(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174547
(43)【公開日】2022-11-24
(54)【発明の名称】光コネクタの製造方法、及び光コネクタ
(51)【国際特許分類】
G02B 6/32 20060101AFI20221116BHJP
G02B 6/25 20060101ALI20221116BHJP
G02B 6/287 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
G02B6/32
G02B6/25
G02B6/287
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080419
(22)【出願日】2021-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】藤原 悠人
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 大
【テーマコード(参考)】
2H038
2H137
【Fターム(参考)】
2H038CA16
2H137AB01
2H137BA15
2H137BA22
2H137BC07
2H137BC08
2H137BC10
2H137BC13
2H137BC71
2H137BC73
2H137BC76
2H137CA13A
2H137CA16A
2H137CA25A
2H137CA63
2H137CA75
2H137CC03
2H137CD33
2H137DB09
2H137EA03
2H137EA08
(57)【要約】
【課題】光コネクタにおける光軸ずれを容易に抑制する。
【解決手段】光コネクタの製造方法は、レーザ光を照射することにより複数の光ファイバそれぞれの一部を溶融させ、各端部にレンズ部が設けられた複数のレンズドファイバを形成する工程と、レンズ部がそれぞれ形成された複数のレンズドファイバをフェルールに収容する工程と、複数のレンズドファイバをフェルールに対して固定する工程と、を備える。レンズ部の表面は、レンズ部の外側に向かって凸であるとともにレンズドファイバのコアと重なる曲面部分を有する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を照射することにより複数の光ファイバそれぞれの一部を溶融させ、各端部にレンズ部が設けられた複数のレンズドファイバを形成する工程と、
前記レンズ部がそれぞれ形成された前記複数のレンズドファイバをフェルールに収容する工程と、
前記複数のレンズドファイバを前記フェルールに対して固定する工程と、
を備え、
前記レンズ部の表面は、前記レンズ部の外側に向かって凸であるとともに前記レンズドファイバのコアと重なる曲面部分を有する、
光コネクタの製造方法。
【請求項2】
前記複数のレンズドファイバを形成する工程は、前記レーザ光を照射することにより前記複数の光ファイバそれぞれをカットする工程を含む、
請求項1に記載の光コネクタの製造方法。
【請求項3】
前記複数のレンズドファイバを形成する工程では、前記複数の光ファイバを前記光ファイバの延在方向と交差する配列方向に並べて配置し、前記レーザ光の照射位置を前記配列方向に沿って移動させることにより、前記複数の光ファイバそれぞれに前記レンズ部を一括して形成する、
請求項1又は請求項2に記載の光コネクタの製造方法。
【請求項4】
複数のレンズドファイバと、
前記複数のレンズドファイバを保持可能であるフェルールと、を備え、
各前記レンズドファイバは、前記フェルールの内部において第1方向に延びているファイバ本体と、前記ファイバ本体の端部に一体に設けられているレンズ部と、を有し、
前記レンズ部の表面は、前記レンズ部の外側に向かって凸であるとともに前記レンズドファイバのコアと交わる曲面部分を有している、
光コネクタ。
【請求項5】
前記レンズ部は、前記レンズドファイバの光軸に対して回転非対称な形状を有している、
請求項4に記載の光コネクタ。
【請求項6】
前記レンズ部は、前記レンズドファイバの光軸に対して回転対称な形状を有している、
請求項4に記載の光コネクタ。
【請求項7】
前記レンズ部は、前記ファイバ本体の側面よりも前記レンズドファイバの光軸から離間する方向に張り出している外周部を有している、
請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の光コネクタ。
【請求項8】
前記第1方向に沿う断面における前記曲面部分の曲率半径は、10mm以上500mm以下である、
請求項4から請求項7のいずれか1項に記載の光コネクタ。
【請求項9】
前記フェルールは、
先端面と、
前記第1方向において前記先端面とは反対側に設けられている開口と、
前記先端面及び前記開口との間において前記第1方向に沿って延在しているとともに、複数の前記ファイバ本体をそれぞれ配置可能な複数のファイバ溝と、
前記複数のファイバ溝よりも前記先端面に寄って位置しているとともに、前記レンズ部の少なくとも一部を収容可能なレンズ溝と、を有している、
請求項4から請求項8のいずれか1項に記載の光コネクタ。
【請求項10】
前記フェルールは、前記フェルールの内側に位置するとともに前記レンズ部と対向し、レンズドファイバの光軸と交わっている突き当て面と、前記フェルールの外側に位置するとともに前記突き当て面と対向し、前記レンズドファイバの光軸と交わっている前記先端面を含んでおり、
前記突き当て面及び前記先端面の少なくとも一方は、前記レンズドファイバの光軸に垂直な面に対して傾斜している、
請求項9に記載の光コネクタ。
【請求項11】
前記フェルールは、前記複数のファイバ溝が形成されている領域の少なくとも一部と対向している窓部を有しており、
前記光コネクタは、前記窓部に配置され前記複数のレンズドファイバを前記複数のファイバ溝に向かって押さえる押さえ部を更に備える、
請求項9又は請求項10に記載の光コネクタ。
【請求項12】
前記複数のレンズドファイバを前記フェルールに固定する接着剤を更に備え、
前記接着剤は、前記複数のレンズドファイバそれぞれの光軸と交わる位置に設けられており、
前記接着剤の屈折率は、前記複数のレンズドファイバの各コアの屈折率よりも小さい、
請求項4から請求項11のいずれか1項に記載の光コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光コネクタの製造方法、及び光コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の光ファイバ同士を接続するための光コネクタの一例が開示されている。この光コネクタは、フェルール及びレンズドファイバを備える。レンズドファイバは、光ファイバと、光ファイバの先に融着接続されたGRINレンズとを有している。特許文献2から4には、光コネクタの他の例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-184106号公報
【特許文献2】国際公開第2019/097776号
【特許文献3】特開2014-178415号公報
【特許文献4】国際公開第2017/149844号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び特許文献2に開示されている光コネクタでは、光ファイバと、光ファイバからの光が通過するレンズとが別部材から構成されている。そのため、光軸ずれを防ぐために、光コネクタの製造時又は使用時において光ファイバとレンズとの位置を調整する必要がある。例えば、特許文献1に開示されている光コネクタでは、光ファイバの先にGRINレンズを融着接続する際、GRINレンズと光ファイバとの位置を調整する必要がある。しかしながら、上述したようなレンズと光ファイバとの位置調整は、高い精度を要求され容易ではない。そこで、光コネクタにおける光軸ずれを容易に抑制する技術が望まれている。
【0005】
本開示は、光軸ずれを容易に抑制する光コネクタの製造方法、及び光コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の光コネクタの製造方法は、レーザ光を照射することにより複数の光ファイバそれぞれの一部を溶融させ、各端部にレンズ部が設けられた複数のレンズドファイバを形成する工程と、レンズ部がそれぞれ形成された複数のレンズドファイバをフェルールに収容する工程と、複数のレンズドファイバをフェルールに対して固定する工程と、を備える。レンズ部の表面は、レンズ部の外側に向かって凸であるとともにレンズドファイバのコアと重なる曲面部分を有する。
【0007】
本開示の光コネクタは、複数のレンズドファイバと、フェルールと、を備える。フェルールは、複数のレンズドファイバを保持可能である。各レンズドファイバは、フェルールの内部において第1方向に延びているファイバ本体と、ファイバ本体の端部に一体に設けられているレンズ部と、を有している。レンズ部の表面は、レンズ部の外側に向かって凸であるとともにレンズドファイバのコアと交わる曲面部分を有している。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、光コネクタにおける光軸ずれを容易に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る光コネクタを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す光コネクタのII-II線に沿った断面構成を示す断面図である。
【
図3】
図3は、
図2において破線で囲まれた領域A1の拡大図である。
【
図4】
図4は、
図1に示すレンズドファイバの端部を示す図である。
【
図5】
図5は、
図4に示すレンズドファイバの端部を、光軸に沿って切断したときの断面図である。
【
図6】
図6は、レンズドファイバの他の例を示す図である。
【
図7】
図7は、複数のファイバ溝を示す断面図である。
【
図8】
図8は、レンズドファイバの光軸に直交する断面であって、一つのファイバ溝を拡大して示す断面図である。
【
図9】
図9は、光ファイバに対するレーザ光の照射方向を示す図である。
【
図10】
図10は、レーザ光の照射位置の移動を示す図である。
【
図11】
図11は、複数の光ファイバを一括してカットする様子を示す図である。
【
図12】
図12は、他の例に係るレンズドファイバを形成する際のレーザ光の照射方向を示す図である。
【
図13】
図13は、第1実施形態の第1変形例に係る光コネクタの断面構成を示す図である。
【
図14】
図14は、第1実施形態の第2変形例に係る光コネクタの断面構成を示す図である。
【
図15】
図15は、第1実施形態の第3変形例に係る光コネクタの断面構成を示す図である。
【
図16】
図16は、第2実施形態に係る光コネクタの断面構成を示す図である。
【
図18】
図18は、第2実施形態の第1変形例に係る光コネクタの断面構成を示す図である。
【
図19】
図19は、第2実施形態の第2変形例に係る光コネクタの断面構成を示す図である。
【
図20】
図20は、第2実施形態の第3変形例に係る光コネクタの断面構成を示す図である。
【
図21】
図21は、第2実施形態の第4変形例に係る光コネクタの断面構成を示す図である。
【
図22】
図22は、第2実施形態の第5変形例に係る光コネクタの断面構成を示す図である。
【
図23】
図23は、第2実施形態の第6変形例に係る光コネクタの断面構成を示す図である。
【
図24】
図24は、第2実施形態の第7変形例に係る光コネクタの断面構成を示す図である。
【
図25】
図25は、第2実施形態の第8変形例に係る光コネクタの断面構成を示す図である。
【
図26】
図26は、第2実施形態の第9変形例に係る光コネクタの断面構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。一実施形態に係る光コネクタの製造方法は、レーザ光を照射することにより複数の光ファイバそれぞれの一部を溶融させ、各端部にレンズ部が設けられた複数のレンズドファイバを形成する工程と、レンズ部がそれぞれ形成された複数のレンズドファイバをフェルールに収容する工程と、複数のレンズドファイバをフェルールに対して固定する工程と、を備える。レンズ部の表面は、レンズ部の外側に向かって凸であるとともにレンズドファイバのコアと重なる曲面部分を有する。
【0011】
この製造方法では、各端部にレンズ部が設けられた複数のレンズドファイバが形成される。そのため、光コネクタの製造時又は使用時において、光軸合わせのために、レンズ部と、レンズ部が設けられたファイバ本体との位置調整を行う必要がない。したがって、上記製造方法によれば、光コネクタにおける光軸ずれが容易に抑制される。また、上記製造方法では、レーザ光の照射によってレンズ部が形成される。そのため、機械的な加工によってレンズ部を形成する場合と比べて、径の細い光ファイバに対するレンズ部の形成が容易となる。
【0012】
一実施形態として、複数のレンズドファイバを形成する工程は、レーザ光を照射することにより複数の光ファイバそれぞれをカットする工程を含んでいてもよい。この場合、レンズ部の形成と光ファイバのカットとを、レーザ光の照射によって同時に行い得る。そのため、レンズドファイバの製造効率が向上し得る。
【0013】
一実施形態として、複数のレンズドファイバを形成する工程では、複数の光ファイバを光ファイバの延在方向と交差する配列方向に並べて配置し、レーザ光の照射位置を配列方向に沿って移動させることにより、複数の光ファイバそれぞれにレンズ部を一括して形成してもよい。この場合、複数の光ファイバそれぞれにレンズ部が一括して形成されるため、レンズドファイバの製造効率が向上し得る。
【0014】
一実施形態に係る光コネクタは、複数のレンズドファイバと、フェルールと、を備える。フェルールは、複数のレンズドファイバを保持可能である。各レンズドファイバは、フェルールの内部において第1方向に延びているファイバ本体と、ファイバ本体の端部に一体に設けられているレンズ部と、を有している。レンズ部の表面は、レンズ部の外側に向かって凸であるとともにレンズドファイバのコアと交わる曲面部分を有している。
【0015】
この光コネクタでは、各レンズドファイバが、ファイバ本体の端部に一体に設けられているレンズ部を有している。そのため、光コネクタの使用時において、光軸合わせのために、レンズ部と、レンズ部が設けられたファイバ本体との位置調整を行う必要がない。したがって、上記光コネクタによれば、光コネクタにおける光軸ずれが容易に抑制される。
【0016】
一実施形態として、レンズ部は、レンズドファイバの光軸に対して回転非対称な形状を有していてもよい。この場合、レンズドファイバから光が出射される際に、レンズ部の表面における反射による戻り光が低減される。
【0017】
一実施形態として、レンズ部は、レンズドファイバの光軸に対して回転対称な形状を有していてもよい。この場合、光接続されるレンズドファイバ同士の結合効率が向上する。
【0018】
一実施形態として、レンズ部は、ファイバ本体の側面よりもレンズドファイバの光軸から離間する方向に張り出している外周部を有していてもよい。
【0019】
一実施形態として、第1方向に沿う断面における曲面部分の曲率半径は、10mm以上500mm以下であってもよい。この場合、レンズドファイバから出射される光がレンズ部によって適切に集光され得る。
【0020】
一実施形態として、フェルールは、先端面と、開口と、複数のファイバ溝と、レンズ溝と、を有していてもよい。開口は、第1方向において先端面とは反対側に設けられていてもよい。複数のファイバ溝は、先端面及び開口との間において第1方向に沿って延在しているとともに、複数のファイバ本体をそれぞれ配置可能であってもよい。レンズ溝は、複数のファイバ溝よりも先端面に寄って位置しているとともに、レンズ部の少なくとも一部を収容可能であってもよい。この場合、複数のファイバ溝及びレンズ溝を用いて、複数のレンズドファイバの位置決めが容易に行われるとともに、複数のレンズドファイバの位置ずれが防止される。
【0021】
一実施形態として、フェルールは、突き当て面と先端面とを含んでいてもよい。突き当て面は、フェルールの内側に位置するとともにレンズ部と対向し、レンズドファイバの光軸と交わっていてもよい。先端面は、フェルールの外側に位置するとともに突き当て面と対向し、レンズドファイバの光軸と交わっていてもよい。突き当て面及び先端面の少なくとも一方は、レンズドファイバの光軸に垂直な面に対して傾斜していてもよい。この場合、レンズドファイバから出射される光が突き当て面及び先端面を通過する。突き当て面及び先端面の少なくとも一方は、光軸に垂直な面に対して傾斜しているので反射による戻り光が低減される。
【0022】
一実施形態として、フェルールは、複数のファイバ溝が形成されている領域の少なくとも一部と対向している窓部を有していてもよい。光コネクタは、窓部に配置され複数のレンズドファイバを複数のファイバ溝に向かって押さえる押さえ部を更に備えていてもよい。この場合、押さえ部によって複数のレンズドファイバが複数のファイバ溝に向かって押さえられる。そのため、レンズドファイバがファイバ溝から浮き上がることが抑制されるので、複数のレンズドファイバの位置ずれが防止される。
【0023】
一実施形態として、複数のレンズドファイバをフェルールに固定する接着剤を更に備えていてもよい。接着剤は、複数のレンズドファイバそれぞれの光軸と交わる位置に設けられていてもよい。接着剤の屈折率は、複数のレンズドファイバの各コアの屈折率よりも小さくてもよい。この場合、接着剤によって複数のレンズドファイバの位置ずれがより確実に防止される。また、接着剤の屈折率が複数のレンズドファイバの各コアの屈折率よりも小さい。そのため、各コアから出射された光のビーム径が接着剤の内部において増大することが抑制される。
【0024】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の一実施形態に係る光コネクタ及び光コネクタの製造方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0025】
<第1実施形態>
図1から
図3を参照して光コネクタ1の全体構成について説明する。
図1は、第1実施形態に係る光コネクタ1を示す斜視図である。
図2は、光コネクタ1の断面構成を示す図である。
図2には、光コネクタ1を
図1に示すII-II線において切断したときの断面が示されている。
図3は、
図2において破線で囲まれた領域A1の拡大図である。
図3には、光コネクタ1が有しているレンズ部12の周辺構成が示されている。説明の便宜上、光コネクタ1の長手方向を方向X(第1方向)とし、光コネクタ1の短手方向を方向Y(第2方向)とし、光コネクタ1の厚み方向を方向Z(第3方向)とする。方向X、方向Y及び方向Zは、互いに交差している。本実施形態では、方向X、方向Y及び方向Zは、互いに直交している。光コネクタ1は、例えば、複数のレンズドファイバ10を他の光コネクタが有している複数のレンズドファイバそれぞれに光学的に接続するためのコネクタである。光コネクタ1は、
図1に示すように、複数のレンズドファイバ10及びフェルール20を備えている。
【0026】
各レンズドファイバ10は、光信号を伝達する。各レンズドファイバ10は、フェルール20の内部において方向Xに沿って延在している。複数のレンズドファイバ10は、方向Yに沿って並んでいる。本実施形態では、光コネクタ1は、12本のレンズドファイバ10を備えている。光コネクタ1が備えるレンズドファイバ10の本数は、限定されない。光コネクタ1が備えるレンズドファイバ10の本数は、4本、8本又は24本であってもよい。複数のレンズドファイバ10は、樹脂により一括して被覆されていてもよい。複数のレンズドファイバ10を被覆する樹脂は、紫外線硬化型樹脂であってもよい。
【0027】
ここで、
図4及び
図5を参照して、レンズドファイバ10の構成について説明する。
図4は、
図1に示すレンズドファイバ10の端部を示す図である。
図5は、
図4に示すレンズドファイバ10の端部を、光軸Sに沿って切断したときの断面図である。レンズドファイバ10は、
図4及び
図5に示すように、ファイバ本体11及びレンズ部12を有している。レンズドファイバ10は、光ファイバから形成される。以下、レンズドファイバ10の材料となる光ファイバであって、レンズ部12が形成されていない光ファイバを単に「光ファイバ」と称し、レンズ部12が形成されている光ファイバ(レンズドファイバ10)と区別して説明を行う。レンズドファイバ10は、ガラス製の光ファイバから形成されてもよい。
【0028】
ファイバ本体11は、方向Xに延びている。レンズ部12は、ファイバ本体11の端部に、ファイバ本体11と一体に設けられている。レンズ部12がファイバ本体11と一体に設けられているとは、レンズ部12がファイバ本体11に切れ目なく連続していることをいう。ファイバ本体11及びレンズ部12は、
図5に示すように、コア13及びコア13を囲むクラッド14をそれぞれ有している。コア13及びクラッド14は、例えば、純石英(SiO2)ガラス、又は、ゲルマニウム若しくはフッ素が添加されている石英ガラスからなる。
【0029】
レンズ部12は、ファイバ本体11の側面11aよりもレンズドファイバ10の光軸Sから離間する方向に張り出している外周部12aを有している。本実施形態では、光軸Sは、方向Xに沿って延びている。外周部12aは、レンズ部12の光軸Sを囲むように連続して形成されている。詳しくは後述するが、レンズドファイバ10は、光ファイバにレーザを照射することにより形成される。レーザの照射により生じる熱によって光ファイバの一部分が溶融され、外周部12aを有するレンズ部12が形成される。外周部12aは、方向Xにおいてレンズ部12の先端から例えば200μm以内に位置している。方向Xからレンズドファイバ10を視認したときのレンズ部12の径は、ファイバ本体11の径よりも大きい。レンズ部12は、光軸Sに対して回転非対称な形状を有している。本実施形態では、
図4の紙面上側に位置している外周部12aの一部分P1が、紙面下側に位置している外周部12aの一部分P2よりも、レンズドファイバ10の先端寄りに位置している。
【0030】
レンズ部12では、
図5に示すように、方向Xにおいてコア13の径が異なっている。具体的には、レンズドファイバ10の先端側に向かうに連れて、コア13の径が徐々に大きくなっている。レンズ部12の表面15は、曲面部分16を有している。曲面部分16は、コア13と交わる部分である。コア13は、例えば、クラッド14よりも屈折率の高い材料から構成されている。コア13に進入した光は、コア13とクラッド14との境界面において全反射しつつ、コア13内を移動する。光を出射するレンズドファイバ10である場合、コア13内を移動する光は曲面部分16からレンズドファイバ10の外部へと出射される。
【0031】
曲面部分16は、レンズ部12の外側に向かって凸となるように湾曲している。これにより、レンズ部12は、レンズドファイバ10から出射される光の集光レンズとして機能し得る。方向Xに沿う断面における曲面部分16の曲率半径は、10mm以上500mm以下であってもよい。本実施形態では、曲面部分16は、光軸Sに対して回転非対称な形状を有している。そのため、方向Xに沿う複数の異なる段面において曲面部分16を切断した場合、各断面における曲面部分16の曲率半径は異なり得る。
【0032】
側面11aのうちレンズ部12寄りの領域には、
図4に示すように、複数の微粒子18が付着している。上述したように、レンズドファイバ10は光ファイバに対してレーザを照射することにより形成される。レーザ照射の際、光ファイバを構成している材料の一部が蒸発する。その後、蒸発した材料は冷却され、微粒子18として側面11aに付着する。微粒子18は、コア13及びクラッド14のうち少なくともいずれかの材料を含んでいる。微粒子18の径は、例えば10nm以上500nm以下である。微粒子18は、顕微鏡を用いた場合に白濁して観察され得る。
【0033】
レンズドファイバの形状は、上述した形状に限定されない。
図6は、レンズドファイバの他の例を示す図である。
図6に示すレンズドファイバ110は、レンズ部112を有している。上述したレンズ部12は、光軸Sに対して回転非対称な形状を有しているが、レンズ部112は、光軸Sに対して回転対称な形状を有している。
図6に示すように、レンズ部112は、側面11aよりも光軸Sから離間する方向に張り出している外周部112aを有している。外周部112aは、レンズ部112の光軸Sを囲むように連続して形成されている。方向Xからレンズドファイバ10を視認したときのレンズ部112の径は、ファイバ本体11の径よりも大きい。レンズ部112は、表面115を有している。表面115は、レンズ部12の外側に向かって凸なるように湾曲している曲面であり、光軸Sに対して回転対称な形状を有している。
【0034】
以下の説明では、特に言及がない限り、光コネクタ1が複数のレンズドファイバ10を備えている場合を例に説明するが、光コネクタ1は、複数のレンズドファイバ10の代わりに複数のレンズドファイバ110を備えていてもよい。
【0035】
図1から
図3に戻り、光コネクタ1の全体構成について説明を続ける。フェルール20は、複数のレンズドファイバ10の端部を保持している。フェルール20は、略直方体形状の外観を有している。フェルール20は、
図1に示すように、先端面21、後端面22、側面23,24、上面25及び下面26を有している。以下、方向Xにおいて、後端面22から先端面21に向かう方向を前方とし、先端面21から後端面22に向かう方向を後方として説明を行う。また、方向Zにおいて、下面26から上面25に向かう方向を上方とし、上面25から下面26に向かう方向を下方として説明を行う。フェルール20は、
図2に示すように、複数のレンズドファイバ10の端部を収容可能な収容部30を有している。収容部30は、フェルール20の内部の空間である。
【0036】
先端面21は、光コネクタ1の前端に位置する面である。先端面21は、レンズドファイバ10の光軸Sと交わっている。先端面21は、方向Xに垂直な面(YZ平面)に対して傾斜している。先端面21の傾斜角度は、20°以下であってもよいし、8°であってもよい。先端面21は、複数のレンズ部21aを有している。複数のレンズ部21aは、
図1に示すように、方向Yに沿って一列に並んでいる。各レンズ部21aは、対応する各レンズドファイバ10の光軸Sと交差する位置に形成されており、各レンズドファイバ10と光学的に結合されている。各レンズ部21aの光軸は、方向Xから視認した際に、各レンズドファイバ10の光軸Sと一致していてもよい。各レンズ部21aは、例えば、各レンズドファイバ10から出射された光をコリメートする。コリメートされた光は、光コネクタ1の接続相手となる光コネクタへ入射してもよい。
【0037】
先端面21には、一対のガイド孔21bが形成されている。一対のガイド孔21bは、複数のレンズ部21aを方向Yにおいて挟むように位置している。各ガイド孔21bは、それぞれが方向Xに延びている。本実施形態では、各ガイド孔21bは、底面を有する非貫通孔である。各ガイド孔21bは、先端面21において開口している。各ガイド孔21bの径は、レンズ部21aの径よりも大きい。各ガイド孔21bには、例えば円柱状の外形を有するガイドピン(不図示)の一端が挿入される。ガイドピンの他端は、接続相手の光コネクタが備えるフェルールに形成された各ガイド孔に挿入される。一対のガイド孔21bによって、ガイドピンを用いた光コネクタ1の位置決めを行うことができる。
【0038】
後端面22は、光コネクタ1の後端に位置する面である。後端面22は、
図2に示すように、複数のレンズドファイバ10を挿入可能な開口22aを有している。開口22aは、収容部30とつながっている。開口22aは、方向Xにおいて先端面21とは反対側に位置している。複数のレンズドファイバ10は、開口22aを介して収容部30の内部に収容される。各側面23,24は、
図1に示すように、方向X及び方向Zに延在している面である。側面23及び側面24は、方向Yにおいて互いに対向している。
【0039】
上面25は、方向X及び方向Yに延在している面である。フェルール20は、上面25において開口する窓部25aを有している。窓部25aは、上面25から収容部30に向かって形成されている貫通孔である。窓部25aは、光コネクタ1の外部空間と収容部30とを連通している。窓部25aは、方向Xから視認したときに、矩形状を有している。窓部25aの形状は限定されない。窓部25aは、方向Xから視認したときに、円形状又は多角形状を有していてもよい。下面26は、方向X及び方向Yに延在している面である。下面26は、方向Zにおいて上面25と対向している。
【0040】
フェルール20を構成している材料は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PEI(ポリエーテルイミド)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、PES(ポリエーテルサルホン)、PA(ポリアミド)、又はCOP(シクロオレフィンポリマー)であってもよい。
【0041】
収容部30は、複数のレンズドファイバ10の端部を収容可能な空間である。収容部30は、
図2に示すように、上側内面31、下側内面32、段差面33、ファイバ支持面34及び突き当て面37によって画定されている。上側内面31は、方向X及び方向Yに沿って延在している面である。方向Xにおける上側内面31の後端は、後端面22と接続しており、上側内面31の前端は、窓部25aの内面と接続している。
【0042】
下側内面32は、方向X及び方向Yに沿って延在している面であり、方向Zにおいて上側内面31と対向している。方向Xにおける下側内面32の後端は、後端面22と接続しており、下側内面32の前端は、段差面33と接続している。段差面33は、方向Y及び方向Zに沿って延在している面である。方向Zにおける段差面33の下端は、下側内面32と接続しており、段差面33の上端は、ファイバ支持面34に接続している。ファイバ支持面34は、方向X及び方向Yに延在している面である。方向Xにおけるファイバ支持面34の後端は、段差面33と接続しており、ファイバ支持面34の前端は、突き当て面37と接続している。突き当て面37は、YZ平面に対して傾斜している面である。突き当て面37の傾斜角度は、20°以下であってもよいし、8°であってもよい。突き当て面37は、
図3に示すように、先端面21と対向している面である。突き当て面37は、レンズ部12と対向しているとともに、レンズドファイバ10の光軸Sと交わっている。
【0043】
ファイバ支持面34には、複数のファイバ溝35及びレンズ溝36が形成されている。ここで、
図7及び
図8を併せて参照して、複数のファイバ溝35及びレンズ溝36の構成について説明する。
図7は、複数のファイバ溝35を示す断面図である。
図8は、一つのファイバ溝35を拡大して示す断面図であり、
図7において破線で囲まれた領域Bを示している。
図7及び
図8に示す断面は、フェルール20をYZ平面において切断したときの断面である。
図7及び
図8では、説明の便宜上、光コネクタ1が備える複数の構成のうち一部の構成の図示を省略している。
【0044】
各ファイバ溝35は、ファイバ支持面34において方向Xに沿って延在している。各ファイバ溝35の前端は、
図3に示すように、レンズ溝36と接続している。各ファイバ溝35の後端は、
図2に示すように、段差面33と接続している。複数のファイバ溝35は、
図7に示すように、方向Yにおいて並んでいる。複数のファイバ溝35には、複数のレンズドファイバ10がそれぞれ配置されている。複数のファイバ溝35は、方向Xにおいて複数のレンズ部21aとそれぞれ対向している。ファイバ支持面34のうち複数のファイバ溝35が形成されている領域の少なくとも一部は、方向Zにおいて窓部25aと対向している。
【0045】
各ファイバ溝35は、
図7に示すように、ファイバ支持面34から下面26に向かって窪む溝である。各ファイバ溝35は、底部が尖ったV溝である。
図8に示すように、各ファイバ溝35を画定する一対の内壁35aは、ファイバ支持面34に対してそれぞれ傾斜しており、ファイバ溝35の底部において接続されている。ファイバ溝35の方向Yにおける幅は、底部に向かうほど小さくなる。これにより、ファイバ溝35に配置されたレンズドファイバ10は、ファイバ溝35の一対の内壁35aによって挟まれるように保持され、方向Yにおける位置ずれが防止される。ファイバ溝35の形状はV溝に限られず、例えば底部が丸みを帯びているU溝であってもよいし、方向X及び方向Yに沿って延在する底面を有している矩形溝であってもよい。
【0046】
レンズ溝36は、
図3に示すように、複数のファイバ溝35よりも先端面21に寄って位置している。レンズ溝36は、方向Yに沿って延在している。レンズ溝36は、ファイバ支持面34から下面26に向かって窪む溝である。レンズ溝36は、方向X及び方向Yに沿って延在する底面36aを有している矩形溝である。レンズ溝36の形状は矩形溝に限られず、例えば底部が尖ったV溝であってもよいし、底部が丸みを帯びているU溝であってもよい。レンズ溝36は、
図3に示すように、各レンズ部12の少なくとも一部を収容している。本実施形態では、外周部12aの一部を収容している。方向Zにおけるレンズ溝36の深さは、各ファイバ溝35の深さよりも大きい。
【0047】
図8を参照して、レンズドファイバ10の径とファイバ溝35の幅との関係を説明する。
図8には、一点鎖線によって示された仮想円Cが図示されている。仮想円Cは、方向Xからレンズドファイバ10を視認したときの、レンズ部12の外縁形状を示している。
図8には、ファイバ本体11の径D1と、仮想円Cの径D2と、ファイバ溝35の幅W1との関係が示されている。幅W1は、一対の内壁35a同士の方向Yにおける最大幅である。幅W1は、0.10mm以上0.25mm以下であってもよい。径D1は、ファイバ本体11のYZ断面の直径である。径D1は、0.08mm以上0.13mm以下であってもよい。径D2は、仮想円Cの直径である。径D2は、例えば0.10mm以上0.15mm以下であってもよい。
図8に示すように、幅W1は、径D1よりも大きく、径D2よりも小さい。
【0048】
光コネクタ1は、
図1に示すように、押さえ部40を備えている。押さえ部40は、窓部25aに配置され、複数のレンズドファイバ10を複数のファイバ溝35に向かって押さえる。本実施形態では、押さえ部40は、直方体形状を有している。押さえ部40の形状は限定されず、窓部25aに配置可能な形状であればよい。押さえ部40は、方向Zにおいて対向している上面41及び下面42を有している。本実施形態では、
図3に示すように、下面42は、複数のレンズドファイバ10に直接接触している。下面42は、必ずしも複数のレンズドファイバ10に直接接触していなくてもよく、下面42と複数のレンズドファイバ10との間に接着剤50が介在していてもよい。本実施形態では、押さえ部40の全体が窓部25aの内部に収容されているが、押さえ部40の一部は窓部25aの外部に位置していてもよい。例えば、上面41は、上面25よりも上方に位置していてもよい。押さえ部40は、紫外線透過性を有する材料によって構成されていてもよい。
【0049】
窓部25a及び収容部30には、複数のレンズドファイバ10をフェルール20に対して固定するための接着剤50が配置されている。接着剤50は、紫外線硬化型接着剤であってもよい。接着剤50は、例えば窓部25aから収容部30に注入される。接着剤50は、
図3に示すように、レンズ部12と突き当て面37との間に位置している。接着剤50は、レンズドファイバ10の光軸Sと交わっている。接着剤50は、各レンズドファイバ10と各ファイバ溝35との隙間に位置していてもよい。
【0050】
接着剤50の屈折率は、コア13の屈折率よりも小さくてもよい。接着剤50の屈折率がコア13の屈折率よりも小さい場合、コア13から出射された光のビーム径が接着剤50の内部において増大することが抑制される。接着剤50の屈折率は、コア13の屈折率よりも大きくてもよい。接着剤50の屈折率がコア13の屈折率よりも大きい場合、コア13から出射された光のビーム径は、光が接着剤50の内部を進むにつれて増大する。しかし、光が接着剤50を通過した後にレンズ部21aを通過することによって、ビーム径の更なる増大が抑制される。
【0051】
次に、光コネクタ1の製造方法について説明する。最初に、複数のレンズドファイバ10を形成する。ここで、
図9から
図11を参照して、レンズドファイバ10の形成工程について説明する。
図9は、光ファイバ2に対するレーザ光Lの照射方向を示す図である。
図9には、レーザ光Lの照射が開始された時点でのレーザ光Lが実線で示されている。
図10は、レーザ光Lの照射位置の移動を示す図である。
図10には、レーザ光Lの照射が開始された時点でのレーザ光Lが破線で示され、レーザ光Lの照射が終了される時点でのレーザ光Lが実線で示されている。
図11は、複数の光ファイバ2を一括してカットする様子を示す図である。また、
図12を参照して、レンズドファイバ110の形成工程についても併せて説明する。
図12は、レンズドファイバ110を形成する際のレーザ光Lの照射方向を示す図である。
図12には、レーザ光Lの照射が終了される時点でのレーザ光Lが実線で示されている。
【0052】
まず、
図9に示すように、光ファイバ2を準備する。次に、光ファイバ2に対してレーザ光Lを照射し、熱によって光ファイバ2をカットする。本実施形態では、レーザ光Lは、光ファイバ2の延在方向に対して垂直な方向に照射される。レーザ光Lの照射方向は、必ずしも光ファイバ2の延在方向に対して垂直でなくてもよく、レンズ部12が所望の形状に形成されるように適宜調整され得る。レーザ光Lを照射する光源(照射光源)は、炭酸ガスレーザ又はYAGレーザであってもよい。レーザ光Lの波長は、0.3μm以上15μm以下であってもよい。レーザ光Lの出力は、5W以上80W以下であってもよい。
【0053】
レーザ光Lの照射によって与えられた熱により、光ファイバ2の一部が溶融される。レーザの照射が終了すると、溶融された部分の温度が低下する。溶融された部分は、温度低下によって再硬化し、レンズ部12を構成する。本実施形態では、レーザ光Lの照射によって、光ファイバ2の切断と、レンズ部12の形成とが同時に行われる。光ファイバ2の溶融によって、コア13を構成している材料が、光ファイバ2の内部において拡散される。そのため、
図5に示すように、レンズ部12におけるコア13の径は、ファイバ本体11におけるコア13の径よりも大きくなる。
【0054】
図9に示すように、レーザ光Lを光ファイバ2の延在方向に対して垂直な方向に照射する場合、光ファイバ2のうち照射光源に近い部分はレーザ光Lの熱によって溶融されやすく、照射光源から遠い部分は溶融され難い。そのため、
図10に示すように、レンズ部12のうち照射光源から遠い部分P4が、照射光源に近い部分P3よりもレンズドファイバ10の先端方向(
図10では紙面左方向)に向かって突き出るように形成される。したがって、レンズ部12は、レンズドファイバ10の光軸Sに対して回転非対称な形状となる。
【0055】
レーザ光Lが照射される際、
図10に示すように、レーザ光Lの照射位置が光ファイバ2の延在方向に沿って移動されてもよい。本実施形態では、レーザ光Lの照射位置は、
図10の矢印Eに示すように、紙面左方向に向かって僅かに移動される。レーザ光Lの照射位置の移動距離及び移動方向は、レーザ光Lの強度、光ファイバの径、又は所望のレンズ部12の形状に応じて適宜決定されてもよい。
【0056】
次に、
図11を参照して、複数の光ファイバ2それぞれにレンズ部12を一括して形成する方法を説明する。まず、
図11に示すように、複数の光ファイバ2を、各光ファイバ2の延在方向と交差する方向(配列方向)に並べて配置する。複数の光ファイバ2は、互いに平行に延在している。次に、レーザ光Lを、各光ファイバ2に対して照射する。このとき、レーザ光Lの照射位置を、
図11に示す仮想線Tに沿って移動させる。仮想線Tは、複数の光ファイバ2と重なっているとともに、配列方向に沿っている。レーザ光Lは、仮想線Tに沿って、複数の光ファイバ2を横断するように照射される。これにより、複数の光ファイバ2が一括してカットされるとともに、複数の光ファイバ2それぞれにレンズ部12が一括して形成される。換言すると、複数のレンズドファイバ10が一括して形成される。レーザ光Lは、仮想線T上を複数回往復するように照射されてもよい。この場合、レーザ光Lは、各光ファイバ2に対して複数回照射される。
【0057】
各レンズドファイバ10の形成方法は、上述した方法に限定されない。例えば、光ファイバ2のカットと、レンズ部12の形成は異なるタイミングで行われてもよい。具体的には、レーザ光を照射することによって光ファイバ2をカットした後、カットした光ファイバ2の端面にレーザ光を更に照射することによってレンズ部12を形成してもよい。光ファイバ2をカットするためのレーザ光の強度は、レンズ部12を形成するためのレーザ光の強度と異なっていてもよい。光ファイバ2は、必ずしもレーザ光によってカットされなくてもよく、機械的にカットされてもよい。光ファイバ2を機械的にカットする場合、カットした光ファイバ2の端面にレーザ光を照射してレンズ部12を形成してもよい。
【0058】
ここで、
図12を参照して、レンズドファイバ110の形成工程についても説明を行う。レンズドファイバ110は、
図6を参照して上述したように、光軸Sに対して回転対称な形状のレンズ部112を有している。レンズドファイバ110は、レンズドファイバ10と同様に、光ファイバにレーザ光Lを照射することによって形成される。
【0059】
レンズドファイバ110の形成工程では、レーザ光Lは、レンズドファイバ110の材料である光ファイバの延在方向に垂直な仮想面Uに対して傾斜する方向に照射される。このとき、レーザ光Lは、仮想面Uに沿う方向において、形成されるレンズドファイバ110と重ならない位置(
図12では仮想面Uよりも紙面左側の位置)から照射される。これにより、光ファイバのうち照射光源から遠い部分(
図12では部分P14)に対しても、レーザ光Lが照射されやすい。そのため、レンズ部112となる光ファイバの端部にバランスよくレーザ光Lが照射され、レンズ部112が光軸Sに対して回転対称な形状となり得る。仮想面Uに対する照射方向の傾斜角度は、レーザ光Lの強度、又は光ファイバの径に応じて適宜決定されてもよい。
【0060】
複数のレンズドファイバ10の形成工程が終了した後、複数のレンズドファイバ10をフェルール20に収容する。具体的には、
図2に示すように、複数のレンズドファイバ10の端部を、開口22aから収容部30の内部に収容する。このとき、複数のファイバ本体11を複数のファイバ溝35それぞれに配置する。
【0061】
続いて、窓部25aから接着剤50を収容部30に注入し、接着剤50によって複数のレンズドファイバ10をフェルール20に対して固定する。このとき、接着剤50が硬化する前に、窓部25aに押さえ部40を配置し、複数のレンズドファイバ10を複数のファイバ溝35に向かって押さえる。以上で、光コネクタ1の製造工程が終了する。
【0062】
以上、本実施形態に係る光コネクタ1の製造方法では、各端部にレンズ部12が設けられた複数のレンズドファイバ10が形成される。そのため、光コネクタ1の製造時又は使用時において、光軸合わせのために、レンズ部12と、レンズ部12が設けられたファイバ本体11との位置調整を行う必要がない。したがって、上記製造方法によれば、光コネクタ1における光軸ずれが容易に抑制される。また、上記製造方法では、レーザ光Lの照射によってレンズ部12が形成される。そのため、機械的な加工によってレンズ部12を形成する場合と比べて、径の細い光ファイバ2に対するレンズ部12の形成が容易となる。
【0063】
上記実施形態では、複数のレンズドファイバ10を形成する工程は、レーザ光Lを照射することにより複数の光ファイバ2それぞれをカットする工程を含んでいてもよい。この場合、レンズ部12の形成と光ファイバ2のカットとを、レーザ光Lの照射によって同時に行い得る。そのため、レンズドファイバ10の製造効率が向上し得る。
【0064】
上記実施形態では、複数のレンズドファイバ10を形成する工程では、複数の光ファイバ2を光ファイバ2の延在方向と交差する配列方向に並べて配置し、レーザ光Lの照射位置を配列方向に沿って移動させることにより、複数の光ファイバ2それぞれにレンズ部12を一括して形成してもよい。この場合、複数の光ファイバ2それぞれにレンズ部12が一括して形成されるため、レンズドファイバ10の製造効率が向上し得る。
【0065】
本実施形態に係る光コネクタ1では、各レンズドファイバ10が、ファイバ本体11の端部に一体に設けられているレンズ部12を有している。そのため、光コネクタ1の使用時において、光軸合わせのために、レンズ部12と、レンズ部12が設けられたファイバ本体11との位置調整を行う必要がない。したがって、本実施形態に係る光コネクタ1によれば、光コネクタ1における光軸ずれが容易に抑制される。
【0066】
上記実施形態では、レンズ部12は、レンズドファイバ10の光軸Sに対して回転非対称な形状を有していてもよい。この場合、レンズドファイバ10から光が出射される際に、レンズ部12の表面における反射による戻り光が低減される。
【0067】
上記実施形態では、レンズ部112は、レンズドファイバ110の光軸Sに対して回転対称な形状を有していてもよい。この場合、光接続されるレンズドファイバ110同士の結合効率が向上する。
【0068】
上記実施形態では、レンズ部12は、ファイバ本体11の側面11aよりもレンズドファイバ10の光軸Sから離間する方向に張り出している外周部12aを有していてもよい。
【0069】
上記実施形態では、方向Xに沿う断面における曲面部分16の曲率半径は、10mm以上500mm以下であってもよい。この場合、レンズドファイバ10から出射される光がレンズ部12によって適切に集光され得る。
【0070】
上記実施形態では、フェルール20は、先端面21と、開口22aと、複数のファイバ溝35と、レンズ溝36と、を有していてもよい。開口22aは、方向Xにおいて先端面21とは反対側に設けられていてもよい。複数のファイバ溝35は、先端面21及び開口22aとの間において方向Xに沿って延在しているとともに、複数のファイバ本体11をそれぞれ配置可能であってもよい。レンズ溝36は、複数のファイバ溝35よりも先端面21に寄って位置しているとともに、レンズ部12の少なくとも一部を収容可能であってもよい。この場合、複数のファイバ溝35及びレンズ溝36を用いて、複数のレンズドファイバ10の位置決めが容易に行われるとともに、複数のレンズドファイバ10の位置ずれが防止される。
【0071】
上記実施形態では、フェルール20は、突き当て面37と先端面21とを含んでいてもよい。突き当て面37は、フェルール20の内側に位置するとともにレンズ部12と対向し、レンズドファイバ10の光軸Sと交わっていてもよい。先端面21は、フェルール20の外側に位置するとともに突き当て面37と対向し、レンズドファイバ10の光軸Sと交わっていてもよい。突き当て面37及び先端面21の少なくとも一方は、レンズドファイバ10の光軸Sに垂直な面に対して傾斜していてもよい。この場合、レンズドファイバ10から出射される光が突き当て面37及び先端面21を通過する。突き当て面37及び先端面21の少なくとも一方は、光軸Sに垂直な面(YZ平面)に対して傾斜しているので反射による戻り光が低減される。
【0072】
上記実施形態では、フェルール20は、複数のファイバ溝35が形成されている領域の少なくとも一部と対向している窓部25aを有していてもよい。光コネクタ1は、窓部25aに配置され複数のレンズドファイバ10を複数のファイバ溝35に向かって押さえる押さえ部40を更に備えていてもよい。この場合、押さえ部40によって複数のレンズドファイバ10が複数のファイバ溝35に向かって押さえられる。そのため、レンズドファイバ10がファイバ溝35から浮き上がることが抑制されるので、複数のレンズドファイバ10の位置ずれが防止される。
【0073】
上記実施形態では、光コネクタ1は、複数のレンズドファイバ10をフェルール20に固定する接着剤50を更に備えていてもよい。接着剤50は、複数のレンズドファイバ10それぞれの光軸Sと交わる位置に設けられていてもよい。接着剤50の屈折率は、複数のレンズドファイバ10の各コア13の屈折率よりも小さくてもよい。この場合、接着剤50によって複数のレンズドファイバ10の位置ずれがより確実に防止される。また、接着剤50の屈折率が複数のレンズドファイバ10の各コア13の屈折率よりも小さい。そのため、各コア13から出射された光のビーム径が接着剤50の内部において増大することが抑制される。
【0074】
図13から
図15を参照して、上述した光コネクタ1の第1変形例から第3変形例について説明する。各変形例に係る光コネクタの説明においては、上述した第1実施形態に光コネクタ1との相違点を主に説明し、共通する点については説明を省略する場合がある。
【0075】
図13は、第1変形例に係る光コネクタ100の断面構成を示す図である。
図13には、光コネクタ100のXZ断面のうち、レンズ部12の周辺構成が示されている。光コネクタ100は、複数のレンズドファイバ10及びフェルール120を備えている。フェルール120は、先端面121及び突き当て面137を有している。先端面121は、YZ平面に対して平行に延在している点、及びレンズ部が形成されていない点で、先端面21と異なっている。先端面121には、屈折率整合剤が塗布されていてもよい。突き当て面137は、YZ平面に対して平行に延在している点で、突き当て面37と異なっている。フェルール120は、ファイバ支持面134を有している。ファイバ支持面134は、複数のファイバ溝135を備えている点でファイバ支持面34と共通しているが、レンズ溝を備えていない点でファイバ支持面34と異なっている。各ファイバ溝135は、方向Xに沿って延在している。各ファイバ溝135の前端は、突き当て面137の下端に接続している。この第1変形例によれば、先端面121にレンズ部を形成する工程と、先端面121を研磨によって傾斜させる工程と、レンズ溝を形成する工程とを要しないので、簡易な方法により光コネクタ100を実現し得る。また、先端面121に屈折率整合剤が塗布されている場合、レンズドファイバ10から出射される光の先端面121における反射が抑制される。
【0076】
図14は、第2変形例に係る光コネクタ200の断面構成を示す図である。
図14には、光コネクタ200のXZ断面のうち、レンズ部12の周辺構成が示されている。光コネクタ200は、複数のレンズドファイバ10及びフェルール220を備えている。フェルール220は、先端面221及び突き当て面237を有している。先端面221は、YZ平面に対して平行に延在している点、及びレンズ部が形成されていない点で、先端面21と異なっている。先端面221には、屈折率整合剤が塗布されていてもよい。突き当て面237は、YZ平面に対して平行に延在している点で、突き当て面37と異なっている。この第2変形例によれば、先端面221にレンズ部を形成する工程と、先端面221を研磨によって傾斜させる工程とを要しないので、簡易な方法により光コネクタ200を実現し得る。また、先端面221に屈折率整合剤が塗布されている場合、レンズドファイバ10から出射される光の先端面221における反射が抑制される。
【0077】
図15は、第3変形例に係る光コネクタ300の断面構成を示す図である。
図15には、光コネクタ300のXZ断面のうち、レンズ部12の周辺構成が示されている。光コネクタ300は、複数のレンズドファイバ10及びフェルール320を備えている。フェルール320は、先端面321及び突き当て面337を有している。先端面321及び突き当て面337は、YZ平面に対して平行に延在している点で、先端面21及び突き当て面37と異なっている。フェルール320は、ファイバ支持面334を有している。ファイバ支持面334は、複数のファイバ溝335を備えている点でファイバ支持面34と共通しているが、レンズ溝を備えていない点でファイバ支持面34と異なっている。各ファイバ溝335は、方向Xに沿って延在している。各ファイバ溝335の前端は、突き当て面337の下端に接続している。この第3変形例によれば、先端面321を研磨によって傾斜させる工程と、レンズ溝を形成する工程とを要しないので、簡易な方法により光コネクタ300を実現し得る。
【0078】
<第2実施形態>
図16及び
図17を参照して光コネクタの第2実施形態について説明する。
図16は、第2実施形態に係る光コネクタ400の断面構成を示す図である。
図16には、光コネクタ400のXZ断面が示されている。
図17は、
図16において破線で囲まれた領域A2の拡大図である。
図17には、光コネクタ400が有しているレンズ部12の周辺構成が示されている。第2実施形態に光コネクタ400の説明においては、上述した第1実施形態に係る光コネクタ1との相違点を主に説明し、共通する点については説明を省略する場合がある。
【0079】
光コネクタ400は、複数のレンズドファイバ10及びフェルール420を備えている。光コネクタ400は、複数のレンズドファイバ10の代わりに、複数のレンズドファイバ110を備えていてもよい。光コネクタ400は、押さえ部を備えていない点で光コネクタ1と異なっている。また、光コネクタ400は、フェルール420が複数のファイバ溝35及びレンズ溝36を有していない点で光コネクタ1と異なっている。
図16及び
図17においては、一本のレンズドファイバ10のみが図示されているが、実際には、複数のレンズドファイバ10が方向Yに沿って並んでいる。フェルール420は、複数のレンズドファイバ10の端部を保持している。フェルール420は、
図16に示すように、先端面421、後端面422、上面425及び下面426を有している。フェルール420は、
図16に示すように、複数のレンズドファイバ10の端部を収容可能な収容部430及び複数の収容孔435を有している。
図16及び
図17においては、一つの収容孔435のみが図示されているが、実際には、複数の収容孔435が方向Yに沿って並んでいる。
【0080】
先端面421は、光コネクタ400の前端に位置する面である。先端面421は、YZ平面に平行に延在している。先端面421には、複数の収容孔435の開口が形成されている。後端面422は、光コネクタ400の後端に位置する面である。後端面422は、
図16に示すように、複数のレンズドファイバ10を挿入可能な開口422aを有している。開口422aは、収容部430とつながっている。
【0081】
上面425は、方向X及び方向Yに延在している面である。フェルール420は、上面425において開口する窓部425aを有している。窓部425aは、上面425から収容部430に向かって形成されている貫通孔である。窓部425aは、光コネクタ400の外部空間と収容部430とを連通している。光コネクタ400は押さえ部を備えていないので、窓部425aに押さえ部は配置されない。本実施形態では、窓部425aは、収容部430に接着剤50を注入するための孔として機能し得る大きさを有している。下面426は、方向X及び方向Yに延在している面である。下面426は、方向Zにおいて上面425と対向している。
【0082】
収容部430は、複数のレンズドファイバ10の端部を収容可能な空間である。収容部430は、
図16に示すように、上側内面431、下側内面432、段差面433、ファイバ支持面434によって画定されている。上側内面431は、方向X及び方向Yに沿って延在している面である。方向Xにおける上側内面431の後端は、後端面422と接続しており、上側内面431の前端は、窓部425aを画定している面と接続している。
【0083】
下側内面432は、方向X及び方向Yに沿って延在している面であり、方向Zにおいて上側内面431と対向している。方向Xにおける下側内面432の後端は、後端面422と接続しており、下側内面432の前端は、段差面433と接続している。段差面433は、方向Y及び方向Zに沿って延在している面である。方向Zにおける段差面433の下端は、下側内面432と接続しており、段差面433の上端は、ファイバ支持面434に接続している。ファイバ支持面434は、方向X及び方向Yに延在している面である。方向Xにおけるファイバ支持面434の後端は、段差面433と接続しており、ファイバ支持面434の前端は、複数の収容孔435と接続している。ファイバ支持面434には、複数のレンズドファイバ10がそれぞれ配置される複数のファイバ溝が形成されていてもよい。
【0084】
複数の収容孔435は、複数のレンズドファイバ10の端部がそれぞれ収容される貫通孔である。各収容孔435は、方向Xに沿って延びている。複数の収容孔435の数は、複数のレンズドファイバ10の数と同じであってもよい。各収容孔435の後端は収容部430を介して開口422aとつながっており、前端は先端面421において開口している。開口422aから収容部430に挿入された複数のレンズドファイバ10の端部は、収容部430を通って複数の収容孔435へとそれぞれ収容される。各収容孔435は、
図17に示すように、側面435aを有している。側面435aは、各収容孔435の内部に収容された各レンズドファイバ10を周方向に囲む面であり、方向Xに延在している。本実施形態では、方向Xにおける各レンズドファイバ10の先端の位置が、方向Xにおける先端面421の位置と一致している。各レンズドファイバ10は、その全体が各収容孔435の内部に位置している。各レンズドファイバ10は、その先端部分が各収容孔435から光コネクタ400の外部空間に突き出るように位置していてもよい。
【0085】
窓部425a及び収容部430には、
図16に示すように、複数のレンズドファイバ10をフェルール420に対して固定するための接着剤50が配置されている。接着剤50は、例えば窓部425aから収容部430に注入される。接着剤50は、
図17に示すように、側面435aとレンズドファイバ10との間にも配置されている。接着剤50は、光軸S上に配置されていない。そのため、レンズドファイバ10から出射される光又はレンズドファイバ10に入射する光は、接着剤50を通過しない。
【0086】
次に、光コネクタ400の製造方法について説明する。最初に、複数のレンズドファイバ10を形成する。複数のレンズドファイバ10の形成工程は、第1実施形態において述べた内容と同一であるので説明を省略する。
【0087】
複数のレンズドファイバ10の形成工程が終了した後、複数のレンズドファイバ10をフェルール420に収容する。具体的には、
図16に示すように、複数のレンズドファイバ10の端部を、開口422aから収容部430の内部に収容する。このとき、複数のファイバ本体11を複数の収容孔435それぞれに収容する。
【0088】
続いて、窓部425aから接着剤50を収容部430に注入し、接着剤50によって複数のレンズドファイバ10をフェルール420に対して固定する。以上で、光コネクタ400の製造工程が終了する。
【0089】
以上、第2実施形態に係る光コネクタ400の製造方法では、第1実施形態に係る光コネクタ1の製造方法と同様の方法により、複数のレンズドファイバ10が形成される。そのため、第2実施形態に係る光コネクタ400の製造方法は、第1実施形態に係る光コネクタ1の製造方法の効果と同様の効果を奏する。
【0090】
また、第2実施形態では、複数のレンズドファイバ10の収容工程において、複数のレンズドファイバ10を複数の収容孔435それぞれに収容する。この場合、複数の収容孔435によって、複数のレンズドファイバ10の位置決めを容易に行うことができる。
【0091】
第2実施形態に係る光コネクタ400では、複数のレンズドファイバ10が、第1実施形態に係る複数のレンズドファイバ10と同様の構成を有している。そのため、第2実施形態に係る光コネクタ400は、第1実施形態に係る光コネクタ1の効果と同様の効果を奏する。
【0092】
また、第2実施形態では、フェルール420は、複数のレンズドファイバ10の端部がそれぞれ収容される複数の収容孔435を有している。この場合、複数の収容孔435によって、複数のレンズドファイバ10の位置決めが容易に行われるとともに、複数のレンズドファイバ10の位置ずれが防止される。
【0093】
図18から
図26を参照して、第2実施形態の第1変形例から第9変形例について説明する。各変形例に係る光コネクタの説明においては、上述した第2実施形態に係る光コネクタ400との相違点を主に説明し、共通する点については説明を省略する場合がある。
【0094】
図18は、第2実施形態の第1変形例に係る光コネクタ500の断面構成を示す図である。
図18には、光コネクタ500のXZ断面のうち、レンズ部12の周辺構成が示されている。光コネクタ500は、複数のレンズドファイバ10及びフェルール520を備えている。フェルール520は、各収容孔535の側面535aに凸部536が形成されている点で、フェルール420と異なっている。凸部536は、収容孔535の前端(先端面521側の端部)に形成されている。凸部536は、側面535aから収容孔535の内側方向に突出している。収容孔535の内側方向とは、収容孔535の中心軸に向かう方向をいう。凸部536は、側面535aの周方向全域にわたって形成されている。凸部536は、方向Xにおけるレンズドファイバ10の移動を規制する。例えば、収容孔535に収容されたレンズドファイバ10のレンズ部12は、凸部536に接触していてもよい。凸部536は、レンズドファイバ10の位置決めに用いられてもよい。この第1変形例によれば、各レンズドファイバ10の位置決めを凸部536により行い得るので、各収容孔535への各レンズドファイバ10の挿入作業が容易になる。
【0095】
図19は、第2実施形態の第2変形例に係る光コネクタ600の断面構成を示す図である。
図19には、光コネクタ600のXZ断面のうち、レンズ部12の周辺構成が示されている。光コネクタ600は、複数のレンズドファイバ10及びフェルール620を備えている。フェルール620は、各収容孔635の側面635aに凸部636及び凹部637が形成されている点で、フェルール420と異なっている。凸部636は、上述した凸部536と同様の構成を有している。凹部637は、凸部636に隣接している。凹部637は、凸部636よりも先端面621から離れて位置している。凹部637は、側面635aから収容孔635の外側方向に窪んでいる。収容孔635の外側方向とは、収容孔635の中心軸から離れる方向をいう。凹部637は、側面635aの周方向全域にわたって形成されている。凹部637は、各レンズ部12の少なくとも一部を収容してもよい。例えば、凹部637は、外周部12aの一部を収容してもよい。この第2変形例によれば、各レンズドファイバ10の位置決めを凸部636により行い得るので、各収容孔635への各レンズドファイバ10の挿入作業が容易になる。また、外周部12aの少なくとも一部が凹部637に収容可能であるので、各収容孔635において、各レンズドファイバ10がストレートに配置され得る。そのため、各レンズドファイバ10の光軸Sの曲がりが抑制される。
【0096】
図20は、第2実施形態の第3変形例に係る光コネクタ700の断面構成を示す図である。
図20には、光コネクタ700のXZ断面のうち、レンズ部12の周辺構成が示されている。光コネクタ700は、複数のレンズドファイバ10及びフェルール720を備えている。フェルール720は、各収容孔735が有底の非貫通孔である点で、フェルール420と異なっている。各収容孔735は、先端面721において開口していない。各収容孔735は、先端面721側の端部に底面735bを有している。底面735bは、方向Y及び方向Zに沿って延在している。底面735bは、方向Xにおける側面735aの端部に接続されている。底面735bは、方向Xにおいて先端面721と対向している。レンズ部12は、底面735bに接触していてもよい。底面735bは、レンズドファイバ10の光軸Sと交わっている。レンズドファイバ10から出射される光又はレンズドファイバ10に入射する光は、底面735b及び先端面721を通過する。この第3変形例によれば、各収容孔735は、有底の非貫通孔であり先端面721において開口していない。そのため、各収容孔735内部のレンズ部12が保護される。
【0097】
図21は、第2実施形態の第4変形例に係る光コネクタ800の断面構成を示す図である。
図21には、光コネクタ800のXZ断面のうち、レンズ部12の周辺構成が示されている。光コネクタ800は、複数のレンズドファイバ10及びフェルール820を備えている。フェルール820は、各収容孔835が有底の非貫通孔である点、及び先端面21が複数のレンズ部821aを有している点で、フェルール420と異なっている。各収容孔835は、上述した各収容孔735と同様の構成を有している。先端面821は、複数のレンズ部821aを有している。
図21では、一つのレンズ部821aのみが図示されているが、実際には、複数のレンズ部821aが方向Yに沿って並んでいる。各レンズ部821aは、各収容孔835に収容されている各レンズドファイバ10のレンズ部12と方向Xにおいて対向している。各レンズ部821aは、各レンズドファイバ10と光学的に結合されている。各レンズ部821aは、第1実施形態に係るレンズ部21aと同様の構成を備えていてもよい。この第4変形例によれば、各収容孔835は、有底の非貫通孔であり先端面821において開口していない。そのため、各収容孔835内部のレンズ部12が保護される。また、各レンズドファイバ10から出射される光のビーム径が、各レンズ部821aによって調整され得る。
【0098】
図22は、第2実施形態の第5変形例に係る光コネクタ900の断面構成を示す図である。
図22には、光コネクタ900のXZ断面のうち、レンズ部12の周辺構成が示されている。光コネクタ900は、複数のレンズドファイバ10及びフェルール920を備えている。フェルール920は、各収容孔935が有底の非貫通孔である点、及び先端面921がYZ平面に対して傾斜している点で、フェルール420と異なっている。各収容孔935は、上述した各収容孔735と同様の構成を有している。先端面921の傾斜角度は、20°以下であってもよいし、8°であってもよい。この第5変形例によれば、各収容孔935は、有底の非貫通孔であり先端面921において開口していない。そのため、各収容孔935内部のレンズ部12が保護される。また、先端面921がYZ平面に対して傾斜しているので、レンズドファイバ10から出射される光の先端面921における反射による戻り光が低減される。
【0099】
図23は、第2実施形態の第6変形例に係る光コネクタ1000の断面構成を示す図である。
図23には、光コネクタ1000のXZ断面のうち、レンズ部12の周辺構成が示されている。光コネクタ1000は、複数のレンズドファイバ10及びフェルール1020を備えている。フェルール1020は、各収容孔1035が有底の非貫通孔である点で、フェルール420と異なっている。各収容孔1035は、底面1035bを有している。底面1035bは、YZ平面に対して傾斜している。底面1035bの傾斜角度は、20°以下であってもよいし、8°であってもよい。底面1035bは、方向Xにおける側面1035aの端部に接続されている。各収容孔1035は、底面1035bがYZ平面に対して傾斜している点を除いて、上述した各収容孔735と同様の構成を有している。本変形例では、先端面1021はYZ平面に平行に延在しているが、底面1035bと同様に、YZ平面に対して傾斜していてもよい。このとき、先端面1021の傾斜角度は、20°以下であってもよいし、8°であってもよい。この第6変形例によれば、各収容孔1035は、有底の非貫通孔であり先端面1021において開口していない。そのため、各収容孔1035内部のレンズ部12が保護される。また、底面1035bがYZ平面に対して傾斜しているので、レンズドファイバ10から出射される光の底面1035bにおける反射による戻り光が低減される。
【0100】
図24は、第2実施形態の第7変形例に係る光コネクタ1100の断面構成を示す図である。
図24には、光コネクタ1100のXZ断面のうち、レンズ部12の周辺構成が示されている。光コネクタ1100は、複数のレンズドファイバ10及びフェルール1120を備えている。フェルール1120は、各収容孔1135が有底の非貫通孔である点で、フェルール420と異なっている。各収容孔1135は、側面1135a及び底面1135bを有している。側面1135aには、凹部1137が形成されている。凹部1137は、側面1135aから収容孔1135の外側方向に窪んでいる。収容孔1135の外側方向とは、収容孔1135の中心軸から離れる方向をいう。凹部1137は、側面1135aの周方向全域にわたって形成されている。凹部1137は、各レンズ部12の少なくとも一部を収容してもよい。例えば、凹部1137は、外周部12aの一部を収容してもよい。各収容孔1135は、凹部1137を有している点を除いて、上述した各収容孔735と同様の構成を有している。この第7変形例によれば、各収容孔1135は、有底の非貫通孔であり先端面1121において開口していない。そのため、各収容孔1135内部のレンズ部12が保護される。また、外周部12aの少なくとも一部が凹部1137に収容可能であるので、各収容孔1135において、各レンズドファイバ10がストレートに配置され得る。そのため、各レンズドファイバ10の光軸Sの曲がりが抑制される。
【0101】
図25は、第2実施形態の第8変形例に係る光コネクタ1200の断面構成を示す図である。
図25には、光コネクタ1200のXZ断面のうち、レンズ部12の周辺構成が示されている。光コネクタ1200は、複数のレンズドファイバ10及びフェルール1220を備えている。フェルール1220は、プレート70を有している点で、フェルール420と異なっている。プレート70は、板形状を有しており、先端面1221に取り付けられている。プレート70は、例えば接着剤を用いて先端面1221に固定されていてもよい。プレート70は、方向Xから視認した際に、先端面1221と同一の形状を有していてもよい。プレート70は、主面71,72を有している。各主面71,72は、方向Y及び方向Zに沿って延在している面である。各主面71,72は、方向Xにおいて互いに対向している。主面72は、先端面1221に直接接触していてもよいし、接着剤等の他の要素を介して先端面1221に間接的に接触していてもよい。プレート70は、光透過性を有する材料によって構成されている。各収容孔1235に収容されている各レンズドファイバ10から出射される光、又は各レンズドファイバ10に入射する光は、各主面71,72を通過する。この第8変形例によれば、先端面1221における各収容孔1235の開口が、プレート70によって塞がれている。そのため、各収容孔1235内部のレンズ部12が保護される。
【0102】
図26は、第2実施形態の第9変形例に係る光コネクタ1300の断面構成を示す図である。
図26には、光コネクタ1300のXZ断面のうち、レンズ部12の周辺構成が示されている。光コネクタ1300は、複数のレンズドファイバ10及びフェルール1320を備えている。フェルール1320は、プレート80を有している点で、フェルール420と異なっている。プレート80は、板形状を有しており、先端面1321に取り付けられている。プレート80は、例えば接着剤を用いて先端面1321に固定されていてもよい。プレート80は、方向Xから視認した際に、先端面1321と同一の形状を有していてもよい。プレート80は、主面81,82を有している。各主面81,82は、方向Y及び方向Zに沿って延在している面である。各主面81,82は、方向Xにおいて互いに対向している。主面81は、複数のレンズ部81aを有している。
図26では、一つのレンズ部81aのみが図示されているが、実際には、複数のレンズ部81aが方向Yに沿って並んでいる。各レンズ部81aは、各収容孔1335に収容されている各レンズドファイバ10のレンズ部12と方向Xにおいて対向している。各レンズ部81aは、各レンズドファイバ10と光学的に結合されている。各レンズ部81aは、第1実施形態に係るレンズ部21aと同様の構成を備えていてもよい。この第9変形例によれば、先端面1321における各収容孔1335の開口が、プレート80によって塞がれている。そのため、各収容孔1335内部のレンズ部12が保護される。また、各レンズドファイバ10から出射される光のビーム径が、各レンズ部81aによって調整され得る。
【0103】
以上、本開示に係る光コネクタ1の製造方法及び光コネクタ1は、上述した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、他に様々な変形が可能である。
【0104】
上記実施形態及び変形例では、コア13と交わる曲面部分16は、その全体がレンズ部12の外側に向かって凸となる滑らかな曲面である。しかし、実際には、曲面部分16は、平面領域を含んでいる場合がある。平面領域の方向Xに沿う断面形状は、直線となる。そのため、方向Xに沿う断面における平面領域の曲率半径は、無限大になる。また、曲面部分16は、平面領域に限らず、レンズ部12の内側に窪む凹部領域を含んでいる場合もある。このように、曲面部分16の形状によっては、断面形状の曲率半径を適切に計測又は算出できない場合がある。また、レンズ部12においてコア13が不規則な形状を有している場合、表面15において曲面部分16の外縁を明確に特定できない場合がある。そこで、曲面部分16の断面形状の曲率半径を適切に計測又は算出できるか否か、及び、曲面部分16の外縁を明確に特定できるか否かに関わらず、方向Xに沿う断面における曲面部分16の断面形状を曲線近似し、曲線近似によって求めた近似曲線の曲率半径を曲面部分16の曲率半径とみなしてもよいし、方向Xからレンズドファイバ10を視認した際に、光軸Sを中心とした半径30μmの円に含まれる表面15の領域を曲面部分16とみなしてもよい。
【符号の説明】
【0105】
1,100,200,300,400,500,600,700,800,900,1000,1100,1200,1300…光コネクタ
2…光ファイバ
10,110…レンズドファイバ
11a…側面
12,112…レンズ部
12a,112a…外周部
13…コア
14…クラッド
15…表面
16…曲面部分
18…微粒子
20,120,220,320,420,520,620,720,820,920,1020,1120,1220,1320…フェルール
21,121,221,321,421,521,621,721,821,921,1021,1221,1321…先端面
21a,81a,821a…レンズ部
21b…ガイド孔
22,422…後端面
22a,422a…開口
23,24…側面
25,425…上面
25a,425a…窓部
26,426…下面
30,430…収容部
31,431…上側内面
32,432…下側内面
33,433…段差面
34,134,334,434…ファイバ支持面
35,135,335…ファイバ溝
35a…内壁
36…レンズ溝
36a…底面
37,137,237,337…突き当て面
40…押さえ部
41…上面
42…下面
50…接着剤
70,80…プレート
71,72,81,82…主面
435,535,635,735,835,935,1035,1135,1235,1335…収容孔
435a,535a,635a,1135a…側面
536,636…凸部
637,1137…凹部
735b,1035b,1135b…底面