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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174789
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】ドラム式洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 37/22 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
D06F37/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080750
(22)【出願日】2021-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】河田 宏史
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 真理
(72)【発明者】
【氏名】井村 真
(72)【発明者】
【氏名】金内 優
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
(72)【発明者】
【氏名】山口 龍之介
【テーマコード(参考)】
3B165
【Fターム(参考)】
3B165AA05
3B165AE01
3B165BA23
3B165BA24
3B165CA02
3B165CA03
3B165CA04
3B165CA08
3B165CA11
3B165CB01
3B165CB02
3B165CB31
3B165CB55
3B165CB59
3B165CC02
3B165CD03
3B165CD05
3B165CD15
3B165DW01
3B165DW03
3B165DW05
3B165FA01
3B165GA02
3B165GA13
3B165GH01
3B165GH02
3B165GH04
(57)【要約】
【課題】
脱水回転時のドラムに対して鉛直な軸に対するドラムの回転方向への振動、外槽の振動、そして床に伝わる振動をバランスよく抑え、かつ外槽の左右方向に対するバランスが取れる構造を有するドラム式洗濯機を提供する。
【解決手段】
本発明は、外槽17の重心位置よりも前側であって外槽17の下部の左右にそれぞれ接続された前側第1防振部材24及び前側第2防振部材25と、外槽17の重心位置よりも後側であって外槽17の下部の左右にそれぞれ接続された後側第1防振部材26及び後側第2防振部材27を備える。前側第1防振部材24は前側第2防振部材25よりも水平方向からの設置角度が大きくなるように設置し、後側第2防振部材27は後側第1防振部材26よりも水平方向からの設置角度が大きくなるように設置する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、前記筐体内に備えられ洗濯物を収容するドラムが回転可能に内挿された外槽と、前記外槽の重心位置よりも前側であって前記外槽の下部の左右にそれぞれ接続された前側第1防振部材及び前側第2防振部材と、前記外槽の重心位置よりも後側であって前記外槽の下部の左右にそれぞれ接続された後側第1防振部材及び後側第2防振部材を備え、
前記前側第1防振部材は前記前側第2防振部材よりも水平方向からの設置角度が大きくなるように設置し、
前記後側第2防振部材は前記後側第1防振部材よりも水平方向からの設置角度が大きくなるように設置したことを特徴とするドラム式洗濯機。
【請求項2】
請求項1において、
前記前側第1防振部材と前記後側第2防振部材の水平方向からの設置角度を同一としたことを特徴とするドラム式洗濯機。
【請求項3】
請求項1において、
前記前側第2防振部材と前記後側第1防振部材の水平方向からの設置角度を同一としたことを特徴とするドラム式洗濯機。
【請求項4】
請求項1において、
前記前側第1防振部材と前記後側第2防振部材の水平方向からの設置角度を同一とし、
前記前側第2防振部材と前記後側第1防振部材の水平方向からの設置角度を同一としたことを特徴とするドラム式洗濯機。
【請求項5】
請求項1において、
前記前側第1防振部材と前記後側第1防振部材の水平方向からの設置角度を同一としたことを特徴とするドラム式洗濯機。
【請求項6】
請求項1において、
前記前側第2防振部材と前記後側第2防振部材の水平方向からの設置角度を同一としたことを特徴とするドラム式洗濯機。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項において、
前記前側第1防振部材と前記前側第2防振部材は前後方向において同位置に設置し、
前記後側第1防振部材と前記後側第2防振部材は前後方向において同位置に設置したことを特徴とするドラム式洗濯機。
【請求項8】
請求項1乃至6の何れか1項において、
前記前側第1防振部材と前記前側第2防振部材の何れか一方、若しくは両方を後側に傾けて設置したことを特徴とするドラム式洗濯機。
【請求項9】
請求項8において、
前記後側第1防振部材と前記後側第2防振部材何れか一方、若しくは両方を前側に傾けて設置したことを特徴とするドラム式洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラム式洗濯機に関し、特に洗濯機内部の防振により、脱水回転時の振動を低減するドラム式洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
ドラム式洗濯機は、筐体と外槽をベローズで接続し、筐体内に設置された外槽の内部に、水平軸または傾斜軸を中心に円筒形状のドラムを回転可能に配置し、ドラム内に洗濯物を収容し、外槽内に水を貯留した状態でドラムを回転させることにより洗濯物の洗濯を行う。
【0003】
一般的なドラム式洗濯機として、例えば特許文献1に開示された構造がある。特許文献1のドラム式洗濯機では、ドラムが回転する際の振動が筐体に伝播するのを軽減するため、ドラムを内挿した外槽が3本のダンパおよびばねによって支持されている。特許文献1に開示された構造では、筐体上部からばねで外槽を懸架しており、防振部材として3本のダンパを配置している。3本のダンパは、左右の片側に2本設置し、反対側に1本設置している。このダンパ設置構造では、2本設置した側で正面から見たダンパの取付角度を変えてダンパの減衰力を各方向に効果的に働かせることによって、脱水回転時における外槽の左右・上下振動を抑えるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-43801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、ドラムの大容量化や筐体のコンパクト化により筐体と外槽間の隙間が狭くなった際に、ドラムに対して鉛直な軸に対するドラムの回転方向における振動の影響が大きくなり、ドラムが筐体に衝突する可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、上記課題を解決し、ドラム回転時のドラムに対して鉛直な軸に対するドラムの回転方向への振動、外槽の振動を抑止すると共に、外槽の左右方向に対するバランスが取ることができるドラム式洗濯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、筐体と、前記筐体内に備えられ洗濯物を収容するドラムが回転可能に内挿された外槽と、前記外槽の重心位置よりも前側であって前記外槽の下部の左右にそれぞれ接続された前側第1防振部材及び前側第2防振部材と、前記外槽の重心位置よりも後側であって前記外槽の下部の左右にそれぞれ接続された後側第1防振部材及び後側第2防振部材を備え、前記前側第1防振部材は前記前側第2防振部材よりも水平方向からの設置角度が大きくなるように設置し、前記後側第2防振部材は前記後側第1防振部材よりも水平方向からの設置角度が大きくなるように設置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ドラム回転時のドラムに対して鉛直な軸に対するドラムの回転方向への振動、外槽の振動を抑止すると共に、外槽の左右方向に対するバランスが取れるドラム式洗濯機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例1に係るドラム式洗濯機100の外観斜視図である。
図2】本発明の実施例1に係るドラム式洗濯機100の内部構造を示す側方から見た断面図である。
図3】本発明の実施例1に係る防振部材28と外槽17に関係を模式的に示した斜視図である。
図4】本発明の実施例1に係る防振部材28と外槽17に関係を模式的に示した正面図である。
図5】本発明の実施例2に係る防振部材28と外槽17に関係を模式的に示した正面図である。
図6】本発明の実施例3に係る防振部材28と外槽17に関係を模式的に示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について添付の図面を参照しつつ説明する。同様の構成要素には同様の符号を付し、同様の説明は繰り返さない。
【0011】
本発明の各種の構成要素は必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、一の構成要素が複数の部材から成ること、複数の構成要素が一の部材から成ること、或る構成要素が別の構成要素の一部であること、或る構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複すること、などを許容する。
【実施例0012】
図1は、本発明の実施例1に係るドラム式洗濯機100の外観斜視図である。図2は、本発明の実施例1に係るドラム式洗濯機100の内部構造を示す側方から見た断面図である。図1及び図2を用いて、ドラム式洗濯機100の構成と動作を説明する。
【0013】
まず、説明に供する各方向を定義する。各方向は、ドラム式洗濯機100を正面から見た時の水平方向が左右方向、高さ方向が上下方向、奥行き方向が前後方向、左右方向の軸を中心に回転するピッチ方向、上下方向の軸を中心に回転するヨー方向、前後方向の軸を中心に回転するロール方向である。
【0014】
図1において、ドラム式洗濯機100の外側を構成する筐体1は、筐体1の下方に配置された筐体ベース1aと、筐体ベース1aの上方に配置され側面を覆う側板1bと、筐体ベース1aの上方に配置され前面を覆う前面カバー1cと、側板1b,前面カバー1cの上部に配置された上面カバー1dとで構成されている。
【0015】
上面カバー1dには水道栓からドラム式洗濯機100に給水するための給水ホース接続口30が備えられている。ドア2は、前面カバー1cの中央に設けたヒンジで開閉可能に支持されている。ドア2は、ドア開放取っ手2aを引くことで、ロック機構が外れて前側に向かって開き、ドア2を前面カバー1cに押し付けることでロックされて閉じる。
【0016】
前面カバー1cは、外槽17(図2)の開口部と同中心に、衣類を出し入れするための円形の開口部を有している。
【0017】
筐体1の上部に設けた操作パネル3は、電源スイッチ4、操作スイッチ5を備える。操作パネル3は筐体1の内部に備えられている制御部7(図2)に電気的に接続している。筐体ベース1aには、排水を行うための排水ホース34が取付られている。
【0018】
図2において、ドラム式洗濯機100の筐体1の内部には、水を溜める外槽17が備えられている。外槽17は、洗濯物を収容するためのドラム21を内挿する。外槽17は、ばね20を介して筐体1から吊るされており、外槽17の前後方向のバランスを取り、前後に傾かないようにしている。外槽17の下部は、筐体1に固定された防振部材28で支持されている。
【0019】
防振部材28は、前側第1防振部材24、前側第2防振部材25、後側第1防振部材26、後側第2防振部材27の4本で構成される。防振部材28の設置詳細は後に述べる。
【0020】
外槽17の後方には、モータ22と軸受けが備えられている。制御部7は、モータ22の回転数を制御する。また、制御部7はドラム式洗濯機100に備えられた振動センサ29のセンサ値の取得を行う。脱水工程時に、ドラムに投入した衣類のアンバランスによって、振動センサ29が検知した外槽17の振動振幅が予め設定された閾値を超えると、脱水工程を一時停止して、ドラム21を正転、逆転させ、衣類のアンバランスを修正した上で脱水工程のやり直しを行う。
【0021】
モータ22が駆動すると、ドラム21は正転(実施例1では便宜的にドラム式洗濯機100を正面から見て時計回り)、逆転(実施例1では便宜的にドラム式洗濯機100を正面から見て反時計回り)の両方向に回転駆動される。
【0022】
ドラム21の内周面には、ドラム内の洗濯水を外槽17に排水するための複数個の脱水孔21bと、ドラム21の周方向に間隔をおいて配置され、ドラム内に投入された衣類を持ち上げるための複数個のバッフル23が備えられている。バッフル23はドラム21の前後方向に設置している。
【0023】
外槽17の開口部と筐体1の投入口は、前後方向に伸縮しやすいベローズ19により接続される。ベローズ19は、環状の弾性部材で成形され、ドア2を閉めることでドラム21を水封する。また、筐体1の投入口、外槽17の開口部、ドラム21の開口部は連通しており、ドア2を開くことでドラム21内への衣類の出し入れが可能となる。
【0024】
給水ホース接続口30の下部には、給水弁31を備えており、給水弁31には、外槽17に給水するための給水ホース32の一端が接続されている。給水弁31が開くと、給水ホース接続口30から給水ホース32に水が流れ、洗剤容器33を介して外槽17に給水される。洗剤容器33には、予め洗剤が入れられており、給水ホース32から供給された水と共に、外槽17に投入される。
【0025】
外槽17の下部に備えられた排水ホース34の排水経路には、排水弁34aが備えられている。排水弁34aを閉じると、外槽17に給水した水が外槽17内に溜まり、排水弁34aを開くと、外槽17の洗濯水が排水ホース34からドラム式洗濯機100の機外に排水される。
【0026】
次に上記構成において、ドラム式洗濯機100の動作を説明する。このように構成されたドラム式洗濯機100では、まず利用者が電源スイッチ4を押すことで、ドラム式洗濯機100が起動する。そして、利用者はドア開放取っ手2aを引き、ドア2を開いてドラム21内に衣類を投入する。そして、利用者はドア2を閉じた後、操作スイッチ5の操作することで洗い工程の運転が開始される。
【0027】
洗い工程では、給水弁31を開いて、給水ホース接続口30から供給した水を給水ホース32及び洗剤容器33を介して、洗剤とともに外槽17に供給する。この時、モータ22の回転数と電流値に基づいて算出される衣類容量が多いほど、洗い工程での給水量が多くなる。この後、ドラム21を正転、停止、逆転、停止を繰り返す洗い動作を所定時間行う。この時、衣類がバッフル23によって持ち上げられて落下する動作が繰り返されることで衣類の洗浄力が高められる。
【0028】
洗い工程を行った後、脱水工程を行う。脱水工程では、初めに衣類が張り付かない低速回転数でドラム21を回転させる。低速回転数では、洗い工程で水を含んだ衣類がドラム21の回転時にバッフル23によって持ち上げられ、衣類が落下する際にドラム21の内周面に広げられる。衣類が広がり始めたら、ドラム21の回転数を徐々に上昇させて、遠心力によりドラム21に衣類を張り付ける。ドラム21に衣類が張り付くと、ドラム21の回転数を上昇させて、外槽17の振動が増加する外槽17の共振区間を通過させながら、目標回転数まで到達させて、衣類に含まれる水を遠心脱水する。
【0029】
脱水工程を行った後、すすぎ工程を行う。このすすぎ工程では、給水弁31を開いて、給水ホース接続口30から供給した水を給水ホース32及び洗剤容器33を介して、外槽17に供給する。また、洗い工程と同様に、算出した衣類容量が多いほど、給水量が多くなる。また、このすすぎ工程では洗い工程と同様に、ドラム21の正転、停止、逆転、停止の動作を繰り返す。この時、バッフル23によって持ち上げられた衣類が落下する攪拌動作を所定時間行う。
【0030】
その後、前記した脱水工程及びすすぎ工程を所定回数繰り返し、最終脱水工程に移行する。
【0031】
次に、防振部材28の設置方法について説明する。図3は、本発明の実施例1に係る防振部材28と外槽17に関係を模式的に示した斜視図である。図4は、本発明の実施例1に係る防振部材28と外槽17に関係を模式的に示した正面図である。
【0032】
実施例1の防振部材28は4本設置され、その際正面から見て左側に配置された防振部材を前後それぞれ、前側第1防振部材24、後側第1防振部材26とする。また、反対側(右側)の防振部材を前後それぞれ、前側第2防振部材25、後側第2防振部材27とする。なお、この第1、第2は左右反対でもよい。
【0033】
前側第1防振部材24と筐体(図示なし)の接続部において、水平方向から前側第1防振部材24までの設置角度をAとし、前側第2防振部材25と筐体(図示なし)の接続部において、水平方向から前側第2防振部材25までの設置角度をBとする。
【0034】
また、後側第1防振部材26と筐体(図示なし)の接続部において、水平方向から後側第1防振部材26までの設置角度をCとし、後側第2防振部材27と筐体(図示なし)の接続部において、水平方向から後側第2防振部材27までの設置角度をDとする。
【0035】
設置角度A、B、C、Dにおいて、角度が0°に近づく方向が、防振部材28が倒れる方向とする。反対に、設置角度A、B、C、Dにおいて角度が90°に近づく方向が、防振部材28が立つ方向とする。
【0036】
防振部材28のうち、前側第1防振部材24、前側第2防振部材25は外槽17の重心G(図2)よりも前側に設置し、後側第1防振部材26、後側第2防振部材27は外槽17の重心Gよりも後側に設置する。このように防振部材28を配置することにより、外槽17のヨー方向への振動を抑制し、さらに前後方向のバランスを取ることができる。
【0037】
次に、ドラム21が正転に脱水回転している場合の防振部材28の配置について説明する。
【0038】
ドラム21が正転に脱水回転している場合、前側第1防振部材24、前側第2防振部材25は、正面から見て前側第1防振部材24の水平方向からの設置角度Aが、前側第2防振部材25の設置角度Bよりも大きくなるように設置する(A>B)。すなわち、前側第2防振部材25を前側第1防振部材24よりも倒して設置する。前側第2防振部材25は、ドラム21の正転に対して圧縮力が作用する位置に設置することになる。
【0039】
ドラム21の前方に偏荷重が発生した場合は、重心Gから偏荷重までの距離が小さくなり、外槽17の前部での左右方向に振動しやすい。そのため、前側第2防振部材25によって左右方向への減衰力が効き、外槽17の前側における左右方向の防振効果を得ることができる。
【0040】
一方、後側第1防振部材26、後側第2防振部材27は、前側第1防振部材24、前側第2防振部材25とは反対に、ドラム21が正転に脱水回転している場合、正面から見て後側第2防振部材27の水平方向からの設置角度Dが、後側第1防振部材26の設置角度Cよりも大きくなるようにする(D>C)。すなわち、後側第2防振部材27は後側第1防振部材26よりも立てて設置する。後側第2防振部材27は、ドラム21の正転に対して圧縮力が作用する位置に設置することになる。ドラム21の後方に偏荷重が発生した場合は、重心Gから偏荷重までの距離が小さくなり、外槽17の後部が上下方向に振動しやすい。そのため、後側第2防振部材27によって上下方向への減衰力が効き、外槽17後側における上下方向の防振効果が得られる。
【0041】
また、実施例1では、前側第1防振部材24と後側第2防振部材27の水平方向からの設置角度を同一としている(A=D)。さらに、実施例1では、前側第2防振部材25と後側第1防振部材26の水平方向からの設置角度を同一としている(B=C)。
【0042】
前側第1防振部材24と後側第1防振部材26は、前後方向に並んで配置され(実施例1では左側)、前側第2防振部材25と後側第2防振部材27は前後方向に並んで配置されている(実施例1では右左側)。すなわち、前側第1防振部材24、前側第2防振部材25と、後側第1防振部材26、後側第2防振部材27は、正面から見て同じ側を傾けずに、対角に倒すあるいは立てることによって、外槽17左右方向のバランスを取るようにしている。
【0043】
また、実施例1では、前側第1防振部材24と前側第2防振部材25は、前後方向において同じ位置に設置している。同様に、後側第1防振部材26と後側第2防振部材27は、前後方向において同じ位置に設置している。すなわち、前側第1防振部材24と前側第2防振部材25、後側第1防振部材26と後側第2防振部材27は、それぞれ左右方向において対向するように配置される。このようにすることにより、筐体1のうち、筐体ベース1aの部品を左右同じにすることができ、部品点数を減らすことができる。
【0044】
実施例1によれば、上記のように防振部材28を配置することにより、外槽17が左右方向に傾いたり、倒れてしまうことを抑制することができる。
【0045】
また、実施例1によれば、振動を抑制することによって、ベローズ19への負荷を抑えることができ、ベローズ19から筐体1へ伝わる振動を抑えることができる。正面から見て防振部材28の水平方向からの設置角度としては、A>BかつC<Dを満たすようにする。
【0046】
なお、ドラム21が逆転で脱水回転している場合には、前側第1防振部材24と後側第1防振部材26を正面から見て右側に配置し、前側第2防振部材25と後側第2防振部材27を正面から見て左側に配置し、A>BかつC<Dを満たすようにする。
【実施例0047】
次に、図5を用いて、本発明の実施例2について説明する。図5は、本発明の実施例2に係る防振部材28と外槽17に関係を模式的に示した正面図である。実施例2において、実施例1と異なるところは、前側第1防振部材24と後側第1防振部材26の設置角度を同一にしたことにある。
【0048】
防振部材28の正面から見た設置角度の大小関係は前側、後側それぞれで独立したものである。
【0049】
図5において、前側第1防振部材24、前側第2防振部材25は、正面から見て前側第1防振部材24の水平方向からの設置角度Aが、前側第2防振部材25の設置角度Bよりも大きくなるように設置する(A>B)。すなわち、前側第2防振部材25を前側第1防振部材24よりも倒して設置する。
【0050】
一方、後側第1防振部材26、後側第2防振部材27は、正面から見て後側第2防振部材27の水平方向からの設置角度Dが、後側第1防振部材26の設置角度Cよりも大きくなるように設置する(D>C)。すなわち、後側第2防振部材27は後側第1防振部材26よりも立てて設置する。
【0051】
さらに、実施例2では、前側第1防振部材24と後側第1防振部材26の水平方向からの設置角度を同一としている(A=C)。すなわち、これら防振部材の設置角度をD>A=C>Bとしている。
【0052】
実施例2によれば、実施例1に効果に加え、上記のように構成することにより、外槽17下部に、前後方向に長い機器を設置しやすくすることができる。
【0053】
なお、防振部材の設置角度はA<B=D<Cとなるように設定するようにしても良い。
【実施例0054】
図6は、本発明の実施例3に係る防振部材28と外槽17に関係を模式的に示した側面図である。
【0055】
図6に示す構成では、正面から見て防振部材28の設置角度がA>BかつC<Dを満たしつつ、さらに外槽17の前後方向振動を抑制する目的として、前側第1防振部材24及び前側第2防振部材25を後側に傾け、後側第1防振部材26及び後側第2防振部材27を前側に傾けて設置している。
【0056】
実施例3によれば、防振部材28を右側面から見て前後方向に傾けて設置するようにしているので、防振部材28の減衰力を前後方向にも効かせることができ、脱水回転時の外槽前後振動を抑制することができる。
【0057】
さらに実施例3によれば、脱水回転時の外槽前後振動を抑制することができるので、外槽17の開口部と筐体1の投入口間に設置されているベローズ19への負荷を低減することができる。
【0058】
なお、図6の構成では、前側第1防振部材24及び前側第2防振部材25の両方を後側に傾けているが、何れか一方を後側に傾けるようにしても良い。同様に、後側第1防振部材26及び後側第2防振部材27は何れか一方を前側に傾けるようにしても良い。さらには、4本の防振部材28のうち、少なくとも1本の防振部材28を前後方向に傾けるようにしても良い。
【0059】
上記した実施例は、本発明を説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。さらに、各実施例の構成の一部について、そのほかの構成の追加・削除・置換することが可能である。
【符号の説明】
【0060】
1…筐体、2…ドア、3…操作パネル、4…電源スイッチ、5…操作スイッチ、7…制御部、17…外槽、19…ベローズ、20…ばね、21…ドラム、22…モータ、23…バッフル、24…前側第1防振部材、25…前側第2防振部材、26…後側第1防振部材、27…後側第2防振部材、28…防振部材、29…振動センサ、30…給水ホース接続口、31…給水弁、32…給水ホース、33…洗剤容器、34…排水ホース、100…ドラム式洗濯機
図1
図2
図3
図4
図5
図6