(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174682
(43)【公開日】2022-11-24
(54)【発明の名称】梱包箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/54 20060101AFI20221116BHJP
B65D 5/02 20060101ALI20221116BHJP
B65D 5/468 20060101ALI20221116BHJP
B65D 85/64 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
B65D5/54 311C
B65D5/02 K
B65D5/468 100
B65D85/64 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080675
(22)【出願日】2021-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 団
(72)【発明者】
【氏名】白石 成輝
【テーマコード(参考)】
3E037
3E060
【Fターム(参考)】
3E037AA20
3E037BA02
3E037BB08
3E037BB14
3E037CA07
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA03
3E060BC02
3E060CA01
3E060CA12
3E060CA13
3E060CA23
3E060CE04
3E060CE07
3E060CE15
3E060CE18
3E060CE22
3E060CF05
3E060DA17
3E060EA07
3E060EA16
(57)【要約】
【課題】大便器等の大型陶器を側面から取り出しやすくし、作業性を向上させることができる梱包箱を提供する。
【解決手段】梱包箱であって、2組の対向した側壁と、側壁の下方を塞ぐ底壁と、一方の対向した側壁の上方に連接された一対の内フラップと、他方の対向した側壁の上方に連接された一対の外フラップと、を備え、他方において、外フラップ、側壁を水平方向で2分するように、外フラップ、及び側壁に亘って、第1破断線が形成され、他方の側壁と底壁とが分離可能なように、第1破断線から、一方の側壁に向かう方向に第2破断線が形成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
段ボールによって構成された直方体状の梱包箱であって、
2組の対向した側壁と、
前記側壁の下方を塞ぐ底壁と、
一方の対向した前記側壁の上方に連接された一対の内フラップと、
他方の対向した前記側壁の上方に連接された一対の外フラップと、
を備え、
前記他方において、前記外フラップ、前記側壁を水平方向で2分するように、
前記外フラップ、及び前記側壁に亘って、第1破断線が形成され、
前記他方の前記側壁と前記底壁とが分離可能なように、前記第1破断線から、前記一方の前記側壁に向かう方向に第2破断線が形成されている梱包箱。
【請求項2】
前記外フラップと、前記側壁との間には、傾斜した面取り部が形成され、前記外フラップ、前記面取り部、及び前記側壁を水平方向で2分するように、前記第1破断線が形成されている梱包箱。
【請求項3】
前記第2破断線は、前記底壁に形成されている梱包箱。
【請求項4】
前記外フラップには、前記第1破断線を挟むよう、2箇所の手掛け穴が形成されている梱包箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被梱包物の搬送や、保管を行なう際の梱包資材として使用される梱包箱に関し、特に、大型陶器などを梱包する梱包箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大便器などの大型陶器が収容され、底壁、天壁、及び側壁からなる矩形状の段ボールから構成された梱包箱が知られている(特許文献1)。このような大型陶器は、重量が大きいため、作業者が天壁の開放部まで引き上げる負荷が大きく、梱包箱から取り出す開梱作業が容易ではい。
【0003】
これに対して、特許文献1では、上面部と側面部からなる蓋体を着脱可能とすることで、作業者が便器を持ち上げることなく、大便器を取り出しやすくすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
大便器等の大型陶器の開梱作業は、複数の梱包箱が積上げられた状態において行われることがあり、その場合、陶器本体を梱包箱から取り出す場合には、陶器本体を高く持ち上げて、梱包箱から取り出すという作業が必要であった。
【0006】
これに対して、特許文献1のように側壁を開放し、開放された側壁側から取り出すことで、大型陶器を高く持ち上げて取り出す必要がなくなるという利点がある。しかし、特許文献1においては、蓋体を取り除いた場合でも、側面の一部が作業範囲に残るため、作業性の点で改良の余地があった。
【0007】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、大便器等の大型陶器を側面から取り出しやすくし、作業性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る梱包箱は、段ボールによって構成された直方体状の梱包箱であって、2組の対向した側壁と、側壁の下方を塞ぐ底壁と、一方の対向した側壁の上方に連接された一対の内フラップと、他方の対向した側壁の上方に連接された一対の外フラップと、を備え、他方において、外フラップ、側壁を水平方向で2分するように、外フラップ、及び側壁に亘って、第1破断線が形成され、他方の側壁と底壁とが分離可能なように、第1破断線から、一方の側壁に向かう方向に第2破断線が形成されている。
【0009】
この構成によれば、梱包箱の側壁を水平方向に観音開き状に開放することが可能であり、例えば、内部に大型陶器等が収容されて、スライドしながら取り出す場合に、梱包箱の一部が作業を阻害することを抑制することができる。また、外フラップ及び側壁に破断面が形成されているため、作業者の破断作業が容易となる。
【0010】
本発明の一態様に係る梱包箱は、外フラップと、側壁との間には、傾斜した面取り部が形成され、外フラップ、面取り部、及び側壁を水平方向で2分するように、第1破断線が形成されている。
【0011】
この構成によれば、外フラップ、及び側壁に亘って、破断作業が容易となる。通常、大型陶器等が収容された段ボールは、積載管理されるが、この場合、外フラップと、側壁の連接箇所は、内外の大型陶器に挟まれ、変形しやすく、この変形が破断方向を阻害してしまう可能性がある。しかし、本発明によれば、面取り部が形成されているため、この変形を抑制しつつ、変形により生じる破断方向の阻害を抑制し、破断作業を容易とすることができる。
【0012】
本発明の一態様に係る梱包箱は、第2破断線は、底壁に形成されている。
【0013】
この構成によれば、他方側の側壁が開放面に残ることを抑制し、大型陶器をスライドさせながら、大便器等の大型陶器を側面から取り出しやすくし、作業性を向上させることができる。
【0014】
本発明の一態様に係る梱包箱は、外フラップには、第1破断線を挟むよう、2箇所の手掛け穴が形成されている。
【0015】
この構成によれば、第1破断線を挟んで、手掛け穴を設けているため、観音開き状に段ボールが開く方向に力を掛けやすく、破断作業を容易とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、大便器等の大型陶器を側面から取り出しやすくし、作業性を向上させることができる梱包箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る梱包箱の梱包状態を示す上方斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る梱包箱の観音開き状態を示す上方斜視図である。
【
図3】積載状態における、大型陶器の梱包状態を示した上面斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に対する比較例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0019】
<梱包箱の構成>
まず、
図1~4を参照して、本発明の実施形態に係る梱包箱について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る梱包箱の梱包状態を示す上方斜視図である。
図2は、本発明の一実施形態に係る梱包箱の観音開き状態を示す上方斜視図である。
図3は、積載状態における、大型陶器の梱包状態を示した上面斜視図である。
図4は、本発明の一実施形態に対する比較例を示す斜視図である。
【0020】
図1乃至
図3に示すように、本発明の一実施形態に係る梱包箱1は、板材である1枚の段ボールを組み立てることで直方体状に構成されるものであり、2組の対向した側壁3と、側壁3の下方を塞ぐ底壁7と、側壁3の一方の対向した側壁3aの上方に連設された一対の内フラップ4と、他方の対向した側壁3bの上方に連設された一対の外フラップ5と、を備えている。
【0021】
内フラップ4は短辺を構成する対向した側壁3aの上方に連設されており、外フラップ5は長辺を構成する対向した側壁3bの上方に連設されている。内側に向けて折り曲げられた内フラップ4の上方において外フラップ5が内側に向けて折り曲げられることで、側壁3により形成された開口が塞がれる。
【0022】
なお、本明細書においては、他方の対向した側壁3bの対向する方向をx方向、上下方向をy方向、一方の対向した側壁3aの対向する方向をz方向とし、以下明細書中では、x方向とz方向を「水平方向」と呼ぶこともある。
【0023】
側壁3の上端には、折り曲げ線(図示せず)によって斜めに形成された、面取り部9が全周に接続されており、面取り部9は、内フラップ4及び外フラップ5の下端と、接続されるように構成されており、全周において、側壁3の上端と、内フラップ4及び外フラップ5の下端との間に形成されている。
【0024】
本実施形態においては、側壁3の上端には、傾斜した面取り部9が形成されているため、複数の梱包箱が積上げられた状態(段積み状態)において、積上荷重が作用しても、面取り部によって、側壁3と、内フラップ4又は外フラップ5の角部が変形することを抑制する。
【0025】
陶器で構成される便器本体21は、製造時の寸法差が発生しやすく、梱包箱1内に隙間が発生する可能性があり、これが角部の変形に繋がってしまう。しかし、本実施形態においては、面取り部9が形成されているため、面取り部9の傾斜角度の変化により、梱包箱1が陶器本体21にフィットした形状となる。これにより、段積み状態において、積上荷重を陶器で受けさせることができ、梱包箱1の座屈を抑制することができる。
【0026】
また、
図1に示すように、梱包状態において、外フラップ5a、5bの合わせ面部分には、シール材17が設けられている。側壁3aには、シール材17が設けられる領域に、テープはがし穴19が設けられており、これにより、シール材の端部をつかみやすく構成されている。なお、テープはがし穴19は、単なる穴として設けてもよいし、例えば、その一部が梱包箱1の内部方向に変形するように構成されるように構成してもよい。
【0027】
さらに、
図1に示すように、他方の対向した側壁3b、面取り部9、外フラップ5aには、直線状の第1破断線11が形成されており、同様に、これと対向する側壁3b、面取り部9、外フラップ5bにも第1破断線11が形成されているが、何れか一方に形成してもよい。なお、ここでの破断線とは、段ボールに形成された切込み一般を指し、作業者の破断(切断)方向を示すものであり、点線・一点鎖線等、何れかの線によって構成されるものを指す。
【0028】
また、本実施形態においては、破断線は、側壁3bの水平方向(z方向)の中央付近に
外フラップ5a、面取り部9、側壁3bを、水平方向(z方向)に2分するように、第1破断線11が形成されている。本実施形態においては、第1破断線11は、水平方向(z方向)に2等分するように設けられているが、これに限るものではない。
【0029】
また、第1破断線11は、側壁3において、底壁7に繋がる部分に、第1破断線11から、側壁3aに向かう方向(z方向)に傾斜するよう、傾斜線11aが形成されている。
図1に示すように、傾斜線11aは、底壁7に形成された、第2破断線13に連続するよう下方に向かいながら傾斜するよう形成されている。
【0030】
図2に示すように、第1破断線11の傾斜線11aは、第2破断線13の傾斜線13aに連続している。傾斜線13aは梱包箱1の内側方向(x方向)に向かって傾斜するように構成されており、第2破断線13の水平方向(z方向)に形成された部分に連続する。
【0031】
ここで、
図1に示すように、外フラップ5a、5bには、第1破断線11を挟むように、2箇所の手掛け穴15a、15bが形成されている。第1破断線11を間に挟むように2箇所の手掛け穴15が設けられているため、異なる方向に力を加えやすく、破断方向に力が入りやすく構成されている。
【0032】
作業者は、
図1の梱包状態において、第1破断線11を上下方向(y方向)に破断しながら、傾斜線11aを経由して、第2破断線13の傾斜線13aに到達する。第2破断線13の傾斜線13aは、梱包箱1の内側方向(x方向)と水平方向(z方向)に傾斜している。また、
図2に示すように、第2破断線13は、水平方向(z方向)に破断することで、底壁7と、側壁3bとを、分離することができる。なお、ここでの分離とは、完全に分離してなくとも、一部分離する程度であってもよい。以上のように構成することで、梱包箱1の側壁3bを観音開き状に開いた状態で開放することができる。
【0033】
<作用効果>
次に本実施形態における梱包箱の作用効果を説明する。
【0034】
図3は、大型陶器の便器本体21を内部に収容した梱包箱1の他方の対向した側壁3bが開放された状態を示す。また、梱包箱1は梱包箱1´に積載された状態で開梱されている。作業者は、上方に位置する梱包箱1の側壁3から便器本体21をスライドさせながら、梱包箱1から取り出すことができるため、上方に便器本体21を持ち上げることなく、作業性が良い。
【0035】
上述のように、作業者は、梱包状態において、外フラップ5に形成された手掛け穴15から第1破断線11を上下方向(y方向)に破断する。その際、手掛け穴15にかけた手を夫々逆方向に力を加えることで、間に位置する第1破断線11が破断し易くなる。
【0036】
また、第1破断線11は、外フラップ5から面取り部9に到達するように形成されており、面取り部によって、外フラップ5と側壁3から構成される角部が、積上荷重等による変形が抑制されるため、角部であっても、第1破断線11に沿って破断することが可能となる。
【0037】
その後、第1破断線11の傾斜線11aによって、上下方向(y方向)の破断から水平方向(z方向の)破断に変換され、さらに、第2破断線13aによって、水平方向(z方向)に破断し易く構成されている。その後、第2破断線13の水平部分を経由して、第2破断線13は、最終的に側壁3aまで到達するように構成されている。
【0038】
本実施形態においては、上述の構成によって、
図3に示すように、梱包箱1の上方が開放され、且つ、2つの側壁3bが水平方向(z方向)に観音開き状に開くことが可能になる。これにより、作業者は、上方から便器本体21にアクセスすることが可能で、且つ、側壁3bに向かってスライドさせながら(
図3の黒矢印を参照)、梱包箱1から取り出すことができる。
【0039】
図4は、2つの側壁3が観音開き状に開放される本実施形態に対する、比較例を示したものである。なお、
図4は、説明に必要な部分に符号を付し、本実施形態と共通する説明が不要な部分は符号を省略する。
【0040】
図4は、外フラップ5b及び側壁3bに2つの第1破断線11が上下方向(y方向)に向かうように形成されており、第1破断線11に沿って破断を行った場合、外フラップ5b及び側壁3bが開放面方向に向かって垂れ下がることとなり、作業スペースに延在する。
【0041】
この場合、本実施形態のように、便器本体21をスライドして取り出そうとした場合、外フラップ5b及び側壁3bが、作業を阻害してしまい、作業性を低下させてしまう。このように、本実施形態によれば、観音開き状に形成されているため、便器本体21のスライドを阻害することなく、また、作業者の作業を阻害することが無いため、大便器等の大型陶器を側面から取り出しやすくし、作業性を向上させることができる梱包箱を提供することができる。
【0042】
以上、本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 梱包箱
3 側壁
4 内フラップ
5 外フラップ
7 底壁
9 面取り部
11 第1破断線
13 第2破断線
15 手掛け穴
17 シール材
19 テープはがし穴
21 便器本体