(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174533
(43)【公開日】2022-11-24
(54)【発明の名称】ディスポーザー
(51)【国際特許分類】
B02C 18/00 20060101AFI20221116BHJP
E03C 1/266 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
B02C18/00 103A
B02C18/00 ZAB
B02C18/00 105Z
E03C1/266 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080390
(22)【出願日】2021-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000157212
【氏名又は名称】丸一株式会社
(72)【発明者】
【氏名】内川 篤
【テーマコード(参考)】
2D061
4D065
【Fターム(参考)】
2D061DE23
4D065CA16
4D065CC04
4D065DD12
4D065DD18
4D065DD22
4D065DD30
4D065EA08
4D065EB17
4D065EB20
4D065EC02
4D065ED06
4D065ED16
4D065ED38
4D065EE08
4D065EE20
(57)【要約】
【課題】
ディスポーザーを強力に動作させても、全体的に効率よく厨芥や生ごみの粉砕が可能なディスポーザーを提供する。
【解決手段】
ディスポーザーを、厨芥を投棄する投棄口と、投棄口の下方であって、投棄口から投棄された厨芥を収納して粉砕する粉砕室と、粉砕室にて粉砕した厨芥を下流側に排出する排出口と、から構成し、さらに粉砕室を、略円筒形状であって、その上端部分に投棄口からの厨芥を粉砕室に投入する投入口と、粉砕室の内側面に周縁に沿って固定された固定刃と、粉砕室の下方に備えられ、粉砕室内で粉砕室の中心軸を中心として回転し、厨芥を固定刃と共に切断する回転刃と、から構成し、投入口を起点とし、粉砕室の内側面であって、回転刃、又は固定刃の高さ位置まで連続する傾斜面を設ける。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厨芥を投棄する投棄口と、
投棄口の下方であって、投棄口から投棄された厨芥を収納して粉砕する粉砕室と、
粉砕室にて粉砕した厨芥を下流側に排出する排出口と、
からなる厨芥を粉砕処理するディスポーザーであって、
粉砕室を、
略円筒形状であって、その上端部分に投棄口からの厨芥を粉砕室に投入する投入口と、
粉砕室の内側面に周縁に沿って固定された固定刃と、
粉砕室の下方に備えられ、粉砕室内で粉砕室の中心軸を中心として回転し、厨芥を固定刃と共に切断する回転刃と、から構成し、
投入口を起点とし、粉砕室の内側面であって、回転刃、又は固定刃の高さ位置まで連続する傾斜面を設けたことを特徴とするディスポーザー。
【請求項2】
粉砕室の内側面は、投入口から回転刃、又は固定刃の高さ位置まで円弧を備えて構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のディスポーザー。
【請求項3】
平面視において、傾斜面は投入口を中心とした奇数の回転対称形状を成すことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のディスポーザー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品の残渣、残飯などを粉砕処理して下水に排出するディスポーザーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、調理などで生じた厨芥や残飯などを細かく粉砕し、処理槽などを介して下水側に排出することで処理する機器としてディスポーザーが知られている。
ディスポーザーの構成を簡単に説明すると、流し台のシンクに厨芥を投棄する投棄口を備え、
この投棄口から投入された厨芥や残飯などがディスポーザー本体に投入されて粉砕処理され、排出口から処理槽などを介して下水側に排出される。
ディスポーザー本体は、投棄口の下方であって、投棄口から投棄された厨芥を収納して粉砕する粉砕室と、粉砕室にて粉砕した厨芥を下流側に排出する排出口と、
を備えてなる。
また、粉砕室は、略円筒形状であって、その上端部分に投棄口からの厨芥を粉砕室に投入する投入口と、粉砕室の内側面に周縁に沿って固定された固定刃と、粉砕室の下方に備えられ、粉砕室内で粉砕室の中心軸を中心として回転する回転盤と、該回転盤上に備えられた、厨芥や生ごみを固定刃と挟むようにしてすりつぶすことで切断する回転刃と、から構成されてなり、粉砕された厨芥や生ごみは、固定刃と回転盤の隙間から下方に排出され、排出口から排出される。
固定刃は、金属素材からなるリング体であって、内側面に斜め下方に向かうスリットを備え、このスリット部分と回転刃の間に厨芥や生ごみなどが挟まることで、削り取られるようにして厨芥や生ごみなどが粉砕される。
また、粉砕室には、給水配管から分岐した配管による給水部が備えられ、ディスポーザー作動時にこの給水部から適量の給水が行われ、粉砕室内の粉砕された厨芥や生ごみなどが排出口に排出されるように作用する。
また、粉砕された厨芥や生ごみなどは、この固定刃のスリットなどを通して、固定刃や回転盤よりも下方に降下して排出口に向かって粉砕室から排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記ディスポーザーにおいて、回転盤は強力な力によって回転し、回転刃を回転させることで、厨芥や生ごみを粉砕する。ここで、投入口から投入された厨芥や生ごみは、回転盤の回転によって外周側に飛ばされることで、回転刃と固定刃に挟まれて粉砕される。しかしながら実際には、厨芥や生ごみは強力な力で外周側に飛ばされる一方で、外周側に送られる厨芥や生ごみの量に対して粉砕処理量が追い付かないことが多く、粉砕室の内面から上方に跳ね上げられることが多い。跳ね上げられた厨芥や生ごみは、回転刃及び固定刃の高さ位置まで降下しなければ粉砕処理ができない。結果として、固定刃と回転刃による粉砕の作業を効率的に行うには、回転盤が高速で回転する必要があるが、回転盤が高速で回転すると、厨芥や生ごみなどは跳ね飛ばされて粉砕室内に散乱するため、やはり効率的な粉砕ができなくなる。
このように、効率よく粉砕を行うにはディスポーザーの機構に相反する要素があり、容易に効率を上げることができなかった。
本発明は上記問題点に鑑み発明されたものであって、ディスポーザーの粉砕の機構について、相反する要素を整合させ、効率的に厨芥や生ごみを粉砕することを行うことができるディスポーザーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の本発明は、厨芥を投棄する投棄口と、投棄口の下方であって、投棄口から投棄された厨芥を収納して粉砕する粉砕室と、粉砕室にて粉砕した厨芥を下流側に排出する排出口と、からなる厨芥を粉砕処理するディスポーザーであって、粉砕室を、
略円筒形状であって、その上端部分に投棄口からの厨芥を粉砕室に投入する投入口と、粉砕室の内側面に周縁に沿って固定された固定刃と、粉砕室の下方に備えられ、粉砕室内で粉砕室の中心軸を中心として回転し、厨芥を固定刃と共に切断する回転刃と、から構成し、投入口を起点とし、粉砕室の内側面であって、回転刃、又は固定刃の高さ位置まで連続する傾斜面を設けたことを特徴とするディスポーザーである。
【0006】
請求項2に記載の本発明は、粉砕室の内側面は、投入口から回転刃、又は固定刃の高さ位置まで円弧を備えて構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のディスポーザーである。
【0007】
請求項3に記載の本発明は、平面視において、傾斜面は投入口を中心とした奇数の回転対称形状を成すことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のディスポーザーである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の本発明では、粉砕室の内側面に設けられた傾斜面によって、厨芥や生ごみなどは下方に案内され、固定刃及び回転刃によって粉砕される。詳述すると、粉砕室内の厨芥や生ごみなどは、回転盤によって、粉砕室の中心から渦を巻くように外周側(粉砕室の内側面方向)に飛ばされる。このため、粉砕室の内側面に対して、厨芥や生ごみなどは、外側方向に付勢されるとともに、円周に沿って水平方向にも付勢されている。ここで、傾斜面に厨芥や生ごみなどが接すると、円周に沿って水平方向に移動する応力が、傾斜面によって下方に向かう応力に変換され、厨芥や生ごみなどが傾斜面に沿って下方に降下し、回転刃及び固定刃の位置まで案内されて効率的に粉砕される。すなわち、回転刃と固定刃の粉砕の効率を上げるため、回転盤を高速で回転させた場合でも、傾斜面によって厨芥や生ごみなどが飛び跳ねず、回転刃及び固定刃に案内されるため、全体に効率よく厨芥や生ごみなどを粉砕することができる。特に、本発明では、投入口から回転刃または固定刃の高さ位置まで傾斜面が設けられていることから、粉砕室のどのような位置に厨芥や生ごみなどが飛び跳ねても、支障なく回転刃または固定刃まで案内することができる。
また、請求項2に記載の本発明では、粉砕室内面を円弧にすることで、厨芥や生ごみ等の粉砕室内面への付着を減らすことができる。天面と側面とが交差する角部分を設けると、この角部分に厨芥や生ごみが付着した場合に、上面と側面の2か所で付着することになり、落下しにくくなるが、粉砕室の内面を円弧形状とすることで、厨芥や生ごみの付着箇所は常に一か所だけとなり、厨芥や生ごみなどの内面の付着する場合を少なくすることができる。
また請求項3に記載の本発明では、平面視において、傾斜面は投入口を中心とした奇数の回転対称形状を成すことで、傾斜面の、粉砕室の中心を基準とした対向位置には傾斜面がなく、その分粉砕室内を幅広に利用できるため、比較的大きな厨芥や生ごみなども粉砕することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】第一実施例のディスポーザーの断面状態を示す参考図である。
【実施例0010】
以下に、本発明の第一実施例を、図面を参照しつつ説明する。
尚、
図3は実質上粉砕室2の底面視形状を示すものである。粉砕室2の平面視における形状等は、この
図3を対称形状に反転させた形状を参考として判断する。
図1に示した本発明の第一実施例は、以下に記載する、流し台N、ディスポーザー本体1、排水接続管7より構成されている。
流し台Nは、槽体としてのシンクSを備えた排水機器であって、シンクSを備えた天板Tと、天板Tを支える箱状のキャビネットCと、から構成される。またシンクSには、厨芥や生ごみなどを投棄する投棄口1aを備えてなる。
ディスポーザー本体1は、投棄口1aの下方に配置される機器であって、投棄口1aから投棄された厨芥を収納して粉砕する粉砕室2と、粉砕室2にて粉砕した厨芥を下流側に排出する排出口1bとを備えてなる。
本実施例の粉砕室2は、略円筒形状、正確には、
図1に示したように、略半球形状円筒形状であって、その上端部分に投棄口1aからの厨芥を粉砕室2に投入する投入口2aと、粉砕室2の内側面に周縁に沿って固定された固定刃3と、粉砕室2の下方に備えられ、粉砕室2内で粉砕室2の中心軸を中心として回転する回転盤5と、該回転盤5上に備えられた、厨芥や生ごみを固定刃3と挟むようにしてすりつぶすことで切断する回転刃4と、給水配管から分岐した配管による給水部8と、から構成されてなる。回転盤5はモータによって高速に回転し、前述のように硬質な厨芥や生ごみなども確実に粉砕することができる。
また、粉砕室2に備えられた給水部8からは、ディスポーザー作動時に粉砕室2内に適量の給水が行われ、粉砕室2内の粉砕された厨芥や生ごみなどが滑らかに排出口1bに排出されるように作用する。
粉砕された厨芥や生ごみは、後述する固定刃3のスリットなどから下方に排出され、排出口1bから排出される。
固定刃3は、金属素材からなるリング体であって、内側面に斜め下方に向かうスリットを備え、このスリット部分と回転刃4の間に厨芥や生ごみなどが挟まることで、削り取られるようにして厨芥や生ごみなどが粉砕される。また、粉砕された厨芥や生ごみなどは、この固定刃3のスリットから下方に降下して排出口1bに向かって粉砕室2から排出される。
また、投棄口1aと投入口2aの間は接続管6によって接続されるとともに、投棄口1aには投棄口1aを閉塞する蓋部材1cが備えられてなる。安全のため、投棄口1aを蓋部材1cで閉塞しない限り、ディスポーザーは駆動しないように構成されている。
また本実施例の粉砕室2は、
図2に示すように、粉砕室2の内側面に、投入口2aを起点とし、粉砕室2の内側面であって、回転刃4、又は固定刃3の高さ位置まで連続する傾斜面2cを、平面視投入口2aを中心とした回転対称形状となるようにして3面備えてなる。即ち、本実施例の突出部分2bと傾斜面2cは、投入口2aを中心とした3回転対称形状に構成されてなる。
図2、
図3に示したように粉砕室2の内側面には突出部分2bが設けられ、この突出部分2bの下面に傾斜面2cが設けられてなる。傾斜面2cは、回転盤5の回転方向に厨芥や生ごみなどが向かうとき、厨芥や生ごみなどが傾斜面2cに沿って下方に向かう方向に傾斜が備えられている。このため、ディスポーザーが作動し、厨芥や生ごみなどが回転盤5の回転によって粉砕室2内を回転するように移動すると、傾斜面2cの傾斜に当たって、傾斜面2cに沿って下方に降下することとなる。
排水接続管7は、上流側の端部をディスポーザーの排出口1bに、下流側の端部を下水側につながる床下配管に、それぞれ接続されてなる。
【0011】
以下に、上記第一実施例のディスポーザーの使用方法を説明する。
上記のように構成したディスポーザーを使用する場合、まず厨芥や生ごみなどを投棄口1aから投棄する。
次に蓋部材1cを投棄口1aにはめて投棄口1aを閉塞した上で、ディスポーザーを作動させる。
投棄口1aから投入された厨芥や生ごみなどは、接続管6を介して投入口2aから粉砕室2内に投入される。
この状態からディスポーザーを作動させると、回転盤5が回転し、厨芥や生ごみなどが回転盤5の回転動作によって粉砕室2内を、粉砕室2の中心から渦を巻くようにして外周側(粉砕室2の内側面方向)に飛ばされる。このため、回転刃4と固定刃3に挟まれた厨芥や生ごみなどは、すりつぶされるようにして粉砕され、一部はスリットや回転盤5と固定刃3との間の隙間を通じて下方に排出される。
すりつぶされた厨芥や生ごみなどは、回転盤5の回転による遠心力で粉砕室2の内側面に押し付けられる。また、この時回転盤5の付勢によって厨芥や生ごみなどは移動しているため、回転盤5の回転方向に合わせて粉砕室2の内側面に沿って移動する。
ここで、厨芥や生ごみなどが投入口2aから回転刃4、または固定刃3のどの位置に存在していても、傾斜面2cが投入口2aから回転刃4または固定刃3までの全ての位置に設けられているため、厨芥や生ごみなどは必ず傾斜面2cに当たって、傾斜面2cに沿って下方に移動し、回転刃4及び固定刃3の位置まで案内されて粉砕される。すなわち、回転刃4と固定刃3の粉砕の効率を上げるため、回転盤5を高速で回転させた場合でも、傾斜面2cによって厨芥や生ごみなどが飛び跳ねず、回転刃4及び固定刃3に案内されるため、全体に効率よく厨芥や生ごみなどを粉砕することができる。
ここで粉砕された厨芥や生ごみなどは、先に述べたように、固定刃3のスリットや、固定刃3と回転盤5の隙間等を通じて下方に排出される。
この際には、ディスポーザーの作動によって給水部8から粉砕室2内に適量の給水が行われ、粉砕室2内の粉砕された厨芥や生ごみなどが滑らかに排出口1bに排出されるように作用する。
また、本実施例では、粉砕室2内面を円弧にすることで、回転刃4及び固定刃3の粉砕室2内面への付着を減らすことができる。天面と側面とが交差する角部分を設けると、この角部分に厨芥や生ごみが付着した場合に、上面と側面の2か所で付着することになり、落下しにくくなるが、粉砕室2の内面を円弧形状とすることで、厨芥や生ごみの付着箇所は常に一か所だけとなり、厨芥や生ごみなどの内面の付着する場合を少なくすることができる。
また、本実施例では、平面視において、傾斜面2cは投入口2aを中心とした奇数の回転対称形状、具体的には3回転対称形状を成すことで、傾斜面2cの、粉砕室2の中心を基準とした対向位置には傾斜面2cがなく、その分粉砕室2内を幅広に利用することができる。対向位置に傾斜面2cがあると、傾斜面2cの突出部分2bの分、粉砕室2の内径が狭くなり、大きな厨芥や生ごみなどが詰まる場合があるが、本実施例では傾斜面2cの対向位置に傾斜面2cがないため、比較的大きな厨芥や生ごみなども粉砕することが可能になる。
これらの工程を経て、スリットや回転盤5と固定刃3との間の隙間を下方に排出された、粉砕済みの厨芥や生ごみなどは、排出口1bから排水接続管7を介して下水側に排出される。
【0012】
本発明の第一実施例は以上のようであるが本発明は上記実施例に限定される物ではなく、発明の主旨を変更しない範囲において自由に変更が可能である。
例えば、上記実施例では、傾斜面を3面備えてなるが、他の奇数個、例えば5面備えるように構成しても良い。
また、上記実施例では、ディスポーザー作動時において、蓋部材1cによって投棄口1aを閉塞することでディスポーザーを作動可能とし、更に粉砕室2に給水部8を設けてディスポーザーの作動時に粉砕室2内に給水を行うことで、ディスポーザーの作動を良好なものとしているが、上記の方法に変えて、給水部8を削除し、蓋部材1cに変えて目皿部材等を投棄口1aに取り付ける構造としても良い。この目皿部材を用いる場合、目皿部材を投棄口1aに取り付けることで、ディスポーザーを作動可能とし、ディスポーザー作動時において、流し台Nの給水栓からシンクS内に吐水を行う。これにより、ディスポーザー作動時において、投棄口1a、目皿部材、接続管6を介し、投入口2aから粉砕室2内に給水が行われて、ディスポーザーの作動を良好なものとすることができる。