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  • 特開-純水製造装置及び純水製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174865
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】純水製造装置及び純水製造方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/32 20060101AFI20221117BHJP
   C02F 1/20 20060101ALI20221117BHJP
   C02F 9/04 20060101ALI20221117BHJP
   C02F 9/08 20060101ALI20221117BHJP
   C02F 9/12 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
C02F1/32
C02F1/20 Z
C02F9/04
C02F9/08
C02F9/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080873
(22)【出願日】2021-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】高橋 悠介
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一重
【テーマコード(参考)】
4D037
【Fターム(参考)】
4D037AA01
4D037AB02
4D037AB11
4D037BA18
4D037BA23
4D037BB01
4D037BB02
4D037BB07
4D037CA01
4D037CA02
4D037CA03
4D037CA12
4D037CA15
(57)【要約】
【課題】過酸化水素などの酸化剤を添加することなく、被処理水のTOC濃度を低減する。
【解決手段】純水製造装置1は、被処理水に紫外線を照射する紫外線照射装置16と、紫外線照射装置16の前段に設けられたTOC取得部19及び溶存酸素濃度取得部20と、TOC取得部19によって測定した被処理水のTOC濃度に対する、溶存酸素濃度取得部20によって測定した被処理水の溶存酸素濃度の重量比率が1以上、7以下となるように溶存酸素濃度を制御する制御手段21と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水に紫外線を照射する紫外線照射装置と、
前記紫外線照射装置の前段に設けられたTOC取得部及び溶存酸素濃度取得部と、
前記TOC取得部によって取得された前記被処理水のTOC濃度に対する、前記溶存酸素濃度取得部によって取得された前記被処理水の溶存酸素濃度の重量比率が1以上、7以下となるように、前記紫外線照射装置に供給される被処理水の溶存酸素濃度を制御する制御手段と、
を有する純水製造装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記重量比率が2以上、7以下となるように前記紫外線照射装置に供給される被処理水の前記溶存酸素濃度を制御する、請求項1に記載の純水製造装置。
【請求項3】
前記紫外線照射装置に供給される被処理水のTOC濃度が10μg/L以下である、請求項1または2に記載の純水製造装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記重量比率が2以上、5以下となるように前記紫外線照射装置に供給される被処理水の前記溶存酸素濃度を制御する、請求項3に記載の純水製造装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記紫外線照射装置による溶存酸素消費率が90%以上となるように、前記紫外線照射装置に供給される被処理水の溶存酸素濃度を制御する、請求項1から4いずれか1項に記載の純水製造装置。
【請求項6】
前記溶存酸素濃度取得部及び前記紫外線照射装置の上流に位置する脱酸素手段を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の純水製造装置。
【請求項7】
前記脱酸素手段が脱気装置であり、前記溶存酸素濃度は、前記脱気装置内の真空度を調整することによって制御される、請求項6に記載の純水製造装置。
【請求項8】
前記溶存酸素濃度取得部及び前記紫外線照射装置の上流に位置する酸素供給手段を有する、請求項1から7のいずれか1項に記載の純水製造装置。
【請求項9】
前記紫外線照射装置に供給される被処理水に酸化剤が添加されない、請求項1から8のいずれか1項に記載の純水製造装置。
【請求項10】
被処理水のTOC濃度と溶存酸素濃度を、紫外線照射装置の前段で、それぞれTOC取得部と溶存酸素濃度取得部で測定することと、
前記TOCと前記溶存酸素濃度が測定された前記被処理水に、前記紫外線照射装置によって紫外線を照射することと、
前記TOC取得部によって取得された前記被処理水のTOC濃度に対する、前記溶存酸素濃度取得部によって取得された前記被処理水の溶存酸素濃度の重量比率が1以上、7以下となるように溶存酸素濃度を制御することと、
を有する純水製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は純水製造装置と純水製造方法に関し、特に紫外線照射装置を用いた純水製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被処理水中の有機物を分解しTOC(全有機炭素)濃度を低減する技術が知られている。特許文献1には、過酸化水素の添加装置と、その後段に設けられた紫外線照射装置と、を有する純水製造装置が開示されている。過酸化水素が添加された被処理水に紫外線を照射することで、酸化力の強いOHラジカルが発生する。これによって、被処理水中の有機物を効率的に分解することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-218248公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された純水製造装置では、紫外線を照射された被処理水、すなわち紫外線照射装置の処理水には過酸化水素が残留する。残留した過酸化水素は後段の装置を劣化させる可能性がある。このため、後段の装置の頻繁なメンテナンスや過酸化水素の除去手段が必要となる。
【0005】
本発明は、過酸化水素などの酸化剤を添加することなく、被処理水のTOC濃度を低減することが可能な純水製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の純水製造装置は、被処理水に紫外線を照射する紫外線照射装置と、紫外線照射装置の前段に設けられたTOC取得部及び溶存酸素濃度取得部と、TOC取得部によって測定した被処理水のTOC濃度に対する、溶存酸素取得部によって測定した被処理水の溶存酸素濃度の重量比率が1以上、7以下となるように溶存酸素濃度を制御する制御手段と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、過酸化水素などの酸化剤を添加することなく、被処理水のTOC濃度を低減することが可能な純水製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る純水製造装置の概略構成図である。
図2】DO/TOC比とTOC除去率及び溶存酸素濃度低減率の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の純水製造装置と純水製造方法の実施形態について説明する。図1(a)は本発明の一実施形態に係る純水製造装置1の概略構成を示している。純水製造装置1(1次システム)は下流側のサブシステム(2次システム)とともに超純水製造装置を構成する。純水製造装置1に供給される原水(以下、被処理水という)は有機物を含有している。以下の説明で、「前段」と「後段」はそれぞれ、被処理水の流通する方向に関して「上流側」と「下流側」を意味する。
【0010】
純水製造装置1は、ろ過器11、活性炭塔12、第1のイオン交換装置13、逆浸透膜装置14、脱酸素装置15、紫外線照射装置(紫外線酸化装置)16、第2のイオン交換装置17、脱気装置18を有し、これらは被処理水の流通方向Dに関し上流から下流に向かって、母管L1に沿ってこの順序で直列に配置されている。被処理水は原水ポンプ(図示せず)で昇圧された後、ろ過器11で比較的粒径の大きな塵埃等が除去され、活性炭塔12で高分子有機物などの不純物が除去される。ろ過器11の構成は限定されないが、本実施形態では砂ろ過器を用いている。第1のイオン交換装置13は、カチオン交換樹脂が充填されたカチオン塔(図示せず)と、脱炭酸塔(図示せず)と、アニオン交換樹脂が充填されたアニオン塔(図示せず)と、を有し、これらは上流から下流に向けてこの順で直列に配置されている。被処理水はカチオン塔でカチオン成分を、脱炭酸塔で炭酸を、アニオン塔でアニオン成分をそれぞれ除去される。前段に第1のイオン交換装置13があるため、逆浸透膜装置14は主として有機物などの非荷電物質を除去する。逆浸透膜装置14で有機物を除去することで、後段の紫外線照射装置16の負荷が低減される。被処理水のTOCが高いと、紫外線照射装置16におけるTOC濃度除去率が低下する。
【0011】
脱酸素手段15は、被処理水から酸素を除去し、被処理水の溶存酸素濃度を低下させる。脱酸素手段15は紫外線照射装置16の前段に位置しているため、紫外線照射装置16には溶存酸素濃度が低下した被処理水が供給される。脱酸素手段15の種類は限定されず、例えば、真空脱気装置を用いることができる。一般的に真空脱気装置では、水の表面積を増大させるための気液接触材を脱気塔に充填し、脱気塔内の気体圧力を真空ポンプで減圧し、被処理水である純水を真空状態におき、溶存酸素を除去する。溶存酸素濃度は、真空ポンプを用いて脱気塔内の真空度を調整することによって制御可能である。さらに、窒素を流入させることで脱気性能を向上することができる。この場合、溶存酸素濃度は、真空度と窒素流入量(窒素分圧)を調整することによって制御可能である。脱気膜を用いた脱酸素手段15を用いてもよい。この場合も真空脱気装置と同様に真空ポンプが用いられ、溶存酸素濃度は真空度を調整することによって制御可能である。これらの脱酸素手段15を2段以上直列に設けてもよい。その他の脱酸素手段15として、被処理水に水素(H2)を添加し、被処理水をパラジウム(Pd)触媒に接触させる構成を用いることもできる。パラジウム触媒によって酸素が水素と反応して水となることで、酸素を除去することができる。あるいは、パラジウムなどの金属触媒が担持されたイオン交換体を、電気式脱イオン水製造装置(EDI)に充填してもよい。金属触媒に接触させる水素としては、例えば電気式脱イオン水製造装置の陰極で発生する水素を利用することができる。これらの脱酸素手段15を用いることで、紫外線照射装置16には有機物と溶存酸素とを含み、溶存酸素濃度の調整された被処理水が供給される。一方、被処理水には過酸化水素などの酸化剤が添加されないため、紫外線照射装置16に供給される被処理水は酸化剤を含んでいない。すなわち、純水製造装置1には酸化剤を添加する手段が設けられていない。この結果、添加された酸化剤を消費または除去する設備も不要となるため、純水製造装置1の合理化が可能となる。ただし、原水由来の微量の酸化剤成分が被処理水に含まれていても構わない。
【0012】
紫外線照射装置16は被処理水に紫外線を照射する。紫外線照射装置16としては、例えば365nm、254nm、185nm、172nmの少なくともいずれかの波長を含む紫外線ランプを用いることができる。
【0013】
紫外線照射装置16の後段に位置する第2のイオン交換装置17は、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とが充填された再生式イオン交換樹脂塔である。紫外線照射によって被処理水中に発生する有機物の分解生成物は、第2のイオン交換装置17によって除去される。その後、被処理水中の溶存酸素、炭酸等が脱気装置18によって除去される。さらに、図示は省略するが、第1のイオン交換装置13を省略し、逆浸透膜装置14と脱酸素装置15との間にEDIを設けることもできる。または、第2のイオン交換装置17の代わりにEDIを設けることもできる。EDIは連続再生式であるため、イオン交換体の再生工程が不要となる。
【0014】
本実施形態では、紫外線照射装置16の前段にTOC取得部19と溶存酸素濃度取得部20が設けられている。TOC取得部19と溶存酸素濃度取得部20は母管L1の脱酸素装置15と紫外線照射装置16の間の区間に設けられている。TOC取得部19と溶存酸素濃度取得部20はどちらが上流側にあってもよい。TOC取得部19と溶存酸素濃度取得部20は制御手段21に電気的に接続されており、制御手段21は脱酸素装置15に電気的に接続されている。本実施形態ではTOC取得部19はTOC測定計であるが、TOCを取得できるものであれば限定されない。同様に、本実施形態では溶存酸素濃度取得部20は溶存酸素濃度測定計であるが、溶存酸素濃度を取得できるものであれば限定されない。
【0015】
制御手段21は、TOC取得部19によって測定した被処理水のTOC濃度に対する、溶存酸素濃度取得部20によって測定した被処理水の溶存酸素濃度の重量比率(以下、DO/TOC比という)が1以上、7以下となるように溶存酸素濃度を制御する。制御手段21は純水製造装置1の制御装置または脱酸素装置15の制御装置に組み込まれることが望ましい。TOC濃度にもよるが、被処理水のDO/TOC比は通常、上記の数値範囲よりはるかに高い。つまり、被処理水はDO/TOC比=1~7を満足する溶存酸素よりはるかに多量の溶存酸素を含んでいる。このため、本実施形態では、紫外線照射装置16の前段に脱酸素装置15が設けられているのであるが、逆に被処理水の溶存酸素濃度が極端に低く、DO/TOC比が1未満であることもあり得る。この場合は被処理水に酸素を供給することが好ましい。従って、被処理水のDO/TOC比によっては酸素供給手段22を設けることも可能である。図1(b)に示すように、酸素供給手段22は脱酸素装置15の位置に、脱酸素装置15の代わりに設けられる。図示は省略するが、脱酸素装置15と酸素供給手段22を並列設置し、DO/TOC比に応じてこれらを切り替えることも可能である。酸素供給手段22として、例えばガス溶解膜を介して酸素ガスを被処理水に添加するものが挙げられる。脱酸素装置15と酸素供給手段22は溶存酸素濃度の調整手段の例であり、制御手段21は溶存酸素濃度の調整手段を制御する。制御手段21はTOC取得部19によって測定した被処理水のTOC濃度と、溶存酸素濃度取得部20によって測定した被処理水の溶存酸素濃度の、いずれかまたは双方の変動に応じて、上述の真空度や窒素の分圧を自動制御するものであることが望ましい。また、脱酸素装置15の台数の増減によって溶存酸素濃度を制御することもできる。
【0016】
溶存酸素を含む水に紫外線を照射すると以下の反応が起きると考えられる。
【0017】
【化1】
【0018】
すなわち解離した水素ラジカル(・H)が溶存酸素と反応して水となり、残ったOHラジカル(・OH)が有機物を分解する。この反応によって有機物を効率的に分解するためには、一定量の溶存酸素が必要となる。後述するように、DO/TOC比を1以上とすることで、必要な量の溶存酸素を確保することができる。一方、上述の通り、通常は原水中に溶存酸素が過剰に含まれているため、紫外線照射装置16の前段に脱酸素装置15が設けられている。しかし、DO/TOC比を減少させるために脱酸素装置15の大型化、消費電力の増加などを伴うことがある。実施例でも述べるように、DO/TOC比が1前後ではTOC低減効果は大きく変わらない。また、DO/TOC比が7を超えると、有機物の分解効率が低下してTOC濃度除去率が悪化する他、残存する溶存酸素を除去するための脱気装置18の負荷が増加する。TOC濃度除去率が悪化するのは、O2が紫外線を吸収するため、溶存酸素濃度が高すぎると、OHラジカルの発生量が減り、有機物の分解効率が低下するためである。
【0019】
溶存酸素が効率よく消費されると、残存する溶存酸素は減少する。また、脱気装置18の負荷も低減する。従って、紫外線照射装置16における溶存酸素消費率は純水製造装置1の性能指標として重要である。DO/TOC比を1以上、7以下とすることで、溶存酸素消費率を高めることができる。以上を踏まえると、DO/TOC比は2以上、7以下の範囲に設定するのが好ましく、溶存酸素消費率を90%以上とすることがさらに好ましい。
【0020】
(実施例)
超純水に酸素と有機物を添加して被処理水を作成し、被処理水に紫外線を照射することにより、有機物の除去性能(TOC濃度低減性能)を評価した。有機物として、イソプロピルアルコール(IPA)を10μg/L(ppb)添加した(実施例1)。溶存酸素は、溶解膜を介して酸素ガスを超純水に供給することによって生成した。このようにして作成した被処理水を流量5.3m3/hで紫外線照射装置に供給した。紫外線照射装置としてJPW(株式会社日本フォトサイエンス製)を使用し、照射量0.1kWh/m3で、被処理水に紫外線を照射した。紫外線照射装置の後段にカチオン交換樹脂(オルガノ株式会社製AMBERJET1024 H型)とアニオン交換樹脂(オルガノ株式会社製AMBERJET4002OH型)を混床充填したカラムを設置し、紫外線照射装置の処理水に含まれるイオン成分を除去した。紫外線照射装置入口のTOC濃度T1とカラム出口のTOC濃度T2をSievers TOC計500RLe(SUEZ社製)を用いて測定し、TOC濃度除去率を(T1-T2)/T1×100(%)として算出した。また、紫外線照射装置16への供給水の溶存酸素濃度D1と紫外線照射装置16の処理水の溶存酸素濃度D2をHACH社製ORBISPHERE 510を用いて測定し、溶存酸素消費率を(D1-D2)/D1×100(%)として算出した。
【0021】
溶存酸素濃度を変えて、DO/TOC比とTOC濃度除去率の関係及びDO/TOC比と溶存酸素消費率の関係を求めた。また、IPAの添加量を30μg/L、50μg/L、100μg/Lとして同様の測定を実施した(実施例2、比較例1,2)。結果を表1及び図2に示す。図2(a)より被処理水のTOC濃度(IPA濃度)が小さいほどTOC濃度除去率が向上することがわかる。実施例1では、DO/TOC比=1~5のときのTOC濃度除去率がDO/TOC比=0.2のときより向上した。特にDO/TOC比=2~4で、TOC濃度除去率は良好な値を示している。TOC濃度除去率はDO/TOC比=7で若干低下するが、脱酸素装置15の負荷が低減するため、要求水質や運用条件によっては実用的なレベルである。溶存酸素消費率はDO/TOC比=1~5で90%以上を示し、DO/TOC比=7でもDO/TOC比=0.2のときより良好な値を示した。一方、DO/TOC比<1となるように溶存酸素濃度を低減するためには、脱酸素装置15の台数増加、容量増加など設備コストへの影響が大きい。設備コストを考慮すると、DO/TOC比<1とするのは好ましくなく、DO/TOC比≧1とするのが有利である。従って、10μg/L以下のときにDO/TOC比は1以上、7以下が好ましく、2以上、7以下がより好ましく、2以上、5以下がさらに好ましく、2以上、4以下がより一層好ましく、制御手段21はこのようなDO/TOC比が得られるように溶存酸素濃度を制御することが好ましい。
【0022】
実施例2では、TOC濃度除去率は実施例1より低下しているが、実施例1と同様な傾向を示している。しかし、DO/TOC比に対するTOC濃度除去率の変動が実施例1よりも大きく、好ましいDO/TOC比の範囲は実施例1より狭くなっている。溶存酸素消費率もDO/TOC比=1~4で、DO/TOC比=0.1のときより良好な値を示したが、DO/TOC比=5では低下がみられる。ただし、DO/TOC比=5での溶存酸素消費率は、DO/TOC比=0.1での溶存酸素消費率と大差はない。上述の通りDO/TOC比<1とするのは好ましくなく、DO/TOC比≧1とするのが有利である。従って、制御手段21は、被処理水のTOC濃度が30μg/L以下のときは、DO/TOC比が1以上、5以下、好ましくは2以上、5以下、さらに好ましくは2以上、4以下となるように溶存酸素濃度を制御することが好ましい。これに対し、比較例1,2ではTOC濃度除去率が低く、好適な溶存酸素消費率及び溶存酸素消費率を示すDO/TOC比の範囲も狭くなっている。
【0023】
【表1】
【符号の説明】
【0024】
1 純水製造装置
15 脱酸素手段
16 紫外線照射装置
19 TOC取得部
20 溶存酸素濃度取得部
21 制御手段
22 酸素供給手段
図1
図2