(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174720
(43)【公開日】2022-11-24
(54)【発明の名称】ポリイミド微粒子
(51)【国際特許分類】
C08G 73/10 20060101AFI20221116BHJP
C08L 79/08 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
C08G73/10
C08L79/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063934
(22)【出願日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】17/317,096
(32)【優先日】2021-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100136249
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 貴光
(72)【発明者】
【氏名】ホジャット・セイエド・ジャマリ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレリー・エム.・ファルジア
【テーマコード(参考)】
4J002
4J043
【Fターム(参考)】
4J002CM041
4J002GB00
4J002GC00
4J002GD00
4J002GF00
4J002GG01
4J002GG02
4J002GJ01
4J002GM00
4J002GN00
4J002GQ00
4J043PA04
4J043PA19
4J043QB15
4J043QB26
4J043QB31
4J043QC02
4J043RA05
4J043RA34
4J043RA35
4J043SA06
4J043SA44
4J043SA47
4J043SA52
4J043SA54
4J043SB01
4J043TA22
4J043TA70
4J043TA71
4J043TA78
4J043TB01
4J043UA121
4J043UA261
4J043UA381
4J043UA412
4J043UA681
4J043UB011
4J043UB121
4J043UB301
4J043UB302
4J043UB401
4J043XA19
4J043YA06
4J043YA24
4J043ZA60
4J043ZB03
4J043ZB05
4J043ZB11
4J043ZB47
4J043ZB51
(57)【要約】 (修正有)
【課題】選択的レーザー焼結(SLS)に好ましい寸法の球状粒子に成形することが可能な、変性ポリイミド微粒子の産生方法を提供する。
【解決手段】ポリイミド微粒子を産生するための方法は、第1の乾性高沸点溶剤中でジアミン及び二無水物を混ぜ合わせることと、ジアミン及び二無水物を反応させて、ポリ(アミド酸)(PAA)及び第1の乾性高沸点溶剤を含む混合物を産生することと、乳化安定剤を使用して、第1の乾性高沸点溶剤と不混和性であるマトリックス流体中で混合物を乳化して、油中油型エマルションである前駆体エマルションを形成することと、形成中及び/又は形成後に、PAAを重合してポリイミド微粒子を形成するのに十分な温度に前駆体エマルションを加熱することと、を含み得る。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
第1の乾性高沸点溶剤中でジアミン及び二無水物を混ぜ合わせることと、
前記ジアミン及び前記二無水物を反応させて、ポリ(アミド酸)(PAA)及び前記第1の乾性高沸点溶剤を含む混合物を産生することと、
乳化安定剤を使用して、前記第1の乾性高沸点溶剤と不混和性であるマトリックス流体中で前記混合物を乳化して、油中油型エマルションである前駆体エマルションを形成することと、
形成中及び/又は形成後に、前記PAAを重合してポリイミド微粒子を形成するのに十分な温度に前記前駆体エマルションを加熱することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記ジアミンは、p-フェニレンジアミン;エチレンジアミン;プロピレンジアミン;トリメチレンジアミン;ジエチレントリアミン;トリエチレンテトラミン;ヘキサメチレンジアミン;ヘプタメチレンジアミン;オクタメチレンジアミン;ノナメチレンジアミン;デカメチレンジアミン;1,12-ドデカンジアミン;1,18-オクタデカンジアミン;3-メチルヘプタメチレンジアミン;4,4-ジメチルヘプタメチレンジアミン;4-メチルノナメチレンジアミン;5-メチルノナメチレンジアミン;2,5-ジメチルヘキサメチレンジアミン;2,5-ジメチルヘプタメチレンジアミン;2,2-ジメチルプロピレンジアミン;N-メチル-ビス(3-アミノプロピル)アミン;3-メトキシヘキサメチレンジアミン;1,2-ビス(3-アミノプロポキシ)エタン;ビス(3-アミノプロピル)スルフィド;トランス-1,4-シクロヘキサンジアミン;ビス-(4-アミノシクロヘキシル)メタン;m-フェニレンジアミン;p-フェニレンジアミン;2,4-ジアミノトルエン;2,6-ジアミノトルエン;m-キシリレンジアミン;p-キシリレンジアミン;2-メチル-4,6-ジエチル-1,3-フェニレン-ジアミン;5-メチル-4,6-ジエチル-1,3-フェニレン-ジアミン;ベンジジン;3,3’’-ジメチルベンジジン;3,3’’ジメトキシベンジジン;1,5-ジアミノナフタレン;ビス(4-アミノフェニル)メタン;ビス(2-クロロ-4-アミノ-3,5-ジエチルフェニル)メタン;ビス(4-アミノフェニル)プロパン;2,4-ビス(b-アミノ-t-ブチル)トルエン;ビス(p-b-アミノ-t-ブチルフェニル)エーテル;ビス(p-b-メチル-o-アミノフェニル)ベンゼン;ビス(p-b-メチル-o-アミノペンチル)ベンゼン;1,3-ジアミノ-4-イソプロピルベンゼン;ビス(4-アミノフェニル)スルフィド;ビス(4-アミノフェニル)スルホン;ビス(4-アミノフェニル)エーテル;1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン;2,3,5,6-テトラメチル-1,4-フェニレンジアミン;2,6-ジアミノトリプチセン;4,4’-オキシジアニリン;3,4’-オキシジアニリン;4,4’-ジアミノジフェニルスルホン;2,5-ジメチル-1,4-フェニレンジアミン;4,4’-メチレンジアニリン;5-アミノ-2-(4-アミノベンゼン)ベンズイミダゾール;2,2’-ジメチルベンジジン;4,4’-ジアミノベンズアニリド;2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン;2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン;1R,2R-ジアミノシクロヘキサン;1,3-ジアミノアダマンタン;ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン;5-tert-ブチルジメチルシリルアミノ-N-tert-ブチルジメチル-シリル-1,3,3-トリメチル-シクロヘキサンエチルアミン;2,5-ジアミノ-2,5-ジデオキシ-1,4:3,6-ジアンヒドロイジトール;2,5-ジアミノ-2,5-ジデオキシ-1,4:3,6-ジアンヒドロソルビトール;N,N-ビス(3-アミノ-プロピル)-メチルアミン;エチレンジアミン;1,3-ジアミノプロパン;1,4-ジアミノブタン;1,6-ジアミノヘキサン;ポリ(プロピレングリコール)ビス(2-アミノプロピルエーテル);2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン;2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビシクロヘキシルメタン;4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン);4,4’-ヘキサフルオロイソプロピリデンビス(シクロ-ヘキシルアミン);4,4’-メチレンビス(2-メチルシクロヘキシルアミン);ビス(4-アミノ-3-エチルシクロヘキシル)メタン;3,3’-ジアミノ-1,1’-ジアダマンタン;トランス-11,12-ジアミノ-9,10-ジヒドロ-9,10-エタノアントラセン;4,4’-ジアミノジフェニルエタン;4,4’-(シクロヘキサン-1,4-ジイルビス(スルファンジイル))ジアニリン;1,4-ビス[2-アミノ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]ピペラジン;4,4’-ジアミノ-α-トルキシルレートジメチル,4’,4’’-[(ペルフルオロシクロブタン-1,2-ジイル)ビス(オキシ)]ビス((1,1’-ビフェニル)-4-アミン);5,5’-イソプロピリデンビス(2-フルフリルアミン),1,1-ビス(4-アミノフェニル)シクロヘキサン;1,1-ビス(4-アミノフェニル)-4-メチルシクロヘキサン;1,1-ビス(4-アミノフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン;2,2-ビス(4-アミノフェニル)ノルボルナン;1,1-ビス[4-(2-トリフルオロメチル-4-アミノ-フェノキシ)フェニル]-4-tert-ブチルシクロヘキサン;3,3-ビス(4-アミノフェニル)キナクリジン;(+)-シス-1,3-ビス(4-アミノ-2(トリフルオロメチル)フェノキシルメチレン)-1,2,2-トリメチルシクロペンタン;1,3-ビス(4-アミノフェノキシメチレン)-1,2,2-トリメチルクロペンタン;1,4:3,6-ジアンヒドロ-2,5-ジ-O-(4-アミノフェニル)-D-マンニトール;1,4:3,6-ジアンヒドロ-2,5-ジ-O-(4-アミノフェニル)-D-ソルビトール;2,5-ビス(2-トリフルオロメチル-4-アミノ-フェノキシ)-1,4:3,6-ジアンヒドロソルビトール;2,5-ビス(2-メチル-4-アミノ-フェノキシ)-1,4:3,6-ジアンヒドロソルビトール;1,6-ビス(4-アミノフェニル)ダイヤマンチン;4,9-ビス(4-アミノフェニル)ダイヤマンチン;(5R,11R)-6H,12H-5,11-メタノジベンゾ[b,f][1,5]ジアゾシン-2,8-ジアミン;(5S,11S)-6H,12H-5,11-メタノジベンゾ[b,f][1,5]ジアゾシン-2,8-ジアミン;4,10-ジメチル-6H,12H-5,11-メタノジベンゾ[b,f][1,5]ジアゾシン-2,8-ジアミン;4,10-ジメチル-6H,12H-5,11-メタノジベンゾ[b,f][1,5]ジアゾシン-3,9-ジアミン;2,8-ジブロモ-1,4,7,10-テトラメチル-3,9-ジアミノ-6,12-ジヒドロ-5,11-メタノジベンゾ[b,f][1,5]ジアゾシン;2,4,8,10-テトラメチル-1,7-ジアミノ-6,12-ジヒドロ-5,11-メタノジベンゾ[b,f][1,5]ジアゾシン;2,8-ジアミノ-1,3,7,9-テトラメチル-6H,12H-5,11-メタノジベンゾ-[b,f][1,5]ジアゾシン;1,7-ジアミノ-6H,12H-5,11-メタノジベンゾ[1,5]ジアゾシン-2,8-ジオール;3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビスインダン-5,5’-ジアミノ-6,6’-ジオール,5(6),5’(6’)-ジアミノ-3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビスインダン;6,6’-ビス-[2’’-トリフルオロメチル4’’-(4’’’-アミノフェニル)フェノキシ]-3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビインダン;4,4’-((3,3,3’,3’-テトラメチル-2,2’,3,3’-テトラヒドロ-1,1’-スピロビ[インデン]-6,6’-ジイル)ビス(オキシ))ビス(2-メトキシアニリン);3,3,3’,3’-テトラメチル-2,2’,3,3’-テトラヒドロ-1,1’-スピロビ[シクロペンタ[b]フェナジン]-7,7’-ジアミン;1-(4-アミノフェニル)-5(6)-アミノインダン;4’-[4-[6-[[4’-アミノ-3-(トリフルオロメチル)[1,1’-ビフェニル]-4-イル]オキシ]-2,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-1H-インデン-1-イル]フェノキシ]-3’-(トリフルオロメチル)-[1,1’-ビフェニル]-4-アミン;2,6(7)-ジアミノ-9,10-ジメチル-9,10-ジヒドロ-9,10-エタノアントラセン;2,8-ジメチル-3,9-ジアミノ-5,6,11,12-テトラヒドロ-5,11-メタノジベンゾ[a,e][8]アヌレン;スピロ-(アダマンタン-2,9’(2’,7’-ジアミノ)-フルオレン),2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)アダマンチン;2,2-ビス(4-アミノフェニル)アダマンチン;1,3-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]アダマンチン;トランス-ジ(アミノベンゾ)-18-クラウン-6,2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノ-ビフェニル,4,9-ジオキサ-1,12-ドデカンジアミン;4,7,10-トリオキサ-1,13-トリデカンジアミン;及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記二無水物は、ピロメリト酸二無水物、2,2-ビス(4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル)プロパン二無水物;4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物;4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物;4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物;4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物;2,2ビス(4-(2,3-ジカルボキシフェノキシ)フェニル)プロパン二無水物;4,4’-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物;4,4’-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物;4,4’-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物;4,4’-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物;4-(2,3-ジカルボキシフェノキシ)-4’-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニル-2,2-プロパン二無水物;4-(2,3-ジカルボキシフェノキシ)-4’-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物;4-(2,3-ジカルボキシフェノキシ)-4’-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物;4-(2,3-ジカルボキシフェノキシ)-4’-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物;4-(2,3-ジカルボキシフェノキシ)-4’-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物;1,2,4,5-ベンゼンタトラカルボン酸二無水物;1S,2R,4S,5R-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物;1S,2S,4R,5R-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物;1R,2S,4S,5R-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物;ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-エンド,3-エンド,5-エキソ,6-エキソ-テトラカルボン酸2,3:5,6-二無水物;ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-エキソ,3-エキソ,5-エキソ,6-エキソ-2,3:5,6-二無水物、シス-1,2,3,4-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物;トランス-1,2,3,4-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物;ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-エンド,3-エンド,5-エキソ,6-エキソ-テトラカルボン酸2:3,5:6-二無水物;ビシクロ[2.2.l]ヘプタン-2-エキソ,3-エキソ,5-エキソ,6-エキソ-テトラカルボン酸2:3,5:6-二無水物;(4arH,8acH)-デカヒドロ-1t,4t:5c,8c-ジメタノナフタレン-2c,3c,6c,7c-テトラカルボン酸2,3:6,7-二無水物;(4arH,8acH)-デカヒドロ-1t,4t:5c,8c-ジメタノ-ナフタレン-2t,3t,6c,7c-テトラカルボン酸2,3:6,7-二無水物;rel[1S,5R,6R]-3-オキサビシクロ[3.2.1]オクタン-2,4-ジオン-6-スピロ-3’-(テトラヒドロフラン-2’,5’-ジオン),ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-エキソ,3-エキソ,5-エキソ-トリカルボキシル-5-エンド-酢酸二無水物;ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-エキソ,3-エキソ,5-エンド-トリカルボキシル-5-エキソ-酢酸無水物;1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物;ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物;ビシクロ-[2.2.2]オクト-7-エン-2-エキソ,3-エキソ,5-エキソ,6-エキソ-2,3:5,6-二無水物;1,8-ジメチルビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物;ビシクロ[4.2.0]オクタン-3,4,7,8-テトラカルボン酸二無水物;ビシクロ[4.2.0]オクタン-3,4,7,8-テトラカルボン酸二無水物;rel-(1R,1’S,3R,3’S,4S,4’R)-ジシクロヘキシル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物;rel-(1R,1’S,3R,3’S,4R,4’S)-ジシクロヘキシル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物;ジシクロヘキシル-1R,1’S,2S,2R’,3R,3S’-テトラカルボン酸二無水物;ジシクロヘキシル-2,3’,3,4’-テトラカルボン酸二無水物;5,5’-オキシビス(ヘキサヒドロ-1,3-イソベンゾフランジオン);5,5’-(1-メチルエチリデン)ビス[ヘキサヒドロ-1,3-イソベンゾフランジオン];5,5’-メチレンビス(ヘキサヒドロ-1,3-イソベンゾフランジオン);5,5’-カルボニルビス(ヘキサヒドロイソベンゾフラン-1,3-ジオン);1,2,3,4-シクロペンタネテトラカンボン酸二無水物;1,2-ビス(4’-オキサ-3’,5-ジオキソトリシクロ-[4.3.0.12,5]デカン-8’-イルオキシ)エタン;1,3-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタン-テトラカルボン酸二無水物;1,2,3,4-テトラメチル-1,2,3,4-シクロブタネテトラ-カルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロヘキサノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物;シクロペンタノンビス-スピロ-ノルボルナンテトラカルボン酸二無水物;1,2,4-シクロペンタントリカルボン酸-3-(カルボキシ-メチル)-1,4:2,3-二無水物;3,3’-(1,4-ピペラジンジイル)ビス[ジヒドロ-2,5-フランジオン];ビシクロ[2.2.1]-ヘプタン-2-メタンカルボキシル-3,5,6-トリカルボキシル-2,3:5,6-二無水物、2R,5R,7S,10S-ナフタンテトラカルボン酸二無水物;ペンタシクロ[8.2.1.14’702’903’8]テトラデカン-5,6,11,12-テトラカルボン酸二無水物;トリシクロ[4.2.2.02,5]デカ-7-エン-3,4,9,10-テトラカルボン酸3,4:9,10-二無水物;ドデカヒドロ-1H-4,11:5,9-ジメタノフルオレン[2,3-c:6,7-c’]ジフラン-1,3,6,8(3aH)-テトラオン;テトラデカヒドロ-4,10:5,9-ジメタノナフト[2’’,3’’:3,4;6’’,7’’:3’,4’]ジシクロブタ[1,2-c:1’,2’-c’]ジフラン-1,3,6,8-テトロン,1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物;5,5’-チオビス[ヘキサヒドロ-4,7-メタノイソベンゾフラン-1,3-ジオン];1,1,2,2-エタンテトラカルボン酸二無水物;5,5’-スルホニルビス(ヘキサヒドロ-4,7-エタノイソベンゾフラン-1,3-ジオン);5R,5’R-5,5’-エキソ-(1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルトリシロキサン-1,5-ジイル)ビスビシクロ[2.2.1]ヘプタン-エンド-2,3-ジカルボン酸無水物;5S,5’S-5,5’-エキソ-(1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルトリシロキサン-1,5-ジイル)ビスビシクロ[2.2.1]ヘプタン-エンド-2,3-ジカルボン酸無水物;及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ジアミンと前記二無水物との前記反応は、約40℃以下においてである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ジアミンと前記二無水物との前記反応は、約6時間~約48時間にわたる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ジアミン対前記二無水物の化学量論比は、約2:1~約1:2である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ジアミンと前記二無水物との前記反応を実行することは、
前記ジアミンを前記第1の乾性高沸点溶剤に溶解させることと、
前記ジアミンを溶解させた前記第1の乾性高沸点溶剤に前記二無水物を添加することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記乳化安定剤は界面活性剤及び/又はナノ粒子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記乳化安定剤は、前記ポリイミド粒子の表面にコーティングとして存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記PAAを重合するのに十分な温度は、約100℃~約250℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリイミド微小粒子を洗浄することと、
洗浄後に前記ポリイミド微粒子を乾燥させることと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリイミド微粒子は、約25°~約45°の安息角を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリイミド微粒子は、約15℃~約35℃の焼結ウィンドウを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
方法であって、
第1の乾性高沸点溶剤中でジアミン及び二無水物を混ぜ合わせることと、
前記ジアミン及び前記二無水物を反応させて、ポリ(アミド酸)(PAA)及び前記第1の乾性高沸点溶剤を含む混合物を産生することと、
前記混合物から前記PAAを抽出することと、
前記PAAを第2の乾性高沸点溶剤に溶解させて、PAA溶液を産生することと、
乳化安定剤を使用して、前記第1の乾性高沸点溶剤と不混和性であるマトリックス流体中で前記PAA溶液を乳化して、油中油型エマルションである前駆体エマルションを形成することと、
形成中及び/又は形成後に、前記PAAを重合してポリイミド微粒子を形成するのに十分な温度に前記前駆体エマルションを加熱することと、を含む、方法。
【請求項15】
前記ジアミンと前記二無水物との前記反応は、約40℃以下においてである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ジアミンと前記二無水物との前記反応は、約6時間~約48時間にわたる、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記ジアミン対前記二無水物の化学量論比は、約2:1~約1:2である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記乳化安定剤は、前記ポリイミド粒子の表面にコーティングとして存在する、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記PAAを重合するのに十分な温度は、約100℃~約250℃である、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
ポリイミドを含むポリイミド微粒子を含む組成物であって、前記ポリイミド微粒子は、(a)フレーク様構造、(b)リボン様構造、(c)、及び/又は相互接続された固化ポリマー溶融構造を含む多孔質の不規則な骨格形態を有する、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリイミド微粒子の合成及びポリイミド微粒子の用途などポリイミド微粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミドは、高度な耐熱特性及び耐薬品特性を有する高性能プラスチックである。したがって、ポリイミドは、高温燃料電池、フラットパネルディスプレイ、航空宇宙用途、絶縁コーティング、高温接着剤、及び更に多くの用途など多様な用途で使用される。
【0003】
積層造形(additive manufacturing)としても既知の三次元印刷は、物体の作製にますます使用されている。これは、その自由形状、ラピッドプロトタイピング、カスタマイズされた構成要素設計、及び低コストでの精密かつ複雑な「作製不可能な」アーキテクチャの作製のために、汎用的な技術プラットフォームとみなされる。積層造形は、限定するものではないが、医薬、電子機器、自動車、建設、軍事、及び航空宇宙など広範な用途分野を有するが、積層造形用途の汎用性及び継続的な拡大は、市場の要求に対処する様々な物理化学的特性を有する、新しい原料に対する需要を増加させる。
【0004】
最も重要な積層造形技術のうちの1つである選択的レーザー焼結(selective laser sintering、SLS)は、張り出し層用に追加の補助材料又は犠牲材料を必要としない自立式によって3D印刷の非常に複雑なパーツを可能にする紛体ベースの方法である。SLSでは、他の紛体ベースのAM技術のように、より良好な紛体流、より緩やかな紛体充填、及び改善された層拡散のために、球形のポリマー粒子が好ましい。SLS原料の種類は、射出成形など通常の加工法の原料よりもはるかに少ない。これは、SLS原料が、SLSプロセスに好適であるために満たす必要のある、多数の特定のパラメータを有するためである。ポリマー粒子の場合、3つのパラメータは、(a)ポリマー粒子が熱可塑性特性を示す程度、b)ポリマーが半結晶形態を示す程度、及び(c)約100マイクロメートル以下、好ましくは約50マイクロメートル以下の平均粒径である。
【0005】
ポリマー粒子の熱可塑性は、少なくとも粒子の表面において、ポリマーを可撓性にする、又は成形可能にし、これにより、隣接する粒子がレーザービーム下で融合することが可能になる。粒子のポリマーの半結晶形態の程度は、作製した物体の機械的特性に最も寄与する。ポリマー粒子の粒径は、SLSによる物体作製時に、より良好な紛体流及び紛体充填を可能にする。
【0006】
ポリイミドは、(a)高い耐薬品性、耐熱性、及び寸法安定性、(b)低い誘電率及び熱膨張係数、並びに(c)優れた機械的特性のために、興味深いクラスの高性能ポリマーである。これらの特徴のために、PIはSLS用途の有力候補となるが、ポリイミドをSLS原料に変換するときに考慮するべき重要な加工上の課題が存在する。
【0007】
概してポリイミドは、特に、熱硬化物として分類されることもある芳香族ポリイミド(アラミド)の場合、剛直なポリマー骨格を有する。溶融加工可能なポリイミドを産生するために、主としてポリイミドの化学構造への可撓性の長鎖脂肪族モノマー又はバルクモノマーの組み込みに基づいた、多くの試みがなされてきた。しかしながら、SLSに好ましい寸法の球状粒子に成形することは、これらの変性ポリイミドでさえも困難であり得る。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、ポリイミド微粒子の合成及びポリイミド微粒子の用途などポリイミド微粒子に関する。
【0009】
本明細書では、第1の乾性高沸点溶剤中でジアミン及び二無水物を混ぜ合わせることと、ジアミン及び二無水物を反応させて、ポリ(アミド酸)(poly(amic acid)、PAA)及び第1の乾性高沸点溶剤を含む混合物を産生することと、乳化安定剤を使用して、第1の乾性高沸点溶剤と不混和性であるマトリックス流体中で混合物を乳化して、油中油型エマルションである前駆体エマルションを形成することと、形成中及び/又は形成後に、PAAを重合してポリイミド微粒子を形成するのに十分な温度に前駆体エマルションを加熱することと、を含む方法について説明する。
【0010】
本明細書では、第1の乾性高沸点溶剤中でジアミン及び二無水物を混ぜ合わせることと、ジアミン及び二無水物を反応させて、PAA及び第1の乾性高沸点溶剤を含む混合物を産生することと、混合物からPAAを抽出することと、PAAを第2の乾性高沸点溶剤に溶解させて、PAA溶液を産生することと、乳化安定剤を使用して、第1の乾性高沸点溶剤と不混和性であるマトリックス流体中でPAA溶液を乳化して、油中油型エマルションである前駆体エマルションを形成することと、形成中及び/又は形成後に、PAAを重合してポリイミド微粒子を形成するのに十分な温度に前駆体エマルションを加熱することと、を含む方法について説明する。
【0011】
本明細書ではまた、(前述の方法の一方又は両方から産生される)ポリイミド微粒子を、任意選択的に、熱可塑性ポリマー粒子(好ましくは、類似のサイズ及び形状であるが、多孔質又は中実であり得る)と合わせて、(例えば、層及び/又は特定の形状で)表面に堆積させることと、堆積させると、ポリイミド微粒子の少なくとも一部を加熱して、その固結化を促進し、固結体(又は物体)を形成することと、を含む方法について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下の図は、本開示の特定の態様を例示するために含まれ、排他的な構成として見られるべきではない。開示される主題は、本開示の利益を有する当業者に想到されるような、形態及び機能において相当な修正、変更、組み合わせ、及び等価物が可能である。
【0013】
【
図1】ポリイミド粒子を産生するための本開示の実例となる、非限定的な例示的方法である。
【0014】
【
図2】ポリイミド粒子を産生するための本開示の別の実例となる、非限定的な例示的方法である。
【0015】
【
図3】本開示のポリイミド微粒子の示差走査熱量測定(differential scanning calorimetry、DSC)分析である。
【0016】
【
図4】本開示のポリイミド微粒子の光学顕微鏡画像である。
【0017】
【
図5A】本開示のポリイミド微粒子の走査型電子顕微鏡(scanning electron microscopy、SEM)画像である。
【
図5B】本開示のポリイミド微粒子の走査型電子顕微鏡(scanning electron microscopy、SEM)画像である。
【
図5C】本開示のポリイミド微粒子の走査型電子顕微鏡(scanning electron microscopy、SEM)画像である。
【0018】
【
図6】本開示のポリアミド微粒子の光学顕微鏡画像である。
【0019】
【
図7A】本開示のポリイミド微粒子のSEM画像である。
【
図7B】本開示のポリイミド微粒子のSEM画像である。
【0020】
【
図8】本開示のポリイミド微粒子の光散乱から得たヒストグラムである。
【0021】
【
図9A】本開示のポリイミド微粒子のSEM画像である。
【
図9B】本開示のポリイミド微粒子のSEM画像である。
【
図9C】本開示のポリイミド微粒子のSEM画像である。
【0022】
【
図10A】本開示のポリイミド微粒子の断面SEM画像である。
【
図10B】本開示のポリイミド微粒子の断面SEM画像である。
【
図10C】本開示のポリイミド微粒子の断面SEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示は、ポリイミド微粒子の合成及びポリイミド微粒子の用途などポリイミド微粒子に関する。より具体的には、本開示は、(a)重縮合によるポリ(アミド酸)(PAA)前駆体の産生、及び(b)ポリイミド微粒子へのPAA前駆体の油中油型エマルション重合を含む、方法、並びにそのような方法から生じる組成物を含む。有利には、油中油型エマルション重合の条件を制御することにより、産生されたポリイミド微粒子の平均粒径及び粒径スパンを調整することが可能になり得る。更に、本明細書に記載の方法によって産生されたポリイミド微粒子は、熱可塑性特性及び半結晶性特性、並びにSLS積層造形法における粉体材料に望ましいサイズを有し得る。
【0024】
本明細書に記載のポリイミド微粒子の形態は多孔質であり、これにより、ポリイミド微粒子は、SLS積層造形以外の用途において有用となることができる。この形態は、ポリイミドが、ゾル-ゲル及び/又はエアロゲルで見られるものに類似の、不規則な骨格を形成するような形態である。これは、連続気泡形態、独立気泡形態、及び位相的に秩序付けられた多孔質構造に見られるより規則的な骨格とは対照的である。多孔質の不規則な骨格形態は、相互接続されたフレーク様及び/又はリボン様構造(例えば、実施例の
図7D)及び/又は相互接続された固化ポリマー溶融構造(例えば、実施例の
図9C及び
図10B)を含み得る。ポリイミド微粒子の形態は、同一寸法の固体微粒子と比較して、当該微粒子の表面積を増加させる。これに高温安定性を組み合わせると、本明細書に記載のポリイミド微粒子は、触媒担体、高表面積膜、クロマトグラフィー(例えば、ガスクロマトグラフィー及び液体クロマトグラフィー)用のカラム充填材料、分離材料、クロマトグラフィー担体、吸着剤、低誘電性賦形剤、薬品送達、フォニックス結晶、ナノエレクトロニクス、バイオテクノロジ、生物医学用途(例えば、組織成長用骨格)用の担体、航空材料、航空宇宙材料、パーベーパレーション膜、光学デバイス、センサ材料、並びに複合材料及び/又はハイブリッド材料中でポリマーマトリックスを用いる他の用途などの用途で材料として用いるのに好適になり得る。
定義及び試験方法
【0025】
本明細書で使用するとき、「不混和性」という用語は、組み合わされたときに、周囲気圧及び室温で、又は室温で固体である場合は成分の融点で、互いに5重量%未満の溶融度を有する2つ以上の相を形成する成分の混合物を指す。例えば、10,000g/モルの分子量を有するポリエチレンオキシドは、室温で固体であり、65℃の融点を有する。したがって、室温で液体である材料及び当該ポリエチレンオキシドが65℃で5重量%未満の溶融度を有する場合、当該ポリエチレンオキシドは当該材料と不混和性である。
【0026】
ポリマーを-mer単位(例えば、ポリイミドモノマー)という用語で指すとき、当業者であれば、-mer単位がポリマー中で重合した形態にあることを理解するであろう。
【0027】
本明細書で使用するとき、「熱可塑性ポリマー」という用語は、加熱及び冷却において可逆的に軟化及び硬化するプラスチックポリマー材料を指す。熱可塑性ポリマーは、熱可塑性エラストマーを包含する。
【0028】
本明細書で使用するとき、「エラストマー」という用語は、結晶性「硬質」部分及び非晶性「軟質」部分を含むコポリマーを指す。ポリウレタンの場合、結晶性部分は、ウレタン官能性及び任意選択の鎖延長基を含むポリウレタンの一部分を含んでもよく、軟質部分は、例えば、ポリオールを含んでもよい。
【0029】
本明細書で使用するとき、「ポリウレタン」という用語は、ジイソシアネートと、ポリオールと、任意選択の鎖延長剤との間のポリマー反応生成物を指す。
【0030】
本明細書で使用するとき、「酸化物」という用語は、金属酸化物及び非金属酸化物の両方を指す。本開示の目的では、ケイ素は、金属であるとみなされる。
【0031】
本明細書で使用するとき、粒子(例えば、ナノ粒子)及びポリマー粒子の表面に関して「埋め込む」という用語は、ナノ粒子がポリマー粒子の表面上に単に置かれた場合よりも大きな程度に、ポリマーがナノ粒子と接触するように、粒子がポリマー粒子の表面に少なくとも部分的に延在していることを指す。
【0032】
以下本明細書では、D10、D50、D90、及び直径スパンは、粒径を記載するために主に使用される。本明細書で使用するとき、「D10」という用語は、粒子集団の10%(別途指定のない限り、体積ベースの分布に対して)に見出される粒径を指す。本明細書で使用するとき、「D50」、「平均粒径(average particle diameter)」、及び「平均粒径(average particle size)」という用語は、粒子集団の50%(別途指定のない限り、体積ベースの中央平均に対して)に見出される粒径を指す。本明細書で使用するとき、「D90」という用語は、粒子集団の90%(別途指定のない限り、体積ベースの分布に対して)に見出される粒径を指す。本明細書で使用するとき、粒径を指す際の「粒径スパン」及び「スパン」及び「スパンサイズ」という用語は、粒径分布の広がりの指標を提供し、(D90-D10)/D50として計算される。
【0033】
粒径及び粒径分布は、Malvern MASTERSIZER(商標)3000を使用した光散乱技術によって決定される。光散乱技術については、対照試料は、Malvern Analytical Ltd.から入手した商標名Quality Audit Standards QAS4002(商標)の15μm~150μmの範囲内の直径を有するガラスビーズであった。別途記載のない限り、試料は乾燥粉末として分析した。分析した粒子は、空気中に分散させ、MASTERSIZER(商標)3000により、AERO S(商標)乾燥粉体分散モジュールを使用して分析した。粒径は、サイズの関数としての体積密度のプロットから、計器ソフトウェアを使用して導出した。
【0034】
本明細書で使用するとき、篩過について言及する場合、孔/スクリーンサイズは、U.S.A.Standard Sieve(ASTM E11-17)により説明されているものである。
【0035】
本明細書で使用するとき、粒子に関する「真円度」という用語は、粒子が完全な球体にどの程度近いかを指す。真円度を測定するために、フロー粒子撮像を使用した光学顕微鏡画像を撮影する。顕微鏡画像面内の粒子の外周(P)及び面積(A)を(例えば、Malvern Instrumentsから入手可能なSYSMEX FPIA 3000粒子形状及び粒径分析器を使用して)計算する。粒子の真円度はCEA/Pであり、式中、CEAは、実際の粒子の面積(A)に相当する面積を有する円の外周である。本明細書では、真円度は、SysmexFPIA3000粒子形状及び粒子サイズ分析器による3回の分析に基づいており、1回ごとに6,000~10,000個の粒子を分析する。報告された真円度は、粒子数に基づいた中央平均真円度である。分析では、背景画素と粒子画素との間のグレースケールレベル(greyscale level)を区別するための閾値(例えば、不均一な照明条件を補正するため)を背景モーダル値の90%に設定した。
【0036】
本明細書で使用するとき、「剪断力」という用語は、流体中で機械的撹拌を誘導する撹拌又は類似のプロセスを指す。
【0037】
別途指定のない限り、ポリマーの融点は、ASTM E794-06(2018)により、昇温速度及び冷却速度10℃/分で決定する。
【0038】
別途指定のない限り、ポリマーの軟化温度又は軟化点は、ASTM D6090-17により決定される。軟化温度は、1℃/分の加熱速度で0.50グラムの試料を使用して、Mettler-Toledoから入手可能なカップアンドボール装置を使用することで測定することができる。
【0039】
安息角は、粉体の流動性の尺度である。安息角の測定値は、ASTM D6393-14「Standard Test Method for Bulk Solids Characterized by Carr Indices」を使用するHosokawa MicronのPowder Characteristics Tester PT-Rを使用して決定した。
【0040】
ハウスナー比(Hr)は、粉体の流動性の尺度であり、Hr=ρtap/ρbulkにより計算し、式中、ρbulkは、ASTM D6393-14による嵩密度であり、ρtapはASTM D6393-14によるタップ密度である。
【0041】
本明細書で使用するとき、分散媒の粘度は、別途記載のない限り、ASTM D445-19により測定して、25℃での動粘度である。商業的に調達された分散媒(例えば、ポリジメチルシロキサン油)については、本明細書に引用される動粘度データは、前述のASTM又は別の標準的な測定技法に従って測定されるかどうかにかかわらず、製造業者によって提供された。
【0042】
別途指定のない限り、結晶化温度(℃)は、ASTM D3417により決定される。結晶化温度は、ポリマーが、自然に又は人工的に開始されたプロセスで結晶化(すなわち、凝固)して構造形態になる温度であり、原子又は分子は、結晶へと高度に編成される。結晶化温度は、示差走査熱量測定(DSC)によって測定され得る。DSCは、ポリマーの溶融に必要な熱に基づいてポリマー結晶化度を決定するための迅速な方法を提供する。
【0043】
別途指定のない限り、ポリマーの結晶化度(%)は、ASTM D3417によって、1,3-ビス(3,3’-4,4’-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン(二無水物R)及び4,4’-ビス(4アミノフェノキシ)ビフェニル(ジアミンBAPB)に基づいたポリイミドR-BAPBの100%結晶化度の基準(ΔH=98J/g)を用いて、ポリマーの溶融(融合)に関連する熱を定量化することによって決定される。
【0044】
ポリイミド微粒子の合成及び組成物
【0045】
概して、ポリイミド微粒子を産生するための本明細書に記載の方法は、最初にポリ(アミド酸)(PAA)を合成することと、次いでPAAを熱重合して(ただし、PAAは油中油型エマルションの内相の一部である)ポリイミド微粒子を産生することとを含む。
【0046】
図1は、本明細書に記載のポリイミド微粒子の産生のための非限定的な例示的方法100を示すフローチャートである。この例では、ジアミン102及び二無水物104は、高沸点溶剤106中で混ぜ合わされ(108)、ジアミン102及び二無水物104を反応させてPAAを形成する、重縮合反応条件に曝露される(110)。概して、ジアミンと二無水物との間での重縮合反応は、周囲温度及び圧力において生じる。したがって、ジアミン102及び二無水物104が混ぜ合わされる(108)と、重縮合反応が生じ得る。混ぜ合わせ中(108)に生じる反応を軽減するために、混ぜ合わせ中に温度が低下され得る(例えば、約-20℃未満)。したがって、方法は、ジアミン102及び二無水物104を混ぜ合わせること(108)、次いで、ジアミン102及び二無水物104を重縮合反応条件に曝露すること(110)を含み得る。あるいは、方法は、ジアミン102及び二無水物104を重縮合反応条件に曝露しつつ(110)、ジアミン102及び二無水物104を混ぜ合わせること(108)を含み得る。換言すると、ジアミン102及び二無水物104を重縮合反応条件に曝露すること(110)は、ジアミン102及び二無水物104を混ぜ合わせる(108)間及び/又はその後に生じ得る。
【0047】
ジアミンの例としては、限定するものではないが、p-フェニルジアミン;エチレンジアミン;プロピレンジアミン;トリメチレンジアミン;ジエチレントリアミン;トリエチレンテトラミン;ヘキサメチレンジアミン;ヘプタメチレンジアミン;オクタメチレンジアミン;ノナメチレンジアミン;デカメチレンジアミン;1,12-ドデカンジアミン;1,18-オクタデカンジアミン;3-メチルヘプタメチレンジアミン;4,4-ジメチルヘプタメチレンジアミン;4-メチルノナメチレンジアミン;5-メチルノナメチレンジアミン;2,5-ジメチルヘキサメチレンジアミン;2,5-ジメチルヘプタメチレンジアミン;2,2-ジメチルプロピレンジアミン;N-メチル-ビス(3-アミノプロピル)アミン;3-メトキシヘキサメチレンジアミン;1,2-ビス(3-アミノプロポキシ)エタン;ビス(3-アミノプロピル)スルフィド;トランス-1,4-シクロヘキサンジアミン;ビス-(4-アミノシクロヘキシル)メタン;m-フェニレンジアミン;p-フェニレンジアミン;2,4-ジアミノトルエン;2,6-ジアミノトルエン;m-キシリレンジアミン;p-キシリレンジアミン;2-メチル-4,6-ジエチル-1,3-フェニレン-ジアミン;5-メチル-4,6-ジエチル-1,3-フェニレン-ジアミン;ベンジジン;3,3’’-ジメチルベンジジン;3,3’’ジメトキシベンジジン;1,5-ジアミノナフタレン;ビス(4-アミノフェニル)メタン;ビス(2-クロロ-4-アミノ-3,5-ジエチルフェニル)メタン;ビス(4-アミノフェニル)プロパン;2,4-ビス(b-アミノ-t-ブチル)トルエン;ビス(p-b-アミノ-t-ブチルフェニル)エーテル;ビス(p-b-メチル-o-アミノフェニル)ベンゼン;ビス(p-b-メチル-o-アミノペンチル)ベンゼン;1,3-ジアミノ-4-イソプロピルベンゼン;ビス(4-アミノフェニル)スルフィド;ビス(4-アミノフェニル)スルホン;ビス(4-アミノフェニル)エーテル;1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン;2,3,5,6-テトラメチル(teramethyl)-1,4-フェニレンジアミン;2,6-ジアミノトリプチセン;4,4’-オキシジアニリン;3,4’-オキシジアニリン;4,4’-ジアミノジフェニルスルホン;2,5-ジメチル-1,4-フェニレンジアミン;4,4’-メチレンジアニリン;5-アミノ-2-(4-アミノベンゼン)ベンズイミダゾール;2,2’-ジメチルベンジジン;4,4’-ジアミノベンズアニリド;2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン;2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン;1R,2R-ジアミノシクロヘキサン;1,3-ジアミノアダマンタン;ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン;5-tert-ブチルジメチルシリルアミノ-N-tert-ブチルジメチル-シリル-1,3,3-トリメチル-シクロヘキサンエチルアミン;2,5-ジアミノ-2,5-ジデオキシ-1,4:3,6-ジアンヒドロイジトール;2,5-ジアミノ-2,5-ジデオキシ-1,4:3,6-ジアンヒドロソルビトール;N,N-ビス(3-アミノ-プロピル)-メチルアミン;エチレンジアミン;1,3-ジアミノプロパン;1,4-ジアミノブタン;1,6-ジアミノヘキサン;ポリ(プロピレングリコール)ビス(2-アミノプロピルエーテル);2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン;2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビシクロヘキシルメタン;4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン);4,4’-ヘキサフルオロイソプロピリデンビス(シクロ-ヘキシルアミン);4,4’-メチレンビス(2-メチルシクロヘキシルアミン);ビス(4-アミノ-3-エチルシクロヘキシル)メタン;3,3’-ジアミノ-1,1’-ジアダマンタン;トランス-11,12-ジアミノ-9,10-ジヒドロ-9,10-エタノアントラセン;4,4’-ジアミノジフェニルエタン;4,4’-(シクロヘキサン-1,4-ジイルビス(スルファンジイル))ジアニリン;1,4-ビス[2-アミノ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]ピペラジン;4,4’-ジアミノ-α-トルキシルレートジメチル(truxillate dimethyl),4’,4’’-[(ペルフルオロシクロブタン-1,2-ジイル)ビス(オキシ)]ビス((1,1’-ビフェニル)-4-アミン);5,5’-イソプロピリデンビス(2-フルフリルアミン),1,1-ビス(4-アミノフェニル)シクロヘキサン;1,1-ビス(4-アミノフェニル)-4-メチルシクロヘキサン;1,1-ビス(4-アミノフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン;2,2-ビス(4-アミノフェニル)ノルボルナン;1,1-ビス[4-(2-トリフルオロメチル-4-アミノ-フェノキシ)フェニル]-4-tert-ブチルシクロヘキサン;3,3-ビス(4-アミノフェニル)キナクリジン;(+)-シス-1,3-ビス(4-アミノ-2(トリフルオロメチル)フェノキシルメチレン)-1,2,2-トリメチルシクロペンタン;1,3-ビス(4-アミノフェノキシメチレン)-1,2,2-トリメチルクロペンタン;1,4:3,6-ジアンヒドロ-2,5-ジ-O-(4-アミノフェニル)-D-マンニトール;1,4:3,6-ジアンヒドロ-2,5-ジ-O-(4-アミノフェニル)-D-ソルビトール;2,5-ビス(2-トリフルオロメチル-4-アミノ-フェノキシ)-1,4:3,6-ジアンヒドロソルビトール;2,5-ビス(2-メチル-4-アミノ-フェノキシ)-1,4:3,6-ジアンヒドロソルビトール;1,6-ビス(4-アミノフェニル)ダイヤマンチン;4,9-ビス(4-アミノフェニル)ダイヤマンチン;(5R,11R)-6H,12H-5,11-メタノジベンゾ[b,f][1,5]ジアゾシン-2,8-ジアミン;(5S,11S)-6H,12H-5,11-メタノジベンゾ[b,f][1,5]ジアゾシン-2,8-ジアミン;4,10-ジメチル-6H,12H-5,11-メタノジベンゾ[b,f][1,5]ジアゾシン-2,8-ジアミン;4,10-ジメチル-6H,12H-5,11-メタノジベンゾ[b,f][1,5]ジアゾシン-3,9-ジアミン;2,8-ジブロモ-1,4,7,10-テトラメチル-3,9-ジアミノ-6,12-ジヒドロ-5,11-メタノジベンゾ[b,f][1,5]ジアゾシン;2,4,8,10-テトラメチル-1,7-ジアミノ-6,12-ジヒドロ-5,11-メタノジベンゾ[b,f][1,5]ジアゾシン;2,8-ジアミノ-1,3,7,9-テトラメチル-6H,12H-5,11-メタノジベンゾ-[b,f][1,5]ジアゾシン;1,7-ジアミノ-6H,12H-5,11-メタノジベンゾ[1,5]ジアゾシン-2,8-ジオール;3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビスインダン-5,5’-ジアミノ-6,6’-ジオール,5(6),5’(6’)-ジアミノ-3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビスインダン;6,6’-ビス-[2’’-トリフルオロメチル4’’-(4’’’-アミノフェニル)フェノキシ]-3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビインダン;4,4’-((3,3,3’,3’-テトラメチル-2,2’,3,3’-テトラヒドロ-1,1’-スピロビ[インデン]-6,6’-ジイル)ビス(オキシ))ビス(2-メトキシアニリン);3,3,3’,3’-テトラメチル-2,2’,3,3’-テトラヒドロ-1,1’-スピロビ[シクロペンタ[b]フェナジン]-7,7’-ジアミン;1-(4-アミノフェニル)-5(6)-アミノインダン;4’-[4-[6-[[4’-アミノ-3-(トリフルオロメチル)[1,1’-ビフェニル]-4-イル]オキシ]-2,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-1H-インデン-1-イル]フェノキシ]-3’-(トリフルオロメチル)-[1,1’-ビフェニル]-4-アミン;2,6(7)-ジアミノ-9,10-ジメチル-9,10-ジヒドロ-9,10-エタノアントラセン;2,8-ジメチル-3,9-ジアミノ-5,6,11,12-テトラヒドロ-5,11-メタノジベンゾ[a,e][8]アヌレン;スピロ-(アダマンタン-2,9’(2’,7’-ジアミノ)-フルオレン),2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)アダマンチン;2,2-ビス(4-アミノフェニル)アダマンチン;1,3-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]アダマンチン;トランス-ジ(アミノベンゾ)-18-クラウン-6,2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノ-ビフェニル,4,9-ジオキサ-1,12-ドデカンジアミン;4,7,10-トリオキサ-1,13-トリデカンジアミンなど;及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0048】
二無水物の例としては、限定するものではないが、直鎖状二無水物、芳香族二無水物、並びに直鎖状二無水物及び芳香族二無水物の組み合わせが挙げられる。二無水物の例としては、限定するものではないが、ピロメリト酸二無水物、2,2-ビス(4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル)プロパン二無水物;4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物;4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物;4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物;4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物;2,2ビス(4-(2,3-ジカルボキシフェノキシ)フェニル)プロパン二無水物;4,4’-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物;4,4’-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物;4,4’-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物;4,4’-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物;4-(2,3-ジカルボキシフェノキシ)-4’-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニル-2,2-プロパン二無水物;4-(2,3-ジカルボキシフェノキシ)-4’-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物;4-(2,3-ジカルボキシフェノキシ)-4’-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物;4-(2,3-ジカルボキシフェノキシ)-4’-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物;4-(2,3-ジカルボキシフェノキシ)-4’-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物;1,2,4,5-ベンゼンタトラカルボン酸二無水物;1S,2R,4S,5R-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物;1S,2S,4R,5R-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物;1R,2S,4S,5R-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物;ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-エンド,3-エンド,5-エキソ,6-エキソ-テトラカルボン酸2,3:5,6-二無水物;ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-エキソ,3-エキソ,5-エキソ,6-エキソ-2,3:5,6-二無水物、シス-1,2,3,4-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物;トランス-1,2,3,4-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物;ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-エンド,3-エンド,5-エキソ,6-エキソ-テトラカルボン酸2:3,5:6-二無水物;ビシクロ[2.2.l]ヘプタン-2-エキソ,3-エキソ,5-エキソ,6-エキソ-テトラカルボン酸2:3,5:6-二無水物;(4arH,8acH)-デカヒドロ-1t,4t:5c,8c-ジメタノナフタレン-2c,3c,6c,7c-テトラカルボン酸2,3:6,7-二無水物;(4arH,8acH)-デカヒドロ-1t,4t:5c,8c-ジメタノ-ナフタレン-2t,3t,6c,7c-テトラカルボン酸2,3:6,7-二無水物;rel[1S,5R,6R]-3-オキサビシクロ[3.2.1]オクタン-2,4-ジオン-6-スピロ-3’-(テトラヒドロフラン-2’,5’-ジオン),ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-エキソ,3-エキソ,5-エキソ-トリカルボキシル-5-エンド-酢酸二無水物;ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-エキソ,3-エキソ,5-エンド-トリカルボキシル-5-エキソ-酢酸無水物;1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物;ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物;ビシクロ-[2.2.2]オクト-7-エン-2-エキソ,3-エキソ,5-エキソ,6-エキソ-2,3:5,6-二無水物;1,8-ジメチルビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物;ビシクロ[4.2.0]オクタン-3,4,7,8-テトラカルボン酸二無水物;ビシクロ[4.2.0]オクタン-3,4,7,8-テトラカルボン酸二無水物;rel-(1R,1’S,3R,3’S,4S,4’R)-ジシクロヘキシル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物;rel-(1R,1’S,3R,3’S,4R,4’S)-ジシクロヘキシル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物;ジシクロヘキシル-1R,1’S,2S,2R’,3R,3S’-テトラカルボン酸二無水物;ジシクロヘキシル-2,3’,3,4’-テトラカルボン酸二無水物;5,5’-オキシビス(ヘキサヒドロ-1,3-イソベンゾフランジオン);5,5’-(1-メチルエチリデン)ビス[ヘキサヒドロ-1,3-イソベンゾフランジオン];5,5’-メチレンビス(ヘキサヒドロ-1,3-イソベンゾフランジオン);5,5’-カルボニルビス(ヘキサヒドロイソベンゾフラン-1,3-ジオン);1,2,3,4-シクロペンタネテトラカンボン酸二無水物;1,2-ビス(4’-オキサ-3’,5-ジオキソトリシクロ-[4.3.0.12,5]デカン-8’-イルオキシ)エタン;1,3-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタン-テトラカルボン酸(cyclobutanete-tracarboxylic)二無水物;1,2,3,4-テトラメチル-1,2,3,4-シクロブタネテトラ-カルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロヘキサノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物;シクロペンタノンビス-スピロ-ノルボルナンテトラカルボン酸二無水物;1,2,4-シクロペンタントリカルボン酸-3-(カルボキシ-メチル)-1,4:2,3-二無水物;3,3’-(1,4-ピペラジンジイル)ビス[ジヒドロ-2,5-フランジオン];ビシクロ[2.2.1]-ヘプタン-2-メタンカルボキシル-3,5,6-トリカルボキシル-2,3:5,6-二無水物、2R,5R,7S,10S-ナフタンテトラカルボン酸二無水物;ペンタシクロ[8.2.1.14’702’903’8]テトラデカン-5,6,11,12-テトラカルボン酸二無水物;トリシクロ[4.2.2.02,5]デカ-7-エン-3,4,9,10-テトラカルボン酸3,4:9,10-二無水物;ドデカヒドロ-1H-4,11:5,9-ジメタノフルオレノ[2,3-c:6,7-c’]ジフラン-1,3,6,8(3aH)-テトラオン;テトラデカヒドロ-4,10:5,9-ジメタノナフト[2’’,3’’:3,4;6’’,7’’:3’,4’]ジシクロブタ[1,2-c:1’,2’-c’]ジフラン-1,3,6,8-テトロン,1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物;5,5’-チオビス[ヘキサヒドロ-4,7-メタノイソベンゾフラン-1,3-ジオン];1,1,2,2-エタンテトラカルボン酸二無水物;5,5’-スルホニルビス(ヘキサヒドロ-4,7-エタノイソベンゾフラン-1,3-ジオン);5R,5’R-5,5’-エキソ-(1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルトリシロキサン-1,5-ジイル)ビスビシクロ[2.2.1]ヘプタン-エンド-2,3-ジカルボン酸無水物;5S,5’S-5,5’-エキソ-(1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルトリシロキサン-1,5-ジイル)ビスビシクロ[2.2.1]ヘプタン-エンド-2,3-ジカルボン酸無水物など;及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0049】
混ぜ合わせるステップ中に添加したジアミン102対二無水物104の化学量論比は、約2:1~約1:2(又は約1.5:1~約1:1.5、又は約1.2:1~約1:1.2)であり得る。
【0050】
重縮合反応条件は、約40℃以下(又は約-20℃~約40℃、又は約-20℃~約30℃、又は約-10℃~約25℃)の温度及び周囲圧力±約0.1MPaの圧力を含み得る。好ましくは、重縮合反応は完了する。この完了には、約4時間~約48時間以上(又は約4時間~約24時間、又は約12時間~約48時間、又はそれ以上)かかり得る。
【0051】
理論によって限定されるものではないが、高沸点溶剤106に関して、水はジアミン102を分解し得ると考えられる。したがって、高沸点溶剤106は、好ましくは、約0.1重量%以下(又は0重量%~約0.1重量%、又は0重量%~約0.01重量%、又は0重量%~約0.001重量%)の水を有する。混ぜ合わせている(108)間及び重縮合反応条件に曝露している(110)間の水への曝露を軽減するために、混ぜ合わせること(108)及び曝露すること(110)は、好ましくは乾燥雰囲気(例えば、乾燥窒素、乾燥アルゴンなど)下で実施され得る。当業者は、水への曝露を軽減する方法で当該ステップを実行するための複数の装置構成及び方法が存在することを認識するであろう。
【0052】
高沸点溶剤106は、前駆体エマルションの重合が行われる温度(すなわち、PAAを重合してポリイミドを形成するための方法で使用される温度)よりも高い沸点を有する。いくつかの実施形態では、高沸点溶剤106は、前駆体エマルションの重合が行われる温度よりも少なくとも約5℃、又は約5℃~約100℃、又は約10℃~約70℃高い沸点を有する。高沸点溶剤106は、PAAの重合が行われる圧力において、約110℃~約200℃(又は約110℃~約160℃、又は約125℃~約175℃、又は約140℃~約200℃)の沸点を有し得る。すなわち、概して、本明細書に記載の方法は、好ましくは、周囲圧力、又はほぼ周囲圧力(例えば、周囲圧力±約0.1MPa)で行われる。したがって、約110℃~約200℃のIUPAC標準沸点を有する溶剤が好ましい。しかしながら、当業者は、流体の沸点が圧力に依存し、圧力を増加させると、溶媒の沸点が上昇することを認識するであろう。したがって、方法の全体又は一部が周囲圧力を超える圧力で実施される場合、当該圧力上昇時の高沸点溶剤の沸点は、好ましくは約110℃~約200℃であり、これによって、本明細書に記載の方法で使用される可能性を有する溶剤のリストは拡大し得る。
【0053】
高沸点溶剤106の例としては、限定するものではないが、N-メチル-2-ピロリドン(NMP);N,N-ジメチルホルムアミド(DMF);N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc);N,N-ジエチル-ホルムアミド;N,N-ジエチルアセトアミド;N-メチルピロリドン,ジメチルスルホキシド(DMSO);スルホランなど;及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0054】
混ぜ合わせること(108)では、構成成分は、任意の順序で添加され得る。例えば、3つの構成成分の全てを同時に混ぜ合わせること(108)ができる。別の例では、混ぜ合わせること(108)は、高沸点溶剤106中でジアミン102を溶解させ、二無水物104を添加することによって実施され得る。二無水物104の添加は、ボーラス(すなわち、1回の添加)、段階的(例えば、指定された時間にわたって2~10回以上の添加)、連続的に(例えば、指定された時間にわたって滴下)、又はそれらの変形例であり得る。理論に限定されるものではないが、ジアミンを最初に溶解させ、次いで二無水物を添加することは、ジアミンをゲル化させ、重縮合反応に対する破壊効果を有し得る、ジアミンのプロトン化を軽減すると考えられる。
【0055】
ジアミン102及び二無水物104は、重縮合反応を経て反応して、PAAを形成する。したがって、再び
図1を参照すると、ジアミン102及び二無水物104を重縮合反応条件に曝露すること(110)により、PAA及び高沸点溶剤106を含む混合物112が得られる。この混合物112は、約10重量%~約50重量%(又は約10重量%~約25重量%、又は約15重量%~約30重量%、又は約25重量%~約50重量%)のPAAと、約45重量%~約90重量%(又は約45重量%~約65重量%、又は約55重量%~約85重量%、又は約65重量%~約90重量%)の高沸点溶剤106と、0重量%~約5重量%(又は0重量%~約2重量%、又は1重量%~約3重量%、又は2重量%~約5重量%)の未反応反応物(累積的にジアミン102及び二無水物104)と、を含み得る。
【0056】
次いで、PAAを混合物112から抽出し得るか(
図2を参照)、又は混合物は、以下のセットで使用し得る(この実施例に示されるように)。
【0057】
図1に示すように、混合物112は、乳化安定剤114及び高沸点溶剤106と不混和性であるマトリックス流体116で乳化し(118)、前駆体エマルション120を産生する。理論によって限定されるものではないが、得られた前駆体エマルション120は、マトリックス流体116を含む外相(又は連続相)と、高沸点溶剤106中に分散したPAAを含む内相(又は不連続相)と、を有する油中油型エマルションであり、乳化安定剤114は、主に外相と内相との間の界面に存在する。少量の水が、油中油型エマルションのいずれかの相中に存在し得る(例えば、相ごとに独立して1重量%以下又は0.1重量%以下)。
【0058】
乳化安定剤114は、ナノ粒子(例えば、酸化物ナノ粒子、カーボンブラック、ポリマーナノ粒子、及びこれらの組み合わせ)、界面活性剤など、及びこれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0059】
酸化物ナノ粒子は、金属酸化物ナノ粒子、非金属酸化物ナノ粒子、又はこれらの混合物であってもよい。酸化物ナノ粒子の例としては、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ、酸化鉄、酸化銅、酸化スズ、酸化ホウ素、酸化セリウム、酸化タリウム、及び酸化タングステンなど、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、及びアルミノホウケイ酸塩のような混合された金属酸化物及び/又は非金属酸化物も、金属酸化物という用語に含まれる。酸化物ナノ粒子は、親水性であっても疎水性であってもよく、天然の粒子であっても粒子の表面処理の結果であってもよい。例えば、ジメチルシリル、トリメチルシリルなどのような疎水性表面処理を有するシリカナノ粒子が本開示の方法及び組成物に使用されてもよい。加えて、メタクリレート官能基のような機能的な表面処理を施したシリカが、本開示の方法及び組成物に使用されてもよい。非官能化酸化物ナノ粒子もまた同様に、使用に好適であり得る。
【0060】
シリカナノ粒子の市販の例としては、Evonikから入手可能なAEROSIL(登録商標)(例えば、AEROSIL(登録商標)R812S(疎水変性表面及び260±30m2/gのBET表面積を有する平均直径約7nmのシリカナノ粒子)、AEROSIL(登録商標)RX50(疎水変性表面及び35±10m2/gのBET表面積を有する平均直径約40nmのシリカナノ粒子)、AEROSIL(登録商標)380(疎水変性表面及び380±30m2/gの表面積を有するシリカナノ粒子)など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
カーボンブラックは、本明細書に開示される組成物及び方法において乳化安定剤として存在し得る別の種類のナノ粒子である。様々な等級のカーボンブラックが当業者に馴染みのあるものであり、そのうちのいずれかが本明細書で使用され得る。赤外線を吸収することができる他のナノ粒子が同様に使用されてもよい。
【0062】
ポリマーナノ粒子は、本明細書の開示において乳化安定剤(例えば、乳化安定剤114)として使用され得る別の種類のナノ粒子である。好適なポリマーナノ粒子は、本明細書の開示による溶融乳化によって処理されたときに溶融しないように、熱硬化性である及び/又は架橋されている1つ以上のポリマーを含んでもよい。高い融点又は分解点を有する高分子量熱可塑性ポリマーも同様に、好適なポリマーナノ粒子乳化安定剤を含み得る。ポリマーナノ粒子での使用に好適なポリマーの例としては、限定するものではないが、ポリスチレン-co-アクリレート、フルオロカーボン、シリコーン系ポリマーなど、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられ得る。
【0063】
界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、非イオン性、又は双性イオン性であり得る。界面活性剤の例としては、限定するものではないが、ドデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ソルビタン、ポリ[ジメチルシロキサン-co-[3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロピルメチルシロキサン]、ドクサートナトリウム(1、4-ビス(2-エチルヘキソキシ)-1、4-ジオキサブタン-2-スルホネートナトリウム)、フルオロカーボン界面活性剤(例えば、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミンリチウム塩)、有機シロキサン界面活性剤、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、及びポリオキシエチレンセチルエーテル界面活性剤、アクリルポリマー界面活性剤など、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられる。界面活性剤の市販の例としては、限定するものではないが、CALFAX(登録商標)DB-45(PilotChemicalsから入手可能なドデシルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウム)、SPAN(登録商標)80(マレイン酸ソルビタン非イオン性界面活性剤)、MERPOL(登録商標)界面活性剤(Stepan Companyから入手可能)、TERGITOLTM TMN-6(水溶性、非イオン性界面活性剤、DOWから入手可能)、TRITONTM X-100(オクチルフェノールエトキシレート、SigmaAldrichから入手可能)、IGEPAL(登録商標)CA-520(ポリオキシエチレン(5)イソオクチルフェニルエーテル、SigmaAldrichから入手可能)、BRIJ(登録商標)S10(ポリエチレングリコールオクタデシルエーテル、SigmaAldrichから入手可能)、MEGAFAC(登録商標)界面活性剤(フルオロカーボン界面活性剤、Dainippon Inkから入手可能)、FLUORAD(登録商標)界面活性剤(フルオロカーボン界面活性剤、3Mから入手可能)、KP 341界面活性剤(有機シロキサン界面活性剤、Shinetsu Chemical Industriesから入手可能)、DBE(ポリアルキレンオキサイド変性シリコーン生成物、Chisso Corporation製)、POLYFLOW(アルキルシロキサン、Kyoeisha Chemical Co.,Ltd.製)、GLANOL(シリコーン化合物、Kyoeisha Chemical Co.,Ltd.製)、BYK(シリコーン化合物、BYK Japan KK製)、EMULMIN(ポリオキシアルキレン界面活性剤、Sanyo Chemical Industries,Ltd.製)など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0064】
界面活性剤は、PAAの重量を基準として、約0.01重量%~約10重量%(又は約0.01重量%~約1重量%、又は約0.5重量%~約2重量%、又は約1重量%~約3重量%、又は約2重量%~約5重量%、又は約5重量%~約10重量%)の濃度で混合物に含まれ得る。あるいは、混合物は、界面活性剤を含まない(すなわち、界面活性剤が不在である)場合がある。
【0065】
乳化安定剤114中のナノ粒子対界面活性剤の重量比は、約1:10~約10:1(又は約1:10~約1:1、又は約1:5~約5:1、又は約1:1~約10:1)であり得る。
【0066】
乳化安定剤114は、PAAの重量を基準として、約0.01重量%~約10重量%(又は約0.01重量%~約1重量%、又は約0.1重量%~約3重量%、又は約1重量%~約5重量%、又は約5重量%~約10重量%)の濃度で前駆体エマルション120に含まれ得る。
【0067】
マトリックス流体116の例としては、限定するものではないが、デガリン、テトラリン、シリコーンオイル、フッ素化シリコーンオイル、ペルフッ素化シリコーンオイル、ポリエチレングリコール、アルキル末端ポリエチレングリコール(例えば、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(tetraethylene glycol dimethyl ether、TDG)などC1~C4末端アルキル基)、パラフィン、流動ワセリン、ミンクオイル、タートルオイル、大豆油、ペルヒドロスクアレン、スイートアーモンドオイル、カロフィルムオイル、パームオイル、パールリームオイル、グレープシードオイル、ゴマ油、トウモロコシ油、菜種油、ヒマワリ油、綿実油、杏油、ヒマシ油、アボカド油、ホホバ油、オリーブ油、穀物胚芽油、ラノリン酸のエステル、オレイン酸のエステル、ラウリン酸のエステル、ステアリン酸のエステル、脂肪族エステル、高級脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪酸変性ポリシロキサン、脂肪族アルコール変性ポリシロキサン、ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサンなど、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。シリコーンオイルの例としては、限定するものではないが、ポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane、PDMS)、メチルフェニルポリシロキサン、アルキル変性ポリジメチルシロキサン、アルキル変性メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性ポリジメチルシロキサン、アミノ変性メチルフェニルポリシロキサン、フッ素変性ポリジメチルシロキサン、フッ素変性メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性メチルフェニルポリシロキサンなど、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。例えば、マトリックス流体116は、(a)デカリン及び/又はテトラリン、並びに(b)別の前述の流体を含み得る。より具体的には、マトリックス流体116は、デカリン及び/又はテトラリン中に約5重量%~約40重量%(又は約5重量%~約20重量%、又は約15重量%~約30重量%、又は約20重量%~約40重量%)の前述の流体(例えば、シリコーンオイル、フッ素化シリコーン油、ペルフッ素化シリコーンオイル、ポリエチレングリコール、又はこれらの任意の組み合わせ)を含み得る。デカリン及びテトラリンが併用される場合、それらの相対重量比は、約1:99~約99:1(又は約1:99~約50:50、又は約25:75~約75:25、又は約50:50~約99:1)であり得る。
【0068】
マトリックス流体116は、好ましくは、(a)高沸点溶剤106の沸点よりも大きい、かつ(b)PAAを重合するのに十分な温度より大きい沸点を有する。マトリックス流体116は、約150℃~約450℃以上(又は約150℃~約250℃、又は約175℃~約300℃、又は約250℃~約450℃、又はそれ以上)であり得る。
【0069】
マトリックス流体116は、前駆体エマルション120の約40重量%~約95重量%(又は約75重量%~約95重量%、又は約70重量%~約90重量%、又は約55重量%~約80重量%、又は約50重量%~約75重量%、又は約40重量%~約60重量%)で前駆体エマルション120中に存在し得る。マトリックス流体116は、約50:50~約90:10(又は約50:50~約75:25、又は約60:40~約80:20、又は約75:25~約90:10)の範囲のマトリックス流体116対混合物112の重量比で存在し得る。
【0070】
再び
図1を参照すると、混合物112、乳化安定剤114、及びマトリックス流体116を乳化すること(118)は、当該構成成分を任意の順序で混ぜ合わせることと、混合物112をマトリックス流体116中に分散させるのに十分な剪断速度で混合することとを含み得る。例えば、乳化安定剤114は、混合物112をマトリックス流体116中に分散させるのに十分な剪断速度で、混合物112を添加する前に、最初にマトリックス流体116中に分散され得る。別の例では、3つの構成成分112、114、及び116の全ては、剪断の開始前に混ぜ合わされ得る。更に別の非限定的な例では、混合物112は、混合物112をマトリックス流体116中に分散させるのに十分な剪断速度でマトリックス流体116と混合され得る。次いで、乳化安定剤114を添加して、前駆体エマルション120を形成することができる。
【0071】
前駆体エマルション120を産生するために乳化すること(118)に使用する混合装置の例としては、限定するものではないが、押出機(例えば、連続押出機、バッチ押出機など)、撹拌反応器、ブレンダ、インラインホモジナイザシステムを備える反応器など、及びそこから派生する装置が挙げられ得る。ここにおいても、水は依然として懸念事項であり得る。当業者は、水への曝露を軽減する方法で前駆体エマルション120を獲得し、処理するのに有用な複数の混合装置構成、構成成分の移動方法、及び混合方法が存在することを認識するであろう。
【0072】
本明細書に記載の方法では、PAAは、PAAの熱イミド化を引き起こすために加熱される(122)。この加熱(122)は、乳化する(118)間及び/又はその後に生じ得る。前駆体エマルション120の分散した内相の一部にPAAが存在するため、加熱すること(122)によりポリイミド微粒子が得られる。エマルション120を、当該前駆体エマルション120の形成中及び/又は形成後に加熱すること(122)は、PAAを重合してポリイミド微粒子を形成するのに十分な温度に加熱することであり得る。
【0073】
PAAを重合するのに十分な温度は、約100℃~約250℃(又は約100℃~約175℃、又は約150℃~約200℃、又は約175℃~約250℃)であり得る。
【0074】
方法100内では、前駆体エマルション120を加熱すること(122)は、ポリイミド微粒子、乳化安定剤114、及びマトリックス流体116を含む生成物124を産生する。加熱温度に応じて、高沸点溶剤106の少なくとも一部は、加熱する(122)間に蒸発し得る。したがって、生成物124は、高沸点溶剤106を含むことも、含まないこともある。好ましくは、高沸点溶剤106の大部分は、加熱している(122)間に維持される。理論に限定されるものではないが、高沸点溶剤106の存在は、ポリイミド微粒子内の多孔性を促進すると考えられる。
【0075】
概して、加熱している(122)間、撹拌は、好ましくは、油中油型エマルションの外相に内相を分散させたままにするように維持される。この撹拌は、混合物112をマトリックス流体116中に分散させるのに十分な剪断速度と同一、それ未満、又はそれよりも大きい速度であり得る。
【0076】
前駆体エマルション120は、PAAを完全に重合するのに十分な時間にわたってPAAを重合するのに十分な温度で維持され得、これは、約2時間~約24時間以上(又は約2時間~約8時間、又は約6時間~約24時間、又はそれ以上)かかり得る。
【0077】
ポリイミド微粒子は、概して、マトリックス流体116又は高沸点溶剤106に溶解しない。したがって、マトリックス流体116及び高沸点溶剤106からのポリイミド微粒子の分離は、濾過及び(例えば、メタノール、エタノール、アセトンなどでの)洗浄によって達成され得る。分離後、ポリイミド微粒子は乾燥され得る。
【0078】
理論に限定されるものではないが、PAAは高沸点溶剤106中に分散し、次いで、前駆体エマルション120の内相においてその場で重合される。これは、固体粒子ではなく多孔質形態を産生するゾル-ゲル重合に類似すると考えられる。形態は、以下の実施例の節において走査型電子顕微鏡(SEM)画像で示される。
【0079】
形態は、ポリイミドが、ゾル-ゲル及び/又はエアロゲルで見られる形態に類似の、多孔質の不規則な骨格を形成するような形態である。これは、連続気泡形態、独立気泡形態、及び位相的に秩序付けられた多孔質構造に見られるより規則的な骨格とは対照的である。多孔質の不規則な骨格形態は、相互接続されたフレーク様及び/又はリボン様構造(例えば、実施例の
図7D)及び/又は相互接続された固化ポリマー溶融構造(例えば、実施例の
図9C及び
図10B)を含み得る。
【0080】
乳化安定剤114は、ポリイミド微粒子の表面(外面及び/又は内面)の一部をコーティングし得る。コーティングは、(a)ポリイミド微粒子の表面(外面及び/又は内面)に分散する、及び/又は(b)ポリイミド微粒子の表面(外面及び/又は内面)に埋め込まれた乳化安定剤114を含み得る。
【0081】
乳化安定剤114は、ポリイミド微粒子の外面の少なくとも5%(又は約5%~約100%、又は約5%~約25%、又は約20%~約50%、又は約40%~約70%、又は約50%~約80%、又は約60%~約90%、又は約70%~約100%)を被覆するコーティングを形成し得、外面とは、ポリイミド微粒子の外周の1体積%以内のポリイミド微粒子の表面である。ポリイミド微粒子の外面上の乳化安定剤114の被覆率は、SEM顕微鏡の画像解析を用いて決定され得る。
【0082】
更に、乳化安定剤114は、産生方法100中に凝集し、ポリイミド微粒子の多孔質の不規則な骨格内に閉じ込められ得る。
図10Cは、乳化安定剤114のそのような捕捉された凝集体を示す。
【0083】
図1は、ポリイミド粒子を産生するための本開示の実例となる、非限定的な例示的方法100である。
図2は、ポリイミド粒子を産生するための本開示の別の実例となる、非限定的な例示的方法200である。
図2の参照番号は繰り返して使用されており、
図1の開示内容が
図2の方法200に適用される。
【0084】
図2に示す方法200では、
図1に関連して開示した同一のステップ、条件、及び構成成分を使用して、PAA及び高沸点溶剤106を含む混合物112を産生することができる。方法100との方法200の差異は、PAA232が混合物230から分離され得ること(230)であり、これによって、任意の未反応ジアミン102及び未反応二無水物104による汚染を低減する。分離(230)は、混合物112にPAA非溶剤(すなわち、PAAが可溶性ではない流体)を添加し、これによって混合物112からPAA232を沈殿させることによって達成され得る。PAA非溶剤の例としては、限定するものではないが、水、アセトン、メタノールなど、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。水が使用される場合、水が前駆体エマルション120中に最小限存在する、又は存在しないように、強力な乾燥が好ましいことに留意されたい。更に、水を使用する場合、PAA232の温度は、任意の望ましくない反応を軽減するために50℃を超えないことが好ましい。したがって、PAA非溶剤として水を使用するときにPAAを乾燥させることは、好ましくは、室温(例えば、25℃)にて減圧で(例えば、室温にて真空オーブン又は外の好適な装置で)行われる。
【0085】
分離(230)後、PAA232は、好ましくは95重量%以上のPAAを含む。すなわち、未反応ジアミン102、未反応二無水物104、任意の残存する高沸点溶剤106、及び任意のPAA非溶剤など汚染物質は、5重量%以下(又は0重量%~5重量%、又は0.1重量%~3重量%、又は0重量%~1重量%)である。
【0086】
次いで、PAA232は、第2の高沸点溶剤234中に溶解し(236)、PAA溶液232を産生し得る。第2の高沸点溶剤234の例としては、限定するものではないが、DMF;DMAc;N,N-ジエチル-ホルムアミド;N,N-ジエチルアセトアミド;N-メチルピロリドン(DMSO);スルホランなど;及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0087】
PAA溶液232は、約10重量%~約50重量%(約10重量%~約25重量%、又は約15重量%~約30重量%、又は約25重量%~約50重量%)のPAA232と、約50重量%~約90重量%(又は約75重量%~約90重量%、又は約70重量%~約85重量%、又は約50重量%~約75重量%)の第2の高沸点溶剤234と、を含み得る。
【0088】
図示した方法200では、PAA溶液232は、
図1の方法の混合物112のように使用される。すなわち、
図2に示すように、PAA溶液232は、乳化安定剤114及び第2の高沸点溶剤234と不混和性であるマトリックス流体116で乳化して(118)、前駆体エマルション120を産生する。理論によって限定されるものではないが、得られた前駆体エマルション120は、マトリックス流体116を含む外相と、第2の高沸点溶剤234中に分散したPAA232を含む内相と、を有する油中油型エマルションであり、乳化安定剤114は、主に外相と内相との間の界面に存在する。したがって、
図1の乳化すること(118)に関連する混合物112の開示内容は、
図2のPAA溶液232に適用される。例えば、PAA溶液232は、約50:50~約90:10(又は約50:50~約75:25、又は約60:40~約80:20、又は約75:25~約90:10)の範囲のマトリックス流体116対PAA溶液232の重量比で存在し得る。更に、構成成分238、114、及び116を混ぜ合わせる順序は、
図1の構成成分112、114、及び116について説明した順序と同一である。
【0089】
次いで、図示する方法200は、生成物124を獲得するための
図1に記載の方法のステップ、組成物、及び方法パラメータ、並びに、限定するものではないが、濾過、洗浄、及び乾燥など任意の他の記載の更なるステップを含む。加えて、PAAが重合して、多孔質の不規則な骨格形態を有するポリイミド粒子を形成する方法の信じられている理論が、
図2の方法200に適用される。
【0090】
本開示のポリイミド微粒子(例えば、
図1の方法100、
図2の方法200、又はいずれかの方法の変形例によって調製される)は、約90重量%以上(又は約90重量%~約100重量%、又は約95重量%~約100重量%、又は約98重量%~約100重量%、又は約99重量%~約100重量%)のポリイミドを含み得、その残りは、乳化安定剤及び未重合PAAである。好ましくは、未重合PAAの量は、1重量%以下(又は0重量%~約1重量%、又は0重量%~約0.1重量%)である。本開示のポリイミド微粒子は、ポリイミド、乳化安定剤、及び未重合PAAからなり得る。本開示のポリイミド微粒子は、ポリイミド及び乳化安定剤からなり得る。本開示のポリイミド微粒子は、ポリイミドからなり得る。
【0091】
本開示のポリイミド粒子は、約10μm~約200μm(又は約10μm~約50μm、又は約25μm~約100μm、又は約75μm~約150μm、又は約125μm~約200μm)の平均直径(体積を基準としたD50)を有し得る。
【0092】
本開示のポリイミド微粒子は、約0.5μm~約50μm(又は約0.5μm~約25μm、又は約5μm~約30μm、又は約10μm~約50μm)のD10と、約10μm~約200μm(又は約10μm~約50μm、又は約25μm~約100μm、又は約75μm~約150μm、又は約125μm~約200μm)のD50と、約50μm~約300μm(又は約50μm~約150μm、又は約75μm~約200μm、又は約100μm~約300μm)のD90と、を有し得、D10<D50<D90である。
【0093】
本開示のポリイミド微粒子はまた、約0.2~約10(又は約0.2~約2、又は約0.4~約1、又は約0.5~約1、又は約1~約3、又は約2~約5、又は約5~約10)の粒径スパンを有し得る。限定するものではないが、1.0以上の直径スパン値は広いとみなされ、直径スパン値0.75以下は狭いとみなされる。
【0094】
本開示のポリイミド微粒子は、約0.9以上(又は約0.90~約1.0、又は約0.93~約0.99、又は約0.95~約0.99、又は約0.97~約0.99、又は約0.98~1.0)の真円度を有し得る。
【0095】
本開示のポリイミド微粒子は、約25°~約45°(又は約25°~約35°、又は約30°~約40°、又は約35°~約45°)の安息角を有し得る。
【0096】
本開示のポリイミド微粒子は、約1.0~約1.5(又は約1.0~約1.2、又は約1.1~約1.3、又は約1.2~約1.35、又は約1.3~約1.5)のハウスナー比を有し得る。
【0097】
本開示のポリイミド微粒子は、約0.2g/cm3~約0.8g/cm3(又は約0.2g/cm3~約0.4g/cm3、又は約0.3g/cm3~約0.6g/cm3、又は約0.4g/cm3~約0.7g/cm3、又は約0.5g/cm3~約0.6g/cm3、又は約0.5g/cm3~約0.8g/cm3)の嵩密度を有し得る。
【0098】
本開示のポリイミド微粒子は、約30m2/g~約500m2/g(又は約30m2/g~約150m2/g、又は約100m2/g~約250m2/g、又は約200m2/g~約350m2/g、又は300m2/g~約500m2/g)のBET表面積を有し得る。
【0099】
本開示のポリイミド微粒子は、約15℃~約35℃(又は約15℃~約25℃、又は約25℃~約35℃)の焼結ウィンドウを有し得る。
【0100】
本開示のポリイミド微粒子は、約250℃~約400℃(又は約250℃~約350℃、又は約300℃~約400℃)の融点を有し得る。
【0101】
本開示のポリイミド微粒子は、約200℃~約350℃(又は約200℃~約300℃、又は約250℃~約350℃)のガラス転移温度を有し得る。
【0102】
本開示のポリイミド微粒子は、約400℃~約500℃(又は約400℃~約475℃、又は約450℃~約500℃)の分解温度を有し得る。
【0103】
本開示のポリイミド微粒子は、約250℃~約300℃(又は約250℃~約275℃、又は約275℃~約300℃)の結晶化温度を有し得る。
【0104】
本開示のポリイミド微粒子は、約20%~約60%(又は約20%~約40%、又は約30%~約50%、又は約40%~約60%の結晶化度を有し得る。
【0105】
本開示のポリイミド微粒子は、約0.5g/10分~約10g/10分(又は約0.5g/10分~約2g/10分、又は約1g/10分~約5g/10分、又は約3g/10分~約10g/10分)のMFI流量を有し得る。
【0106】
用途
【0107】
本開示のポリイミド微粒子は、SLS積層造形法によって様々な物品を作製するために使用され得る。非限定的な例として、本開示のSLS積層造形方法は、本開示のポリイミド微粒子を、任意選択的に、熱可塑性ポリマー粒子(好ましくは、類似のサイズ及び形状であるが、多孔質又は中実であり得る)と合わせて、表面に(例えば、層状で、及び/又は特定の形状で)堆積させることと、堆積させると、ポリイミド微粒子の少なくとも一部を加熱して、その固結化を促進し、固結体(又は物体)を形成することと、を含む。固結体は、固結後に、約20%以下(例えば、5%~約20%、又は約5%~約15%、又は約10%~約20%)の空隙率(空隙である体積の割合)を有し得る。例えば、ポリイミド微粒子、及び任意選択的に熱可塑性ポリマー粒子の加熱及び固結化は、選択的レーザー焼結によって加熱及び固結化が行われるように、レーザーを用いた3D印刷装置内で行われ得る。
【0108】
熱可塑性ポリマー粒子の全て又は一部を含み得る熱可塑性ポリマーの例としては、限定するものではないが、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエチレン(好ましくは官能化ポリエチレン)、ポリプロピレン(好ましくは官能化ポリプロピレン)、ポリアセタール(ポリエチレングリコールの存在下であり得る)、ポリカーボネート(例えば、マレイン化ポリアルケン(マレイン化PP又はEPR)、ポリエステルアミド、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、及びマレイン化ABS(MA-g-ABS)、ブタジエン-スチレン-アクリロニトリル-アクリレートコポリマー、スチレン無水マレイン酸(SMA)、スチレン-プロピレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)及びMA-g-SEBS、ポリエチルオキサゾリン、エチレン-グリシジルメタクリレートグラフトコポリマーなど相溶化剤の存在下であり得る)、ポリブチルテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、エチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)、エチレンポリピレンジエンゴム(EPDM)、エチレンエラストマー(ethylene celastomer)(EPR)(例えば、MAでグラフト化されたエチレンプロピレンコポリマーなど相溶化剤の存在下であり得る)、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリスチレン(例えば、統計若しくはブロックスチレンコポリマー、グラフトスチレン、又は相溶化基など)、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステル(例えば、ポリ乳酸)、ポリエーテル、ポリエーテルスルホン(PESU)、ポリスルホン(PSU)(好ましくは、官能化PSU)、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリイミド、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリフェニレンスルフィド、ビニルポリマー、ポリアリーレンエーテル、ポリアリーレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリアミドーイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテル、ポリエーテルブロック及びポリアミドブロックを含むコポリマー(PEBA又はポリエーテルブロックアミド)、グラフト化又は未グラフト化熱可塑性ポリアミド、官能化又は非官能化エチレン/ビニルモノマーポリマー、官能化又は非官能化エチレン/アルキル(メタ)アクリレート、官能化又は非官能化(メタ)アクリル酸ポリマー、官能化又は非官能化エチレン/ビニルモノマー/アルキル(メタ)アクリレートターポリマー、エチレン/ビニルモノマー/カルボニルターポリマー、エチレン/アルキル(メタ)アクリレート/カルボニルターポリマー、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン(MBS)型コアシェルポリマー、ポリスチレン-ブロック-ポリブタジエン-ブロック-ポリ(メチルメタクリレート)(SBM)ブロックターポリマー、塩化又はクロロスルホン化ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)(ポリエーテルアミドブロックコポリマーを用いた相溶化中であり得る)、フェノール樹脂、ポリ(エチレン/酢酸ビニル)、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレンブロックコポリマー、ポリアクリロニトリル、シリコーンなど、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられ得る。また、前述の1つ以上を含むコポリマーが本開示の方法及びシステムにおいて使用されてもよい。
【0109】
ポリイミド微粒子(任意選択的に、熱可塑性ポリマー粒子と合わせて)を使用して物品の全体又は一部分を形成し得る、かかる方法により製造され得る当該物品の例としては、限定するものではないが、粒子、フィルム、梱包材、玩具、家庭用品、自動車部品、航空宇宙/航空機関連部品、容器(例えば、食品、飲料、化粧品、パーソナルケア組成物、医薬品などのための容器)、靴のソール、家具部品、装飾用家庭用品、プラスチックギア、ネジ、ナット、ボルト、結束バンド、宝飾品、芸術品、彫像、医療品目、補装具、整形外科用インプラント、教育における学習を支援するアーチファクトの製造、手術を支援するための3D解剖学的モデル、ロボット工学用品、生体医学装置(装具)、家庭電化製品、歯科用品、電子機器、スポーツ用品、高温燃料電池の機能要素、化学的及び環境用途、軍事用途、太陽電池、フレキシブルプリント回路などが挙げられる。更に、粒子は、塗料、粉体コーティング、インクジェット材料、電子写真トナー、3D印刷などが挙げられるがこれらに限定されない用途において有用であってもよい。
【0110】
加えて、ポリイミド微粒子の形態は、同一寸法の中実微粒子と比較して当該微粒子の表面積を増加させ、ポリイミドは高温安定性を提供するため、本明細書に記載のポリイミド微粒子は、高表面積膜の作製、ガス貯蔵、炭素回収、汚染物質の除去、分子分離、触媒化、薬物送達、感知、ポリマーモレキュラーシーブ膜などの触媒担体としての使用に好適な本明細書に記載のポリイミド微粒子などにおいて触媒担体として使用するのに好適である。
例示的実施形態
【0111】
第1の非限定的な例示的実施形態は、第1の乾性高沸点溶剤中でジアミン及び二無水物を混ぜ合わせることと、ジアミン及び二無水物を反応させて、ポリ(アミド酸)(PAA)及び第1の乾性高沸点溶剤を含む混合物を産生することと、乳化安定剤を使用して、第1の乾性高沸点溶剤と不混和性であるマトリックス流体中で混合物を乳化して、油中油型エマルションである前駆体エマルションを形成することと、形成中及び/又は形成後に、PAAを重合してポリイミド微粒子を形成するのに十分な温度に前駆体エマルションを加熱することと、を含む方法である。
【0112】
第1の非限定的な例示的実施形態は、以下の1つ以上を更に含み得る:要素1:ジアミンは、本明細書に記載のジアミンから選択される;要素2:二無水物は、本明細書に記載の二無水物から選択される;要素3:ジアミンと二無水物との反応は、約40℃以下においてである;要素4:ジアミンと二無水物との反応は、約6時間~約48時間にわたる;要素5:ジアミン対二無水物の化学量論比は、約2:1~約1:2である;要素6:ジアミンと二無水物との反応を実行することは、ジアミンを第1の乾性高沸点溶剤に溶解させることと、ジアミンを溶解させた第1の乾性高沸点溶剤に二無水物を添加することと、を含む;要素7:乳化安定剤は界面活性剤及び/又はナノ粒子を含む;要素8:乳化安定剤は、ポリイミド粒子の表面にコーティングとして存在する;要素9:PAAを重合するのに十分な温度は、約100℃~約250℃である;要素10:方法は、ポリイミド微小粒子を洗浄することと、洗浄後にポリイミド微粒子を乾燥させることと、を更に含む;要素11:ポリイミド微粒子は、約0.5μm~約50μmのD10、約10μm~約200μmのD50、及び約50μm~約300μmのD90を有し、D10<D50<D90である;要素12:ポリイミド微粒子は、約0.2~約10の粒径スパンを有する;要素13:ポリイミド微粒子は、約0.9以上(又は約0.90~約1.0)の真円度を有する;要素14:ポリイミド微粒子は、約25°~約45°の安息角を有する;要素15:ポリイミド微粒子は、約1.0~約1.5のハウスナー比を有する;要素16:ポリイミド微粒子は、約0.2g/cm3~約0.8g/cm3の嵩密度を有する;要素17:ポリイミド微粒子は、約30m2/g~約500m2/gのBET表面積を有する;要素18:ポリイミド微粒子は、約15℃~約35℃の焼結ウィンドウを有する;要素19:ポリイミド微粒子は、約250℃~約400℃の融点を有する;要素20:ポリイミド微粒子は、約200℃~約350℃のガラス転移温度を有する;要素21:ポリイミド微粒子は、約400℃~約500℃の分解温度を有する;要素22:ポリイミド微粒子は、約250℃~約300℃の結晶化温度を有する;要素23:ポリイミド微粒子は、約20%~約60%の結晶化度を有する;要素24:ポリイミド微粒子は、約0.5g/10分~約10g/10分のMFI流量を有する;並びに要素25:ポリイミド微粒子は、(a)フレーク様構造、(b)リボン様構造、(c)、及び/又は相互接続された固化ポリマー溶融構造を含む多孔質の不規則な骨格形態を有する。組み合わせの例としては、限定するものではないが、要素1を要素2~25のうちの1つ以上と組み合わせたもの;要素2を要素3~25のうちの1つ以上と組み合わせたもの;要素3を要素4~25のうちの1つ以上と組み合わせたもの;要素4を要素5~25のうちの1つ以上と組み合わせたもの;要素5を要素6~25のうちの1つ以上と組み合わせたもの;要素6を要素7~25のうちの1つ以上と組み合わせたもの;要素7を要素8~25のうちの1つ以上と組み合わせたもの;要素8を要素9~25のうちの1つ以上と組み合わせたもの;要素1を要素9~25のうちの1つ以上と組み合わせたもの;要素1を要素10~25のうちの1つ以上と組み合わせたもの;要素10を要素11~25のうちの1つ以上と組み合わせたもの;要素11を要素12~25のうちの1つ以上と組み合わせたもの;要素12を要素13~25のうちの1つ以上と組み合わせたもの;要素13を要素14~25のうちの1つ以上と組み合わせたもの;要素14を要素15~25のうちの1つ以上と組み合わせたもの;要素15を要素16~25のうちの1つ以上と組み合わせたもの;要素16を要素17~25のうちの1つ以上と組み合わせたもの;要素17を要素18~25のうちの1つ以上と組み合わせたもの;要素18を要素19~25のうちの1つ以上と組み合わせたもの;要素19を要素20~25のうちの1つ以上と組み合わせたもの;要素20を要素21~25のうちの1つ以上と組み合わせたもの;要素21を要素22~25のうちの1つ以上と組み合わせたもの;及び要素22~25のうちの2つ以上の組み合わせが挙げられる。
【0113】
第2の非限定的な例示的実施形態は、第1の非限定的な例示的実施形態の方法によって産生されたポリイミド微粒子を含む組成物である。
【0114】
第3の非限定的な例示的実施形態は、第2の非限定的な例示的実施形態のポリイミド微粒子を、任意選択的に、熱可塑性ポリマー粒子(好ましくは、類似のサイズ及び形状であるが、多孔質又は中実であり得る)と合わせて、表面に(例えば、層状で、及び/又は特定の形状で)堆積させることと、堆積させると、ポリイミド微粒子の少なくとも一部を加熱して、その固結化を促進し、固結体(又は物体)を形成することと、を含む、方法である。
【0115】
第4の非限定的な例示的実施形態は、第1の乾性高沸点溶剤中でジアミン及び二無水物を混ぜ合わせることと、ジアミン及び二無水物を反応させて、ポリ(アミド酸)(PAA)及び第1の乾性高沸点溶剤を含む混合物を産生することと、混合物からPAAを抽出することと、PAAを第2の乾性高沸点溶剤に溶解させて、PAA溶液を産生することと、乳化安定剤を使用して、第1の乾性高沸点溶剤と不混和性であるマトリックス流体中でPAA溶液を乳化して、油中油型エマルションである前駆体エマルションを形成することと、形成中及び/又は形成後に、PAAを重合してポリイミド微粒子を形成するのに十分な温度に前駆体エマルションを加熱することと、を含む方法である。第4の非限定的な例示的実施形態は、要素1;要素2;要素3;要素4;要素5;要素6;要素7;要素8;要素9;要素10;要素11;要素12;要素13;要素14;要素15;要素16;要素17;要素18;要素19;要素20;要素21;要素22;要素23;要素24;及び要素25(上記の組み合わせを含む)のうちの1つ以上を更に含み得る。
【0116】
第5の非限定的な例示的実施形態は、第4の非限定的な例示的実施形態の方法によって産生されたポリイミド微粒子を含む組成物である。
【0117】
第6の非限定的な例示的実施形態は、第5の非限定的な例示的実施形態のポリイミド微粒子を、任意選択的に、熱可塑性ポリマー粒子(好ましくは、類似のサイズ及び形状であるが、多孔質又は中実であり得る)と合わせて、表面に(例えば、層状で、及び/又は特定の形状で)堆積させることと、堆積させると、ポリイミド微粒子の少なくとも一部を加熱して、その固結化を促進し、固結体(又は物体)を形成することと、を含む方法である。
【0118】
第7の非限定的な例示的実施形態は、ポリイミドを含む微粒子を含む組成物であって、微粒子は、(a)フレーク様構造、(b)リボン様構造、(c)、及び/又は相互接続された固化ポリマー溶融構造を含む多孔質の不規則な骨格形態を有する。第5の非限定的な例示的実施形態は、要素11;要素12;要素13;要素14;要素15;要素16;要素17;要素18;要素19;要素20;要素21;要素22;要素23;及び要素24(上記の組み合わせを含む)のうちの1つ以上を更に含み得る。
【0119】
第8の非限定的な例示的実施形態は、第7の非限定的な例示的実施形態のポリイミド微粒子を、任意選択的に、熱可塑性ポリマー粒子(好ましくは、類似のサイズ及び形状であるが、多孔質又は中実であり得る)と合わせて、表面に(例えば、層状で、及び/又は特定の形状で)堆積させることと、堆積させると、ポリイミド微粒子の少なくとも一部を加熱して、その固結化を促進し、固結体(又は物体)を形成することと、を含む方法である。
条項
【0120】
条項1:方法であって、第1の乾性高沸点溶剤中でジアミン及び二無水物を混ぜ合わせることと、ジアミン及び二無水物を反応させて、ポリ(アミド酸)(PAA)及び第1の乾性高沸点溶剤を含む混合物を産生することと、乳化安定剤を使用して、第1の乾性高沸点溶剤と不混和性であるマトリックス流体中で混合物を乳化して、油中油型エマルションである前駆体エマルションを形成することと、形成中及び/又は形成後に、PAAを重合してポリイミド微粒子を形成するのに十分な温度に前駆体エマルションを加熱することと、を含む、方法。
【0121】
条項2:ジアミンは、本明細書に記載のジアミンから選択される、条項1に記載の方法。
【0122】
条項3:二無水物は、本明細書に記載の二無水物から選択される、条項1に記載の方法。
【0123】
条項4:ジアミンと二無水物との反応は、約40℃以下においてである、条項1に記載の方法。
【0124】
条項5:ジアミンと二無水物との反応は、約6時間~約48時間にわたる、条項1に記載の方法。
【0125】
条項6:ジアミン対二無水物の化学量論比は、約2:1~約1:2である、条項1に記載の方法。
【0126】
条項7:ジアミンと二無水物との反応を実行することは、ジアミンを第1の乾性高沸点溶剤に溶解させることと、ジアミンを溶解させた第1の乾性高沸点溶剤に二無水物を添加することと、を含む、条項1に記載の方法。
【0127】
条項8:乳化安定剤は界面活性剤及び/又はナノ粒子を含む、条項1に記載の方法。
【0128】
条項9:乳化安定剤は、ポリイミド粒子の表面にコーティングとして存在する、条項1に記載の方法。
【0129】
条項10:PAAを重合するのに十分な温度は、約100℃~約250℃である、条項1に記載の方法。
【0130】
条項11:方法は、ポリイミド微小粒子を洗浄することと、洗浄後にポリイミド微粒子を乾燥させることと、を更に含む、条項1に記載の方法。
【0131】
条項12:ポリイミド微粒子は、約0.5μm~約50μmのD10、約10μm~約200μmのD50、及び約50μm~約300μmのD90を有し、D10<D50<D90である、条項1に記載の方法。
【0132】
条項13:ポリイミド微粒子は、約0.2~約10の粒径スパンを有する、条項1に記載の方法。
【0133】
条項14:ポリイミド微粒子は、約0.9以上(又は約0.90~約1.0)の真円度を有する、条項1に記載の方法。
【0134】
条項15:ポリイミド微粒子は、約25°~約45°の安息角を有する、条項1に記載の方法。
【0135】
条項16:ポリイミド微粒子は、約1.0~約1.5のハウスナー比を有する、条項1に記載の方法。
【0136】
条項17:ポリイミド微粒子は、約0.2g/cm3~約0.8g/cm3の嵩密度を有する、条項1に記載の方法。
【0137】
条項18:ポリイミド微粒子は、約30m2/g~約500m2/gのBET表面積を有する、条項1に記載の方法。
【0138】
条項19:ポリイミド微粒子は、約15℃~約35℃の焼結ウィンドウを有する、条項1に記載の方法。
【0139】
条項20:ポリイミド微粒子は、約250℃~約400℃の融点を有する、条項1に記載の方法。
【0140】
条項21:ポリイミド微粒子は、約200℃~約350℃のガラス転移温度を有する、条項1に記載の方法。
【0141】
条項22:ポリイミド微粒子は、約400℃~約500℃の分解温度を有する、条項1に記載の方法。
【0142】
条項23:ポリイミド微粒子は、約250℃~約300℃の結晶化温度を有する、条項1に記載の方法。
【0143】
条項24:ポリイミド微粒子は、約20%~約60%の結晶化度を有する、条項1に記載の方法。
【0144】
条項25:ポリイミド微粒子は、約0.5g/10分~約10g/10分のMFI流量を有する、条項1に記載の方法。
【0145】
条項26:ポリイミド微粒子は、(a)フレーク様構造、(b)リボン様構造、(c)、及び/又は相互接続された固化ポリマー溶融構造を含む多孔質の不規則な骨格形態を有する、条項1に記載の方法。
【0146】
条項27:条項1に記載のポリイミド微粒子を含む、組成物。
【0147】
条項28:方法であって、条項27に記載のポリイミド微粒子を、任意選択的に、熱可塑性ポリマー粒子と合わせて表面に堆積させることと、堆積させると、ポリイミド微粒子の少なくとも一部を加熱して、その固結化を促進し、固結体(又は物体)を形成することと、を含む、方法。
【0148】
条項29:方法であって、第1の乾性高沸点溶剤中でジアミン及び二無水物を混ぜ合わせることと、ジアミン及び二無水物を反応させて、ポリ(アミド酸)(PAA)及び第1の乾性高沸点溶剤を含む混合物を産生することと、混合物からPAAを抽出することと、PAAを第2の乾性高沸点溶剤に溶解させて、PAA溶液を産生することと、乳化安定剤を使用して、第1の乾性高沸点溶剤と不混和性であるマトリックス流体中でPAA溶液を乳化して、油中油型エマルションである前駆体エマルションを形成することと、形成中及び/又は形成後に、PAAを重合してポリイミド微粒子を形成するのに十分な温度に前駆体エマルションを加熱することと、を含む、方法。
【0149】
条項30:ジアミンは、本明細書に記載のジアミンから選択される、条項29に記載の方法。
【0150】
条項31:二無水物は、本明細書に記載の二無水物から選択される、条項29に記載の方法。
【0151】
条項32:ジアミンと二無水物との反応は、約40℃以下においてである、条項29に記載の方法。
【0152】
条項33:ジアミンと二無水物との反応は、約6時間~約48時間にわたる、条項29に記載の方法。
【0153】
条項34:ジアミン対二無水物の化学量論比は、約2:1~約1:2である、条項29に記載の方法。
【0154】
条項35:ジアミンと二無水物との反応を実行することは、ジアミンを第1の乾性高沸点溶剤に溶解させることと、ジアミンを溶解させた第1の乾性高沸点溶剤に二無水物を添加することと、を含む、条項29に記載の方法。
【0155】
条項36:乳化安定剤は界面活性剤及び/又はナノ粒子を含む、条項29に記載の方法。
【0156】
条項37:乳化安定剤は、ポリイミド粒子の表面にコーティングとして存在する、条項29に記載の方法。
【0157】
条項38:PAAを重合するのに十分な温度は、約100℃~約250℃である、条項29に記載の方法。
【0158】
条項39:方法は、ポリイミド微小粒子を洗浄することと、洗浄後にポリイミド微粒子を乾燥させることと、を更に含む、条項29に記載の方法。
【0159】
条項40:ポリイミド微粒子は、約0.5μm~約50μmのD10、約10μm~約200μmのD50、及び約50μm~約300μmのD90を有し、D10<D50<D90である、条項29に記載の方法。
【0160】
条項41:ポリイミド微粒子は、約0.2~約10の粒径スパンを有する、条項29に記載の方法。
【0161】
条項42:ポリイミド微粒子は、約0.9以上(又は約0.90~約1.0)の真円度を有する、条項29に記載の方法。
【0162】
条項43:ポリイミド微粒子は、約25°~約45°の安息角を有する、条項29に記載の方法。
【0163】
条項44:ポリイミド微粒子は、約1.0~約1.5のハウスナー比を有する、条項29に記載の方法。
【0164】
条項45:ポリイミド微粒子は、約0.2g/cm3~約0.8g/cm3の嵩密度を有する、条項29に記載の方法。
【0165】
条項46:ポリイミド微粒子は、約30m2/g~約500m2/gのBET表面積を有する、条項29に記載の方法。
【0166】
条項47:ポリイミド微粒子は、約15℃~約35℃の焼結ウィンドウを有する、条項29に記載の方法。
【0167】
条項48:ポリイミド微粒子は、約250℃~約400℃の融点を有する、条項29に記載の方法。
【0168】
条項49:ポリイミド微粒子は、約200℃~約350℃のガラス転移温度を有する、条項29に記載の方法。
【0169】
条項50:ポリイミド微粒子は、約400℃~約500℃の分解温度を有する、条項29に記載の方法。
【0170】
条項51:ポリイミド微粒子は、約250℃~約300℃の結晶化温度を有する、条項29に記載の方法。
【0171】
条項52:ポリイミド微粒子は、約20%~約60%の結晶化度を有する、条項29に記載の方法。
【0172】
条項53:ポリイミド微粒子は、約0.5g/10分~約10g/10分のMFI流量を有する、条項29に記載の方法。
【0173】
条項54:ポリイミド微粒子は、(a)フレーク様構造、(b)リボン様構造、(c)、及び/又は相互接続された固化ポリマー溶融構造を含む多孔質の不規則な骨格形態を有する、条項29に記載の方法。
【0174】
条項55:条項29に記載のポリイミド微粒子を含む、組成物。
【0175】
条項56:方法であって、条項55に記載のポリイミド微粒子を、任意選択的に、熱可塑性ポリマー粒子と合わせて表面に堆積させることと、堆積させると、ポリイミド微粒子の少なくとも一部を加熱して、その固結化を促進し、固結体(又は物体)を形成することと、を含む、方法。
【0176】
条項57:ポリイミドを含む微粒子を含む組成物であって、微粒子は、(a)フレーク様構造、(b)リボン様構造、(c)、及び/又は相互接続された固化ポリマー溶融構造を含む多孔質の不規則な骨格形態を有する、組成物。
【0177】
条項58:ポリイミド微粒子は、約0.5μm~約50μmのD10、約10μm~約200μmのD50、及び約50μm~約300μmのD90を有し、D10<D50<D90である、条項57に記載の組成物。
【0178】
条項59:ポリイミド微粒子は、約0.2~約10の粒径スパンを有する、条項57に記載の組成物。
【0179】
条項60:ポリイミド微粒子は、約0.9以上(又は約0.90~約1.0)の真円度を有する、条項57に記載の組成物。
【0180】
条項61:ポリイミド微粒子は、約25°~約45°の安息角を有する、条項57に記載の組成物。
【0181】
条項62:ポリイミド微粒子は、約1.0~約1.5のハウスナー比を有する、条項57に記載の組成物。
【0182】
条項63:ポリイミド微粒子は、約0.2g/cm3~約0.8g/cm3の嵩密度を有する、条項57に記載の組成物。
【0183】
条項64:ポリイミド微粒子は、約30m2/g~約500m2/gのBET表面積を有する、条項57に記載の組成物。
【0184】
条項65:ポリイミド微粒子は、約15℃~約35℃の焼結ウィンドウを有する、条項57に記載の組成物。
【0185】
条項66:ポリイミド微粒子は、約250℃~約400℃の融点を有する、条項57に記載の組成物。
【0186】
条項67:ポリイミド微粒子は、約200℃~約350℃のガラス転移温度を有する、条項57に記載の組成物。
【0187】
条項68:ポリイミド微粒子は、約400℃~約500℃の分解温度を有する、条項57に記載の組成物。
【0188】
条項69:ポリイミド微粒子は、約250℃~約300℃の結晶化温度を有する、条項57に記載の組成物。
【0189】
条項70:ポリイミド微粒子は、約20%~約60%の結晶化度を有する、条項57に記載の組成物。
【0190】
条項71:ポリイミド微粒子は、約0.5g/10分~約10g/10分のMFI流量を有する、条項57に記載の組成物。
【0191】
条項72:ポリイミド微粒子は、(a)フレーク様構造、(b)リボン様構造、(c)、及び/又は相互接続された固化ポリマー溶融構造を含む多孔質の不規則な骨格形態を有する、条項57に記載の組成物。
【0192】
条項73:条項29に記載のポリイミド微粒子を含む、組成物。
【0193】
条項74:方法であって、条項57に記載のポリイミド微粒子を、任意選択的に、熱可塑性ポリマー粒子と合わせて表面に堆積させることと、堆積させると、ポリイミド微粒子の少なくとも一部を加熱して、その固結化を促進し、固結体(又は物体)を形成することと、を含む、方法。
【0194】
別途記載のない限り、本明細書及び関連する特許請求の範囲で使用される成分、分子量などの特性、反応条件などの量を表す全ての数は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、それとは反対の指示がない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明の具現化によって得られると考えられる所望の特性に応じて変化してもよい近似値である。少なくとも、特許請求の範囲への均等論の適用を制限しようとするものではなく、それぞれの数値パラメータは、報告された有効数字の数に照らして、通常の四捨五入法を適用することによって解釈されるべきである。
【0195】
1つ以上の発明要素を組み込む1つ以上の例示的な具現化が本明細書に提示される。明確にするために、物理的実装の全ての特徴が本出願に記載又は表示されているわけではない。本発明の1つ以上の要素を組み込んだ物理的実施形態の開発において、実装及び時により変化する、システム関連、ビジネス関連、政府関連、及び他の制約によるコンプライアンスなどの開発者の目標を達成するために、数多くの実装固有の決定がなされなければならないことが理解される。開発者の努力には時間がかかる場合があるが、それにもかかわらず、そのような努力は、当業者にとって日常的な作業であり、本開示の利益を得るものとなるであろう。
【0196】
組成物及び方法は、様々な成分又は工程を「含む」という用語で本明細書に記載されているが、組成物及び方法はまた、様々な成分及び工程「から本質的になる」又は「からなる」可能性がある。
【0197】
本発明の実施形態のより良好な理解を容易にするために、好ましい又は代表的な実施形態の以下の実施例を付与する。以下の実施例は、決して、本発明の範囲を制限するか、又は定義するように読解されるべきではない。
【実施例0198】
実施例1-重縮合ステップ:磁気撹拌機及び窒素入口/出口を備えた、250mLの3つ口丸底フラスコに、1,12-ジアミノドデカン(9.11g、98%、SigmaAldrich)を充填し、カニューレを使用して無水1-メチル-2-ピロリジノン(100g、99.5%、SigmaAldrich)を添加した。混合物を300rpm、80℃で1時間撹拌し、不活性窒素雰囲気下で室温に冷却した。次いで、ピロメリト酸二無水物(9.990g、97%、SigmaAldrich)を5回に分けて、各回1時間の時間間隔で添加した。ピロメリト酸二無水物の添加の完了後、室温で24時間反応を継続させ、重合及び黄色がかったビスコース液体としてのPAAの形成を完了した。得られたPAAは、200mLの脱イオン水を反応器に添加することによって沈殿した。得られたコロイド状混合物をブフナー漏斗を使用して濾別し、メタノール、ギ酸、及びアセトンでそれぞれ1回洗浄した。得られた湿潤ケーキを真空下で2日間乾燥させて、定量的収率で白色のPAA粉末を得た。
【0199】
赤外分光法を使用して、1560cm-1及び1698cm-1におけるピーク、並びに2400cm-1~3300cm-1における広いピーク(脱プロトン化カルボン酸官能基の存在の証拠)、並びに1703cm-1におけるピーク(アミド官能基の存在の証拠)の存在に基づいて、PAAの存在を確認した。
【0200】
実施例2-エマルションゾル-ゲルイミド化ステップ:オーバーヘッド撹拌機、P4インペラ、窒素入口/出口、及び電子温度計を備えた250mLの3つ口のガラス製筒状反応容器にPAAのDMF溶液(合計2.30g、DMF中20%のPAA)、PDMSのデカリン溶液(10k cSt PDMS、合計11.5g、デカリン中20%のPDMS)、及びポリスチレン-co-アクリレート系有機添加剤(0.005g、約1重量%のPAA)を充填した。混合物を室温、700rpmで15分間撹拌し、30分間かけて145℃に加熱し、次いで145℃に3時間維持した。得られたポリイミド微粒子をブフナー漏斗を使用して濾過し、アセトンで洗浄し、80℃で一晩乾燥させた。
【0201】
赤外分光法を使用して、1560cm-1及び1698cm-1におけるピークの消失、並びに2400cm-1~3300cm-1における広いピークの消失(脱プロトン化カルボン酸官能基の不在の証拠)、並びに1698cm-1及び1768cmcm-1における異なる2つのピークの出現(イミド官能基の存在の証拠)により、ポリイミドへのPAAの完全なイミド化を確認する。
【0202】
図3は、ポリイミド微粒子の示差走査熱量測定(DSC)分析であり、ポリマーは、306℃の融点及び280℃の結晶化温度を有し、SLS積層造形法を成功するのに十分に広い26℃の焼結ウィンドウであることを示した。更に、DSC分析は、ポリイミド微粒子が、ポリイミドには通常認められない、又は予想されない熱可塑性及び半結晶挙動を有することを確認する。
【0203】
熱重量分析(thermogravimetric analysis、TGA)に基づいて、ポリイミド微粒子の分解温度は466℃であった。これは、高い熱安定性を示す。
【0204】
図4は、得られたポリイミド微粒子の光学顕微鏡画像である。
図5A~
図5Cは、得られたポリイミド微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。画像は、類似サイズのポリイミド微粒子を示す。
図5B及び
図5Cは、ポリイミド微粒子の固有形態を示す。表面は、より薄いポリマー構造の多孔質の不規則骨格(例えば、リボン又はフレーク)を有する。更なる実施例に示すように、この構造は、ポリイミド微粒子全体で一貫している。
【0205】
試料は、約10マイクロメートル~約50マイクロメートルの粒径を有する多くの粒子を有するように見える。これらのポリイミド微粒子は、SLS積層造形法の好適な粒径範囲を有するように見える。
【0206】
実施例3-重縮合ステップ:同一グレードの材料を使用して、1Lの丸底フラスコ内で1,12-ジアミノドデカン(22.780g)、1-メチル-2-ピロリジノン(250g)、及びピロメリト酸二無水物(24.799g)を用いて、実施例1の重縮合ステップに記載の手順を行った。
【0207】
実施例4-エマルションゾルゲルイミド化ステップ:同一グレードの材料を使用して、250mLの丸底フラスコ内でPAAのDMF溶液(合計4.66g、DMF中20%のPAA)、PDMSのデカリン溶液(10k cSt PDMS、合計23.3g、デカリン中20%のPDMS)、ポリスチレン-co-アクリレート系有機添加剤(0.1g)を用いて、実施例2のエマルションゾル-ゲルイミド化ステップに記載の手順を行った。
【0208】
図6は、得られたポリイミド微粒子の光学顕微鏡画像である。
図7A~
図7Bは、得られたポリイミド微粒子のSEM画像である。画像は、類似サイズのポリイミド微粒子を示す。
図7Bは、ポリイミド微粒子の固有形態、並びにポリイミド微粒子の表面の一部を被覆するポリスチレン-co-アクリレート系有機添加剤を示す。表面は、より薄いポリマー構造の多孔質の不規則骨格(例えば、リボン又はフレーク)を有する。更なる実施例に示すように、この構造は、ポリイミド微粒子全体で一貫している。
【0209】
図8は、この実施例で得られたポリイミド微粒子の光散乱から得たヒストグラムである。このヒストグラムは、多くの粒子が約20マイクロメートル~約80マイクロメートルの粒径を有することを示す。これらのポリイミド微粒子は、SLS積層造形法の好適な粒径範囲を有するように見える。粒子のふるい分けは、より大きい粒径の粒子の集団を低減させ、かつ/又は粒径スパンを狭め、それによってSLS積層造形法に対するポリイミド微粒子の適合性を更に増加させるのに有用であり得る。
【0210】
実施例5-磁気撹拌機及び窒素入口/出口を備えた、250mLの3つ口丸底フラスコに、カニューレ移動によって、1,12-ジアミノドデカン(8.50g、98%、SigmaAldrich)、続いて165mLの乾燥DMFを充填した。窒素ブランケット下で約40℃~約45℃に加熱しながら、DMFに1,12-ジアミノドデカンを溶解させた。ピロメリト酸二無水物(9.32g、97%、SigmaAldrich、PMDA)を4つの等アリコートで30分かけてフラスコにゆっくり添加しつつ、混合物を300rpmで撹拌した。PMDAの添加を完了した後に、反応物を155℃で1.5時間還流し、次いで周囲温度で一晩還流し、次いで翌日に162℃で更に3時間還流した。次いで、混合物を100℃に冷却し、数滴のギ酸を溶液に添加して、全ての未反応PMDAを溶解させた。次いで、反応物を更に2時間撹拌した。得られた溶液を冷却し、白色固体を濾過し、ギ酸及びアセトンで徹底的に洗浄した。次いで、白色粉末をギ酸/アセトン混合物からデカントし、周囲温度で2時間、アセトン中で再スラリー化した。白色の最終粉状生成物を濾過し、アセトン及びエーテルで再度洗浄した。得られた湿潤ケーキを80℃の真空下で2日間乾燥させて、定量的収率で白色のポリイミド粉末を得た。
【0211】
DSCを使用して、得られたポリイミド微粒子の結晶化度を測定した。試料のΔHは、47.6J/gであった。1,3-ビス(3,3’-4,4’-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン(二無水物R)及び4,4’-ビス(4アミノフェノキシ)ビフェニル(ジアミンBAPB)に基づいたポリイミドR-BAPBの100%結晶化度の基準(ΔH=98J/g)を使用すると、得られたポリイミド微粒子の結晶化度は約49%であった。これは、本明細書に記載の方法によって産生されたポリイミド微粒子が半結晶性ポリイミドを含むことを示している。
【0212】
実施例6-磁気撹拌機及び窒素入口/出口を備えた、100mLの3つ口丸底フラスコに、カニューレ移動によって、1,8-ジアミノドオクタン(1.07g、98%、SigmaAldrich)、続いて25mLの乾燥DMFを充填した。1,8-ジアミノオクタンを、周囲温度の窒素ブランケット下でDMFに溶解させた。ピロメリト酸二無水物(1.62g、97%、SigmaAldrich、PMDA)を4つの等アリコートで30分かけてフラスコにゆっくり添加しつつ、混合物を300rpmで撹拌した。PMDAの添加を完了した後に、反応物を周囲温度で30分間撹拌し、次いで165℃に加熱し、3時間保持した。得られたコロイド溶液を冷却し、白色固体を濾過し、分離及び収集のために遠心分離機を使用してギ酸及びアセトンで徹底的に3回洗浄した。得られた湿潤ケーキを80℃の真空下で2日間乾燥させて、定量的収率で白色のポリイミド粉末を得た。
【0213】
DSCを使用して、得られたポリイミド微粒子の結晶化度を測定した。試料のΔHは、47.6J/gであった。実施例5に記載の基準を使用して、得られたポリイミド微粒子の結晶化度は約54%であった。これは、本明細書に記載の方法によって産生されたポリイミド微粒子が半結晶性ポリイミドを含むことを示している。
【0214】
実施例7-重縮合ステップ:同一グレードの材料を使用して、1Lの丸底フラスコ内で1,12-ジアミノドデカン(22.780g)、1-メチル-2-ピロリジノン(250g)、及びピロメリト酸二無水物(24.799g)を用いて、実施例1の重縮合ステップに記載の手順を行った。
【0215】
同一グレードの材料を使用して、250mLの丸底フラスコ内で、PAAのDMF溶液(上記の重縮合ステップからの20.66gを使用、DMF中20%のPAA)、PDMSのデカリン溶液(10k cSt PDMS、合計116.6g、デカリン中20%のPDMS)、ポリスチレン-co-アクリレート系有機添加剤(0.2g)を用いて、エマルションゾル-ゲルイミド化ステップ(実施例2のエマルションゾル-ゲルイミド化ステップに記載の手順を行った。
【0216】
混合物を室温、620rpmで15分間撹拌し、30分間かけて140℃に加熱し、次いで140℃に3時間維持した。得られたポリイミド微粒子をブフナー漏斗を使用して濾過し、へプタンで4回洗浄し、80℃で一晩乾燥させた。この材料の安息角は37.9度であり、良好な流動を示した。
【0217】
図9A~
図9Cは、得られたポリイミド微粒子のSEM画像である。画像は、これらのポリイミド微粒子がより広い粒径スパン及びより低い真円度を有することを示す。しかしながら、
図9B~
図9Cに示すように、表面形態は、より少ないリボン様であるが、多孔質の不規則骨格であり、多孔質構造に固化したポリマー溶融物の方に似ている。
図9Cはまた、ポリスチレン-co-アクリレート系有機添加剤が、ポリイミド微粒子の表面に存在することを示す。
【0218】
図10A~
図10Cは、得られたポリイミド微粒子の断面SEM画像である。ポリイミド微粒子は、エポキシ内に固定し、ミクロトーム加工し、撮像した。
図10Aは、エポキシがポリイミド微粒子に部分的に浸透している単一のポリイミド微粒子を示す。ポリイミド微粒子の外周は、矢印Aによって示す、暗いグレーから明るいグレーへと移行する位置である。エポキシが浸透したポリイミド微粒子の部分は、矢印Bで示す。これは、本開示のポリイミド微粒子が多孔質であることを示す。
図10B~
図10Cは、
図10Aのより高倍率のSEM画像である。これらは、多孔質の不規則な骨格形態がポリイミド微粒子全体に及ぶことをより良好に示し、矢印Cは孔を示す。更に、矢印Dによって、合成プロセス中にポリイミド微粒子内に閉じ込められた、ポリスチレン-co-アクリレート系有機添加剤凝集体を示す。更に、矢印Eは、ポリイミド微粒子の内部の多孔質の不規則骨格の表面に存在する、個々のポリスチレン-co-アクリレート系有機添加剤を示す。
【0219】
300マイクロメートルのふるいを使用して得られたポリイミド微粒子をふるい分けした後、23℃、相対湿度47%で安息角が38°(3回の測定値の平均)であることを測定した。これはSLS積層造形法で使用するのに適した流動である。実施例7と他の以前の実施例との視覚的比較では、実施例7がより小さい真円度及びより大きな粒径スパンを有するように見えることを示すことに留意されたい。したがって、以前の実施例は、より低い安息角を有し、したがって、SLS積層造形法で使用するのに更に好適であると予想される。
【0220】
したがって、本発明は、上述した目的及び利点、並びにその中の固有の利点を達成するように十分に適合されている。本発明は、当業者には明らかであり、本明細書の教示の利益を有する、異なるが等価な方法で修正かつ実施してもよいため、上記に開示された特定の実施例及び構成は単なる例示に過ぎない。更に、以下の特許請求の範囲に記載されるもの以外の、本明細書に示される構造又は設計の詳細に限定することを意図するものではない。したがって、上記に開示された特定の例示的実施例は、変更されるか、組み合わせるか、又は修正されてもよく、そのような全ての変形例は、本発明の範囲内及び趣旨内で考慮されることは明らかである。本明細書で例示的に開示される本発明は、本明細書に具体的に開示されていないいずれかの要素、及び/又は本明細書に開示されるいずれかの任意選択的な要素の非存在下で実施されてもよい。組成物及び方法は、様々な成分又は工程を「含む(comprising)」、「含む(containing)」、又は「含む(including)」という用語で記載されているが、組成物及び方法はまた、様々な成分及び工程「から本質的になる」又は「からなる」可能性がある。上に開示された全ての数及び範囲は、多少異なる場合がある。下限及び上限を有する数値範囲が開示されるときはいつでも、その範囲内にある任意の数及び任意の含まれる範囲が具体的に開示される。とりわけ、本明細書に開示される(「約a~約b(from about a to about b)」、又は等しく「約a~b(approximately a to b)」、又は等しく「約a~b(from approximately a-b)」という形態の)値の全ての範囲は、広範な値の範囲内に包含される全ての数及び範囲を記載するものと理解されるべきである。また、「特許請求の範囲」における用語は、特許権所有者によって明示的かつ明確に定義されない限り、平易な通常の意味を有する。加えて、「特許請求の範囲」で使用するとき、不定冠詞「a」又は「an」は、本明細書において、それが導入する要素のうちの1つ又は1つ超を意味するように定義される。