IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝エネルギーシステムズ株式会社の特許一覧

特開2022-174588ネットワーク状態可視化装置、ネットワーク状態可視化方法、および、プログラム
<>
  • 特開-ネットワーク状態可視化装置、ネットワーク状態可視化方法、および、プログラム 図1
  • 特開-ネットワーク状態可視化装置、ネットワーク状態可視化方法、および、プログラム 図2
  • 特開-ネットワーク状態可視化装置、ネットワーク状態可視化方法、および、プログラム 図3
  • 特開-ネットワーク状態可視化装置、ネットワーク状態可視化方法、および、プログラム 図4
  • 特開-ネットワーク状態可視化装置、ネットワーク状態可視化方法、および、プログラム 図5
  • 特開-ネットワーク状態可視化装置、ネットワーク状態可視化方法、および、プログラム 図6
  • 特開-ネットワーク状態可視化装置、ネットワーク状態可視化方法、および、プログラム 図7
  • 特開-ネットワーク状態可視化装置、ネットワーク状態可視化方法、および、プログラム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174588
(43)【公開日】2022-11-24
(54)【発明の名称】ネットワーク状態可視化装置、ネットワーク状態可視化方法、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/18 20090101AFI20221116BHJP
   H04W 40/12 20090101ALI20221116BHJP
【FI】
H04W16/18
H04W40/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080476
(22)【出願日】2021-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小堺 康之
(72)【発明者】
【氏名】小林 崇裕
(72)【発明者】
【氏名】米山 清二郎
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067EE02
5K067FF23
(57)【要約】
【課題】無線マルチホップネットワークにおける通信不良の要因の推定を視覚的に可能にするトポロジ図を生成する。
【解決手段】実施形態のネットワーク状態可視化装置は、複数のノードを備える無線マルチホップネットワークのトポロジデータを取得するトポロジデータ取得部と、前記無線マルチホップネットワークにおける前記ノードおよび前記ノード間のリンクの少なくともいずれかに関する無線通信の所定の状態を示す状態データを取得する状態データ取得部と、前記トポロジデータに基づいて、前記無線マルチホップネットワークのトポロジ図である第1のトポロジ図を生成する第1生成部と、前記状態データに基づいて、前記第1のトポロジ図に対して、通信不良の要因に関連する所定の可視化画像処理を行って第2のトポロジ図を生成する第2生成部と、前記第2のトポロジ図を表示部に表示させる表示制御部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノードを備える無線マルチホップネットワークのトポロジデータを取得するトポロジデータ取得部と、
前記無線マルチホップネットワークにおける前記ノードおよび前記ノード間のリンクの少なくともいずれかに関する無線通信の所定の状態を示す状態データを取得する状態データ取得部と、
前記トポロジデータに基づいて、前記無線マルチホップネットワークのトポロジ図である第1のトポロジ図を生成する第1生成部と、
前記状態データに基づいて、前記第1のトポロジ図に対して、通信不良の要因に関連する所定の可視化画像処理を行って第2のトポロジ図を生成する第2生成部と、
前記第2のトポロジ図を表示部に表示させる表示制御部と、
を備えるネットワーク状態可視化装置。
【請求項2】
前記状態データ取得部は、前記状態データとして、前記ノードごとの受信した電波の強度である受信電波強度、前記リンクごとのパケットロス率、前記リンクごとのトラフィック量の少なくともいずれかのデータを取得し、
前記第2生成部は、前記状態データに基づいて、前記第1のトポロジ図に対して、通信可能な前記リンクを2種類以上の線で表して前記第2のトポロジ図を生成する、請求項1に記載のネットワーク状態可視化装置。
【請求項3】
前記トポロジデータ取得部は、前記トポロジデータとは異なる時点の第2のトポロジデータを取得し、
前記第2生成部は、前記トポロジデータおよび前記第2のトポロジデータに基づいて、前記第1のトポロジ図に対して、親ノードが変わっていない前記リンクと、親ノードが変わった前記リンクと、を異なる種類の線で表して前記第2のトポロジ図を生成する、請求項1に記載のネットワーク状態可視化装置。
【請求項4】
前記状態データ取得部は、前記状態データとして、それぞれの前記ノードから定期的に信号を取得し、
前記第2生成部は、前記状態データに基づいて、前記第1のトポロジ図に対して、所定時間内に前記信号を送ってきた前記ノードと、前記所定時間内に前記信号を送ってきていない前記ノードと、を異なる種類のマークで表して前記第2のトポロジ図を生成する、請求項1に記載のネットワーク状態可視化装置。
【請求項5】
前記状態データ取得部は、前記状態データとして、前記無線マルチホップネットワークにおいて信号が伝達された経路情報を取得し、
前記第2生成部は、前記表示部に表示されている前記第1のトポロジ図における所定の前記ノードがユーザによって選択された場合に、前記経路情報に基づいて、前記第1のトポロジ図に対して、前記所定の前記ノードから集約装置までの経路の前記リンクと、その他の前記リンクと、を異なる種類の線で表して前記第2のトポロジ図を生成する、請求項1に記載のネットワーク状態可視化装置。
【請求項6】
前記状態データ取得部は、前記状態データとして、前記表示部に表示されている前記第1のトポロジ図においてユーザによって選択された所定の前記ノードから送信された信号に対する、他の前記ノードごとの受信電波強度情報を取得し、
前記第2生成部は、前記状態データに基づいて、前記第1のトポロジ図に対して、前記他の前記ノードごとの近傍に前記受信電波強度情報を表して前記第2のトポロジ図を生成する、請求項1に記載のネットワーク状態可視化装置。
【請求項7】
前記状態データ取得部は、前記状態データとして、それぞれの前記ノードのトラフィック量の情報を取得し、
前記第2生成部は、前記トラフィック量の情報に基づいて、前記第1のトポロジ図に対して、前記トラフィック量が所定のトラフィック量閾値以上である前記ノードと、前記トラフィック量が前記所定のトラフィック量閾値未満である前記ノードと、を異なる種類のマークで表して前記第2のトポロジ図を生成する、請求項1に記載のネットワーク状態可視化装置。
【請求項8】
複数のノードを備える無線マルチホップネットワークのトポロジデータを取得するトポロジデータ取得ステップと、
前記無線マルチホップネットワークにおける前記ノードおよび前記ノード間のリンクの少なくともいずれかに関する無線通信の所定の状態を示す状態データを取得する状態データ取得ステップと、
前記トポロジデータに基づいて、前記無線マルチホップネットワークのトポロジ図である第1のトポロジ図を生成する第1生成ステップと、
前記状態データに基づいて、前記第1のトポロジ図に対して、通信不良の要因に関連する所定の可視化画像処理を行って第2のトポロジ図を生成する第2生成ステップと、
前記第2のトポロジ図を表示部に表示させる表示制御ステップと、
を含むネットワーク状態可視化方法。
【請求項9】
コンピュータを、
複数のノードを備える無線マルチホップネットワークのトポロジデータを取得するトポロジデータ取得部と、
前記無線マルチホップネットワークにおける前記ノードおよび前記ノード間のリンクの少なくともいずれかに関する無線通信の所定の状態を示す状態データを取得する状態データ取得部と、
前記トポロジデータに基づいて、前記無線マルチホップネットワークのトポロジ図である第1のトポロジ図を生成する第1生成部と、
前記状態データに基づいて、前記第1のトポロジ図に対して、通信不良の要因に関連する所定の可視化画像処理を行って第2のトポロジ図を生成する第2生成部と、
前記第2のトポロジ図を表示部に表示させる表示制御部と、
して機能させるためのプログラム。
【請求項10】
コンピュータを、
複数のノードを備える無線マルチホップネットワークのトポロジデータを取得するトポロジデータ取得部と、
前記無線マルチホップネットワークにおける前記ノードおよび前記ノード間のリンクの少なくともいずれかに関する無線通信の所定の状態を示す状態データを取得する状態データ取得部と、
前記トポロジデータに基づいて、前記無線マルチホップネットワークのトポロジ図である第1のトポロジ図を生成する第1生成部と、
前記状態データに基づいて、前記第1のトポロジ図に対して、通信不良の要因に関連する所定の可視化画像処理を行って第2のトポロジ図を生成する第2生成部と、
前記第2のトポロジ図を表示部に表示させる表示制御部と、
して機能させるためのプログラムを送信するネットワーク状態可視化装置。
【請求項11】
複数のノードを備える無線マルチホップネットワークのトポロジデータを取得するトポロジデータ取得部と、
前記無線マルチホップネットワークにおける前記ノードおよび前記ノード間のリンクの少なくともいずれかに関する無線通信の所定の状態を示す状態データを取得する状態データ取得部と、
前記トポロジデータに基づいて、前記無線マルチホップネットワークのトポロジ図である第1のトポロジ図を生成する第1生成部と、
前記状態データに基づいて、前記第1のトポロジ図に対して、通信不良の要因に関連する所定の可視化画像処理を行って第2のトポロジ図を生成する第2生成部と、
前記第2のトポロジ図を送信する送信部と、を備える、
ネットワーク状態可視化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ネットワーク状態可視化装置、ネットワーク状態可視化方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のノード(スマートメーター等の通信端末)を備えるIoT(Internet of Things)システムにおいて、マルチホップ方式と呼ばれる無線通信方式を適用する場合がある。無線マルチホップネットワークは、集約装置(例えばコンセントレータ、ボーダールータ等)、および、複数のノードを備える。そして、集約装置と直接通信できないノードは、他のノードを経由するバケツリレー方式でデータの転送を行う。マルチホップネットワークは、メッシュネットワークとも呼ばれる。
【0003】
また、無線マルチホップネットワークのトポロジ図は、例えば、ノードの親子関係が矢印で表現される。無線マルチホップネットワークの管理者は、このトポロジ図を見ることで、ノードの親子関係を把握することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】T. Winter, Ed. et al, “RPL: IPv6 Routing Protocol for Low-Power and Lossy Networks”, [online], March 2012, Internet Engineering Task Force (IETF), [令和3年4月9日検索], インターネット<URL: https://tools.ietf.org/html/rfc6550>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来技術では、無線マルチホップネットワークで通信不良(例えばパケットロス等)が発生した場合に、管理者は、トポロジ図を見ても、ノードの親子関係しか把握できない。つまり、管理者は、通信不良の要因を把握するために、トポロジ図を見る以外に、多くの通信ログを調べる等の作業を行う必要があり、改善の余地がある。
【0006】
そこで、本発明の課題は、無線マルチホップネットワークにおける通信不良の要因の推定を視覚的に可能にするトポロジ図を生成するネットワーク状態可視化装置、ネットワーク状態可視化方法、および、プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態のネットワーク状態可視化装置は、複数のノードを備える無線マルチホップネットワークのトポロジデータを取得するトポロジデータ取得部と、前記無線マルチホップネットワークにおける前記ノードおよび前記ノード間のリンクの少なくともいずれかに関する無線通信の所定の状態を示す状態データを取得する状態データ取得部と、前記トポロジデータに基づいて、前記無線マルチホップネットワークのトポロジ図である第1のトポロジ図を生成する第1生成部と、前記状態データに基づいて、前記第1のトポロジ図に対して、通信不良の要因に関連する所定の可視化画像処理を行って第2のトポロジ図を生成する第2生成部と、前記第2のトポロジ図を表示部に表示させる表示制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態のデータ管理システムの全体構成を模式的に示す図である。
図2図2は、第1実施形態の情報処理装置による処理を示すブロック図である。
図3図3は、第1実施形態の表示画面例を模式的に示す図である。
図4図4は、第2実施形態の表示画面例を模式的に示す図である。
図5図5は、第3実施形態の表示画面例を模式的に示す図である。
図6図6は、第4実施形態の表示画面例を模式的に示す図である。
図7図7は、第5実施形態の表示画面例を模式的に示す図である。
図8図8は、第6実施形態の表示画面例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、本発明の実施形態のネットワーク状態可視化装置、ネットワーク状態可視化方法、および、プログラムについて詳細に説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態のデータ管理システムSの全体構成を模式的に示す図である。データ管理システムSは、無線マルチホップネットワーク1と、サーバ2と、情報処理装置3(ネットワーク状態可視化装置の一例)と、を備える。
【0011】
無線マルチホップネットワーク1は、集約装置11と、複数のノード12と、を備える。無線マルチホップネットワーク1では、例えば通信規格RPL (IPv6 Routing protocol for Low Power and Lossy Networks)にしたがって通信経路が自律的に構築される。具体的には、それぞれのノード12は、近隣のノード12との間の無線通信品質にしたがって、近隣のノード12の中から親ノードを選択する。また、集約装置11の近傍のノード12は、集約装置11を親ノードとして選択できる。なお、以下では、「ノード12」または「ノード」と記載した場合に、「集約装置11」の意味を含む場合もある。
【0012】
また、集約装置11とサーバ2は、通信ネットワークN1によって通信可能に接続される。通信ネットワークN1は、例えば、携帯電話網や光回線網などの広域通信網(WAN(Wide Area Network))である。また、サーバ2と情報処理装置3は、通信ネットワークN2によって通信可能に接続される。
【0013】
サーバ2は、コンピュータ装置であり、例えば、集約装置11または1以上のノード12から収集した各種情報を記憶し、情報処理装置3に送信する等の動作を行う。
【0014】
情報処理装置3は、例えば、PC(Personal Computer)、スマートフォン、タブレット端末等のコンピュータ装置である。情報処理装置3は、記憶部31と、入力部32と、表示部33と、通信部34と、処理部35と、を備える。
【0015】
記憶部31は、各種情報(各種プログラム、各種データ、各種演算処理結果等)を記憶する。記憶部31は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等によって実現される。
【0016】
入力部32は、ユーザによる情報入力手段であり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等である。
【0017】
表示部33は、情報表示手段であり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro-Luminescence)表示装置等である。
【0018】
通信部34は、外部装置(サーバ2等)と通信を行う通信インタフェースである。
【0019】
処理部35は、各種演算処理を実行し、例えば、CPU(Central Processing Unit)によって実現される。処理部35は、機能部として、取得部351と、第1生成部352と、第2生成部353と、表示制御部354と、制御部355と、を備える。
【0020】
取得部351は、外部装置(例えばサーバ2等)から各種情報を取得する。取得部351は、例えば、サーバ2から、無線マルチホップネットワーク1のトポロジデータ(ノード12の親子関係のデータ等)を取得するトポロジデータ取得部として機能する。
【0021】
また、取得部351は、例えば、無線マルチホップネットワーク1におけるノード12およびノード12間のリンクの少なくともいずれかに関する無線通信の所定の状態(例えば、通信品質)を示す状態データを取得する状態データ取得部として機能する。より具体的には、例えば、取得部351は、状態データとして、ノード12ごとの受信した電波の強度である受信電波強度、リンクごとのパケットロス率、リンクごとのトラフィック量の少なくともいずれかのデータを取得する。
【0022】
第1生成部352は、トポロジデータに基づいて、無線マルチホップネットワーク1のトポロジ図である第1のトポロジ図を生成する。
【0023】
第2生成部353は、状態データに基づいて、第1のトポロジ図に対して、通信不良の要因に関連する所定の可視化画像処理を行って第2のトポロジ図を生成する。より具体的には、例えば、第2生成部353は、状態データに基づいて、第1のトポロジ図に対して、通信可能なリンクを2種類以上の線で表して第2のトポロジ図を生成する。
【0024】
なお、第1のトポロジ図および第2のトポロジ図は、JPEG(Joint Photographic Experts Group)等の画像ファイルでもよいし、SVG(Scalable Vector Graphics)等のベクトルデータでもよい。
【0025】
表示制御部354は、第2のトポロジ図を表示部33に表示させる。
【0026】
制御部355は、各部351~354による処理以外の各種処理を実行する。
【0027】
図2は、第1実施形態の情報処理装置3による処理を示すブロック図である。まず、ステップS11において、取得部351は、サーバ2から、無線マルチホップネットワーク1のトポロジデータを取得する。
【0028】
次に、ステップS12において、取得部351は、無線マルチホップネットワーク1におけるノード12およびノード12間のリンクの少なくともいずれかに関する無線通信の所定の状態を示す状態データを取得する。より具体的には、例えば、取得部351は、状態データとして、ノード12ごとの受信した電波の強度である受信電波強度、リンクごとのパケットロス率、リンクごとのトラフィック量の少なくともいずれかのデータを取得する。
【0029】
次に、ステップS13において、第1生成部352は、トポロジデータに基づいて、無線マルチホップネットワーク1のトポロジ図である第1のトポロジ図を生成する。
【0030】
次に、ステップS14において、第2生成部353は、状態データに基づいて、第1のトポロジ図に対して、通信不良の要因に関連する所定の可視化画像処理を行って第2のトポロジ図を生成する。より具体的には、例えば、第2生成部353は、状態データに基づいて、第1のトポロジ図に対して、通信可能なリンクを2種類以上の線で表して第2のトポロジ図を生成する。
【0031】
次に、ステップS15において、表示制御部354は、第2のトポロジ図を表示部33に表示させる。
【0032】
ここで、図3は、第1実施形態の表示画面例(第2のトポロジ図の例)を模式的に示す図である。図3において、丸印のマークの「1」は集約装置11を示し、丸印のマークの「2」以降はノード12を示す。なお、数字は各ノードを識別するための16進数の値である。また、集約装置11と複数のノード12の親子関係が矢印で表されている。ただし、本発明の実施にあたっては、各ノードを識別するための数字はなくてもよい。
【0033】
また、矢印は、例えば、受信電波強度に応じて、2種類で表されている。例えば、ノード「6」からノード「12」への矢印は強い受信電波強度を示し、ノード「a」からノード「24」への矢印は弱い受信電波強度を示している。
【0034】
このように、第1実施形態によれば、図3に示すような、無線マルチホップネットワーク1における通信不良の要因の推定を視覚的に可能にするトポロジ図を生成することができる。つまり、ユーザは、図3に示すようなトポロジ図を見ることで、ノード12の親子関係だけでなく、受信電波強度の強弱を把握できるので、通信不良の要因を推定しやすい。より具体的には、例えば、多くのノード12のうち、通信不良の要因となっているノード12を、受信電波強度によって絞り込むことができる。
【0035】
なお、矢印を受信電波強度で2種類で表したのは一例であって、例えば、3種類以上で表してもよい。また、実際の受信電波強度のデータを使用することに限定されず、例えば、サーバ2によってシミュレーションした結果の受信電波強度のデータを使用してもよい。
【0036】
また、図3では、ノード12を格子状に配置しているが、どのように配置してもよい。また、矢印の種類を表現するのに、色(例えば赤と青など)または異なる線種(太さの異なる線、点線など)を用いてもよい。また、受信電波強度は、過去の受信電波強度の移動平均値でもよい。また、受信電波強度として、距離から推定される値を用いてもよい。
【0037】
また、受信電波強度ではなく、パケットロス率やトラフィック量に応じてリンクの矢印の色等を分けるようにしてもよい。
【0038】
また、矢印の向きは一例であって、親子関係が分かれば逆向きであってもよい。また、2台のノード12同士を結ぶリンクの線の端点は矢印の三角でなくてもよく、例えば一方が何らかのマーク(丸、四角、星など)であってもよい。
【0039】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第1実施形態と同様の事項については重複する説明を適宜省略する。図1図2は、第1実施形態と同様である。
【0040】
図4は、第2実施形態の表示画面例(第2のトポロジ図の例)を模式的に示す図である。第2実施形態にかかわる取得部351は、図2のステップS11において、2つの異なる時刻におけるトポロジデータ(ある時刻のトポロジデータと、その後の時刻における第2のトポロジデータ)を取得する。また、ステップS12において、取得部351は、それぞれのトポロジデータに対応する状態データを取得する。
【0041】
また、第2生成部353は、2つの異なる時刻におけるトポロジデータに基づいて、第1のトポロジ図に対して、親ノードが変わっていないリンクと、親ノードが変わったリンクと、を異なる種類の線で表して第2のトポロジ図を生成する。
【0042】
図4では、例えば、時刻T1~T5のうち、ユーザが時刻T1と時刻T5を選択すると、その2時刻間で親ノードが変わったリンクであるノード「50」→「31」、ノード「59」→「31」、ノード「57」→「41」を、その他のリンクと異なる種類の線で表す。例えば、その3つのリンクの矢印を赤色で表し、その他のリンクの矢印を青色で表す。なお、リンクの矢印の種類の異ならせ方は、色に限定されず、線種などの他の手法であってもよい。
【0043】
このように、第2実施形態によれば、ユーザは、図4に示すようなトポロジ図を見ることで、ノード12の親子関係だけでなく、2時刻間で親ノードが変わったリンクを把握できるので、通信不良の要因を推定しやすい。つまり、親ノードが変わったリンクについては、何らかの品質変化(例えば近傍において、通信障害の原因となる物体の出現等)があった可能性があり、パケットロスの要因調査の起点にできる。
【0044】
なお、図4のトポロジ図において、親ノードが変わったリンクについて、元の親ノードがどれかを示す表示を追加してもよい。例えば、ノード「50」について、現在の親ノードはノード「31」であるが、元の親ノードがノード「32」である旨を示す表示を追加してもよい。そうすれば、通信不良の要因をより推定しやすくなる。
【0045】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第1実施形態、第2実施形態の少なくともいずれかと同様の事項については重複する説明を適宜省略する。図1図2は、第1実施形態と同様である。
【0046】
図5は、第3実施形態の表示画面例(第2のトポロジ図の例)を模式的に示す図である。取得部351は、状態データとして、それぞれのノード12から定期的に信号を取得する。また、第2生成部353は、状態データに基づいて、第1のトポロジ図に対して、所定時間内に信号を送ってきたノード12と、所定時間内に信号を送ってきていないノード12と、を異なる種類のマークで表して第2のトポロジ図を生成する。信号は、例えば電力量、水位、電圧、温度、湿度などの値を示すセンサデータを載せた信号であってもよい。
【0047】
図5では、例えば、所定時間内に信号を送ってきていない4つのノード「9」、「12」、「14」、「32」のマークと、その他のマークの種類を異ならせる。例えば、その4つのノードのマークを赤色で表し、その他のノードのマークを緑色で表す。なお、マークの種類の異ならせ方は、色に限定されず、大きさや形などの他の手法であってもよい。
【0048】
このように、第3実施形態によれば、ユーザは、図5に示すようなトポロジ図を見ることで、ノード12の親子関係だけでなく、所定時間内に信号を送ってきていないノード12を把握できるので、通信不良の要因を推定しやすい。つまり、図5の例では、例えば、ノード「9」、「12」、「14」、「32」の近傍で停車した車などの障害物により電波環境が悪くなっている可能性がある。そして、例えば、そのような所定時間内に信号を送ってきていないノードを経由する経路を調べることで、効率的に通信不良の要因を特定できる。
【0049】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。第1実施形態~第3実施形態の少なくともいずれかと同様の事項については重複する説明を適宜省略する。図1図2は、第1実施形態と同様である。
【0050】
図6は、第4実施形態の表示画面例(第2のトポロジ図の例)を模式的に示す図である。取得部351は、状態データとして、無線マルチホップネットワーク1において信号が伝達された経路情報を取得する。また、第2生成部353は、表示部33に表示されている第1のトポロジ図における所定のノードがユーザによって選択された場合に、経路情報に基づいて、第1のトポロジ図に対して、所定のノードから集約装置11までの経路のリンクと、その他のリンクと、を異なる種類の線で表して第2のトポロジ図を生成する。
【0051】
図6では、例えば、ユーザによって選択されたノード「64」からノード「1」(集約装置11)までの経路のリンクと、その他のリンクと、を異なる種類の線で表す。例えば、当該経路のリンクを通常の表示とし、その他のリンクを透過率(透明度)の高い表示とする。なお、リンクの種類の異ならせ方は、透過率に限定されず、線種や色などの他の手法であってもよい。
【0052】
このように、第4実施形態によれば、ユーザは、図6に示すようなトポロジ図を見ることで、ノード12の親子関係だけでなく、選択したノードから集約装置11までの経路を容易に把握できるので、通信不良の要因を推定しやすい。つまり、例えば、当該経路のホップ数などを容易に把握することで、遠回りの経路になっていないかどうかを判断することができる。
【0053】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。第1実施形態~第4実施形態の少なくともいずれかと同様の事項については重複する説明を適宜省略する。図1図2は、第1実施形態と同様である。
【0054】
図7は、第5実施形態の表示画面例(第2のトポロジ図の例)を模式的に示す図である。取得部351は、状態データとして、表示部33に表示されている第1のトポロジ図においてユーザによって選択された所定のノードから送信された信号に対する、他のノードごとの受信電波強度情報を取得する。また、第2生成部353は、状態データに基づいて、第1のトポロジ図に対して、他のノードごとの近傍に受信電波強度情報を表して第2のトポロジ図を生成する。
【0055】
図7では、例えば、ユーザによって選択された右上のノードから送信された信号に対する、他のノードごとの受信電波強度(単位はdBm)を表す。なお、それぞれの受信電波強度は、例えば、伝搬モデルにしたがって推定できる。伝搬モデルでは、例えば、パラメータとして、電波の周波数、送信電力、通信距離、アンテナの高さや利得等を使用する。また、右上のノードから集約装置11への経路のリンクを通常の表示とし、その他のリンクを透過率(透明度)の高い表示とする。
【0056】
このように、第5実施形態によれば、ユーザは、図7に示すようなトポロジ図を見ることで、ノード12の親子関係だけでなく、選択されたノードから送信された信号に対する、他のそれぞれのノードでの受信電波強度と、選択されたノードから集約装置11への経路を把握できるので、通信不良の要因を推定しやすい。つまり、ユーザは、例えば、選択されたノードから次のノードまでの通信状態(受信電波強度)や、ホップ数が多くないか等を容易に確認できる。
【0057】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について説明する。第1実施形態~第5実施形態の少なくともいずれかと同様の事項については重複する説明を適宜省略する。図1図2は、第1実施形態と同様である。
【0058】
図8は、第6実施形態の表示画面例(第2のトポロジ図の例)を模式的に示す図である。取得部351は、状態データとして、それぞれのノード12のトラフィック量の情報を取得する。また、第2生成部353は、トラフィック量の情報に基づいて、第1のトポロジ図に対して、トラフィック量が所定のトラフィック量閾値以上であるノード12と、トラフィック量が所定のトラフィック量閾値未満であるノード12と、を異なる種類のマークで表して第2のトポロジ図を生成する。
【0059】
図8では、例えば、トラフィック量のヒートマップを背景に表示する。つまり、トラフィック量に応じてノードの周辺の背景色を異ならせる。例えば、トラフィック量の多いノードほど、周辺の背景色の赤色を濃くする。
【0060】
また、トラフィック量の具体的な値は、例えば、以下の(1)、(2)、(3)、(4)のいずれかでよい。
(1)チャネルホッピングによって、ノードが合わせる無線チャネルを次々に変更する場合、ノードが合わせた無線チャネル上に流れた無線トラフィック量。例えば、時刻T10から時刻T11までノードがチャネル1に合わせ、時刻T11から時刻T12までチャネル2に合わせた場合、時刻T10から時刻T11までにチャネル1上に流れたデータ量と時刻T11から時刻T12までチャネル2に流れたデータ量を加算し、時刻T10から時刻T12までの時間で割った結果を時刻T10から時刻T12までにおけるトラフィック量としてよい。このトラフィック量は、ノードが送信する信号と競合しうるトラフィック量を表すことができる。
(2)チャネルに関係なく、所定の範囲の全てのチャネル上に流れた無線トラフィックの累計。
(3)特定のチャネル上に流れた無線トラフィック量。
(4)特定のチャネル上に流れた無線トラフィックのうち、ノードがそのチャネルに合わせた期間に流れた無線トラフィック量。
【0061】
このように、第6実施形態によれば、ユーザは、図8に示すようなトポロジ図を見ることで、ノード12の親子関係だけでなく、ノード12ごとのトラフィック量のレベルを把握できるので、通信不良の要因を推定しやすい。つまり、ユーザは、例えば、特定のノード12へのトラフィックの集中によりパケットロスが起きているか否か等を視覚的に推定することができる。
【0062】
なお、上述の各実施形態は、例えば、スマートフォンのアプリやPC(Personal Computer)内のアプリケーションとして実装された形で実現できる。
【0063】
なお、上述した実施の形態における、上記処理を実行するためのプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)、USB(Universal Serial Bus)メモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよいし、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。また、各種プログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0064】
また、上述した実施の形態における、上記処理を実行するめのプログラムは、各機能部を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしては、例えば、CPU(プロセッサ回路)がROMまたはHDDから上記プログラムを読み出して実行することにより、上述した各機能部がRAM(主記憶)上にロードされ、上述した各機能部がRAM(主記憶)上に生成されるようになっている。なお、上述した各機能部の一部または全部を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)などの専用のハードウェアを用いて実現することも可能である。
【0065】
なお、上記には、実施の形態を説明したが、上記実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施の形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0066】
例えば、無線マルチホップネットワーク1で転送されるデータは、センサデータに限定されず、ほかに、静止画像データ等であってもよい。
【0067】
また、第2のトポロジ図を生成する装置は、情報処理装置3に限定されず、サーバ2等の他の装置であってもよい。
【0068】
また、本発明の実施にあたっては、図2に示すステップS11からステップS15の処理を実現させるためのプログラムをサーバ2等の他の装置が送信してもよく、情報処理装置3はそのプログラムを実行することでトポロジ図を表示してもよい。具体的には、例えば、以下の2つの態様が考えられる。
【0069】
(態様1)
Webサーバに描画プログラム(Javascript(登録商標)など)を配置しておいて、Webブラウザがそれをダウンロードして実行する。
【0070】
(態様2)
トポロジ図を画像ファイルとしてサーバが生成して、その画像をWebブラウザがダウンロードして表示する。
【0071】
また、上述の各実施形態において、無線マルチホップネットワーク1における現実データは、適宜、シミュレーションデータと置換可能である。
【符号の説明】
【0072】
1…無線マルチホップネットワーク、2…サーバ、3…情報処理装置、11…集約装置、12…ノード、31…記憶部、32…入力部、33…表示部、34…通信部、35…処理部、351…取得部、352…第1生成部、353…第2生成部、354…表示制御部、355…制御部、S…データ管理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8