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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174782
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】構造体、および構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16B 7/20 20060101AFI20221117BHJP
   C22C 1/08 20060101ALI20221117BHJP
   E04B 1/24 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
F16B7/20 A
C22C1/08 A
E04B1/24 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080738
(22)【出願日】2021-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100144510
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 真由
(72)【発明者】
【氏名】青井 一郎
(72)【発明者】
【氏名】西垣 英一
(72)【発明者】
【氏名】雨宮 稿治
(72)【発明者】
【氏名】板井 伸幸
(72)【発明者】
【氏名】門川 和也
【テーマコード(参考)】
3J039
【Fターム(参考)】
3J039AA03
3J039BB02
3J039JA11
3J039LA02
(57)【要約】
【課題】中空の構造体において剛性を向上させる技術を提供する。
【解決手段】構造体は、中空管状の本体部と、本体部の外側面に形成された第1補剛部と、本体部の内側面に形成された第2補剛部と、本体部の側面を貫通し、第1補剛部と第2補剛部とを接続する接続部と、を有する補剛部材と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造体であって、
中空管状の本体部と、
前記本体部の外側面に形成された第1補剛部と、前記本体部の内側面に形成された第2補剛部と、前記本体部の側面を貫通し、前記第1補剛部と前記第2補剛部とを接続する接続部と、を有する補剛部材と、
を備える、
構造体。
【請求項2】
請求項1に記載の構造体であって、
前記補剛部材の形状は、トポロジー最適化により導出される、
構造体。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の構造体であって、
前記補剛部材は、接着剤を介さず前記本体部に接合されている、
構造体。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の構造体であって、
前記補剛部材の少なくとも一部は、発泡体である、
構造体。
【請求項5】
請求項4に記載の構造体であって、
前記発泡体は、金属発泡体である、
構造体。
【請求項6】
構造体の製造方法であって、
中空管状の本体部であって、1つ以上の貫通孔を備える本体部を用意し、
前記本体部の外側と内側に、前記本体部の前記貫通孔を含むキャビティを形成し、
前記キャビティ内に流体を流し込み、
前記キャビティ内に流し込んだ前記流体を固化させることにより、前記本体部の外側面に形成された第1補剛部と、前記本体部の内側面に形成された第2補剛部と、前記本体部の側面を貫通し、前記第1補剛部と前記第2補剛部とを接続する接続部と、を有する補剛部材を形成する、
構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等の移動体、建築物等の構造物を構成する中空の構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車を構成する構造体として、例えば、アウタパネルとインナパネルとで形成される空間を有する中空の構造体が用いられている。このような中空の構造体において、剛性を向上させるための種々の技術が提案されている(例えば、特許文献1~4参照)。特許文献1には、アウタパネルとインナパネルの間に形成される空間内に、樹脂製の複数の補剛部材を配置する構成が開示されている。特許文献2には、車体骨格部材と車両の外板との間に、発泡材の補剛材が配置される構成が開示されている。特許文献3には、自動車の側部を構成するボデー骨格構造であって、アウタパネルとインナパネルによって形成された閉空間に、金属、樹脂、発泡材の三層構造体が配置される構成が開示されている。特許文献4には、自動車のサブフレーム構造において、中空の部材の内部空間に、上面側と下面側を繋ぐ筒状部材が補剛材として配置される構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-64569号公報
【特許文献2】特開2018-8587号公報
【特許文献3】特開2019-26168号公報
【特許文献4】特開2020-83018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、中空の構造体において、さらなる剛性の向上が望まれている。なお、このような課題は、自動車の構造体に限定されず、種々の移動体、建築物等の構造物の構造体にも共通する課題である。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、中空の構造体において剛性を向上させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
(1)本発明の一形態によれば、構造体が提供される。この構造体は、中空管状の本体部と、前記本体部の外側面に形成された第1補剛部と、前記本体部の内側面に形成された第2補剛部と、前記本体部の側面を貫通し、前記第1補剛部と前記第2補剛部とを接続する接続部と、を有する補剛部材と、を備える。
【0008】
この構成によれば、補剛部材が、本体部の内部と外部との両方に配置される。本体部の外側面に形成された第1補剛部は、断面二次モーメントを向上させることにより剛性を向上させる。本体部の内側面に形成された第2補剛部は、弾性座屈を防ぐことにより剛性を向上させる。そのため、中空の部材の外部と内部のいずれか一方にのみ補剛部材が設けられる構成と比較して、さらに剛性を向上させることができる。その結果、構造体に外力が加わった際の、構造体の変形を抑制することができる。
【0009】
(2)上記形態の構造体であって、前記補剛部材の形状は、トポロジー最適化により導出されてもよい。このようにすると、補剛部材の形状をより適切にすることができ、構造体の剛性をより向上させることができる。
【0010】
(3)上記形態の構造体であって、前記補剛部材は、接着剤を介さず前記本体部に接合されてもよい。このようにすると、接着剤によって補剛部材を本体部に接合する場合と比較して、構造体の製造工程を削減することができ、製造コストを低減することができる。
【0011】
(4)上記形態の構造体であって、前記補剛部材の少なくとも一部は、発泡体でもよい。このようにすると、軽量化に資することができる。
【0012】
(5)上記形態の構造体であって、前記発泡体は、金属発泡体でもよい。このようにすると、樹脂の発泡体と比較して、剛性を向上させることができる。
【0013】
(6)本発明の他の形態によれば、構造体の製造方法が提供される。この構造体の製造方法は、中空管状の本体部であって、1つ以上の貫通孔を備える本体部を用意し、前記本体部の外側と内側に、前記本体部の前記貫通孔を含むキャビティを形成し、前記キャビティ内に流体を流し込み、前記キャビティ内に流し込んだ前記流体を固化させることにより、前記本体部の外側面に形成された第1補剛部と、前記本体部の内側面に形成された第2補剛部と、前記本体部の側面を貫通し、前記第1補剛部と前記第2補剛部とを接続する接続部と、を有する補剛部材を形成する。
【0014】
この製造方法によれば、補剛部材を形成すると共に本体部に補剛部材を接合することができる。そのため、別途作製された補剛部材を構造体に接合する製造方法と比較して、製造工程を削減することができ、剛性が高い構造体の製造コストを低減することができる。
【0015】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、構造体を備える移動体、構造体を備える構造物等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態の構造体の外観構成を概略的に示す説明図である。
図2】本体部の構成を概略的に示す説明図である。
図3】補剛部材の外観構成を概略的に示す説明図である。
図4】第1補剛部と第2補剛部の外観構成を概略的に示す説明図である。
図5】補剛部材の断面構成を概略的に示す説明図である。
図6】補剛部材の最適形状の導出方法の説明図である。
図7】第2実施形態の構造体の構成を概略的に示す説明図である。
図8】第3実施形態の構造体の構成を概略的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の構造体100の外観構成を概略的に示す説明図である。構造体100は、本体部10と、補剛部材20と、を備える。本体部10は、第1本体部11と、第2本体部12と、第3本体部13と、を備え、第1本体部11と第3本体部13とが第2本体部12によって接続されている。本実施形態の構造体100としては、車両のボデー骨格構造体として用いるものを例示する。
【0018】
図2は、本体部10の構成を概略的に示す説明図である。図示するように、本体部10は、第1本体部11、第2本体部12、および第3本体部13が接続されて、全体として中空管状に形成されている。本体部10は、両端が開口している両端開口管状に形成され
ている。第1本体部11、第2本体部12、および第3本体部13は、それぞれ、中空の矩形管状に形成されている。図示するように、第1本体部11および第3本体部13の内周形状と、第2本体部12の外周形状が略一致する。第2本体部12の一方の端部が第1本体部11内に挿入され、第2本体部12の他方の端部が第3本体部13内に挿入されている。
【0019】
図示するように、第1本体部11と第2本体部12とが重なる部分である第1重複部14には、第1本体部11の側面と第2本体部12の側面とを貫通する貫通孔10Hが形成されている。同様に、第2本体部12と第3本体部13とが重なる部分である第2重複部15にも、第2本体部12の側面と第3本体部13の側面とを貫通する貫通孔10Hが形成されている。第1重複部14を構成する4つの側面のそれぞれに、貫通孔10Hが2つずつ、合計8つ形成されている。同様に、第2重複部15を構成する4つの側面のそれぞれに、貫通孔10Hが2つずつ、合計8つ形成されている。なお、図2では、貫通孔10Hを明瞭に図示するために、図2において手前に配置されている1つの側面に配置されている4つの貫通孔10Hを図示し、残余の貫通孔10Hの図示を省略している。
【0020】
本体部10は、例えば、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属、合金、炭素繊維強化プラスチック等の樹脂材料、木材等、種々の材料により形成することができる。
【0021】
図3は、補剛部材20の外観構成を概略的に示す説明図である。図示するように、補剛部材20は、第1補剛部21と第2補剛部22と、を備える。
【0022】
図4は、第1補剛部21と第2補剛部22の外観構成を概略的に示す説明図である。図5は、補剛部材20の断面構成を概略的に示す説明図である。図5(a)は、図2におけるA-A断面を示し、図5(b)は、図2におけるB-B断面を示す。ここで、A-A断面は、第1重複部14の8つの貫通孔10Hを通る断面であり、B-B断面は、第2重複部15の8つの貫通孔10Hを通る断面である。
【0023】
図5に示すように、第1補剛部21は本体部10の外側面10oに形成されており、第2補剛部22は本体部10の内側面10iに形成されている。そして、第1補剛部21と第2補剛部22とは、本体部10の貫通孔10Hに配置されている接続部23によって接続されている。すなわち、補剛部材20は、本体部10の外側面10oに形成された第1補剛部21と、本体部10の内側面10iに形成された第2補剛部22と、本体部10の側面を貫通し、第1補剛部21と第2補剛部22とを接続する接続部23と、を有する。図3図4、および図5に示すように、本実施形態の補剛部材20は、不規則で複雑な形状である。後述するように、本実施形態の補剛部材20の形状は、トポロジー最適化により導出された形状である。
【0024】
本実施形態において、補剛部材20は、金属発泡体である。換言すると、本実施形態の補剛部材20の全部が金属発泡体である。金属としては、例えば、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属、合金等、種々の金属を用いることができる。金属としては、その融点、比重、剛性等を考慮すると、アルミニウム合金を用いるのが好ましい。他の実施形態では、樹脂発泡体、セラミック発泡体等、金属以外の材料の発泡体を用いてもよい。また、発泡体でない中実の金属、樹脂、セラミック等を用いてもよい。
【0025】
次に、図6を用いて、トポロジー最適化による補剛部材20の形状の導出方法について説明する。
図6は、補剛部材20の最適形状の導出方法の説明図である。本実施形態では、第1本体部11と第3本体部13との結合部位である第2本体部12の剛性が最大となる形状を導出する。図6(a)は、第2本体部12の端面に発生する並進力(Fx,Fy,Fz)
とモーメント(Mx,My,Mz)、および拘束点を図示している。図6(b)は、第2本体部12の内部と外周部の設計領域を図示している。
【0026】
まず、構造体100全体に掛かる力から第2本体部12の端面に発生する荷重(並進力およびモーメントT)を求める。境界条件として、下端を拘束し、上端に荷重を設定する。そして、トポロジー最適化により、剛性が最大となる形状を導出する。これにより、図4に示した第1補剛部21と第2補剛部22の形状が導出される。
【0027】
次に、構造体100の製造方法について説明する。
まず、図2に示すように、16個の貫通孔10Hが形成された本体部10(図2)を用意する。貫通孔10Hが形成された本体部10は、予め貫通孔が形成された第1本体部11、第2本体部12、および第3本体部13を、貫通孔の位置を合わせて配置することにより形成してもよい。また、貫通孔が形成されていない第1本体部11と第3本体部13に第2本体部12の端部を挿入した後、第1重複部14および第2重複部15をそれぞれ貫通する貫通孔を形成してもよい。
【0028】
本体部10の外側と内側に、本体部10の16個の貫通孔10Hを含むキャビティを形成するキャビティ形成部材を配置する。キャビティ形成部材と本体部10との間にできる間隙の形状が、上記トポロジー最適化により導出された形状になるように、キャビティ形成部材が形成されている。本実施形態において、キャビティ形成部材は、金属板材により形成されている。
【0029】
形成されたキャビティ内に流体を流し込み、キャビティ内に流し込んだ流体を固化させることにより、補剛部材20を造形することができる。本実施形態では、上述の通り、補剛部材20は、金属発泡体であるため、流体は、発泡材を混入した金属流体である。これにより、キャビティ内に金属流体を充填した後に、金属発泡体を形成することができる。なお、本実施形態では、流体が固化した後、キャビティ形成部材(金属板材)を取り除いている。他の実施形態では、キャビティ形成部材を、そのまま残してもよい。
【0030】
この製造方法では、キャビティ形成部材と本体部10によって形成されるキャビティが貫通孔10Hを含む。すなわち、本体部10の外側に形成されたキャビティと本体部10の内側に形成されたキャビティとが本体部10の貫通孔10Hによって繋がっている。そのため、例えば、本体部10の外側に形成されたキャビティに流体を流し込むと、貫通孔10Hを通って本体部10の内側のキャビティに流体が流れ込む。貫通孔10Hに流れ込んだ流体が固まることにより接続部23が形成される。すなわち、キャビティ全体に流体が充填され、固化されると、第1補剛部21と第2補剛部22とが接続部23によって接続された補剛部材20が完成する。また、この製造方法によれば、キャビティに充填された流体が固化することにより、第1本体部11と第2本体部12、および第2本体部12と第3本体部13が接合されると共に、補剛部材20が本体部10に接合される。そのため、接着剤を使用せず、本体部10と補剛部材20とが一体となった構造体100を製造することができる。すなわち、第1本体部11と第2本体部12、および第2本体部12と第3本体部13の接着工程、補剛部材20と本体部10との接着工程を省略することができる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態の構造体100によれば、補剛部材20が、本体部10の内部と外部との両方に配置される。本体部10の外側面10oに形成された第1補剛部21は、断面二次モーメントを向上させることにより剛性を向上させる。本体部10の内側面10iに形成された第2補剛部22は、弾性座屈を防ぐことにより剛性を向上させる。そのため、中空の部材の外部と内部のいずれか一方にのみ補剛部材が設けられる構成と比較して、さらに剛性を向上させることができる。その結果、構造体100に外力が加
わった際の、構造体100の変形を抑制することができる。
【0032】
また、第1補剛部21と第2補剛部22とが、本体部10の側面を貫通する接続部23により接続されているため、第1補剛部21と第2補剛部22とを、本体部10に対して適切な位置に配置して、本体部10と補剛部材20とが一体となった形状を造形することができる。
【0033】
本実施形態の補剛部材20の形状は、トポロジー最適化により導出されているため、補剛部材の体積を一定とした場合において最も剛性が高い形状を導出できる。そのため、構造体100の剛性が最大となる形状に補剛部材20を造形することができる。
【0034】
本実施形態の補剛部材20は金属発泡体であるため、金属中実体と比較して軽量化を図ることができ、樹脂発泡体と比較して高い剛性を得ることができる。
【0035】
また、本実施形態の構造体の製造方法によれば、補剛部材20を形成すると共に本体部10に補剛部材20を接合することができる。すなわち、この製造方法によれば、本体部10と補剛部材20とを、接着剤を用いず、接合することができる。そのため、別途作製された補剛部材を、接着剤を用いて構造体に接合する製造方法と比較して、製造工程を削減することができ、剛性が高い構造体の製造コストを低減することができる。
【0036】
また、本体部10の外側のキャビティと本体部10の内側のキャビティが本体部10の貫通孔10Hによって繋がっているため、本体部10の外側のキャビティに流体を流し込むことにより、キャビティ全体に流体を充填することができる。そのため、補剛部材20の製造を容易にすることができる。
【0037】
<第2実施形態>
図7は、第2実施形態の構造体100Aの構成を概略的に示す説明図である。図7(a)は、構造体100Aの側面を示し、図7(b)は、図7(a)におけるC-C断面を示す。本実施形態の構造体100Aが第1実施形態の構造体100と異なるのは、補剛部材20Aの形状および構成である。以降の実施形態において、第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付して、先行する説明を参照する。
【0038】
本実施形態の構造体100Aは、2つの補剛部材20Aを有する。2つの補剛部材20Aの内、一方は、第1重複部14の外側面10oおよび内側面10iの略全体を覆うように形成されている。他方の補剛部材20Aは、第2重複部15の外側面10oおよび内側面10iの略全体を覆うように形成されている。また、補剛部材20Aは、第1補剛部21Aと、第2補剛部22Aと、接続部23と、外側キャビティ形成部材24と、内側キャビティ形成部材25と、を有する。第1補剛部21Aと、第2補剛部22Aと、接続部23は、第1実施形態と同様に金属発泡体である。外側キャビティ形成部材24、内側キャビティ形成部材25は、金属板材により形成されている。すなわち、本実施形態の補剛部材20Aの一部は、発泡体である。本実施形態における補剛部材20Aの形状は、最適化手法を用いずに決定している。
【0039】
本実施形態の構造体100Aは、第1実施形態の構造体の製造方法と同様の方法により製造される。外側キャビティ形成部材24、内側キャビティ形成部材25、本体部10(貫通孔10Hを含む)により、流体が流し込まれるキャビティを形成する。外側キャビティ形成部材24は、流体を流し込む注入口24Iを形成する。補剛部材20Aの形成において、注入口24Iから流し込まれた流体は、貫通孔10Hを通って、内側キャビティ形成部材25によって形成される内側キャビティに流入する。本実施形態の構造体の製造方法では、外側キャビティ形成部材24、および内側キャビティ形成部材25を、流体の固
化後、そのまま残している。
【0040】
本実施形態の補剛部材20Aは、本体部10における第1重複部14および第2重複部15の外側面10oおよび内側面10iの略全体を覆うように形成されているため、適切に構造体100の剛性を向上させることができる。
【0041】
本実施形態の補剛部材20Aは、形状が簡易であるため、容易に形成することができる。また、キャビティの形状が簡易であるため、外側キャビティ形成部材24および内側キャビティ形成部材25を容易に形成することができる。
【0042】
<第3実施形態>
図8は、第3実施形態の構造体100Bの構成を概略的に示す説明図である。図8(a)は、構造体100Bの側面を示し、図8(b)は、図7(a)におけるD-D断面を示す。構造体100Bは、第1実施形態の補剛部材20に代えて補剛部材20Bを備える。補剛部材20Bは、第1実施形態の補剛部材20と形状および構成が異なる。
【0043】
補剛部材20Bは、本体部10において第2本体部12が配置されている部分の外側面10oと内側面10iの略全体を覆うように形成されている。また、補剛部材20Bは、第1補剛部21Bと、第2補剛部22Bと、2つの接続部23と、外側キャビティ形成部材24Bと、内側キャビティ形成部材25Bと、を有する。第1補剛部21Bと、第2補剛部22Bと、接続部23は、第1実施形態と同様に金属発泡体である。外側キャビティ形成部材24B、内側キャビティ形成部材25Bは、金属板材により形成されている。すなわち、本実施形態の補剛部材20Bの一部は、発泡体である。本実施形態の構造体100Bは、第2実施形態と同様に製造することができる。
【0044】
本実施形態の構造体100Bは、本体部10において第2本体部12が配置されている部分の外側面10oと内側面10iの略全体を覆うように形成されており、このようにしても、適切に構造体100の剛性を向上させることができる。
【0045】
本実施形態の補剛部材20Bも、形状が簡易であるため、容易に形成することができる。また、キャビティの形状が簡易であるため、外側キャビティ形成部材24Bおよび内側キャビティ形成部材25Bを容易に形成することができる。
【0046】
<実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0047】
・上記実施形態において、本体部10として第1本体部11と第3本体部13が第2本体部12を介して接続される構成を例示したが、本体部10の構成は上記実施形態に限定されない。例えば、4つ以上の中空管状の部材が接続される構成にしてもよいし、1つの中空管状の部材であってもよい。本体部が1つの中空管状の部材の場合にも、例えば、屈曲している等、荷重が集中する箇所に、補剛部材を設けることにより、構造体の剛性を向上させることができる。
【0048】
・上記実施形態において、直線状の構造体100を例示したが、構造体の形状は、直線状に限定されず、湾曲していてもよいし、屈曲していてもよい。
【0049】
・構造体100の断面形状は、上記実施形態に限定されない。例えば、三角形、五角形、六角形、等の種々の凸多角形、種々の凹多角形、円形等種々の形状に形成することができる。また、構造体の断面形状、太さ等が部分的に異なっていても良い。
【0050】
・上記実施形態において、構造体100が両端開口管状に形成される例を示したが、これに限定されない。例えば、一端が開口し、他端が閉口した片閉口管状に形成してもよいし、両端が閉口した両端閉口管状に形成してもよい。
【0051】
・上記第1実施形態において、最適化手法として、トポロジー最適化を用いて補剛部材20の形状を導出する例を示したが、他の最適化手法により、補剛部材の形状を導出してもよい。例えば、数値最適化、形状最適化等の種々の最適化手法を用いることができる。
【0052】
・上記実施形態では、接着剤を介さず補剛部材が本体部に接合される構成を例示したが、補剛部材を接着剤を介して本体部に接合していてもよい。
【0053】
・上記実施形態では、第1補剛部21と第2補剛部22と接続部23とが一体的に繋がっている例を示したが、第1補剛部21と第2補剛部22と接続部23とが別個に形成され、接合されていてもよい。それぞれ別個に形成される場合、互いに異なる材料によって形成されていてもよい。
【0054】
・構造体の製造方法は、上記実施形態に限定されない。例えば、予め形成された補強部材を、接着剤を介して本体部に接合してもよい。また、例えば、第1補剛部と第2補剛部22とが接続部を介して互いに嵌合することにより、本体部10に設けられてもよい。
【0055】
・構造体の製造において、キャビティを形成するキャビティ形成部材は、上記実施形態に限定されない。特に、本体部10の内側面10iに第2補剛部を形成するためのキャビティ形成部材として、例えば、砂中子や塩中子のように、崩壊性のキャビティ形成部材を用いてもよい。このようにすると、補剛部材を形成した後に、容易にキャビティ形成部材を除去することができる。
【0056】
・上記実施形態において、構造体として車両のボデー骨格構造体として用いるものを例示したが、航空機、列車等、種々の移動体用の構造体、建築物等の構造物用の構造体に本発明を適用することができる。
【0057】
以上、実施形態、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【符号の説明】
【0058】
10…本体部
10H…貫通孔
10i…内側面
10o…外側面
11…第1本体部
12…第2本体部
13…第3本体部
14…第1重複部
15…第2重複部
20、20A、20B…補剛部材
21、21A、21B…第1補剛部
22、22A、22B…第2補剛部
23…接続部
24、24B…外側キャビティ形成部材
24I…注入口
25、25B…内側キャビティ形成部材
100、100A、100B…構造体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8