び主電源をオンからオフ、又はオフからオンに切り替える。また、主電源スイッチ171が押される度に、サブコントローラ50へ出力する電源制御信号をオンからオフ、またオフからオンへ切り替える。
【0061】
次に、メイン制御回路35が実行する第1スイッチ検出処理について、図8のフローチャートを参照して説明する。
S100では、主電源スイッチ検出処理を実行する。具体的には、主電源スイッチ171がオンかオフかを検出する。
【0062】
続いて、S110では、第1モータ駆動スイッチ検出処理を実行する。具体的には、第1モータ駆動スイッチ13がオンかオフかを検出する。また、第1スイッチ検出処理では、主電源スイッチ171及び第1モータ駆動スイッチ13以外のメインコントローラ30に接続されたスイッチがオンかオフかを検出する。
【0063】
次に、メイン制御回路35が実行する第1通信処理について、図9のフローチャートを参照して説明する。
まず、S200では、サブ制御回路55へ出力する電源制御信号がオンか否か判定する。電源制御信号がオンであると判定した場合は、S210の処理へ進み、電源制御信号がオフであると判定した場合は、S240の処理へ進む。
【0064】
S210では、サブ制御回路55から出力されている動作要求信号がオンか否か判定する。動作要求信号がオンの場合は、S220の処理へ進み、動作要求信号がオフの場合は、S240の処理へ進む。
【0065】
S220では、バッテリパック20の状態が使用可能に設定されているか否か判定する。バッテリパック20の状態が使用可能に設定されている場合、S230の処理へ進み、バッテリパック20の状態が使用不可又は初期状態に設定されている場合、S240の処理へ進む。初期状態は、使用可能か使用不可か判定前の状態である。
【0066】
S230では、サブ制御回路55へ出力する動作許可信号をオンにする。一方、S240では、サブ制御回路55へ出力する動作許可信号をオフにする。
次に、メイン制御回路35が実行する第1保護検出処理について、図10のフローチャートを参照して説明する。
【0067】
S280では、バッテリエラー検出処理を実行する。バッテリエラー検出処理では、バッテリパック20の状態が、使用可能か使用不可か初期状態かを判定する。バッテリエラー検出処理の詳細は後述する。
【0068】
また、第1保護検出処理では、バッテリパック20のエラー状態以外にも、メインコントローラ30及び第1モータ40のエラー状態を検出する。エラー状態は、例えば、メインコントローラ30の過温状態、第1モータ40の過電流状態、第1モータ40のロック状態、回転位置検出センサ41から出力される位置信号が想定外なパターンになっている状態などである。
【0069】
次に、メイン制御回路35が実行するバッテリエラー検出処理について、図11A及び11Bのフローチャートを参照して説明する。
まず、S300では、主電源がオンか否か判定する。主電源スイッチ171が押されると、主電源オフ及びメインコントローラ30の電源オフの状態から、主電源オフ且つメインコントローラ30の電源オンの状態へ移行し、さらに、主電源オン且つメインコントローラ30の電源オンの状態へ移行する。そして、メインコントローラ30の電源がオンになると、メイン制御回路35は、第1制御処理を開始する。主電源がオンであると判定された場合、すなわち、主電源オン且つメインコントローラ30の電源がオンである場合、S310の処理へ進む。主電源がオフであると判定された場合、すなわち、主電源オフ且つメインコントローラ30の電源がオンである場合、S450の処理へ進む。
【0070】
S310では、バッテリパック20の状態が、使用不可に設定されている否か判定する。バッテリパック20の状態が使用可能に設定されている場合、S320の処理へ進み、バッテリパック20の状態が使用不可に設定されている場合、S400の処理へ進む。
【0071】
S320では、バッテリパック20の状態が初期状態に設定されているか否か判定する。バッテリパック20の状態が初期状態に設定されていると判定した場合は、S340の処理へ進む。バッテリパック20の状態が初期状態に設定されていないと判定した場合は、S330の処理へ進む。
【0072】
S330では、第1モータ駆動スイッチ13又は第2モータ動作要求信号がオンか否か判定する。すなわち、第1モータ40又は第2モータ60を駆動する要求があるか否か判定する。第1モータ駆動スイッチ13又は第2モータ動作要求信号がオンであると判定した場合、すなわち、第1モータ40又は第2モータ60を駆動する要求があると判定した場合は、S340の処理へ進む。一方、第1モータ駆動スイッチ13及び第2モータ動作要求信号がオフであると判定した場合、すなわち、第1モータ40及び第2モータ60を駆動する要求がないと判定した場合は、バッテリパック20の状態が変化しないため、本処理を終了する。
【0073】
S340では、第2の電圧値の取得処理を実行する。すなわち、第1モータ40及び第2モータ60の少なくとも一方の駆動中に、第2の電圧値を取得する。
続いて、S350では、S340において取得した第2の電圧値が第2閾値未満か否か判定する。第2閾値は、第2状態を判定するための閾値であり、第1閾値よりも小さい。第2の電圧値が第1閾値以上であると判定した場合は、S360の処理へ進み、第2の電圧値が第1閾値未満であると判定した場合は、S390の処理へ進む。
【0074】
S360では、通信部33を介して、シリアル通信によりバッテリパック20からバッテリ情報を取得する。バッテリ情報は、バッテリパック20が使用可能か使用不可能かを示す状態信号を含む。バッテリパック20は、自身が使用可能か否か(すなわち、放電可能か否か)を判定し、判定結果に基づいて生成した状態信号をメインコントローラ30へ送信する。
【0075】
続いて、S370では、S360において取得したバッテリ情報が、バッテリパック20の使用不可を示しているか否か判定する。バッテリ情報がバッテリパック20の使用可を示している場合、S380の処理へ進み、バッテリ情報がバッテリパック20の使用不可を示している場合、S390の処理へ進む。
【0076】
S380では、第2の電圧値に基づいて使用可が判定され、且つ、バッテリ情報が使用可を示していることに応じて、バッテリパック20の状態に使用可を設定し、本処理を終了する。
【0077】
一方、S390では、第2の電圧値に基づいて使用不可が判定される、又は、バッテリ情報が使用不可を示している場合に、バッテリパック20の状態に使用不可を設定し、本処理を終了する。
【0078】
また、S400では、第1モータ駆動スイッチ13又は第2モータ動作要求信号がオンか否か判定する。すなわち、第1モータ40又は第2モータ60を駆動する要求があるか否か判定する。第1モータ駆動スイッチ13又は第2モータ動作要求信号がオンの場合には、S410の処理へ進み、第1モータ駆動スイッチ13及び第2モータ動作要求信号がオフの場合には、S440の処理へ進む。
【0079】
S410では、エラー解除フラグがセットされているか否か判定する。エラー解除フラグがセットされている場合は、S420の処理へ進み、エラー解除フラグがセットされていない場合は、本処理を終了する。
【0080】
S420では、エラー解除フラグをクリアして、S430の処理へ進む。
S430では、バッテリパック20の状態に初期状態を設定し、本処理を終了する。S420でエラー解除フラグをクリアしたときに、バッテリパック20がエラー状態であったとしても、バッテリパック20の状態に初期状態が設定されるため、その後に、バッテリパック20の状態が判定される。
【0081】
S440では、エラー解除フラグをセットし、本処理を終了する。
S450では、エラー解除フラグをクリアし、S460の処理へ進む。
S460では、バッテリパック20の状態に初期状態を設定し、本処理を終了する。
【0082】
次に、メイン制御回路35が実行する第1モータ制御処理について、図12のフローチャートを参照して説明する。
まず、S500において、主電源がオンか否か判定する。主電源がオフであると判定した場合は、S510の処理へ進む。
S510では、第1モータ40の累計駆動回数を0に設定する。累計駆動回数は、主電源がオンになってからオフになるまでの間における、第1モータ40の駆動回数に相当する。すなわち、主電源がオンになってからオフになるまでの間における、第1モータ駆動スイッチ13がオンになった回数に相当する。S510の処理の後、S580の処理へ進む。
【0083】
一方、S500において、主電源がオンであると判定した場合は、S520の処理へ進む。
S520では、第1モータ駆動スイッチ13がオンか否か判定する。第1モータ駆動スイッチ13がオンであると判定した場合は、S530の処理へ進み、第1モータ駆動スイッチ13がオフであると判定した場合は、S580の処理へ進む。
【0084】
S530では、第1保護検出処理において、いずれかの保護検出でエラー状態が検出されたか否か判定する。すなわち、バッテリパック20、メインコントローラ30及び第1モータ40の状態が、第1モータ40を駆動できる状態か否か判定する。すべての保護検出でエラー状態が検出されていないと判定した場合は、S540の処理へ進み、いずれかの保護検出でエラー状態が検出されたと判定した場合は、S580の処理へ進む。
【0085】
S540では、第1モータ40の動作時間が0秒か否か判定する。すなわち、現時点が第1モータ40の駆動開始時点か否か判定する。動作時間が0秒であると判定した場合は、S550の処理へ進み、動作時間が0秒よりも長いと判定した場合は、S560の処理へ進む。
【0086】
S550では、第1モータ40の累計駆動回数に「1」加算して、累計駆動回数を更新し、更新した累計駆動化数をメモリ35bに記憶する。すなわち、第1モータ40の駆動開始時に、累計駆動回数を更新する。
【0087】
続いて、S560では、第1モータ40の駆動処理を実行する。
続いて、S570では、第1モータ40の動作時間を計測し、本処理を終了する。
【0088】
また、S580では、第1モータ40の停止処理を実行する。
続いて、S590では、第1モータ40の動作時間を0秒に設定して、本処理を終了する。
【0089】
次に、メイン制御回路35が実行する表示制御処理について、図13のフローチャートを参照して説明する。
S600では、報知処理を実行する。報知処理では、バッテリパック20の状態が、第1状態、第2状態、第3状態のいずれであるかを判定し、判定結果に基づいて報知部18によりバッテリパック20の状態を報知する。報知処理の詳細は後述する。
【0090】
また、表示制御処理では、報知処理以外にも、主電源LED172、モードLED174、残容量表示LED176等の表示を制御して、各種情報を報知する。
【0091】
次に、メイン制御回路35が実行する報知処理について、図14A及び14Bのフローチャートを参照して説明する。
まず、S610では、主電源がオフか否か判定する。主電源がオフであると判定した場合は、S620の処理へ進む。
S620では、報知部18を消灯し、本処理を終了する。S620の処理を実行した状態は、図6の主電源の主電源オフ状態Sb1に対応する。
【0092】
一方、S610において、主電源がオンであると判定した場合は、S630の処理へ進む。
S630では、初期処理が完了したか否か判定する。初期処理は、報知部18での表示に使用する変数及び/又はフラグの初期化を含む。初期処理が完了したと判定した場合は、S640の処理へ進む。
【0093】
S640では、バッテリパック20の状態が使用不可に設定されているか否か判定する。バッテリパック20の状態が使用不可に設定されている場合は、S650の処理へ進む。
S650では、報知部18を点灯して、バッテリパック20の使用不可を報知し、本処理を終了する。S650の処理を実行した状態は、図6のバッテリエラー状態Sb4に対応する。
【0094】
一方、S640において、バッテリパック20の状態が使用不可に設定されていないと判定した場合は、S660の処理へ進む。
S660では、第1モータ40が駆動中か否か判定する。第1モータ40が停止中であると判定した場合は、S680の処理へ進む。
【0095】
S680では、メモリ35bに記憶されている第1モータ40の累計駆動回数が0回か否か判定する。すなわち、主電源がオンになった後に、第1モータ40が駆動を開始していない状態か否か判定する。S680において、累計駆動回数が0であると判定した場合は、S710の処理へ進み、累計駆動回数が0よりも大きいと判定した場合は、S690の処理へ進む。
【0096】
S690では、第1モータ40の停止時間を計測する。
続いて、S700では、S690において計測した停止時間が、第1所定時間以上か否か判定する。すなわち、第1モータ40が停止した時点から第1所定時間経過して否か判定する。第1モータ40が停止した時点から第1所定時間経過するまでは、バッテリパック20の電圧値の変動が収まっていないため、第1の電圧値の検出を禁止する。
【0097】
S700において、停止時間が第1所定時間以上であると判定した場合は、S710の処理へ進む。S710では、第1の電圧値を検出し、S720の処理へ進む。
S720では、第1の電圧値が第1閾値未満か否か判定する。第1の電圧値が第1閾値未満であると判定した場合は、S730の処理へ進み、第1の電圧値が第1閾値以上であると判定した場合は、S740の処理へ進む。
【0098】
S730では、報知部18を点滅して、バッテリパック20の容量低下を報知し、本処理を終了する。S730の処理を実行した状態は、図6の点滅状態Sb8に対応する。
S740では、報知部18を消灯して、バッテリパック20の容量が比較的多いことを報知し、本処理を終了する。S740の処理を実行した状態は、図6の消灯状態Sb7に対応する。
【0099】
一方、S700において、停止時間が第1所定時間未満であると判定した場合は、本処理を終了する。この場合、第1の電圧値が検出されないため、報知部18の表示状態は維持されて更新されない。S700において、停止時間が第1所定時間未満であると判定した状態は、図6の検出禁止状態Sb5に対応する。
【0100】
また、S660において、第1モータ40が駆動中であると判定した場合は、S760の処理へ進む。S760では、第1モータ40の停止時間を初期化(すなわち、ゼロに戻す)して、本処理を終了する。この場合、第1の電圧値が検出されないため、報知部18の表示状態は維持されて更新されない。S660において、第1モータ40が駆動中であると判定した状態は、図6の検出禁止状態Sb5に対応する。
【0101】
<1-2-2.サブ制御回路の処理>
次に、サブ制御回路55が実行する第2制御処理について、図15のフローチャートを参照して説明する。
【0102】
まず、S15では、第2スイッチ検出処理を実行する。第2スイッチ検出処理の詳細は後述する。
続いて、第2通信処理を実行する。第2通信処理では、メイン制御回路35と通信する。第2通信処理の詳細は後述する。
【0103】
続いて、S35において、第2保護検出処理を実行する。第2保護検出処理では、サブコントローラ50及び第2モータ60のエラー状態を検出する。第2保護検出処理の詳細は後述する。
【0104】
続いて、S45では、第2モータ制御処理を実行する。第2モータ制御処理の詳細は後述する。
続いて、S55では、第2電源保持処理を実行する。第2電源保持処理では、メインコントローラ30から出力された電源制御信号がオンの場合に、サブコントローラ50の電源をオンにする。また、電源制御信号がオフの場合に、サブコントローラ50の電源をオフにする。
【0105】
次に、サブ制御回路55が実行する第2スイッチ検出処理について、図16のフローチャートを参照して説明する。
S105では、第2モータ駆動スイッチ検出処理を実行する。具体的には、第2モータ駆動スイッチ14がオンかオフかを検出する。また、第2スイッチ検出処理では、第2モータ駆動スイッチ14以外のサブコントローラ50に接続されたスイッチがオンかオフかを検出する。
【0106】
次に、サブ制御回路55が実行する第2通信処理について、図17のフローチャートを参照して説明する。
S205では、電源制御信号がオンか否か判定する。電源制御信号がオンであると判定した場合は、S215の処理へ進み、電源制御信号がオフであると判定した場合は、S235の処理へ進む。
【0107】
S215では、第2モータ駆動スイッチ14がオンか否か判定する。第2モータ駆動スイッチ14がオンであると判定した場合は、S225の処理へ進み、第2モータ駆動スイッチ14がオフであると判定した場合は、S235の処理へ進む。
【0108】
S225では、オンに設定した動作要求信号をメイン制御回路35へ出力し、S245の処理へ進む。
S235では、オフに設定した動作要求信号をメイン制御回路35へ出力し、S245の処理へ進む。
【0109】
S245では、メイン制御回路35から出力された動作許可信号を検出する。
次に、サブ制御回路55が実行する第2保護処理について、図18のフローチャートを参照して説明する。
【0110】
S305では、S245において検出した動作許可信号を確認する。具体的には、図19のフローチャートに示す動作許可信号の確認処理を実行する。
S405では、動作許可信号がオンか否か判定する。動作許可信号がオフであると判定した場合は、S415の処理へ進み、動作許可信号がオンであると判定した場合は、S425の処理へ進む。
【0111】
S415では、動作許可状態を不可に設定する。S425では、動作許可状態を許可に設定する。
また、第2保護検出処理では、動作許可信号の確認以外にも、サブコントローラ50及び第2モータ60のエラー状態を検出する。エラー状態は、例えば、サブコントローラ50の過温状態、第2モータ60の過電流状態、第2モータ60のロック状態などである。
【0112】
次に、サブ制御回路55が実行する第2モータ制御処理について、図20のフローチャートを参照して説明する。
まず、S505では、第2モータ駆動スイッチ14がオンか否か判定する。第2モータ駆動スイッチ14がオンであると判定した場合は、S515の処理へ進み、第2モータ駆動スイッチ14がオフであると判定した場合は、S535の処理へ進む。
【0113】
S515では、第2保護検出処理において、いずれかの保護検出処理でエラー状態が検出されたか、又は、動作許可信号が不可に設定されているか判定する。すなわち、バッテリパック20、サブコントローラ50及び第2モータ60の状態が、第2モータ60を駆動できる状態か否か判定する。すべての保護検出でエラー状態が検出されておらず、且つ、動作許可信号が許可に設定されていると判定した場合は、S525の処理へ進む。いずれかの保護検出でエラー状態が検出された、又は、動作許可信号が不可に設定されていると判定した場合は、S535の処理へ進む。
【0114】
S525では、第2モータ60の駆動処理を実行し、本処理を終了する。
S535では、第2モータ60の停止処理を実行し、本処理を終了する。
<1-3.動作>
次に、第1実施形態に係る主電源、第1モータ40の動作、第2モータ60の動作、バッテリパック20の容量、バッテリパック20の状態、報知部18の状態の時間変化について、図21を参照して説明する。
【0115】
時点t0から時点t1までは、主電源がオフ状態である。時点t0から時点t9まで、第1モータ40及び第2モータ60は停止している。時点t0~t1の期間は、図6の主電源オフ状態Sb1に対応し、報知部18は消灯している。時点t1において、主電源がオンになり、時点t2において、主電源がオフになる。時点t1~t2の期間は、検出許可期間であり、バッテリパック20の容量が比較的多いため、報知部18は消灯する。時点t1~t2の期間は、図7の消灯状態Sb7に対応する。
【0116】
時点t3で、主電源がオンになり、時点t4において、時点t3から第2所定時間(例えば、50ms)が経過する。時点t3~時点t4の期間は、検出禁止期間である。そのため、時点t3~t4の期間では、報知部18の状態は、時点t2~t3の期間における状態が維持される。時点t3~t4の期間は、図7の検出禁止状態Sb5に対応する。
【0117】
時点t5で、主電源がオフになる。時点t4~t5の期間は、検出許可期間である。この期間では、第1閾値未満の第1の電圧値が検出されて、報知部18が点滅する。時点t4~t5の期間は、図7の点滅状態Sb8に対応する。
【0118】
時点t6で、主電源がオンになり、時点t7で、主電源がオフになる。時点t6~t7の期間は、バッテリパック20の状態が使用不可に設定されているため、報知部18が点灯する。
【0119】
時点t8で、主電源がオンになり、時点t9で、第1モータ40が駆動を開始する。時点t8~t9の期間は、検出許可期間である。この期間では、第1閾値以上の第1の電圧値が検出されて、報知部18が消灯する。時点t8~t9の期間は、図7の消灯状態Sb7に対応する。
【0120】
時点t10で、第1モータ40が停止し、第2モータ60が駆動を開始する。時点t11で、時点t10から第1所定時間(例えば、2秒)が経過する。時点t9~t11の期間は、検出禁止期間である。この期間では、バッテリパック20の容量は低下しているが、第1の電圧値が検出されない。そのため、報知部18の状態は、時点t8~t9の期間における状態が維持される。時点t9~t11の期間は、図7の検出禁止状態Sb5に対応する。
【0121】
時点t12で、第1モータ40が駆動を開始し、時点t13で、第1モータ40及び第2モータ60が停止する。時点t11~t12の期間は、第2モータ60のみが駆動しているため、検出許可期間である。この期間では、第1閾値未満の第1の電圧値が検出されて、報知部18が点滅する。時点t11~t12の期間は、図7の点滅状態Sb8に対応する。
【0122】
時点t12~t13の期間は、第1モータ40が駆動中であるため、検出禁止期間である。この期間では、報知部18の状態は、時点t11~t12の期間における状態が維持される。すなわち、報知部18は点滅を続ける。時点t12~t13の期間は、図7の検出禁止状態Sb5に対応する。
【0123】
時点t13~t14の期間では、バッテリパック20の状態が使用不可に設定されている。よって、時点t13~t14の期間では、報知部18は点灯する。時点t13~14の期間は、図7のバッテリエラー状態Sb4に対応する。
【0124】
<1-4.効果>
以上詳述した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)比較的消費電力が大きい第1モータ40の停止中に、第1の電圧値が検出され、第1モータ40の駆動中に、第1の電圧値の検出が停止される。すなわち、第1モータ40が停止していれば、第2モータ60が駆動していても、第1の電圧値が検出される。第2モータ60は、比較的消費電力が小さいため、駆動中におけるバッテリパック20の電圧値の変動も比較的小さい。第1モータ40の停止を第1の電圧値の検出条件にし、第2モータ60の停止を第1の電圧値の検出条件にしないことにより、バッテリパック20の容量低下を精度良く判定できる。また、第1の電圧値の検出頻度が高くなり、バッテリパック20の容量低下を速やかに報知することができる。
【0125】
(2)第2モータ60の停止中及び駆動中に第1の電圧値が検出されることにより、第1の電圧値の検出頻度を高くして、バッテリパック20の容量低下を速やかに報知することができる。
【0126】
(3)バッテリパック20の電圧値は、第1モータ40が停止してから第1所定時間経過するまでの間、変動を続ける。よって、第1モータ40が停止してから第1所定時間経過するまでの間、第1の電圧値の検出を停止することにより、バッテリパック20の容量低下を精度良く判定できる。
【0127】
(4)芝刈刃42を停止させた状態で、一対の駆動輪16を駆動させて電動作業機10を自走させる場合に、自走に伴ってバッテリパック20の容量が低下しても、容量低下を速やかに報知することができる。
【0128】
(5)通信部33を備えることにより、バッテリパック20から、バッテリ情報を受信することができる。バッテリ情報がバッテリパック20の使用不可能な状態を示す場合には、バッテリパック20の状態に使用不可が設定される。バッテリパック20の状態に使用不可が設定された場合には、第1モータ40及び第2モータ60を停止させ、バッテリパック20を保護することができる。さらに、バッテリパック20の状態に使用不可が設定されている場合には、報知部18を点灯することにより、バッテリパック20の使用不可能を報知することができる。
【0129】
(6)第1モータ40又は第2モータ60の駆動中に、第2の電圧値が検出され、検出された第2の電圧値に基づいて、バッテリパック20が使用不可能か判定される。第2の電圧値は、電圧の変動により実際よりも低い値になるため、バッテリパック20の使用不可能の判定に用いても、バッテリパック20を安全に保護できる。よって、バッテリパック20の使用中にバッテリパック20が使用不可能な状態になった場合でも、バッテリパック20を保護して、バッテリパック20の使用不可を報知することができる。
【0130】
(2.第2実施形態)
<2-1.第1実施形態との相違点>
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0131】
前述した第1実施形態に係る電動作業機10は、第1モータ40を制御するメインコントローラ30と、第2モータ60を制御するサブコントローラ50とを備えていた。これに対し、図22に示すように、第2実施形態に係る電動作業機10は、1つのコントローラ300を備える点で、第1実施形態と相違する。コントローラ300は、制御回路350を備え、第1モータ40及び第2モータ60を制御する。すなわち、第2実施形態は、1つのコントローラ300が、メインコントローラ30及びサブコントローラ50が実行する処理を実行する。なお、第2実施形態では、2つのコントローラ間の通信は不要であるため、コントローラ300は、第1通信処理及び第2通信処理は実行しない。
【0132】
<2-3.効果>
以上詳述した第2実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1)~(6)を奏する。
【0133】
(3.他の実施形態)
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0134】
(a)上記実施形態では、メイン制御回路35は、第1モータ40の駆動中に、第1の電圧値の検出を停止させたが、本開示はこれに限定されない。メイン制御回路35は、第1モータ40の駆動中に、第1の電圧値の検出を停止させない代わりに、報知部18に容量低下の報知を停止させてもよい。すなわち、メイン制御回路35は、第1モータ40の駆動中において、第1の電圧値を検出させてもよい。そして、メイン制御回路35は、第1モータ40の駆動中において、検出された第1の電圧値が第1の閾値よりも小さい場合に、報知部18を点滅させず消灯させてもよい。同様に、メイン制御回路35は、第1モータ40が停止してから第1所定時間が経過するまでの間に、第1の電圧値の検出を停止させない代わりに、報知部18に容量低下の報知を停止させてもよい。メイン制御回路35は、第1モータ40の駆動中において、電圧検出部32に第1の電圧値の検出を停止させ、加えて/又は、報知部18に容量低下の報知を停止させてもよい。また、メイン制御回路35は、第1モータ40が停止してから第1所定時間が経過するまでの間に、電圧検出部32に第1の電圧値の検出を停止させ、加えて/又は、報知部18に容量低下の報知を停止させてもよい。
【0135】
(b)上記実施形態では、第1モータ40は、ブラシレスモータであったが、ブラシ付きモータでもよい。また、第2モータ60は、ブラシ付きモータであってが、ブラシレスモータでもよい。第1モータ40及び第2モータ60は、どちらもブラシレスモータでもよし、どちらもブラシ付きモータでもよい。
【0136】
(c)上記実施形態では、報知部18は、LEDを含んだ表示ランプであり、バッテリパック20の第1状態、第2状態、第3状態を、LEDによって表示したが、本開示はこれに限定されるものではない。報知部18は、ブザー音や音声により、バッテリパック20の第1状態、第2状態、第3状態を報知してもよい。あるいは、報知部18は、LEDによる表示に加えて、ブザー音や音声により、バッテリパック20の第1状態、第2状態、第3状態を報知してもよい。
【0137】
(d)メインコントローラ30は、シリアル通信を用いずに、バッテリパック20からバッテリ状態を示す信号を受信してもよい。すなわち、メインコントローラ30は、バッテリパック20から、互いに電圧レベルが異なる使用不可信号及び使用許可信号のいずれかを受信してもよい。メインコントローラ30は、通信部33の端子に生じた電位に基づいて、使用不可信号か使用許可信号かを判定してもよい。
【0138】
(e)電動作業機10は、芝刈機に限らない。本開示は、第1モータと、第1モータよりも消費電力が小さい第2モータとを備える種々の電動作業機に適用できる。本開示は、特に、手押し台車、耕運機、床面清掃機などの自走式の作業機に好適に適用できる。
【0139】
(f)上記実施形態では、メイン制御回路35及びサブ制御回路55の各々は、個別の各種電子部品の組み合わせであってもよいし、Application Specified Integrated Circuit(ASIC)であってもよいし、Application Specific Standard Product(ASSP)であってもよいし、例えばField Programmable Gate Array(FPGA)などのプログラマブル・ロジック・デバイスであってもよいし、あるいはこれらの組み合わせであってもよい。
【0140】
(g)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0141】
10…電動作業機、11…車体、12…ハンドル、13…第1モータ駆動スイッチ、14…第2モータ駆動スイッチ、16…駆動輪、17…操作部、18…報知部、19…バッテリ接続部、20…バッテリパック、30…メインコントローラ、32…電圧検出部、33…通信部、35…メイン制御回路、40…第1モータ、42…芝刈刃、50…サブコントローラ、55…サブ制御回路、60…第2モータ、171…主電源スイッチ、300…コントローラ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22