(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174560
(43)【公開日】2022-11-24
(54)【発明の名称】超音波診断装置
(51)【国際特許分類】
A61B 8/00 20060101AFI20221116BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080439
(22)【出願日】2021-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 武史
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601BB03
4C601EE04
4C601GB06
4C601HH28
4C601JB45
4C601JC26
(57)【要約】 (修正有)
【課題】RCA構造の振動子群を用いて得られる超音波画像の画質を向上させること。
【解決手段】超音波診断装置は、超音波プローブと生成部と表示制御部とを備える。超音波プローブは、2次元状に配置された複数の振動子を備え、超音波を送信する場合に、互いに交差する2つの軸のうち一の軸の方向に並ぶ第1の複数の振動子を共通接続し、超音波を受信する場合に、2つの軸のうち他の軸の方向に並ぶ第2の複数の振動子を共通接続するロウ・カラム・アドレッシング(Row-Column Addressing)型の複数の振動子群を備える。生成部は、複数の振動子群のそれぞれについて、第2の複数の振動子から出力される複数の受信信号に対してビームフォーミングを行い、得られた信号に基づいて超音波画像データを生成する。ロウ・カラム・アドレッシング型の複数の振動子群に対応する複数の前記2つの軸の組は、互いに異なる。
【選択図】
図9A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元状に配置された複数の振動子を備え、超音波を送信する場合に、互いに交差する2つの軸のうち一の軸の方向に並ぶ第1の複数の振動子を共通接続し、超音波を受信する場合に、前記2つの軸のうち他の軸の方向に並ぶ第2の複数の振動子を共通接続するロウ・カラム・アドレッシング(Row-Column Addressing)型の複数の振動子群を備える超音波プローブと、
前記複数の振動子群のそれぞれについて、前記第2の複数の振動子から出力される複数の受信信号に対してビームフォーミングを行い、前記ビームフォーミングにより得られた信号に基づいて超音波画像データを生成する生成部と、
前記超音波画像データに基づく超音波画像を表示部に表示させる表示制御部と、
を備え、
前記ロウ・カラム・アドレッシング型の複数の振動子群に対応する複数の前記2つの軸の組は、互いに異なる、
超音波診断装置。
【請求項2】
前記生成部は、前記複数の振動子群について生成された複数の前記ビームフォーミングにより得られた前記信号を加算し、加算後の信号に基づいて前記超音波画像データを生成する、請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記生成部は、前記複数の振動子群のそれぞれについて、前記第2の複数の振動子から出力される複数の受信信号に対してアポダイゼーションを行わずに前記ビームフォーミングを行う、請求項1又は2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記超音波プローブは、前記ロウ・カラム・アドレッシング型の複数の振動子群に対応する複数の前記組の角度の間隔と、前記ロウ・カラム・アドレッシング型の複数の振動子群の数との積が90°となるように構成された前記ロウ・カラム・アドレッシング型の前記複数の振動子群を備える、請求項1~3のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記超音波プローブは、MUT(Micromachined Ultrasonic Transducer)により構成された前記複数の振動子を備える、請求項1~4のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体を電子的に3次元スキャンする超音波診断装置がある。超音波診断装置が生体を電子的に3次元スキャンする方法としては、以下の方法が考えられる。
図1Aは、従来の超音波診断装置200の構成の一例を示す図である。
図1Aに示すように、従来の超音波診断装置200は、超音波プローブ201及び装置本体202を備える。
【0003】
超音波プローブ201は、2次元状に配列された複数の振動子203及び電子回路204を備える。2次元状に配列された複数の振動子203は、2次元アレイ振動子とも称される。
図1Bは、従来の超音波プローブ201の構成の一例を示す図である。
図1Bに示すように、x軸及びy軸により構成される2次元座標系においてx軸方向に沿って並ぶN(Nは自然数)個の振動子203により構成される振動子列がy軸方向に沿ってN列並んでいる。すなわち、
図1Bの例では、超音波プローブ201は、N
2(N×N)個の振動子203を備える。
図1Aに示すように、N
2個の振動子203は、M個の振動子203により構成されるサブアレイと呼ばれる複数のグループのいずれかに属するように分類されている。Mは、Nより小さい自然数である。
【0004】
電子回路204は、複数のブロック205を備える。1つのブロック205は、1つのサブアレイに対応して設けられている。すなわち、ブロック205は、サブアレイ毎に設けられている。1つのブロック205は、サブアレイを構成するM個の振動子203に、超音波の送受信を実行させる。
【0005】
1つのブロック205は、1つの送信ビームフォーマ205a、M個のパルサ(Pulser)205b、M個の送受信スイッチ(T/R Switch)205c、M個のLNA(Low Noise Amplifier)205d、M個のVGA(Variable Gain Amplifier)205e、及び、1つの受信サブアレイビームフォーマ205fを備える。これらのうち、送信系は、送信ビームフォーマ205a及びパルサ205bであり、受信系は、LNA205d、VGA205e及び受信サブアレイビームフォーマ205fである。
【0006】
1つの振動子203に対応して、1個のパルサ205b、1個の送受信スイッチ205c、1個のLNA205d、及び、1個のVGA205eが設けられている。また、1つのサブアレイに対応して、1組の受信サブアレイビームフォーマ205fが設けられている。
【0007】
超音波プローブ201の各ブロック205の動作について説明する。超音波の送信時には、送信ビームフォーマ205aは、パルサ205bを介して、遅延制御された超音波を複数(M個)の振動子203のそれぞれから送信させる。すなわち、パルサ205bは、遅延制御された駆動信号を振動子203に供給する。送受信スイッチ205cは、超音波の送信時に送信系による受信系への電圧の印加を抑制するために、受信系と送信系とを切り離す。超音波の受信時には、送受信スイッチ205cは、個々の振動子203から送信された受信信号を送信系から切り離す。そして、LNA205dは、受信信号を増幅する。そして、VGA205eは、増幅された受信信号に対して深さに応じてゲイン調整を行う。そして、受信サブアレイビームフォーマ205fは、ゲイン調整後のM個の受信信号に対して受信遅延を掛けて、受信遅延が掛けられたM個の受信信号を加算する。そして、受信サブアレイビームフォーマ205fは、加算により得られた受信信号を装置本体202に出力する。すなわち、受信サブアレイビームフォーマ205fは、サブアレイというグループ単位で受信信号に受信遅延を掛けた後に加算し、加算により得られた受信信号を出力する。このようなサブアレイ毎のビームフォーミング(受信ビームフォーミング)は、サブアレイビームフォーミングと称される。このように、超音波プローブ201は、サブアレイの数の受信信号を装置本体202に出力する。
【0008】
装置本体202は、受信ビームフォーマ206を備えている。受信ビームフォーマ206は、超音波プローブ201により出力された複数の受信信号(サブアレイの数の受信信号)に対して受信遅延を掛けて、受信遅延が掛けられた受信信号を加算する。そして、装置本体202は、加算により得られた信号を用いて超音波画像データを生成する。
【0009】
ここで、
図1Bに示すようにN×Nの2次元アレイ振動子(行方向にN行、列方向にN列並んで配列されたN
2個の振動子)の場合、
図1Aに示すように、N
2個のパルサ205b、N
2個のLNA205d、N
2個のVGA205eが用いられる。このような構成を、以下、「2DA」と呼ぶ。N
2個のパルサ205b、N
2個のLNA205d、N
2個のVGA205eの電子回路は、例えば、
図1Aに示すように、超音波プローブ201の内部に配置される。
【0010】
ここで、Nの値が大きくなるにしたがって、電子回路の量が飛躍的に大きくなる。このため、実装面積や発熱等の観点で問題が発生する。例えば、Nの値が128である場合、16384個のパルサ205b、16384個のLNA205d、16384個のVGA205eが必要となる。1個のパルサ205b、1個のLNA205d、1個のVGA205eが1つの電子回路とみなされる場合には、16384個の電子回路が必要となる。このような数の電子回路を超音波プローブ201内部に実装することは、実装面積や発熱等の観点から困難である。
【0011】
上述した従来技術であるサブアレイビームフォーミングによりM個の振動子203毎に超音波プローブ201内部で受信ビームフォーミングを行うことにより、超音波プローブ201と装置本体202とを接続するケーブルの数は、サブアレイビームフォーミングを行わない場合のケーブルの数の(1/M)倍の数になる。よって、サブアレイビームフォーミングによりケーブルの数を減らせることができる。しかしながら、パルサ205b、LNA205d、VGA205e等の電子回路の数は、低減されない。
【0012】
ここで、電子回路の数を低減させる従来手法として、特許文献(米国特許第9855022号明細書)等に記載されているRCA(Row-Column Addressing)という従来技術が知られている。
【0013】
従来技術であるRCAの一例について説明する。
図2A及び
図2Bは、RCAの一例を説明するための図である。
図3は、
図2A及び
図2Bを参照して説明されるRCAの一例の構造を有する従来の超音波診断装置300の構成の一例を示す図である。
図3に示すように、超音波診断装置300は、超音波プローブ301及び装置本体302を備える。
【0014】
超音波プローブ301は、N×Nの2次元アレイ振動子を備える。すなわち、
図2A及び
図2Bに示すように、超音波プローブ301は、RCA構造の振動子群(振動子アレイ)として、行方向(x軸方向)にN行、列方向(y軸方向)にN列並んだN
2個の振動子303を備える。このように、
図3に示す超音波診断装置300は、RCA構造の振動子群を備える。
【0015】
装置本体302は、N個のパルサ(Pulser)304、送信ビームフォーマ305、N個のLNA306、N個のVGA307、及び、受信ビームフォーマ308を備える。
【0016】
超音波診断装置300の動作について説明する。超音波診断装置300が超音波を送信する場合、
図2Aに示すように、列方向(y軸方向)に並ぶN個の振動子303のそれぞれが有する2つの面のうち一方の面(例えば表面)を共通接続する。すなわち、超音波診断装置300は、列方向(y軸方向)に並ぶN個の振動子303を共通接続する。これにより、直列接続され、かつ、列方向に並んでいるN個の振動子303により構成される振動子群303aが、行方向(x軸方向)にN列並ぶこととなる。
【0017】
図3に示すように、1つの振動子群303aに対して1つのパルサ304が設けられている。振動子群303aの数は、N個であるので、装置本体302にはN個のパルサ304が設けられている。したがって、1つのパルサ304を1つの電子回路として扱うと、超音波診断装置300が超音波を送信する場合に、装置本体302はN個の電子回路が必要となる。
【0018】
そして、送信ビームフォーマ305は、パルサ304を介して、振動子群303aを構成するN個の振動子303の他方の面(例えば裏面)から、行方向に送信遅延が掛けられた超音波を送信させる。送信ビームフォーマ305は、このような処理を振動子群303a毎に行う。
【0019】
次に、超音波診断装置300が超音波を受信する場合、
図2Bに示すように、行方向(x軸方向)に並ぶN個の振動子303のそれぞれが有する2つの面のうち上述した他方の面(例えば裏面)を共通接続する。すなわち、超音波診断装置300は、行方向(x軸方向)に並ぶN個の振動子303を共通接続する。これにより、直列接続され、かつ、行方向に並んでいるN個の振動子303により構成される振動子群303bが、列方向(y軸方向)にN列並ぶこととなる。
【0020】
図3に示すように、1つの振動子群303bに対して1つのLNA306及び1つのVGA307が設けられている。振動子群303bの数は、N個であるので、装置本体302にはN個のLNA306及びN個のVGA307が設けられている。
【0021】
LNA306は、振動子群303bから出力された受信信号を増幅する。ここで、1つの振動子群303bから出力される受信信号は、1つの振動子群303bを構成するM個の振動子303から出力されるM個の受信信号が加算(合成)されることにより得られる受信信号である。そして、VGA307は、増幅された受信信号に対して深さに応じてゲイン調整を行う。そして、A/D(Analog to Digital)変換機は、ゲイン調整後のアナログ形式の信号(アナログ信号)である受信信号をデジタル形式の信号(デジタル信号)に変換する。そして、受信ビームフォーマ308は、ゲイン調整後のN個の受信信号(デジタル信号)に対して受信遅延を掛けて、受信遅延が掛けられたN個の受信信号を加算する。そして、装置本体302は、加算により得られた受信信号を用いて超音波画像データを生成する。
【0022】
図3に示すように、1つの振動子群303bに対して1つのLNA306及び1つのVGA307が設けられている。振動子群303bの数は、N個であるので、装置本体302にはN個のLNA306及びN個のVGA307が設けられている。したがって、1つのLNA306及び1つのVGA307を1つの電子回路として扱うと、超音波診断装置300が超音波を受信する場合に、装置本体302ではN個の電子回路が必要となる。以上のことから、超音波診断装置300が超音波を送受信する場合、装置本体302では、2N個の電子回路が必要となる。例えば、Nの値が128である場合、超音波診断装置200では、上述したように16384個の電子回路が必要になるが、超音波診断装置300では、256(2×128)個の電子回路で済む。この場合、超音波診断装置300において必要となる電子回路の数は、超音波診断装置200において必要となる電子回路の数の1/64倍の数となる。したがって、超音波診断装置300は、必要となる電子回路の数を大幅に低減させることができる。
【0023】
また、受信系と送信系とが元々切り離されており、受信系と送信系とを切り離すための送受信スイッチも不要である。この点からも、超音波診断装置200と比較して、超音波診断装置300では、電子回路の数を低減させることができる。
【0024】
しかしながら、超音波診断装置300により生成される超音波画像データに基づく超音波画像の画質は、超音波診断装置200により生成される超音波画像データに基づく超音波画像の画質よりも大幅に低い。
【0025】
図4Aは、2DAの超音波診断装置200のz軸方向から見たPSF(Point Spread Function)を6dB間隔の等高線で示した図である。ただし、
図4Aに示す場合において、受信アポダイゼーション及び送信アポダイゼーションは実行されていない。ここで、受信アポダイゼーションとは、例えば、超音波プローブの受信開口を構成する複数の振動子により受信された同一のサンプル点からの受信信号を、アポダイゼーション関数(開口関数)により重み付けを行った後に、整相加算処理を行う技術である。アポダイゼーション関数は、振動子の位置毎に重みが設定された関数である。また、送信アポダイゼーションとは、例えば、超音波プローブの送信開口を構成する複数の振動子により送信される超音波の振幅を振動子の位置毎に変化させる技術である。
【0026】
図4B及び
図4Cは、RCA構造の振動子群を備える超音波診断装置300のz軸方向から見たPSFを6dB間隔の等高線で示した図である。ただし、
図4Bに示す場合において、受信アポダイゼーション及び送信アポダイゼーションは実行されていないが、
図4Cに示す場合において、受信アポダイゼーション及び送信アポダイゼーションは実行されている。
【0027】
図5Aは、
図4Aに示す内容をピークから-40dBまでの画像210として表したものである。
図5Bは、
図4Bに示す内容をピークから-40dBまでの画像310として表したものである。
図5Cは、
図4Cに示す内容をピークから-40dBまでの画像311として表したものである。
【0028】
画像210と画像310とを比較すると、受信アポダイゼーション及び送信アポダイゼーションを実行しない場合の超音波診断装置300では、超音波診断装置200と比べて、メインローブがやや広がっており、やや空間分解能が悪いことが分かる。また、画像210と画像310とを比較すると、受信アポダイゼーション及び送信アポダイゼーションを実行しない場合の超音波診断装置300では、超音波診断装置200と比べて、x軸及びy軸に沿ったサイドローブが大きく、アーティファクトが発生しやすいことが分かる。
【0029】
画像210と画像310と画像311とを比較すると、受信アポダイゼーション及び送信アポダイゼーションを実行する場合の超音波診断装置300では、超音波診断装置200及び受信アポダイゼーション及び送信アポダイゼーションを実行しない場合の超音波診断装置300と比べて、メインローブがかなり広がっており、かなり空間分解能が悪いことが分かる。また、画像210と画像310と画像311を比較すると、受信アポダイゼーション及び送信アポダイゼーションを実行する場合の超音波診断装置300では、受信アポダイゼーション及び送信アポダイゼーションを実行しない場合の超音波診断装置300と比べて、x軸及びy軸に沿ったサイドローブが小さくなっているが、一方で、超音波診断装置200と比べて、x軸及びy軸に沿ったサイドローブが大きい。このため、受信アポダイゼーション及び送信アポダイゼーションを実行する場合の超音波診断装置300では、超音波診断装置200と比べて、アーティファクトが発生しやすいことが分かる。
【0030】
上述したように、RCA構造の振動子群を備える超音波診断装置300では、2DAの超音波診断装置200と比べて、必要な電子回路の数を少なくすることができるという利点があるものの、画質が悪いという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
【特許文献1】米国特許第9855022号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2015/0087991号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、RCA構造の振動子群を用いて得られる超音波画像の画質を向上させることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置付けることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0033】
実施形態の超音波診断装置は、超音波プローブと、生成部と、表示制御部とを備える。超音波プローブは、2次元状に配置された複数の振動子を備え、超音波を送信する場合に、互いに交差する2つの軸のうち一の軸の方向に並ぶ第1の複数の振動子を共通接続し、超音波を受信する場合に、前記2つの軸のうち他の軸の方向に並ぶ第2の複数の振動子を共通接続するロウ・カラム・アドレッシング(Row-Column Addressing)型の複数の振動子群を備える。生成部は、前記複数の振動子群のそれぞれについて、前記第2の複数の振動子から出力される複数の受信信号に対してビームフォーミングを行い、前記ビームフォーミングにより得られた信号に基づいて超音波画像データを生成する。表示制御部は、前記超音波画像データに基づく超音波画像を表示部に表示させる。前記ロウ・カラム・アドレッシング型の複数の振動子群に対応する複数の前記2つの軸の組は、互いに異なる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1A】
図1Aは、従来の超音波診断装置の構成の一例を示す図である。
【
図1B】
図1Bは、従来の超音波プローブの構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、
図2A及び
図2Bを参照して説明されるRCAの一例の構造を有する従来の超音波診断装置の構成の一例を示す図である。
【
図4A】
図4Aは、2DAの超音波診断装置のz軸方向から見たPSF(Point Spread Function)を6dB間隔の等高線で示した図である。
【
図4B】
図4Bは、RCAを実行する超音波診断装置のz軸方向から見たPSFを6dB間隔の等高線で示した図である。
【
図4C】
図4Cは、RCAを実行する超音波診断装置のz軸方向から見たPSFを6dB間隔の等高線で示した図である。
【
図5A】
図5Aは、
図4Aに示す内容をピークから-40dBまでの画像として表したものである。
【
図5B】
図5Bは、
図4Bに示す内容をピークから-40dBまでの画像として表したものである。
【
図5C】
図5Cは、
図4Cに示す内容をピークから-40dBまでの画像として表したものである。
【
図6A】
図6Aは、RCA構造の振動子群を備える超音波診断装置のz軸方向から見たPSFを6dB間隔の等高線で示した図である。
【
図6B】
図6Bは、RCA構造の振動子群を0°以上90°未満の範囲で45°間隔で回転させつつ各角度で得られた受信信号をビームフォーミングすることにより得られた受信信号を加算することにより信号処理回路に供給される受信信号を得る超音波診断装置のz軸方向から見たPSFを6dB間隔の等高線で示した図である。
【
図6C】
図6Cは、RCA構造の振動子群を0°以上90°未満の範囲で22.5°間隔で回転させつつ各角度で得られた受信信号をビームフォーミングすることにより得られた受信信号を加算することにより信号処理回路に供給される受信信号を得る超音波診断装置のz軸方向から見たPSFを6dB間隔の等高線で示した図である。
【
図6D】
図6Dは、RCA構造の振動子群を0°以上90°未満の範囲で11.25°間隔で回転させつつ各角度で得られた受信信号をビームフォーミングすることにより得られた受信信号を加算することにより信号処理回路に供給される受信信号を得る超音波診断装置のz軸方向から見たPSFを6dB間隔の等高線で示した図である。
【
図7A】
図7Aは、
図6Aに示す内容をピークから-40dBまでの画像として表したものである。
【
図7B】
図7Bは、
図6Bに示す内容をピークから-40dBまでの画像として表したものである。
【
図7C】
図7Cは、
図6Cに示す内容をピークから-40dBまでの画像として表したものである。
【
図7D】
図7Dは、
図6Dに示す内容をピークから-40dBまでの画像として表したものである。
【
図8】
図8は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示すブロック図である。
【
図9A】
図9Aは、第1の実施形態に係る超音波プローブの構成の一例を示す図である。
【
図9B】
図9Bは、第1の実施形態に係る超音波プローブの構成の一例を示す図である。
【
図9C】
図9Cは、第1の実施形態に係る超音波プローブの構成の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の送受信系の構成の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、第1の実施形態に係る送信回路及び信号処理回路が第1の反射波データ及び第2の反射波データを生成してから、加算後のデータを得るまでの処理の一例の流れを示すフローチャートである。
【
図12A】
図12Aは、RCA構造の第1の振動子群のz軸方向から見たPSFを6dB間隔の等高線で示した図である。
【
図12B】
図12Bは、RCA構造の第2の振動子群のz軸方向から見たPSFを6dB間隔の等高線で示した図である。
【
図15A】
図15Aは、第2の実施形態に係る超音波プローブの構成の一例を示す図である。
【
図15B】
図15Bは、第2の実施形態に係る超音波プローブの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
まず、実施形態に係る超音波診断装置を説明する前に、RCA構造の振動子群を備える超音波診断装置が、RCA構造の振動子群を回転させつつ超音波画像データを生成する場合の一例について説明する。
【0036】
図6Aは、RCA構造の振動子群を備える超音波診断装置300のz軸方向から見たPSFを6dB間隔の等高線で示した図である。
【0037】
図6Bは、RCA構造の振動子群の角度が所定の基準角度である0°である場合に得られた受信信号をビームフォーミングすることにより得られた受信信号と、RCA構造の振動子群が所定の基準角度から45°回転させられてRCA構造の振動子群の角度が45°である場合に得られた受信信号をビームフォーミングすることにより得られた受信信号とが加算されることにより、信号処理回路に供給される受信信号を得る超音波診断装置300のz軸方向から見たPSFを6dB間隔の等高線で示した図である。すなわち、
図6Bは、RCA構造の振動子群を0°以上90°未満の範囲で45°間隔で回転させつつ各角度で得られた受信信号をビームフォーミングすることにより得られた受信信号を加算することにより信号処理回路に供給される受信信号を得る超音波診断装置300のz軸方向から見たPSFを6dB間隔の等高線で示した図である。
【0038】
図6Cは、RCA構造の振動子群の角度が所定の基準角度である0°である場合に得られた受信信号をビームフォーミングすることにより得られた受信信号と、RCA構造の振動子群が所定の基準角度から22.5°回転させられてRCA構造の振動子群の角度が22.5°である場合に得られた受信信号をビームフォーミングすることにより得られた受信信号と、RCA構造の振動子群が所定の基準角度から45°回転させられてRCA構造の振動子群の角度が45°である場合に得られた受信信号をビームフォーミングすることにより得られた受信信号と、RCA構造の振動子群が所定の基準角度から67.5°回転させられてRCA構造の振動子群の角度が67.5°である場合に得られた受信信号をビームフォーミングすることにより得られた受信信号とが加算されることにより信号処理回路に供給される受信信号を得る超音波診断装置300のz軸方向から見たPSFを6dB間隔の等高線で示した図である。すなわち、
図6Cは、RCA構造の振動子群を0°以上90°未満の範囲で22.5°間隔で回転させつつ各角度で得られた受信信号をビームフォーミングすることにより得られた受信信号を加算することにより信号処理回路に供給される受信信号を得る超音波診断装置300のz軸方向から見たPSFを6dB間隔の等高線で示した図である。
【0039】
図6Dは、RCA構造の振動子群を0°以上90°未満の範囲で11.25°間隔で回転させつつ各角度で得られた受信信号をビームフォーミングすることにより得られた受信信号を加算することにより信号処理回路に供給される受信信号を得る超音波診断装置300のz軸方向から見たPSFを6dB間隔の等高線で示した図である。
【0040】
なお、
図6A~6Dのそれぞれに示す場合において、受信アポダイゼーション及び送信アポダイゼーションは実行されていない。
【0041】
図7Aは、
図6Aに示す内容をピークから-40dBまでの画像312として表したものである。
図7Bは、
図6Bに示す内容をピークから-40dBまでの画像313として表したものである。
図7Cは、
図6Cに示す内容をピークから-40dBまでの画像314として表したものである。
図7Dは、
図6Dに示す内容をピークから-40dBまでの画像315として表したものである。
【0042】
画像312から、画像313、画像314、画像315にかけて、徐々に十字方向のサイドローブが減少している。具体的には、画像312では、十字方向のサイドローブが明瞭に存在しているが、画像315では、このようなサイドローブがほぼ消失している。先の
図4C及び先の
図5Cの例では、受信アポダイゼーション及び送信アポダイゼーションを実行することによりサイドローブを減少させる場合について説明したが、画像313~315から、このようなアポダイゼーションを掛けることなくサイドローブを減少又は消失させることができることが分かる。アポダイゼーションを掛けないことにより、メインローブの増大を抑制しつつ、すなわち、空間分解能の低下を抑制しつつ、サイドローブを低減させることが可能になる。
【0043】
しかしながら、RCA構造の振動子群を回転させることは、現実的ではない。例えば、RCA構造の振動子群が被検体に接触しているため、RCA構造の振動子を回転させることが困難となる場合がある。また、RCA構造の振動子群が回転している間に、被検体が移動してしまう場合がある。そこで、以下に説明する各実施形態に係る超音波診断装置は、RCA構造の振動子群を回転させることなく、空間分解能の低下を抑制しつつ、サイドローブを低減させることができるように構成されている。すなわち、RCA構造の振動子群を用いて得られる超音波画像の画質を向上させることができるように、各実施形態に係る超音波診断装置は構成されている。
【0044】
以下、図面を参照しながら、各実施形態に係る超音波診断装置を説明する。
【0045】
(第1の実施形態)
図8は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の構成例を示すブロック図である。
図8に例示するように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、装置本体100と、超音波プローブ101と、入力装置102と、ディスプレイ103とを有する。
【0046】
超音波プローブ101は、例えば、複数の振動子(圧電素子)を有する。複数の振動子は、装置本体100が有する送受信回路110の送信回路111から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。具体的には、複数の振動子は、送信回路111により電圧(送信駆動電圧)が印可されることにより送信駆動電圧に応じた波形の超音波を発生する。駆動信号が示す送信駆動電圧の波形が、複数の振動子に印可される電圧の波形である。すなわち、超音波プローブ101は、印可された送信駆動電圧の大きさの応じた超音波を送信する。また、超音波プローブ101は、被検体Pからの反射波を受信し、反射波を電気信号である反射波信号(受信信号)に変換し、反射波信号を装置本体100に出力する。また、超音波プローブ101は、例えば、振動子に設けられる整合層と、振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。なお、超音波プローブ101は、装置本体100と着脱自在に接続される。
【0047】
超音波プローブ101から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波として超音波プローブ101が有する複数の振動子にて受信される。受信される反射波の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。そして、超音波プローブ101は、反射波信号を後述する送受信回路110の受信回路112に出力する。
【0048】
超音波プローブ101は、装置本体100と着脱可能に設けられる。被検体P内の2次元領域の走査(2次元走査)を行なう場合、操作者は、例えば、複数の振動子が一列で配置された1Dアレイプローブを超音波プローブ101として装置本体100に接続する。1Dアレイプローブの種類としては、リニア型超音波プローブ、コンベックス型超音波プローブ、セクタ型超音波プローブ等が挙げられる。また、被検体P内の3次元領域の走査(3次元走査)を行なう場合、操作者は、例えば、メカニカル4Dプローブや2Dアレイプローブを超音波プローブ101として装置本体100と接続する。メカニカル4Dプローブは、1Dアレイプローブのように一列で配列された複数の振動子を用いて2次元走査が可能であるとともに、複数の振動子を所定の角度(揺動角度)で揺動させることで3次元走査が可能である。また、2Dアレイプローブは、マトリックス状に配置された複数の振動子により3次元走査が可能であるとともに、超音波を集束して送信することで2次元走査が可能である。
【0049】
図9A~9Cは、第1の実施形態に係る超音波プローブ101の構成の一例を示す図である。
図9Aに示すように、超音波プローブ101は、RCA構造の第1の振動子群106を構成する複数の振動子104、及び、RCA構造の第2の振動子群107を構成する複数の振動子105を備える。すなわち、超音波プローブ101は、RCA構造の振動子群として、2系統の振動子群(第1の振動子群106及び第2の振動子群107)を備える。例えば、超音波プローブ101は、x軸及びy軸により構成される2次元座標系において、x軸方向にN行、y軸方向にN列並んだN
2個の振動子104、及び、x軸方向にN行、y軸方向にN列並んだN
2個の振動子105を備える。なお、
図9Aに示す場合、Nの値は7である。
【0050】
振動子104及び振動子105は、例えば、MUT(Micromachined Ultrasound Transducer)により構成される。このようなMUTとしては、例えば、CMUT(Capacitive Micromachined Ultrasound Transducer)等が挙げられる。MUTの1つのセルが、1つの振動子104又は1つの振動子105に相当する。
【0051】
図9Aに示すように、x軸方向に隣接する2つの振動子104間の距離は「a」である。同様に、x軸方向に隣接する2つの振動子105間の距離も「a」である。また、y軸方向に隣接する2つの振動子104間の距離、及び、y軸方向に隣接する2つの振動子105間の距離も「a」である。
【0052】
図9Aに示すx軸及びy軸により構成される2次元座標系は、RCA構造の第1の振動子群106に対応する。また、
図9Aに示すx2軸及びy2軸により構成される2次元座標系は、RCA構造の第2の振動子群107に対応する。ここで、x2軸及びy2軸により構成される2次元座標系は、x軸及びy軸により構成される2次元座標系をx軸の正の方向にa/2、y軸の負の方向に-a/2だけ平行移動させ、平行移動後のx軸及びy軸により構成される2次元座標系の原点を中心として、平行移動後のx軸及びy軸により構成される2次元座標系を45°回転させることにより得られる座標系である。
【0053】
したがって、
図9Aに示すように、x2軸方向に隣接する2つの振動子105間の距離は「2
1/2a」である。同様に、x2軸方向に隣接する2つの振動子104間の距離も「2
1/2a」である。また、y2軸方向に隣接する2つの振動子104間の距離、及び、y2軸方向に隣接する2つの振動子105間の距離も「2
1/2a」である。
【0054】
RCA構造の第1の振動子群106が超音波を送信する場合、
図9Aに示すように、超音波プローブ101は、列方向(y軸方向)に並ぶN個の振動子104のそれぞれが有する2つの面のうち一方の面(例えば表面)を共通接続する。すなわち、超音波プローブ101は、列方向(y軸方向)に並ぶN個の振動子104を共通接続する。これにより、直列接続され、かつ、列方向に並んでいるN個の振動子104により構成される振動子群104aが、行方向(x軸方向)にN列並ぶこととなる。なお、列方向(y軸方向)に並ぶN個の振動子104は、第1の複数の振動子の一例である。
【0055】
また、RCA構造の第1の振動子群106が超音波(反射波)を受信する場合、
図9Aに示すように、超音波プローブ101は、行方向(x軸方向)に並ぶN個の振動子104のそれぞれが有する2つの面のうち他方の面(例えば裏面)を共通接続する。すなわち、超音波プローブ101は、行方向(x軸方向)に並ぶN個の振動子104を共通接続する。これにより、直列接続され、かつ、行方向に並んでいるN個の振動子104により構成される振動子群104bが、列方向(y軸方向)にN列並ぶこととなる。なお、行方向(x軸方向)に並ぶN個の振動子104は、第2の複数の振動子の一例である。
【0056】
一方、RCA構造の第2の振動子群107が超音波を送信する場合、
図9Bに示すように、超音波プローブ101は、列方向(y2軸方向)に並ぶk(k=2,3,・・・,N)個の振動子105のそれぞれが有する2つの面のうち一方の面(例えば表面)を共通接続する。すなわち、超音波プローブ101は、列方向(y2軸方向)に並ぶk個の振動子105を共通接続する。これにより、直列接続され、かつ、列方向に並んでいるk個の振動子105により構成される振動子群105aが、行方向(x2軸方向)に(2N-3)列並ぶこととなる。なお、列方向(y2軸方向)に並ぶk個の振動子105は、第1の複数の振動子の一例である。
【0057】
また、RCA構造の第2の振動子群107が超音波(反射波)を受信する場合、
図9Cに示すように、超音波プローブ101は、行方向(x2軸方向)に並ぶk個の振動子105のそれぞれが有する2つの面のうち他方の面(例えば裏面)を共通接続する。すなわち、超音波プローブ101は、行方向(x2軸方向)に並ぶk個の振動子105を共通接続する。これにより、直列接続され、かつ、行方向に並んでいるk個の振動子105により構成される振動子群105bが、列方向(y2軸方向)に(2N-3)列並ぶこととなる。なお、行方向(x2軸方向)に並ぶk個の振動子105は、第2の複数の振動子の一例である。
【0058】
上述したように、第1の実施形態に係る超音波プローブ101は、2次元状に配置された複数の振動子104,105を備える。そして、超音波プローブ101は、超音波を送信する場合に、互いに交差する2つの軸(例えば、x軸とy軸又はx2軸とy2軸)のうち一の軸の方向(例えば上述した列方向)に並ぶN個の振動子104又はk個の振動子105を共通接続し、超音波を受信する場合に、上述した2つの軸のうち他の軸の方向(例えば上述した行方向)に並ぶN個の振動子104又はk個の振動子105を共通接続するロウ・カラム・アドレッシング(Row-Column Addressing)型の複数の振動子群(第1の振動子群106及び第2の振動子群107)を備える。
【0059】
そして、第1の実施形態では、ロウ・カラム・アドレッシング型の複数の振動子群(第1の振動子群106及び第2の振動子群107)に対応する複数の2つの軸の組(例えば、x軸とy軸の組及びx2軸とy2軸の組)は、互いに異なる。具体的には、例えば、x軸とy軸の組に対して、x2軸とy2軸の組は角度が45°ずれている。
【0060】
また、第1の実施形態では、超音波プローブ101は、ロウ・カラム・アドレッシング型の複数の振動子群(第1の振動子群106及び第2の振動子群107)に対応する複数の2つの軸の組(例えば、x軸とy軸の組及びx2軸とy2軸の組)の角度の間隔(例えば45°)と、ロウ・カラム・アドレッシング型の複数の振動子群の数(例えば、2)との積が90°となるように構成されたロウ・カラム・アドレッシング型の複数の振動子群(第1の振動子群106及び第2の振動子群107)を備える。
【0061】
入力装置102は、例えば、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等の入力手段により実現される。入力装置102は、超音波診断装置1の操作者からの各種設定要求を受け付け、受け付けた各種設定要求を装置本体100に転送する。
【0062】
ディスプレイ103は、例えば、超音波診断装置1の操作者が入力装置102を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体100において生成された超音波画像データに基づく超音波画像等を表示したりする。ディスプレイ103は、液晶モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタ等によって実現される。ディスプレイ103は、表示部の一例である。
【0063】
装置本体100は、超音波プローブ101から送信された反射波信号に基づいて超音波画像データを生成する。なお、超音波画像データは、画像データの一例である。装置本体100は、超音波プローブ101から送信された被検体Pの2次元領域に対応する反射波信号に基づいて2次元の超音波画像データを生成可能である。また、装置本体100は、超音波プローブ101から送信された被検体Pの3次元領域に対応する反射波信号に基づいて3次元の超音波画像データを生成可能である。
図1に示すように、装置本体100は、送受信回路110と、バッファメモリ120と、信号処理回路130と、画像生成回路140と、画像メモリ150と、記憶回路160と、制御回路170とを有する。
【0064】
送受信回路110は、制御回路170による制御を受けて、超音波プローブ101から超音波を送信させるとともに、超音波プローブ101に超音波の反射波を受信させる。すなわち、送受信回路110は、超音波プローブ101を介して走査を実行する。なお、走査は、スキャン、超音波スキャン又は超音波走査とも称される。送受信回路110は、送受信部の一例である。送受信回路110は、送信回路111と受信回路112とを有する。
【0065】
送信回路111は、制御回路170による制御を受けて、超音波プローブ101から超音波を送信させる。送信回路111は、制御回路170による制御を受けて、超音波プローブ101に駆動信号を供給する。送信回路111は、被検体P内の2次元領域を走査する場合、超音波プローブ101から2次元領域を走査するための超音波ビームを送信させる。また、送信回路111は、被検体P内の3次元領域を走査する場合、超音波プローブ101から3次元領域を走査するための超音波ビームを送信させる。
図10は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の送受信系の構成の一例を示す図である。
【0066】
送信回路111は、
図10に示すように、パルサ(Pulser)181と、送信ビームフォーマ182とを有する。送信ビームフォーマ182は、パルサ181を介して、遅延制御された超音波を、振動子群104aを構成する複数の振動子104のそれぞれ、及び、振動子群105aを構成する複数の振動子105のそれぞれから送信させる。
【0067】
送信ビームフォーマ182は、レートパルサ発生回路及び送信遅延回路を備える。レートパルサ発生回路は、所定のレート周波数(PRF:Pulse Repetition Frequency)で、送信超音波(送信ビーム)を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。レートパルスが送信遅延回路を経由することで、異なる送信遅延時間を有した状態でパルサ181に電圧が印加される。例えば、送信遅延回路は、超音波プローブ101から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な振動子ごとの送信遅延時間を、レートパルサ発生回路により発生される各レートパルスに対して与える。
【0068】
パルサ181は、遅延制御された駆動信号(駆動パルス)を振動子に供給する。パルサ181は、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ101に駆動信号を供給する。すなわち、パルサ181は、かかるレートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ101に駆動信号が示す波形の電圧(送信駆動電圧)を印可する。なお、送信遅延回路は、各レートパルスに与える送信遅延時間を変化させることで、振動子104,105の送信面からの超音波の送信方向を任意に調整する。
【0069】
駆動パルスは、パルサ181からケーブルを介して超音波プローブ101内の振動子104,105まで伝達した後に、振動子104,105において電気信号から機械的振動に変換される。すなわち、振動子104,105に電圧が印可されることによって、振動子104,105は機械的に振動する。この機械的振動によって発生した超音波は、被検体Pの内部、すなわち、生体内部に送信される。ここで、振動子104,105ごとに異なる送信遅延時間を持った超音波は、集束されて、所定方向に伝搬していく。
【0070】
なお、送信回路111は、制御回路170による制御を受けて、所定の走査シーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有する。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間に送信駆動電圧の値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、または、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
【0071】
ここで、第1の実施形態では、
図10に示すように、N個の振動子群104a及び(2N-3)個の振動子群105aのそれぞれに対して1つのパルサ181が設けられている。したがって、装置本体100には(3N-3)個のパルサ181が設けられている。よって、1つのパルサ181を1つの電子回路として扱うと、超音波診断装置1が超音波を送信する場合に、装置本体100は2N個の電子回路が必要となる。
【0072】
第1の振動子群106が超音波を送信する場合、送信ビームフォーマ182は、パルサ181を介して、振動子群104aを構成するN個の振動子104の他方の面(例えば裏面)から、x軸方向に送信遅延が掛けられた超音波を送信させる。送信ビームフォーマ182は、このような処理を振動子群104a毎に行う。
【0073】
また、第2の振動子群107が超音波を送信する場合、送信ビームフォーマ182は、パルサ181を介して、振動子群105aを構成するk個の振動子105の他方の面(例えば裏面)から、x2軸方向に送信遅延が掛けられた超音波を送信させる。送信ビームフォーマ182は、このような処理を振動子群105a毎に行う。
【0074】
超音波プローブ101により送信された超音波の反射波は、超音波プローブ101内部の振動子まで到達した後、振動子104,105において、機械的振動から電気的信号(反射波信号)に変換され、受信回路112に入力される。受信回路112は、
図10に示すように、LNA183と、VGA184と、A/D(Analog to Digital)変換器(図示せず)と、受信ビームフォーマ185等を有し、超音波プローブ101から送信された反射波信号に対して各種処理を行なって反射波データを生成する。上述した反射波信号及び反射波データは、受信信号の一例である。受信回路112は、超音波プローブ101から送信された2次元の反射波信号から2次元の反射波データを生成する。また、受信回路112は、超音波プローブ101から送信された3次元の反射波信号から3次元の反射波データを生成する。そして、受信回路112は、生成した反射波データをバッファメモリ120に格納する。
【0075】
RCA構造の第1の振動子群106が超音波(反射波)を受信した場合、LNA183は、振動子群104bから出力された反射波信号を増幅する。ここで、1つの振動子群104bから出力される反射波信号は、1つの振動子群104bを構成するN個の振動子104から出力されるN個の反射波信号が加算(合成)されることにより得られる反射波信号(受信信号)である。このように、RCA構造の第1の振動子群106が超音波を送受信することにより、1つの振動子群104bは、N個の反射波信号が加算されることにより得られる反射波信号をLNA183に出力する。
【0076】
また、RCA構造の第2の振動子群107が超音波(反射波)を受信した場合、LNA183は、振動子群105bから出力された反射波信号を増幅する。ここで、1つの振動子群105bから出力される反射波信号は、1つの振動子群105bを構成するk個の振動子105から出力されるk個の反射波信号が加算(合成)されることにより得られる反射波信号である。このように、RCA構造の第2の振動子群107が超音波を送受信することにより、1つの振動子群105bは、k個の反射波信号が加算されることにより得られる反射波信号をLNA183に出力する。
【0077】
そして、VGA184は、増幅された反射波信号に対して深さに応じてゲイン調整を行う。そして、A/D(Analog to Digital)変換機は、ゲイン調整後のアナログ形式の信号(アナログ信号)である反射波信号をデジタル形式の反射波信号(デジタル信号)に変換する。
【0078】
そして、受信ビームフォーマ185は、N個の振動子群104bから出力されたゲイン調整後のN個の反射波信号(デジタル信号)に対して受信遅延を掛けて、受信遅延が掛けられたN個の反射波信号を加算する。そして、受信ビームフォーマ308は、N個の反射波信号を加算することにより得られた反射波データをバッファメモリ120に格納する。このようにして、RCA構造の第1の振動子群106が超音波を送受信することにより得られた反射波データを、以下、「第1の反射波データ」と称する場合がある。
【0079】
また、受信ビームフォーマ185は、(2N-3)個の振動子群105bから出力されたゲイン調整後の(2N-3)個の反射波信号(デジタル信号)に対して受信遅延を掛けて、受信遅延が掛けられた(2N-3)個の反射波信号を加算する。そして、受信ビームフォーマ308は、(2N-3)個の反射波信号を加算することにより得られた反射波データをバッファメモリ120に格納する。このようにして、RCA構造の第2の振動子群107が超音波を送受信することにより得られた反射波データを、以下、「第2の反射波データ」と称する場合がある。
【0080】
以上のことから、受信回路112は、複数の振動子群(第1の振動子群106及び第2の振動子群107)のそれぞれについて、複数の振動子104又は複数の振動子105から出力される複数の反射波信号に対してビームフォーミング(受信ビームフォーミング)を行う。
【0081】
ここで、第1の実施形態では、
図10に示すように、N個の振動子群104b及び(2N-3)個の振動子群105bのそれぞれに対して1つのLNA183及び1つのVGA184が設けられている。したがって、装置本体100には(3N-3)個のLNA183及び(3N-3)個のVGA184が設けられている。よって、1つのLNA183及び1つのVGA184の組を1つの電子回路として扱うと、超音波診断装置1が超音波を送信する場合に、装置本体100は(3N-3)個の電子回路が必要となる。
【0082】
バッファメモリ120は、送受信回路110により生成された反射波データを一時的に記憶するメモリである。例えば、バッファメモリ120は、所定数のフレーム分の反射波データを記憶することが可能なように構成されている。そして、バッファメモリ120は、所定数のフレーム分の反射波データを記憶している状態で、新たに1フレーム分の反射波データが受信回路112により生成された場合、受信回路112による制御を受けて、生成された時間が最も古い1フレーム分の反射波データを破棄し、新たに生成された1フレーム分の反射波データを記憶する。例えば、バッファメモリ120は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子によって実現される。
【0083】
信号処理回路130は、バッファメモリ120から第1の反射波データ及び第2の反射波データを読み出す。そして、信号処理回路130は、読み出された第1の反射波データに、読み出された第2の反射波データを加算し、加算することにより得られたデータ(加算後のデータ)に対して各種の信号処理を施し、各種の信号処理が施された加算後のデータをBモードデータ又はドプラデータとして画像生成回路140に出力する。信号処理回路130は、例えば、プロセッサにより実現される。信号処理回路130は、信号処理部の一例である。
【0084】
図11は、第1の実施形態に係る受信回路112及び信号処理回路130が第1の反射波データ及び第2の反射波データを生成してから、加算後のデータを得るまでの処理の一例の流れを示すフローチャートである。
【0085】
図11に示すように、受信回路112は、第1の反射波データを生成し、第1の反射波データをバッファメモリ120に格納する(ステップS101)。そして、受信回路112は、第2の反射波データを生成し、第2の反射波データをバッファメモリ120に格納する(ステップS102)。
【0086】
そして、信号処理回路130は、バッファメモリ120から第1の反射波データ及び第2の反射波データを読み出し、第1の反射波データに第2の反射波データを加算し(ステップS103)、
図11に示す処理を終了する。ここで、信号処理回路130は、上述したように、加算することにより得られた加算後のデータに対して各種の信号処理を施すことにより、Bモードデータ又はドプラデータを生成する。
【0087】
例えば、信号処理回路130は、バッファメモリ120に、新たに1フレーム分の第1の反射波データ及び第2の反射波データが格納される度に、新たにバッファメモリ120に格納された1フレーム分の第1の反射波データ及び第2の反射波データを読み出す。そして、信号処理回路130は、1フレーム分の第1の反射波データ及び第2の反射波データが読み出される度に、第1の反射波データに第2の反射波データを加算することにより、1フレーム分の加算後のデータを生成する。そして、信号処理回路130は、1フレーム分の加算後のデータが生成される度に、加算後のデータに対して各種の信号処理を施すことにより、新たに1フレーム分のBモードデータ又はドプラデータを生成する。そして、信号処理回路130は、1フレーム分のBモードデータ又はドプラデータを生成する度に、新たに生成された1フレーム分のBモードデータ又はドプラデータを画像生成回路140に出力する。以下、信号処理回路130実行する各種の信号処理の一例を説明する。
【0088】
例えば、信号処理回路130は、加算後のデータに対して、直交検波し、対数増幅及び包絡線検波処理等を施して、サンプル点ごとの信号強度(振幅強度)が輝度の明るさで表現されるBモードデータを生成する。そして、信号処理回路130は、生成したBモードデータを画像生成回路140に出力する。
【0089】
また、信号処理回路130は、加算後のデータに対して、高調波成分を映像化するハーモニックイメージングを行うための信号処理を実行する。ハーモニックイメージングとしては、コントラストハーモニックイメージング(CHI:Contrast Harmonic Imaging)や組織ハーモニックイメージング(THI:Tissue Harmonic Imaging)が挙げられる。また、コントラストハーモニックイメージングや組織ハーモニックイメージングでは、スキャン方式として、以下の方式が知られている。例えば、かかるスキャン方式として、振幅変調(AM:Amplitude Modulation)、パルスサブトラクション法(Pulse Subtraction法)又はパルスインバージョン法(Pulse Inversion法)と呼ばれる位相変調(PM:Phase Modulation)、及び、AMとPMとを組み合わせることで、AMの効果及びPMの効果の双方が得られるAMPM等が知られている。
【0090】
また、信号処理回路130は、加算後のデータを周波数解析することで、ドプラ効果に基づく移動体(血流や組織、造影剤エコー成分等)の運動情報を加算後のデータから抽出し、抽出した運動情報を示すドプラデータを生成する。例えば、信号処理回路130は、移動体の運動情報として、平均速度、平均分散値及び平均パワー値等を多点に渡り抽出し、抽出した移動体の運動情報を示すドプラデータを生成する。信号処理回路130は、生成したドプラデータを画像生成回路140に出力する。
【0091】
上記の信号処理回路130の機能を用いて、実施形態に係る超音波診断装置1は、カラーフローマッピング(CFM:Color Flow Mapping)法とも呼ばれるカラードプラ法を実行可能である。カラーフローマッピング法では、超音波の送受信が複数の走査線上で複数回行なわれる。そして、カラーフローマッピング法では、同一位置のデータ列に対してMTI(Moving Target Indicator)フィルタを掛けることで、同一位置のデータ列から、静止している組織、或いは、動きの遅い組織に由来する信号(クラッタ信号)を抑制して、血流に由来する信号(血流信号)を抽出する。そして、カラーフローマッピング法では、この血流信号から血流の速度、血流の分散、血流のパワー等の血流情報を推定する。信号処理回路130は、カラーフローマッピング法により推定された血流情報を示すカラー画像データを画像生成回路140に出力する。なお、カラー画像データは、ドプラデータの一例である。
【0092】
信号処理回路130は、2次元の加算後のデータ及び3次元の加算後のデータの両方のデータを処理可能である。
【0093】
画像生成回路140は、信号処理回路130から出力されたBモードデータ又はドプラデータから超音波画像データを生成する。画像生成回路140は、プロセッサにより実現される。
【0094】
例えば、画像生成回路140は、信号処理回路130が生成した2次元のBモードデータから反射波の強度を輝度で表した2次元Bモード画像データを生成する。また、画像生成回路140は、信号処理回路130が生成した2次元のドプラデータから運動情報又は血流情報が映像化された2次元ドプラ画像データを生成する。なお、運動情報が映像化された2次元ドプラ画像データは、速度画像データ、分散画像データ、パワー画像データ、又は、これらを組み合わせた画像データである。
【0095】
ここで、画像生成回路140は、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(走査コンバート)し、表示用の超音波画像データを生成する。例えば、画像生成回路140は、信号処理回路130から出力されたデータに対して、超音波プローブ101による超音波の走査形態に応じて座標変換を行なうことで、表示用の超音波画像データを生成する。また、画像生成回路140は、走査コンバート以外に種々の画像処理として、例えば、走査コンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を行なう。また、画像生成回路140は、超音波画像データに、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマーク等を合成する。
【0096】
更に、画像生成回路140は、信号処理回路130により生成された3次元のBモードデータに対して座標変換を行なうことで、3次元Bモード画像データを生成する。また、画像生成回路140は、信号処理回路130により生成された3次元のドプラデータに対して座標変換を行なうことで、3次元ドプラ画像データを生成する。すなわち、画像生成回路140は、「3次元のBモード画像データ及び3次元ドプラ画像データ」を「3次元超音波画像データ(ボリュームデータ)」として生成する。そして、画像生成回路140は、ボリュームデータをディスプレイ103にて表示するための各種の2次元画像データを生成するために、ボリュームデータに対して様々なレンダリング処理を行なう。
【0097】
画像生成回路140が行なうレンダリング処理としては、例えば、断面再構成法(MPR:Multi Planer Reconstruction)を用いてボリュームデータからMPR画像データを生成する処理がある。また、画像生成回路140が行なうレンダリング処理としては、例えば、3次元の情報を反映した2次元画像データを生成するボリュームレンダリング(VR:Volume Rendering)処理がある。画像生成回路140は、画像生成部の一例である。
【0098】
Bモードデータ及びドプラデータは、走査コンバート処理前の超音波画像データであり、画像生成回路140が生成するデータは、走査コンバート処理後の表示用の超音波画像データである。なお、Bモードデータ及びドプラデータは、生データ(Raw Data)とも呼ばれる。
【0099】
以上のことから、受信回路112、信号処理回路130及び画像生成回路140は、複数の振動子群(第1の振動子群106及び第2の振動子群107)のそれぞれについて、複数の振動子104又は複数の振動子105から出力される複数の反射波信号に対してビームフォーミングを行い、ビームフォーミングにより得られた反射波データに基づいて超音波画像データを生成する。受信回路112、信号処理回路130及び画像生成回路140は、生成部の一例である。なお、受信回路112は、複数の振動子群(第1の振動子群106及び第2の振動子群107)のそれぞれについて、複数の振動子104又は複数の振動子105から出力される複数の受信信号に対してアポダイゼーションを行わずにビームフォーミングを行う。
【0100】
また、信号処理回路130及び画像生成回路140は、複数の振動子群(第1の振動子群106及び第2の振動子群107)について生成された複数のビームフォーミングにより得られた複数の反射波データ(第1の反射波データ及び第2の反射波データ)を加算し、加算後のデータに基づいて超音波画像データを生成する。ここで、加算後のデータは、加算後の信号の一例である。
【0101】
画像メモリ150は、画像生成回路140により生成された各種の画像データを記憶するメモリである。また、画像メモリ150は、信号処理回路130により生成されたデータも記憶する。画像メモリ150が記憶するBモードデータやドプラデータは、例えば、診断の後に操作者が呼び出すことが可能となっており、画像生成回路140を経由して表示用の超音波画像データとなる。例えば、画像メモリ150は、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク又は光ディスクによって実現される。
【0102】
記憶回路160は、走査(超音波の送受信)、画像処理及び表示処理を行なうための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。また、記憶回路160は、必要に応じて、画像メモリ150が記憶するデータの保管等にも使用される。例えば、記憶回路160は、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク又は光ディスクによって実現される。
【0103】
制御回路170は、超音波診断装置1の処理全体を制御する。具体的には、制御回路170は、入力装置102を介して操作者から入力された各種設定要求や、記憶回路160から読込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送受信回路110、信号処理回路130及び画像生成回路140の処理を制御する。また、制御回路170は、画像メモリ150に記憶された表示用の超音波画像データに基づく超音波画像を表示するようにディスプレイ103を制御する。例えば、制御回路170は、Bモード画像データに基づくBモード画像又はカラー画像データに基づくカラー画像を表示するようにディスプレイ103を制御する。また、制御回路170は、Bモード画像にカラー画像を重畳させて表示するようにディスプレイ103を制御する。制御回路170は、表示制御部又は制御部の一例である。制御回路170は、例えば、プロセッサにより実現される。超音波画像は、画像の一例である。
【0104】
また、制御回路170は、送受信回路110を介して超音波プローブ101を制御することで、超音波走査の制御を行なう。
【0105】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、若しくは、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、又は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは、記憶回路160に保存されたプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することで機能を実現する。なお、記憶回路160にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。更に、
図1における複数の回路(例えば、信号処理回路130、画像生成回路140及び制御回路170)を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。すなわち、信号処理回路130、画像生成回路140及び制御回路170は、プロセッサにより実現される1つの処理回路に統合されてもよい。
【0106】
図12Aは、RCA構造の第1の振動子群106のz軸方向から見たPSFを6dB間隔の等高線で示した図である。
図12Bは、RCA構造の第2の振動子群107のz軸方向から見たPSFを6dB間隔の等高線で示した図である。
図12Cは、
図12Aにより示される内容に
図12Bにより示される内容を加算したものを示す図である。
【0107】
図13Aは、
図12Aに示す内容をピークから-40dBまでの画像186として表したものである。
図13Bは、
図12Bに示す内容をピークから-40dBまでの画像187として表したものである。
図13Cは、
図12Cに示す内容をピークから-40dBまでの画像188として表したものである。
【0108】
図13Cに示される画像188と、先の
図5Bに示される画像310とを比較すると、第1の実施形態に係る超音波診断装置1では、受信アポダイゼーション及び送信アポダイゼーションを実行しない場合のRCA構造の振動子群を備える超音波診断装置300と比べて、サイドローブが低減されていることが分かる。
【0109】
また、
図13Cに示される画像188と、先の
図5Cに示される画像311とを比較すると、第1の実施形態に係る超音波診断装置1では、受信アポダイゼーション及び送信アポダイゼーションを実行する場合のRCA構造の振動子群を備える超音波診断装置300と比べて、メインローブが急峻で高分解能であることが分かる。
【0110】
ここで、第1の実施形態に係る超音波診断装置1が奏する効果を分かりやすく説明するために、表示ダイナミックレンジを30dBにした画像を
図14A~14Cに示す。
図14Aは、先の
図4Bに示す内容をピークから-30dBまでの画像189として表したものである。
図14Bは、先の
図4Cに示す内容をピークから-30dBまでの画像190として表したものである。
図14Cは、先の
図12Cに示す内容をピークから-30dBまでの画像191として表したものである。
【0111】
図14Cに示される画像191と、
図14Aに示される画像189とを比較すると、第1の実施形態に係る超音波診断装置1では、受信アポダイゼーション及び送信アポダイゼーションを実行しない場合のRCA構造の振動子群を備える超音波診断装置300と比べて、サイドローブが低減されていることが明瞭に分かる。
【0112】
また、
図14Cに示される画像191と、
図14Bに示される画像190とを比較すると、第1の実施形態に係る超音波診断装置1では、受信アポダイゼーション及び送信アポダイゼーションを実行する場合のRCA構造の振動子群を備える超音波診断装置300と比べて、メインローブが急峻で高分解能であることが明瞭に分かる。
【0113】
以上のことから、第1の実施形態に係る超音波診断装置1によれば、画質を向上させることができる。
【0114】
以上、第1の実施形態に係る超音波診断装置1について説明した。以上の説明から、第1の実施形態に係る超音波診断装置1によれば、RCA構造の振動子群を用いて得られる超音波画像の画質を向上させることができる。
【0115】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、超音波プローブ101が、RCA構造の振動子群として、2系統の振動子群(第1の振動子群106及び第2の振動子群107)を備える場合について説明した。しかしながら、超音波プローブ101は、RCA構造の振動子群として、3系統以上の振動子群を備えてもよい。そこで、このような実施形態を第2の実施形態として説明する。なお、第2の実施形態の説明では、主に、第1の実施形態と異なる点について説明し、第1の実施形態と同様の構成の説明については省略する場合がある。
【0116】
図15A及び
図15Bは、第2の実施形態に係る超音波プローブ101の構成の一例を示す図である。第2の実施形態に係る超音波プローブ101は、
図15Aに示すように、RCA構造の第1の振動子群192、RCA構造の第2の振動子群193、RCA構造の第3の振動子群194及びRCA構造の第4の振動子群195を備える。すなわち、超音波プローブ101は、RCA構造の振動子群として、4系統の振動子群を備える。
【0117】
第2の実施形態では、超音波プローブ101は、複数の振動子196、複数の振動子197、複数の振動子198及び複数の振動子199を備える。例えば、x軸方向に2行、y軸方向に2列の2×2のブロック内に配置される4つの振動子として、振動子196、振動子197、振動子198及び振動子199が割り当てられている。そして、このようなブロックがx軸方向及びy軸方向の2次元状に複数配列されている。
【0118】
振動子196、振動子197、振動子198及び振動子199は、例えば、MUTにより構成される。このようなMUTとしては、例えば、CMUT等が挙げられる。MUTの1つのセルが、1つの振動子196、1つの振動子197、1つの振動子198又は1つの振動子199に相当する。
【0119】
図15Aに示すx軸及びy軸により構成される2次元座標系は、RCA構造の第1の振動子群192に対応する。また、
図15Aに示すx3軸及びy3軸により構成される2次元座標系は、RCA構造の第2の振動子群193に対応する。ここで、x3軸及びy3軸により構成される2次元座標系は、x軸及びy軸により構成される2次元座標系の原点を中心として、x軸及びy軸により構成される2次元座標系を22.5°回転させることにより得られる座標系である。
【0120】
また、
図15Aに示すx4軸及びy4軸により構成される2次元座標系は、RCA構造の第3の振動子群194に対応する。ここで、x4軸及びy4軸により構成される2次元座標系は、x軸及びy軸により構成される2次元座標系の原点を中心として、x軸及びy軸により構成される2次元座標系を45°回転させることにより得られる座標系である。
【0121】
また、
図15Aに示すx5軸及びy5軸により構成される2次元座標系は、RCA構造の第4の振動子群195に対応する。ここで、x5軸及びy5軸により構成される2次元座標系は、x軸及びy軸により構成される2次元座標系の原点を中心として、x軸及びy軸により構成される2次元座標系を67.5°回転させることにより得られる座標系である。
【0122】
RCA構造の第1の振動子群192が超音波を送信する場合、
図15Bに示すように、超音波プローブ101は、列方向(y軸方向)に並ぶ複数の振動子196のそれぞれが有する2つの面のうち一方の面(例えば表面)を共通接続する。すなわち、超音波プローブ101は、列方向(y軸方向)に並ぶ複数の振動子196を共通接続する。これにより、直列接続され、かつ、列方向に並んでいる複数の振動子196により構成される振動子群が、行方向(x軸方向)に複数列並ぶこととなる。なお、列方向(y軸方向)に並ぶ複数の振動子104は、第1の複数の振動子の一例である。
【0123】
また、RCA構造の第1の振動子群192が超音波(反射波)を受信する場合、
図15Bに示すように、超音波プローブ101は、行方向(x軸方向)に並ぶ複数の振動子196のそれぞれが有する2つの面のうち他方の面(例えば裏面)を共通接続する。すなわち、超音波プローブ101は、行方向(x軸方向)に並ぶ複数の振動子196を共通接続する。これにより、直列接続され、かつ、行方向に並んでいる複数の振動子196により構成される振動子群が、列方向(y軸方向)に複数列並ぶこととなる。なお、行方向(x軸方向)に並ぶ複数の振動子196は、第2の複数の振動子の一例である。
【0124】
また、RCA構造の第2の振動子群193が超音波を送信する場合、
図15Bに示すように、超音波プローブ101は、列方向(y3軸方向)に並ぶ複数の振動子197のそれぞれが有する2つの面のうち一方の面(例えば表面)を共通接続する。すなわち、超音波プローブ101は、列方向(y3軸方向)に並ぶ複数の振動子197を共通接続する。ここで、列方向(y3軸方向)に並ぶ複数の振動子197は、一直線に列方向(y3軸方向)に並ぶ複数の振動子197を意味するのではなく、行方向(x3軸方向)に一定の幅を有する範囲内に含まれる複数の振動子197を意味する。これにより、直列接続され、かつ、列方向に並んでいる複数の振動子197により構成される振動子群が、行方向(x軸方向)に複数列並ぶこととなる。なお、列方向(y軸方向)に並ぶ複数の振動子197は、第1の複数の振動子の一例である。
【0125】
また、RCA構造の第2の振動子群193が超音波(反射波)を受信する場合、
図15Bに示すように、超音波プローブ101は、行方向(x3軸方向)に並ぶ複数の振動子197のそれぞれが有する2つの面のうち他方の面(例えば裏面)を共通接続する。すなわち、超音波プローブ101は、行方向(x3軸方向)に並ぶ複数の振動子197を共通接続する。ここで、行方向(x3軸方向)に並ぶ複数の振動子197は、一直線に行方向(x3軸方向)に並ぶ複数の振動子197を意味するのではなく、列方向(y3軸方向)に一定の幅を有する範囲内に含まれる複数の振動子197を意味する。これにより、直列接続され、かつ、行方向に並んでいる複数の振動子197により構成される振動子群が、列方向(y3軸方向)に複数列並ぶこととなる。なお、行方向(x3軸方向)に並ぶ複数の振動子197は、第2の複数の振動子の一例である。
【0126】
また、RCA構造の第3の振動子群194が超音波を送信する場合、
図15Bに示すように、超音波プローブ101は、列方向(y4軸方向)に並ぶ複数の振動子198のそれぞれが有する2つの面のうち一方の面(例えば表面)を共通接続する。すなわち、超音波プローブ101は、列方向(y4軸方向)に並ぶ複数の振動子198を共通接続する。ここで、列方向(y4軸方向)に並ぶ複数の振動子198は、一直線に列方向(y4軸方向)に並ぶ複数の振動子198を意味するのではなく、行方向(x4軸方向)に一定の幅を有する範囲内に含まれる複数の振動子198を意味する。これにより、直列接続され、かつ、列方向に並んでいる複数の振動子198により構成される振動子群が、行方向(x4軸方向)に複数列並ぶこととなる。なお、列方向(y4軸方向)に並ぶ複数の振動子198は、第1の複数の振動子の一例である。
【0127】
また、RCA構造の第3の振動子群194が超音波(反射波)を受信する場合、
図15Bに示すように、超音波プローブ101は、行方向(x4軸方向)に並ぶ複数の振動子198のそれぞれが有する2つの面のうち他方の面(例えば裏面)を共通接続する。すなわち、超音波プローブ101は、行方向(x4軸方向)に並ぶ複数の振動子198を共通接続する。ここで、行方向(x4軸方向)に並ぶ複数の振動子198は、一直線に行方向(x4軸方向)に並ぶ複数の振動子198を意味するのではなく、列方向(y4軸方向)に一定の幅を有する範囲内に含まれる複数の振動子198を意味する。これにより、直列接続され、かつ、行方向に並んでいる複数の振動子198により構成される振動子群が、列方向(y4軸方向)に複数列並ぶこととなる。なお、行方向(x4軸方向)に並ぶ複数の振動子198は、第2の複数の振動子の一例である。
【0128】
また、RCA構造の第4の振動子群195が超音波を送信する場合、
図15Bに示すように、超音波プローブ101は、列方向(y5軸方向)に並ぶ複数の振動子199のそれぞれが有する2つの面のうち一方の面(例えば表面)を共通接続する。すなわち、超音波プローブ101は、列方向(y5軸方向)に並ぶ複数の振動子199を共通接続する。ここで、列方向(y5軸方向)に並ぶ複数の振動子199は、一直線に列方向(y5軸方向)に並ぶ複数の振動子199を意味するのではなく、行方向(x5軸方向)に一定の幅を有する範囲内に含まれる複数の振動子199を意味する。これにより、直列接続され、かつ、列方向に並んでいる複数の振動子199により構成される振動子群が、行方向(x5軸方向)に複数列並ぶこととなる。なお、列方向(y5軸方向)に並ぶ複数の振動子199は、第1の複数の振動子の一例である。
【0129】
また、RCA構造の第4の振動子群195が超音波(反射波)を受信する場合、
図15Bに示すように、超音波プローブ101は、行方向(x5軸方向)に並ぶ複数の振動子199のそれぞれが有する2つの面のうち他方の面(例えば裏面)を共通接続する。すなわち、超音波プローブ101は、行方向(x5軸方向)に並ぶ複数の振動子199を共通接続する。ここで、行方向(x5軸方向)に並ぶ複数の振動子199は、一直線に行方向(x5軸方向)に並ぶ複数の振動子199を意味するのではなく、列方向(y5軸方向)に一定の幅を有する範囲内に含まれる複数の振動子199を意味する。これにより、直列接続され、かつ、行方向に並んでいる複数の振動子199により構成される振動子群が、列方向(y5軸方向)に複数列並ぶこととなる。なお、行方向(x5軸方向)に並ぶ複数の振動子199は、第2の複数の振動子の一例である。
【0130】
そして、第2の実施形態に係る超音波診断装置1は、上述した4系統の振動子群(第1の振動子群192、第2の振動子群193、第3の振動子群194及び第4の振動子群195)を用いて、第1の実施形態に係る超音波診断装置1が2系統の振動子群(第1の振動子群106及び第2の振動子群107)を用いて行った処理と同様の処理を行う。
【0131】
上述したように、第2の実施形態に係る超音波プローブ101は、2次元状に配置された複数の振動子196,197,198,199を備える。そして、超音波プローブ101は、超音波を送信する場合に、互いに交差する2つの軸(例えば、x軸とy軸、x3軸とy3軸、x4軸とy4軸又はx5軸とy5軸)のうち一の軸の方向(例えば上述した列方向)に並ぶ複数の振動子196、複数の振動子197、複数の振動子198又は複数の振動子199を共通接続し、超音波を受信する場合に、上述した2つの軸のうち他の軸の方向(例えば上述した行方向)に並ぶ複数の振動子196、複数の振動子197、複数の振動子198又は複数の振動子199を共通接続するロウ・カラム・アドレッシング型の複数の振動子群(第1の振動子群192、第2の振動子群193、第3の振動子群194及び第4の振動子群195)を備える。
【0132】
そして、第2の実施形態では、ロウ・カラム・アドレッシング型の複数の振動子群(第1の振動子群192、第2の振動子群193、第3の振動子群194及び第4の振動子群195)に対応する複数の2つの軸の組(例えば、x軸とy軸の組、x3軸とy3軸の組、x4軸とy4軸の組及びx5軸とy5軸の組)は、互いに異なる。
【0133】
また、第2の実施形態では、超音波プローブ101は、ロウ・カラム・アドレッシング型の複数の振動子群(第1の振動子群192、第2の振動子群193、第3の振動子群194及び第4の振動子群195)に対応する複数の2つの軸の組(例えば、x軸とy軸の組、x3軸とy3軸の組、x4軸とy4軸の組及びx5軸とy5軸の組)の角度の間隔(例えば22.5°)と、ロウ・カラム・アドレッシング型の複数の振動子群の数(例えば、4)との積が90°となるように構成されたロウ・カラム・アドレッシング型の複数の振動子群(第1の振動子群192、第2の振動子群193、第3の振動子群194及び第4の振動子群195)を備える。
【0134】
以上、第2の実施形態に係る超音波診断装置1について説明した。第2の実施形態に係る超音波診断装置1によれば、第1の実施形態に係る超音波診断装置1が奏する効果と同様の効果を奏する。
【0135】
なお、プロセッサによって実行されるプログラムは、ROM(Read Only Memory)や記憶回路等に予め組み込まれて提供される。なお、このプログラムは、これらの装置にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disk)-ROM、FD(Flexible Disk)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な非一過性の記憶媒体に記録されて提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードされることによって提供又は配布されてもよい。例えば、このプログラムは、上述した各処理機能を含むモジュールで構成される。実際のハードウェアとしては、CPUが、ROM等の記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置上にロードされて、主記憶装置上に生成される。
【0136】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、RCA構造の振動子群を用いて得られる超音波画像の画質を向上させることができる。
【0137】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0138】
1 超音波診断装置
112 受信回路
130 信号処理回路
140 画像生成回路
170 制御回路