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特開2022-174863輸液バッグの酸素濃度測定方法および輸液バッグ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174863
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】輸液バッグの酸素濃度測定方法および輸液バッグ
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/359 20140101AFI20221117BHJP
   G01N 21/01 20060101ALI20221117BHJP
   A61J 1/05 20060101ALN20221117BHJP
【FI】
G01N21/359
G01N21/01 B
A61J1/05 353
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080871
(22)【出願日】2021-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000108281
【氏名又は名称】ゼネラルパッカー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090239
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 始
(74)【代理人】
【識別番号】100100859
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 昌也
(72)【発明者】
【氏名】大島 雅志
(72)【発明者】
【氏名】宮部 祐樹
【テーマコード(参考)】
2G059
4C047
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059BB01
2G059CC07
2G059EE01
2G059GG01
2G059HH01
2G059HH06
2G059KK01
2G059LL01
4C047AA11
4C047BB12
4C047CC05
4C047GG05
(57)【要約】
【課題】輸液バッグ内の気相部に必要な検知空間を確保して測定精度を向上させることができる輸液バッグの酸素濃度測定方法およびその酸素濃度測定方法に使用される輸液バッグを提供する。
【解決手段】輸液バッグHは、両側下辺部11a,11bが中央に向かってそれぞれ斜め上方に上昇する肩部12と、肩部12の中央に設けられたポート13と、肩部12の下部に設けられた気相部14とを有し、ポート13の真下の気相部14の両外側に、レーザー発生部15の先端部16とレーザー受光部17の先端部18とを対向配置して輸液バッグH内の酸素濃度を測定する輸液バッグの酸素濃度測定方法である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用輸液を充填しガス置換して包装された輸液バッグ内の酸素濃度を測定する輸液バッグの酸素濃度測定方法であって、
前記輸液バッグは、正面視で両側下辺部が中央に向かってそれぞれ斜め上方に上昇する肩部と、該肩部の中央に設けられたポートと、前記肩部の下部に設けられた気相部とを有し、
前記ポートの真下の前記気相部の両外側に、特定波長のレーザー光を照射するレーザー発生部の先端部と該レーザー発生部から発振されるレーザー光を受光するレーザー受光部の先端部とを対向配置して前記輸液バッグ内の酸素濃度を測定することを特徴とする輸液バッグの酸素濃度測定方法。
【請求項2】
医療用輸液を充填しガス置換して包装された輸液バッグ内の酸素濃度を測定する輸液バッグの酸素濃度測定方法であって、
特定波長のレーザー光を照射するレーザー発生部の先端部と該レーザー発生部から発振されるレーザー光を受光するレーザー受光部の先端部とを、前記輸液バッグの気相部内に設けられ前記気相部内のガスは侵入可能でかつ前記医療用輸液は侵入不能に区画された検知空間の両外側にそれぞれ対向配置して前記輸液バッグ内の酸素濃度を測定することを特徴とする輸液バッグの酸素濃度測定方法。
【請求項3】
医療用輸液を充填しガス置換して包装された輸液バッグ内の気相部内に設けられ前記気相部内のガスは侵入可能でかつ前記医療用輸液は侵入不能に区画された検知空間を有していることを特徴とする輸液バッグ。
【請求項4】
前記検知空間は、前記輸液バッグの表面部と裏面部との内面同士を連結した区画壁部と、該区画壁部の上部に設けられたガス侵入部により形成されている請求項3に記載の輸液バッグ。
【請求項5】
医療用輸液を充填しガス置換して包装された輸液バッグ内の酸素濃度を測定する輸液バッグの酸素濃度測定方法であって、
特定波長のレーザー光を照射するレーザー発生部の先端部と該レーザー発生部から発振されるレーザー光を受光するレーザー受光部の先端部とを、前記輸液バッグの気相部の両外側に対向配置すると共に、前記輸液バッグの下部を両外側から圧迫部により圧迫することにより前記輸液バッグ内の酸素濃度を測定することを特徴とする輸液バッグの酸素濃度測定方法。
【請求項6】
前記レーザー発生部の先端部と前記レーザー受光部の先端部は、前記輸液バッグを吸着可能とする吸着機構を有している請求項5に記載の輸液バッグの酸素濃度測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用輸液を充填した輸液バッグ内の酸素濃度を測定するための輸液バッグの酸素濃度測定方法およびその酸素濃度測定方法に使用される輸液バッグに関する。
【背景技術】
【0002】
医療用輸液は、輸液バッグなどの袋状容器内に充填されて輸送および保存されているが、この輸液バッグ内に充填した医療用輸液が酸素によって劣化しないように、輸液バッグ内に残留する空気を排除して窒素、二酸化炭素等の不活性ガスを充填するガス置換包装が行われている。
【0003】
そして、製品検査において、医療用輸液を充填した輸液バッグ内に残存する酸素濃度を計測する方法として、レーザー式ガス濃度測定装置による計測方法が行われている。
【0004】
このレーザー式ガス濃度測定装置による計測方法は、大半のガス分子が特定波長の光を吸収するという性質を利用するもので、レーザー光を輸液バッグ内の上部に存在する気相部に透過させてその透過光量を計測して酸素濃度を測定する方法である(特開2010-38846号公報)。
【0005】
しかし、輸液バッグ内の上部に存在する気相部は狭小であるため、計測が困難で測定精度も十分に確保できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-38846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の課題は、輸液バッグ内の気相部に必要な検知空間を確保して測定精度を向上させることができる輸液バッグの酸素濃度測定方法およびその酸素濃度測定方法に使用される輸液バッグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するものは、医療用輸液を充填しガス置換して包装された輸液バッグ内の酸素濃度を測定する輸液バッグの酸素濃度測定方法であって、前記輸液バッグは、正面視で両側下辺部が中央に向かってそれぞれ斜め上方に上昇する肩部と、該肩部の中央に設けられたポートと、前記肩部の下部に設けられた気相部とを有し、前記ポートの真下の前記気相部の両外側に、特定波長のレーザー光を照射するレーザー発生部の先端部と該レーザー発生部から発振されるレーザー光を受光するレーザー受光部の先端部とを対向配置して前記輸液バッグ内の酸素濃度を測定することを特徴とする輸液バッグの酸素濃度測定方法である(請求項1)。
【0009】
また、上記課題を解決するものは、医療用輸液を充填しガス置換して包装された輸液バッグ内の酸素濃度を測定する輸液バッグの酸素濃度測定方法であって、特定波長のレーザー光を照射するレーザー発生部の先端部と該レーザー発生部から発振されるレーザー光を受光するレーザー受光部の先端部とを、前記輸液バッグの気相部内に設けられ前記気相部内のガスは侵入可能でかつ前記医療用輸液は侵入不能に区画された検知空間の両外側にそれぞれ対向配置して前記輸液バッグ内の酸素濃度を測定することを特徴とする輸液バッグの酸素濃度測定方法である(請求項2)。
【0010】
さらに、上記課題を解決するものは、医療用輸液を充填しガス置換して包装された輸液バッグ内の気相部内に設けられ前記気相部内のガスは侵入可能でかつ前記医療用輸液は侵入不能に区画された検知空間を有していることを特徴とする輸液バッグである(請求項3)。
【0011】
前記検知空間は、前記輸液バッグの表面部と裏面部との内面同士を連結した区画壁部と、該区画壁部の上部に設けられたガス侵入部により形成されている請求項3に記載の輸液バッグである(請求項4)。
【0012】
さらに、上記課題を有するものは、医療用輸液を充填しガス置換して包装された輸液バッグ内の酸素濃度を測定する輸液バッグの酸素濃度測定方法であって、特定波長のレーザー光を照射するレーザー発生部の先端部と該レーザー発生部から発振されるレーザー光を受光するレーザー受光部の先端部とを、前記輸液バッグの気相部の両外側に対向配置すると共に、前記輸液バッグの下部を両外側から圧迫部により圧迫することにより前記輸液バッグ内の酸素濃度を測定することを特徴とする輸液バッグの酸素濃度測定方法である(請求項5)。
【0013】
前記レーザー発生部の先端部と前記レーザー受光部の先端部は、前記輸液バッグを吸着可能とする吸着機構を有していることが好ましい(請求項6)。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の輸液バッグの酸素濃度測定方法によれば、より検知空間を確保しやすいポートの真下で輸液バッグの酸素濃度を測定することで、必要な検知空間を確保して測定精度を向上させることができる。
請求項2に記載の輸液バッグの酸素濃度測定方法によれば、輸液バッグの気相部内に設けられ気相部内のガスは侵入可能でかつ医療用輸液は侵入不能に区画された検知空間で輸液バッグの酸素濃度を測定することで、必要な検知空間を確保して測定精度を向上させることができる。
請求項3に記載の輸液バッグによれば、上記請求項2に記載の輸液バッグの酸素濃度測定方法に使用可能な輸液バッグを構成できる。
請求項4に記載の輸液バッグによれば、上記請求項2または3に記載の輸液バッグの酸素濃度測定方法に使用可能な輸液バッグを容易に作製できる。
請求項5に記載の輸液バッグの酸素濃度測定方法によれば、輸液バッグの下部を両外側から圧迫部により圧迫することにより、輸液バッグの気相部の厚みを増大させて必要な検知空間を確保し測定精度を向上させることができる。
請求項6に記載の輸液バッグの酸素濃度測定方法によれば、吸着機構により輸液バッグの表裏面を吸着することで、輸液バッグ内により十分な検知空間を確保すると共に検知空間の距離を均一にして測定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の輸液バッグの酸素濃度測定方法の一実施例を説明するための斜視概略図である。
図2】(a)は輸液バッグの一実施例を説明するための正面図であり、(b)はその平面図である。
図3】本発明の輸液バッグの酸素濃度測定方法を実施する酸素濃度測定装置の一実施例の側面図である。
図4】本発明の輸液バッグの酸素濃度測定方法の他の実施例を説明するための斜視概略図である。
図5図4に示した輸液バッグの酸素濃度測定方法に使用する本発明の輸液バッグの一実施例の正面図である。
図6】本発明の輸液バッグの酸素濃度測定方法の他の実施例を説明するための斜視概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明では、輸液バッグHが、両側下辺部11a,11bが中央に向かってそれぞれ斜め上方に上昇する肩部12と、肩部12の中央に設けられたポート13と、肩部12の下部に設けられた気相部14とを有し、ポート13の真下の気相部14の両外側にそれぞれレーザー発生部15の先端部16とレーザー受光部17の先端部18とを対向配置して輸液バッグH内の酸素濃度を測定することで、より検知空間を確保しやすいポート13の真下で輸液バッグの酸素濃度を測定して測定精度を向上させることができる輸液バッグの酸素濃度測定方法を実現した。
【実施例0017】
本発明の輸液バッグの酸素濃度測定方法を図1ないし図3に示した一実施例を用いて説明する。
この実施例の輸液バッグの酸素濃度測定方法は、医療用輸液Sを充填しガス置換して包装された輸液バッグH内の酸素濃度を測定する輸液バッグの酸素濃度測定方法であって、輸液バッグHは、図2に示すように、正面視で両側下辺部11a,11bが中央に向かってそれぞれ斜め上方に上昇する肩部12と、肩部12の中央に設けられたポート13と、肩部12の下部に設けられた気相部14とを有し、図1または図3に示すように、ポート13の真下の気相部14の両外側に、特定波長のレーザー光を照射するレーザー発生部15の先端部16とレーザー発生部15から発振されるレーザー光Lを受光するレーザー受光部17の先端部18とを対向配置して輸液バッグH内の酸素濃度を測定することを特徴とする輸液バッグの酸素濃度測定方法である。以下、詳述する。
【0018】
本発明の輸液バッグの酸素濃度測定方法は、窒素、二酸化炭素等の不活性ガスによりガス置換をして包装された輸液バッグH内の特定ガスである酸素濃度をレーザー式ガス濃度計によって測定するものであり、単独のガス濃度測定装置の測定方法として使用され、または、ロータリー式包装機、トラック式包装機、製袋包装機等の各種包装機内の検査工程にて使用され、さらに、ロータリー式包装機、トラック式包装機、製袋包装機等の各種包装機のアウトラインに設けられたコンベア式検査工程にて使用される。
【0019】
輸液バッグは、例えば点滴などの医療用輸液をポリオレフィンなどの軟質材料にて袋状容器としたものであり、医療用輸液が充填されると共に、上部中央にポート(口部)にて封止されたものである。具体的な輸液バッグHの形態としては、例えば図1に示すような上下2連のものや図2に示した単体のもの、あるいは2連以外の多連のものなどが含まれる。
【0020】
より具体的には、この実施例の輸液バッグHは、図1または図2に示すように、正面視で両側下辺部11a,11bが中央に向かってそれぞれ斜め上方に上昇する肩部12と、肩部12の中央に設けられたポート13と、肩部12の下部に設けられた気相部(輸液バッグH内において医療用輸液Sが存在せず、不活性ガスで置換されている空間)14と、表面部19aと、裏面部19bとを有している。
【0021】
この実施例の輸液バッグHの酸素濃度測定方法は、医療用輸液Sを充填しガス置換して包装された輸液バッグH内の酸素濃度を測定する輸液バッグの酸素濃度測定方法であり、図3に示すように、レーザー式ガス濃度計20を備えたガス濃度測定装置Gにより実施される。
【0022】
レーザー式ガス濃度計20は、図3に示すように、特定波長のレーザー光Lを照射する発信器を有するレーザー発生部15と、発信器から発振されるレーザー光Lを受光する受信器を有するレーザー受光部17とを備えており、レーザー発生部15の先端部16とレーザー受光部17の先端部18とが、輸液バッグHの両外側(表面部19aの外側と裏面部19bの外側)にそれぞれ対向して配されるよう構成されている。
【0023】
レーザー式酸素濃度計20は、半導体レーザーを光源とする赤外線吸収分光法を利用するもので、測定対象の分子(測定ガス:酸素ガス)に固有周波数の光を与えると光エネルギーを吸収し、それを測定することにより酸素濃度の表示を行なうものである。
【0024】
具体的には、レーザー発生部15の発信器から発振されるレーザー光Lは、レーザー発生部15の先端部16内を通過して輸液バッグH内に侵入し、レーザー受光部17の受信器に受光されるように構成されている。発信器から発振される特定波長のレーザー光Lは、酸素ガスの場合、波長(固有周波数)760~770nmの範囲から選択される。そして、特定波長のレーザー光Lが、輸液バッグH内に残留している酸素ガスによって吸収されると、レーザー受光部17の受信器に受光されたレーザー光の吸光度に基づいて輸液バッグH内に残留している酸素ガスの酸素濃度が測定されるように構成されている。
【0025】
レーザー発生部17は、発信器から発振されるレーザー光Lの波長を特定の波長に設定し、所定の光強度に調整する制御部を有している。制御部は、半導体レーザー素子から出力されるレーザー光Lの波長を測定対象の特定ガス固有の特定波長に調整して、レーザー光Lが所定の入射光強度で射出されるように増幅制御する。
【0026】
レーザー受光部17は、輸液バッグHを透過したレーザー光Lを受光する受信器と、受信器からの受光信号に基づいて酸素濃度を測定する測定部とを有している。
【0027】
受信器は、輸液バッグHを透過したレーザー光Lの透過光強度を電気的な透過光信号に変換する素子、例えばフォトダイオードを有している。これによって、輸液バッグHを透過したレーザー光Lの透過光強度を電気的に処理することができる。
【0028】
測定部は、透過光強度に係る透過光信号と、発信器から発振されたレーザー光Lの入射光強度に係る入射光信号に基づいて透過率を計算し、当該透過率に基づいてレーザー光の酸素ガスによる吸光度を求め、当該吸光度に基づいて輸液バッグH内の酸素ガスの濃度を測定するように構成されている。
【0029】
ガス濃度測定装置Gは、レーザー発生部15の先端部16とレーザー受光部17の先端部18の双方に、輸液バッグHの表面部19a,裏面部19bをそれぞれ吸着可能とする吸着機構を有している。これにより、レーザー発生部15の先端部16とレーザー受光部17の先端部18と被測定物(輸液バッグH)との密着性を確保できると共に、輸液バッグH内に十分な検知空間を確保して測定精度を向上させることができる。
【0030】
具体的には、レーザー発生部15の先端部16およびレーザー受光部17の先端部18は、吸引穴を備えた連通路に流量調整弁や圧力計を介して真空ポンプ等の真空源が取り付けられて吸引可能な吸着機構をそれぞれ有している。
【0031】
なお、この実施例のレーザー式ガス濃度計20は、連通路とレーザー経路とがそれぞれ連通し、吸着機構による吸引により、レーザー発光部15とレーザー受光部17のレーザー経路内も真空雰囲気下となるように構成されている。これにより、レーザー経路内の残存酸素率をほぼ0%として測定精度をより高めることができる。
【0032】
また、ガス濃度測定装置Gは、図3に示すように、往復動機構21を有している。往復動機構21は、レーザー発生部15の先端部16およびレーザー受光部17の先端部18を、グリップ対gにより吊り下げ状に支持された輸液バッグHに対して内外に往復動させるための機構である。これにより、輸液バッグHのサイズに応じてレーザー発生部15の先端部16およびレーザー受光部17の先端部18の間隔を調整することができ、レーザー発光部15の先端部16やレーザー受光部17の先端部18と被測定物(輸液バッグH)との密着性を確保できる。
【0033】
具体的には、この実施例の往復動機構21は、レーザー発生部15を固定した第1往復動部22と、レーザー受光部17を固定した第2往復動部23と、第1往復動部22と第2往復動部23とをそれぞれ往復動可能に取り付けた送りねじ機構24と、送りねじ機構24を正逆回転させるサーボモーターなどの回転駆動部25とを有し、送りねじ機構24を正逆回転させることにより、レーザー発生部15とレーザー受光部17が内外に移動してレーザー発生部15の先端部16およびレーザー受光部17の先端部18の間隔が調整可能に構成されている。
【0034】
そして、この実施例の輸液バッグの酸素濃度測定方法は、図1に示すように、ポート13の真下の気相部14の両外側(表面部19aと裏面部19のそれぞれ外側)に、特定波長のレーザー光を照射するレーザー発生部15の先端部16とレーザー発生部15から発振されるレーザー光Lを受光するレーザー受光部17の先端部18とを対向配置して輸液バッグH内の酸素濃度を測定することを特徴とする。これにより、より検知空間を確保しやすいポート13の真下で輸液バッグHの酸素濃度を測定することができ、必要な検知空間を確保して測定精度を向上させることができる。
【実施例0035】
つぎに、図4および図5に示した本発明の輸液バッグの酸素濃度測定方法の他の実施例およびその輸液バッグの酸素濃度測定方法に使用される輸液バッグについて説明する。
この実施例の輸液バッグの酸素濃度測定方法は、医療用輸液Sを充填しガス置換して包装された輸液バッグH1内の酸素濃度を測定する輸液バッグの酸素濃度測定方法であって、特定波長のレーザー光Lを照射するレーザー発生部15の先端部16とレーザー発生部15から発振されるレーザー光Lを受光するレーザー受光部17の先端部18とを、輸液バッグH1の気相部14内に設けられ気相部14内のガスは侵入可能でかつ医療用輸液Sは侵入不能に区画された検知空間Qの両外側(表面部19aと裏面部19のそれぞれ外側)に対向配置して輸液バッグH1内の酸素濃度を測定することを特徴とする輸液バッグの酸素濃度測定方法である。以下、詳述するが、前述した輸液バッグの酸素濃度測定方法にて説明した構成と同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。
【0036】
また、この実施例の輸液バッグの酸素濃度測定方法に使用にされる輸液バッグH1は、図5に示すように、医療用輸液Sを充填しガス置換して包装された輸液バッグH1内の気相部14内に設けられ気相部14内のガスは侵入可能でかつ医療用輸液Sは侵入不能に区画された検知空間Qを有していることを特徴とする輸液バッグである。この輸液バッグH1についても併せて説明するが、前述した輸液バッグHと同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。
【0037】
この実施例の輸液バッグH1は、検知空間Qが、輸液バッグH1の表面部19aと裏面部19bとの内面同士を連結した区画壁部Rと、区画壁部Rの上部に設けられたガス侵入部Tとにより形成されている。検知空間Qがこれら区画壁部Rとガス侵入部Tとで形成されることで、気相部14内にガスは侵入可能でかつ医療用輸液Sは侵入不能に区画された検知空間Qが構成される。
【0038】
より具体的には、この実施例の輸液バッグH1は、図5に示すように、輸液バッグH1の幅方向の一側壁部cと、一側壁部cから水平方向に延在した区画壁部R1と、区画壁部R1の他端から垂直方向に延在した区画壁部R2とで区画された空間で検知空間Qが形成されていることに加え、区画壁部R2の上部にガス侵入部(間隙)Tが設けられることにより、気相部14内に設けられた検知空間Qがガスは侵入可能でかつ医療用輸液Sは侵入不能に構成されている。なお、ガス侵入部Tを構成する間隙は、医療用輸液Sの粘度等によりその大きさが適宜設計変更可能に構成される。
【0039】
そして、この実施例における輸液バッグの酸素濃度測定方法は、図4に示すように、特定波長のレーザー光Lを照射するレーザー発生部15の先端部16とレーザー発生部15から発振されるレーザー光Lを受光するレーザー受光部17の先端部18とを、輸液バッグH1の気相部14内に設けられ気相部14内のガスは侵入可能でかつ医療用輸液Sは侵入不能に区画された検知空間Qの両外側(表面部19aと裏面部19のそれぞれ外側)に対向配置して輸液バッグH1内の酸素濃度を測定することを特徴とするものである。これにより、輸液バッグH1の気相部14内に設けられ、気相部14内のガスは侵入可能でかつ医療用輸液Sは侵入不能に区画された検知空間Qで輸液バッグH1の酸素濃度を測定することができ、必要な検知空間Qを確保して測定精度を向上させることができる。
【実施例0040】
さらに、図6に示した本発明の輸液バッグの酸素濃度測定方法の他の実施例について説明する。
この実施例の輸液バッグの酸素濃度測定方法は、医療用輸液Sを充填しガス置換して包装された輸液バッグH1内の酸素濃度を測定する輸液バッグの酸素濃度測定方法であって、特定波長のレーザー光Lを照射するレーザー発生部15の先端部16とレーザー発生部15から発振されるレーザー光Lを受光するレーザー受光部17の先端部18とを、輸液バッグHの気相部14の両外側(表面部19aと裏面部19のそれぞれ外側)に対向配置すると共に、輸液バッグHの下部を両外側(表面部19aと裏面部19のそれぞれ外側)から圧迫部30a,30bにより圧迫することにより輸液バッグH内の酸素濃度を測定することを特徴とする輸液バッグの酸素濃度測定方法である。以下、詳述するが、前述した輸液バッグの酸素濃度測定方法にて説明した構成と同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。
【0041】
具体的には、この実施例の輸液バッグの酸素濃度測定方法は、レーザー発生部15の先端部16およびレーザー受光部17の先端部18を、グリップ対gにより吊り下げ状に支持された輸液バッグHの気相部14の両外側(表面部19aと裏面部19のそれぞれ外側)に対向配置すると共に、輸液バッグHの下部を両外側(表面部19aと裏面部19のそれぞれ外側)から、シリンダーなどの圧迫部往復動機構31,32を用いて圧迫部(この実施例では圧迫板)30a,30bを移動させ圧迫する。このような圧迫により、輸液バッグの気相部14の厚みが増大して必要な検知空間が確保され測定精度を向上させることができる。
【0042】
また、レーザー発生部15の先端部16とレーザー受光部17の先端部18は、輸液バッグHを吸着可能とする吸着機構33,34を有している。これらにより、輸液バッグHの表裏面(表面部19aと裏面部19のそれぞれ外側面)を吸着することで、輸液バッグH内により十分な検知空間を確保して測定精度を向上させることができる。
【0043】
具体的には、吸着機構33,34は、それぞれ吸引穴を備えた連通路に流量調整弁や圧力計を介して真空ポンプ等の真空源が取り付け吸引可能に構成されている。
【符号の説明】
【0044】
G1,G2 酸素濃度測定装置
H,H1 輸液バッグ
g グリップ対
11a,11b 両側下辺部
12 肩部
13 ポート
14 気相部
15 レーザー発生部
16 レーザー発生部の先端部
17 レーザー受光部
18 レーザー受光部の先端部
19a 表面部
19b 裏面部
20 レーザー式ガス濃度計
21 往復動機構
22 第1往復動部
23 第2往復動部
24 送りねじ機構
25 回転駆動部
30a,30b 圧迫部
31,32 圧迫部往復動機構
33,34 吸着機構
R 区画壁部
T ガス侵入部
Q 検知空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6