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特開2022-174708二次電池保護回路、電池パック、電池システム及び二次電池保護方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174708
(43)【公開日】2022-11-24
(54)【発明の名称】二次電池保護回路、電池パック、電池システム及び二次電池保護方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20221116BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20221116BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H02J7/02 J
H02J7/00 302C
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021142705
(22)【出願日】2021-09-01
(62)【分割の表示】P 2021080295の分割
【原出願日】2021-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】山口 剛史
(72)【発明者】
【氏名】北村 巌
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA04
5G503BB02
5G503CA11
5G503DA04
5G503DA13
5G503DA15
5G503FA17
5G503GA11
5G503GA12
5G503GD03
(57)【要約】
【課題】二次電池が並列接続される構成において、二次電池間に流れる過大な電流の抑制。
【解決手段】二次電池の電極と負荷及び充電器の端子との間の充電経路に直列に挿入される充電制御トランジスタにより前記充電経路を遮断することで前記二次電池を過充電から保護し、前記電極と前記端子との間の放電経路に直列に挿入される放電制御トランジスタにより前記放電経路を遮断することで前記二次電池を過放電から保護する二次電池保護回路であって、前記電極と前記端子との間の電位差に応じて、電位差検出信号を出力する電位差検出回路と、前記過充電が過充電検出回路により検出されている場合、又は、前記過放電が過放電検出回路により検出されている場合、前記電位差検出信号を前記充電制御トランジスタ又は前記放電制御トランジスタの制御端子にフィードバックして、前記電位差を制御する電位差制御回路と、を備える、二次電池保護回路。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池の電極と負荷及び充電器の端子との間の充電経路に直列に挿入される充電制御トランジスタにより前記充電経路を遮断することで前記二次電池を過充電から保護し、前記電極と前記端子との間の放電経路に直列に挿入される放電制御トランジスタにより前記放電経路を遮断することで前記二次電池を過放電から保護する二次電池保護回路であって、
前記二次電池の過充電を検出する過充電検出回路と、
前記二次電池の過放電を検出する過放電検出回路と、
前記電極と前記端子との間の電位差に応じて、電位差検出信号を出力する電位差検出回路と、
前記過充電が前記過充電検出回路により検出されている場合、又は、前記過放電が前記過放電検出回路により検出されている場合、前記電位差検出信号を前記充電制御トランジスタ又は前記放電制御トランジスタの制御端子にフィードバックして、前記電位差を制御する電位差制御回路と、を備える、二次電池保護回路。
【請求項2】
前記電位差制御回路は、前記過充電が前記過充電検出回路により検出されている場合、前記電位差検出信号を前記充電制御トランジスタの制御端子にフィードバックして、前記二次電池を放電させる方向の電流が前記充電制御トランジスタに流れるように前記電位差を制御する、請求項1に記載の二次電池保護回路。
【請求項3】
前記過充電が前記過充電検出回路により検出されていない場合、前記充電制御トランジスタの制御端子に、前記充電制御トランジスタを制御する充電制御信号を出力する充電制御回路と、
前記過充電が前記過充電検出回路により検出されると、前記充電制御トランジスタの制御端子に出力する信号を、前記充電制御信号から前記電位差検出信号に切り替える第1切り替え回路と、を備える、請求項2に記載の二次電池保護回路。
【請求項4】
前記過充電の復帰を検出する過充電復帰検出回路を備え、
前記第1切り替え回路は、前記過充電の復帰が前記過充電復帰検出回路により検出されると、前記充電制御トランジスタの制御端子に出力する信号を、前記電位差検出信号から前記充電制御信号に切り替える、請求項3に記載の二次電池保護回路。
【請求項5】
前記二次電池の充電過電流を検出する充電過電流検出回路を備え、
前記第1切り替え回路は、前記充電過電流が前記充電過電流検出回路により検出されている場合、前記充電制御トランジスタの制御端子に、前記充電制御トランジスタをオフさせる前記充電制御信号を出力する、請求項3又は4に記載の二次電池保護回路。
【請求項6】
前記電位差制御回路は、前記過放電が前記過放電検出回路により検出されている場合、前記電位差検出信号を前記放電制御トランジスタの制御端子にフィードバックして、前記二次電池を充電する方向の電流が前記放電制御トランジスタに流れるように前記電位差を制御する、請求項1から5のいずれか一項に記載の二次電池保護回路。
【請求項7】
前記過放電が前記過放電検出回路により検出されていない場合、前記放電制御トランジスタの制御端子に、前記放電制御トランジスタを制御する放電制御信号を出力する放電制御回路と、
前記過放電が前記過放電検出回路により検出されると、前記放電制御トランジスタの制御端子に出力する信号を、前記放電制御信号から前記電位差検出信号に切り替える第2切り替え回路と、を備える、請求項6に記載の二次電池保護回路。
【請求項8】
前記過放電の復帰を検出する過放電復帰検出回路を備え、
前記第2切り替え回路は、前記過放電の復帰が前記過放電復帰検出回路により検出されると、前記放電制御トランジスタの制御端子に出力する信号を、前記電位差検出信号から前記放電制御信号に切り替える、請求項7に記載の二次電池保護回路。
【請求項9】
前記充電器の接続を検出する充電器接続検出回路を備え、
前記電位差制御回路および前記過放電復帰検出回路は、前記充電器の接続が前記充電器接続検出回路により検出されると、動作する、請求項8に記載の二次電池保護回路。
【請求項10】
前記充電器接続検出回路は、CMOSインバータ回路を含む、請求項9に記載の二次電池保護回路。
【請求項11】
前記二次電池の放電過電流を検出する放電過電流検出回路を備え、
前記第2切り替え回路は、前記放電過電流が前記放電過電流検出回路により検出されている場合、前記放電制御トランジスタの制御端子に、前記放電制御トランジスタをオフさせる前記放電制御信号を出力する、請求項7から10のいずれか一項に記載の二次電池保護回路。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の二次電池保護回路と、
前記二次電池と、
前記充電制御トランジスタと、
前記放電制御トランジスタと、
を備える、電池パック。
【請求項13】
並列に接続された複数の電池パックを備え、前記電池パックは、請求項12に記載の電池パックである、電池システム。
【請求項14】
二次電池の電極と負荷及び充電器の端子との間の充電経路に直列に挿入される充電制御トランジスタにより前記充電経路を遮断することで前記二次電池を過充電から保護し、前記電極と前記端子との間の放電経路に直列に挿入される放電制御トランジスタにより前記放電経路を遮断することで前記二次電池を過放電から保護する二次電池保護方法であって、
前記二次電池の過充電を検出し、
前記二次電池の過放電を検出し、
前記電極と前記端子との間の電位差に応じて、電位差検出信号を出力し、
前記過充電又は前記過放電が検出されている場合、前記電位差検出信号を前記充電制御トランジスタ又は前記放電制御トランジスタの制御端子にフィードバックして、前記電位差を制御する、二次電池保護方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二次電池保護回路、電池パック、電池システム及び二次電池保護方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二次電池の負極と、負荷又は充電器のグランドに接続されるマイナス端子との間の電流経路に直列に挿入されるトランジスタをオフすることによって、二次電池を過放電等から保護する二次電池保護集積回路を内蔵する電池パックが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-106870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、二次電池と保護回路をそれぞれ備える複数の電池パックを並列接続した構成では、過充電又は過放電に対する保護動作状態から復帰する時、並列接続した電池パックの二次電池間で過大な電流が生じるおそれがある。
【0005】
本開示は、二次電池が並列接続される構成において、二次電池間に流れる過大な電流を抑制可能な二次電池保護回路、電池パック、電池システム及び二次電池保護方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様では、
二次電池の電極と負荷及び充電器の端子との間の充電経路に直列に挿入される充電制御トランジスタにより前記充電経路を遮断することで前記二次電池を過充電から保護し、前記電極と前記端子との間の放電経路に直列に挿入される放電制御トランジスタにより前記放電経路を遮断することで前記二次電池を過放電から保護する二次電池保護回路であって、
前記二次電池の過充電を検出する過充電検出回路と、
前記二次電池の過放電を検出する過放電検出回路と、
前記電極と前記端子との間の電位差に応じて、電位差検出信号を出力する電位差検出回路と、
前記過充電が前記過充電検出回路により検出されている場合、又は、前記過放電が前記過放電検出回路により検出されている場合、前記電位差検出信号を前記充電制御トランジスタ又は前記放電制御トランジスタの制御端子にフィードバックして、前記電位差を制御する電位差制御回路と、を備える、二次電池保護回路が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、二次電池が並列接続される構成において、二次電池間に流れる過大な電流を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る電池システムの一構成例を示す図である。
図2】双方の電池パックそれぞれの二次電池保護回路に一比較形態に係る二次電池保護回路を適用した構成において、双方の電池パックが過充電状態から復帰するときの波形を例示する図である。
図3】第1実施形態に係る二次電池保護回路の一構成例を示す図である。
図4】双方の電池パックそれぞれの二次電池保護回路に第1実施形態に係る二次電池保護回路を適用した構成において、双方の電池パックが過充電状態から復帰するときの波形を例示する図である。
図5】双方の電池パックそれぞれの二次電池保護回路に一比較形態に係る二次電池保護回路を適用した構成において、片方の電池パックが過充電状態から復帰するときの波形を例示する図である。
図6】双方の電池パックそれぞれの二次電池保護回路に第1実施形態に係る二次電池保護回路を適用した構成において、片方の電池パックが過充電状態から復帰するときの波形を例示する図である。
図7】双方の電池パックそれぞれの二次電池保護回路に一比較形態に係る二次電池保護回路を適用した構成において、双方の電池パックが過放電状態から復帰するときの波形を例示する図である。
図8】第1実施形態に係る電池保護回路の構成例を示す図である。
図9】双方の電池パックそれぞれの二次電池保護回路に第1実施形態に係る二次電池保護回路を適用した構成において、双方の電池パックが過放電状態から復帰するときの波形を例示する図である。
図10】双方の電池パックそれぞれの二次電池保護回路に一比較形態に係る二次電池保護回路を適用した構成において、片方の電池パックが過放電状態から復帰するときの波形を例示する図である。
図11】双方の電池パックそれぞれの二次電池保護回路に第1実施形態に係る二次電池保護回路を適用した構成において、片方の電池パックが過放電状態から復帰するときの波形を例示する図である。
図12】第1実施形態に係る二次電池保護回路の構成例をより詳細に示す図である。
図13】差動アンプの起動条件の一例を示す図である。
図14】過充電状態時に充電制御トランジスタを制御する差動アンプの動作を説明するための図である。
図15】過放電状態時に放電制御トランジスタを制御する差動アンプの動作を説明するための図である。
図16】第1実施形態に係る二次電池保護回路の状態遷移を例示する図である。
図17】第2実施形態に係る二次電池保護回路の構成例をより詳細に示す図である。
図18】過充電状態時に充電制御トランジスタを制御する差動アンプの動作を説明するための図である。
図19】過放電状態時に放電制御トランジスタを制御する差動アンプの動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態を図面に従って説明する。
【0010】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る電池システムの一構成例を示す図である。図1は、第1実施形態に係る電池システム301に、負荷90及び充電器91を接続した構成例を示す。図1に示す電池システム301は、並列に接続された複数(この例では、2つ)の電池パック100,200を備える。電池パック200は、電池パック100と同一の構成であるので、電池パック200の構成の説明については、電池パック100の説明を援用することで、省略する。
【0011】
電池パック100は、二次電池70と、電池保護装置80とを内蔵して備える。
【0012】
二次電池70は、充放電可能な電池の一例である。二次電池70は、端子PPと端子PMに接続される負荷90に電力を供給する。二次電池70は、端子PPと端子PMに接続される充電器91によって充電されることが可能である。二次電池70の具体例として、リチウムイオン電池やリチウムポリマ電池などが挙げられる。電池パック100,200は、負荷90に内蔵されてもよいし、外付けされてもよい。
【0013】
負荷90は、電池パック100,200の二次電池70を電源とする負荷の一例である。負荷90の具体例として、携帯電話、スマートフォン、タブレットなどの電子機器が挙げられる。負荷90は、これらの機器に限られない。
【0014】
電池保護装置80は、二次電池70を電源として動作する二次電池保護装置の一例であり、二次電池70の充放電を制御することによって二次電池70を過充電や過放電等から保護する。電池保護装置80は、端子PP、端子PM、端子BP、端子BM、スイッチ回路3および電池保護回路10を備える。
【0015】
端子PPは、負荷プラス側端子の一例であり、負荷90及び充電器91の高電位側電源端子が接続される。端子PMは、負荷マイナス側端子の一例であり、負荷90及び充電器91の低電位側電源端子が接続される。端子BPは、電池正極側端子の一例であり、二次電池70の正極71に接続される。端子BMは、電池負極側端子の一例であり、二次電池70の負極72に接続される。
【0016】
端子BPと端子PPとは、プラス側電流経路9aによって接続されている。プラス側電流経路9aは、端子BPと端子PPとの間の電源経路であり、充電電流又は放電電流が流れる。プラス側電流経路9aは、二次電池70の正極71と端子PPとの間の充放電電流経路の一例である。
【0017】
端子BMと端子PMとは、マイナス側電流経路9bによって接続されている。マイナス側電流経路9bは、端子BMと端子PMとの間の電流経路であり、充電電流又は放電電流が流れる。マイナス側電流経路9bは、二次電池70の負極72と端子PMとの間の充放電電流経路の一例である。
【0018】
スイッチ回路3は、端子BMと端子PMとの間のマイナス側電流経路9bに直列に挿入される。スイッチ回路3は、例えば、充電制御トランジスタ1と放電制御トランジスタ2とを備え、充電制御トランジスタ1と放電制御トランジスタ2とが直列に接続された直列回路である。充電制御トランジスタ1は、二次電池70の充電経路を遮断する充電経路遮断部の一例であり、放電制御トランジスタ2は、二次電池70の放電経路を遮断する放電経路遮断部の一例である。図1の場合、充電制御トランジスタ1は、二次電池70の充電電流が流れる電流経路9bを遮断し、放電制御トランジスタ2は、二次電池70の放電電流が流れる電流経路9bを遮断する。トランジスタ1,2は、電流経路9bの導通/遮断を切り替えるスイッチング素子であり、電流経路9bに直列に挿入されている。トランジスタ1,2は、例えば、Nチャネル型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。
【0019】
充電制御トランジスタ1は、ドレインとソースとの間に、二次電池70の充電電流の向きとは逆の向きを順方向とする寄生ダイオード1aを有する。充電制御トランジスタ1は、充電制御トランジスタ1の寄生ダイオード1aの順方向が二次電池70の放電電流の流れる方向に一致するように電流経路9bに直列に挿入されたスイッチ素子である。
【0020】
放電制御トランジスタ2は、ドレインとソースとの間に、二次電池70の放電電流の向きとは逆の向きを順方向とする寄生ダイオード2aを有する。放電制御トランジスタ2は、放電制御トランジスタ2の寄生ダイオード2aの順方向が二次電池70の充電電流の流れる方向に一致するように電流経路9bに直列に挿入されたスイッチ素子である。
【0021】
電池保護回路10は、二次電池保護回路の一例である。電池保護回路10は、二次電池70を電源として動作する。電池保護回路10は、例えば、二次電池70の正極71と負極72との間の電池電圧("セル電圧"とも称する)で動作する集積回路(IC)である。
【0022】
電池保護回路10は、スイッチ回路3を制御することによって、二次電池70を過放電等から保護する。例えば、電池保護回路10は、充電制御トランジスタ1をオフにすることによって、二次電池70を充電異常(例えば、過充電、充電方向の過電流(充電過電流)など)から保護する。一方、電池保護回路10は、放電制御トランジスタ2をオフすることによって、二次電池70を放電異常(例えば、過放電、放電方向の過電流(放電過電流)など)から保護する。
【0023】
電池保護回路10は、例えば、充電制御端子(端子CO)、放電制御端子(端子DO)、監視端子(端子VM)、電源端子(端子VDD)及びグランド端子(端子VSS)を備える。これらの端子は、電池保護回路10の内部回路を電池保護回路10外部と接続するための外部接続端子である。
【0024】
端子COは、充電制御トランジスタ1のゲート(制御端子)に接続され、充電制御トランジスタ1をオン及びオフさせる信号を出力する。端子DOは、放電制御トランジスタ2のゲート(制御端子)に接続され、放電制御トランジスタ2をオン及びオフさせる信号を出力する。
【0025】
端子VMは、端子PMの電位の監視に使用され、端子PMに接続されている。端子VMは、例えば、電池保護回路10内の検出回路が負荷90又は充電器91の接続の有無を監視するのに使用され、トランジスタ1,2と端子PMとの間でマイナス側電流経路9bに接続されている。
【0026】
端子VDDは、電池保護回路10の電源端子であり、二次電池70の正極71及びプラス側電流経路9aに接続されている。端子VSSは、電池保護回路10のグランド端子であり、二次電池70の負極72及びマイナス側電流経路9bに接続されている。端子VSSは、トランジスタ1,2と端子BMとの間でマイナス側電流経路9bに接続されている。
【0027】
電池保護回路10は、端子VDDと端子VSSとの間の電源電圧Vdを監視する。電池保護回路10は、所定の過充電検出電圧VDET1よりも高い電源電圧Vdが検出されると、充電制御トランジスタ1をオフにする。電池保護回路10は、所定の過充電復帰電圧VRET1よりも低い電源電圧Vdが検出されると、充電制御トランジスタ1をオンにする。電池保護回路10は、所定の過放電検出電圧VDET2よりも低い電源電圧Vdが検出されると、放電制御トランジスタ2をオフにする。電池保護回路10は、所定の過放電復帰電圧VRET2よりも高い電源電圧Vdが検出されると、放電制御トランジスタ2をオンにする。
【0028】
次に、双方の電池パック100,200が過充電状態から復帰するときの動作について説明する。
【0029】
なお、説明の便宜上、電池パック100において、電池保護回路10、充電制御トランジスタ1、放電制御トランジスタ2を、それぞれ、IC1,SW1,SW2と定義する。同様に、電池パック200において、電池保護回路10、充電制御トランジスタ1、放電制御トランジスタ2を、それぞれ、IC2,SW3,SW4と定義する。また、電池パック100において、Bat1およびB1-は、それぞれ、電池パック100の二次電池70および電池パック100の端子BMを表す。電池パック200において、Bat2およびB2-は、それぞれ、電池パック200の二次電池70および電池パック200の端子BMを表す。
【0030】
図2は、双方の電池パック100,200それぞれの電池保護回路10に一比較形態に係る電池保護回路を適用した構成において、双方の電池パック100,200が過充電状態から復帰するときの波形を例示する図である。なお、図2は、端子PPを0ボルト基準とした波形を示す。
【0031】
電池パック100,200の双方の二次電池70が過充電になり、所定の過充電検出電圧VDET1よりも高い電源電圧Vdが検出されると、IC1は、SW1をオフにし、IC2は、SW3をオフする。
【0032】
過充電状態の電池パック100,200を通常状態へ復帰させる時、SW1のダイオード1aを経由して電池パック100の二次電池70を放電させ、SW3のダイオード1aを経由して電池パック200の二次電池70を放電させる必要がある。SW1,SW3がともにオフの過充電状態では、各々の二次電池70を各々のダイオード1a経由で放電できる。しかしながら、電池電圧が低下し、先に電池パック200の二次電池70が過充電から復帰すると、SW3のみがオンする。復帰した電池パック200の二次電池70についてのみ、放電が開始し、過充電状態の電池パック100の二次電池70については、SW1のダイオード1a経由での放電ができない。
【0033】
さらに放電が進み、電池パック200の出力電圧が低下すると、過充電状態の電池パック100の二次電池70についても、SW1のダイオード1a経由での放電が可能となる。これにより、電池パック100の二次電池70の電圧も下がり、過充電復帰電圧VRET1よりも低い電源電圧VdがIC1により検出されると、IC1はSW1をオフにし、電池パック100の二次電池70は過充電から復帰する。
【0034】
この時、先に復帰した電池パック200の電池電圧と後から復帰した電池パック100の電池電圧との間には、ダイオード放電分の電位差があることから、電池パック100が過充電復帰した時点で電池パック100と電池パック200との間に過大な電流Ip1が発生する。例えば、電池間のトータル抵抗を50mΩ、ダイオードの順方向電圧VFを0.7Vとすると、電池パック200の端子PMから電池パック100の端子PMへ流れる電流Ip1の電流値は、14A程度になる。
【0035】
一方、図3は、第1実施形態に係る電池保護回路10Aの構成例を示す図である。図4は、双方の電池パック100,200それぞれの電池保護回路10に第1実施形態に係る電池保護回路10Aを適用した構成において、双方の電池パック100,200が過充電状態から復帰するときの波形を例示する図である。なお、図4は、端子PPを0ボルト基準とした波形を示す。
【0036】
電池保護回路10Aは、電源電圧Vdが過充電検出電圧VDET1を超えてから過充電復帰電圧VRET1よりも低い状態に戻るまで、放電電流の流れる方向で端子B1-と端子PMとの電位差が一定になるように、充電制御トランジスタ1を飽和領域で制御する。これにより、電池パック200が過充電状態から復帰した後に電池パック100が過充電状態から復帰する時に、電池パック200と電池パック100との間の電池電圧の差を小さくできるので、復帰時の電池間の電流Ip1を抑えることができる。例えば、電池間トータル抵抗を50mΩ、差動アンプ21により一定に制御される電位差が50mVとすると、電流Ip1の電流値は、1A程度に抑えられる。
【0037】
電池保護回路10Aは、電源電圧Vdが過充電検出電圧VDET1よりも高い過充電状態が検出されると、端子VMの電位から端子VSSの電位を減じた差を一定値(例えば、50mV)に維持しながら、充電制御トランジスタ1に放電方向の電流を流す。これにより、二次電池70の放電を促進できる。
【0038】
図5は、双方の電池パック100,200それぞれの電池保護回路10に一比較形態に係る電池保護回路を適用した構成において、片方の電池パック100が過充電状態から復帰するときの波形を例示する図である。なお、図5は、端子PPを0ボルト基準とした波形を示す。
【0039】
電池パック100の二次電池70のみが過充電になり、所定の過充電検出電圧VDET1よりも高い電源電圧Vdが検出されると、IC1は、SW1をオフにする(IC2は、SW3をオンのまま維持)。
【0040】
過充電状態の電池パック100を通常状態へ復帰させる時、SW1のダイオード1aを経由して電池パック100の二次電池70を放電させる必要がある。双方の過充電状態からの復帰の場合と同様、電池パック200の出力電圧が、電池パック100の電池電圧よりもダイオードの順方向電圧分低くなり、電池パック100の電源電圧Vdが過充電復帰電圧VRET1よりも低くなれば、電池パック100は復帰する。
【0041】
したがって、電池パック100が過充電状態から復帰した時、ダイオード放電分の電位差が電池パック100と電池パック200との間にあることから、過充電復帰した時点で電池パック間に過大な電流Ip1が発生する。
【0042】
一方、図6は、双方の電池パック100,200それぞれの電池保護回路10に第1実施形態に係る電池保護回路10Aを適用した構成において、片方の電池パック100が過充電状態から復帰するときの波形を例示する図である。なお、図6は、端子PPを0ボルト基準とした波形を示す。
【0043】
電池パック100の電池保護回路10Aは、電源電圧Vdが過充電検出電圧VDET1を超えてから過充電復帰電圧VRET1よりも低い状態に戻るまで、放電電流の流れる方向で端子BMと端子PMとの電位差が一定になるように、充電制御トランジスタ1を飽和領域で制御する。これにより、電池パック100が過充電状態から復帰する時に、電池パック200と電池パック100との間の電池電圧の差を小さくできるので、復帰時の電池間の電流Ip1を抑えることができる。
【0044】
次に、双方の電池パック100,200が過放電状態から復帰するときの動作について説明する。
【0045】
図7は、双方の電池パック100,200それぞれの電池保護回路10に一比較形態に係る電池保護回路を適用した構成において、双方の電池パック100,200が過放電状態から復帰するときの波形を例示する図である。なお、図7は、端子PPを0ボルト基準とした波形を示す。
【0046】
電池パック100,200の双方の二次電池70が過放電になり、所定の過放電検出電圧VDET2よりも低い電源電圧Vdが検出されると、IC1は、SW2をオフにし、IC2は、SW4をオフする。
【0047】
過放電状態の電池パック100,200を通常状態へ復帰させる時、SW2のダイオード2aを経由して電池パック100の二次電池70を充電し、SW4のダイオード2aを経由して電池パック200の二次電池70を充電する必要がある。SW2,SW4がともにオフの過放電状態では、各々の二次電池70を各々のダイオード2a経由で充電できる。しかしながら、電池電圧が上昇し、先に電池パック200の二次電池70が過放電から復帰すると、SW4のみがオンする。復帰した電池パック200の二次電池70についてのみ、充電が開始し、過放電状態の電池パック100の二次電池70については、SW2のダイオード2a経由での充電ができない。
【0048】
さらに充電が進み、電池パック200の出力電圧が上昇すると、過放電状態の電池パック100の二次電池70についても、SW2のダイオード1a経由での充電が可能となる。これにより、電池パック100の二次電池70の電圧も上がり、過放電復帰電圧VRET2よりも高い電源電圧VdがIC1により検出されると、IC1はSW2をオフにし、電池パック100の二次電池70は過放電から復帰する。充電器91が接続されても、電池パックの出力電圧は上昇する。
【0049】
この時、先に復帰した電池パック200の電池電圧と後から復帰した電池パック100の電池電圧との間には、ダイオード放電分の電位差があることから、電池パック100が過放電復帰した時点で電池パック100と電池パック200との間に過大な電流Ip2が発生する。例えば、電池間のトータル抵抗を50mΩ、ダイオードの順方向電圧VFを0.7Vとすると、電池パック100の端子PMから電池パック200の端子PMへ流れる電流Ip2の電流値は、14A程度になる。
【0050】
一方、図8は、第1実施形態に係る電池保護回路10Aの構成例を示す図である。図9は、双方の電池パック100,200それぞれの電池保護回路10に第1実施形態に係る電池保護回路10Aを適用した構成において、双方の電池パック100,200が過放電状態から復帰するときの波形を例示する図である。なお、図9は、端子PPを0ボルト基準とした波形を示す。
【0051】
電池保護回路10Aは、電源電圧Vdが過放電検出電圧VDET2を下回ってから過放電復帰電圧VRET2よりも高い状態に戻るまで、充電電流の流れる方向で端子B1-と端子PMとの電位差が一定になるように、放電制御トランジスタ2を飽和領域で制御する。これにより、電池パック200が過放電状態から復帰した後に電池パック100が過放電状態から復帰する時に、電池パック200と電池パック100との間の電池電圧の差を小さくできるので、復帰時の電池間の電流Ip2を抑えることができる。例えば、電池間トータル抵抗を50mΩ、差動アンプ31により一定に制御される電位差が50mVとすると、電流Ip2の電流値は、1A程度に抑えられる。
【0052】
電池保護回路10Aは、電源電圧Vdが過放電検出電圧VDET2よりも低い過放電状態が検出されると、端子VSSの電位から端子VMの電位を減じた差を一定値(例えば、50mV)に維持しながら、放電制御トランジスタ2に充電方向の電流を流す。これにより、二次電池70の充電を促進できる。
【0053】
図10は、双方の電池パック100,200それぞれの電池保護回路10に一比較形態に係る電池保護回路を適用した構成において、片方の電池パック100が過放電状態から復帰するときの波形を例示する図である。なお、図10は、端子PPを0ボルト基準とした波形を示す。
【0054】
電池パック100の二次電池70のみが過放電になり、所定の過放電検出電圧VDET2よりも低い電源電圧Vdが検出されると、IC1は、SW2をオフにする(IC2は、SW4をオンのまま維持)。
【0055】
過放電状態の電池パック100を通常状態へ復帰させる時、SW2のダイオード2aを経由して電池パック100の二次電池70を充電する必要がある。双方の過放電状態からの復帰の場合と同様、電池パック200の出力電圧が、電池パック100の電池電圧よりもダイオードの順方向電圧分高くなり、電池パック100の電源電圧Vdが過放電復帰電圧VRET2よりも高くなれば、電池パック100は復帰する。
【0056】
したがって、電池パック100が過放電状態から復帰した時、ダイオード放電分の電位差が電池パック100と電池パック200との間にあることから、過放電復帰した時点で電池パック間に過大な電流Ip2が発生する。
【0057】
一方、図11は、双方の電池パック100,200それぞれの電池保護回路10に第1実施形態に係る電池保護回路10Aを適用した構成において、片方の電池パック100が過放電状態から復帰するときの波形を例示する図である。なお、図11は、端子PPを0ボルト基準とした波形を示す。
【0058】
電池パック100の電池保護回路10Aは、電源電圧Vdが過放電検出電圧VDET2を下回ってから過放電復帰電圧VRET2よりも高い状態に戻るまで、充電電流の流れる方向で端子BMと端子PMとの電位差が一定になるように、放電制御トランジスタ2を飽和領域で制御する。これにより、電池パック100が過放電状態から復帰する時に、電池パック200と電池パック100との間の電池電圧の差を小さくできるので、復帰時の電池間の電流Ip2を抑えることができる。
【0059】
図12は、第1実施形態に係る電池保護回路10Aの構成例をより詳細に示す図である。電池保護回路10Aは、過充電検出回路41、過充電復帰検出回路42、過放電検出回路43、過放電復帰検出回路44、過電流検出回路45を備える。
【0060】
過充電検出回路41は、所定の過充電検出電圧VDET1よりも高い電源電圧Vdが検出されている場合、過充電検出電圧VDET1よりも高い電源電圧Vdが検出されていることを表す過充電検出信号を出力する。また、過充電復帰検出回路42は、所定の過充電復帰電圧VRET1よりも低い電源電圧Vdが検出されている場合、過充電復帰電圧VRET1よりも低い電源電圧Vdが検出されていることを表す過充電復帰検出信号を出力する。過充電検出電圧VDET1は、過充電検出用の閾値であり、過充電復帰電圧VRET1は、過充電復帰検出用の閾値である。過充電復帰電圧VRET1は、過充電検出電圧VDET1よりも低い電圧値に設定される。
【0061】
過放電検出回路43は、所定の過放電検出電圧VDET2よりも低い電源電圧Vdが検出されている場合、過放電検出電圧VDET2よりも低い電源電圧Vdが検出されていることを表す過放電検出信号を出力する。また、過放電復帰検出回路44は、所定の過放電復帰電圧VRET2よりも高い電源電圧Vdが検出されている場合、過放電復帰電圧VRET2よりも高い電源電圧Vdが検出されていることを表す過放電復帰検出信号を出力する。過放電検出電圧VDET2は、過放電検出用の閾値であり、過放電復帰電圧VRET2は、過放電復帰検出用の閾値である。過放電復帰電圧VRET2は、過放電検出電圧VDET2よりも高い電圧値に設定される。
【0062】
過電流検出回路45は、端子VMと端子VSSとの間の電圧である監視電圧VIを監視して、端子PMと端子BMとの間に流れる過電流を検出する。
【0063】
過電流検出回路45は、所定の放電過電流検出電圧VDET3よりも高い監視電圧VIが検出されている場合、放電過電流が検出されていることを表す放電過電流検出信号を出力する放電過電流検出回路を有する。過電流検出回路45は、所定の放電過電流復帰電圧VRET3よりも低い監視電圧VIが検出されている場合、放電過電流が流れていないことを表す放電過電流復帰検出信号を出力する放電過電流復帰検出回路を有する。放電過電流検出電圧VDET3は、放電過電流検出用の閾値であり、放電過電流復帰電圧VRET3は、放電過電流復帰検出用の閾値である。
【0064】
過電流検出回路45は、所定の充電過電流検出電圧VDET4よりも低い監視電圧VIが検出されている場合、充電過電流が検出されていることを表す充電過電流検出信号を出力する充電過電流検出回路を有する。過電流検出回路45は、所定の充電過電流復帰電圧VRET4よりも高い監視電圧VIが検出されている場合、充電過電流が流れていないことを表す充電過電流復帰検出信号を出力する充電過電流復帰検出回路を有する。充電過電流検出電圧VDET4は、充電過電流検出用の閾値であり、充電過電流復帰電圧VRET4は、充電過電流復帰検出用の閾値である。
【0065】
電池保護回路10Aは、差動アンプ21、差動アンプ31、第1電位差制御回路20、第2電位差制御回路30を備える。
【0066】
差動アンプ21は、第1電位差検出回路の一例であり、端子BMと端子PMとの間(端子VSSと端子VMとの間)の電位差Δ1に応じて、第1電位差検出信号b1を出力する。差動アンプ31は、第2電位差検出回路の一例であり、端子BMと端子PMとの間(端子VSSと端子VMとの間)の電位差Δ2に応じて、第2電位差検出信号b2を出力する。
【0067】
第1電位差制御回路20は、過充電が過充電検出回路41により検出されている場合、第1電位差検出信号b1を充電制御トランジスタ1の制御端子にフィードバックして、二次電池70を放電させる方向の電流が充電制御トランジスタ1に流れるように電位差Δ1を制御する。これにより、上述のように、過充電状態で、電位差Δ1をダイオード1aの順方向電圧よりも低い値に制御できるので、上記の復帰時の過大な電流Ip1を抑制できる。
【0068】
第2電位差制御回路30は、過放電が過放電検出回路43により検出されている場合、第2電位差検出信号b2を放電制御トランジスタ2の制御端子にフィードバックして、二次電池70を充電する方向の電流が放電制御トランジスタ2に流れるように電位差Δ2を制御する。これにより、上述のように、過放電状態で、電位差Δ2をダイオード2aの順方向電圧よりも低い値に制御できるので、上記の復帰時の過大な電流Ip2を抑制できる。
【0069】
電池保護回路10Aは、充電制御回路22、第1切り替え回路23を備える。充電制御回路22は、過充電が過充電検出回路41により検出されていない場合、充電制御トランジスタ1の制御端子に、充電制御トランジスタ1を制御する充電制御信号a1を出力する。第1切り替え回路23は、過充電が過充電検出回路41により検出されると、充電制御トランジスタ1の制御端子に出力する信号を、充電制御信号a1から第1電位差検出信号b1に切り替える。これにより、過充電が検出されていない場合には、充電制御回路22は、充電制御信号a1によって、充電制御トランジスタ1をオンまたはオフに制御できる。
【0070】
第1切り替え回路23は、過充電の復帰が過充電復帰検出回路42により検出されると、充電制御トランジスタ1の制御端子に出力する信号を、第1電位差検出信号b1から充電制御信号a1に切り替える。これにより、過充電から復帰すると、充電制御回路22は、充電制御信号a1によって、充電制御トランジスタ1をオンまたはオフに制御できる。
【0071】
第1切り替え回路23は、充電過電流が過電流検出回路45により検出されている場合、充電制御トランジスタ1の制御端子に、充電制御トランジスタ1をオフさせる充電制御信号a1を出力する。これにより、充電制御回路22は、充電制御信号a1によって、充電過電流を遮断できる。
【0072】
電池保護回路10Aは、放電制御回路32、第2切り替え回路33を備える。放電制御回路32は、過放電が過放電検出回路43により検出されていない場合、放電制御トランジスタ2の制御端子に、放電制御トランジスタ2を制御する放電制御信号a2を出力する。第2切り替え回路33は、過放電が過放電検出回路43により検出されると、放電制御トランジスタ2の制御端子に出力する信号を、放電制御信号a2から第2電位差検出信号b2に切り替える。これにより、過放電が検出されていない場合には、放電制御回路32は、放電制御信号a2によって、放電制御トランジスタ2をオンまたはオフに制御できる。
【0073】
第2切り替え回路33は、過放電の復帰が過放電復帰検出回路44により検出されると、放電制御トランジスタ2の制御端子に出力する信号を、第2電位差検出信号b2から放電制御信号a2に切り替える。これにより、過放電から復帰すると、放電制御回路32は、放電制御信号a2によって、放電制御トランジスタ2をオンまたはオフに制御できる。
【0074】
第2切り替え回路33は、放電過電流が過電流検出回路45により検出されている場合、放電制御トランジスタ2の制御端子に、放電制御トランジスタ2をオフさせる放電制御信号a2を出力する。これにより、放電制御回路32は、放電制御信号a2によって、放電過電流を遮断できる。
【0075】
電池保護回路10Aは、充電器91の接続を検出する充電器接続検出回路50と、充電器接続検出回路50に接続される制御回路46とを備える。充電器接続検出回路50は、例えば、抵抗51、スイッチ52及びモニタ回路53を有する。制御回路46は、過放電が過放電検出回路43により検出されると、放電制御回路32の出力に基づいてスイッチ52をオンすることで、端子VMを、抵抗51を介して端子VDDの電位にプルアップする。これにより、端子PPと端子PMとの間がオープンであれば、端子VMの電位は、端子VDDの電位に固定され、充電器91が端子PPと端子PMとの間に接続されると、端子VMの電位は、充電器91の出力電圧分、端子VDDの電位よりも低下する。充電器接続検出回路50は、端子VMにおけるこの電位変化をモニタ回路53によってモニタすることで、充電器91の接続有無を検出する。
【0076】
制御回路46は、充電器91の接続が充電器接続検出回路50により検出され且つ過放電復帰が過放電復帰検出回路44により検出された場合、スイッチ52をオフすることで、端子VDDへの端子VMのプルアップを解除する。
【0077】
モニタ回路53は、スイッチ52によって端子VDDの電位にプルアップ可能な入力部を有する。モニタ回路53は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)インバータ回路である。
【0078】
端子PPと端子PMとの間に充電器91が接続されると、端子VMの電位は、端子VSSの電位以下に低下する。これにより、モニタ回路53のCMOSインバータの入力部は、ハイレベルからローレベルに変化し、モニタ回路53のCMOSインバータの出力部は、ローレベルからハイレベルに変化する。制御回路46は、モニタ回路53のCMOSインバータの出力がローレベルからハイレベルに変化することを検出することで、充電器91の接続を検知する。
【0079】
次に、差動アンプ21,31の動作について、より詳細に説明する。
【0080】
図13は、差動アンプの起動条件の一例を示す図である。充電異常及び放電異常が検出されていない状態(通常状態)では、差動アンプ21,31は、いずれも、使用されない(オフ状態)。過充電が検出された状態(過充電状態)では、差動アンプ31は使用されず(オフ状態)、差動アンプ21は使用される(オン状態)。この過充電状態では、端子BMと端子PMとの間の電位差Δ1が差動アンプ21のフィードバックにより制御される。過放電状態1(過放電が検出され、且つ、充電器の接続が検出され又は他の電池パックの出力がある状態)では、差動アンプ21は使用されず(オフ状態)、差動アンプ31は使用される(オン状態)。過放電状態1では、端子BMと端子PMとの間の電位差Δ2が差動アンプ31のフィードバックにより制御される。過放電状態2(並列接続の全ての電池パックで過放電が検出された状態(スタンバイ状態))では、差動アンプ21,31は、いずれも、使用されない(オフ状態)。
【0081】
図14は、過充電状態時に充電制御トランジスタを制御する差動アンプの動作を説明するための図である。差動アンプ21は、端子VM(端子PM)に接続される非反転入力部と、端子VSS(端子BM)よりも定電圧Va(例えば、+50mV)高い電位に接続される反転入力部と、充電制御トランジスタ1の制御端子に接続される端子COに接続される出力部とを有する。
【0082】
このような構成により、差動アンプ21は、端子PMが(端子BM+定電圧Va)よりも高い電位になろうとすると、充電制御トランジスタ1の制御端子に印加される出力電圧を上昇させる。これにより、飽和領域で動作する充電制御トランジスタ1の入出力インピーダンスは減少するので、端子PMの電位を低下させる負帰還をかけることができる。よって、差動アンプ21は、二次電池70を放電させる方向(端子PMから端子BMへの方向)の電流を充電制御トランジスタ1に流しながら、端子PMと端子BMとの間の電位差を定電圧Vaに制御できる。
【0083】
一方、差動アンプ21は、端子PMが(端子BM+定電圧Va)よりも低い電位になると、充電制御トランジスタ1の制御端子に印加される出力電圧を低下させるので、充電制御トランジスタ1の入出力インピーダンスは増加する。その結果、充電制御トランジスタ1は、オフ状態に遷移する。よって、差動アンプ21は、二次電池70を充電する方向(端子BMから端子PMへの方向)の電流を充電制御トランジスタ1のオフにより遮断できる。
【0084】
図15は、過放電状態時に放電制御トランジスタを制御する差動アンプの動作を説明するための図である。差動アンプ31は、端子VSS(端子BM)に接続される非反転入力部と、端子VM(端子PM)よりも定電圧Vb(例えば、+50mV)高い電位に接続される反転入力部と、放電制御トランジスタ2の制御端子に接続される端子DOに接続される出力部とを有する。
【0085】
このような構成により、差動アンプ31は、端子PMが(端子BM-定電圧Vb)よりも低い電位になろうとすると、放電制御トランジスタ2の制御端子に印加される出力電圧を上昇させる。これにより、飽和領域で動作する放電制御トランジスタ2の入出力インピーダンスは減少するので、端子PMの電位を上昇させる負帰還をかけることができる。よって、差動アンプ31は、二次電池70を充電する方向(端子BMから端子PMへの方向)の電流を放電制御トランジスタ2に流しながら、端子BMと端子PMとの間の電位差を定電圧Vbに制御できる。
【0086】
一方、差動アンプ31は、端子PMが(端子BM-定電圧Vb)よりも高い電位になると、放電制御トランジスタ2の制御端子に印加される出力電圧を低下させるので、放電制御トランジスタ2の入出力インピーダンスは増加する。その結果、放電制御トランジスタ2は、オフ状態に遷移する。よって、差動アンプ31は、二次電池70を放電する方向(端子PMから端子BMへの方向)の電流を放電制御トランジスタ2のオフにより遮断できる。
【0087】
図16は、第1実施形態に係る二次電池保護回路の状態遷移を例示する図である。図12を参照して、図16について説明する。
【0088】
通常状態は、過充電及び過放電が検出されていない状態である。通常状態では、充電制御回路22は、端子COに出力する信号として充電制御信号a1を第1切り替え回路23により選択し、充電制御トランジスタ1をオンさせるハイレベルの充電制御信号a1を端子COに出力する。また、通常状態では、放電制御回路32は、端子DOに出力する信号として放電制御信号a2を第2切り替え回路33により選択し、放電制御トランジスタ2をオンさせるハイレベルの放電制御信号a2を端子DOに出力する。
【0089】
通常状態において、過充電が過充電検出回路41により検出されると(過充電検出信号が出力されると)、電池保護回路10Aの動作状態は、通常状態から過充電状態に遷移する。過充電状態は、過充電が過充電検出回路41により検出されている状態(過充電検出信号が出力されている状態)である。過充電状態では、充電制御回路22は、端子COに出力する信号として第1電位差検出信号b1を第1切り替え回路23により選択し、充電制御トランジスタ1を飽和領域で動作させる第1電位差検出信号b1を端子COに出力する。一方、過充電状態では、放電制御回路32は、通常状態と同じ動作をする。
【0090】
過充電状態において、過充電復帰が過充電復帰検出回路42により検出されると(過充電復帰検出信号が出力されると)、電池保護回路10Aの動作状態は、過充電状態から通常状態に復帰する。
【0091】
通常状態において、過放電が過放電検出回路43により検出されると(過放電検出信号が出力されると)、電池保護回路10Aの動作状態は、通常状態から過放電状態に遷移する。過放電状態は、過放電が過放電検出回路43により検出されている状態(過放電検出信号が出力されている状態)である。過放電状態では、放電制御回路32は、端子DOに出力する信号として第2電位差検出信号b2を第2切り替え回路33により選択し、放電制御トランジスタ2を飽和領域で動作させる第2電位差検出信号b2を端子DOに出力する。一方、過放電状態では、充電制御回路22は、通常状態と同じ動作をする。また、過放電状態では、制御回路46は、充電器接続検出回路50のスイッチ52をオンすることで、端子VMを端子VDDの電位にプルアップする。
【0092】
過放電状態に遷移すると、その遷移時点では充電器91は接続されていないはずなので、電池保護回路10Aは、スタンバイ状態に遷移し、過放電復帰検出回路44をシャットダウンする。例えば、過放電状態において、充電器91の接続が充電器接続検出回路50により検出されない状態が所定時間以上継続すると、電池保護回路10Aの動作状態は、過放電状態からスタンバイ状態に遷移する。
【0093】
スタンバイ状態では、放電制御回路32は、端子DOに出力する信号として放電制御信号a2を第2切り替え回路33により選択し、放電制御トランジスタ2をオフ状態にするローレベルの放電制御信号a2を端子DOに出力する。一方、スタンバイ状態では、充電制御回路22は、過放電状態と同じ動作をする。
【0094】
スタンバイ状態において、充電器91の接続が充電器接続検出回路50により検出されると、スタンバイ状態が解除されて過放電復帰検出回路44は起動し、電池保護回路10Aの動作状態は、スタンバイ状態から過放電状態に遷移する。スタンバイ状態から過放電状態に遷移すると、第2電位差制御回路30及び過放電復帰検出回路44が動作する。これにより、過放電状態において、第2電位差検出信号b2による放電制御トランジスタ2の飽和領域でのフィードバック動作が可能となるとともに、過放電復帰の検出が可能となる。過放電復帰が過放電復帰検出回路44により検出されると(過放電復帰検出信号が出力されると)、電池保護回路10Aの動作状態は、過放電状態から通常状態に復帰する。
【0095】
<第2実施形態>
図17は、第2実施形態に係る電池保護回路10Bの構成例をより詳細に示す図である。第2実施形態に係る電池保護回路10Bは、電流経路9aに直列に挿入された充電制御トランジスタ1及び放電制御トランジスタ2によって二次電池70を保護する点で、第1実施形態に係る電池保護回路10Aと異なる。第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで省略する。
【0096】
第2実施形態では、トランジスタ1,2は、例えば、Pチャネル型のMOSFETである。電池保護回路10Bは、例えば、充電制御端子(端子CO)、放電制御端子(端子DO)、監視端子(端子VP)、電源端子(端子VDD)及びグランド端子(端子VSS)を備える。
【0097】
端子VPは、端子PPの電位の監視に使用され、端子PPに接続されている。端子VPは、例えば、電池保護回路10B内の充電器接続検出回路50が負荷90又は充電器91の接続の有無を監視するのに使用され、トランジスタ1,2と端子PPとの間でプラス側電流経路9aに接続されている。
【0098】
過電流検出回路45は、端子VPと端子VDDとの間の電圧である監視電圧VIを監視して、端子PPと端子BPとの間に流れる過電流を検出する。
【0099】
放電制御トランジスタ2のオフにより二次電池70の放電が停止し且つスイッチ52のオンにより端子VPが端子VSS端子にプルダウンされている状態を、プルダウン状態pdと定義する。プルダウン状態pdでは、端子VPの電位は、スイッチ52のオンにより、端子VSSの電位に低下している。このプルダウン状態pdにおいて、端子PPと端子PMとの間に充電器91が接続されると、端子VPの電位は、端子VDDの電位以上に上昇する。したがって、充電器接続検出回路50は、プルダウン状態pdにおいて、端子VPの電位が所定の基準電位Vvpよりも上昇したことをモニタ回路53によって検出した場合、充電器91が接続されたと判定できる。
【0100】
図18は、過充電状態時に充電制御トランジスタを制御する差動アンプの動作を説明するための図である。差動アンプ21は、端子VP(端子PP)に接続される非反転入力部と、端子VDD(端子BP)よりも定電圧Va(例えば、+50mV)低い電位に接続される反転入力部と、充電制御トランジスタ1の制御端子に接続される端子COに接続される出力部とを有する。
【0101】
このような構成により、差動アンプ21は、端子PPが(端子BP-定電圧Va)よりも低い電位になろうとすると、充電制御トランジスタ1の制御端子に印加される出力電圧を低下させる。これにより、飽和領域で動作する充電制御トランジスタ1の入出力インピーダンスは減少するので、端子PPの電位を上昇させる負帰還をかけることができる。よって、差動アンプ21は、二次電池70を放電させる方向(端子BPから端子PPへの方向)の電流を充電制御トランジスタ1に流しながら、端子BPと端子PPとの間の電位差を定電圧Vaに制御できる。
【0102】
一方、差動アンプ21は、端子PPが(端子BP-定電圧Va)よりも高い電位になると、充電制御トランジスタ1の制御端子に印加される出力電圧を上昇させるので、充電制御トランジスタ1の入出力インピーダンスは増加する。その結果、充電制御トランジスタ1は、オフ状態に遷移する。よって、差動アンプ21は、二次電池70を充電する方向(端子PPから端子BPへの方向)の電流を充電制御トランジスタ1のオフにより遮断できる。
【0103】
図19は、過放電状態時に放電制御トランジスタを制御する差動アンプの動作を説明するための図である。差動アンプ31は、端子VDD(端子BP)に接続される反転入力部と、端子VP(端子PP)よりも定電圧Vb(例えば、+50mV)低い電位に接続される非反転入力部と、放電制御トランジスタ2の制御端子に接続される端子DOに接続される出力部とを有する。
【0104】
このような構成により、差動アンプ31は、端子PPが(端子BP+定電圧Vb)よりも高い電位になろうとすると、放電制御トランジスタ2の制御端子に印加される出力電圧を低下させる。これにより、飽和領域で動作する放電制御トランジスタ2の入出力インピーダンスは減少するので、端子PPの電位を低下させる負帰還をかけることができる。よって、差動アンプ31は、二次電池70を充電する方向(端子PPから端子BPへの方向)の電流を放電制御トランジスタ2に流しながら、端子PPと端子BPとの間の電位差を定電圧Vbに制御できる。
【0105】
一方、差動アンプ31は、端子PPが(端子BP+定電圧Vb)よりも低い電位になると、放電制御トランジスタ2の制御端子に印加される出力電圧を上昇させるので、放電制御トランジスタ2の入出力インピーダンスは増加する。その結果、放電制御トランジスタ2は、オフ状態に遷移する。よって、差動アンプ31は、二次電池70を放電する方向(端子BPから端子PPへの方向)の電流を放電制御トランジスタ2のオフにより遮断できる。
【0106】
以上、二次電池保護回路、電池パック、電池システム及び二次電池保護方法を実施形態により説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が、本発明の範囲内で可能である。
【0107】
また、例えば、充電制御トランジスタ1と放電制御トランジスタ2の配置位置は、図示の位置に対して互いに置換されてもよい。また、スイッチ回路3は、電池保護回路10に内蔵されてもよい。
【符号の説明】
【0108】
1 充電制御トランジスタ
2 放電制御トランジスタ
3 スイッチ回路
10,10A,10B 電池保護回路
20 第1電位差制御回路
21 差動アンプ
22 充電制御回路
23 第1切り替え回路
30 第2電位差制御回路
31 差動アンプ
32 放電制御回路
33 第2切り替え回路
41 過充電検出回路
42 過充電復帰検出回路
43 過放電検出回路
44 過放電復帰検出回路
45 過電流検出回路
46 制御回路
50 充電器接続検出回路
70 二次電池
80 電池保護装置
100,200 電池パック
301 電池システム
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図10
図11
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