(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174490
(43)【公開日】2022-11-24
(54)【発明の名称】長尺部材の搬送システム及び搬送方法
(51)【国際特許分類】
B62B 3/02 20060101AFI20221116BHJP
B62B 5/00 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
B62B3/02 C
B62B5/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080324
(22)【出願日】2021-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】長富 豊
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA38
3D050BB01
3D050BB29
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3D050GG01
3D050HH01
3D050KK08
(57)【要約】
【課題】長尺部材を少人数で運搬が可能な搬送システム及び搬送方法を提供すること。
【解決手段】長尺部材の搬送システム1は、長尺の長尺部材7を支持するとともに長尺部材7の長手方向の一方及び他方に傾斜可能な可動架台11と、可動架台11を支持する可動架台支持部12と、可動架台支持部12に接続される車輪13を有する第1搬送機構10と、長尺部材7を積載可能な荷台50の端部に着脱可能に配置されるローラー部21を有し、ローラー部21の回転により、長尺部材7を移動させる第2搬送機構20と、を備える。
【選択図】
図1C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の長尺部材を支持するとともに前記長尺部材の長手方向の一方及び他方に傾斜可能な可動架台と、前記可動架台を支持する支持部と、前記支持部に接続される車輪を有する第1搬送機構と、
前記長尺部材を積載可能な荷台の端部に着脱可能に配置されるローラー部を有し、前記ローラー部の回転により、前記長尺部材を移動させる第2搬送機構と、を備える、長尺部材の搬送システム。
【請求項2】
長尺の長尺部材を積載可能な荷台の端部に着脱可能に配置されるローラー部を有し、前記ローラー部の回転により前記長尺部材を移動させる第2搬送機構と、
前記長尺部材を支持するように使用時に略水平方向に一時固定し、不使用時に折り畳み可能な折り畳み架台と、前記折り畳み架台の下方に接続される一対の対車輪と、を有する第3搬送機構と、を備える、長尺部材の搬送システム。
【請求項3】
前記長尺部材を載置した架台部を上方へ傾斜させる傾斜機構と、
傾斜させた前記長尺部材を下方から上方へ移送可能な移送機構と、を有し、
前記長尺部材を前記荷台に傾斜させた状態で積載する第4搬送機構をさらに備える、請求項1又は2に記載の長尺部材の搬送システム。
【請求項4】
前記第2搬送機構は、前記荷台の後端部と、前記後端部に接続される後アオリ部との間に形成される隙間に差し込まれる差し込み部を有し、
前記ローラー部は、前記後端部に沿って配置され、前記差し込み部の上端側に回転可能に軸支される、請求項1~3のいずれか1項に記載の長尺部材の搬送システム。
【請求項5】
長尺の長尺部材を、前記長尺部材の長手方向に沿って前後に傾斜可能な可動架台に載せ、前記可動架台に前記長尺部材を支持させた状態で移動させる第1搬送工程と、
前記長尺部材を積載可能な荷台の端部に着脱可能に配置されるローラー部の回転により前記長尺部材を移動させる第2搬送工程と、を備える、長尺部材の搬送方法。
【請求項6】
長尺の長尺部材を積載可能な荷台の端部に着脱可能に配置されるローラー部の回転により、前記長尺部材を移動させる第2搬送工程と、
不使用時に折り畳み可能な折り畳み架台を、折り畳まれた状態から、使用時に略水平方向に一時固定して前記長尺部材を支持し、前記折り畳み架台の下方に接続される一対の対車輪の走行により前記長尺部材を所定位置へ搬送する第3搬送工程と、を備える、長尺部材の搬送方法。
【請求項7】
前記長尺部材を架台部に載置した状態で上方へ傾斜させる傾斜工程と、
傾斜させた前記長尺部材を下方から上方へ移送する移送工程と、
前記長尺部材を前記荷台に傾斜させた状態で積載する積載工程と、を有する第4搬送工程を有する請求項5又は6に記載の長尺部材の搬送方法。
【請求項8】
前記第2搬送工程において、前記荷台の後端部と、前記後端部に接続される後アオリ部との間に形成される隙間に差し込み部を差し込む差し込み工程を有し、
前記後端部に沿って配置されるととともに前記差し込み部の上端側に回転可能に軸支されたローラー部を、前記長尺部材を載せた状態で回転させることにより前記長尺部材を搬送する、請求項5~7のいずれか1項に記載の長尺部材の搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、長尺部材の搬送システム及び搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長尺部材や重量物等を搬送する際に、作業員が搬送する箇所では、搬送する者の荷重が負担となるため、てこの原理により荷重を軽減する運搬車を用いることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
搬送物が長尺部材の場合、運搬車を用いても、長尺部材の荷積み、荷降ろしの際に複数の作業員が必要となる。このため、搬送に必要な人員の確保や手配が必要となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、長尺の長尺部材を支持するとともに前記長尺部材の長手方向の一方及び他方に傾斜可能な可動架台と、前記可動架台を支持する支持部と、前記支持部に接続される車輪を有する第1搬送機構と、前記長尺部材を積載可能な荷台の端部に着脱可能に配置されるローラー部を有し、前記ローラー部の回転により、前記長尺部材を移動させる第2搬送機構と、を備える、長尺部材の搬送システムに関する。
【0006】
本開示は、長尺の長尺部材を積載可能な荷台の端部に着脱可能に配置されるローラー部を有し、前記ローラー部の回転により前記長尺部材を移動させる第2搬送機構と、前記長尺部材を支持するように使用時に略水平方向に一時固定し、不使用時に折り畳み可能な折り畳み架台と、前記折り畳み架台の下方に接続される一対の対車輪と、を有する第3搬送機構と、を備える、長尺部材の搬送システムに関する。
【0007】
本開示は、長尺の長尺部材を、前記長尺部材の長手方向に沿って前後に傾斜可能な可動架台に載せ、前記可動架台に前記長尺部材を支持させた状態で移動させる第1搬送工程と、前記長尺部材を積載可能な荷台の端部に着脱可能に配置されるローラー部の回転により前記長尺部材を移動させる第2搬送工程と、を備える、長尺部材の搬送方法に関する。
【0008】
本開示は、長尺の長尺部材を積載可能な荷台の端部に着脱可能に配置されるローラー部の回転により、記長尺部材を移動させる第2搬送工程と、不使用時に折り畳み可能な折り畳み架台を、折り畳まれた状態から、使用時に略水平方向に一時固定して前記長尺部材を支持し、前記折り畳み架台の下方に接続される一対の対車輪の走行により前記長尺部材を所定位置へ搬送する第3搬送工程と、を備える、長尺部材の搬送方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】第1実施形態の第1搬送機構を説明する概略図である。
【
図1B】第1実施形態の第1搬送機構による荷積みを説明する概略図である。
【
図1C】第1実施形態の第2搬送機構及び第3搬送機構を説明する概略図である。
【
図2】第1実施形態の第1搬送機構を上方から見た斜視図である。
【
図3】第1実施形態の第1搬送機構の側面図である。
【
図4】第1実施形態の第1搬送機構を下方から見た斜視図である。
【
図5】第1実施形態の第2搬送機構の正面図である。
【
図6】第1実施形態の第2搬送機構の使用の状態を示す図である。
【
図7】第1実施形態の第3搬送機構の斜視図である。
【
図8】第1実施形態の第3搬送機構の正面図である。
【
図9】第1実施形態の第3搬送機構の左側面図である。
【
図10】第2実施形態の第4搬送機構の斜視図である。
【
図11】第2実施形態の第4搬送機構の架台部の傾斜前の状態を示す図である。
【
図12】第2実施形態の第4搬送機構の架台部を傾斜させた状態を示す図である。
【
図13】第2実施形態の第4搬送機構の架台部を上方へ移動させた状態を示す図である。
【
図14】第3実施形態の第2搬送機構を示す斜視図である。
【
図15】第4実施形態の第3搬送機構を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態の長尺部材の搬送システム1は、例えば建築物の梁や柱等のような丈の長い長尺部材7を、好ましくは単独の人員で搬送することを可能にする機構である。長尺部材の搬送システム1は、第1搬送機構10と、第2搬送機構20と、第3搬送機構30と、を有する。
【0011】
図1A、
図1B、及び
図2~
図4に示すように、第1搬送機構10は、例えば倉庫等で保管されている複数の長尺部材7を持ち上げて、トラック等の運搬車5に積載したり、運搬車5から倉庫内の所定の場所に移動させたりする際に用いられる。
図2に示すように、第1搬送機構10は、可動架台11と、可動架台支持部12と、車輪13と、を有する。
【0012】
可動架台11は、長手方向の一方及び他方へ傾斜可能な台であり、上面に長尺部材7を載せて支持する。可動架台11は、可動架台本体部111と、架台側連結部112と、を有する。可動架台本体部111は、薄い略直方体の板である。
図3に示すように、架台側連結部112は、可動架台本体部111の一対の長辺の長手方向における略中央部の下側で、可動架台本体部111の面に直交するようにのびる薄い板である。架台側連結部112には、後述する可動架台支持部12の連結部124と連結されるためのねじの挿通孔が形成されている(図示省略)。
【0013】
可動架台支持部12は、可動架台11と後述する車輪13とを接続するとともに、可動架台11を支持するフレームである。
図4に示すように、可動架台支持部12は、枠部121と、支持脚122と、補強部123と、連結部124と、傾斜規制部125と、を有する。枠部121は、
図2及び
図3に示すように、可動架台11の下方に配置され、4本の角材が可動架台11と概ね同じ大きさの長方形に枠組みされて構成される。支持脚122は、枠部121の長辺の長手方向の略中央から、可動架台11の長手方向における略中央に向かって上方に延びている。支持脚122は、枠部121の一対の長辺の一方と他方から延び、一対配置される。補強部123は、一対の支持脚122の間を連結する角材により構成される。補強部123は、支持脚122の下端側と、上端側で枠部121の短手方向を連結して補強する。
【0014】
連結部124は、支持脚122の上端に配置され、上方が湾曲した略U字状の部材である。連結部124には、架台側連結部112と連結するためのねじ124aの挿通孔が形成され、架台側連結部112と連結部124の挿通孔をねじ124aが挿通する。ねじ124aは、可動架台11の傾斜角度を変更可能で、かつ、長尺部材7を可動架台11に載せた際に不安定とならない程度の強度で架台側連結部112と連結部124とを締結する。
【0015】
傾斜規制部125は、可動架台11の傾斜を一定範囲に抑え、可動架台11を支持する部材である。傾斜規制部125は、規制部本体部1251と、当接部1252と、を有する。傾斜規制部125は、一対の支持脚122のそれぞれの上端に配置される。規制部本体部1251は、支持脚122の上端に、支持脚122に交差する方向に延びる略長方形の板である。規制部本体部1251は、傾斜規制部125の長手方向の略中央部における上面に、連結部124が直接固定されている。よって、規制部本体部1251は、連結部124を介して可動架台11の長手方向の略中央部に接続されている。当接部1252は、規制部本体部1251の長手方向の一方及び他方の上面に、上方に向かって突出する凸部である。具体的には、当接部1252は、規制部本体部1251の端部に設けたねじ孔に締結するボルト1252aとナット1252bにより構成されている。
【0016】
支持脚122の上端と、可動架台11との間に、架台側連結部112及び連結部124が連結されることで、上下方向に間隔が空いている。可動架台11が長手方向の一方及び他方に傾斜すると、傾斜規制部125の当接部1252に当接し、それ以上傾斜することが規制される。
【0017】
車輪13は、可動架台支持部12に接続され、枠部121の四隅の下方に、合計4つ取り付けられている。車輪13は、可動架台11の長手方向の一方側では枠部121に対して車輪13の方向を転換可能に取り付けられている。可動架台11の長手方向の他方側では、可動架台11の長手方向に沿ってのみ移動可能に取り付けられている。具体的には車輪13は、キャスター131を介して枠部121の裏面に取り付けられている。一方側のキャスター131aは、旋回可能であり、他方側のキャスター131bは、固定されている。
【0018】
第2搬送機構20は、
図1Cに示すように、長尺部材7が積載される運搬車5の後端に取り付けられる。運搬車5は、具体的にはトラックである。運搬車5のエンジン及び車輪を有する躯体部55の先頭側に運転席56が配置され、躯体部55の上に長尺部材7を積載可能な荷台50が配置される。
【0019】
荷台50は、
図1B及び
図1Cに示すように、床部51と、側アオリ部52と、後アオリ部53と、鳥居部54と、を有する。床部51は、運搬車5の長手方向に沿う長方形の平坦な面を有する。側アオリ部52は、床部51の長辺に沿って配置される薄い略直方体の板である。側アオリ部52は、床部51の長辺に蝶番等のヒンジ結合により回転可能に固定されている。後アオリ部53は、床部51の後端部側の短辺に沿って配置される略長方形の板である。後アオリ部53は、床部51の後端部に蝶番等のヒンジ結合により回転可能に固定されている。
図6に示すように、後アオリ部53が荷台50の後端部に蝶番で回転可能に接続されているので、後アオリ部53が後ろに倒されて荷台50から下垂している状態で、後アオリ部53と荷台50との間には隙間Gが形成されている。図示を省略しているが、側アオリ部52と荷台50との間も同様である。側アオリ部52及び後アオリ部53は、蝶番で回転して起立させた後、互いをフック等で固定することで、起立した姿勢を維持し、荷台50の側壁となる。
【0020】
鳥居部54は、荷台50の前方の短辺から上方に向かって起立し、運転席56の後ろ側に枠状に配置される。鳥居部54は、荷台50の幅方向の一方及び他方から上方に起立する一対の縦枠541と、一対の縦枠541の上端側で、一対の縦枠541を接続するように横方向に延びる横枠542と、を有する。鳥居部54は、長尺部材7が荷台50の長手方向に載り切らないほど長いときに、鳥居部54の横枠542に長尺部材7を載せ、長尺部材7を傾斜させて積むように利用される。
【0021】
第2搬送機構20は、
図5に示すように、ローラー部21と、軸部22と、ローラー支持部23と、差し込み部24と、を有する。
【0022】
ローラー部21は、荷台50の後端部に着脱可能に配置される。ローラー部21は、略円筒形で、荷台50の短手方向に延びる後端部の縁に沿って配置される。ローラー部21は、長尺部材7がローラー部21の上に載った状態で回転することで、長尺部材7がローラー部21の上を移動可能になる。
【0023】
軸部22は、ローラー部21よりも長い円柱により構成され、ローラー部21の中心を貫通する。軸部22は、円柱状の軸体221と、軸体221の端部に配置され、軸体221よりも外径が大きい軸止め222を有する。
【0024】
ローラー支持部23は、ローラー部21及び軸部22の長手方向に沿うとともに、ローラー部21が回転可能な隙間を空けて配置される平板状の基部231と、基部231の一方及び他方の端部から起立する一対の軸受け部232と、を有する。軸受け部232は、基部231から起立する略長方形の板体の上部に、軸部22の軸体221が挿通可能な貫通孔232aが形成されている。軸受け部232の貫通孔232aに軸体221が挿通され、軸受け部232の外側に軸止め222が取り付けられることで、軸部22がローラー支持部23から抜けずに回転可能に保持されている。
【0025】
差し込み部24は、基部231の幅方向の一端から下方に延びる薄い板である。差し込み部24は、基部231の長手方向の一方及び他方に配置され、基部231の短手方向の一方から下方へ延びる。差し込み部24は、荷台50の床部51の後端部と、後アオリ部53との間に形成される隙間Gに差し込まれる。差し込み部24が荷台50の後端部と後アオリ部53との隙間Gに差し込まれることで、ローラー部21が、差し込み部24の上端側に回転可能に軸支される。これにより、荷台50から長尺部材7をローラー部21によってスライド移動させ、荷積み、荷降ろしが可能になる。
【0026】
第3搬送機構30は、
図7~
図9に示すように、荷降ろしした長尺部材7を目的の搬送先へ運搬する架台である。第3搬送機構30は、第1搬送機構10と異なる点は、折り畳み可能な点、及び整地していない路面又は地面でも安定して走行可能である点である。第3搬送機構30は、折り畳み架台31と、折り畳み架台支持部32と、対車輪33と、補助架台34と、補助脚35と、を有する。
【0027】
折り畳み架台31は、使用時に、以下に説明する折り畳み架台支持部32から片持ち状に延びるように略水平方向に一時固定され、長尺部材7を支持する。折り畳み架台31は、不使用時には、上下方向に沿うように姿勢を変更して折り畳み可能である。折り畳み架台31は、折り畳み架台本体部311と、スライドレール312と、を有する。折り畳み架台本体部311は、薄い略直方体の板である。スライドレール312は、
図8に示すように、折り畳み架台本体部311の裏面に幅方向に沿って配置されている。スライドレール312は、折り畳み架台本体部311の長手方向に間を空けて二本配置され、それぞれが折り畳み架台本体部311の幅方向の一端を基点として他端に向かって延び、他端に到達しない位置が終端となっている。
【0028】
折り畳み架台支持部32は、支持脚321と、スライド部322と、を有する。支持脚321は、
図7に示すように、鋼鉄のパイプを下方に向かって開放された略コの字状に折り曲げて構成される。支持脚321は、折り畳み架台本体部311における一対の長辺の片側に固定される。支持脚321は、第1脚部3211と、第2脚部3212と、接続部3213と、補助輪3214と、を有する。第1脚部3211と第2脚部3212とは、折り畳み架台31から略平行に下方に延びる。第2脚部3212は、第1脚部3211よりも長く、下方に延びており、第2脚部3212の下端にのみ、補助輪3214が取り付けられている。補助輪3214は、後述する対車輪33とともに折り畳み架台31を支持する。接続部3213は、第1脚部3211と第2脚部3212の上端を接続し、折り畳み架台31の長手方向に沿って延びる。接続部3213は、折り畳み架台31の上面よりも上方に位置している。
【0029】
スライド部322は、支持脚321の第1脚部3211及び第2脚部3212の上部に取り付けられる。スライド部322は、第1脚部3211及び第2脚部3212の上端からやや下方に離れた位置から折り畳み架台31の折り畳み架台本体部311の裏面に向かって斜めに配置され、スライドレール312内をスライド可能に配置される。スライド部322がスライドレール312をスライドすることで折り畳み架台31が折り畳まれる。
図8に示すように、スライド部322は、スライド部322に配置された突起をスライドレール312に形成された切り欠き312aに係合させることで、折り畳み架台31を概ね水平に保持した状態で一時的にロック可能に構成されている。
【0030】
対車輪33は、折り畳み架台31の幅方向における一方及び他方にそれぞれ一つ配置され、一対設けられる。対車輪33は、折り畳み架台31の下方に折り畳み架台支持部32を介して接続される。対車輪33は、車輪部331と車軸部332と、を有する。車輪部331は、砂利道や草道等、舗装されていない地面でも走行可能に太幅に形成され、所謂バルーンタイヤと呼ばれるタイヤを有する。車輪部331は、低い空気圧(例えば13.7~20.6kPa程度)で利用することができる。車軸部332は、一対の車輪部331の中心を接続し、回転する軸部である。
【0031】
補助架台34は、略長方形のトレー状の架台である。補助架台34は、例えば、ドアの扉のような形状の重量物を運搬する際に、折り畳み架台31を折り畳んで補助架台34に載せて運搬することを可能にするものである。補助架台34は、折り畳み架台31よりも幅及び長さが小さい。
図7~
図9に示すように、補助架台34は短手方向側から見て略コの字状に形成され、長方形の板の短手方向の両端側を上方に起立するように折り曲げて形成されている。補助架台34は、車軸部332の上に載せた状態で、車軸部332が回転可能な貫通孔を有する連結部材341により車軸部332と連結される。補助架台34は、第1脚部3211及び第2脚部3212に溶接により固定されている。
【0032】
補助脚35は、折り畳み架台本体部311の裏面で、支持脚321から幅方向に離れた位置に取り付けられる細幅の平板である。補助脚35は、上端が折り畳み架台本体部311の裏面に接続され、下端が車輪軸部323に形成された切り込み323aに差し込まれる。補助脚35は、2枚の平板状の部材が接続されて構成されている。補助脚35を使わないときは、車軸部332の切り込み323aから外して折り畳むことができる。折り畳み架台31を移動させずに、折り畳み架台31の上部に物を載置する場合等に、補助脚35を開いて折り畳み架台31を支持することができる。
【0033】
以上の長尺部材の搬送システム1を用いた搬送方法について説明する。
図1Aに示すように、例えば長尺部材7は、倉庫等に積み上げて保管されている。そこから、長尺部材7を運搬することが必要となった場合、作業者は、第1搬送機構10を長尺部材7の近くに配置し、長尺部材7の一端を保持し、他端を長尺部材7が保管されている位置に支持させた状態で長尺部材7の中間部を可動架台11の上に載せる。第1搬送機構10には、車輪13が4つ取り付けられているので、長尺部材7を可動架台11に支持させた状態で作業者が長尺部材7の一端を保持し、所定の場所へ移動させる(第1搬送工程S1)。
【0034】
長尺部材7を運搬車5に載せて倉庫外へ運搬する場合、運搬車5の荷台50に長尺部材7を積む必要がある。
図1Bに示すように、可動架台11は、長尺部材7の長手方向の一方及び他方に傾斜可能に構成されているので、作業者は、長尺部材7を可動架台11の上に載せた状態で、可動架台11を傾けながら長尺部材7の他端をずり上げ、荷台50の鳥居部54に長尺部材7の他端を載せる。長尺部材7の他端を鳥居部54に支持させた状態で、長尺部材7の一端を持ち上げ、荷台50に載せる。その後、長尺部材7を荷台50に固定する(荷積み工程S2)。荷積みの際、周囲の配置物の状況や長尺部材の長さ、取り回しの可否等、必要に応じて第2搬送機構20を用いてよい。この場合、第2搬送機構20を運搬車5の荷台50の後端部と、荷台50から後ろに倒されて下垂する後アオリ部53との隙間Gに第2搬送機構20差し込み部24を差し込んで取り付ける(差し込み工程S3)。そして、長尺部材7をローラー部21に載せ、ローラー部21の回転により移動させてもよい(第2搬送工程S4)。
【0035】
長尺部材7を目的地に運搬した後、荷台50から長尺部材7を降ろす荷降ろしを行う。この際、運搬車5の荷台50の後端部と、荷台50から後ろに倒されて下垂する後アオリ部53との隙間Gに、第2搬送機構20の差し込み部24を差し込む(差し込み工程S5)。差し込み部24を差し込んだ状態で、ローラー部21は回転することができる。荷降ろしの際には、長尺部材7をローラー部21の上に載せた状態で長尺部材7の一端を引き寄せる。長尺部材7は、ローラー部21を回転させることにより荷台50から移動し、搬送される(第2搬送工程S6)。
【0036】
作業者は、第3搬送機構30を荷台50の後方に配置しておく。折り畳み架台31のスライド部322をスライドレール312内でスライドさせ、折り畳み架台本体部311を略水平方向に延びるように一時的に固定する。そして、長尺部材7を鳥居部54から降ろして荷台50の後方へずらした後、ローラー部21を回転させて長尺部材7をスライドさせながら、折り畳み架台31の上に支持させる(支持工程S7)。作業者が、長尺部材7の一端を保持した状態で運搬車5から遠ざかれば、長尺部材7はローラー部21をスライドしてついには荷台50から離れる。作業者は、対車輪33を走行させて、長尺部材7の方向を変えて運搬の目的の所定位置へ長尺部材7を搬送する(第3搬送工程S8)。以上のように、作業者が運搬車5の運転手である場合には、倉庫からの荷積み及び運搬が単独で可能である。
【0037】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。長尺部材の搬送システム1を、長尺の長尺部材7を支持するとともに長尺部材7の長手方向の一方及び他方に傾斜可能な可動架台11と、可動架台11を支持する可動架台支持部12と、可動架台支持部12に接続される車輪13を有する第1搬送機構10と、長尺部材7を積載可能な荷台50の端部に着脱可能に配置されるローラー部21を有し、ローラー部21の回転により、長尺部材7を移動させる第2搬送機構20と、を含んで構成した。長尺部材7の長手方向に沿って傾斜可能な可動架台11により、てこの原理で長尺部材7を可動架台11に載せ、運搬することができる。第2搬送機構20を運搬車5の後端部に配置して、ローラー部21の上に長尺部材7を支持させることで、長尺部材7の荷重のほとんどを、可動架台11で支持することができる。第2搬送機構20で長尺部材7を移動させることにより、長尺部材7を荷台50に容易に荷積みすることができる。このように、第1搬送機構10及び第2搬送機構20により、作業員にかかる長尺部材7の荷重を低減することができるので、作業員の肉体的な負担を軽減することが可能になる。これにより、長尺部材7の運搬時に配置する作業員の人数を低減することができ、取り回しの困難な長尺部材7を、最も少なくて単独で運搬作業を行うことが可能になる。よって、長尺部材7の運搬の効率化を図ることができる。
【0038】
本実施形態によれば、長尺部材の搬送システム1を、長尺の長尺部材7を積載可能な荷台50の端部に着脱可能に配置されるローラー部21を有し、ローラー部21の回転により長尺部材7を移動させる第2搬送機構20と、長尺部材7を支持するように使用時に略水平方向に一時固定し、不使用時に折り畳み可能な折り畳み架台31と、折り畳み架台31の下方に接続される一対の対車輪33と、を有する第3搬送機構30と、を含んで構成した。第2搬送機構20を運搬車5の後端部配置して、ローラー部21の上に長尺部材7を支持させることで、長尺部材7を荷台50から容易に荷降ろしすることができる。第3搬送機構30を、折り畳んだ状態で運搬車5に載せて長尺部材7とともに運搬することができる。運搬先で折り畳み架台31を略水平方向に一時固定し、折り畳み架台31の上に長尺部材7を載せることができ、長尺部材7の荷重のほとんどを、折り畳み架台31で支持することができる。そして、長尺部材7を折り畳み架台31の上に載せた状態で、対車輪33により最終的な搬送地点へ移動させ、運搬することが可能になる。対車輪33は2つの車輪で構成されており、運搬や梱包も容易になる。このように、第2搬送機構20及び第3搬送機構30により、作業員にかかる長尺部材7の荷重を低減することができるので、作業員の肉体的な負担を軽減することが可能になる。これにより、長尺部材7の運搬時に配置する作業員の人数を低減することができ、最も少なくて単独で運搬作業を行うことが可能になる。よって、長尺部材7の運搬の効率化を図ることができる。
【0039】
本実施形態によれば、第2搬送機構20を、荷台50の後端部と、後端部に接続される後アオリ部53との間に形成される隙間Gに差し込まれる差し込み部24を含んで構成した。ローラー部21を、後端部に沿って配置され、差し込み部24の上端側に回転可能に軸支させた。これにより、第2搬送機構20を倉庫や運搬車5の間で持ち運ぶことができる。そして、必要に応じて運搬車5の荷台50の後端部と後アオリ部53との間に形成される隙間Gに差し込み部24を差し込むことで、容易に第2搬送機構20を着脱することが可能になる。よって、運搬車5に長尺部材7を荷積みする際、及び荷降ろしする際に、作業員に係る荷重を低減することが可能になる。
【0040】
本実施形態によれば、長尺部材の搬送方法を、長尺の長尺部材7を、長尺部材7の長手方向に沿って前後に傾斜可能な可動架台11に載せ、可動架台11に長尺部材7を支持させた状態で移動させる第1搬送工程(S1)と、長尺部材7を積載可能な荷台50の端部に着脱可能に配置されるローラー部21の回転により長尺部材7を移動させる第2搬送工程(S4)と、を含んで構成した。これにより、作業員の負担を軽減するとともに、最も少なくて単独の作業員で荷積みの作業が可能になり、上記と同様の効果を奏する。
【0041】
本実施形態によれば、長尺部材の搬送方法を、長尺の長尺部材7を積載可能な荷台50の端部に着脱可能に配置されるローラー部21の回転により、長尺部材7を移動させる第2搬送工程(S6)と、不使用時に折り畳み可能な折り畳み架台31を、折り畳まれた状態から、使用時に略水平方向に一時固定して長尺部材7を支持し、折り畳み架台31の下方に接続される一対の対車輪33の走行により長尺部材7を所定位置へ搬送する第3搬送工程(S8)と、を含んで構成した。これにより、作業員の負担を軽減するとともに、最も少なくて単独の作業員で荷降ろしの作業が可能になり、上記と同様の効果を奏する。
【0042】
本実施形態によれば、第2搬送工程(S4、S6)において、荷台50の後端部と、後端部に接続される後アオリ部53との間に形成される隙間Gに差し込み部24を差し込む差し込み工程(S3、S5)を含んで構成した。荷台50の後端部に沿って配置されるととともに差し込み部24の上端側に回転可能に軸支されたローラー部21を、長尺部材7を載せた状態で回転させることにより長尺部材を搬送させた。第2搬送機構20を倉庫や運搬車5の間で持ち運び、必要に応じて運搬車5の荷台50の後端部と後アオリ部53との間に形成される隙間Gに差し込み部24を差し込むことで、容易に第2搬送機構20を着脱することが可能になる。よって、運搬車5に長尺部材7を荷積みする際、及び荷降ろしする際に、作業員に係る荷重を低減することが可能になる。
【0043】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。第2搬送機構20のローラー部21の長さは、適宜変更されてよい。取り扱う荷物の種類によっては、荷台50の幅に近い長さを有していてもよい。
【0044】
第2搬送機構20は、荷積み及び荷降ろしの際における周囲の建物や載置物の配置、環境等により、必要な場合には、側アオリ部52と荷台50との間に形成される隙間に差し込んでん取り付けることも可能である。
【0045】
図10~
図13に示すように、第2実施形態によれば、第1実施形態の荷積み工程S2の際に、第4搬送機構40を用いることができる。
【0046】
図示を省略するが、運搬車が、所謂箱車と呼ばれる直方体で箱型の荷室を備えたトラックや、荷台50の部分が枠及びシートで覆われた幌車の場合、
図1Bに示すように、荷台50の上を水平方向にずらすように長尺部材7を移動させることができない。箱車や幌車のように荷台50に荷室が架装されて、後方側にのみ荷室の開口が形成されている場合は、後端側から荷台50の前後方向にのみ長尺部材7を移動させて荷積みすることが必要となる。そこで第4搬送機構40は、長尺部材7を傾斜させた状態で上方へ移動させることが可能な機構を有する。
【0047】
図10に示すように、第4搬送機構40は、ベース部41と、架台部42と、架台部支持部43と、傾斜機構44と、移送機構45と、把持部46と、を有する。
【0048】
ベース部41は、第4搬送機構40の下方に配置され、第4搬送機構40の他の部分を支持する土台となる。ベース部41は、第1ベース部411と、第2ベース部412と、ベース部支持部413と、複数の車輪414と、を有する。第1ベース部411は、ベース部41の最も下側で、長尺部材7を載せたときに長尺部材7の長手方向に沿って延びる長尺の角材である。第2ベース部412は、第1ベース部411から上方に少し離れた位置で、第1ベース部411と略平行に延びる長尺の角材である。第2ベース部412は、第1ベース部411よりも短く、長尺部材7の搬送方向の基端側に寄って配置されている。ベース部支持部413は、第2ベース部412の長手方向の両端で、ベース部41に直交して配置される一対の角材である。ベース部支持部413は、長尺のベース部41が左右に倒れないようにベース部41を支持する。複数の車輪414は、第1ベース部411の先端、及び、ベース部支持部413を構成する一対の角材それぞれの両端に配置されている。複数の車輪414は、ベース部41に取り付けられることにより、第4搬送機構40を移動可能に構成している。
【0049】
架台部42は、ベース部41から上方に離れた位置に配置され、ベース部41に沿って延びる長尺の台である。架台部42の上には、長尺部材7が載せられる。架台部42は、架台ベース部421と、ローラー移送部422と、を有する。
【0050】
架台ベース部421は、幅の細い略直方体の部材である。架台ベース部421の幅方向の両側部には、後述する移送部454のレール部4542が配置される。
【0051】
ローラー移送部422は、架台ベース部421の先端側に配置され、架台ベース部421よりも長さが短く、幅の広い略長方形に構成される。ローラー移送部422は、複数のローラー4221と、ローラー支持端4222と、を有する。ローラー4221は、ローラー移送部422の幅方向がローラー4221の長軸となる円筒である。ローラー4221は、ローラー移送部422の長手方向に間隔を空けて複数配置されている。ローラー支持端4222は、ローラー移送部422の幅方向の一方及び他方に配置され、ローラー移送部422の長手方向に延びる平板である。ローラー支持端4222におけるローラー4221が配置される内側の面には、ローラー4221の軸を支持する軸受け孔4223が形成されており、ローラー4221を支持している。ローラー移送部422により、長尺部材7の長手方向への移動が容易になる。
【0052】
架台部支持部43は、ベース部41と架台部42とを接続し、架台部42を支持する部分である。架台部支持部43は、支持脚431と、補助部432と、傾斜軸433と、を有する。支持脚431は、ベース部41から上方向に延びる角材である。支持脚431は、ベース部41に対して略直交して延びる。補助部432は、ベース部41及び支持脚431に対して斜めに延びる。補助部432は、ベース部41と支持脚431とが略直交する関係に接続されている間を、補強する角材であり、一端がベース部41に、他端が支持脚431に接続される。
【0053】
傾斜軸433は、支持脚431の上端に配置され、支持脚431の上端と架台部42の下面とを接続する部分である。傾斜軸433は、軸部433aと、支持脚側接続部433bと、架台側接続部433cとを有する。軸部433aは、架台部42の裏面に、架台部42の幅方向に沿って延びる円柱である。軸部433aは回転可能である。支持脚側接続部433bは、支持脚431の上端に接続され、軸部433aが貫通する貫通孔を有する略U字状の部材である。架台側接続部433cは、架台部42の裏面に接続され、軸部433aが貫通する貫通孔を有する略U字状の部材である。支持脚側接続部433b及び架台側接続部433cの貫通孔を軸部433aが貫通することで、架台部42が長手方向に沿って傾斜可能に構成されている。
【0054】
傾斜機構44は、長尺部材7を載置した架台部42を上方に傾斜させるための機構である。傾斜機構44は、傾斜機構ハンドル441と、傾斜機構ベルト442と、傾斜機構押えローラー443と、を有する。
【0055】
傾斜機構ハンドル441は、補助部432の上端近傍に配置される。傾斜機構ハンドル441は、後述する傾斜機構ベルト442を巻き付ける操作が可能に構成されている。傾斜機構ハンドル441は、軸部441aと、把手部441bとを有し、把手部441bを回すことで軸部441aが回転するようになっている。軸部441aは、軸部441aの長手方向がベース部41及び架台部42の長手方向に直交する方向に配置されている。
【0056】
傾斜機構押えローラー443は、第1ベース部411の基端側に配置される円筒体である。傾斜機構押えローラー443は、長手方向が軸部441aと同じ方向に向くように配置されている。
【0057】
傾斜機構ベルト442は、
図11~
図13に示すように、傾斜機構ハンドル441の軸部441aと、架台部42の基端の下面とに接続される。傾斜機構ベルト442は、傾斜機構押えローラー443の下面を通るように配置されている。
図11に示すように、傾斜機構ベルト442が傾斜機構ハンドル441に巻かれずに伸びているとき、架台部42は、ベース部41に対して略平行に延びている。
図12~
図13に示すように、傾斜機構ハンドル441を時計回りに回すと、傾斜機構ベルト442が傾斜機構ハンドル441の軸部441aに巻き取られて短くなる。すると、傾斜機構ベルト442が架台部42の基端を下方に牽引し、架台部42が傾斜する。
【0058】
移送機構45は、架台部42に載せ、傾斜させた長尺部材7を下方から上方へ移送する機構である。移送機構45は、移送機構ハンドル451と、移送機構ベルト452と、移送機構押えローラー453と、移送部454と、を有する。
【0059】
移送機構ハンドル451は、架台部42の裏面における支持脚431と接続された部分よりも基端側に配置される。移送機構ハンドル451は、後述する移送機構ベルト452を巻き付ける操作が可能に構成されている。移送機構ハンドル451は、軸部451aと、把手部451bとを有し、把手部451bを回すことで軸部451aが回転するようになっている。軸部451aは、軸部451aの長手方向が架台部42の長手方向に直交する方向に配置されている。
【0060】
移送機構押えローラー453は、架台部42の裏面における移送機構ハンドル451よりも基端側に配置される円筒体である。移送機構押えローラー453は、長手方向が軸部451aと同じ方向に向くように配置されている。
【0061】
移送部454は、架台部42の上面側に配置される板材である。移送部454は、
図10~
図13に示すように、移送部材4541と、レール部4542と、を有する。移送部材4541は、長尺部材7の端部を支持に配置され、架台ベース部421に対して略直交する方向に起立する板材である。移送部材4541は、長尺部材7の長手方向の端部における端面を支持する。レール部4542は、架台ベース部421の基端側から先端側に向かって長手方向に沿って延びる。レール部4542は、架台ベース部421の基端側から、架台部42における支持脚431との接続部よりも基端側まで延びている。移送部材4541は、レール部4542と係合しており、移送部材4541がレール部4542に沿って移動可能になっている。
【0062】
移送機構ベルト452は、
図11~
図13に示すように、移送機構ハンドル451の軸部451aと、架台ベース部421の裏面を介して移送部材4541の裏面とに接続されている。移送機構ベルト452は、移送機構ベルト452の一方及び他方の端部の間で移送機構押えローラー453に当接している。
図11に示すように、移送機構ベルト452が移送機構ハンドル451に巻かれずに伸びているとき、移送部材4541は、架台ベース部421の基端に位置している。
図12~
図13に示すように、移送機構ハンドル451を時計回りに回すと、移送機構ベルト452が移送機構ハンドル451の軸部451aに巻き取られて短くなる。すると、移送機構ベルト452が移送部材4541を上方に引っ張る。引っ張られた移送部材4541は、レール部4542に係合した状態で上方へ移動する。移送部材4541の移動により、架台部42に載せられていた長尺部材7が上方へ移動する。
【0063】
把持部46は、ベース部41の第2ベース部412の基端から、外側に傾斜するように配置される。把持部46は、第4搬送機構40を倉庫内等で移動させる際に把持する部分である。把持部46は、下方から外側へ傾斜する一対の長縁461と、一対の長縁461を接続する短縁462を有する。長縁461は、第2ベース部412の基端側に配置されるベース部支持部413の両端からそれぞれ外側に延びる。短縁462は、長縁461の上端同士を接続し、作業者が握る部分である。
【0064】
第4搬送機構40で長尺部材7を運搬車5の荷台50に荷積みする工程について説明する。第1搬送機構10及び第2搬送機構20を用いて長尺部材7を運搬し、第4搬送機構40の架台部42に長尺部材7を載せる。この際、長尺部材7の基端側の端部を、架台部42に設けられた移送機構45の移送部材4541に当接するように載置する(載置工程S9)。
【0065】
次に、傾斜機構44の傾斜機構ハンドル441を回転するように操作する。傾斜機構ハンドル441を回すと、傾斜機構ベルト442が巻き取られて架台部42の基端側が下方に牽引されるので、架台部42が上方に傾斜する。傾斜機構ハンドル441の操作により、架台部42の角度を調整する。角度は、長尺部材7が荷台50の鳥居部54に載せられるか、又は傾斜させた状態で荷台50の上に載せられるように調整する。これにより、長尺部材7を架台部42に載置した状態で上方へ傾斜させる(傾斜工程S10)。
【0066】
次に、移送機構45の移送機構ハンドル451を回転するように操作する。移送機構ハンドル451を回すと、移送機構ベルト452が巻き取られて移送部材4541が上方に移動するので、傾斜した長尺部材7が上方へ移送される(移送工程S11)。長尺部材7を十分に上方に移送したら、長尺部材7を荷台50に傾斜させた状態で積載する(積載工程S12)。第4搬送機構40を用いると、傾斜機構ハンドル441で長尺部材7を傾斜させ、移送機構ハンドル451で長尺部材7を上方へ移送させることができるので、運搬車5が所謂箱車や幌車等で、長尺部材7を運搬車5の後方から前方へ移動させることしかできない場合でも、単独で荷積み、荷降ろしを行うことができる。
【0067】
第4搬送機構40は、第1実施形態で説明した荷室を有さない運搬車5、すなわち、側アオリ部52及び後アオリ部53を下垂させて荷台50の側壁を倒し、荷台50を平坦な台とすることのできる運搬車5に荷積み及び荷降ろしする際に用いてもよい。
【0068】
図14は、第3実施形態に係る第2搬送機構20Aの斜視図である。第2搬送機構20Aは、差し込み部24Aがローラー支持部23の幅方向の一方及び他方から下方に延びる。第2搬送機構20Aは、側面視で、一対の差し込み部24Aとローラー支持部23とで下方に開口した略コの字の形状が形成されている点で第1実施形態と異なる。第2搬送機構20Aによれば、一対の差し込み部24Aで後アオリ部53の板の厚みを挟むように配置することができる。すなわち、差し込み部24Aの一方を荷台50の後端と後アオリ部53との隙間Gに差し込むと同時に、他方の差し込み部24Aが、後ろに倒された状態の後アオリ部53の下垂する面に当接する。第2搬送機構20Aによれば、より安定して設置することが可能になる。
【0069】
図15は、第4実施形態に係る第3搬送機構30Bの斜視図である。第4実施形態によれば、第3搬送機構30Bは、第1実施形態における第3搬送機構30と、対車輪33Bの形状が異なる。第1実施形態では、対車輪33は、バルーンタイヤの車輪部331を有している。しかし。第3搬送機構30Bを走行させる地面が平らに整地されていたり舗装されたりしている場合には、バルーンタイヤよりも幅の狭いタイヤの車輪部331Bを用いても構わない。タイヤの種類や幅は限定されるものではなく、工具を用いてタイヤを適した幅のものに取り替えてよい。また、第3搬送機構30Bは、第1脚部3211及び第2脚部3212に跨って接続される棒状の把手部36を取り付けてもよい。把手部36の両端をハンドルとして握ることで、運搬が容易になる。
【符号の説明】
【0070】
1 長尺部材の搬送システム、 7 長尺部材、 10 第1搬送機構、 11 可動架台、12 可動架台支持部(支持部)、 13 車輪、 20 第2搬送機構、 21 ローラー部、 24 差し込み部、 30 第3搬送機構、 31 折り畳み架台、 33 対車輪、 40 第4搬送機構、 44 傾斜機構、 45 移送機構、 50 荷台、 53 後アオリ部