IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 徳大機械股▲ふん▼有限公司の特許一覧

特開2022-174681ツールマガジンにおけるツールホルダ保持装置
<>
  • 特開-ツールマガジンにおけるツールホルダ保持装置 図1
  • 特開-ツールマガジンにおけるツールホルダ保持装置 図2
  • 特開-ツールマガジンにおけるツールホルダ保持装置 図3
  • 特開-ツールマガジンにおけるツールホルダ保持装置 図4
  • 特開-ツールマガジンにおけるツールホルダ保持装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174681
(43)【公開日】2022-11-24
(54)【発明の名称】ツールマガジンにおけるツールホルダ保持装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/157 20060101AFI20221116BHJP
【FI】
B23Q3/157 E
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080652
(22)【出願日】2021-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】520493131
【氏名又は名称】徳大機械股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】黄耀徳
【テーマコード(参考)】
3C002
【Fターム(参考)】
3C002AA06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】位置決め部材を解除しやすく、ツールホルダの挿設及び位置決め又は抜き出しが容易なツールマガジンにおけるツールホルダ保持装置を提供する。
【解決手段】本体10、弾性部材20、位置決め部材30及びストッパ40を含むツールマガジンにおけるツールホルダ保持装置を提供する。当該本体には、収容空間11と連通する収容孔12が形成されている。当該弾性部材と当該位置決め部材は収容孔内に収容されており、位置決め部材を部分的に収容空間に露出させてツールホルダ60を係止する。当該ストッパは、収容空間におけるツールホルダを収容する側とは反対の一端に設置される。ストッパは、ツールホルダの方向に選択的に移動することで、位置決め部材を収容孔内に押し込むことが可能である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツールマガジンにおけるツールホルダ保持装置であって、ツールマガジンに設置されてツールホルダを収容及び位置決めし、前記ツールホルダの対向する両端には、切削工具収容部と位置決め部がそれぞれ備わっており、前記位置決め部は柄部及び大径部を含み、前記大径部は、前記柄部における前記切削工具収容部から遠い側の一端に位置し、且つ前記大径部の外径は前記柄部の外径よりも大きく、
前記ツールマガジンにおけるツールホルダ保持装置は、
軸方向を定義し、且つ前記軸方向に沿って収容空間が開設されている本体であって、前記収容空間の内壁から径方向に外側へ向かって少なくとも1つの収容孔が形成されており、前記少なくとも1つの収容孔は前記収容空間と連通しており、前記本体の収容空間の前記軸方向において対向する両端はそれぞれ第1端及び第2端と定義され、前記少なくとも1つの収容孔は前記第1端と前記第2端の間に位置しており、前記収容空間の第1端に前記ツールホルダが位置決め部において挿入される本体と、
前記少なくとも1つの収容孔に収容される少なくとも1つの弾性部材及び少なくとも1つの位置決め部材であって、前記少なくとも1つの弾性部材の一端は前記少なくとも1つの位置決め部材に弾性的に当接して、前記少なくとも1つの位置決め部材を前記収容空間に向かって押動し、前記少なくとも1つの位置決め部材は、前記少なくとも1つの弾性部材からの弾性力を受けて、常態下では一部が前記収容空間内に位置する少なくとも1つの弾性部材及び少なくとも1つの位置決め部材と、
前記収容空間内に設けられて、前記軸方向に沿って位置決め位置と解除位置の間で摺動可能であり、前記ツールホルダの位置決め部と当接するストッパであって、前記ストッパが前記位置決め位置にある場合、前記ストッパは前記少なくとも1つの収容孔と前記第2端の間に位置し、前記少なくとも1つの位置決め部材が、部分的に前記収容空間内に位置することで、前記第1端方向に向かって前記ツールホルダの大径部が抜け出さないよう防止し、前記ストッパが前記解除位置にある場合、前記ストッパは径方向において前記少なくとも1つの収容孔と少なくとも部分的に重なり合うことで、前記少なくとも1つの位置決め部材を前記少なくとも1つの弾性部材に向かって押し付けるストッパと、
前記ストッパを前記位置決め位置から前記解除位置に移動させるよう駆動する移動手段、を含むツールホルダ保持装置。
【請求項2】
前記収容空間は大径区間と小径区間を含み、前記大径区間は前記第1端寄りであり、前記小径区間は前記第2端寄りであり、前記少なくとも1つの収容孔は前記小径区間と連通しており、前記位置決め位置も前記小径区間内に位置している請求項1に記載のツールマガジンにおけるツールホルダ保持装置。
【請求項3】
前記大径区間と前記小径区間の間にはテーパー区間が更に接続されており、前記テーパー区間の内径は、前記大径区間寄りの一端から前記小径区間寄りの一端に向かって徐々に縮小している請求項2に記載のツールマガジンにおけるツールホルダ保持装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの位置決め部材が前記少なくとも1つの収容孔から完全に抜け出すとの事態を回避するよう、前記少なくとも1つの収容孔における前記収容空間寄りの一端の内径は徐々に縮小している請求項1に記載のツールマガジンにおけるツールホルダ保持装置。
【請求項5】
前記位置決め部材はボールであり、前記弾性部材はバネである請求項1に記載のツールマガジンにおけるツールホルダ保持装置。
【請求項6】
前記ストッパにおける前記第1端と面する側の一端の周縁を突出させることでフランジを形成しており、前記フランジの径方向の幅を自由端に向かって徐々に縮小させることで、前記フランジの内表面に外側に広がる錐面を形成している請求項1に記載のツールマガジンにおけるツールホルダ保持装置。
【請求項7】
前記移動手段は、エアシリンダ又は油圧シリンダであって、前記本体の第2端の外側に設置されており、前記ストッパにおける前記第2端に面する一端に選択的に当接する請求項1に記載のツールマガジンにおけるツールホルダ保持装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの収容孔は少なくとも4つの収容孔であり、これらの収容孔は互いに間隔を置いて設置され、前記少なくとも1つの弾性部材及び前記少なくとも1つの位置決め部材は少なくとも4つの前記弾性部材及び少なくとも4つの前記位置決め部材を含む請求項1に記載のツールマガジンにおけるツールホルダ保持装置。
【請求項9】
前記ストッパの外周壁には少なくとも1つの位置決め凹部が凹設されており、前記少なくとも1つの位置決め凹部は前記少なくとも1つの位置決め部材に対応しており、前記ストッパが前記解除位置にある場合、前記少なくとも1つの位置決め部材は、前記少なくとも1つの位置決め凹部に部分的に嵌め込まれて当接する請求項1に記載のツールマガジンにおけるツールホルダ保持装置。
【請求項10】
前記ストッパが前記収容空間の第2端から軸方向に抜け出すとの事態を防止するよう、前記小径区間における前記大径区間から遠い側の一端の内径を内側に収縮させることで遮断部を形成している請求項2に記載のツールマガジンにおけるツールホルダ保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ツールマガジンにおけるツールホルダ保持装置に関し、特に、ツールホルダを手動で抜き差ししやすいツールマガジンにおけるツールホルダ保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ツールマガジンは複数のツールホルダ又はツーリングを収納するためのものであり、ツールホルダ又はツーリングはそれぞれ切削工具を挿設するために用いられる。加工機は、ツールマガジンから必要なツールホルダを取り出して加工箇所まで移動させ、切削工具で加工を行う。
【0003】
切削工具をしっかりと担持し、且つ加工時の力を受け止るために、通常、ツールホルダは非常に堅固な材料で製造されており、かなりの重量を有する。よって、ツールマガジンに収納する際には、ツールホルダが緩んで落下しないよう、十分な力を有する位置決め手段で位置決めせねばならない。
【0004】
最も一般的な位置決め手段は、ツールスリーブの側壁に収容孔を設け、収容孔内に弾性部材と位置決めスチールボールを設置するものである。そして、位置決めスチールボールをツールホルダのボールヘッドの後端位置に当止することで、ツールホルダの外部への移動を回避する。しかし、ツールホルダは非常に重いため、弾性部材がかなり大きな弾性力を有していなければ、ツールホルダが極めて容易に弾性部材の弾性力に抗して抜け出すとの事態は回避できない。また、このことから、ツールホルダを取り出したい場合や差し込みたい場合には、機械的に大きな動力を加えてツールホルダを押動しなければ、弾性部材の弾性力に抗して位置決めスチールボールを内側に押し込むことはできない。
【0005】
特許文献1は、類似の構造を開示している。当該構造では、弾性部材を水平に設置することでスライドスリーブを弾性的に設置している。スライドスリーブにはスチールボールを没入させる空間が設けられている。弾性部材の弾性力を利用して、スチールボールを没入させる空間をスチールボールとずらすことで、スチールボールはツールホルダに向かって突出を維持する。一方、ツールホルダを取り出したい場合、或いはツールホルダをツールスリーブに差し込みたい場合には、スライドスリーブ外側のフックを利用して弾性部材の弾性力に抗し、スチールボールを没入させる空間をスチールボールまで移動させる。すると、スチールボールが没入し、ツールホルダを自由に抜き差しできるようになる。
【0006】
しかし、上記の構造でも同様に、重量が非常に重いツールホルダを適切に位置決めするためには、弾性部材として弾性力の極めて大きなものを選択せねばならない。このことから、やはり大きな動力をフックに接続する必要があり、手動で操作することはできない。また、部材の構造が極めて複雑となり、コストが増大するだけでなく、故障の確率も上昇する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】台湾実用新案第M606496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的の1つは、位置決め部材を解除しやすく、ツールホルダの挿設及び位置決め又は抜き出しが容易なツールマガジンにおけるツールホルダ保持装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、ツールマガジンに設置されてツールホルダを収容及び位置決めするためのツールマガジンにおけるツールホルダ保持装置を提供する。当該ツールホルダの対向する両端には、切削工具収容部と位置決め部がそれぞれ備わっている。当該位置決め部は柄部及び大径部を含む。当該大径部は、当該柄部における当該切削工具収容部から遠い側の一端に位置する。且つ当該大径部の外径は当該柄部の外径よりも大きい。また、当該ツールマガジンにおけるツールホルダ保持装置は、本体、少なくとも1つの弾性部材、少なくとも1つの位置決め部材、ストッパ及び移動手段を含む。
【0010】
当該本体は、軸方向を定義し、且つ当該軸方向に沿って収容空間が開設されている。当該本体には、当該収容空間の内壁から径方向に外側へ向かって少なくとも1つの収容孔が形成されている。当該少なくとも1つの収容孔は当該収容空間と連通している。当該本体の収容空間の当該軸方向において対向する両端を、それぞれ第1端及び第2端と定義する。当該少なくとも1つの収容孔は、当該第1端と当該第2端の間に位置している。当該収容空間の第1端には、当該ツールホルダが位置決め部において挿入される。当該少なくとも1つの弾性部材と少なくとも1つの位置決め部材は、当該少なくとも1つの収容孔に収容される。当該少なくとも1つの弾性部材の一端は当該少なくとも1つの位置決め部材に弾性的に当接して、当該少なくとも1つの位置決め部材を当該収容空間に向かって押動する。当該少なくとも1つの位置決め部材は、当該少なくとも1つの弾性部材からの弾性力を受けて、常態下では一部が当該収容空間内に位置している。当該ストッパは、当該収容空間内に設けられて、当該軸方向に沿って位置決め位置と解除位置の間で摺動可能である。当該ストッパは、当該ツールホルダの位置決め部と当接する。当該ストッパが当該位置決め位置にある場合、当該ストッパは当該少なくとも1つの収容孔と当該第2端の間に位置する。また、当該少なくとも1つの位置決め部材が、部分的に当該収容空間内に位置することで、当該第1端方向に向かって当該ツールホルダの大径部が抜け出さないよう防止する。当該ストッパが当該解除位置にある場合、当該ストッパは径方向において当該少なくとも1つの収容孔と少なくとも部分的に重なり合うことで、当該少なくとも1つの位置決め部材を当該少なくとも1つの弾性部材に向かって押し付ける。当該移動手段は、当該ストッパを当該位置決め位置から当該解除位置に移動させるよう駆動するために用いられる。
【発明の効果】
【0011】
このように、本発明では、ストッパを利用して位置決め部材を収容孔内に押し込むことで、ツールホルダを位置決め部材の拘束から解除して抜き出せるようにする。このとき、ストッパは位置決め部材部分に停止する。また、ツールホルダを再び挿設したい場合には、ツールホルダを直接利用してストッパを押動すれば、位置決め部材によってツールホルダを再び係止できる。切削工具の解除、位置決めの過程では、ストッパがツールホルダに代わって位置決め部材を退避させるため、切削工具の抜き差しがいっそう容易となり、省力化される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の斜視図である。
図2図2は、本発明の分解斜視図である。
図3図3は、本発明の断面図であり、Aは一部の拡大図である。
図4図4は、本発明の使用時を示す図である。
図5図5は、本発明の使用時を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1図5及び図3Aを参照する。本発明は、ツールマガジンに設置されてツールホルダ60を収容及び位置決めするためのツールマガジンにおけるツールホルダ保持装置を提供する。当該ツールホルダ60の対向する両端には、切削工具収容部61と位置決め部62がそれぞれ備わっている。当該切削工具収容部61には切削工具が収容される。当該位置決め部62は柄部621と大径部622を含む。当該大径部622は、当該柄部621における当該切削工具収容部61から遠い側の一端に位置している。且つ、当該大径部622は、外径が当該柄部621の外径よりも大きく、ボールヘッド状をなしている。また、当該ツールマガジンにおけるツールホルダ保持装置は、本体10、少なくとも1つの弾性部材20、少なくとも1つの位置決め部材30、ストッパ40及び移動手段を含む。
【0014】
当該本体10は、軸方向を定義し、且つ当該軸方向に沿って収容空間11が開設されている。当該本体10には、当該収容空間11の内壁から径方向に外側へ向かって少なくとも1つの収容孔12が形成されている。当該少なくとも1つの収容孔12は当該収容空間11と連通している。当該本体10の収容空間11の当該軸方向において対向する両端を、それぞれ第1端及び第2端と定義する。当該少なくとも1つの収容孔12は、当該第1端と当該第2端の間に位置している。当該収容空間11の第1端には、当該ツールホルダ60が位置決め部62において挿入される。具体的には、当該収容空間11は大径区間111と小径区間112を含む。当該大径区間111は当該第1端寄りであり、当該小径区間112は当該第2端寄りである。当該少なくとも1つの収容孔12は当該小径区間112と連通している。また、当該大径区間111と当該小径区間112の間にはテーパー区間113が更に接続されている。当該テーパー区間113の内径は、当該大径区間111寄りの一端から当該小径区間112寄りの一端に向かって徐々に縮小している。当該大径区間111、当該小径区間112及び当該テーパー区間113の長さと内径は、収容するツールホルダの規格に応じて設定すればよい。
【0015】
当該少なくとも1つの弾性部材20と少なくとも1つの位置決め部材30は、当該少なくとも1つの収容孔12に収容される。当該少なくとも1つの弾性部材20の一端は当該少なくとも1つの位置決め部材30に弾性的に当接して、当該少なくとも1つの位置決め部材30を当該収容空間11に向かって押動する。当該少なくとも1つの位置決め部材30は、当該少なくとも1つの弾性部材20からの弾性力を受けて、常態下では一部が当該収容空間11内に位置している。例えば、当該少なくとも1つの弾性部材20をバネとし、当該少なくとも1つの位置決め部材30をボールとすればよい。ただし、これに限らない。また、好ましくは、当該少なくとも1つの収容孔12における当該収容空間11寄りの一端の内径は徐々に縮小している。これにより、当該少なくとも1つの位置決め部材30が当該少なくとも1つの収容孔12から完全に抜け出すとの事態が回避される。且つ、加工の便宜上、当該本体の収容空間内には更に嵌合リングを嵌設してもよい。当該少なくとも1つの収容孔部分は当該本体に形成されており、一部が当該嵌合リングを貫通する。且つ、当該少なくとも1つの収容孔の内径のうち徐々に縮小する側の一端が当該嵌合リングに位置する。
【0016】
当該ストッパ40は、当該収容空間11内に設けられて、当該軸方向に沿って位置決め位置と解除位置の間で摺動可能である。当該ストッパ40は、当該ツールホルダ60の位置決め部62と当接する。当該ストッパ40が当該位置決め位置にある場合、当該ストッパ40は当該少なくとも1つの収容孔12と当該第2端の間に位置する(即ち、当該小径区間112内に位置する)。また、当該少なくとも1つの位置決め部材30が、部分的に当該収容空間11内に位置することで、当該第1端方向に向かって当該ツールホルダ60の大径部622が抜け出さないよう防止する。反対に、当該ストッパ40が当該解除位置にある場合、当該ストッパ40は径方向において当該少なくとも1つの収容孔12と少なくとも部分的に重なり合うことで、当該少なくとも1つの位置決め部材30を当該少なくとも1つの弾性部材20に向かって押し付ける。このとき、当該ストッパ40は、当該弾性部材20からの弾性力を受けて当該位置決め部材30により径方向に位置決めされるため、当該軸方向における自由な移動は困難となる。好ましくは、当該ストッパ40の外周壁には少なくとも1つの位置決め凹部42が凹設されている。当該少なくとも1つの位置決め凹部42は、当該少なくとも1つの位置決め部材30に対応している。当該ストッパ40が当該解除位置にある場合、当該少なくとも1つの位置決め部材30は、当該少なくとも1つの位置決め凹部42に部分的に嵌め込まれて当接する。これにより、当該ストッパ40がほぼ位置決めされるため、ストッパ40が位置決め部材30の位置に正対していないときに、ストッパ40が弾性部材20から強い弾性力を受けて位置ずれし、位置決め部材30を押し開ける効果が失われるとの事態が回避される。このほか、本実施例では、当該収容空間11の小径区間112における大径区間111から遠い側の一端の内径が内側に収縮することで遮断部1121が形成されている。これにより、当該ストッパ40が当該収容空間11の第2端から軸方向に抜け出すとの事態が防止される。また、当該移動手段は、当該ストッパ40を当該位置決め位置から当該解除位置に移動させるよう駆動するために用いられる。例えば、当該移動手段はエアシリンダ50又は油圧シリンダであり、当該本体10の第2端の外側に設置されている。当該移動手段は、当該ストッパ40における当該第2端に面する端面に選択的に当接することで、当該ストッパ40を当該解除位置へと押し込む。当該ストッパ40が当該解除位置にある場合、当該エアシリンダ50は後方へ収縮することが可能である。よって、次の切削工具の挿入動作時に、当該ストッパ40は当該ツールホルダ60からの押動力を受けて後方へ押され、当該位置決め位置に復帰する。
【0017】
本実施例において、当該少なくとも1つの収容孔12は少なくとも4つの当該収容孔12を含む。これらの収容孔12は互いに間隔を置いて設置される。また、当該少なくとも1つの弾性部材20と当該少なくとも1つの位置決め部材30は、少なくとも4つの当該弾性部材20と少なくとも4つの当該位置決め部材30を含む。これにより、当該ツールホルダ60の位置決め効果が強化される。また、均一に分布させた位置決め部材30と弾性部材20によって、ツールホルダ60にかかる力のムラが回避される。ただし、当該収容孔、当該弾性部材及び当該位置決め部材の数は必要に応じて調整すればよい。
【0018】
このほか、当該ツールホルダ60における大径部622の大部分は、末端がやや収縮したボールヘッド状構造を有している。そこで、この構造と連携するため、及び位置決め部材30の押し開けに有利となるよう、本実施例では、当該ストッパ40における当該第1端と面する側の一端の周縁を突出させることでフランジ41を形成している。当該フランジ41の径方向の幅は、自由端に向かって徐々に縮小している。これにより、当該フランジ41の内表面には外側に広がる錐面が形成されており、当該ツールホルダ60の大径部622の外表面と係合する。よって、当該フランジ41は、当該ツールホルダ60の大径部622と当該収容空間11の内壁との間に同一形状をなして挿設されるため、位置決め部材30の押し開けにいっそう有利となり、引っ掛かりが回避される。
【0019】
実際に使用する際には、図4及び図5を参照して、当該ツールホルダ60がこれらの位置決め部材30によって位置決めされる場合、当該ストッパ40は当該位置決め位置に配置されて当該小径区間112に位置する。当該エアシリンダ50が当該ストッパ40を当該ツールホルダ60の大径部622に向かって押し込むと、当該ストッパ40は、当該大径部622がこれらの位置決め部材30を押し開けたあと、当該大径部622に代わって位置決め部材30を引き続き収容孔112内に押し込むことができる。続いて、ツールホルダ60を当該収容空間11内に再び挿設して位置決めしたい場合には、大径部622が当該ストッパ40に当接して、当該ストッパ40を当該第2端に向かって押し込むことができる。ストッパ40が位置決め部材30から離れる際には、当該大径部622も当該位置決め部材30の近傍を通過しているため、更に押し込むことで、位置決め部材30を柄部621に当止させることができる。これにより、大径部622は、径方向において弾性部材20の弾性力に抗して位置決め部材30を押し開けなくても、円滑に挿設されるとともに位置決めされる。よって、非常に便利である。
【0020】
このように、本発明のツールマガジンにおけるツールホルダ保持装置は、ストッパで補助しながら弾性部材の弾性力に抗するため、ツールホルダの抜き差しに有利である。よって、使用者は、手動又は小動力の手段によりストッパを押動することで切削工具の挿入操作を完了させられる。切削工具の挿入操作を容易に完了させることは、業界関係者が切望するところである。ただし、以上の実施例は本発明の技術内容を説明及び詳述したものにすぎず、本件の権利範囲は後述の特許請求の範囲に準じるものとする。
【符号の説明】
【0021】
10 本体
11 収容空間
111 大径区間
112 小径区間
1121 遮断部
113 テーパー区間
12 収容孔
20 弾性部材
30 位置決め部材
40 ストッパ
41 フランジ
42 位置決め凹部
50 エアシリンダ
60 ツールホルダ
61 切削工具収容部
62 位置決め部
621 柄部
622 大径部
図1
図2
図3
図4
図5