(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174537
(43)【公開日】2022-11-24
(54)【発明の名称】未結束紙束梱包装置
(51)【国際特許分類】
B65B 5/08 20060101AFI20221116BHJP
B65B 35/16 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
B65B5/08
B65B35/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080400
(22)【出願日】2021-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】古賀 翼
(72)【発明者】
【氏名】平山 京助
【テーマコード(参考)】
3E003
3E054
【Fターム(参考)】
3E003AA01
3E003AA07
3E003AB10
3E003BA03
3E003BA06
3E003BB04
3E003BC07
3E003BD06
3E003BE01
3E003DA02
3E003DA03
3E054AA01
3E054AA14
3E054DC11
3E054EA03
3E054FA07
3E054HA04
3E054HA09
3E054JA02
(57)【要約】
【課題】未結束紙束をより確実に梱包箱に収納可能とする。
【解決手段】集積側のパレット1上に載置された未結束の紙束2を把持して梱包先に搬送する搬送装置を有する未結束紙束2梱包装置であって、上記パレットの上面に複数のスリット1Aが並列して形成されて、上記未結束紙束2を、その複数のスリット1Aの上端面で支持可能となっており、上記搬送装置は、上記パレットの上記スリット1A間に差し込み可能な下側把持部41と、上記パレット上に載置された紙束2の上面に当接可能な上側把持部42と、を備え、上記下側把持部41と上記上側把持部42とで上記パレット上の紙束2を把持可能となっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積側のパレット上に載置された未結束の紙束を把持して梱包先に搬送する搬送装置を有する未結束紙束梱包装置であって、
上記パレットの上面に複数のスリットが並列して形成されて、上記未結束紙束を、その複数のスリットの上端面で支持可能となっており、
上記搬送装置は、上記パレットの上記スリット間に差し込み可能な下側把持部と、上記パレット上に載置された紙束の上面に当接可能な上側把持部と、を備え、上記下側把持部と上記上側把持部とで上記パレット上の紙束を把持可能となっている、
未結束紙束梱包装置。
【請求項2】
上記搬送装置は、
上記下側把持部と上記上側把持部とで把持した紙束の側面と対向可能な側面当接板と、
上記下側把持部と上記上側把持部とで把持した紙束の正面に対向可能な正面当接板と、
上記下側把持部、上側把持部、上記側面当接板、及び上記正面当接板を支持する基部と、
上記基部を揺動させる揺動機構と、
を備える請求項1に記載した未結束紙束梱包装置。
【請求項3】
上記基部を回転変位させて、上記側面当接板が下方に位置し且つ上記下側把持部と上側把持部が左右方向で対向する位置した姿勢にすると共に、前後方向において上記正面当接板が下方となるように傾斜させた、紙束揺動姿勢とする傾斜処理部と、
上記紙束揺動姿勢になったと判定すると、上記下側把持部と上記上側把持部による把持力を緩めた状態で上記揺動機構を駆動して紙束に振動を付与する紙揃え処理部と、
を備える請求項2に記載した未結束紙束梱包装置。
【請求項4】
上記搬送装置で搬送される上記紙束を載置する梱包先のパレットと、
上記梱包先のパレット上に載置された紙束の上に、下方が開放された梱包箱を被せて、上記梱包箱内に紙束を収納する紙束収納装置と、
を備える、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載した未結束紙束梱包装置。
【請求項5】
上記紙束収納装置は、
上方が開放された梱包箱を把持して当該梱包箱の天地を反転する梱包箱反転機構と、
反転した上記梱包箱を、上記梱包先のパレット上に載置された紙束の上に被せる収納機構と、
を備える、請求項4に記載した未結束紙束梱包装置。
【請求項6】
上記紙束を収納した梱包箱を、紙束を収納した状態で反転させる梱包箱反転装置を備える、請求項4又は請求項5に記載した未結束紙束梱包装置。
【請求項7】
上記梱包先のパレットは、上面に複数のスリットが並列して形成されて、上記紙束をその複数のスリットの上端面で支持可能となっており、
上記梱包箱反転装置は、
上記梱包先のパレットの上記スリット間に差し込んで、梱包箱が被せられた紙束を掬い上げるための掬い爪と、
上記梱包箱における上方を向いている底面を上側から押さえる上側押さえ部と、
を備える請求項6に記載した未結束紙束梱包装置。
【請求項8】
上記梱包箱反転装置は、上記梱包箱の側面の変位を規制する位置ずれ防止ガイドを備える、請求項6又は請求項7に記載した未結束紙束梱包装置。
【請求項9】
上側押さえ部は、反転後に梱包箱を次工程へ移動させる払い出し機構を備える、請求項6~請求項8のいずれか1項に記載した未結束紙束梱包装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積ユニットとしてのパレットに載置された未結束状態の紙束を搬送して、梱包箱に梱包するための未結束紙束梱包装置に関する。
なお、紙束とは、紙を複数積層した積層体である。
【背景技術】
【0002】
紙束を箱詰め(梱包)する装置としては、例えば特許文献1に記載の箱詰め装置がある。
特許文献1に記載の箱詰め装置では、紙束を梱包箱へ搬送する際に、搬送する紙束に対し帯掛けを行い、その帯部分を吸着手段で吸着することで紙束を把持して梱包先に搬送して、当該紙束を上方が開放された状態の梱包箱に上側から収納している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のような、吸着手段で紙束を把持して梱包先に搬送する方法は、未結束の紙束には適用し難かった。
【0005】
また、未結束の紙束を自動で梱包するためには、例えば、パレットと紙束の下面との間に把持機構の爪を挿入して上下から紙束を把持し、当該紙束をパレットから持ちあげる必要がある。しかし、通常、パレットには、その爪を挿入する隙間が無く、紙束が崩れ易いなど、未結束紙束の把持が難しかった。
【0006】
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、未結束紙束をより確実に梱包箱に収納可能とすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
課題解決のために、本発明の一態様は、集積側のパレット上に載置された未結束の紙束を把持して梱包先に搬送する搬送装置を有する未結束紙束梱包装置であって、上記パレットの上面に複数のスリットが並列して形成されて、上記未結束紙束を、その複数のスリットの上端面で支持可能となっており、上記搬送装置は、上記パレットの上記スリット間に差し込み可能な下側把持部と、上記パレット上に載置された紙束の上面に当接可能な上側把持部と、を備え、上記下側把持部と上記上側把持部とで上記パレット上の紙束を把持可能となっている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の態様によれば、パレットの上面に、下側把持部を挿入可能な隙間を有する構成となっているため、パレットに積載された紙束が未結束状態であっても、当該紙束が崩れることを抑えつつ、パレット上の紙束を把持可能となる。
【0009】
この結果、本発明の態様によれば、未結束紙束を、集積ユニットであるパレット上から、梱包先へ搬送して梱包箱に収納可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に基づく実施形態に係る未結束紙束梱包装置に係る概要構成図である。
【
図2】集積側のパレットの載置面形状を説明する斜視図である。
【
図3】搬送装置のハンド部の構成を説明する図であって、(a)は側面図、(b)は上面図である。
【
図4】揺動機構の動作を説明する図であって、(a)は側面図、(b)は上面図である。
【
図5】紙束収納装置の収納動作を説明する側面図である。
【
図6】パレットに載置された紙束の状態の例を示す模式図である。
【
図7】フラップ位置矯正機構の配置例を示す平面図である。
【
図8】フラップ位置矯正機構の機構を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(構成)
図1に示す未結束紙束梱包装置は、集積ユニット、搬送装置、紙束収納装置、及び梱包箱反転装置を備える。
【0012】
<集積ユニット>
集積ユニットは、集積側のパレット1からなる。パレット1の上には、複数組の紙束2が平積みされた状態で積載されている。
【0013】
各紙束2は、目的の形状に切断された紙の積層体からなる。本実施形態では、紙束2は、未結束の状態でパレット上に積載されている。なお、紙の形状は、矩形とは限らない。各紙は、例えば、所定のパッケージ形状(例えば箱形状などの立体形状)を展開した形状となっている。
なお、各紙束2は、パレット1上に同方向又は異方向を向いて積載(集積)されている。
【0014】
本実施形態のパレット1は、
図2に示すように、上面(積載面)に、同方向に沿って並ぶようにして複数のスリット1Aが形成されている。
そして、スリット1Aの上面1Aaで各紙束2の下面を支持可能となっている。すなわち、各紙束2が、2枚以上のスリット1Aの上面1Aaに当接可能なようにスリット1Aが構成されている。
【0015】
また、隣り合うスリット1A間の幅は、搬送装置の下側把持部41の幅より広く、且つ、スリット1Aの高さは、下側把持部41の高さよりも高くなっている。
また、本実施形態の搬送装置は、複数の下側把持部41を有する。その複数の下側把持部41が、同時にスリット1A間の空間に挿入可能なように、スリット1Aの幅及びスリット1A間の間隔が設定されている。スリット1Aの幅及びスリット1A間の間隔は、他品種に対応させて、共有の幅及び間隔に設定されていることが好ましい。
【0016】
紙束2を載せたパレット1は、コンベヤ3によって搬送装置による把持領域まで搬送される(
図1参照)。紙束2の切り出しがすべて完了したパレット1は、循環コンベアにて搬送され集積ユニット(
図1中左側部分の領域)へ戻る(
図1参照)。
【0017】
<搬送装置>
搬送装置は、三次元方向に移動可能なロボットアーム47と、アーム先端部に取り付けられた搬送用ハンド部4と、からなる。
搬送用ハンド部4は、
図3に示すように、基部46と、上下で対向する下側把持部41及び上側把持部42を備える。本実施形態では、下側把持部41と上側把持部42を、それぞれ2本ずつ有する場合を例示する。
【0018】
下側把持部41及び上側把持部42は、基部46に支持されると共に、当該基部46から離れる方向(前方向)に延在している。下側把持部41及び上側把持部42は、例えば、長い板状の爪形状となっていると共に、それぞれ同方向に延在している。
【0019】
本実施形態では、上側把持部42は、シリンダ装置などの直動装置44によって、相対的に下側把持部41に対し接近・離隔する方向に変位可能となっている。下側把持部41が上下に変位可能となっていてもよい。下側把持部41が上下に変位可能となっていてもよい。
【0020】
また、ロボットアーム47を駆動して、基部46を回転駆動することで、対をなす下側把持部41及び上側把持部42は、当該下側把持部41及び上側把持部42の延在方向と平行な回転軸Pで回転駆動可能となっている。
【0021】
搬送用ハンド部4は、更に、
図3に示すように、側面当接板45と正面当接板43を備える。なお、
図3(a)では、分かり易くするために、側面当接板45の図示を省略している。
【0022】
正面当接板43は、下側把持部41及び上側把持部42に把持された紙束2の正面に対向可能な位置に配置されている。正面当接板43は、把持された紙束2の対向する正面部分の形状に倣った面形状となっている。正面当接板43は、2枚以上の当接板から構成されていてもよい。各当接板の面が紙束2の対向する正面部分の形状に倣った面形状及び位置関係に設定されている。正面当接板43は、2枚以上の当接板から構成されていてもよい。各当接板の面が紙束2の対向する正面部分の形状に倣った面形状及び位置関係に設定されている。
【0023】
側面当接板45は、下側把持部41及び上側把持部42が上下に対向する位置関係において、
図3(b)に示すように、側方に配置されている。すなわち、側面当接板45は、下側把持部41及び上側把持部42に把持された紙束2の側面と対向可能な位置に配置されている。側面当接板45は、把持された紙束2の対向する側面部分の形状に倣った面形状となっている。側面当接板45は、2枚以上の当接板から構成されていてもよい。各当接板の面が紙束2の対向する側面部分の形状に倣った面形状及び位置関係に設定されている。
【0024】
搬送装置は、ロボットアーム47を駆動することで搬送用ハンド部4を移動させて、搬送してきた紙束2を一つ把持して梱包先に搬送する。
【0025】
例えば、上側把持部42を上側に変位させた状態で、下側把持部41を、パレット1のスリット1A間の隙間に差し込んだ後に上方に変位させて、下側把持部41を紙束2の下面に接触させ、更に紙束2がパレット1のスリット1Aの上端面から浮くまで(例えば3mm離隔するまで)上昇させる。その後、上側把持部42を下降させて、下側把持部41及び上側把持部42で紙束2を把持する。
【0026】
ここで、パレット1上の各紙束2の位置や状態は、位置・状態検出センサ(不図示)によって判断される。
【0027】
上記のように紙束2を把持したら、基部46を上方に移動させた後に、把持した紙束2を揃えるための揺動処理を実行する。
このとき、パレット1に載置された紙束2が、
図6のように、束全体で横方向へ不規則に束ズレを起こしている可能性がある。紙束2に束ずれが発生したままの場合、クリアランスの狭い梱包箱に紙束2を梱包することが困難になる。このことに鑑み、紙束2の下面をパレット1から少し浮かす程度だけ上昇(例えば3mm以内)させた後に紙束2を把持することで、紙束2がスリット1A上面が擦れて疵が入ることを回避した状態としてから、隣り合う紙束から離れる方向(近傍のパレット端部外側)に10mm横方向に平行移動させ、その後、再上昇させて切り出しを完了することが好ましい。
【0028】
<揺動処理>
揺動処理について説明する。
搬送装置の制御部140は、傾斜処理部140Aと紙揃え処理部140Bとを備える(
図1参照)。
【0029】
傾斜処理部140Aは、紙束2を上下から把持した後に、基部46を回転軸P周りに回転変位させて、
図4(a)に示すように、側面当接板45が下方に位置し、且つ上側把持部42と上側把持部42が左右方向で対向する姿勢とする。また、前後方向において正面当接板43が下方となるように傾斜させた紙束揺動姿勢とする処理を実行する。この処理は、制御部140がロボットアーム47を駆動することで実行可能である。
【0030】
紙揃え処理部140Bは、紙束揺動姿勢となったと判定すると、
図4(b)に示すように、下側把持部41と上側把持部42による把持力を緩めた後に、基部46を揺動させて紙束2に振動を付与する処理を実行する。基部46の揺動は、ロボットアーム47を駆動することで実現され、このロボットアーム47が揺動機構を構成する。
【0031】
ここで、紙束揺動姿勢で下側把持部41と上側把持部42による把持力を緩めると、未結束紙束2は自重で下方に変位して、紙束2は下方に側面当接板45に当接する。更に、紙束2は、側面当接板45に沿って正面当接板43に向けて変位して正面当接板43に当接する。
【0032】
この状態では、紙間の摩擦等で側面当接板45及び正面当接板43に当接しない紙や、当該側面当接板45及び正面当接板43の面に倣った状態で当該側面当接板45及び正面当接板43の面に当接していない紙が存在する可能性がある。このため、基部46を揺動させることで振動を紙束2に印加し、全ての紙が揃うように処理する。
揺動は、例えば左右方向及び上下方向の少なくとも一方に揺動させればよい。
【0033】
搬送装置は、揺動処理が終了後に、再度、紙束2を下側把持部41と上側把持部42で把持し、基部46を回転変位して、初期姿勢である、下側把持部41と上側把持部42とが上下で対向する姿勢に戻した後に、搬送用ハンド部4を梱包先に移動する。
そして、搬送装置は、把持している紙束2の天地を反転させた後に、梱包先のパレット5の上に紙束2を載せる。この状態では、紙束2は、おもて面を下方に向けて梱包先のパレット5に載置された状態となる。
上記の反転操作は、例えば搬送用ハンド部4を梱包先へ移動後に実行する。
【0034】
ここで、梱包先のパレット5も、
図1に示すように、集積側のパレット1と同様に、パレット上面(載置面)に、同方向に沿って並ぶようにして複数のスリット5Aが形成されている。但し、後述のように、梱包先のパレット5のスリット5Aの高さは、集積側のパレット1のスリット1Aの高さより高い。また、スリット5Aの高さは、上側把持部42の上側把持部の厚みと上側把持部42の上方への最大変位量とを合わせた大きさよりも大きい高さに設定する。最大変位量とは、基部46に対する上側把持部42の移動可能な量の最大値である。
【0035】
搬送装置は、反転して下側なっている上側把持部42を梱包先のパレット5のスリット5A間の上方に位置するように移動した後、上側把持部42での紙束下面の支持位置の高さがパレット5上面の高さよりも3mm高い高さとなるように下降させる。続いて、その状態で上側把持部42を下降することで、搬送装置による把持を解放すると共に紙束をパレット5上に載置する。その後に、搬送用ハンド部4を後退させて、初期位置に復帰させる。
【0036】
これを繰り返すことで、梱包先のパレット5の上に、1回の梱包分の紙束2を、梱包先のパレット5に載せる。
【0037】
<紙束収納装置>
紙束収納装置は、梱包先のパレット5上に載置された紙束2の上に、下方が開放された梱包箱6(天地が逆になっている梱包箱6)を被せて、梱包先のパレット5上に載置された紙束2を、梱包箱6内に収納する処理を行う。
【0038】
紙束収納装置は、
図1に示すように、梱包箱反転機構と収納機構とを備える。
梱包箱反転機構は、上方が開放された梱包箱6(空箱)を把持して当該梱包箱6の天地を反転する処理を実行する。
図1に示す例では、梱包箱反転機構は、上下に回転可能なバー71と、バー71に設けられた吸盤71A(吸着装置)からなる。そして、吸盤71Aで、梱包箱6の側壁を把持した後に、バー71上下に回転させることで、梱包箱6を反転させて開口を下方に向ける。
梱包箱反転機構として、上方が開放された梱包箱6(空箱)について、対向する2つの側壁を両側から把持することで、梱包箱6を反転させてもよい。
【0039】
収納機構72は、反転した梱包箱6を、梱包先のパレット5上に載置された紙束2の上に被せる処理を行う。
図1に示す例では、梱包箱6の上方を向いている底面部を吸盤72Aで把持して、梱包先のパレット5の上方まで移動させたら、下方に下降させて、梱包先のパレット5上に載置された紙束2に被せる。このとき、梱包箱6の底面部内面が各紙束2の上面に当接させる。
【0040】
ここで、上方が開放された梱包箱6は、天面を構成する、開放された四方の辺部分6Aが斜め外方且つ上方に延びている。天地を逆にして、下方が開放された梱包箱6は、四方の辺部分6Aが斜め外方且つ下方に延びている。
図1では、
図1の略中央部において、天地を逆にして、紙束2に被せた梱包箱6を破線で図示している。
【0041】
<フラップ位置矯正機構>
反転した梱包箱6を、梱包先のパレット5上に載置された紙束2の上に被せる処理を行う前の前処理を行うフラップ位置矯正機構を備えることが好ましい。梱包箱の寸法やフラップ位置のバラつきを矯正するフラップ位置矯正機構を設けることで、梱包箱を被せ、梱包箱全体を反転させ、隙間の狭い梱包箱の中にも梱包が可能になる。
フラップ位置矯正機構は、
図7に示すように、梱包先のパレット5の4辺の外側にそれぞれガイド板53が配置されている。
ガイド板53は、シリンダ装置54によって、対応するパレット5の辺に向けて接近・離隔する構成となっている。ガイド板53は、
図8に示すように、パレット5に載置された紙束2の側面に対向可能な高さを有する。
フラップ位置矯正機構は、
図8に示すように、箱6の開放された四方の辺部分6Aが斜め外方となるようにガイドするフラップ機構を有する。フラップ機構は、ガイド板53に支持されてガイド板53の上方に位置する棒体などからなる回転支点58と、フラップ板55と、フラップ板55を駆動するシリンダ装置57とを備える。
フラップ板55は、フラップ本体とフラップ本体に対し屈曲した屈曲部とを備え、シリンダ装置57の伸縮に伴い、回転支点58に対する屈曲部位置が変化することで、フラップ本体の姿勢が、水平位置(
図8、中実線)の位置と垂直位置(
図8中、2点鎖線)の位置とに変化可能に構成されている。水平位置では、フラップ本体は載置された紙束の上方に位置し、垂直位置では、フラップ本体は被せる箱の内面に摺接可能な位置とする。
このフラップ位置矯正機構は、ガイド板53をパレット5に近接させることで、紙束2の位置が平面視でパレット5の外方にはみ出すことを防止する。
また、被せる箱6を近接させたら、フラップ本体を水平位置から垂直位置に変更することで、四方の辺部分6Aが確実に斜め外方を向くように矯正する。
その後、更に被せる箱6を下降して、フラップ本体を箱6の内面に摺接させたら、パレット5を上昇させ紙束2を収納させつつ、フラップ位置矯正機構と干渉しない位置まで箱6も上昇させる。
その後、フラップ位置矯正機構は初期位置に復帰させる。
これによって、パレット上の紙束を中央に寄せて箱に確実に収納可能な位置に設定すると共に、四方の辺部分6Aが確実に斜め外方に向いた状態で紙束の収納が可能となる。
【0042】
<梱包箱反転装置>
梱包箱反転装置は、収納機構の作動によって、梱包先のパレット5上に載置された紙束2に対し反転した梱包箱6を被せて、梱包箱6内に紙束2を収納したと判定したら、紙束2を収納した梱包箱6を、紙束2を収納した状態で反転させる処理を実行する。
【0043】
梱包箱反転装置は、ロボットアーム86と、反転用ハンド部8を備える。
反転用ハンド部8は、ロボットアーム86によって三次元的に移動可能となっている。
【0044】
反転用ハンド部8は、掬い爪81と上側押さえ部82Aとを備える。初期状態では、掬い爪81と上側押さえ部82Aとは上下に対向配置されている(
図5(b)参照)。
【0045】
掬い爪81は、梱包先のパレット5のスリット5A間に差し込んで、梱包箱6が被せられた紙束2を掬い上げるための下側の把持部である。
上側押さえ部82Aは、梱包箱6における上方を向いている底面を上側から押さえる上側の把持部である。
【0046】
そして、相対的に、掬い爪81が上側押さえ部82Aに向けて進退可能に構成されている。
【0047】
ここで、
図5(a)のように、梱包先のパレット5のスリット5Aは、梱包箱6の斜め外方に延在する四方の辺部分6Aよりも下方に掬い爪81を挿入可能な空間を有するだけの高さに構成されている。
【0048】
また、掬い爪81の上面は、梱包箱6に当接せず、当該梱包箱6内の紙束2の下面に当接する形状となっている。
また、本実施形態の上側押さえ部82Aは、複数の搬送ローラからなる払い出し機構82を備える。
【0049】
そして、ロボットアーム86を駆動して、
図5(b)→(c)のように、梱包先のパレット5のスリット5A間に掬い爪81を挿入する。このとき、掬い爪81の挿入に伴い、
図5(c)のように、上側押さえ部82Aは、梱包箱6の底面上方に配置される。
【0050】
その後、
図5(d)のように、上側押さえ部82Aに対し、掬い爪81を上方に変位させると、掬い爪81は、梱包箱6内の紙束2の下面に当接し、更に上昇することで、掬い爪81と、上側押さえ部82Aの払い出し機構82とによって、紙束2を収納した梱包箱6が上下から把持される。
【0051】
その後、
図5(e)のように、反転用ハンド部8を上方に変位させる。その後に、ロボットアーム86を駆動して、梱包箱6の天地が反転するように、基部85を、前後軸周りに回転させると共に、払い出し先に梱包箱6を移動する。その後、掬い爪81を上方に変位して、
図1の状態とする。なお、
図1では、掬い爪81を簡略して模式的に図示しているが、
図5のように、梱包箱6内の紙束2だけを抑える形状となっている。
【0052】
本実施形態の梱包箱反転装置は、
図1に示すように、梱包箱6の側面の変位を規制する位置ずれ防止ガイド89を備えていてもよい。位置ずれ防止ガイド89は、梱包箱6の側壁に当接する棒体や板材からなる。位置ずれ防止ガイド89は、基部85に固定され、掬い爪81と同方向に延在している。位置ずれ防止ガイド89は、梱包箱6の側面の全面に設けても良いが、梱包箱6を反転時に下方を向く側面にあることが好ましい。この位置ズレガイドは、前後方向に進退可能となっていることが好ましい。
【0053】
梱包箱6が、
図1の状態に位置すると、払い出し機構82のローラに沿って、次工程に向けて払い出される。
図1中、符号9は、次工程へ払い出し用のコンベヤ9である。
【0054】
ここで、扱う製品の梱包仕様によっては梱包箱内の底(地)と最上部(天)に紙状の板(天/地パット)を投入する場合がある。この場合には、下記のような処理を行うパット供給機構(不図示)を有していても良い。パットは、通常は紙であり、ダンボールやボール紙からなる。パットは、梱包箱の内寸に合わせた形状となっている。
パット供給機構は、例えば、複数枚ストックしてあるパットの最上に位置するパッドを吸盤で吸着した後に、所定の位置へ移動し、パッドを載せる動作が可能なパット供給装置を備える。そして、紙束収納装置が紙束2に梱包箱6を被せる前に、パレット5に載置した紙束2上に地パッドを載せる。また、梱包箱反転装置が、紙束を収納した梱包箱6を反転後に、例えば、箱反転後の次工程への搬送途中に梱包箱最上面に天パットを載せる。
これによって、梱包箱内の底(地)と最上部(天)に紙状の板(天/地パット)を配置可能となる。
(動作その他)
本実施形態では、集積側のパレット1の上面に下側把持部41を挿入可能な隙間を有する構成となっているため、集積側のパレット1に積載された紙束2が未結束状態であっても、当該紙束2が崩れることを抑えつつ、パレット上の紙束2を上下から把持可能となる。
【0055】
この結果、本実施形態では、未結束紙束2を、集積ユニットであるパレット1上から、梱包先へ搬送して梱包箱6に収納可能となる。
【0056】
更に、梱包先のパレット5も上面に下側把持部41を挿入可能な隙間を有する構成となっているため、紙束2が崩れることを抑えつつ、梱包先のパレット5の上に、未結束状態の紙束2を載置可能となる。
このとき、揺動処理によって、紙束2の束ずれが解消しているため、隙間の狭い梱包箱6の内にも紙束を梱包が可能になる。
パレット5上に、紙束2を表裏反転させた状態で中央に寄せて載置することで、梱包箱6と紙束2の隙間を多く設けることも可能となる。
【0057】
更に、梱包先のパレット5上の未結束状態の紙束2に対し、上方から天地を逆にした梱包箱6を被せて、梱包箱6を反転することで、梱包箱6内に紙束2を収納することができる。
【0058】
このとき、上側押さえ部82Aに払い出し機構82を設けておくことで、反転後の梱包箱6を次工程に払い出しやすくなる。
【0059】
また、掬い爪81を梱包箱6内の紙束2に直接、当接させることで、紙束2を梱包した梱包箱6を反転する際に、梱包箱6内に紙束2の崩れを防止できる。更に、紙束2を梱包した梱包箱6を反転する際に、位置ずれガイドによって、梱包箱6が側面方向に変位することを防止することで、梱包箱6内の紙束2の側方へのずれをより抑制可能となる。
【0060】
(その他)
本開示は、次の構成も取り得る。
(1)集積側のパレット上に載置された未結束の紙束を把持して梱包先に搬送する搬送装置を有する未結束紙束梱包装置であって、上記パレットの上面に複数のスリットが並列して形成されて、上記未結束紙束を、その複数のスリットの上端面で支持可能となっており、上記搬送装置は、上記パレットの上記スリット間に差し込み可能な下側把持部と、上記パレット上に載置された紙束の上面に当接可能な上側把持部と、を備え、上記下側把持部と上記上側把持部とで上記パレット上の紙束を把持可能となっている。
(2)上記搬送装置は、上記下側把持部と上記上側把持部とで把持した紙束の側面と対向可能な側面当接板と、上記下側把持部と上記上側把持部とで把持した紙束の正面に対向可能な正面当接板と、上記下側把持部、上側把持部、上記側面当接板、及び上記正面当接板を支持する基部と、上記基部を揺動させる揺動機構と、を備える。
(3)上記基部を回転変位させて、上記側面当接板が下方に位置し且つ上記下側把持部と上側把持部が左右方向で対向する位置した姿勢にすると共に、前後方向において上記正面当接板が下方となるように傾斜させた、紙束揺動姿勢とする傾斜処理部と、上記紙束揺動姿勢になったと判定すると、上記下側把持部と上記上側把持部による把持力を緩めた状態で上記揺動機構を駆動して紙束に振動を付与する紙揃え処理部と、を備える。
(4)上記搬送装置で搬送される上記紙束を載置する梱包先のパレットと、上記梱包先のパレット上に載置された紙束の上に、下方が開放された梱包箱を被せて、上記梱包箱内に紙束を収納する紙束収納装置とを備える。
(5)上記紙束収納装置は、上方が開放された梱包箱を把持して当該梱包箱の天地を反転する梱包箱反転機構と、反転した上記梱包箱を、上記梱包先のパレット上に載置された紙束の上に被せる収納機構と、を備える。
(6)上記紙束を収納した梱包箱を、紙束を収納した状態で反転させる梱包箱反転装置を備える。
(7)上記梱包先のパレットは、上面に複数のスリットが並列して形成されて、上記紙束をその複数のスリットの上端面で支持可能となっており、上記梱包箱反転装置は、上記梱包先のパレットの上記スリット間に差し込んで、梱包箱が被せられた紙束を掬い上げるための掬い爪と、上記梱包箱における上方を向いている底面を上側から押さえる上側押さえ部と、を備える。
(8)上記梱包箱反転装置は、上記梱包箱の側面の変位を規制する位置ずれ防止ガイドを備える。
(9)上側押さえ部は、反転後に梱包箱を次工程へ移動させる払い出し機構、を備える。
【符号の説明】
【0061】
1 パレット
1A スリット
1Aa 上面
2 紙束
4 搬送用ハンド部(搬送装置)
41 下側把持部
42 上側把持部
43 正面当接板
44 直動装置
45 側面当接板
46 基部
47 ロボットアーム(搬送装置)
5 パレット
5A スリット
6 梱包箱
6A 辺部分
8 反転用ハンド部(梱包箱反転装置)
81 掬い爪
82 払い出し機構
82A 上側押さえ部
85 基部
86 ロボットアーム(梱包箱反転装置)
89 位置ずれ防止ガイド
71 バー(梱包箱反転機構)
71A 吸盤(梱包箱反転機構)
72 収納機構
72A 吸盤(収納機構)
140 制御部
140A 傾斜処理部
140B 紙揃え処理部