(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174480
(43)【公開日】2022-11-24
(54)【発明の名称】封筒
(51)【国際特許分類】
B65D 27/00 20060101AFI20221116BHJP
【FI】
B65D27/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080303
(22)【出願日】2021-05-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】519128646
【氏名又は名称】株式会社日照堂
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】追分 健爾
(57)【要約】
【課題】郵送以外の用途に利用することが可能な封筒を提供する。
【解決手段】筒形状の上半部11と、上半部11に未破断の第1切り取り線27,28,31を介して接続され、筒形状の胴部36及び胴部36につながる底部23を有する袋形状の下半部12と、胴部36を構成し、かつ、第1切り取り線27,28,31が破断されると上半部11から切り離される第2前側片20及び第2後側片21と、第2前側片20に対し未破断の第2切り取り線29を介して接続され、かつ、第1切り取り線27が破断されると上半部11から切り離される除去可能片30と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒形状の上半部と、
前記上半部に未破断の第1切り取り線を介して接続され、筒形状の胴部及び前記胴部につながる底部を有する袋形状の下半部と、
前記胴部を構成し、かつ、前記第1切り取り線が破断されると前記上半部から切り離される第1構成片及び第2構成片と、
前記第1構成片に対し未破断の第2切り取り線を介して接続され、かつ、前記第1切り取り線が破断されると前記上半部から切り離される除去可能片と、
を有する、封筒。
【請求項2】
請求項1記載の封筒において、
前記第1切り取り線に対して直角な折り目を介して前記第1構成片に接続され、かつ、前記第2構成片に接着される糊代片が設けられ、
前記第1切り取り線の沿った方向で、前記除去可能片と前記糊代片とが異なる位置に設けられている、封筒。
【請求項3】
請求項1または2記載の封筒において、
前記第1構成片の外面及び第2構成片の外面に抗菌加工が施され、
前記第1構成片の外面及び第2構成片の内面に抗ウィルス加工が施されている、封筒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、切り取り線を有する封筒に関する。
【背景技術】
【0002】
切り取り線を有する封筒の一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されている封筒は、定形外封筒の表部及び裏部に、定形外封筒の底部と平行に切り取り線と折り線または、ミシン目が設けられ、定形外封筒の切り取り線と折り線またはミシン目と底部とで、囲まれる区画で返信用封筒が形成されるようになっている。
【0003】
特許文献1には、受取人は、表裏部の情報により切り取り、分離することにより、郵送、宅配された商品の申込、あるいは、アンケート用紙等を返信する際、返信用封筒を用意することなく返信物封入、封緘するのみで返信封筒を返信することができ、定形外封筒を有効に再利用することによって、資源の保護にもなる、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、特許文献1に記載されている封筒は、封筒を郵送以外の用途に利用することについて考慮されておらず、その点で改善の余地がある、という課題を認識した。
【0006】
本開示の目的は、郵送以外の用途に利用することが可能な封筒を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の封筒は、筒形状の上半部と、前記上半部に未破断の第1切り取り線を介して接続され、筒形状の胴部及び前記胴部につながる底部を有する袋形状の下半部と、前記胴部を構成し、かつ、前記第1切り取り線が破断されると前記上半部から切り離される第1構成片及び第2構成片と、前記第1構成片に対し未破断の第2切り取り線を介して接続され、かつ、前記第1切り取り線が破断されると前記上半部から切り離される除去可能片と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、切り取り線を破断すると、下半部を郵送以外の用途に利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】(A)は、切り取り線が未破断である封筒の正面図、(B)は、切り取り線が未破断である封筒の破断前の背面図である。
【
図2】(A)は、切り取り線が破断された封筒の正面図、(B)は、切り取り線が破断された封筒の背面図である。
【
図3】(A)は、下半部内へマスクを入れる過程を示す斜視図、(B)は、マスクを収容した下半部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて、本開示の実施形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の内容に限定されない。本開示の封筒の型・形状は、特に限定されないが、ここでは、和封筒(Lシーム・横貼)を例として説明する。
【0011】
図1(A)、
図1(B)に示される封筒10の材質は紙であり、例えば、クラフト紙、上質紙、ケント紙、マットコート紙等のうちの何れでもよい。封筒10は、上半部11及び下半部12を有する。上半部11は、筒形状であり、上半部11は、封筒10の正面視で四角形の第1前側片13、封筒10の背面視で四角形の第1後側片14、頭部(フラップ)15、第1糊代片16を有する。第1前側片13と第1後側片14とは、直線状の折り目17を介して接続されている。
【0012】
頭部15は、第1前側片13に直線状の口筋18を介して接続されている。第1糊代片16は、直線状の折り目19を介して第1前側片13に接続されている。折り目17と折り目19とが平行であり、第1糊代片16は、第1後側片14の内面に接着剤によって接着されている。折り目17,19は、封筒10の天地方向A1に沿って設けられている。
【0013】
下半部12は、袋形状であり、下半部12は、封筒10の正面視で四角形の第2前側片20と、封筒10の背面視で四角形の第2後側片21と、第2糊代片22と、底部(おしり)23と、を有する。第2前側片20と第2後側片21とは、直線状の折り目24を介して接続されている。第2糊代片22は、直線状の折り目25を介して第2前側片20に接続されている。折り目24と折り目25とが平行であり、第2糊代片22は、第2後側片21の内面に接着されている。
【0014】
底部23は、第2前側片20に直線状の折り目26を介して接続されている。底部23は、第2後側片21の外面に接着剤によって接着されている。第2前側片20、第2後側片21及び第2糊代片22により、筒状の胴部35が構成されている。底部23は、胴部35につながり、かつ、胴部35の端部を塞いでいる。
【0015】
封筒10は、上半部11と下半部12とが、切り取り線(ミシン目)27,28,31を介して接続されている。未破断の切り取り線27は、第1前側片13と第2前側片20との境界に設けられている。
図1(A)に示す封筒10の正面視で、切り取り線27は直線状であり、折り目26と切り取り線27とが平行に設けられている。切り取り線27の両端は、折り目17,19に位置し、切り取り線27は、折り目17,19に対して略直角である。
【0016】
また、封筒10の正面視で、切り取り線27は、封筒10の幅方向A2に沿って設けられている。封筒10の幅方向A2は、封筒10の天地方向A1に対して直角な方向である。切り取り線27は、封筒10の天地方向A1における略中央と、折り目26との間に設けられている。さらに、切り取り線27につながる直線状の切り取り線31が設けられ、第1糊代片16と第2糊代片22との間に、未破断の切り取り線31が設けられている。
【0017】
さらに、第2前側片20に未破断の切り取り線29を介して接続され、かつ、第1前側片13に未破断の切り取り線27を介して接続された除去可能片30が設けられている。切り取り線29は、封筒10の正面視で楕円形の略半分の形状を有し、かつ、切り取り線29の両端は、切り取り線27へつながっている。封筒10の正面視で、除去可能片30は、未破断の切り取り線27から第2前側片20に向けて突出されている。
【0018】
切り取り線28は、第1後側片14と第2後側片21との境界に設けられている。
図1(B)に示す封筒10の背面視で、切り取り線28は、折り目26と平行な直線状に設けられている。切り取り線28の端部は、折り目24に位置し、切り取り線28は、折り目17,19に対して略直角である。また、封筒10の背面視で、未破断の切り取り線28は、封筒10の幅方向A2に沿って設けられている。未破断の切り取り線28は、未破断の切り取り線27につながっており、未破断の切り取り線28は、封筒10の天地方向A1における略中央と、折り目26との間に設けられている。
【0019】
また、封筒10の外面全体には、菌の増殖を抑制する抗菌加工が施されている。抗菌加工は、無機抗菌剤、抗菌ニス等をコーティングしたものである。無機抗菌剤は、例えば、銀、銅を含む抗菌剤である。さらに、封筒10の内面には、ウィルスの増殖を抑制する抗ウィルス加工が施されている。
【0020】
封筒10の第1前側片13の表面には、あて名、つまり、封筒10の受取人の住所及び氏名が記載(表示)される。封筒10の第2前側片20の表面、または、第2後側片21の表面には、封筒10の差出人の住所及び氏名が記載(表示)される。差出人は、封筒10内に内容物、例えば、書類等を収容したした後、頭部15が第1後側片14に近づくように口筋18を折り曲げ、頭部15を第1後側片14に接着剤で固定する。その後、差出人は、封筒10を郵便ポストへ投函する。
【0021】
次に、封筒10を郵送以外の用途に利用する例を説明する。具体的には、下半部12をマスク収納容器として利用する例を説明する。この場合、封筒10が使用済みであるか否かは問わない。つまり、頭部15が第1後側片14に接着されているか否かも問わない。ここでは、便宜上、
図1(A)、
図1(B)のように、頭部15が第1後側片14に接着されていない封筒10を利用する例を説明する。
【0022】
先ず、利用者は、封筒10の切り取り線27,28,31を破断し、
図2(A)、
図2(B)のように、上半部11と下半部12とを切り離す。上半部11は、筒形状であり、下半部12は、底部23を有する袋形状である。この状態において、除去可能片30は、下半部12につながっている。さらに、下半部12の切り取り線29を破断し、
図3(A)のように、除去可能片30を下半部12から切り離す。すると、下半部12の第2前側片20の縁20Aに、切り欠き32が形成される。
【0023】
そして、利用者は、第1の手で下半部12を掴み、第2の手の親指を切り欠き32の位置へおき、親指と他の指とで第2後側片21の一部を掴み、第2後側片21を第2前側片20から離間させる。すると、下半部12には、第2前側片20の縁20Aと第2後側片21の縁21Aとにより、開口部33が形成される。さらに、利用者は、マスク34を開口部33を経由させて、
図3(B)のように下半部12の内部36へ入れることができる。マスク34は、未使用または使用済みの何れでもよい。マスク34は、不織布製、布製、ガーゼ製等のうちの何れでもよい。マスク34は、平面視で長方形であり、マスク34が下半部12の内部36へ収容された状態で、マスク34の長辺34Aと、折り目26とが略平行になる向きで収容されている。
【0024】
本開示の下半部12の外面には抗菌加工が施され、下半部12の内面には抗ウィルス加工が施されている。したがって、利用者がマスク34を衛生的に保管できる。このように、封筒10は、下半部12を郵送(郵便事業)以外の用途、つまり、マスクケースとして利用可能である。
【0025】
本実施形態で説明した封筒は、図面を用いて説明したものに限定されない。例えば、除去可能片は、切り取り線を介して第2後側片に接続されていてもよい。また、本開示の封筒10は、折り目17,19に沿った方向において、切り取り線27,28,31の位置を変更可能である。すると、上半部11と下半部12とを分断した後において、
図3(B)に示す下半部12の内部36の深さW1を調整可能である。例えば、マスク34の短辺34Bと、折り目26とが略平行になる状態で、下半部12の内部36にマスク34を収容できるように、深さW1を調整することも可能である。
【0026】
また、
図1(A)のように、封筒10の幅方向A2において、第2糊代片22と除去可能片30とが異なる位置に設けられている。このため、除去可能片30を下半部12から切り離す際に、切り取り線29の破断のみで済む。したがって、除去可能片30を下半部12から切り離す作業性が良い。
【0027】
さらに、封筒は、和封筒、洋封筒の何れでもよい。さらに、和封筒の場合、
図1(B)に示す封筒の背面視で、封筒の幅方向における糊代片の位置は、幅方向の中央、幅方向の右寄り位置、幅方向の左寄り位置の何れでもよい。何れの場合も、封筒の幅方向において、除去可能部と、糊代片とを異なる位置に設けることが可能である。さらに、洋封筒の構造は、カマス貼り、ダイヤモンド貼りの何れでもよい。
【0028】
実施形態で開示された事項の技術的意味の一例は、次の通りである。封筒10は、封筒の一例である。上半部11は、上半部の一例である。下半部12は、下半部の一例である。切り取り線27,28,31は、第1切り取り線の一例である。胴部35は、胴部の一例である。底部23は、底部の一例である。第2前側片20は、第1構成片の一例である。第2後側片21は、第2構成片の一例である。切り取り線29は、第2切り取り線の一例である。除去可能片30は、除去可能片の一例である。第2糊代片22は、糊代片の一例である。折り目25は、折り目の一例である。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本開示の封筒は、和封筒、洋封筒を問わず、切り取り線を有する封筒において利用可能である。
【符号の説明】
【0030】
10…封筒、11…上半部、12…下半部、20…第2前側片、21…第2後側片、23…底部、22…第2糊代片、25…折り目、27,28,29,31…切り取り線、30…除去可能片、35…胴部
【手続補正書】
【提出日】2022-04-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒形状の上半部と、
前記上半部に未破断の第1切り取り線を介して接続され、筒形状の胴部及び前記胴部につながる底部を有する袋形状の下半部と、
前記胴部を構成し、かつ、前記第1切り取り線が破断されると前記上半部から切り離される第1構成片及び第2構成片と、
前記第1構成片に対し未破断の第2切り取り線を介して接続され、かつ、前記第1切り取り線が破断されると前記上半部から切り離される除去可能片と、
を有し、
前記底部は、前記第1構成片に直線状の第1折り目を介して接続され、
前記第1切り取り線の全部が直線状であり、かつ、前記第1切り取り線の全部と前記第1折り目とが平行に設けられている、封筒。
【請求項2】
請求項1記載の封筒において、
前記第1切り取り線に対して直角な第2折り目を介して前記第1構成片に接続され、かつ、前記第2構成片に接着される糊代片が設けられ、
前記第1切り取り線に沿った方向で、前記除去可能片と前記糊代片とが異なる位置に設けられている、封筒。
【請求項3】
請求項1または2記載の封筒において、
前記第1構成片の外面及び前記第2構成片の外面に抗菌加工が施され、
前記第1構成片の外面及び前記第2構成片の内面に抗ウィルス加工が施されている、封筒。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
実施形態で開示された事項の技術的意味の一例は、次の通りである。封筒10は、封筒の一例である。上半部11は、上半部の一例である。下半部12は、下半部の一例である。切り取り線27,28,31は、第1切り取り線の一例である。胴部35は、胴部の一例である。底部23は、底部の一例である。第2前側片20は、第1構成片の一例である。第2後側片21は、第2構成片の一例である。切り取り線29は、第2切り取り線の一例である。除去可能片30は、除去可能片の一例である。第2糊代片22は、糊代片の一例である。折り目26は、第1折り目の一例であり、折り目25は、第2折り目の一例である。