(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022017481
(43)【公開日】2022-01-25
(54)【発明の名称】4’-リン酸アナログ及びそれを含むオリゴヌクレオチド
(51)【国際特許分類】
C07H 21/02 20060101AFI20220118BHJP
C07H 21/04 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
C07H21/02 CSP
C07H21/04 A
C07H21/04 B
【審査請求】有
【請求項の数】45
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021180199
(22)【出願日】2021-11-04
(62)【分割の表示】P 2019511707の分割
【原出願日】2017-09-01
(31)【優先権主張番号】62/393,401
(32)【優先日】2016-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/383,207
(32)【優先日】2016-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】518329930
【氏名又は名称】ディセルナ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン ウェイミン
(72)【発明者】
【氏名】リー チンイ
(72)【発明者】
【氏名】ネイゼフ ネイム
【テーマコード(参考)】
4C057
【Fターム(参考)】
4C057BB02
4C057DD03
4C057MM02
4C057MM04
4C057MM09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】4’-リン酸アナログを有する核酸阻害剤分子などのオリゴヌクレオチド、及び細胞内の標的遺伝子の発現を調節する方法を提供する。
【解決手段】リン酸アナログは、オリゴヌクレオチドの5’末端ヌクレオチドの糖部分(例えば、リボースもしくはデオキシリボースまたはそれらのアナログ)の4’-炭素に結合している(式IまたはII)。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリゴヌクレオチドであって、5’末端ヌクレオチドを含み、前記5’末端ヌクレオチドが、式IまたはII:
【化1】
(式中、R
a及びR
bはそれぞれ独立して、水素、CH
3、CH
2CH
3、CH
2CH
2CN、CH
2OCOC(CH
3)
3、CH
2OCH
2CH
2Si(CH
3)
3、または保護基から選択され、
Bは、天然核酸塩基、修飾核酸塩基、ユニバーサル塩基であるか、または存在せず、
M
1は、O、S、NR’、CR’R”であり、
R
4、R
5、R
6、もしくはR
7はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、OH、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキルから選択されるか、またはR
4、R
5、R
6、及びR
7のうちの2つは、一緒になって5~8員環を形成し、前記環は任意に、ヘテロ原子を含有し、
X
1は、存在しないか、またはO、S、NR’、もしくはCR’R”から選択され、
Yは、前記5’末端ヌクレオチドをオリゴヌクレオチドに結合させるヌクレオチド間結合基であり、
R
8は、グルタチオン感受性部分であるか、または存在しない、
R
8がグルタチオン感受性部分である場合、X
2は、O、S、Se、もしくはNR’であるか、またはR
8が存在しない場合、X
2は、H、OH、SH、NH
2、ハロゲン、任意に置換されたアルコキシ、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたアルキルチオ、任意に置換されたアルキルアミノもしくはジアルキルアミノであり、前記アルキル、アルケニル、及びアルキニルの1つ以上のメチレンは、O、S、S(O)、SO
2、N(R’)、C(O)、N(R’)C(O)O、OC(O)N(R’)、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換された複素環もしくは任意に置換されたシクロアルキル、O、S、Se、またはNHR’のうちの1つ以上で干渉されてもよく、
R’及びR”はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換の脂肪族、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換の複素環、または置換もしくは非置換のシクロアルキルである)で表される、前記オリゴヌクレオチド。
【請求項2】
前記5’末端ヌクレオチドが、式Iで表される、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項3】
前記オリゴヌクレオチドが式Iで表され、X2がOH、F、OCH2CH2OCH3、もしくはOCH3であり、且つR8が存在しないか、またはX2がOであり、且つR8がグルタチオン感受性部分である、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項4】
オリゴヌクレオチドであって、5’末端ヌクレオチドを含み、前記5’末端ヌクレオチドが、式III:
【化2】
(式中、R
a及びR
bはそれぞれ独立して、水素、CH
3、CH
2CH
3、CH
2CH
2CN、CH
2OCOC(CH
3)
3、CH
2OCH
2CH
2Si(CH
3)
3、または保護基から選択され、
Bは、天然核酸塩基、修飾核酸塩基、ユニバーサル塩基であるか、または存在せず、
Yは、前記5’末端ヌクレオチドをオリゴヌクレオチドに結合させるヌクレオチド間結合基であり、
X
2はOH、F、OCH
3、またはOCH
2CH
2OCH
3であり、且つR
8は存在しないか、またはX
2はOであり、且つR
8はグルタチオン感受性部分である)で表される、前記オリゴヌクレオチド。
【請求項5】
X2がOH、F、またはOCH3であり、R8が存在しない、請求項4に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項6】
Ra及びRbが水素であるか、RaがCH3もしくはCH2CH3であり且つRbが水素であるか、またはRa及びRbがそれぞれCH3もしくはCH2CH3である、先行請求項のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項7】
オリゴヌクレオチドであって、5’末端ヌクレオチドを含み、前記5’末端ヌクレオチドが、式IV:
【化3】
(式中、Bは、天然核酸塩基、修飾核酸塩基、ユニバーサル塩基であるか、または存在せず、
Yは、前記5’末端ヌクレオチドをオリゴヌクレオチドに結合させるヌクレオチド間結合基であり、
X
2は、OH、F、OCH
3、またはOCH
2CH
2OCH
3である)で表される、前記オリゴヌクレオチド。
【請求項8】
オリゴヌクレオチドであって、5’末端ヌクレオチドを含み、前記5’末端ヌクレオチドが、式V:
【化4】
(式中、Bは、天然核酸塩基、修飾核酸塩基、ユニバーサル塩基であるか、または存在せず、
Yは、前記5’末端ヌクレオチドをオリゴヌクレオチドに結合させるヌクレオチド間結合基であり、
X
2は、OH、F、OCH
3、またはOCH
2CH
2OCH
3である)で表される、前記オリゴヌクレオチド。
【請求項9】
オリゴヌクレオチドであって、5’末端ヌクレオチドを含み、前記5’末端ヌクレオチドが、式VI:
【化5】
(式中、R
a及びR
bはそれぞれ独立して、水素、CH
3、CH
2CH
3、CH
2CH
2CN、CH
2OCOC(CH
3)
3、CH
2OCH
2CH
2Si(CH
3)
3、または保護基から選択され、
Vは、Oであり、
Zは、糖部分を含むヌクレオシドであり、
Yは、前記5’末端ヌクレオチドをオリゴヌクレオチドに結合させるヌクレオチド間結合基であり、
Vは、前記糖部分の4’-炭素に結合している)で表される、前記オリゴヌクレオチド。
【請求項10】
前記糖部分が、フラノースである、請求項9に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項11】
オリゴヌクレオチドであって、5’末端ヌクレオチドを含み、前記5’末端ヌクレオチドが、4’-オキシメチルホスホナートを含み、前記4’-オキシメチルホスホナートが、-O-CH2-PO(OH)2または-O-CH2-PO(OR)2であり、Rは独立して、H、CH3、アルキル基、または保護基から選択される、前記オリゴヌクレオチド。
【請求項12】
前記アルキル基が、CH2CH3である、請求項11に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項13】
前記オリゴヌクレオチドが、第1の鎖及び第2の鎖を含む二本鎖RNAi阻害剤分子であり、前記第1の鎖が、センス鎖であり、前記第2の鎖が、アンチセンス鎖である、先行請求項のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項14】
前記二本鎖RNAi阻害剤分子が、15~45ヌクレオチドの前記センス鎖及び前記ア
ンチセンス鎖の間の相補的な領域を含む、請求項13に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項15】
前記センス鎖及び前記アンチセンス鎖の間の前記相補的な領域が、20~30ヌクレオチドである、請求項14に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項16】
前記センス鎖及び前記アンチセンス鎖の間の前記相補的な領域が、21~26ヌクレオチドである、請求項15に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項17】
前記センス鎖及び前記アンチセンス鎖の間の前記相補的な領域が、19~24ヌクレオチドである、請求項14に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項18】
前記センス鎖及び前記アンチセンス鎖の間の前記相補的な領域が、19~21ヌクレオチドである、請求項17に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項19】
前記5’末端ヌクレオチドが、前記アンチセンス鎖に位置する、請求項13~18のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項20】
前記5’末端ヌクレオチドが、前記センス鎖に位置する、請求項13~19のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項21】
前記二本鎖RNAi阻害剤分子が、テトラループを含有する、請求項13~20のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項22】
前記オリゴヌクレオチドが、一本鎖オリゴヌクレオチドである、請求項1~10のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項23】
前記一本鎖オリゴヌクレオチドが、一本鎖RNAi阻害剤分子である、請求項22に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項24】
前記一本鎖オリゴヌクレオチドが、従来のアンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、またはアプタマーである、請求項22に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項25】
前記一本鎖RNAi阻害剤分子が、長さが14~50ヌクレオチドである、請求項23または24に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項26】
前記一本鎖RNAi阻害剤分子が、長さが約16~30、18~22、または20~22ヌクレオチドである、請求項25に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項27】
前記オリゴヌクレオチドが、裸のオリゴヌクレオチドである、先行請求項のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項28】
少なくとも1つの送達剤をさらに含み、前記少なくとも1つの送達剤が、細胞の外膜を超える前記オリゴヌクレオチドの輸送を容易にするように、前記オリゴヌクレオチドにコンジュゲートされる、先行請求項のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項29】
前記送達剤が、炭水化物、ペプチド、脂質、ビタミン、及び抗体からなる群より選択される、先行請求項のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項30】
前記送達剤が、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、マンノース-6-リン酸、ガラクトース、オリゴ糖、多糖、コレステロール、ポリエチレングリコール、葉酸、
ビタミンA、ビタミンE、リトコール酸、及びカチオン性脂質から選択される、先行請求項のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項31】
医薬組成物であって、請求項13~30のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド及び薬学的に許容される賦形剤を含む、前記医薬組成物。
【請求項32】
対象における標的遺伝子の発現を低減させる方法であって、前記標的遺伝子の発現を低減させるのに十分な量で、それを必要とする対象に、請求項31に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項33】
前記投与することが、全身投与を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
ヌクレオシドホスホルアミダイトであって、前記ヌクレオシドホスホルアミダイトが、式Xまたは式XI:
【化6】
(式中、R
c及びR
dはそれぞれ独立して、CH
3、CH
2CH
3、CH
2CH
2CN、CH
2OCOC(CH
3)
3、CH
2OCH
2CH
2Si(CH
3)
3、または保護基から選択され、
Bは、天然核酸塩基、修飾核酸塩基、ユニバーサル塩基であるか、または存在せず、
M
1は、O、S、NR’、CR’R”であり、
R
4、R
5、R
6、もしくはR
7はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、OH、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキルから選択されるか、またはR
4、R
5、R
6、及びR
7のうちの2つは、一緒になって5~8員環を形成し、前記環は任意に、ヘテロ原子を含有し、
X
10は、存在しないか、またはO、S、NR’、もしくはCR’R”から選択され、
R
10は、ホスホルアミダイトであり、
R
8は、グルタチオン感受性部分であるか、または存在しない、
R
8がグルタチオン感受性部分である場合、X
2は、O、S、Se、もしくはNR’であるか、またはR
8が存在しない場合、X
2は、H、OH、SH、NH
2、ハロゲン、任意に置換されたアルコキシ、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたアルキルチオ、任意に置換されたアルキルアミノもしくはジアルキルアミノであり、前記アルキル、アルケニル、及びアルキニルの1つ以上のメチレンは、O、S、S(O)、SO
2、N(R’)、C(O)、N(R’)C(O)O、OC(O)N(R’)、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換された複素環もしくは任意に置換されたシクロアルキル、O、S、Se、またはNHR’のうちの1つ以上で干渉されてもよく、
R’及びR”はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換の脂肪族、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換の複素環、または置換もしくは非置換のシクロアルキルである)で表される、前記ヌク
レオシドホスホルアミダイト。
【請求項35】
M1がOであり、X10がOである、請求項34に記載のヌクレオシドホスホルアミダイト。
【請求項36】
X2がOであり、R8がグルタチオン感受性部分である、請求項34または35に記載のヌクレオシドホスホルアミダイト。
【請求項37】
X2がF、OCH2CH2OCH3、またはOCH3であり、R8が存在しない、請求項34または35のいずれか1項に記載のヌクレオシドホスホルアミダイト。
【請求項38】
Rc及びRdがそれぞれCH3であるか、またはRc及びRdがそれぞれCH2CH3である、請求項34~37のいずれか1項に記載のヌクレオシドホスホルアミダイト。
【請求項39】
ヌクレオシドホスホルアミダイトであって、前記ヌクレオシドホスホルアミダイトが、式XII:
【化7】
(式中、R
c及びR
dはそれぞれ独立して、CH
3、CH
2CH
3、CH
2CH
2CN、CH
2OCOC(CH
3)
3、CH
2OCH
2CH
2Si(CH
3)
3、または保護基から選択され、
Bは、天然核酸塩基、修飾核酸塩基、ユニバーサル塩基であるか、または存在せず、
R
10は、ホスホルアミダイトであり、
X
2はOH、F、OCH
3、またはOCH
2CH
2OCH
3であり、且つR
8は存在しないか、またはX
2はOであり、且つR
8はグルタチオン感受性部分である)で表される、前記ヌクレオシドホスホルアミダイト。
【請求項40】
Rc及びRdがそれぞれ独立して、CH3、CH2CH3、または保護基から選択される、請求項39に記載のヌクレオシドホスホルアミダイト。
【請求項41】
X2がFまたはOCH3であり、R8が存在しない、請求項39または40に記載のヌクレオシドホスホルアミダイト。
【請求項42】
X2がOであり、R8がグルタチオン感受性部分である、請求項39または40に記載のヌクレオシドホスホルアミダイト。
【請求項43】
ヌクレオシドホスホルアミダイトであって、前記ヌクレオシドホスホルアミダイトが、式XIII:
【化8】
(式中、Bは、天然核酸塩基、修飾核酸塩基、ユニバーサル塩基であるか、または存在せず、
R
10は、ホスホルアミダイトであり、
X
2は、OH、F、OCH
3、またはOCH
2CH
2OCH
3である)で表される、前記ヌクレオシドホスホルアミダイト。
【請求項44】
ヌクレオシドホスホルアミダイトであって、前記ヌクレオシドホスホルアミダイトが、式XIV:
【化9】
(式中、Bは、天然核酸塩基、修飾核酸塩基、ユニバーサル塩基であるか、または存在せず、
R
10は、ホスホルアミダイトであり、
X
2は、OH、F、OCH
3、またはOCH
2CH
2OCH
3である)で表される、前記ヌクレオシドホスホルアミダイト。
【請求項45】
ヌクレオシドホスホルアミダイトであって、前記ヌクレオシドホスホルアミダイトが、式XV:
【化10】
(式中、R
c及びR
dはそれぞれ独立して、CH
3、CH
2CH
3、CH
2CH
2CN、CH
2OCOC(CH
3)
3、CH
2OCH
2CH
2Si(CH
3)
3、または保護基から選択され、
Vは、Oであり、
Z
1は、ホスホルアミダイト及び糖部分を含むヌクレオシドであり、
Vは、前記糖部分の4’-炭素に結合している)で表される、前記ヌクレオシドホスホルアミダイト。
【請求項46】
前記糖部分が、フラノースである、請求項45に記載のヌクレオチドホスホルアミダイト。
【請求項47】
Rc及びRdがそれぞれCH3であるか、またはRc及びRdがそれぞれCH2CH3である、請求項45または46に記載のヌクレオチドホスホルアミダイト。
【請求項48】
前記オリゴヌクレオチドが、第1鎖及び第2鎖を含む二本鎖オリゴヌクレオチドである、請求項1~12のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項49】
前記二本鎖オリゴヌクレオチドの各鎖が、長さが15~100または15~50ヌクレオチドである、請求項48に記載のオリゴヌクレオチド。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年9月2日に提出された米国仮特許出願番号第62/383,207号及び2016年9月12日に提出された米国仮特許出願番号第62/393,401号出願日の利益を主張し、これに依拠し、これらの全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
オリゴヌクレオチドは、ヌクレオチド(RNA、DNA、及びそれらのアナログ)のポリマー配列である。核酸阻害剤分子は、細胞内RNAレベルを調節するオリゴヌクレオチドであり、癌、ウイルス感染症、及び遺伝障害の処置において早い段階での将来性を実証している。核酸阻害剤分子は、RNA干渉(RNAi)を含む多様な機序を通してRNA発現を調節し得る。
【0003】
RNAiは、ほとんどの真核生物に見られる保存された経路であり、二本鎖RNA分子(dsRNA)は、dsRNAに相補的な配列を有する標的遺伝子の発現を阻害する。代表的なRNAi経路では、長いdsRNAが、ダイサー酵素により切断されて、低分子干渉RNA(「siRNA」)と呼ばれる短いRNA二重鎖になる。siRNAは、ダイサー、トランス活性化応答RNA結合タンパク質(TRBP)、及びアルゴノート2(「Ago2」)と結合して、RNA誘導サイレンシング複合体(「RISC」)と呼ばれることがある複合体を形成することが示されている。Ago2は、標的mRNA切断の配列特異性を導くように、siRNAのアンチセンス鎖(ガイド鎖とも呼ばれる)を使用して標的mRNAを切断するエンドヌクレアーゼである。
【0004】
様々な二本鎖RNAi阻害剤分子構造が、長年にわたって開発されている。例えば、天然のsiRNAを模倣する二本鎖核酸分子に焦点を当てたRNAi阻害剤分子に関する初期の研究は、各鎖は、19~25ヌクレオチドのサイズを有し、1~5ヌクレオチドの少なくとも1つの3’-オーバーハングを有する(例えば、米国特許第8,372,968号を参照のこと)。その後、RNAi阻害剤分子を活性化するように、ダイサー酵素でin vivoで処理される長い二本鎖RNAi阻害剤分子が開発されている(例えば、米国特許第8,883,996号を参照のこと)。後の研究により、鎖の一方が熱力学的に安定化したテトラループ構造を含む構造を含む、少なくとも一方の鎖の少なくとも一端が分子の二本鎖標的領域を越えて伸長する伸長した二本鎖核酸阻害剤分子が開発された(例えば、米国特許第8,513,207号、米国特許第8,927,705号、WO2010/033225、及びWO2016/100401)。それらの構造は、(分子の片側または両側の)一本鎖伸長、及び二本鎖伸長を含む。
【0005】
一本鎖核酸阻害剤分子もまた、当該技術分野で既知である。例えば、最近の取り組みにより、ssRNAi阻害剤分子の活性が実証されている(例えば、Matsui et al.2016,24(5):946-55を参照のこと)。また、特定の標的遺伝子の発現を低減させるアンチセンス分子は、数十年間使用されている。Pelechano and Steinmetz,Nature Review Genetics,2013,14:880-93。これらの構造の共通の主題における多数の変形形態が、広範囲の標的に対して開発されている。他の一本鎖核酸阻害剤分子は、例えば、マイクロRNA、リボザイム、アンタゴミア、及びアプタマーを含み、それらは全て、当該技術分野で既知である。
【0006】
特定の場合では、in vivo投与後に受けた条件などの特定の条件下で要求され得
る特性を導入するために、化学修飾が核酸阻害剤分子に導入されている。このような修飾は、例えば、オリゴヌクレオチドの構造もしくは活性を損なうかもしくは阻害するヌクレアーゼもしくは他の酵素に対し安定化するように、オリゴヌクレオチドの細胞取り込みを増加させるように、またはオリゴヌクレオチドの薬物動態特性を改善するように、設計されたものを含む。
【0007】
例えば、合成オリゴヌクレオチドは一般に、5’-または3’-ヒドロキシル基で終結する。末端ヒドロキシル基を、リン酸基と置換することが可能であり、これは、例えば、リンカー、アダプター、もしくは標識を結合するために、またはオリゴヌクレオチドの他の核酸との直接ライゲートのために、使用することができる。加えて、5’末端リン酸基が特定の核酸阻害剤分子とAgo2の間の相互作用を増強することが報告されている。しかし、5’-リン酸基を有するオリゴヌクレオチドは一般に、ホスファターゼまたは他の酵素を介した分解を受けやすく、in vivoでの生物学的利用能を制限し得る。
【0008】
従って、リン酸基の機能的効果を提供するが、オリゴヌクレオチドが、対象に投与される時に曝露されるべき環境条件に対してより安定である、核酸阻害剤分子などのオリゴヌクレオチドの5’末端ヌクレオチドに対する修飾を開発することが望ましい。このようなリン酸アナログは、オリゴヌクレオチドの機能に対する悪影響を最小限に抑え(例えば、RNAi阻害剤分子に使用される時に遺伝子標的ノックダウンのあらゆる低減を最小限に抑え)ながら、ホスファターゼ及び他の酵素に対して、より高い耐性を示すであろう。
【発明の概要】
【0009】
本出願は、4’-リン酸アナログを含むオリゴヌクレオチドについて開示する。好適なオリゴヌクレオチドとしては、dsRNAi阻害剤分子、アンチセンスオリゴヌクレオチド、miRNA、リボザイム、アンタゴミア、アプタマー、及びssRNAi阻害剤分子などの核酸阻害剤分子が挙げられる。
【0010】
本開示のリン酸アナログは、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドの5’末端ヌクレオチド(「N1ヌクレオチド」)の糖部分(例えば、リボースもしくはデオキシリボースまたはそのアナログ)の4’-炭素に結合している。通常は、リン酸アナログは、オキシメチル基の酸素原子が糖部分またはそのアナログの4’-炭素に結合しているオキシメチルホスホナートである。他の実施形態では、リン酸アナログは、チオメチル基の硫黄原子またはアミノメチル基の窒素原子が糖部分またはそのアナログの4’-炭素に結合しているチオメチルホスホナートまたはアミノメチルホスホナートである。
【0011】
特定の実施形態では、4’-オキシメチルホスホナートは、RがH、CH3、アルキル基、または保護基から独立して選択される-O-CH2-PO(OH)2または-O-CH2-PO(OR)2で表される。特定の実施形態では、アルキル基は、CH2CH3である。
【0012】
一態様では、本明細書に記載のリン酸アナログ修飾核酸阻害剤分子は、細胞における標的遺伝子の発現を調節するために使用することができる。リン酸アナログ修飾核酸阻害剤分子は、医薬組成物として、薬学的に許容される賦形剤と共に製剤化することができ、標的遺伝子の発現を調節するために、且つそれを必要とする患者を処置するために、使用することができる。
【0013】
特定の態様では、本開示は、4’-オキシメチルホスホナートを含む5’末端ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドに関し、4’-オキシメチルホスホナートは、-O-CH2-PO(OH)2または-O-CH2-PO(OR)2であり、Rは独立して、H、CH3、アルキル基、または保護基から選択される。特定の実施形態では、アルキル基は、
CH2CH3である。
【0014】
特定の態様では、本開示は、本明細書に記載されるように、式Iまたは式IIで表される5’末端ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドに関する。特定の実施形態では、5’末端ヌクレオチドは、本明細書に記載されるように、式Iで表される。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、式Iで表され、X2はOH、F、OCH2CH2OCH3、またはOCH3であり、且つR8は存在しないか、またはX2はOであり、且つR8はグルタチオン感受性部分である。
【0015】
特定の態様では、本開示は、本明細書に記載されるように、式IIIで表される5’末端ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドに関する。オリゴヌクレオチドの特定の実施形態では、X2は、OH、F、またはOCH3であり、R8は、存在しない。
【0016】
本明細書に記載のオリゴヌクレオチドの特定の実施形態では、Ra及びRbは水素であるか;RaはCH3もしくはCH2CH3であり、且つRbは水素であるか;またはRa及びRbはそれぞれCH3もしくはCH2CH3である。
【0017】
特定の態様では、本開示は、本明細書に記載されるように、式IVで表される5’末端ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドに関する。
【0018】
特定の態様では、本開示は、本明細書に記載されるように、式Vで表される5’末端ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドに関する。
【0019】
特定の態様では、本開示は、本明細書に記載されるように、式VIで表される5’末端ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドに関する。特定の実施形態では、糖部分は、フラノースである。
【0020】
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、第1の鎖及び第2の鎖を含む二本鎖RNAi阻害物質分子であり、第1の鎖は、センス鎖であり、第2の鎖は、アンチセンス鎖である。特定の実施形態では、二本鎖RNAi阻害剤分子は、15~45ヌクレオチドの、センス鎖及びアンチセンス鎖の間の相補的な領域を含む。特定の実施形態では、センス鎖及びアンチセンス鎖の間の相補的な領域は、20~30ヌクレオチドである。特定の実施形態では、センス鎖及びアンチセンス鎖の間の相補的な領域は、21~26ヌクレオチドである。特定の実施形態では、センス鎖及びアンチセンス鎖の間の相補的な領域は、19~24ヌクレオチドである。特定の実施形態では、センス鎖及びアンチセンス鎖の間の相補的な領域は、19~21ヌクレオチドである。
【0021】
特定の実施形態では、5’末端ヌクレオチドは、アンチセンス鎖に位置する。特定の実施形態では、5’末端ヌクレオチドは、センス鎖に位置する。
【0022】
特定の実施形態では、二本鎖RNAi阻害剤分子は、テトラループを含有する。
【0023】
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、一本鎖オリゴヌクレオチドである。特定の実施形態では、一本鎖オリゴヌクレオチドは、従来のアンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイムまたはアプタマーである。
【0024】
特定の実施形態では、一本鎖オリゴヌクレオチドは、一本鎖RNAi阻害剤分子である。特定の実施形態では、一本鎖RNAi阻害剤分子は、長さが14~50ヌクレオチドである。特定の実施形態では、一本鎖RNAi阻害剤分子は、長さが約16~30、18~22、または20~22ヌクレオチドである。
【0025】
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの送達剤をさらに含み、少なくとも1つの送達剤は、オリゴヌクレオチドの、細胞の外膜を越えた輸送を促進するために、オリゴヌクレオチドにコンジュゲートされる。特定の実施形態では、送達剤は、炭水化物、ペプチド、脂質、ビタミン、及び抗体からなる群より選択される。特定の実施形態では、送達剤は、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、マンノース-6-リン酸、ガラクトース、オリゴ糖、多糖、コレステロール、ポリエチレングリコール、葉酸、ビタミンA、ビタミンE、リトコール酸、及びカチオン性脂質から選択される。
【0026】
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、脂質ナノ粒子に含有される。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、裸のオリゴヌクレオチドである。
【0027】
ある態様では、本開示は、本明細書に記載されるように、4’-リン酸アナログを含むオリゴヌクレオチド(例えば、核酸阻害剤分子)、及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物、ならびに、標的遺伝子の発現を低減させるのに十分な量で医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、対象における標的遺伝子の発現を低減させるそれの使用方法、に関する。特定の実施形態では、投与することは、全身投与を含む。
【0028】
特定の態様において、本開示は、ヌクレオシドホスホルアミダイトに関し、ヌクレオシドホスホルアミダイトは、本明細書に記載されるような式Xまたは式XIで表される。ヌクレオシドホスホルアミダイトの特定の実施形態では、M1は、Oであり、X10は、Oである。ヌクレオシドホスホルアミダイトの特定の実施形態では、X2は、Oであり、R8は、グルタチオン感受性部分である。ヌクレオシドホスホルアミダイトの特定の実施形態では、X2は、F、OCH2CH2OCH3、またはOCH3であり、R8は、存在しない。ヌクレオシドホスホルアミダイトの特定の実施形態では、Rc及びRdはそれぞれ、CH3またはCH2CH3である。
【0029】
特定の態様では、本開示は、ヌクレオシドホスホルアミダイトに関し、ヌクレオシドホスホルアミダイトは、本明細書に記載されるような式XIIで表される。ヌクレオシドホスホルアミダイトの特定の実施形態では、Rc及びRdはそれぞれ独立して、CH3、CH2CH3、または保護基から選択される。ヌクレオシドホスホルアミダイトの特定の実施形態では、X2は、FまたはOCH3であり、R8は、存在しない。ヌクレオシドホスホルアミダイトの特定の実施形態では、X2は、Oであり、R8は、グルタチオン感受性部分である。
【0030】
特定の態様では、本開示は、ヌクレオシドホスホルアミダイトに関し、ヌクレオシドホスホルアミダイトは、本明細書に記載されるような式XIIIで表される。
【0031】
特定の態様では、本開示は、ヌクレオシドホスホルアミダイトに関し、ヌクレオシドホスホルアミダイトは、本明細書に記載されるような式XIVで表される。
【0032】
特定の態様では、本開示は、ヌクレオシドホスホルアミダイトに関し、ヌクレオシドホスホルアミダイトは、本明細書に記載されるような式XVで表される。特定の実施形態では、糖部分は、フラノースである。特定の実施形態では、Rc及びRdはそれぞれ、CH3またはCH2CH3である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1A】実施例に記載されるような2つの代表的な対照二本鎖RNAi制御分子阻害剤:対照化合物5’-OH、2’-F、及び対照化合物5’-PO
4、2’-Fを示す。対照化合物5’-OH、2’-F、及び対照化合物5’-PO
4、2’-Fは、ガイド鎖のN1ヌクレオチドの5’-OHまたは5’-PO
4を除いて同一である。
【
図1B】実施例に記載されるような2つの代表的な二本鎖RNAi阻害剤分子:試験化合物完全脱保護、2’-F及び試験化合物モノメチル保護、2’-Fを示す。試験化合物完全脱保護、2’-F及び試験化合物モノメチル保護、2’-Fは、ガイド鎖のN1ヌクレオチドの4’-オキシメチルホスホナート基を除いて同一であり、前者の試験化合物は完全脱保護されたホスホナート基を有し、後者の試験化合物は、ホスホナート部分にモノメチル保護基を有する。試験化合物完全脱保護、2’-F及び試験化合物モノメチル保護、2’-Fは、ガイド鎖のN1ヌクレオチドを除いて、対照化合物5’-OH、2’-F及び対照化合物5’-PO
4、2’-F(
図1A)と同一であり、対照化合物は、5’-OHまたは5’-PO
4のいずれかを有し、試験化合物は、4’-オキシメチルホスホナートを有する。
【
図1C】実施例に記載されるような2つの代表的な対照二本鎖RNAi阻害剤分子:対照化合物5’-OH、2’-OMe及び対照化合物5’-PO
4、2’-OMeを示す。対照化合物5’-OH、2’-OMe及び対照化合物5’-PO
4、2’-OMeは、ガイド鎖のN1ヌクレオチドの5’-OHまたは5’-PO
4を除いて同一である。
【
図1D】実施例に記載されるような2つの代表的な二本鎖RNAi阻害剤分子:試験化合物完全脱保護、2’-OMe及び試験化合物モノメチル保護、2’-OMeを示す。試験化合物完全脱保護、2’-OMe及び試験化合物モノメチル保護、2’-OMeは、ガイド鎖のN1ヌクレオチドの4’-オキシメチルホスホナート基を除いて同一であり、前者の試験化合物は完全脱保護されたホスホナート基を有し、後者の試験化合物は、ホスホナート部分にモノメチル保護基を有する。試験化合物完全脱保護、2’-OMe及び試験化合物モノメチル保護、2’-OMeは、ガイド鎖のN1ヌクレオチドを除く、対照化合物5’-OH、2’-OMe及び対照化合物5’-PO
4、2’-OMe(
図1C)と同一であり、対照化合物は、5’-OHまたは5’-PO
4のいずれかを有し、試験化合物は、4’-オキシメチルホスホナートを有する。
【
図2A】実施例8に記載されるように、HEK293細胞にLIPOFECTAMINE(登録商標)RNAiMax(Thermo Fisher Scientific Inc.,メリーランド州ロックビル)を含む化合物をトランスフェトした48時間後に標的遺伝子AのmRNAのノックダウンにより測定される場合の、対照化合物5’-OH、2’-F(
図2A)及び対照化合物5’-PO
4、2’-F(
図2B)と比較した、試験化合物完全脱保護、2’-F(
図2C)及び試験化合物モノメチル保護、2’-F(
図2D)のポテンシー(IC
50)を示す。
【
図2B】実施例8に記載されるように、HEK293細胞にLIPOFECTAMINE(登録商標)RNAiMax(Thermo Fisher Scientific Inc.,メリーランド州ロックビル)を含む化合物をトランスフェトした48時間後に標的遺伝子AのmRNAのノックダウンにより測定される場合の、対照化合物5’-OH、2’-F(
図2A)及び対照化合物5’-PO
4、2’-F(
図2B)と比較した、試験化合物完全脱保護、2’-F(
図2C)及び試験化合物モノメチル保護、2’-F(
図2D)のポテンシー(IC
50)を示す。
【
図2C】実施例8に記載されるように、HEK293細胞にLIPOFECTAMINE(登録商標)RNAiMax(Thermo Fisher Scientific Inc.,メリーランド州ロックビル)を含む化合物をトランスフェトした48時間後に標的遺伝子AのmRNAのノックダウンにより測定される場合の、対照化合物5’-OH、2’-F(
図2A)及び対照化合物5’-PO
4、2’-F(
図2B)と比較した、試験化合物完全脱保護、2’-F(
図2C)及び試験化合物モノメチル保護、2’-F(
図2D)のポテンシー(IC
50)を示す。
【
図2D】実施例8に記載されるように、HEK293細胞にLIPOFECTAMINE(登録商標)RNAiMax(Thermo Fisher Scientific Inc.,メリーランド州ロックビル)を含む化合物をトランスフェトした48時間後に標的遺伝子AのmRNAのノックダウンにより測定される場合の、対照化合物5’-OH、2’-F(
図2A)及び対照化合物5’-PO
4、2’-F(
図2B)と比較した、試験化合物完全脱保護、2’-F(
図2C)及び試験化合物モノメチル保護、2’-F(
図2D)のポテンシー(IC
50)を示す。
【
図3A】実施例9に記載されるように、カチオン性脂質トランスフェクション剤を用いずにトランスフェクトした24時間後に標的遺伝子AのmRNAのノックダウンにより測定される場合の、サル肝細胞における試験化合物完全脱保護、2’-Fのポテンシー(IC
50)を示す。
【
図3B】実施例9に記載されるように、カチオン性脂質トランスフェクション剤を用いずにトランスフェクトした24時間後に標的遺伝子AのmRNAのノックダウンにより測定される場合の、サル肝細胞における試験化合物モノメチル保護、2’-Fのポテンシー(IC
50)を示す。
【
図4A】実施例10に記載されるように、カチオン性脂質トランスフェクション剤を用いずにトランスフェクトした48時間後に標的遺伝子AのmRNAのノックダウンにより測定される場合の、ヒト肝細胞における試験化合物完全脱保護、2’-Fのポテンシー(IC
50)を示す。
【
図4B】実施例10に記載されるように、カチオン性脂質トランスフェクション剤を用いずにトランスフェクトした48時間後に標的遺伝子AのmRNAのノックダウンにより測定される場合の、ヒト肝細胞における試験化合物モノメチル保護、2’-Fのポテンシー(IC
50)を示す。
【
図5A】実施例11に記載されるように、ラット肝臓トリトソームにインキュベートした後の、対照化合物5’-OH、2’-OMe;対照化合物5’-PO
4、2’-OMe;試験化合物完全脱保護、2’-OMe;及び5’-PO
4(「M1」)の代わりに5’-OHを有する対照化合物5’-PO
4、2’-OMeの代謝産物のガイド鎖の相対存在量を示す。
【
図5B】実施例11に記載されるように、ラット肝臓トリトソームにインキュベートした後の、試験化合物モノメチル保護、2’-F及びその代謝産物の混合物のガイド鎖の相対的存在量を示す。代謝産物混合物は、試験化合物完全脱保護、2’-Fのガイド鎖と同じ構造を有する主な代謝産物を含む。
【
図5C】実施例11に記載されるような、体重1キログラム当たり3ミリグラム(「mpk」)の試験化合物モノメチル保護、2’-OMeのin vivo投与後のマウス肝臓試料における試験化合物モノメチル保護、2’-OMe及びその代謝産物(「M2」)のガイド鎖の相対存在量を示す。M2は、試験化合物完全脱保護、2’-OMeのガイド鎖と同じ構造を有する。
【
図6A】実施例12に記載されるような、対照PBS注射と比較した、体重1キログラム当たり1ミリグラム(「mpk」)の対照化合物5’-OH、2’-F;対照化合物5’-PO
4、2’-F;または試験化合物完全脱保護、2’-Fをin vivo投与した3日後に標的遺伝子AのmRNAのノックダウンにより測定される場合の、マウスにおけるポテンシーを示す。
【
図6B】実施例12に記載されるような、対照PBS注射と比較した、体重1キログラム当たり1ミリグラム(「mpk」)の対照化合物5’-OH、2’-OMeまたは試験化合物完全脱保護、2’-OMeをin vivo投与した4日後に標的遺伝子BのmRNAのノックダウンにより測定される場合の、マウスにおけるポテンシーを示す。
【
図7】実施例12に記載されるような、体重1キログラム当たり0.3ミリグラム(「mpk」)、1mpk、及び3mpkで投与される試験化合物モノメチル保護、2’-Fをin vivo投与した10日後に標的遺伝子AのmRNAのノックダウンにより測定される場合の、用量反応研究におけるマウスのin vivoポテンシーを示す。
【
図8】実施例12に記載されるような、体重1キログラム当たり0.3ミリグラム(「mpk」)または1mpkで投与される試験化合物完全脱保護、2’-OMe及び試験化合物モノメチル保護、2’-OMeをin vivo投与した3及び10日後に標的遺伝子BのmRNAのノックダウンにより測定される場合の、マウスにおけるin vivoポテンシーを示す。
【
図9A】実施例13に記載されるような、キログラム当たり3ミリグラムの対照化合物5’-OH、2’-OMe及び試験化合物完全脱保護、2’-OMeをin vivo投与した14、28、及び56日後に標的遺伝子BのmRNAのノックダウンにより測定される場合の、カニクイザルにおける経時変化研究の結果を示す。
【
図9B】実施例13に記載されるような、キログラム当たり3ミリグラムの試験化合物完全脱保護、2’-OMe及び試験化合物モノメチル保護、2’-OMeをin vivo投与した14、28、及び56日後に標的遺伝子BのmRNAのノックダウンにより測定される場合の、カニクイザルにおける経時変化試験の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
定義
本開示をより容易に理解するために、特定の用語は、最初に以下に定義する。以下の用語及び他の用語に対するさらなる定義は、本明細書を通して説明され得る。以下に記載される用語の定義が、参照により組み込まれる出願または特許における定義と矛盾する場合、本出願に記載される定義は、用語の意味を理解するために使用されるべきである。
【0035】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈に別途明示のない限り、複数の言及を含む。従って、例えば、「方法」への言及は、1つ以上の方法、及び/または本明細書に記載の、且つ/もしくは本開示などを読む時に当業者らに明らかになるであろう種類のステップを含む。
【0036】
5’末端ヌクレオチド:
本明細書中で使用される場合、「5’末端ヌクレオチド」という用語は、オリゴヌクレオチドの5’末端に位置するヌクレオチドを指す。5’末端ヌクレオチドは、本出願では、「N1ヌクレオチド」とも呼ばれ得る。
【0037】
アシル:
本明細書で使用される場合、「アシル」という用語は、アルキルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、及びアリールカルボニル部分を指す。
【0038】
脂肪族基:
本明細書で使用される場合、「脂肪族基」という用語は、1つ以上の官能基で任意に置換される、飽和及び不飽和の両方の直鎖(すなわち、非分枝鎖)または分枝鎖の炭化水素を指す。「置換脂肪族」という用語は、置換基を有する脂肪族部分を指す。
【0039】
アルコキシ:
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」という用語は、酸素原子を介して分子部分に結合したアルキル基を指す。
【0040】
アルケニル:
本明細書で使用される場合、「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有し、且つ約2~約20の範囲の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖ヒドロカルビル基を指す。「置換アルケニル」は、1つ以上の置換基をさらに有するアルケニル基を指す。本明細書で使用される場合、「低級アルケニル」は、約2~約6の炭素原子を有するアルケニル部分を指す。
【0041】
アルキル:
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、1~約20の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖ヒドロカルビル基を指す。本明細書に現れる時はいつでも、「C1-
C6アルキル」のような数値範囲は、アルキル基が、1つのみの炭素原子、2つの炭素原子、3つの炭素原子など、6つ以下の炭素原子を含んでもよいが、「アルキル」という用語は、数値範囲の炭素原子が指定されていない場合も含む。例えば、「アルキル」という用語は、C1-C10間のサブレンジ(例えば、C1-C6)を指し得る。「置換アルキル」は、置換基を有するアルキル部分を指す。本明細書で使用される場合、「低級アルキル」は、1~約6つの炭素原子を有するアルキル部分を指す。
【0042】
アルキルアミノ:
本明細書で使用される場合、「アルキルアミノ」という用語は、アミン官能基を有するアルキルラジカルを指す。アルキルアミノは、置換されても、置換されなくてもよい。
【0043】
アルキニル:
本明細書中で使用される場合、「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有し、且つ約2~約20の範囲の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖ヒドロカルビル基を指す。「置換アルキニル」は、1つ以上の置換基をさらに有するアルキニル基を指す。本明細書で使用される場合、「低級アルキニル」は、約2~約6つの炭素原子を有するアルキニル部分を指す。
【0044】
およそ:
本明細書で使用される場合、「およそ」または「約」という用語は、目的の1つ以上の値に適用される場合、所定の参照値と同様の値を指す。特定の実施形態では、「およそ」または「約」という用語は、別途記載のない限り、または別途文脈から明らかでない限り、記載の参照値のいずれかの(より大きいまたはより小さい)方向に、25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれ未満に入る幅広い値を指す(このような数が可能な値の100%を超える場合を除く)。
【0045】
アプタマー:
本明細書で使用される場合、「アプタマー」という用語は、核酸、タンパク質、特定の全細胞、または特定の組織を含む特定の標的に対して結合親和性を有するオリゴヌクレオチドを指す。アプタマーは、当該技術分野で既知の方法を使用して、例えば、核酸の大きなランダム配列プールからin vitro選択することにより、得られてもよい。Lee et al.,Nucleic Acid Res.,2004,32:D95-D100。
【0046】
アンタゴミア:
本明細書で使用される場合、「アンタゴミア」という用語は、外因性RNAi阻害剤分子または天然のmiRNAのガイド鎖を含む特定の標的に対する結合親和性を有するオリゴヌクレオチドを指す(Krutzfeldt et al.Nature 2005,438(7068):685-689)。
【0047】
アンチセンス鎖:
二本鎖RNAi阻害剤分子は、2つのオリゴヌクレオチド鎖:アンチセンス鎖及びセンス鎖、を含む。アンチセンス鎖またはその領域は、標的核酸の対応する領域と、部分的に、実質的に、または完全に相補的である。加えて、二本鎖RNAi阻害物質分子またはその領域のアンチセンス鎖は、二本鎖RNAi阻害物質分子またはその領域のセンス鎖と、部分的に、実質的に、または完全に相補的である。特定の実施形態では、アンチセンス鎖は、標的核酸配列と非相補的であるヌクレオチドを含有してもよい。非相補的ヌクレオチドは、相補配列のどちら側にあってもよく、または相補配列の両側にあってもよい。特定の実施形態では、アンチセンス鎖またはその領域は、センス鎖またはその領域と部分的に
または実質的に相補的である場合、非相補的ヌクレオチドは、1つ以上の相補的な領域(例えば、1つ以上のミスマッチ)の間に位置してもよい。二本鎖RNAi阻害剤分子のアンチセンス鎖は、ガイド鎖とも呼ばれる。
【0048】
芳香族基:
本明細書で使用される「芳香族基」という用語は、4n+2π電子(式中、nは整数である)を含有する非局在化π電子系を有する平面環を指す。芳香環は、5、6、7、8、9、または9つを超える原子から形成することができる。「芳香族」という用語は、炭素環式アリール(例えば、フェニル)及び複素環式アリール(または「ヘテロアリール」もしくは「ヘテロ芳香族」)基(例えば、ピリジン)の両方を包含するものである。用語は、単環式または縮合環式多環式環、すなわち、炭素原子の隣接対を共有する環、を含む。「置換芳香族」は、1つ以上の置換基をさらに有する芳香族基を指す。
【0049】
アリール:
本明細書で使用される場合、「アリール」という用語は、5~19までの範囲の炭素原子を有する芳香族単環式または多環式基を指す。「置換アリール」は、1つ以上の置換基をさらに有するアリール基を指す。
【0050】
標準的RNA阻害剤分子:
本明細書で使用される場合、「標準的RNA阻害剤分子」という用語は、核酸の2つの鎖を指し、それぞれは、二本鎖核酸の形成のための19塩基対長である中央の相補的な領域及び3’末端のそれぞれの2つのヌクレオチドオーバーハングを有する21ヌクレオチド長である。
【0051】
相補的:
本明細書で使用される場合、「相補的」という用語は、2つのヌクレオチドが互いに塩基対を形成することを許容する(例えば、2つの対向する核酸上または単一の核酸鎖の対向領域上の)2つのヌクレオチドの間の構造的関係を指す。例えば、対向する核酸のピリミジンヌクレオチドと相補的な1つの核酸のプリンヌクレオチドは、互いに水素結合を形成することにより、一緒に塩基対合してもよい。一部の実施形態では、相補的ヌクレオチドは、Watson-Crick様式で、または安定な二重鎖の形成を可能にする任意の他の様式で塩基対合し得る。「完全な相補性」または100%の相補性は、第1のオリゴヌクレオチド鎖または第1のオリゴヌクレオチド鎖のセグメントの各ヌクレオチドモノマーが、第2のオリゴヌクレオチド鎖または第2のオリゴヌクレオチド鎖のセグメントの各ヌクレオチドモノマーを有する塩基対を形成し得る状態を指す。100%未満の相補性は、2つのオリゴヌクレオチド鎖(または2つのオリゴヌクレオチド鎖の2つのセグメント)の一部であるが、全部ではないヌクレオチドモノマーが互いに塩基対を形成し得る状況を指す。「実質的相補性」は、互いに90%以上の相補性を示す2つのオリゴヌクレオチド鎖(または2つのオリゴヌクレオチド鎖のセグメント)を指す。「十分に相補的」とは、標的mRNAによりコードされるタンパク質の量が低減するような、標的mRNAと核酸阻害剤分子の間の相補性を指す。
【0052】
相補鎖:
本明細書で使用される場合、「相補鎖」という用語は、他の鎖と、部分的に、実質的に、または完全に相補的である二本鎖核酸阻害剤分子の鎖を指す。
【0053】
従来のアンチセンスオリゴヌクレオチド:
本明細書で使用される場合、「従来のアンチセンスオリゴヌクレオチド」という用語は、以下の機序:(1)立体障害、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、遺伝子の転写、pre-mRNAのスプライシング、及びmRNAの翻訳を直接干渉する
ことによる遺伝子発現及び/またはコードされたタンパク質の産生に関与する事象のシーケンスにおける一部のステップを妨げる;(2)RNase Hによる標的遺伝子のRNA転写物の酵素消化の誘導;(3)RNase Lによる標的遺伝子のRNA転写物の酵素消化の誘導;(4)RNase Pによる標的遺伝子のRNA転写物の酵素消化の誘導;(5)二本鎖RNaseによる標的遺伝子のRNA転写物の酵素消化の誘導;ならびに(6)組み合わされた立体障害及び同じアンチセンスオリゴでの酵素消化活性の誘導、のうちの1つにより標的遺伝子の発現を阻害する一本鎖オリゴヌクレオチドを指す。従来のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、RNAi阻害剤分子のようなRNAi作用機序を有さない。RNAi阻害剤分子は、アンチセンス鎖がAgo2タンパク質を目的の標的(複数可)に向けるように、RNAiアンチセンス鎖と結合するAgo2の要件を含むいくつかの方法で、従来のアンチセンスオリゴヌクレオチドと区別することができ、Ago2は、標的のサイレンシングに必要とされる。
【0054】
CRISPR RNA:
Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats(「CRISPR」)は、侵入するファージ及びプラスミドに対する防御に関与する微生物ヌクレアーゼ系である。Wright et al.,Cell,2016,164:29-44。本原核生物系は、真核生物細胞のゲノムにおいて目的の標的核酸配列を編集することに使用されるために適合されている。Cong et al.,Science,2013,339:819-23;Mali et al.,Science,2013,339:823-26;Woo Cho et al.,Nat.Biotechnology,2013,31(3):230-232。本明細書で使用される場合、「CRISPR RNA」という用語は、「CRISPR」RNA(crRNA)部分及び/またはトランス活性化crRNA(tracrRNA)部分を含む核酸を指し、CRISPR部分は、トレーサーメイト配列及びtracrRNA部分がハイブリダイズしてガイドRNAを形成するように、標的核酸と部分的に、実質的に、または完全に相補的である第1の配列及びtracrRNA部分と十分に相補的である第2の配列(トレーサーメイト配列とも呼ばれる)を有する。ガイドRNAは、CASエンドヌクレアーゼ(例えば、Cas9)などのエンドヌクレアーゼと複合体を形成し、標的核酸の切断を媒介するヌクレアーゼを導く。特定の実施形態では、crRNA部分は、キメラガイドRNAを形成するように、tracrRNA部分に融合される。Jinek et al.,Science,2012,337:816-21。特定の実施形態では、crRNA部分の第1の配列は、標的核酸にハイブリダイズする約16~約24ヌクレオチド、好ましくは、約20ヌクレオチドを含む。特定の実施形態では、ガイドRNAは、約10~500ヌクレオチドである。他の態様では、ガイドRNAは、約20~100ヌクレオチドである。
【0055】
シクロアルキル:
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」という用語は、3~12の炭素、例えば、3~8つの炭素、例えば、3~6つの炭素、を含有する環状(即ち、環含有)炭化水素基を指す。「置換シクロアルキル」は、1つ以上の置換基をさらに有するシクロアルキル基を指す。
【0056】
送達剤:
本明細書で使用される場合、「送達剤」という用語は、オリゴヌクレオチドと複合化または結合され、且つ細胞への移入を媒介するトランスフェクション剤またはリガンドを指す。本用語は、例えば、オリゴヌクレオチドの負電荷に結合する正味の正電荷を有するカチオン性リポソームを包含する。本用語は、GalNAc及びコレステロールなどの、本明細書に記載されるようなコンジュゲートも包含し、これは、特定の組織への送達を導くように、オリゴヌクレオチドに共有結合させることができる。さらなる特定の好適な送達
剤もまた、本明細書に記載される。
【0057】
デオキシリボヌクレオチド:
本明細書で使用される場合、「デオキシリボヌクレオチド」という用語は、糖部分の2’位に水素基を有するヌクレオチドを指す。
【0058】
ジスルフィド:
本明細書で使用される場合、「ジスルフィド」という用語は、基
【化1】
を含有する化合物を指す。通常は、各硫黄原子は、炭化水素基に共有結合している。特定の実施形態では、少なくとも1つの硫黄原子は、炭化水素以外の基に共有結合している。結合は、SS結合またはジスルフィド架橋とも呼ばれる。
【0059】
二重鎖:
本明細書で使用される場合、核酸(例えば、オリゴヌクレオチド)に関して「二重鎖」という用語は、ヌクレオチドの2つの逆平行配列の相補的塩基対合を通して形成される二重らせん構造を指す。
【0060】
賦形剤:
本明細書で使用される場合、「賦形剤」という用語は、例えば、所望の粘稠性または安定化効果を提供するためか、またはこれに寄与するために、組成物中に含まれ得る非治療薬を指す。
【0061】
フラノース:
本明細書で使用される場合、「フラノース」という用語は、5員環構造を有する炭水化物を指し、環構造は、4つの炭素原子及び1つの酸素原子を有し、式XVII:
【化2】
で表される。式XVIIでは、数字は、5員環構造中の4つの炭素原子の位置を表す。
【0062】
グルタチオン:
本明細書で使用される場合、「グルタチオン」(GSH)という用語は、以下の式XVIIIの構造を有するトリペプチドを指す。GSHは、およそ1~10mMの濃度で細胞中に存在する。GSHは、ジスルフィド結合を含むグルタチオン感受性結合を還元する。過程で、グルタチオンは、酸化型であるグルタチオンジスルフィド(GSSG)に変換される。酸化されると、グルタチオンは、電子供与体としてNADPHを使用して、グルタチオン還元酵素により還元することができる。
【化3】
【0063】
グルタチオン感受性化合物またはグルタチオン感受性部分:
本明細書で使用される場合、「グルタチオン感受性化合物」または「グルタチオン感受性部分」という用語は互換的に使用され、ジスルフィド架橋またはスルホニル基などの、少なくとも1つのグルタチオン感受性結合を含有する任意の化合物(例えば、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、もしくはヌクレオシド)または部分を指す。本明細書で使用される場合、「グルタチオン感受性オリゴヌクレオチド」は、グルタチオン感受性結合を含有する少なくとも1つのヌクレオチドを含有するオリゴヌクレオチドである。
【0064】
ハロ:
本明細書で使用される場合、「ハロ」及び「ハロゲン」という用語は、互換性であり、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素から選択される原子を指す。
【0065】
ハロアルキル:
本明細書で使用される場合、「ハロアルキル」という用語は、それに取り付けられた1つ以上のハロゲン原子を有するアルキル基を指し、クロロメチル、ブロモエチル、トリフルオロメチル等のような基により例示される。
【0066】
ヘテロアリール:
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」という用語は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有する芳香環系を指す。ヘテロアリール環は、1つ以上のヘテロアリール環、芳香族、もしくは非芳香族炭化水素環またはヘテロシクロアルキル環に縮合することができるか、または別の方法で結合することができる。
【0067】
複素環:
本明細書で使用される場合、「複素環」または「複素環式」という用語は、環構造の部分として1つ以上のヘテロ原子(例えば、N、O、Sなど)を含有し、且つ3~14の炭素原子の範囲を有する非芳香族環式(すなわち、環含有)基を指す。「置換複素環式」または「置換複素環」は、1つ以上の置換基をさらに有する複素環式基を指す。
【0068】
ヌクレオチド間結合基:
本明細書で使用される場合、「ヌクレオチド間結合基」または「ヌクレオチド間結合」という用語は、2つのヌクレオシド部分を共有結合することが可能な化学基を指す。通常は、化学基は、ホスホまたはホスファイト基を含有するリン含有結合基である。ホスホ結合基は、ホスホジエステル結合、ホスホロジチオアート結合、ホスホロチオアート結合、ホスホトリエステル結合、チオノアルキルホスホナート結合、チオノアルキルホスホトリエステル結合、ホスホルアミダイト結合、ホスホナート結合、及び/またはボラノホスファート結合を含むものとする。多くのリン含有結合は、例えば、米国特許第3,687,808号;同第4,469,863号;同第4,476,301号;同第5,023,243号;同第5,177,196号;同第5,188,897号;同第5,264,423号;同第5,276,019号;同第5,278,302号;同第5,286,717
号;同第5,321,131号;同第5,399,676号;同第5,405,939号;同第5,453,496号;同第5,455,233号;同第5,466,677号;同第5,476,925号;同第5,519,126号;同第5,536,821号;同第5,541,306号;同第5,550,111号;同第5,563,253号;同第5,571,799号;同第5,587,361号;同第5,194,599号;同第5,565,555号;同第5,527,899号;同第5,721,218号;同第5,672,697号、及び同第5,625,050号に開示されるように、当該技術分野で周知である。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、リン原子を含有しない1つ以上のヌクレオチド間結合基、このような短鎖アルキルもしくはシクロアルキルヌクレオチド間結合、混合したヘテロ原子及びアルキルもしくはシクロアルキルヌクレオチド間結合、または限定されないが、シロキサン主鎖;硫化物、スルホキシド、及びスルホン主鎖;ホルムアセチル及びチオホルムアセチル主鎖;メチレンホルムアセチル及びチオホルムアセチル主鎖;リボアセチル主鎖;アルケン含有主鎖;スルファマート主鎖;メチレンイミノ及びメチレンヒドラジノ主鎖;スルホナート及びスルホンアミド主鎖;ならびにアミド主鎖を有するものを含む、1つ以上の短鎖ヘテロ原子もしくは複素環式ヌクレオチド間結合を含有する。非リン含有結合は、例えば、米国特許第5,034,506号;同第5,166,315号;同第5,185,444号;同第5,214,134号;同第5,216,141号;同第5,235,033号;同第5,264,562号;同第5,264,564号;同第5,405,938号;同第5,434,257号;同第5,466,677号;同第5,470,967号;同第5,489,677号;同第5,541,307号;同第5,561,225号;同第5,596,086号;同第5,602,240号;同第5,610,289号;同第5,602,240号;同第5,608,046号;同第5,610,289号;同第5,618,704号;同第5,623,070号;同第5,663,312号;同第5,633,360号;同第5,677,437号;同第5,792,608号;同第5,646,269号;及び同第5,677,439号に開示されるように、当該技術分野で周知である。
【0069】
ループ:
本明細書で使用される場合、「ループ」という用語は、核酸の一本鎖により形成される構造を指し、特定の一本鎖ヌクレオチド領域に隣接する相補的領域は、相補的領域間の一本鎖ヌクレオチド領域が二重鎖形成またはWatson-Crick塩基対合から除外されるようにハイブリダイズする。ループは、任意の長さの一本鎖ヌクレオチド領域である。ループの例としては、ヘアピン及びテトラループのような構造中に存在する不対合のヌクレオチドが挙げられる。
【0070】
マイクロRNA:
本明細書で使用される場合、「マイクロRNA」、「成熟マイクロRNA」、「miRNA」、及び「miR」という用語は、互換性であり、植物及び動物のゲノムにおいてコードされる非コードRNA分子を指す。通常は、成熟マイクロRNAは、長さが約18~25ヌクレオチドである。特定の場合では、高度に保存された、内因的に発現されたマイクロRNAは、特定のmRNAの3’-非翻訳領域(3’-UTR)に結合することにより遺伝子の発現を制御する。特定の成熟マイクロRNAは、長さが数百ヌクレオチドであることが多い、長い内因性プライマリーマイクロRNA転写物(pre-マイクロRNA、pri-マイクロRNA、pri-mir、pri-miR、またはpri-pre-マイクロRNAとしても知られる)に由来するようにみえる(Lee,et al.,EMBO J.,2002,21(17),4663-4670)。
【0071】
修飾ヌクレオシド:
本明細書で使用される場合、「修飾ヌクレオシド」という用語は、修飾もしくはユニバーサル核酸塩基または修飾糖のうちの1つ以上を含有するヌクレオシドを指す。修飾また
はユニバーサル核酸塩基(本明細書では塩基アナログとも呼ばれる)は一般に、ヌクレオシド糖部分の1’位に位置し、1’位のアデニン、グアニン、シトシン、チミン、及びウラシル以外の核酸塩基を指す。特定の実施形態では、修飾またはユニバーサル核酸塩基は、窒素塩基である。特定の実施形態では、修飾核酸塩基は、窒素原子を含有しない。例えば、米国特許出願第20080274462号を参照のこと。特定の実施形態では、修飾ヌクレオチドは、核酸塩基を含有しない(無塩基)。修飾糖(本明細書では糖アナログとも呼ばれる)は、例えば、修飾が糖の2’-、3’-、4’-、または5’-炭素の位置で起こる場合、修飾デオキシリボースまたはリボース部分を含む。修飾糖は、ロック核酸(「LNA」)(例えば、Koshkin et al.(1998),Tetrahedron,54,3607-3630を参照のこと);架橋型核酸(「BNA」)(例えば、米国特許第7,427,672号及びMitsuoka et al.(2009),Nucleic Acids Res.,37(4):1225-38);ならびにアンロック核酸(「UNA」)(例えば、Snead et al.(2013),Molecular Therapy-Nucleic Acids,2,e103(doi:10.1038/mtna.2013.36))中に存在するような非天然代替炭素構造も含んでもよい。本開示の文脈における好適な修飾もしくはユニバーサル核酸塩基または修飾糖は、本明細書に記載される。
【0072】
修飾ヌクレオチド:
本明細書で使用される場合、「修飾ヌクレオチド」という用語は、修飾またはユニバーサル核酸塩基、修飾糖、または修飾リン酸のうちの1つ以上を含有するヌクレオチドを指す。修飾またはユニバーサル核酸塩基(本明細書では塩基アナログとも呼ばれる)は一般に、ヌクレオシド糖部分の1’位に位置し、1’位のアデニン、グアニン、シトシン、チミン、及びウラシル以外の核酸塩基を指す。特定の実施形態では、修飾またはユニバーサル核酸塩基は、窒素塩基である。特定の実施形態では、修飾核酸塩基は、窒素原子を含有しない。例えば、米国特許出願第20080274462号を参照のこと。特定の実施形態では、修飾ヌクレオチドは、核酸塩基を含まない(無塩基)。修飾糖(本明細書では糖アナログとも呼ばれる)は、例えば、修飾が糖の2’-、3’-、4’-、または5’-炭素の位置で起こる場合、修飾デオキシリボースまたはリボース部分を含む。修飾糖は、ロック核酸(「LNA」)(例えば、Koshkin et al.(1998),Tetrahedron,54,3607-3630を参照のこと)、架橋型核酸(「BNA」)(例えば、米国特許第7,427,672号及びMitsuoka et al.(2009),Nucleic Acids Res.,37(4):1225-38);ならびにアンロック核酸(「UNA」)(例えば、Snead et al.(2013),Molecular Therapy-Nucleic Acids,2,e103(doi:10.1038/mtna.2013.36))中に存在するような非天然代替炭素構造も含んでもよい。修飾リン酸基は、天然のヌクレオチドには存在しないリン酸基の修飾を指し、本明細書に記載されるような天然に存在しないリン酸模倣体を含む。修飾リン酸基は、本明細書に記載のように、リン含有ヌクレオチド間結合基及び非リン含有結合基の両方を含む天然に存在しないヌクレオチド間結合基も含む。本開示の文脈における好適な修飾もしくはユニバーサル核酸塩基、修飾糖、または修飾リン酸は本明細書に記載される。
【0073】
裸のオリゴヌクレオチド:
本明細書で使用される場合、「裸のオリゴヌクレオチド」という用語は、保護脂質ナノ粒子または他の保護製剤に製剤化されておらず、且つそれにより、in vivoで投与された時に、血液及びエンドソーム/リソソーム区画に露出されるオリゴヌクレオチドを指す。
【0074】
天然ヌクレオシド:
本明細書で使用される場合、「天然ヌクレオシド」という用語は、糖(例えば、デオキシリボースもしくはリボースまたはそれらのアナログ)とのN-グリコシド結合における複素環式窒素塩基を指す。天然の複素環式窒素塩基は、アデニン、グアニン、シトシン、ウラシル、及びチミンを含む。
【0075】
天然ヌクレオチド:
本明細書で使用される場合、「天然ヌクレオチド」という用語は、リン酸基に結合している糖(例えば、リボースもしくはデオキシリボースまたはそれらのアナログ)とのN-グリコシド結合中の複素環式窒素塩基を指す。天然の複素環窒素塩基は、アデニン、グアニン、シトシン、ウラシル、及びチミンを含む。
【0076】
核酸阻害剤分子:
本明細書で使用される場合、「核酸阻害剤分子」という用語は、標的遺伝子の発現を低減または排除するオリゴヌクレオチド分子を指し、オリゴヌクレオチド分子は、標的遺伝子のmRNAの配列を特異的に標的とする領域を含有する。通常は、核酸阻害剤分子の標的領域は、核酸阻害剤分子の効果を特定の標的遺伝子に向けるために、標的遺伝子のmRNA上の配列と十分に相補的な配列を含む。核酸阻害剤分子は、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、及び/または修飾ヌクレオチドを含んでもよい。
【0077】
ヌクレオシド:
本明細書で使用される場合、「ヌクレオシド」という用語は、天然ヌクレオチドまたは修飾ヌクレオシドを指す。
【0078】
ヌクレオチド:
本明細書で使用される場合、「ヌクレオチド」という用語は、天然ヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドを指す。
【0079】
ヌクレオチド位置:
本明細書で使用される場合、「ヌクレオチド位置」という用語は、5’末端のヌクレオチドから数えられた場合、オリゴヌクレオチド中のヌクレオチドの位置を指す。例えば、ヌクレオチド位置1は、オリゴヌクレオチドの5’末端ヌクレオチドを指す。
【0080】
オリゴヌクレオチド:
本明細書で使用される場合、本明細書で使用される「オリゴヌクレオチド」という用語は、2~2500ヌクレオチドの範囲であるポリマー形態のヌクレオチドを指す。オリゴヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖であってよい。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは通常、例えば、オリゴヌクレオチドが遺伝子療法に使用される場合、500~1500ヌクレオチドを有する。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖であり、7~100ヌクレオチドを有する。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖であり、15~100ヌクレオチドを有する。別の実施形態では、オリゴヌクレオチドは通常、例えば、オリゴヌクレオチドが核酸阻害剤分子である場合、15~50ヌクレオチドを有する一本鎖または二本鎖である。別の実施形態では、オリゴヌクレオチドは通常、例えば、オリゴヌクレオチドが核酸阻害剤分子である場合、25~40ヌクレオチドを有する一本鎖または二本鎖である。さらに別の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖であり、19~40または19~25ヌクレオチドを有し、通常は、例えば、オリゴヌクレオチドは、二本鎖核酸阻害剤分子であり、少なくとも18~25の塩基対の二重鎖を形成する。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、一本鎖であり、15~25ヌクレオチドを有し、通常は、例えば、オリゴヌクレオチドヌクレオチドは、一本鎖RNAi阻害剤分子である。通常は、オリゴヌクレオチドは、本明細書に記載されるように、1つ以上のリン含有ヌクレオチド間結合基を含有す
る。他の実施形態では、ヌクレオチド間結合基は、本明細書に記載されるような非リン含有結合である。
【0081】
オーバーハング:
本明細書で使用される場合、「オーバーハング」という用語は、二本鎖核酸阻害剤分子のいずれかの鎖のいずれかの末端の、末端の塩基対合しないヌクレオチド(複数可)を指す。特定の実施形態では、オーバーハングは、第1の鎖または領域が二重鎖を形成する相補鎖の末端を越えて伸長する1つの鎖または領域からもたらされる。塩基対の水素結合により二重鎖を形成することが可能な2つのオリゴヌクレオチド領域の一方または両方は、2つのポリヌクレオチドまたは領域で共有される相補性の3’末端及び/または5’末端を越えて伸長する5’末端及び/または3’末端を有してもよい。二重鎖の3’末端及び/または5’末端を越えて伸長する一本鎖領域は、オーバーハングと呼ばれる。
【0082】
医薬組成物:
本明細書で使用される場合、「医薬組成物」という用語は、薬理学的有効量のリン酸アナログ修飾オリゴヌクレオチド及び薬学的に許容される賦形剤を含む。本明細書で使用される場合、「薬理学的有効量」、「治療的有効量」、または「有効量」は、意図される薬理学的、治療的、または予防的結果を生じるのに有効な本開示のリン酸アナログ修飾オリゴヌクレオチドの量を指す。
【0083】
薬学的に許容される賦形剤:
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、賦形剤が、妥当な利益/危険率に見合って、過度の有害な副作用(例えば、毒性、刺激、及びアレルギー反応)がなく、ヒト及び/または動物での使用に適することを意味する。
【0084】
ホスホルアミダイト:
本明細書で使用される場合、「ホスホルアミダイト」という用語は、窒素含有三価リン誘導体を指す。好適なホスホルアミダイトの例は、本明細書に記載される。
【0085】
ポテンシー:
本明細書で使用される場合、「ポテンシー」は、細胞において意図された標的に対する特定のレベルの活性を得るために、in vivoまたはin vitro投与されなければならないオリゴヌクレオチドまたは他の薬物の量を指す。例えば、1mg/kgの用量で対象においてその標的の発現を90%抑制するオリゴヌクレオチドは、100mg/kgの用量で対象においてその標的の発現を90%抑制するオリゴヌクレオチドよりも高いポテンシーを有する。
【0086】
保護基:
本明細書で使用される場合、「保護基」という用語は、所望の反応の特定の条件下で官能基に非反応性を可逆的に与える基として、従来の化学的意味で使用される。所望の反応の後、保護基は、保護官能基を脱保護するために除去され得る。全ての保護基は、合成される分子の実質的な割合を劣化させない条件下で除去可能であるべきである。
【0087】
リボヌクレオチド:
本明細書で使用される場合、「リボヌクレオチド」という用語は、糖部分の2’位にヒドロキシル基を有する天然または修飾ヌクレオチドを指す。
【0088】
リボザイム:
本明細書で使用される場合、「リボザイム」という用語は、DNAまたはRNAのいずれかであり得る、異なる標的核酸配列を特異的に認識及び切断する触媒核酸分子を指す。
各リボザイムは、触媒的構成要素(「触媒ドメイン」とも呼ばれる)及び触媒ドメインの両側に1つずつある2つの結合ドメインからなる標的配列結合構成要素を有する。
【0089】
RNAi阻害剤分子:
本明細書で使用される場合、「RNAi阻害剤分子」という用語は、(a)アンチセンス鎖もしくはアンチセンス鎖の一部が標的mRNAの切断においてアルゴノート2(Ago2)エンドヌクレアーゼにより使用されるセンス鎖(パッセンジャー)及びアンチセンス鎖(ガイド)を有する二本鎖核酸阻害剤分子(「dsRNAi阻害剤分子」)または(b)アンチセンス鎖(もしくはそのアンチセンス鎖の一部)が標的mRNAの切断においてAgo2エンドヌクレアーゼにより使用される単一のアンチセンス鎖を有する一本鎖核酸阻害剤分子(「ssRNAi阻害剤分子」)、のいずれかを指す。
【0090】
センス鎖:
二本鎖RNAi阻害剤分子は、2つのオリゴヌクレオチド鎖:アンチセンス鎖及びセンス鎖、を含む。センス鎖またはその領域は、二本鎖RNAi阻害物質分子またはその領域のアンチセンス鎖と部分的に、実質的に、または完全に相補的である。特定の実施形態では、センス鎖は、アンチセンス鎖と非相補的であるヌクレオチドも含有してもよい。非相補的ヌクレオチドは、相補配列のどちら側にあってもよく、または相補配列の両側にあってもよい。特定の実施形態では、センス鎖またはその領域は、アンチセンス鎖またはその領域と部分的にまたは実質的に相補的である場合、非相補的ヌクレオチドは、1つ以上の相補的な領域の間に位置してもよい(例えば、1つ以上のミスマッチ)。センス鎖は、パッセンジャー鎖とも呼ばれる。
【0091】
置換基または置換された:
本明細書で使用される「置換基」または「置換」という用語は、所与の構造中の水素ラジカルの、置換基のラジカルとの置換を指す。任意の所与の構造中の2つ以上の位置が2つ以上の置換基で置換され得る時、置換基は、別途指示のない限り、全ての位置で同じか、または異なっていてもよい。本明細書で使用される場合、「置換された」という用語は、有機化合物と相溶性のある全ての許容される置換基を含むと考えられる。許容される置換基は、有機化合物の非環式及び環式、分岐及び非分岐、炭素環及び複素環、芳香族及び非芳香族置換基を含む。本開示は、有機化合物の許容される置換基によるいかなる手法でも限定されるものではない。
【0092】
スルホニル基:
本明細書で使用される場合、「スルホニル基」という用語は、二価の基、-SO2-を含有する化合物を指す。特定の実施形態では、硫黄原子は、2つの炭素原子及び2つの酸素原子に共有結合している。他の実施形態では、硫黄原子は、炭素原子、窒素原子、及び2つの酸素原子に共有結合している。
【0093】
全身投与:
本明細書で使用される場合、「全身投与」という用語は、血流中の薬物のin vivo全身吸収または蓄積、続く、全身への分布を指す。
【0094】
対象部位:
本明細書で使用される場合、「標的部位」、「標的配列」、「標的核酸」、「標的領域」、「標的遺伝子」という用語は、互換的に使用され、例えば、その標的配列と部分的に、実質的に、または完全に、もしくは十分に相補的であるガイド/アンチセンス領域内に配列を含有するRNAi阻害剤分子により媒介される切断のために、「標的」とされるRNAまたはDNA配列を指す。
【0095】
テトラループ:
本明細書で使用される場合、「テトラループ」という用語は、隣接するWatson-Crickハイブリダイズしたヌクレオチドの安定性に寄与する安定な2次構造を形成するループ(一本鎖領域)を指す。理論に限定されることなく、テトラループは、スタッキング相互作用により隣接するWatson-Crick塩基対を安定化し得る。加えて、テトラループにおけるヌクレオチド間の相互作用は、非Watson-Crick塩基対合、スタッキング相互作用、水素結合、及び接触相互作用を含むが、これらに限定されない(Cheong et al.,Nature 1990; 346(6285):680-2;Heus and Pardi,Science 1991;253(5016):191-4)。テトラループは、ランダム塩基からなる単純なモデルループ配列から予想されるよりも高い、隣接する二重鎖の融解温度(Tm)の増加をもたらす。例えば、テトラループは、長さが少なくとも2塩基対の二重鎖を含むヘアピンに、10mMのNaHPO4中で、少なくとも50℃、少なくとも55℃、少なくとも56℃、少なくとも58℃、少なくとも60℃、少なくとも65℃、または少なくとも75℃の融解温度をもたらし得る。テトラループは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、修飾ヌクレオチド、及びそれらの組み合わせを含有してもよい。特定の実施形態では、テトラループは、4つのヌクレオチドからなる。特定の実施形態では、テトラループは、5つのヌクレオチドからなる。
【0096】
RNAテトラループの例としては、UNCGファミリーのテトラループ(例えば、UUCG)、GNRAファミリーのテトラループ(例えば、GAAA)、及びCUUGテトラループを含む(Woese et al.,PNAS,1990,87(21):8467-71;Antao et al.,Nucleic Acids Res.,1991,19(21):5901-5)。DNAテトラループの例としては、d(GNNA)ファミリーのテトラループ(例えば、d(GTTA)、d(GNRA))ファミリーのテトラループ、d(GNAB)ファミリーのテトラループ、d(CNNG)ファミリーのテトラループ、及びd(TNCG)ファミリーのテトラループ(例えば、d(TTCG))が挙げられる(Nakano et al.Biochemistry,2002,41(48):14281-14292.Shinji et al.,Nippon Kagakkai Koen Yokoshu,2000,78(2):731)。
【0097】
I.緒言
本出願は、核酸阻害剤分子などのリン酸アナログ修飾オリゴヌクレオチドを提供する。目的のオリゴヌクレオチドの5’末端ヌクレオチドは、本明細書に記載されるようにリン酸含有部分で修飾される。本修飾は、血中及び/または細胞内、例えば、細胞のエンドソーム/リソソーム区画内に存在する、ホスファターゼ及び/またはヌクレアーゼ、例えば、エキソヌクレアーゼ、に対しオリゴヌクレオチドを保護することを助け得るので、in
vivoでの使用に特に適する。通常は、リン酸アナログ修飾オリゴヌクレオチドは、dsRNAi阻害剤分子、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、アプタマー、miRNA、及びssRNAi阻害剤分子などの核酸阻害剤分子である。
【0098】
本開示によるリン酸アナログを含有する5’末端ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドを合成するために使用され得るホスホルアミダイト部分を含むリン酸アナログ修飾ヌクレオシドもまた提供される。
II.リン酸アナログ修飾オリゴヌクレオチド
【0099】
一態様は、核酸阻害剤分子などのオリゴヌクレオチドに関し、オリゴヌクレオチドは、通常は5’末端ヌクレオチドに、4’-リン酸アナログを含む。通常は、4’-リン酸アナログは、オキシメチル基の酸素原子が糖部分またはそのアナログの4’-炭素に結合しているオキシメチルホスホナートである。他の実施形態では、リン酸アナログは、チオメ
チル基の硫黄原子またはアミノメチル基の窒素原子が糖部分またはそのアナログの4’-炭素に結合しているチオメチルホスホナートまたはアミノメチルホスホナートである。
【0100】
特定の実施形態では、4’-リン酸アナログは、オキシメチルホスホナートである。通常は、オキシメチルホスホナートは、-O-CH2-PO(OH)2または-O-CH2-PO(OR)2で表され、Rは独立して、H、CH3、アルキル基、CH2CH2CN、CH2OCOC(CH3)3、CH2OCH2CH2Si(CH3)3、または保護基から選択される。特定の実施形態では、アルキル基は、CH2CH3である。より一般的には、Rは独立して、H、CH3、またはCH2CH3から選択される。
【0101】
1.式I及びII
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、式Iまたは式II:
【化4】
(式中、R
a及びR
bはそれぞれ独立して、水素、CH
3、CH
2CH
3、CH
2CH
2CN、CH
2OCOC(CH
3)
3、CH
2OCH
2CH
2Si(CH
3)
3、または保護基から選択され、
Bは、天然核酸塩基、修飾核酸塩基、ユニバーサル塩基であるか、または存在せず、
M
1は、O、S、NR’、CR’R”であり、
R
4、R
5、R
6、もしくはR
7はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、OH、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキルからなる選択されるか、またはR
4、R
5、R
6、及びR
7のうちの2つは、一緒になって5~8員環を形成し、環は任意に、ヘテロ原子を含有し、
X
1は、存在しないか、またはO、S、NR’、もしくはCR’R”から選択され、
Yは、5’末端ヌクレオチドをオリゴヌクレオチドに結合させるヌクレオチド間結合基であり、
R
8は、グルタチオン感受性部分であるか、または存在しない、
R
8がグルタチオン感受性部分である場合、X
2は、O、S、Se、もしくはNR’であるか、またはR
8が存在しない場合、X
2は、H、OH、SH、NH
2、ハロゲン、任意に置換されたアルコキシ、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたアルキルチオ、任意に置換されたアルキルアミノもしくはジアルキルアミノであり、アルキル、アルケニル、及びアルキニルの1つ以上のメチレンは、O、S、S(O)、SO
2、N(R’)、C(O)、N(R’)C(O)O、OC(O)N(R’)、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換された複素環もしくは任意に置換されたシクロアルキル、O、S、Se、またはNHR’のうちの1つ以上で干渉されてもよく、
R’及びR”はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換の脂肪族、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換の複素環、または置換もしくは非置換のシクロアルキルである)で表される5’末端ヌクレオチドを含む。
【0102】
特定の実施形態では、5’末端ヌクレオチドは、式Iで表される。
【0103】
特定の実施形態では、5’末端ヌクレオチドは、式IIで表される。
【0104】
特定の実施形態では、Bは、天然核酸塩基である。
【0105】
特定の実施形態では、M1は、Oである。
【0106】
特定の実施形態では、ハロゲンは、フッ素である。
【0107】
特定の実施形態では、R4、R5、R6、及びR7は独立して、水素、フッ素、CH3、またはC1-C6アルキルから選択される。通常は、R4、R5、R6、及びR7は、水素である。
【0108】
特定の実施形態では、X1は、Oである。
【0109】
特定の実施形態では、Ra及びRbは、水素である。特定の実施形態では、Raは、CH3であり、Rbは、水素である。特定の実施形態では、Ra及びRbは、CH3である。特定の実施形態では、Raは、CH2CH3であり、Rbは、水素である。特定の実施形態では、Ra及びRbは、CH2CH3である。
【0110】
特定の実施形態では、M1は、Oであり、X2は、Oであり、R4、R5、R6、及びR7は、水素である。
【0111】
特定の実施形態では、X2は、O、S、SeもしくはNHR’であり、R’は、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換脂肪族、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換複素環、または置換もしくは非置換のシクロアルキルから選択され、R8は、グルタチオン感受性部分である。通常は、X2は、Oであり、R8は、グルタチオン感受性部分であり、5’末端ヌクレオチドは、式Iで表される。
【0112】
特定の実施形態では、X2は、ハロゲンまたは任意に置換されたアルコキシであり、R8は、存在しない。通常は、X2は、F、OCH2CH2OCH3、またはOCH3であり、R8は、存在せず、5’末端ヌクレオチドは、式Iで表される。
【0113】
特定の実施形態では、M1は、Oであり、X2は、Oであり、R4、R5、R6、及びR7は、水素であり、Bは、天然の核酸塩基であり;X1は、存在しないか、またはOであり、5’末端ヌクレオチドは、式Iで表される。
【0114】
2.式III
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、式III:
【化5】
(式中、R
a及びR
bはそれぞれ独立して、水素、CH
3、CH
2CH
3、CH
2CH
2CN、CH
2OCOC(CH
3)
3、CH
2OCH
2CH
2Si(CH
3)
3、または保護基から選択され、
Bは、天然核酸塩基、修飾核酸塩基、ユニバーサル塩基であるか、または存在せず、
Yは、5’末端ヌクレオチドをオリゴヌクレオチドに結合させるヌクレオチド間結合基であり、
X
2はOH、F、OCH
3、またはOCH
2CH
2OCH
3であり、且つR
8は存在しないか、またはX
2はOであり、且つR
8はグルタチオン感受性部分である)で表される5’末端ヌクレオチドを含む。
【0115】
特定の実施形態では、Bは、天然核酸塩基である。
【0116】
特定の実施形態では、Ra及びRbはそれぞれ独立して、水素、CH3、及びCH2CH3から選択される。
【0117】
特定の実施形態では、X2は、FまたはOCH3であり、R8は、存在しない。
【0118】
特定の実施形態では、X2は、Oであり、R8は、グルタチオン感受性部分である。
【0119】
特定の実施形態では、Ra及びRbは、水素であり、R8は、存在せず、X2は、FまたはOCH3である。
【0120】
特定の実施形態では、Raは、CH3であり、Rbは、水素であり、R8は、存在せず、X2は、FまたはOCH3である。
【0121】
特定の実施形態では、Ra及びRbは、CH3であり、R8は、存在せず、X2は、FまたはOCH3である。
【0122】
特定の実施形態では、Raは、CH2CH3であり、Rbは、水素であり、R8は、存在せず、X2は、FまたはOCH3である。
【0123】
特定の実施形態では、Ra及びRbは、CH2CH3であり、R8は、存在せず、X2は、FまたはOCH3である。
【0124】
3.式IV
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、式IV:
【化6】
(式中、Bは、天然核酸塩基、修飾核酸塩基、ユニバーサル塩基であるか、または存在せず、
Yは、5’末端ヌクレオチドをオリゴヌクレオチドに結合させるヌクレオチド間結合基であり、
X
2は、OH、F、OCH
3、またはOCH
2CH
2OCH
3である)で表される5’末端ヌクレオチドを含む。
【0125】
特定の実施形態では、Bは、天然核酸塩基である。
【0126】
特定の実施形態では、X2は、FまたはOCH3である。
4.式V
【0127】
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、式V:
【化7】
(式中、Bは、天然核酸塩基、修飾核酸塩基、ユニバーサル塩基であるか、または存在せず、
Yは、5’末端ヌクレオチドをオリゴヌクレオチドに結合させるヌクレオチド間結合基であり、
X
2は、OH、F、OCH
3、またはOCH
2CH
2OCH
3である)で表される5’末端ヌクレオチドを含む。
【0128】
特定の実施形態では、Bは、天然核酸塩基である。
【0129】
特定の実施形態では、X2は、FまたはOCH3である。
【0130】
5.式VI
一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、5’末端ヌクレオチドを含み、5’末端ヌクレオチドは、式VI:
【化8】
(式中、R
a及びR
bはそれぞれ独立して、水素、CH
3、CH
2CH
3、CH
2CH
2CN、CH
2OCOC(CH
3)
3、CH
2OCH
2CH
2Si(CH
3)
3、または保護基から選択され、
Vは、Oであり、
Zは、糖部分を含むヌクレオシドであり、
Yは、5’末端ヌクレオチドをオリゴヌクレオチドに結合させるヌクレオチド間結合基であり、
Vは、糖部分の4’-炭素に結合している)で表される。
【0131】
通常は、糖部分は、フラノースであり、Vは、フラノースの4’-炭素に結合している。
【0132】
特定の実施形態では、Ra及びRbは、水素である。特定の実施形態では、Raは、CH3であり、Rbは、水素である。特定の実施形態では、Ra及びRbは、CH3である。特定の実施形態では、Raは、CH2CH3であり、Rbは、水素である。特定の実施形態では、Ra及びRbは、CH2CH3である。
【0133】
6.式VII
一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、5’末端ヌクレオチドを含み、5’末端ヌクレオチドは、式VII:
【化9】
(式中、R
1は、OまたはSであり、
R
2及びR
3はそれぞれ独立して、OH、SH、NH
2、OCH
3、OR
9、OCH
2CH
2CN、OCH
2OCOC(CH
3)
3、及びOCH
2OCH
2CH
2Si(CH
3)
3から選択され、R
9は、アルキルであり、OH、SH、及びNH
2は、任意に保護基で保護され、
Vは、O、S、NR’、CR’R”であり、R’及びR”はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換脂肪族、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換複素環、または置換もしくは非置換のシクロアルキルであり、
Zは、糖部分を含むヌクレオシドであり、
Yは、5’末端ヌクレオチドをオリゴヌクレオチドに結合させるヌクレオチド間結合基であり、
Vは、糖部分の4’-炭素に結合している)で表される。
【0134】
通常は、糖部分は、フラノースであり、Vは、フラノースの4’-炭素に結合している。
【0135】
特定の実施形態では、R2またはR3はそれぞれ独立して、OH、OCH3、またはOR9から選択され、R9は、C1-C6アルキルである。特定の実施形態では、R9は、CH2CH3である。
【0136】
通常は、R1は、Oである。
【0137】
特定の実施形態では、R1は、Oであり、R2は、OH、OCH3、またはOCH2CH3であり、R3は、OH、OCH3、またはOCH2CH3である。特定の実施形態では、R1は、Oであり、R2は、OHであり、R3は、OHである。特定の実施形態では、R1は、Oであり、R2は、OCH3またはOCH2CH3であり、R3は、OHである。特定の実施形態では、R1は、Oであり、R2は、OCH3であり、R3は、OHである。特定の実施形態では、R1は、Oであり、R2及びR3は、OCH3である。特定の実施形態では、R1は、Oであり、R2は、OCH2CH3であり、R3は、OHである。特定の実施形態では、R1は、Oであり、R2及びR3は、OCH2CH3である。
【0138】
7.式VIIIまたはIX
一部の実施形態では、本開示は、式VIIIまたは式IX:
【化10】
(式中、R
1は、OまたはSであり、
R
2及びR
3はそれぞれ独立して、OH、SH、NH
2、OCH
3、OR
9、OCH
2CH
2CN、OCH
2OCOC(CH
3)
3、及びOCH
2OCH
2CH
2Si(CH
3)
3から選択され、R
9は、アルキルであり、OH、SH、及びNH
2は、任意に保護され、
Wは、NまたはSであり、
B、M
1、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、X
1、X
2、及びYは、式Iまたは式IIに記載の通りである)で表される5’末端ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドを提供する。
【0139】
特定の実施形態では、Wは、Nである。
【0140】
特定の実施形態では、Wは、Sである。
【0141】
特定の実施形態では、R1は、Oである。
【0142】
特定の実施形態では、R2またはR3はそれぞれ独立して、OH、OCH3、またはOR9から選択され、R9は、C1-C6アルキルである。特定の実施形態では、R9は、CH2CH3である。
【0143】
通常は、R1は、Oである。
【0144】
本明細書に記載されるような4’-リン酸アナログを含むオリゴヌクレオチドは、目的の任意のヌクレオチド配列を含み得る。特定の実施形態では、式I~IXのオリゴヌクレオチドは、7~100ヌクレオチドを有する。他の実施形態では、式I~IXのオリゴヌクレオチドは、15~50ヌクレオチドを有する。他の実施形態では、式I~IXのオリゴヌクレオチドは、25~40ヌクレオチドを有する。さらに別の実施形態では、式I~IXのオリゴヌクレオチドは、19~25ヌクレオチドを有する。
【0145】
A.核酸阻害剤分子
特定の実施形態では、4’-リン酸アナログを含むオリゴヌクレオチドは、核酸阻害剤分子である。種々のオリゴヌクレオチド構造は、一本鎖及び二本鎖オリゴヌクレオチドを含む核酸阻害剤分子として使用されており、これらの種々のオリゴヌクレオチドのいずれかは、式I~IXのいずれか1つの5’末端ヌクレオチドを含む、本明細書に記載されるような4’-リン酸アナログ修飾ヌクレオチドを含むように修飾することができる。
【0146】
二本鎖核酸阻害剤分子
一部の実施形態では、本明細書に記載の核酸阻害剤分子は、センス(またはパッセンジャー)鎖及びアンチセンス(またはガイド)鎖を有し、且つ本明細書に記載されるような、4’-リン酸アナログを有する少なくとも1つのヌクレオチドを含む二本鎖RNAi阻害剤分子である。上記のように、例えば、(a)各鎖が、19~25ヌクレオチドのサイズを有し、1~5ヌクレオチドの少なくとも1つの3’-オーバーハングを有する、二本鎖核酸分子(例えば、米国特許第8,372,968号を参照のこと);(b)ダイサー酵素によりin vivoでプロセシングされて、RNAi阻害剤分子を活性化する長い二本鎖RNAi阻害剤分子(例えば、米国特許第8,883,996号を参照のこと);及び(c)鎖の1つが、熱力学的に安定化するテトラループ構造を含む構造を含む、少なくとも1つの鎖の少なくとも一端が分子の二本鎖標的領域を越えて伸長する二本鎖核酸阻害剤分子(例えば、これらの二本鎖の核酸阻害剤分子の開示について参照により取り込まれる米国特許第8,513,207号、米国特許第8,927,705号、WO2010/033225、及びWO2016/100401を参照のこと)を含む様々な二本鎖RNAi阻害剤分子構造が当該分野で既知である。
【0147】
dsRNAi阻害剤分子の一部の実施形態では、センス鎖及びアンチセンス鎖は、15~66、25~40、または19~25ヌクレオチドの範囲である。一部の実施形態では、センス鎖は、長さが18~66ヌクレオチドである。特定の実施形態では、センス鎖は、長さが18~25ヌクレオチドである。特定の実施形態では、センス鎖は、長さが18、19、20、21、22、23、または24ヌクレオチドである。それらの実施形態の一部では、センス鎖は、長さが25~45ヌクレオチドである。特定の実施形態では、センス鎖は、長さが30~40ヌクレオチドである。特定の実施形態では、センス鎖は、長さが36、37、38、39、または40ヌクレオチドである。特定の実施形態では、センス鎖は、長さが25~30ヌクレオチドである。それらの実施形態の一部では、センス鎖は、長さが25、26、または27ヌクレオチドである。
【0148】
dsRNAi阻害剤分子の一部の実施形態では、アンチセンス鎖は、長さが18~66ヌクレオチドである。通常は、アンチセンス鎖は、核酸阻害剤分子の効果を標的遺伝子に向けるために、標的遺伝子のmRNA中の配列と十分に相補的な配列を含む。特定の実施
形態では、アンチセンス鎖は、完全に相補的な配列が18~40ヌクレオチド長である、標的遺伝子のmRNAに含まれる配列と完全に相補的である配列を含む。それらの実施形態の一部では、アンチセンス鎖は、長さ20~50ヌクレオチドである。特定の実施形態では、アンチセンス鎖は、長さが20~30ヌクレオチドである。特定の実施形態では、アンチセンス鎖は、長さが21、22、23、24、25、26、27、または28ヌクレオチドである。特定の実施形態では、アンチセンス鎖は、長さが35~40ヌクレオチドである。それらの実施形態の一部では、アンチセンス鎖は、長さが36、37、38、または39ヌクレオチドである。
【0149】
dsRNAi阻害剤分子の一部の実施形態では、センス鎖及びアンチセンス鎖は、15~50塩基対を有する二重鎖構造を形成する。特定の実施形態では、二重鎖領域は、長さが15~45塩基対、より一般的には、長さが15~30塩基対、例えば、18~30、より一般的には、18~26または21~26、例えば、19~23、特定の場合では、長さが19~21塩基対である。特定の実施形態では、二本鎖領域は、長さが19、20、21、22、23、24、25、または26塩基対である。
【0150】
一部の実施形態では、dsRNAi阻害剤分子は、1つ以上の一本鎖ヌクレオチドオーバーハング(複数可)をさらに含んでもよい。通常は、dsRNAi阻害剤分子は、1~10、1~4、または1~2ヌクレオチドの一本鎖オーバーハングを有する。一本鎖オーバーハングは通常、センス鎖の3’末端及び/またはアンチセンス鎖の3’末端に位置する。特定の実施形態では、1~10、1~4、または1~2ヌクレオチドの一本鎖オーバーハングは、アンチセンス鎖の5’末端に位置する。特定の実施形態では、1~10、1~4、または1~2ヌクレオチドの一本鎖オーバーハングは、アンチセンス鎖の5’末端に位置する。特定の実施形態では、1~2ヌクレオチドの一本鎖オーバーハングは、アンチセンス鎖の3’末端に位置する。特定の実施形態では、10ヌクレオチドの一本鎖オーバーハングは、アンチセンス鎖の5’末端に位置する。特定の実施形態では、dsRNAi阻害剤分子は通常、アンチセンス鎖の5’末端に平滑末端を有する。
【0151】
一部の実施形態では、dsRNAi阻害剤分子は、センス及びアンチセンス鎖、ならびに19~21ヌクレオチドの二重鎖領域を含み、センス鎖は、長さが19~21ヌクレオチドであり、アンチセンス鎖は、長さが21~23ヌクレオチドであり、3’末端に1~2ヌクレオチドの一本鎖オーバーハングを含む。
【0152】
特定の実施形態では、dsRNAi阻害剤分子は、長さが21ヌクレオチドのアンチセンス鎖及び長さが21ヌクレオチドのセンス鎖を有し、分子の右側の2ヌクレオチドの3’センス鎖オーバーハング(センス鎖の3’末端/アンチセンス鎖の5’末端)及びアンチセンス鎖の3’末端の2ヌクレオチドの一本鎖オーバーハングがある。このような分子では、19塩基対の二重鎖領域がある。
【0153】
特定の実施形態では、dsRNAi阻害剤分子は、長さが23ヌクレオチドのアンチセンス鎖及び長さが21ヌクレオチドのセンス鎖を有し、分子の右側の平滑末端(センス鎖の3’末端/アンチセンス鎖の5’末端)及び分子の左側の2ヌクレオチドの3’センス鎖オーバーハング(センス鎖の5’末端/アンチセンス鎖の3’末端)がある。このような分子では、21塩基対の二重鎖領域がある。
【0154】
特定の実施形態では、dsRNAi阻害剤分子は、センス及びアンチセンス鎖、ならびに18~34ヌクレオチドの二重鎖領域を含み、センス鎖は、長さが25~34ヌクレオチドであり、アンチセンス鎖は、長さが26~38ヌクレオチドであり、3’末端に1~5つの一本鎖ヌクレオチドを含む。特定の実施形態では、センス鎖は、26ヌクレオチドであり、アンチセンス鎖は、38ヌクレオチドであり、3’末端の2ヌクレオチドの一本
鎖オーバーハング及び5’末端の10ヌクレオチドの一本鎖オーバーハングを有し、センス鎖及びアンチセンス鎖は、26ヌクレオチドの二重鎖領域を形成する。特定の実施形態では、センス鎖は、25ヌクレオチドであり、アンチセンス鎖は、27ヌクレオチドであり、3’末端に2ヌクレオチドの一本鎖オーバーハングを有し、センス鎖及びアンチセンス鎖は、25ヌクレオチドの二重鎖領域を形成する。
【0155】
一部の実施形態では、dsRNAi阻害剤分子は、ステム・ループを含む。通常は、dsRNAi阻害剤分子のパッセンジャー鎖の3’末端領域または5’末端領域がステム・ループ構造を形成する。
【0156】
一部の実施形態では、dsRNAi阻害剤分子は、ステム・テトラループを含有する。dsRNAi阻害剤分子がステム・テトラループを含有する実施形態では、パッセンジャー鎖は、ステム・テトラループを含有し、長さが20~66ヌクレオチドの範囲である。通常は、ガイド鎖及びパッセンジャー鎖は、別々の鎖であり、それぞれは、連続するオリゴヌクレオチドを形成しない5’及び3’末端を有する(「ニックの入った」構造と呼ばれる場合がある)。
【0157】
それらの実施形態の一部では、ガイド鎖は、長さが15~40ヌクレオチドである。特定の実施形態では、ステム・テトラループを含有するパッセンジャー鎖の伸長部分は、鎖の3’末端にある。特定の実施形態では、ステム・テトラループを含有するパッセンジャー鎖の伸長部分は、鎖の5’末端にある。
【0158】
特定の実施形態では、ステム・テトラループを含有するdsRNAi阻害剤分子のパッセンジャー鎖は、長さが34~40ヌクレオチドであり、dsRNAi阻害剤分子のガイド鎖は、20~24ヌクレオチドを含有し、パッセンジャー鎖及びガイド鎖は、18~24ヌクレオチドの二重鎖領域を形成する。
[01]特定の実施形態では、dsRNAi阻害剤分子は、(a)5’末端から最初の20ヌクレオチドがガイド鎖に相補的であり、且つ続く16ヌクレオチドがステム・テトラループを形成するステム・テトラループを含有し、且つ長さが36ヌクレオチドであるパッセンジャー鎖、及び、(b)ガイド鎖及びパッセンジャー鎖が、連続するオリゴヌクレオチドを形成しない別々の鎖である、長さ22ヌクレオチドであり、且つ3’末端に2ヌクレオチドの一本鎖オーバーハングを有するガイド鎖(例えば、
図1A~1Dを参照のこと)、を含む。
【0159】
特定の実施形態では、dsRNAi阻害剤分子は、1つ以上のデオキシリボヌクレオチドを含む。通常は、dsRNAi阻害剤分子は、5未満のデオキシリボヌクレオチドを含有する。特定の実施形態では、dsRNAi阻害剤分子は、1つ以上のリボヌクレオチドを含む。特定の実施形態では、dsRNAi阻害剤分子のヌクレオチドの全ては、リボヌクレオチドである。
【0160】
一部の実施形態では、式I~IXのうちのいずれか1つに記載の5’末端ヌクレオチドは、二本鎖核酸阻害剤分子、例えば、dsRNAi阻害剤分子、のパッセンジャー鎖に位置する。別の実施形態では、式I~IXのいずれか1つに記載の5’末端ヌクレオチドは、ガイド鎖に位置する。別の実施形態では、式I~IXのいずれか1つに記載の5’末端ヌクレオチドは、ガイド鎖及びパッセンジャー鎖の両方に位置する。一実施形態では、式I~IXのいずれか1つに記載の5’末端ヌクレオチドは、二重鎖領域に位置する。一部の実施形態では、式I~IXのうちのいずれか1つに記載の5’末端ヌクレオチドは、オーバーハング領域に位置する。
【0161】
一本鎖核酸阻害剤分子
特定の実施形態では、核酸阻害剤分子は、式I~IXのいずれか1つに記載の5’末端ヌクレオチドを含む一本鎖核酸阻害剤分子である。一本鎖核酸阻害剤分子は、当該技術分野で既知である。例えば、最近の取り組みにより、ssRNAi阻害剤分子の活性が実証されている(例えば、Matsui et al.,Molecular Therapy,2016,24(5):946-55を参照のこと)。また、特定の標的遺伝子の発現を低減させるアンチセンス分子は、数十年間使用されている。Pelechano and Steinmetz,Nature Review Genetics,2013,14:880-93。これらの構造の共通の主題における多数の変形形態が、広範囲の標的に対して開発されている。一本鎖核酸阻害剤分子としては、例えば、従来のアンチセンスオリゴヌクレオチド、マイクロRNA、リボザイム、アプタマー、アンタゴミア、及びssRNAi阻害剤分子が挙げられ、これらは全て、当該技術分野で既知である。
【0162】
特定の実施形態では、核酸阻害剤分子は、14~50、16~30、または15~25ヌクレオチドを有するssRNAi阻害剤分子である。他の実施形態では、ssRNAi阻害剤分子は、18~22または20~22ヌクレオチドを有する。特定の実施形態では、ssRNAi阻害剤分子は、20ヌクレオチドを有する。他の実施形態では、ssRNAi阻害剤分子は、22ヌクレオチドを有する。
【0163】
特定の実施形態では、核酸阻害剤分子は、外因性RNAi阻害剤分子または天然のmiRNAを阻害する一本鎖オリゴヌクレオチドである。特定の実施形態では、核酸阻害剤分子は、8~80、14~50、16~30、12~25、12~22、14~20、18~22、または20~22ヌクレオチドを有する一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドである。特定の実施形態では、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、18~22、例えば、18~20ヌクレオチドを有する。
【0164】
特定の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその一部は、標的核酸またはその特定部分と完全に相補的である。特定の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその一部は、標的核酸の少なくとも12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上の連続するヌクレオチドに相補的である。特定の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的核酸またはその部分に対して5、4、3、2、または1以下の非相補的ヌクレオチドを含有する。アンチセンスオリゴヌクレオチドの長さを短くすること、及び/または活性を排除することなくミスマッチ塩基を導入することが可能である。
【0165】
B.ヌクレオチド修飾
本開示の修飾オリゴヌクレオチドは、本明細書に記載の4’-リン酸アナログに加えて、修飾を含んでもよい。通常は、核酸阻害剤分子の複数のヌクレオチドサブユニットは、ヌクレアーゼに対する耐性または免疫原性の低下などの分子の種々の特徴を改善するように修飾される。例えば、Bramsen et al.(2009),Nucleic Acids Res.,37,2867-2881を参照のこと。多くのヌクレオチド修飾は、オリゴヌクレオチド分野で、特に、核酸阻害剤分子に、使用されている。このような修飾は、糖部分、ホスホエステル結合、及び核酸塩基を含む、ヌクレオチドの任意の部分に対して行うことができる。核酸阻害剤分子の特定の実施形態では、1ヌクレオチドから全ヌクレオチドは、例えば、当該技術分野で既知及び本明細書に記載の2’-炭素修飾を使用して、糖部分の2’-炭素で修飾される。2’-炭素修飾の代表例としては、2’-F、2’-O-メチル(「2’-OMe」または「2’-OCH3」)、2’-O-メトキシエチル(「2’-MOE」または「2’-OCH2CH2OCH3」)が挙げられるが、これらに限定されない。修飾は、本明細書に記載されるように、ヌクレオチドの糖部分の他の部分、例えば、5’-炭素、においても起こり得る。
【0166】
特定の実施形態では、上述のように、限定されないが、ロック核酸(「LNA」)構造、架橋型核酸(「BNA」)構造、及びアンロック核酸(「UNA」)構造を含む糖部分の環構造が修飾される。
【0167】
修飾核酸塩基は、当該技術分野で知られているように、且つ本明細書に記載されるように、1’位にアデニン、グアニン、シトシン、チミン、及びウラシル以外の核酸塩基を含む。修飾核酸塩基の代表例は、5’-メチルシトシンである。
【0168】
RNA及びDNAの天然に存在するヌクレオチド間結合は、3’から5’へのホスホジエステル結合である。修飾ホスホジエステル結合は、当技術分野で知られているように、且つ本明細書に記載されるように、リン原子を含有するヌクレオチド間結合及びリン原子を含有しないヌクレオチド間結合を含む、天然に存在しないヌクレオチド間結合基を含む。通常は、核酸阻害剤分子は、本明細書中に記載されるように、1つ以上のリン含有ヌクレオチド間結合基を含有する。他の実施形態では、核酸阻害剤分子の1つ以上のヌクレオチド間結合基は、本明細書に記載されるような非リン含有結合である。特定の実施形態では、核酸阻害剤分子は、1つ以上のリン含有ヌクレオチド間結合基及び1つ以上の非リン含有ヌクレオチド間結合基を含有する。
【0169】
特定の実施形態では、核酸阻害剤分子の1または2ヌクレオチドが、グルタチオン感受性部分で可逆的に修飾される。通常は、グルタチオン感受性部分は、糖部分の2’-炭素に位置し、スルホニル基またはジスルフィド架橋を含む。特定の実施形態では、グルタチオン感受性部分は、例えば、全体が本明細書で参照により組み込まれる国際特許出願第PCT/US2017/048239号に記載されるようなホスホルアミダイトオリゴヌクレオチド合成方法と適合性がある。特定の実施形態では、核酸阻害剤分子の3つ以上のヌクレオチドは、グルタチオン感受性部分で可逆的に修飾される。特定の実施形態では、ヌクレオチドの大部分は、グルタチオン感受性部分で可逆的に修飾される。特定の実施形態では、核酸阻害剤分子の全部または実質的に全部のヌクレオチドは、グルタチオン感受性部分で可逆的に修飾される。
【0170】
少なくとも1つのグルタチオン感受性部分は通常、一本鎖核酸阻害剤分子の5’もしくは3’末端ヌクレオチドまたは二本鎖核酸阻害剤分子のパッセンジャー鎖もしくはガイド鎖の5’または3’末端ヌクレオチドに位置する。しかし、少なくとも1つのグルタチオン感受性部分は、核酸阻害剤分子中の目的の任意のヌクレオチドに位置し得る。
【0171】
特定の実施形態では、核酸阻害剤分子は、完全に修飾されており、完全修飾核酸阻害剤分子の全ヌクレオチドが修飾される。特定の実施形態では、完全修飾核酸阻害剤分子は、可逆的修飾を含まない。一部の実施形態では、一本鎖核酸阻害剤分子、または二本鎖核酸阻害剤分子のガイド鎖もしくはパッセンジャー鎖の少なくとも1、例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20ヌクレオチドが修飾される。
【0172】
特定の実施形態では、完全修飾核酸阻害剤分子は、1つ以上の可逆的グルタチオン感受性部分で修飾される。特定の実施形態では、核酸阻害剤分子の実質的に全てのヌクレオチドが修飾される。特定の実施形態では、核酸阻害剤分子のヌクレオチドの半分以上が、可逆的修飾以外の化学修飾で修飾される。特定の実施形態では、核酸阻害剤分子のヌクレオチドの半分未満が、可逆的修飾以外の化学修飾で修飾される。修飾が核酸阻害剤分子上で群状で起こり得るか、または異なる修飾ヌクレオチドが点在し得る。
【0173】
核酸阻害剤分子の特定の実施形態では、1ヌクレオチドから全ヌクレオチドが、2’-炭素で修飾される。特定の実施形態では、核酸阻害剤分子(またはセンス鎖及び/もしく
はそのアンチセンス鎖)は、例えば、当該技術分野で既知及び本明細書に記載の2’-炭素修飾を使用して、2’-炭素で部分的にまたは完全に修飾される。核酸阻害剤分子の特定の実施形態では、1から全てのリン原子が修飾され、1ヌクレオチドから全ヌクレオチドが2’-炭素で修飾される。特定の実施形態では、2’-炭素における修飾は、2’-F、2’-OMe、及び/または2’-MOEのうちの1つ以上である。特定の実施形態では、2’-炭素での修飾は、2’-F及び/または2’-OMeである(すなわち、一本鎖オリゴヌクレオチドまたは二本鎖オリゴヌクレオチドのセンス及び/もしくはアンチセンス鎖)は、2’-F及び/または2’-OMeで部分的にまたは完全に修飾される。特定の実施形態では、一本鎖オリゴヌクレオチドは、グルタチオン感受性部分で可逆的に修飾される1つ以上のヌクレオチドを含有する。
【0174】
C.他の4’-リン酸アナログ修飾オリゴヌクレオチド
本明細書に開示の4’-リン酸アナログは通常、核酸阻害剤分子に組み込まれるが、他の核酸は、本明細書に記載の4’-リン酸アナログ修飾ヌクレオチドを含むように修飾することができる(例えば、式I~IXのうちのいずれか1つに記載の5’末端ヌクレオチド)。本開示の修飾オリゴヌクレオチドは、5’末端ヌクレオチドにおけるリン酸アナログの存在が望ましい、目的の任意のオリゴヌクレオチドを含んでもよい。例として、本出願の教示に従って修飾することができる他の核酸は、他の治療用核酸、例えば、遺伝子治療または遺伝子編集のためのオリゴヌクレオチド、例えば、CRISPR核酸分子を含む。例えば、Cong et al.,Science,2013,339:819-23;Mali et al.,Science,2013,339:823-26;Woo
Cho et al.,Nat.Biotechnology,2013,31(3):230-232を参照のこと。加えて、本開示のリン酸アナログを含むオリゴヌクレオチドは、in vitroで使用することもできる。このようなオリゴヌクレオチドは、例えば、プローブ、プライマー、リンカー、アダプター、または遺伝子フラグメントを含む。
【0175】
III.リン酸アナログを含むヌクレオシドホスホルアミダイト
本開示の別の態様は、標準的なオリゴヌクレオチド合成方法に使用することができる、本明細書に記載の4’-リン酸アナログを含むヌクレオシドホスホルアミダイトに関する。通常は、リン酸アナログは、オキシメチル基の酸素原子が糖部分またはそのアナログの4’-炭素に結合しているオキシメチルホスホナートである。他の実施形態では、リン酸アナログは、チオメチル基の硫黄原子またはアミノメチル基の窒素原子が糖部分またはそのアナログの4’-炭素に結合しているチオメチルホスホナートまたはアミノメチルホスホナートである。
【0176】
特定の実施形態では、オキシメチルホスホナートは、-O-CH2-PO(OR)2で表され、Rは独立して、CH3、アルキル基、CH2CH2CN、CH2OCOC(CH3)3、CH2OCH2CH2Si(CH3)3、または保護基から選択される。特定の実施形態では、アルキル基は、CH2CH3である。より一般的には、Rは独立して、CH3、CH2CH3、または保護基から選択される。
【0177】
1.式X及びXI
一部の実施形態では、本開示のヌクレオシドホスホルアミダイトは、式Xまたは式XI:
【化11】
(式中、B、M
1、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、及びX
2は、式IまたはIIに記載される通りであり、
R
c及びR
dはそれぞれ独立して、CH
3、CH
2CH
3、CH
2CH
2CN、CH
2OCOC(CH
3)
3、CH
2OCH
2CH
2Si(CH
3)
3、または保護基から選択され、
X
10は、存在しないか、またはO、S、NR’、もしくはCR’R”から選択され、
R
10は、ホスホルアミダイトである)で表される。
【0178】
特定の実施形態では、リン酸アナログ修飾ヌクレオシドホスホルアミダイトは、式Xで表される。
【0179】
特定の実施形態では、リン酸アナログ修飾ヌクレオシドホスホルアミダイトは、式XIで表される。
【0180】
特定の実施形態では、Bは、天然核酸塩基である。
【0181】
特定の実施形態では、M1は、Oである。
【0182】
特定の実施形態では、R4、R5、R6、及びR7は独立して、水素、フッ素、CH3、またはC1-C6アルキルから選択される。通常は、R4、R5、R6、及びR7は、水素である。
【0183】
特定の実施形態では、X2は、O、ハロゲン、または任意に置換されたアルコキシである。
【0184】
特定の実施形態では、Rc及びRdは、CH3である。特定の実施形態では、Rc及びRdは、CH2CH3である。
【0185】
特定の実施形態では、M1は、Oであり、X2は、Oであり、R4、R5、R6及びR7は、水素である。
【0186】
特定の実施形態では、X2は、O、S、SeもしくはNHR’であり、R’は、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換脂肪族、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換複素環、または置換もしくは非置換のシクロアルキルから選択され、R8は、グルタチオン感受性部分である。通常は、X2は、Oであり、R8は、グルタチオン感受性部分である。
【0187】
特定の実施形態では、X2は、ハロゲンまたは任意に置換されたアルコキシであり、R8は、存在しない。通常は、X2は、F、OCH2CH2OCH3、またはOCH3であり、R8は、存在しない。
【0188】
特定の実施形態では、Rc及びRdは、CH3であり、R8は、存在せず、X2は、FまたはOCH3である。
【0189】
特定の実施形態では、Rc及びRdは、CH2CH3であり、R8は、存在せず、X2は、FまたはOCH3である。
【0190】
特定の実施形態では、ホスホルアミダイトは、式-P(ORx)-N(Ry)2を有し、Rxは、任意に置換されたメチル、2-シアノエチル、及びベンジルからなる群より選択され、Ryは、任意に置換されたエチル及びイソプロピルからなる群より選択される。
【0191】
特定の実施形態では、リン酸アナログ修飾ヌクレオシドホスホルアミダイトは、ヌクレオシドの糖部分に結合している酸素原子が硫黄または窒素原子で置換されることを除いて、式XまたはXIと同一である。
【0192】
2.式XII
一部の実施形態では、本開示のヌクレオシドホスホルアミダイトは、式XII:
【化12】
(式中、R
c及びR
dはそれぞれ独立して、CH
3、CH
2CH
3、CH
2CH
2CN、CH
2OCOC(CH
3)
3、CH
2OCH
2CH
2Si(CH
3)
3、または保護基から選択され、
Bは、天然核酸塩基、修飾核酸塩基、ユニバーサル塩基であるか、または存在せず、
R
10は、ホスホルアミダイトであり、
X
2はOH、F、OCH
3、またはOCH
2CH
2OCH
3であり、且つR
8は存在しないか、またはX
2はOであり、且つR
8はグルタチオン感受性部分である)で表される。
【0193】
特定の実施形態では、Bは、天然核酸塩基である。
【0194】
特定の実施形態では、Rc及びRdはそれぞれ独立して、CH3及びCH2CH3から選択される。
【0195】
特定の実施形態では、X2は、FまたはOCH3であり、R8は、存在しない。
【0196】
特定の実施形態では、X2は、Oであり、R8は、グルタチオン感受性部分である。
【0197】
特定の実施形態では、Rc及びRdは、CH3であり、R8は、存在せず、X2は、F
またはOCH3である。
【0198】
特定の実施形態では、Rc及びRdは、CH2CH3であり、R8は、存在せず、X2は、FまたはOCH3である。
【0199】
3.式XIII
特定の実施形態では、ヌクレオシドホスホルアミダイトは、式XIII:
【化13】
(式中、Bは、天然核酸塩基、修飾核酸塩基、ユニバーサル塩基であるか、または存在せず、
R
10は、ホスホルアミダイトであり、
X
2は、OH、F、OCH
3、またはOCH
2CH
2OCH
3である)で表される。
【0200】
特定の実施形態では、Bは、天然核酸塩基である。
【0201】
特定の実施形態では、X2は、FまたはOCH3である。
【0202】
4.式XIV
特定の実施形態では、ヌクレオシドホスホルアミダイトは、式XIV:
【化14】
(式中、Bは、天然核酸塩基、修飾核酸塩基、ユニバーサル塩基であるか、または存在せず、
R
10は、ホスホルアミダイトであり、
X
2は、OH、F、OCH
3、またはOCH
2CH
2OCH
3である)で表される。
【0203】
特定の実施形態では、Bは、天然核酸塩基である。
【0204】
特定の実施形態では、X2は、FまたはOCH3である。
【0205】
5.式XV
一部の実施形態では、本開示のリン酸アナログ修飾ヌクレオシドホスホルアミダイトは、式XV:
【化15】
(式中、R
c及びR
dはそれぞれ独立して、CH
3、CH
2CH
3、CH
2CH
2CN、CH
2OCOC(CH
3)
3、CH
2OCH
2CH
2Si(CH
3)
3、または保護基から選択され、
Vは、Oであり、
Z
1は、ホスホルアミダイト及び糖部分を含むヌクレオシドであり、
Vは、糖部分の4’-炭素に結合している)で表される。
【0206】
通常は、糖部分は、フラノースであり、Vは、フラノースの4’-炭素に結合している。
【0207】
特定の実施形態では、Rc及びRdは、CH3である。特定の実施形態では、Rc及びRdは、CH2CH3である。
【0208】
6.式XVI
一部の実施形態では、本開示のリン酸アナログ修飾ヌクレオシドホスホルアミダイトは、式XVI:
【化16】
(式中、R
1は、OまたはSであり、
R
2及びR
3はそれぞれ独立して、保護されたOH、保護されたSH、または保護されたNH
2、OCH
3、OR
9、OCH
2CH
2CN、OCH
2OCOC(CH
3)
3、及びOCH
2OCH
2CH
2Si(CH
3)
3から選択され、R
9は、アルキルであり、
Vは、O、S、NR’、CR’R”であり、R’及びR”はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換脂肪族、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換複素環、または置換もしくは非置換シクロアルキルであり、
Z
1は、ホスホルアミダイト及び糖部分を含むヌクレオシドであり、
Vは、糖部分の4’-炭素に結合している)で表される。
【0209】
通常は、糖部分は、フラノースであり、Vは、フラノースの4’-炭素に結合している。
【0210】
通常は、Vは、Oである。
【0211】
特定の実施形態では、R2またはR3はそれぞれ独立して、保護されたOH、OCH3、またはOR9から選択され、R9は、C1-C6アルキルである。特定の実施形態では
、R9は、CH2CH3である。
【0212】
通常は、R1は、Oである。
【0213】
特定の実施形態では、R1は、Oであり、R2は、保護されたOH、OCH3、またはOCH2CH3であり、R3は、OCH3またはOCH2CH3である。特定の実施形態では、R1は、Oであり、R2は、保護されたOHであり、R3は、保護されたOHである。特定の実施形態では、R1は、Oであり、R2は、OCH3またはOCH2CH3であり、R3は、保護されたOHである。特定の実施形態では、R1は、Oであり、R2は、OCH3であり、R3は、保護されたOHである。特定の実施形態では、R1は、Oであり、R2及びR3は、OCH3である。特定の実施形態では、R1は、Oであり、R2は、OCH2CH3であり、R3は、保護されたOHである。特定の実施形態では、R1は、Oであり、R2及びR3は、OCH2CH3である。
【0214】
保護基
4’-リン酸アナログ修飾ヌクレオシドホスホルアミダイトの一部の実施形態では、保護基は、B、すなわち、天然核酸塩基、修飾核酸塩基、またはユニバーサル核酸塩基、に結合している。Bに対する好適な保護基としては、アセチル、ジフルオロアセチル、トリフルオロアセチル、イソブチリル、ベンゾイル、9-フルオレニルメトキシカルボニル、フェノキシアセチル、ジメチルホルムアミジン、ジブチルホルムアミジン、及びN,N-ジフェニルカルバマートが挙げられる。
【0215】
一部の実施形態では、保護基は、上記のヌクレオシドホスホルアミダイト中のヒドロキシル基に結合している。上記のヌクレオシドホスホルアミダイトのヒドロキシル基に対する好適な保護基としては、限定されないが、ジメトキシトリチル、モノメトキシトリチル、及び/またはトリチル基を含む、固相オリゴヌクレオチド合成と適合性のある任意の保護基が挙げられる。代表例は、4,4’-ジメトキシトリフェニルメチル(DMTr)基であり、これは、酸性条件下(例えば、ジクロロ酢酸(DCA)、トリクロロ酢酸(TCA)、トリフルオロ酢酸(TFA)、または酢酸の存在下)で容易に切断され得る。
【0216】
他の代表的なヒドロキシル保護基は、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)などのトリアルキルシリル基を含む。TBDMS基は、合成サイクル中にDMT基を除去するために使用される酸性条件下で安定であるが、RNAオリゴマーの切断及び脱保護の後、例えば、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)のテトラヒドロフラン(THF)溶液またはトリエチルアミンフッ化水素酸塩を用いる種々の方法で除去することができる。他の代表的なヒドロキシル保護基は、tert-ブチルジフェニルシリルエーテル(TBDPS)が含まれ、これは、例えば、フッ化アンモニウムで除去され得る。
【0217】
IV.核酸塩基
上記の4’-リン酸アナログ含有オリゴヌクレオチド及びヌクレオシドでは、Bは、天然核酸塩基、修飾核酸塩基、またはユニバーサル核酸塩基を表す。好適な天然核酸塩基は、プリン及びピリミジン塩基、例えば、アデニン(A)、チミン(T)、シトシン(C)、グアニン(G)、またはウラシル(U)を含む。好適な修飾核酸塩基としては、ジアミノプリン及びその誘導体、アルキル化プリンまたはピリミジン、アシル化プリンまたはピリミジン、チオール化プリンまたはピリミジンなどが挙げられる。
【0218】
他の好適な修飾核酸塩基としては、プリン及びピリミジンのアナログが挙げられる。好適なアナログとしては、1-メチルアデニン、2-メチルアデニン、N6-メチルアデニン、N6-イソペンチルアデニン、2-メチルチオ-N6-イソペンチルアデニン、N、N-ジメチルアデニン、8-ブロモアデニン、2-チオシトシン、3-メチルシトシン、
5-メチルシトシン、5-エチルシトシン、4-アセチルシトシン、1-メチルグアニン、2-メチルグアニン、7-メチルグアニン、2,2-ジメチルグアニン、8-ブロモグアニン、8-クロログアニン、8-アミノグアニン、8-メチルグアニン、8-チオグアニン、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシル、5-エチルウラシル、5-プロピルウラシル、5-メトキシウラシル、5-ヒドロキシメチルウラシル、5-(カルボキシヒドロメチル)ウラシル、5-(メチルアミノメチル)ウラシル、5-(カルボキシメチルアミノメチル)-ウラシル、2-チオウラシル、5-メチル-2-チオウラシル、5-(2-ブロモビニル)ウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、シュードウラシル、1-メチルシュードウラシル、ケトシン、ヒポキサンチン、キサンチン、2-アミノプリン、6-ヒドロキシアミノプリン、ニトロピロリル、ニトロインドリル及びジフルオロトリル、6-チオプリン及び2,6-ジアミノプリンニトロピロリル、ニトロインドリル、ならびにジフルオロトリルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0219】
通常は、核酸塩基は、窒素含有塩基を含有する。特定の実施形態では、核酸塩基は、窒素原子を含有しない。例えば、米国特許出願第20080274462号を参照のこと。ユニバーサル核酸塩基は、天然に存在する核酸に通常見られる複数の塩基と対合し得、それにより、二重鎖中でこのような天然に存在する塩基の代わりになり得る塩基を指す。塩基は、天然に存在する塩基のそれぞれと対合することが可能である必要はない。例えば、特定の塩基は、プリンとのみ、もしくはプリンと選択的に、または、ピリミジンとのみ、もしくはピリミジンと選択的に対合する。ユニバーサル核酸塩基は、Watson-Crick相互作用または非Watson-Crick相互作用(例えば、Hoogsteen相互作用)を介して水素結合を形成することにより塩基対合し得る。代表的なユニバーサル核酸塩基は、イノシン及びその誘導体を含む。
【0220】
特定の実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドの1つ以上のヌクレオチドは、糖環の1’位に結合した核酸塩基を有さない。このようなヌクレオチドは、無塩基と呼ばれる。
【0221】
V.式I~XVIの他の置換基
式I~XVIでは、必要に応じて、好適な脂肪族基は、通常は、約2~約10炭素原子、より一般的には、約2~約6炭素原子、例えば、約2~約5炭素原子、を含有する。
【0222】
式I~XVIでは、必要に応じて、好適なアルキル基は、通常は、約1~約10炭素原子、より一般的には、約2~約6炭素原子、例えば、約2~約5炭素原子、を含有する。
【0223】
式I~XVIでは、必要に応じて、好適なアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、tert-ブトキシ、ネオペントキシ、及びn-ヘキソキシなどが挙げられる。
【0224】
式I~XVIでは、必要に応じて、好適なシクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。
【0225】
式I~XVIでは、必要に応じて、好適なヘテロ原子としては、酸素、硫黄、及び窒素が挙げられる。代表的な複素環としては、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、及びテトラヒドロフリルが挙げられる。代表的なヘテロアリールとしては、フラニル、チエニル、ピリジル、ピロリル、N-低級アルキルピロロ、ピリミジル、ピラジニル、イミダゾリルが挙げられる。
【0226】
式I~XVIでは、必要に応じて、好適なアルケニル基としては、ビニル、アリル、及び2-メチル-3-ヘプテンが挙げられ、好適なアルキニル基としては、プロピン及び3-ヘキシンが挙げられる。
【0227】
式I~XVIでは、必要に応じて、好適なアリール基としては、フェニル、ナフチルなどが挙げられるが、好適なヘテロアリール基としては、ピリジル、フラニル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、ピリミジニル、チオフェニルまたはチエニル、キノリニル、インドリル、チアゾリルなどが挙げられる。
【0228】
式I~XVIでは、必要に応じて、好適なアルキルアミノとしては、-CH2CH2CH2NH-またはCH2CH2NH-が挙げられる。
【0229】
VI.オリゴヌクレオチドの合成方法
本出願に記載の4’-リン酸アナログ修飾オリゴヌクレオチドは、標準的なホスホルアミダイト法を含む、当該技術分野で既知の様々な合成方法を使用して作製することができる。任意のホスホルアミダイト合成方法は、本発明の4’-リン酸アナログ修飾オリゴヌクレオチドを合成するために使用することができる。特定の実施形態では、ホスホルアミダイトを固相合成法で使用して、反応性中間体ホスファイト化合物を得、その後、既知の方法を使用して、これを酸化し、ホスホジエステルまたはホスホロチオアートヌクレオチド間結合を通常有するホスホナート修飾オリゴヌクレオチドを生成する。本開示のオリゴヌクレオチド合成は、当該技術分野で既知の方法を使用して、5’から3’へ、または3’から5’へのいずれかの方向に実施することができる。
【0230】
従って、別の態様では、本開示は、上述した、例えば、式X~XVIで表されるような4’-リン酸アナログ修飾ヌクレオシドホスホルアミダイトを使用してオリゴヌクレオチドを合成する方法に関する。通常は、4’-リン酸アナログ修飾ヌクレオシドは、合成オリゴヌクレオチドの末端ヌクレオチドとして組み込まれる。より一般的には、リン酸アナログ修飾ヌクレオシドは、合成オリゴヌクレオチドの5’末端ヌクレオチドとして組み込まれる。
【0231】
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドを合成するための方法は、(a)共有結合を介してヌクレオシドを固体支持体に結合させること;(b)ヌクレオシドホスホルアミダイトを、ステップ(a)のヌクレオシド上の反応性ヒドロキシル基にカップリングさせて、それらの間にヌクレオチド間結合を形成させること(固体支持体上の任意のカップリングされていないヌクレオシドはキャッピング剤でキャッピングされる);(c)酸化剤で該ヌクレオチド間結合を酸化すること;及び(d)後続のヌクレオシドホスホルアミダイトと共に、反復してステップ(b)から(c)を繰り返して、オリゴヌクレオチドを形成すること、を含み、少なくともステップ(a)のヌクレオシド、ステップ(b)のヌクレオシドホスホルアミダイト、またはステップ(d)の後続のヌクレオシドホスホルアミダイトのうちの少なくとも1つは、本明細書に記載されるようなホスホナート含有部位を含む。通常は、カップリング、キャッピング/酸化ステップ、及び任意に、脱保護ステップは、オリゴヌクレオチドが所望の長さ及び/または配列に達するまで繰り返され、その後、それは、固体支持体から切断される。
【0232】
VII.医薬組成物
本開示は、4’-リン酸アナログ修飾核酸阻害剤分子及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0233】
一部の実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される賦形剤及び治療的有効量の核
酸阻害剤分子を含み、核酸阻害剤分子は、本明細書に記載のリン酸アナログを含む少なくとも1つのヌクレオチドを含む。
【0234】
一部の実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される賦形剤及び治療的有効量の核酸阻害剤分子を含み、核酸阻害剤分子は、上述のように、式I~式IXのいずれか1つで表される少なくとも1つの4’-リン酸アナログ含有ヌクレオチドを含む。
【0235】
医薬組成物は通常、核酸阻害剤分子を含むが、医薬組成物は、本明細書中に記載されるような4’-リン酸アナログで修飾されている他の治療用核酸(例えば、遺伝子治療オリゴヌクレオチドまたはCRISPRオリゴヌクレオチド)を使用して調製することもできる。
【0236】
VIII.薬学的に許容される賦形剤
本開示に有用な薬学的に許容される賦形剤は、従来のものである。Remington’s Pharmaceutical Sciences,by E.W.Martin,Mack Publishing Co.,Easton,PA,15th Edition(1975)は、1つ以上の治療用組成物の薬学的送達に適する組成物及び製剤について記載する。薬学的に許容される賦形剤として役立ち得る材料の一部の例としては、ラクトース、グルコース、及びスクロースなどの糖;トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプンなどのデンプン;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及び酢酸セルロースなどのセルロース及びその誘導体;麦芽;ゼラチン;カカオバター及び座薬ワックスなどの賦形剤;ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及び大豆油などの油;水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;(等張食塩水;リンガー液);エチルアルコール;pH緩衝溶液;グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのポリオール;ならびに医薬製剤に用いられる他の非毒性適合物質が挙げられる。
【0237】
IX.剤形
4’-リン酸アナログ含有オリゴヌクレオチド(例えば、核酸阻害剤分子)を含む医薬組成物は、任意の意図された投与経路のために従来の賦形剤と共に製剤化されてもよい。
【0238】
通常は、本開示の医薬組成物は、本明細書に記載されるような4’-リン酸アナログ含有核酸阻害剤分子を含み、例えば、皮下、筋肉内、静脈内、または硬膜外注射により、非経口投与用の液体形態で製剤化される。非経口投与に適した剤形は通常、例として、無菌水溶液、食塩水、低分子量アルコール、例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、ゼラチン、脂肪酸エステル、例えば、エチルオレアートなど、を含む非経口投与に適する1つ以上のビヒクルを含む。非経口製剤は、糖、アルコール、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、製剤を意図されるレシピエントの血液と等張にする溶質、または懸濁剤もしくは増粘剤を含有してもよい。適切な流動性は、例えば、界面活性剤の使用により維持することができる。液体製剤は、後に、滅菌注射用溶液で再構成する際に使用するために凍結乾燥及び貯蔵することができる。
【0239】
医薬組成物はまた、局所もしくは経皮投与、直腸もしくは膣内投与、眼内投与、経鼻投与、口腔投与、または舌下投与を含む他の投与経路用に製剤化されてもよい。
【0240】
X.送達剤
4’-リン酸アナログ含有オリゴヌクレオチド(例えば、核酸阻害剤分子)は、取り込み、分布、もしくは吸収を助けるための、例えば、米国特許第6,815,432号、同第6,586,410号、同第6,858,225号、同第7,811,602号、同第7,244,448号、及び同第8,158,601号に開示されるようなリポソーム及
び脂質;米国特許第6,835,393号、同第7,374,778号、同第7,737,108号、同第7,718,193号、同第8,137,695号、ならびに米国公報特許出願第2011/0143434号、同第2011/0129921号、同第2011/0123636号、同第2011/0143435号、同第2011/0142951号、同第2012/0021514号、同第2011/0281934号、同第2011/0286957号、及び同第2008/0152661号に開示されるようなポリマー材料;カプシド、カプソイド、または受容体標的化分子を含む他の分子、分子構造、または化合物類の混合物と混合され、カプセル化され、コンジュゲートされ、または別の方法で結合されてもよい。
【0241】
特定の実施形態では、4’-リン酸アナログ含有オリゴヌクレオチド(例えば、核酸阻害剤分子)は、脂質ナノ粒子(LNP)内で製剤化される。脂質-核酸ナノ粒子は通常、脂質を核酸と混合して複合体を形成する時に自発的に形成される。所望の粒度分布に応じて、得られたナノ粒子混合物は、例えば、LIPEX(登録商標)Extruder(Northern Lipids,Inc)などのサーモバレル押出機を使用して、ポリカーボネート膜(例えば、100nmカットオフ)を通して任意に押し出すことができる。治療的使用のための脂質ナノ粒子を調製するために、ナノ粒子を形成するために使用される溶媒(例えば、エタノール)及び/または交換緩衝液を除去することが望ましく、これは、例えば、透析またはタンジェンシャルフロー濾過により達成することができる。核酸阻害剤分子を含有する脂質ナノ粒子を製造する方法は、例えば、米国公開特許出願第2015/0374842号及び同第2014/0107178号に開示されるように、当該技術分野で知られている。
【0242】
特定の実施形態では、LNPは、カチオン性リポソーム及びペグ化脂質を含む脂質コアを含む。LNPは、カチオン性脂質、構造もしくは中性脂質、ステロール、ペグ化脂質、またはそれらの混合物などの1つ以上のエンベロープ脂質をさらに含み得る。
【0243】
特定の実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、目的の組織へのオリゴヌクレオチドの送達を導くように、リガンドに共有結合的にコンジュゲートされる。多くのこのようなリガンドが、調査されている。例えば、Winkler,Ther.Deliv.,2013,4(7):791-809を参照のこと。例えば、本発明のオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの肝臓への取り込みを導くように、複数の糖リガンド部分(例えば、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc))にコンジュゲートすることができる。例えば、WO2016/100401を参照のこと。使用することができる他のリガンドとしては、マンノース-6-リン酸、コレステロール、葉酸、トランスフェリン、及びガラクトースが挙げられるが、これらに限定されない(他の特定の例示的なリガンドについては、例えば、WO2012/089352を参照のこと)。通常は、オリゴヌクレオチドがリガンドにコンジュゲートされる場合、オリゴヌクレオチドは、裸のオリゴヌクレオチドとして投与され、オリゴヌクレオチドはまた、LNPまたは他の保護コーティング内で製剤化されない。特定の実施形態では、裸のオリゴヌクレオチド内の各ヌクレオチドは、糖部分の2’位において、通常は、2’-Fまたは2’-OMeで修飾される。
【0244】
これらの医薬組成物は、従来の滅菌技術により滅菌されても、滅菌濾過されてもよい。得られる水溶液は、そのまま使用するためにパッケージ化されても、凍結乾燥されてもよく、凍結乾燥調製物は、投与前に滅菌水性賦形剤と混合される。調製物のpHは通常、3~11、より好ましくは、5~9または6~8、最も好ましくは、7~7.5などの7~8であろう。固体形態の医薬組成物は、複数の単回用量単位でパッケージ化されてもよく、それぞれは、錠剤またはカプセルの密封包装のような、上述した薬剤(複数可)の一定量を含有する。固体形態の医薬組成物はまた、局所適用可能なクリームまたは軟膏のために設計された圧搾可能なチューブなどの、可変量用の容器にパッケージ化することもでき
る。
【0245】
本開示の医薬組成物は、治療的使用に適用される。従って、本開示の一態様は、限定されないが、疾患または状態に罹患するヒトを含む対象を、有効量の本開示の医薬組成物を該対象に投与することにより、処置するために使用され得る医薬組成物を提供する。
【0246】
特定の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者を処置するための薬品を製造するために本明細書に記載されるような治療的有効量の医薬組成物の使用を特徴とする。
【0247】
XI.使用方法
本明細書に記載の4’-リン酸アナログ含有核酸阻害剤分子は、細胞内の標的遺伝子の発現を調節する方法に使用することができる。通常は、このような方法は、標的遺伝子の発現を調節するのに十分な量で、4’-リン酸アナログ含有核酸阻害剤分子を細胞に導入することを含む。特定の実施形態では、この方法は、in vivoで行われる。この方法は、in vitroまたはex vivoで実施することもできる。特定の実施形態では、細胞は、限定されないが、ヒト細胞を含む哺乳動物細胞である。
【0248】
特定の実施形態では、本明細書に記載の4’-リン酸アナログ含有オリゴヌクレオチド(例えば、核酸阻害剤分子)は、それを必要とする患者を処置する方法に使用することができる。通常は、このような方法は、それを必要とする患者に、本明細書に記載されるような4’-リン酸アナログ含有核酸阻害剤分子を含む、治療有効量の医薬組成物を投与することを含む。
【0249】
特定の実施形態では、本明細書に開示の医薬組成物は、それを必要とする患者のウイルス感染症に関連する症状の処置または予防に有用であり得る。一実施形態は、本明細書に記載されるような、治療有効量の、4’-リン酸アナログ含有オリゴヌクレオチド(例えば、核酸阻害剤分子)を含む医薬組成物を対象に投与することを含む、ウイルス感染症の処置方法に関する。このようなウイルス感染の非限定例は、HCV、HBV、HPV、HSV、またはHIV感染を含む。
【0250】
特定の実施形態では、本明細書に開示の医薬組成物は、それを必要とする患者の癌に関連する症状の治療または予防に有用であり得る。一実施形態は、本明細書に記載されるような、4’-リン酸アナログ修飾核酸阻害剤分子を含む、治療的有効量の医薬組成物を対象に投与することを含む、癌を処置する方法に関する。このような癌の非限定例としては、胆管癌、膀胱癌、移行上皮癌、尿路上皮癌、脳癌、神経膠腫、星状細胞腫、乳癌、化生癌、子宮頸癌、子宮頸部扁平上皮癌、直腸癌、結腸直腸癌、結腸癌、遺伝性非ポリポーシス大腸癌、結腸直腸腺癌、消化管間質腫瘍(GIST)、子宮内膜癌、子宮内膜間質肉腫、食道癌、食道扁平上皮癌、食道腺癌、眼内メラノーマ、ブドウ膜メラノーマ、胆嚢癌、胆嚢腺癌、腎細胞癌、明細胞腎細胞癌、移行上皮癌、尿路上皮癌、ウィルムス腫瘍、白血病、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性(CLL)、慢性骨髄性(CML)、慢性骨髄単球性(CMML)、肝癌、肝癌腫、肝癌、肝細胞癌、胆管癌、肝芽腫、肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、中皮腫、B細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、前駆Tリンパ芽球性リンパ腫/白血病、末梢T細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、鼻咽頭癌腫(NPC)、神経芽細胞腫、口腔咽頭癌、口腔扁平上皮癌、骨肉腫、卵巣癌、膵癌、膵管腺癌、偽乳頭状腫瘍、腺房細胞癌、前立腺癌、前立腺腺癌、皮膚癌、メラノーマ、悪性メラノーマ、皮膚メラノーマ、小腸癌、胃癌、胃癌腫、消化管間質腫瘍(GIST)、子宮癌、または子宮肉腫が挙げられる。通常は、本開示は、治療的有効量の、本明細書に記載の医薬組成物を投与することにより、肝癌、肝癌腫、肝癌、肝細胞癌、胆管癌、及び肝芽腫を処置する方法を特徴とする。
【0251】
特定の実施形態では、本明細書に開示の医薬組成物は、増殖性、炎症性、自己免疫性、神経性、眼性、呼吸性、代謝性、皮膚病学的、聴覚性、肝臓、腎臓、または感染性疾患に関連する症状の処置または予防に有用であり得る。一実施形態は、本明細書に記載されるような、治療的有効量の4’-リン酸アナログ修飾核酸阻害剤分子を含む医薬組成物を対象に投与することを含む、増殖性、炎症性、自己免疫性、神経性、眼性、呼吸性、代謝性、皮膚病学的、聴覚性、肝臓、腎臓、または感染性疾患を処置する方法に関する。通常は、疾患または状態は、肝臓の疾患である。
【0252】
一部の実施形態では、本開示は、標的遺伝子の発現を低減させるのに十分な量で、それを必要とする対象に、医薬組成物を投与することを含む、対象における標的遺伝子の発現を低減する方法を提供し、医薬組成物は、本明細書に記載されるような4’-リン酸アナログ修飾核酸阻害剤分子及び本明細書にも記載されるような薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0253】
一部の実施形態では、4’-リン酸アナログ修飾核酸阻害剤分子は、dsRNAi阻害剤分子またはssRNAi阻害剤分子を含む、本明細書に記載されるようなRNAi阻害剤分子である。
【0254】
標的遺伝子は、ヒト標的遺伝子などの任意の哺乳動物由来の標的遺伝子であってよい。本発明の方法によれば、いかなる遺伝子もサイレンシングされてもよい。例示的な標的遺伝子としては、第VII因子、Eg5、PCSK9、TPX2、apoB、SAA、TTR、HBV、HCV、RSV、PDGFβ遺伝子、Erb-B遺伝子、Src遺伝子、CRK遺伝子、GRB2遺伝子、RAS遺伝子、MEKK遺伝子、JNK遺伝子、RAF遺伝子、Erk1/2遺伝子、PCNA(p21)遺伝子、MYB遺伝子、JUN遺伝子、FOS遺伝子、BCL-2遺伝子、サイクリンD遺伝子、VEGF遺伝子、EGFR遺伝子、サイクリンA遺伝子、サイクリンE遺伝子、WNT-1遺伝子、βカテニン遺伝子、c-MET遺伝子、PKC遺伝子、NFKB遺伝子、STAT3遺伝子、サバイビン遺伝子、Her2/Neu遺伝子、トポイソメラーゼI遺伝子、トポイソメラーゼIIα遺伝子、p73遺伝子、p21(WAF1/CIP1)遺伝子、p27(KIP1)遺伝子、PPM1D遺伝子、RAS遺伝子、カベオリンI遺伝子、MIBI遺伝子、MTAI遺伝子、M68遺伝子、腫瘍抑制遺伝子の変異、p53腫瘍抑制遺伝子、LDHA、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0255】
一部の実施形態では、4’-リン酸アナログ修飾核酸阻害剤分子は、標的遺伝子をサイレンシングし、それにより、標的遺伝子の望ましくない発現を特徴とする障害を有するか、またはそのリスクがある対象を処置するために使用することができる。例えば、一部の実施形態では、本4’-リン酸アナログ修飾核酸阻害剤分子は、β-カテニン遺伝子をサイレンシングし、それにより、望ましくないβ-カテニン発現を特徴とする障害、例えば、腺癌または肝細胞癌、を有するか、またはそのリスクがある対象を処置するために使用することができる。
【0256】
通常は、本発明の4’-リン酸アナログ含有オリゴヌクレオチド(例えば、核酸阻害剤分子)は、静脈内または皮下投与される。しかし、本明細書に開示の医薬組成物は、例えば、経口、口腔、舌下、経直腸、膣内、尿道内、局所、眼内、鼻腔内、及び/または耳介内を含む、当該技術分野で既知の任意の方法によっても投与されてもよく、投与は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、水性懸濁剤、ゲル剤、スプレー剤、坐剤、塗剤、軟膏剤などを含んでもよい。
【0257】
特定の実施形態では、医薬組成物は、全身投与(静脈内または皮下投与など)を介して
、肝臓などの対象または生物の関連組織または細胞に送達される。他の実施形態では、医薬組成物は、局所投与または全身投与により送達される。特定の実施形態では、医薬組成物は、肺細胞及び組織などの関連組織または細胞への局所投与を介して、例えば、肺送達を介して、送達される。
【0258】
本明細書に開示の治療的有効量の化合物は、投与経路ならびに患者の体格、例えば、対象のサイズ及び重量、疾患の進行または浸透の程度、対象の年齢、健康状態、及び性別に依存し得る。
【0259】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるような4’-リン酸アナログ修飾オリゴヌクレオチドは、1日当たりレシピエントの体重1キログラム当たり20マイクログラム~10ミリグラム、1日当たりレシピエントの体重1キログラム当たり100マイクログラム~5ミリグラム、または1日当たりのレシピエントの体重1キログラム当たり0.5~2.0ミリグラムの用量で投与される。
【0260】
本開示の医薬組成物は、毎日または断続的に投与されてもよい。例えば、本開示の化合物の断続的投与は、週に1~6日、月に1~6日、週に1回、隔週に1回、月に1回、隔月に1回、または年に1回もしくは2回投与されても、年に、月に、週に、または週に複数回の投与に分けられてもよい。一部の実施形態では、断続的投与は、周期的な投与(例えば、1日間、1週間、または連続した2~8週間に毎日投与し、次に、残りの期間は、多くとも1週間、多くとも1ヶ月、多くとも2ヶ月、多くとも3ヶ月、または多くとも6ヶ月以上全く投与しない)を意味し得るか、あるいは、1日置きに、1週置きに、1月置きに、または1年置きに投与することを意味し得る。
【0261】
本発明の処置方法のいずれにおいても、化合物は、単独療法として単独で、または当該技術分野で既知のさらなる治療法と組み合わせて、対象に投与されてもよい。
【実施例0262】
実施例1:ホスホルアミダイト1の合成
下記のスキーム1は、以下の、ジエチル保護されたオキシメチルホスホナートを含むヌクレオシドホスホルアミダイト:(2R,3S,4R,5R)-5-(3-((ベンジルオキシ)メチル)-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-2-((ジエトキシホスホリル)メトキシ)-4-メトキシテトラヒドロフラン-3-イル(2-シアノエチル)ジイソプロピルホスホルアミダイト(ホスホルアミダイト1)の合成を示す。
【化17】
【0263】
(2R,3R,4R,5R)-2-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-4-メトキシテトラヒドロフラン-3-イルベンゾアート(1B)の合成
2’-O-メチルウリジン(150g、580.9mmol)のピリジン(1.5L)溶液を、氷浴中で冷却した。溶液に、tert-ブチルクロロジメチルシラン(96.3g、639.0mmol)を、数回に分けて、15分で添加した。反応混合物を、室温で5時間撹拌した。次に、反応混合物を、氷浴中で冷却した。塩化ベンゾイル(165.5g、1.2mol)を、15分で反応混合物に滴加した。反応混合物を、室温で12時間連続撹拌した後、酢酸エチル(2L)で希釈した。溶液を、水(3L×3)、飽和NaHCO3溶液(1L×2)、及び食塩水(1L)で洗浄した。有機層を、Na2SO4で乾燥し、濾過し、真空濃縮して、1B(500g、粗製)の淡黄色残渣を得、これを、次のステップに直接使用した。
【0264】
(2R,3R,4R,5R)-5-(3-((ベンジルオキシ)メチル)-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-2-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-4-メトキシテトラヒドロフラン-3-イルベンゾ
アート(1C)の合成
前のステップ(1B)からの生成物(500g、粗製)を、DMF(5L)に溶解した。溶液を、氷浴中で冷却した。ベンジルクロロメチルエーテル(74.2g、1.16mol)及びDBU(239.8g、1.58mol)を加え、反応混合物を、室温まで温め、16時間撹拌した。反応を、0.1NのHCl(2L)でクエンチし、酢酸エチル(2L)で希釈した。有機層を、分離した。次に、それを、水、食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空濃縮した。粗物質を、CH2Cl2:MeOH(20:1)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、表題生成物1C(500g、837.9mmol)を黄色油状物として得た。
【0265】
1H NMR : (CD3OD, 400 MHz): δ 7.93 - 7.95 (d,
J = 7.2 Hz, 2 H), 7.85 - 7.87 (d, J = 8.0 Hz,
1 H), 7.50 - 7.52 (d, J = 7.2 Hz, 1 H), 7.36 - 7.40 (t, J = 8.0 Hz, 2 H), 7.12 - 7.19 (m, 5 H
), 5.90 - 5.91 (d, J = 3.2 Hz, 1 H), 5.54 - 5.
56 (d, J = 8.4 Hz, 1 H), 5.35 (s, 2 H), 5.24 - 5.27 (t, J = 5.6 Hz, 1 H), 4.55 (d, J = 1.6 Hz
, 2 H), 4.28 - 4.29 (d, J = 5.6 Hz, 1 H), 3.93 - 4.01 (m, 1 H), 3.81 - 3.93 (t, J = 6.8 Hz, 1 H), 3.32 (s, 3 H), 0.81 - 0.84 (d, J = 7.6 Hz,
10 H), 0.00 (s, 6 H); m/z実測値[M+H]+=597.2
【0266】
(2R,3R,4R,5R)-5-(3-((ベンジルオキシ)メチル)-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-2-(ヒドロキシメチル)-4-メトキシテトラヒドロフラン-3-イルベンゾアート(1D)の合成
1C(250g、419mmol)のMeOH(1.5L)溶液を、氷浴中に置き、塩化アセチル(24.9g、502.7mmol)を、15分で滴加した。反応物を、室温まで温め、2時間撹拌した。Ag2CO3(138.6g、502.7mmol)を、反応物に加え、1時間撹拌した。反応混合物を、濾過し、真空濃縮して、表題化合物1D(400g、粗製)を黄色油状物として得た。
【0267】
1H NMR : (CD3OD, 400 MHz): δ 8.02 - 8.05 (m,
3 H), 7.57 - 7.59 (d, J = 7.6 Hz, 1 H), 7.44 -
7.48 (t, J = 7.6 Hz, 2 H), 7.19 - 7.27 (q, J =
7.2 Hz, 5 H), 6.03 - 6.05 (d, J = 9.2 Hz, 1 H), 5.72 - 5.74 (d, J = 8.0 Hz, 1 H), 5.41 - 5.4
4 (t, J = 8.8 Hz, 3 H), 4.63 (s, 2 H), 4.29 - 4.31 (t, J = 2.4 Hz, 1 H), 4.17 - 4.19 (t, J = 5.2 Hz, 1 H), 3.79 - 3.88 (m, 2 H), 3.37 (s, 3
H); m/z実測値[M+H]+=482.2
【0268】
(2S,3S,4R,5R)-3-(ベンゾイルオキシ)-5-(3-((ベンジルオキシ)メチル)-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-4-メトキシテトラヒドロフラン-2-カルボン酸(1E)の合成
[アセトキシ(フェニル)-ヨードニル]アセタート(293.7g、912mmol)を、水(1L)及びCH3CN(1L)中の1D(200g、414.5mmol)及びTEMPO(15.64g、99.48mmol)の懸濁液に加えた。反応混合物を、室温で12時間撹拌し、次に、酢酸エチルで希釈した。有機層を、分離し、水、食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、真空濃縮した。粗物質を、CH2Cl2:MeOH(20:1)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、表題生成物1E
(150g、837.9mmol)を黄色油状物として得た。
【0269】
1H NMR: (CD3OD, 400 MHz): δ 8.21 - 8.23 (d, J = 8.0 Hz, 1 H), 7.93 - 7.97 (t, J = 7.6 Hz, 2
H), 7.52 (s, 1 H), 7.37 - 7.41 (t, J = 4.6 Hz
, 2H), 7.10 - 7.20 (m, 4 H), 7.02 - 7.06 (m, 2
H), 6.95 (s, 1 H), 6.08 - 6.09 (d, J = 5.6 Hz
, 1 H), 5.69 - 5.71 (d, J = 8.0 Hz, 1 H), 5.60 - 5.62 (t, J = 4.0 Hz, 1 H), 5.31 - 5.36 (t, J = 9.6 Hz, 2 H), 4.54 (s, 2 H), 4.11 - 4.13 (t,
J = 4.8 Hz, 1 H), 3.29 (s, 3 H); m/z実測値[M+H]
+=497.2
【0270】
(2R,3S,4R,5R)-2-アセトキシ-5-(3-((ベンジルオキシ)メチル)-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-4-メトキシテトラヒドロフラン-3-イルベンゾアート(1F)の合成
乾燥フラスコに、1E(20g、40.3mmol)及びPb(OAc)4(53.6g、120.8mmol)を入れた。反応混合物をアルゴンでパージした後、DMF(150mL)を加えた。反応物を、遮光し、室温で16時間撹拌した。それを、水(600mL)でクエンチし、酢酸エチル(400mL)で希釈した。得られた懸濁液を、セライトパッドで濾過した。固体を、酢酸エチルですすいだ。有機層を、分離し、真空濃縮した。粗物質を、石油エーテル:酢酸エチル(3:1)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、標題生成物1F(7g、13.7mmol)をα/β混合物として得た。
【0271】
1H NMR: (CD3OD, 400 MHz): δ 8.10 - 8.13 (t, J = 7.6 Hz, 3 H), 7.65 - 7.69 (t, J = 5.6 Hz, 3
H), 7.54 - 7.58 (t, J = 8.0 Hz, 3 H), 7.26 - 7.35 (m, 9 H), 6.35 - 6.37 (t, J = 6.8 Hz, 2 H)
, 5.89 - 5.91 (d, J = 8.0 Hz, 1 H), 5.68 - 5.6
9 (d, J = 4.0 Hz, 1 H), 5.48 - 5.50 (t, J = 1.6
Hz, 3 H), 4.68 - 4.71 (t, J = 7.2 Hz, 3 H), 4.54 - 4.57 (q, J = 4.8 Hz, 1 H), 3.44 (s, 4 H), 2.21 (s, 3 H); m/z実測値[M+H]+=511.2
【0272】
(2R,3S,4R,5R)‐5‐(3-((ベンジルオキシ)メチル)‐2,4‐ジオキソ‐3,4‐ジヒドロピリミジン‐1(2H)-イル)‐2-((ジエトキシホスホリル))メトキシ)-4-メトキシテトラヒドロフラン-3-イルベンゾアート(1G)の合成
反応を、アルゴン下で実施した。ジエチル(ヒドロキシメチル)ホスホナート(26.4g、156.7mmol)及び三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート(27.8g、196.0mmol)を、1F(20g、39.2mmol)の無水CH2Cl2(130mL)溶液に加えた。反応液を、室温で16時間撹拌した。反応を、水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層を、分離し、食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、真空濃縮した。粗物質を、石油エーテル:酢酸エチル(3:1~1:1)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、表題化合物1G(7g、13.7mmol)を白色泡状物として得た。
【0273】
1H NMR: (CD3OD, 400 MHz): δ 8.10 - 8.13 (t, J = 7.6 Hz, 3 H), 7.65 - 7.69 (t, J = 5.6 Hz, 3
H), 7.54 - 7.58 (t, J = 8.0 Hz, 3 H), 7.26 - 7.35 (m, 9 H), 6.35 - 6.37 (t, J = 6.8 Hz, 2 H)
, 5.89 - 5.91 (d, J = 8.0 Hz, 1 H), 5.68 - 5.6
9 (d, J = 4.0 Hz, 1 H), 5.48 - 5.50 (t, J = 1.6
Hz, 3 H), 4.68 - 4.71 (t, J = 7.2 Hz, 3 H), 4.54 - 4.57 (q, J = 4.8 Hz, 1 H), 3.44 (s, 4 H), 2.21 (s, 3 H); m/z実測値[M+H]+=619.2
【0274】
(2R,3S,4R,5R)-2-((ジエトキシホスホリル)メトキシ)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-4-メトキシテトラヒドロフラン-3-イルベンゾアート(1H)の合成
1G(9g、14.6mmol)のTFA(90mL)溶液を、80℃で30分間撹拌し、次に、真空濃縮した。粗物質を、CH2Cl2:MeOH(70:1)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、表題化合物1H(6.8g、13.7mmol)を白色泡状物として得た。
【0275】
1H NMR: (CD3OD, 400 MHz): δ 11.54 (s, 1 H), 8.03 - 8.04 (d, J = 7.6 Hz, 2 H), 7.61 (s, 5 H
), 6.26 - 6.28 (d, J = 6.8 Hz, 1 H), 5.73 - 5.
76 (m, 1 H), 5.55 - 5.56 (d, J = 4.4 Hz, 1 H), 5.39 (s, 1 H), 4.49 - 4.50 (t, J = 4.4 Hz, 1 H
), 4.02 - 4.14 (m, 11 H), 3.18 (s, 3 H), 1.24 - 1.30 (m ,6H); m/z実測値[M+H]+=499.2
【0276】
ジエチル((((2R,3S,4R,5R)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-3-ヒドロキシ-4-メトキシテトラヒドロフラン-2-イル)オキシ)メチル)ホスホナート(1I)の合成
1H(5g、10mmol)のアンモニア・メタノール(7N、50mL)溶液を、室温で16時間撹拌した。反応混合物を、真空濃縮した。粗物質を、CH2Cl2:MeOH(70:1)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、表題化合物1I(3.3g、25.4mmol)を白色泡状物として得た。
【0277】
1H NMR: (CD3OD, 400 MHz): δ 11.53 (s, 1 H), 8.02 - 8.04 (t, J = 7.2 Hz, 2 H), 7.59 - 7.74
(m, 4 H), 6.27 - 6.28 (d, J = 7.8 Hz, 1 H), 5.
74 - 5.76 (d, J = 8.0 Hz, 1 H), 5.55 - 5.56 (d
, J = 4.4 Hz, 1 H), 5.39 (s, 1 H), 4.49 - 4.50 (t, J = 4.8 Hz, 1 H), 4.02 - 4.13 (m, 7 H), 3.
32 (s, 3 H), 1.25 - 1.30 (m, 7 H); m/z実測値[M+H]+=395.1
【0278】
2-シアノエチル((2R,3S,4R,5R)-2-((ジエトキシホスホリル)メトキシ)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-4-メトキシテトラヒドロフラン-3-イル)ジイソプロピルホスホルアミダイト(ホスホルアミダイト1)の合成
DIPEA(2.4g、18.3mmol)を、1I(4g、10.1mmol)の無水CH2Cl2(40mL)溶液に加え、続いて、3-[クロロ-(ジイソプロピルアミノ)ホスファニル]オキシプロパンニトリル(3.4g、14.2mmol)を加えた。反応混合物を、室温で2時間撹拌し、次に、MeOHでクエンチした。反応混合物を、酢酸エチルで希釈し、飽和NaHCO3、水、及び食塩水で洗浄した。有機層を真空濃縮し
た。粗物質を、CH2Cl2:MeOH(70:1)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、表題化合物ホスホルアミダイト1(2.9g、10.1mmol)を白色固体として得た。
【0279】
1H NMR (CD3OD, 400 MHz): δ 9.13 (s, 1 H), 7.54 - 7.59 (q, J = 8.4 Hz, 1 H), 6.17 - 6.19 (d
, J = 7.2 Hz, 1 H), 5.68 - 5.70 (d, J = 8.0 Hz,
1 H), 5.08 - 5.16 (d, J = 28.8 Hz, 1 H), 4.38 - 4.40 (d, J = 9.2 Hz, 1 H), 4.07 - 4.12 (m, 5 H), 3.83 - 3.86 (d, J = 8.8 Hz, 1 H), 3.63 (s,
5 H), 3.33 - 3.37 (d, J = 14.4 Hz, 3 H), 2.66 - 2.70 (q, J = 5.6 Hz, 2 H), 1.27 - 1.30 (m, 6 H), 1.17 - 1.21 (q, J = 6.0 Hz, 2 H). 31P NMR
(CD3CN, 162 MHz): δ 151.54, 150.57, 19.84;
m/z実測値[M+H]+=595.2
【0280】
実施例2:ホスホルアミダイト2の合成
下記のスキーム2は、以下の、ジエチル保護されたオキシメチルホスホナートを含むヌクレオシドホスホルアミダイト:2-シアノエチル((2R,3R,4R,5R)-2-((ジエトキシホスホリル)メトキシ)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-4-フルオロテトラヒドロフラン-3-イル)ジイソプロピルホスホルアミダイト(ホスホルアミダイト2)の合成を示す。実施例1に記載の手順に従って、ホスホルアミダイト2を調製した。
【化18】
【0281】
ホスホルアミダイト2の1HNMRスペクトル(CD3CN、400MHz)は以下の通りである:δ 7.57 - 7.59 (d, J = 8.2 Hz, 1H) 6.26
- 6.35 (m, 1H) 5.70 - 5.73 (q, J = 4.8 Hz, 1H)
5.21 - 5.34 (m, 2H) 4.45 (m, 1H) 4.13 - 4.17 (m, 5H) 4.13 (m, 3H) 3.70 - 3.72 (m, 2H) 2.69
- 2.74 (m, 2H) 1.31 - 1.35 (m, 6H) 1.21 - 1.24 (q, J = 2.0 Hz, 13H)。ホスホルアミダイト2の19F NMR(CD3CN、376MHz)スペクトルは以下の通りである:δ -212.04, -212.04 (m, 0.6F); -215.00, -215.02 (m, 0.4F)。ホスホルアミダイト2の31P NMR(162MHz、CDCl3)スペクトルは以下の通りである:δ 19.39, 19.26, 151.9,151.3; m/z fo
und [M+H]+=583.2。
【0282】
実施例3:ホスホルアミダイト3の合成
下記のスキーム3は、以下の、ジメチル保護されたオキシメチルホスホナートを含むヌクレオシドホスホルアミダイト:(2R,3S,4R,5R)-5-(3-((ベンジルオキシ)メチル)-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-2-((ジメトキシホスホリル)メトキシ)-4-メトキシテトラヒドロフラン-3-イル(2-シアノエチル)ジイソプロピルホスホルアミダイト(ホスホルアミダイト3)の合成を示す。実施例1に記載の手順に従って、ホスホルアミダイト3を調製した。
【化19】
【0283】
実施例4:ホスホルアミダイト4の合成
下記のスキーム4は、以下の、ジメチル保護されたオキシメチルホスホナートを含むヌクレオシドホスホルアミダイト:2-シアノエチル((2R,3R,4R,5R)-2-((ジメトキシホスホリル)メトキシ)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-4-フルオロテトラヒドロフラン-3-イル)ジイソプロピルホスホルアミダイトの合成を示す。実施例1に記載の手順に従って、ホスホルアミダイト4を調製した。
【化20】
【0284】
実施例5:ホスホルアミダイト5及びホスホルアミダイト5’の合成
4’-オキシメチルホスホナートを有する炭素環式ヌクレオシドホスホルアミダイトを合成した。炭素環式ヌクレオシドは、ヌクレオシドアナログに抗ウイルス性を付与することができる修飾である、ヌクレオシドのテトラヒドロフラン環の代わりにシクロペンタン環を有するヌクレオシドアナログの部類を表す。例えば、米国特許第6,001,840号を参照のこと。換言すれば、炭素環式ヌクレオシドは、糖部分のフラノース環の酸素原子が炭素原子で置換されるヌクレオシドアナログである。
【0285】
下記のスキーム5は、以下の、ジエチル保護されたオキシメチルホスホナートを含む炭素環式ヌクレオシドホスホルアミダイトエナンチオマー:1)2-シアノエチル((1S,2S,4R)-2-((ジエトキシホスホリル)メトキシ)-4-(2、4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)シクロペンチル)ジイソプロピルホスホルアミダイト(ホスホルアミダイト5)、及び、2)2-シアノエチル((1R,2R,4S)-2-((ジエトキシホスホリル)メトキシ)-4-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)シクロペンチル)ジイソプロピルホスホルアミダイト(ホスホルアミダイト5’)の合成を示す。
【化21】
【0286】
5I及び5I’を合成するための試薬及び条件(スキーム5のステップa~i)は、Drake et al.,J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1,1996,2739に開示され、以下の通りである:a)m-CPBA、DCM;b)K2CO3、Ac2O、H2O、DMSO;c)K2CO3、MeOH;d)t-BuSi(OTf)2、ルチジン、DMF;e)(EtO)2POCH2OTf、n-BuLi、THF;f)NH4F、MeOH;g)3-ベンゾイル-2H-1l2-ピリミジン-2,4(3H)-ジオン;PPh3、DIAD;h)NH4OH、MeOH;及びi)SFC分離。最終ステップは、5I及び5I’を、j)3-((クロロ(ジイソプロピルアミノ)ホスファニル)オキシ)プロパンニトリル、DIPEA、DCMと反応させて、ホスホルアミダイト5及びホスホルアミダイト5I’を形成することを含む。
【0287】
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 9.02 (br s, 1H), 7.62 (dd, J=1.6, 8.2 Hz, 1H), 5.62 (d, J=8.0
Hz, 1H), 5.32 - 5.14 (m, 1H), 4.46 (br d, J=
9.4 Hz, 1H), 4.20 - 4.08 (m, 4H), 4.06 - 3.96
(m, 1H), 3.94 - 3.73 (m, 4H), 3.72 - 3.57 (m
, 2H), 2.76 - 2.65 (m, 2H), 2.59 - 2.48 (m, 1
H), 2.33 - 2.19 (m, 2H), 1.75 (br d, J=13.9 Hz, 1H), 1.32 (br t, J=7.0 Hz, 6H), 1.25 - 1.15 (m, 12H); 31P NMR (162MHz, CD3CN) δ 147.53, 20.45, 20.36; m/z実測値[M+H]+=563.5
【0288】
実施例6:ジメチルホスホナートエステルホスホルアミダイトを使用した、5’末端に4’-オキシメチルホスホナートを含有するオリゴヌクレオチドの合成
2’-修飾ヌクレオシドホスホルアミダイト、すなわち、2’-F及び2’-OMe修飾ヌクレオシドホスホルアミダイトを使用して、対照化合物5’-OH、2’-F;対照化合物5’-PO
4、2’-F;対照化合物5’-OH、2’-OMe;及び対照化合物5’-PO
4、2’-OMe(
図1A及び1C)を合成した。2’-F及び2’-OMe修飾ヌクレオシドホスホルアミダイト使用して、試験化合物完全脱保護、2’-F;試験化合物モノメチル保護、2’-F;試験化合物完全脱保護、2’-OMe;及び試験化合物モノメチル保護、2’-OMe(
図1B及び1D)も合成した。各化合物は、22ヌクレオチドのガイド鎖及び36ヌクレオチドのパッセンジャー鎖を含み、パッセンジャー鎖は、ポリエチレングリコール-GalNAcリガンドにそれぞれコンジュゲートされるテトラループに4ヌクレオチドを含む。
図1A~Dを参照のこと。対照及び試験化合物は、遺伝子AのmRNAを標的とする同じ一次配列、同一のパッセンジャー鎖、及びヌクレオチド位置1を除くガイド鎖上の同じ化学修飾パターンを共有し、特定の化合物は、2’-Fを含有し、他のものは、2’-OMeを含有し、各試験化合物は、対照化合物には存在しないリン酸アナログ(4’-オキシメチルホスホナート)を含有する。
図1A~Dを参照のこと。各化合物中のヌクレオチドの全てを、糖環の2’-炭素で修飾した。
【0289】
市販のオリゴ合成装置を使用して、オリゴヌクレオチド合成を、3’から5’方向に固体支持体上で実施した。標準的なオリゴ合成プロトコールを用いた。アクチベーターとして5-エチルチオ-1H-テトラゾール(ETT)を用いるカップリング時間は300秒であった。ヨウ素溶液を、ホスファイトトリエステル酸化に使用した。
【0290】
ガイド鎖のN1ヌクレオチドにリン酸アナログを有する試験化合物のガイド鎖を合成するために、4’-オキシメチルホスホナートを含有する2’-修飾ヌクレオシドホスホルアミダイトを、各ガイド鎖の5’末端にカップリングさせた。より具体的には、以下に示されるホスホルアミダイト3(実施例3)またはホスホルアミダイト4(実施例4)を、各試験化合物のガイド鎖の5’末端にカップリングさせた。
【化22】
【0291】
ホスホルアミダイト3及びホスホルアミダイト4のホスホナート基はそれぞれ、2つのメチル保護された酸素原子を含有する。しかし、使用される脱保護ステップに応じて、メチル基の一方または両方のいずれかが除去されて、試験化合物モノメチル保護、2’-F及び試験化合物モノメチル保護、2’-OMe(
図1B及び1Dを参照のこと)で表されるようなホスホナート基中の1つのメチル基が保護された酸素原子、または、試験化合物完全脱保護、2’-F及び試験化合物完全脱保護、2’-OMe(
図1B及び1Dを参照
のこと)で表されるような(メチル保護された酸素原子を全く有しない)完全に脱保護されたホスホナート基を有する5’末端ヌクレオチドがもたらされる。
【0292】
モノメチル保護された4’-オキシメチルホスホナートオリゴヌクレオチドは、アンモニアを使用して調製することができる。試験化合物モノメチル保護、2’-F及び試験化合物モノメチル保護、2’-OMeのガイド鎖を調製するために、ホスホルアミダイト3または4がカップリングされている固体支持体結合オリゴヌクレオチドを、濃アンモニアの混合物(28~30wt%)に懸濁し、55℃で17時間加熱して、固体支持体からの切断、及びホスホナート基の1つのメチル基を含む、オリゴヌクレオチド上の保護基の除去を完了させた。試験化合物モノメチル保護、2’-F及び試験化合物モノメチル保護、2’-OMeのガイド鎖の5’末端ヌクレオチド(
図1B及び1Dを参照のこと)は、以下に示され、Rはそれぞれ、F及びOMeである。
【化23】
【0293】
ヨウ化トリメチルシリル試薬(「TMSI」)を使用して、完全に脱保護された4’-オキシメチルホスホナートオリゴヌクレオチドを調製することができる。試験化合物完全脱保護、2’-F及び試験化合物完全脱保護、2’-OMeのガイド鎖を調製するために、ホスホルアミダイト3または4がカップリングされている固体支持体結合オリゴヌクレオチドを、室温でTMSI/ピリジンのCH
2Cl
2溶液で処理した。30~45分後、反応を、1Mの2-メルカプトエタノールのTEA/CH
3CN(1:1)溶液でクエンチした。脱保護及び固体支持体からの切断のための標準的なオリゴヌクレオチド手順を、TMSIステップの後に適用して、完全に脱保護された4’-オキシメチルホスホナートオリゴヌクレオチドガイド鎖を得た。試験化合物完全脱保護、2’-F及び試験化合物完全脱保護、2’-OMeのガイド鎖の5’末端ヌクレオチド(
図1B及び1Dを参照のこと)は、以下に示され、Rはそれぞれ、F及びOMeである。
【化24】
【0294】
脱保護及び切断の後、粗オリゴヌクレオチドを、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(Integrated DNA Technologies、アイオワ州コーラルビル)で分析及び精製した。得られたオリゴヌクレオチド溶液を、プール及び濃縮し、水で脱塩した。最終的に、オリゴヌクレオチドを、凍結乾燥して粉末にした。
【0295】
次に、上記のプロセスを繰り返して、ヌクレオチド位置27~30のそれぞれに一価のGalNAcコンジュゲートヌクレオチドを有する相補的オリゴヌクレオチドパッセンジャー鎖を調製した。クリックケミストリー、または当該技術分野で既知の方法を使用して、GalNAcリガンドを2’-炭素に結合させるアセタールリンカーのいずれかを使用して、GalNAcコンジュゲートホスホルアミダイトシントンを調製した(例えば、WO2016/100401を参照のこと)。GalNAcコンジュゲートホスホルアミダ
イトシントンを、パッセンジャー鎖の4つの連続した位置(27~30)に組み込んだ。パッセンジャー鎖は、4’-オキシメチルホスホナートを含有しなかった。
【0296】
2つの相補鎖(ガイド及びパッセンジャー)のそれぞれを1:1のモル比で混合することにより二重鎖を形成して、4つのdsRNAi阻害剤分子:試験化合物完全脱保護、2’-F:試験化合物モノメチル保護、2’-F:試験化合物完全脱保護、2’-OMe;及び試験化合物モノメチル保護、2’-OMeを得た。
図1B及び1Dを参照のこと。
【0297】
対照化合物のヌクレオチドのいずれもが、4’-オキシメチルホスホナートを含んでいなかったことを除いて上記のように、4つの対照dsRNAi阻害剤分子(対照化合物5’-OH、2’-F;対照化合物5’-PO
4、2’-F;対照化合物5’-OH、2’-OMe;及び対照化合物5’-PO
4、2’-OMe)も調製した。
図1A及び1Cを参照のこと。ガイド鎖の5’末端ヌクレオチドの5’-炭素の天然のリン酸(5’-PO
4
2-)を用いて、対照化合物5’-PO
4、2’-F及び対照化合物5’-PO
4、2’-OMeを合成したが、対照化合物5’-OH、2’-F及び対照化合物5’-OH、2’-OMeは、ガイド鎖の5’末端ヌクレオチドの5’-炭素に遊離ヒドロキシル基(5’-OH)を含有していた。
【0298】
実施例7:ジエチルホスホナートエステルホスホルアミダイトを使用した、5’末端に4’-オキシメチルホスホナートを含有するオリゴヌクレオチドの合成
ジエチルホスホナートエステルホスホルアミダイトを用いて、実施例6に記載のオリゴヌクレオチド合成手順を繰り返して、さらなるdsRNA阻害剤分子を合成した。より具体的には、以下に示されるホスホルアミダイト1(実施例1)またはホスホルアミダイト2(実施例2)を、オリゴヌクレオチドガイド鎖の5’末端にカップリングさせた。
【化25】
【0299】
ホスホルアミダイト1及びホスホルアミダイト2のホスホナート基はそれぞれ、2つのエチル保護された酸素原子を含有する。しかし、使用される脱保護ステップに応じて、エチル基の一方または両方のいずれかが除去されて、ホスホナート基中に1つのエチル保護された酸素原子を有する5’末端ヌクレオチドまたは(エチル保護された酸素原子を全く有しない)完全に脱保護されたホスホナート基がもたらされる。
【0300】
モノメチル保護された4’-オキシメチルホスホナートオリゴヌクレオチドは、アンモニアを使用して調製することができる。モノエチル保護された5’末端ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドガイド鎖を調製するために、ホスホルアミダイト1または2がカ
ップリングされている固体支持体結合オリゴヌクレオチドを、濃アンモニアの混合物(28~30wt%)に懸濁し、55℃で17時間加熱して、固体支持体からの切断、及びオリゴヌクレオチドから、ホスホナート基の1つのエチル基を含む保護基の除去を完了させた。モノエチル保護されたホスホナート基を有するガイド鎖の5’末端ヌクレオチドが以下に示される。
【化26】
【0301】
ヨウ化トリメチルシリル試薬(「TMSI」)を使用して、完全に脱保護された4’-オキシメチルホスホナートオリゴヌクレオチドを調製することができる。完全に脱保護された5’末端ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドガイド鎖を調製するために、ホスホルアミダイト1または2がカップリングされていた固体支持体結合オリゴヌクレオチドを、室温のTMSI/ピリジンのCH
2Cl
2溶液で処理した。30~45分後、反応を、1Mの2-メルカプトエタノールのTEA/CH
3CN(1:1)溶液でクエンチした。脱保護及び固体支持体からの切断のための標準的なオリゴヌクレオチド手順を、TMSIステップの後に適用して、完全に脱保護された4’-オキシメチルホスホナートオリゴヌクレオチドガイド鎖を得た。完全に脱保護されたガイド鎖の5’末端ヌクレオチドが以下に示される。
【化27】
【0302】
脱保護及び切断の後、粗オリゴヌクレオチドを、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(Integrated DNA Technologies、アイオワ州コーラルビル)で分析及び精製した。得られたオリゴヌクレオチド溶液を、プール及び濃縮し、水で脱塩した。最終的に、オリゴヌクレオチドを、凍結乾燥して粉末にした。
【0303】
次に、上記のプロセスを繰り返して、ヌクレオチド位置27~30のそれぞれに一価のGalNAcコンジュゲートヌクレオチドを有する相補的オリゴヌクレオチドパッセンジャー鎖を調製した。クリックケミストリー、または当該技術分野で既知の方法を使用して、GalNAcリガンドを2’-炭素に結合させるアセタールリンカーを使用して、GalNAcコンジュゲートホスホルアミダイトシントンを調製した(例えば、WO2016/100401を参照のこと)。GalNAcコンジュゲートホスホルアミダイトシントンを、パッセンジャー鎖の4つの連続した位置(27~30)に組み込んだ。パッセンジャー鎖は、4’-オキシメチルホスホナートを含有しなかった。
【0304】
2つの相補鎖(ガイド及びパッセンジャー)のそれぞれを1:1のモル比で混合することにより、二重鎖を形成して、dsRNAi阻害剤分子を得た。各dsRNAi阻害剤分子は、ヌクレオチド位置1に4’-オキシメチルホスホナートを有する22塩基対ガイド鎖及び4’-オキシメチルホスホナートを有しない36塩基対パッセンジャー鎖を含有し、パッセンジャー鎖は、それぞれポリエチレングリコール-GalNAcリガンドにコン
ジュゲートされるテトラループに4ヌクレオチドを含有する。
【0305】
実施例8:カチオン性脂質トランスフェクション剤を使用する、細胞にトランスフェクトした試験化合物のin vitroポテンシー(IC50)
実施例6で調製したdsRNAi阻害剤分子を、製造者のプロトコールに従って、96ウェルプレート中でLIPOFECTAMINE(登録商標)RNAiMax(Thermo Fisher Scientific Inc.、メリーランド州ロックビル)を使用して、HEK293細胞にリバーストランスフェクトした。LIPOFECTAMINE(登録商標)RNAiMax(Thermo Fisher Scientific
Inc.、メリーランド州ロックビル)は、様々な細胞型にわたってRNAi阻害剤分子のトランスフェクション効率を高めるように設計されたカチオン性脂質製剤である。さらに、HEK293細胞に、遺伝子Aプラスミドをトランスフェクトした。dsRNAi阻害剤分子の最終濃度は、1000pM~0.0128pMの範囲であった。HEK293細胞を、12000細胞/ウェルで96ウェルプレートに添加し、プレートを、37℃で48時間インキュベートした。48時間後、1ウェル当たり30μlのISCRIPT(商標)溶解緩衝液(Bio-RadLaboratories、カリフォルニア州ヘラクレス)を添加することにより、細胞を溶解した。次に、22μlの溶解物を新しいプレートに移し、大容量cDNA逆転写キット(Applied Biosystems Corporation、カリフォルニア州カールスバッド)を使用して、cDNAを調製した。55℃で、ヒトSFRS9-F569(HEX)遺伝子に対して正規化された標的配列を用いて、定量PCRを実施した。GraphPad Prism(GraphPad Software Inc.,カリフォルニア州ラホヤ)を使用して、グラフをプロットし、IC50値を算出した。
【0306】
図2A~Dは、LIPOFECTAMINE(登録商標)RNAiMax(Thermo Fisher Scientific Inc.,メリーランド州ロックビル)を使用して、HEK293細胞にトランスフェクトした後の、対照化合物5’-OH、2’-F;対照化合物5’-PO
4、2’-F;試験化合物完全脱保護、2’-F;及び試験化合物モノメチル保護、2’-Fのin vitro活性を示す。5’-OHを有する対照化合物5’-OH、2’-Fは、約10.3pMのIC
50を有し、これらは、5’-OHの代わりに5’-PO
4を有する対照化合物5’-PO
4、2’-Fの活性(7pMのIC
50)に匹敵した。
図2A~B。5’-PO
4は、Ago2への積み込みにとって重要であると考えられるので、これらの結果は、対照化合物5’-OH、2’-Fの5’-OHが、トランスフェクトされた細胞のサイトゾル中のキナーゼにより5’-PO
4に変換されたことを示唆する。試験化合物完全脱保護、2’-Fは、対照化合物と同様の活性(7.8pMのIC
50)を有し、完全に脱保護された4’-オキシメチルホスホナートが効率的なリン酸アナログであることを示した。
図2C。試験化合物モノメチル保護、2’-Fは、本アッセイで、試験化合物完全脱保護、2’-F(7.8pMのIC
50)より低い活性(24.8pMのIC
50)を示した。これは、これらのアッセイ条件下で、試験化合物モノメチル保護、2’-Fのメチル保護基の非効率的な除去によるものと考えられ得る。
図2D。いかなる理論にも束縛されるものではないが、(完全に脱保護された4’-オキシメチルホスホナートを生じる)試験化合物モノメチル保護、2’-Fの4’-オキシメチルホスホナートからのメチル保護基の除去により、より効率的なAgo2への積み込みが可能になることが考えられる。
【0307】
実施例9:カチオン性脂質トランスフェクション剤を使用せずに、サル肝細胞にトランスフェクトされた試験化合物のin vitroポテンシー
初代サル肝細胞を、Life Technologies Corporation(カリフォルニア州カールスバッド)から入手し、製造者のプロトコールに従って、COR
NING(登録商標)BIOCOAT(商標)96ウェルプレート中で解凍及びプレーティングした。4~6時間プレーティングした後、培地を、1ウェル当たり90μlのWilliams Eインキュベーション培地と交換した。試験化合物完全脱保護、2’-F及び試験化合物モノメチル保護、2’-Fを、1μMの濃度で開始して12.8pMまで連続希釈した(5倍低減)。LIPOFECTAMINE(登録商標)(Thermo Fisher Scientfic,Inc.)などのカチオン性脂質トランスフェクション剤の非存在下で、10μlの試験化合物をそれぞれのウェルに加えた。プレートを、37℃で24時間インキュベートし、RNA標的のノックダウンを試験した。製造者のプロトコールに従って、SV96全RNA単離システム(Promega、ウィスコンシン州マディソン)を使用して、標的RNAを抽出及び精製した。大容量cDNA逆転写キット(Applied Biosystems Corporation、カリフォルニア州カールスバッド)を使用して、cDNAを調製した。ホモサピエンスペプチジルプロリルイソメラーゼB PPIBに対して正規化されたRNA標的を用いて、定量的PCRを60℃で行った。GraphPad Prismソフトウェア(GraphPad Software Inc.、カリフォルニア州ラホヤ)を使用して、グラフをプロットし、IC50値を算出した。
【0308】
図3A~Bは、カチオン性脂質トランスフェクション剤を用いずにトランスフェクト(「自己送達」)した後の初代サル肝細胞における、試験化合物完全脱保護、2’-F及び試験化合物モノメチル保護、2’-Fの活性を示す。これらの条件は、実施例8で使用したトランスフェクションプロトコールよりも、dsRNAi阻害剤分子でみられるin vivo条件をより密接に表すと考えられる。より具体的には、オリゴヌクレオチドを隔離及び保護するように機能することができるLIPOFECTAMINE(登録商標)RNAiMax(Thermo Fisher Scientific Inc.、メリーランド州ロックビル)などのトランスフェクション剤を用いずに、dsRNAi阻害剤分子は、細胞のエンドソーム区画の酵素及び条件への直接的な曝露を受け得ることが考えられる。これは、例えば、実施例8に記載の脂質トランスフェクションと比較して、試験化合物モノメチル保護、2’-Fのメチル保護基のより効率的な除去をもたらし得る。これと一致して、試験化合物完全脱保護、2’-F及び試験化合物モノメチル保護、2’-Fは、自己送達トランスフェクションプロトコールに従って同等の活性(IC
50 1.2nM及びIC
50 3.4nM)を示した。
図3A~B。
【0309】
実施例10:カチオン性脂質トランスフェクション剤を使用せずに、ヒト肝細胞にトランスフェクトされた試験化合物のin vitroポテンシー
凍結保存されたヒト肝細胞(Triangle Research Laboratories、ノースカロライナ州ダーラム;ロット#HUM4111B)を、製造者の使用説明書に従って、コラーゲンIでコーティングした96ウェルプレート(BD Biosciences)中の肝細胞プレーティング培地(Triangle Research
Laboratories)で、解凍及びプレーティングした。4時間後、培地を、無血清維持培地(Triangle Research Laboratories、ノースカロライナ州ダーラム)と交換した。試験化合物完全脱保護、2’-F及び試験化合物モノメチル保護、2’-Fを、1μMの濃度で開始して0.13nMまで連続希釈し;培地に添加し;LIPOFECTAMINE(登録商標)(Thermo Fisher Scientfic,Inc.)などのカチオン性脂質トランスフェクション剤の非存在下で24時間インキュベートした。次の日、培地を交換し、細胞をさらに24時間成長させた。
【0310】
インキュベーション期間の後、細胞を溶解し、製造者のプロトコールに従って、SV96 Total RNA Isolation System(Promega、ウィスコンシン州マディソン)を使用して、RNAを調製した。大容量cDNA逆転写キット(
Applied Biosystems Corporation、カリフォルニア州カールスバッド)を使用して、cDNAを調製した。次に、ハウスキーピング遺伝子HPRT1及びIPO8に対して正規化された遺伝子A特異的プライマープローブを使用して、定量PCRを実施した。遺伝子AのmRNA発現レベルを、mock処理された細胞に対して正規化し、GraphPad Prismソフトウェア(GraphPad Software Inc、カリフォルニア州ラホヤ)を使用して、用量曲線をプロットした。3パラメータモデルを使用して、IC50値を推定した。
【0311】
図4A~Bは、カチオン性脂質トランスフェクション剤を用いずにトランスフェクトした後の初代ヒト肝細胞における、試験化合物完全脱保護、2’-F及び試験化合物モノメチル保護、2’-Fの活性を示す。上記のサル肝細胞自己送達実験と同様に、これらの条件は、実施例8のトランスフェクションプロトコールよりも、dsRNAi阻害剤分子にみられるin vivoの条件に、より酷似していると考えられる。実施例9の結果と一致して、両方の試験化合物は、同等の活性を示し(IC
50 0.7nM及びIC
50 0.9nM)、試験化合物モノメチル保護、2’-F中のメチル保護基が、これらの条件下でより効率的に除去されて、試験化合物完全脱保護、2’-F中のホスホナート基のような完全に脱保護されたホスホナート基を生じ得ることを示唆した。
図4A~B。
【0312】
実施例11:試験化合物の安定性
in vitroで4’-オキシメチルホスホナート化合物の安定性を評価するために、3μMの対照化合物5’-OH、2’-OMe;対照化合物5’-PO4、2’-OMe:及び試験化合物完全脱保護、2’-OMeを、1mg/mLのラット肝臓トリトソーム(Sekisui Xenotech、カンザス州カンザスシティ)中でインキュベートした。ラット肝臓トリトソームは、Triton WR1339(Tyloxapolとも呼ばれる)で処置されているラット肝臓細胞由来のリソソームである。続いて、製造者の使用説明書に従って、96ウェル/100mgのCLARITY(登録商標)OTX(商標)カートリッジSPEプレート(Phenomenex、カルフォルニア州トーランス)及び96ウェルプレート真空マニホールドを使用して、2つの対照化合物及び1つの試験化合物をリソソームマトリックスから抽出した。TURBOVAP(登録商標)(Biotage、ノースカロライナ州シャーロット)溶媒蒸発ユニットを使用して、溶出液を蒸発させ、水中で再構成し、LC-MSで分析した。
【0313】
ACQUITY UPLC(登録商標)オリゴヌクレオチドBEH C18カラム 1.7μm粒径 逆相超高性能液体クロマトグラフィー(2.1×50mm)カラム(Waters Corporation、マサチューセッツ州ミルフォード)を使用して達成されるクロマトグラフィー分離を備えるACQUITY UPLC(登録商標)装置(Waters Corporation、マサチューセッツ州ミルフォード)を使用して、0.4mL/分で緩衝添加剤を含有する移動相を供給した。カラム温度を70℃に維持し、使用される試料注入量は、10または15μLであった。負イオンモード及びエレクトロスプレーイオン化(ESI)条件下で機能するSYNAPT(登録商標)G2S高解像度飛行時間質量分析計(Waters Corporation、マサチューセッツ州ミルフォード)を使用して、対照及び試験化合物ならびにそれらの代謝産物を検出した。PROMASS DECONVOLUTION(商標)ソフトウェア(Novatia、ペンシルベニア州ニュータウン)を使用した電荷状態デコンボリューションにより、ゼロ電荷状態分子イオン質量を得た。実験的に決定された質量を、予想される理論上の分子量と比較することにより、対照及び試験化合物ならびにそれらの代謝産物を同定した。
【0314】
図5Aは、ラット肝臓トリトソームにインキュベートした後の対照及び試験化合物のガイド鎖の安定性を示す。トリトソームにおけるホスファターゼは、対照化合物5’-PO
4、2’-OMeの5’-PO
4を除去し得る。トリトソームと共にインキュベートした
2時間以内に、対照化合物5’-PO
4、2’-OMeのガイド鎖を、検出することができず、5’-PO
4の代わりに5’-OHを有する対照化合物のガイド鎖の代謝産物(「M1」)で置換した。
図5A。代謝産物の5’末端ヌクレオチドの化学構造は、対照化合物5’-OH、2’-OMeのガイド鎖の5’末端ヌクレオチドの化学構造と同じであった。24時間のインキュベーション期間中、試験化合物完全脱保護、2’-OMeからのホスホナート切断は観察されなかった。試験化合物完全脱保護、2’-OMeは、対照化合物5’-OH、2’-OMeと比較した場合に、改善された代謝安定性も示した。
図5A。これらのデータにより、ガイド鎖の5’末端ヌクレオチドに位置する完全に脱保護された4’-オキシメチルホスホナートがホスファターゼ媒介性切断に対して耐性を示すことが示唆される。対照化合物5’-PO
4、2’-OMe及び試験化合物完全脱保護、2’-OMeの5’末端ヌクレオチドの対照比較が以下に示される。
【化28】
【0315】
関連実験では、1.7μMの試験化合物モノメチル保護、2’-Fを、1.2U/mL(酸ホスファターゼ活性)のラット肝臓トリトソーム(Sekisui Xenotech、カンザス州カンザスシティ)中でインキュベートした。試料を、リソソームマトリックスから抽出し、上記のようなUPLCにより、試験化合物及び関連代謝産物の存在について分析した。経時的に、試験化合物モノメチル保護、2’-Fのガイド鎖のレベルは、徐々に減少し、試験化合物完全脱保護、2’-Fと同じ構造を有する優勢な種を含む代謝産物の混合物により、試料中で交換されて、試験化合物モノメチル保護、2’-Fのガイド鎖が、これらの条件下で、試験化合物完全脱保護、2’-Fのガイド鎖に変換されたことを示唆した。
図5B。48時間後、代謝産物の混合物は、試験化合物完全モノメチル保護、2’-Fの元の量の約80%で存在し、ガイド鎖の5’末端ヌクレオチドに位置する完全に脱保護された4’-オキシメチルホスホナートが、ホスファターゼ媒介性切断に対して耐性を示すことを示した。
図5B。
【0316】
in vivoで4’-オキシメチルホスホナート化合物の安定性を評価するために、2匹の雄CD-1マウスに、3mpkで試験化合物モノメチル保護、2’-OMeを投与し、各時点で、肝臓を処理し、逆相イオン対形成超性能液体クロマトグラフィー(RP-IP-UPLC)及び高解像度質量分析(HRMS)で分析した。凍結組織を、Covaris TissueTube Extra Thick粉砕バッグ(Covaris、マサチューセッツ州ウォーバーン)に移し、液体窒素中で急速凍結し、Cryoprep粉砕機(Covaris、マサチューセッツ州ウォーバーン)を用いて粉砕した。次に、試料をセーフロックチューブ(Eppendorf、ニューヨーク州ホーポージ)に戻し、1mLのCLARITY(登録商標)OTX(商標)溶解ローディングバッファー(Phenomenex、カリフォルニア州トーランス)を添加した。TissueLyser II(Qiagen、メリーランド州フレデリック)を使用して、組織を30Hzで3分間均質化した。次に、試料を、4℃、20,000rpmで15分間遠心分離した。
製造者のプロトコールに従って、100mgの96ウェルClarity(登録商標)OTX(商標)(Phenomenex、カルフォルニア州トーランス)固相抽出プレートを使用して、試験化合物モノメチル保護、2’-F及びその代謝産物を上清から抽出した。最終溶出液を凍結し、凍結乾燥し、80μLの水に再懸濁して、RP-IP-UPLC-HRMSで分析した。
【0317】
ACQUITY UPLC(登録商標)オリゴヌクレオチドBEH C18カラム1.7μm粒径 逆相超高性能液体クロマトグラフィー(2.1×50mm)カラム(Waters Corporation、マサチューセッツ州ミルフォード)を使用して達成されるクロマトグラフィー分離を備えるACQUITY UPLC(登録商標)装置(Waters Corporation、マサチューセッツ州ミルフォード)を使用して、0.4mL/分で緩衝添加剤を含有する移動相を供給した。カラム温度を70℃に維持し、使用される試料注入量は、40μLであった。負イオンモード及びエレクトロスプレーイオン化(ESI)条件下で作動するSYNAPT(登録商標)G2S高解像度飛行時間質量分析計(Waters Corporation、マサチューセッツ州ミルフォード)を使用して、試験化合物モノメチル保護、2’-F及びその代謝産物のガイド鎖を検出した。PROMASS DECONVOLUTION(商標)ソフトウェア(Novatia、ペンシルベニア州ニュータウン)を使用した電荷状態デコンボリューションにより、ゼロ電荷状態分子イオン質量を得た。実験的に決定された質量を、予想される理論的分子量と比較することにより、試験化合物モノメチル保護、2’-OMe及びそれらの代謝産物のガイド鎖を同定した。試験化合物モノメチル保護、2’-OMeのガイド鎖及び関連代謝産物に対するシグナル強度を、PROMASS DECONVOLUTION(商標)ソフトウェアで算出し、電荷状態デコンボリューションされたシグナル強度から誘導する。
【0318】
48時間までに、試験化合物モノメチル保護、2’-OMeのガイド鎖の量は、徐々に約30%に減少していた。
図5C。試験化合物モノメチル保護、2’-OMeのガイド鎖の量が減少するにつれて、試験化合物完全脱保護、2’-OMeと同じ構造を有する代謝物(M2)は、徐々に増加して、50時間で約20%及び175時間で30%超に達し、4’-オキシメチルホスホナートのメチル基が、in vivoでヒドロキシル基に変換されたことを示唆する。
図5C。
【0319】
実施例12:マウスにおける試験化合物のin vivo活性
CD-1雌マウスに、下記の投薬量レベル及び二本鎖核酸阻害剤分子を使用して、10μL/gの容量で皮下投与した。対照群に、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を投与した。動物を、処置の72または240時間後に死亡させた。肝臓の左中葉を取り出し、1~4mmのパンチを取り出し、ドライアイス上の96ウェルプレートに入れた。CFX384 TOUCH(商標)リアルタイムPCR検出システム(BioRad Laboratories、Inc.、カリフォルニア州ヘラクレス)を使用するqPCRで、標的mRNAの低減を測定した。全ての試料を、PBSで処置された対照動物で正規化し、GraphPad Prism software(GraphPad Software Inc.,カリフォルニア州ラホヤ)を使用してプロットした。
【0320】
最初の実験では、マウスに、対照化合物5’-OH、2’-F;試験化合物5’-PO
4、2’-F、及び対照化合物完全脱保護、2’-Fを1mpkで皮下投与した。これらの3つの化合物は、
図1A及び
図1Bに示されるように、ガイド鎖の1位のヌクレオチドを除いて同一であり、対照化合物は、5’-OHまたは5’-PO
4基を有し、試験化合物は、完全に脱保護された4’-オキシメチルホスホナートを有する。投与後3日目に、標的遺伝子AのmRNA発現の阻害を測定した。試験化合物完全脱保護、2’-Fは、同じ用量の2つの対照化合物と比較した場合、有意に改善された遺伝子サイレンシング活性
を示した。
図6A。これらのデータにより、代謝的に安定な4’-オキシメチルホスホナートがRNAi阻害剤分子のin vivo活性を改善することが実証される。
【0321】
第2の実験では、CD-1雌マウスに、対照化合物5’-OH、2’-OMe及び試験化合物完全脱保護、2’-OMeを1mpkで皮下投与した。これらの化合物は、
図1C及び1Dに示されるように、ガイド鎖の1位のヌクレオチドを除いて同一であり、対照化合物は、5’-OHを有し、試験化合物は、完全に脱保護された4’-オキシメチルホスホナートを有する。投与後4日目に、標的遺伝子BのmRNA発現の阻害を測定した。同じ用量の対照化合物と比較した場合に、試験化合物が有意に改善された遺伝子サイレンシング活性を示す同じ傾向が観察され、4’-オキシメチルホスホナートがdsRNAi阻害剤分子のin vivo活性を改善することが実証された。
図6B。
【0322】
第3の実験では、CD-1雌マウスに、試験化合物モノメチル保護、2’-Fを、0.3、1、及び3mpkの体重で皮下投与した。投与後10日目に、標的遺伝子AのmRNA発現の阻害を測定した。試験化合物モノメチル保護、2’-Fは、標的遺伝子のmRNA発現の用量依存的なノックダウンを示した。
図7。
【0323】
第4の実験では、CD-1雌マウスに、試験化合物完全脱保護、2’-OMe及び試験化合物モノメチル保護、2’-OMeを、0.3または1mpkで皮下投与した。これら2つの試験化合物は、ガイド鎖の1位のヌクレオチド上の4’-オキシメチルホスホナートを除いて同一であり;
図1Dに示されるように、4’-オキシメチルホスホナートの一方は、完全に脱保護され、他方は、単一のメチル基で保護される(すなわち、モノメチル保護される)。投与後3及び10日目に、標的遺伝子BのmRNA発現の阻害を測定した。2つの化合物は、用量及び時点の両方で用量依存的なノックダウン及び類似のポテンシーを示した。
図8。いかなる理論にも束縛されるものではないが、4’-オキシメチルホスホナートのモノメチルエステルは、in vivoで完全に脱保護された4’-オキシメチルホスホナートになり得ると考えられる。
【0324】
実施例13:非ヒト霊長類における試験化合物のin vivo活性
第1の実験では、雄及び雌のカニクイザルに、対照化合物5’-OH、2’-OMe及び試験化合物完全脱保護、2’-OMeを、体重1キログラム当たり3ミリグラムで投与した。これらの化合物は、
図1C及び1Dに示されるように、ガイド鎖の1位のヌクレオチドを除いて同一であり、対照化合物は、5’-OH基を有し、試験化合物は、完全に脱保護された4’-オキシメチルホスホナートを有する。第2の実験では、雄及び雌のカニクイザルに、試験化合物完全脱保護、2’-OMe及び試験化合物モノメチル保護、2’-OMeを、体重1キログラム当たり3ミリグラムで投与した。これら2つの試験化合物は、ガイド鎖の1位のヌクレオチド上の4’-オキシメチルホスホナートを除いて同一であり;
図1Dに示されるように、4’-オキシメチルホスホナートの一方は、完全に脱保護され、他方は、単一のメチル基で保護される(すなわち、モノメチル保護される)。二本鎖核酸阻害剤分子を、10ml/kgの容量で皮下投与した。対照群に、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を投与した。
【0325】
全ての試料収集前に、動物を一晩絶食させた。研究の-7、14、28、及び56日目に、動物に鎮静剤を与え、約20mgの経皮肝臓生検試料を収集した。組織試料を、秤量して、RNAlater(登録商標)で保存するために半分に分割するか、または-70℃で保存した。CFX384 TOUCH(商標)リアルタイムPCR検出システム(BioRad Laboratories、Inc.、カリフォルニア州ヘラクレス)を使用するqPCRで、標的mRNAの低減を測定した。全ての動物の試料を、最初に、それ自体の投与前の対照試料に対し、次に、PBSで処置された対照動物に対して正規化し、GraphPad Prismソフトウェア(GraphPad Software I
nc.、カリフォルニア州ラホヤ)を使用してプロットした。
【0326】
第1の実験では、試験化合物完全脱保護、2’-OMeは、14日目及び28日目に、対照化合物5’-OH、2’-OMeと比較して、より良好なmRNA還元活性を示し、4’-オキシメチルホスホナートの存在がカニクイザルにおけるRNAi阻害剤分子のin vivo活性を改善することが実証された。
図9A。第2の実験では、試験化合物(完全脱保護及びモノメチル保護)の両方は、全ての時点で同様の活性を示した。
図9B。
オリゴヌクレオチドであって、5’末端ヌクレオチドを含み、前記5’末端ヌクレオチドが、4’-オキシメチルホスホナートを含み、前記4’-オキシメチルホスホナートが、-O-CH2-PO(OH)2または-O-CH2-PO(OR)2であり、Rは独立して、H、CH3、アルキル基、または保護基から選択される、前記オリゴヌクレオチド。
前記オリゴヌクレオチドが、第1の鎖及び第2の鎖を含む二本鎖RNAi阻害剤分子であり、前記第1の鎖が、センス鎖であり、前記第2の鎖が、アンチセンス鎖である、先行請求項のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
少なくとも1つの送達剤をさらに含み、前記少なくとも1つの送達剤が、細胞の外膜を超える前記オリゴヌクレオチドの輸送を容易にするように、前記オリゴヌクレオチドにコンジュゲートされる、先行請求項のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。