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特開2022-174829画像形成装置および画像形成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174829
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】画像形成装置および画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20221117BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20221117BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20221117BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
G03G21/00 510
B41J2/175 301
B41J2/175 167
B41J29/38 204
G06F3/12 335
G06F3/12 310
G06F3/12 385
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080816
(22)【出願日】2021-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深田 卓也
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
2H270
【Fターム(参考)】
2C056EB20
2C056EB45
2C056EB50
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061HK11
2C061HN15
2H270KA19
2H270KA20
2H270KA21
2H270KA22
2H270KA23
2H270KA24
2H270KA59
2H270LA87
2H270LD05
2H270NB02
2H270NB04
2H270NB09
2H270NC02
2H270NC22
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】コンテナの発注処理を行う発注システムと通信可能に接続される構成において、コンテナの発注タイミングが遅れることを抑制する。
【解決手段】画像形成装置は、同色の色材を収容する複数のコンテナが装着される装着部と、色材を使用してシートに画像を印刷する印刷部と、色材の残量が閾値を下回ると新品のコンテナの発注処理を行う発注システムと通信可能に接続される通信部と、コンテナごとに残量を検知し、通信部を用いて、検知した残量が最も少ないコンテナの残量を発注システムに通知する制御部と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同色の色材を収容する複数のコンテナが装着される装着部と、
前記色材を使用してシートに画像を印刷する印刷部と、
前記色材の残量が閾値を下回ると新品の前記コンテナの発注処理を行う発注システムと通信可能に接続される通信部と、
前記コンテナごとに前記残量を検知し、前記通信部を用いて、検知した前記残量が最も少ない前記コンテナの前記残量を前記発注システムに通知する制御部と、を備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、いずれかの前記コンテナを色材供給元に設定し、前記色材供給元に設定した前記コンテナの前記色材を前記印刷部に使用させ、
前記制御部は、検知した前記残量が最も少ない前記コンテナを優先的に前記色材供給元に設定する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記装着部に前記コンテナが装着されたとき、前記制御部は、前記装着部に今回装着された前記コンテナが純正品であるか非純正品であるかを判別し、
前記純正品の前記コンテナと前記非純正品の前記コンテナとが前記装着部に混在して装着されているとき、前記制御部は、前記純正品の前記コンテナを優先的に前記色材供給元に設定する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記印刷部による印刷中、前記色材供給元に設定した前記コンテナが空状態になったとき、前記制御部は、残りの前記コンテナを新たに前記色材供給元に設定して、前記印刷部に印刷を続行させる、請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の画像形成装置と、
前記画像形成装置と通信可能に接続される発注システムと、を備え、
前記画像形成装置から通知された前記残量が前記閾値を下回っているとき、前記発注システムは、新品の前記コンテナの発注処理を行う、画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、色材を使用して印刷ジョブを実行する画像形成装置が知られている。従来の画像形成装置には、インクおよびトナーなどの色材を収容するコンテナが装着される。なお、コンテナは、現像ユニットおよびトナーカートリッジなどと称される場合もある。
【0003】
従来の画像形成装置は、コンテナの色材を使用して印刷ジョブを実行する(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1の画像形成装置は、同色の色材を収容する複数のコンテナの装着が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-345715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コンテナが空状態に近づいたとき、コンテナを発注する必要がある。しかし、ユーザーにとっては、コンテナの残量確認を行ったり、コンテナの発注作業を行ったりすることは煩わしい。このため、従来、コンテナを自動で発注する発注システムが提案されている。たとえば、従来の発注システムは、画像形成装置から、各色の色材の残量を示す情報の通知を受ける。そして、従来の発注システムは、或る色材の残量(画像形成装置から通知された残量)が閾値を下回っていれば、残量が閾値を下回っているコンテナの発注処理を行う。
【0006】
同色の色材を収容する複数のコンテナの装着が可能な画像形成装置において、同色の色材を収容する複数のコンテナの各残量の合計を発注システムに通知する場合がある。この場合には、同色の色材を収容する複数のコンテナのうち、一方のコンテナの残量が閾値(コンテナを発注すべきか否かの判断基準となる閾値)を下回っていても、他方のコンテナに色材が十分に残っていれば、コンテナを発注すべきであるにもかかわらず、コンテナの発注処理が行われないという不都合が生じる。すなわち、コンテナの発注タイミングが遅れるという不都合が生じる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、コンテナの発注処理を行う発注システムと通信可能に接続される構成において、コンテナの発注タイミングが遅れることを抑制することが可能な画像形成装置および画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の局面による画像形成装置は、同色の色材を収容する複数のコンテナが装着される装着部と、色材を使用してシートに画像を印刷する印刷部と、色材の残量が閾値を下回ると新品のコンテナの発注処理を行う発注システムと通信可能に接続される通信部と、コンテナごとに残量を検知し、通信部を用いて、検知した残量が最も少ないコンテナの残量を発注システムに通知する制御部と、を備える。
【0009】
本発明の第2の局面による画像形成システムは、上記画像形成装置と、上記画像形成装置と通信可能に接続される発注システムと、を備える。上記画像形成装置から通知された残量が閾値を下回っているとき、発注システムは、新品のコンテナの発注処理を行う。
【発明の効果】
【0010】
本発明の構成では、コンテナの発注処理を行う発注システムと通信可能に接続される構成において、コンテナの発注タイミングが遅れることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態による画像形成システムのブロック図である。
図2】本発明の一実施形態による画像形成装置の概略図である。
図3】本発明の一実施形態による画像形成装置が実行する印刷ジョブの流れを示すフローチャートである。
図4】本発明の一実施形態による画像形成装置がコンテナの残量を通知するときに行う処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<画像形成システムの構成>
本実施形態では、図1に示すように、画像形成装置1と発注システム2とによって画像形成システム3が構成される。画像形成装置1および発注システム2は、LANおよびインターネットなどのネットワークNTを介して、互いに通信可能に接続される。画像形成装置1は、色材を使用して印刷ジョブを実行する。発注システム2は、画像形成装置1で消費される色材の発注処理を自動で行う。
【0013】
図2に示すように、画像形成装置1は、印刷部10を備える。また、画像形成装置1には、給紙部101が設けられる。給紙部101は、給紙カセットを含む。給紙カセットには、印刷ジョブで使用するシートがセットされる。給紙部101は、印刷部10にシートを給紙する。たとえば、シートは、紙製(普通紙などの用紙)である。シートは、紙製でなくてもよい。シートは、樹脂フィルムおよびOHPシートなどであってもよい。
【0014】
画像形成装置1は、印刷部10を制御して印刷ジョブを実行する。具体的には、画像形成装置1には、印刷ジョブで印刷する画像データが入力される。印刷部10は、画像データに基づき画像を形成する。また、印刷部10は、給紙部101から給紙されたシートを搬送する。そして、印刷部10は、搬送中のシートに画像を印刷する。印刷部10の印刷方式は、インクジェット方式であってもよいし、レーザー方式であってもよい。
【0015】
印刷部10の印刷方式がインクジェット方式である場合、印刷部10には、インクヘッドが設けられる。インクジェット方式の印刷部10は、インクを使用してシートに画像を印刷する。すなわち、インクジェット方式の印刷部10は、搬送中のシートに向けてインクを吐出し、シートにインクを付着させる。インクは「色材」に相当する。
【0016】
印刷部10の印刷方式がレーザー方式である場合、印刷部10には、感光体ドラム、帯電装置、現像装置、露光装置および転写ローラーが設けられる。レーザー方式の印刷部10は、トナーを使用してシートに画像を印刷する。すなわち、レーザー方式の印刷部10は、印刷すべき画像に対応する静電潜像をトナー像に現像し、搬送中のシートにトナー像を転写する。トナーは「色材」に相当する。
【0017】
なお、カラー機であれば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)およびブラック(K)の4色の色材が使用される。モノクロ機であれば、ブラック(K)の色材が使用される。たとえば、画像形成装置1は、カラー機である。ただし、画像形成装置1がモノクロ機であってもよい。
【0018】
印刷ジョブが実行されることにより、色材が消費されるので、印刷部10への色材の補給が必要となる。このため、画像形成装置1には、コンテナ100が装着される。コンテナ100には、補給用の色材が収容される。印刷ジョブで色材が消費されると、コンテナ100から印刷部10に色材が補給される。印刷部10は、コンテナ100から補給される色材を使用して画像を形成する。
【0019】
画像形成装置1は、カラー機である。したがって、画像形成装置1には、4色分のコンテナ100が装着される。図2では、各コンテナ100を破線丸印で示す。以下の説明では、シアンの色材を収容するコンテナ100に符号「C」を付し、マゼンタの色材を収容するコンテナ100に符号「M」を付し、イエローの色材を収容するコンテナ100に符号「Y」を付し、ブラックの色材を収容するコンテナ100に符号「K」を付して区別する場合がある。
【0020】
画像形成装置1には、装着部110が設けられる。装着部110は、装着スペースを有する。コンテナ100は、装着部110の装着スペースに装着される。また、装着部110は、保持機構(図示せず)を有する。コンテナ100は、保持機構によって装着スペースに固定される。
【0021】
コンテナ100が装着部110に装着された状態では、コンテナ100が補給管(図示せず)に繋がる。当該補給管を介して、コンテナ100から印刷部10に色材が補給される。印刷部10がインクジェット方式である場合、コンテナ100からインクヘッドに色材(インク)が補給される。印刷部10がレーザー方式である場合、コンテナ100から現像装置に色材(トナー)が補給される。
【0022】
コンテナ100は、着脱可能である。言い換えると、コンテナ100は、交換可能である。いずれかのコンテナ100が空状態になったとき、空状態のコンテナ100が新品のコンテナ100(色材を満杯に収容するコンテナ100)に交換される。
【0023】
たとえば、装着部110は、装着スペースを塞ぐコンテナカバー(図示せず)をコンテナ100ごとに有する。コンテナカバーを開けることにより、コンテナ100の着脱(交換)が可能となる。コンテナ100が装着スペースに装着された状態でコンテナカバーを閉じることにより、コンテナ100が装着スペースに固定される。
【0024】
装着部110には、同色の色材を収容する複数のコンテナ100を装着できる。たとえば、装着部110には、シアンのコンテナ100C、マゼンタのコンテナ100M、イエローの100Yおよびブラックのコンテナ100Kがそれぞれ2つずつ装着される。
【0025】
変形例として、いずれかの色のコンテナ100のみが装着部110に複数装着されてもよい。たとえば、消費量が多くなり易いブラックのコンテナ100Kのみが装着部110に複数装着されてもよい。
【0026】
また、図1に示すように、画像形成装置1は、制御部11を備える。制御部11は、CPUおよびメモリーなどを含む。制御部11は、画像形成装置1の全体の制御を行う。また、制御部11は、印刷ジョブの画像データに対して画像処理を行う。
【0027】
制御部11は、記憶部12に接続される。記憶部12は、ROM,RAMおよびHDDなどの記憶デバイスを含む。制御部11は、記憶部12からのデータの読み出しおよび記憶部12へのデータの書き込みを行う。
【0028】
また、制御部11は、リーダーライターRWに接続される。リーダーライターRWは、コンテナメモリーCMからの情報の読み出しおよびコンテナメモリーCMへの情報の書き込みを行う。コンテナメモリーCMは、各コンテナ100に設けられる。コンテナメモリーCMは、対応するコンテナ100の識別情報などを予め記憶する。リーダーライターRWは、コンテナメモリーCMから読み取った情報を制御部11に送信する。また、リーダーライターRWは、制御部11から受け取った情報をコンテナメモリーCMに書き込む。
【0029】
画像形成装置1は、通信部13を備える。通信部13は、通信回路および通信メモリーなどを含む。通信部13は、ネットワークNTを介して、発注システム2と通信可能に接続される。
【0030】
発注システム2は、情報処理装置を含む。たとえば、発注システム2は、情報処理装置としてのサーバー20によって構成される。パーソナルコンピューターなどの情報処理装置をサーバー20として機能させてもよい。
【0031】
サーバー20は、サーバー制御部21を備える。サーバー制御部21は、サーバーCPUおよびサーバーメモリーなどを含む。サーバー制御部21は、サーバー20の全体の制御を行う。また、サーバー制御部21は、コンテナ100の発注処理を自動で行う。
【0032】
サーバー制御部21は、サーバー記憶部22に接続される。サーバー記憶部22は、ROM,RAMおよびHDDなどの記憶デバイスを含む。サーバー制御部21は、サーバー記憶部22からのデータの読み出しおよびサーバー記憶部22へのデータの書き込みを行う。
【0033】
サーバー20には、ソフトウェアSW(以下の説明では、発注ソフトSWと称する)がインストールされる。発注ソフトSWは、サーバー記憶部22に記憶される。サーバー制御部21は、発注ソフトSWに基づき、コンテナ100の発注処理を行う。発注ソフトSWは、画像形成装置1のメーカーからユーザーに提供される。
【0034】
また、サーバー20は、サーバー通信部23を備える。サーバー通信部23は、通信回路および通信メモリーなどを含む。サーバー通信部23は、ネットワークNTを介して、画像形成装置1と通信可能に接続される。サーバー制御部21は、サーバー通信部23を用いて、画像形成装置1と通信する。
【0035】
たとえば、複数の画像形成装置1が単一の発注システム2(サーバー20)と通信可能に接続される。発注システム2は、複数の画像形成装置1のそれぞれについて、後述する残量情報に基づき、コンテナ100の発注処理の要否を判断する。
【0036】
<コンテナの発注処理>
サーバー制御部21は、コンテナ100の発注処理の要否を判断するため、サーバー通信部23を用いて画像形成装置1と通信し、画像形成装置1に装着されている各色のコンテナ100の残量を認識する。詳細は後述するが、画像形成装置1からサーバー20に対して残量情報が通知される。サーバー制御部21は、残量情報に基づき、各色のコンテナ100の残量を認識する。
【0037】
サーバー制御部21による発注処理の要否判断(各色のコンテナ100の残量を認識する処理)は、画像形成装置1で印刷ジョブが実行されるごとに行われてもよい。また、サーバー制御部21による発注処理の要否判断は、定期的(たとえば、1日に数回~十数回)に行われてもよい。また、サーバー制御部21による発注処理の要否判断は、ユーザーから指示を受け付けたときに行われてもよい。
【0038】
各色のコンテナ100の残量を認識した後、サーバー制御部21は、認識した残量と閾値とを比較する。たとえば、閾値は、ユーザーにより予め設定される。サーバー制御部21は、サーバーメモリーに閾値を記憶する。空状態に近い状態になってからコンテナ100を発注したい場合には、閾値を低めに設定すればよい。余裕を持ってコンテナ100を発注したい場合には、閾値を高めに設定すればよい。
【0039】
サーバー制御部21は、各色について、残量が閾値を下回っているか否かを判断する。言い換えると、サーバー制御部21は、各色について、コンテナ100の発注処理が必要か否かを判断する。いずれかの色の残量が閾値を下回っていると判断したとき、サーバー制御部21は、残量が閾値を下回っている色のコンテナ100の発注処理を行う。
【0040】
たとえば、サーバー制御部21は、サーバー通信部23を用いて、コンテナ100の販売システムにアクセスする。販売システムは、コンテナ100の販売業者(画像形成装置1のメーカーおよびサービスセンターなど)によって管理される情報処理装置を含む。サーバー制御部21は、サーバー通信部23を用いて、コンテナ100の販売システムに対し、残量が閾値を下回っている色のコンテナ100を発注するための情報(注文情報)を送信する。注文情報は、たとえば、残量が閾値を下回っている色のコンテナ100の型式などである。
【0041】
<残量検知処理>
制御部11は、コンテナ100に残っている色材(収容されている色材)の残量を検知する残量検知処理を行う。制御部11は、各色について、コンテナ100ごとに、残量を検知する。
【0042】
印刷ジョブでの色材の消費量は、印字率が高いほど多く、印字率が低いほど少ない。そこで、たとえば、制御部11は、印刷ジョブの印字率(ドットカウント)に基づき、印刷ジョブでの色材の消費量を色ごとに算出する。そして、制御部11は、印刷ジョブでの色材の消費量に基づき、コンテナ100の残量検知処理を行う。
【0043】
具体的には、制御部11は、コンテナ100ごとに、装着部110に新規装着されてからの色材の消費量を積算していき、積算消費量を記憶部12に記憶させる。そして、制御部11は、各コンテナ100について、対応する積算消費量と満杯量とに基づき、色材の残量を検知する。なお、満杯量は、新品のコンテナ100に収容される色材の量である。制御部11は、各コンテナ100の残量を記憶部12に記憶させる。
【0044】
なお、残量検知処理の方法は特に限定されず、他の方法を用いて残量検知処理が行われてもよい。たとえば、残量検知処理を行うため、実際に消費された色材の消費量を検知してもよい。また、コンテナ100の重さ(コンテナ100に残っている色材の重さ)に基づき残量検知処理を行ってもよい。
【0045】
<コンテナ判別処理>
制御部11は、装着部110に新規装着されたコンテナ100が純正品であるか非純正品であるかを判別するコンテナ判別処理を行う。装着部110にコンテナ100が新規装着されたとき、制御部11は、装着部110に今回装着されたコンテナ100を対象にコンテナ判別処理を行う。すなわち、いずれかのコンテナ100が交換されたとき、制御部11は、今回交換されたコンテナ100を対象にコンテナ判別処理を行う。
【0046】
たとえば、制御部11には、コンテナカバーの開閉に応じて出力値を変化させる開閉センサー(図示せず)が接続される。制御部11は、開閉センサーの出力値に基づき、コンテナカバーの開閉を検知する。いずれかのコンテナカバーが開けられた状態から閉じられた状態になったことを検知したとき、制御部11は、当該コンテナカバーに対応するコンテナ100が交換されたと判断する。そして、このとき、制御部11は、当該コンテナカバーに対応するコンテナ100を対象にコンテナ判別処理を行う。
【0047】
コンテナ判別処理を行うとき、制御部11は、装着部110に今回装着されたコンテナ100のコンテナメモリーCMから識別情報を読み出す。そして、制御部11は、今回装着されたコンテナ100の識別情報に基づき、今回装着されたコンテナ100が純正品であるか非純正品であるか判別する。たとえば、コンテナメモリーCMから読み取った情報を認識できなかった場合、コンテナメモリーCMから情報を読み取れなかった場合、および、コンテナメモリーCMが装着されていなかった場合、制御部11は、今回装着されたコンテナ100を非純正品と判別する。制御部11は、各コンテナ100について、純正品であるか非純正品であるかの情報を記憶部12に記憶させる。
【0048】
<供給元設定処理>
制御部11は、印刷ジョブで使用するコンテナ100(印刷部10への色材の供給元となるコンテナ100)を設定する供給元設定処理を行う。制御部11は、供給元設定処理を色ごとに行う、各色のコンテナ100が1つずつ色材供給元に設定される。たとえば、印刷ジョブを開始するとき、その都度、制御部11は、供給元設定処理を行う。制御部11は、各色について、色材供給元に設定したコンテナ100の色材を印刷ジョブで印刷部10に使用させる。
【0049】
供給元設定処理を行うとき、制御部11は、各コンテナ100の現在の残量(直近の残量検知処理で検知した残量)を検知する。そして、制御部11は、各色について、検知した残量が最も少ないコンテナ100を優先的に色材供給元に設定する。また、印刷部10による印刷中、色材供給元に設定していたコンテナ100が空状態になったとき、制御部11は、残りのコンテナ100を新たに色材供給元に設定して、印刷部10に印刷を続行させる。
【0050】
たとえば、同色の色材を収容する第1コンテナ100および第2コンテナ100が新規装着された後、最初の印刷ジョブで第1コンテナ100が使用されたとする。この場合、次回以降の印刷ジョブの開始時点では、第1コンテナ100の残量がより少ない状態となっているので、次回以降の印刷ジョブでも第1コンテナ100が使用される。すなわち、第1コンテナ100が空状態になるまで使用され続ける。
【0051】
第1コンテナ100の残量が少なくなっていても、空状態でなければ、第1コンテナ100が使用される。このため、いずれかの時点において、印刷ジョブの実行中、第1コンテナ100が空状態になる。そして、この時点から、第2コンテナ100が使用される。また、空状態の第1コンテナ100が新品の第3コンテナ100に交換される。
【0052】
第1コンテナ100から第3コンテナ100に交換されて以降の印刷ジョブの開始時点では、第2コンテナ100の残量がより少ない状態となっている。その結果、第1コンテナ100から第3コンテナ100に交換されて以降については、第2コンテナ100が空状態になるまで使用され続ける。
【0053】
なお、非純正品のコンテナ100については、満杯量を認識できないので、残量を検知できない。したがって、純正品のコンテナ100と非純正品のコンテナ100とが装着部110に混在して装着されている場合には、純正品のコンテナ100を優先して使用することが好ましい。
【0054】
このため、供給元設定処理を行うとき、制御部11は、各コンテナ100にいて、純正品であるか非純正品であるかを判別する。そして、純正品のコンテナ100と非純正品のコンテナ100とが装着部110に混在して装着されているとき、制御部11は、純正品のコンテナ100を優先的に色材供給元に設定する。
【0055】
純正品のコンテナ100と非純正品のコンテナ100とが装着部110に混在して装着された状態において、印刷ジョブの実行中、純正品のコンテナ100が空状態になったとき、制御部11は、非純正品のコンテナ100を色材供給元に設定して印刷ジョブを続行する。すなわち、非純正品のコンテナ100の色材が使用される。しかし、その後、純正品のコンテナ100(新品のコンテナ100)が装着された場合、制御部11は、純正品のコンテナ100を色材供給元に設定する。
【0056】
以下に、図3に示すフローチャートを参照し、印刷ジョブを開始して以降に制御部11が行う処理の流れについて説明する。図3に示すフローは、印刷ジョブの実行指示をユーザーから受け付けたときにスタートする。
【0057】
ステップS1において、制御部11は、印刷ジョブを開始するため、印刷部10に印刷の開始を指示する。印刷部10は、色材供給元に設定されたコンテナ100の色材を使用して、シートに画像を印刷する。これにより、色材が消費される。
【0058】
ステップS2において、制御部11は、各色について、今回の印刷ジョブでの色材の消費量を算出する。そして、ステップS3において、制御部11は、各色の残量情報(コンテナ100ごとの残量情報)を発注システム2に通知する。残量情報の通知については、後に詳細に説明する。
【0059】
ステップS4において、制御部11は、空状態になったコンテナ100が存在するか否かを判断する。空状態になったコンテナ100が存在しないと制御部11が判断した場合には、ステップS5に移行する。ステップS5において、制御部11は、印刷ジョブが完了したか否かを判断する。印刷ジョブが完了したと制御部11が判断した場合には、本フローは終了する。印刷ジョブが完了していないと制御部11が判断した場合には、ステップS4に移行する。
【0060】
ステップS4において、空状態になったコンテナ100が存在すると制御部11が判断した場合には、ステップS6に移行する。ステップS6において、制御部11は、空状態のコンテナ100と同色の色材が収容される他のコンテナ100が空状態であるか否かを判断する。
【0061】
ステップS6において、空状態のコンテナ100と同色の色材が収容される他のコンテナ100が空状態であると制御部11が判断した場合には、ステップS7に移行する。ステップS7において、制御部11は、印刷ジョブを停止する。この場合、たとえば、制御部11は、コンテナ100の交換を促す報知処理を行う。
【0062】
ステップS6において、空状態のコンテナ100と同色の色材が収容される他のコンテナ100が空状態ではないと制御部11が判断した場合には、ステップS8に移行する。ステップS8において、制御部11は、色材供給元を変更する。具体的には、制御部11は、空状態のコンテナ100と同色の色材が収容される他のコンテナ100を新たな色材供給元に設定する。そして、制御部11は、印刷ジョブを続行する。その後、ステップS5に移行する。
【0063】
<残量情報の通知>
発注システム2の発注ソフトSWは、旧モデルの画像形成装置(図示せず)に向けたものである。ここで、各色のコンテナ100を複数ずつ装着可能な画像形成装置1は新モデルであり、旧モデルの画像形成装置(図示せず)には各色のコンテナ100を1つずつしか装着できない。
【0064】
旧モデルの画像形成装置は、色材の残量を示す残量情報を色ごとに発注システム2(サーバー20)に通知する。ここで、旧モデルの画像形成装置には、各色のコンテナ100を1つずつしか装着できない。したがって、各色のコンテナ100の残量は、対応する残量情報で示される残量と一致する。たとえば、ブラックの残量情報で示される残量が50%(満杯量の半分)であれば、ブラックのコンテナ100Kの残量が50%であるということである。
【0065】
各色の残量情報の通知を受けたサーバー制御部21は、通知された残量情報に基づき、コンテナ100の発注処理の要否判断を行う。これにより、確実に、残量が閾値を下回っている色のコンテナ100が発注される。
【0066】
新モデルの画像形成装置1では、発注システム2に通知される残量情報の内容によっては、以下のような不都合が生じ得る。
【0067】
ここでは、コンテナ100を発注するか否かの判断基準となる閾値が30%であるとする。また、2つのブラックのコンテナ100Kのうち、一方(第1コンテナ100K)の残量が20%で他方(第2コンテナ100K)の残量が100%であるとする。
【0068】
この例では、2つのブラックのコンテナ100Kをまとめると、残量は60%であり、閾値(30%)を上回っている。このため、2つのコンテナ100Kをまとめた残量を示す情報がブラックの残量情報として発注システム2に通知されると、発注システム2ではコンテナ100Kの発注処理が行われない。すなわち、第1コンテナ100Kの残量が閾値を下回っているにもかかわらず、コンテナ100Kが発注されない。たとえば、第2コンテナ100Kが40%を下回るまで(2つのコンテナ100Kをまとめた残量が20%を下回るまで)、コンテナ100Kが発注されない。
【0069】
その結果、コンテナ100Kの発注タイミングが遅れるという不都合が生じる。たとえば、第1コンテナ100Kおよび第2コンテナ100Kが共に空状態になっているにもかかわらず、新品のコンテナ100Kの在庫が無いという不都合が生じる。この場合には、新品のコンテナ100Kが納品されるまで画像形成装置1を使用できなくなる。
【0070】
なお、上記不都合を解消するには、第1コンテナ100Kの残量情報および第2コンテナ100Kの残量情報を個々に発注システム2に通知すればよい。すなわち、色ごとではなく、コンテナ100ごとに、残量情報を通知すればよい。しかし、この場合には、発注ソフトSWの仕様変更(更新)が必要となる。すなわち、既存の発注システム2を使用できない。
【0071】
そこで、制御部11は、図4に示すフローに沿った処理を行う。図4に示すフローは、発注システム2(サーバー20)に残量情報を通知するときにスタートする。図4に示すフローに沿った処理は、各色について行われる。
【0072】
ステップS11において、制御部11は、各色のコンテナ100の残量をコンテナ100ごとに検知する。また、ステップS12において、制御部11は、各色について、同色の複数(2つ)のコンテナ100のうち、残量が最も少ないコンテナ100の残量を認識し、当該認識した残量を通知対象に設定する。たとえば、ブラックの色材を収容する2つのコンテナ100Kにおいて、一方の残量が20%で他方の残量が100%である場合には、ブラックの残量については20%が通知対象として設定される。
【0073】
ステップS13において、制御部11は、各色について、同色の複数(2つ)のコンテナ100のうち、残量が最も少ないコンテナ100の残量を示す残量情報を発注システム2(サーバー20)に通知する。2つのシアンのコンテナ100Cのうち残量がより少ないコンテナ100Cの残量を示す残量情報、2つのマゼンタのコンテナ100Mのうち残量がより少ないコンテナ100Mの残量を示す残量情報、2つのイエローのコンテナ100Yのうち残量がより少ないコンテナ100Yの残量を示す残量情報、および、2つのブラックのコンテナ100Kのうち残量がより少ないコンテナ100Kの残量を示す残量情報、が発注システム2に通知される。
【0074】
これにより、同色の複数(2つ)のコンテナ100をまとめた残量を示す情報が残量情報として発注システム2に通知されることはない。また、同色の複数(2つ)のコンテナ100のうち一方の残量情報と他方の残量情報とが個々に発注システム2に通知されることもない。
【0075】
本実施形態の構成では、上記のように、同色の色材を収容する複数(2つ)のコンテナ100のうち、残量が最も少ないコンテナ100の残量が画像形成装置1(新モデル)から発注システム2に通知される。これにより、同色の色材を収容する複数のコンテナ100のいずれかの残量が閾値を下回っている場合、確実に、残量が閾値を下回っているコンテナ100と同色のコンテナ100(新品のコンテナ100)が発注される。その結果、コンテナ100の発注タイミングが遅れることを抑制できる。ユーザーからすると、旧モデルから新モデルに切り替えても、既存の発注システム2をそのまま使用できるので、利便性が良い。
【0076】
また、本実施形態では、上記のように、制御部11は、同色の色材を収容する複数(2つ)のコンテナ100のうち、残量が最も少ないコンテナ100を優先的に色材供給元に設定する。言い換えると、制御部11は、同色の色材を収容する複数(2つ)のコンテナ100のうち、一方のコンテナ100の色材を使い切ってから、他方のコンテナ100の色材を使用する。この構成では、印刷ジョブの実行中、同色の色材を収容する複数のコンテナ100のうち、一方の残量が0%(空状態)になっても、他方の残量は100%(満杯状態)となっているので、印刷ジョブを続行できる。これにより、印刷ジョブを速やかに完了させることできるので、ユーザーの利便性が向上する。
【0077】
また、本実施形態では、上記のように、純正品のコンテナ100と非純正品のコンテナ100とが装着部110に混在して装着されているとき、制御部11は、純正品のコンテナ100を優先的に色材供給元に設定する。純正品のコンテナ100を使用することにより、コンテナ100の残量を正確に認識できる。これにより、コンテナ100の発注を適切なタイミングで行うことができる。
【0078】
また、本実施形態では、上記のように、印刷部10による印刷中、同色の色材を収容する複数のコンテナ100のうち、色材供給元に設定したコンテナ100が空状態になったとき、制御部11は、残りのコンテナ100を新たに色材供給元に設定する。そして、制御部11は、印刷部10に印刷を続行させる。これにより、色材の残量切れに起因する印刷ジョブの中断を抑制できる。
【0079】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0080】
1 画像形成装置
2 発注システム
3 画像形成システム
10 印刷部
11 制御部
13 通信部
100 コンテナ
110 装着部
図1
図2
図3
図4