(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174787
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】調湿装置
(51)【国際特許分類】
F24F 3/14 20060101AFI20221117BHJP
B01D 53/26 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
F24F3/14
B01D53/26 100
B01D53/26 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080746
(22)【出願日】2021-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】森本 直行
【テーマコード(参考)】
3L053
4D052
【Fターム(参考)】
3L053BC02
3L053BC03
3L053BC04
4D052AA08
4D052BA04
4D052CB01
4D052DA01
4D052DA07
4D052DB01
4D052FA01
4D052HA03
(57)【要約】
【課題】水分の気化効率の向上を図ることができる調湿装置を提供する。
【解決手段】調湿装置は、水分を保持可能な保水部と、前記保水部を通る気流を発生させるファンと、磁界を発生させる加熱コイルと、前記保水部に設けられ、前記加熱コイルが発生させた磁界によって発熱する発熱部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分を保持可能な保水部と、
前記保水部を通る気流を発生させるファンと、
磁界を発生させる加熱コイルと、
前記保水部に設けられ、前記加熱コイルが発生させた磁界によって発熱する発熱部と、を備える、
調湿装置。
【請求項2】
前記発熱部は、少なくとも一部が前記保水部の内部に設けられている、
請求項1に記載の調湿装置。
【請求項3】
前記発熱部は、少なくとも一部が前記保水部における気流が通る部位に設けられている、
請求項1又は2に記載の調湿装置。
【請求項4】
前記保水部は、気流が通る部位が回転によって変化するように構成され、
前記発熱部は、前記保水部の回転位置に関わらず、少なくとも一部が前記保水部における気流が通る部位に設けられている、
請求項3に記載の調湿装置。
【請求項5】
前記発熱部は、金属板で構成されており、面方向が気流の方向に沿うように設けられている、
請求項1~4のいずれか1項に記載の調湿装置。
【請求項6】
前記発熱部は、環状の金属で構成されており、前記保水部の回転軸を囲むように設けられている、
請求項4に記載の調湿装置。
【請求項7】
前記発熱部は、網状の金属で構成されており、網目を気流が通るように設けられている、
請求項1~4のいずれか1項に記載の調湿装置。
【請求項8】
前記発熱部は、粉状の金属で構成されている、
請求項1~4のいずれか1項に記載の調湿装置。
【請求項9】
除湿機であって、
前記保水部よりも気流の下流側に設けられ、熱交換によって空気を冷却する冷却器を更に備える、
請求項1~8のいずれか1項に記載の調湿装置。
【請求項10】
加湿機であって、
前記保水部に供給する水を溜める給水タンクを更に備える、
請求項1~8のいずれか1項に記載の調湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調湿装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハイブリッド方式の除湿機が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1のハイブリッド型除湿装置は、ヒートポンプと、デシカントローターと、送風機と、を備えている。
【0003】
ヒートポンプは、冷媒を圧縮する圧縮機と冷媒が供給空気に放熱する放熱器と冷媒を膨張させて減圧する減圧機構と冷媒が供給空気から吸熱する吸熱器(冷却器)とを配管接続している。
【0004】
デシカントローターは、駆動手段によって回転し吸湿領域では供給空気から吸湿するとともに再生領域では加熱されて水分を放出する。
【0005】
送風機は、室内空気を前記放熱器、次に前記再生領域、次に前記吸熱器、次に前記吸湿領域の順に供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
調湿装置において、水分の気化効率の向上が求められていた。
【0008】
本開示の主な目的は、水分の気化効率の向上を図ることができる調湿装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様に係る調湿装置は、水分を保持可能な保水部と、前記保水部を通る気流を発生させるファンと、磁界を発生させる加熱コイルと、前記保水部に設けられ、前記加熱コイルが発生させた磁界によって発熱する発熱部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る調湿装置のブロック図である。
【
図2】
図2は、同上の調湿装置における加熱コイル、除湿ロータ、及び冷却器の位置関係を示す概略図である。
【
図4】
図4は、第1変形例に係る除湿ロータの概略構成図である。
【
図5】
図5は、第2変形例に係る除湿ロータの概略構成図である。
【
図6】
図6は、第3変形例に係る除湿ロータの概略構成図である。
【
図7】
図7は、実施形態2に係る調湿装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、下記の実施形態は、単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。
【0012】
(実施形態1)
本実施形態の調湿装置1について、
図1~
図3Bを参照して説明する。
【0013】
本実施形態では、調湿装置1が除湿機である場合について説明する。本実施形態の調湿装置1は、デシカント方式とコンプレッサー方式とを併用したハイブリッド方式の除湿機である。調湿装置1は、筐体10、ファン2、加熱コイル3、除湿ロータ4、モータ5、コンプレッサー61、冷却器62、放熱器63、及び水タンク7を備えている。
【0014】
ファン2は、筐体10に内蔵されており、筐体10に形成された吸込み口から吸い込んだ空気を、筐体10に形成された吹出し口から吹き出す気流を生成する。筐体10内には、ファン2が生成した気流の流路が形成されている。気流の流路には、放熱器63、加熱コイル3、除湿ロータ4、冷却器62、が配置されている。
【0015】
図1、及び
図2において、ファン2が生成した気流を矢印で概念的に記載している。
図1に示すように、ファン2が生成した気流は、上流から放熱器63、加熱コイル3、除湿ロータ4の第1部分、冷却器62、除湿ロータ4の第2部分の順に流れた後、吹出し口から吹き出される。
図2に示すように、本実施形態では、除湿ロータ4は、ファン2が生成した気流が2度通過する。具体的には、除湿ロータ4は、加熱コイル3を通過した直後の気流が第1部分を通過し、冷却器62を通過した直後の気流が第2部分を通過する。詳細は後述するが、除湿ロータ4は、回転するように構成されており、回転によって第1部分と第2部分とが変化する。なお、筐体10内には、放熱器63から吹出し口に流れる流路もさらに形成されていてもよい。
【0016】
加熱コイル3は、磁界を発生させるように構成されている。具体的には、加熱コイル3は、駆動回路30から供給される高周波電流により磁界を発生させる。駆動回路30は、インバータ回路であって、加熱コイル3に例えば20k~30kHz程度の高周波電流を供給する。加熱コイル3は、駆動回路30から高周波電流が供給されると加熱コイル3の中心を通る磁力線を発生させる。また、加熱コイル3は、例えば平面コイルであって、加熱コイル3の中心をファン2が生成した気流が通過するように配置されている。
【0017】
図3A及び
図3Bに示すように、除湿ロータ4は、円盤状に形成されており、保水部41と発熱部42とを有している。
【0018】
保水部41は、水分を保持可能に構成されている。保水部41は、円環状に形成されている。本実施形態では、保水部41は、乾燥剤であって、空気中の水分を吸収するように構成されている。保水部41は、例えばゼオライト素子である。また、保水部41は、再生可能であって、加熱されることによって、吸収した水分が気化する、言い換えれば水分を放出するように構成されている。保水部41は、水分を放出することによって、再度、水分を吸収することができる。
【0019】
図2に示すように、除湿ロータ4は、厚さ方向に気流が通過するように配置されている。また、除湿ロータ4は、モータ5によって回転される。モータ5は、空気中の湿気を取り除く除湿モードにおいて、除湿ロータ4を一定速度で回転させる。
図3Aでは、除湿ロータ4の回転方向を矢印で記載している。除湿ロータ4の回転軸は、除湿ロータ4の中心を通り、かつ除湿ロータ4を通過する気流に沿っている。除湿ロータ4は、回転することによって、気流が通過する部分が変化する。
【0020】
また、
図2、
図3Aに示すように、除湿ロータ4は、一部分(第1部分)が加熱コイル3と対向し、他の一部分(第2部分)が冷却器62と対向するように配置されている。加熱コイル3を通過後の気流が除湿ロータ4の第1部分を通過し、冷却器62を通過後の気流が除湿ロータ4の第2部分を通過する。また、
図3Aに示すように、除湿ロータ4が回転することによって、第1部分及び第2部分が変化する。したがって、例えば、除湿ロータ4の回転位置が第1位置である場合に、冷却器62を通過した直後の気流が通過する部分は、除湿ロータ4の回転位置が第2位置である場合に、加熱コイル3を通過した直後の気流が通過する。
【0021】
ここで、加熱コイル3は、除湿ロータの一部分(第1部分)と対向しており、磁力線が除湿ロータの第1部分を通過する磁界を発生させる。言い換えれば、除湿ロータの第1部分は、加熱コイル3が発生させた磁力線が通る。
【0022】
発熱部42は、保水部41に設けられている。具体的には、発熱部42は、少なくとも一部が保水部41における気流が通る部位に設けられている。より具体的には、発熱部42は、保水部41の回転位置にかかわらず、少なくとも一部が保水部41における気流が通る部位に設けられている。
【0023】
本実施形態では、発熱部42は、金属板421で構成されている。金属板421の材料は、例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム、銅等の金属で構成されている。なお、発熱部42は、磁性体であることが好ましい。
図3Aに示すように、発熱部42は、複数(本実施形態では8枚)の金属板421で構成されている。複数の金属板421は、保水部41の周方向において、約45度ずつ離れて設けられている。各金属板421は、矩形板状に形成されており、長手方向が保水部41の径方向に沿うように、かつ、短手方向が保水部41の厚さ方向に沿うように設けられている。つまり、発熱部42は、面方向が気流の方向に沿うように設けられている。これにより、各金属板421が気流を妨げることが抑制される。
【0024】
また、発熱部42は、少なくとも一部が保水部41の内部に設けられている。具体的には、各金属板421は、保水部41の内周縁から外周縁にわたって設けられている。また、
図3Bに示すように、各金属板421は、短手方向の両端部が保水部41から露出するように設けられている。複数の金属板421により、保水部41は、周方向において仕切られている。言い換えれば、複数の金属板421は、保水部41の周方向において、保水部41を分割して挟み込んでいる。なお、各金属板421は、短手方向の寸法が保水部41の厚さ方向の寸法よりも短く、加熱コイル3側の端部のみが保水部41から露出するように設けられていてもよい。
【0025】
上記構成により、発熱部42は、保水部41の回転位置にかかわらず、複数の金属板421のうちいずれかの金属板421が気流の通る部位に位置し、かつ加熱コイル3と対向する。除湿ロータ4の回転位置が、発熱部42と加熱コイル3とが対向する位置にある場合、加熱コイル3が発生させた磁力線が発熱部42を通る。この場合、発熱部42は、加熱コイル3が発生させた磁界によって発熱する。具体的には、発熱部42は、加熱コイル3が発生させた磁界によって、誘導加熱(IH:Induction Heating)が生じる。加熱コイル3が発生させた磁力線が発熱部42を通過することによって、発熱部42にはうず電流が発生する。このうず電流と、発熱部42の電気抵抗とによって、発熱部42にジュール熱が発生する。
【0026】
冷却器62と放熱器63とコンプレッサー61とは、冷媒管で接続されており、冷凍サイクルを構成している。冷凍サイクルは、冷媒を状態変化させながら循環させることによって冷却を行う。コンプレッサー61は、冷媒の圧縮を行う。コンプレッサー61で圧縮された冷媒は、放熱器63に送られる。放熱器63は、熱交換によって空気を暖める。具体的には、放熱器63は、凝縮器であって、冷媒を凝縮することにより、凝縮熱が発生し周囲の空気を暖める。放熱器63で凝縮された冷媒は、膨張弁を介して冷却器62に送られる。冷却器62は、熱交換によって空気を冷却する。具体的には、冷却器62は、蒸発器であって、冷媒を蒸発させて、周囲の空気から蒸発熱を奪うことにより周囲の空気を冷却する。冷却器62で蒸発された冷媒は、コンプレッサー61に送られる。
【0027】
本実施形態では、放熱器63は、気流の流路における加熱コイル3の上流側に配置されている。また、冷却器62は、気流の流路における除湿ロータ4の第1部分の下流側、かつ除湿ロータ4の第2部分の上流側に配置されている。なお、放熱器63は、気流の流路における除湿ロータ4の第2部分の下流側に配置されていてもよい。
【0028】
水タンク7は、例えば樹脂製の容器であって、結露によって冷却器62に付着した水を溜める。
【0029】
次に、本実施形態の調湿装置1の動作例について説明する。ここでは、調湿装置1の動作モードが除湿モードである場合について説明する。
【0030】
動作モードが除湿モードである場合、駆動回路30が加熱コイル3に高周波電流を供給することにより、加熱コイル3が磁界を発生させる。また、モータ5は、除湿ロータ4を一定速度で回転させ、ファン2は、気流を発生させる。また、冷凍サイクルが稼働することによって、放熱器63が熱交換によって周囲の空気を暖め、冷却器62が熱交換によって周囲の空気を冷却する。
【0031】
上記動作により、筐体10の吸込み口から吸い込まれた空気は、放熱器63、加熱コイル3、除湿ロータ4の第1部分、冷却器62、除湿ロータ4の第2部分を介して、筐体10の吹出し口から吹き出される。
【0032】
具体的には、筐体10の吸込み口から吸い込まれた湿気を含む空気は、放熱器63を通過する際に暖められる。さらに、加熱コイル3が磁界を発生させることによって、発熱部42が誘導加熱によって発熱する。具体的には、発熱部42の複数の金属板421のうち、加熱コイル3と対向している金属板421が誘導加熱によって発熱する。言い換えれば、除湿ロータ4における、加熱コイル3と対向している第1部分に含まれる金属板421が誘導加熱によって発熱する。これにより、保水部41における発熱した金属板421の周囲の部分が加熱される。つまり、除湿ロータ4における第1部分に含まれる保水部41が加熱される。除湿ロータ4の第1部分において、保水部41が加熱されることによって水分が放出され、水分を再度吸収可能な状態になる。放出された水分は、放熱器63及び発熱部42によって暖められた空気とともに、冷却器62に供給される。つまり、冷却器62には、高温、かつ高湿の空気が供給される。
【0033】
そして、冷却器62に供給された空気は、冷却器62で冷却されることによって結露が発生し、湿気が取り除かれる。上述したように、冷却器62に供給される空気は、放熱器63及び発熱部42で暖められているので、冷却器62と空気との温度差が大きくなる。これにより、冷却器62に結露が発生しやすくなり、除湿効率が向上する。結露によって冷却器62に付着した水は、水タンク7に溜められる。
【0034】
冷却器62を通過した空気は、除湿ロータ4の第2部分である保水部41を通過する。空気が保水部41を通過する際に、空気中の水分が保水部41に吸収される。これにより、冷却器62で取り除ききれなかった湿気を、取り除くことができ、乾燥した空気が筐体10の吹出し口から吹出される。また、第2部分である保水部41が吸収した水分は、除湿ロータ4が回転することによって加熱コイル3と対向した際に加熱されて気化する。
【0035】
このように、本実施形態の調湿装置1は、保水部41と、ファン2と、加熱コイル3と、発熱部42と、を備えている。保水部41は、水分を保持可能に構成されている。ファン2は、保水部41を通る気流を発生させるように構成されている。加熱コイル3は、磁界を発生させるように構成されている。発熱部42は、保水部41に設けられ、加熱コイル3が発生させた磁界によって発熱するように構成されている。
【0036】
本実施形態の調湿装置1では、保水部41に設けられた発熱部42を誘導加熱により発熱させることができる。これにより、保水部41を空気等を介さず直接的に加熱することができるので、保水部41の加熱効率が向上し、保水部41に保持された水分を効率よく気化させることができる。また、ヒータを用いて空間を介して保水部41を加熱する構成では、ヒータの周囲が高温となるため、筐体10等に耐熱構造が必要であった。一方、本実施形態では、保水部41に設けられた発熱部42のみを誘導加熱により発熱させることができるので、ヒータを用いた構成に比べて、筐体10等の耐熱を低く設定することが可能となる。また、本実施形態の調湿装置1では、発熱部42が保水部41の内側まで入り込むように設けられているので、保水部41を内部から暖めることができるので、保水部41の加熱効率が向上し、保水部41に保持された水分を効率よく気化させることができる。
【0037】
また、本実施形態の調湿装置1は、除湿機であって、冷却器62を備えている。冷却器62は、保水部41よりも気流の下流側に設けられ、熱交換によって空気を冷却する。
【0038】
これにより、保水部41に保持された水分を効率よく気化させることによって、冷却器62により高湿の空気を供給することができるので、除湿効率の向上を図ることができる。
【0039】
また、本実施形態の調湿装置1は、発熱部42は、少なくとも一部が保水部41の内部に設けられている。
【0040】
これにより、保水部41を内部から加熱することができるので、保水部41の加熱効率が向上し、保水部41に保持された水分を効率よく気化させることができる。
【0041】
また、発熱部42は、少なくとも一部が保水部41における気流が通る部位に設けられている。
【0042】
これにより、発熱部42の発熱によって気化させた水分を、気流にのせて効率よく移動させることができ、保水部41に再吸収されることを抑制することができる。また、本実施形態では、保水部41の下流側に冷却器62が設けられているので、除湿効率の向上を図ることができる。
【0043】
また、保水部41は、気流が通る部位が回転によって変化するように構成されている。発熱部42は、保水部41の回転位置に関わらず、少なくとも一部が保水部41における気流が通る部位に設けられている。
【0044】
これにより、保水部41において、発熱部42の発熱によって水分を気化させる部分を変化させることができるので、気化させる水分量の増加を図ることができる。
【0045】
また、発熱部42は、金属板421で構成されており、面方向が気流の方向に沿うように設けられている。
【0046】
これにより、発熱部42が気流を阻害することが抑制される。
【0047】
なお、本実施形態では、発熱部42は、8つの金属板421で構成されているが、金属板421の数は8つに限らず、1つであってもよいし、8つ以外の複数であってもよい。
【0048】
また、保水部41が水分を保持可能な構成であるため、発熱部42は、防錆対策されていることが好ましい。例えば、発熱部42は、ステンレスなどの錆にくい金属で構成されていることが好ましい。また、発熱部42は、塗装、メッキ、コーティングなどの防錆処理が施された金属で構成されていてもよい。例えば、金属板421が樹脂にインサート成型されていてもよい。また、例えば、調湿装置1は、除湿モードの終了後に乾燥モードで動作するように構成されていてもよい。乾燥モードでは、ファン2、加熱コイル3、及び除湿ロータ4が駆動し、冷凍サイクルが停止する。これにより、ファン2が生成した気流、及び加熱コイル3が発生させた磁界による発熱部42の発熱によって、発熱部42を乾燥させることができ、発熱部42の錆を抑制することができる。
【0049】
(変形例)
次に、本実施形態の調湿装置1における発熱部42の変形例について説明する。なお、以下の説明では、上述した実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0050】
(第1変形例)
上述した実施形態では、発熱部42は、金属板421で構成されていたが、これに限らない。
図4に示すように、本変形例の発熱部42は、環状の金属で構成されており、保水部41の回転軸を囲むように設けられている。具体的には、発熱部42は、断面が円形の金属筒422で構成されている。本変形例では、発熱部42は、径が異なる複数(本変形例では2つ)の金属筒422で構成されている。複数の金属筒422は、保水部41の回転軸を中心とするように設けられている。内側の金属筒422の直径は、保水部41の内径よりも大きく、外側の金属筒422の直径は、保水部41の外径よりも小さい。また、複数の金属筒422の両端部が、保水部41から露出している。
【0051】
本変形例では、除湿ロータ4の回転位置に関わらず、全ての金属筒422におけるいずれかの部位が加熱コイル3と対向している。これにより、保水部41の加熱むらを抑制することができる。
【0052】
なお、発熱部42における金属筒422の数は、2つに限らず、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、金属筒422は、周方向において複数に分割されていてもよいし、周方向の一部が非連続、例えば断面がC字状に形成されていてもよい。
【0053】
(第2変形例)
図5に示すように、本変形例の発熱部42は、網状の金属で構成されており、網目を気流が通るように設けられている。具体的には、発熱部42は、複数の網目を有する金網423で構成されている。本変形例では、金網423は、円環状に形成されており、平面視が保水部41と略同じである。金網423は、保水部41における加熱コイル3側の表面に設けられている。したがって、金網423の網目を気流が通るので、発熱部42が気流を阻害することが抑制される。
【0054】
本変形例では、除湿ロータ4の回転位置に関わらず、金網423におけるいずれかの部位が加熱コイル3と対向している。
【0055】
これにより、保水部41の加熱むらを抑制することができる。
【0056】
なお、本変形例では、金網423は、保水部41における加熱コイル3側の表面に設けられているが、これに限らない。金網423は、保水部41における加熱コイル3と反対側の表面に設けられていてもよいし、保水部41の内部に設けられていてもよい。また、保水部41は、複数の金網423で構成され、複数箇所に設けられていてもよい。
【0057】
(第3変形例)
図6に示すように、本変形例の発熱部42は、粉状の金属で構成されている。発熱部42は、金属製の粉粒体424であって、例えば粒の大きさが数mm程度である。粉粒体424は、保水部41と一体に成形されており、保水部41に分布されている。本変形例では、発熱部42が金属製の粉粒体424で構成されているため、発熱部42が気流を阻害することが抑制される。
【0058】
また、粉粒体424が保水部41に分布されているので、除湿ロータ4の回転位置に関わらず、加熱コイル3が発生させる磁界内に粉粒体424が位置するので、保水部41の加熱むらを抑制することができる。
【0059】
(その他の変形例)
上述した例では、加熱コイル3は、除湿ロータ4の上流側において除湿ロータ4と対向するように配置されているが、加熱コイル3の配置位置は、他の位置であってもよい。例えば、加熱コイル3は、除湿ロータ4の下流側、かつ冷却器の上流側において、除湿ロータ4と対向するように配置されていてもよい。また、加熱コイル3は、気流の流路の外側に配置されていてもよい。例えば、加熱コイル3は、除湿ロータ4の外側において、除湿ロータ4の側面と対向するように配置されていてもよい。
【0060】
(実施形態2)
本実施形態の調湿装置1Aについて、
図7を参照して説明する。なお、以下の説明では、上述した実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0061】
本実施形態では、調湿装置1Aが加湿機である場合について説明する。本実施形態の調湿装置1Aは、気化方式の加湿機である。調湿装置1Aは、筐体10、ファン2、加熱コイル3、駆動回路30、加湿フィルタ4A、及び給水タンク7Aを備えている。
【0062】
ファン2は、筐体10に内蔵されており、筐体10に形成された吸込み口から吸い込んだ空気を、筐体10に形成された吹出し口から吹き出す気流を生成する。筐体10内には、ファン2が生成した気流の流路が形成されている。気流の流路には、加熱コイル3、及び加湿フィルタ4Aが配置されている。
【0063】
図7において、ファン2が生成した気流を矢印で概念的に記載している。
図7に示すように、ファン2が生成した気流は、上流から加熱コイル3、加湿フィルタ4Aの順に流れた後、吹出し口から吹き出される。
【0064】
加湿フィルタ4Aは、保水部41Aと、発熱部42Aと、を備えている。
【0065】
保水部41Aは、水分を保持可能に構成されている。本実施形態の保水部41Aは、例えば発砲樹脂材、不織布などで構成されており、通気性を有している。保水部41Aは、給水タンク7Aから供給された水が溜められる水受け部に一部が入り込むように配置されている。保水部41Aは、水受け部に溜められた水を吸収することによって、水分を保持する。
【0066】
発熱部42Aは、保水部41Aに設けられている。例えば、発熱部42は、複数の金属板で構成されている。金属板の材料は、例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム、銅等の金属で構成されている。なお、発熱部42は、磁性体であることが好ましい。各金属板は、面方向が気流の方向に沿うように設けられている。これにより、各金属板が気流を妨げることが抑制される。なお、保水部41Aが水分を保持可能な構成であるため、発熱部42Aは、防錆対策されていることが好ましい。
【0067】
加熱コイル3は、加湿フィルタ4Aと対向するように配置されている。加熱コイル3は、駆動回路30から供給される高周波電流により、磁力線が発熱部42Aを通過する磁界を発生させる。発熱部42Aは、誘導加熱により発熱する。なお、加熱コイル3は、気流の流路の外側に配置されていてもよい。
【0068】
次に、本実施形態の調湿装置1Aの動作性について説明する。ここでは、調湿装置1の動作モードが加湿モードである場合について説明する。
【0069】
動作モードが加湿モードである場合、駆動回路30が加熱コイル3に高周波電流を供給することにより、加熱コイル3が磁界を発生させる。また、ファン2は、気流を発生させる。
【0070】
上記動作により、筐体10の吸込み口から吸い込まれた空気は、加熱コイル3、加湿フィルタ4Aを介して、筐体10の吹出し口から吹き出される。
【0071】
具体的には、加湿フィルタ4Aは、給水タンク7Aから供給された水を保持している保水部41Aを備えている。したがって、加湿フィルタ4Aを気流が通過する際に、保水部41Aが保持している水分が気化する。これにより、加湿された空気が筐体10の吹出し口から吹出される。さらに、本実施形態では、加湿フィルタ4Aは、加熱コイル3が発生させた磁界によって誘導加熱される発熱部42Aを備えている。保水部41Aに設けられた発熱部42Aが発熱することにより、保水部41Aに保持された水分を効率よく気化させることができ、加湿効率の向上を図ることができる。また、本実施形態では、保水部41Aを空気等を介さず直接的に加熱することができるので、保水部41Aの加熱効率が向上し、保水部41Aに保持された水分を効率よく気化させることができる。
【符号の説明】
【0072】
1,1A 調湿装置
2 ファン
3 加熱コイル
30 駆動回路
4 除湿ロータ
4A 加湿フィルタ
41,41A 保水部
42,42A 発熱部
421 金属板
422 金属筒
423 金網
424 粉粒体
5 モータ
61 コンプレッサー
62 冷却器
63 放熱器
7 水タンク
7A 給水タンク
10 筐体