(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174636
(43)【公開日】2022-11-24
(54)【発明の名称】作業車の作業装置
(51)【国際特許分類】
E21B 7/00 20060101AFI20221116BHJP
B66C 1/42 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
E21B7/00 B
B66C1/42 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080568
(22)【出願日】2021-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000116644
【氏名又は名称】株式会社アイチコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【弁理士】
【氏名又は名称】並木 敏章
(74)【代理人】
【識別番号】100218095
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 宏
【テーマコード(参考)】
2D129
3F004
【Fターム(参考)】
2D129AB17
2D129BA05
2D129BB04
2D129DA15
2D129DC13
2D129DC33
3F004AA02
3F004AB14
3F004AF01
3F004AF06
3F004EA40
(57)【要約】
【課題】障害物を移動させる作業を効率的に行うことが可能な作業車の作業装置を提供する。
【解決手段】走行可能な車体を備えた作業車の作業装置であって、車体に少なくとも起伏動可能に設けられたブーム30と、ブーム30の先端側に枢結されて出力軸54aが下方を向くように垂下支持されるモータ54と、モータ54の出力軸54aと連結されるシャフト部110と、シャフト部110に結合されて障害物BRを把持することが可能な把持装置130とを備え、把持装置130は、モータ54の作動によりシャフト部110を中心として回転可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行可能な車体を備えた作業車の作業装置であって、
前記車体に少なくとも起伏動可能に設けられたブームと、
前記ブームの先端側に枢結されて出力軸が下方を向くように垂下支持されるモータと、
前記モータの前記出力軸と連結されるシャフト部と、
前記シャフト部に結合されて物体を把持することが可能な把持装置とを備え、
前記把持装置は、前記モータの作動により前記シャフト部を中心として回転可能であることを特徴とする作業車の作業装置。
【請求項2】
前記把持装置と交換されて前記シャフト部に結合されるアースオーガを備え、
前記把持装置と交換された前記アースオーガは、前記モータの作動により前記シャフト部を中心として回転可能であることを特徴とする請求項1に記載の作業車の作業装置。
【請求項3】
一端側が前記ブームの側面に結合されたロープを備え、
前記シャフト部は、前記ロープの他端側を係脱可能に係合させることが可能なロープ係合部を有し、
前記ロープの他端側を前記ロープ係合部に係合させた状態で、前記シャフト部は、前記モータの作動により前記ロープを巻き取って、前記モータの前記出力軸とともに下方を向く作業位置から、前記モータの前記出力軸とともに前記ブームの側面に沿った方向を向く格納位置まで変位するように構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の作業車の作業装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行可能な車体を備えた作業車の作業装置に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車の一つである穴掘建柱車は、車体上に旋回動自在に設けられた旋回台と、旋回台に起伏動および伸縮動自在に設けられたブームとを備え、ブームの先端側に回転可能なアースオーガが取り付けられるようになっている(例えば、特許文献1)。これにより、穴掘建柱車は、ブームを倒伏動および縮小動させながらアースオーガを回転させることで、地面を掘削して電柱を建て入れる建柱穴等を形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、台風災害等で路上等に倒木等の障害物がある場合、従来では、車体上に設けられたクレーンにより障害物を吊り上げて移動させていたが、玉掛作業に手間がかかるため、障害物を移動させる作業が非効率的になっていた。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、障害物を移動させる作業を効率的に行うことが可能な作業車の作業装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的達成のため、本発明に係る作業車の作業装置は、走行可能な車体を備えた作業車の作業装置であって、前記車体に少なくとも起伏動可能に設けられたブームと、前記ブームの先端側に枢結されて出力軸が下方を向くように垂下支持されるモータと、前記モータの前記出力軸と連結されるシャフト部と、前記シャフト部に結合されて物体を把持することが可能な把持装置とを備え、前記把持装置は、前記モータの作動により前記シャフト部を中心として回転可能である。
【0007】
上述の作業車の作業装置は、前記把持装置と交換されて前記シャフト部に結合されるアースオーガを備え、前記把持装置と交換された前記アースオーガは、前記モータの作動により前記シャフト部を中心として回転可能であることが好ましい。
【0008】
上述の作業車の作業装置は、一端側が前記ブームの側面に結合されたロープを備え、前記シャフト部は、前記ロープの他端側を係脱可能に係合させることが可能なロープ係合部を有し、前記ロープの他端側を前記ロープ係合部に係合させた状態で、前記シャフト部は、前記モータの作動により前記ロープを巻き取って、前記モータの前記出力軸とともに下方を向く作業位置から、前記モータの前記出力軸とともに前記ブームの側面に沿った方向を向く格納位置まで変位するように構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、把持装置は、モータの作動によりシャフト部を中心として回転可能であるため、把持装置により例えば倒木等の障害物を把持した状態で、ブームを少なくとも起伏動させたり、モータの作動により把持装置を回転させたりすることで、障害物を容易に移動させることができる。これにより、障害物を移動させる作業を効率的に行うことが
可能になる。
【0010】
また、把持装置と交換されるアースオーガを備えることで、把持装置により障害物を移動させる作業だけでなく、アースオーガにより地面を掘削する作業を行うことが可能になる。
【0011】
また、ロープの他端側をロープ係合部に係合させた状態で、シャフト部は、モータの作動によりロープを巻き取って、モータの出力軸とともに下方を向く作業位置から、モータの出力軸とともにブームの側面に沿った方向を向く格納位置まで変位するように構成されることが好ましい。これにより、把持装置を容易にブームの側面に沿った位置に格納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態に係る作業装置を備えた作業車の側面図である。
【
図2】把持装置が下方を向いた状態を示す拡大図である。
【
図3】把持装置からアースオーガに交換された状態の作業車を示す側面図である。
【
図4】把持装置からアースオーガに交換された状態の作業車を示す平面図である。
【
図5】アースオーガが下方を向いた状態を示す拡大図である。
【
図7】第1実施形態に係る把持ユニットのアーム部材が拡開位置に揺動した状態を示す側断面図である。
【
図8】第1実施形態に係る把持ユニットのアーム部材が閉止位置に揺動した状態を示す側断面図である。
【
図9】第1実施形態に係る把持ユニットのラチェット機構部を示す拡大図である。
【
図10】ラチェット機構部においてストッパ部材を揺動させた状態を示す拡大図である。
【
図11】ラチェット機構部の変形例を示す拡大図である。
【
図12】ラチェット機構部の変形例においてストッパ部材を揺動させた状態を示す拡大図である。
【
図13】第2実施形態に係る把持ユニットのアーム部材が拡開位置に揺動した状態を示す側断面図である。
【
図14】第2実施形態に係る把持ユニットのアーム部材が閉止位置に揺動した状態を示す側断面図である。
【
図15】第2実施形態に係る把持ユニットの開閉駆動部を示す拡大図である。
【
図16】第3実施形態に係る把持ユニットの側断面図である。
【
図17】第3実施形態に係る把持ユニットの開閉駆動部を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。本実施形態に係る作業装置を備えた作業車1を
図1~
図5に示しており、まず、この図を参照して作業車1の全体構成について説明する。
【0014】
作業車1は、
図1に示すように、車体2の前部に運転キャビン7を有し、車体2の前後に配設された左右一対の前輪5fおよび後輪5rにより走行可能なトラック車両をベースに構成されている。車体2の前後左右には、作業を行う際に車体2を持ち上げ支持するジャッキ装置が設けられている。ジャッキ装置は、前輪5fの後方に配設された左右一対のフロントジャッキ10fと、後輪5rの後方に配設された左右一対のリアジャッキ10rとを有して構成される。各ジャッキ10f,10rは、その内部に設けられたジャッキシリンダ11を駆動させて下方に伸長させることで車体2を持ち上げ支持し、これにより車両全体を安定させた状態とする。ジャッキ装置の作動操作は、車体2の後部に設けられた
ジャッキ操作装置12(
図4を参照)の操作により行われる。
【0015】
車体2における運転キャビン7後方の架装領域には、旋回モータ24により駆動されて上下軸回りに水平旋回動自在に構成された旋回台20が設けられている。この旋回台20から上方に延びた支柱21には、ブーム30の基端部がフートピン22を介して上下方向に揺動自在(起伏自在)に取り付けられている。また、車体2の架装領域には、全縮状態で倒伏したブーム30の下面に当接してブーム30を格納保持するブームレスト39が上方に突出して設けられている。
【0016】
ブーム30は、旋回台20側から順に、基端ブーム30a、中間ブーム30bおよび先端ブーム30cが入れ子式に組み合わされた構成を有しており、その内部に設けられた伸縮シリンダ31の伸縮駆動により、ブーム30を軸方向(長手方向)に伸縮動させることができる。また、基端ブーム30aと支柱21との間には起伏シリンダ23が跨設されており、この起伏シリンダ23を伸縮駆動させることにより、ブーム30全体を上下面(垂直面)内で起伏動させることができる。
【0017】
基端ブーム30aの基端部上面には、ウィンチ装置40が取り付けられている。ウィンチ装置40は、ウィンチドラム41とワイヤロープ42(
図2を参照)を有しており、ウィンチドラム41から繰り出されたワイヤロープ42が回転自在なシーブ(図示せず)に掛け回されて先端ブーム30cの下方に垂れ下がり、その先端にフック45(
図2を参照)が取り付けられるようになっている。ウィンチ装置40の側部には、ウィンチモータ43が設けられており、このウィンチモータ43を油圧駆動することによりワイヤロープ42の巻き上げ・巻き下げ作動を行って、ワイヤロープ42先端のフック45の引き上げ・引き下げができるようになっている。なお、ブーム30の上部には、ブーム30の軸方向に沿ってワイヤロープ42を保護するためのワイヤガード44が設けられている。
【0018】
ブーム30の先端側には、先端ブーム30cの先端部と基端ブーム30a先端部とに選択的に連結可能な支持枠51が設けられている。支持枠51には、支持アーム52および基枠53を介して減速機付きの油圧式のモータ54が枢結されている。作業時において、モータ54は、
図2に示すように、支持枠51、支持アーム52および基枠53により、出力軸54aが下方を向くように垂下支持される。モータ54の出力軸54aには、ジョイント部材55および角型シャフト56(
図6を参照)を介して、把持ユニット100のシャフト部110を着脱可能に連結させることができる。また、
図3~
図5に示すように、モータ54の出力軸54aには、把持ユニット100に代えて、ジョイント部材55および角型シャフト56を介して、アースオーガ装置70のシャフト部73を着脱可能に連結させることができる。以降の説明において、旋回台20、ブーム30、ウィンチ装置40、把持ユニット100およびアースオーガ装置70を総称して「作業装置」とも称する。
【0019】
図4に示すように、車体2における旋回台20の側部には、作業装置(旋回台20、ブーム30、ウィンチ装置40、把持ユニット100およびアースオーガ装置70)の作動を操作する操作席60が設けられている。操作席60は、旋回台20の側部に取り付けられて旋回台20とともに旋回動するベース基板61と、ベース基板61の上部に配設されて作業者がブーム30の先端側へ向いた姿勢で座る椅子62と、椅子62の前方に位置する操作装置63とを有し、作業者は椅子62に座った姿勢で操作装置63にアクセス可能になっている。
【0020】
なお、支持枠51、支持アーム52および基枠53により、モータ54の出力軸54aと連結された把持ユニット100のシャフト部110は、モータ54の出力軸54aとともに下方を向く作業位置(
図2を参照)と、モータ54の出力軸54aとともに基端ブー
ム30aの側面に沿った方向を向く格納位置(
図1を参照)とに変位することが可能である。また、支持枠51、支持アーム52および基枠53により、モータ54の出力軸54aと連結されたアースオーガ装置70のシャフト部73は、把持ユニット100のシャフト部110と同様に、モータ54の出力軸54aとともに下方を向く作業位置(
図5を参照)と、モータ54の出力軸54aとともに基端ブーム30aの側面に沿った方向を向く格納位置(
図3を参照)とに変位することが可能である。
図1および
図3に示すように、基端ブーム30aの側面には、保持ロープ59を利用して、把持ユニット100のシャフト部110もしくはアースオーガ装置70のシャフト部73を基端ブーム30aの側方の格納位置で固定保持することが可能な保持装置58が配設されている。
【0021】
次に、アースオーガ装置70について、
図6を参照して説明する。アースオーガ装置70は、角型シャフト56と連結されるシャフト部73と、シャフト部73の先端側に結合されたアースオーガ71とを有して構成される。角型シャフト56は、ジョイント部材55によりモータ54の出力軸54aと連結される。角型シャフト56の側部には、セット穴57が形成される。
【0022】
シャフト部73は、中空の軸状に形成される。シャフト部73の基端部の内側に、シャフト嵌合部75が形成される。シャフト嵌合部75は、角型シャフト56の外周形状に合わせた角穴状に形成される。シャフト嵌合部75には、角型シャフト56の先端側が挿脱可能に嵌合する。シャフト部73の基端部の外周側に、セットピンハンドル76が取り付けられる。セットピンハンドル76は、シャフト嵌合部75と嵌合した角型シャフト56のセット穴57に、セットピンハンドル76の先端部を挿脱可能に嵌合させることができるようになっている。
【0023】
角型シャフト56をシャフト嵌合部75に挿入して嵌合させ、この状態でセットピンハンドル76を操作して、角型シャフト56のセット穴57にセットピンハンドル76の先端部を嵌合させることで、アースオーガ装置70のシャフト部73が角型シャフト56と着脱可能に連結される。なお、角型シャフト56にアースオーガ装置70のシャフト部73を連結させる場合、角型シャフト56の先端部に、複数のセット穴57が形成された延伸用角型シャフト56Aを連結して、角型シャフト56を延伸させるようにしてもよい。
【0024】
シャフト部73の中間部の外周側に、ロープ係合部73aが取り付けられる。ロープ係合部73aは、L字フック状に形成され、保持ロープ59の先端を係脱可能に係合させることができるようになっている。なお、保持ロープ59の基端側は、保持装置58を介して基端ブーム30aの側面に結合される。
【0025】
アースオーガ71は、オーガ本体部72と、基端側掘削刃部77と、中間掘削刃部78と、先端側掘削刃部79とから構成され、モータ54の作動によりシャフト部73を中心として回転するようになっている。オーガ本体部72は、シャフト部73の先端側の外周部に結合されて螺旋状に延びるオーガスクリュー74を主体に構成される。オーガスクリュー74は、シャフト部73を中心として掘削方向に回転して掘削土砂を上方へ搬送する。基端側掘削刃部77は、シャフト部73の先端部に結合される。中間掘削刃部78は、基端側掘削刃部77の先端部に結合される。先端側掘削刃部79は、中間掘削刃部78の先端部に結合される。基端側掘削刃部77、中間掘削刃部78、および先端側掘削刃部79は、断面視鋭角の掘削刃(図示せず)を有し、効率よく地面を掘削できるように構成されている。
【0026】
次に、把持ユニット100について、
図7~
図10を参照して説明する。第1実施形態に係る把持ユニット100は、
図7および
図8に示すように、角型シャフト56(
図6を参照)と連結されるシャフト部110と、シャフト部110の基端側に設けられた操作部
120と、シャフト部110の先端側に結合された把持装置130とを有して構成される。
【0027】
シャフト部110は、アースオーガ装置70のシャフト部73と同様に、中空の軸状に形成される。シャフト部110の基端部110aの内側に、シャフト嵌合部111が形成される。シャフト嵌合部111は、角型シャフト56(
図6を参照)の外周形状に合わせた角穴状に形成される。シャフト嵌合部111には、角型シャフト56の先端側が挿脱可能に嵌合する。シャフト部110の基端部110aの外周側に、セットピンハンドル112が取り付けられる。セットピンハンドル112は、シャフト嵌合部111と嵌合した角型シャフト56のセット穴57に、セットピンハンドル112の先端部を挿脱可能に嵌合させることができるようになっている。
【0028】
角型シャフト56(
図6を参照)をシャフト嵌合部111に挿入して嵌合させ、この状態でセットピンハンドル112を操作して、角型シャフト56のセット穴57にセットピンハンドル112の先端部を嵌合させることで、把持ユニット100のシャフト部110が角型シャフト56と着脱可能に連結される。
【0029】
シャフト部110の中間部の外周側に、ロープ係合部113が取り付けられる。ロープ係合部113は、L字フック状に形成され、保持ロープ59の先端を係脱可能に係合させることができるようになっている。なお、アースオーガ装置70のシャフト部73の外径は、把持ユニット100のシャフト部110の外径と設計的に同じであることが望ましい。モータ54の出力軸54a(角型シャフト56)に対するアースオーガ装置70のロープ係合部73aの相対位置は、モータ54の出力軸54a(角型シャフト56)に対する把持ユニット100のロープ係合部113の相対位置と設計的に同じであることが望ましい。
【0030】
操作部120は、操作部本体121と、ラチェット機構部150とを有して構成され、る。操作部本体121は、シャフト部110の基端側に箱状に形成され、操作部本体121の内部空間と、シャフト部110の少なくとも先端側の内部空間とが連通するようになっている。操作部本体121の内部には、後述のラチェット機構部150が配設される。
【0031】
把持装置130は、ベース部材131と、第1アーム部材136Lおよび第2アーム部材136Rと、第1開閉バネ135Lおよび第2開閉バネ135Rと、ロッド部材141と、第1リンク部材146Lおよび第2リンク部材146Rとを有して構成される。把持装置130は、モータ54の作動によりシャフト部110を中心として回転するようになっている。
【0032】
ベース部材131は、開口部を有する箱状に形成され、シャフト部110の先端部に結合される。ベース部材131の両脇に、第1アーム部材取付部132Lおよび第2アーム部材取付部132Rが左右対称に設けられる。第1アーム部材取付部132Lには、第1アーム部材136Lが揺動可能に取り付けられる。第2アーム部材取付部132Rには、第2アーム部材136Rが揺動可能に取り付けられる。ベース部材131の両脇における第1アーム部材取付部132Lおよび第2アーム部材取付部132Rの近傍に、第1ベース側バネ取付部133Lおよび第2ベース側バネ取付部133Rが左右対称に設けられる。第1ベース側バネ取付部133Lには、第1開閉バネ135Lの一方の端部が取り付けられる。第2ベース側バネ取付部133Rには、第2開閉バネ135Rの一方の端部が取り付けられる。
【0033】
第1アーム部材136Lおよび第2アーム部材136Rは、先端側が屈曲した左右対称の棒状に形成される。第1アーム部材136Lおよび第2アーム部材136Rは、第1ア
ーム部材136Lおよび第2アーム部材136Rの先端が互いに離れる拡開位置(
図7を参照)と、第1アーム部材136Lおよび第2アーム部材136Rの先端が互いに近づく閉止位置(
図8を参照)とに、ベース部材131の第1アーム部材取付部132Lおよび第2アーム部材取付部132Rに揺動可能に取り付けられる。把持装置130は、第1アーム部材136Lおよび第2アーム部材136Rを閉止位置に揺動させることにより、倒木等の物体(以降、障害物BRとも称する)を把持することができるように構成される。
【0034】
第1アーム部材136Lの中間部に、第1アーム側リンク部材連結部137Lが設けられる。第1アーム側リンク部材連結部137Lには、第1リンク部材146Lの先端部が連結される。第1アーム部材136Lの側部に、第1アーム側バネ取付部138Lが設けられる。第1アーム側バネ取付部138Lには、第1開閉バネ135Lの他方の端部が取り付けられる。第2アーム部材136Rの中間部に、第2アーム側リンク部材連結部137Rが設けられる。第2アーム側リンク部材連結部137Rには、第2リンク部材146Rの先端部が連結される。第2アーム部材136Rの側部に、第2アーム側バネ取付部138Rが設けられる。第2アーム側バネ取付部138Rには、第2開閉バネ135Rの他方の端部が取り付けられる。
【0035】
第1開閉バネ135Lは、引張コイルバネ等を用いて構成される。第1開閉バネ135Lの一方の端部がベース部材131の第1ベース側バネ取付部133Lに取り付けられるとともに、第1開閉バネ135Lの他方の端部が第1アーム部材136Lの第1アーム側バネ取付部138Lに取り付けられる。これにより、第1開閉バネ135Lは、第1アーム部材136Lが閉止位置から拡開位置へ揺動する方向に付勢力を加える。
【0036】
第2開閉バネ135Rは、第1開閉バネ135Lと同様に引張コイルバネ等を用いて構成される。第2開閉バネ135Rの一方の端部がベース部材131の第2ベース側バネ取付部133Rに取り付けられるとともに、第2開閉バネ135Rの他方の端部が第2アーム部材136Rの第2アーム側バネ取付部138Rに取り付けられる。これにより、第2開閉バネ135Rは、第2アーム部材136Rが閉止位置から拡開位置へ揺動する方向に付勢力を加える。
【0037】
ロッド部材141は、ベース部材131の基端部からシャフト部110の内部に挿通されて操作部本体121の内部まで延びる棒状に形成される。ロッド部材141の先端側に、ロッド側リンク部材連結部142が設けられる。ロッド側リンク部材連結部142には、第1リンク部材146Lの基端部および第2リンク部材146Rの基端部が連結される。ロッド部材141の先端部に、当接片部143が形成される。当接片部143には、把持装置130により把持される障害物BRを当接させることができるようになっている。
【0038】
第1リンク部材146Lおよび第2リンク部材146Rは、棒状に形成されて左右対称に配置される。第1リンク部材146Lの基端部および第2リンク部材146Rの基端部は共に、連結ピン(図示せず)を用いてロッド部材141のロッド側リンク部材連結部142と連結される。一方、第1リンク部材146Lの先端部は、連結ピン(図示せず)を用いて第1アーム部材136Lの第1アーム側リンク部材連結部137Lと連結され、第2リンク部材146Rの先端部は、連結ピン(図示せず)を用いて第2アーム部材136Rの第2アーム側リンク部材連結部137Rと連結される。これにより、ロッド部材141は、第1リンク部材146Lおよび第2リンク部材146Rを介して、第1アーム部材136Lおよび第2アーム部材136Rと連結され、シャフト部110の延伸方向に沿って往復移動可能に構成される。具体的には、ロッド部材141は、第1アーム部材136Lおよび第2アーム部材136Rが拡開位置に揺動すると、シャフト部110の先端部からの突出量が大きくなる拡開対応位置(
図7を参照)に移動し、第1アーム部材136Lおよび第2アーム部材136Rが閉止位置に揺動すると、シャフト部110の先端部から
の突出量が小さくなる閉止対応位置(
図8を参照)に移動するようになっている。
【0039】
ラチェット機構部150は、
図9および
図10に示すように、ロッド部材141の基端側に設けられた歯部151と、歯止め部材161と、ラチェット用バネ171と、ストッパ部材181とを有して構成される。歯部151は、ラック歯車のように、ロッド部材141の延伸方向に沿って直線的に並んで形成される。
【0040】
歯止め部材161は、先端側に爪部162を有する形状に形成される。歯止め部材161は、操作部本体121に固設された歯止め取付部166に揺動可能に取り付けられる。歯止め部材161が所定の係止位置(
図9を参照)に揺動すると、歯止め部材161の爪部162が歯部151に係止するようになっている。歯止め部材161が所定の非係止位置(
図10を参照)に揺動すると、歯止め部材161の爪部162が歯部151から離脱するようになっている。歯止め部材161の基端側に、歯止め側バネ取付部163が形成される。歯止め側バネ取付部163には、ラチェット用バネ171の一方の端部が取り付けられる。
【0041】
ラチェット用バネ171は、引張コイルバネ等を用いて構成される。ラチェット用バネ171の一方の端部が歯止め部材161の歯止め側バネ取付部163に取り付けられるとともに、ラチェット用バネ171の他方の端部が操作部本体121に固設された本体側バネ取付部172に取り付けられる。これにより、ラチェット用バネ171は、歯止め部材161が係止位置から非係止位置へ揺動する方向に付勢力を加える。
【0042】
ストッパ部材181は、略棒状に形成される。ストッパ部材181は、操作部本体121に固設されたストッパ取付部186に揺動可能に取り付けられる。ストッパ部材181の基端側に、歯止め部材当接部182が形成される。ストッパ部材181が所定の係止保持位置(
図9を参照)に揺動すると、歯止め部材当接部182は、ラチェット用バネ171の付勢力により係止位置に揺動した歯止め部材161の爪部162に当接し、係止位置を超える歯止め部材161の揺動を規制するようになっている。これにより、ロッド部材141が前述の拡開対応位置から閉止対応位置に向けて移動する際、歯止め部材161は、ロッド部材141とともに動く歯部151に押圧されて、ラチェット用バネ171の付勢力に抗して一時的に係止位置から(非係止位置とは反対方向に)揺動することが可能である。一方、ロッド部材141が閉止対応位置から拡開対応位置に向けて移動しようとしても、ストッパ部材181(歯止め部材当接部182)により係止位置を超える歯止め部材161の揺動が規制されるため、歯止め部材161の爪部162が係止した歯部151の移動も規制され、その結果、ロッド部材141の移動が規制される。そのため、ストッパ部材181が係止保持位置に揺動した状態では、ラチェット機構部150の歯部151が設けられたロッド部材141は、拡開対応位置から閉止対応位置に向けた移動が可能ではあるが、閉止対応位置から拡開対応位置に向けた移動が規制される。
【0043】
また、ストッパ部材181が所定の係止解除位置(
図10を参照)に揺動すると、歯止め部材当接部182は、ラチェット用バネ171の付勢力により非係止位置に揺動した歯止め部材161の爪部162に当接し、非係止位置を超える歯止め部材161の揺動を規制するようになっている。これにより、歯止め部材161が非係止位置に揺動して、歯止め部材161の爪部162が歯部151から離脱した状態が維持される。そのため、ストッパ部材181が係止解除位置に揺動した状態では、ラチェット機構部150の歯部151が設けられたロッド部材141は、拡開対応位置から閉止対応位置に向けた移動だけでなく、閉止対応位置から拡開対応位置に向けた移動も可能である。
【0044】
ストッパ部材181の先端側に、ストッパ操作部183が形成される。ストッパ操作部183は、操作部本体121に設けられた露出穴(図示せず)に挿通されて先端側が外部
に露出するピン形状に形成される。外部に露出するストッパ操作部183の先端側には、鉤状に形成された操作具TLの先端部を係合させることができるようになっている。また、ストッパ取付部186には、ねじりコイルバネ(図示せず)が取り付けられる。ねじりコイルバネは、ストッパ部材181が係止解除位置から係止保持位置へ揺動する方向に付勢力を加える。なお、ねじりコイルバネに限らず、ラチェット用バネ171と同様に引張コイルバネ等を用いて、ストッパ部材181が係止解除位置から係止保持位置へ揺動する方向に付勢力を加えるようにしてもよい。
【0045】
以上のように構成される作業車1において、例えば路上等にある障害物BRを移動させる作業を行う場合、モータ54の出力軸54aと連結された角型シャフト56に、把持ユニット100のシャフト部110を連結させる。このとき、角型シャフト56をシャフト部110のシャフト嵌合部111に挿入して嵌合させ、この状態でセットピンハンドル112を操作して、角型シャフト56のセット穴57にセットピンハンドル112の先端部を嵌合させる。これにより、把持ユニット100のシャフト部110が角型シャフト56と着脱可能に連結される。なお、角型シャフト56に把持ユニット100のシャフト部110を連結させる作業は、障害物BRがある作業現場で行うことが可能であり、作業現場に向かう前に行うことも可能である。
【0046】
第1実施形態に係る把持ユニット100を用いて障害物BRを移動させる際、支持枠51を先端ブーム30cの先端部に連結させて、把持ユニット100のシャフト部110を前述の作業位置に変位させ、把持装置130が下方を向く状態にする。なおこのとき、把持装置130の第1アーム部材136Lおよび第2アーム部材136Rを拡開位置に揺動させておく。
【0047】
次に、ブーム30(旋回台20)を旋回動させたり、ブーム30を起伏動または伸縮動させたり、モータ54の作動により把持装置130を回転させたりすることで、把持装置130を障害物BRの上方近傍に移動させる。このとき、障害物BRが把持装置130のロッド部材141の当接片部143に当接し、第1開閉バネ135Lおよび第2開閉バネ135Rの付勢力に抗して、ロッド部材141が拡開対応位置から閉止対応位置に移動するとともに、第1アーム部材136Lおよび第2アーム部材136Rが拡開位置から閉止位置に揺動する。このようにして、把持装置130は、第1アーム部材136Lおよび第2アーム部材136Rを閉止位置に揺動させることにより、障害物BRを把持する。
【0048】
またこのとき、ラチェット機構部150のストッパ部材181は、ねじりコイルバネ等の付勢力により係止保持位置に揺動し、前述の係止位置を超える歯止め部材161の揺動を規制している。これにより、把持装置130のロッド部材141が拡開対応位置から閉止対応位置に向けて移動する際、ラチェット機構部150の歯止め部材161は、ロッド部材141とともに動く歯部151に押圧されて、ラチェット用バネ171の付勢力に抗して一時的に係止位置から(非係止位置とは反対方向に)揺動する。そのため、把持装置130のロッド部材141は、ロッド部材141の当接片部143に当接した障害物BRに押圧されることで、拡開対応位置から閉止対応位置に移動する。一方、把持装置130のロッド部材141が閉止対応位置から拡開対応位置に向けて移動しようとしても、ラチェット機構部150のストッパ部材181により係止位置を超える歯止め部材161の揺動が規制されるため、歯止め部材161の爪部162が係止した歯部151の移動も規制され、その結果、閉止対応位置に移動したロッド部材141の拡開対応位置に向けた移動が規制される。そのため、閉止位置に揺動した把持装置130の第1アーム部材136Lおよび第2アーム部材136Rは、第1開閉バネ135Lおよび第2開閉バネ135Rの付勢力に抗して閉止位置で保持される。
【0049】
次に、把持装置130が障害物BRを把持する状態で、ブーム30(旋回台20)を旋
回動させたり、ブーム30を起伏動または伸縮動させたり、モータ54の作動により把持装置130を回転させたりすることで、障害物BRを移動させる。次に、操作部本体121の外部に露出するストッパ部材181のストッパ操作部183に、操作具TLの先端部を係合させ、操作具TLを用いてストッパ部材181を係止保持位置から係止解除位置まで揺動させる。これにより、ラチェット機構部150の歯止め部材161は、ラチェット用バネ171の付勢力により係止位置から非係止位置に揺動して、歯止め部材161の爪部162が歯部151から離脱した状態が維持される。そのため、把持装置130の第1アーム部材136Lおよび第2アーム部材136Rは、第1開閉バネ135Lおよび第2開閉バネ135Rの付勢力により閉止位置から拡開位置に揺動するとともに、ロッド部材141は、閉止対応位置から拡開対応位置に移動する。第1アーム部材136Lおよび第2アーム部材136Rが拡開位置に揺動すると障害物BRから離れるため、把持装置130に把持されていた障害物BRは、把持装置130から離脱して地面等に載置される。
【0050】
このようにして、障害物BRを容易に移動させることができ、障害物BRを移動させる作業を効率的に行うことが可能になる。なお、ストッパ部材181のストッパ操作部183から操作具TLの先端部を離脱させると、ラチェット機構部150のストッパ部材181は、ねじりコイルバネ等の付勢力により係止解除位置から係止保持位置に戻り、歯止め部材161が非係止位置から係止位置に戻るようになっている。
【0051】
障害物BRを移動させる作業が終了した後、把持ユニット100(把持装置130)をブーム30の側面に沿った位置に格納することが可能である。把持ユニット100を格納する際、ブーム30を縮小動させ、把持ユニット100のシャフト部110のロープ係合部113に、保持ロープ59の先端を係合させる。なおこのとき、把持装置130の第1アーム部材136Lおよび第2アーム部材136Rを(手動で)閉止位置に揺動させておくようにしてもよい。そして、保持ロープ59の先端をロープ係合部113に係合させた状態で、モータ54の作動により把持装置130を回転させる。このとき、把持ユニット100のシャフト部110は、回転しながら保持ロープ59を巻き取ることにより、前述の作業位置から格納位置まで変位し、保持装置58により格納位置で固定保持される。これにより、把持装置130を容易にブーム30の側面に沿った位置に格納することができる。
【0052】
なお、把持ユニット100のシャフト部110が格納位置で固定保持される状態で、モータ54の作動により把持装置130を逆方向に回転させると、シャフト部110は、回転しながら保持ロープ59を繰り出すことにより、格納位置から作業位置まで変位する。そのため、シャフト部110のロープ係合部113から保持ロープ59の先端を離脱させることにより、再び障害物BRを移動させる作業を行うことが可能になる。
【0053】
また、障害物BRを移動させる作業に加え、地面を掘削する作業を行うことも可能である。地面を掘削する作業を行う場合、モータ54の出力軸54aと連結された角型シャフト56に、把持ユニット100のシャフト部110と交換してアースオーガ装置70のシャフト部73を連結させる。このときまず、把持ユニット100のセットピンハンドル112を操作して、角型シャフト56のセット穴57からセットピンハンドル112の先端部を抜去し、角型シャフト56を把持ユニット100のシャフト嵌合部111から抜去する。そして、角型シャフト56をアースオーガ装置70のシャフト嵌合部75に挿入して嵌合させ、この状態でアースオーガ装置70のセットピンハンドル76を操作して、角型シャフト56のセット穴57にセットピンハンドル76の先端部を嵌合させる。これにより、アースオーガ装置70のシャフト部73が角型シャフト56と着脱可能に連結される。なお、把持ユニット100のシャフト部110に代えて角型シャフト56にアースオーガ装置70のシャフト部73を連結させる作業は、作業現場で行うことが可能である。
【0054】
アースオーガ装置70を用いて地面を掘削する際、アースオーガ装置70のシャフト部73を前述の作業位置に変位させ、アースオーガ71が下方を向く状態にする。そして、ブーム30を倒伏動および縮小動させながら、モータ54の作動によりアースオーガ71を回転させることで、地面を掘削して電柱を建て入れる建柱穴等を形成する。これにより、把持装置130により障害物BRを移動させる作業だけでなく、アースオーガ71により地面を掘削する作業を行うことが可能になる。
【0055】
地面を掘削する作業が終了した後、アースオーガ装置70(アースオーガ71)をブーム30の側面に沿った位置に格納することが可能である。アースオーガ装置70を格納する際、ブーム30を縮小動させ、アースオーガ装置70のシャフト部73のロープ係合部73aに、保持ロープ59の先端を係合させる。そして、保持ロープ59の先端をロープ係合部73aに係合させた状態で、モータ54の作動によりアースオーガ71を回転させる。このとき、アースオーガ装置70のシャフト部73は、回転しながら保持ロープ59を巻き取ることにより、前述の作業位置から格納位置まで変位し、保持装置58により格納位置で固定保持される。これにより、アースオーガ71を容易にブーム30の側面に沿った位置に格納することができる。
【0056】
なお、アースオーガ装置70のシャフト部73が格納位置で固定保持される状態で、モータ54の作動によりアースオーガ71を逆方向に回転させると、シャフト部73は、回転しながら保持ロープ59を繰り出すことにより、格納位置から作業位置まで変位する。そのため、シャフト部73のロープ係合部73aから保持ロープ59の先端を離脱させることにより、再び地面を掘削する作業を行うことが可能になる。
【0057】
以上で説明したように、第1実施形態によれば、把持装置130は、モータ54の作動によりシャフト部110を中心として回転可能であるため、把持装置130により例えば倒木等の障害物BRを把持した状態で、ブーム30を少なくとも起伏動させたり、モータ54の作動により把持装置130を回転させたりすることで、障害物BRを容易に移動させることができる。これにより、障害物BRを移動させる作業を効率的に行うことが可能になる。
【0058】
また、把持装置130と交換されるアースオーガ71を備えることで、把持装置130により障害物BRを移動させる作業だけでなく、アースオーガ71により地面を掘削する作業を行うことが可能になる。
【0059】
また、保持ロープ59の先端(他端側)をロープ係合部に係合させた状態で、把持ユニット100のシャフト部110(およびアースオーガ装置70のシャフト部73)は、モータ54の作動により保持ロープ59を巻き取って、モータ54の出力軸54aとともに下方を向く作業位置から、モータ54の出力軸54aとともにブーム30の側面に沿った方向を向く格納位置まで変位するように構成されることが好ましい。これにより、把持装置130(およびアースオーガ71)を容易にブーム30の側面に沿った位置に格納することができる。
【0060】
次に、ラチェット機構部の変形例について、
図11および
図12を参照して説明する。変形例に係るラチェット機構部250は、
図11および
図12に示すように、ロッド部材141の基端側に設けられた歯部151と、歯止め部材161と、ラチェット用バネ171と、ストッパ部材281と、アクチュエータ290とを有して構成される。歯部151、歯止め部材161、およびラチェット用バネ171については、第1実施形態に係る歯部151、歯止め部材161、およびラチェット用バネ171と同様の構成であり、同一部材に同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0061】
ストッパ部材281は、略棒状に形成される。ストッパ部材281は、操作部本体121に固設されたストッパ取付部286に揺動可能に取り付けられる。ストッパ部材281の基端側に、歯止め部材当接部282が形成される。ストッパ部材281が所定の係止保持位置(
図11を参照)に揺動すると、歯止め部材当接部282は、ラチェット用バネ171の付勢力により係止位置に揺動した歯止め部材161の爪部162に当接し、係止位置を超える歯止め部材161の揺動を規制するようになっている。これにより、ロッド部材141が前述の拡開対応位置から閉止対応位置に向けて移動する際、歯止め部材161は、ロッド部材141とともに動く歯部151に押圧されて、ラチェット用バネ171の付勢力に抗して一時的に係止位置から(非係止位置とは反対方向に)揺動することが可能である。一方、ロッド部材141が閉止対応位置から拡開対応位置に向けて移動しようとしても、ストッパ部材281(歯止め部材当接部282)により係止位置を超える歯止め部材161の揺動が規制されるため、歯止め部材161の爪部162が係止した歯部151の移動も規制され、その結果、ロッド部材141の移動が規制される。そのため、ストッパ部材281が係止保持位置に揺動した状態では、ラチェット機構部250の歯部151が設けられたロッド部材141は、拡開対応位置から閉止対応位置に向けた移動が可能ではあるが、閉止対応位置から拡開対応位置に向けた移動が規制される。
【0062】
また、ストッパ部材281が所定の係止解除位置(
図12を参照)に揺動すると、歯止め部材当接部282は、ラチェット用バネ171の付勢力により非係止位置に揺動した歯止め部材161の爪部162に当接し、非係止位置を超える歯止め部材161の揺動を規制するようになっている。これにより、歯止め部材161が非係止位置に揺動して、歯止め部材161の爪部162が歯部151から離脱した状態が維持される。そのため、ストッパ部材281が係止解除位置に揺動した状態では、ラチェット機構部250の歯部151が設けられたロッド部材141は、拡開対応位置から閉止対応位置に向けた移動だけでなく、閉止対応位置から拡開対応位置に向けた移動も可能である。
【0063】
ストッパ部材281の先端側に、長穴状の係合穴283が形成される。係合穴283には、アクチュエータ290の係合ピン295が係合するようになっている。本変形例において、操作部本体121には、第1実施形態に係るストッパ部材181のストッパ操作部183を挿通させる露出穴に代えて、電源装置296と、ストッパ操作装置297とが設けられる。電源装置296は、例えばリチウムイオン電池等の二次電池を用いて構成され、操作部本体121の内部に取り付けられる。電源装置296は、ストッパ操作装置297を介してアクチュエータ290と電気的に接続される。ストッパ操作装置297は、例えば遠隔操作装置を用いて構成され、ストッパ操作装置297(遠隔操作装置)の受信器等が操作部本体121に取り付けられる。ストッパ操作装置297は、アクチュエータ290を作動させてストッパ部材281を揺動させるための操作が行われる。
【0064】
アクチュエータ290は、電動モータ291と、減速機292と、ネジシリンダ293と、ロッド294とを有して構成される。電動モータ291は、ストッパ操作装置297を介して電源装置296と電気的に接続される。電動モータ291は、電源装置296から供給される電力を利用して、減速機292を介してネジシリンダ293を駆動する。ネジシリンダ293は、電動モータ291からの駆動力を受けて、ロッド294を直線移動させる。ロッド294は、電動モータ291の作動によりネジシリンダ293に対して直線的に進退するようになっている。ロッド294の先端部に、係合ピン295が連結される。係合ピン295は、ストッパ部材281の係合穴283に対して回転自在に係合する。これにより、アクチュエータ290は、電動モータ291の作動によりロッド294をネジシリンダ293に対して進退させることで、ストッパ部材281を前述の係止解除位置と係止保持位置とに揺動させることができる。
【0065】
変形例に係るラチェット機構部250において、ストッパ操作装置297を操作してア
クチュエータ290のロッド294を退行させると、ラチェット機構部250のストッパ部材281は、前述の係止保持位置に揺動し、係止位置を超える歯止め部材161の揺動を規制する。これにより、把持装置130のロッド部材141が拡開対応位置から閉止対応位置に向けて移動する際、ラチェット機構部250の歯止め部材161は、ロッド部材141とともに動く歯部151に押圧されて、ラチェット用バネ171の付勢力に抗して一時的に係止位置から(非係止位置とは反対方向に)揺動する。そのため、把持装置130のロッド部材141は、ロッド部材141の当接片部143に当接した障害物BRに押圧されることで、拡開対応位置から閉止対応位置に移動する。一方、把持装置130のロッド部材141が閉止対応位置から拡開対応位置に向けて移動しようとしても、ラチェット機構部250のストッパ部材281により係止位置を超える歯止め部材161の揺動が規制されるため、歯止め部材161の爪部162が係止した歯部151の移動も規制され、その結果、閉止対応位置に移動したロッド部材141の拡開対応位置に向けた移動が規制される。そのため、閉止位置に揺動した把持装置130の第1アーム部材136Lおよび第2アーム部材136Rは、第1開閉バネ135Lおよび第2開閉バネ135Rの付勢力に抗して閉止位置で保持される。
【0066】
ストッパ操作装置297を操作してアクチュエータ290のロッド294を進行させると、ラチェット機構部250のストッパ部材281は、前述の係止保持位置から係止解除位置まで揺動する。これにより、ラチェット機構部250の歯止め部材161は、ラチェット用バネ171の付勢力により係止位置から非係止位置に揺動して、歯止め部材161の爪部162が歯部151から離脱した状態が維持される。そのため、把持装置130の第1アーム部材136Lおよび第2アーム部材136Rは、第1開閉バネ135Lおよび第2開閉バネ135Rの付勢力により閉止位置から拡開位置に揺動するとともに、ロッド部材141は、閉止対応位置から拡開対応位置に移動する。
【0067】
本変形例によれば、ストッパ操作装置297を操作してアクチュエータ290のロッド294を進退させることで、ストッパ部材281を係止解除位置と係止保持位置とに揺動させることができる。そのため、第1実施形態の場合と同様にして、障害物BRを容易に移動させることができ、障害物BRを移動させる作業を効率的に行うことが可能になる。
【0068】
次に、把持ユニットの第2実施形態について、
図13~
図15を参照して説明する。第2実施形態に係る把持ユニット300は、
図13および
図14に示すように、角型シャフト56(
図6を参照)と連結されるシャフト部310と、シャフト部310の基端側に設けられた操作部320と、シャフト部310の先端側に結合された把持装置330とを有して構成される。
【0069】
シャフト部310は、第1実施形態に係るシャフト部110と同様に形成される。第1実施形態に係るシャフト部110と同様に、シャフト部310の基端部310aの内側にシャフト嵌合部311が形成され、シャフト部310の基端部310aの外周側にセットピンハンドル312が取り付けられ、シャフト部310の中間部の外周側にロープ係合部313が取り付けられる。なお、角型シャフト56(
図6を参照)をシャフト嵌合部311に挿入して嵌合させ、この状態でセットピンハンドル312を操作して、角型シャフト56のセット穴57にセットピンハンドル312の先端部を嵌合させることで、把持ユニット300のシャフト部310が角型シャフト56と着脱可能に連結される。
【0070】
操作部320は、操作部本体321と、開閉駆動部350と、電源装置366と、開閉操作装置367とを有して構成される。操作部本体321は、シャフト部310の基端側に箱状に形成され、操作部本体321の内部空間と、シャフト部310の少なくとも先端側の内部空間とが連通するようになっている。操作部本体321の内部には、後述の開閉駆動部350および電源装置366が配設される。
【0071】
電源装置366は、例えばリチウムイオン電池等の二次電池を用いて構成され、操作部本体321の内部に取り付けられる。電源装置366は、開閉操作装置367を介して開閉駆動部350のアクチュエータ360(
図15を参照)と電気的に接続される。開閉操作装置367は、例えば遠隔操作装置を用いて構成され、開閉操作装置367(遠隔操作装置)の受信器等が操作部本体321に取り付けられる。開閉操作装置367は、開閉駆動部350のアクチュエータ360を作動させて把持装置330のロッド部材341を移動させるための操作が行われる。
【0072】
把持装置330は、ベース部材331と、第1アーム部材336Lおよび第2アーム部材336Rと、ロッド部材341と、第1リンク部材346Lおよび第2リンク部材346Rとを有して構成される。把持装置330は、モータ54の作動によりシャフト部310を中心として回転するようになっている。
【0073】
ベース部材331は、開口部を有する箱状に形成され、シャフト部310の先端部に結合される。ベース部材331の両脇に、第1アーム部材取付部332Lおよび第2アーム部材取付部332Rが左右対称に設けられる。第1アーム部材取付部332Lには、第1アーム部材336Lが揺動可能に取り付けられる。第2アーム部材取付部332Rには、第2アーム部材336Rが揺動可能に取り付けられる。
【0074】
第1アーム部材336Lおよび第2アーム部材336Rは、先端側が屈曲した左右対称の棒状に形成される。第1アーム部材336Lおよび第2アーム部材336Rは、第1アーム部材336Lおよび第2アーム部材336Rの先端が互いに離れる拡開位置(
図13を参照)と、第1アーム部材336Lおよび第2アーム部材336Rの先端が互いに近づく閉止位置(
図14を参照)とに、ベース部材331の第1アーム部材取付部332Lおよび第2アーム部材取付部332Rに揺動可能に取り付けられる。把持装置330は、第1アーム部材336Lおよび第2アーム部材336Rを閉止位置に揺動させることにより、障害物BRを把持することができるように構成される。
【0075】
第1アーム部材336Lの中間部に、第1アーム側リンク部材連結部337Lが設けられる。第1アーム側リンク部材連結部337Lには、第1リンク部材346Lの先端部が連結される。第2アーム部材336Rの中間部に、第2アーム側リンク部材連結部337Rが設けられる。第2アーム側リンク部材連結部337Rには、第2リンク部材346Rの先端部が連結される。
【0076】
ロッド部材341は、ベース部材331の基端部からシャフト部310の内部に挿通されて操作部本体321の内部まで延びる棒状に形成される。ロッド部材341の先端側に、ロッド側リンク部材連結部342が設けられる。ロッド側リンク部材連結部342には、第1リンク部材346Lの基端部および第2リンク部材346Rの基端部が連結される。
【0077】
第1リンク部材346Lおよび第2リンク部材346Rは、棒状に形成されて左右対称に配置される。第1リンク部材346Lの基端部および第2リンク部材346Rの基端部は共に、連結ピン(図示せず)を用いてロッド部材341のロッド側リンク部材連結部342と連結される。一方、第1リンク部材346Lの先端部は、連結ピン(図示せず)を用いて第1アーム部材336Lの第1アーム側リンク部材連結部337Lと連結され、第2リンク部材346Rの先端部は、連結ピン(図示せず)を用いて第2アーム部材336Rの第2アーム側リンク部材連結部337Rと連結される。これにより、ロッド部材341は、第1リンク部材346Lおよび第2リンク部材346Rを介して、第1アーム部材336Lおよび第2アーム部材336Rと連結され、シャフト部310の延伸方向に沿っ
て往復移動可能に構成される。具体的には、ロッド部材341は、第1アーム部材336Lおよび第2アーム部材336Rが拡開位置に揺動すると、シャフト部310の先端部からの突出量が大きくなる拡開対応位置(
図13を参照)に移動し、第1アーム部材336Lおよび第2アーム部材336Rが閉止位置に揺動すると、シャフト部310の先端部からの突出量が小さくなる閉止対応位置(
図14を参照)に移動するようになっている。
【0078】
開閉駆動部350は、
図15に示すように、アクチュエータ360を主体に構成される。アクチュエータ360は、電動モータ361と、減速機362と、ネジシリンダ363と、ロッド364とを有して構成される。電動モータ361は、開閉操作装置367を介して電源装置366と電気的に接続される。電動モータ361は、電源装置366から供給される電力を利用して、減速機362を介してネジシリンダ363を駆動する。ネジシリンダ363は、電動モータ361からの駆動力を受けて、ロッド364を直線移動させる。ロッド364は、電動モータ361の作動によりネジシリンダ363に対して直線的に進退するようになっている。ロッド364の先端部は、ジョイント部材365を介してロッド部材341の基端部と連結される。アクチュエータ360は、電動モータ361の作動によりロッド364をネジシリンダ363に対して進退させることで、ロッド部材341を前述の拡開対応位置と閉止対応位置とに往復移動させる。
【0079】
前述したように、例えば路上等にある障害物BRを移動させる作業を行う場合、モータ54の出力軸54aと連結された角型シャフト56に、把持ユニット300のシャフト部310を連結させる。このとき、角型シャフト56をシャフト部310のシャフト嵌合部311に挿入して嵌合させ、この状態でセットピンハンドル312を操作して、角型シャフト56のセット穴57にセットピンハンドル312の先端部を嵌合させる。これにより、把持ユニット300のシャフト部310が角型シャフト56と着脱可能に連結される。なお、角型シャフト56に把持ユニット300のシャフト部310を連結させる作業は、障害物BRがある作業現場で行うことが可能であり、作業現場に向かう前に行うことも可能である。
【0080】
第2実施形態に係る把持ユニット300を用いて障害物BRを移動させる際、支持枠51を先端ブーム30cの先端部に連結させて、把持ユニット300のシャフト部310を前述の作業位置に変位させ、把持装置330が下方を向く状態にする。なおこのとき、開閉操作装置367を操作してアクチュエータ360のロッド364を進行させ、把持装置330のロッド部材341を拡開対応位置に移動させるとともに、把持装置330の第1アーム部材336Lおよび第2アーム部材336Rを拡開位置に揺動させておく。
【0081】
次に、ブーム30(旋回台20)を旋回動させたり、ブーム30を起伏動または伸縮動させたり、モータ54の作動により把持装置330を回転させたりすることで、把持装置330を障害物BRの上方近傍に移動させる。次に、開閉操作装置367を操作してアクチュエータ360のロッド364を退行させ、把持装置330のロッド部材341を閉止対応位置に移動させるとともに、把持装置330の第1アーム部材336Lおよび第2アーム部材336Rを閉止位置に揺動させる。このようにして、把持装置330は、第1アーム部材336Lおよび第2アーム部材336Rを閉止位置に揺動させることにより、障害物BRを把持する。
【0082】
次に、把持装置330が障害物BRを把持する状態で、ブーム30(旋回台20)を旋回動させたり、ブーム30を起伏動または伸縮動させたり、モータ54の作動により把持装置330を回転させたりすることで、障害物BRを移動させる。次に、開閉操作装置367を操作してアクチュエータ360のロッド364を進行させ、把持装置330のロッド部材341を拡開対応位置に移動させるとともに、把持装置330の第1アーム部材336Lおよび第2アーム部材336Rを拡開位置に揺動させる。第1アーム部材336L
および第2アーム部材336Rが拡開位置に揺動すると障害物BRから離れるため、把持装置330に把持されていた障害物BRは、把持装置330から離脱して地面等に載置される。このようにして、障害物BRを容易に移動させることができ、障害物BRを移動させる作業を効率的に行うことが可能になる。
【0083】
障害物BRを移動させる作業が終了した後、把持ユニット300(把持装置330)をブーム30の側面に沿った位置に格納することが可能である。把持ユニット300を格納する際、ブーム30を縮小動させ、把持ユニット300のシャフト部310のロープ係合部313に、保持ロープ59の先端を係合させる。なおこのとき、開閉操作装置367を操作してアクチュエータ360のロッド364を退行させ、把持装置330の第1アーム部材336Lおよび第2アーム部材336Rを閉止位置に揺動させておくようにしてもよい。そして、保持ロープ59の先端をロープ係合部313に係合させた状態で、モータ54の作動により把持装置330を回転させる。このとき、把持ユニット300のシャフト部310は、回転しながら保持ロープ59を巻き取ることにより、前述の作業位置から格納位置まで変位し、保持装置58により格納位置で固定保持される。これにより、把持装置330を容易にブーム30の側面に沿った位置に格納することができる。
【0084】
なお、把持ユニット300のシャフト部310が格納位置で固定保持される状態で、モータ54の作動により把持装置330を逆方向に回転させると、シャフト部310は、回転しながら保持ロープ59を繰り出すことにより、格納位置から作業位置まで変位する。そのため、シャフト部310のロープ係合部313から保持ロープ59の先端を離脱させることにより、再び障害物BRを移動させる作業を行うことが可能になる。
【0085】
また、第1実施形態の場合と同様に、障害物BRを移動させる作業に加え、アースオーガ装置70(アースオーガ71)を用いて地面を掘削する作業を行うことも可能である。また、第1実施形態の場合と同様に、地面を掘削する作業が終了した後、アースオーガ装置70(アースオーガ71)をブーム30の側面に沿った位置に格納することが可能である。
【0086】
以上で説明したように、第2実施形態によれば、把持装置330は、モータ54の作動によりシャフト部310を中心として回転可能であるため、把持装置330により例えば倒木等の障害物BRを把持した状態で、ブーム30を少なくとも起伏動させたり、モータ54の作動により把持装置330を回転させたりすることで、障害物BRを容易に移動させることができる。これにより、障害物BRを移動させる作業を効率的に行うことが可能になる。また、第1実施形態の場合と同様に、把持装置330により障害物BRを移動させる作業だけでなく、アースオーガ71により地面を掘削する作業を行うことが可能になる。
【0087】
また、保持ロープ59の先端(他端側)をロープ係合部に係合させた状態で、把持ユニット300のシャフト部310(およびアースオーガ装置70のシャフト部73)は、モータ54の作動により保持ロープ59を巻き取って、モータ54の出力軸54aとともに下方を向く作業位置から、モータ54の出力軸54aとともにブーム30の側面に沿った方向を向く格納位置まで変位するように構成されることが好ましい。これにより、把持装置330(およびアースオーガ71)を容易にブーム30の側面に沿った位置に格納することができる。
【0088】
次に、把持ユニットの第3実施形態について、
図16および
図17を参照して説明する。第3実施形態に係る把持ユニット400は、
図16に示すように、角型シャフト456と連結されるシャフト部410と、シャフト部410の先端側に結合された把持装置430と、モータ454の近傍に配設された開閉駆動部460とを有して構成される。第3実
施形態において、角型シャフト456およびジョイント部材455は、前述の角型シャフト56およびジョイント部材55と同様の構成であるが、把持装置430のロッド部材441を挿通させることが可能な挿通穴(図示せず)が設けられる点で異なる。また、モータ454は、前述のモータ54と同様の構成であるが、モータ454の出力軸454aに把持装置430のロッド部材441を挿通させることが可能な挿通穴(図示せず)が設けられる点で異なる。
【0089】
シャフト部410は、アースオーガ装置70のシャフト部73と同様に、中空の軸状に形成される。シャフト部410の基端部410aの内側に、シャフト嵌合部411が形成される。シャフト嵌合部411は、角型シャフト456の外周形状に合わせた角穴状に形成される。シャフト嵌合部411には、角型シャフト456の先端側が挿脱可能に嵌合する。シャフト部410の基端部410aの外周側に、セットピンハンドル412が取り付けられる。セットピンハンドル412は、シャフト嵌合部411と嵌合した角型シャフト456のセット穴(図示せず)に、セットピンハンドル412の先端部を挿脱可能に嵌合させることができるようになっている。
【0090】
角型シャフト456をシャフト嵌合部411に挿入して嵌合させ、この状態でセットピンハンドル412を操作して、角型シャフト456のセット穴にセットピンハンドル412の先端部を嵌合させることで、把持ユニット400のシャフト部410が角型シャフト456と着脱可能に連結される。
【0091】
シャフト部410の中間部の外周側に、ロープ係合部413が取り付けられる。ロープ係合部413は、L字フック状に形成され、保持ロープ59の先端を係脱可能に係合させることができるようになっている。なお、アースオーガ装置70のシャフト部73の外径は、把持ユニット400のシャフト部410の外径と設計的に同じであることが望ましい。モータ454の出力軸454a(角型シャフト456)に対するアースオーガ装置70のロープ係合部73aの相対位置は、モータ454の出力軸454a(角型シャフト456)に対する把持ユニット400のロープ係合部413の相対位置と設計的に同じであることが望ましい。
【0092】
把持装置430は、ベース部材431と、第1アーム部材436Lおよび第2アーム部材436Rと、ロッド部材441と、第1リンク部材446Lおよび第2リンク部材446Rとを有して構成される。把持装置430は、モータ454の作動によりシャフト部410を中心として回転するようになっている。
【0093】
ベース部材431は、開口部を有する箱状に形成され、シャフト部410の先端部に結合される。ベース部材431の両脇に、第1アーム部材取付部432Lおよび第2アーム部材取付部432Rが左右対称に設けられる。第1アーム部材取付部432Lには、第1アーム部材436Lが揺動可能に取り付けられる。第2アーム部材取付部432Rには、第2アーム部材436Rが揺動可能に取り付けられる。
【0094】
第1アーム部材436Lおよび第2アーム部材436Rは、先端側が屈曲した左右対称の棒状に形成される。第1アーム部材436Lおよび第2アーム部材436Rは、第1アーム部材436Lおよび第2アーム部材436Rの先端が互いに離れる拡開位置(
図16を参照)と、第1アーム部材436Lおよび第2アーム部材436Rの先端が互いに近づく閉止位置とに、ベース部材431の第1アーム部材取付部432Lおよび第2アーム部材取付部432Rに揺動可能に取り付けられる。把持装置430は、第1アーム部材436Lおよび第2アーム部材436Rを閉止位置に揺動させることにより、障害物BR(
図16および
図17において図示せず)を把持することができるように構成される。
【0095】
第1アーム部材436Lの中間部に、第1アーム側リンク部材連結部437Lが設けられる。第1アーム側リンク部材連結部437Lには、第1リンク部材446Lの先端部が連結される。第2アーム部材436Rの中間部に、第2アーム側リンク部材連結部437Rが設けられる。第2アーム側リンク部材連結部437Rには、第2リンク部材446Rの先端部が連結される。
【0096】
ロッド部材441は、ベース部材431の基端部からシャフト部410、角型シャフト456、ジョイント部材455、およびモータ454の出力軸454aの内部に挿通されて延びる棒状に形成される。ロッド部材441の先端側に、ロッド側リンク部材連結部442が設けられる。ロッド側リンク部材連結部442には、第1リンク部材446Lの基端部および第2リンク部材446Rの基端部が連結される。モータ454の出力軸454aから突出するロッド部材441の基端部に、開閉駆動部460の第1リンク部材462が着脱可能に連結される。
【0097】
第1リンク部材446Lおよび第2リンク部材446Rは、棒状に形成されて左右対称に配置される。第1リンク部材446Lの基端部および第2リンク部材446Rの基端部は共に、連結ピン(図示せず)を用いてロッド部材441のロッド側リンク部材連結部442と連結される。一方、第1リンク部材446Lの先端部は、連結ピン(図示せず)を用いて第1アーム部材436Lの第1アーム側リンク部材連結部437Lと連結され、第2リンク部材446Rの先端部は、連結ピン(図示せず)を用いて第2アーム部材436Rの第2アーム側リンク部材連結部437Rと連結される。これにより、ロッド部材441は、第1リンク部材446Lおよび第2リンク部材446Rを介して、第1アーム部材436Lおよび第2アーム部材436Rと連結され、シャフト部410の延伸方向に沿って往復移動可能に構成される。具体的には、ロッド部材441は、第1アーム部材436Lおよび第2アーム部材436Rが拡開位置に揺動すると、シャフト部410の先端部からの突出量が大きくなる拡開対応位置(
図16を参照)に移動し、第1アーム部材436Lおよび第2アーム部材436Rが閉止位置に揺動すると、シャフト部410の先端部からの突出量が小さくなる閉止対応位置に移動するようになっている。
【0098】
開閉駆動部460は、
図17に示すように、リンク機構461と、アクチュエータ466とを有して構成される。リンク機構461は、第1リンク部材462と、第2リンク部材463とを有して構成される。第1リンク部材462は、ロッド部材441の基端部にロッド部材441の中心軸回りに回転自在に連結される。第1リンク部材462の先端部は、連結ピン(図示せず)を用いて第2リンク部材463の一方の端部に連結される。第2リンク部材463は、棒状に形成され、基枠453に対して第2リンク部材463の中央部を中心に回転自在に取り付けられる。第2リンク部材463の一方の端部に第1リンク部材462の先端部が連結され、第2リンク部材463の他方の端部にアクチュエータ466のロッド467の先端部が連結される。
【0099】
アクチュエータ466は、ロッド467を進退させることが可能なシリンダ機構を用いて構成され、モータ454の外側に取り付けられる。アクチュエータ466は、アクセルワイヤー(図示せず)を介して操作席60のアクセルペダル(図示せず)と連結され、アクセルペダルの操作に応じてロッド467を進退させるようになっている。アクチュエータ466は、ロッド467を進退させることにより、リンク機構461を介してロッド部材441を前述の拡開対応位置と閉止対応位置とに往復移動させる。なお、ロッド467の先端部は、連結ピン(図示せず)を用いて第2リンク部材463の他方の端部に連結される。
【0100】
前述したように、例えば路上等にある障害物BR(
図16および
図17において図示せず)を移動させる作業を行う場合、モータ454の出力軸454aと連結された角型シャ
フト456に、把持ユニット400のシャフト部410を連結させる。このとき、角型シャフト456をシャフト部410のシャフト嵌合部411に挿入して嵌合させ、この状態でセットピンハンドル412を操作して、角型シャフト456のセット穴にセットピンハンドル412の先端部を嵌合させる。またこのとき、角型シャフト456、ジョイント部材455、およびモータ454の出力軸454aの内部に、把持装置430のロッド部材441を挿通させ、ロッド部材441の基端部に、リンク機構461の第1リンク部材462を連結させる。これにより、把持ユニット400のシャフト部410が角型シャフト456と着脱可能に連結される。なお、角型シャフト456に把持ユニット400のシャフト部410を連結させる作業は、障害物BRがある作業現場で行うことが可能であり、作業現場に向かう前に行うことも可能である。
【0101】
第3実施形態に係る把持ユニット400を用いて障害物BR(
図16および
図17において図示せず)を移動させる際、支持枠51を先端ブーム30cの先端部に連結させて、把持ユニット400のシャフト部410を前述の作業位置に変位させ、把持装置430が下方を向く状態にする。なおこのとき、アクチュエータ466のロッド467を進行させ、把持装置430のロッド部材441を拡開対応位置に移動させるとともに、把持装置430の第1アーム部材436Lおよび第2アーム部材436Rを拡開位置に揺動させておく。
【0102】
次に、ブーム30(旋回台20)を旋回動させたり、ブーム30を起伏動または伸縮動させたり、モータ454の作動により把持装置430を回転させたりすることで、把持装置430を障害物BRの上方近傍に移動させる。次に、アクチュエータ466のロッド467を退行させ、把持装置430のロッド部材441を閉止対応位置に移動させるとともに、把持装置430の第1アーム部材436Lおよび第2アーム部材436Rを閉止位置に揺動させる。このようにして、把持装置430は、第1アーム部材436Lおよび第2アーム部材436Rを閉止位置に揺動させることにより、障害物BRを把持する。
【0103】
次に、把持装置430が障害物BRを把持する状態で、ブーム30(旋回台20)を旋回動させたり、ブーム30を起伏動または伸縮動させたり、モータ454の作動により把持装置430を回転させたりすることで、障害物BRを移動させる。次に、アクチュエータ466のロッド467を進行させ、把持装置430のロッド部材441を拡開対応位置に移動させるとともに、把持装置430の第1アーム部材436Lおよび第2アーム部材436Rを拡開位置に揺動させる。第1アーム部材436Lおよび第2アーム部材436Rが拡開位置に揺動すると障害物BRから離れるため、把持装置430に把持されていた障害物BRは、把持装置430から離脱して地面等に載置される。このようにして、障害物BRを容易に移動させることができ、障害物BRを移動させる作業を効率的に行うことが可能になる。
【0104】
障害物BRを移動させる作業が終了した後、把持ユニット400(把持装置430)をブーム30の側面に沿った位置に格納することが可能である。把持ユニット400を格納する際、ブーム30を縮小動させ、把持ユニット400のシャフト部410のロープ係合部413に、保持ロープ59の先端を係合させる。なおこのとき、アクチュエータ466のロッド467を退行させ、把持装置430の第1アーム部材436Lおよび第2アーム部材436Rを閉止位置に揺動させておくようにしてもよい。そして、保持ロープ59の先端をロープ係合部413に係合させた状態で、モータ454の作動により把持装置430を回転させる。このとき、把持ユニット400のシャフト部410は、回転しながら保持ロープ59を巻き取ることにより、前述の作業位置から格納位置まで変位し、保持装置58により格納位置で固定保持される。これにより、把持装置430を容易にブーム30の側面に沿った位置に格納することができる。
【0105】
なお、把持ユニット400のシャフト部410が格納位置で固定保持される状態で、モータ454の作動により把持装置430を逆方向に回転させると、シャフト部410は、回転しながら保持ロープ59を繰り出すことにより、格納位置から作業位置まで変位する。そのため、シャフト部410のロープ係合部413から保持ロープ59の先端を離脱させることにより、再び障害物BRを移動させる作業を行うことが可能になる。
【0106】
また、第1実施形態の場合と同様に、障害物BRを移動させる作業に加え、アースオーガ装置70(アースオーガ71)を用いて地面を掘削する作業を行うことも可能である。また、第1実施形態の場合と同様に、地面を掘削する作業が終了した後、アースオーガ装置70(アースオーガ71)をブーム30の側面に沿った位置に格納することが可能である。
【0107】
なお、地面を掘削する作業を行う場合、モータ454の出力軸454aと連結された角型シャフト456に、把持ユニット400のシャフト部410と交換してアースオーガ装置70のシャフト部73を連結させる。このときまず、把持ユニット400のセットピンハンドル412を操作して、角型シャフト456のセット穴からセットピンハンドル412の先端部を抜去し、角型シャフト456を把持ユニット400のシャフト嵌合部411から抜去する。またこのとき、ロッド部材441の基端部からリンク機構461の第1リンク部材462を分離させて、角型シャフト456、ジョイント部材455、およびモータ454の出力軸454aの内部から、把持装置430のロッド部材441を抜去する。そして、角型シャフト456をアースオーガ装置70のシャフト嵌合部75に挿入して嵌合させ、この状態でアースオーガ装置70のセットピンハンドル76を操作して、角型シャフト456のセット穴にセットピンハンドル76の先端部を嵌合させる。これにより、アースオーガ装置70のシャフト部73が角型シャフト456と着脱可能に連結される。なお、把持ユニット400のシャフト部410に代えて角型シャフト456にアースオーガ装置70のシャフト部73を連結させる作業は、作業現場で行うことが可能である。
【0108】
以上で説明したように、第3実施形態によれば、把持装置430は、モータ454の作動によりシャフト部410を中心として回転可能であるため、把持装置430により例えば倒木等の障害物BR(
図16および
図17において図示せず)を把持した状態で、ブーム30を少なくとも起伏動させたり、モータ454の作動により把持装置430を回転させたりすることで、障害物BRを容易に移動させることができる。これにより、障害物BRを移動させる作業を効率的に行うことが可能になる。また、第1実施形態の場合と同様に、把持装置430により障害物BRを移動させる作業だけでなく、アースオーガ71により地面を掘削する作業を行うことが可能になる。
【0109】
また、保持ロープ59の先端(他端側)をロープ係合部に係合させた状態で、把持ユニット400のシャフト部410(およびアースオーガ装置70のシャフト部73)は、モータ454の作動により保持ロープ59を巻き取って、モータ454の出力軸454aとともに下方を向く作業位置から、モータ454の出力軸454aとともにブーム30の側面に沿った方向を向く格納位置まで変位するように構成されることが好ましい。これにより、把持装置430(およびアースオーガ71)を容易にブーム30の側面に沿った位置に格納することができる。
【0110】
上述の各実施形態において、把持装置130,330,430を用いて障害物BRを移動させる作業に加え、アースオーガ71を用いて地面を掘削する作業を行うことも可能であるが、これに限られるものではない。例えば、アースオーガ71を備えずに、把持装置130,330,430を用いて障害物BRを移動させる作業のみを行うことができるように構成されてもよい。
【0111】
上述の各実施形態において、角型シャフト56,456に、把持ユニット100,300,400のシャフト部110,310,410と、アースオーガ装置70のシャフト部73とを交換して連結させることで、シャフト部に結合される把持装置130,330,430とアースオーガ71とを交換できるように構成されているが、これに限られるものではない。例えば、角型シャフトと連結された共通のシャフト部に、把持装置とアースオーガとを交換して結合させることができるように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0112】
1 作業車
2 車体
30 ブーム
54 モータ(54a 出力軸)
100 把持ユニット(第1実施形態)
110 シャフト部(110a 基端部)
113 ロープ係合部
120 操作部
130 把持装置
150 ラチェット機構部
250 ラチェット機構部(変形例)
300 把持ユニット(第2実施形態)
310 シャフト部(310a 基端部)
313 ロープ係合部
320 操作部
330 把持装置
350 開閉駆動部
400 把持ユニット(第3実施形態)
410 シャフト部(410a 基端部)
413 ロープ係合部
430 把持装置
454 モータ(454a 出力軸)
460 開閉駆動部