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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174495
(43)【公開日】2022-11-24
(54)【発明の名称】振動ふるい装置
(51)【国際特許分類】
   B07B 1/46 20060101AFI20221116BHJP
   B07B 1/28 20060101ALI20221116BHJP
   B07B 1/54 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
B07B1/46 B
B07B1/28 Z
B07B1/54 Z
B07B1/46 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080330
(22)【出願日】2021-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000236632
【氏名又は名称】不二パウダル株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】505433828
【氏名又は名称】株式会社国誉アルミ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104662
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智司
(74)【代理人】
【識別番号】100184631
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 隆
(72)【発明者】
【氏名】牛呂 隆之
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 忠史
【テーマコード(参考)】
4D021
【Fターム(参考)】
4D021AA02
4D021AB01
4D021BA20
4D021CA07
4D021DA03
4D021DB15
(57)【要約】
【課題】洗浄性に富み、高い強度及び形状安定性を有する受皿を備えた振動ふるい装置を提供する。
【解決手段】少なくとも一つのハウジングと、ハウジング内に配設されたふるい網と、ハウジング内でふるい網の下方に設けられた板状の受皿12と、受皿12上に配置された複数の球体17と、弾性体を介してハウジングを支持する基台と、ハウジングに連結されて、振動を付与する振動機構とを備える。受皿12は、接合部を有しない一体物として形成されるとともに、複数の貫通孔13を備え、更に、上方に突出するように形成され、且つ上面を複数の領域に区分けするように形成された仕切壁14,15,16を備える。球体17は、仕切壁14,15,16によって区分けされた各領域内にそれぞれ配置される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのハウジングと、
前記ハウジング内に配設されたふるい網と、
前記ハウジング内で前記ふるい網の下方に設けられた板状の受皿と、
前記受皿上に配置された複数の球体と、
弾性体を介して前記ハウジングを支持する基台と、
前記ハウジングに連結されて、該ハウジングに振動を付与する振動機構とを備えた振動ふるい装置において、
前記受皿は、接合部を有しない一体物として形成されるとともに、複数の貫通孔を備え、更に、上方に突出するように形成され、且つ上面を複数の領域に区分けするように形成された仕切壁を備えてなり、
前記球体は、前記仕切壁によって区分けされた各領域内にそれぞれ配置されていることを特徴とする振動ふるい装置。
【請求項2】
前記仕切壁は、同心状に形成された複数の円環状の突出部から構成されていることを特徴とする請求項1記載の振動ふるい装置。
【請求項3】
前記仕切壁は、前記円環状の突出部間を連結するように、前記円環状の突出部の中心側から放射状に設けられた複数のリブ状の突出部を備えていることを特徴とする請求項2記載の振動ふるい装置。
【請求項4】
前記仕切壁は、円環状の突出部と、前記円環状の突出部の中心側から放射状に設けられて前記円環状の突出部に連結され、且つ前記中心側が相互に連結された複数のリブ状の突出部を備えていることを特徴とする請求項1記載の振動ふるい装置。
【請求項5】
前記仕切壁は、縦断面が山形に形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の振動ふるい装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体材料の分級、選別、ろ過などに用いられる振動ふるい装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述した振動ふるい装置の一例として、実開平6-81674号公報に開示された振動ふるい装置が知られている。
【0003】
この振動ふるい装置は、上下方向に積層された上段ふるい枠、中段ふるい枠及び下段ふるい枠と、ばね体を介して下段ふるい枠を支持する基台と、下段のふるい枠に連結され、当該下段ふるい枠に振動を付与する振動機構などを備えている。そして、上段ふるい枠及び中段ふるい枠内には、それぞれ、ふるい網が設けられるとともに、このふるい網の下方にはそれぞれ受皿が設けられ、更に各受皿上にはふるい網を叩くための多数の球体がそれぞれ配置されている。尚、中段のふるい網の網目は上段のふるい網の網目よりも細かい網目となっており、また、各受皿には、球体よりも小径の貫通孔が多数穿孔されている。
【0004】
斯くして、この振動ふるい装置によれば、前記振動機構により振動が付与された状態で、処理対象の粉体が前記上段ふるい枠内に投入されると、まず、網目の大きい上段のふるい網によって、その網目より大きい粒径の粉体と、網目より小さい粉体とにふるい分けられ、網目より小さい粉体はふるい網を通過して落下した後、下方の受皿の貫通孔を通って、中段ふるい枠のふるい網上に落下し、一方、網目より大きい粒径の粉体は上段ふるい枠に形成された排出口から大粒径の粉体として外部に排出される。
【0005】
次に、中段ふるい枠では、同様にして、中段のふるい網上に落下した粉体が、ふるい網によって、その網目より大きい粒径の粉体と、網目より小さい粉体とにふるい分けられ、網目より小さい粉体はふるい網を通過して落下した後、下方の受皿の貫通孔を通って、下段ふるい枠に落下し、下段ふるい枠に形成された排出口から小粒径の粉体として外部に排出され、一方、網目より大きい粒径の粉体は中段ふるい枠に形成された排出口から中粒径の粉体として外部に排出される。
【0006】
このように、この振動ふるい装置では、粉体を、大粒径、中粒径及び小粒径の3種類に分級できるようになっている。尚、異物を除去する用途では、前記上段ふるい枠及び上段ふるい網を省略し、中段ふるい枠及び下段ふるい網のみを使用することがあり、ふるい網の分級精度を高めるために、上段ふるい枠、上段ふるい網に加えて、中段ふるい枠、中段ふるい網を2段にして使用することもある。
【0007】
前記ふるい網には粉体が付着し易く、このため目詰まりを生じ易いが、上記従来の振動ふるい装置では、受皿上に多数の球体が配置され、この球体が振動機構から伝播される振動を受けることによって、ふるい網を下方から叩くように構成されているので、この球体の叩き効果によって、ふるい網に目詰まりが生じるのを防止できるようになっている。
【0008】
また、受皿上の球体が分散されず、所々に集まった状態になると、ふるい網に対する球体の叩き効果が局所的になるため、ふるい網の全域に対して、その目詰まりを防止することができなくなる可能性がある。
【0009】
そこで、従来、図6及び図7に示すような受皿が提案されている。この受皿100は、円板状の基板101と、この基板101上に、同心状に設けられた3つの円環状の仕切壁103,104,105とから構成される。そして、この仕切壁103,104,105によって、基板101上の領域が3つの領域に区分けされ、区分けされた3領域のそれぞれに球体106が配置されている。
【0010】
ところで、従来、仕切壁103,104,105は、それぞれ点溶接によって部分的に基板101上に固着されている。これは仕切壁103,104,105が基板101と接する全域を溶接すると、溶接時の入熱によって、基板101と仕切壁103,104,105との接合部(溶接部)が硬化して靭性を失うため、連続的な振動を伴う振動ふるい装置では、前記接合部が容易に疲労破壊を起こして損傷する可能性があり、また、基板101及び仕切壁103,104,105が溶接による熱歪によって変形し、求める形状を維持することができない可能性があるからである。
【0011】
因みに、従来、図8に示すように、仕切壁103,104,105の強度を高めるために、当該仕切壁103,104,105の各上面に、それぞれ円環状の丸材107,108,109を点溶接により固着したものも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】実開平6-81674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところが、上述した従来の振動ふるい装置には、以下に説明するような問題があった。即ち、上述のように、前記仕切壁103,104,105は、それぞれ点溶接によって部分的に基板101上に固着されているため、仕切壁103,104,105の下面と、基板101の上面とが対向する殆どの部分において隙間を生じており、この隙間に粉体が入り込むと、水洗いなどの洗浄によっても容易には除去することができないのである。
【0014】
粉体を処理する分野では、取り扱う粉体が食品である場合には、食物アレルギーの問題があり、また、薬剤である場合には、薬効の問題があるため、一般的に、処理粉体の種類が代わるたびに、少なくとも粉体が通る経路を水洗いなどによって洗浄することが行われているが、上述した従来の振動ふるい装置では、その受皿に関して、十分な洗浄効果が得られていなかった。
【0015】
本発明は、以上の実情に鑑みなされたものであって、洗浄性に富むとともに、高い強度、及び形状安定性を有する受皿を備えた振動ふるい装置の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するための本発明は、
少なくとも一つのハウジングと、
前記ハウジング内に配設されたふるい網と、
前記ハウジング内で前記ふるい網の下方に設けられた板状の受皿と、
前記受皿上に配置された複数の球体と、
弾性体を介して前記ハウジングを支持する基台と、
前記ハウジングに連結されて、該ハウジングに振動を付与する振動機構とを備えた振動ふるい装置において、
前記受皿は、接合部を有しない一体物として形成されるとともに、複数の貫通孔を備え、更に、上方に突出するように形成され、且つ上面を複数の領域に区分けするように形成された仕切壁を備えてなり、
前記球体は、前記仕切壁によって区分けされた各領域内にそれぞれ配置された振動ふるい装置に係る。
【0017】
この振動ふるい装置によれば、前記振動機構により振動が付与された状態で、処理対象の粉体が前記ハウジング内に投入されると、ふるい網によって、その網目より大きい粒径の粉体と、網目より小さい粉体とにふるい分けられ、網目より小さい粉体はふるい網を通過して落下した後、下方の受皿の貫通孔を通過し、この後、適宜形成された排出口から小さい粒径の粉体として外部に排出され、一方、網目より大きい粒径の粉体は、同様に適宜形成された排出口から、大きい粒径の粉体として外部に排出される。
【0018】
その際、前記受皿上に配置された球体は、前記振動機構からの振動を受けることにより、ふるい網を下方から叩くように上下方向に振動し、この球体の叩き効果によって、ふるい網に目詰まりが生じるのが防止される。
【0019】
また、前記受皿は、その上面が仕切壁によって複数の領域に区分けされ、区分けされた各領域内にそれぞれ球体が配置されているので、受皿上で、球体を分散した状態に維持することができる。これにより、ふるい網の全域に対して、球体による叩き効果を作用させることができ、ふるい網に目詰まりが生じるのを効果的に防止することができる。
【0020】
また、前記受皿は、その前記仕切壁が上方に突出するように形成されているので、その表裏面(上下面)に作用する荷重や振動に対して高い強度を有している。また、受皿は接合部を有しない一体物として形成されており、従来のように、その表裏面に粉体が入り込むような隙間が形成されていないので、水洗いなどの洗浄によって、容易に清浄にすることができる。
【0021】
尚、この受皿は、金属材料や樹脂材料を用いて形成することができ、金属板から形成する場合には、前記仕切壁はプレス加工やヘール加工によって形成することができる。この場合、前記仕切壁は、塑性変形によって形成される。また、樹脂製の場合には、射出成型によって形成することができる。また、前記ハウジング、ふるい網、受皿及び球体から構成されるユニットの複数個を、上下方向に多段に積み重ねた態様とすることができる。
【0022】
また、前記仕切壁は、同心状に形成された複数の円環状の突出部から構成された態様を採ることができ、この場合に、更に、円環状の突出部間を連結するように、円環状の突出部の中心側から放射状に配置された複数のリブ状の突出部を設けた態様とすることができる。
【0023】
或いは、前記仕切壁は、円環状の突出部と、この円環状の突出部の中心側から放射状に配置されて、当該円環状の突出部に連結され、且つその中心側が相互に連結された複数のリブ状の突出部とから構成された態様を採ることができる。
【0024】
また、前記仕切壁は、縦断面が山形に形成されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明に係る振動ふるい装置は、その受皿の上面が仕切壁によって複数の領域に区分けされ、区分けされた各領域内にそれぞれ球体が配置されているので、受皿上で、球体を分散した状態に維持することができ、これにより、ふるい網の全域に対して、球体による叩き効果を作用させることができ、この結果、ふるい網に目詰まりが生じるのを効果的に防止することができる。
【0026】
また、前記受皿は、仕切壁が上方に突出するように形成されているので、その表裏面(上下面)に作用する荷重や振動に対して高い強度を有している。また、受皿は接合部を有しない一体物として形成され、従来のように、その表裏面に粉体が入り込むような隙間が形成されていないので、水洗いなどの洗浄によって、容易に清浄にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態に係る振動ふるい装置を示した断面図である。
図2】本実施形態に係る受皿を示した平面図である。
図3図2における矢視A-A方向の断面図である。
図4】本発明の変形例1に係る受皿を示した平面図である。
図5】本発明の変形例2に係る受皿を示した平面図である。
図6】従来例に係る受皿を示した平面図である。
図7図6における矢視B-B方向の断面図である。
図8】他の従来例に係る受皿であって、図6における矢視B-B方向に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0029】
図1に示すように、本例の振動ふるい装置1は、上下方向に積層した状態で配設された第1ふるい枠10、第2ふるい枠20及び第3ふるい枠30と、第3ふるい枠30の下端部に設けられる支持板5と、支持板5を4つの圧縮コイルバネ4を介して支持する基台3と、前記支持板5に連結されて当該支持板5に振動を付与する振動機構40と、前記第1ふるい枠10の上部開口を閉塞する蓋体2などを備えている。尚、図1において、一点鎖線は中心線等であり、形状を示す線ではない。
【0030】
前記第1ふるい枠体10、第2ふるい枠20及び第3ふるい枠30は、それぞれ上下が開口する中空円筒状をした部材から構成される。そして、第1ふるい枠10上には、その上側の開口を閉塞するように円錐状(傘状)の蓋体2が載置され、相互の接合外周面を締結バンド35によって締結することにより、第1ふるい枠10及び蓋体2が相互に連結されている。尚、蓋体2の中心部には、処理粉体を投入するための投入口2aが形成されている。
【0031】
前記第1ふるい枠10と第2ふるい枠20との間には円板状の第1受皿12が設けられており、これら第1ふるい枠10及び第2ふるい枠20は、第1受皿12の周縁を挟持した状態で、その外周面が締結バンド36によって締結され、これにより、第1ふるい枠10及び第2ふるい枠20が相互に連結されている。
【0032】
同様に、前記第2ふるい枠20と第3ふるい枠30との間には円板状の第2受皿22が設けられており、これら第2ふるい枠20及び第3ふるい枠30は、第2受皿22の周縁を挟持した状態で、その外周面が締結バンド37によって締結され、これにより、第2ふるい枠20及び第3ふるい枠30が相互に連結されている。
【0033】
また、上述したように、第3ふるい枠30の下端部には支持板5が設けられおり、その接合外周面を締結バンド38によって締結することにより、第3ふるい枠30と支持板5とが相互に連結されている。
【0034】
前記第1ふるい枠10の内周面には円環状の保持板10aが固設されており、前記第1受皿12の外周縁上に上下に配設された2つの円環状の弾性部材19a、19bを介して、前記保持板10a及び前記第1受皿12により挟持された状態で、円板状の第1ふるい網11が保持されている。
【0035】
同様に前記第2ふるい枠20の内周面には円環状の保持板20aが固設されており、前記第2受皿22の外周縁上に上下に配設された2つの円環状の弾性部材29a、29bを介して、前記保持板20a及び前記第2受皿22により挟持された状態で、円板状の第2ふるい網21が保持されている。尚、前記第1ふるい網11の網目は、前記第2ふるい網21の網目よりも大きな網目となっている。
【0036】
また、前記第1ふるい枠10の外周面には、前記保持板10aの上面に接するように、当該保持板10aより上側に形成された矩形の開口部10bに接続する前記第1排出管18が固設され、同様に、前記第2ふるい枠20の外周面には、前記保持板20aの上面に接するように、当該保持板20aより上側に形成された矩形の開口部20bに接続する前記第2排出管28が固設されている。
【0037】
また、前記第3ふるい枠30内には、円錐形をした傘部材31が、その外周部全域が当該第3ふるい枠30の内周面に固着されており、当該第3ふるい枠30の外周面には、前記傘部材31の上面に接するように形成された矩形の開口部30aに接続する前記第3排出管32が固設されている。
【0038】
前記第1受皿12及び第2受皿22は同じ構成を備えるもので、図2及び図3では、第2受皿22に対応する構成部分の符号を括弧書きで示しており、以下では、代表として第1受皿52についてその構成を説明するが、対応する第2受皿22の構成については、括弧書きでその符号を記している。
【0039】
図2及び図3に示すように、前記第1受皿12(第2受皿22)は、円板状に形成されるとともに、上下に貫通する複数の貫通孔13(23)を備え、更に、上方に突出するように形成され、且つ上面を複数の領域(本例では3つの領域)に区分けするように形成された仕切壁としての第1突出部14(24)、第2突出部15(25)及び第3突出部16(26)を備えており、接合部を有しない一体物として形成されている。
【0040】
これら第1突出部14(24)、第2突出部15(25)及び第3突出部16(26)は、図2に示すように、それぞれ平面視円環状に形成されるとともに、第1突出部14(24)、第2突出部15(25)及び第3突出部16(26)の順に順次小径に形成されて同心状に配置されており、図3に示すように、その縦断面形状は山形状を有し、裏面側は円環状の凹部となっている。
【0041】
そして、これら第1突出部14(24)、第2突出部15(25)及び第3突出部16(26)によって区分けされた各領域、即ち、第1突出部14(24)と第2突出部15(25)との間の領域、第2突出部15(25)と第3突出部16(26)との間の領域、及び第3突出部16(26)の環内の領域に、それぞれ複数の球体17(27)が配置されている。尚、前記貫通孔13(23)の内径は、球体17(27)の外径よりも小径となっている。
【0042】
この第1受皿12(第2受皿22)は、金属材料や樹脂材料を用いて形成することができ、金属板から形成する場合には、前記第1突出部14(24)、第2突出部15(25)及び第3突出部16(26)を、プレス加工やヘール加工による塑性変形によって形成することができ、樹脂製の場合には、射出成型によって形成することができる。
【0043】
前記振動機構40は、上下方向にそれぞれ延出する出力軸41a,41bを有する駆動モータ41と、上側の出力軸41aに連結された上部ウエイト42と、下側の出力軸41bに連結された下部ウエイト43とから構成される。前記駆動モータ41は、前記支持板5の中心部に形成された貫通孔5aを通して、前記上側の出力軸41a及び上部ウエイト42が第3ふるい枠30内に位置した状態で、当該支持板5の下面に固設されている。尚、上部ウエイト42及び下部ウエイト43は、その重心が前記出力軸41a、41bの中心から外径方向外寄りに位置している。
【0044】
斯くして、前記駆動モータ41を回転させると、その出力軸41a,41bに連結された上部ウエイト42及び下部ウエイト43が回転し、これらの重心が回転中心より外径方向外寄りに位置していることから、当該駆動モータ41が振動する。そして、この振動が、前記支持板5に伝播され、更に、この支持板5上に設けられた第3ふるい枠30,第2ふるい枠20及び第1ふるい枠10に伝播されて、これらが振動する。尚、支持板5、並びに第3ふるい枠30,第2ふるい枠20及び第1ふるい枠10は、圧縮コイルバネ4によって支持されているので、駆動モータ41からの振動を受けて、自由に振動する。
【0045】
以上の構成を備えた本例の振動ふるい装置1によれば、前記振動機構40の駆動モータ41を駆動することにより発生した振動が支持板5、第3ふるい枠30,第2ふるい枠20及び第1ふるい枠10に伝播されて、これらが振動している状態で、処理対象の粉体が前記蓋体2の頂部に形成された投入口2aから第1ふるい枠10に投入される。
【0046】
そして、第1ふるい枠10に投入されると、処理粉体は、まず、第1ふるい枠10内の第1ふるい網11上に落下し、この第1ふるい網11によって、その網目より大きい粒径の粉体と、網目より小さい粉体とにふるい分けられ、網目より小さい粉体は第1ふるい網11を通過して下方の第1受皿12上に落下し、一方、網目より大きい粒径の粉体は、第1ふるい網11上を前記開口部10b側に向けて移動し、当該開口部10bから第1排出管18を経て、大粒径の粉体として当該第1排出管18の開口部18aから外部に排出される。
【0047】
第1受皿12上に落下した粉体は、この第1受皿12に形成された貫通孔13を通過して下方の第2ふるい網21上に落下し、この第2ふるい網21によって、その網目より大きい粒径の粉体と、網目より小さい粉体とにふるい分けられ、網目より小さい粉体は第2ふるい網21を通過して下方の第2受皿22上に落下し、一方、網目より大きい粒径の粉体は、第2ふるい網21上を前記開口部20b側に向けて移動し、当該開口部20bから第2排出管28を経て、中粒径の粉体として当該第2排出管28の開口部28aから外部に排出される。
【0048】
そして、第2受皿22上に落下した粉体は、この第2受皿22に形成された貫通孔23を通過して下方の傘部材31上に落下し、この傘部材31を前記開口部30a側に向けて移動し、当該開口部30aから第2排出管32を経て、小粒径の粉体として当該第3排出管32の開口部32aから外部に排出される。
【0049】
このように、本例の振動ふるい装置1によれば、処理粉体を、大粒径、中粒径及び小粒径の3種類に分級することができる。
【0050】
また、この振動ふるい装置1では、前記第1受皿12及び第2受皿22上にそれぞれ複数の球体17及び球体27を配置しており、これら第1受皿12及び第2受皿22上に配置された球体17及び球体27は、前記振動機構40からの振動を受けることによって、それぞれ第1ふるい網11及び第2ふるい網21を下方から叩くように上下方向に振動するので、この球体17及び球体27の叩き効果によって、第1ふるい網11及び第2ふるい網21に目詰まりが生じるのが防止される。
【0051】
また、前記第1受皿12及び第2受皿22は、その上面がそれぞれ第1突出部14、第2突出部15及び第3突出部16、並びに第1突出部24、第2突出部25及び第3突出部26によって複数の領域に区分けされ、区分けされた各領域内にそれぞれ球体17、27が配置されているので、第1受皿12及び第2受皿22上で、その全域において、それぞれ球体17、27を分散した状態に配置することができる。これにより、第1ふるい網11及び第2ふるい網21の全域に対して、球体17、27による叩き効果を作用させることができ、第1ふるい網11及び第2ふるい網21に目詰まりが生じるのを効果的に防止することができる。
【0052】
また、前記第1受皿12及び第2受皿22は、それぞれ第1突出部14、第2突出部15及び第3突出部16、並びに第1突出部24、第2突出部25及び第3突出部26が上方に突出するように形成されているので、その表裏面(上下面)に作用する荷重や振動に対して高い強度を有している。また、第1受皿12及び第2受皿22は接合部を有しない一体物として構成され、従来のように、その表裏面に粉体が入り込むような隙間が形成されていないので、水洗いなどの洗浄によって、容易に清浄にすることができる。
【0053】
尚、この実施形態では、前記第1受皿12(第2受皿22)において、3つの環状の第1突出部14(24)、第2突出部15(25)及び第3突出部16(26)を形成したが、設ける仕切壁としての突出部の数は、これに限られるものではなく、2つ又は4つ以上の突出部を設けても良い。
【0054】
また、処理粉体を分級する数が2級であの場合には、第2ふるい枠20、第2ふるい網21、第2受皿22、球体27、第2排出管28及び弾性部材29a,29bから構成されるユニットを省略しても良く、逆に、分級する数が4級以上である場合には、級数に応じた数のユニットを積層するように加えても良い。
【0055】
(変形例1)
また、上述した実施形態に係る振動ふるい装置1において、前記第1受皿12及び第2受皿22に代えて、図4に示した態様(変形例1)の第1受皿52及び第2受皿62を用いることができる。この第1受皿52及び第2受皿62は同じ構成を備えるもので、図4では、第2受皿56に対応する構成部分の符号を括弧書きで示しており、以下では、代表として第1受皿52についてその構成を説明するが、対応する第2受皿62の構成については、括弧書きでその符号を記している。
【0056】
図4に示すように、前記第1受皿52(第2受皿62)は、円板状に形成されるとともに、上下に貫通する複数の貫通孔53(63)を備え、更に、上方に突出するように形成され、且つ上面を複数の領域(この例では5つの領域)に区分けするように形成された仕切壁としての第1突出部54(64)、第2突出部55(65)、第3突出部56(66)、第4突出部57(67)、第5突出部58(68)及び第6突出部59(69)を備えており、接合部を有しない一体物として形成されている。尚、貫通孔53(63)は、球体17(27)の外径よりも小径となっている。
【0057】
前記第1突出部54(64)及び第2突出部55(65)は、それぞれ平面視円環状に形成されるとともに、第1突出部54(64)は、第2突出部55(65)の直径より大きい直径を有しており、それぞれ同心状に配置されている。
【0058】
前記第3突出部56(66)、第4突出部57(67)、第5突出部58(68)及び第6突出部59(69)は、中心側から放射状に周方向等間隔に形成されたリブ状の突出部であり、それぞれその外周側が前記第1突出部54(64)の内周部に連結され、中心側が前記第2突出部55(65)の外周部に連結されている。
【0059】
尚、前記第1突出部54(64)、第2突出部55(65)、第3突出部56(66)、第4突出部57(67)、第5突出部58(68)及び第6突出部59(69)は、その縦断面形状が山形状を有しているのが好ましい。
【0060】
そして、これら第1突出部54(64)、第2突出部55(65)、第3突出部56(66)、第4突出部57(67)、第5突出部58(68)及び第6突出部59(69)によって区分けされた各領域内にそれぞれ複数の球体17(27)が配置される。
【0061】
斯くして、この態様の第1受皿52(第2受皿62)においても、その上面がそれぞれ第1突出部54(64)、第2突出部55(65)、第3突出部56(66)、第4突出部57(67)、第5突出部58(68)及び第6突出部59(69)によって複数の領域に区分けされ、区分けされた各領域内にそれぞれ球体17(27)が配置されるので、第1受皿52(第2受皿62)上で、その全域において、それぞれ球体17(27)を分散した状態に配置することができる。これにより、第1ふるい網11(第2ふるい網21)の全域に対して、球体17(27)による叩き効果を作用させることができ、第1ふるい網11(第2ふるい網21)に目詰まりが生じるのを効果的に防止することができる。
【0062】
また、第1受皿52(第2受皿62)は、それぞれ第1突出部54(64)、第2突出部55(65)、第3突出部56(66)、第4突出部57(67)、第5突出部58(68)及び第6突出部59(69)が上方に突出するように形成されているので、その表裏面(上下面)に作用する荷重や振動に対して高い強度を有している。また、第1受皿52(第2受皿62)は、接合部を有しない一体物として構成され、従来のように、その表裏面に粉体が入り込むような隙間が形成されていないので、水洗いなどの洗浄によって、容易に清浄にすることができる。
【0063】
尚、この変形例1において、第2突出部55(65)を設けないで、第3突出部56(66)、第4突出部57(67)、第5突出部58(68)及び第6突出部59(69)の中心側を、第1受皿52(第2受皿62)の中心部において、相互に直接連結させた態様としても良い。また、リブ状の突出部の数についは制限的ではなく、適宜必要に応じて複数のリブ状突出部を設けることができる。
【0064】
(変形例2)
また、上述した実施形態に係る振動ふるい装置1において、前記第1受皿12及び第2受皿22に代えて、図5に示した態様(変形例2)の第1受皿12’及び第2受皿22’を用いることができる。この第1受皿12’及び第2受皿22’は同じ構成を備えるもので、それぞれ上述した実施形態に係る第1受皿12及び第2受皿22を変形したものである。したがって、図4において、第1受皿12及び第2受皿22と同じ構成部分については同じ符号を付すとともに、第2受皿22’に対応する構成部分の符号を括弧書きで示し、以下では、代表として第1受皿12’についてその構成を説明し、対応する第2受皿22’の構成については、括弧書きでその符号を記している。
【0065】
図5に示すように、第1受皿12’(第2受皿22’)は、上方に突出するように形成された仕切壁として、更に、第4突出部71(81)、第5突出部72(82)、第6突出部73(83)、第7突出部74(84)、第8突出部75(85)、第9突出部76(86)、第10突出部77(87)、第11突出部78(88)を備えるとともに、接合部を有しない一体物として形成されている。
【0066】
前記第4突出部71(81)、第6突出部73(83)、第8突出部75(85)及び第10突出部77(87)は、それぞれ前記第1突出部14(24)と第2突出部15(25)との間に配設されるとともに、中心側から放射状に周方向等間隔に形成されたリブ状の突出部であり、それぞれその外周側が前記第1突出部14(24)の内周部に連結され、中心側が前記第2突出部15(25)の外周部に連結されている。
【0067】
また、前記第5突出部72(82)、第7突出部74(84)、第9突出部76(86)及び第11突出部78(88)は、それぞれ前記第2突出部15(25)と第3突出部16(26)との間に配設されるとともに、中心側から放射状に周方向等間隔に形成されたリブ状の突出部であり、それぞれその外周側が前記第2突出部15(25)の内周部に連結され、中心側が前記第3突出部16(26)の外周部に連結されている。
【0068】
斯くして、この態様の第1受皿12’(第2受皿22’)においても、その上面がそれぞれ第1突出部14(24)、第2突出部15(25)、第3突出部16(26)、第4突出部71(81)、第5突出部72(82)、第6突出部73(83)、第7突出部74(84)、第8突出部75(85)、第9突出部76(86)、第10突出部77(87)及び第11突出部78(88)によって複数の領域に区分けされ、区分けされた各領域内にそれぞれ球体17(27)が配置されるので、第1受皿12’(第2受皿22’)上で、その全域において、それぞれ球体17(27)を分散した状態に配置することができる。これにより、第1ふるい網11(第2ふるい網21)の全域に対して、球体17(27)による叩き効果を作用させることができ、第1ふるい網11(第2ふるい網21)に目詰まりが生じるのを効果的に防止することができる。
【0069】
また、第1受皿12’(第2受皿22’)は、それぞれ第1突出部14(24)、第2突出部15(25)、第3突出部16(26)、第4突出部71(81)、第5突出部72(82)、第6突出部73(83)、第7突出部74(84)、第8突出部75(85)、第9突出部76(86)、第10突出部77(87)及び第11突出部78(88)が上方に突出するように形成されているので、その表裏面(上下面)に作用する荷重や振動に対して高い強度を有している。また、第1受皿12’(第2受皿22’)は、接合部を有しない一体物として構成され、従来のように、その表裏面に粉体が入り込むような隙間が形成されていないので、水洗いなどの洗浄によって、容易に清浄にすることができる。
【0070】
尚、この変形例2においても、環状の突出部を設ける数、その間に設けるリブ状の突出部の数は、何ら制限的なものではなく、適宜必要に応じて、その数を設定することができる。
【0071】
以上、本発明を具現化した具体的な態様について説明したが、本発明が採り得る態様は、何ら上例のものに限定されるものではなく、必要に応じて、適宜変形した態様を採ることができる。
【符号の説明】
【0072】
1 振動ふるい装置
2 蓋体
3 基台
4 圧縮コイルバネ
5 支持板
10 第1ふるい枠
11 第1ふるい網
12 第1受皿
13 貫通孔
14 第1突出部
15 第2突出部
16 第3突出部
17 球体
18 第1排出管
19a,19b 弾性部材
20 第2ふるい枠
21 第2ふるい網
22 第2受皿
23 貫通孔
24 第1突出部
25 第2突出部
26 第3突出部
27 球体
28 第2排出管
29a,29b 弾性部材
30 第3ふるい枠
31 傘部材
32 第3排出管
35,36、37,38 締結バンド
40 振動機構
41 駆動モータ
42 上部ウエイト
43 下部ウエイト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8