(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174697
(43)【公開日】2022-11-24
(54)【発明の名称】トリチウム水の利用
(51)【国際特許分類】
G21F 9/06 20060101AFI20221116BHJP
B01D 59/00 20060101ALI20221116BHJP
B01D 59/38 20060101ALI20221116BHJP
C01B 5/02 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
G21F9/06 591
B01D59/00
B01D59/38
C01B5/02 Z
G21F9/06 561
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021102018
(22)【出願日】2021-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】509346357
【氏名又は名称】島 安治
(72)【発明者】
【氏名】島 安治
(57)【要約】 (修正有)
【課題】大惨事事故後の福島第一原発、PWR原発、核燃料再処理工場等の放射能汚染水に含まれるトリチウム水を無害化する方法を提供する。
【解決手段】トリチウム水を垂直の角柱筒に入れ、対向面に絶縁被覆電極を取り付けて分単位で変わる直流電圧を印加して軽水分子クラスターを壊し、筒の上部から超音波振動を照射して散在して居るトリチウム水分子と重水分子を強制的に降下邂逅させて分子塊を造り、重水とトリチウム水の濃縮水をつくる。超音波振動泡圧壊衝撃励起し、中性子過多の不安定を解消するβ崩壊を促進する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重水原子炉、PWR原子炉、爆発後の福島第一原発、英国ウインズケール・仏国ラアーグ・東海村・六ケ所村の使用済み核燃料再処工場で発生するトリチウム水を垂直の角柱筒に入れ、対向面に絶縁被覆電極を取り付けて分単位で変わる直流電圧を印加して軽水分子クラスターを壊し、筒の上部から超音波振動を照射して散在して居るトリチウム水分子と重水分子を強制的に降下邂逅させて分子塊を造り、重水とトリチウム水の濃縮水をつくる方法。
【請求項2】
前項のトチウム水に、ウランが核分裂した放射性原子が含まれる場合、いずれも原子量は20以上で水より重いので、上部からの超音波照射で下部に降下させて濃縮する方法。
【請求項3】
前項の降下濃縮水を1~2℃近くに冷却して、トリチウム水と重水を底に凍結させて濃縮分離する方法。
【請求項4】
水素原子核の陽電荷が、中性子で弱められて実効陽電荷が弱められるトリチウム(陽子1個、中性子2個)と重水素(陽子1個、中性子1個)を衝突させる最も容易な核融合よりさらに容易な核励起を、ウラン核分裂原子核にトリチウムまたは重水素を衝突させて、あるいはトリチウムに重水素を衝突させて、中性子過多状態の中性子を減らして原子核を安定させるβ崩壊を、前項の濃縮分離水を使用して超音波振動泡圧壊衝撃によって強制的に発生させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力発電所や使用済み核燃料再処理工場で発生する放射能汚染水を無害化する方法と装置に関するものである。とくに、爆発事故後の福島第一原発の放射能汚染水の惨状緊急事態に対応するものである。
【背景技術】
【0002】
放射能放出原子を無害化するために、まず、放射能を放出する原子の総数を知る。ベクレル単位は1秒間の瞬間に放射能を発生する原子数である。知らなければならないのは、未だ放射能を放出していない全ての放射性原子の数である:半減期Tで減衰する放射能を積分すると、3.3×l×T(仮称:島の公式)。福島のタンク保管トリチウム水の場合では、I=400万B/L、半減期T=12.3年=3.15×107秒、3.3×(4×106/L)×3.15×107=4.2×1014個/L。軽水の分子数は3×1025/L、自然水の重水分子数は4×1021/L。軽水、重水の分子数に比べてトリチウム水分子の数は遥かに少ないので、千倍以上の濃縮が必要である。
【0003】
ウラン核分裂で発生する放射性廃棄物原子は殆どがβ崩壊する。β崩壊は素粒子の弱い相互作用であり、原子核の中性子が核内で陽子に変り、電子が放出される。陽子が一つ増えるので原子は変わるが、陽子と中性子の合計の質量数はそのままである。β崩壊する原子は陽子数に比べて中性子数が過多である。そのため、中性子を減らして安定しようとする。従って核融合反応に比べて容易に<核励起>によって、中性子を陽子に変えるβ崩壊を強制的に起こすことができる。
【0004】
超音波洗浄器では気泡が発生し、この気泡が振動で押しつぶされて圧壊する。この微小圧壊部分は数千度・数百気圧以上の極限状態になる。これを利用して化学反応を促進させる「ソノケミストリー」という分野がある(「非特許文献1」)。
【0005】
この刺激で重水分子を壊して重水素の弾丸を放射性原子の原子核に照射し、核励起させる。重水素の原子核の陽子1個のプラス電荷が電荷無しの中性子1個で弱められるので、相手の原子核と電荷反発が少なくなり、相手の原子核に当り易い。同様にトリチウム水分子が壊されてできるトリチウム原子も、陽子1個のプラス電荷が中性子2個で弱められるので更に当り易い。計画されて居る国際核融合プロジェクトは、トリチウムと重水素の衝突である理由である。
【0006】
水は、殆どの軽水分子が水素結合によって分子網のクラスターを形成している。その軽水網に、重水分子とトリチウム水分子が散在している。それらの希薄散在分子を、横方向交互電場と下方底に向う超音波振動によって、網を壊して邂逅させて塊にして濃縮する。
【0007】
軽水分子H
2Oは、水素原子の核外電子が酸素原子の方に偏移しているので、水素原子Hは正電荷に、酸素原子Oは負電荷に僅かに帯電している。それらの吸引力によって水分子が水素結合として繋がり合い、分子網をつくる。別途、水は微量が水素イオンH
+とヒドロキシルイオンOH
―に常に電離している。横方向の直流電場が印加されると、H
+は移動して酸素原子の負帯電を打消すので、水分子は水素結合が切れて、正電荷のさらさら粒子になる。更に、ヒドロキシルイオンOH
―の移動が分子網を切って行く。そして、上方から下方に超音波振動を照射して重水分子とトリチウム水分子を降下させて邂逅させ、分子塊を造り、濃縮する。上部の水は、仕切り分離して排水する。
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】ソノプロセスのはなし―超音波の化学工学利用―:飯田康夫、日刊工業新聞社、2006年発行。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、事故後の福島第一原発の汚染水問題と、日本と世界の再処理工場、PWR原発の常時運転で発生するトリチウム水問題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記課題を解決するために、
図1の上部の降下濃縮処理槽に放射能汚染水を入れて1000倍濃縮し、上部の処理済み水は放水し、下部の
図2の濃縮水底冷凍冷却濃縮槽に落下させてトリチウム水分子と重水分子を氷結して、更に濃縮する。トリチウム水と重水の氷点は2℃付近で軽水の零℃よりも高い。濃縮冷凍分離されたトリチウム水と重水は、
図3の放射能汚染水を最終処理する<核励起β崩壊装置>に移されて、重水分子とトリチウム水分子を利用して放射性原子が安定原子に変換される。
(1)
図1上部の角型降下濃縮処理槽両側面には絶縁被覆電極網があり、1分交代する百ボルトの直流電圧が印加される。水が自然分解する微量の水素イオンH
+とOH
-イオンが横方向に移動して水分子の水素結合網を破り、水素結合から軽水分子を開放する。
(2)更に角型濃縮槽の上面から超音波振動を印加し、孤立して居る重水分子とトリチウム水分子を降下させ、邂逅させて分子塊を造り、下部の濃縮液槽に集める。
(3)トリチウム以外の放射性元素が含まれる場合は、いずれも金属元素で水分子より重いので同様に下部方向に降下させる。
(4)上部降下濃縮処理槽と下部濃縮液槽を繋ぐ三方バルブを操作して、上部処理槽の水を放水する。
(5)
図2の冷凍濃縮槽では、底面にトリチウム水と重水を軽水氷結温度0℃よりや高い2℃付近で凍結させる。氷の上の軽水は放出する。
(6)
図2の冷凍後に解凍された液は
図3の<核励起β崩壊装置>に移され、さらに放射能汚染水を入れて、超音波振動を側面から放射してβ崩壊を促進する。底面に回転板があり、液表面中央を窪ませることができる。
14Cの様な軽い浮遊原子の核励起に使用する。
【発明の効果】
【0011】
事故後の福島第一原発の放射能汚染水や、日本と世界の原子力関連施設の放射能汚染水を無害化して放水を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】トリチウム水及びウラン核分裂原子が含まれる放射能汚染水を濃縮処理する装置。
【符号の説明】
1…汚染水給水管、2…角型濃縮筒、3…分交代直流電圧、4…絶縁被覆電極網板、5…ホーン型超音波ヘッド、6…三方コック、7…二方コック、8・9…放水、10…移水、11…濃縮水、12…底部冷凍濃縮槽、13…冷凍ヘッド、14…放射線遮蔽、15…超音波傘型ヘッド、16…液面をすり鉢状にする回転円板。
【発明を実施するための形態】
【実施例0013】
・上部角型濃縮処理槽:1m×1m×5m高さ=5m3
・降下速度:1cm/5秒。5m=500cm→2500秒⇒42分
・給水→降下濃縮→(放水)→濃縮水を下部の濃縮液槽に降下分離→濃縮液槽底に氷結→(放水)→核励起β崩壊装置に移水する全工程処理時間は90分。
・60分/時×24時間=1440分、1440分/90分=16回/日
・16回/日×6日/週×4週/月×12月/年=4606回/年、5m3×4606回/年=23030m3/年
・23030m3/年/台×10台/系列×2系列=460600m3/年、460600m3/年×2年=921200m3<460600m3/年×3年=1281800m3;福島第一原発のタンク保管水処理は3年弱で可能。
【0014】
・降下濃縮槽の上部液面部に、ホーン型振動子を多数設置。
・中間細筒に三方バルブ:処理中は下部濃縮液槽に開、処理後は側面が開になり、放水。
・<核励起β崩壊装置>:側面の超音波振動子の泡圧壊衝撃によって、トリチウム原子と重水素原子を天恵弾として、汚染水の放射能原子をβ崩壊させて安定原子に変える。