(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174721
(43)【公開日】2022-11-24
(54)【発明の名称】水性コーティング組成物のための架橋有機添加剤
(51)【国際特許分類】
C09D 201/00 20060101AFI20221116BHJP
C09D 5/00 20060101ALI20221116BHJP
C09D 7/65 20180101ALI20221116BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D5/00 Z
C09D7/65
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063964
(22)【出願日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】17/317,085
(32)【優先日】2021-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.TEFLON
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・ピー.・エヌ.・ヴェレジン
(72)【発明者】
【氏名】キンバリー・ディー.・ノセラ
(72)【発明者】
【氏名】マジド・カメル
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038BA212
4J038GA06
4J038GA08
4J038GA12
4J038GA13
4J038KA06
4J038KA08
4J038KA20
4J038MA08
4J038MA10
4J038NA01
4J038NA11
4J038PB05
4J038PB07
4J038PC02
4J038PC03
4J038PC06
4J038PC08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】シリカと置き換え可能な有機添加剤を含む水性コーティング組成物を提供する。
【解決手段】コーティング組成物であって、水を含む溶媒系と、粒子の形態の架橋有機添加剤であって、2つ以上のビニル基を含む多官能ビニルモノマーを含む反応物の重合生成物を含む、架橋有機添加剤と、結合剤と、任意選択的に、着色剤及びワックスのうちの1つ以上と、を含む、コーティング組成物を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティング組成物であって、
水を含む溶媒系と、
粒子の形態の架橋有機添加剤であって、2つ以上のビニル基を含む多官能ビニルモノマーを含む反応物の重合生成物を含む、架橋有機添加剤と、
結合剤と、
任意選択的に、着色剤及びワックスのうちの1つ以上と、を含む、コーティング組成物。
【請求項2】
前記反応物が、追加の単官能ビニルモノマーを更に含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記粒子が、約20nm~約500nmの範囲のD50粒径を有する、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
前記結合剤が、その未硬化状態にある、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
前記架橋有機添加剤が、その硬化状態で前記結合剤に一致する屈折率を有する、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
前記架橋有機添加剤が、その硬化状態で前記結合剤と少なくとも約0.11だけ不一致である屈折率を有する、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
前記架橋有機添加剤が、約40%~約100%の範囲のゲル分率を特徴とするか、前記架橋有機添加剤が、約0.03~約0.60の範囲の架橋度を特徴とするか、又はそれらの両方である、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項8】
前記追加の単官能ビニルモノマーが、その硬化状態で前記結合剤に共有結合することができる官能基を含む、請求項2に記載のコーティング組成物。
【請求項9】
前記追加の単官能ビニルモノマーが、酸官能価を有する、請求項8に記載のコーティング組成物。
【請求項10】
前記追加の単官能ビニルモノマーが、(メタ)アクリル酸、βカルボキシエチルアクリレート又はそれらの組み合わせである、請求項9に記載のコーティング組成物。
【請求項11】
前記架橋有機添加剤が、前記粒子内に埋め込まれた界面活性剤を含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項12】
前記コーティング組成物が塗料である、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記コーティング組成物がシリカを含まない、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項14】
前記多官能ビニルモノマーは、ジビニルベンゼンを含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項15】
前記追加の単官能ビニルモノマーが、アクリルモノマーから選択される、請求項2に記載のコーティング組成物。
【請求項16】
前記アクリルモノマーが、(メタ)アクリレートを含む、請求項15に記載のコーティング組成物。
【請求項17】
前記追加の単官能ビニルモノマーが、フッ素化ビニルモノマーから選択される、請求項2に記載のコーティング組成物。
【請求項18】
前記フッ素化ビニルモノマーが、トリフルオロエチル(メタ)アクリレートを含む、請求項17に記載のコーティング組成物。
【請求項19】
前記追加の単官能ビニルモノマーが、窒素含有基又は硫黄含有基を含む、請求項2に記載のコーティング組成物。
【請求項20】
塗料であって、
水を含む溶媒系と、
粒子の形態の架橋有機添加剤であって、2つ以上のビニル基を含む多官能ビニルモノマーを含む反応物の重合生成物を含む、架橋有機添加剤と、
結合剤と、
着色剤と、を含む、塗料。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
水性コーティング組成物は、塗料及び自動車仕上げなどの様々な製品に基づく。それらは水ベースであるため、有機溶媒に基づくコーティング組成物と比較して、概して環境に優しく、塗布がより容易である。水系コーティング組成物の塗布及び特性は、その成分に依存する。多種多様な成分を水系コーティング組成物に使用してもよいが、シリカは、そのような組成物の遍在的な添加剤である。実際、土壌上の最も豊富なミネラルのうちの1つとして、シリカは、添加剤の自然な選択である。様々なタイプのシリカを使用して、レオロジー制御、補強、耐スクラッチ性及び光沢制御を提供する。
【発明の概要】
【0002】
本開示は、水系コーティング組成物に使用され得る有機添加剤を提供する。有機添加剤は、補助するために使用され得、実施形態では、水系コーティング組成物中のシリカを完全に置き換えることができる。以下、有機添加剤の例示的な利益及び利点が記載されている。しかしながら、そのような利益に関係なく、本開示は、特定の特性、例えば、光沢制御を達成するための有機添加剤の能力が、実際にシリカのそれを超えるという驚くべき発見に少なくとも部分的に基づく。有機化学物質からなる有機添加剤は、Si及びOのみからなるシリカと化学的に非常に異なるため、これは驚くべきことである。
【0003】
コーティング組成物が提供される。実施形態では、コーティング組成物は、水を含む溶媒系と、粒子の形態の架橋有機添加剤であって、2つ以上のビニル基を含む多官能ビニルモノマーを含む反応物の重合生成物を含む、架橋有機添加剤と、結合剤と、任意選択的に、着色剤及びワックスのうちの1つ以上と、を含む。コーティング組成物の作製及び使用方法も提供される。
【0004】
本開示の他の主要な特徴及び利点は、以下の図面、発明を実施するための形態、及び添付の特許請求の範囲を検討すると当業者には明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0005】
以下、本開示の例示的な実施形態を、添付の図面を参照して説明する。
【0006】
【
図1】例示的な実施形態による、コーティング組成物でコーティングされた基材の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
水性コーティング組成物に使用するための有機添加剤が提供される。コーティング組成物もまた、提供される。実施形態では、コーティング組成物は、水、有機添加剤及び結合剤を含む。他の成分は、着色剤、ワックス及びそれらの組み合わせなどのコーティング組成物に含まれ得る。これらの成分の各々を以下に記載する。
【0008】
有機添加剤は、小さな粒子の形態のポリマー材料である。多官能ビニルモノマー(すなわち、2つ以上のビニル重合性基(例えば、2、3、4)を含む)は、有機添加剤のポリマー材料を形成するために使用される。多官能ビニルモノマーは、有機添加剤内の架橋を達成する。2つ以上のビニル基を含む多官能ビニルモノマーを使用することができる。例示的な多官能ビニルモノマーには、ビスフェノールAエトキシレートジアクリレート、ビスフェノールAエトキシレートジメタクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、ビスフェノールAエトキシレートジアクリレート、メチル2-(トリフルオロメチル)アクリレート、10-デカンジオールジメタクリレート、1,10-デカンジオールジメタクリレート、1,4-フェニレンジメタクリレート、ピロメリト酸二無水物ジメタクリレート、ピロメリト酸二無水物グリセロールジメタクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート、ジウレタンジメタクリラート、1,3-ブタンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,3-ブタンジオールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、グリセロール1,3-ジグリセロレートジアクリレート、グリセロールジメタクリレート、トリ(プロピレングリコール)ジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールプロポキシレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)ジアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)ジメタクリレート、トリメチロールプロパン(1 EO/OH)メチルエーテルジアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,4シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,4-ビス(4-ビニルフェノキシ)ブタン、ジビニルスルホン、ジビニルベンゼンが含まれる。異なるタイプの多官能ビニルモノマーの単一のタイプ又は組み合わせを使用することができる。
【0009】
概して、追加のビニルモノマーを使用して、有機添加剤を形成する。多官能ビニルモノマーとは対照的に、追加のビニルモノマーは、単一の重合性ビニル基を有する単官能性であり得る。乳化重合法を介して重合され得るモノマーが使用され得る。これらには、アクリレート、アクリルアミド及びメタクリルアミド、アクリル酸、アクリロニトリル、ビスフェノールアクリル、フッ素化アクリル及びメタクリレートなどのアクリルモノマーと、ビニル重合性基以外に官能化されたスチレン及びスチレンモノマーと、ビニルエステル及びビニルエーテルと、が含まれる。
【0010】
特定の例示的な追加のビニルモノマーには、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、3-(アクリルアミド)フェニルボロン酸、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、3-O-アクリロイル-1,2:5,6-ビス-O-イソプロピリデン-D-グルコフラノース、N-アクリロイル-L-バリン、アルキルアクリルアミド、2-アミノエチルメタクリルアミドヒドロクロリド、N-(3-アミノプロピル)メタクリルアミドヒドロクロリド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N,N-ジエチルメタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N,N’-ヘキサメチレンビス(メタクリルアミド)、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、(4-ヒドロキシフェニル)メタクリアミド、2-ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、N-(イソブトキシメチル)アクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミド、メタクリルアミド、N-(3-メトキシプロピル)アクリルアミド、N-フェニルアクリルアミド、N-(トリフェニルメチル)メタクリルアミド、N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド、4-アセトキシフェネチルアクリレート、6-アセチルチオヘキシルメタクリレート、アクリル酸無水物、アクリルオキシエチルチオカルバモイルローダミンB、塩化アクリロイル、4-アクリロイルモルホリン、[2-(アクリロイロキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド、2-(4-ベンゾイル-3-ヒドロキシフェノキシ)エチルアクリレート、ベンゾイルアクリレート、ベンゾイル2-プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、2-[[(ブチルアミノ)カルボニル]オキシ]エチルアクリレート、tert-ブチル2-ブロモアクリレート、2-カルボキシエチルアクリレート、2-クロロエチルアクリレート、2-(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、ジ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート、2-(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、3-(ジメチルアミノ)プロピルアクリレート、エチルアクリレート、2-エチルアクリロイルクロリド、エチル2-(ブロモメチル)アクリレート、エチルcis-(β-シアノ)アクリレート、エチレングリコールジシクロペンテニルエーテルアクリレート、エチレングリコールメチルエーテルアクリレート、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート、エチル2-エチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、エチル2-プロピルアクリレート、ヘキシルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソブチルアクリレート、(2-イソブチル-2-メチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、メチル2-アセトアミドアクリレート、メチルアクリレート、メチルα-ブロモアクリレート、メチル2-(ブロモメチル)アクリレート、メチル2-(クロロメチル)アクリレート、オクタデシルアクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレート、ペンタブロモフェニルアクリレート、ペンタフルオロフェニルアクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)アクリレート、エポキシ化アクリレート、3-スルホプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2-テトラヒドロピラニルアクリレート、3,5,5-トリメチルヘキシルアクリレート、10-ウンデセニルアクリレート、4-アセトキシフェネチルアクリレート、6-アセチルチオヘキシルメタクリレート、アクリル酸無水物、アクリルオキシエチルチオカルバモイルローダミンB、4-アクリロイルモルホリン97%、[2-(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド、2-(4-ベンゾイル-3-ヒドロキシフェノキシ)エチルアクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジル2-プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、2-[[(ブチルアミノ)カルボニル]オキシ]エチルアクリレート、tert-ブチル2-ブロモアクリレート、2-カルボキシエチルアクリレート、2-クロロエチルアクリレート、2-(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、ジ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート、2-(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、3-(ジメチルアミノ)プロピルアクリレート、エチルアクリレート、2-エチルアクリロイルクロリド、エチル2-(ブロモメチル)アクリレート、エチルcis-(β-シアノ)アクリラート、エチレングリコールジシクロペンテニル、エチレングリコールメチルエーテルアクリレート、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート、エチル2-エチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、エチル2-プロピルアクリレート、ヘキシルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート96%、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソブチルアクリレート、(2-イソブチル1-2-メチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、メチル2-アセトアミドアクリレート、メチルアクリレート、メチルα-ブロモアクリレート、メチル2-(ブロモメチル)アクリレート、メチル2-(クロロメチル)アクリレート、メチル3-ヒドロキシ-2-メチレンブチラート、オクタデシルアクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレート、ペンタブロモフェニルアクリレート、3-スルホプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2-テトラヒドロピラニルアクリレート、3,5,5-トリメチルヘキシルアクリレート、10-ウンデセニルアクリレート、アクリル酸、アクリロニトリル、ベンジルメタクリレート、2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)エチルメタクリレート、2-(tert-ブチルアミノ)エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、3,3’-ジエトキシプロピルメタクリレート、2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、ジエチレングリコールブチルエーテルメタクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、2-(ジイソプロピルアミノ)エチルメタクリレート、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、2-エトキシエチルメタクリレート、エチレングリコールジシクロペンテニルエーテルメタクリレート、エチレングリコールメチルエーテルメタクリレート、エチレングリコールフェニルエーテルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、エチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、グリコシルオキシエチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-{3-[2,4,6,8-テトラメチル-4,6,8-プロピルグリシジルエーテル)-2-シクロテトラシロキサニル]プロポキシ}プロピルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2-イソシアナトエチルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、メタクリル酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、4-メタクリロキシエチルトリメリト酸無水物、メチルメタクリレート、2-(メチルチオ)エチルメタクリレート、モノ-2,2-N-モルホリノエチルメタクリレート、1-ナフチルメタクリレート、ペンタブロモフェニルメタクリレート、フェニルメタクリレート、リン酸2-ヒドロキシエチルメタクリレートエステル、ポリ(エチレングリコール)ベヘニルエーテルアクリレート、ポリ(エチレングリコール)2,4,6-トリス(1-フェニルエチル)フェニルエーテルメタクリレート、ポリ(プロピレングリコール)メタクリレート、2-[2-(3-プロパ-1-エン-2-イルフェニル)プロパン-2-イルカルバモイルオキシ]エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、1-ピレンメチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、3-スルホプロピルメタクリレート、TEMPOメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、トリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、ビニルメタクリレート、3-(アクリロイルオキシ)-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートが含まれる。
【0011】
他の特定の例示的な追加のビニルモノマーには、4-アセトキシスチレン、4-ベンズヒドリルスチレン、4-ベンジルオキシ-3-メトキシスチレン、2-ブロモスチレン、3-ブロモスチレン、4-ブロモスチレン、α-ブロモスチレン、4-tert-ブトキシスチレン、4-tert-ブチルスチレン、2-クロロスチレン、3-クロロスチレン、4-クロロスチレン、2,6-ジクロロスチレン、3,4-ジメトキシスチレン、2,4-ジメチルスチレン、2,5-ジメチルスチレン、N,N-ジメチルビニルベンジルアミン、4-(ジフェニルホスフィン)スチレン、4-エトキシスチレン、4-[N-(メチルアミノエチル)アミノメチル]スチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、α-メチルスチレン、3-ニトロスチレン、2,4,6-トリメチルスチレンが含まれる。
【0012】
他の特定の例示的な追加のビニルモノマーには、4-ビニル安息香酸ナトリウム、3-ビニルアニリン、4-ビニルアニリン、9-ビニルアントラセン、4-ビニルベンゾシクロブテン、3-ビニル安息香酸、4-ビニル安息香酸、ビニルベンジルクロリド、4-ビニルベンジルクロリド、4-ビニルベンジル(トリフェニル)ホスホニウムクロリド、4-ビニルビフェニル、2-ビニルナフタレン、ビニルアセタート、ビニルベンゾエート、4-tert-ブチルビニルベンゾエート、ビニルクロロホルマート、ビニルシンナメート、ビニルデカノエート、ビニルネオデカノエート、ビニルネオノナノエート、ビニルピバレート、ビニルプロピオナート、ビニルステアレート、ビニルバレラート、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、1,4-ブタンジオールビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、tert-ブチルビニルエーテル、2-クロロエチルビニルエーテル、1,4-シクロヘキサンジメタノールビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)ビニルエーテル、ジエチルビニルオルトホルマート、ドデシルビニルエーテル、エチレングリコールビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、N-エチル-2-ビニルカルバゾール、エチルビニルスルフィド、N-メチル-N-ビニルアセトアミド、9-ビニルアントラセン、9-ビニルカルバゾール、N-ビニルホルムアミド、2-ビニルナフタレン、ビニルホスホン酸、N-ビニルフタルイミド、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、1-ビニル-2-ピロリジノン、ビニルスルホン酸が含まれる。
【0013】
フッ素化ビニルモノマーはまた、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロヘプチルアクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12-ヘニコサフルオロデシルアクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルアクリレート、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート、2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチルアクリレート、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルアクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルメタクリレート、ペンタフルオロフェニルアクリレート、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルアクリレート、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルメタクリレート、1H,1H,2H,2H-ペンタフルオロデシルアクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピルメタクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチルアクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチルメタクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、メチル2-(トリフルオロメチル)アクリレート、2-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]エチルメタクリレート、ペンタフルオロフェニルメタクリレート、2-[(1’,1’,1’-トリフルオロ-2’-(トリフルオロメチル)-2’-ヒドロキシ)プロピル]-3-ノルボルニルメタクリレート、2,6-ジフルオロスチレン、2-フルオロスチレン、3-フルオロスチレン、4-フルオロスチレン、ペンタフルオロフェニル4-ビニルベンゾエート、2,3,4,5,6-ペンタフルオロスチレン、2-(トリフルオロメチル)スチレン、3-(トリフルオロメチル)スチレン、4-(トリフルオロメチル)スチレン、ビニルアセタートを含む、追加のモノマーとして使用され得る。
【0014】
追加のビニルモノマーは、上記に開示されたそのようなモノマーを含む、窒素含有基を含み得る。例えば、窒素含有基を含むビニルモノマーは、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジプロピルアミノエチルメタクリレート、ジイソプロピルアミノエチルメタクリレート又はジブチルアミノエチルメタクリレートであり得る。
【0015】
追加のビニルモノマーは、上記に開示されたアクリル酸及びメタクリル酸などの酸性官能基を有し得る。例えば、酸性官能基を有するビニルモノマーは、β-カルボキシエチルアクリレート(β-CEA)であり得る。
【0016】
追加のビニルモノマーは、上記に開示されたそのようなモノマーを含む、硫黄含有基を含み得る。例えば、硫黄含有基を含むビニルモノマーは、スチレンスルホン酸、ビニルスルホナート、スルホエチルメタクリル酸、スルホプロピルアクリル酸、スチレンスルホン酸、スルホエチルアクリル酸、2-メタクリロイルオキシメタン-1-スルホン酸、3-メタクリロイルオキシプロパン-1-スルホン酸、3-(ビニルオキシ)プロパン-1-スルホン酸、エチレンスルホン酸、ビニル硫酸、4-ビニルフェニル硫酸、又は2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸であり得る。
【0017】
使用される追加のビニルモノマーは、単一のタイプ又は異なるタイプの組み合わせであり得る。
【0018】
多官能ビニルモノマー及び追加のビニルモノマーの選択は、コーティング組成物の所望の特性(及びモノマーの量)に少なくとも部分的に依存する。有機添加剤は、シリカと比較してより大きな程度の化学多様性を提供し、したがって、コーティング組成物により広い範囲の特性をもたらす。例示として、モノマー選択は、コーティング組成物(又はそれから形成されたコーティング)が、疎水性であり(例えば、スチレン、アルキルメタクリレートなどの疎水性ビニルモノマーを使用することによって)、疎油性(例えば、フッ素化ビニルモノマーなどの疎油性ビニルモノマーを使用することによって)であり、特定の粘度を有し(例えば、ヒドロキシル部分及びグリコール部分などの水素結合部分を含むある特定の量のモノマーを使用することによって)、特定の硬度/耐スクラッチ性を有する(例えば、比較的大量の多官能ビニルモノマーを使用することによって)ことを望むことによって誘導されてもよい。
【0019】
ビニルモノマーの選択及びそれらの量はまた、有機添加剤(すなわち、有機添加剤がなるポリマー材料)が特定の屈折率を有することを望むことによって誘導されてもよい。概して、本明細書に開示されるモノマーに基づくホモポリマー及びコポリマーは、1.30~1.71の範囲の屈折率を有する。対照的に、水性コーティングに使用されるシリカ添加剤は、屈折率の非常に限定された範囲、1.45~1.46を有する。したがって、開示された有機添加剤の使用により、開示されたコーティング組成物から形成されたコーティングのはるかに広い範囲の光学特性が可能になる。例えば、有機添加剤の屈折率は、(硬化されると)コーティング組成物中の結合剤に一致する(すなわち、同じである)ように選択され得る。「同じ」とは、±0.10、±0.05、±0.02又は±0.01以内を意味する。これにより、有機添加剤と結合剤との間の光散乱を低減することによって、得られたコーティングの透明性を改善することができる。別の例として、有機添加剤の屈折率は、(硬化されると)結合剤との所望の不一致を提供するように選択され得る。これにより、光散乱を増加させることによって、得られるコーティングの光沢を低減することができる。実施形態では、不一致は、少なくとも0.11、少なくとも0.2、少なくとも0.3、少なくとも0.4又は0.11~0.4の範囲である開示された屈折率値は、光の特定の波長、例えば633nmでの屈折率の測定値を指し得る。屈折率測定値のために選択された波長は、コーティングの適用に好適なものである。例えば、多くのコーティング用途に典型的なように、高い透明度ポリマーフィルムを目視検査に提供するために、選択された波長は、視覚的範囲に最適である。屈折率は、特定の材料に適切なASTM規格を使用して、又は適切な市販の屈折計を使用して、任意の好適な方法によって測定され得る。実施形態では、屈折率は、有機添加剤又は結合剤(又はそれから形成されたコーティング)を既知の屈折率の標準流体中で順次浸漬し、添加剤/結合剤が標準流体中でもはや見えないときを観察することによって、測定することができる。カーギル屈折率液体は、利用され得る標準のセットの例である。他の実施形態では、異なる屈折率の標準流体は、グリセロール及び水などの既知の屈折率の混和性流体を混合することによって調製することができる。しかしながら、有機添加剤及び結合剤の屈折率が同じか、又は不一致であるかどうかを決定することは、比較測定が同じ方法で行われる限り、異なる測定技術を含み得る。
【0020】
ビニルモノマーの選択及びそれらの量はまた、コーティング組成物の他の成分(例えば、結合剤)との適合性を達成すること、又はそのような成分間の会合を促進することを望むことによって誘導され得る。この会合は、共有結合又は非共有結合(例えば、水素結合、ファンデルワールスなど)であり得る。適合性は、他の成分に対して化学的に不活性であるビニルモノマーを選択することによって達成され得る。適合性は、有機添加剤自体中に結合剤の量を含むことによって達成され得る。会合は、コーティング組成物の成分と共有結合又は非共有結合を形成する官能基を含むビニルモノマーを選択することによって達成され得る。例えば、(メタ)アクリル酸モノマー及びβ-CEAは、コーティング組成物の特定の成分と共有結合を形成することができるビニルモノマーである。
【0021】
乳化重合技術を含む、選択されたビニルモノマーから有機添加剤を形成するために、様々な重合技術を使用することができる。乳化重合では、選択されたビニルモノマー及び概して、溶媒及び界面活性剤を含むエマルションが形成される。開始剤は、エマルションに含まれ得る(又は別個のステップで別々に添加され得る)。エマルションは、ビニルモノマー間の重合反応を誘発して、有機添加剤が構成されるポリマー材料を形成する条件に曝露される。これらの条件は、一定期間(例えば、1分~72時間、4時間~24時間)、特定の温度(例えば、10℃~100℃、20℃~90℃、45℃~75℃)で混合することを含み得る。不活性ガスは、重合反応中に、例えば窒素中に供給され得る。乳化重合は、任意の好適な反応器内で実施され得る。
【0022】
乳化重合は、有機添加剤ラテックス、すなわち、溶媒中に分散された粒子として有機添加剤を提供する。これは、概して、それを分散させ、それをコーティング組成物に組み込むために、概して、追加のステップ、例えば、高剪断を必要とするシリカに対する利点である。有機添加剤ラテックスは、例えば、開示されるコーティング組成物の他の成分とともに添加されるように使用され得る。しかしながら、例えば、有機添加剤を溶媒から回収するために、更なる処理ステップを使用することができる。これらの処理ステップには、例えば、濾過、乾燥、遠心分離、噴霧乾燥、凍結乾燥などが含まれる。
【0023】
水は、概して、エマルション中の溶媒として使用されるが、トルエン、ベンゼン、キシレン、テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、四塩化炭素、クロロベンゼン、シクロヘキサン、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、ジメチルホルムアミド、ヘプタン、ヘキサン、塩化メチレン、ペンタン及びそれらの組み合わせなどの他の溶媒が含まれてもよい。
【0024】
上記のように、界面活性剤は、概して、アニオン性、カチオン性又は非イオン性界面活性剤を含むエマルションに使用される。それらは、ビニルモノマーの総重量の0.01~15重量パーセント、又はビニルモノマーの総重量の0.1~10重量パーセントの量でエマルション中に存在し得る。異なるタイプの界面活性剤の単一のタイプ又は組み合わせを使用することができる。
【0025】
アニオン性界面活性剤は、ナトリウムラウリルスルファート(SLS)としても知られるナトリウムドデシルスルファート(SDS)、ナトリウムドデシルベンゼンスルホナート、ナトリウムドデシルナフタレンスルファート、ジアルキルベンゼンアルキルスルファート、及びスルホナートなどの、スルファート及びスルホナートと、アルドリッチから入手可能なアビエチン酸、第一工業製薬株式会社から入手されるNEOGEN(商標)、NEOGEN SC(商標)などの酸と、を含む。他の好適なアニオン性界面活性剤は、ダウケミカル社製のDOWFAX(商標)2A1、アルキルジフォニルオキシドジスルホナート、及び/又は分岐ナトリウムドデシルベンゼンスルホナートであるテイカ株式会社(日本)製のTAYCA POWER BN2060を含む。
【0026】
カチオン性界面活性剤の例としては、アンモニウム、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、塩化ベンザルコニウム及びC12,C15,C17トリメチルアンモニウムブロミド、これらの組み合わせなどが挙げられる。他のカチオン性界面活性剤としては、セチルピリジニウムブロミド、四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、Alkaril Chemical Companyから入手可能なMIRAPOL及びALKAQUAT、Kao Chemicalsから入手可能なSANISOL(塩化ベンザルコニウム)が挙げられる。好適なカチオン性界面活性剤には、Kao Corp.から入手可能なSANISOL B-50が挙げられ、これは主にベンジルジメチルアルコニウムクロリドである。
【0027】
非イオン性界面活性剤としては、アルコール、酸及びエーテルが挙げられる。例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、メタロース、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル及びジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノールが使用されてもよい。Rhone-Poulencから市販されている界面活性剤、例えば、IGEPAL CA-210(商標)、IGEPAL CA-520(商標)、IGEPAL CA-720(商標)、IGEPAL CO-890(商標)、IGEPAL CO-720(商標)、IGEPAL CO-290(商標)、IGEPAL CA-210(商標)、ANTAROX 890(商標)及びANTAROX 897(商標)が使用されてもよい。
【0028】
開始剤は、概して、重合反応を促進するために乳化重合プロセスで使用される。それらは、ビニルモノマーの総重量の0.1~8重量パーセント、又はビニルモノマーの総重量の0.2~5重量パーセントの量でエマルション中に存在し(又は添加され)得る。異なるタイプの開始剤の単一のタイプ又は組み合わせを使用することができる。
【0029】
好適な開始剤には、アンモニウムペルスルファート、ナトリウムペルスルファート、及びカリウムペルスルファートなどの水溶性開始剤、並びに有機過酸化物と、VAZO 64(商標)、2-メチル2-2’-アゾビスプロパンニトリル、VAZO 88(商標)、及び2-2’-アゾビスイソブチルアミド無水物などのVazo過酸化物を含むアゾ化合物と、を含む、有機水溶性開始剤が含まれる。他の水溶性開始剤は、アゾアミジン化合物、例えば、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-フェニルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[N-(4-クロロフェニル)-2-メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[N-(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチル-プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[N-(4-アミノ-フェニル)-2-メチルプロピオンアミジン]テトラヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-メチル-N(フェニルメチル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-2-プロペニルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[N-(2-ヒドロキシ-エチル)-2-メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-1,3-ジアゼピン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(5-ヒドロキシ-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド及び2,2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}ジヒドロクロリドを含む。
【0030】
上記の乳化重合技術によって形成される有機添加剤は、それらの組成物を特徴とし得る。上記のように、有機添加剤のポリマー材料は、ビニルモノマーの様々な組み合わせ間の重合反応の結果であり、重合生成物を形成する。明確にするために、ポリマー材料/有機添加剤の組成は、重合されるビニルモノマーを参照し、これらのモノマーの化学形態が、概して重合反応の結果として変化していることを認識することによって特定され得る。重合生成物、したがって有機添加剤は、上記のエマルション中に存在する他の成分を含み得る。例えば、開始剤(又はその一部、例えば、硫酸基)は、ポリマー鎖の開始及び末端に組み込まれ得る。界面活性剤は、ポリマー鎖と絡み合って、例えば、強い非共有結合のために有機添加剤粒子内に埋め込まれ得る。
【0031】
実施形態では、有機添加剤は、多官能ビニルモノマー、追加のビニルモノマー、及び任意選択的に、開始剤を含む、反応物の重合生成物を含む(又はそれからなる)。本明細書に記載の多官能ビニルモノマー、追加のビニルモノマー及び開始剤のうちのいずれかを使用することができる。これらの実施形態のいずれかにおいて、界面活性剤は、有機添加剤中に存在してもよく、例えば、内部に埋め込まれてもよい。本明細書に記載の界面活性剤のうちのいずれかを使用することができる。これらの実施形態のうちのいずれかにおいて、多官能ビニルモノマーは、固形分(全ビニルモノマー、界面活性剤(存在する場合)を含む)の総重量の2~99重量パーセントの量で存在し得る。これは、5~90重量パーセント、10~80重量パーセント及び25~70重量パーセントを含む。1つのタイプの多官能ビニルモノマーが使用される場合、これらの値は、多官能ビニルモノマーの総量を指す。これらの実施形態のうちのいずれかにおいて、追加のビニルモノマーは、固形分の総重量の0~97重量パーセントの量で存在し得る。これは、1~90重量パーセント、10~80重量パーセント及び25~70重量パーセントを含む。2つ以上のタイプの追加のビニルモノマーが使用される場合、これらの値は、追加のビニルモノマーの総量を指す。これらの実施形態のうちのいずれかにおいて、界面活性剤は、固形分の総重量の0~10重量パーセントの量で存在し得る。これは、0.1~8重量パーセント及び1~6重量パーセントを含む。
【0032】
上記段落で参照される実施形態のいずれにおいても、以下の変形例のうちの1つ以上を使用することができる。ジビニルベンゼンは、多官能ビニルモノマー(又は多官能ビニルモノマーのうちの1つ)として使用され得る。アクリレート又はメタクリレートは、追加のビニルモノマー(又は追加のビニルモノマーのうちの1つ)として使用され得る。フッ素化ビニルモノマー(例えば、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート)は、追加のビニルモノマー(又は追加のビニルモノマーのうちの1つ)として使用され得る。硫黄含有基を含むモノマーは、追加のビニルモノマー(又は追加のビニルモノマーのうちの1つ)として使用され得る。窒素含有基を含むモノマーは、追加のビニルモノマー(又は追加のビニルモノマーのうちの1つ)として、(上記で定義されたように)固形分の総重量の0.1~1.5重量パーセントの量で使用され得る。酸性官能基(例えば、アクリル酸、メタクリル酸又はβ-CEA)を有するモノマーは、追加のビニルモノマー(又は追加のビニルモノマーのうちの1つ)として、固体の総重量の0.1~10重量パーセントの量で使用され得る。
【0033】
有機添加剤は、それらのサイズ及び形態を特徴とし得る。上記のように、それらは粒子状である。いくつかの粒子が楕円形、卵形又は不規則な形状を有し得るため、それらは概して球形であるが、これは完全に球形を意味しない。有機添加剤粒径は、D50粒径として報告され得、これは、試料の50%(体積基準で)を構成する粒子が、当該値未満の直径を有するというケースの、この直径値を指す。実施形態では、蛍光染料は、20nm~500nm、25nm~200nm又は40nm~150nmの範囲にわたるD50粒径を有する。D50粒径は、Nanotrac 252機器を使用して測定することができる。この器具は、レーザー光散乱技術を使用し、運動(ブラウン運動)中のそれぞれの粒子から生成されたドップラー偏移光が測定される。これらの偏移によって生成される信号は、粒子のサイズに比例する。信号は、粒径及び粒度分布に数学的に変換される。分析は、外部プローブを使用して、又はプローブを固定試料チャンバに挿入することによって実施され得る。光散乱技術については、Microtracから入手した商標名NIST Traceable Reference Material for Nanotrac Particle Size Analyzersの下で、15mm~150mmの範囲内の直径を有するNISTポリスチレンナノスフェア対照サンプルを使用することができる。
【0034】
同じサイズの場合、有機添加剤の実施形態は、シリカと比較してより大きな表面積を提供する。例えば、約65nmシリカ粒子のブルナウアー-エメット-テラー(BET)値は、約80m2/gである。約70重量パーセントのトリフルオロエチルメタクリレート及び約30重量パーセントのジビニルベンゼンからなる同じ有機添加剤粒径は、約120m2/gのBET値を有する。更に、シリカは凝集する傾向があり、表面積の損失及び/又は粘度の有害な増加につながる。有機添加剤の実施形態は、そのような問題に悩まされない。
【0035】
有機添加剤は、それらの架橋度を特徴とし得る。架橋度は、コーティング組成物中のビニルモノマーの単位当たりの架橋の数を計算することによって与えられ得る。架橋が二官能性ビニルモノマーを使用することによって提供される有機添加剤の場合、これは以下の式を使用して計算することができ、式中、Mcは、二官能性ビニルモノマーの分子量であり、Xcは、ビニルモノマーの総量に対する二官能性ビニルモノマーの重量分率であり、和はすべてのビニルモノマーの和であり、i=1~nであり、式中、Miは、ビニルモノマーiの分子量であり、Xiは、ビニルモノマーの総量に対するビニルモノマーiの重量分率である。
【数1】
【0036】
架橋が2よりも高い官能価を有するビニルモノマーを使用することによって提供される有機添加剤の場合、架橋度は、形成された架橋の数に関連付けられた因子によって修飾されたものを除いて、同じ方法で計算され得る。例えば、三官能性ビニルモノマーについては、各三官能性ビニルモノマーが2つの架橋を作り出すため、架橋密度値は2で乗算されなければならない。同様に、四級ビニルモノマーは、二官能性ビニルモノマーの架橋密度の3倍を有するため、架橋密度値は3で乗算されなければならない。
【0037】
実施形態では、架橋度(架橋密度値)は、0.03~0.60である。これは、0.05~0.50、0.10~0.40及び0.20~0.40を含む。
【0038】
有機添加剤は、それらのゲル分率を特徴とし得る。ゲル分率は、重量技術を使用して、以下のように測定することができる。有機添加剤ラテックスをトルエンに溶解し、次いで真空濾過によって濾過する。収集膜を乾燥させ、秤量し、膜上の残りの材料を、保持されたゲルパーセントについて秤量する。詳細な手順の例は、以下の通りである。樹脂の0.04g±0.001g(W1)をシンチレーションバイアルに量り分け、各バイアルに20mLのトルエンを添加し、4時間振盪する。1つのガラスフィルター(例えば、Whatmanガラスフィルター紙4.25cmタイプGF/a)及び1つのテフロンフィルター(例えばMSI Micro Teflonフィルター47mmタイプPTEF)をアルミニウムパン内に置き、重量(W2)を記録する。真空ガラスフィルター漏斗を設定し、フィルター支持体をトルエンで湿潤させ、テフロンフィルターを湿潤したフィルターパッド上に光沢面を下にして置く。ガラスフィルターをテフロンフィルター上に置く。シェーカーから試料を取り出し、溶液をバイアルから濾紙上に注ぐ。バイアルの内容物を空にし、バイアルを10mLのトルエンですすぎ、ガラス漏斗をトルエンですすぐ。湿潤した濾紙を除去し、アルミニウム皿に入れ、一晩乾燥させる。るつぼ(W3)を秤量し、トルエン不溶分パーセントを決定する。総トルエン不溶分の計算は、次のように決定される:総トルエン不溶分=[(W3)-(W2)/(W1)]*100。総トルエン不溶分のパーセントは、ゲル分率である。
【0039】
実施形態では、ゲル分率は、40%~100%、40%~90%、50%~95%、75%~99%、80%~100%又は90%~100%である。
【0040】
有機添加剤は、例えば、それから形成されるコーティングの所望の特性に応じて、様々な量でコーティング組成物中に使用され得る。実施形態では、有機添加剤は、コーティング組成物中に、コーティング組成物の総重量の2~25重量パーセント、5~20重量パーセント及び2~10重量パーセントの量で存在する。この量は、(有機添加剤ラテックスの量とは対照的に)有機添加剤の固形分を指す。異なるタイプの有機添加剤が使用される場合、この量は有機添加剤の総量を指す。コーティング組成物の他の成分を以下に記載する。
【0041】
シリカ、例えば、2.2g/mLの密度を有するヒュームドシリカと比較して、有機添加剤の密度は、著しく低く、例えば0.9g/mL~2.2g/mLのより広い範囲をカバーし得るこれは、実施形態では、同じ特性、例えば、重量分率とは対照的に、体積分率に依存する補強剤を提供するために、より少量の有機添加剤をシリカと比較して使用してもよいことを意味する。
【0042】
コーティング組成物は水を含む。しかしながら、水は、アルコール、ケトン、グリコール、グリコールエーテル、グリコールエーテルエステル、N-メチルピロリドンなどの水溶性又は水混和性有機溶媒を含む溶媒系の1つの成分であってもよい。単一のタイプ又はそのような溶媒の異なるタイプの組み合わせを使用してもよい。コーティング組成物は、概して、比較的大量の水を含む。実施形態では、コーティング組成物中の溶媒系は、少なくとも50%の水、少なくとも60%の水、少なくとも70%の水、又は少なくとも80%の水(体積基準)を含む。コーティング組成物中の水を含む溶媒の総量は、例えば、コーティング組成物の総重量の10~80重量パーセント、20~70重量パーセント又は30~60重量パーセントの範囲であり得る。
【0043】
コーティング組成物はまた、結合剤を含む。「結合剤」という用語は、プレポリマーをプレポリマーを硬化させる条件に曝露すると硬化ポリマーを形成するプレポリマーを指す。これらのプレポリマーは、プレポリマー間の共有結合(すなわち架橋)の形成を含む、硬化時に追加の化学反応を受けるモノマー、オリゴマー及び/又はポリマーであり得る。しかしながら、これらのプレポリマーは、硬化時に合体する粒子の形態のオリゴマー及び/又はポリマーであり得る(例えば、毛細管力の乾燥によって誘発されるラテックス粒子合体)。したがって、少なくとも実施形態では、結合剤は、コーティング組成物中のそれらの未硬化状態にあるプレポリマーを指す。コーティング組成物では、架橋されている有機添加剤とは異なり、結合剤は概して架橋されていない。しかしながら、そのような架橋は、硬化中に形成されて、結合剤/プレポリマーからポリマーを形成し得る。
【0044】
ある特定の有機添加剤が、電子写真トナーで使用されていることに留意されたい。しかしながら、本コーティング組成物はトナーではなく、本コーティング組成物中の結合剤はトナー粒子ではない。更に、電子写真トナー中の有機添加剤の機能は、本コーティング組成物中の有機添加剤の機能とは完全に異なる。同様に、実施形態では、コーティング組成物は、水性インクジェットインク組成物ではなく、結合剤は、そのような水性インクジェットインク組成物中の樹脂又はポリマーではない。
【0045】
アクリル、メラミン、ポリエステル、ポリアクリレート、アルキド、エポキシ、エポキシエステル、ポリオール、ポリイソシアネート、ポリウレタン、シリコーン、シリケート、ビニルプロピオナートコポリマー、ビニルアセタートコポリマー、アクリレートメタクリレートコポリマー、スチレンブタジエンコポリマー、ビニルアセタート、及びポリスチレンを含む、様々な結合剤が使用され得る。単一のタイプ又は異なるタイプの結合剤の組み合わせを使用することができる。実施形態では、結合剤は、スチレンブタジエンコポリマー、アクリル、アルキド、ポリビニルアセタート、ポリスチレン又はそれらの組み合わせを含む。コーティング組成物中の結合剤の総量は、例えば、コーティング組成物の総重量の20~88重量パーセントの範囲であり得る。これは、30~80重量パーセント及び40~60重量パーセントを含む。
【0046】
コーティング組成物は、着色剤を含み得る。着色剤は概して顔料であるが、染料及びそれらの組み合わせを使用することができる。好適な顔料の例としては、ブラック顔料、シアン顔料、マゼンタ顔料及びイエロー顔料が挙げられる。顔料は、有機粒子又は無機粒子であり得る。好適な無機顔料としては、カーボンブラック(以下に更に記載される)が挙げられる。しかしながら、コバルトブルー(CoO-Al203)、クロムイエロー(PbCr04)、酸化鉄及び酸化チタンなどの他の無機顔料が好適であり得る。好適な有機顔料としては、例えば、ジアゾ顔料及びモノアゾ顔料などアゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニンブルー及びフタロシアニングリーンなどフタロシアニン顔料)、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、ピラントロン顔料、及びキノフタロン顔料)、不溶性染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート及び酸性染料型キレート)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、並びにPR168などのアントアントロン顔料が挙げられる。フタロシアニンブルー及びグリーンの代表例としては、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン、及びそれらの誘導体(ピグメントブルー15、ピグメントグリーン7、及びピグメントグリーン36)が挙げられる。キナクリドンの代表例としては、ピグメントオレンジ48、ピグメントオレンジ49、ピグメントレッド122、ピグメントレッド192、ピグメントレッド202、ピグメントレッド206、ピグメントレッド207、ピグメントレッド209、ピグメントバイオレット19、及びピグメントバイオレット42が挙げられる。アントラキノンの代表例としては、ピグメントレッド43、ピグメントレッド194、ピグメントレッド177、ピグメントレッド216、及びピグメントレッド226が挙げられる。ペリレンの代表例としては、ピグメントレッド123、ピグメントレッド149、ピグメントレッド179、ピグメントレッド190、ピグメントレッド189、及びピグメントレッド224が挙げられる。チオインジゴイドの代表例としては、ピグメントレッド86、ピグメントレッド87、ピグメントレッド88、ピグメントレッド181、ピグメントレッド198、ピグメントバイオレット36、及びピグメントバイオレット38が挙げられる。複素環イエローの代表例としては、ピグメントイエロー1、ピグメントイエロー3、ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー65、ピグメントイエロー73、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー90、ピグメントイエロー110、ピグメントイエロー117、ピグメントイエロー120、ピグメントイエロー128、ピグメントイエロー138、ピグメントイエロー150、ピグメントイエロー151、ピグメントイエロー155、及びピグメントイエロー213が挙げられる。このような顔料は、BASF Corporation、Engelhard Corporation、及びSun Chemical Corporationなど多くの供給元から粉末又はプレスケーキの形態で市販されている。使用可能なブラック顔料の例としては、炭素顔料が挙げられる。炭素顔料には、カーボンブラック、グラファイト、ガラス質炭素、木炭及びそれらの組み合わせが含まれる。このような炭素顔料は、チャンネル法、コンタクト法、ファーネス法、アセチレン法、又はサーマル法など種々の既知の方法で製造することができ、Cabot Corporation、Columbian Chemicals Company、Evonik、及びE.I.DuPont de Nemours and Companyのようなそのような供給業者から市販されている。好適なカーボンブラック顔料としては、MONARCH(登録商標)1400、MONARCH(登録商標)1300、MONARCH(登録商標)1100、MONARCH(登録商標)1000、MONARCH(登録商標)900、MONARCH(登録商標)880、MONARCH(登録商標)800、MONARCH(登録商標)700、CAB-O-JET(登録商標)200、CAB-O-JET(登録商標)300、CAB-O-JET(登録商標)450、REGAL(登録商標)、BLACK PEARLS(登録商標)、ELFTEX(登録商標)、MOGUL(登録商標)、及びVULCAN(登録商標)顔料などCabot社製の顔料、RAVEN(登録商標)5000及びRAVEN(登録商標)3500などColumbian社製の顔料、カラーブラックFW200、FW2、FW2V、FW1、FW18、FW5160、FW5170、スペシャルブラック6、スペシャルブラック5、スペシャルブラック4A、スペシャルブラック4、PRINTEX(登録商標)U、PRINTEX(登録商標)140U、PRINTEX(登録商標)V、及びPRINTEX(登録商標)140VなどEvonik社製の顔料が挙げられるが、これらに限定されない。他の顔料としては、CAB-O-JET 352K、CAB-O-JET 250C、CAB-O-JET 260M、CAB-O-JET 270Y、CAB-O-JET 465M、CAB-O-JET 470Y及びCAB-O-JET 480V(Cabot Corporationから入手可能)が挙げられる。特殊な効果顔料の例としては、ECKART America Corporation STAPA UCP顔料、SILBERCOTE AquaPellet及びSTARBRITE Reveal AQなどのSilberline Manufacturing製の顔料、Sun ChemicalのBenda-Lutz COMPAL WSアルミニウム顔料、バナジン酸ビスマス、蛍光剤、蓄光、酸化鉄、リトオン、金属(アルミニウム及び青銅)、雲母状酸化鉄及びPigmentan(登録商標)(マグネシウム系)顔料を含む、New Brook International製の顔料が挙げられる。
【0047】
好適な染料の例としては、アニオン性染料、カチオン性染料、非イオン性染料、及び双性イオン性染料が挙げられる。好適な染料の具体例としては、食用色素のブラックNo.1、食用色素のブラックNo.2、食用色素のレッドNo.40、食用色素のブルーNo.1、食用色素のイエローNo.7など食用色素、FD&C染料、アシッドブラック染料(No.1、7、9、24、26、48、52、58、60、61、63、92、107、109、118、119、131、140、155、156、172、194)、アシッドレッド染料(No.1、8、32、35、37、52、57、92、115、119、154、249、254、256)、アシッドブルー染料(No.1、7、9、25、40、45、62、78、80、92、102、104、113、117、127、158、175、183、193、209)、アシッドイエロー染料(No.3、7、17、19、23、25、29、38、42、49、59、61、72、73、114、128、151)、ダイレクトブラック染料(No.4、14、17、22、27、38、51、112、117、154、168)、ダイレクトブルー染料(No.1、6、8、14、15、25、71、76、78、80、86、90、106、108、123、163、165、199、226)、ダイレクトレッド染料(No.1、2、16、23、24、28、39、62、72、236)、ダイレクトイエロー染料(No.4、11、12、27、28、33、34、39、50、58、86、100、106、107、118、127、132、142、157)、リアクティブレッド染料(No.4、31、56、180)、リアクティブブラック染料(No.31)、リアクティブイエロー染料(No.37)などのリアクティブ染料、アントラキノン染料、モノアゾ染料、ジアゾ染料、各種フタロシアニンスルホナート塩を含むフタロシアニン誘導体、アザ(18)アヌレン、ホルマザン銅錯体、及びトリフェノジオキサジンが挙げられる。
【0048】
コーティング組成物中の着色剤の総量は、例えば、コーティング組成物の総重量の0~10重量パーセントの範囲であり得る。これは、0.1~10重量パーセント及び0.1~5重量パーセントを含む。
【0049】
コーティング組成物は、ワックスを含み得る。例示的なワックスとしては、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、微結晶ワックス、ポリオレフィンワックス、モンタン系エステルワックス、及びカルナバワックスが挙げられる。約50℃~約150℃の範囲の融点を有するワックスが使用され得る。Michelman(例えば、Michem Lube 103DI、124,124P135、156、180、182、190、270R、368、511、693、723、743、743P、及び985、並びにMichem Emulsion 24414、34935、36840、41740、43040、43240、44730、47950、48040M2、61355、62330、66035、67235、70750、71150、71152、91735、93235、93335、93935、及び94340からのものを含む、カルナバワックス及びパラフィンワックスに基づくナノスケール(例えば、1000nm以下、500nm以下、又は100nm以下の直径)のワックスエマルションが使用され得る。Aquacer 2500、Aquacer 507、Aquacer 513、Aquacer 530、Aquacer 531、Aquacer532、Aquacer 535、Aquacer 537、Aquacer 539、及びAquacer 593を含む、Bykからのワックスも使用され得る。
【0050】
コーティング組成物中のワックスの総量は、例えば、コーティング組成物の総重量の0~10重量パーセントの範囲であり得る。これは、0.1~10重量パーセント及び0.1~5重量パーセントを含む。
【0051】
添加剤
【0052】
コーティング組成物は、添加剤(有機添加剤とは異なる)を含み得る。例えば、無機粒子は、酸化物粒子を含む添加剤として使用され得る。粒子は、球形であってもよい(球形は上記で定義されている)。粒子は、10nm~500nmの範囲のD50粒径を有し得る。シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ、酸化鉄、酸化銅、酸化スズ、酸化ホウ素、酸化セリウム、酸化タリウム、酸化タングステン、チタネート及びそれらの組み合わせなどの様々な酸化物が使用され得る。アルミノシリケート、ボロシリケート、及びアルミノボロシリケート、並びにそれらの組み合わせなどの混合酸化物が使用され得る。シリカに関して、上記のD50粒径は、(そのような粒子から形成された凝集体及び塊成物とは対照的に)一次粒子を指し得る。シリカゲル、沈殿シリカ、ヒュームドシリカ及びそれらの組み合わせを含む、様々なタイプのシリカを使用することができる。酸化物粒子は、(例えば、疎水性表面処理を介して)官能化され得るか、又は非官能化され得る。異なるタイプの無機粒子の単一のタイプ又は組み合わせを使用することができる。コーティング組成物の実施形態は、無機粒子を含むが、他の実施形態では、コーティング組成物には、無機粒子がない(すなわち、含まない)。実施形態では、コーティング組成物には、シリカがない。
【0053】
コーティング組成物中の無機粒子の総量は、例えば、コーティング組成物の総重量の0~20重量パーセントの範囲であり得る。これは、0.1~10重量パーセント及び0.1~5重量パーセントを含む。
【0054】
コーティング組成物に含まれ得る他の添加剤には、結合剤の硬化を促進するための添加剤が含まれる。そのような添加剤としては、触媒及び硬化剤(硬化剤)が挙げられる。特定のタイプの触媒及び硬化剤は、結合剤のタイプに基づいて選択され得る。これらのタイプの添加剤の各々は、コーティング組成物中に、例えば、コーティング組成物の総重量の0~10重量パーセントの量で存在し得る。これは、0.1~10重量パーセント及び0.1~5重量パーセントを含む。
【0055】
コーティング組成物に含まれ得る他の添加剤は、殺生物剤、殺真菌剤、安定剤、酸又は塩基、リン酸塩、カルボン酸塩、亜硫酸塩、アミン塩、緩衝液などのpH調整剤、EDTA(ethylenediamine tetra acetic acid、エチレンジアミン四酢酸)などの金属イオン封鎖剤、消泡剤、及び湿潤剤などの添加剤を含む。これらのタイプの添加剤の各々は、コーティング組成物中に、例えば、コーティング組成物の総重量の0~10重量パーセントの量で存在し得る。これは、0.1~10重量パーセント及び0.1~5重量パーセントを含む。
【0056】
実施形態では、コーティング組成物は、溶媒系と、有機添加剤と、結合剤と、任意選択的に、着色剤、ワックス、及び添加剤のうちの1つ以上と、を含む(又はこれらからなる)。実施形態では、コーティング組成物は、溶媒系と、有機添加剤と、結合剤と、着色剤と、任意選択的に、ワックス及び添加剤のうちの1つ以上と、を含む(又はこれらからなる)。これらの実施形態のうちのいずれかでは、単一のタイプ又は異なるタイプの各成分が使用され得る。これらの実施形態のうちのいずれかでは、構成成分は、本明細書に開示される溶媒系、有機添加剤、結合剤、着色剤、ワックス及び添加剤のうちのいずれかから選択され得る。しかしながら、実施形態では、添加剤はシリカではないか、又は添加剤は無機粒子ではない。これらの実施形態のうちのいずれかでは、上に記載されるように構成成分の量が使用され得る。
【0057】
コーティング組成物は、所望の構成成分を所望の量で組み合わせて、混合することによって形成され得る。固体形態、例えば、有機添加剤、ワックスなどである成分を提供し、有機添加剤ラテックスとして有機添加剤を添加するなど、溶媒(例えば、水)中の固体の分散液として添加することができる。コーティング組成物の特定の成分は、別個の配合物、例えば、溶媒系と、結合剤と、任意選択的に、着色剤、ワックス、及び添加剤のうちの1つ以上と、を含む、結合剤配合物として一緒に提供され得る。そのような実施形態では、有機添加剤(又は有機添加剤ラテックス)を、この結合剤配合物に所望の量で添加し、混合してもよい。様々な市販の結合剤配合物を使用することができる。例示として、市販の塗料を、以下の実施例では結合剤配合物として使用した。市販の結合剤配合物は、シリカを含み得る。実施形態では、シリカが省略されていることを除いて、同じ結合剤配合物が使用される。
【0058】
コーティング組成物は、機械、車両(例えば、自動車)、床、壁などにコーティングを提供するために様々な産業で使用することができる。
図1に示すように、コーティング組成物のうちのいずれかを基材100の表面102上に塗布して、その上にコーティング104を形成することができる。基材100は特に限定されず、塗布及びコーティング組成物の成分、例えば、結合剤タイプに依存する。例示的な基材材料としては、金属、ガラス、プラスチック、木材などが挙げられる。例えば、拡散、塗装、ブラッシング、拭き取り、噴霧、浸漬などの様々な塗布技術が使用され得る。
図1には示されていないが、第2の基材は、コーティング104上に配置され得る。そのような実施形態では、コーティング104は、2つの基材を一緒に接着するように機能し得る。
【0059】
使用されるべきいずれの環境において、かついずれかの塗布では、コーティング組成物(又はそれから形成されるコーティング)は、概して、硬化されて硬化コーティングを形成する。(「硬化コーティング」という語句は、「コーティング」を区別する。これは、基材に塗布した後のコーティング組成物の層を指す)上記のように、硬化は、硬化条件の塗布によって誘発される。この硬化は架橋の形成を伴い得るため、硬化したコーティングは架橋され得る。硬化条件は、次いで、コーティング組成物の成分、例えば、結合剤タイプに依存する。例示として、硬化は、一定期間加熱することと、(例えば、シリコーンの場合)水に曝露することと、硬化剤(硬化剤)を添加することと、によって誘発され得る。他の実施形態では、一定期間、コーティングを周囲条件(例えば、室温及び大気圧で空気)に単に曝露することは、硬化を誘発するのに十分である。
【0060】
上記の有機添加剤及びコーティング組成物に加えて、コーティング、硬化コーティング及びコーティングされた基材も本開示に包含される。
【実施例0061】
以下の実施例は、本開示の様々なタイプを更に定義するために提示される。実施例は例示的なものにすぎず、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。また、別途記載のない限り、割合及び百分率は重量による。本明細書で使用するとき、「室温」は、約20℃~約25℃の温度を指す。
【0062】
有機添加剤ラテックスを以下のように形成した。2つのHE3タイプインペラ及び凝縮器を備えた3000-Gal反応器で、26.3kgのナトリウムラウリルスルファート(SLS)界面活性剤(30%固体)を5711kgの脱イオン水(DIW)に添加した。反応中に窒素流を通過させることにより、反応器を脱酸素状態にし、凝縮器も使用した。反応器を77℃まで昇温し、rpmを65に設定した。別個に、2つのHE3タイプインペラを備えた2000-Gal反応器で、1659kgのシクロヘキシルメタクリレート(CHMA)、559kgのジビニルベンゼン(DVB)、17.9kgのジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、64.3kgのSLS界面活性剤(30%固体)及び2913kgのDIWを一緒に(100rpmで)混合することによって、モノマーエマルションを調製した。モノマーエマルションから261kgのシードをポンプ注入し、77℃の3000-Gal反応器にポンプ注入した。開始剤溶液を、240kgのDIW中の8.5kgのアンモニウムペルスルファート(APS)から調製し、この溶液を3000-Gal反応器に20分間かけて添加した。次いで、残りのモノマーエマルションを120分かけて3000-Gal反応器に供給した。モノマー供給の終了時に、凝縮器をオフにし、rpmを更に75rpmに増加させる。ラテックスは、ラテックスは、77℃で1時間の後処理プロトコルを受け、続いて87℃までの2時間の昇温及び87℃での1時間の保持により、エマルション重合工程の終了時の残留モノマーを減少させた。また、後処理プロトコル中、0.1重量%のNaOH溶液を用いてラテックスのpHを30分ごとに≧6.0に調整した。結果として、粒径87nmで19.7%の固体を含有するラテックスを得て、25マイクロメートルのフィルターふるいに通して濾過した。
【0063】
250mlのボトルでは、55gの上記の有機添加剤ラテックスを109gの塗料に添加した。したがって、10%有機添加剤固体を黄色ラテックス塗料(エッグシェル光沢のSherwin Williams Promar200 Zero VOC-colour L1 Blue、N1 Raw Umber、Y1 Yellow)に添加して、コーティング組成物を形成した。コーティング組成物を重いコーティングされた紙にブラッシングして、その上にコーティングを形成した。このようにして、この組成物を用いて、2枚の重いコーティングされた紙を調製した。コーティングされた紙を周囲条件下で乾燥させた。対照組成物(有機添加剤なし)も、重いコーティングされた紙上にブラッシングした。このようにして、重いコーティングされた紙の2枚のシートを、対照組成物とともに調製した。75°の角度の各シートについて光沢を測定した。光沢を測定するために、75°の角度で測定するRhopoint Instruments製のNovo-Gloss三倍角光沢計を使用して、以下の表1のデータを収集した。この表において、「S」は、ブラッシング適用方向と同じ方向で光沢を測定することを指し、「P」は、ブラッシング適用に対する垂直方向へのブラッシング適用を指す。対照について測定された2つのページは、対照シート1及び対照シート2とラベル付けされ、有機添加剤で測定された2つのページは、有機添加剤を有するコーティング組成物シート1及びシート2とラベル付けされている。「S」及び「P」方向の各ページで4つの測定値を取得し、これらは表中の第1の4つの行のデータである。
【0064】
【0065】
光沢測定値は、驚くべきことに、有機添加剤が対照組成物と比較して光沢を有意に低減することができたことを示す。市販の水性塗料が既に比較的低い光沢であるため、エッグシェル仕上げではこれは驚くべきことであった。光沢の更なる低減は予想されなかった。
【0066】
対照シート1及び有機添加剤シート1を有するコーティング組成物の各々について、テーバー摩耗速度試験を使用して摩耗速度摩滅試験を行った。テーバー摩耗速度試験のために、Taber Rotary Abrader,Model 5130をCS-10摩滅ホイールとともに利用した。試験のための環境は、22.1℃及び8.7%相対湿度(RH)であった。負荷は、500グラムであり、250グラムの外部重量及び250グラムのアーム重量からなる。CS10-ロールは新しく、S-11ディスクでの50サイクルの再表面化で調整された。調整手順は、新しいホイールについて2回実行される。試験前に試料をホルダーに数回置いて、試料プレートがいかなる余分なコーティングも適合させて除去することを確実にする。試験片を秤量し、研磨剤上に配置し、所定の位置にロックする。ホイール及び真空ノズルを下げ、サイクルを100に設定した。試験試料を秤量する前に、100の試験サイクルを実行し、試料を取り除き、両側で軽くブラッシングする。100サイクルの実行及び試験試料の秤量を500サイクル繰り返す。500サイクル後、S-11ディスクでのホイールの単一の50サイクルの再表面化が行われる。次いで、試験を最大1000サイクル繰り返す。テーバー摩耗指数研磨剤は、摩耗速度を示し、摩滅の1000サイクル当たりのミリグラム単位の重量の損失を測定することによって計算される。摩耗指数が低いほど、耐摩滅性が良好である。テーバー摩耗指数、TWI=[(A-B)*1000]/Cであり、式中、A=摩滅前の試験片のミリグラム単位の重量、B=摩滅後の試験片のミリグラム単位の重量及びC=試験サイクル数。各100サイクル点で、有機添加剤シート1を有するコーティング組成物は、対照シート1よりも摩耗が少ないことを示した。100サイクルの終わりに、対照シート1については、テーバー摩耗指数は67.1であり、有機添加剤シート1を有するコーティング組成物については、摩耗指数は56.2、約16%の改善であった。これらの結果はまた、この市販の塗料が、改善された耐摩耗性及び耐スクラッチ性のために既に最適化されているため、驚くべきことであった。このような塗料コーティングの耐摩耗性の向上は予想されなかった。
【0067】
「例示的な」という語は、例、事例、又は例示としての役割を果たすことを意味するために本明細書で使用される。「例示的な」として本明細書で記載される任意の態様又は設計は、必ずしも他の態様又は設計に比べて好ましい又は有利であると解釈されない。更に、本開示の目的のために、特に指定がない限り、「a」又は「an」は、「1つ以上」を意味する。
【0068】
既に含まれていない場合、本開示におけるパラメータのすべての数値は、およそを意味する「約」という用語によって進められる。これは、当業者に理解されるような関連パラメータの測定に固有の変動を包含する。これはまた、開示された数値及び開示された数値を四捨五入した値の正確な値も包含する。
【0069】
本開示の例示的な実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的のために提示される。網羅的であること、又は本開示を開示される正確な形態に限定することを意図するものではなく、上記の教示に照らして修正及び変形が可能であるか、又は本開示の実施から取得されてもよい。本開示の原理を説明するために、及び本開示の実用的な用途として、当業者が様々な実施形態において本開示を利用することを可能にするために、かつ企図される特定の用途に適した様々な修正を用いて、実施形態が選択及び記載される。本開示の範囲は、本明細書に添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物によって定義されることが意図される。