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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174824
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】インナーフォーカス光学系
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20221117BHJP
   G02B 13/18 20060101ALN20221117BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080809
(22)【出願日】2021-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000131326
【氏名又は名称】株式会社シグマ
(72)【発明者】
【氏名】小山 武久
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA02
2H087KA03
2H087LA01
2H087MA07
2H087PA05
2H087PA08
2H087PA17
2H087PA18
2H087PB05
2H087PB06
2H087PB08
2H087QA03
2H087QA06
2H087QA17
2H087QA19
2H087QA21
2H087QA25
2H087QA26
2H087QA37
2H087QA39
2H087QA41
2H087QA45
2H087QA46
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA34
2H087RA42
2H087RA43
2H087RA44
(57)【要約】
【課題】
フォーカスレンズ群が軽量で、またフォーカスレンズ群を光軸に沿う方向へ微少振動(ウオブリング)させた際の像高変化率が小さく、F値が1.4と明るく、35mm判換算焦点距離で40~50mm相当の画角を有する構成枚数の少なく小型なインナーフォーカス光学系を提供する。
【解決手段】
物体側から像側へ順に、開口絞りSと、正の屈折力の第1レンズ群G1と、正の屈折力の第2レンズ群G2、負の屈折力の第3レンズ群G3とからなり、無限遠物体側から近距離物体側へのフォーカシングをする際、前記第2レンズ群G2が物体側へ移動するインナーフォーカス光学系とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側へ順に、開口絞りSと、正の屈折力の第1レンズ群G1と、正の屈折力の第2レンズ群G2と、負の屈折力の第3レンズ群G3とからなり、無限遠物体側から近距離物体側へのフォーカシングをする際、前記第2レンズ群G2が物体側へ移動するインナーフォーカス光学系
【請求項2】
以下の条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のインナーフォーカス光学系。
(1)0.3<f/f1<2.5
(2)0.14<f/f2<1.2
(3)-2.1<f/f3<-0.15
ただし、
f:全系の無限遠合焦状態での焦点距離
f1:第1レンズ群G1の焦点距離
f2:第2レンズ群G2の焦点距離
f3:第3レンズ群G3の焦点距離
【請求項3】
以下の条件を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載のインナーフォーカス光学系。
(4)-9.3<f/R1<-0.01
ただし、
f:全系の無限遠合焦状態での焦点距離
R1:前記第1レンズ群G1の最も物体側の光学素子面の曲率半径
【請求項4】
以下の条件を満足することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のインナーフォーカス光学系。
(5)1.1<M3<3.6
ただし、
M3:物体距離無限遠時の第3レンズ群G3の倍率負担
【請求項5】
以下の条件を満足することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のインナーフォーカス光学系。
(6)0.25<(M3^2×(1-M2^2))<5.0
ただし、
M2:物体距離無限遠時の第2レンズ群G2の倍率負担
M3:物体距離無限遠時の第3レンズ群G3の倍率負担
【請求項6】
正の屈折力の第2レンズ群G2が単レンズからなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のインナーフォーカス光学系。
【請求項7】
負の屈折力の第3レンズ群G3が単レンズからなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のインナーフォーカス光学系。
【請求項8】
以下の条件を満足することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のインナーフォーカス光学系。
(7)-4.4<f/f_L1<-0.37
ただし、
f:全系の無限遠合焦状態での焦点距離
f_L1:開口絞りSの像側に隣接したレンズエレメントの焦点距離。隣接したレンズが接合レンズの場合、その接合レンズのうち物体側のレンズエレメントの焦点距離
【請求項9】
以下の条件を満足することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のインナーフォーカス光学系。
(8)2.0<D/Y<10.6
ただし、
D:開口絞りSから像面までの長さ
Y:最大像高
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチルカメラ、ビデオカメラ等の撮像装置に用いる撮影レンズに好適な光学系に関し、オートフォーカスカメラに適したインナーフォーカス方式を採用し、またフォーカスレンズ群を光軸に沿う方向への微少振動(ウオブリング)させた際の像高変化率が小さく、F値が1.4と明るく、35mm判換算焦点距離で40~50mm相当の画角を有する構成枚数の少なく小型なインナーフォーカス光学系に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、写真カメラやスチルビデオカメラに用いられる広角レンズはレトロフォーカスタイプが用いられてきた。これはミラーアップ機構を採用する一眼レフシステム用として、一定以上のバックフォーカスを確保するためであった。
【0003】
一方、ミラーレス一眼タイプのボディは動画撮影にも頻繁に使用されるため、そのオートフォーカス方式に、フォーカスレンズ群を光軸に沿う方向へ微少振動(ウオブリング)させ続けることで、常にフォーカス駆動方向を判断し続ける形式のインナーフォーカス方式が採用されることが多い。その際、ウオブリング時の像高変化率が大きいと、鑑賞者が画面に映る被写体の倍率変動を認識し、目障りに感じてしまうため、フォーカス変化に対し像高変化率が小さいフォーカス方式を必要としている。
【0004】
このような要求に対し特許文献1では、物体側より順に、正の屈折力の第1レンズ群G1、負の屈折力の第2レンズ群G2、正の屈折力の第3レンズ群G3からなり、開口絞りは第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間に配置し、第2レンズ群G2を像面側へ移動することでフォーカシングを行う大口径レンズにおいて、所定の条件を満足させることで、簡易な構成ながら、動画撮影時のオートフォーカスに対応するため、フォーカスレンズ群の重量を削減しつつ、フォーカシングによる収差変動が少なく、インナーフォーカス方式を採用する開放F値1.4程度の明るさにも適応可能で高性能な大口径レンズを開示している。
【0005】
また特許文献2では、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1、正の屈折力を有する第2レンズ群G2、負の屈折力を有する第3レンズ群G3からなり、無限遠物体から近距離物体への合焦の際に、第2レンズ群G2が物体側へ移動し、第1レンズ群G1と第3レンズ群G3は像面Iに対して固定であり、前記第1レンズ群G1は、絞りSを含み、所定のレンズ群からなり、前記第3レンズ群G3は、所定のレンズ群からなり、所定の条件式を満足することで結像光学系と撮像素子との間隔が短く、小型化を実現しており、Fナンバーが小さく、光線射出角を抑えることができ、無限遠撮影から近距離撮影において諸収差を良好に補正した、画角が40~60°程度の結像光学系を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-3324号公報
【特許文献2】特開2015-75501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら前記特許文献1に開示されたレンズ系では、フォーカスレンズ群と絞りが隣接しているため、動画撮影時のオートフォーカスのフォーカスレンズ群を光軸に沿う方向へ微少振動(ウオブリング)させた際の像高変化率が大きいため、鑑賞者が画面に映る被写体の倍率変動を認識し、目障りに感じてしまう課題がある。
【0008】
また前記特許文献2では、フォーカスレンズ群が接合レンズを含む3枚で構成されているため、微小振動させながらオートフォーカスを行うにはフォーカスレンズ群の軽量化が十分でない。
【0009】
そこで本発明は、以下に示す手段により、フォーカスレンズ群が軽量で、またフォーカスレンズ群を光軸に沿う方向へ微少振動(ウオブリング)させた際の像高変化率が小さく、F値が1.4と明るく、35mm判換算焦点距離で40~50mm相当の画角を有する構成枚数の少なく小型なインナーフォーカス光学系を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の課題を解決するため、本発明のインナーフォーカス光学系に係る第1の発明は、物体側から像側へ順に、開口絞りSと、正の屈折力の第1レンズ群G1と、正の屈折力の第2レンズ群G2と、負の屈折力の第3レンズ群G3とからなり、無限遠物体側から近距離物体側へのフォーカシングをする際、前記第2レンズ群G2が物体側へ移動する。
【0011】
本発明のインナーフォーカス光学系に係る第2の発明は、以下の条件を満足することを特徴とする。
(1)0.3<f/f1<2.5
(2)0.14<f/f2<1.2
(3)-2.1<f/f3<-0.15
ただし、
f:全系の無限遠合焦状態での焦点距離
f1:第1レンズ群G1の焦点距離
f2:第2レンズ群G2の焦点距離
f3:第3レンズ群G3の焦点距離
【0012】
本発明のインナーフォーカス光学系に係る第3の発明は、以下の条件を満足することを特徴とする。
(4)-9.3<f/R1<-0.01
ただし、
f:全系の無限遠合焦状態での焦点距離
R1:前記第1レンズ群G1の最も物体側の光学素子面の曲率半径
【0013】
本発明のインナーフォーカス光学系に係る第4の発明は、以下の条件を満足することを特徴とする。
(5)1.1<M3<3.6
ただし、
M3:物体距離無限遠時の第3レンズ群G3の倍率負担
【0014】
本発明のインナーフォーカス光学系に係る第5の発明は、以下の条件を満足することを特徴とする。
(6)0.25<(M3^2×(1-M2^2))<5.0
ただし、
M2:物体距離無限遠時の第2レンズ群G2の倍率負担
M3:物体距離無限遠時の第3レンズ群G3の倍率負担
【0015】
本発明のインナーフォーカス光学系に係る第6の発明は、正の屈折力の第2レンズ群G2が単レンズからなることを特徴とする。
【0016】
本発明のインナーフォーカス光学系に係る第7の発明は、負の屈折力の第3レンズ群G3が単レンズからなることを特徴とする。
【0017】
本発明のインナーフォーカス光学系に係る第8の発明は、以下の条件を満足することを特徴とする。
(7)-4.4<f/f_L1<-0.37
ただし、
f:全系の無限遠合焦状態での焦点距離
f_L1:開口絞りSの像側に隣接したレンズエレメントの焦点距離。隣接したレンズが接合レンズの場合、その接合レンズのうち物体側のレンズエレメントの焦点距離
【0018】
本発明のインナーフォーカス光学系に係る第9の発明は、以下の条件を満足することを特徴とする。
(8)2.0<D/Y<10.6
ただし、
D:開口絞りSから像面までの長さ
Y:最大像高
【発明の効果】
【0019】
本発明により、オートフォーカスカメラに適したインナーフォーカス方式を採用し、またフォーカスレンズ群を光軸に沿う方向へ微少振動(ウオブリング)させた際の像高変化率が小さく、F値が1.4と明るく、35mm判換算焦点距離で40~50mm相当の画角を有する構成枚数の少なく小型なインナーフォーカス光学系を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施例1のインナーフォーカス光学系の撮影距離無限遠におけるレンズ構成図。
図2】本発明の実施例1の撮影距離無限遠における縦収差図。
図3】本発明の実施例1の撮影倍率0.025倍における縦収差図。
図4】本発明の実施例1の撮影距離無限遠における横収差図。
図5】本発明の実施例1の撮影倍率0.025倍における横収差図。
図6】本発明の実施例2のインナーフォーカス光学系の撮影距離無限遠におけるレンズ構成図。
図7】本発明の実施例2の撮影距離無限遠における縦収差図。
図8】本発明の実施例2の撮影倍率0.025倍における縦収差図。
図9】本発明の実施例2の撮影距離無限遠における横収差図。
図10】本発明の実施例2の撮影倍率0.025倍における横収差図。
図11】本発明の実施例3のインナーフォーカス光学系の撮影距離無限遠におけるレンズ構成図。
図12】本発明の実施例3の撮影距離無限遠における縦収差図。
図13】本発明の実施例3の撮影倍率0.025倍における縦収差図。
図14】本発明の実施例3の撮影距離無限遠における横収差図。
図15】本発明の実施例3の撮影倍率0.025倍における横収差図。
図16】本発明の実施例4のインナーフォーカス光学系の撮影距離無限遠におけるレンズ構成図。
図17】本発明の実施例4の撮影距離無限遠における縦収差図。
図18】本発明の実施例4の撮影倍率0.025倍における縦収差図。
図19】本発明の実施例4の撮影距離無限遠における横収差図。
図20】本発明の実施例4の撮影倍率0.025倍における横収差図。
図21】本発明の実施例5のインナーフォーカス光学系の撮影距離無限遠におけるレンズ構成図。
図22】本発明の実施例5の撮影距離無限遠における縦収差図。
図23】本発明の実施例5の撮影倍率0.025倍における縦収差図。
図24】本発明の実施例5の撮影距離無限遠における横収差図。
図25】本発明の実施例5の撮影倍率0.025倍における横収差図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本実施形態のインナーフォーカス光学系について説明する。なお、以下の実施例の説明は本発明の光学系の一例を説明したものであり、本発明はその要旨を逸脱しない範囲において本実施例に限定されるものではない。
【0022】
本発明のインナーフォーカス光学系は、図1、6、11、16、21に示すレンズ構成図からわかるように、光学系の屈折力配置を物体側から像側へ順に、開口絞りSと、正の屈折力の第1レンズ群G1と、正の屈折力の第2レンズ群G2と、負の屈折力の第3レンズ群G3からなり、光学系全体を前置き絞りのテレフォト型屈折力配置とし、無限遠物体側から近距離物体側へのフォーカシングをする際、第2レンズ群G2が物体側へ移動する。
【0023】
上記構成が必要な理由は以下のとおりである。すなわち、絞りを通過した軸外主光線の傾角を、正の屈折力の第1レンズ群G1で緩やかにすることにより、フォーカスレンズ群である第2レンズ群G2に入射する軸外主光線の傾角を緩くすることが可能であり、像高変化率の縮小に寄与する。
【0024】
また、撮像素子への入射角が大きくなるとシェーディングが問題となってくるので、軸外光束の射出角が小さくなる光学系が求められている。前述のようにフォーカスレンズ群に入射する軸外主光線の光軸に対しての角度が小さいため、フォーカスレンズ群の正の屈折力を大きくしなくても、撮像素子へ届く軸外主光線の入射角を小さくすることが可能になる。さらに、フォーカスレンズ群の屈折力が小さければ、レンズ群が軽量になるため、フォーカスレンズ群を微小振動(ウオブリング)させやすくなる。
【0025】
また、絞りとフォーカスレンズ群の間に正の屈折力のレンズ群を配置することで、フォーカス群から見た絞りの像を遠方に射影することにより、上記像高変化率を小さくすることが可能となる。
【0026】
また、フォーカスレンズ群の像側、最終群に負の屈折力の拡大系レンズ群を配置することで全系を縮小させることが可能となる。
【0027】
また、絞りを光学素子で構成される系の物体側に配置することにより、絞り機構のレイアウトの自由度が生まれ、全体の系の小型化が可能となる。さらに、光学系の物体側の光線高を低くすることができ、全体の系の小型化が可能となる。
【0028】
また、絞り直後の光学素子の物体側の面を物体に対し凹面とすることにより、絞りに対しコンセントリックな形状になるため、コマ収差の発生を抑制することができる。
【0029】
これらより、フォーカスレンズ群を光軸に沿う方向への微少振動(ウオブリング)させた際の像高変化率が小さく、さらに35mm判換算焦点距離で40~50mm相当の画角を有する構成枚数の少なく小型な光学系の提供が可能となる。
【0030】
さらに、本実施形態のインナーフォーカス光学系は以下の条件式を満足することが好ましい。
(1)0.3<f/f1<2.5
(2)0.14<f/f2<1.2
(3)-2.1<f/f3<-0.15
ただし、
f:全系の無限遠合焦状態での焦点距離
f1:第1レンズ群G1の焦点距離
f2:第2レンズ群G2の焦点距離
f3:第3レンズ群G3の焦点距離
【0031】
条件式(1)において、第1レンズ群G1と無限遠合焦時の全系の焦点距離の比を適切に規定することで、大口径化が可能となる。
【0032】
条件式(1)の下限を超え、第1レンズ群G1の正の屈折力が小さくなると、フォーカスレンズ群である第2レンズ群G2の正の屈折力を強くしなければ全体の屈折力を確保できない。このためフォーカス時の球面収差と非点収差の変動を同時に補正することが困難になる。
【0033】
一方、条件式(1)の上限を超え、第1レンズ群G1の正の屈折力が大きくなると、大口径化時の球面収差とコマ収差の補正が困難になる。
【0034】
なお、条件式(1)について、望ましくはその下限値を0.35、さらには0.45へ、また上限値を1.9、さらには1.6に限定することで、前述の効果をより確実にすることができる。
【0035】
条件式(2)において、フォーカスレンズ群である第2レンズ群G2と無限遠合焦時の全系の焦点距離の比を適切に規定することで、フォーカス時の収差変動を抑えることが可能となる。
【0036】
条件式(2)の下限を超え、第2レンズ群G2の正の屈折力が小さくなると、フォーカス時の第2レンズ群G2の移動量が大きくなり、光学系全長が大きくなる。また、ウオブリング時の振幅量を大きくしなければならず、アクチュエータへの負荷がかかるため好ましくない。
【0037】
一方、条件式(2)の上限を超え、第2レンズ群G2の正の屈折力が大きくなると、フォーカス時の第2レンズ群G2の移動量が小さくなり、スペース的には有利になるが、フォーカス時の球面収差と非点収差の変動を同時に補正することが困難になる。
【0038】
なお、条件式(2)について、望ましくはその下限値を0.2に、また上限値を0.9に限定することで、前述の効果をより確実にすることができる。
【0039】
条件式(3)は、第3レンズ群G3と無限遠合焦時の全系の焦点距離の比を適切に規定することにより、フォーカスレンズ群までの残存収差を部分的に補正し、全系としての性能を高めることが可能となる。
【0040】
条件式(3)の下限を超え、第3レンズ群G3の負の屈折力が大きくなると、第3レンズ群G3の結像倍率は拡大方向にシフトする。全系のパワーを戻そうとすると、第2レンズ群と第3レンズ群の共役間距離を広げねばならず、第3レンズ群での軸上マージナル光線高が低くなるため球面収差がアンダーになる。このアンダーな球面収差を補正するには第1レンズ群G1、第2レンズ群G2で残存するアンダーな球面収差をより多く補正しなければならず、レンズ枚数の増加を伴うため好ましくない。
【0041】
一方、条件式(3)の上限を超え、第3レンズ群G3の負の屈折力が小さくなると、ペッツバール和の負成分が不足するため像面湾曲の補正が困難になる。また全系の小型化のためにも好ましくない。
【0042】
なお、条件式(3)について、望ましくはその下限値を-1.6に、また上限値を-0.2に限定することで、前述の効果をより確実にすることができる。
【0043】
さらに本発明のインナーフォーカス光学系では、以下に示す条件式を満足することが望ましい。
(4)-9.3<f/R1<-0.01
ただし、
f:全系の無限遠合焦状態での焦点距離
R1:前記第1レンズ群G1の最も物体側の光学素子面の曲率半径
【0044】
条件式(4)は、第1レンズ群G1の最も物体側の面の曲率半径と無限遠合焦時の全系の焦点距離の比を規定する。この値を適切に規定することにより、大口径化によるコマ収差と球面収差の悪化を防ぎ、さらに第1レンズ群G1の後方、および第2レンズ群G2での光線高を低くし、さらに像面湾曲、および非点収差の補正が可能となる。
【0045】
条件式(4)の下限を超え、第1レンズ群G1の最も物体側の光学素子面の負の曲率が大きくなると、軸上光束の跳ね上げが大きくなることによる球面収差、および軸外光束の上光線と下光線の当該面に対する入射角の差が大きくなることによるコマ収差などの補正が困難になる。
【0046】
一方、条件式(4)の上限を超え、第1レンズ群G1の最も物体側の光学素子面の負の曲率が小さくなると、ペッツバール和がプラスにシフトし、像面湾曲の補正および非点収差の補正が困難になる。
【0047】
なお、条件式(4)について、望ましくはその下限値を-6.9に、また上限値を-0.02に限定することで、前述の効果をより確実にすることができる。
【0048】
さらに本発明のインナーフォーカス光学系では、以下に示す条件式を満足することが望ましい。
(5)1.1<M3<3.6
ただし、
M3:物体距離無限遠時の第3レンズ群G3の倍率負担
【0049】
条件式(5)は、第3レンズ群G3の結像倍率を規定する。本発明のインナーフォーカス光学系は前記したようにテレフォト型屈折力配置であるが、絞りを光学系の最前面に配置し、絞り直後である第1レンズ群の最も物体側の面を物体側に対し強い凹面にしたため、第1レンズ群自身はレトロフォーカス型になっている。そのため第1レンズ群自身の小型化は十分でなく、全系全長の小型化には不利である。そこで最終群である第3レンズ群G3の結像倍率を拡大系にすることにより、全系をテレフォト化することにより全系の大型化を抑制した。
【0050】
条件式(5)の下限を超え、第3レンズ群G3の結像倍率が小さくなると、全系のテレフォト化の作用が少なくなるため、全系を小型にすることが困難になる。
【0051】
一方、条件式(5)の上限を超え、第3レンズ群G3の結像倍率が大きくなると、テレフォト化の作用が強くなり、全系の小型化には有利であるが、フォーカスレンズ群までの残存収差が増倍するため、その収差を補正することが困難になる。
【0052】
なお、条件式(5)について、望ましくはその下限値を1.2に、また上限値を3.0さらには2.5に限定することで、前述の効果をより確実にすることができる。
【0053】
さらに本発明のインナーフォーカス光学系では、以下に示す条件式を満足することが望ましい。
(6)0.25<(M3^2×(1-M2^2))<5.0
ただし、
M2:物体距離無限遠時の第2レンズ群G2の倍率負担
M3:物体距離無限遠時の第3レンズ群G3の倍率負担
【0054】
条件式(6)は、第2レンズ群G2がフォーカス時に移動した時の結像面の敏感度を規定する。この値を適切に規定することにより、オートフォーカスの際の合焦範囲内にフォーカスレンズ群を精度良く駆動制御することが可能となる。
【0055】
条件式(6)の下限を超え、フォーカス時に移動した時の結像面の敏感度が小さくなると、フォーカスレンズ群の移動量が多くなるため、ウオブリングによるフォーカスレンズ群の主光線高の変動が大きくなり、像高変動を抑制する効果は弱くなり、ウオブリング時の像高変動を抑えることが困難になる。
【0056】
一方、条件式(6)の上限を超え、フォーカス時に移動した時の結像面の敏感度が大きくなると、フォーカスレンズ群の移動量が少なくなるため、フォーカスレンズ群の微少な動きで結像面が大きく動き、オートフォーカスの際の合焦範囲内にフォーカスレンズ群である第2レンズ群G2を駆動制御することが困難になる。
【0057】
なお、条件式(6)について、望ましくはその下限値を0.35に、さらには0.45に、また上限値を4.0に、さらには3.0に限定することで、前述の効果をより確実にすることができる。
【0058】
さらに本発明のインナーフォーカス光学系では、正の屈折力の第2レンズ群G2が単レンズからなることが望ましい。これによりフォーカス群を軽量化することができ、フォーカス駆動用のアクチュエータの小型化ひいては製品サイズの小型化が可能となる。
【0059】
さらに本発明のインナーフォーカス光学系では、負の屈折力の第3レンズ群G3が単レンズからなることが望ましい。これによりフォーカス群より像側のスペースを可能な限り削減し全系の小型化をすることが可能となる。
【0060】
さらに本発明のインナーフォーカス光学系では、以下に示す条件式を満足することが望ましい。
(7)-4.4<f/f_L1<-0.37
ただし、
f:全系の無限遠合焦状態での焦点距離
f_L1:開口絞りSの像側に隣接したレンズエレメントの焦点距離。隣接したレンズが接合レンズの場合、その接合レンズのうち物体側のレンズエレメントの焦点距離
【0061】
条件式(7)は、開口絞りSの像側に隣接したレンズエレメントの焦点距離と無限遠合焦時の全系の焦点距離の比を規定する。ここで、レンズエレメントとは単一レンズ又は複数のレンズを接合した接合レンズである。なお隣接したレンズが接合レンズの場合、その物体側のレンズエレメントの焦点距離を規定する。この値を適切に規定することにより、大口径化によるコマ収差と球面収差の悪化を防ぎ、さらに第1レンズ群G1の後方、および第2レンズ群G2の光線高を低くすることが可能となる。
【0062】
条件式(7)の下限を超え、開口絞りSの像側に隣接したレンズエレメントの負の屈折力が大きくなると、軸上光束の跳ね上げが大きくなることによる球面収差、および軸外光束の上光線と下光線の当該レンズエレメントに対する入射角の差が大きくなることによるコマ収差などの補正が困難になる。
【0063】
一方、条件式(7)の上限を超え、開口絞りSの像側に隣接したレンズエレメントの負の屈折力が小さくなると、ペッツバール和がプラスにシフトし、像面湾曲の補正および非点収差の補正が困難になる。
【0064】
なお、条件式(7)について、望ましくはその下限値を-3.3に、また上限値を-0.49に限定することで、前述の効果をより確実にすることができる。
【0065】
さらに本発明のインナーフォーカス光学系では、以下に示す条件式を満足することが望ましい。
(8)2.0<D/Y<10.6
ただし、
D:開口絞りSから像面までの長さ
Y:最大像高
【0066】
条件式(8)は、開口絞りSから像面までの長さと最大像高の比を適切に規定することでウオブリング時の像高変動を抑制することが可能となる。
【0067】
条件式(8)の下限値を超え、開口絞りSから像面までの長さと最大像高の比が小さくなると、軸外像面への入射角が大きくなり、ウオブリング時のフォーカスレンズ群の主光線高の変動が大きくなるため、ウオブリング時の像高変動を抑制することが困難になる。
【0068】
一方、条件式(8)の上限を超え、開口絞りSから像面までの長さと最大像高の比が大きくなると、全系光学系大きくなり好ましくない。
【0069】
なお、条件式(8)について、望ましくはその下限値を2.7に、また上限値を7.9に限定することで、前述の効果をより確実にすることができる。
【0070】
本発明のインナーフォーカス光学系では、以下の構成を伴うことがより効果的である。
【0071】
本発明のインナーフォーカス光学系では、第2レンズ群G2を単レンズで構成しているが、接合レンズあるいは回折光学面にてフォーカスレンズ群を色消しすることにより、フォーカス時のフォーカスレンズ群の移動による色収差の変動を抑制することも可能である。
【0072】
次に、本発明のインナーフォーカス光学系に係る各数値実施例について説明する。
【0073】
[面データ]において、面番号は物体側から数えたレンズ面又は開口絞りの番号、rは各面の曲率半径、dは各面の間隔、ndはd線(波長λ=587.56nm)に対する屈折率、νdはd線に対するアッベ数を示す。また、BFはバックフォーカスを表す。
【0074】
面番号を付した(絞り)には、平面または開口絞りに対する曲率半径∞(無限大)を記入している。また、空気の屈折率n=1.0000はその記載を省略する。
【0075】
[非球面データ]には[面データ]において*を付したレンズ面の非球面形状を与える各係数値を示している。非球面の形状は、光軸に直交する方向への変位をy、非球面と光軸の交点から光軸方向への変位(サグ量)をz、コーニック係数をK、4、6、8、10、12次の非球面係数をそれぞれA4、A6、A8、A10、A12と置くとき、非球面の座標が以下の式で表わされるものとする。
【0076】
[各種データ]には、焦点距離等の値を示している。
【0077】
[可変間隔データ]には、各撮影距離状態又は各撮影倍率状態における可変間隔およびBF(バックフォーカス)の値を示している。
【0078】
[レンズ群データ]には、各レンズ群を構成する最も物体側の面番号および群全体の合成焦点距離と開口絞りの像側に隣接したレンズエレメントの最も物体側の面番号および焦点距離を示している。なお、以下の全ての諸元の値において、記載している焦点距離f、曲率半径r、レンズ面間隔d、その他の長さの単位は特記のない限りミリメートル(mm)を使用するが、光学系では比例拡大と比例縮小とにおいても同等の光学性能が得られるので、これに限られるものではない。
【0079】
また、各実施例に対応する収差図において、d、g、Cはそれぞれd線、g線、C線を表しており、ΔS、ΔMはそれぞれサジタル像面、メリジオナル像面を表している。さらに図1、6、11、16、21に示すレンズ構成図において、FSはフレアストッパー、Sは開口絞り、FLは光学フィルター、Iは像面、中心を通る一点鎖線は光軸である。
【0080】
尚、以下の説明ではレンズ構成を物体側から像側の順番で記載する。
【実施例0081】
図1は、本発明の実施例1のインナーフォーカス光学系のレンズ構成図である。
【0082】
図1のインナーフォーカス光学系のレンズ構成は、物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群G1と、正の屈折力の第2レンズ群G2と、負の屈折力の第3レンズ群G3から構成される。
【0083】
開口絞りSは、最も物体側に配置されている。
【0084】
第1レンズ群G1は、物体側の面が非球面で物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズと像側の面が非球面で物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズからなる接合レンズと像側の面が非球面の両凸レンズと両凸レンズで構成される。
【0085】
第2レンズ群G2は、物体側の面が非球面で物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズで構成され、第2レンズ群G2を光軸に沿って物体側へ移動させることにより無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングを行っている。
【0086】
第3レンズ群G3は、物体側の面が非球面で物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズで構成される。
【0087】
光学フィルターFLは、第3レンズ群G3と像面Iとの間に配置されている。また、周辺像高に向かう下光線のアンダーなフレアをカットするため、開口絞りSよりも物体側にフレアストッパーFSが配置されている。
【0088】
続いて、以下に実施例1に係るインナーフォーカス光学系の諸元値を示す。
【0089】
数値実施例1
単位:mm
[面データ]
面番号 r d nd vd
物面 ∞ (d0)
1(FS) ∞ 3.5848
2(絞り) ∞ 5.4632
3* -10.7272 5.4413 2.00100 29.13
4 -49.4710 3.2934 1.90043 37.37
5* -15.9172 1.0000
6 211.1631 4.4755 1.55032 75.50
7* -33.7045 0.1500
8 23.3574 6.0725 1.49700 81.61
9 -47.4434 (d9)
10* 29.7831 2.7442 1.80611 40.73
11 185.2525 (d11)
12* 70.3288 0.8000 2.00069 25.46
13 15.3923 10.0000
14 ∞ 4.1400 1.51633 64.14
15 ∞ (BF)
像面 ∞

[非球面データ]
3面 5面 7面 10面 12面
K 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
A4 2.87146E-05 5.71493E-05 -6.43150E-05 -2.71591E-05 -6.28001E-06
A6 1.28378E-06 2.01450E-07 2.34845E-07 -3.66660E-08 2.44043E-07
A8 -1.86298E-08 -8.97056E-10 -4.31356E-10 1.32547E-09 -4.59535E-09
A10 1.82088E-10 2.53266E-12 9.73864E-13 -6.37257E-12 2.14840E-11

[各種データ]
INF
焦点距離 21.18
Fナンバー 1.48
全画角2ω 59.84
像高Y 11.15
レンズ全長 55.00

[可変間隔データ]
INF 撮影倍率0.025
d0 ∞ 835.6781
d9 2.2851 1.9785
d11 1.9000 2.2066
BF 3.6501 3.6551

[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
G1 3 16.65
G2 10 43.68
G3 12 -19.84
L1_F 3 -14.72
【実施例0090】
図6は、本発明の実施例2のインナーフォーカス光学系のレンズ構成図である。
【0091】
図6のインナーフォーカス光学系のレンズ構成は、物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群G1と、正の屈折力の第2レンズ群G2と、負の屈折力の第3レンズ群G3から構成される。
【0092】
開口絞りSは、最も物体側に配置されている。
【0093】
第1レンズ群G1は、物体側の面が非球面で物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズと像側の面が非球面で物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズからなる接合レンズと像側の面が非球面の両凸レンズと物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズで構成される。
【0094】
第2レンズ群G2は、物体側の面が非球面で物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズで構成され、第2レンズ群G2を光軸に沿って物体側へ移動させることにより無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングを行っている。
【0095】
第3レンズ群G3は、物体側の面が非球面の両凹レンズで構成される。
【0096】
光学フィルターFLは、第3レンズ群G3と像面Iとの間に配置されている。また、周辺像高に向かう下光線のアンダーなフレアをカットするため、開口絞りSよりも物体側にフレアストッパーFSが配置されている。
【0097】
続いて、以下に実施例2に係るインナーフォーカス光学系の諸元値を示す。
【0098】
数値実施例2
単位:mm
[面データ]
面番号 r d nd vd
物面 ∞ (d0)
1(FS) ∞ 5.1224
2(絞り) ∞ 5.1582
3* -8.8948 0.8000 2.00100 29.13
4 -143.8323 4.4137 1.90043 37.37
5* -11.9847 1.0000
6 36.5277 6.6112 1.55032 75.50
7* -21.7360 0.1500
8 21.5038 3.3159 1.49700 81.61
9 61.0256 (d9)
10* 46.2448 1.9549 1.80611 40.73
11 193.0007 (d11)
12* -41.1471 0.8000 2.00069 25.46
13 48.0115 5.0000
14 ∞ 4.1400 1.51633 64.14
15 ∞ (BF)
像面 ∞

[非球面データ]
3面 5面 7面 10面 12面
K 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
A4 -1.34923E-05 2.60708E-05 -3.20698E-05 -1.96984E-05 -4.69460E-05
A6 2.89627E-06 7.98373E-07 -1.65143E-08 -7.09123E-07 1.93957E-06
A8 -4.79041E-08 -3.66365E-09 8.52732E-10 1.73590E-08 -4.62234E-08
A10 1.08330E-09 8.54103E-11 -1.71897E-12 -1.10351E-10 3.14861E-10

[各種データ]
INF
焦点距離 20.72
Fナンバー 1.48
全画角2ω 61.16
像高Y 11.15
レンズ全長 49.50

[可変間隔データ]
INF 撮影倍率0.025
d0 ∞ 815.2645
d9 6.8886 5.9898
d11 2.4964 3.3952
BF 1.6488 1.6538

[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
G1 3 16.86
G2 10 75.00
G3 12 -22.04
L1_F 3 -9.50
【実施例0099】
図11は、本発明の実施例3のインナーフォーカス光学系のレンズ構成図である。
【0100】
図11のインナーフォーカス光学系のレンズ構成は、物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群G1と、正の屈折力の第2レンズ群G2と、負の屈折力の第3レンズ群G3から構成される。
【0101】
開口絞りSは、最も物体側に配置されている。
【0102】
第1レンズ群G1は、両面が非球面で物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズと両面が非球面の両凸レンズと両面が非球面で物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズで構成される。
【0103】
第2レンズ群G2は、物体側の面が非球面で物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズで構成され、第2レンズ群G2を光軸に沿って物体側へ移動させることにより無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングを行っている。
【0104】
第3レンズ群G3は、両面が非球面で物体側に凸面を向けた凹メニスカスレンズで構成される。
【0105】
光学フィルターFLは、第3レンズ群G3と像面Iとの間に配置されている。また、周辺像高に向かう下光線のアンダーなフレアをカットするため、開口絞りSよりも物体側にフレアストッパーFSが配置されている。
【0106】
続いて、以下に実施例3に係るインナーフォーカス光学系の諸元値を示す。
【0107】
数値実施例3
単位:mm
[面データ]
面番号 r d nd vd
物面 ∞ (d0)
1(FS) ∞ 4.0000
2(絞り) ∞ 4.8636
3* -5.4002 0.8000 1.51823 58.96
4* -14.6488 1.0000
5* 54.9633 8.0453 1.55032 75.50
6* -14.6610 0.1500
7* 11.9676 2.1121 1.61997 63.88
8* 16.1328 (d8)
9* 14.5200 4.9254 1.43700 95.10
10 59.1482 (d10)
11* 1180.5477 8.1733 2.00272 19.32
12* 45.6686 5.0000
13 ∞ 4.1400 1.51633 64.14
14 ∞ (BF)
像面 ∞

[非球面データ]
3面 4面 5面 6面 7面
K -0.90610 -5.25554 0.00000 -0.84804 -0.10141
A4 1.01116E-03 3.81961E-04 3.95492E-05 1.79767E-05 -5.44164E-04
A6 -1.17696E-05 -2.29142E-06 7.85072E-07 2.69825E-07 1.28225E-06
A8 9.68348E-08 -2.25211E-09 -1.28150E-08 -1.93022E-09 2.06528E-08
A10 -3.76239E-10 4.32819E-11 3.45032E-11 -6.74160E-12 -1.33806E-10
8面 9面 11面 12面
K 0.00000 0.00000 0.00000 25.42165
A4 -4.48728E-04 2.30145E-05 1.17320E-04 1.49945E-04
A6 2.21888E-06 6.16393E-09 9.16748E-08 4.83781E-07
A8 1.57845E-08 4.12503E-09 -8.03322E-09 -4.88175E-09
A10 -1.25075E-10 -3.73973E-11 4.85588E-11 3.10918E-11

[各種データ]
INF
焦点距離 25.00
Fナンバー 1.47
全画角2ω 49.29
像高Y 11.15
レンズ全長 56.46

[可変間隔データ]
INF 撮影倍率0.025
d0 ∞ 995.1668
d8 2.4957 2.0610
d10 1.9000 2.3347
BF 8.8583 8.8633

[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
G1 3 39.90
G2 9 42.61
G3 11 -47.55
L1_F 3 -17.01
【実施例0108】
図16は、本発明の実施例4のインナーフォーカス光学系のレンズ構成図である。
【0109】
図16のインナーフォーカス光学系のレンズ構成は、物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群G1と、正の屈折力の第2レンズ群G2と、負の屈折力の第3レンズ群G3から構成される。
【0110】
開口絞りSは、最も物体側に配置されている。
【0111】
第1レンズ群G1は、両面が非球面の両凹レンズと両凸レンズと像側が非球面で物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズと両面が非球面の両凸レンズと物体側が非球面の両凸レンズと像側が非球面の両凹レンズで構成される。
【0112】
第2レンズ群G2は、両面が非球面の両凸レンズで構成され、第2レンズ群G2を光軸に沿って物体側へ移動させることにより無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングを行っている。
【0113】
第3レンズ群G3は、両面が非球面の両凹レンズで構成される。
【0114】
光学フィルターFLは、第3レンズ群G3と像面Iとの間に配置されている。
【0115】
続いて、以下に実施例4に係るインナーフォーカス光学系の諸元値を示す。
【0116】
数値実施例4
単位:mm
[面データ]
面番号 r d nd vd
物面 ∞ (d0)
1(絞り) ∞ 0.6233
2* -20.0000 1.0000 1.43700 95.10
3* 20.5602 1.3000
4 48.1251 2.2401 2.00100 29.13
5 -41.1610 1.7710
6 -10.7300 8.4673 2.00069 25.46
7* -450.2856 0.0600
8* 22.0341 4.0566 1.90043 37.37
9* -75.9976 0.0600
10* 22.2710 6.1839 1.55032 75.50
11 -59.5247 0.1500
12 -162.1615 0.8000 2.00069 25.46
13* 813.6158 (d13)
14* 24.5395 6.0774 1.55032 75.50
15* -87.0540 (d15)
16* -87.1589 2.8372 2.00100 29.13
17* 249.0947 5.0000
18 ∞ 4.1400 1.51633 64.14
19 ∞ (BF)
像面 ∞

[非球面データ]
2面 3面 7面 8面 9面
K 0.00000E+00 0.00000E+00 0.00000E+00 -2.91962E+00 0.00000E+00
A4 6.31754E-04 5.15517E-04 -1.95312E-04 3.22490E-06 1.65695E-04
A6 -1.15982E-05 -1.06593E-05 -1.13184E-07 -1.75341E-07 1.17290E-06
A8 1.62753E-07 1.69521E-07 5.39683E-09 -3.11026E-09 -3.87616E-08
A10 -7.01263E-10 -9.37629E-10 5.38493E-12 3.11799E-12 2.33110E-10
A12 -2.50472E-12 0.00000E+00 -1.17731E-13 5.84372E-14 -4.48274E-13
10面 13面 14面 15面 16面
K -1.27192E+01 0.00000E+00 0.00000E+00 0.00000E+00 0.00000E+00
A4 1.06127E-04 9.67377E-05 1.29805E-04 8.99780E-05 4.62503E-04
A6 9.11302E-07 2.08673E-07 -8.58228E-07 -1.97504E-06 -2.45004E-06
A8 -1.12631E-08 6.54626E-09 6.88483E-09 2.15529E-08 1.07839E-08
A10 2.19282E-11 -1.03715E-10 -6.32913E-11 -1.33624E-10 1.38359E-11
A12 7.48508E-14 3.96215E-13 2.45430E-13 3.88173E-13 0.00000E+00
17面
K 0.00000E+00
A4 4.68915E-04
A6 1.10405E-06
A8 8.71951E-10
A10 -1.59473E-10
A12 5.41772E-12

[各種データ]
INF
焦点距離 19.16
Fナンバー 1.48
全画角2ω 61.40
像高Y 11.15
レンズ全長 58.94

[可変間隔データ]
INF 撮影倍率0.025
d0 ∞ 762.1832
d13 2.2553 1.9024
d15 2.7500 3.1030
BF 9.1678 9.1728

[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
G1 2 34.92
G2 14 35.47
G3 16 -64.23
L1_F 2 -23.03
【実施例0117】
図21は、本発明の実施例5のインナーフォーカス光学系のレンズ構成図である。
【0118】
図21のインナーフォーカス光学系のレンズ構成は、物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群G1と、正の屈折力の第2レンズ群G2と、負の屈折力の第3レンズ群G3から構成される。
【0119】
開口絞りSは、最も物体側に配置されている。
【0120】
第1レンズ群G1は、両面が非球面の両凹レンズと両凸レンズと像側が非球面で物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズと両面が非球面の両凸レンズと物体側が非球面の両凸レンズと像側が非球面の両凹レンズで構成される。
【0121】
第2レンズ群G2は、両面が非球面の両凸レンズで構成され、第2レンズ群G2を光軸に沿って物体側へ移動させることにより無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングを行っている。
【0122】
第3レンズ群G3は、両面が非球面の両凹レンズで構成される。
【0123】
光学フィルターFLは、第3レンズ群G3と像面Iとの間に配置されている。
【0124】
続いて、以下に実施例5に係るインナーフォーカス光学系の諸元値を示す。
【0125】
数値実施例5
単位:mm
[面データ]
面番号 r d nd vd
物面 ∞ (d0)
1(絞り) ∞ 0.3640
2* -692.6657 1.0016 1.43700 95.10
3* 11.4100 1.3000
4 51.5857 2.1061 2.00100 29.13
5 -48.0596 1.9705
6 -10.0568 7.5682 2.00069 25.46
7* -204.9755 0.0600
8* 20.8792 4.4729 1.90043 37.37
9* -66.4493 0.0631
10* 20.8355 5.7913 1.55032 75.50
11 -59.6795 0.1500
12 -213.2473 0.8000 2.00069 25.46
13* 1035.0800 (d13)
14* 23.9048 5.7149 1.55032 75.50
15* -105.3974 (d15)
16* -67.8414 2.5546 2.00100 29.13
17* 181.3226 5.0000
18 ∞ 4.1400 1.51633 64.14
19 ∞ (BF)
像面 ∞

[非球面データ]
2面 3面 7面 8面 9面
K 0.00000E+00 0.00000E+00 0.00000E+00 -2.17827E+00 0.00000E+00
A4 -5.65235E-04 -7.58480E-04 -1.86673E-04 1.33090E-05 1.69532E-04
A6 2.33210E-05 2.42851E-05 -5.93982E-10 -2.47127E-08 1.20531E-06
A8 -4.10182E-07 -4.10320E-07 3.64370E-09 -2.60088E-09 -3.86502E-08
A10 3.52279E-09 2.78019E-09 9.30689E-12 -2.64645E-12 2.34340E-10
A12 -8.00329E-12 0.00000E+00 -1.18574E-13 6.68411E-15 -4.86928E-13
10面 13面 14面 15面 16面
K -1.12409E+01 0.00000E+00 0.00000E+00 0.00000E+00 0.00000E+00
A4 1.05451E-04 9.82305E-05 1.45721E-04 1.08928E-04 5.40931E-04
A6 8.60743E-07 5.04633E-07 -9.40632E-07 -2.05343E-06 -3.05860E-06
A8 -1.15404E-08 5.16697E-09 7.23682E-09 2.01467E-08 9.60553E-09
A10 1.89334E-11 -1.04215E-10 -7.36945E-11 -1.31823E-10 4.62860E-11
A12 1.12487E-13 3.89220E-13 3.63639E-13 5.32030E-13 0.00000E+00
17面
K 0.00000E+00
A4 5.45623E-04
A6 6.03523E-07
A8 7.25150E-09
A10 -3.72539E-10
A12 7.73524E-12

[各種データ]
INF
焦点距離 19.02
Fナンバー 1.47
全画角2ω 62.29
像高Y 11.15
レンズ全長 55.95

[可変間隔データ]
INF 撮影倍率0.025
d0 ∞ 756.1384
d13 2.2255 1.8839
d15 2.7500 3.0916
BF 7.9138 7.9191

[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
G1 2 29.34
G2 14 35.97
G3 16 -49.07
L1_F 2 -25.68
【0126】
また、これらの各実施例における条件式の対応値一覧を示す。
[条件式対応値]
条件式 実施例1 実施例2 実施例3 実施例4 実施例5
(1) f/f1 1.27 1.23 0.63 0.55 0.65
(2) f/f2 0.48 0.28 0.59 0.54 0.53
(3) f/f3 -1.07 -0.94 -0.53 -0.30 -0.39
(4) f/R1 -1.97 -2.33 -4.63 -0.96 -0.03
(5) M3 1.82 1.44 1.35 1.28 1.34
(6) (M3^2×(1-M2^2)) 1.69 0.55 1.42 1.34 1.37
(7) f/f_L1 -1.44 -2.18 -1.47 -0.83 -0.74
(8) D/Y 4.61 3.98 4.71 5.29 5.02
【符号の説明】
【0127】
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
S 開口絞り
FS フレアストッパー
FL 光学フィルター
I 像面
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