特開 2022-174920 カラー、ボルト挿通孔補強構造

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2022174920

(43)【公開日】2022-11-25

(54)【発明の名称】カラー、ボルト挿通孔補強構造

(51)【国際特許分類】

   F16B 5/02 20060101AFI20221117BHJP

   F16B 43/00 20060101ALI20221117BHJP

   F16B 21/06 20060101ALI20221117BHJP

【ＦＩ】

F16B5/02 F

F16B43/00 Z

F16B21/06 A

【審査請求】未請求

【請求項の数】4

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2021080966

(22)【出願日】2021-05-12

(71)【出願人】

【識別番号】000006895

【氏名又は名称】矢崎総業株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100134832

【弁理士】

【氏名又は名称】瀧野 文雄

(74)【代理人】

【識別番号】100165308

【弁理士】

【氏名又は名称】津田 俊明

(74)【代理人】

【識別番号】100115048

【弁理士】

【氏名又は名称】福田 康弘

(72)【発明者】

【氏名】曹 秀東

(72)【発明者】

【氏名】金子 卓磨

【テーマコード（参考）】

3J001

3J034

3J037

【Ｆターム（参考）】

3J001FA02

3J001GA06

3J001HA02

3J001HA07

3J001JA10

3J001KA21

3J001KB02

3J034AA09

3J034AA12

3J034BA05

3J034CA03

3J037AA02

3J037BA02

3J037BB02

3J037DA02

3J037DA13

3J037DB02

3J037DC01

3J037FA02

(57)【要約】

【課題】寸法・形状が異なる様々なボルト挿通孔に取り付け可能なカラーを提供する。
【解決手段】カラー３は、互いに組み付けられる第１カラー１及び第２カラー２で構成されている。第１カラー１は、第１円筒部１１と、第１円筒部１１の外周面から第１円筒部の外方に延びた第１環状鍔部１２と、第１円筒部１１に形成された第１係合部１３と、を有している。第２カラー２は、第１円筒部１１内に位置付けられる第２円筒部２１と、第２円筒部２１の外周面から第２円筒部２１の外方に延び、第１環状鍔部１２との間に間隔をあけて対向する第２環状鍔部２２と、第２円筒部２１に形成され、第１係合部１３と係合する第２係合部２３と、を有している。第１カラー１と第２カラー２は、第２円筒部２１が第１円筒部１１内に挿入されることで第１係合部１３と第２係合部２３とが係合し、これにより互いに組み付けられる。
【選択図】図４

【特許請求の範囲】

【請求項1】

物品のボルト挿通孔に取り付けられるカラーであって、
互いに組み付けられる第１カラー及び第２カラーで構成され、
前記第１カラーが、第１円筒部と、該第１円筒部の外周面から第１円筒部の外方に延びた第１環状鍔部と、を有し、
前記第２カラーが、前記第１円筒部内に位置付けられる第２円筒部と、該第２円筒部の外周面から第２円筒部の外方に延び、前記第１環状鍔部との間に間隔をあけて対向する第２環状鍔部と、を有している
ことを特徴とするカラー。

【請求項2】

前記第１カラーが、前記第１円筒部に形成された第１係合部を有し、
前記第２カラーが、前記第２円筒部に形成され、前記第１係合部と係合する第２係合部を有し、
前記第１係合部が、前記第１円筒部の内周面に形成された段差部で構成されており、
前記第２係合部が、前記第２円筒部の外周面に形成された複数の突起で構成されており、
前記第１係合部と前記第２係合部とが係合することにより前記第１カラーと前記第２カラーとが互いに組み付けられる
ことを特徴とする請求項１に記載のカラー。

【請求項3】

前記第１環状鍔部が前記第１円筒部の一端から延びており、
前記第２環状鍔部が前記第２円筒部の一端から延びている
ことを特徴とする請求項１又は２に記載のカラー。

【請求項4】

物品のボルト挿通孔に請求項１～３の何れか１項に記載のカラーが取り付けられて成るボルト挿通孔補強構造であって、
前記第１カラーと前記第２カラーとが互いに組み付けられた状態で、前記第１環状鍔部と前記第２環状鍔部との間に前記物品の一部が挟まれている
ことを特徴とするボルト挿通孔補強構造。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、ボルト挿通孔に取り付けられるカラー、及び、ボルト挿通孔にカラーが取り付けられて成るボルト挿通孔補強構造に関するものである。

【背景技術】

【0002】

電気接続箱のブラケット等に形成されたボルト挿通孔には、円筒状のカラーが取り付けられることがあった。カラーは、ボルトの締め付けトルクによってブラケット等が破損しないようにするためのものであり、金属や繊維強化プラスチック等で構成されている。このカラーは、インサート成形または圧入によってボルト挿通孔に取り付けられる（特許文献１を参照）。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２００８－３０４０２３号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

上記従来技術においては、ボルト挿通孔の寸法・形状（丸孔だけでなく長孔の場合もある）に合ったカラーを用いる必要があった。よって、寸法・形状が異なる複数のボルト挿通孔それぞれにカラーを取り付ける場合、複数種類のカラーを用意する必要があった。

【0005】

そこで、本発明は、寸法・形状が異なる様々なボルト挿通孔に取り付け可能なカラーを提供すること、及び、ボルト挿通孔に前記カラーが取り付けられて成るボルト挿通孔補強構造を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本発明は、物品のボルト挿通孔に取り付けられるカラーであって、互いに組み付けられる第１カラー及び第２カラーで構成され、前記第１カラーが、第１円筒部と、該第１円筒部の外周面から第１円筒部の外方に延びた第１環状鍔部と、を有し、前記第２カラーが、前記第１円筒部内に位置付けられる第２円筒部と、該第２円筒部の外周面から第２円筒部の外方に延び、前記第１環状鍔部との間に間隔をあけて対向する第２環状鍔部と、を有していることを特徴とする。

【0007】

本発明は、物品のボルト挿通孔に上記カラーが取り付けられて成るボルト挿通孔補強構造であって、前記第１カラーと前記第２カラーとが互いに組み付けられた状態で、前記第１環状鍔部と前記第２環状鍔部との間に前記物品の一部が挟まれていることを特徴とする。

【発明の効果】

【0008】

本発明によれば、カラーを寸法・形状が異なる様々なボルト挿通孔に取り付けることができる。

【図面の簡単な説明】

【0009】

【図1】本発明の一実施形態にかかるカラーを示す図であり、（ａ）は斜視図、（ｂ）は平面図、（ｃ）は断面図である。

【図2】図１の第２カラーを示す図であり、（ａ）は斜視図、（ｂ）は側面図、（ｃ）は平面図である。

【図3】図１の第１カラーを示す図であり、（ａ）は斜視図、（ｂ）は側面図、（ｃ）は断面図である。

【図4】図１のカラーがボルト挿通孔に取り付けられた状態を示す図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は（ａ）のＡ－Ａ線断面図である。

【図5】図４のカラーがボルト挿通孔内で移動した状態を示す図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は（ａ）のＢ－Ｂ線断面図、（ｃ）は（ａ）のＣ－Ｃ線断面図である。

【図6】図１のカラーが図４とは異なるボルト挿通孔に取り付けられた状態を示す図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は（ａ）のＤ－Ｄ線断面図、（ｃ）は（ａ）のＥ－Ｅ線断面図である。

【図7】図６のカラーがボルト挿通孔内で移動した状態を示す図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は（ａ）のＦ－Ｆ線断面図、（ｃ）は（ａ）のＧ－Ｇ線断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0010】

本発明の一実施形態にかかる「カラー」及び「ボルト挿通孔補強構造」について、図１～７を参照して説明する。

【0011】

図１に示すカラー３は、物品のボルト挿通孔に取り付けられてボルトの締め付けトルクによって前記物品が破損しないようにするためのものである。

【0012】

図１～３に示すように、カラー３は、互いに組み付けられる第１カラー１及び第２カラー２で構成されている。本例では、第１カラー１及び第２カラー２が金属で構成されている。これ以外に、第１カラー１及び第２カラー２は、繊維強化プラスチック等で構成されていてもよい。

【0013】

第１カラー１は、円筒状の第１円筒部１１と、第１円筒部１１の外周面から第１円筒部の外方に延びた第１環状鍔部１２と、第１円筒部１１に形成された第１係合部１３と、を有している。本例では、第１環状鍔部１２が第１円筒部１１の一端から延びている。第１円筒部１１の内周面は、第１円筒部１１の一端側に位置する大径部１１aと、第１円筒部１１の他端側に位置し、大径部１１aよりも小径の小径部１１ｂと、で構成されている。第１係合部１３は、大径部１１aと小径部１１ｂとの境界の段差部で構成されている。

【0014】

第２カラー２は、第１円筒部１１内に位置付けられる円筒状の第２円筒部２１と、第２円筒部２１の外周面から第２円筒部２１の外方に延び、第１環状鍔部１２との間に間隔をあけて対向する第２環状鍔部２２と、第２円筒部２１に形成され、第１係合部１３と係合する第２係合部２３と、を有している。本例では、第２環状鍔部２２が第２円筒部２１の一端から延びている。第２係合部２３は、第２円筒部２１の外周面に等間隔で配された４つの突起で構成されている。

【0015】

第１カラー１と第２カラー２は、第２円筒部２１が第１円筒部１１内に挿入されることで第１係合部１３と第２係合部２３とが係合し、これにより互いに組み付けられる。

【0016】

上記カラー３は、図４，５に示すブラケット４のボルト挿通孔４１に取り付けられてボルト挿通孔補強構造１０を構成する。また、カラー３は、図６，７に示すブラケット１０４のボルト挿通孔１４１に取り付けられてボルト挿通孔補強構造１１０を構成する。

【0017】

ブラケット４，１０４は、自動車用電気接続箱のケースに一体に設けられたものである。ブラケット４，１０４は、合成樹脂で板状に形成されている。

【0018】

ブラケット４には、ボルト挿通孔４１が形成されている。ボルト挿通孔４１は、平面視が正円の孔であり、その径は第１円筒部１１の外径よりも大きい。ブラケット４の一方の面には、第１環状鍔部１２が位置付けられる凹部４２が形成されている。凹部４２は、平面視が正円であり、その径は第１環状鍔部１２の外径よりも大きい。ブラケット４の他方の面には、第２環状鍔部２２が位置付けられる凹部４３が形成されている。凹部４３は、平面視が正円であり、その径は第２環状鍔部２２の外径よりも大きい。

【0019】

上記ブラケット４に対し、カラー３は、第１カラー１がボルト挿通孔４１の一方側から挿入され、第２カラー２がボルト挿通孔４１の他方側から挿入されることで第１カラー１と第２カラー２とが互いに組み付けられると共に、第１環状鍔部１２と第２環状鍔部２２との間にブラケット４の一部を挟んでボルト挿通孔４１に取り付けられる。この状態で、カラー３は、その径方向の全方向に移動可能となっている（図４，５参照。）。

【0020】

ブラケット１０４には、ボルト挿通孔１４１が形成されている。ボルト挿通孔１４１は、平面視が角丸長方形の長孔であり、その長径は第１円筒部１１の外径よりも大きく、その短径は第１円筒部１１の外径とほぼ等しい。ブラケット１０４の一方の面には、第１環状鍔部１２が位置付けられる凹部１４２が形成されている。凹部１４２は、平面視が角丸長方形であり、その長径は第１環状鍔部１２の外径よりも大きく、その短径は第１環状鍔部１２の外径とほぼ等しい。ブラケット１０４の他方の面には、第２環状鍔部２２が位置付けられる凹部１４３が形成されている。凹部１４３は、平面視が角丸長方形であり、その長径は第２環状鍔部２２の外径よりも大きく、その短径は第２環状鍔部２２の外径とほぼ等しい。

【0021】

上記ブラケット１０４に対し、カラー３は、第１カラー１がボルト挿通孔１４１の一方側から挿入され、第２カラー２がボルト挿通孔１４１の他方側から挿入されることで第１カラー１と第２カラー２とが互いに組み付けられると共に、第１環状鍔部１２と第２環状鍔部２２との間にブラケット１０４の一部を挟んでボルト挿通孔１４１に取り付けられる。この状態で、カラー３は、ボルト挿通孔１４１の長径方向に移動可能となっている（図６，７参照。）。

【0022】

このようにカラー３がボルト挿通孔４１，１４１内で移動可能となっているため、上記自動車用電気接続箱の車体への固定時に位置ずれ（部品公差や組立公差が累積して生じるずれ）を吸収でき、組立不良を抑制できる。また、不図示のボルトがボルト挿通孔４１，１４１に挿入され、ボルトにナットが締結されてブラケット４，１０４が車体に固定された状態では、カラー３は移動不能となる。

【0023】

また、カラー３は、ボルト挿通孔４１，１４１を含む寸法・形状が異なる様々なボルト挿通孔に取り付けることができる。よって、取り揃えるカラーの種類を減らすことができ、部品管理が容易になり、コスト面でも有利になる。

【0024】

また、従来技術ではボルトの頭部でブラケットを車体側に押さえることでブラケットを固定していたが、上記ボルト挿通孔補強構造１０，１１０ではカラー３の第１環状鍔部１２と第２環状鍔部２２との間にブラケット４，１０４を挟むことでブラケット４，１０４を固定するので、ブラケット４，１０４の破損をより一層防止できる。

【0025】

なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。

【符号の説明】

【0026】

１ 第１カラー
２ 第２カラー
３ カラー
４，１０４ ブラケット
１０，１１０ ボルト挿通孔補強構造
１１ 第１円筒部
１２ 第１環状鍔部
１３ 第１係合部
２１ 第２円筒部
２２ 第２環状鍔部
２３ 第２係合部
４１，１４１ ボルト挿通孔

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】