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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174884
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】現像装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
G03G15/08 390B
G03G15/08 366
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080899
(22)【出願日】2021-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 純一
【テーマコード(参考)】
2H077
【Fターム(参考)】
2H077AB02
2H077AB14
2H077AB15
2H077AB18
2H077AC02
2H077AD13
2H077BA08
2H077CA11
2H077CA16
2H077EA01
2H077EA13
(57)【要約】
【課題】フィルターの目詰まりを抑制することができ、現像容器の外部への現像剤の飛散を継続的に抑制することが可能な現像装置を提供する。
【解決手段】現像装置40は、並列配置された第1攪拌室52及び第2攪拌室53を有する現像容器50を備える。現像容器50は、ダクト56と、吸気口57と、第1フィルター61と、を備える。ダクト56は、第2攪拌室53内の空気を外部に流出させる。吸気口57は、第2攪拌室53の長手方向の全域にわたって開口し、第2攪拌室53内とダクト56内とを連通させる。第1フィルター61は、吸気口57を覆う。第1フィルター61の、フィルター両端部はフィルター中央部と比較して圧力損失が高い。第1フィルター61の上流側静圧及び下流側静圧を10cm/sの空気流量で測定して圧力損失を算出したとき、フィルター中央部は2Pa以上であり、フィルター両端部は4Pa以上である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕切り部によって区分された互いに並列配置される第1攪拌室及び第2攪拌室と、前記第1攪拌室及び前記第2攪拌室の長手方向の両端部側で互いを連通させる連通部と、を有し、像担持体に供給するトナーを含む現像剤を収容する現像容器と、
前記第1攪拌室及び前記第2攪拌室それぞれの内部に回転可能に支持され、回転の軸線方向に沿って互いに反対方向に前記現像剤を攪拌しながら搬送し、所定の循環方向に循環させる第1攪拌部材及び第2攪拌部材と、
前記像担持体と対向して前記現像容器に回転可能に支持され、前記第2攪拌室内の前記トナーを担持して前記像担持体に供給する現像剤担持体と、
を備え、
前記現像容器は、
前記第2攪拌室内の空気を外部に流出させるダクトと、
前記第2攪拌室の前記長手方向の全域にわたって開口し、前記第2攪拌室内と前記ダクト内とを連通させる吸気口と、
前記吸気口を覆う第1フィルターと、
を備え、
前記第1フィルターは、
前記長手方向の両端縁から中央に向かって所定範囲を占めるフィルター両端部と、
前記フィルター両端部を除く範囲を占めるフィルター中央部と、
に区分され、
前記フィルター両端部は、前記フィルター中央部と比較して圧力損失が高く、
前記第1フィルターの上流側静圧及び下流側静圧を10cm/sの空気流量で測定して前記圧力損失を算出したとき、
前記フィルター中央部の前記圧力損失は、2Pa以上であり、
前記フィルター両端部の前記圧力損失は、4Pa以上である
ことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記フィルター両端部は、前記第1フィルターの前記長手方向の両端縁それぞれから、前記長手方向の全長の10%~25%の長さの範囲を占めることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記第1フィルターを振動させる振動発生部を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記第1フィルターよりも前記ダクト内の空気流通方向下流側に配置され、前記ダクト内の空気流通断面を覆う第2フィルターを備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の現像装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の現像装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置及びそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンター等の電子写真方式の画像形成装置では、感光体ドラム等の像担持体の表面に形成した静電潜像にトナーを供給して現像することで、後に用紙に転写されるトナー像を形成する装置が広く利用されている。現像装置は、均一な画像を継続して形成するために、現像容器内に収容したトナーを含む現像剤を、現像容器内において攪拌しながら搬送している。
【0003】
現像装置では、現像ローラーや攪拌部材を回転させることによって外部から現像容器内に空気が吸い込まれ、現像容器内の空気圧が上昇することがある。この現像容器内の空気圧の上昇により、現像容器の内部から外部に現像剤が飛散する虞があった。このような不具合の解消を図った従来技術の一例が特許文献1に開示されている。
【0004】
特許文献1で開示された従来の現像装置は、壁部に囲まれた空間を装置の上方に位置し、装置の内圧を減ずる減圧部と、減圧部内に設置されたフィルターと、を備える。減圧部は、現像剤担持体と現像剤搬送部材との対向領域に開口する吸気口と、装置の長手方向端部側に向けて開口する排気口と、を備える。この構成によれば、現像装置内の空気圧の上昇を抑制することができ、現像装置の内部から外部に現像剤が飛散することを防止することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-223075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現像容器内は、例えば現像剤が現像容器の長手方向に沿って流動すること等の影響で、現像容器の長手方向に沿って空気流が生じ、現像容器の長手方向の両端部付近に多くのトナーが集まる。これにより、現像容器の長手方向の全域にわたってフィルターの圧力損失が均一である構成では、多くのトナーが集まる現像容器の長手方向の両端部付近で、フィルターに目詰まりが生じることが課題であった。このような課題に対し、従来技術は配慮がなされておらず、現像剤の飛散が十分に解消できていない虞があった。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みなされたものであり、フィルターの目詰まりを抑制することができ、現像容器の外部への現像剤の飛散を継続的に抑制することが可能な現像装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の現像装置は、現像容器と、第1攪拌部材及び第2攪拌部材と、現像剤担持体と、を備える。前記現像容器は、仕切り部によって区分された互いに並列配置される第1攪拌室及び第2攪拌室と、前記第1攪拌室及び前記第2攪拌室の長手方向の両端部側で互いを連通させる連通部と、を有し、像担持体に供給するトナーを含む現像剤を収容する。前記第1攪拌部材及び前記第2攪拌部材は、前記第1攪拌室及び前記第2攪拌室それぞれの内部に回転可能に支持され、回転の軸線方向に沿って互いに反対方向に現像剤を攪拌しながら搬送し、所定の循環方向に循環させる。前記現像剤担持体は、前記像担持体と対向して前記現像容器に回転可能に支持され、前記第2攪拌室内のトナーを担持して前記像担持体に供給する。前記現像容器は、ダクトと、吸気口と、第1フィルターと、を備える。前記ダクトは、前記第2攪拌室内の空気を外部に流出させる。前記吸気口は、前記第2攪拌室の前記長手方向の全域にわたって開口し、前記第2攪拌室内と前記ダクト内とを連通させる。前記第1フィルターは、前記吸気口を覆う。前記第1フィルターは、前記長手方向の両端縁から中央に向かって所定範囲を占めるフィルター両端部と、前記フィルター両端部を除く範囲を占めるフィルター中央部と、に区分される。前記フィルター両端部は、前記フィルター中央部と比較して圧力損失が高い。前記第1フィルターの上流側静圧及び下流側静圧を10cm/sの空気流量で測定して前記圧力損失を算出したとき、前記フィルター中央部の前記圧力損失は、2Pa以上であり、前記フィルター両端部の前記圧力損失は、4Pa以上である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の構成によれば、フィルター両端部は、フィルター中央部と比較して圧力損失が高い。これにより、現像容器内で生じる空気流に起因して多くのトナーが集まる現像容器の長手方向の両端部付近において、フィルターの目詰まりを抑制することができる。したがって、現像容器の外部への現像剤の飛散を継続的に抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態の画像形成装置の概略断面正面図である。
図2図1の画像形成装置の画像形成部周辺の概略断面正面図である。
図3図2の画像形成部の現像装置の水平断面平面図である。
図4図2の画像形成部の現像装置の垂直断面正面図である。
図5図2の画像形成部の現像装置の垂直断面側面図である。
図6図4の現像装置の第1フィルターの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図に基づき説明する。なお、本発明は以下の内容に限定されるものではない。
【0012】
図1は、実施形態の画像形成装置1の概略断面正面図である。図2は、図1の画像形成装置1の画像形成部20周辺の概略断面正面図である。本実施形態の画像形成装置1の一例としては、中間転写ベルト31を用いてトナー像を用紙Sに転写するタンデム方式のカラープリンターである。画像形成装置1は、例えば印刷、スキャン(画像読取)、ファクシミリ送信等の機能を備えたいわゆる複合機であって良い。
【0013】
画像形成装置1は、図1及び図2に示すように、その本体2に設けられた、給紙部3、用紙搬送部4、露光部5、画像形成部20、転写部30、定着部6、用紙排出部7及び制御部8を有する。
【0014】
給紙部3は、本体2の底部に配置される。給紙部3は、複数枚の用紙Sを収容し、印刷時に用紙Sを1枚ずつ分離して送り出す。用紙搬送部4は、給紙部3から送り出された用紙Sを二次転写部33及び定着部6へと搬送し、さらに定着後の用紙Sを用紙排出口4aから用紙排出部7に排出する。両面印刷が行われる場合、用紙搬送部4は、第一面の定着後の用紙Sを分岐部4bによって反転搬送部4cに振り分け、用紙Sを再度、二次転写部33及び定着部6へと搬送する。露光部5は、画像データに基づき制御されたレーザー光を画像形成部20に向かって照射する。
【0015】
画像形成部20は、中間転写ベルト31の下方に配置される。画像形成部20は、イエロー用の画像形成部20Yと、シアン用の画像形成部20Cと、マゼンタ用の画像形成部20Mと、ブラック用の画像形成部20Bと、を含む。これらの4つの画像形成部20は、基本的な構成が同じである。これにより、以下の説明において、特に限定する必要がある場合を除き、各色を表す「Y」、「C」、「M」、「B」の識別記号は省略することがある。
【0016】
画像形成部20は、所定の方向(図1及び図2における時計回り)に回転可能に支持された感光体ドラム(像担持体)21を備える。画像形成部20は、さらに感光体ドラム21の周囲に、その回転方向に沿って配置された帯電部22と、現像装置40と、ドラムクリーニング部23と、を備える。なお、現像装置40とドラムクリーニング部23との間に一次転写部32が配置される。
【0017】
感光体ドラム21は、水平方向に延びる円筒形状に形成され、表面に感光層を有する。帯電部22は、感光体ドラム21の表面を所定電位に帯電させる。露光部5は、帯電部22によって帯電された感光体ドラム21の表面を露光し、感光体ドラム21の表面に原稿画像の静電潜像を形成する。現像装置40は、この静電潜像にトナーを供給して現像し、トナー像を形成する。4つの画像形成部20それぞれは、異なる色のトナー像を形成する。ドラムクリーニング部23は、トナー像が中間転写ベルト31の表面に一次転写された後に、感光体ドラム21の表面に残留するトナー等を除去してクリーニングする。このようにして、画像形成部20は、用紙Sへの画像形成を行う。
【0018】
転写部30は、中間転写ベルト31と、一次転写部32Y、32C、32M、32Bと、二次転写部33と、ベルトクリーニング部34と、を備える。中間転写ベルト31は、4つの画像形成部20の上方に配置される。中間転写ベルト31は、所定の方向(図1における反時計回り)に回転可能に支持され、4つの画像形成部20それぞれで形成されたトナー像が順次重ねて一次転写される中間転写体である。4つの画像形成部20は、中間転写ベルト31の回転方向上流側から下流側に向けて一列に並んだいわゆるタンデム方式にして配置される。
【0019】
一次転写部32Y、32C、32M、32Bは、中間転写ベルト31を挟んで、各色の画像形成部20Y、20C、20M、20Bの上方に配置される。二次転写部33は、用紙搬送部4の、定着部6よりも用紙搬送方向上流側であって、転写部30の、各色の画像形成部20Y、20C、20M、20Bよりも中間転写ベルト31の回転方向下流側に配置される。ベルトクリーニング部34は、各色の画像形成部20Y、20C、20M、20Bよりも中間転写ベルト31の回転方向上流側に配置される。
【0020】
トナー像は、各色の一次転写部32Y、32C、32M、32Bで中間転写ベルト31の表面に一次転写される。そして、中間転写ベルト31の回転とともに所定のタイミングで4つの画像形成部20のトナー像が連続して重ねて中間転写ベルト31に転写されることにより、中間転写ベルト31の表面にはイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色のトナー像が重ね合わされたカラートナー像が形成される。
【0021】
中間転写ベルト31の表面のカラートナー像は、用紙搬送部4によって同期をとって送られてきた用紙Sに、二次転写部33に形成される二次転写ニップ部で転写される。ベルトクリーニング部34は、二次転写後に中間転写ベルト31の表面に残留するトナー等を除去してクリーニングする。
【0022】
定着部6は、二次転写部33の上方に配置される。定着部6は、トナー像が転写された用紙Sを加熱、加圧してトナー像を用紙Sに定着させる。
【0023】
用紙排出部7は、転写部30の上方に配置される。トナー像が定着されて印刷が完了した用紙Sは、用紙排出部7に搬送される。
【0024】
制御部8は、CPU、画像処理部、記憶部、並びにその他の電子回路及び電子部品を含む(いずれも不図示)。CPUは、記憶部に記憶された制御用のプログラムやデータに基づき、画像形成装置1に設けられた各構成要素の動作を制御して画像形成装置1の機能に係る処理を行う。給紙部3、用紙搬送部4、露光部5、画像形成部20、転写部30及び定着部6のそれぞれは、制御部8から個別に指令を受け、連動して用紙Sへの印刷を行う。記憶部は、例えばプログラムROM(Read Only Memory)、データROMなどといった不揮発性の記憶装置と、RAM(Random Access Memory)のような揮発性の記憶装置との組み合わせで構成される。
【0025】
続いて、現像装置40の構成について、図2に加えて図3図4及び図5を用いて説明する。図3図4及び図5は、図2の画像形成部20の現像装置40の水平断面平面図、垂直断面正面図及び垂直断面側面図である。なお、各色の現像装置40は基本的な構成が同じであるので、構成要素について各色を表す識別記号の記載と、説明とを省略する。また、この説明において「軸線方向」は、互いに平行に延びる感光体ドラム21、第1攪拌部材42、第2攪拌部材43及び現像ローラー44それぞれの回転の軸線方向(図2及び図4の紙面奥行き方向、図3及び図5の左右横方向)を表す。
【0026】
現像装置40は、感光体ドラム21の表面にトナーを供給する。現像装置40は、例えば画像形成装置1の本体2に対して着脱可能である。現像装置40は、現像容器50と、第1攪拌部材42と、第2攪拌部材43と、現像ローラー(現像剤担持体)44と、規制部材45と、を備える。
【0027】
現像容器50は、感光体ドラム21の軸線方向に沿って延びる細長い形状であって、その長手方向を水平にして配置される。すなわち、現像容器50の長手方向は、感光体ドラム21の軸線方向と平行である。現像容器50は、感光体ドラム21に供給するトナーを含む現像剤として、例えば磁性トナーを含む磁性一成分現像剤を収容する。現像剤は、例えば非磁性一成分現像剤や、トナー及び磁性キャリアを含む二成分現像剤であって良い。
【0028】
現像容器50は、仕切り部51と、第1攪拌室52と、第2攪拌室53と、第1連通部54と、第2連通部55と、を有する。
【0029】
仕切り部51は、現像容器50の内部の下部に設けられる。仕切り部51は、現像容器50の長手方向と交差する方向(図2の左右横方向、図3の上下方向)の略中央部に配置される。仕切り部51は、現像容器50の長手方向及び上下方向に延びる略板形状で形成される。仕切り部51は、現像容器50の内部を、長手方向と交差する方向において区分する。
【0030】
第1攪拌室52及び第2攪拌室53は、現像容器50の内部に設けられる。第1攪拌室52及び第2攪拌室53は、現像容器50の内部が仕切り部51によって区分されることで形成される。第1攪拌室52及び第2攪拌室53は、互いにほぼ同じ高さに並列配置される。
【0031】
第2攪拌室53は、現像容器50内の、現像ローラー44の配置領域に隣接して配置される。第1攪拌室52は、現像容器50内の、第2攪拌室53よりも現像ローラー44から離隔した領域に配置される。第1攪拌室52は、現像剤補給管(不図示)が接続され、現像剤補給管を介して現像剤が補給される。第1攪拌室52は、第1攪拌部材42によって、現像剤が第1方向f1に搬送される。第2攪拌室53は、第2攪拌部材43によって、現像剤が第1方向f1と反対の第2方向f2に搬送される。
【0032】
第1連通部54及び第2連通部55は、仕切り部51の長手方向の両端部の外側それぞれに配置される。第1連通部54及び第2連通部55は、仕切り部51の長手方向と交差する方向(図2の左右横方向、図3の上下方向)、すなわち略板形状である仕切り部51の厚み方向において、第1攪拌室52と第2攪拌室53とを連通させる。言い換えれば、第1連通部54及び第2連通部55は、第1攪拌室52及び第2攪拌室53の長手方向の両端部側で互いを連通させる。
【0033】
第1連通部54は、第1攪拌室52の第1方向f1下流端と第2攪拌室53の第2方向f2上流端とを連通させる。第1連通部54は、現像剤が第1攪拌室52側から第2攪拌室53側に向かって搬送される。第2連通部55は、第2攪拌室53の第2方向f2下流端と第1攪拌室52の第1方向f1上流端とを連通させる。第2連通部55は、現像剤が第2攪拌室53側から第1攪拌室52側に向かって搬送される。
【0034】
第1攪拌部材42は、第1攪拌室52内に配置される。第2攪拌部材43は、第2攪拌室53内に配置される。第2攪拌部材43は、現像ローラー44に近接して平行に延びる。第1攪拌部材42及び第2攪拌部材43は、現像ローラー44と平行に水平方向に延びる軸線回りに回転可能に現像容器50に支持される。第1攪拌部材42及び第2攪拌部材43の基本的な構成は同じである。
【0035】
第1攪拌部材42は、回転の軸線方向に沿って第2連通部55側から第1連通部54側に向かう第1方向f1に現像剤を攪拌しながら搬送する。第2攪拌部材43は、回転の軸線方向に沿って第1連通部54側から第2連通部55側に向かう第2方向f2に現像剤を攪拌しながら搬送する。すなわち、第1攪拌部材42及び第2攪拌部材は、互いに反対方向に現像剤を攪拌しながら搬送し、所定の循環方向に循環させる。
【0036】
現像ローラー(現像剤担持体)44は、現像容器50内の、第2攪拌部材43の上方に位置し、感光体ドラム21と対向配置される。現像ローラー44は、感光体ドラム21の軸線と平行に延びる軸線回りに回転可能に現像容器50に支持される。現像ローラー44は、例えば図2及び図4において反時計回りに回転する円筒形状の現像スリーブと、現像スリーブ内に固定された現像ローラー側磁極とを有する(ともに不図示)。
【0037】
現像ローラー44は、その表面の一部が現像容器50から露出し、感光体ドラム21と対向し、近接する。現像ローラー44は、感光体ドラム21との対向領域において感光体ドラム21の表面に供給するトナーを、その表面に担持する。現像ローラー44は、現像容器50の第2攪拌室53内のトナーを担持して感光体ドラム21に供給する。言い換えれば、現像ローラー44は、第2攪拌室53内のトナーを感光体ドラム21の表面の静電潜像に付着させ、トナー像を形成する。
【0038】
規制部材45は、現像ローラー44と感光体ドラム21との対向領域の、現像ローラー44の回転方向上流側に配置される。規制部材45は、現像ローラー44に近接して対向し、その先端と現像ローラー44の表面との間に所定の間隔を設けて配置される。規制部材45は、現像ローラー44の軸線方向の全域にわたって延びる。規制部材45は、規制部材45の先端と現像ローラー44の表面との間の隙間を通過する、現像ローラー44の表面に担持された現像剤(トナー)の層厚を規制する。
【0039】
現像容器50内の現像剤は、第1攪拌部材42及び第2攪拌部材43の回転により、第1連通部54及び第2連通部55を通って第1攪拌室52と第2攪拌室53との間を所定の循環方向に循環する。このとき、現像容器50内のトナーは、攪拌されて帯電され、現像ローラー44の表面に担持される。現像ローラー44の表面に担持されたトナーは、規制部材45によって層厚が規制された後、現像ローラー44の回転によって現像ローラー44と感光体ドラム21との対向領域に搬送される。現像ローラー44に所定の現像電圧が印加されると、感光体ドラム21の表面の電位との間の電位差により、現像ローラー44の表面に担持されたトナーが対向領域において感光体ドラム21の表面に移動する。これにより、感光体ドラム21の表面の静電潜像が現像される。
【0040】
続いて、現像容器50のより詳細な構成について、図4及び図5に加えて図6を用いて説明する。図6は、図4の現像装置40の第1フィルター61の平面図である。なお、図4及び図5には、ダクト56内の空気流通方向fdを表す矢線を記した。
【0041】
現像容器50は、ダクト56と、吸気口57と、排気口58と、第1フィルター61と、第2フィルター62と、を備える。
【0042】
ダクト56は、第2攪拌室53に隣接して配置される。ダクト56は、現像容器50の長手方向と交差する方向(図4の左右横方向、図5の紙面奥行き方向)において、現像容器50内の現像ローラー44の配置領域を隔てて感光体ドラム21と対向する。ダクト56は、空気流通方向の上流端において、第2攪拌室53に接続される。ダクト56は、第2攪拌室53内の空気を外部に流出させる。
【0043】
吸気口57は、ダクト56と第2攪拌室53との接続箇所であって、現像ローラー44の上側に配置される。すなわち、吸気口57は、ダクト56の空気流通方向の上流端に位置する。吸気口57は、第2攪拌室53の長手方向の全域にわたって開口する。吸気口57は、例えば第2攪拌室53の長手方向に延びる矩形状に形成され、現像ローラー44と対向する。吸気口57は、第2攪拌室53内とダクト56内とを連通させる。第2攪拌室53内の空気は、吸気口57を通ってダクト56内に流入する。
【0044】
排気口58は、例えば現像容器50の背部に配置される。排気口58は、ダクト56の空気流通方向の下流端に位置する。第2攪拌室53内の空気は、排気口58を通ってダクト56内から排出される。なお、ダクト56は、排気口58において本体2内の他の排気経路と接続されていても良い。当該他の排気経路は、排気ファンを備えていても良い。これにより、例えば排気ファンを駆動すると、第2攪拌室53内の空気は、強制的にダクト56を通って外部に排出される。
【0045】
第1フィルター61は、吸気口57の箇所に配置される。第1フィルター61は、吸気口57と同じ形状であって、例えば第2攪拌室53の長手方向に延びる矩形状に形成される。第1フィルター61は、吸気口57を覆う。すなわち、第1フィルター61は、現像ローラー44と対向する。第1フィルター61は、例えば不織布で構成され、第2攪拌室53からダクト56内に流入する空気に含まれる現像剤を捕集する。
【0046】
第1フィルター61は、図6に示すように、フィルター両端部61eと、フィルター中央部61cと、に区分される。フィルター両端部61eは、第1フィルター61の長手方向の両端縁から中央に向かって所定範囲を占める。フィルター中央部61cは、第1フィルター61のフィルター両端部61eを除く範囲を占める。
【0047】
フィルター両端部61e及びフィルター中央部61cは、フィルターの上流側静圧と下流側静圧との差である圧力損失が異なる2つの材料で構成される。第1フィルター61は、フィルター両端部61eとフィルター中央部61cとの2箇所の境界において、3つのフィルターが例えば接着剤等によって接合され、1枚のシート状に形成される。
【0048】
そして、上記構成のフィルター両端部61e及びフィルター中央部61cに関して、フィルターの種類を変えて、現像容器50の外部への現像剤の飛散を評価した。フィルターは、上流側静圧及び下流側静圧を10cm/sの空気流量で測定したときの圧力損失が、1.6Pa、2.3Pa、2.8Pa、4.1Paである4種類を用いた。そして、用紙に対する印字率(トナー供給領域の占有率)が5%の原稿を60万枚印刷し、目視にて現像容器50の外部への現像剤の飛散を確認した。その結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
表1において、現像容器50の外部への現像剤の飛散が確認できた場合を「×」とし、飛散が確認できなかった場合を「○」とした。フィルターの圧力損失が低い場合、現像剤によってフィルターが目詰まりする虞がある。これにより、第2攪拌室53内の空気が吸気口57を通過してダクト56内へと流入しなくなり、現像容器50内の空気圧が上昇し、現像容器50の外部へ現像剤が飛散する。
【0051】
表1によれば、圧力損失2.3Pa以上のフィルターを用いることで、フィルター中央部61cからの現像容器50の外部への現像剤の飛散を抑制することができた。また、圧力損失4.1Paのフィルターを用いることで、フィルター両端部61eからの現像容器50の外部への現像剤の飛散を抑制することができた。
【0052】
上記に基づき、フィルター両端部61eは、フィルター中央部61cと比較して圧力損失が高くなるように構成されている。そして、第1フィルター61の上流側静圧及び下流側静圧を10cm/sの空気流量で測定して圧力損失を算出したとき、フィルター中央部61cの圧力損失は2Pa以上であり、フィルター両端部61eの圧力損失は4Pa以上であるという構成を備える。
【0053】
上記の構成によれば、現像容器50内で生じる空気流に起因して多くのトナーが集まる現像容器50の長手方向の両端部付近において、第1フィルター61の目詰まりを抑制することができる。したがって、現像容器50の外部への現像剤の飛散を継続的に抑制することが可能になる。
【0054】
なお、フィルター両端部61eは、第1フィルター61の長手方向の両端縁それぞれから、長手方向の全長の10%~25%の長さの範囲を占めることが好ましい。例えば、本実施形態では、図6に示す第1フィルター61の長手方向の全長Lfは329mmである。これに対して、フィルター両端部61eの長手方向の長さLeは、33mm~82mmであることが好ましい。例えば、本実施形態では、フィルター両端部61eの長手方向の長さLeは50mmである。
【0055】
この構成のように、第1フィルター61の長手方向の全長Lfに占めるフィルター両端部61eの長さLeの割合を規定することで、第1フィルター61の長手方向の両端部付近における目詰まりを効果的に抑制することができる。したがって、現像容器50の外部への現像剤の飛散を継続的に抑制する効果を高めることが可能になる。
【0056】
第2フィルター62は、第1フィルター61よりもダクト56内の空気流通方向下流側に配置される。第2フィルター62は、ダクト56内の空気流通方向と交差する方向における断面と同じ形状であって、例えば第2攪拌室53の長手方向に延びる矩形状に形成される。第2フィルター62は、ダクト56内の空気流通断面を覆う。第2フィルター62は、例えば不織布で構成され、第1フィルター61を通過してダクト56内を流通する空気に含まれる現像剤を捕集する。
【0057】
この構成によれば、第1フィルター61は、第2攪拌室53内の現像剤を大量に捕集することがない、目詰まりし難い構成とすることができる。さらに、第2フィルター62によって、現像容器50の外部に現像剤が漏洩することを防止することが可能である。
【0058】
また、現像装置40は、振動発生部46を備える。振動発生部46は、例えば現像容器50の背面に隣接して配置される。振動発生部46は、例えば振動モーター、制御基板、並びにその他の電子回路及び電子部品を含む(いずれも不図示)。振動モーターの出力軸には、重心位置が出力軸の回転軸線から偏心した加振用ウェイトが取り付けられる。
【0059】
振動発生部46は、第1フィルター61に接続されている。振動モーターを駆動させると、振動発生部46は、第1フィルター61を振動させる。この構成によれば、振動発生部46によって第1フィルター61を振動させることで、第1フィルター61に付着したトナーを第2攪拌室53内に落下させることができる。したがって、第1フィルター61の性能を回復することができ、現像容器50の外部への現像剤の飛散を継続的に抑制することが可能になる。
【0060】
また、上記実施形態によれば、画像形成装置1は、上記構成の現像装置40を備えるので、画像形成装置1において、現像装置40の外部への現像剤の飛散を継続的に抑制することが可能になる。すなわち、本体2内の飛散現像剤による汚染を抑制することができ、印刷物の汚れを防止することができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0062】
例えば、上記実施形態では、画像形成装置1は、複数色の画像を順次重ねて形成するいわゆるタンデム型のカラー印刷用の画像形成装置であることとしたが、このような機種に限定されるわけではない。画像形成装置は、タンデム型ではないカラー印刷用の画像形成装置やモノクロ印刷用の画像形成装置であって良い。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、現像装置及び画像形成装置において利用可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 画像形成装置
20 画像形成部
21 感光体ドラム(像担持体)
40 現像装置
42 第1攪拌部材
43 第2攪拌部材
44 現像ローラー(現像剤担持体)
46 振動発生部
50 現像容器
51 仕切り部
52 第1攪拌室
53 第2攪拌室
54 第1連通部
55 第2連通部
56 ダクト
57 吸気口
61 第1フィルター
61c フィルター中央部
61e フィルター両端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6