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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174526
(43)【公開日】2022-11-24
(54)【発明の名称】果汁絞り器
(51)【国際特許分類】
   A47J 19/02 20060101AFI20221116BHJP
【FI】
A47J19/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080377
(22)【出願日】2021-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】514015422
【氏名又は名称】ヤマ忠木股製陶合資会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181250
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 信介
(72)【発明者】
【氏名】木股 智洋
(57)【要約】
【課題】従来の果汁絞り器よりも多くの果汁を絞ることができる果樹絞り器を提供する。
【解決手段】果実類の切断面を押し当てて回動させることによる果汁を搾る果汁絞り器6であって、先端が果実類の切断面に当接するドーム状に形成された本体10と、本体10表面に複数個配置された、先端が尖った尖形部20と、本体10の先端部分に上向きに形成された3個の突起部30と、本体10の縦方向に凸状に形成され、円周方向に3個配置されたブレード部40と、本体10の下端部の縁部に形成された、絞り出された果汁及び果肉を受けて注ぎ口から他の容器に注ぐことができる受皿50と、受皿50の側面に取っ手60と、を備えている果汁絞り器6。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
果実類の切断面を押し当てて回動させることによる果汁を搾る果汁絞り器であって、
先端が前記果実類の切断面に当接するドーム状に形成された本体と、
前記本体表面に複数個配置された、先端が尖った尖形部と、
を備えたことを特徴とする果汁絞り器。
【請求項2】
請求項1に記載の果汁絞り器において、
前記本体の先端部分に上向きに形成された複数の突起部を備えていることを特徴とする果汁絞り器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の果汁絞り器において、
前記本体の縦方向に凸状に形成され、円周方向に複数配置されたブレード部を備えていることを特徴とする果汁絞り器。
【請求項4】
請求項3に記載の果汁絞り器において、
前記ブレード部は、切り欠きを有していることを特徴とする果汁絞り器。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の果汁絞り器において、
前記ブレード部は、長手方向の上端部から下端部にかけて前記本体の周方向に傾いた状態で形成されていることを特徴とする果汁絞り器。
【請求項6】
請求項1~請求項5の何れか1項に記載の果汁絞り器において、
前記本体の下端部の縁部に形成された、絞り出された果汁及び果肉を受ける受皿を備えていることを特徴とする果汁絞り器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果実類を切断して、その切断面に当接させながら果実類を回動させることにより果汁や果肉を絞り出す果汁絞り器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、握力や腕力が弱い人でも負担を軽減しながら楽に果汁を絞れ、また、果汁のみを取り出すことを容易にするために、果汁受皿に果実類の切断面が押し当てられて回転するときに果汁が絞り出る凹凸面を有するドーム状の絞り部を備え、その絞り部の中央頂部に突起部を設け、受皿部に設けた注ぎ口に網部を設けた果汁絞り器がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-134000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記果汁絞り器により果汁を得るためには、果実類の果肉が潰されたり切断されたりする必要があるが、上記果汁絞り器では、ドーム状に絞り部の形成された凹凸面の部分でのみ果肉が潰されたり切断されたりするだけである。したがって、果肉の切断面を押し付けながら回転させてもあまり多くの果汁を絞りだすことはできず、また、果肉部分も果実類の皮に残ってしまうという課題がある。
【0005】
本発明は、こうした課題に鑑みなされたもので、従来の果汁絞り器よりも多くの果汁を絞ることができる果樹絞り器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。なお、本欄における括弧内の参照符号や補足説明等は、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0007】
[適用例1]
適用例1に記載の発明は、
果実類の切断面を押し当てて回動させることによる果汁を搾る果汁絞り器(1)であって、
先端が前記果実類の切断面に当接するドーム状に形成された本体(10)と、
前記本体(10)の表面に複数個配置された、先端が尖った尖形部(20)と、
を備えたことを要旨とする果汁絞り器(1)である。
【0008】
このような果汁絞り器(1)では、果実類の切断面に本体(10)の先端を当接させた状態で果実類を回動(左右に回転)させると、果実類の果肉部分が本体(10)の先端から側面にかけて押しつけられつつ絞られる。
【0009】
このとき、先端が尖った尖形部(20)が本体(10)の表面に複数個配置されているため果実類が本体(10)に押し当てられた状態で回動されると、複数の尖形部(20)が果実類の果肉を切断する。したがって、より多くの果汁を絞り出すことができる。
【0010】
[適用例2]
適用例2に記載の果汁絞り器(2)は、適用例1に記載の果汁絞り器(1)において
前記本体(10)の先端部分に上向きに形成された複数の突起部(30)を備えていることを要旨とする。
【0011】
したがって、その状態で果実類を回動させると、果実類の奥の部分(果実類の内側の先端部)まで果肉が切断されるため、より多くの果汁を絞り出すことができる
【0012】
[適用例3]
適用例3に記載の果汁絞り器(3)は、適用例1又は適用例2に記載の果汁絞り器(1,2)において、
前記本体(10)の縦方向に凸状に形成され、円周方向に複数配置されたブレード部(40)を備えていることを要旨とする。
【0013】
このような果汁絞り器(1)では、果実類を回動させる際に、円周方向に複数配置されたブレード部(40)が果実類の回動方向(本体(10)の円周方向)と垂直に当接する。つまり、尖形部(20)以外にブレード部(40)でも果実類の果肉が切断されるため、より多くの果汁を絞り出すことができる。
【0014】
[適用例4]
適用例4に記載の果汁絞り器(4)は、適用例3に記載の果汁絞り器(3)において、
前記ブレード部(40)は、切り欠き(42)を有していることを要旨とする。
【0015】
このような果汁絞り器(4)では、本体(10)の縦方向に形成されているブレード部(40)に切り欠き(42)が設けられているため、その切り欠き(42)の角でより多くの果肉が切断されるため、より多くの果汁を絞り出すことができる。
【0016】
[適用例5]
適用例5に記載の果汁絞り器(5)は、適用例3又は適用例4に記載の果汁絞り器(3,4)において、
前記ブレード部(40)は、長手方向の上端部から下端部にかけて前記本体(10)の周方向に傾いた状態で形成されていることを要旨とする。
【0017】
このような果汁絞り器(5)では、ブレード部(40)が長手方向の上端部から下端部にかけて前記本体(10)の周方向に傾いた状態で形成されているため、果実類を回動させるときに、果実類の果肉に当接するブレード部(40)の長さが大きくなる。したがって、ブレード部(40)で、より多くの果肉を切断することができるため、より多くの果汁を絞り出すことができる。
【0018】
[適用例6]
適用例6に記載の果汁絞り器(6)は、
適用例1~適用例5の何れか1項に記載の果汁絞り器(1,2,3,4,5)において、
前記本体(10)の下端部の縁部に形成された、絞り出された果汁及び果肉を受ける受皿(50)を備えていることを要旨とする。
【0019】
このような果汁絞り器(6)では、本体(10)で絞り出した果汁及び果肉を受皿(50)で受けることができるため、絞り出した果汁や果肉を余すことなく利用することができ、便利である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態における果汁絞り器の概略の構成を示す外観図である。
図2】第2実施形態における果汁絞り器の概略の構成を示す外観図である。
図3】第3実施形態における果汁絞り器の概略の構成を示す外観図である。
図4】第4実施形態における果汁絞り器の概略の構成を示す外観図である。
図5】第5実施形態における果汁絞り器の概略の構成を示す外観図である。
図6】第6実施形態における果汁絞り器の概略の構成を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明が適用された実施形態について適宜図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0022】
[第1実施形態]
(果汁絞り器の構成)
図1に基づき、果汁絞り器1の構成について説明する。図1は、果汁絞り器1の概略の構成を示す外観図である。
【0023】
図1に示すように、果汁絞り器1は、主にレモンやグレープフルーツなどの果実類の切断面を押し当てて回動させることによる果汁を搾る果汁絞り器1であって、本体10と尖形部20とを備えている。
【0024】
本体10は、先端が果実類の切断面に当接するドーム状に形成された部分である。本実施形態では、本体10は、磁器製で、坏土を、上方から見たときの断面形状が円形のドーム状に成形したものである。
【0025】
また、尖形部20は、磁器素材を、角が尖るように細かく砕いたものを本体10の表面に散りばめたものである。そして、本体10の表面に尖形部20を散りばめたものに釉薬を施し、焼成したものが果汁絞り器1となる。
なお、尖形部20として、磁器材料を細かく砕いたものの代わりにアルミナ又はアランダム(登録商標)のような鉱物を用いてもよいし、微小なガラス片を用いてもよい。
【0026】
ここで、本体10を中空になるようにして軽量化を図ってもよい。また、本体10と尖形部20とを成形するための成形型を製作して、その成形型に坏土を注入して、本体10と尖形部20とを一体成型し、釉薬を施した後に焼成して製作してもよい。
【0027】
また、本体10に釉薬を施した後に焼成し、焼成した本体10の表面に砕いた磁器素材を接着剤で接着し、その上に釉薬を施した後に焼成する、いわゆる二度焼成を行って、複数層を形成した構造としてもよい。
【0028】
さらに、磁器製ではなく真鍮やステンレスなどの金属製であってもよい。この場合、金型を用いてプレス加工により本体10と尖形部20とを一体成型したり、本体10をプレス加工や超塑性加工などで成形し、本体10の表面をノミ用の刃物で掘り起こす加工を施して尖形部20を形成したりして果汁絞り器1を製作してもよい。
【0029】
(果汁絞り器1の特徴)
以上に説明した果汁絞り器1では、レモンやグレープフルーツなどの果実類の切断面に本体10の先端を当接させた状態で果実類を回動(左右に回転)させると、果実類の果肉部分が本体10の先端から側面にかけて押しつけられつつ絞られる。
【0030】
このとき、先端が尖った尖形部20が本体10の表面に複数個配置されているため果実類の回動に従って、複数の尖形部20が果実類の果肉を切断していく。したがって、より多くの果汁を絞り出すことができる。
また、本体10の表面に尖形部20を設けることにより、果実類を回動させる際に滑りにくくなるとともに、使用者は弱い力で果実類を回動させるだけで多くの果汁を絞ることができる。
【0031】
[第2実施形態]
次に、図2に基づき、第2実施形態における果樹絞り器2について説明する。図2は、第2実施形態における果汁絞り器2の概略の構成を示す外観図である。
【0032】
図2に示すように、果汁絞り器2は、第1実施形態において果汁絞り器1の先端部分に上向きに形成された3個の角のような突起部30を備えている。
本実施形態では、突起部30は、3個であるが、絞る対象となる果実類の違いなどによって個数を変化させてもよい。また、突起部30についても、第1実施形態の果汁絞り器1と同様に、磁器以外に金属など他の素材で形成するようにしてもよい。
このように突起部30を設けることにより、果実類を回動させる際に、押さえやすく、また、滑りにくくなり、使用者にとって使いやすい果汁絞り器2とすることができる。
【0033】
果汁絞り器2では、果実類の切断面に本体10の先端以外に、先端部に上向きに形成された複数の突起部30が突き刺さる。したがって、その状態で果実類を回動させると、果実類の奥の部分(果実類の内側の先端部)まで果肉が切断されるため、より多くの果汁を絞り出すことができる。
【0034】
[第3実施形態]
次に、図3に基づき、第3実施形態における果樹絞り器3について説明する。図3は、第3実施形態における果汁絞り器3の概略の構成を示す外観図である。
【0035】
図3に示すように、果汁絞り器3では、本体10は、上方から見たときの断面形状が円形ではなく、上方から見たときの断面形状が、各面が外側に湾曲した三角錐となるように形成されている。
【0036】
また、本体10を形成する三角錐の角部分に、本体10の縦方向に凸状に形成され、円周方向に3個配置されたブレード部40を備えている。
このような果汁絞り器3では、果実類を回動させる際に、円周方向に3個配置されたブレード部40が果実類の回動方向(本体10の円周方向)と垂直に当接する。つまり、尖形部20以外にブレード部40でも果実類の果肉が切断されるため、より多くの果汁を絞り出すことができる。
また、ブレード部40を設けることにより、果実類を回動させる際に、使用者は、果実類をより強く、しっかり押さえることができる。
【0037】
なお、本第3実施形態における果汁絞り器3では、3個のブレード部40の先端がそれぞれ3個の突起部30と一体になるように形成してあるが、ブレード部40の先端の位置が突起部30とは別の位置になるような形状としてもよい。
【0038】
[第4実施形態]
次に、図4に基づき、第4実施形態における果樹絞り器4について説明する。図4は、第4実施形態における果汁絞り器4の概略の構成を示す外観図である。
【0039】
図4に示すように、果汁絞り器4は、第3実施形態における果汁絞り器3において、ブレード部40に複数個所の切り欠き42を有している。
このような果汁絞り器4では、本体10の縦方向に形成されているブレード部40に切り欠き42が設けられているため、ブレード部40に多くの角部が形成される。したがって、その角部でより多くの果肉が切断されため、より多くの果汁を絞り出すことができる。
【0040】
なお、各ブレード部40に設けられる切り欠き42の数は、果汁絞り器の用途に合わせて選択すればよい。
【0041】
[第5実施形態]
次に、図5に基づき、第5実施形態における果樹絞り器5について説明する。図5は、第5実施形態における果汁絞り器5の概略の構成を示す外観図である。
【0042】
図5に示すように、果汁絞り器5では、第3実施形態における果汁絞り器3において、ブレード部40を長手方向の上端部から下端部にかけて本体10の周方向に傾いた状態で形成している。換言すれば、突起部30の先端側上方から目視した場合に、ブレード部40が右巻きに渦を巻くようになっている。
【0043】
このような果汁絞り器5では、果実類を回動させるときに、果実類の果肉に当接するブレード部40の長さが、ブレード部40が縦に配置されているときよりも大きくなる。したがって、ブレード部40で、より多くの果肉を切断することができるため、より多くの果汁を絞り出すことができる。
【0044】
なお、ブレード部40の傾きの方向(上方視で渦巻の方向)は、左右いずれであってもよい。
【0045】
[第6実施形態]
次に、図6に基づき、第6実施形態における果樹絞り器6について説明する。図6は、第6実施形態における果汁絞り器6の概略の構成を示す外観図である。
【0046】
図6に示すように、果汁絞り器6は、本体10の下端部の縁部に形成された、絞り出された果汁や果肉を受ける受皿50と、その受皿50の側面の設けられた取っ手60が設けられている。
【0047】
また、受皿50において取っ手60が設けられた位置の反対側には、絞った果汁を容器などに注ぐための注ぎ口52が設けられている。
このような果汁絞り器6では、本体10で絞り出した果汁及び果肉を受皿50で受けることができるため、絞り出した果汁や果肉を余すことなく利用することができ、便利である。
【0048】
なお、取っ手60の位置は、注ぎ口52に対し、円周方向で90°の位置になるようにしてもよい。
【0049】
[その他の実施形態]
(1)上記実施形態では、本体10,尖形部20、突起部30、ブレード部40及び受皿50を磁器製としていたが陶器製、金属製、硬質樹脂製、ガラス製など他の素材を使用するようにしてもよい。
【0050】
(2)上記実施形態では、尖形部20を本体10の前面にほぼ均一になるように配置していたが、不均一に配置してもよい。例えば、ブレード部40の近傍に尖形部20を配置せず、1つのブレード部40と他のブレード部40の間の領域には尖形部20を多数配置するようにしてもよい。
【0051】
(3)上記実施形態では、本体10の水平断面形状が円形であったり、各面が外側に湾曲している三角錐形状であったりしたが、他の形状、例えば、上方から見たときの断面形状が多角形や波状などであってもよい。
【0052】
(4)上記実施形態では、本体10に対して、尖形部20、突起部30、ブレード部40、切り欠き42、受皿50、注ぎ口52及び取っ手60を種々組み合わせて、上記第1実施形態~第6実施形態とは異なる形態の果汁絞り器としてもよい。
【0053】
(5)上記第4実施形態において、ブレード部40の切り欠き42の縦方向の位置を、複数のブレード部40の各々のブレード部40で変化させてもよい。これにより、各ブレード部40の切り欠き42の角の縦方向の位置が変わるため、果実類を回動させたときに各角で果肉が切断され、より多くの果汁を絞り出すことができる。
【0054】
(6)上記実施形態において、本体の底面に滑り止めを設けてもよい。滑り止めとしては、底面にシリコンなどの樹脂を塗布又は貼り付けたり、凹凸面にしたり、ざらつきを持たせる加工をしたりして、底面と載置面との摩擦を大きくするようにすればよい。
【符号の説明】
【0055】
1… 果汁絞り器 10… 本体 20… 尖形部 30…突起部 40… ブレード部 42… 切り欠き 50… 受皿 52…注ぎ口 60… 取っ手。
図1
図2
図3
図4
図5
図6