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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174762
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】部屋空気殺菌装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/20 20060101AFI20221117BHJP
   F24F 8/22 20210101ALI20221117BHJP
   F24F 13/10 20060101ALI20221117BHJP
   F24F 13/06 20060101ALI20221117BHJP
   F24F 8/80 20210101ALN20221117BHJP
【FI】
A61L9/20
F24F8/22
F24F13/10 A
F24F13/06 A
F24F8/80 242
F24F8/80 125
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080703
(22)【出願日】2021-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】314012858
【氏名又は名称】パワードライヤー有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】本橋 孝雄
【テーマコード(参考)】
3L080
3L081
4C180
【Fターム(参考)】
3L080BA04
3L080BB01
3L081AA02
3L081AB02
4C180AA07
4C180CB01
4C180CB08
4C180DD03
4C180GG09
4C180HH05
4C180HH17
4C180HH19
4C180LL14
(57)【要約】
【課題】ダクト本体を設置した箇所から部屋の側面方向に沿って殺菌済み気流を遠くへと流すこと及び吹き出し口から吹き出される殺菌済み気流の向きを自由に設定することができること。
【解決手段】部屋空気殺菌装置は、部屋の内部空間を形成する一側壁に固定的に取付けられかつ一端部に内部空間に残留する空気を空気流通路に取り入れる吸い込み口を有すると共に、他端部に空気流通路に設けられた殺菌手段によって殺菌された気流を排出する排出口を有するダクト本体と、排出口に連通するように他端部に直接又は間接的に設けられた可動筒とを含み、可動筒の突出ノズル部の向きは、吹き出し口から出された殺菌済み気流が一側壁又は該一側壁と連続する他側壁に略沿って流れることができるように天井面に対して水平方向に角度調整可能であること。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部屋の内部空間を形成する一側壁に固定的に取付けられ、かつ、一端部に前記内部空間に残留する空気を空気流通路に取り入れる吸い込み口を有すると共に、他端部に前記空気流通路に設けられた殺菌手段によって殺菌された気流を排出する排出口を有するダクト本体と、前記排出口に連通するように前記他端部に直接設けられた可動筒とを含み、
前記可動筒の突出ノズル部の向きは、前記吹き出し口から出された殺菌済み気流が前記一側壁又は該一側壁と連続する他側壁のいずれかに略沿って流れることができるように天井面に対して水平方向に角度調整可能である、部屋空気殺菌装置。
【請求項2】
部屋の内部空間を形成する一側壁に固定的に取付けられ、かつ、一端部に前記内部空間に残留する空気を空気流通路に取り入れる吸い込み口を有すると共に、他端部に前記空気流通路に設けられた殺菌手段によって殺菌された気流を排出する排出口を有するダクト本体と、前記排出口に連通するように前記他端部にガイドパイプを介して間接的に設けられた可動筒とを含み、
前記可動筒の突出ノズル部の向きは、前記吹き出し口から出された殺菌済み気流が前記一側壁又は該一側壁と連続する他側壁のいずれかに略沿って流れることができるように天井面に対して水平方向に角度調整可能である、部屋空気殺菌装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2の部屋空気殺菌装置に於いて、前記ダクト本体、又は可動筒と接続する固定筒、或いは又前記ダクト本体の吸い込み口の付近のいずれかに、低風量の風を前記空気流通路に流す送風手段を設けたことを特徴とする部屋空気殺菌装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2の部屋空気殺菌装置に於いて、前記可動筒は、前記ダクト本体の排出口と連通する誘導空間を有する筒状部と、この筒状部の周壁に形成された開口部に設けられた前記突出ノズル部とから成り、前記突出ノズル部の吹き出し口の開口は、垂直長孔であることを特徴とする部屋空気殺菌装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2の部屋空気殺菌装置に於いて、前記殺菌手段は、少なくとも紫外線を照射する装置であることを特徴とする部屋空気殺菌装置。
【請求項6】
請求項1又は請求項2の部屋空気殺菌装置に於いて、前記ダクト本体の内部には、該ダクト本体の内壁面と略直交状態に接続するように、かつ、前記一端部から他端部に向かって所要間隔を有して併設されると共に、前記空気流通路を流れる気流を蛇行状に案内する一群の仕切板と、前記気流を殺菌することができるように前記一群の仕切板の間の全部又は一部に配設された多数の殺菌手段とが設けられていることを特徴とする部屋空気殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は部屋空気殺菌装置に関し、特に、建物の内部空間に配備される部屋空気殺菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
まず、特許文献1は部屋空気殺菌装置に関するもので、発明の課題は、「コンパクトで、殺菌する気流の流速が、低速から高速まで、広い流速の範囲で効率良く殺菌できる部屋空気殺菌装置の提供こと」であり、複数個の発明の内、その請求項4には、図7と共に、ダクト4の内部の入口付近と出口付近に空気の蛇行流路を形成するように、長さが大小の平板状の遮光板7、7、7を、所定間隔を有して配設する技術が記載されている。
【0003】
すなわち、特許文献1の空気殺菌装置には、「2分割されたダクト7の内部の上部ダクト4aと下部ダクト4bのそれぞれの空間であって、前記ダクト4の入口側の吸入用ファン5aが設置される位置の直ぐ後流側の空間部分及び前記ダクトの出口側の吸出用ファン5bが設置される位置の直ぐ上流側の空間部分に、複数枚の長短2種類の平板状の遮光板7が、前記ダクトの軸方向と直交する方向に指向し、かつ、軸方向に隣り合う遮光板7、7間に所定の間隔を置いて、空気の蛇行流路が形成されるような態様にしてそれぞれ設けられている(符号は特許文献1に記載のもの)」。
【0004】
この特許文献1に記載の発明は、ダクトの内部を蛇行状に流れる空気を殺菌するという限りでは本発明の実施形態のダクト本体の構成の一部と一致する。しかしながら、特許文献1の発明は、次に列挙するような課題及び構成が開示されていない。
(a)発明の課題に関して、ダクト7の吸い込み口と吹き出し口を連通する空気量通路を通過中の空気は、殺菌手段によって殺菌されるものの、前記吹き出し口から出された殺菌済み気流は、部屋の内部空間を形成する壁、例えば空気殺菌装置を取り付けた一側壁又は該一側壁と連続する他側壁の壁面に略沿って幅広く流れるものではない。付言すると、空気殺菌装置を設置した箇所から部屋の側面方向に沿って殺菌済み気流を遠くへと流すことを目的とするものではない。
(b)発明の構成に関して、ダクト本体には、直接又は間接的に天井面に対して水平方向に角度調整可能な可動筒が設けられていない。したがって、可動筒の突出ノズル部の吹き出し口の開口面積が吸い込み口よりも小さいことや吹き出し口の開口形状が垂直長孔であること等が記載されていない。
(c)発明の問題点に関して、例えばダクトの内部には、軸方向に隣会う平面視X状に配設された殺菌用導風板が多数存在するが、該殺菌用導風板の構造は複雑であり、組合せが面倒であると共に、製造コストが高くなる。
(d)また1本の紫外線ランプをダクトの中心部に、その軸方向にだけ配設しいる構造なので、気流の流速が低速か高速か如何にかかわらず、紫外線ランプから照射された直進的性質を有する紫外線(UV-C)が、各殺菌用導風板の間の空間部分の隅まで十分に当たらない。それ故、空気の殺菌を確実に行うことができるかどうか疑問である。
【0005】
次に、特許文献2に記載の発明の課題は、低風量であっても設置空間に気流を行き渡らせることができ、様々な臭気に対応できる空気循環装置を提供するである。また発明の解決手段は、「空気循環装置1は、吸込口3及び吹出口4と、これら吸込口と吹出口とを連通させる空気流通路5と、該空気流通路内に設けられた送風器6とを備え、前記吹出口は、前記吸込口と離間して天井9側に設けられ、前記吸込口は、床面8側に複数設けられ、前記吸込口のそれぞれには、異なる臭い成分を除去する脱臭フィルター7が設けられているもの」である(符号は特許文献1に記載のもの)。
【0006】
この特許文献2に記載の発明は、部屋の側面に垂直状態に設置され、殺菌済み気流を上端部側の吹き出し口4から送風器41を介して部屋の中央空間に向かって拡散することができるという効果がある。しかしながら、該殺菌装置を、部屋の側面に垂直状態に設置するので、壁面の下部側に棚、机、家具等の物を置くことがではない、低風量であっても、部屋の壁面に沿って殺菌済み気流を行き渡らせることができない、吹き出し口から吹き出される殺菌済み気流の向きを自由に設定することができない等の問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6063424号公報の図7図9、請求項4
【特許文献2】特開2014-206324号公報、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の主たる目的は、特許文献1や特許文献2の問題点に鑑み、ダクト本体を設置した箇所から部屋の側面方向に沿って殺菌済み気流を遠くへと流すこと及び吹き出し口から吹き出される殺菌済み気流の向きを自由に設定することができることである。
【0009】
次に、二次的な目的は、比較的構造が簡単であることである。また、ダクトに入り込んだ部屋の空気を所要時間(例えば好ましくは30秒以上の長い時間)ダクトの内部に留まるようにしながら、望ましくは紫外線(UV-C)を長い時間滞留中の空気に照射し、よって、空気の殺菌を確実に行うことができることである。さらに、ダクト内を蛇行状に流れる気流の流速を低風量になるように制御することにより、殺菌効果をより一層高めることである。そのたの目的は従属項に特定される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の部屋空気殺菌装置は、部屋の内部空間を形成する一側壁に固定的に取付けられ、かつ、一端部に前記内部空間に残留する空気を空気流通路に取り入れる吸い込み口を有すると共に、他端部に前記空気流通路に設けられた殺菌手段によって殺菌された気流を排出する排出口を有するダクト本体と、前記排出口に連通するように前記他端部に直接設けられた可動筒とを含み、前記可動筒の突出ノズル部の向きは、前記吹き出し口から出された殺菌済み気流が前記一側壁又は該一側壁と連続する他側壁のいずれかに略沿って流れることができるように天井面に対して水平方向に角度調整可能であることを特徴とする(請求項1)。
【0011】
また本発明の部屋空気殺菌装置は、部屋の内部空間を形成する一側壁に固定的に取付けられ、かつ、一端部に前記内部空間に残留する空気を空気流通路に取り入れる吸い込み口を有すると共に、他端部に前記空気流通路に設けられた殺菌手段によって殺菌された気流を排出する排出口を有するダクト本体と、前記排出口に連通するように前記他端部にガイドパイプを介して間接的に設けられた可動筒とを含み、前記可動筒の突出ノズル部の向きは、前記吹き出し口から出された殺菌済み気流が前記一側壁又は該一側壁と連続する他側壁のいずれかに略沿って流れることができるように天井面に対して水平方向に角度調整可能であることを特徴とする(請求項2)。
【0012】
上記各請求項に於いて、前記ダクト本体、又は可動筒と接続する固定筒、或いは又前記ダクト本体の吸い込み口の付近のいずれかに、低風量の風を前記空気流通路に流す送風手段を設けたことを特徴とする。送風手段は、軸流送風機又は遠心送風機のいずれか一方をダクト本体の吸い込み口に取り付けける。また、前記可動筒は、ダクト本体の排出口と連通する誘導空間を有する筒状部と、この筒状部の周壁に形成された開口部に設けられた前記突出ノズル部とから成り、前記突出ノズル部の吹き出し口の開口は、垂直長孔であることを特徴とする。また、前記殺菌手段は、少なくとも紫外線を照射する装置又は帯電微粒子水を放出する静電霧化装置のいずれか一方で、望ましくは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)やインフルエンザ等の感染症を予防するために、ダクト本体の空気流通路内に4個以上配設する。さらに、殺菌効果をより一層高めるために、前記ダクト本体の内部には、該ダクト本体の内壁面と略直交状態に接続するように、かつ、前記一端部から他端部に向かって所要間隔を有して併設されると共に、前記空気流通路を流れる気流を蛇行状に案内する一群の仕切板と、前記気流を殺菌することができるように前記一群の仕切板の間の全部又は一部に配設された多数の殺菌手段とが設けられていることを特徴とする。
【0013】
ここで「一側壁と連続する他側壁」とは、例えば一側壁1aがダクト本体3を設置した取付け面と仮定した場合、該一側壁1aに直交する他側壁1b、該他側壁に連続し、かつ、前記一側壁1aに対向する対向壁1cも含まれる。また一群の仕切板の「一群」とは、仕切板が4枚以上~30枚以内をいう。また「多数」とは、紫外線を照射する装置が蛍光管型の長いものである場合には4本以上、一方、小さなランプ型のものである場合には、8個以上をいう。
【発明の効果】
【0014】
本発明の部屋空気殺菌装置は、部屋の内部空間を形成する一側壁に固定的に取付けられ、かつ、一端部に前記内部空間に残留する空気を空気流通路に取り入れる吸い込み口を有すると共に、他端部に空気流通路に設けられた殺菌手段によって殺菌された気流を排出する排出口を有するダクト本体と、排出口に連通するように他端部に直接又はガイドパイプを介して間接的に設けられた可動筒とを含み、また突出ノズル部の向きは、吹き出し口から出された殺菌済み気流が一側壁又は該一側壁と連続する他側壁のいずれかに略沿って流れることができるように天井面に対して水平方向に角度調整可能であることから、ダクト本体(空気殺菌装置本体)を設置した箇所から部屋の側面方向に沿って殺菌済み気流を遠くへと流すこと及び吹き出し口から吹き出される殺菌済み気流の向きを自由に設定することができる。
【0015】
付言すると、居住者に気流が直接当たらないようにすることによって(居住者が気流感を感じることなく)、快適で安全な部屋環境を作り出すことができる。
【0016】
また、実施形態によっては、例えば吸込みの風速を吹き出し口に至るにしたがって、次第に減速化させることができる。また吹き出し口から流れる気流に対流的効果を付与することができる。さらに、ダクト本体の内部には、その内壁面と略直交状態に接続するように、かつ、一端開口部から開口部に向かって所要間隔を有して併設されると共に、該ダクトの内部を流れる空気を蛇行状に案内する一群の仕切板と、前記空気を殺菌することができるように前記一群の仕切板の間の全部又は一部に配設された多数の紫外線照射手段とが設けられているので、比較的構造が簡単であると共に、ダクトに入り込んだ空気を、可能な限りダクトの内部に留まるようにしながら、紫外線(UV-C)を長い時間滞留中の空気に照射し、よって、空気の殺菌を確実に行うことができる。
【0017】
付言すると、気流の流路が長くなり、しかも、蛇行状の流路を通過中の気流は、所要時間、多数の紫外線照射手段から次々と照射される紫外線(UV-C)に晒されるので、従来のこの種の空気殺菌装置よりも、紫外線の殺菌効果の増大化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1乃至図9は本発明の第1実施形態を示す各説明図。図10乃至図12は本発明の第2実施形態を示す各説明図。図13乃至図15は発明の第3実施形態を示す各説明図。図16は本発明の第4実施形態を示す説明図。
図1】第1実施形態の部屋空気殺菌装置を住宅の部屋に配備した場合の参考説明図。
図2】ガイドパイプと、固定筒と、突出ノズル部を有する可動筒をそれぞれ分離した状態で示す斜視図。
図3】固定筒の下端部に可動筒を螺合した状態の概略断面説明図。
図4】(a)可動筒を左側に水平回転させた状態の説明図。(b)可動筒を右側に水平回転させた状態の説明図。
図5】ダクト本体の一部をカットした分解斜視図(多数の仕切板は省略)。
図6】ダクト本体の内部構造(一群の仕切板と多数の殺菌手段の配設態様)を示す概略説明図。
図7】ダクト本体内の気流の流れを示す概略説明図。
図8】内部空間の一側壁にダクト本体を横型に取付け、ガイドパイプを介して可動筒の突出ノズル部を他側壁に向けた平面視からの説明図。
図9図8に於いて、突出ノズル部から吹き出された気流の流れを示す説明図。
図10】本発明の第2実施形態の部屋空気殺菌装置を住宅の部屋に配備した場合の参考説明図。
図11】一側壁に送風手段とダクト本体とを縦型に配備し、ダクト本体の上壁にエルボ(繋ぎ)を取付けた正面視からの説明図。
図12】送風手段とダクト本体の概略断面説明図。
図13】本発明の第3実施形態の部屋空気殺菌装置を住宅の部屋に配備した場合の参考説明図。
図14】主要部(送風手段、ダクト本体、可動筒)の説明図。
図15図13に於いて、突出ノズル部から吹き出された気流の流れを示す説明図。
図16】本発明の第4実施形態を示す説明図(可動筒に接続する固定筒に送風手段を設けた例)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1乃至図9は本発明の第1実施形態を示す各説明図である。図1は第1実施形態の部屋空気殺菌装置X(以下、「空気殺菌装置」ともいう)を住宅の部屋1の内部空間2に配備した場合の参考説明図である。図1に於いて、1aは内部空間2を形成する一側壁で、この一側壁1aの内壁面が空気殺菌装置Xを構成するダクト本体3の取付け面となる。この第1実施形態では、略直方体形状のダクト本体3が一側壁1aの上部に水平状態に図示しない取付けパネル、係止具等を介して固定的に取付けられている。
【0020】
なお、図1では、ダクト本体3は一側壁1aの上部の略中央部に横長状に配備されているが、取付け場所は、一側壁1aの略一端部又は略他端部であっても良く、略中央部に限定するものではない。
【0021】
ダクト本体3は、後述するように、一端部に部屋の内部空間2に残留する空気を空気流通路に取り入れる吸い込み口4を有すると共に、他端部に前記空気流通路に設けられた殺菌手段によって殺菌された気流を排出する排出口5を有する。本発明は、吸い込み口4から吹き出された気流が部屋1の側面に沿って対流的に流れるのが好ましいので、ダクト本体3の取付け位置如何によっては、取付け面である一側面1a又は該取付け面に連続する他側面1bのいずれかに前記吸い込み口4を向ける。
【0022】
ところで、ここで「部屋の内部空間2」には、建物の共用部分の各住戸の玄関扉の外壁面に至る共用空間のみならず、各住戸の玄関扉の内壁面以降の専有部分の空間も含まれる。また建物には、住居のみならず、工場、作業所、仕事場、学校、病院、会議室、集会所、運動場、水族館などが含まれる。
【0023】
次に、符号1bは、前記一側壁1aと直交する手前側の他側壁である。したがって、符号1cは前記他側壁1bと直交し、かつ、前記一側壁1aに対向する対向壁となる。なお、他の側壁、部屋の入口、床面、天井、窓、障子等の説明は割愛する。
【0024】
次に、符号11は、一側壁1aに取付けられた送風手段である。この第1実施形態の送風手段11は、ダクト本体3とは別体であり、該ダクト本体3の吸い込み口4の付近に横設されている。送風手段11の具体的構成は割愛するが、例えば一側壁1aに支持板、固定具等を介して取付けられた電動機12と、この電動機の水平回転軸に取付けられた軸流送風機13とから成る。送風手段11は、比較的小型のものであり、ダクト本体3の空気流通路をゆっくり流れるように、その回転速度を、好ましくは0.5~2.0の範囲内のrpmとする。なお、第1実施形態の送風手段11はダクト本体3とは別体であるが、後述する第3実施形態の如く、送風手段1とダクト本体3とを一体化しても良い。
【0025】
次に、符号22は、ガイドパイプ15に取付けられた固定筒である。第1実施形態の可動筒23は、ダクト本体3の排出口5に連通するように該ダクト本体3の他端部にガイドパイプ15、ガイドパイプ用支持具16、前記ガイドパイプ15の先端部15aに取付けられた固定筒22を介して間接的に設けられている。
【0026】
ここで、図2乃至図4を参照にして固定筒22と可動筒23の構成を説明する。固定筒22は、全体として、下端開口の縦型の短筒状のものであり、例えば円形或いはドーム形状の上壁22aと、この上壁の周端に接続する周壁部22bと、下端開口22cと、前記周壁部22bの略中央部に形成された取付け孔22dを有する。前記取付け孔22dにガイドパイプ15の先端部15aが嵌入する。なお、実施形態の固定筒22は縦型の下端開口の筒体であるが、例えばエルボを用いても良い。
【0027】
一方、可動筒23は、上端が開口の筒状部23aと、この筒状部の周壁の開口部に設けられた前記突出ノズル部23bとから成り、突出ノズル部の吹き出し口24の開口は、例えば垂直長孔である。実施形態の有底で上端開口の可動筒23は、その上端部の周縁部に雄螺合部25が形成され、前述した固定筒22の下端部に形成した雌螺合部26に回転可能に螺着する。
【0028】
したがって、突出ノズル部23bの向きは、垂直長孔状の吹き出し口24から出された殺菌済み気流Aが、前記一側壁1a又は該一側壁と連続する他側壁1bに略沿って対流的に流れることができるように天井面に対して水平方向に角度調整可能である。
図1では、突出ノズル部23bの向きは、他側壁1bに対して斜めに向けられているが、例えばダクト本体3を一側壁1aの右端部に設置した場合には、該突出ノズル部23bの向きを取付け面である一側壁1aに向けても良い。
【0029】
なお、固定筒22に対して可動筒23を回転可能に取付ける構成は、実施形態に限定するものではなく、例えば固定筒22の下端部の内周面に水平方向に一対の切欠部を有する環状的な支持片を設け、一方、可動筒23の上端部の外周面に一対の係合突起を設け、前記係合突起を、前記切欠部を介して固定筒22の下端部に入れ込むことによって、該係合突起を前記環状的な支持片に係止させても良い。
【0030】
要するに、空気殺菌装置本体に相当するダクト本体3を設置した箇所から部屋の側面方向に沿って殺菌済み気流を遠くへと流すこと及び吹き出し口24から吹き出される殺菌済み気流Aの向きを自由に設定することができれば良い。
【0031】
図3は固定筒の22下端部に可動筒23を螺合した状態の概略断面説明図、図4の(a)は可動筒23を左側に水平回転させた状態の説明図。一方、図4の(b)は可動筒23を右側に水平回転させた状態の説明図である。
【0032】
ところで、図3図6を比較すると明らかなように、可動筒23の突出ノズル部23bの吹き出し口24の開口面積は、ダクト本体3の吸い込み口4よりも小さい。この場合、前記吸い込み口4が複数個存在するときは、複数個の開口面積を合算した開口面積が吹き出し口24の開口面積よりも大きくなる場合も含まれる。これにより、可能な限り、吸い込み口4付近の吸引風速を低下させることができる。なお、動筒23の突出ノズル部23bの吹き出し口24の開口面積がダクト本体3の吸い込み口4のそれよりも小さいことは、本発明の本質的要件ではない(二次的な発明の課題となる)。
【0033】
次に、図5乃至図7を参照にしてダクト本体(空気殺菌装置本体)3の構成を説明する。ダクト本体3は、図1を参照にして説明したように、部屋1の内部空間2を形成する一側壁1aの内面に固定的に取付けられ、かつ、一端部に前記内部空間2に残留する空気(或いは気流)を空気流通路に取り入れる幅広の吸い込み口4を有すると共に、他端部に前記空気流通路に設けられた殺菌手段7によって殺菌された気流Aを排出する排出口(ガイドパイプ取付け用の孔)5を有する。
【0034】
しかして、実施形態の横型直方体形状のダクト本体3の内部には、該ダクト本体3の内壁面と略直交状態に接続するように、かつ、前記一端部から他端部に向かって所要間隔を有して併設されると共に、前記空気流通路を流れる気流を蛇行状に案内する一群の仕切板6(6a、6a……、6b、6b……)と、気流Aを殺菌することができるように前記一群の仕切板6の間の全部又は一部に配設された多数の殺菌手段7とが設けられている。
【0035】
ここで図6を参照にすると、例えば合計15枚の仕切板6をダクト本体3の幅広の吸い込み口4側から幅狭い排出口(取付け孔)5側へと所定間隔を有して併設すると共に、前記吸い込み口4側の最初の仕切板6aの壁面の後方から排出口(取付け孔)5側の最後の仕切板6aの壁面の前方の間に多数、例えば合計14個の蛍光灯型の紫外線照射手段7(実施形態)又は紫外線LEDのいずれか一方を配設している。実施形態では、例えば合計15枚の仕切板6が、「一群」に該当する。
【0036】
なお、仕切板6の枚数を15枚に限定するものではない。また紫外線照射手段2は蛍光灯型の紫外線ランプを用いているが、これに限定するものではない。紫外線照射手段7は、長板状の上壁3aの下面又は長板状の下壁3bの上面のいずれか一方に設けても良いが、好ましい実施形態では、長板状の上壁3aの下面及び長板状の下壁3bの上面に互いに水平方向に位置がずれるように合計4本以上設けるのが望ましい。
【0037】
またダクト本体3は曲管状であっても良い。その場合には、一群の仕切板の形状や厚みは、曲管状ダクト本体3の内周壁に隙間なく接合する円形或いは楕円形状のものとし、円形周壁の縁部分の一部に弧状の切欠部或いは弧状長孔を形成するのが好ましい。またダクト本体3の材質如何は問わない。実施形態では、送風手段からの風がダクト本体3に流れるが、空気流通路が一群の仕切板6(6a、6a……、6b、6b……)を介して蛇行状に形成されているので、気流Aの流れが徐々に減退化する。気流Aの蛇行状に流れる所要時間は、好ましくは30秒以上~60秒以内であり、その照射滞留時間中に気流に含まれている殺菌を十分に行うことができる。
【0038】
ところで、ダクト本体3の排出口(ガイドパイプ取付け用の孔)5から見た右側壁3cには、その上縁から下端部寄りの部位のまで筋状の垂直切欠部8と、その下縁から上端部寄りの部位まで筋状の垂直切欠部9とが、吸い込み口4側から排出口5側まで交互に所定間隔を有して多数形成されている。したがって、一群の仕切板6をこれらの垂直切欠部8、9を介してダクト本体3に簡単に差し込まことができる。
【0039】
次に、図面を参照にして気流Aの流れを簡単に説明する。図7はダクト本体3内の気流Aの流れを示す概略説明図、図8は内部空間2の一側壁1aにダクト本体3を横型に取付け、ガイドパイプ15及び固定筒22を介して可動筒23の突出ノズル部23bへと殺菌済みの気流Aを誘導することができる複数個の部材の内、例えば前記可動筒23の突出ノズル部23bを他側壁1bに向けた平面視からの説明図である。
【0040】
そして、図9図8に於いて、突出ノズル部23bから吹き出された気流Aの流れを示す説明図で、例えば風速が遅い気流Aが他側壁1bの壁面に対して斜めから接線状態に当たり、かつ、連続的に該他側壁1bの壁面に略沿って一側壁1aと対向する対向壁1cの壁面側へと、いわば対流的に流れることを示す。
【0041】
したがって、この第1実施形態は、ダクト本体(空気殺菌装置本体)3を設置した箇所から部屋の側面方向に沿って殺菌済み気流を遠くへと流すこと及び可動筒23の吹き出し口24から吹き出される殺菌済み気流の向きを自由に設定することができる。
【0042】
なお、本発明は、吸い込み口4から吹き出された気流が部屋1の側面に沿って対流的に流れるのが好ましいので、ダクト本体3の取付け位置如何によっては、取付け面である一側面1a又は該取付け面に連続する他側面1bのいずれかに吸い込み口4を向けても良い点は前述したとおりである。
【0043】
さらに、本発明では、「一側壁と連続する他側壁」とは、例えば一側壁1aがダクト本体3を設置した取付け面と仮定した場合、該一側壁1aに直交する他側壁1b、該他側壁に連続し、かつ、前記一側壁1aに対向する対向壁1cも含まれるので、発明の課題を逸脱しない範囲で、ダクト本体3を一側壁1aに設置した場合に於いて、吸い込み口4を、内部空間2を介して対向壁1cに向けても良い。
【実施例0044】
この欄では、本発明の第2実施形態、3実施形態などを説明する。なお、これらの実施形態を説明するにあたって、先行する第1実施形態や他の実施形態と同一の部分については、同一又は同様の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0045】
まず、図10乃至図12は本発明の第2実施形態を示す各説明図である。図10は本発明の第2実施形態の部屋空気殺菌装置X1を住宅の部屋に配備した場合の参考説明図であるが、ダクト本体3及び送風手段11が一側壁1aに縦型状態に取付けられている。そのために、図11はダクト本体3の上壁にエルボ(繋ぎ)30を取付けた正面視からの説明図である。
【0046】
この2実施形態は、ダクト本体3の設置姿勢が縦型である点、ダクト本体3の排出口(ガイドパイプの一端部を接続するための取付け用の孔)5が上方に位置する故、例えばエルボ(繋ぎ)30が加味されている点、送風手段11Aを両端開口(上端と下端)のカバー筒31に支持部材32を介して内装し(図12を参照)、前記送風手段11Aを構成する電動機12の上方に軸流送風機13が位置している点を除き、その余の構成は第1実施形態と同一である。したがって、第2実施形態はエルボ(繋ぎ)30等の部材が若干増えるものの、第1実施形態と同一の課題を達成することができる。
【0047】
なお、この実施形態のカバー筒31は、ダクト本体3の下方に位置する吸い込み口4から離間しているが、もちろん、カバー筒31の上端開口と前記吸い込み口4とが連通するように該カバー筒31の上端部をダクト本体3の一端部(下端部)に接続しても良い。
【0048】
次に、図13乃至図15は発明の第3実施形態の部屋空気殺菌装置X2を示す各説明図である。図13は本発明の第3実施形態の部屋空気殺菌装置X2を住宅の部屋1に配備した場合の参考説明図で、例えば可動筒23の突出ノズル部23bを取付け面である一側壁1aに向けた状態を示す。
【0049】
この第3実施形態が前記第1実施形態又は第2実施形態と主に異なる事項は、(a) ダクト本体3Aを部屋1の一側面1aに縦型に設置した点、(b)ダクト本体3Aが縦長直方体形状の箱体である点、(c)ダクト本体3Aの底壁の一部に送風手段11B用の取付け孔35(第1実施形態の吸い込み口4に相当する)が形成されている点、(d)ダクト本体3Aの上壁の一部に可動筒23A用の取付け孔36が形成されている点、(e)ダクト本体3Aに内設した一群の仕切り板6が、少なくとも4枚である点、(f)紫外線殺菌手段7が多数のELDである点、(g)前記送風手段用の取付け孔35に、カバー筒31Bを有する送風手段11Bが接続している点、(h)図14で示すように、前記カバー筒31Bの下端部は完全に開口しているが、上端部は完全に開口しておらず、例えば多数の貫通小孔37であり、これらの貫通小孔37はカバー筒31Bの上壁に形成され、ダクト本体3Aの一端部に形成された吸い込み口4(この場合には貫通小孔37)に相当する点、(i)第1実施形態の固定筒22や第2実施形態のエルボ30を用いないで、下端開口の可動筒23Aをダクト本体3Aの上壁の取付け孔36に螺合手段(本体3A側が雌螺合部25A、可動筒23Aが雄螺合部26A)を介して水平方向に回転可能に設けられている点、(j)可動筒23Aの突出ノズル部23bが、一側面1aに対して斜め方向(接線方向)に向けることができる点などである。
【0050】
上記構成に於いて、図15は突出ノズル部23bから吹き出された気流Aの流れを示す説明図で、例えば気流Aは一側壁1aに対して斜め方向から当たり、該一側壁1aに摩擦抵抗を受けるものの、略一側壁1aに沿って他側面1b側へと対流的に流れる。したがって、このように構成しても、第1実施形態と同一の効果を得ることができる。
【0051】
最後に、図16は、本発明の第4実施形態を示す説明図である。この第4実施形態は、第1実施形態の送風手段の設置場所を変え、固定筒22Aを改良して、例えば固定筒22Aを両端(上端と下端)開口の筒状体に形成し、該固定筒22Aの上端部に、前述した第3実施形態と同様の数の貫通小孔37を有する送風手段11Bを接続した点に特徴がある。なお、送風手段11B等の符号は、便宜上第3実施形態のものを援用し、重複する説明を割愛する。
【0052】
〈付記〉本発明の主たる発明の課題ではないが、例えば第1実施形態の如く、吹き出し口4の開口面積が大きい場合には、前記吸い込み口4にダクト本体3内の気流Aの流速を遅く制御することができる可動式の制御部材(例えば上下方向にスライド可能な板)を設け、又は風圧を受けるフィルター部材を脱着可能に取付けても良い。また、殺菌手段7として多数の紫外線殺菌手段を一例に挙げたが、殺菌手段は、少なくとも紫外線を照射する装置又は帯電微粒子水を放出する静電霧化装置のいずれか一方、又は両方であっても良い。
【0053】
また、部屋1の内部空間2に気流Aを広く拡散したい場合には、ダクト本体3の排出口(取付け孔)5に複数(例えば二本)のガイドパイプの基端部を取付け、その一本を一側壁に略沿って配設し、他の一本を前記一側壁に連続する他側壁に略沿って配設しても良い。さらに、部屋1の内部空間に気流Aを全体的かつ確実に対流させたい場合には、二台のダクト本体3を部屋1の側面に対角線位置に配設しても良く、その取付け態様は自由である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、部屋空気殺菌装置に関するもので、特に、建物の内部空間に配備される部屋空気殺菌装置の分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0055】
X、X1、X2…部屋空気殺菌装置、A…気流、
a、b…通り道、
1…部屋、
1a…一側壁、1b…他側壁、1c…対向壁、
2…内部空間、
3、3A…ダクト本体(空気殺菌装置本体)、
3a…上壁、3b…下壁、
4…吸い込み口、
5…排出口(取付け孔)、
6(6a、6b)…一群の仕切板、
7…殺菌手段、
8、9…垂直切欠部、
11、11A、11B…送風手段、
12…電動機、13…軸流送風機、
15…ガイドパイプ、
22、22A…固定筒、
22a…上壁、22b…周壁部、22c…下端開口、22d…取付け孔、
23、23A…可動筒、
23a…筒状部、
23b…突出ノズル部、
24…吹き出し口、
25…雄螺合部、26…雌螺合部、
30…エルボ(繋ぎ)、
31、31B…カバー筒、
32…支持部材、
37…多数の貫通小孔、
35…送風手段用の取付け孔、
36…可動筒23A用の取付け孔。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図10
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