(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174694
(43)【公開日】2022-11-24
(54)【発明の名称】充電装置及び家電機器
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20221116BHJP
H01M 50/244 20210101ALI20221116BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
H01M50/244 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080694
(22)【出願日】2021-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167438
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100166800
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 裕治
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 佑揮
【テーマコード(参考)】
5G503
5H040
【Fターム(参考)】
5G503FA03
5G503FA07
5H040AA32
5H040AS25
5H040AY05
5H040AY14
5H040DD09
5H040DD22
5H040DD26
5H040DD28
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】液体濡れによる電気部品の故障の可能性を低減させることが可能な充電装置を提供する。
【解決手段】充電装置3は、バッテリ1と接続される端子43を備え、バッテリ1が挿入される受部55を備え、端子43は、受部55の底部分よりも高い位置に設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリと接続される端子を備える充電装置において、
前記バッテリが挿入される受部を備え、
前記端子は、前記受部の底部分よりも高い位置に設けられている
充電装置。
【請求項2】
前記バッテリの着脱を検知する着脱検知手段を備え、
前記着脱検知手段の検知位置は、前記受部の底部分よりも高い位置である
請求項1に記載の充電装置。
【請求項3】
前記バッテリの着脱を検知する着脱検知手段を備え、
前記着脱検知手段の検知位置は、前記受部において前記端子よりも低い位置である
請求項1に記載の充電装置。
【請求項4】
前記着脱検知手段は、前記バッテリの前記受部への挿入方向と交差する方向から、前記バッテリから押圧されることでオンする
請求項2又は3に記載の充電装置。
【請求項5】
前記着脱検知手段は、ヒンジ式スイッチ又は光学スイッチである
請求項2又は3に記載の充電装置。
【請求項6】
前記受部は、前記底部としての第1位置と、前記端子が設けられている前記位置としての第2位置との間に、段差部分を有している
請求項1~5の何れか1項に記載の充電装置。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1項に記載の充電装置と、
前記充電装置に着脱可能なバッテリと、
前記バッテリが着脱可能な機器本体とを備える
家電機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリと接続される端子を備える充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電池(バッテリ)は、充電するだけで何度でも使用できて、電池の使い捨てを無くすことができる。そのため、電気機器の電源として充電池を使用するものが多くなっている。そして、電池を充電の度に機器から外して専用の充電器に装着して充電することも一般的に知られている。
例えば、特許文献1には、電池パックを載置するために外装ケース1に設けられた載置部1aに、外装ケース1,2の内部に貫通する3箇所の端子孔1bが設けられ、この外装ケース1,2の内部で回路基板3に接続された3本の電池接続端子7であって、この回路基板3に取り付けられた端子台6に支持部7aを支持されると共に、接点部7bを対応する端子孔1bを通して弾性により載置部1aに突出させたものを備えた充電器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記充電器では、載置部1aに端子孔1bが設けられる構成であるため、この端子孔1bから液体が入っても、回路基板が濡れてしまうと、電気部品が故障してしまうといった懸念がある。
本願発明は、液体濡れによる電気部品の故障の可能性を低減させることが可能な充電装置及び家電機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る充電装置は、バッテリと接続される端子を備える充電装置において、前記バッテリが挿入される受部を備え、前記端子は、前記受部の底部分よりも高い位置に設けられている。
本発明に係る家電機器は、バッテリと接続される端子を備える充電装置であって、前記バッテリが挿入される受部を備え、前記端子は、前記受部の底部分よりも高い位置に設けられている充電装置を備えている。
【発明の効果】
【0006】
上記構成によれば、端子が底部分よりも高い位置にあるため、底部分の液体が入っても濡れ難くできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】充電システムを示す斜視図であり、(a)はバッテリが装着された状態であり、(b)はバッテリが装着されていない状態である。
【
図2】バッテリの図であり(a)は下方から見た図であり、(b)は側方から見た図であり、(c)は上方から見た図である。
【
図3】充電装置を示す図であり、(a)は上方か見た図であり、(b)は斜め上方から見た斜視図である。
【
図4】装置本体の断面斜視図であり、(a)は装置側端子の様子が分かるように切断した図であり、(b)は第1スイッチの様子が分かるように切断した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<概要>
実施形態の一態様に係る第1の充電装置は、バッテリと接続される端子を備える充電装置において、前記バッテリが挿入される受部を備え、前記端子は、前記受部の底部分よりも高い位置に設けられている。これにより、受部に液体が溜まっても端子を濡れ難くできる。
実施形態の別態様に係る第2の充電装置は、第1の充電装置において、前記バッテリの着脱を検知する着脱検知手段を備え、前記着脱検知手段の検知位置は、前記受部の底部分よりも高い位置である。これにより、受部に液体が溜まっても着脱検知手段を濡れ難くできる。
実施形態の別態様に係る第3の充電装置は、第1の充電装置において、前記バッテリの着脱を検知する着脱検知手段を備え、前記着脱検知手段の検知位置は、前記受部において前記端子よりも低い位置である。これにより、端子の接触(接続)と着脱検知手段の検知とを確実に行うことができる。
実施形態の別態様に係る第4の充電装置は、第2又は第3の充電装置において、前記着脱検知手段は、前記バッテリの前記受部への挿入方向と交差する方向から、前記バッテリから押圧されることでオンする。これにより、バッテリの挿入をスムーズに行うことができる。
実施形態の別態様に係る第5の充電装置は、第2又は第3の充電装置において、前記着脱検知手段は、ヒンジ式スイッチ又は光学スイッチである。これにより、簡単な構造で着脱検知手段を設けることができる。
実施形態の別態様に係る第6の充電装置は、第1~第5の充電装置において、前記受部は、前記底部としての第1位置と、前記端子が設けられている前記位置としての第2位置との間に、段差部分を有している。これにより、簡単な構造で、端子を高い位置に設けることができる。
実施形態の一態様に係る家電機器は、第1~第6の何れか1つの充電装置と、前記充電装置に着脱可能なバッテリと、前記バッテリが着脱可能な機器本体とを備える。
【0009】
<第1実施形態>
1.全体構成
充電システムXは、
図1に示すように、バッテリ1と充電装置3とを備える。
バッテリ1は、充放電可能な電池であり、
図1に示すように、充電装置3の受部55に挿入することで充電される。
【0010】
2.バッテリ
バッテリ1は、
図2及び
図5に示すように、例えば、充放電可能な二次電池10と、二次電池10を収容するケース11と、二次電池と接続する端子12と、二次電池10用の保護回路13とを備える。ここで、後述の充電装置3の端子と区別するために、バッテリ1の端子をバッテリ側端子12とし、充電装置3の端子を装置側端子とする。
二次電池10は、リチウムイオン電池、ニッケル電池、ニッケルカドミウム電池等を利用でき、ケース11内でバッテリ側端子12と接続する。
バッテリ1は、充電装置3の受部55に挿入される挿入部13を有し、挿入部13に装置側端子43と接続するための接続部を有する。ここでの接続部は、装置側端子43を受け入れる貫通孔16cにより構成され、当該貫通孔16cを挿通した装置側端子43がバッテリ側端子12とケース11内で接続する。
挿入部13は、充電装置3の受部55の形状と略一致する外観形状を有している。挿入部13は、その挿入方向と直交する断面において、その外周形状が非円形状をしている。
これにより、充電装置3の受部55に装着するバッテリ1の向きが1通りとなり、バッテリ1の装着ミスをなくすことができる。
【0011】
挿入部13は、
図2に示すように、全体として柱状をしている。挿入部13は、挿入先端側の第1形状部分15と、挿入先端側と反対側の第2形状部分16とを有している。ここでは、第1形状部分15と第2形状部分16とは、挿入方向と直交する断面において、互いに異なる形状をしている。第1形状部分15の断面形状は、円形状に似た形状であって一部が欠けたような形状をしている。第2形状部分16の断面形状は、長円状をし、第1形状部分15側であって長円の長軸の一端側が欠けたような形状をしている。
第1形状部分15は、第2形状部分16から段差状に突出するように設けられている。つまり、挿入方向から挿入部13を見たときに、第1形状部分15は第2形状部分16よりも小さく、第2形状部分16の第1形状部分15側の端壁(底壁)16bに、接続部としての一対の貫通孔16cが設けられている。
バッテリ1は、挿入部13に連接する連接部17を有している。ここでの連接部17は、挿入方向と反対側であって挿入方向の延長上に設けられている。連接部17の挿入方向と直交する断面形状は、第2形状部分の断面形状と一致しているが、一致しなくてもよい。
【0012】
保護回路13は、二次電池10の温度を検知する温度検知部と、二次電池10の放電の許可と放電の停止を切り替えるスイッチ部と、検知された温度が閾値未満の場合に放電を許可し、閾値以上の場合に放電を停止させる制御部とを備える。ここでは、温度検知部はサーミスタにより、制御部はICにより、スイッチ部はスイッチング素子(FET)により構成されている。サーミスタは、二次電池10の温度変化に伴って抵抗値が変化し、二次電池10の温度に対応した電圧をICに出力する。ICは、サーミスタからの入力電圧によってスイッチ部をON又はOFFする。なお、二次電池10が高温となりスイッチ部がOFFされると、バッテリ側端子12間の電圧は検出されなくなり、後述の「充電禁止」の状態となる。
ここでのバッテリ1は、サーミスタの抵抗値を充電装置3に出力するための出力端子を有しておらず、充電装置3は、バッテリ1の着脱をサーミスタの出力で検知できない。
【0013】
3.充電装置
主に
図3~
図5を用いて説明する。
充電装置3は装置本体4を備える。装置本体4は電気コード8を介して商用電源と接続される。ここでの電気コード8は、商用電源(コンセント)に接続される接続部(アダプタ、図示省略)と、接続部に一端が接続されたコード81と、装置本体4の被接続部(ジャック)47と着脱可能であってコード81の他端に設けられた接続部(プラグ)83とを有している。
【0014】
(1)構造
装置本体4は、セットされたバッテリ(「セット状態のバッテリ」ともいう)1を支持するスタンド41を備える。スタンド41には、セット状態のバッテリ1のバッテリ側端子12と接続する装置側端子43と、バッテリ1を充電(チャージ)する充電部45(
図5参照)とが設けられる。ここでは、スタンド41には、さらに、電気コード8の接続部83が接続する被接続部47と、バッテリ1の着脱を検知する第1スイッチ49と、充電状態を示す表示部51と、充電部45や表示部51等を制御する制御部53(
図5参照)とを備える。なお、第1スイッチ49は、着脱検知手段の一例である。
スタンド41は、バッテリ1の挿入部13が挿入される受部55を有している。なお、受部55は、
図3及び
図4において、引き出し線の先端を矢印とし、周面や底面の引き出し線と区別する。
受部55は、スタンド41の天面41aから凹入し、挿入させるバッテリ1の挿入部13と嵌合する。これにより、バッテリ1が支持される。このため受部55は支持部でもある。なお、凹入方向は、バッテリ1の挿入方向である。
受部55は、挿入先端側(凹入部分の底側である)の第1形状部分57と、凹入先端側と反対側の第2形状部分59とを有している。ここでは、第1形状部分57と第2形状部分59とは、凹入方向と直交する断面において、互いに異なる形状をしている。第1形状部分57の断面形状は、バッテリ1の挿入部13の第1形状部分15の断面形状に一致している。第2形状部分59はバッテリ1の挿入部13の第2形状部分16の断面形状に一致している。これにより、スタンド41は、バッテリ1をガタツキの少ない状態で支持できる。
【0015】
第1形状部分57は、第2形状部分59から段差状に凹入するように設けられている。また、第1形状部分57の底面(底部分)57aは、第2形状部分59の底面(底部分)59aよりも低い位置にある。凹入方向から受部55を見たときに、第1形状部分57は第2形状部分59よりも小さく構成されている。つまり、凹入方向から受部55を見たときに、第2形状部分59における第1形状部分57と重ならない部分が、第2形状部分59の底面59aであり、当該底面59aに一対の装置側端子43が設けられている。これにより、装置側端子43の位置が受部55の底面57a(第1形状部分57の底面57a)よりも高くなり、受部55の底面57aに液体が入っても、装置側端子43が液体に濡れるのを防止できる。
第1形状部分57の底としての第1位置と、第2形状部分59に装置側端子43が設けられている位置としての第2位置との間に段差部分が形成されている。
【0016】
一対の装置側端子43は、底面59aからバッテリ1側へと立設し、セット状態のバッテリ1の一対の貫通孔16cに挿入する。なお、一対の装置側端子43は、
図4の(a)に示すように、底面59aの裏側で固定され、充電部45(
図5参照)にケーブル(図示省略)を介して接続する。
第1スイッチ49は、バッテリ1の着脱を検知するために受部55に設けられる。バッテリ1がサーミスタの出力端子を有する場合、充電装置1は、バッテリ1が装着されることによる電気抵抗の変化によりバッテリ1の着脱を検知することが可能であるが、サーミスタの出力端子を有さないバッテリ1が使用される場合には、他の手段で着脱を検知することが好ましい。本実施形態では、サーミスタの出力端子を有さないバッテリ1を使用する場合を想定し、着脱検知のために第1スイッチ49が設けられる。具体的に、第1形状部分57の周面57bには第1スイッチ49が設けられている。第1スイッチ49は、第1形状部分57の底面57aよりも高い位置に設けられている。これにより、受部55の底面57aに液体が入っても、第1スイッチ49が液体に濡れるのを防止できる。
第1スイッチ49は、装置側端子43であって第2形状部分59の底面59aから延出している部分よりも低い位置に設けられている。これにより、装置側端子43がバッテリ1に電気的に接続する前に、バッテリ1の挿入(セット)を検知できる。第1スイッチ49は、バッテリ1の受部55へ挿入方向と交差する方向から、バッテリ1から押圧されることで、オンする。このような第1スイッチ49として、例えば、ヒンジ式スイッチや光学スイッチを利用できる。ヒンジ式スイッチは、
図4の(b)に示すように、バッテリ1の挿入に合わせて接触する弾性片49aが、挿入方向の先端(第1形状部分57の底面57a)に向かうにしたがって、バッテリ1側に張り出すように傾斜しているため、バッテリ1の挿抜をスムーズに行うことができる。
【0017】
主に
図4を用いて説明する。
スタンド41は、例えば、円盤状のベース61と、受部55を構成し且つベース61に固定されるフレーム63と、フレーム63を覆うカバー65とを有している。
ベース61は、被接続部47(ジャック、
図3の(b)参照)を支持するジャック支持部61aと、基板67を支持する基板支持部61bと、フレーム63を支持するフレーム支持部61cと、フレーム63を固定するためのフレーム固定部61dと、表示部51(LED)を支持するLED支持部61eを有する。
【0018】
フレーム63は、有蓋筒状をし、その蓋部分63aにベース61側に凹入する凹入部分を有している。凹入部分は、受部55を構成し、ベース61のフレーム支持部61cにより第1底壁63bが支持される。フレーム63は、受部55の第2形状部分59の底面を構成する第2底壁63cに装置側端子43用の貫通孔を有すると共に、装置側端子43を第2底壁63cの裏側に装着するための装置側端子装着部63dと、第1スイッチ49を第1形状部分57の周面57bを構成する第1周壁63eに装着するための第1スイッチ装着部63fとを有している。なお、装置側端子43や第1スイッチ49の装着にはねじを利用している。フレーム63は、ベース61に支持されている被接続部47(ジャック)をベース61と反対側から支持するジャック支持部(図示省略)を有している。
装置本体4は、スタンド41内に、充電部45と制御部53とを構成する電子部品(図示省略)が実装された基板67を収容する。なお、充電部45と制御部53の電子部品と基板67とで回路ユニットが構成される。
装置本体4は、スタンド41に表示部51としてのLED(
図5参照)を有している。エラーLED69は充電できない場合等に点灯し、充電LED71はバッテリ1を充電している場合に点灯する。
【0019】
(2)機能構成
装置本体4は、
図5に示すように、装置側端子43、充電部45、表示部51、制御部53、第1スイッチ49の他、充電状態を検知するための検知手段としての電圧検知部73と、充電の実行を有効にしたり無効にしたりするための第2スイッチ75とを備える。
電圧検知部73、第2スイッチ75は、充電部45と制御部53の電子部品と共に回路ユニットの基板67に実装されている。なお、第2スイッチ75として、例えば、スイッチング素子(FET)を利用している。
【0020】
アダプタは、商業電源から直流電力を生成する整流平滑回路と、生成された直流電力を充電用に変換する電力変換回路とを備える。
制御部53は、マイクロコンピュータ(CPU)531とその周辺回路から構成され、メモリ533とタイマ535とを備える。メモリ533は、バッテリ1を充電するための制御プログラムや制御データ等を記憶している。
制御部53は、バッテリ1との電気接続全般を制御する。制御部53は、バッテリ1の充電状態を検知し、充電が必要な場合に充電部45にバッテリ1を充電させ、バッテリ1の充電具合が満充電になると、バッテリ1の充電を充電部45に停止させる。一方、制御部53は、バッテリ1の充電状態が充電できない(充電禁止)場合に充電できる状態に回復すると、充電部45に充電させる。具体的には、バッテリ1が温度異常(高温)となっているときには、バッテリ1の保護回路13が働くことによって放電がされない状態になるため、電圧検知部73は、バッテリ1の電圧を正常に検知することができず、アダプタの電圧を検知してしまう。このような状態の場合に、制御部53は、充電禁止と判断する。なお、バッテリ1の温度が低くなると、保護回路13により放電が許可され、充電できる状態に回復する。
【0021】
充電具合の検知(充電の要否の検知)は、充電中のバッテリ1の充電量の検知で行っている。ここでは、バッテリ側端子12間の電圧、つまり、装置側端子43間の電圧値で行っており、電圧検知部73により行われる。
具体的には、バッテリ1の電圧Vが、第1閾値電圧値(V1)以上で満充電(充電が不要)と検知し、第1閾値電圧値(V1)未満で未充電(充電が必要)と検知する。
【0022】
バッテリ1の充電状態の検知(充電可能か否か)は、充電具合の検知と同様に、セットされたバッテリ1のバッテリ側端子12間の電圧、つまり、装置側端子43間の電圧値で行っており、電圧検知部73により行われる。
具体的には、充電(チャージ)開始して所定時間経過後にバッテリ1の電圧Vが、第2閾値電圧値(V2)以上の場合に「充電禁止」と、第3閾値電圧値(V3)未満の場合に「過放電」と、第3閾値電圧値(V3)以上であって第2閾値電圧値(V2)未満の場合に「充電不足」とそれぞれ検知する。ここで、所定時間は、例えば20秒であり、閾値電圧値の大小関係は、第3閾値電圧値(V3)<第2閾値電圧値(V2)であり、第3閾値電圧値(V3)<第1閾値電圧値(V1)<第2閾値電圧値(V2)である。これらの具体的な数値は、バッテリ1の容量、充電部45の印加電圧、接続部(アダプタ)からの供給電圧等によって適宜設定されるものである。
なお、検知したバッテリ1の電圧Vが、第2閾値電圧値(V2)以上となるときは、バッテリ1が温度異常(高温)となっているときであり、例えば50度以上で温度異常と判断する。第3閾値電圧値(V3)以上であって第2閾値電圧値(V2)未満のときは、バッテリ1が正常な状態である。また、第3閾値電圧値(V3)は、例えば5.0(V)である。
【0023】
バッテリ1の温度異常からの回復の検知は、充電具合や充電状態の検知と同様に、バッテリ側端子12間の電圧、つまり、装置側端子43間の電圧値で行っており、電圧検知部73により行われる。
具体的には、充電状態が充電禁止と検知されると、第2時間(T2)経過するまで待機した後に充電状態(充電可能か否か)を再び判断する。この第2時間(T2)の間に、温度異常から回復すれば、バッテリ1による放電禁止の制御が解除されるため、電圧検知部73はバッテリ1の電圧を検知することができる。
【0024】
(3)フローチャート
制御部53の処理について、
図6のフローチャート用いて説明する。
制御部53は、充電装置3が商用電源と接続されると、プログラムをスタートさせる。
制御部53は、バッテリ1が装着(セット)されたか否かを判断する(S1の「Yes」である)。バッテリ1の装着により第1スイッチ49がONとなれば、ステップS2に処理を進め、充電LED71を点灯させて、タイマ535をスタートさせ(S2)て、第2スイッチ75をONする(S3)。なお、ステップS1のバッテリ1の装着の検知は、第1スイッチ49により行われる。
ステップS4において、バッテリ1の充電具合を検知し、満充電でなければ(「No」である)、充電部45のバッテリ1へのチャージ(電圧印加)をONする(S5)。充電具合の検知は、電圧検知部73が検知した電圧(V)で行い、当該電圧(V)が第1閾値電圧値(V1)以上の場合、「満充電」と検知される。バッテリ1へのチャージは、第1時間(T1)行われる(S5)。第1時間(T1)は、チャージした後、バッテリ1の電圧が安定するまでの時間以上であればよい。
【0025】
ステップS6において、バッテリ1の充電状態を検知(判断)し、「充電不足」であればステップS7に進み、「過放電」であればステップS8に進み、「充電禁止」であればステップS9に進む。充電状態の検知は、上記の通り、電圧検知部73が検知した電圧(V)で行う。つまり、電圧Vが、第2閾値電圧値(V2)以上の場合に「充電禁止」と、第3閾値電圧値(V3)未満の場合に「過放電」と、第3閾値電圧値(V3)以上であって第2閾値電圧値(V2)未満の場合に「充電不足」とそれぞれ判断する。
【0026】
ステップS6において「充電不足」と検知されると、タイマ535をリセットし(S7)、チャージON状態のままで、満充電させる(S11)。ここでは、電圧検知部73が検知した電圧(V)が第1閾値電圧値(V1)以上であるかで判断し、第1閾値電圧値(V1)未満の場合は、第1閾値電圧値(V1)になるまで充電する。
ステップS11で「満充電」になると、充電部45のバッテリ1へのチャージをOFFすると共に第2スイッチ75をOFFし(S12)、ステップS13で充電LED71を消灯し、タイマ535をストップさせて、終了する。
【0027】
ステップS6において「過放電」と検知されると、エラーLED69を点灯させて(S8)、ステップS12、S13と進んで終了する。
【0028】
ステップS6において「充電禁止」と検知されると、充電部45のバッテリ1へのチャージをOFFし(S9)、第2スイッチ75をOFFし(S14)、第2時間(T2)待機した後、タイマ535の計測時間が第3時間(T3)経過したかを検知する(S16)。第3時間(T3)は、例えば、時間が経過するにしたがってバッテリ1の温度が下がり、充電禁止状態が解除されることが生じ得る時間である。
ステップS16で、第3時間(T3)を経過すると(「Yes」である)、第4時間(T4)エラーLED69を点灯させて(S17)、ステップS13に進んで、終了する。
ステップS16で、第3時間(T3)が経過していないと(「No」である)、ステップS3に進む。つまり、ステップS6で「充電禁止」と検知されると、タイマ535の計測時間が第3時間(T3)経過するまで、ステップS9、S14、S15、S16(「No」)、S3、S4、S5、S6を繰り返す。
【0029】
ステップS4において「満充電」と判断されると(「Yes」)、第2スイッチ75をOFFし(S18)、ステップS13に進んで、終了する。なお、ステップS1~S18のどこかでバッテリ1が外された場合には、処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態における充電装置4は、バッテリ1と接続される端子43を備える充電装置において、バッテリ1が挿入される受部55を備え、端子43は、受部55の底部分57aよりも高い位置に設けられていることを特徴としている。ここでのバッテリ1は、サーミスタの出力端子を備えないものであってもよいし、出力端子を備えるものであってもよい。
【0030】
以上、実施形態を説明したが、この実施形態に限られるものではなく、例えば、以下のような変形例であってもよい。また、実施形態と変形例、変形例同士を組み合わせたものであってもよい。
また、実施形態や変形例に記載していていない例や、要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。
【0031】
<変形例>
1.バッテリ
バッテリ1の用途について特に説明していないが、例えば、コードレスタイプの掃除機や電話機、ハンディタイプの湿式清掃機(いわゆる、リンサークリーナ)、ハンディタイプの電動工具、カメラ等の家電機器に用いられる。
バッテリ1の連接部17の外観形状は挿入部13の第2形状部分16と同じ形状であったが、異なる形状であってもよい。つまり、充電装置3の受部55に挿入部13を挿入できれば、他の部分の形状は特に限定するものではない。
【0032】
2.充電装置
充電装置3は、装置本体4に対して着脱可能な電気コード8を有していたが、装置本体に電気コードが固定されてもよい。装置本体4は接続部(アダプタ)から直流電力を受電しているが、装置本体に接続部(アダプタ)機能を有する電源部を備えてもよい。
装置側端子43は、第2形状部分59の底面59aに設けられていたが、例えば、第2形状部分59の周面に設けられてもよい。この場合、バッテリ1の貫通孔16cを、挿入方向と周面とが開口する溝状に変更することで実施できる。
受部55は上下方向における下方に凹入していたが、上下方向に対して傾斜してもよい。傾斜は上下方向に対して60度以内である。この場合、装置側端子43は、傾斜方向に延伸させることで、バッテリのセットをスムーズに行える。
第1スイッチ49は、バッテリ1のセット、つまり、挿入部13の受部55への挿入を検知できればよく、ヒンジスイッチ以外のスイッチでもよい。他のスイッチとして、接触タイプではボタンスイッチ、非接触タイプではフォトセンサ等がある。
制御部53は、第2スイッチ75、電圧検知部73を含んでいないが、これらの少なくとも1つを含んでもよい。
第2形状部分59の底面59aが底面57aに向けて傾斜していてもよい。これにより、底面59aに液体が落ちたとしても、底面59aの傾斜により液体を底面57aに誘導することができる。
【0033】
3.制御部の処理
実施形態で説明した処理は一例であり、バッテリ1の充電を行うことができれば、
図6の各ステップの順序を変更してもよく、例えば、以下のような処理を行ってもよい。
(1)処理1
フローチャートでは、プログラムは電気コード8が商用電源に接続されるとスタートしたが、例えば、第1スイッチ49がバッテリ1の装着を検知するとスタートするようにしてもよい。
(2)処理2
フローチャートでは、ステップS16でタイマ535が第3時間(T3)を経過していない場合(「No」である)は、ステップS3に進んでいるが、例えば、第2スイッチ75をONした後に、ステップS5に進んでもよい。
(3)処理3
フローチャートでは、充電装置3が商用電源に接続された後に、バッテリ1に対して1回の充電(満充電、過放電、充電禁止も含む)を行うと、プログラムを終了しているが、例えば、ステップS13の後に、第1スイッチ49等を利用して、バッテリ1の離脱を検知する検知処理行い、離脱を検知すると、ステップS1に戻るようにしてもよい。
(4)処理4
処理3では、第2スイッチ75のONをステップS3で行っているが、第2スイッチ75のONは、ステップS4のバッテリ1の充電具合の検知前に行えばよく、例えば、ステップS1の直後に行ってもよい(この場合、ステップS16の「No」の後、第2スイッチ75をONしてステップS5に進めばよい)し、ステップS1の直前に行ってもよい。
【0034】
4.家電機器
実施形態では、バッテリ1と充電装置3について説明したが、この充電装置3とバッテリ1とを備える家電機器であってもよい。つまり、上記の充電装置(以下の第1~4発明の何れかを含んでもよい)と、充電装置に着脱可能なバッテリと、バッテリが着脱可能な機器本体とを備える家電機器であってもよい。なお、家電機器としては、上述の通りである。
【0035】
<その他>
「発明を実施するための形態」及び
図6には、以下の発明が含まれる。
1.第1発明
背景技術で説明した特許文献1に開示の従来技術は、電池(バッテリ)にサーミスタの出力端子が設けられており、電池が充電器に接続される場合に、サーミスタの電気抵抗により充電器に電池が装着されることが検出可能である。このため、電池の装着により充電状態の検知を開始し、満充電となると充電状態の検知を終了させることができるため、満充電となった後の電池の放電を停止させることができる。
しかしながら、サーミスタの出力端子を有さない電池である場合には、電池が充電器に装着されても、電池が充電器に装着されているか否かを検出できない。このため、電池の充電状態を例えば所定時間間隔又は常時監視しながら充電を行う必要があるため、満充電となった電池の装着状態が継続すると、充電状態の検知のたびに生じる放電によって充電量が減少するといった効率の悪い充電制御になってしまうという問題がある。つまり、第1発明は、効率的な充電が可能な充電装置を提供することである。
【0036】
第1発明に係る第1の充電装置は、バッテリと接続される端子を備えた充電装置であって、前記バッテリの着脱を検知する着脱検知手段と、前記バッテリの充電具合を検知して充電する検知充電制御を行う検知充電制御手段とを備え、前記検知充電制御手段は、前記バッテリの充電量が閾値以上になったことを検知すると、前記検知充電制御を停止する。これにより、バッテリが装着されて充電が完了すると、検知充電制御が行われなくなり、効率的な充電が可能となる。なお、着脱検知手段は例えば第1スイッチ49であり、検知充電制御手段は、例えば、
図6におけるステップS1、S11、S12の「チャージOFF」により構成され、閾値は例えば第1閾値電圧値(V1)である。
第1発明に係る第2の充電装置は、第1発明の第1の充電装置において、前記検知充電制御の実行を有効又は無効にする電気的スイッチを備え、前記電気的スイッチは、前記バッテリの充電量が前記閾値以上になると前記検知充電制御の実行を無効化する。これにより、簡単な構成で、検知充電制御の実行を有効又は無効にできる。なお、電気的スイッチは例えば第2スイッチ75であり、検知充電制御の実行の無効化はステップS12の「第2スイッチOFF」により構成される。
【0037】
第1発明に係る第3の充電装置は、第1発明の第2の充電装置において、前記電気的スイッチは、前記バッテリの充電量が前記閾値以上になることで無効化している状態において、前記着脱検知手段により前記バッテリが離脱されたことが検出されると有効化する。これにより、バッテリが次に装着される場合に検知充電制御の実行が行われる。なお、「離脱されたことが検出されると有効化する」は、変形例の処理3や4で説明した処理により構成される。
第1発明に係る第4の充電装置は、第1発明の第1~3の何れかの充電装置において、前記バッテリが挿入される受部を備え、前記着脱検知手段は、前記受部に設けられる。
第1発明に係る第5の充電装置は、第1発明の第4の充電装置において、前記着脱検知手段は、前記受部の底部より高い位置に配される。
第1発明に係る第6の充電装置は、第1発明の第1~5の何れかの充電装置において、サーミスタを備えていないバッテリを充電対象とする又は充電対象に含む。
なお、第1発明には、後述の第2の発明又は第3の発明を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0038】
2.第2、3、4発明
背景技術で説明した特許文献1に開示の従来技術は、電池にサーミスタの出力端子が設けられており、電池が充電器に接続される場合に、充電器は、サーミスタからの温度(電気抵抗)情報を得ることができる。電池の発熱がある場合には、充電を停止させることが好ましく、温度情報に基づいて、充電を行うか否かを充電器は判断することができる。
サーミスタの出力端子を有さない電池である場合には、温度情報を電池から得ることができないため、他の方法で充電を行うか否かの判断が必要になる。
第2発明は、サーミスタの出力端子を有さないバッテリであっても安全性を高めた充電が可能な充電装置を提供することである。
【0039】
(1)第2発明
第2発明に係る第1の充電装置は、バッテリと接続される端子を備えた充電装置であって、前記バッテリへの充電を制御する充電制御手段と、オン状態により充電の実行を有効化し、オフ状態により充電の実行を無効化する電気的スイッチとを備え、前記充電制御手段は、前記バッテリの電圧が第1閾値未満を検出すると所定時間充電し、当該充電において検知される前記バッテリの電圧が前記第1閾値より大きい第2閾値以上の場合に、オン状態となった前記電気的スイッチをオフ状態に切り替える。これにより、バッテリの電圧が第2閾値以上の場合(高温状態の場合)に充電の実行が無効化され、安全性を高めることができる。なお、充電制御手段は、例えば、ステップS4、S5、S6の「充電禁止」、S14により構成され、第1閾値は例えば第1閾値電圧値(V1)であり、第2閾値は例えば第2閾値電圧値(V2)であり、所定時間は例えば第1時間(T1)である。
第2発明に係る第2の充電装置は、第2発明の第1の充電装置において、前記充電制御手段は、前記バッテリから前記第1閾値以上の電圧が検知される場合に、オン状態となった前記電気的スイッチをオフに切り替える。これにより、満充電のバッテリに充電することをなくすることができる。なお、充電制御手段は、例えば、
図6のステップS4の「Yes」、S18により構成される。
第2発明に係る第3の充電装置は、第2発明の第1又は2の充電装置において、前記充電制御手段は、前記充電において検知される前記バッテリの電圧が前記第2閾値未満である場合に充電を継続して実行する。これにより、安全にバッテリを充電できる。なお、充電制御手段は、例えば、ステップS6の「充電不足」、S11により構成され、第2閾値は例えば第2閾値電圧値(V2)である。
第2発明に係る第4の充電装置は、第2発明の第1~3の何れかの充電装置において、前記充電制御手段は、前記充電後に検知される前記バッテリの電圧が前記第2閾値より小さい第3閾値未満である場合に、オン状態となった前記電気的スイッチをオフ状態に切り替える。これにより、過放電のバッテリに対して充電されることがなくなり、安全性を高めることができる。充電制御手段は、例えば、ステップS6の「過放電」、S12の「第2スイッチOFF」により構成され、第3閾値は例えば第3閾値電圧値(V3)である。
なお、第2発明には、第1の発明、後述の第3の発明、実施形態で説明した受部、受部と装置側端子との位置関係、受部と第1スイッチ部との位置関係等を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0040】
(2)第3発明
第3発明に係る第1の充電装置は、バッテリと接続される端子を備えた充電装置であって、前記バッテリへの充電を制御する充電制御手段と、オン状態により充電の実行を有効化し、オフ状態により充電の実行を無効化する電気的スイッチとを備え、前記充電制御手段は、前記バッテリの電圧が第1閾値未満を検出すると所定時間充電し、当該充電後に検知される前記バッテリの電圧が前記第1閾値より小さい第2閾値未満である場合に充電を実行する。これにより、充電可能なバッテリに対して充電され、安全性を高めることができる。充電制御手段は、例えば、
図6のステップS4、S5、S6の「充電不足」、S11により構成され、第1閾値は例えば第1閾値電圧値(V1)であり、第2閾値は例えば第2閾値電圧値(V2)であり、所定時間は例えば第1時間である。
第3発明に係る第2の充電装置は、第3発明の第1の充電装置において、前記充電制御手段は、前記充電後に検知される前記バッテリの電圧が前記第2閾値より小さい第3閾値未満である場合に、オン状態となった前記電気的スイッチをオフに切り替える。これにより、過放電のバッテリに対して充電されることがなくなり、安全性を高めることができる。なお、充電制御手段は、ステップS5、S6の「過放電」、S12により構成され、第3閾値は例えば第3閾値電圧値(V3)である。
なお、第3発明には、第1の発明、第2の発明、実施形態で説明した受部、受部と装置側端子との位置関係、受部と第1スイッチ部との位置関係等を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0041】
(3)第4発明
第4発明に係る充電装置は、バッテリと接続される端子を備えた充電装置であって、前記バッテリへの充電を制御する充電制御手段を備え、前記充電制御手段は、前記バッテリの充電具合を検知した後に、前記バッテリが充電可能な状態か否かを判断する。
【符号の説明】
【0042】
1 バッテリ
3 充電装置
4 装置本体
12 バッテリ側端子(端子)
13 挿入部
43 装置側端子(端子)
55 受部