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特開2022-174854鼻呼吸誘導具及び鼻呼吸誘導具の製造方法
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  • 特開-鼻呼吸誘導具及び鼻呼吸誘導具の製造方法 図1
  • 特開-鼻呼吸誘導具及び鼻呼吸誘導具の製造方法 図2
  • 特開-鼻呼吸誘導具及び鼻呼吸誘導具の製造方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174854
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】鼻呼吸誘導具及び鼻呼吸誘導具の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/06 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
A61M16/06 D
A61M16/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080856
(22)【出願日】2021-05-12
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)ブログによる公開 [ブログアドレス] https://profile.ameba.jp/ameba/moriyamado/ [ブログ掲載日] 令和3年1月18日、令和3年1月28日、令和3年2月6日、令和3年3月4日、令和3年3月26日、令和3年4月12日、令和3年4月23日、令和3年5月12日 (2)SNS(face book)による公開 [SNSアドレス] https://www.facebook.com/moriyamasports [SNS掲載日] 令和3年1月17日、令和3年3月4日、令和3年4月12日、令和3年4月22日 (3)SNS(Twitter)による公開 [SNSアドレス] https://twitter.com/moriyamasports [SNS掲載日] 令和3年1月18日、令和3年2月6日、令和3年3月4日、令和3年4月12日、令和3年4月23日
(71)【出願人】
【識別番号】521204297
【氏名又は名称】森山 広之
(74)【代理人】
【識別番号】100155882
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100154678
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 博子
(72)【発明者】
【氏名】森山 広之
(57)【要約】
【課題】 着用者にとって着用に違和感が少なく、構造の簡単な鼻呼吸誘導具及びその製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 鼻呼吸誘導具1は、両側11、上端12及び下端13で囲まれた略楕円形である。鼻呼吸誘導具1は、着用者の唇内側に対向する外面2と、着用者の前歯に対向する内面3とを有し、両側11が内面3に向かって湾曲し、上端12及び下端13も内面3に向かって湾曲している。このように湾曲することによって鼻呼吸誘導具1は着用者の唇内側に安定的に保持される。鼻呼吸誘導具1の内面3には、着用者の上側歯列の形状に対応する上側歯列凹部6と、下側歯列の形状に対応する下側歯列凹部7とを備える。鼻呼吸誘導具1は、その上端12から内側に向かう上端切欠き部8を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の唇内側と前歯との間に挿入される鼻呼吸誘導具において、
可撓性及び非通気性であって、両側と、前記両側の間に延びる上端及び下端と、を有し、
前記唇内側に対向する外面と、
前記前歯に対向する内面と、
前記内面に形成されるとともに着用者の上側歯列の形状に対応する上側歯列凹部と、
下側歯列の形状に対応する下側歯列凹部と、を備えることを特徴とする鼻呼吸誘導具。
【請求項2】
前記上端から内側に向かう上側切欠き部を備えることを特徴とする請求項1記載の鼻呼吸誘導具。
【請求項3】
着用者の唇内側と前歯との間に挿入される鼻呼吸誘導具の製造方法であって、
硬化型樹脂を用いて着用者の上側歯列及び下側歯列のそれぞれの型取りをする工程と、
型取りをした硬化型樹脂を基に上側歯列模型及び下側歯列模型をそれぞれ作成する工程と、
前記上側歯列模型の前歯及び下側歯列模型の前歯が接触するように合わせて最終模型を作成する工程と、
加熱した熱可塑性樹脂シートを押圧する加圧成型機に前記前記最終模型をセットし前記熱可塑性樹脂シートを押圧する工程と、を含み、
前記最終模型は、前歯が前記熱可塑性樹脂シートに対向するように配置することによって、前記鼻呼吸誘導具に前記唇内側に対向する外面と、前記前歯に対向する内面と、前記内面に形成されるとともに着用者の上側歯列の形状に対応する上側歯列凹部と、下側歯列の形状に対応する下側歯列凹部とを形成することができることを特徴とする鼻呼吸誘導具の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、着用者の唇内側と前歯との間に挿入され着用者の鼻呼吸を誘導するのに適した鼻呼吸誘導具及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、睡眠時等においていびき又は口腔内乾燥の原因となる口呼吸を防止する口呼吸防止具が知られる。例えば、特許文献1によれば、湾曲した板状の基部と、基部の内側に形成された噛合部と、噛合部の先端に形成された突起と、突起の先端に形成された噛込部とを有する口呼吸防止具が記載される。基部を着用者の唇内側と歯外側との間に位置させ、突起を前歯内側に位置させた状態で、噛合部を上下の前歯で噛むようにすることによって、基部で歯外側を覆い、空気が口腔内に侵入するのを抑制することができ、着用者の鼻呼吸を誘導することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-103824号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の口呼吸防止具においては、基部を唇内側に安定的に保持するために噛合部が必要であり、着用者にとっては上下の前歯に常に噛合部があって煩わしいという問題があった。また、噛合部を設ける分、口呼吸防止具全体の形状が煩雑になるという問題もあった。
【0005】
この発明は、着用者にとって着用に違和感が少なく、構造の簡単な鼻呼吸誘導具及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、鼻呼吸誘導具に関する第1の発明と、鼻呼吸誘導具の製造方法に関する第2の発明とを有する。
第1の発明は、着用者の唇内側と前歯との間に挿入される鼻呼吸誘導具において、可撓性及び非通気性であって、両側と、前記両側の間に延びる上端及び下端と、を有し、前記唇内側に対向する外面と、前記前歯に対向する内面と、前記内面に形成されるとともに着用者の上側歯列の形状に対応する上側歯列凹部と、下側歯列の形状に対応する下側歯列凹部と、を備えることを特徴とする。
この発明によれば、鼻呼吸誘導具の外面及び内面には突起物等がなく、違和感なく着用することができる。
【0007】
第1の発明は、前記上端から内側に向かう上側切欠き部をさらに備えることを特徴とする。
上側切欠き部を備えることによって、着用者の上唇小帯の損傷を防ぐことができる。
【0008】
第2の発明は、着用者の唇内側と前歯との間に挿入される鼻呼吸誘導具の製造方法であって、硬化型樹脂を用いて着用者の上側歯列及び下側歯列のそれぞれの型取りをする工程と、型取りをした硬化型樹脂を基に上側歯列模型及び下側歯列模型をそれぞれ作成する工程と、前記上側歯列模型の前歯及び下側歯列模型の前歯が接触するように合わせて最終模型を作成する工程と、加熱した熱可塑性樹脂シートを押圧する加圧成型機に前記最終模型をセットし前記熱可塑性樹脂シートを押圧する工程と、を含み、前記最終模型は、前歯が前記熱可塑性樹脂シートに対向するように配置することによって、前記鼻呼吸誘導具に前記唇内側に対向する外面と、前記前歯に対向する内面と、前記内面に形成されるとともに着用者の上側歯列の形状に対応する上側歯列凹部と、下側歯列の形状に対応する下側歯列凹部とを形成することができることを特徴とする。
第2の発明によれば、加熱した熱可塑性樹脂シートを最終模型に押圧するだけで容易に鼻呼吸誘導具を形成することができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る鼻呼吸誘導具は、構造が単純であり、違和感なく着用することができるとともに、容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】鼻呼吸誘導具の斜視図。
図2】鼻呼吸誘導具を内面から見た図。
図3】鼻呼吸誘導具の製造時における模型を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1及び図2は鼻呼吸誘導具1の一例を示したものである。鼻呼吸誘導具1は、着用者の唇内側と前歯との間に挿入されるものであり、唇内側に保持することによって口から喉へと空気が流出入するのを防止して口呼吸を抑制することによって、着用者の鼻呼吸を促すものである。鼻呼吸誘導具1は、可撓性及び非通気性を有し、着用者の前歯、すなわち中切歯、側切歯及び犬歯を覆う程度の大きさを有する。鼻呼吸誘導具1の材料として熱可塑性シートを用いることができ、この実施形態では例えば厚さ約1mm~3mmのシリコンシートを用いる。
【0012】
鼻呼吸誘導具1は、両側11、上端12及び下端13で囲まれた略楕円形である。鼻呼吸誘導具1は、着用者の唇内側に対向する外面2と、着用者の前歯に対向する内面3とを有し、両側11が内面3に向かって湾曲し、上端12及び下端13も内面3に向かって湾曲している。このように湾曲することによって鼻呼吸誘導具1は着用者の唇内側に安定的に保持される。
【0013】
鼻呼吸誘導具1の内面3には、着用者の上側歯列の形状に対応する上側歯列凹部6と、下側歯列の形状に対応する下側歯列凹部7とを備える。上側歯列凹部6及び下側歯列凹部7は着用者の歯列の形状に対応するように形成されているから、この鼻呼吸誘導具1を着用した際、その内面3が着用者の前歯に密着し、唇内側と前歯との間に違和感なく保持することができる。なお、この実施形態において、材料となるシリコンシートは非常に薄く、上側歯列凹部6及び下側歯列凹部7が外面2にも現れる。
【0014】
鼻呼吸誘導具1は、その上端12から内側に向かう上端切欠き部8を備える。上端切欠き部8には、着用者の上唇小帯が位置し、鼻呼吸誘導具1の上端12によってこの部位の損傷を予防することができる。なお、場合によっては下端13から内側に向かう下端切欠き部をさらに備え、鼻呼吸誘導具1の下端13によって下唇小帯の損傷を予防するようにしても良い。
【0015】
鼻呼吸誘導具1は、着用者の前歯及びその周辺の歯肉を覆う程度の大きさである。すなわち、上端12が上側歯列の歯冠を超えて歯肉に位置し、下端13が下側歯列の歯冠を超えて歯肉に位置する。したがって、鼻呼吸誘導具1を着用した状態で口を開けた場合であっても、一般的にその開口部を鼻呼吸誘導具1で塞ぐことができる。少なくとも無意識に上口唇と下口唇とが離れたような状態においてはその隙間を鼻呼吸誘導具1で塞ぐことができる大きさである。したがって、例えば就寝時等に無意識に口が開いてしまった場合であっても口呼吸を防止し、鼻呼吸を促すことができる。
【0016】
上記のような鼻呼吸誘導具1の製造方法について説明する。鼻呼吸誘導具1は着用者それぞれの歯型に合わせてオーダーメイドでつくることができる。歯型を形成するために、着用者の上側歯列及び下側歯列のそれぞれの型取りをする。型取りは歯科で一般的に行われている方法を用いることができ、硬化型樹脂を用いることができる。
【0017】
図3を参照すれば、型取りをした硬化型樹脂を基に着用者の上側歯列模型21及び下側歯列模型22をそれぞれ作成する。これら模型は石膏を用いて作成することができる。次に、上側歯列模型21の前歯の先端21A及び下側歯列模型22の前歯の先端22Aが接触するように合わせて最終模型23を作成する。すなわち、上側歯列模型21及び下側歯列模型22は、上下別々に作成されているのでこれを併せて一つとして最終模型23としている。通常、臼歯をかみ合わせると、上側歯列の前歯は下側歯列の前歯にかぶさるようになり、前歯先端同士が接触することはない。しかし、就寝時やリラックス時において臼歯をしっかりとかみ合わせることはなく、上側臼歯と下側臼歯との間に隙間が空き、前歯の先端同士が接触するかそれに近い状態にあることが多い。そこで、前歯先端同士が接触するように上側歯列模型21と下側歯列模型22とを組み合わせてこれらを固定し最終模型23としている。
【0018】
このような最終模型23と、鼻呼吸誘導具1の材料となる熱可塑性樹脂シートとを加圧成型機(例えばERKODENT Erich Kopp社製 Erkopress 300Tp-ci)にセットする。この実施形態において熱可塑性樹脂シートとして厚さ約1~3mmのシリコンシートを用いている。加熱成型機は例えば赤外線ヒーター等の熱源により熱可塑性樹脂シートを加熱して軟化することができ、軟化したシートを最終模型23に押圧することによってシートを所望の形状に成形することができる。
【0019】
この実施形態において、最終模型23を下方に配置し、その上方に熱可塑性シートを配置している。最終模型23は前歯先端が上方を向くように、すなわち熱可塑性シートを向くように配置される。このような最終模型23にシートを押圧することによって、着用者の前歯近傍のおける上側歯列凹部6及び下側歯列凹部7をシートの内面3に形成することができる。また、熱可塑性シートは着用者の歯列曲線に合わせてその両側11が内面3に向かって湾曲し、上端12及び下端13茂内面3に向かって湾曲する。これら湾曲の状態も着用者の口腔形状に沿ったものとすることができる。
【0020】
押圧後、冷却により硬化したシートは着用者に合わせてカット及び調整され、鼻呼吸誘導具1とすることができる。
【0021】
上記のような鼻呼吸誘導具1は、外面2及び内面3からの突起部がなく、そのすべてが着用者の唇内側と前歯の間に収まる。すなわち、一枚のシートが唇内側と前歯の間に挿入されるだけなので、違和感なく着用することができる。内側3に上側歯列凹部6及び下側歯列凹部7を設けることによって、鼻呼吸誘導具1が着用者の前歯に密着しやすくより一層着用時の違和感を軽減することができる。鼻呼吸誘導具1は、可撓性を有するから位置がずれたりした場合であっても撓みながら着用者の歯列に密着することができる。また、鼻呼吸誘導具1が非通気性を有することにより、口からの空気の侵入を防ぎ、これにより鼻呼吸を促すことができる。
【0022】
鼻呼吸を促すことによって、口呼吸による口腔又は喉の乾燥を防止するとともに唾液の分泌を促進することができる。また、ウイルスの飛沫感染を抑制することもできる。さらに、軽い運動時に着用することによって心肺機能の向上を期待することもできる。
【0023】
上記のような鼻呼吸誘導具1は、熱可塑性シートを歯列模型に押し付けるだけで形成することができるから、作業工程が少なく加工が容易である。なお、熱可塑性シートとしてシリコンシートを用いることとしているが、これに限定されるものではなく、この分野で用いられる他の材料を制限なく用いることができる。また、非通気性とは、完全に通気を遮断するものだけでなく、通常の呼吸における通気量を制限する程度のものであればよく、難通気性をも含む。
【符号の説明】
【0024】
1 鼻呼吸誘導具
2 外面
3 内面
6 上側歯列凹部
7 下側歯列凹部
8 上端切欠き部
11 両側
12 上端
13 下端
21 上側歯列模型
21A 前歯の先端
22 下側歯列模型
22A 前歯の先端
23 最終模型
図1
図2
図3