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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174897
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 35/00 20060101AFI20221117BHJP
   B62J 37/00 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
B62J35/00 D
B62J35/00 C
B62J37/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080929
(22)【出願日】2021-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清治 達也
(72)【発明者】
【氏名】河合 健児
(57)【要約】
【課題】タンクキャップの操作ケーブルを簡単な構造で外観性良く配索し、且つ、操作ケーブルを良好に操作できるようにする。
【解決手段】鞍乗り型車両は、燃料タンク(29)と、燃料タンク(29)に設けられた給油口(50c)を開閉可能に覆うタンクキャップ(40)と、タンクキャップ(40)の開錠動作を行う操作ケーブル(41)とを備え、燃料タンク(29)は、燃料タンク(29)を貫通する第1開口部(61)及び第2開口部を備え、燃料タンク(29)内を通って第1開口部(61)と第2開口部とを接続する経路部材(51)が設けられ、操作ケーブル(41)は、経路部材(51)内に配索され、第1開口部(61)から外側に出る操作ケーブル(41)は、タンクキャップ(40)を開錠する開錠機構(70)に接続される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンク(29)と、前記燃料タンク(29)に設けられた給油口(50c)を開閉可能に覆うタンクキャップ(40)と、前記タンクキャップ(40)の開錠動作を行う操作ケーブル(41)とを備える鞍乗り型車両において、
前記燃料タンク(29)は、前記燃料タンク(29)を貫通する第1開口部(61)及び第2開口部(62)を備え、
前記燃料タンク(29)内を通って前記第1開口部(61)と前記第2開口部(62)とを接続する経路部材(51)が設けられ、
前記操作ケーブル(41)は、前記経路部材(51)内に配索され、
前記第1開口部(61)から外側に出る前記操作ケーブル(41)は、前記タンクキャップ(40)を開錠する開錠機構(70)に接続されることを特徴とする鞍乗り型車両。
【請求項2】
前記経路部材(51)は、前記第1開口部(61)及び前記第2開口部(62)のみによって前記燃料タンク(29)に接続されるパイプ状であることを特徴とする請求項1記載の鞍乗り型車両。
【請求項3】
前記経路部材(51)は、前記第1開口部(61)から前記第2開口部(62)までの間に少なくとも1つの屈曲部(51c,51e)を有し、
前記屈曲部(51c,51e)のうち前記経路部材(51)の軸方向において前記第2開口部(62)に最も近い第1屈曲部(51c)は、前記第1開口部(61)側に向けて屈曲し、
前記経路部材(51)の軸方向において、前記第1屈曲部(51c)と前記第2開口部(62)との距離(L1)は、前記第1屈曲部(51c)と前記第1開口部(61)との距離(L2)よりも小さいことを特徴とする請求項1または2記載の鞍乗り型車両。
【請求項4】
前記第1開口部(61)側で前記経路部材(51)の端を塞ぐ蓋部材(73)が設けられ、前記操作ケーブル(41)は、前記蓋部材(73)内を通って外側に延出し、前記開錠機構(70)に接続されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【請求項5】
前記開錠機構(70)は、開錠動作時に、前記蓋部材(73)に当接することを特徴とする請求項4記載の鞍乗り型車両。
【請求項6】
前記燃料タンク(29)内には、前記経路部材(51)とは別にパイプ(52,53)が配索され、前記経路部材(51)と前記パイプ(52,53)の少なくとも1本とが束ねられていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【請求項7】
前記燃料タンク(29)は、前記パイプ(52,53)の一端部(52b,53b)が接続されるパイプ接続部(35a,35b)を備え、前記パイプ(52,53)は、前記パイプ接続部(35a,35b)から外側に延出し、
前記第2開口部(62)は、前記パイプ接続部(35a,35b)の少なくとも1つに隣接して設けられることを特徴とする請求項6記載の鞍乗り型車両。
【請求項8】
前記経路部材(51)は、車両側面視において、前記燃料タンク(29)内で車両前後方向且つ上下方向に斜めに延びる傾斜部(51d)を備えることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【請求項9】
前記第1開口部(61)において、前記経路部材(51)は、前記タンクキャップ(40)の軸線(40b)と平行に、前記燃料タンク(29)に対し取り付けられることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【請求項10】
前記開錠機構(70)は、前記タンクキャップ(40)に係合して前記タンクキャップ(40)をロックするロック部材(71)を備え、
前記操作ケーブル(41)は、前記ロック部材(71)に接続され、前記ロック部材(71)を操作してロックを解除することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【請求項11】
前記操作ケーブル(41)を駆動するソレノイド(42)が設けられ、
前記第2開口部(62)から外側に延びる前記操作ケーブル(41)は、前記ソレノイド(42)に接続され、前記ソレノイド(42)は、前記タンクキャップ(40)の上面(40a)よりも下方に配置されることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【請求項12】
前記第2開口部(62)から外側に延びる前記操作ケーブル(41)の延出方向(80)と、前記操作ケーブル(41)と前記ソレノイド(42)との接続方向とは同じ方向であることを特徴とする請求項11記載の鞍乗り型車両。
【請求項13】
前記ソレノイド(42)の駆動制御を行う制御部(33)が設けられ、
前記制御部(33)は、前記タンクキャップ(40)の前記上面(40a)よりも下方に配置されることを特徴とする請求項11または12記載の鞍乗り型車両。
【請求項14】
前記ソレノイド(42)は、前記燃料タンク(29)よりも下方に配置されることを特徴とする請求項13記載の鞍乗り型車両。
【請求項15】
前記制御部(33)は、前記燃料タンク(29)よりも下方に配置されることを特徴とする請求項13または14記載の鞍乗り型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗り型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タンクキャップに設けられたエアーベントノブと燃料コックのバルブとを接続する鋼線(操作ケーブル)が、燃料タンク内に配索される構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、エアーベントノブの操作は、鋼線を介してバルブに伝達される。この鋼線は、燃料タンク内に露出した状態で燃料タンク内に配索される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60-134754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、鞍乗り型車両の燃料タンクでは、タンクキャップの開錠を操作する操作ケーブルを燃料タンクの外側に配索する場合がある。この場合、外観性の向上を目的として操作ケーブルを隠すカバーが設けられるため、部品点数が増加する。また、上記従来の燃料タンクでは、操作ケーブルとしての鋼線が燃料タンク内に露出しているため、鋼線の配索経路が安定せず、操作対象の操作をし難くなることが考えられる。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、タンクキャップの操作ケーブルを簡単な構造で外観性良く配索し、且つ、操作ケーブルを良好に操作できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
鞍乗り型車両は、燃料タンクと、前記燃料タンクに設けられた給油口を開閉可能に覆うタンクキャップと、前記タンクキャップの開錠動作を行う操作ケーブルとを備える鞍乗り型車両において、前記燃料タンクは、前記燃料タンクを貫通する第1開口部及び第2開口部を備え、前記燃料タンク内を通って前記第1開口部と前記第2開口部とを接続する経路部材を備え、前記操作ケーブルは、前記経路部材内に配索され、前記第1開口部から外側に出る前記操作ケーブルは、前記タンクキャップを開錠する開錠機構に接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
タンクキャップの操作ケーブルを簡単な構造で外観性良く配索し、且つ、操作ケーブルを良好に操作できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両の側面図である。
図2】鞍乗り型車両を上方から見た平面図である。
図3】燃料タンクの周辺部の左側面図である。
図4】経路部材、ドレンパイプ、及びブリーザーパイプの配索状態を示す左側面図である。
図5図2のV-V断面図である。
図6図5において第1開口部の周辺部を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LHは車体左方を示す。
【0009】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両10の側面図である。
鞍乗り型車両10は、車体フレーム11と、車体フレーム11に支持されるパワーユニット12と、前輪13を操舵自在に支持するフロントフォーク14と、後輪15を支持するスイングアーム16と、乗員用のシート17とを備える車両である。
鞍乗り型車両10は、乗員がシート17に跨るようにして着座する車両である。シート17は、車体フレーム11の後部の上方に設けられる。
【0010】
車体フレーム11は、車体フレーム11の前端部に設けられるヘッドパイプ18と、ヘッドパイプ18の後方に位置するフロントフレーム19と、フロントフレーム19の後方に位置するリアフレーム20とを備える。フロントフレーム19の前端部は、ヘッドパイプ18に接続される。
シート17は、リアフレーム20に支持される。
【0011】
フロントフォーク14は、ヘッドパイプ18によって左右に操舵自在に支持される。前輪13は、フロントフォーク14の下端部に設けられる車軸13aに支持される。乗員が把持する操舵用のハンドル21は、フロントフォーク14の上端部に取り付けられる。
【0012】
スイングアーム16は、車体フレーム11に支持されるピボット軸22に支持される。ピボット軸22は、車幅方向に水平に延びる軸である。スイングアーム16の前端部には、ピボット軸22が挿通される。スイングアーム16は、ピボット軸22を中心に上下に揺動する。
後輪15は、スイングアーム16の後端部に設けられる車軸15aに支持される。
【0013】
パワーユニット12は、前輪13と後輪15との間に配置され、車体フレーム11に支持される。
パワーユニット12は、内燃機関である。パワーユニット12は、クランクケース23と、往復運動するピストンを収容するシリンダー部24とを備える。シリンダー部24の排気ポートには、排気装置25が接続される。
パワーユニット12の出力は、パワーユニット12と後輪15とを接続する駆動力伝達部材によって後輪15に伝達される。
【0014】
また、鞍乗り型車両10は、前輪13を上方から覆うフロントフェンダー26と、後輪15を上方から覆うリアフェンダー27と、乗員が足を載せるステップ28と、パワーユニット12が使用する燃料を蓄える燃料タンク29とを備える。
フロントフェンダー26は、フロントフォーク14に取り付けられる。リアフェンダー27及びステップ28は、シート17よりも下方に設けられる。燃料タンク29は、車体フレーム11に支持される。
【0015】
フロントフレーム19は、ヘッドパイプ18から後下方に延びる左右一対のメインフレーム19aと、メインフレーム19aの後端部から下方に延びる左右一対のピボットフレーム19bと、ヘッドパイプ18においてメインフレーム19aの前端の下方の位置から下方に延びる左右一対のダウンフレーム19cとを備える。
【0016】
図2は、鞍乗り型車両10を上方から見た平面図である。
図1及び図2を参照し、鞍乗り型車両10は、車体フレーム11等によって構成される車体を覆う車体カバーとして、ヘッドパイプ18を前方から覆うフロントカバー31と、車体フレーム11の前端部を車幅方向外側から覆う左右一対のサイドカバー32とを備える。
【0017】
燃料タンク29は、車両前後方向で、ヘッドパイプ18とシート17との間に配置される。燃料タンク29は、左右のメインフレーム19aの上方に配置され、メインフレーム19aによって支持される。
燃料タンク29の前部の上面には、燃料タンク29を開閉可能に覆うタンクキャップ40が設けられる。タンクキャップ40は、車幅方向の中央部に配置される。
シート17は、運転者が着座する前側シート17aと、同乗者が着座する後側シート17bとを一体に備える。後側シート17bは、前側シート17aの後方で、前側シート17aに対し段状に高く設けられる。前側シート17aの前端部は、燃料タンク29の後部を上方から覆う。燃料タンク29の上面は、後側シート17bの上面よりも高い位置にある。
【0018】
パワーユニット12等の鞍乗り型車両10の各部を電子的に制御する制御部33は、燃料タンク29の後部の下方に配置される。制御部33は、シリンダー部24よりも後方且つクランクケース23の後部の上方で、左右のメインフレーム19aの後部の間に配置される。
鞍乗り型車両10の各部に電力を供給するバッテリー34は、前側シート17aの下方に配置され、前側シート17aによって上方から覆われる。バッテリー34は、制御部33の後方で燃料タンク29よりも下方に配置される。バッテリー34は、バッテリー34から前方に延びる電線34aによって制御部33に接続される。
【0019】
鞍乗り型車両10は、タンクキャップ40の開錠動作を行う操作ケーブル41と、操作ケーブルを駆動するソレノイド42とを備える。
操作ケーブル41は、ソレノイド42に接続される。ソレノイド42は、電線43によって制御部33に接続される。
制御部33は、ソレノイド42を駆動制御して操作ケーブル41を駆動し、タンクキャップ40を開錠する。
【0020】
ソレノイド42は、燃料タンク29の下方に配置される。ソレノイド42は、シリンダー部24よりも後方且つクランクケース23の後部の上方で、左右のメインフレーム19aの後部の間に配置される。ソレノイド42は、制御部33の前上方に配置される。
ソレノイド42及び制御部33は、タンクキャップ40の上面40aよりも下方に配置される。燃料タンク29は、平面視では、ソレノイド42及び制御部33に上方から重なる。
【0021】
図3は、燃料タンク29の周辺部の左側面図である。
車両側面視では、燃料タンク29の上面部29aは、燃料タンク29の前部において略水平である。車両側面視では、燃料タンク29の後面部29bは、上面部29aの後端から後下がりに延びる傾斜面である。
燃料タンク29の上面部29aには、タンクキャップ40が取り付けられるキャップ取付部50が設けられる。
燃料タンク29内には、操作ケーブル41が通される経路部材51と、ドレンパイプ52と、ブリーザーパイプ53とが配索される。経路部材51、ドレンパイプ52、及びブリーザーパイプ53は、例えば金属製である。
【0022】
図4は、経路部材51、ドレンパイプ52、及びブリーザーパイプ53の配索状態を示す左側面図である。図5は、図2のV-V断面図であり、キャップ取付部50及びタンクキャップ40の断面を示す。
キャップ取付部50は、上面部29aの一部が下方に凹む凹部であり、この凹部内にタンクキャップ40が配置される。キャップ取付部50は、タンクキャップ40を周囲から囲む円環状の周壁部50aと、上記凹部の底面を構成する底面部50bと、底面部50bを貫通する給油口50cとを備える。周壁部50aは、円板状の底面部50bの周縁から上方に延出する。給油口50cは、平面視で底面部50bの中心部に設けられる。
タンクキャップ40は、給油口50cを上方から覆って塞ぐ。燃料は、タンクキャップ40を開いた状態で、給油口50cから燃料タンク29内に注入される。キャップ取付部50は、給油の際に給油口50cの周囲に零れた燃料を受ける。
【0023】
経路部材51、ドレンパイプ52、及びブリーザーパイプ53は、キャップ取付部50から下方に延び、燃料タンク29の下面部29c(図4)にそれぞれ接続される。下面部29cは、車両側面視で後下がりに傾斜するタンク底壁部35を、燃料タンク29の後部に備える。
タンク底壁部35は、メインフレーム19aに沿うように後下がりに傾斜している。タンク底壁部35は、メインフレーム19aの上方において、左右のメインフレーム19aの間に位置する。タンク底壁部35は、キャップ取付部50の後下方に位置する。
【0024】
ドレンパイプ52は、燃料タンク29を上下に貫通するパイプである。ドレンパイプ52は、キャップ取付部50に受けられた水や燃料を燃料タンク29の外に排出する。ドレンパイプ52の上端部52aは、キャップ取付部50の底面部50bにおける給油口50cの周囲の部分に接続される。ドレンパイプ52の上端面は、底面部50bの上方に開口する。ドレンパイプ52は、底面部50bから、燃料タンク29内を後下方に斜めに延びる。
【0025】
ドレンパイプ52の下端部52b(パイプの一端部)は、タンク底壁部35に接続される。タンク底壁部35は、下端部52bが接続されるドレンパイプ接続部35a(パイプ接続部)を備える。ドレンパイプ接続部35aは、下端部52bが嵌合する孔部である。下端部52bは、ドレンパイプ接続部35aに嵌合され、例えば溶接によってドレンパイプ接続部35aに結合される。
下端部52bは、後下がりのタンク底壁部35に対し直交して配置されるため、車両側面視で後上がりに延びる。ドレンパイプ52は、下端部52bの上方でキャップ取付部50側に向けて前上方に屈曲し、キャップ取付部50に向けて上方に延びる。
【0026】
ドレンパイプ52の下端部52bがタンク底壁部35から下方に突出した部分には、ドレンチューブ55が接続される。ドレンチューブ55は、下方に延出し、車体の下部で下方に開口する。ドレンチューブ55は、例えばゴム製である。
【0027】
ブリーザーパイプ53は、燃料タンク29を上下に貫通するパイプである。ブリーザーパイプ53は、燃料タンク29内を大気に連通させる。
キャップ取付部50の底面部50bには、ブリーザーパイプ53の上端部53aが接続されるブリーザーパイプ上側接続部56が設けられる。ブリーザーパイプ上側接続部56は、上端部53aが嵌合する孔部である。ブリーザーパイプ上側接続部56は、給油口50cの周囲に配置される。上端部53aは、ブリーザーパイプ上側接続部56に嵌合され、例えば溶接によってブリーザーパイプ上側接続部56に結合される。
ブリーザーパイプ53の上端面は、底面部50bの上方に開口する。ブリーザーパイプ53は、底面部50bから、燃料タンク29内をドレンパイプ52に沿うように後下方へ斜めに延びる。
【0028】
ブリーザーパイプ53の下端部53b(パイプの一端部)は、タンク底壁部35に接続される。タンク底壁部35は、下端部53bが接続されるブリーザーパイプ接続部35b(パイプ接続部)を備える。ブリーザーパイプ接続部35bは、下端部53bが嵌合する孔部である。下端部53bは、ブリーザーパイプ接続部35bに嵌合され、例えば溶接によってブリーザーパイプ接続部35bに結合される。
下端部53bは、後下がりのタンク底壁部35に対し直交して配置されるため、車両側面視で後上がりに延びる。ブリーザーパイプ53は、下端部53bの上方でキャップ取付部50側に向けて前上方に屈曲し、キャップ取付部50に向けて上方に延びる。
【0029】
ブリーザーパイプ53の下端部53bがタンク底壁部35から下方に突出した部分には、ブリーザーチューブ57が接続される。ブリーザーチューブ57の下端部は、下方に開口する。ブリーザーチューブ57は、例えばゴム製である。
【0030】
燃料タンク29は、キャップ取付部50の底面部50bを貫通する第1開口部61と、タンク底壁部35を貫通する第2開口部62とを備える。第1開口部61は、給油口50cの周囲に配置される。第2開口部62は、第1開口部61に対し後下方に位置する。
経路部材51は、燃料タンク29を上下に貫通するパイプであり、経路部材51を軸方向に貫通する孔51fを備える。経路部材51は、燃料タンク29内を通って第1開口部61と第2開口部62とを接続する。
【0031】
経路部材51の上端部51aは、第1開口部61に嵌合され、例えば溶接によって第1開口部61に結合される。
上端部51aの上端面は、底面部50bの上方に開口する。
第1開口部61において、経路部材51の上端部51aは、タンクキャップ40の軸線40bと平行に上下に延びる。ここで、平行は略平行も含む。上端部51a及び軸線40bは略鉛直に延びる。軸線40bは、給油口50cの軸線に一致する。
経路部材51は、底面部50bから、燃料タンク29内を後下方へ斜めに延びる。
【0032】
経路部材51の下端部51bは、タンク底壁部35の第2開口部62に接続される。下端部51bは、第2開口部62に嵌合され、例えば溶接によって第2開口部62に結合される。
下端部51bは、後下がりのタンク底壁部35に対し直交して配置されるため、車両側面視で後上がりに延びる。
詳細には、経路部材51は、下端部51bと、下端部51bの上方で第1開口部61側に向けて前上方に屈曲する第1屈曲部51cと、第1屈曲部51cから前上方へ斜めに延出する傾斜部51dと、傾斜部51dから上方に向けて屈曲する第2屈曲部51eと、第2屈曲部51eから鉛直に上方に延出する上端部51aとを備える。
【0033】
経路部材51は、第1開口部61及び第2開口部62のみによって燃料タンク29に直接的に接続されている。すなわち、経路部材51は、第1開口部61及び第2開口部62以外では燃料タンク29の壁面に接触していない。このため、例えば、経路部材51を燃料タンク29の内面に沿って配置する構造に比して、経路部材51を短くできる。
【0034】
経路部材51の傾斜部51dは、ドレンパイプ52及びブリーザーチューブ57に沿うように、車両側面視で車両前後方向且つ上下方向に延びる。
経路部材51の傾斜部51d、ドレンパイプ52及びブリーザーパイプ53は、保持部材63によって束ねられている。保持部材63は、傾斜部51d、ドレンパイプ52及びブリーザーパイプ53を囲むバンド状である。これにより、傾斜部51d、ドレンパイプ52及びブリーザーパイプ53は互いに支え合うことができ、傾斜部51d、ドレンパイプ52及びブリーザーパイプ53を効果的に支持できる。
【0035】
経路部材51の軸方向において、第1屈曲部51cは、第2屈曲部51eよりも第2開口部62に近い。第1屈曲部51cは、第1屈曲部51c及び第2屈曲部51eのうち、第2開口部62に最も近い。
経路部材51の軸方向において、第1屈曲部51cと第2開口部62との距離L1は、第1屈曲部51cと第1開口部61との距離L2よりも小さい。このため、経路部材51を燃料タンク29の内面から離間して配索でき、経路部材51を短くできる。
【0036】
図6は、図5において第1開口部61の周辺部を拡大した断面図である。
図5及び図6を参照し、操作ケーブル41は、経路部材51の孔51f内を通されることで、燃料タンク29の内側に配索される。
操作ケーブル41は、筒状のアウターチューブ65と、アウターチューブ65内に設けられるインナーケーブル66とを備える。インナーケーブル66は、アウターチューブ65内を操作ケーブル41の軸方向に移動可能である。
【0037】
キャップ取付部50内には、タンクキャップ40を開錠する開錠機構70が設けられる。開錠機構70は、第1開口部61の上方において、キャップ取付部50の周壁部50aとタンクキャップ40の外周との間に配置される。
開錠機構70は、タンクキャップ40に係合するロック部材71と、ロック部材71を回動自在に支持する回動軸72とを備える。
回動軸72は、車幅方向に延びる軸である。
ロック部材71は、回動軸72に支持されて回動軸72を中心に回動する回動部71aと、回動部71aからタンクキャップ40側に突出する係合部71bと、回動部71aから係合部71bとは反対側に延出するケーブル連結部71cとを備える。
【0038】
タンクキャップ40の外周には、ロック部材71の係合部71bが係合する被係合部40cが設けられる。被係合部40cは例えば溝である。
インナーケーブル66は、第1開口部61を通り経路部材51の上端から外側の上方に延出し、ロック部材71のケーブル連結部71cに連結される。詳細には、インナーケーブル66の上端には、車幅方向に延びる円柱状の接続部材66aが設けられる。インナーケーブル66は、ケーブル連結部71cに設けられた孔部に接続部材66aが回動可能に嵌合することで、ロック部材71に連結される。
【0039】
経路部材51の上端は、底面部50bから上方に突出する。アウターチューブ65の上端は、経路部材51の上端と面一に設けられる。経路部材51の上端には、経路部材51の上端の開口を塞ぐ筒状の蓋部材73が取り付けられる。
蓋部材73は、経路部材51の上端の外周に嵌合することで経路部材51に取り付けられる。蓋部材73は、蓋部材73を上下に貫通するケーブル通し孔73aを備える。
インナーケーブル66は、ケーブル通し孔73aを通って上方に延出し、ケーブル連結部71cに接続される。
蓋部材73は、経路部材51の上端への水及び塵埃の侵入を抑制する。
さらに、蓋部材73は、ロック部材71の回動動作時にロック部材71に当接し、ロック部材71の回動を停止させる。
【0040】
図4を参照し、経路部材51の下端部51bは、タンク底壁部35から下方に突出する。
操作ケーブル41は、経路部材51の下端から下方に延出し、ソレノイド42に接続される。詳細には、操作ケーブル41は、インナーケーブル66(図5)の下端がソレノイド42に接続される。
第2開口部62からソレノイド42に向けて延びる操作ケーブル41の延出方向80は前下方である。操作ケーブル41とソレノイド42との接続方向は、延出方向80と同じ方向である。すなわち、延出方向80に真っ直ぐ延びる操作ケーブル41は、向きを変えずにそのままソレノイド42に接続される。ソレノイド42の駆動方向は、延出方向80と同じ方向であり、ソレノイド42は、インナーケーブル66を延出方向80に引く。このため、ソレノイド42の駆動力をインナーケーブル66に効率良く伝達できる。
【0041】
図5を参照し、操作ボタン等の操作により、タンクキャップ40を開く指令が入力されると、制御部33は、ソレノイド42を駆動制御し、ソレノイド42によって操作ケーブル41を駆動する。操作ケーブル41が駆動されると、ロック部材71は、インナーケーブル66によって下方に引かれ、図6の実線の位置から仮想線の位置まで回動する。これにより、被係合部40cに対する係合部71bの係合が解除され、タンクキャップ40が開錠される。タンクキャップ40は、例えばタンクキャップ40の後部に設けられるヒンジを中心に回動可能に設けられる。タンクキャップ40は、開錠された状態で上記ヒンジを中心に上方に回動して開く。
また、開錠動作時には、開錠機構70のロック部材71は、蓋部材73の上面73bに当接し、回動の限界位置を規制される。このため、蓋部材73を利用してロック部材71の回動を規制でき、簡単な構造でロック部材71の回動を規制できる。ロック部材71の過度な回動が蓋部材73によって規制されるため、開錠動作時におけるインナーケーブル66の負荷を低減できる。このため、インナーケーブル66を太くしなくとも、良好に開錠を行うことができる。
【0042】
操作ケーブル41は、燃料タンク29内に配索される経路部材51に通されるため、燃料タンク29の外側に露出しない。このため、操作ケーブル41が目立たず、鞍乗り型車両10の外観性が良い。また、操作ケーブル41は、第1開口部61から第2開口部62までの全経路を経路部材51によってガイドされる。このため、操作ケーブル41の配索経路が安定し、操作ケーブル41を良好に操作できる。
【0043】
図4を参照し、第2開口部62、ドレンパイプ接続部35a、及びブリーザーパイプ接続部35bは、タンク底壁部35において互いに隣接して設けられる。すなわち、経路部材51の下端部51b、ドレンパイプ52の下端部52b、及びブリーザーパイプ53の下端部53bは、タンク底壁部35において互いに隣接して設けられる。また、下端部51b、下端部52b、及び下端部53bは、互いに略平行に設けられる。このため、下端部51b、下端部52b、及び下端部53bをタンク底壁部35にまとめてコンパクトに配置でき、経路部材51、ドレンパイプ52、及びブリーザーパイプ53の配索が容易である。
【0044】
以上説明したように、本発明を適用した実施の形態によれば、鞍乗り型車両10は、燃料タンク29と、燃料タンク29に設けられた給油口50cを開閉可能に覆うタンクキャップ40と、タンクキャップ40の開錠動作を行う操作ケーブル41とを備え、燃料タンク29は、燃料タンク29を貫通する第1開口部61及び第2開口部62を備え、燃料タンク29内を通って第1開口部61と第2開口部62とを接続する経路部材51が設けられ、操作ケーブル41は、経路部材51内に配索され、第1開口部61から外側に出る操作ケーブル41は、タンクキャップ40を開錠する開錠機構70に接続される。
この構成によれば、操作ケーブル41が、燃料タンク29内を通る経路部材51内に配索されるため、操作ケーブル41を簡単な構造で隠し、外観性良く配索できる。また、操作ケーブル41は、第2開口部62から第1開口部61に亘って経路部材51によって案内される。このため、操作ケーブル41の配索経路が安定し、操作ケーブル41を良好に操作できる。
【0045】
また、経路部材51は、第1開口部61及び第2開口部62のみによって燃料タンク29に接続されるパイプ状である。
この構成によれば、経路部材51を短い経路で配索でき、操作ケーブル41を短くできる。
【0046】
また、経路部材51は、第1開口部61から第2開口部62までの間に第1屈曲部51c(屈曲部)及び第2屈曲部51e(屈曲部)を有し、第1屈曲部51c及び第2屈曲部51eのうち経路部材51の軸方向において第2開口部62に最も近い第1屈曲部51cは、第1開口部61側に向けて屈曲し、経路部材51の軸方向において、第1屈曲部51cと第2開口部62との距離L1は、第1屈曲部51cと第1開口部61との距離L2よりも小さい。
この構成によれば、経路部材51を短い経路で配索でき、操作ケーブル41を短くできる。
【0047】
さらに、第1開口部61側で経路部材51の端を塞ぐ蓋部材73が設けられ、操作ケーブル41は、蓋部材73内を通って外側に延出し、開錠機構70に接続される。
この構成によれば、経路部材51への水や塵埃の侵入を、蓋部材73によって効果的に抑制できる。
【0048】
また、開錠機構70は、開錠動作時に、蓋部材73に当接する。
この構成によれば、開錠機構70の動作を蓋部材73を利用して停止させることができるため、開錠機構70を停止させる専用の部材を用いることなく開錠機構70の動作を停止できる。また、開錠機構70の動作を停止させる際に操作ケーブル41の負荷を低減できるため、操作ケーブル41を太くしなくとも良好に開錠動作を行うことができる。
【0049】
また、燃料タンク29内には、経路部材51とは別にドレンパイプ52及びブリーザーパイプ53が配索され、経路部材51とドレンパイプ52及びブリーザーパイプ53とは束ねられている。
この構成によれば、燃料タンク29内でドレンパイプ52及びブリーザーパイプ53を利用して簡単な構造で経路部材51を支持できる。なお、ドレンパイプ52及びブリーザーパイプ53の少なくとも1本が経路部材51に束ねられていれば良い。
【0050】
また、燃料タンク29は、ドレンパイプ52の下端部52bが接続されるドレンパイプ接続部35a及びブリーザーパイプ53の下端部53bが接続されるブリーザーパイプ接続部35bを備え、ドレンパイプ52は、ドレンパイプ接続部35aから外側に延出し、ブリーザーパイプ53は、ブリーザーパイプ接続部35bから外側に延出し、第2開口部62は、ドレンパイプ接続部35a及びブリーザーパイプ接続部35bに隣接して設けられる。
この構成によれば、第2開口部62、ドレンパイプ接続部35a、及びブリーザーパイプ接続部35bが隣接するため、経路部材51、ドレンパイプ52、及びブリーザーパイプ53をまとめて配置できる。このため、燃料タンク29内での経路部材51、ドレンパイプ52、及びブリーザーパイプ53の配索が容易である。なお、第2開口部62は、ドレンパイプ接続部35a及びブリーザーパイプ接続部35bの少なくとも1つに隣接していれば良い。
【0051】
また、経路部材51は、車両側面視において、燃料タンク29内で車両前後方向且つ上下方向に斜めに延びる傾斜部51dを備える。
この構成によれば、経路部材51を短い経路で配索でき、操作ケーブル41を短くできる。
【0052】
また、第1開口部61において、経路部材51は、タンクキャップ40の軸線40bと平行に、燃料タンク29に対し取り付けられる。
この構成によれば、第1開口部61において経路部材51がタンクキャップ40の軸線40bと平行であるため、操作ケーブル41もタンクキャップ40の軸線40bと平行になる。このため、操作ケーブル41をタンクキャップ40の近くに配置でき、操作ケーブル41を短くできる。
【0053】
また、開錠機構70は、タンクキャップ40に係合してタンクキャップ40をロックするロック部材71を備え、操作ケーブル41は、ロック部材71に接続され、ロック部材71を操作してロックを解除する。
この構成によれば、操作ケーブル41はロック部材71を介してタンクキャップ40に接続される。このため、タンクキャップ40側から操作ケーブル41に作用する負荷はロック部材71によって緩和される。このため、操作ケーブル41の耐久性が良い。
【0054】
また、操作ケーブル41を駆動するソレノイド42が設けられ、第2開口部62から外側に延びる操作ケーブル41は、ソレノイド42に接続され、ソレノイド42は、タンクキャップ40の上面40aよりも下方に配置される。
この構成によれば、ソレノイド42をタンクキャップ40の上面40aよりも下方にコンパクトに配置できる。また、ソレノイド42に外側からアクセスし難くなるため、防盗性が良い。さらに、ソレノイド42をバッテリー34の近くに配置できるため、電線34a及び電線43を介し、ソレノイド42をバッテリー34に容易に接続できる。
【0055】
また、第2開口部62から外側に延びる操作ケーブル41の延出方向80と、操作ケーブル41とソレノイド42との接続方向とは同じ方向である。
この構成によれば、ソレノイド42の駆動力を操作ケーブル41に効率良く伝達でき、操作ケーブル41を良好に操作できる。
【0056】
さらに、ソレノイド42の駆動制御を行う制御部33が設けられ、制御部33は、タンクキャップ40の上面40aよりも下方に配置される。
この構成によれば、制御部33をタンクキャップ40の上面40aよりも下方にコンパクトに配置できる。また、ソレノイド42を制御部33の近くに配置できるため、短い電線43でソレノイド42と制御部33とを容易に接続できる。
【0057】
また、ソレノイド42は、燃料タンク29よりも下方に配置される。
この構成によれば、ソレノイド42を燃料タンク29よりも下方にコンパクトに配置できる。また、ソレノイド42に外側からアクセスし難くなるため、防盗性が良い。さらに、ソレノイド42をバッテリー34の近くに配置できるため、電線34a及び電線43を介し、ソレノイド42をバッテリー34に容易に接続できる。
【0058】
また、制御部33は、燃料タンク29よりも下方に配置される。
この構成によれば、制御部33を燃料タンク29よりも下方にコンパクトに配置できる。また、ソレノイド42を制御部33の近くに配置できるため、短い電線43でソレノイド42と制御部33とを容易に接続できる。
【0059】
なお、上記実施の形態は本発明を適用した一態様を示すものであって、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
上記実施の形態では、経路部材51は、第1開口部61及び第2開口部62のみによって燃料タンク29に接続されるものとして説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、経路部材51は、第1開口部61と第2開口部62との間の区間において、燃料タンク29の内面に沿うように燃料タンク29の内面に当接して設けられても良い。
また、上記実施の形態では、経路部材51の下端部51bは、タンク底壁部35に対し直交して配置されるものとして説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、下端部51bをタンク底壁部35に対し鉛直方向に貫通して配置しても良い。この場合、第2開口部62から下方に延びる操作ケーブル41の延出方向は鉛直方向となり、ソレノイド42の駆動方向も鉛直方向に設定される。
また、上記実施の形態では、ソレノイド42及び制御部33は、タンクキャップ40の上面40aよりも下方であって、燃料タンク29の下方に配置されるものとして説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ソレノイド42及び制御部33は、タンクキャップ40の上面40aよりも下方であって、後側シート17bの下方に配置されても良い。
さらに、上記実施の形態では、鞍乗り型車両10として自動二輪車を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明は、前輪または後輪を2つ備える3輪の車両及び4輪以上を備える鞍乗り型車両に適用可能である。
【0060】
[上記実施の形態によりサポートされる構成]
上記実施の形態は、以下の構成をサポートする。
【0061】
(構成1)燃料タンクと、前記燃料タンクに設けられた給油口を開閉可能に覆うタンクキャップと、前記タンクキャップの開錠動作を行う操作ケーブルとを備える鞍乗り型車両において、前記燃料タンクは、前記燃料タンクを貫通する第1開口部及び第2開口部を備え、前記燃料タンク内を通って前記第1開口部と前記第2開口部とを接続する経路部材が設けられ、前記操作ケーブルは、前記経路部材内に配索され、前記第1開口部から外側に出る前記操作ケーブルは、前記タンクキャップを開錠する開錠機構に接続されることを特徴とする鞍乗り型車両。
この構成によれば、操作ケーブルが、燃料タンク内を通る経路部材内に配索されるため、操作ケーブルを簡単な構造で隠し、外観性良く配索できる。また、操作ケーブルは、第2開口部から第1開口部に亘って経路部材によって案内される。このため、操作ケーブルの配索経路が安定し、操作ケーブルを良好に操作できる。
【0062】
(構成2)前記経路部材は、前記第1開口部及び前記第2開口部のみによって前記燃料タンクに接続されるパイプ状であることを特徴とする構成1記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、経路部材を短い経路で配索でき、操作ケーブルを短くできる。
【0063】
(構成3)前記経路部材は、前記第1開口部から前記第2開口部までの間に少なくとも1つの屈曲部を有し、前記屈曲部のうち前記経路部材の軸方向において前記第2開口部に最も近い第1屈曲部は、前記第1開口部側に向けて屈曲し、前記経路部材の軸方向において、前記第1屈曲部と前記第2開口部との距離は、前記第1屈曲部と前記第1開口部との距離よりも小さいことを特徴とする構成1または2記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、経路部材を短い経路で配索でき、操作ケーブルを短くできる。
【0064】
(構成4)前記第1開口部側で前記経路部材の端を塞ぐ蓋部材が設けられ、前記操作ケーブルは、前記蓋部材内を通って外側に延出し、前記開錠機構に接続されることを特徴とする構成1から3のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、経路部材への水や塵埃の侵入を、蓋部材によって効果的に抑制できる。
【0065】
(構成5)前記開錠機構は、開錠動作時に、前記蓋部材に当接することを特徴とする構成4記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、開錠機構の動作を蓋部材を利用して停止させることができるため、開錠機構を停止させる専用の部材を用いることなく開錠機構の動作を停止できる。また、開錠機構の動作を停止させる際に操作ケーブルの負荷を低減できるため、操作ケーブルを太くしなくとも良好に開錠動作を行うことができる。
【0066】
(構成6)前記燃料タンク内には、前記経路部材とは別にパイプが配索され、前記経路部材と前記パイプの少なくとも1本とが束ねられていることを特徴とする構成1から5のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、燃料タンク内でパイプを利用して簡単な構造で経路部材を支持できる。
【0067】
(構成7)前記燃料タンクは、前記パイプの一端部が接続されるパイプ接続部を備え、前記パイプは、前記パイプ接続部から外側に延出し、前記第2開口部は、前記パイプ接続部の少なくとも1つに隣接して設けられることを特徴とする構成6記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、第2開口部及びパイプ接続部が隣接するため、経路部材及びパイプをまとめて配置でき、経路部材及びパイプの配索が容易である。
【0068】
(構成8)前記経路部材は、車両側面視において、前記燃料タンク内で車両前後方向且つ上下方向に斜めに延びる傾斜部を備えることを特徴とする構成1から7のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、経路部材を短い経路で配索でき、操作ケーブルを短くできる。
【0069】
(構成9)前記第1開口部において、前記経路部材は、前記タンクキャップの軸線と平行に、前記燃料タンクに対し取り付けられることを特徴とする構成1から8のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、第1開口部において経路部材がタンクキャップの軸線と平行であるため、操作ケーブルもタンクキャップの軸線と平行になる。このため、操作ケーブルをタンクキャップの近くに配置でき、操作ケーブルを短くできる。
【0070】
(構成10)前記開錠機構は、前記タンクキャップに係合して前記タンクキャップをロックするロック部材を備え、前記操作ケーブルは、前記ロック部材に接続され、前記ロック部材を操作してロックを解除することを特徴とする構成1から9のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、操作ケーブルはロック部材を介してタンクキャップに接続される。このため、タンクキャップ側から操作ケーブルに作用する負荷はロック部材によって緩和される。このため、操作ケーブルの耐久性が良い。
【0071】
(構成11)前記操作ケーブルを駆動するソレノイドが設けられ、前記第2開口部から外側に延びる前記操作ケーブルは、前記ソレノイドに接続され、前記ソレノイドは、前記タンクキャップの上面よりも下方に配置されることを特徴とする構成1から10のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、ソレノイドをタンクキャップの上面よりも下方にコンパクトに配置できる。
【0072】
(構成12)前記第2開口部から外側に延びる前記操作ケーブルの延出方向と、前記操作ケーブルと前記ソレノイドとの接続方向とは同じ方向であることを特徴とする構成11記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、ソレノイドの駆動力を操作ケーブルに効率良く伝達でき、操作ケーブルを良好に操作できる。
【0073】
(構成13)前記ソレノイドの駆動制御を行う制御部が設けられ、前記制御部は、前記タンクキャップの前記上面よりも下方に配置されることを特徴とする構成11または12記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、制御部をタンクキャップの上面よりも下方にコンパクトに配置できる。また、ソレノイド及び制御部がタンクキャップの上面よりも下方に配置されるため、ソレノイドと制御部とを容易に接続できる。
【0074】
(構成14)前記ソレノイドは、前記燃料タンクよりも下方に配置されることを特徴とする構成13記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、ソレノイドを燃料タンクよりも下方にコンパクトに配置できる。
【0075】
(構成15)前記制御部は、前記燃料タンクよりも下方に配置されることを特徴とする構成13または14記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、制御部を燃料タンクよりも下方にコンパクトに配置できる。また、燃料タンクよりも下方でソレノイドと制御部とを容易に接続できる。
【符号の説明】
【0076】
10 鞍乗り型車両
29 燃料タンク
33 制御部
35a ドレンパイプ接続部(パイプ接続部)
35b ブリーザーパイプ接続部(パイプ接続部)
40 タンクキャップ
40a 上面
40b 軸線
41 操作ケーブル
42 ソレノイド
50c 給油口
51 経路部材
51c 第1屈曲部(屈曲部)
51d 傾斜部
51e 第2屈曲部(屈曲部)
52 ドレンパイプ(パイプ)
52b 下端部(パイプの一端部)
53 ブリーザーパイプ(パイプ)
53b 下端部(パイプの一端部)
61 第1開口部
62 第2開口部
70 開錠機構
71 ロック部材
73 蓋部材
80 延出方向
L1 距離(第1屈曲部と第2開口部との距離)
L2 距離(第1屈曲部と第1開口部との距離)
図1
図2
図3
図4
図5
図6