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  • 特開-測位装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174631
(43)【公開日】2022-11-24
(54)【発明の名称】測位装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 19/43 20100101AFI20221116BHJP
   G01S 19/51 20100101ALI20221116BHJP
【FI】
G01S19/43
G01S19/51
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080553
(22)【出願日】2021-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】栃村 雄哉
(72)【発明者】
【氏名】吉田 一夫
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062BB03
5J062CC07
5J062EE04
(57)【要約】
【課題】観測局が離れている場合や、観測データの更新間隔が長くて更新から時間が経過している場合においても、測位精度を向上させることができる測位装置を提供する。
【解決手段】測位周期毎にRTK-GNSSで移動体の位置を測位する測位装置であって、複数の測位衛星の観測データを取得し設置位置が既知の観測局から観測データを受信するデータ受信部と、複数の測位衛星から測位信号を受信する信号受信部と、受信された観測データと受信された測位信号とを用い設置位置を基準位置とする相対測位によって移動体の位置を測位する測位部と、測位時にフィックス状態又はフロート状態のいずれかを判定する判定部とを含み、測位部は、判定部によってフロート状態であると判定されると最後にフィックス状態であると判定された測位周期において測位した移動体の位置を設置位置の代わりに基準位置として用いる相対測位によって移動体の位置を測位して出力する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載され、所定の測位周期毎にRTK-GNSSによって前記移動体の位置を測位する測位装置であって、
複数の測位衛星についての観測データを取得し設置位置が既知の観測局から前記観測データを受信する観測データ受信部と、
前記複数の測位衛星から測位信号を受信する測位信号受信部と、
前記観測データ受信部によって受信された前記観測データと、前記測位信号受信部によって受信された測位信号とを用い、前記設置位置を基準位置とする相対測位によって、前記移動体の位置を測位する測位部と、
前記測位部が前記移動体の位置を測位したときにフィックス状態又はフロート状態のいずれであったかを判定する状態判定部と
を含み、
前記測位部は、前記状態判定部によって前記フロート状態であったと判定されると、最後に前記フィックス状態であったと判定された測位周期において測位した前記移動体の位置を前記設置位置の代わりに前記基準位置として用いる相対測位によって前記移動体の位置を測位し、前記移動体の位置を表すデータとして出力する、測位装置。
【請求項2】
前記測位部は、前記状態判定部によって前記フィックス状態であったと判定されると、前記観測データ受信部によって受信された前記観測データと、前記測位信号受信部によって受信された測位信号とを用い、前記設置位置を基準位置とする相対測位で測位した前記移動体の位置を、前記移動体の位置を表すデータとして出力する、請求項1に記載の測位装置。
【請求項3】
前記測位部は、前記状態判定部によって前記フィックス状態であったと判定されると、前記観測データ受信部によって受信された前記観測データと、前記測位信号受信部によって受信された測位信号とを用いて前記測位信号に含まれる誤差を相殺し、前記誤差が相殺された測位信号を用い、前記設置位置を基準位置とする相対測位で測位した前記移動体の位置を、前記移動体の位置を表すデータとして出力する、請求項1又は2に記載の測位装置。
【請求項4】
前記測位部は、前記状態判定部によって前記フロート状態であったと判定されると、最後に前記フィックス状態であったと判定された測位周期において測位した前記移動体の位置を前記設置位置の代わりに前記基準位置として用いる相対測位において、前記観測データ受信部によって受信された前記観測データと、前記測位信号受信部によって受信された測位信号とに基づいて前記測位信号に含まれる誤差を相殺し、前記誤差が相殺された測位信号を用いて前記移動体の位置を測位し、前記移動体の位置を表すデータとして出力する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の測位装置。
【請求項5】
前記測位部は、1周波RTKにより、前記移動体の位置を測位する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の測位装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測位装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の衛星から送信される送信信号についての搬送波位相を計測する測位ユニットと、前記測位ユニットから出力される前記搬送波位相を用いて、予め特定されている特定位置からの車体の相対的な位置変位を求める相対変位算出部と、前記相対変位算出部の算出結果に基づいて、車体が予め設定されている直線状の目標経路に沿って走行するように、車体の走行状態を制御する自動走行制御部とが備えられている作業車がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-201612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の作業車の相対変位算出部は、基準局(観測局)で観測された衛星の情報や基準局の正確な位置を表す位置情報を用いないため、測位精度に限界がある。また、複数の測位衛星についての観測データを取得し、正確な設置位置が既知の観測局からの情報を用いてRTK-GNSS(Real Time Kinematic-Global Navigation Satellite System)による測位を行うことが考えられる。このような観測局には、国土地理院によって設置されている電子基準点も含まれる。
【0005】
しかしながら、観測局が離れている場合や、観測データの更新間隔が長くて更新から時間が経過している場合には、フィックス状態が得られずにフロート状態になり、測位精度が低下するという課題がある。
【0006】
そこで、観測局が離れている場合や、観測データの更新間隔が長くて更新から時間が経過している場合においても、測位精度を向上させることができる測位装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態の測位装置は、移動体に搭載され、所定の測位周期毎にRTK-GNSSによって前記移動体の位置を測位する測位装置であって、複数の測位衛星についての観測データを取得し設置位置が既知の観測局から前記観測データを受信する観測データ受信部と、前記複数の測位衛星から測位信号を受信する測位信号受信部と、前記観測データ受信部によって受信された前記観測データと、前記測位信号受信部によって受信された測位信号とを用い、前記設置位置を基準位置とする相対測位によって、前記移動体の位置を測位する測位部と、前記測位部が前記移動体の位置を測位したときにフィックス状態又はフロート状態のいずれであったかを判定する状態判定部とを含み、前記測位部は、前記状態判定部によって前記フロート状態であったと判定されると、最後に前記フィックス状態であったと判定された測位周期において測位した前記移動体の位置を前記設置位置の代わりに前記基準位置として用いる相対測位によって前記移動体の位置を測位し、前記移動体の位置を表すデータとして出力する。
【発明の効果】
【0008】
観測局が離れている場合や、観測データの更新間隔が長くて更新から時間が経過している場合においても、測位精度を向上させることができる測位装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の測位装置100を含む測位システム1を示す図である。
図2】測位装置100の構成の一例を示す図である。
図3】制御装置130が実行する処理を表すフローチャートを示す図である。
図4】位置推定結果の水平誤差の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の測位装置を適用した実施形態について説明する。
【0011】
<実施形態>
図1は、実施形態の測位装置100を含む測位システム1を示す図である。図1において横軸は時間軸を表す。ここでは、一例として、測位装置100が移動体の一例としてのドローン20に搭載されている形態について説明する。測位システム1は、RTK-GNSS(Real Time Kinematic-Global Navigation Satellite System)によって高精度な位置測定を可能にする。RTK-GNSSによる測位は、観測局10と、ドローン20に搭載された測位装置100とで測位衛星5から出力される測位信号を受信し、測位衛星5と測位装置100との間の距離を計測し、複数の測位衛星5についての連立方程式を解くことで測位装置100の三次元座標を算出する。
【0012】
ここでは、GNSSの一例であるGPS(Global Positioning System)を用いる形態について説明するため、測位衛星5から出力される測位信号はGPS信号である。しかしながら、GNSSは、GPSに限られるものではなく、GLONASS、北斗(北斗-2、Compass)、Gallileoまたはその他のGNSSを利用して三次元座標を算出してもよい。
【0013】
RTK-GNSSでは、測位装置100は、観測局10から受信した観測データと、測位衛星5から受信した測位信号とを用い、観測局10の設置位置を基準位置とする相対測位によって、測位装置100の位置を測位する。ここでは、測位装置100の位置はドローン20の位置と同義である。
【0014】
観測局10は、設置位置の正確な位置(緯度、経度、標高を表す座標)が既知であり、複数の測位衛星5からGPS電波を受信(取得)して各測位衛星5までの距離を測定する。観測局10は、設置位置を表す位置データと、各測位衛星5までの距離を表す距離データとを含む観測データを常時出力している。観測データに含まれる距離データは、所定期間毎に更新される。観測局10と複数の測位衛星5との位置関係が変動するからである。このような観測局10には、国土地理院の電子基準点が含まれていてもよい。
【0015】
ドローン20は、移動体の一例であり、測位装置100を搭載している。ドローン20は、一例として、測位装置100によって測位されるドローン20の座標に基づいて、ドローン20の航行制御を行う航行制御装置を搭載している。
【0016】
測位装置100は、測位装置100の三次元座標を算出する際に、フィックス解が得られるフィックス状態と、フィックス解が得られないフロート状態とのいずれであるかを判定する。例えば、図1に示す時刻t-1においてフィックス状態であったとしても、次の測位周期である時刻tではフロート状態に変化する場合が有り得る。
【0017】
一般的にRTK-GNSSでは、フィックス状態においては、観測局10の観測データに基づいて測位を行うことによって数センチメートル程度の高い測位精度が得られる。しかしながら、フロート状態においては、観測局10との間の距離が長いことや、観測データの更新のタイミングからの経過時間が長いこと等の要因によって、測位精度が数メートル程度にまで劣化するおそれがある。実施形態の測位装置100は、フロート状態における測位精度を数センチメートル程度まで向上させる。
【0018】
<測位装置100の構成>
図2は、測位装置100の構成の一例を示す図である。測位装置100は、観測データ受信部110、測位信号受信部120、及び制御装置130を含む。観測データ受信部110は、観測局10から携帯電話回線を解して観測データを受信する受信器である。測位信号受信部120は、少なくとも4つ以上の測位衛星5から出力される測位信号を受信するGPS受信器である。
【0019】
測位装置100は、一例として、1周波の測位信号(GPS信号)を受信し、携帯電話回線を介して観測局10から観測データを受信し、受信した測位信号(GPS信号)と、受信した観測データとに基づいて測位装置100の位置を測位する方法である1周波RTKを採用している。
【0020】
測位装置100は、測位周期毎にRTK-GNSSによってドローン20の位置を測位するために、受信した測位信号と、受信した観測データとに基づいて測位信号に含まれる誤差を相殺し、誤差を相殺した測位信号に基づいて観測局10の設置位置に対する測位装置100の相対的な位置を求め、求めた相対的な位置と、観測局10の設置位置とに基づいて、測位装置100の位置を求める。
【0021】
制御装置130は、主制御部131、測位部132、状態判定部133、及びメモリ134を有する。制御装置130は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、入出力インターフェース、及び内部バス等を含むコンピュータ又はマイクロコンピュータによって実現される。主制御部131、測位部132、及び状態判定部133は、制御装置130が実行するプログラムの機能(ファンクション)を機能ブロックとして示したものである。また、メモリ134は、制御装置130のメモリを機能的に表したものである。
【0022】
主制御部131は、制御装置130の処理を統括する処理部であり、測位部132及び状態判定部133が実行する以外の処理を実行する。主制御部131は、例えば、観測データ受信部110に観測データを受信させる指令を出力するとともに、測位信号受信部120に測位信号を受信させる指令を出力する。
【0023】
測位部132は、観測データ受信部110によって受信された観測データと、測位信号受信部120によって受信された測位信号とを用い、観測局10の設置位置を基準位置とする相対測位によって、測位装置100の位置を測位する。
【0024】
また、測位部132は、状態判定部133によってフロート状態であると判定されると、最後にフィックス状態であると判定された測位周期において測位した測位装置100の位置を観測局10の設置位置の代わりに基準位置として用いる相対測位によって測位装置100の位置を測位し、測位装置100の位置を表すデータとして出力する。
【0025】
より具体的には、測位部132は、状態判定部133によってフロート状態であると判定されると、最後にフィックス状態であると判定された測位周期において測位した測位装置100の位置を観測局10の設置位置の代わりに基準位置として用いる相対測位において、今回の測位周期において観測局10によって受信された観測データと、今回の測位周期において測位信号受信部120によって受信された測位信号とに基づいて測位信号に含まれる誤差を相殺し、誤差が相殺された測位信号を用いて基準位置に対する測位装置100の位置を求め、基準位置と、基準位置に対する測位装置100の位置とに基づいて測位装置100の位置を測位する。測位した測位装置100の位置は、基準位置の座標に、基準位置に対する測位装置100の位置を表す座標の差分を加えることで求めることができる。測位部132は、測位した測位装置100の位置を表すデータとして出力する。
【0026】
また、測位部132は、状態判定部133によってフィックス状態であると判定されると、観測データ受信部110によって受信された観測データと、測位信号受信部120によって受信された測位信号とを用い、観測局10の設置位置を基準位置とする相対測位で測位した測位装置100の位置を、測位装置100の位置を表すデータとして出力する。
【0027】
より具体的には、測位部132は、状態判定部133によってフィックス状態であると判定されると、観測データ受信部110によって受信された観測データと、測位信号受信部120によって受信された測位信号とを用いて測位信号に含まれる誤差を相殺し、誤差が相殺された測位信号を用いて基準位置に対する測位装置100の位置を求め、基準位置と、基準位置に対する測位装置100の位置とに基づいて測位装置100の位置を測位する。測位した測位装置100の位置は、基準位置の座標に、基準位置に対する測位装置100の位置を表す座標の差分を加えることで求めることができる。測位部132は、測位した測位装置100の位置を表すデータとして出力する。この場合の基準位置は、観測局10の設置位置である。
【0028】
状態判定部133は、測位部132が測位装置100の位置(三次元座標)を測位したときにフィックス状態又はフロート状態のいずれであったかを判定する。状態判定部133は、測位装置100の位置の測位時に、フィックス解が得られたかどうかで、フィックス解が得られるフィックス状態と、フィックス解が得られないフロート状態とのいずれであるかを判定する。
【0029】
メモリ134は、主制御部131、測位部132、及び状態判定部133が上述の処理を実行する際に利用するプログラムやデータを格納する他、観測データ受信部110及び測位信号受信部120が受信した測位信号及び観測データ等を一時的に格納する。
【0030】
<測位装置100の制御装置130が実行する処理>
図3は、制御装置130が実行する処理を表すフローチャートを示す図である。
【0031】
フローがスタートすると、主制御部131は、観測データ受信部110に観測データを受信させる指令を出力する(ステップS1)。これにより、観測データ受信部110による観測データの受信が行われる。
【0032】
主制御部131は、測位信号受信部120に測位信号を受信させる指令を出力する(ステップS2)。これにより、測位信号受信部120による測位信号の受信が行われる。ステップS1で出力される指令によって受信される観測データに含まれる測位衛星5までの距離と、ステップS2で出力される指令によって受信される測位信号によって得られる測位衛星5までの距離とは、観測データ受信部110及び測位信号受信部120において同一時刻に受信された測位信号に基づいて得られる距離である。
【0033】
測位部132は、観測データ受信部110によって受信された観測データと、測位信号受信部120によって受信された測位信号とを用い、観測局10の設置位置を基準位置とする相対測位によって、測位装置100の位置を測位する(ステップS3)。ステップS3の測位はRTK-GNSSによって行われる処理であり、このように測位される位置は、観測データと測位信号とによって推定される測位装置100の推定位置を表す。
【0034】
状態判定部133は、ステップS3において測位部132が測位装置100の位置(三次元座標)を測位したときにフィックス状態又はフロート状態のいずれであったかを判定する(ステップS4)。
【0035】
ステップS4において、状態判定部133によってフィックス状態であったと判定されると、測位部132は、ステップS3で測位した測位装置100の位置を表すデータを測位装置100の現在の位置を表すデータとして出力する(ステップS5)。
【0036】
一方、ステップS4において、状態判定部133によってフロート状態であったと判定されると、測位部132は、最後にフィックス状態であったと判定された測位周期において測位した測位装置100の位置を観測局10の設置位置の代わりに基準位置として用いる相対測位によって測位装置100の位置を測位し、測位装置100の位置を表すデータとして出力する(ステップS6)。ステップS6の測位は、最後にフィックス状態であったと判定された測位周期において測位した測位装置100の位置を基準位置として用いるRTK-GNSSによって行われる処理であり、このように測位される位置は、観測データと測位信号とによって推定される測位装置100の推定位置を表す。
【0037】
ステップS5又はS6の処理が終了すると、主制御部131は、一連の処理を終了するかどうかを判定する(ステップS7)。一連の処理を終了するのは、例えばドローン20の電源がオフにされるときである。主制御部131は、一連の処理を終了しないと判定すると、フローをステップS1にリターンする。また、主制御部131は、ドローン20の電源がオフにされる場合は、一連の処理を終了する(エンド)。
【0038】
<位置推定結果の水平誤差>
図4は、位置推定結果の水平誤差の一例を示す図である。図4(A)には、測位装置100の位置を固定して、5分間にわたって測位を行い、測位装置100の位置を推定した結果を示す。測位周期は一例として1秒である。図4(A)に示すように、水平誤差の標準偏差は1.98cmであった。
【0039】
図4(B)には、比較用に、測位における基準位置を観測局10の設置位置に固定し、測位装置の位置を固定して、5分間にわたって測位を行い、測位装置の位置を推定した比較例の結果を示す。測位周期は一例として1秒である。図4(B)に示すように、水平誤差の標準偏差は14.86cmであった。
【0040】
このように、測位装置100は、フロート状態になったときに、最後にフィックス状態であったと判定された測位周期において測位した測位装置100の位置を観測局10の設置位置の代わりに基準位置として用いる相対測位によって測位装置100の位置を測位することにより、基準位置を観測局10の設置位置に固定する場合に比べて、位置推定結果の水平誤差を約13.3%に低減することができた。
【0041】
比較用の測位装置では、観測局10が離れている場合や、観測データの更新時刻から時間が経過していることによってフロート状態になったときに、基準位置が観測局10の設置位置に固定されているため、測定誤差が大きくなる。これに対して、測位装置100は、フロート状態になったときに、最後にフィックス状態であったと判定された測位周期において測位した測位装置100の位置を観測局10の設置位置の代わりに基準位置として用いることによって、位置推定精度が向上したことによって、上述のような差が生じたと考えられる。
【0042】
したがって、観測局10が離れている場合や、観測データの更新間隔が長くて更新から時間が経過している場合においても、測位精度を向上させることができる測位装置100を提供することができる。
【0043】
また、フロート状態になった場合に、測位装置100の現在位置を高精度に推定するために、ジャイロセンサや加速度センサ等の計測値を用いることが考えられるが、測位装置100は、ジャイロセンサや加速度センサ等の計測値を用いることなく、測位精度を向上させることができる。
【0044】
また、ドローン20のような移動体にジャイロセンサや加速度センサ等の計測装置を搭載すると、重量の増加の問題、搭載するスペースを確保する問題、移動体が小型である場合には搭載すること自体が困難になる問題等が生じる。これに対して、測位装置100をドローン20のような移動体に設置する場合には、ジャイロセンサや加速度センサ等の計測装置を搭載する必要がないため、上述の様々な問題が生じることなく、低コストで実現することができる。
【0045】
以上、本発明の例示的な実施形態の測位装置について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 測位システム
5 測位衛星
10 観測局
20 ドローン
100 測位装置
110 観測データ受信部
120 測位信号受信部
130 制御装置
131 主制御部
132 測位部
133 状態判定部
134 メモリ
図1
図2
図3
図4