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特開2022-174770通信装置、通信方法、および、プログラム
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  • 特開-通信装置、通信方法、および、プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174770
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】通信装置、通信方法、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/18 20090101AFI20221117BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20221117BHJP
【FI】
H04W48/18
H04W88/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080722
(22)【出願日】2021-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小堺 康之
(72)【発明者】
【氏名】米山 清二郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 崇裕
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067EE02
(57)【要約】
【課題】使用可能な通信方式の種類の数が異なる複数種類の通信装置が混在する通信ネットワークにおいて、データ送信を効率よく行う。
【解決手段】実施形態の通信装置は、通信ネットワークにおける第1の通信装置および第2の通信装置で使用可能な第1の通信方式、および、前記第2の通信装置で使用可能な第2の通信方式のどちらを使用しても電文を送受信可能なネットワークインタフェースと、他の通信装置の通信アドレス、および、前記他の通信装置が使用可能な1以上の通信方式の種類で構成されたエントリを0個以上記憶する記憶部と、任意の他の通信装置から第1のデータ電文を受信した場合に、前記記憶部に記憶されている前記第1の通信方式と前記第2の通信方式の割合に応じて、前記第1の通信方式および前記第2の通信方式のいずれかを使用して前記第1のデータ電文を前記ネットワークインタフェースから送信する送信制御部と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークにおける第1の通信装置および第2の通信装置で使用可能な第1の通信方式、および、前記第2の通信装置で使用可能な第2の通信方式のどちらを使用しても電文を送受信可能なネットワークインタフェースと、
他の通信装置の通信アドレス、および、前記他の通信装置が使用可能な1以上の通信方式の種類で構成されたエントリを0個以上記憶する記憶部と、
任意の他の通信装置から第1のデータ電文を受信した場合に、前記記憶部に記憶されている前記第1の通信方式と前記第2の通信方式の割合に応じて、前記第1の通信方式および前記第2の通信方式のいずれかを使用して前記第1のデータ電文を前記ネットワークインタフェースから送信する送信制御部と、を備える通信装置。
【請求項2】
前記送信制御部は、
前記第1のデータ電文の次のデータ電文である第2のデータ電文を受信した場合に、
前記第1のデータ電文を前記第1の通信方式で送信した場合は、第1の時間を経過した後に前記第2のデータ電文を前記ネットワークインタフェースから送信し、
前記第1のデータ電文を前記第2の通信方式で送信した場合は、前記第1の時間よりも短い第2の時間を経過した後に前記第2のデータ電文を前記ネットワークインタフェースから送信する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記送信制御部は、
前記他の通信装置から前記第1のデータ電文を受信した場合に、前記記憶部を参照し、
記憶されている全ての通信アドレスに対して紐づけられた通信方式がすべて前記第2の通信方式を含むとき、前記第2の通信方式を選択して前記第1のデータ電文を前記ネットワークインタフェースから送信し、
前記第1の通信方式のみを含む前記エントリが1つ以上前記記憶部に記憶されているとき、前記第1の通信方式を選択して前記第1のデータ電文を前記ネットワークインタフェースから送信する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
複数の前記通信装置の間で親子関係が設定されており、
前記送信制御部は、子供ノードである他の通信装置の通信アドレスおよび前記第1の通信方式を含むエントリと、子供ノードである他の通信装置の通信アドレスおよび前記第2の通信方式を含むエントリとの割合に応じて、前記第1の通信方式および前記第2の通信方式のいずれかを使用して前記第1のデータ電文を前記ネットワークインタフェースから送信する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
通信ネットワークにおける第1の通信装置および第2の通信装置で使用可能な第1の通信方式、および、前記第2の通信装置で使用可能な第2の通信方式のどちらを使用しても電文を送受信可能なネットワークインタフェースと、他の通信装置の通信アドレス、および、前記他の通信装置が使用可能な1以上の通信方式の種類で構成されたエントリを0個以上記憶する記憶部と、を備える通信装置による通信方法であって、
任意の他の通信装置から第1のデータ電文を受信した場合に、前記記憶部に記憶されている前記第1の通信方式と前記第2の通信方式の割合に応じて、前記第1の通信方式および前記第2の通信方式のいずれかを使用して前記第1のデータ電文を前記ネットワークインタフェースから送信する送信制御ステップを含む通信方法。
【請求項6】
通信ネットワークにおける第1の通信装置および第2の通信装置で使用可能な第1の通信方式、および、前記第2の通信装置で使用可能な第2の通信方式のどちらを使用しても電文を送受信可能なネットワークインタフェースと、他の通信装置の通信アドレス、および、前記他の通信装置が使用可能な1以上の通信方式の種類で構成されたエントリを0個以上記憶する記憶部と、を備える通信装置であるコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
任意の他の通信装置から第1のデータ電文を受信した場合に、前記記憶部に記憶されている前記第1の通信方式と前記第2の通信方式の割合に応じて、前記第1の通信方式および前記第2の通信方式のいずれかを使用して前記第1のデータ電文を前記ネットワークインタフェースから送信する送信制御部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、通信装置、通信方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、サーバまたは集約装置からマルチホップネットワーク内の多数の通信装置にデータを配布する方法が例えば非特許文献1、非特許文献2、特許文献1で知られている。マルチホップネットワークは、メッシュネットワークとも呼ばれる。また、集約装置はボーダールーターまたはコンセントレーターとも呼ばれる。
【0003】
従来から、複数の通信装置を含む通信ネットワークにおいて、通信装置の後継機の導入等にともなって、使用可能な通信方式の種類の数が異なる複数種類の通信装置が混在することがある。例えば、後継の通信装置が、現行の通信装置の使用可能な通信方式(例えばFSK(frequency shift keying))に加えて、新たな通信方式(例えばOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing))を使用可能となっている場合がある。
【0004】
したがって、例えば、サーバから通信ネットワークにおけるすべての通信装置にデータを送る場合、現行の通信装置が使用可能な通信方式(FSK)を使用すれば、すべての通信装置にデータを送ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-556035号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】” RPL: IPv6 Routing Protocol for Low-Power and Lossy Networks”, [online], Internet Engineering Task Force (IETF), [令和3年4月23日検索], インターネット<URL:https://tools.ietf.org/html/rfc6550>
【非特許文献2】” Multicast Protocol for Low-Power and Lossy Networks (MPL)”, [online], Internet Engineering Task Force (IETF), [令和3年4月23日検索], インターネット<URL:https://tools.ietf.org/html/rfc7731>
【非特許文献3】” Trickle Algorithm”, [online], Internet Engineering Task Force (IETF), [令和3年4月27日検索], インターネット<URL:https://tools.ietf.org/html/rfc6206>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の従来技術では、例えば、現行の通信装置の使用可能な通信方式(FSK)よりも、後継の通信装置の使用可能な新たな通信方式(OFDM)のほうが通信速度等の面で優れていることがあり、データ送信の効率の点で、改善の余地がある。
【0008】
そこで、本発明の課題は、使用可能な通信方式の種類の数が異なる複数種類の通信装置が混在する通信ネットワークにおいて、データ送信を効率よく行うことができる通信装置、通信方法、および、プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の通信装置は、通信ネットワークにおける第1の通信装置および第2の通信装置で使用可能な第1の通信方式、および、前記第2の通信装置で使用可能な第2の通信方式のどちらを使用しても電文を送受信可能なネットワークインタフェースと、他の通信装置の通信アドレス、および、前記他の通信装置が使用可能な1以上の通信方式の種類で構成されたエントリを0個以上記憶する記憶部と、任意の他の通信装置から第1のデータ電文を受信した場合に、前記記憶部に記憶されている前記第1の通信方式と前記第2の通信方式の割合に応じて、前記第1の通信方式および前記第2の通信方式のいずれかを使用して前記第1のデータ電文を前記ネットワークインタフェースから送信する送信制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態の通信システムの全体構成を模式的に示す図である。
図2図2は、実施形態の通信装置の機能構成を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態の通信装置の記憶部に記憶される情報テーブルを示す図である。
図4図4は、実施形態の通信システムにおける複数の通信装置の処理を示すシーケンス図である。
図5図5は、実施形態の通信装置による処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本発明の実施形態の通信装置、通信方法、および、プログラムについて詳細に説明する。
【0012】
実施形態の理解を容易にするために、従来技術についてあらためて説明する。例えば、スマートメータ、画像監視システムなど、メッシュネットワーク(マルチホップネットワークともいう)を構成するIoT(Internet of Things)機器を例にとる。世界的に、900MHz帯無線の低速なFSK(frequency shift keying)でスマートメータ等のIoT機器のメッシュネットワークが構築されている。マルチホップネットワークは、相互に通信可能な通信装置と集約装置を備え、集約装置と直接通信できない通信装置は、他の通信装置を経由するバケツリレー方式でデータの転送を行う。
【0013】
また、国際規格IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.15.4に、より高速な920MHz帯の無線方式であるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)が加わった。そして、多くのIoT機器はFSKを使用しているが、電力量の送信間隔を短縮したり、より多くのデータをマルチホップネットワークに流したい需要がある。
【0014】
また、例えば、通信装置のファームウェアアップデートのために、大きなデータであるファームウェアをサーバから全ての通信装置に配信するには低速なFSKでは時間がかかる。高速なOFDMが使える場合はOFDMで効率的に配信したい需要がある。しかし、既設の通信装置がFSKでしか動作しないならば、その通信装置にはFSKでデータを配信しなければならない。
【0015】
そこで、以下では、使用可能な通信方式の種類の数が異なる複数種類の通信装置が混在する通信ネットワークにおいて、データ送信を効率よく行うことができる技術について説明する。より具体的には、例として、FSKでのみ動作する通信装置と、新規に設置するFSK・OFDM両対応の通信装置が混在したメッシュネットワークにおいて、効率的に集約装置配下の多数の通信装置へデータを配信する技術について説明する。
【0016】
(実施形態)
図1は、実施形態の通信システムSの全体構成を模式的に示す図である。通信システムSは、サーバ1と、通信ネットワークNと、を備える。通信ネットワークNは、一例として、無線マルチホップネットワークである。通信ネットワークNは、集約装置2と、複数の通信装置3A(第2の通信装置)と、複数の通信装置3B(第1の通信装置)と、を備える。
【0017】
通信装置3Aは、FSK(第1の通信方式)とOFDM(第2の通信方式)の両方に対応した通信装置である。通信装置3Bは、FSKだけに対応した通信装置である。以下、通信装置3Aと通信装置3Bを区別しないときは、「通信装置3」と記載する。
【0018】
通信ネットワークNでは、例えば通信規格RPL (IPv6 Routing protocol for Low Power and Lossy Networks)にしたがって通信経路が自律的に構築される。具体的には、それぞれの通信装置3は、近隣の通信装置3との間の無線通信品質にしたがって、近隣の通信装置3の中から親ノードを選択する。また、集約装置2の近傍のノード12は、集約装置2を親ノードとして選択できる。なお、以下では、「通信装置3」と記載した場合に、「集約装置2」を含む場合もある。また、通信装置3のそれぞれを「通信装置#1」、「通信装置#2」等と称する場合がある。通信装置3は、例えば、スマートメータである。なお、図1における通信装置3間の矢印は、親子関係を示したのもので、親子関係になくても近隣の2つの通信装置3同士は通信可能であってよい。
【0019】
また、集約装置2とサーバ1は、例えば携帯電話網や光回線網などの広域通信網であるWAN(Wide Area Network)によって通信可能に接続される。
【0020】
サーバ1は、コンピュータ装置であり、通信ネットワークNのそれぞれの通信装置3に対してデータを送信または受信する。
【0021】
図2は、実施形態の通信装置3Aの機能構成を示すブロック図である。通信装置3Aは、ネットワークインタフェース31と、記憶部32と、処理部33と、を備える。
【0022】
ネットワークインタフェース31は、通信ネットワークNにおける近隣の通信装置3とFSKおよびOFDMで電文を送受信可能である。ネットワークインタフェース31は、例えば、無線チップやPLCチップなどによって実現できる。つまり、通信ネットワークNは、無線ネットワークに限定されず、PLCなどの有線ネットワークであってもよい。
【0023】
また、ネットワークインタフェース31がOFDMおよびFSKの両方に対応する場合、単一のネットワークインタフェースで実現してもよいし、あるいは、OFDMのみに対応したネットワークインタフェースとFSKのみに対応したネットワークインタフェースの2つを組み合わせて実現してもよい。また、ネットワークインタフェース31はFSK、OFDMに加えてさらに別の無線方式に対応してもよい。
【0024】
記憶部32は、各種情報(各種プログラム、各種データ)を記憶し、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等によって実現される。記憶部32は、例えば、近隣の通信装置3の通信アドレス、および、その通信装置3の使用可能な通信方式の種類(FSK、OFDM)を記憶する。また、通信ネットワークNにおいて複数の通信装置3の間で親子関係が設定されている場合、記憶部32は、近隣の通信装置3のうちの子供ノードの通信装置3の通信アドレス、および、当該子供ノードの通信装置3の使用可能な通信方式の種類を記憶するようにしてもよい。
【0025】
ここで、図3は、実施形態の通信装置3の記憶部32に記憶される情報テーブルを示す図である。図3に示すように、この情報テーブルは0以上のエントリで構成される。個々のエントリは、近隣の通信装置3に関し、通信アドレスと、使用可能な通信方式と、子供ノード当否(「True」だと子供ノード)と、が紐づけられている。通信装置3は、この情報テーブルを参照することで、通信可能な近隣の通信装置3に関し、使用可能な通信方式(FSKとOFDM)の割合等を認識することができる。
【0026】
なお、子供ノードについてしか登録しない情報テーブルや、あるいは、子供ノードかどうかがデータ転送に無関係であれば、子供ノード当否の情報は不要である。
【0027】
図2に戻って、処理部33は、各種演算処理を実行し、例えば、CPU(Central Processing Unit)によって実現される。処理部33は、機能部として、受信制御部331と、送信制御部332と、を備える。
【0028】
受信制御部331は、近隣の通信装置3からFSKまたはOFDMでデータ受信する制御を行う。
【0029】
送信制御部332は、近隣の通信装置3にFSKまたはOFDMでデータ送信する制御を行う。送信制御部332は、例えば、近隣の通信装置3から第1のデータ電文を受信した場合に、記憶部32を参照し、記憶されている近隣の通信装置3の通信アドレスに対して紐づけられたFSKとOFDMの割合に応じて、FSKおよびOFDMのいずれかを選択して第1のデータ電文をネットワークインタフェースから送信する。
【0030】
また、送信制御部332は、第1のデータ電文の次のデータ電文である第2のデータ電文を受信した場合に、第1のデータ電文をFSKで送信する場合は、第1の時間を経過した後に第2のデータ電文をネットワークインタフェースから送信する。また、第1のデータ電文をOFDMで送信する場合は、第1の時間よりも短い第2の時間を経過した後に第2のデータ電文をネットワークインタフェースから送信する。
【0031】
また、送信制御部332は、近隣の通信装置3から第1のデータ電文を受信した場合に、記憶部32を参照し、記憶されている全てのエントリがOFDMを含むとき、OFDMを選択して第1のデータ電文をネットワークインタフェースから送信するようにしてもよい。反対に、FSKだけを含むエントリが1つ以上あるとき、FSKを選択して第1のデータ電文をネットワークインタフェースから送信する。
【0032】
次に、図4は、実施形態の通信システムSにおける複数の通信装置3の処理を示すシーケンス図である。また、図4は通信装置#1~4のうち、特に通信装置#2の動作に着目したシーケンスを示す。
【0033】
図4に示す通信装置#1、#2,#3、#4は、図1に示す通信装置3A(#1)、通信装置3A(#2)、通信装置3A(#3)、通信装置3B(#4)に該当する。つまり、図4に示す通信装置#1~#3はFSKおよびOFDMの両方の通信方式を使用可能な通信装置であり、通信装置#4はFSKのみ使用可能な通信装置である。
【0034】
まず、ステップS1において、通信装置#2は、第一の制御電文をマルチキャストで送信する。第一の制御電文は通信装置#1および通信装置#3に届く。
【0035】
次に、ステップS2において、通信装置#1は通信装置#2に第二の制御電文を送信し、ステップS3において通信装置#3は通信装置#2に第二の制御電文を送信する。第一の制御電文および第二の制御電文には、送信元アドレス(通信アドレス)や、送信元の通信装置が使用可能な通信方式の種類などの情報が含まれる。なお、通信装置#2が送信する制御電文を第一の制御電文と称し、通信装置#2が受信する制御電文を第二の制御電文と称し、それ以外の制御電文を第三の制御電文と称する。
【0036】
通信装置#1~#3はOFDMおよびFSKに対応するため、ステップS1~S3において送信される第一の制御電文および第二の制御電文には、OFDMおよびFSKを示す情報が記載される。
【0037】
次に、ステップS4において、通信装置#1は通信装置#2にマルチキャストパケットを送信する。次に、ステップS5において、通信装置#2はそのマルチキャストパケット(第1のデータ電文)をOFDMで通信装置#3に転送する。
【0038】
次に、ステップS6において、通信装置#1は通信装置#2にマルチキャストパケットを送信する。次に、ステップS7において、通信装置#2はそのマルチキャストパケット(第2のデータ電文)を、ステップS5からT1(後述のT2(第1の時間)よりも短い第2の時間)を経過した後にOFDMで通信装置#3に転送する。
【0039】
ここで、ステップS8において、FSKにしか対応していない通信装置#4が起動し、通信ネットワークNに参加したものとする。
【0040】
次に、ステップS9において、通信装置#4は、第三の制御電文を送信する。第三の制御電文は通信装置#2および通信装置#3に届く。通信装置#4はFSKのみ使用可能な通信装置であるため、第三の制御電文にはFSKを示す情報が記載され、OFDMを示す情報は記載されない。
【0041】
また、ステップS10において、通信装置#4はARO(Address Registration Option)付きNS(Neighbor Solicitation)を送信する。ARO付きNSは通信装置#2と通信装置#3に届く。子供ノードが親ノードにARO付きNSを送信することで、親ノードは子供ノードのリストを保持できる。なお、このARO付きNSの送信は、ステップS9の第三の制御電文の送信より前に行ってもよく、タイミングはこの図4の例に限定されない。
【0042】
次に、ステップS11において、通信装置#1はマルチキャストパケットを送信する。次に、ステップS12において、通信装置#2は、そのマルチキャストパケット(第1のデータ電文)をFSKで転送し、それが通信装置#3と通信装置#4に届く。
【0043】
次に、ステップS13において、通信装置#1はマルチキャストパケットを送信する。次に、ステップS14において、通信装置#2は、そのマルチキャストパケット(第2のデータ電文)を、ステップS12からT2(第1の時間)を経過した後にFSKで転送し、それが通信装置#3と通信装置#4に届く。
【0044】
次に、図5は、実施形態の通信装置3による処理を示すフローチャートである。例えば、図5に示す処理は、図4において、通信装置#2が、以下の(1)~(7)のときに実行する。
(1)ステップS2、S3において、第二の制御電文を受信するとき
(2)ステップS4においてマルチキャストパケットを受信し、ステップS5においてマルチキャストパケットを転送するとき
(3)ステップS6においてマルチキャストパケットを受信し、ステップS7においてマルチキャストパケットを転送するとき
(4)ステップS11においてマルチキャストパケットを受信し、ステップS12においてマルチキャストパケットを転送するとき
(5)ステップS13においてマルチキャストパケットを受信し、ステップS14においてマルチキャストパケットを転送するとき
(6)ステップS9において第三の制御電文を受信するとき
(7)ステップS10においてARO付きNSを受信するとき
【0045】
ステップS101において、通信装置3の受信制御部331は、近隣の通信装置3から受信した電文の種類を判定し、制御電文の場合はステップS102に進み、マルチキャストパケットの場合はステップS103に進み、ARO付きNSの場合はステップS104に進む。
【0046】
ステップS102において、受信制御部331は、制御電文に記載された送信元アドレスと通信方式を記憶部32に保存する(図3)。
【0047】
ステップS103において、送信制御部332は、記憶部32の情報テーブルを参照し(図3)、通信可能な近隣の通信装置3について、OFDM対応の割合が所定の閾値R1よりも大きいか否かを判定し、Yesの場合はステップS105に進み、Noの場合はステップS107に進む。
【0048】
送信制御部332は、ステップS105においてマルチキャストパケットの転送が2回目以降であれば前回転送時から時間T1を空けてから、ステップS106においてマルチキャストパケットをOFDMで転送する。
【0049】
送信制御部332は、ステップS107においてマルチキャストパケットの転送が2回目以降であれば前回転送時から時間T2を空けてから、ステップS108においてマルチキャストパケットをFSKで転送する。
【0050】
ステップS104において、受信制御部331は、ARO付きNSの送信元アドレスの通信装置3が子供ノードであることを示す値(図3の例では「True」)を保存する。
【0051】
このように、本実施形態の通信装置3によれば、転送するマルチキャストパケットについて、近隣の通信装置3の使用可能な通信方式の種類(FSKだけ、または、FSKとOFDM)の割合に応じてFSKとOFDMを使い分けることで、データ送信を効率よく行うことができる。
【0052】
また、2回目以降の転送までのインターバル時間の長さを異ならせることで、データ送信をさらに効率よく行うことができる。
【0053】
なお、時間T1は平均的に時間T2よりも短ければよく、時間T1が時間T2より長い場合があってもよく、時間T1および時間T2は一定である必要はない。例えば、非特許文献3に示すTrickleアルゴリズムを用いて、OFDMでマルチキャストパケットを転送するためのタイマのIminおよびImaxを、FSKで転送するためのタイマのIminおよびImaxよりも短くすることで、平均的に時間T1を時間T2よりも短くすることができる。
【0054】
また、例えば、FSKだけに対応した近隣の通信装置3がないときにはOFDMを使用し、FSKだけに対応した近隣の通信装置3が1つでもあるときにはFSKを使用するようにすれば、FSKだけに対応した通信装置3もデータを受信できる。
【0055】
また、転送先の通信装置3を子供ノードに限定してもよい。
【0056】
なお、上述した実施の形態における、上記処理を実行するためのプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)、USB(Universal Serial Bus)メモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。また、当該プログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。また、当該プログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0057】
また、当該プログラムは、各機能部を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしては、例えば、CPU(プロセッサ回路)がROMまたはHDDから上記プログラムを読み出して実行することにより、上述した各機能部がRAM(主記憶)上にロードされ、上述した各機能部がRAM(主記憶)上に生成されるようになっている。なお、上述した各機能部の一部または全部を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)などの専用のハードウェアを用いて実現することも可能である。
【0058】
なお、上記には、実施の形態を説明したが、上記実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施の形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0059】
例えば、上述の実施形態では、主にソフトウェア配信について説明したが、これに限定されず、多数の通信装置3に対し大きなデータを配信する場合にも適用可能である。
【符号の説明】
【0060】
1…サーバ、2…集約装置、3…通信装置、31…ネットワークインタフェース、32…記憶部、33…処理部、331…受信制御部、332…送信制御部、S…通信システム
図1
図2
図3
図4
図5